【邂逅/1:1】熱雷の旅路
ルーシド・アスィーム 5月19日13時
行く方知らず、ひらり空から舞い落ちた切符がぱりん、と硝子が割れる様な音と共に散り散りとなった。
引き換えに溢れるのは目映いばかりの導きの光。地上に落ちた星の様に、そしてその行く末であるかの様に鉄錆の蛇もろとも、全てを飲み込んでいくーー。
ーーやがて光が収まれば、其処はかたん、かたたんと幽かに揺れる静かな車輌の中。
窓の外に広がる景色は山間の小村。畑は実りが少ない。
小さな家々には弓や狩猟罠の備えが必ずある。
一際目立つのは、村の外れに立つ大きな古木。
「ようこそ、アストラへ」
やはり気がつけば、気配もなく正面のシートに腰掛ける狐耳の男が一人。人好きのする笑みを浮かべ、来客に一礼などしてみせるのだった。
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ワンダ・ウォーデン(g11207)
ルーシド・アスィーム(g01854)
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ルーシド・アスィーム 5月19日14時
改めまして、ようこそレディ!いやー、見事なトラ柄のお耳や尻尾やお髪!カッコいいな……と、いきなり人様の外見にあれこれ言うのは失礼ですね、どうかお許しを(手を合わせて小首を傾げる)
僕はこの僅かな時間、旅路の案内人を務めさせて頂きますルーシドと申します。こちらはダンジョンペンギンのわたゆきです、どうぞ宜しくお願いしますね(主の膝に座った🐧が一生懸命手を振る)
いきなりこんな箱の中……電車に連れて来られてびっくりしませんでした?
分からない事がありましたら遠慮なく仰って下さいね(僕も分からないコトだらけですが、とぱちりと片目を瞑り)
おっと、お伝え忘れが。今は下車出来ませんが、窓の外の景色はどうも乗客さんに関わりのある風景が多いみたいです。理屈は分かりませんが……(まじまじと眺めれば一際威厳のある大樹を目に留め)……霊樹と言っても過言じゃない立派な大樹さんですね(ほう、と感嘆の息を漏らした)
ワンダ・ウォーデン 5月20日01時
(車窓越しの光景にぱちくりと瞬かせた目を声の方へ向ける。半ば開いた唇は純粋な驚きの表れ。その原因がどちらにあるのかは定かではない)
うん、いや、わたしの模様はかっこいいから、あれこれ言いたくなるのもしかたない。(大丈夫、と鷹揚に頷いて)
ルーシド、わたゆき。案内をありがとう。
わたしはワンダ。連れはいない。知りたいことがある時は、頼らせてもらう。
(彼の視線と共に再び車窓を見遣り)あれは、「じいさまの木」だ。わたしの故郷で、たったひとりだけ、じいさまって呼ばれてる。
登ると遠くまでよく見えるけど、登ったらだめって言われてた。だから、わたしはこっそり登ってたんだ。
村に食べ物がない時だけ実が生るって、ずっと昔から伝わってる、とても偉い木なんだ、あれは。
ルーシド・アスィーム 5月22日11時
(少女の顔に浮かぶ素直な驚きと鷹揚さ、いずれにも思わず笑み溢れ)はい、ワンダさんですね。寛大な沙汰に感謝を。お詫びと言っては難ですが、言葉を違えずご協力は惜しみませんので。他にも頼れる大人な仲間もいますので、後程ご紹介させて下さいませね。(優しい人ばかりだよ、と言いたげにきゅい!と🐧が鳴く)
悠然と佇み、優しく苦難を支えるお姿からもぴったりな呼び名ですね、おじいさまは。木の実…どんな実がなっていたのか気になりますね。いえ、背景を伺うと気軽に見たいと言うのは憚られますが…え、登った?(あの大木に?と視線は車窓へ。距離があっても尚高い背丈は相当な巨樹の気がする
……)……ワンダさん、運動神経良いなあ!木登りって足場が少ないから大変と伺いますもの。おじいさまは喜ばれたでしょうね、可愛い孫がおんぶさせてくれたから。
ワンダ・ウォーデン 5月24日23時
(また頷こうとした首が、途中で傾ぐ。不可解を表すように僅かだけ瞳を眇めた)感謝するのに、どうしてお礼じゃなくてお詫びなんだ? それに、言葉を違えないのは当たり前のことだから、お礼にもお詫びにもならないだろう。
わたしは許したんだから、それ以上は何もいらない。当たり前のことを、当たり前にしてくれたら、十分だと思ってる。
──見ない方が幸いだ。(見たことがあると言外に仄めかせながら、牽制を紡ぐ声音は幾分低い)
(感嘆あるいは称賛には衒いなく胸を張る。言いつけを破ったことはさておいて、あれを登った功績は確かに己がもの。謙遜などしては己に失礼というものだ)
じいさまに登れたら、魔法が使えるようになるって聞いて、すごく頑張ったんだ。強い虎縞のわたしが、もっと強くなるために必要だったからな。