【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】クレタ迷宮攻略戦

 このシナリオは【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 蹂躙戦記イスカンダルのジェネラル級及び、パキスタン、アフガニスタンを強奪しようとしている『蛇亀宇宙リグ・ヴェーダ』、亜人の配下となっている『TOKYOエゼキエル戦争の大天使とアークデーモン』の軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。

 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、【⑫銀楯将アンティゲネス】の軍勢です。
 『銀楯将アンティゲネス』は、亜人軍勢の一大勢力『銀楯隊』の将軍であり、ギリシャ南部の要衝『クレタ島』の守護を任されています。
 クレタ島は迷宮によって守られており、迷宮の地図が無ければ、攻略に手間取ってしまうかもしれません。
 敵を撃破すると共に、迷宮のマッピングも行ってください。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑫銀楯将アンティゲネス」の敵残存率を低下させます。
「成功したシナリオ数」が5以上となった場合、「⑫銀楯将アンティゲネス」の迷宮の効果が打ち消されます。

【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】暗き迷宮に光りを灯せ(作者 えむむーん
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●迷宮の奥『牛』は潜む
 固い石壁に挟まれた通路は、それが何の変哲もない造りであるにも関わらず、実際以上に視覚的心理的に狭さと息苦しさを感じさせる。灯りの届かぬ通路の先は闇に沈み、一歩踏み込めば奈落の底に落ちてしまいそうな不安感を与える。
 ここはクレタ島の迷宮。複雑怪奇に入り組んだ迷路は大規模な行軍を妨害し、戦力を分散させる。侵略と蹂躙こそを是とし、逆に防衛を苦手とする亜人にとって、防衛に特化したこの迷宮地形は非常に強力な防衛拠点を担っている。
 迷宮に潜むのは亜人だけではない。広間の隠し扉の向こう、曲がりくねった通路の先の死角、落とし穴の底……そこかしこに配置され、侵入者を検知次第襲い掛かるように設定された、黄金の牛の姿をしたゴーレム兵器群も、己が出番を今か今かと待ち構えている。

●迷宮を探索せよ
 新宿駅グランドターミナル。出現したパラドクストレインの元に集ったディアボロス達を前に、真月・真心(道産子田舎娘・g03219)は頭を下げる。
「遂に、蹂躙戦記イスカンダルの奪還戦を告げる碑文が発見されました。それに伴い、ファーストアタックのためのパラドクストレインが運行されます。こちらはクレタ島行きとなります」
 ギリシャ南部の要衝『クレタ島』。ここは亜人軍政の一大勢力『銀盾隊』の将軍である『銀盾将アンティゲネス』が守護を任されている。
「アンティゲネス自身の実力も然る物ですが、クレタ島には迷宮が存在し、これが強力な防衛拠点として機能しています」
 ディアボロスであってもその攻略には手間取り、肝心の戦いで実力を発揮しきれなくなるだろう、と真心は告げる。
「……ですので、奪還戦開始前、ファーストアタックで敵戦力を減らしつつ『マッピング』をしてしまいましょう」
 幸いにも迷宮は入り直して形が変わる、等という事は無いようだ。一度迷宮を攻略しその構造を明らかにしてしまえば、手間取ることなく戦いに挑むことが出来るだろう。

「蹂躙戦記イスカンダルは、隣接するディヴィジョンを滅ぼすごとに、繁殖により戦力を飛躍的に増大させる事から、状況によっては、アルタン・ウルクを越える脅威となる勢力です」
 断片の王を打倒し大地を奪還できたとしても、打ち漏らした亜人が別のディヴィジョンに漂着すれば、そこから再び勢力を拡大してしまえる可能性がある。
「迷宮の中に潜む敵も確実に倒すために、闇に閉ざされた迷宮を暴いてきてください。どうかよろしくお願いします」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

