【邂逅/1:1】逍遙の月花
ルーシド・アスィーム 2023年11月12日
気づけばあなたの手の中で淡く輝く切符。小さなそれはぱりん、と硝子が割れる様な音と共に散り散りとなった。
引き換えに溢れるのは目映いばかりの導きの光。地上に落ちた星の様に、そしてその行く末であるかの様に鉄錆の蛇もろとも、全てを飲み込んでいくーー。
行く宛がなく彷徨う女性が、少し遠慮がちに座席に腰掛けて、一息、と目を瞑る。
彼女の傍、車窓の外に広がるのは、暗闇の中の古びた屋敷。屋敷の窓からは控えめな明りがこぼれ、月明かりとともにその周囲に自生した花畑を照らしている。
「素敵な花畑ですね」
微かな光の中、男はそうあなたに声を掛ける。対面の座席に悠々と腰掛け、微笑む顔には飄々とした笑みが浮かんでいた。
===========
ガーベリンド・エフ(g10665)
ルーシド・アスィーム(g01854)
0
ルーシド・アスィーム 2023年11月12日
(初対面である事を感じさせない懐こい表情は、男の性格と処世術の為せる業。隣にちんまりと腰掛けるサーヴァントと一緒にひらひらと手を振って)……どうもこんばんは。急に不可思議な空間に飛ばされて吃驚なさいませんでしたか?暫くすれば元の場所に戻れます故、ご安心下さいませね。
(それにしても、と車窓の外にちらと視線を遣り)……先程は見事なお花ばかり目がいきましたが、お屋敷も古式ゆかしい立派で素敵な造りなんですね。スゴいなあ。
ガーベリンド・エフ 2023年11月12日
…ん……。(少しうとうとしていたようだ。男の存在に気づき反射的に笑顔を返すと、言われて初めて外に目をやり、…驚いて。それから少しの間をおいて、ふぅ、と一呼吸おいて、男に向き直って笑顔を浮かべて)
…っと、失礼致しました、ええ、少しばかり驚いてしまいました。どうも…こんばんは?
はは、成程。不思議なことなど今のこの世にはたくさんありすぎて慣れっこになってしまいましたね(くすくすと笑って)
ええ、素敵な景色ですね。私はこの景色に見覚えはないのですが……ですが、とても、とても素敵すぎて、なにか懐かしさすら感じてしまうのです。不思議なものですね…(目を瞑り、噛みしめるように、ぼそりと)
ええと、(漸く彼女らしい、しゃんとした自信と親しみに溢れた顔に戻り)私はガーベリンドと申します、ベルとお呼びください。貴方様は?
ルーシド・アスィーム 2023年11月14日
ふふ、ですよね。吃驚しちゃいますよね(僅かな間に、それこそ万華鏡の様に移り変わる表情に親しみを覚える。無論、特異な場所、見知らぬ景色であればそれは当然の反応だが)……と、笑って済みませんね。いえ、そのお気持ちとても良く分かりますもので。(屋敷に移ろいだ視線は、今や目前の女性にはしかと向けられ、綻んだ)
どうやら現代のご出身ではないご様子。僕も紀元前の出身なもので、今世の摩訶不思議さには目を回しましたねえ。……と、名乗っておりませんで!(これは失礼、と喜劇役者めいた仕草で立ち上がり、恭しく一礼)僕はルーシド、ルーシド・アスィームと申します。こちらはサーヴァントのわたゆきです。どうぞお見知り置きを(小さな人鳥は座ったままぱたぱたと手を振って嬉しそうに挨拶を返している)
さてさて、これも折角のご縁。色々とお話を伺いたいところですが……(言葉を切り、唇を湿らせる。少しばかり言葉を選ぶ時間が必要だった)
ルーシド・アスィーム 2023年11月14日
……そう、ですね。ベルさんは、嗚呼、お言葉に甘えてそう呼ばせて頂きますね?(意を決して紡いだ言葉は何処かまだ迷いに揺れる。口元に指を当て)……ご記憶は御座いますか?ご出身やお住まい、ご家族やご友人、愛する方……等ですね。いえ、僕を含め、ディアボロス達は記憶の一部や多くを失われた方が多くて。ご苦労されておられますので……(覚えはなくも懐かしいとした車外の光景。それはきっと、今までの来客も踏まえれば……目前の女性のものだろうから。そうと目を伏せた)
