リプレイ
ディアボロスの海賊船まではトレインでの移動だ。
甲板に降り立つとすぐ、レイ・ブランシェ(大虚ノ鳥・g10380)は、航海を担当している仲間へと、攻略旅団の作戦を伝えた。時先案内人からもらった資料に加え、改造スマートフォンの画面も見せる。そこには、マメに記録された情報がよくまとまっていた。
「というわけで、当船は現行の速度を維持してくれ。ドレーク船団への攻撃部隊はそのつど自力で接近することになる」
画面から顔をあげた航海担当は笑顔で頷き、作戦を了承した。
横っちょから眺めていたエリン・エーテリオン(最近ようやく誤解が解け始めた元ヤンの虹炎魔王・g08365)も感心したような声をあげた。
「おー。あの人形劇からよくそんな真面目な文章が書けるもんだぜ」
「いや、ファビエヌさんの案内は、最初から真面目だと思う」
レイは、甲板上に持ち物を並べて確認してから、それをまた漆黒の軍服に納めていく。武器はもちろんだが、双眼鏡や方位磁石など、哨戒任務に必要な物品はおおむね揃っていた。
またすぐに出発することになる。
作戦の参加者も同様に、準備を整えた。味方の海賊船に乗っていた時間はほんのわずかだ。エリンも頼まれていたものを提供した。
「みんな行くぞ!」
ダボっとした黒コートに長い白マフラー、それよりも大きくデーモンの翼が広げられる。エリンが甲板を蹴って飛び立つと、仲間もそれに続いた。
彼女の役割とは、『飛翔』効果の残留である。
「ドレークの野郎どもが通る道は、最初っからワレてんだからな。味方の船がアブなくない海域で、私たちもまだ接触しそうにないトコまでは、ささーっと飛んできゃいいんだよ!」
話が早いと、エリンはゴキゲンだった。
好き勝手で自由に飛翔しているかのようだ。すぐ後ろについたレイが、計算された航路をちゃんとアシストしている。
ここからは慎重に、の地点にきたところで、ディアボロスたちは高度を落としていった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
先行してくれてる皆がかなり距離を詰めてくれてるな。ありがたいよ。
降下した地点からは【水中適応】を使って水中へ。
相手の船員は空振りからの撤退で気は抜けてるらしいし、海上をマストから見回すくらいはともかく、水中まできっちり見張ってはないだろ。
海中から見上げれば、船団の位置はかなりわかりやすいはず。
航路自体は割れてるんだし、探せない事はないさ。
念の為にそこそこ深いとこまで潜って、海の色に合わせたダイビング用のスーツでも着込んでおこうか。
海面に船影を見つけたら、一応慎重に上がっていくよ。
気まぐれで海中に来てる敵がいる可能性はゼロじゃない。
なるべく船にとりつくまでは見つかりたくないしな。
海面まで辿り着いたら甲板までは【飛翔】で一気に行ける。
まだここで焦る必要はないんだ。
黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)は次の便で追いついた組だ。
「先行してくれてる皆がかなり距離を詰めてくれてるな。ありがたいよ」
道案内がひとりいれば、部隊を大きく動かせる。
いまだにクロノヴェーダたちから看破されていない、ディアボロス側のアドバンテージ。そして、飛翔する仲間に合図を送ると、泉は『水中適応』を残留させた。
この連携もディアボロスならでは。降下地点からは全員が水中へと潜る。
海の色に合わせたダイビング用のスーツを着込んできた泉は、先導役も交代した。
