【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】蹂躙のインペリウム(作者 坂本ピエロギ
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#蹂躙戦記イスカンダル  #【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】イタリア半島再蹂躙軍  #蹂躙戦記イスカンダル奪還戦  #⑯起源王ロームルス 

『兵士たちよ。ついに、かの半島を再蹂躙する時が来た!』
 蹂躙戦記イスカンダル、イタリア半島を望む海岸。
 その地に用意された港湾拠点にて、トループス級の大軍勢を前に『起源王ロームルス』の檄が飛ぶ。
 長き念願の地であったローマを手に入れる――そんな彼の野望は今、まさに最終段階を迎えようとしているのだ。
『トロイアホースが到着次第、我らはイタリア半島に向けて出発する。レムスらの無念を晴らすためにも、敗北は許されんと心得よ』
 そう告げる彼の心に、油断は一片たりとも存在しない。
 この作戦を邪魔せんと現れるであろう復讐者たち。その存在を、彼は織り込んだうえで動いていた。
『憎きディアボロスどもに、目的を達させる訳には行かぬ。周囲の警戒を厳重にし、襲撃に備えるのだ!』
 全ては、イタリア半島を再び手中に収めるために。
 かくしてロームルスが下した命令を拝命し、『トロル兵団』銀楯隊の一団は港湾拠点の警戒に向かうのであった。

●新宿駅グランドターミナル
「お疲れ様。皆のお陰で、ファーストアタックは順調に進んでいるよ!」
 集合した復讐者たちを前に、リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は笑顔を浮かべて告げた。
 ディアボロス・ウォーまで残りあと数日。亜人の王たるイスカンダル大王との決戦は、既に目前に迫っている。
 それまでに敵勢力を削れば削る程、当日の戦いは有利となるだろう。今回リュカが案内するのも、そんな作戦の一つだ。

「皆に向かって欲しいのは、『起源王ロームルス』の軍勢だよ」
 かつて《七曜の戦》において蹂躙戦記イスカンダルが強奪した南イタリア地域。そこで生まれたジェネラル級亜人であり伝説のローマ王の名を騙る彼は、今回の戦いでイタリア半島を再び蹂躙・強奪せんと目論んでいるという。
 彼が望みを果たせば、後々の脅威となり得る可能性は高い。罪なき人々は当然のように蹂躙され、亜人の資源として使い尽くされるだろう。
「もちろん、そんな真似を許す訳にはいかない。奪還戦で彼をやっつける為にも、確実に兵力を削いでおきたいんだ」
 戦場となるのは港湾部の拠点で、一帯は『トロル兵団』銀盾隊の一団が警戒を行っている。
 彼らを可能な限り撃破し、応援部隊が現れる前に戦場を離脱――以上が作戦の流れだと告げて、リュカは説明を終えた。

 蹂躙戦記イスカンダルが劣勢であることは、もはや明らかだ。
 ゼウスの雷を始めとするオリンポスの遺産――絶大な威力と、一度限りの使い切りという必殺兵器の使用も、彼らが追い詰められている何よりの証左と言えよう。
 言い換えるなら、これはイスカンダル大王ら亜人勢力を根絶する千載一遇の好機。逃す訳には行かない。
「亜人を確実に撃破して、再起の芽を潰すためにも……皆、頑張ろうね!」
 開幕の刻が着々と迫る、蹂躙戦記イスカンダル奪還戦。
 その戦いを勝利で飾るため、リュカのパラドクストレインが復讐者たちを乗せて走り出す。
 『起源王ロームルス』と彼の軍勢が待つ地、イタリア半島を望む港湾拠点を目指して――。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。

効果2

【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ドレイン】LV1

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。
 こちらは蹂躙戦記イスカンダル奪還戦「⑯起源王ロームルス」のFAシナリオとなります。
 イタリア半島を狙うロームルスの軍勢に襲撃を仕掛け、敵戦力を削り取って下さい。