えむむーん
 閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。

●シナリオの概要
 集団戦一つのみの選択肢となります。
 迷宮の中に設置された牛型ゴーレム兵器『自走式ファラリスの雄牛』の大群と戦い、その数を減らしてきてください。
 雄牛は迷宮の隠し扉や死角になる位置に設置され、近づいてきた侵入者に不意打ちをするように設定されているようです。
 不意を突かれないように気を付けつつ雄牛を蹴散らし、迷宮をマッピングしてきてください。
 マッピングは特にプレイングに記述しなくても、採用された時点で行っていると判定させていただきます。
 よほど無茶をしない限りは撤退は作戦を練らなくても問題無くできます。どのような戦い方で挑むか、数多く倒すにはどう行動するかに注力されるとよいかと思います。

 それでは、皆さまのプレイングをお待ちしております。よろしくお願いいたします!
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ヴェルチ・アリ
よぉし燃やすかぁ。ついでにウチの炎なら、この迷宮を明るくしながらやっていける。迷宮なら、蝋燭とかあれば雰囲気あるんだけど。さてどうなるやら。

【火炎使い】を使い、相手を上回る火炎で焼き払い、燃やし尽くす。
【スーパーGPS】を使い、自分のいる場所を常に把握し、マッピングを進める。


折角の迷宮なら、どこかしこに宝箱でもあればいいんだけど…ないか。ないよね。知ってた。逆に言えば、味方にさえ気を付ければ、容赦なく殴り…じゃない、炙り出し探知が出来るってことだ。


隠し扉になりそうな場所、死角になる場所は、こちらから念入りに炎を投げ飛ばして確認してから進む。


折角の黄金っぽいのに持ち帰れなさそうだもんなぁ!しかもほっとくとやたら危険だし!
しょうがない、一切合切、塵も残らず、焼き消し飛ばす!

