【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】猫々樂園(作者 犬塚ひなこ)
#蹂躙戦記イスカンダル
#【蹂躙戦記イスカンダル奪還戦】黒猫バーストの楽園
#蹂躙戦記イスカンダル奪還戦
#㉑不吉の黒猫バースト
⊕
●黒猫と音楽
数多の配下に傅かれ、君臨する女王。
その名は『不吉の黒猫バースト』。彼女はウェアキャットに似た姿をしたジェネラル級の亜人だ。
これまでアラビア半島東部の支配と後方支援に専念していたバーストだったが、バベルの塔の機能停止によりあるときから命令や連絡が来なくなり、今は――。
「よくわからにゃいけど、嫌な奴らが皆いなくなったのは嬉しいにゃ!」
これ幸いと感じたらしく、バーストは思うがままの優雅で怠惰な生活を送り続けていた。
この場所には自分を軽視するものはおらず、すべてが配下であり傅く存在だ。それはつまり自分にとっての楽園ができたのと同じだと考えているらしい。
「ここでは妾が女王にゃ。なんでも好きな事ができるにゃ。もっと酒もってこーい、音楽もにゃ!」
バーストは片手をひらひらと振り、配下に命じる。
音楽と言われたことでオタマジャクシ歌劇団と呼ばれる小さなトループス級の亜人が集まり、みんなで歌を響かせていく。宙を泳ぎまわるオタマジャクシ亜人たちを眺める黒猫バーストは楽しげに笑っているが――。
彼女たちは未だ何も知らない。
この場所にディアボロスが訪れるという、少し先の未来の出来事を。
●戦いの始まり
断片の王・イスカンダルが起死回生の為に動きはじめた。
神威断罪ギガントマキアの力を使ってディアボロスとの決戦を挑もうとしている今、蹂躙戦記イスカンダル奪還戦が幕をあけようとしている。そのように告げた七篠・蝶々子(スノウメイジ・g07447)は強く意気込み、集った仲間たちを見渡す。
「いよいよ、戦いの時がやってきましたよお!」
この蹂躙戦記イスカンダル奪還戦では融合世界アルタン・ウルクからの侵攻は無く、蛇亀宇宙リグ・ヴェーダも、現在の占領地から動くことはないようだ。この好機を生かし、蹂躙戦記イスカンダルから歴史と大地の奪還を行うべきときが今だ。
「蹂躙戦記イスカンダルは隣接ディヴィジョンを滅ぼすごとに戦力を飛躍的に増大させちゃいます。つまり、状況によってはアルタン・ウルクを越える脅威となる勢力になってしまって……。だからこそ、ここで確実に撃破しておくべきです!」
拳を握った蝶々子の瞳の奥には闘志が燃えていた。
そして、彼女は此度に攻め込むべき場所について語っていく。
「皆さまに向かって欲しいのは『不吉の黒猫バースト』が居る土地です」
女性ジェネラル級亜人である彼女はアラビア半島東部の支配を担っており、そこで優雅に暮らしている。
あまりにも自由なのはバベルの塔の機能停止により命令が届かなくなっているのが原因らしい。反面、現在のバーストは完全に油断している状態であるため攻め込んで戦力を削るのも容易ということだ。
「奇襲も簡単とはいえ、深く入り込みすぎると返り討ちに遭います。適度に数を減らしてスマートに撤退が鉄則です!」
そして、蝶々子は皆に応援の眼差しを送った。
この好機を最大限に活かし、次の未来に繋げていくためにも――今が頑張り時だ。
リプレイ
本郷・夏深
また今回もワラワラと大量に湧いていますねえ
あれをどこまで減らせるか、実に楽しみです
それでは皆で大暴れして、皆でスマートに撤退するとしましょうか
成る程、これが推し活ですか!素晴らしいではないですか!