「相手の船員は空振りからの撤退で気は抜けてるらしいし、海上をマストから見回すくらいはともかく、水中まできっちり見張ってはないだろ。海中から見上げれば、船団の位置はかなりわかりやすいはず。航路自体は割れてるんだし、探せない事はないさ」
後続が持ってくる効果が、『水面走行』の場合もありえた。泉の潜航作戦に頷く、レイ。
いつの間に入れたのか、防水ケース越しに改造スマートフォンをちらつかせ、海中からの侵入手順を表示させている。きっちりした計画とは、臨機応変さも含んでこそ。
そして、泳ぐなら泳ぐでゴキゲンなままのエリンだった
ディアボロスたちは迷わず見つける。海面に浮かぶ、いくつもの船影を。
「なるべく、目標の海賊船にとりつくまでは見つかりたくないな。まだここで焦る必要はないんだ」
泉を先頭にしたままひとかたまりになる。
気まぐれな敵個体が、海にいる可能性もゼロではない。慎重に深度を上げていく。
「よーし! 甲板までは一気に行けるよ!」
「やってやるぜ! カチコミだァ!」
エリンがまた飛翔を展開した。泉もならって海面を抜け、海賊船の上をとる。舳先の女神像が目印だったから、時先案内人が予知でみていた船で間違いない。
飛ぶのは短時間で甲板に着地し、武器を抜いた。
船上の『海の乙女・オーケアニデス』たちも騒ぎ出す。
「イーアーソーンーさまー! ディーアーボーロスがー!」
間延びした口調だが、泉たちへと向けてくる殺気は、本物だ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
さ、この勢いを逃す理由はない。一気に攻めるぞ。
まあ相手も動揺はあっても戦闘に影響するほどじゃないみたいなのが残念だけど。
敵が水使いならこっちも水だ。水の結界爆弾を次々送り込もう。
あっちも手数は多いみたいだけどこっちもそれなり。
どっちの攻め手が激しいかの勝負だな。
反撃っていうか敵の攻撃が抜けてきたら水の刃の側面叩いて弾いたり、蹴飛ばしたりしつつ水の結界弾叩き込んで処理だ。
幸い、格闘戦にはそれなりに自信がある。受け逸らしも含めてさ。
抜けてきた奴に気を取られ過ぎて本体から注意を離しちゃわないようにもしなきゃならないのはちょっとだけ面倒だけど。
……船の重要そうなパーツ、マストとかに攻撃するように見せかけたら動揺誘えるかな?
さすがに接戦の間はやってる余裕はないだろうから、試すとしたら初手か、敵が何体か減って余裕ができた頃にだろうけど。
ジェーン・コーネリアス
女たちを侍らせてご機嫌な船旅なんていいご身分だね、キャプテン
悪いけどバカンスは終わりだ
全員この場で船を降りるかくたばるか、選んでもらおうか
抗戦か、その意気は悪くない……が、それなら無理やり船から叩き落してあげるよ!
二振りのカトラス「Macha」と「Mórrígan」を手に戦闘
連続で斬撃を衝撃波として飛ばす『斬影乱舞』でオーケニアデスたちを切り裂いていこう
接近戦が得意なやつには見えなさそうだし距離を取って来そうだけど、無理に距離は詰めず、遠距離から切り裂いていこう
逃げも隠れもしなそうだし、こっちも小細工はなしだ
他の復讐者と標的を合わせて、正面から敵の戦力を削っていこう
冥府の水流に対しても斬撃を飛ばして水流を切り裂き、水に押し流されないようにする。【飛翔】を使いたくなるけど……周りには他の船もその船員もいる。的にならないよう我慢だね
さーて、これで残るは君だけだ
船に別れは告げ終わったかい?