🌍目的地🌍
 海岸の港湾拠点(蹂躙戦記イスカンダル)

✏概要✏
 本作戦の目標は、港湾拠点に展開する亜人勢力への襲撃です。
 敵戦力は膨大で、戦場に留まり過ぎると返り討ちに遭うリスクが発生します。ある程度の敵を撃破した後は、頃合いを見計らって離脱を行って下さい。
 シナリオが成功で完結すると、「⑯起源王ロームルス」の敵残存率を5%低下させることが出来ます。

 執筆は8/12の8:30より開始。
 なお12日時点で必要な参加人数に満たない場合は、人数が揃った時点で執筆を開始します。
 参加者が非常に多い場合、状況によっては採用出来ないプレイングが出る場合がありますので、予めご了承ください。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
74

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


咲・小次郎
「成程ねぇ
「斬り合いに特化したってとこかぁ?
「面白い身体をしてるもんだ
「そんじゃあ
「どこまで斬れずにいられるか
「巻藁の代わりにでもなってみるかい!
「『人裂小次郎』
「罷り通るってなぁ!
(へらへらと笑いながら
(身の丈を超える大太刀を振り回し
(相手の怪力の一撃を
(引き付けたうえで受け流し
(反撃の刀により
(筋肉と筋肉の間
(すなわち関節を狙い
(両断します
(相手の肉の隙間を探し
(ひたすらに斬り裂き続けます
(相手の集団戦に持ち込ませないよう
(高速で戦場を駆け抜けます
(連携及び臨機応変な動きを所望します


諷和・もこ
※アドリブ・連携、大歓迎なんだよ!

いすかんだるさん…確か、蝋の羽根で太陽に向かって飛んでった人だっけ?(※イカロスです)
戦争を少しでも有利に進められるように、がんばって敵さんを倒すんだよ!(フンス)

トロルさんたち、すっごく警戒してるみたい
そんな時は…センテヒッショー!
タイミングを見計らって
盾でも筋肉でも防ぎきれないくらいの勢いと質量で一気に駆け抜けちゃう!
羊さん達の足音でホーコー?も聞こえなくできるし
ビックリさせてトロールさん達のカクランも出来ちゃうんだよ

反撃や攻撃が来たら
ダッシュやフェイント等、使えるスキルを駆使してかわすんだよ

ある程度数を減らせたら撤退てったーい!
周りの皆に合図しながら
道すがらの遮蔽物を【建造物分解】して目くらまししながら逃げるんだよ
戦争前にケガしちゃったら困るもんね

羊さんに乗りたい人は乗せてあげるんだよ


 対岸にイタリア半島を望む海岸は、物々しい空気で満ちていた。
 周囲に設けられた港湾拠点、その一帯に展開するのは『トロル兵団』銀楯隊の群れ。
 彼らは今、『起源王ロームルス』の命令に従い、復讐者の襲撃に備えて警戒を行っている最中なのであった――。