ガーベリンド・エフ 2023年11月15日
ルーシド様にわたゆき様、どちらも素敵なお名前。お会い出来て光栄にございます。
…紀元前!なんたる大移動でしょう!確かに私も目を回しましたが、とはいえ2世紀分ほどの違いです、カルチャーショックは小さいほうですよ(くすくす)
…おや。(不意をつかれたように少し目を見開くが、あまり動じてはいない様子。すぐにいつもの表情に戻り)全てお見通しでしたか。その慧眼に感服いたしました。
はい、ご指摘の通り。…私事ですが…、(目線を車窓にやり、どこか懐かしそうに)私は10の齢の頃に奉公に出されましたが、そこからここにたどり着くまでの記憶がどうやら抜けているようなのです。幼いころに野山を駆けたような記憶はあるのですが、不思議なものですよね。この景色も、強くデジャヴを感じますから…おそらく抜けた記憶にゆかりする場所なのでしょう(目を閉じて。その顔には郷愁が滲み)
ルーシド・アスィーム 2023年11月27日
ええ、文明は急速に発展するものではなと実感しましたね。
想像すらしたことのなかった物で満ち溢れて……だからこそ逆に適応出来たのやも(今この場では使えないスマホをゆらゆら振ってみせた)
2世紀程前……世界的には産業革命の波に揺れていた辺りでしょうか?それはそれで激動の時代の大変さを感じます(どちらにせよ、自分の時代より大きく進歩していますねと微笑った)
……そうですか。本当多くのご記憶が抜けてしまわれたのですね(痛ましい、と思うは傲慢だけれど。過る郷愁の重みと痛みを想えば知らず力が入る)
……人の性格や人格は10代で主に形成されると聞きます。ご自分のルーツが霧の向かい側、というのは心に大変なご負担を強いるかと。ご無理は為さらずに(お話なら何時でも聞けますから、と主従で真摯な顔をしてみせた)
……とはいえ、秀麗な景色やご記憶に過剰に触れぬのもまた無粋ですね。此方のお屋敷はやはりそのご奉公先でしょうか?
ガーベリンド・エフ 2023年11月28日
それはお互い様です、私にとっては紀元前のほうが激動の時代に感じられます(くすくす)
ルーシド様の時代はどのような時代だったのでしょうか?私たちにとっては書でしか知りえぬ、記録もまばらな大昔の話。(自分もまた難しい立場ゆえ、相手の立場を慮ると。少し逡巡し言葉を止めて、一息をついて言葉を続けて)…もし宜しければ、ルーシド様の時代をお聞きしても?
(戸惑ったように笑んで)…お気遣いありがとうございます。ですが…わからないというのは本当に不便でして。心にもやが感じられますが…そのような自分の心の動きの真相すらもよくわからないのです(自虐的に笑って見せて)
…おそらく、そんな気がします。…私がいたとは想像できないくらい素敵に見えますけれどもね(苦笑を向けて、そしてまた車窓を眺めて)…どんな方がここにいらしたのでしょうね?(無意識に一瞬だけ、複雑な感情が滲んだ切ない表情を見せるも、すぐに笑顔で向き直って)
ルーシド・アスィーム 2023年12月10日
僕の時代、ですか?ううん、実は記憶が混同して少々あやふやで…(それでも構わなければ、と頷いた)
古代エジプトは神威と戦乱に満ちた地でしたね。神々の恩寵により滔々と水を湛えるナイル川に生かされ、その肥沃な地を狙った侵略者との戦いで散る…そうした命の連鎖にありました。熱狂と、ソレに反する戦への諦念が付き纏う様な…そんな時代でした(視線は自分の指を辿り。あの時は常に奪った命の赤に染まっていた様な気がする)
(視線を上げる。遠き感傷より、今は目前の女性が気掛かりだった)……ええ、それは大変なご不便とお察し致します。それこそ目星なく森を歩くような、雪嵐の中を進むようなものでしょう。(そこで言葉を切り、両手をバネに立ち上がって)……ベルさんはあのお屋敷に、どんな方がお住まいであったら嬉しいですか?(軽やかに、けれど密やかに。音を立てず、そして紳士的に拳3つ分距離を空けて。隣に腰かけながら、ふわりと笑った)