リプレイ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
足元注意だ!こうなれば急には止まれないだろう!
突撃したのが命取りってな
速いだけが強いってわけじゃない
それを踏まえてどう生かすかが問題だ
走るだけなら猪でもできる
【行動】
あらかじめパラドクスを発動させて踏むと動く物を凍らせる水を噴き出す罠を仕掛けておく
俺は囮になってそこへ敵を誘導する
成すすべなく逃げているように演技をしつつ
突撃してきたところを狙い罠に嵌める
敵の前方にいる一部が凍結するはずだ
泥濘の地を発動させて更に滑りやすくする
その状態で一斉に突撃したら大事故間違いなしだろう
戦車だけが凍っても動けないだろうから
泥濘の地とも合わせて行動阻害ができそうだ
敵の攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
真正面から受けると消耗が激しいだろうから自分で後方へ跳んで勢いを殺すのもありだな
十分に戦力を減らしたり増援がきたらすぐに撤退
盾をジェットボードに変形させて離脱する
必要なら臨機応変に対処する
八百陣・葵漆
流石に俊足の英雄と呼ばれているだけあって
アキレウスの配下も機動力に長けているようだね
それならば、その長所を潰して殲滅するとしようか
使うパラドクスは『足止めの軍略』だよ
敵集団の移動ルートを看破して、その経路に罠を仕込んでおくよ
突撃のパワーに自信があるみたいだから
あえて壊せる程度の策を用意して、破壊しての突破に誘導するのもよいかな?
さて、そうして敵が狙いのルートを通れば
パラドクスによる落とし穴なり地面に刻んでおいた溝なりで
敵の戦車の突撃を足止めだ
勢いよく突っ込んでこれば、それだけでも横転して大惨事になりそうだね
急に止まれないのも戦車の欠点の一つだ
そうして動きを止めたゴブリンたちを
遠距離からボウガンとか爆弾の投擲で仕留めていくよ
しかしあまりに敵の数が多ければ強引に突破される可能性もあるからね
欲張らずに、適度に倒したら撤退するよ
これはあくまで前哨戦、本番は戦争だからね
大和・恭弥
イスカンダル奪還の機会、此処で逃すことのないよう気を引き締めていこう。仲間とは密な連携を意識しながら臨機応変な行動を心がける。
力と瞬発力、というのであればそこを補うまでだ。弱点の猪突猛進さを利用させてもらうためにも方針を揃えて偵察は怠らないようにしよう。晴彦を使って相手の出方をうかがいながら妖刀「藍雪花染」を抜刀しておく。
戦闘が始まれば即座に殺気を放つことで気をひき、こちらに向かわせておいて剣技「天神ノ瞋怒雨「風神」」を発動。大風を操り戦車を混乱へと誘導することで統率と機動力を乱そう。
神速の臨機応変さでダメージを最小限に抑え、その心根を鎌鼬のごとく斬り刻んで見せる。なるべく撃破することを優先に、大戦に向けて余力を残すために撤退も忘れない。殿を務めてもいい。積極的に声をかけていこう。
一角・實生
地の利は敵にあるとはいえ、先ずは情報収集から
肉眼或いはスコープで敵の布陣を確認
警戒心が強いのならそれを利用しようと思ってね
ある程度の距離から、先手を取るといわんばかりに駆け出しグラナトゥムを構えよう
パラドクスの有効射程ぎりぎりから敵を狙う体で挑発を
さあ、このままだとお前達は俺のパラドクスに攻撃され放題だけど――その魔改造は飾りかい?