至高の舞を魅せられるカフカは全生命体から推されて然るべき存在ですからね
まあ、その活動をこちらが素直に受け入れるかどうかは完全に別の話ですが
囲んできた敵どもに圧し掛かってこられるよりも先に、開いた扇で舞うように
片っ端から切り裂いて、斬り刻んで、刺し貫いていくことで敵を往なして参ります
全員で確実に撤退する為に必要な体力は残しておきますが、
それでも力が許す限り、倒して倒して楽しみ倒したい気持ちです
ディアボロス達はどなたも魅力的ですから、推したくなる気持ちは大いにわかりますが
こんなにもカフカが近くに居るというのに、他の人へ浮気するなんてつれないですね
さあ、どうぞもっと私を推して満足させてください
重い愛は好みですが、この程度の重さでは物足りません!
命を含む財産を全て失う覚悟でカフカを推してくださらないと!
夜久野・螢
黒猫の戦場に配下のオタマジャクシ……
牧歌的な光景だけどアレも亜人だったな
気を引き締めて、奪還戦前の戦力削りと行こうか
奇襲のタイミングは周囲の仲間とも合わせて
呑気な楽園を終わらせに、ディアボロスの到着だよ
戦況全体の把握に務めて
標的をひとつの部隊に絞り
戦場を共にする仲間のディアボロス達とも
敵の残数や動きなどの情報を共有
声掛け等で仲間との連携を図って
孤立と死角を防ぐよう立ち回る
回転する光の輪を出現させ
敵群へと放ち、より多くの
トループス級たちを巻き込むように攻撃
体力の低い敵兵から追撃の手を集中
各個撃破を心掛ける
カエルの歌…じゃないな
オタマジャクシ大合唱で反撃してくるらしいが
多少の塞げない音は覚悟の上で
*精神集中し、攻撃する手は緩めないように
可能な限り敵の数を減らせれば
頃合いを見ての撤退
余力が残ればなるべく殿を務める
連携・アドリブ歓迎
●涼やかなる青
間もなく大きな戦が始まる。
それだというのに、このアラビア半島東部には緊迫感が殆どなかった。その理由は、この地を任されている『不吉の黒猫バースト』がのんびりと自由を謳歌しているからだ。
「黒猫の戦場に配下のオタマジャクシ。牧歌的な光景だけど……」
だが、此処はこれから戦場となる。
夜久野・螢(青灰の鍵・g02441)は真っ直ぐに前を見つめ、それに、と続けて口にした。
「アレも亜人だったな。気を引き締めて、奪還戦前の戦力削りと行こうか」
「また今回もワラワラと大量に湧いていますねえ」
片手を庇代わりにして敵軍を眺めた本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)は、実に真っ黒な光景だと感じた。何せ敵はオタマジャクシの姿をした亜人だ。それが軍勢にもなれば辺りが黒く見えるのも当然。
黒猫の軍にはぴったりだと思ったのは螢も同じ。二人は静かに身構え、襲撃の用意を整えていく。
「あれをどこまで減らせるか、実に楽しみです。それでは――」
「そろそろ行こうか」
「はい。皆で大暴れして、皆でスマートに撤退するとしましょうか!」
夏深と螢は此度の戦いの流れを確かめ合った後、地面を強く蹴り上げた。疾く駆けながら彼らは最初の標的に狙いを定め、一気にパラドクスを巡らせる。
「呑気な楽園を終わらせに、ディアボロスの到着だよ」
「……!!」
「!?!?」
天使の翼を羽ばたかせた螢が解き放つのは光の輪。敵からすればのんびりしていたところに回転する光の軌跡が疾走り、身を切り裂いたのだから驚いただろう。
だが、それだけではない。敢えて螢の攻撃からタイミングをずらした夏深が動く。
「こちらからも参りますよ!」
とくと御覧ください、と付け加えた夏深は扇を広げ、オタマジャクシ亜人を一気に切り裂いた。雅な所作で以て次の一体に狙いを付けた夏深は爽やかに笑っている。
奇襲は大成功。
驚き、慌てて戦闘態勢を整えたオタマジャクシ歌劇団はよちよちと歩き出す。
どうやらこの一帯にいる敵は黒猫バーストの御前には呼ばれなかったものらしい。えいっと地を蹴ったオタマジャクシたちは宙を泳ぎながらディアボロスへの反撃に移る。