「で、そんな亜人どもを斬り捨てるのが、ぼくらの仕事ってわけだ」
 拠点のトロルたちを遠巻きに観察し、咲・小次郎(人裂小次郎・g08511)は呟いた。
 今回の奪還戦でファーストアタックに幾度も参加している小次郎だが、こうした戦いは大いに好みだ。大勢の敵を片っ端から斬り捨てる――そんな戦いを前に、彼の血は大いに滾る。
 ここからは一気に襲撃をかけ、撤退の頃合いまで戦い続けるのみ。愛用の太刀『人吊竿』を手に準備を整えると、小次郎
は諷和・もこ(ふわもこうとうと・g01739)に合図を送った。
「こっちは、いつでも行ける。トロルどもを派手に蹴散らしてやろう」
「戦争を少しでも有利に進められるように、がんばって敵さんを倒すんだよ。よろしくなんだよ!」
 フンスと鼻を鳴らし、同じく襲撃準備を終えるもこ。
 対する港湾拠点のトロルたちは、今なお警戒を怠らずに周囲を見回っている。彼らにとって、復讐者の襲撃は想定された事態なのだろう。
 油断を誘っての奇襲は不可能。故に、もこが選んだ手段は一つだった。即ち、
「こんな時は……センテヒッショー! 盾でも筋肉でも防ぎきれないくらいの勢いで、一気に駆け抜けちゃうよ!」
「いいねぇ。暴れて、斬って、ロームルスの軍勢をかき回してやろう!」
 正面からの全力攻撃という、清々しいまでの正攻法。この状況では、それが確実と判断したのだ。
 かくして突入・撤退ルートの共有を済ませ、もこと小次郎は動き出す。
 襲撃、撃破、撤退――ファーストアタックにおいて重要な一連の流れを、二人が見誤ることは無い。
「それじゃ……れっつごー、なんだよ!」
 これより始まる戦いを前に、もこは深呼吸をひとつ。
 トロル兵団が展開する港湾拠点へ、先陣を切って突っ込んでいった。

 襲撃は、迅速に行われた。
 先頭のもこは港湾拠点に突入すると、前方のトロル兵団めがけ更に疾駆。問答無用とばかりパラドクスを発動する。
「いっくよー! 邪魔するなら、ぺっしゃんこなんだよ!」
『む……? 敵襲だ!』『ディアボロス、やはり来たな!』
 もこらの襲撃に驚いたのも束の間、トロル兵団はすぐさま意識を戦闘に切り替えた。
 剣と盾を武器に陣形を組み、復讐者の迎撃に移るトロルたち。
 だが、その動きは少々遅かったと言えよう。もこが発動したパラドクスは、既に彼らを捉えた後だ。
「ふふーん、あくびがでちゃうんだよ! 羊さん羊さん、こっちなんだよー!」
『くく、何を馬鹿なことを……っ!?』
 剣を構えたトロルの嘲笑が、しかし次の瞬間に凍り付いた。
 彼が狙うもこの背後、地響きを立てて迫る羊の群れ。それが一頭残らず、自分たちの隊列に迫っていると気づいたのだ。
 防御など試みる暇もない。羊型妖精たちはもこもこの波濤となって、瞬く間にトロルたちを呑み込んでいく。
『ぎゃあ!』『ぐえっ!』『く、くそっ! 何だこいつら……があっ!』
 見た目は愛くるしい羊たちだが、その威力は決して侮れない。
 ダメージアップを秘めた突撃に飲み込まれ、瞬く間に踏み潰されていくトロルの群れ。負けじとトロルたちも隊列を維持しながら、咆哮を上げて突撃を開始した。
『怯むな! イスカンダル様のため、ロームルス様のため、死力を尽くして戦うのだ!』
「いすかんだるさん……確か、蝋の羽根で太陽に向かって飛んでった人だっけ?」
『な、何だと? ぐぉぉ!』
 もこの言葉に首を傾げたトロルを、次の瞬間、羊が容赦なく踏み潰す。
 先手を取ったもこの攻撃によって、亜人たちの足並みは早くも乱れ始めている様子だ。
 一方のもこは、指揮するもこもこ羊の背中に跨りながら、思い出したようにぽんと手を打って笑う。
「……あっ、そうだ。蝋の羽根はいかろすさんだった!」
『訳の分からんことを! 死ねぇ!』
「余所見してる余裕があるのかい? 『人裂小次郎』、罷り通るってなぁ!」
 敵の反撃を凌ぎながら、ぽんと手を打って笑うもこ。
 即座に斬りかからんとするトロルへ、太刀を浴びせにかかる小次郎。
 羊とトロル、そして復讐者たち――地響きと絶叫が飛び交う戦場は、いよいよ混沌の様相を帯びていく。