実際に銃撃も織り交ぜる
機動力を活かせないまま斃れるなんてことは相手も避けたいだろう
突撃し始めた敵を確認すると同時にパラドクスを発動
『先頭』の戦車のみを狙って撃ち抜くよ
【命中アップ】を使い、特に車輪をはじめとした移動に関する部位を破壊
後続集団を先頭の戦車に次々と突っ込ませ混乱させよう
統率が乱れた敵すれすれを何度も銃撃し、更に混乱を招きたい
抜けてきた戦車は進行方向から緩く逸れるように動き、忘れじの徽章の加護を得たグラナトゥムで接触する部位のみ防いで受け流していく
頃合いを見て撤退を
機動力は強力な武器となる
――だとしても。追い縋り喰らい付くのが俺達ディアボロスだ
水蓮寺・颯
油断して怠けたままでいてくだされば、こちらとしては助かったんですが……さすがは英雄の名を冠する将、一筋縄では行かせてくれませんか。
気取られないよう、遠くから軍団を窺います。
しかしあの戦車……人力、亜人力?とは思えない速度ですね……。逃げ撃ちは難しそうです。
それなら……『其は――』
古書を開き読み上げるごとに、周囲の草木が集まり束ねられて、一本の巨大な蛇綱を形作る。
背丈の高い草原などがあれば、そこに潜ませておいて……
誰か仲間が気を引いてくれたなら、その後続を。
そうでなければ敢えて姿を見せ、数台を引き寄せましょう。
脇目も振らず突っ込んできてくだされば……周囲をぐるりと囲んで。
う、わ……危なかった。もう少しで雷電彦ごと串刺しになるところでした。
ゴブリン達が蛇綱を乗り越えたり切り払おうとするなら、背後から一呑みに。
『――貪婪たれ、“雷電彦”』
せ、戦車も呑み込んだんですか?あれを?
目標を達成したら、すぐに雷電彦を解除して身を潜めつつ撤退します。
彼らの英雄が戻ってくる前に。
(アドリブ、連携 歓迎です)
イロハ・アプリルシェルツ
【アドリブ&連携歓迎】
さぁ、蹂躙戦記イスカンダル奪還戦の前哨戦だね。
オリンピアの地に留まった駿足の英雄アキレウスの咄嗟の判断は馬鹿に出来ないからね
手下であるゴブリン達も徹底的に叩くとしようか。
隠れられそうな構造物を活かして
潜伏し、遠距離攻撃を試みる他の皆とタイミングを合わせて強襲するよ。
敵の数は多いから分断されて包囲されない様に注意して突進をかわすよ。
女性であるイロハは囮役に相応しいから、逃げる素振りを見せて隘路へと誘導しよう。そんなイロハの罠にかかり、勝利を確信した敵の戦車の車輪を【ダビデの六芒星】で撃ち抜こうか。
戦車が機動力を奪われてしまえば末路がどうなるかは言うまでも無いよね。
命乞いは聞かないよ、君達はもう今まで犯してきた罪をその身で罪を償う時なんだ。
逝くべきは戦場ではなく黄泉路だよ。
●戦場を駆ける雷光
蹂躙戦記イスカンダル奪還戦――それは、劣勢に追い込まれた断片の王『イスカンダル』が、かつて滅ぼしたギリシャ神話ディヴィジョン『神威断罪ギガントマキア』の力を借りてまで、ディアボロスを打ち倒さんと『イスカンダル・ゼウス』となって襲い掛かって来る熾烈な戦い。
「イスカンダル奪還の機会、此処で逃すわけにはいかないな」
仲間と共にパラドクストレインから降り立った大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)は、奪還戦を前に士気を高める亜人の軍勢を離れた場所から観察しては、今一度気を引き締める。
「敵は戦車部隊……破壊力は高いが、その分弱点もある。つけ入る隙は十分にあるな」
いつも通り愛用の解析能力補助のゴーグルを首から下げた荒田・誠司(雑草・g00115)が、諜報員らしく敵の能力を分析する。
「うん、破壊力だけでなく速度もあるみたいだ」