「さ、この勢いを逃す理由はない。一気に攻めるぞ」
黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)の両手の先で、世界の一部が『分解』しはじめる。
ディアボロスたちは甲板を駆け、トループス級へと向かった。ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は二振りのカトラス、『Macha』と『Mórrígan』を手に大きく振り廻す。
『海の乙女・オーケアニデス』は水を操って抵抗し、海賊船の各所から放水してくる。
「ディーアーアーボーロスーめー。落ちろー、どっかいっけー!」
「まあ相手も動揺はあっても戦闘に影響するほどじゃないみたいなのが残念だけど」
泉はそう言いつつも、海上にある船団に目を向ける。
自陣に少数の敵が、船もなく生身で乗り込んできたのだから、まず追い出そうとはするだろう。泉も油断などしていなく、乙女たちの水攻撃が傍まで抜けてくれば、分解再構成した『結界』を纏って蹴っ飛ばした。
「幸い、格闘戦にはそれなりに自信がある。受け逸らしも含めてさ」
弾いた水は、複数の人型をとった。
乙女よりも一回り小型だが、動きは間延びしていない。手足は鋭い水の刃になっている。
斬りかかってくるところを結界の拳で受け、側面を叩き、また弾いた。そしてそれがまた複数の水人形となる。
「ちょっとだけ面倒だ」
素手格闘に飽きたかのように、泉はため息をついた。
「こいつらに気を取られ過ぎて本体から注意を離しちゃわないようにもしなきゃならないし……じゃあ、この辺りで!」
結界が再構成する世界の一部を、水属性に変える。
敵が水使いならこちらも水、というわけである。人形たちは相手にせず、トループス本体を狙おうと、船の中央を見た。
すると乙女たちの後ろから、『黄金海賊船エルドラード』の時代から見ても古風な出で立ちの男が現れた。
「おいおい。本当にディアボロスが乗り込んできたぜ」
貝の形の武器を携えていた。
ジェーンは両手のカトラスを差し向ける。
「女たちを侍らせてご機嫌な船旅なんていいご身分だね、キャプテン。悪いけどバカンスは終わりだ。全員この場で船を降りるかくたばるか、選んでもらおうか」
一足飛びにアヴァタール級に挑みたいところだが。
「イーアーアーソーンーさまー! わたーしーたちが!」
当然のように乙女らが立ちふさがる。主人はまだ余裕の笑みをうかべていた。
「おいおい、みんな。もうちょっと落ち着け。俺の名は『イアーソーン』だ。伸ばしすぎだろ、フフ」
放たれる水流に、死の毒が混ざりはじめた。
船のまわりの海水ではなく、冥府から汲んできたかのように。ジェーンが怯んだと思ったのか、イアーソーンはさらに笑った。
「ハハハ! というわけで、俺の探求船から出ていくのはおまえたちディアボロスさ」
「抗戦か、その意気は悪くない……が、それなら無理やり船から叩き落してあげるよ!」
ジェーンは前へ出る。
カトラスで、『ステュクスの死流』を切り裂きながら。すると、その水流を飛び越すように、別の水のかたまりが、乙女たちのほうへと漂ってくる。
「界水則止――止め、満たす」
泉が超高密度で結界に封じた、水の爆弾――『封爆術式<暴河紅竜・銭塘君>(セントウクン)』である。
トループスの戦列までたどり着くと、連続した爆発が起こった。乙女の一部は船外まで吹き飛ばされ、マストに叩きつけられて破裂する者もいる。
「あっちも手数は多いみたいだけどこっちもそれなり。どっちの攻め手が激しいかの勝負だな」
増殖する水の人形を躱し、泉は結界爆弾を次々と放っている。
「『斬影乱舞(ザンエイランブ)』だ!」
ジェーンは、両手のカトラスをさらに高速で振るった。いくつもの衝撃波を作り出し、泉の爆弾で傷ついた相手に放つ。
そうして配下にトドメを刺しながら、冥府の水流に対しても斬撃を飛ばして切り裂き、一歩ずつアヴァタール級へと近づいた。
いっそ、飛んでいっても良かったが、周りには他の船もその船員もいるのだ。
この海賊船を的にさせるのは、まだ我慢だ。
「逃げも隠れもしなそうだし、こっちも小細工はなしだ」
「ほう……。乙女とはいえ、俺と黄金を探す仲間だ。弱くはない。それを倒してしまうとは……む?」
頭上で爆発音がした。
配下たちを倒すことで水人形から自由になった泉が、爆弾でマストをへし折ったのである。
この襲撃を、近くの船以外にも知らしめた。
そして、『イアーソーン』の顔が引きつっていく。
「こ、ここ、この俺の、イ、イーアーソーソーンの黄金探求船を、よ、よくもよくも……」
「さーて、船に別れは告げ終わったかい?」
涼しい顔でジェーンは迫る。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】がLV2になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
おぉっと、悪い。ちょっとやり過ぎちゃったかなぁ。
あたし達が貰ったあとに修理しなきゃいけないよな、これ。ゴメンよジェーン。
――あ、ゴメンゴメン。『まだ』君の船だっけ、えーと……イーアーソーソーン?