 初手の突撃で敵陣を乱し、孤立した寡勢を各個撃破。
 もこの羊たちの突撃で幕を開けた戦いは、復讐者が描いた流れで順調に進んでいた。
「羊さん羊さん、れっつごーなんだよ!」
『く、くそっ! 怯むな!』
 トロル兵団は次第に数を減らしながらも、銀楯と剣を頼りに熾烈な抵抗を続けている。
 一方の小次郎は戦場を駆けながら、孤立した個体を逃さずに斬り捨てつつ、同時にトロルたちの観察も怠らない。
 敵は鍛え抜かれた筋肉と防具で守りを高め、力で圧殺するタイプのようだ。そんな彼らへ小次郎が浮かべるのは、飄々とした笑み。
 斬るべきものを見出した、それは人斬りの顔であった。
「そんじゃあ……どこまで斬れずにいられるか、巻藁の代わりにでもなってみるかい!」
『やらせるかよぉ! くらえ、アスピダの剣陣!!』
 相手にとって不足はないとばかり、対峙するトロルが剣を構えて小次郎に迫る。
 だが次の刹那には、標的である小次郎は太刀を構え、トロルの懐へ肉薄を終えていた。絶妙の間合いから放たれる太刀に構わず、亜人の剣が一息で振り下ろされる。
『ぬおおおおおっ!!』
「瞬きより速く、疾く――これが必殺の一撃だ」
 瞬間、戦場に散るのは剣戟の光。
 亜人の刃を引きつけて放つ『鍔眼返し・空破』のパラドクスが、小次郎が乗せたダメージアップの力を帯びて、鋭い一閃となってトロルの巨体へ吸い込まれていく。そして――。
『ぐ、おぉ……!』
 首筋を斬られたトロルは赤い血潮を噴出させながら、呻き声を残して絶命する。
 次の瞬間には地面を蹴って戦場を再び駆け始めた小次郎は、しばし周囲を見回した後、もこへ合図を送った。
「そろそろ頃合いだ。後続の仲間に任せて、撤退しようぜぇ!」
「おっけーなんだよ! 戦争前にケガしちゃったら、困るもんね!」
 もこと小次郎の攻撃で、トロル兵団の部隊は今や大混乱に陥っている状況だ。
 未だ戦場に残る敵も、駆け付ける仲間たちが問題なく撃破してくれるだろう。完全勝利への道程を築いた手応えを胸に、もこは再び先陣を切って離脱していく。
「撤退てったーい! 後はよろしく、なんだよ!」
 程なくして離脱を終えた後、もこの前方から走って来るのは新たな復讐者たち。
 救援機動力で現れた応援に合図を送り、もこは小次郎と共に、彼らへ戦いのバトンを託すのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!

ゼキ・レヴニ
ローマにいねえロームルスなんざカッコがつかねえってかい
秘策のトロイアホースも見っかっちまって、それでもでっかい野望は放せないようだが
再侵略なんてさせてやるワケがねえ、ここで痛い目見てもらうとすっか

接敵までは遮蔽に隠れて移動し、味方とタイミング合わせて攻撃を仕掛けるぜ
敵はやたら硬え筋肉集団のようだが、内臓まで筋肉が詰まってるワケじゃあるまい
金属塊『躯』を杖の形に展開
強力な電磁波を放出し、肉体の内側から破壊してやる
同時に【ドレイン】で己の傷を塞ぎ、一秒でも長く戦場に立ち続ける
簡単にくたばったら、あの世で医者に殺されちまうからよ!