遠くからスコープで敵の布陣を観察していた一角・實生(深い潭・g00995)も仲間たちに情報を伝える。
今から相手にするのは『駿足の英雄アキレウス』の部隊。放っておくとたるみがちな亜人たちを束ねる彼に叱責された戦車部隊は、真面目に訓練を行っているようだ。
猪突猛進に突っ込んでいったかと思えば、別の部隊は戦車としては尋常でない速度を出し、突進していく。
「油断して怠けたままでいてくだされば、こちらとしては助かったんですが……さすがは英雄の名を冠する将、一筋縄では行かせてくれませんか」
真面目に訓練に励む亜人たちの様子に、水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)はアキレウスの影響力に感心しつつも、今できる最善の策を考える。
「オリュンピアの地に留まった駿足の英雄アキレウスの咄嗟の判断は馬鹿に出来ないからね」
亜人には知恵のないものも多いが、それを束ねる将ともなるとやはり侮ることは出来ないと警戒しつつ、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)もこの前哨戦が大事だと心得ていた。
「ああ、流石に俊足の英雄と呼ばれているだけあってアキレウスの配下も機動力に長けているようだね」
戦車部隊の動きをつぶさに観察していた八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)は、左目にかけたモノクルを押しあげてから不敵に微笑む。
「……それならば、その長所を潰して殲滅するとしようか」
彼女は神算軍師。三度の飯より戦いが好きな戦闘狂系軍師なのだ。
「やつらの機動力を奪う……いわば足止めの軍略だよ」
「ああ、それは俺も考えていた。突撃したところで、急には止まれないだろうからな」
葵漆の言葉に誠司も頷く。
「だが、一度にあれだけの戦車がまとめて突撃してくると厄介だ。俺が囮となっていくらかの敵を誘導しよう」
「ああ、同時に大勢を相手にしないように、こちらも分かれて包囲網を敷こう」
二人の作戦に、敵の警戒心の強さを利用しようと考えていた實生も誘い出し、機動力を奪う案に頷いて。
「そうだね、統率や隊形を乱せば、こちらが優位に動けると思う」
「その猪突猛進さを利用させてもらおう」
恭弥も同意すれば、颯とイロハも作戦を理解して大きく頷く。
「はい、あの戦車……人力、亜人力? とは思えない速度ですから、誘い込んでしまいましょう」
「ああ、タイミングは合わせるよ」
そうして『ゴブリン戦車』の機動力を奪う戦いが始まった。
「さあ、その戦車で踊ってもらおうか」
戦車部隊のひとつに目をつけた誠司は、少し離れた場所にあらかじめパラドクスで罠を仕込んでおいた。
そうして自らを囮としてゴブリンたちに見えるように姿を現し、その存在に気づかせる。
「おい、ディアボロスがいるぞ!」
「なんだ男か。轢き殺してしまえ!!」
アキレウスの言いつけを守って警戒心を緩めていなかったゴブリンたちはすぐに誠司の存在に気づくと、標的と定め、戦車の向きをこちらへと向ける。
「全軍全速前進!!」
戦車の上に乗っている指揮官と思しきゴブリンが声を上げれば、力自慢の筋肉亜人たちが一斉に戦車を押して向かってくる。
その動きに、誠司はわざとなすすべもなく逃げているような演技をし、戦車たちを罠の上へと誘導する。
「ははは、遅い遅い! 轢き殺してくれるわ!!」
指揮官が高らかに勝ち誇った声を上げる。だが、誠司が仕掛けた罠を戦車部隊が踏んだ瞬間――動くものを凍らせる水が一斉に噴出される。
「なぜ進まん!?」