もう少し頭に血を昇らせてくれないかと、これ見よがしに奪った後の事とか目の前で話す。
もちろん怒り狂って襲い掛かって来た時の為に戦う姿勢は緩めないまま。
殴りかかって来てくれるなら話が早いね、色男。
あたしも格闘戦は得意なんだ。
全身を強化し、四肢に『分解』と『変性』の術式を宿す。
足を使って撹乱しつつ、腕は基本防御と牽制に。
隙が見えたら足技で思いっきりキツいのを叩きこんでやる。
……足を触手が引っ掛けて来ないかは一応気にしとくかな。
ちょっかい掛けてきたら思いっきり『分解』してやる。
ジェーン・コーネリアス
くっくっ、なぁに
色男が面白おかしく慌てふためくのを見れたことだし、船の修理の手間賃としては妥当なところだろうさ
周りも動いてる、のんびりはしてられないよ
カトラスを収め、二丁のピストル「Badhbh」と「Nemain」を抜いて戦闘
二丁のピストルから弾丸を連射する『血彩の驟雨』でイアーソーンを攻撃するよ
泉の挑発であっちに意識が向いていそうだし、僕はその隙をついての攻撃を行うように立ち回ろう
こっちに召喚してきた兵隊をぶつけて時間を稼ごうってなら船の縁やへし折られたマストを足場に跳び周り、射線を確保してイアーソーンに直接鉛玉をくれてやろう
【ダメージアップ】を重ねて短期決戦としたいね
探求の旅は楽しかったかい?
残念だがここが終着だ
僕らに目を付けられたのが運が悪かったと思って諦めてくれよ!
さーて、それじゃあ修理……なんてしちゃいられないだろうね
この船も悪くないんだけど仕方ない
作戦通りに進めようか
エイレーネ・エピケフィシア
英雄の名を騙る者が、亜人のみならずアビスローバーにも存在していたとは……!
真なるイアーソーン様は、数多の英雄が乗り合わせたアルゴー船の船長を務めたお方です
ぶつかり合う強烈な個をどうにか纏め上げ、金羊毛を求める偉業は彼にしか果たせなかったことでしょう
その後の「魔女」に対する扱いに、思うところはありますが……それでも、あなた如きが名を奪ってよい存在ではないのです!
――覚悟なさい!
非常に怒っていますが、戦運びは飽くまでも冷静に
大袈裟な啖呵を切って敵の怒りを煽り、挑発を試みる仲間の目論見に繋げましょう
戦いが始まったら、敵の注意が一人に向いた隙に他の皆で痛撃を加えることで、早期に決着を狙いしょう
『奮い立つ正義の一閃』を発動し、《神護の長槍》に聖なる火を纏わせます
穂先の延長線上に長大な炎の刃を成した槍を振るい、敵を両断しながら焼却しましょう
反撃の拳は《神護の輝盾》で防ぎ、殻の尖った部分を受け流して威力の軽減を
魔女の妙薬を持たぬあなたに、襲い来る焔から身を護る術などありません
奈落の深淵へと墜ちなさい!