厳しくなったりしたら、無理せず撤退。

アドリブ、絡みを歓迎します。


●熱を食む焔
「折角の迷宮なら、どこかしこに宝箱でもあればいいんだけど……ないか。ないよね。知ってた」
 カツカツと石造りの床を歩きながらヴェルチ・アリ(GE-■■・SOL■■×××・g03614)は軽くため息をつく。ここまでの道のりで作り上げてきた迷宮のマップ。分かれ道や行き止まりなど細かく記されたそれには、特に発見物の書き込みは無い。
 あくまで敵を侵入させ撃退する防衛拠点として使用されている迷宮、敵にみすみす宝をくれてやるような事はないようだった。
「逆に言えば、味方にさえ気を付ければ、容赦なく殴り……じゃない、炙り出し探知ができるってことだ」
 ヴェルチはぐっとゴーグルを降ろすと、不敵な笑みを浮かべる。
「よぉし燃やすかぁ」
 生憎蝋燭のような光源は設置されていない。ならば己の炎で照らすまで、とヴェルチは小型の火炎放射器を構える。引き金を引き噴き出す激しい炎が、赤々と迷宮の石壁を染め上げた。
(「……なーんかあそこ怪しいですよね?」)
 炎に照らされ無骨な石壁の凹凸が露わになる。ヴェルチは眼前の曲がり角の微かな切れ込みに違和感を覚える。火炎放射を続けながら、手慣れた手つきで荷物袋から小瓶を一つ取り出した。
「全てを清めたまえ……それっ!」
 込められた魔力を励起させ小瓶を放り投げる。石壁に叩きつけられた小瓶はあっさりと割れて、仕込まれた燃料が魔力と共に着火。激しい爆発を引き起こす。
 爆音と共に吹き飛んだ隠し扉の向こう側で待ち構えていた雄牛は、奇襲が失敗したことにより行動の変更を選択、燃焼機関を一気に最高温度まで加熱させようとする。ほんの一瞬、僅かな刹那、雄牛の行動変更によって生まれた微かなタイムラグを、ヴェルチは見逃さない。
「偽装展開、ミルザムの黒炎! 奪え、飲み込め、全て焼き熔かせ!」
 其れは、例えるならば日食。黒く昏く燃え盛る火球をヴェルチは生成し、雄牛に向かって叩きつける。一手遅れたが体内の燃焼機関は既に最高温度に達した。黄金の口が開き、甲高い吠え声と共に豪炎が噴き出す。
 黒き火球と豪炎は真向から衝突する軌道を描く。どちらもパラドクスという異能により生み出された現象、従来の炎のような干渉は無く、相手と己どちらも焼くだろう。だが雄牛は慌てる事は無い。感情を持たぬゴーレムであるからはもとより、既に雄牛の燃焼機関はオーバーヒート状態にあり、自身のダメージを前提とした自爆的な大爆発で侵入者を吹き飛ばす算段にあるからだ。
「……ってぇ思ってんでしょうけど!」
 ヴェルチは余裕の表情を崩さない。放たれた黒の火球は襲い来る豪炎に触れて『斬り裂く』。否。まるで斬り裂いたように豪炎の中心を消し去って一直線に突き進む。
 事ここに至って雄牛は初めて困惑する。そして己の計算間違いを知る。敵が放ったパラドクスは単なる燃焼を引き起こす『だけ』のものではない。
 着弾、黄金のボディを撃つ黒火球。次の瞬間金属で出来たボディの全体に大量の水分が噴出する。結露だ。雄牛の金属ボディが一瞬で熱を奪われている。この漆黒の炎は、自身が燃焼するために他から熱量を奪っている!
 焼きつすくために吐き出した炎を、そして自身諸共吹き飛ばすための体内の熱量を、全て喰らい尽くす昏い炎。自爆を前提として敵に与える筈だった全ての破壊力を、黒炎は上乗せして雄牛の身へのダメージとして爆発に転じる。
 雄牛の想定していた自爆の数倍の爆発が、雄牛の隠れていた隠し部屋で炸裂する。迷宮全体を揺るがす程の衝撃の後、濛々と溢れる黒鉛の向こうから、コロコロと黄金の車輪が力無く転がり、ヴェルチの足に当たって倒れた。
「ここにいた奴は倒したみたいですね。それじゃあ続けますか」
 マップに隠し扉を記入し、ヴェルチは探索を再開する。損耗が許容値を超えて撤退するまで、彼は克明に迷宮をつまびらかにし、敵の数を減らしていくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

ヴァネッサ・ダヴー
迷宮に潜むか、悪くはないが虱潰しという手法があっての・・・全て詳らかにしてくれようぞ!
【アイテムポケット】で持てるだけの石を持って壁沿いに進んでいくか。
道の曲がり角や壁、床に不自然なところがあったら石を投げつけて罠があるか確認じゃ。
シンプルじゃが亜人は単純な輩が多いから意外と引っかかってくれるかものぉ・・・ここにおるのはゴーレムのようじゃが。
敵を見つけたらダッシュで間合いを詰めて奴の腸を薙ぎ払ってくれるわ!
奴らの鎖には捕まらないようにせねばな迷宮の中は狭いが故難しいがもし捕まればせいぜい暴れて奴らの腹の内から切り裂いてくれる!
キリ良い所で引くとしよう・・・いずれここに来るであろうしな。