しかし奴ら、亜人にしちゃ軍隊らしい動きをしやがる
陣形を組まれちゃ厄介だ
敵を分散させるために味方と別方向から攻め
電磁波を放出する方向を絞り、攻めの陣形の先鋒や、守りの陣形の中央の敵を攻撃して陣に穴を空けさせる
陣形が一瞬でも崩れたなら、その隙に司令役や弱ってる敵を優先して撃破を狙う
他に応援を呼びに行く兵が居れば妨害、最優先で仕留めたい

充分数を仕留めたら不利になる前に撤退だ


ルーシド・アスィーム
アドリブ、連携歓迎

神々に連なる英雄が名を瀆すに留まらず、再び蹂躙すると?……片割れの首では足りないようですね
良いでしょう、先ずは兵に冥界の沙汰を降します

紡ぐは【バステトの託宣】
ーー女神が託宣である、罪人よ、己を抉り死へと至れ
その大剣であれば己の瞳を潰し、脳に至る傷を作ることも、腹を抉り内臓を潰す事も可能でしょう

せめてもの慈悲です、死に際を選ぶ名誉を与えます。同胞らに見せつける様に自決なさい

積み重ねた鬼畜の所業で平穏な末期など赦されようがない
貴方達がいなければ娼婦を強いられ、壁に埋められる民はいなかった……卑しき貴方達に呪いあれ
『呪詛』を込めた『精神攻撃』を狙った物言いが、相手を掻き乱せるのなら良いのですが

深追いし過ぎず、ある程度兵を潰したら『風使い』魔術で『吹き飛ばし』、又は四肢を『捕縛』し隙を作りながら『ダッシュ』で撤退
併せてサディークにも『斬撃』で牽制して貰います

僕がイスカンダル攻略を重視した理由は只一つ
無辜の命を蹂躙させない為
その為なら、文字通りの血路など幾らでも築いて差し上げます


「おーおー、ありゃ凄い。蜂の巣を突いた騒ぎ……ってやつだな」
 混乱に包まれた港湾拠点の様子に、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)はそう呟いた。
 先行した仲間たちの襲撃で敵が受けた被害は、想像以上に大きいらしい。サイドの戦闘態勢を整えるのに、トロルたちは必死の様子である。
「まあ勿論、そんな真似は許さねえがな。ルーシド、準備はいいか?」
「いつでも。頑張りましょう、ゼキさん」
 ジンのサディークを連れたルーシド・アスィーム(轍つ祈星・g01854)は頷きを一つ、戦場へと駆け出した。
 ルーシドが先んじて敵陣を襲撃し、潜伏したゼキが追撃する――それが作戦の流れである。港への潜入も、戦場が混乱の最中にある今なら難しくないだろう。亜人たちを統率するジェネラル級亜人『起源王ロームルス』の存在に注意しながら、二人は疾駆の速度を上げていく。
「ローマにいねえロームルスなんざ、カッコがつかねえってかい。秘策の木馬も見っかっちまって、それでもでっかい野望は放せないようだが……」
「ええ、どうやら片割れの首では足りないと見えます。ローマ建国の英雄を騙るに留まらず、再び蹂躙を望むとは……」
 イタリア掌握の野心を抱くロームルスへの怒りを胸に、ゼキとルーシドは言葉を交わし合う。
 並行して進むトロイアホースの作戦は、じきに復讐者の勝利で終わる筈だ。イオニア諸島の制圧も完了している今、かの起源王は着々と追い詰められつつある。
 とは言え、状況は予断を許さない。ここで詰めを誤らぬよう、二人は改めて気を引き締めた。
「再侵略なんてさせてやるワケがねえ、ここで痛い目見てもらうとすっか。……じゃ、ソッチは頼んだぜ」
「お任せを。先ずは亜人の兵どもに、冥界の沙汰を降しましょう」
 かくしてゼキと別れたルーシドは、急ぎ戦場へと飛び込んでいく。
 いまだ混乱収まらぬ港湾拠点、その地に居座るトロルどもの排除を以て、ロームルス撃破の一助とするために。