前方にいた戦車の車輪が罠により凍りつき、動きを止める。後続の戦車も急停止した戦車にぶつかったり、急転回しようとして辺りに混乱が広がる。
「足元注意だ! こうなれば急には止まれないだろう! 突撃したのが命取りってな」
味方には罠の位置がわかるようになっているので、自らは罠を避けた誠司がその惨状を見て口角を上げる。
「手下のゴブリン達にはアキレウスのような咄嗟の判断はできないか」
そこへ、物陰に潜んでいたイロハが合流し、混乱広がる戦車部隊を強襲する。
修道女であるイロハの揺るがぬ信仰によって強化された輝ける星のごとき眩い光が、ゴブリンたちを貫いていく。
「くそっ! 罠か!」
だがなんとか凍結を免れた戦車たちがそれぞれ二人に迫る。
罠を避けた戦車も、【泥濘の地】の効果により移動速度を落としている。ゴブリンたちの全身全霊の力を込めた突撃にも、慌てることなく誠司は後方へと跳び、相手の勢いを殺しながらフェイク・プリドゥエンで防いでダメージを抑える。
「おい、女だぞ!」
「女は轢き殺すのは惜しいが……仕方ない!」
イロハに目をつけた戦車部隊が迫ろうとする中、そうくるだろうと思っていたイロハが逃げるそぶりを見せる。だが、それも罠。
誠司の仕掛けた罠の場所は仲間にはわかる。上手く誘導したイロハが彼らに追いつかれる前に、戦車は動きを鈍らせる。
「もっと力を出せ! 動かすんだ!」
驚異的な怪力で戦車を動かそうとしては、強引に前進させるが、そこへイロハの輝ける星が戦車の車輪部分を撃ち抜いていく。
戦車が機動力を奪われてしまえば末路がどうなるかは亜人でも理解できるだろう。
「命乞いは聞かないよ、君達はもう今まで犯してきた罪をその身で罪を償う時なんだ。……逝くべきは戦場ではなく黄泉路だよ」
美しき修道女はそう言って彼らに引導を渡す。
「敵集団の移動ルートはおそらくこの辺り……」
誠司とイロハとはまた違う部隊を相手にするため、葵漆は軍師らしい観察眼で敵の動きを予測していた。
「さて、その経路に罠を仕込むとして……相手の自信を利用させてもらおうか」
相手は力自慢の怪力亜人。突撃に自信があるからこそ、やわな障害を見れば破壊しにくると読んだのだ。
「罠までの誘導は任せてくれ。……晴彦、行こう」
クダギツネの『晴彦』と共に、狙いを定めた部隊を誘い込むべく恭弥が前線へと動き出した。
「頼んだよ」
頷いた恭弥は油断なく辺りを窺いながら、妖刀『藍雪花染』を抜刀する。
辺りを警戒していた戦車部隊はすぐに恭弥に気づいたので、恭弥も殺気を放つことでこちらへと引きつけておく。
「ディアボロスが来たぞ! 全軍全速前進!!」
血気盛んなゴブリンたちが一斉に向かってくる。
早速一太刀浴びせてやりたいところだが、まずは作戦通り罠のある場所までゴブリン戦車を引きつける。
葵漆が用意した馬防柵のようなものを晴彦とともにくぐり抜け、漆黒の長い髪を揺らし恭弥は跳躍する。
「こんなもの、障害にもならんわ!」
戦車に乗った指揮官が勝ち誇ったように吠えると柵を破壊して戦車部隊は突進。だが、その直後、落とし穴にはまり横転する。
「その速度で突っ込めば、大惨事は免れないね」
計略通り、過信して突っ込んできた戦車を見て、葵漆は軍師の顔で会心の笑みを浮かべる。
その程度ではやられなくても機動力を奪えば、確実に本来の力を発揮できない。
「急に止まれないのも戦車の欠点の一つだ」
目の前で戦車が落ちていく姿を目撃したものの、後続の戦車もわかっていても急には止まれない。そして、ディアボロスとしても、同じように機動力を奪われた戦車部隊へと攻撃の手を緩めるつもりはない。
「移動を封じるのは、古来から有力な軍略さ」
一方、落とし穴を回避した戦車たちへと、恭弥はその前に立ちはだかり、向かって来たものへと瘴気を孕んだ大風を巻き起こし、放つ。