集団で動く彼らはまず夏深を囲み圧倒的な力で押し潰そうとしてきた。
「推しちゃうぞ!」
「押し圧し!」
「成る程、これが推し活ですか! 素晴らしいではないですか!」
「あれ?」
「こいつ全然こたえてないぞ!?」
オタマジャクシたちとしてはこれでこちらが参ると思ったのだろうが、夏深は華麗にすり抜けてみせた。
「至高の舞を魅せられるカフカは全生命体から推されて然るべき存在ですからね。まあ、その活動をこちらが素直に受け入れるかどうかは――」
完全に別の話ですが、と語った夏深は身を翻す。
すると其処へ、回転する光の輪が幾重にもなって飛んできた。螢が放ったそれらは見事に敵だけを貫き、その場で打ち落とすことに成功する。螢はそのまま次手を即座に紡ぐべく視線を巡らせた。
「まだまだ、これから」
「そうですよ、始まったばかりですからね」
夏深は更に迫ってきた敵より速く、開いた扇で舞うように跳躍した。其処から片っ端から切り裂いていき、時に斬り刻んで刺し貫く。敵を往なして薙ぎ、宙から落とす。
その隙を狙って螢がとどめや補助の一撃を叩き込むことで亜人を蹴散らし、減らしていく流れだ。
されどオタマジャクシたちも大合唱でこちらの力を削ろうとしてきた。
「カエルの歌……じゃないな」
螢は片手で耳を塞ぎながら翼を広げ、合唱の魔力から逃れるように後方に下がった。塞げない音があることは最初から覚悟の上で挑んでいるため、多少の衝撃は耐えられる。
その際も常に精神を集中させている螢は、決して攻撃の手を緩めなかった。
「あっちの敵もやっつけろー!」
「こっちだけじゃなくてみーんなおしおしだ!」
そうしている間にオタマジャクシたちは他のディアボロスにも推し攻撃をしに向かっていく。だが、夏深はその動きを逸早く察して動いた。
「浮気ですか? 確かにどなたも魅力的ですから、推したくなる気持ちは大いにわかりますが――」
「わっ!?」
「こんなにもカフカが近くに居るというのに、つれない態度は許しません」
仲間を攻撃しようとしたオタマジャクシの前に立ち塞がった夏深は、扇を鋭く振るった。それによって敵が行動する前に地に伏す。其処へ螢が光の輪を飛ばすことで夏深の周囲を照らした。
「ついでにスポットライトもどうぞ」
「気が利きますね! さあ、どうぞもっと私を推して満足させてください」
「ぴ、ぴええー!!」
光輪と斬撃を受けたオタマジャクシが悲鳴をあげながら倒れていく。まだ周囲には敵がいるが夏深は怯まずに次なる相手を探し、涼暮の一閃を繋げていった。螢も確実に敵に終わりを与えており、敵群に大打撃を与えている。
「合唱も少し弱まったな」
「推し続けてくれるほど重い愛は好みですが、この程度の重さでは物足りません! 命を含む財産を全て失う覚悟でカフカを推してくださらないと!」
「もう無理だよお~……!」
それによってオタマジャクシが更に何体か戦う力を奪われる。夏深はまだ行けると感じていたが、ちらりと螢の方を見遣った。その視線の意味は撤退するタイミングをはかって欲しいというものだ。
それから暫し後、螢が双眸だけを薄く細めた。
「……この辺りか。撤退しよう」
「了解しました、実に良い判断ですね」
「オレが後ろを務めるから、先に」
「はい!」
螢の判断に信頼を抱いた夏深は素早く身を引き、敵群から一気に距離を取った。夏深の離脱を確認した螢は周囲で戦っている仲間の位置を確かめた後、亜人を一瞥した。
「本番はもう少し後で」
「それではまた!」
じゃあね、近いうちにいずれ、とそれぞれ言葉にした螢と夏深は他の仲間にも撤退の合図を送り――。
こうして前哨戦の第一陣は立派な成果をあげ、鮮烈な始まりを刻んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
アビス・カギシッポ
にゃー、猫の楽園とは夢のある話にゃー。
自由気ままな猫の気風にはぴったりにゃー。
でもにゃー、猫は人と仲良くも出来るにゃー。
人々を蹂躙する亜人を捨て置く訳には行かないにゃー!