●狩人による雄牛狩り
「迷宮に潜むか、悪くはないが虱潰しという手法があっての……全て詳らかにしてくれようぞ!」
 暗く先の見通せぬ口を開ける迷宮の入り口を、ヴァネッサ・ダヴー(ウェアウルフのグリムリーパー・g10171)は金色の瞳を細め睨みつける。既に策の準備は済ませた彼女はそのまま慎重に闇の中へと進んでいく。
 一見して気配の無い迷宮の中を、ヴァネッサは慎重に進んでいる。音をたてぬように細心の注意を払った足運び、露出の多い肌は淀む迷宮の空気の僅かな流れも感じ取り、頭頂部の耳は微かな物音も聞き逃さぬと神経を集中させる。
 狩人としての経験を注ぎ込み、ヴァネッサの迷宮探索は続く。
(「曲がり角か、どれ」)
 迷宮は頻繁に分かれ道や曲がり角が出現する。ヴァネッサは足を止めて腰に下げた袋に無造作に手をいれると、小石を取り出した。
 それは、迷宮の突入前に集めておいたものの一つで、ヴァネッサは手首のスナップをきかせて放る。小石は壁にぶつかり、曲がり角の向こうへと跳ねていく。コツンコツンと床を跳ねる音があって、やがて静寂が戻ってくる。
(「問題なさそうじゃな」)
 罠の類が無いことを確認したヴァネッサは再び歩を進めていく。その後も気になる箇所に石を投げ、探索は続く。
(……これは」)
 慎重だが順調なその歩みがふと止まる。ヴァネッサの眼前にはここまで通ってきた通路と何ら変わらない道が続く様に見える。しかし、彼女の狩人たる『勘』すなわち培ってきた技術と経験が警鐘を鳴らす。在る。何も無いように見えるが、この通路には何かが在る。
 微かな違和感、僅かな不自然さ。ヴァネッサは己の勘に従い床に石を投げる。すると落とし穴のように開き黄金の雄牛が飛び出してきた。
「亜人と同じく単純な輩じゃ、意外と引っかかってくれるのぉ!」
 ヴァネッサは大鎌を構えると雄牛に向かって飛び出す。鎌の刃に虚無の魔力が宿る。一気に間合いを詰めたヴァネッサの腕が振るわれ、鎌が鋭く雄牛の胴体を斬り裂いた。
 斬り裂かれた黄金の胴体が軋みをあげて開く。雄牛の脇腹から幾つもの鎖が飛び出してヴァネッサを襲う。
「ふん、はぁっ! ちぃっ!」
 鎖の幾つかを大鎌で切り払うヴァネッサだが、全てをいなすことは出来ず、巻き付かれると鎌を取り落として雄牛の胴体の中へと引きずり込まれてしまう。
 ファラリスの雄牛。本来は罪人を中にいれて処刑する器具。自走するゴーレムとなっても、その本来の機能は失われていない。燃焼機関を備えた事で寧ろより激しい炎で火刑に処すことができる。
 今回も呑み込んだ罪人を処刑するべく、燃焼機関の出力を上げていく。程なく罪人は450℃もの高温によって地獄の苦しみを味わいながら死んでいく。雄牛にとってはそれは特別な事では無く、感情の無いゴーレムは犠牲者を腹に抱えたまま落とし穴へと戻ろうとする。その時だ。
 銀光が、迷宮を染め上げた。光源は雄牛の背だ。黄金のボディの中から白銀の刃が突き出している。
「せえいっ!」
 雄牛の中からくぐもった掛け声。同時に白銀の刃が動く。まるで紙を斬り裂くように、硬い金属のボディが背からぐるりと斬り裂かれていく。
「捕えたまでは良かったがのぅ、妾はのんびりと蒸し殺されるのを待ってやるほどお人好しではないんじゃ」
 前後に胴体が泣き別れとなった雄牛を一瞥し銀の刃を仕舞うヴァネッサ。落ちていた大鎌も拾う。襲撃はあったが、まだまだ余力はある。
「キリの良い所まで行って引くとしよう……いずれここに来るであろうしな」
 数日後の大きな戦いを思いながら、ヴァネッサはもう少し探索を続けるために進み始めるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

ハーリス・アルアビド
このような迷宮が存在していたとは。亜人の軍勢が常駐できるほどの規模となれば、これを見逃していては後々に災禍を残すことになるでしょう。

砂漠の守護神セトよ、お力添えを。あらゆる敵を薙ぎ払うお力をここに。
祈りを捧げ仲間達への幸運を願います。

限定された空間で敵に包囲されれば抜け出す事は困難でしょう。両足に【肉体改造】を施し、より鋭く地を捉え、壁面の凹凸に引っ掻けやすいように獣のものへと変えます。
【残像】を生む速度と【忍び足】の緩急をつけ、こちらの間合いや攻撃のタイミングを的確に読めぬよう【フェイント】を織り混ぜながら時に壁面を蹴っての上下の空間も利用して攻めます。