藍雪花染が糧としてその刀身に吸収した哀しみや絶望、後悔の念は無念千万の呪詛となり、相手を蝕んでいく。
「ぐぬぬ、かくなる上は……こうだ!」
魔改造した戦車に毒矢を仕込んでいた戦車部隊は、それを放ちながら突撃してくる。
「そんな細工を施していたなんて……」
機動力を落とした戦車から放たれた矢のダメージを最小限に抑えながら葵漆は唸る。恭弥もまた、想定外の事態にも臨機応援に対応し、体力の消耗を防ぐ。
「その心根、鎌鼬のごとく斬り刻んで見せる」
風と共に相手を圧倒した恭弥が神速の一撃を閃かせ、敵を沈めていった。
颯が九十九奉納物詳録の頁を開き、奉納物の来歴を誦すれば、辺りの草木が集まっていく。
「其は嘗て人喰いの羆を呑みし麦縄の蛇。今ひとたび目を醒まし、その御業を成し給え――」
集まった草木は束ねられ、やがて一本の巨大な蛇綱を形作った。
「實生さん、こちらは準備できました」
同じ敵集団を狙う實生へと報告すれば、敵の様子を確認していた彼は頷いた。
「では、行こうか」
「はい、作戦通り。あまり多くの敵を相手取らないように、ですね。僕が囮になることもできますが……」
「いや、俺が先陣を切るから、水蓮寺さんは相手が混乱した隙に援護を頼むよ」
「わかりました」
先日頼もしくなったと言われたのだから、その信頼に応える働きをしたいと颯は気合を入れなおし、頼りになる背中を見送った。
(「敵は警戒心を強めている……なら」)
狙いをつけた部隊へと、實生は駆け出していき、その姿を亜人たちに視認させるとグラナトゥムを構える。
「ディアボロスか!?」
「アキレウス様の言う通り、警戒していて正解だったな!」
敵の注目を一身に浴びた實生は、ぎりぎりの距離を測ると、挑発する。
「さあ、このままだとお前達は俺のパラドクスに攻撃され放題だけど――その魔改造は飾りかい?」
実際に発砲して、さらに挑発すれば、自慢の戦車を持つ彼らは一も二もなく突撃しようとしてくる。
「なんだと!? お前こそ、轢き殺されてしまえ!!」
突撃してきたのを確認したところで、實生は高い威力と命中率を誇る銃撃をパラドクスで叩き込む。先頭の戦車の車輪を狙い撃った一撃は、機動力を奪うとともに、隊形を乱していく。
「ぐぬ、突撃できん!」
動きを止めた先頭の戦車に、急には止まれない後続の車両がぶつかり、ますます混乱を深める。
「ええい、落ち着け! 一度態勢を立て直すのだ!」
戦車に乗った指揮官が戦車を押す亜人を叱り飛ばすが、すぐには動けそうにない。だが、少しして別の戦車が駆けつけてきたところで、相手の動きをしっかりと観察していた颯がそれらの注意を引く。
「あなた方の機動力は奪いました!」
「あそこだ! あそこに行け!!」
颯を見つけた指揮官が突撃を宣言するが、颯が辺りに潜ませていた巨大な蛇綱が静かに辺りを取り囲んでいた。
「そのまま蹂躙してしまえ!!」
巨大な蛇綱にも怯まず、魔改造を施された戦車の先端には、剣や槍などの武器が無数に取り付けられていて。その鋭利な先端が亜人の怪力で速度を増して迫って来る。
蛇綱は颯を守るように戦車との間に立ちはだかるが、この速度と力では防ぎきれない――そう颯が思った時だった。
グラナトゥムが放った一撃が、戦車の軌道を変える。
前輪が方向を変えたことで、軌道が逸れ、颯への直撃を防ぐことができたのだ。
「ありがとうございます、實生さん! もう少しで雷電彦ごと串刺しになるところでした……」
危機を乗り越え、戦車に相対すれば、速度を落とした戦車は、取り囲んだ蛇綱を乗り越えようとしていて。
「――貪婪たれ、“雷電彦”」
その隙を見逃さず、颯が命じれば、蛇綱の頭部は背後から戦車を丸呑みにする。