「さて、ここからは時間との戦。参りましょう、サディーク」
 ルーシドは戦場に踏み込むと、彼のジンを連れて敵群へ向かっていく。
 混乱の最中にあるトロルたちだが、それでも幾体かは襲撃を察知したらしい。剣と盾を得物に、すぐさまルーシドを迎撃せんと立ちはだかる。
『ちっ、また来やがったか!』『守りの構えを取れ!』
「――女神が託宣である、罪人よ、己を抉り死へと至れ」
 対するルーシドは、陣形を組み始めたトロルへ『バステトの託宣』を発動。パラドクスの神言を紡ぎ出した。
 女神バステトの力を顕現させて放つ神聖魔術が、トロルたちの悪しき魂を縛り付ける。続けざまにルーシドが下すのは、厳かな死の命令だ。
「せめてもの慈悲です、死に際を選ぶ名誉を与えます。同胞らに見せつける様に自決なさい」
『な、何を言ってやが……ぐおおおぉぉ!』『た、助けっ、ぎゃああああ!!』
 たちまち戦場に満ちる、トロルたちの悲鳴と絶叫。
 臓腑を破壊される苦痛に顔を歪め、吐き出す血反吐で地面を染めて、トロルたちが無残な屍の山を積み上げていく。
 狙いを免れた敵は、怒りを露わに得物の銀楯でルーシドを殴りつけた。頑強な肉体に任せた反撃は、多少の傷こそ与えたものの、深手には到底至らない。涼しい表情を保ったまま、ルーシドは彼のジンに目配せを送った。
「そろそろ頃合いでしょう。サディーク!」
 同時、戦場に甲高い風の音が木霊する。
 笛の音色に似たそれは、攻撃の好機到来を告げる合図。
 果たして次の瞬間、ルーシドの意思に応えるようにゼキが物陰から飛び出した。場所は、トロルたちの背後である。
「よう亜人ども。年貢の納め時だ、覚悟しな!」
『新手……!? くそ、動ける奴らは集まれ、急ぎ陣形を――』
「組ませやしねェよ、馬鹿野郎。まとめて吹き飛んじまえ!」
 ゼキが天高く手を掲げ、手に収めた金属塊『躯』を杖の形に展開。
 次の刹那、杖から放たれる電磁波が、パラドクスを帯びて敵群を包み込む。
 狙うのは、戦闘で瀕死となった個体だ。数を減らすことを優先したゼキの攻撃に、亜人の断末魔が折り重なって響く。
『がっ、ぎゃあああ!』『うごおぉっ!!』
「よし、このまま一気に攻め抜くぞ!」
 戦いの流れを掌握し、ゼキがルーシドに合図を返す。
 後はただ、撤退の時まで戦い抜くのみ。
 かくして二人の復讐者はトロル兵団を挟撃する位置を確保すると、更なる攻勢を浴びせていった。

『応援はまだか!?』『く、持ちこたえろ! ――があぁっ!!』
「無駄ですよ。積み重ねた鬼畜の所業で、平穏な末期など赦されようがない」
 奇襲からの挟撃に曝された亜人たちは、いまや壊滅寸前に陥りつつあった。
 ルーシドが神言を紡ぐたび、攻撃を浴びたトロルたちが肉塊となって転がっていく。
 ある者は混乱し、ある者は苦痛に呻き、もはや敵は真面な迎撃も叶わぬ状況だ。しかし――その光景を見て、ルーシドが加減をすることはない。
 何故なら、彼は知っている。
 このトロルたちを始め、亜人たちは蹂躙という形で無辜の民に同じ振舞いを行って来たのだ。彼らの死は、いわば自らが招いたもの。である以上、彼がすべきことは一つしかない。
「亜人は、悉く抹殺するのみ。卑しき貴方たちに呪いあれ」
 亜人たちを淡々と肉塊に変えつつも、ルーシドの心は未だ冷静だった。
 ゼキと仕掛けた挟撃で、トロルたちは全滅寸前だ。後は最後の攻撃を仕掛け、増援の到達前に撤退するのみ。ルーシドは敵への圧力を強めながら、反対側に陣取るゼキへと合図を送る。
「ゼキさん、大事ありませんか!」
「ああ、問題ねえさ。簡単にくたばったら、あの世で医者に殺されちまうからよ!」
 不敵な笑みを浮かべながら、ゼキは手に握る杖を振って応じた。
 幾度かに及ぶ戦闘で負ったダメージは、ドレインの効果もあって未だ大きな傷には至らず、戦闘に集中できる状態だ。
 今は、最後の攻勢に集中する時。僅かに残る敵へ『命脈の捌』を発動すると同時、衛生兵の記憶で杖に変じた躯が強烈な電磁波を放射していく。
「――死んだら殺すなんて、奴によく脅されたモンだ」
『ぐぐ……ぎゃあぁっ!!』
 ゼキは僅かに残るトロルたちを見据え、苦笑と共に電磁波の威力を一層強めた。
 いかに頑健な筋肉を誇ろうとも、その内臓までは鍛えられない。電磁波を浴びた亜人たちは全身の血液を沸騰させ、内臓を破壊される苦悶にのたうち回り、一体残らず息絶えていった。