アヴァタール級は怪訝な顔をした。
「だから、俺の船だと言っただろう?」
「くっくっ、なぁに」
ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)の挑発は続く。
「色男が面白おかしく慌てふためくのを見れたことだし、船の修理の手間賃としては妥当なところだろうさ」
言いつつ、ドレーク艦隊のほかの海賊船にも注意していた。
距離が詰まってきているから、あまりのんびりともしていられない。なので、このアヴァタール級の頭に血を昇らせ、積極的に攻撃してくるよう仕向ければ、倒すまでの時間を縮められるはずだ。
「手間賃……。ディアボロスめ、何を企んでやがる」
「『イアーソーン』! 英雄の名を騙る者が、亜人のみならずアビスローバーにも存在していたとは……!」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、仲間の意図を汲み、大げさに驚いてみせる。
「真なるイアーソーン様は、数多の英雄が乗り合わせたアルゴー船の船長を務めたお方です。ぶつかり合う強烈な個をどうにか纏め上げ、金羊毛を求める偉業は彼にしか果たせなかったことでしょう。その後の『魔女』に対する扱いに、思うところはありますが……それでも、あなた如きが名を奪ってよい存在ではないのです。――覚悟なさい!」
『神護の長槍』に聖なる火を纏わせ、怒り心頭といった感じだ。
アヴァタール級は、不機嫌になって言う。
「だから、真だが本物だか知らねぇが、このアルゴーは俺の船だし、奪うのは黄金で、それはこれからまた出発するんだ。折れたマストをどうしてくれる!」
「おぉっと、悪い。ちょっとやり過ぎちゃったかなぁ」
爆弾で破壊した張本人、黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)が詫びを入れてきたが、その相手は味方だ。
「あたし達が貰ったあとに修理しなきゃいけないよな、これ。ゴメンよジェーン、エイレーネ」
言われたふたりは、目線で敵を示し、泉も大げさな仕草でそちらを向いた。
「――あ、ゴメンゴメン。『まだ』君の船だっけ、えーと……イーアーソーソーン?」
「イアーソーンだ!」
船長はアオイガイを拳に装着し、泉に殴りかかってきた。
「へっ? 自分でそう名乗ってたよ? ……相手してくれるなら話が早いね、色男。あたしも格闘戦は得意なんだ」
全身を強化し、四肢に『分解』と『変性』の術式を宿す泉。
目論見どおりに、イアーソーンの意識を引き付けてくれた。その隙にジェーンとエイレーネは、連携して攻撃ができる位置へと動く。
「探求の旅は楽しかったかい?」
カトラスを収めて、ジェーンは二丁のピストル『Badhbh』と『Nemain』を抜いた。
『血彩の驟雨(ケッサイノシュウウ)』で、弾丸を連射する。
「くぅッ、『アルゴナウタイの勇進』よ、おまえたちが始末しろ!」
銃弾を受けたイアーソーンは、自身は泉との格闘に専念するため、アビスローバーの船員を召喚した。エイレーネが言うような、『数多の英雄』という風情ではない。
ジェーンは身軽に動いて、船員を翻弄する。折れて斜めになったマストの上へと飛び乗り、射線を確保したうえで、イアーソーンに直接鉛玉をくれてやった。
召喚船員を纏め上げてはいるが、たいして個性的な連中ではなさそうだ。
エイレーネはため息をつき、熱くなった頭をいったん冷静にする。
「まあ、そんなものです。やはり、早期に決着を狙いしょう」
『奮い立つ正義の一閃(アペルギア・ディケオシニス)』の標的を、イアーソーンただ一人に定めた。
「短期決戦だね。エイレーネ、僕も活性化させたから使ってくれ」
ジェーンのエフェクトで、ダメージの上昇がさらに重なる。
穂先の延長線上に長大な炎の刃を成した槍を振るい、エイレーネはイアーソーンのゆったりした長衣を両断し、焼却する。
「ぐわあ! 船を破壊し、英雄の衣装を台無しにするとは!」
格闘戦をしながら、撃たれたり斬られたりすると、その都度ふりかえってくる。そんなイアーソーンを見下ろすジェーンは、ちょっと面白くなって言った。
「残念だがここが終着だ。僕らに目を付けられたのが、そもそも運が悪かったと思って諦めてくれよ!」
「アルゴーの探求は、これからだ!」
苦し紛れにアオイガイ、学名アルゴノートアルゴーをぶつけてきた。