突撃した敵を【残像】によって別方向へと誘導し、背や横腹を見せた敵を【セトへの請願】で仕留めます。一撃で倒せずとも【怪力無双】で叩きつけ後方の敵群への障害物としましょう。


●戦の砂嵐が迷宮に吹く
(「このような迷宮が存在していたとは……」)
 複雑怪奇に入り組んだ迷宮を歩きながら、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は整った容貌に懸念の色を浮かべる。
(「亜人の軍勢が常駐できるほどの規模となれば、これを見逃しては後々に災禍を残すことになるでしょう」)
 ハーリスの緑の瞳が閉じられる。瞼の裏には在りし日の故郷。熱砂の大地に吹く激しい砂嵐。己が信奉する神が起こす御業とされるそれを思い描く。戦の神、嵐の神……危険な獣を象徴とするかの神格は、危険であるがゆえにその力が外敵に向かえば大いなる守護神であるともいえる。
「砂漠の守護神セトよ、お力添えを。あらゆる敵を薙ぎ払うお力をここに」
 ハーリスの真摯なる祈りが、迷宮の暗闇の向こうに消えていく。己と同じように今この迷宮を探索する仲間たちへ、守護神の護りあれ、幸運よあれ、と。
「……っ!?」
 果たしてそれは守護神の加護であったのか。探索を続けるハーリスの琥珀色の肌を風が擽った。空気の淀む迷宮の中での突然の風。それは隠し扉の仕掛けがひらくことによって生まれた空気の流れだったのか。
 侵入者を処せんと配置された雄牛。黄金のゴーレム像がハーリスを取り囲むように姿を現す。
「抜け出す事は困難ですね……ならば!」
 ハーリスは、一度生を終えた筈の肉体に力を籠める。両の足が鋭く重く、石の床を削るほどの力で踏み込み飛び出す。雄牛達が動き出したのは同時だった。
 彷徨のごとき爆音をあげて、体中から炎を吹き出し四肢に付けられた黄金の車輪が床を斬り裂く様に回転する。止まることなど一切考えていないかのような大爆走。当然直ぐに対岸の壁に激突するが、その程度で傷つくゴーレムではない。すぐに方向転換をしてハーリスを追って再び突撃を開始する。
「ふっ! はっ!」
 対するハーリスは飛ぶように床を蹴り、器用に壁の凹凸を利用して壁すら蹴り走り、素早い身のこなしと、雄牛の死角に潜り込む技術で翻弄していく。
 見る見るうちに迷宮の壁は激突する雄牛たちによってボロボロに崩れていく。舞い上がる土煙も利用してハーリスは雄牛の横に滑り込む。纏う黒と緑の衣が舞った。
「戦の神セトに請い願う」
 祈りの言葉と共に、ハーリスの腕に恐るべき力が宿る。それは外敵を打ち払う力。そして宿った腕には冥界の主を模した三つ爪の獣爪籠手。命などもたぬ処刑機械に『死』を与える存在。
「はああっ!!」
 剛腕と化した腕を振るう。三つ爪が黄金の金属ボディを斬り裂き、握った拳が破壊していく。胴体に大きな穴をあけられ雄牛は、受けた一撃の威力そのままに吹き飛び、他の雄牛を巻き込んで壁に叩きつけられる。
 無論、その程度で他の雄牛がダメージを受ける事は無い、だが、死をもたらす戦士を前にして、壁と壊れた雄牛に挟まれて出来た身動きできない一瞬の隙は、次の獲物として接近されるのに十分な時間だった。
 ハーリスの一撃でさらに雄牛が金色の金属片に変わり、外れた黄金の車輪がコロコロと虚しく迷宮を転がっていく。
 これ以上は危険と判断し撤退するまで、ハーリスの探索した道程にはいくつもの黄金の残骸が積み重ねられる事になったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年08月14日