蛇が自分よりも大きな獲物を丸呑みにするのは自然界ではよくあることだ。だが、その衝撃的な光景に驚いたのは敵だけではなかった。
「せ、戦車も呑み込んだんですか? あれを?」
かつて羆から邑を救った麦縄の蛇の御業だとしても、戦車まで呑み込む荒業に颯は驚いてしまう。
「頼もしいね」
そう声をかけながら實生もまた機動力を奪った敵を一体一体沈めていく。
敵も機動力を奪われながらも魔改造戦車から毒矢を放つなど果敢に攻撃をしかけるが、グラナトゥムが得ている忘れじの徽章の加護でダメージを最小限に防いでいく。
颯の蛇綱もその巨体で戦車を締めあげたり、丸呑みしたりと混乱した部隊で次々と戦果を上げるのだった。
そうして各々が相手の機動力と統率を奪い、戦車部隊に甚大なダメージを与えて続け、そろそろ潮時だろうかと、戦果を報告するために集合した時だった。
戦場に雷光が駆け抜けた。
それを前もって視認することはディアボロスでも不可能だった。
雷光は圧倒的な速度で縦横無尽に戦場を駆け回り――気がついた時には、全身を雷撃で覆った駿足の英雄が目の前に現れていたのだ。
「ずいぶんと派手に暴れてくれたものだ。だがこれ以上、ディアボロスに好き勝手させる訳にはいかない」
全身に纏った雷撃は、彼の脚部から放たれているようだった。そして手にした槍は油断なくディアボロスたちに向けられている。
――あの速度で突撃し、最後には串刺しにできるのだと言わんばかりに。
「彼らの英雄が戻ってくる前に……と思っていましたが、やはり駿足の英雄。待ってはくれませんでしたか」
ジェネラル級の持つ存在感にやや気圧されそうになりながら、颯が呟く。
「やはり侮れない存在……駿足の英雄の名は伊達じゃないね」
イロハもその駿足を目の当たりにし、背中に冷たい汗が伝うのを感じていた。
彼はディアボロスの足止めをするために動いている。これ以上の被害は許さないと、自ら戦場に現れたのだろう。それは、ここにいるディアボロスたちが十分な戦果を上げたことの証明に他ならない。
「これ以上邪魔をするなら……この俺が全て、なぎはらってくれる」
全身を覆う雷撃とともに一気に強力な殺気が膨れ上がる。
「ここは撤退するのが一番の策のようだね……」
葵漆が出した結論はこれだ。だが駿足の英雄相手に逃げおおせるか。
「これ以上邪魔をするなら、と言ったね? なら……」
葵漆は目線で仲間に合図を送る。撤退の意図を汲んだディアボロスたちが、じわり、と後退していく。
念のため、絡繰り兵器の足止め用トリモチを準備してはいるが、駿足相手にどこまで通用するか。
「退き際をわきまえているようだな」
アキレウスとしてもこれ以上部隊の消耗を避けたいという気持ちがあったのだろう。
その心を読んだ葵漆の声掛けが有効に働いたようだ。ならば下手に応戦せず、速やかに撤退するまでだ。
「行くぞ」
盾であるフェイク・プリドゥエンをジェットボードにして乗った誠司が、最後まで残った葵漆へと手を伸ばす。本来一人乗りではあるが、少しぐらいならなんとかなるだろう。
「これは前哨戦……無理は禁物だ」
仲間たちとともに撤退を果たした恭弥は次の目標を見据える。
戦果は十分。ならば次の目標は新宿島を護り抜き、イスカンダルの地を奪還すること。
そこに困難が待ち受けていようとも、必ず成し遂げるのだ。
目の当たりにした駿足の英雄の力を侮ることはできない。けれど。
「機動力は強力な武器となる――だとしても。追い縋り喰らい付くのが俺達ディアボロスだ」
實生の力強い言葉に、皆が大きく頷くのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!