エイレーネが、『神護の輝盾』で防ぎ、殻の尖った部分を受け流して威力を軽減する。
「ほらほら、よそ見しないでぇ」
泉は足を使って撹乱している。イアーソーンの意識を向けさせている間に、死角から仲間に攻撃してもらい、自分から注意がそれた時には容赦なく拳を打ち込む。
「『分解』してやる。最後は思いっきりキツいのをね!」
『再編術式〈有為転変〉(ウイテンペン)』の攻撃力付与を、足に移した。
相手の頭に届く、高い蹴りがヒットする。
「がはっ! 船は、渡さ……」
アヴァタール級アビスローバーの身体はグラグラと揺らぎ、甲板の上を数歩進んだ。
背中を向けると、銃創から血を流しており、服でくずぶっていた炎が歩くたびに大きくなってくる。
「魔女の妙薬を持たぬあなたに、襲い来る焔から身を護る術などありません。奈落の深淵へと墜ちなさい!」
槍に刺されるまでもなく、エイレーネの足元に、『イアーソーン』はばったりと伏せる。
またマストの傾きからジェーンが言った。
「さーて、それじゃあ修理……なんてしちゃいられないだろうね。この船も悪くないんだけど仕方ない。作戦通りに進めようか」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
ジェーン・コーネリアス
よーし、それじゃあ野郎ども、奪った船で凱旋だ!
……直前まではそんな気分でいくとしよう
イアーソーンの船だって分かるような旗はあるかな?
あとは船首の像とか
そういう前の船の持ち主に依るものを『龍波断ち』で切り落としていこう
旗を降ろす時は【飛翔】も必要になるだろうけど、僕が他の船から砲撃されないように高く飛び過ぎなように気を付けつつ、破壊はなるべく派手に音が出るように
破壊で他の船の注目を集めたら次は舵を切って船団を抜けて船を北上させるよ
ここまでくればどれだけ鈍い奴がキャプテンだろうと異変に気付くだろう
持ち込んだ望遠鏡で甲板から他の船の様子を確認
慌ただしく砲撃の準備を始めていそうならこっちも離脱の準備だ
あっちが大砲を撃ってきたところで、それにタイミングを合わせることで目立ちすぎないように【飛翔】船から飛び降り、沈む船に巻き込まれないくらい離れたところで着水する
全く、沈めるくらいなら僕らにくれればいいのにね
いいさ、次の船を楽しみにしていよう
海賊ドレークの他の船との距離はいよいよ狭まってきた。こちらの声が聞こえそうに思えたので、ディアボロスたちは『いったいなにがしたいのか』、その気分を怒鳴り合う。
「よーし、それじゃあ野郎ども、奪った船で凱旋だ!」
ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)が宣言すると、もっともらしく聞こえたので、仲間たちは海賊船の各所に散らばった。
だれかが操舵を行ない、船団を抜けて北上させる。
「あ、あと、イアーソーンの船だって分かるような旗はあるかな? それとも船首の像か」
襲撃で、甲板に飛び乗った時のことを思い出す。
舳先には、目印ともなった女神像があった。ジェーンは、マストの残骸から降りて船首までいくと、両手で持ったカトラスで上段から力任せにそれを叩き斬った。
『龍波断ち』で切り落とした女神像を抱えると、もとの帆の高さくらいにまで飛び上がる。片手で、望遠鏡をのぞくと。
「おーおー。アビスローバーどもは慌てているな。船首像の扱いで異変に気がついたみたいだ。船が乗っ取られたってな」
そのうち、砲撃の準備を始めたようだったので、甲板のディアボロスたちに合図を送った。
一発目が撃たれたところで、全員が低空の飛翔を使う。
船の沈没に巻き込まれないくらいの距離に着水し、来た時と逆の手順で水中適応に切り替えた。
下から見上げれば、海賊船どうしの動きも判る。
「全く、沈めるくらいなら僕らにくれればいいのにね。いいさ、次の船を楽しみにしていよう」
黄金を探すはずの船は、砲撃をうけてバラバラになったらしい。
ジェーンたちは潜ったまま、ディアボロス海賊船との合流地点まで急いだ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】がLV3になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!