「戦果は充分だ。撤退の潮時だな」
「ええ、無茶は禁物です。急ぎましょう!」
 かくしてトロル兵団を一掃すると、ゼキとルーシドは戦場を後にした。
 激戦の騒ぎが伝わったのか、すでに拠点の奥からは援軍と思しき亜人たちの足音が響いてきている。これ以上の深追いが危険となった今、二人が判断を迷うことは無い。程なくして二人は安全地帯に到達すると、安堵の吐息と共に作戦の成功を噛み締めた。
 今回の勝利は、ロームルスを討つ上で大きな助けとなったことだろう。
 蹂躙戦記を巡る激戦が未だ続く中、ルーシドの心は既に次なる戦場へと向かっていた。これ以上、無辜の命が蹂躙されることのない未来――その日を迎えるまで、走り続ける覚悟だった。
「……文字通りの血路など幾らでも築いて差し上げます。さあ皆さん、帰還しましょう」
 一つの戦いを終え、新たな戦いの地へ赴く為に。
 四人の復讐者たちが紡ぎしイスカンダル奪還戦の一つは、こうして幕を下ろすのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【現の夢】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年08月12日

【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】イタリア半島再蹂躙軍

 このシナリオは【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 蹂躙戦記イスカンダルのジェネラル級及び、パキスタン、アフガニスタンを強奪しようとしている『蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ』、亜人の配下となっている『TOKYOエゼキエル戦争の大天使とアークデーモン』の軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。

 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、【起源王ロームルス】の軍勢です。
 『起源王ロームルス』は、《七曜の戦》で蹂躙戦記イスカダルが強奪した南イタリア地域で生まれたジェネラル級亜人で、伝説のローマ王の名を名乗り、イタリア半島を蹂躙・強奪し、ローマの王となろうとしています。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑯起源王ロームルス」の敵残存率を低下させます。


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#蹂躙戦記イスカンダル
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#【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】イタリア半島再蹂躙軍
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#蹂躙戦記イスカンダル奪還戦
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#⑯起源王ロームルス


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選択肢👾奪還戦ファーストアタック『『トロル兵団』銀楯隊』のルール

 奪還戦直前のファーストアタックで、敵ジェネラル級の戦場に攻撃を仕掛けます。
 この戦闘に勝利する事で、奪還戦時の敵残存率を減少させることが出来ます。
 敵は軍団規模の戦力である為、ある程度戦って敵戦力を削った後は、頃合いを見て撤退してください。
 状況によっては、敵ジェネラル級と遭遇する場合もありますが、この戦闘で、ジェネラル級を撃破する事は不可能です。
 ジェネラル級も深追いはしてこないので、速やかに撤退すれば、逃げ切ることが出来る筈です。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。