んにゃー、相手はなんか丸っこい奴らにゃー。
にゃにゃ、ダンスバトルとにゃ!
ふにゃー! 見せてやるにゃ! アビスのとっておきにゃ!
猫変身で猫の姿になるにゃ。
パラドクスは使えなくなるけど、パフオーマンスで圧倒すれば良いのにゃ!
にゃー! やんのかステップを見せ付けてやるにゃ!
にゃ、やんのかステップはいわゆる猫の威嚇行為にゃー。
こう背中を丸めてにゃー、全身の毛を逆立てるにゃー。
あとは跳ねてみたりするにゃー! ふしゃー!
攻撃は仲間に任せるにゃー。
夢中になりすぎて敵に囲まれたり、逃げ遅れたりしないように注意にゃー。
適度に数が減ったところで退散するにゃー。
アドリブや連携は歓迎するにゃー。
●黒猫と音符
「にゃー、猫の楽園とは夢のある話にゃー」
アビス・カギシッポ(おこたの民・g08933)は辺りの様子を確かめながら、黒の尻尾をふんわりと揺らす。
誰にも邪魔されず、命令もされずに過ごす日々。それはまさに自由気ままな猫の気風にぴったりだと感じた。しかし、立場と状況というものが自由を許してはくれない。
「でもにゃー、猫は人と仲良くも出来るにゃー。人々を蹂躙する亜人を捨て置く訳には行かないにゃー!」
アビスは奮い立つ。
猫としての共感もあるが、何よりも人々を蹂躙する亜人を捨て置く訳にはいかないのだ。
既に戦っているディアボロスの横を通り抜け、アビスはオタマジャクシを強く見つめる。じゃれつきたい相手だと思いながらアビスは警戒を強めた。
「んにゃー、相手はなんか丸っこい奴らにゃー」
「――♪」
するとオタマジャクシたちが踊り出し、軽快なダンスを始めた。
「にゃにゃ、ダンスバトルとにゃ!」
「♪♪」
「ふにゃー! 見せてやるにゃ! アビスのとっておきにゃ!」
アビスは敵に対抗するべく猫らしさ全開で立ち向かっていく。相手のこの動きはどうやら特別らしく、この力に限ってはパフォーマンス次第で勝敗が決するようだ。
とにかくオタマジャクシたちを圧倒していき、他の仲間の補助になれば幸い。
「にゃー!」
素早いステップ、即ちやんのかステップを見せ付けに掛かったアビスは本気だ。毛を逆立て、背中を丸めて爪を地面に立てながら威嚇の声を響かせる。それを音楽に乗せて行うのが今回のアビス流だ。それによって敵は慌てふためいており、思わず後ずさったものもいた。
「!?」
「ふしゃー!」
飛んだり跳ねたり、怖い声を聞かせてみたりとアビスは全身全霊で挑んでいく。
その間に攻撃をしてくれる仲間を信じ、アビスは猫としての矜持を見せ付け続けた。オタマジャクシたちは怯えてひっくり返るものもいれば、アビスに対抗するダンスで向かってくるものもおり、大いに白熱した。
そして、暫し後。
「そろそろ撤退にゃ!」
仲間たちが退く判断をしたことに気付いたアビスは一気に後方に跳躍した。夢中になりすぎて敵に囲まれてはならず、逃げ遅れることもしたくはない。
「ばいばいにゃー」
最後に一言だけ敵に告げたアビスは一気に駆け出し、華麗に戦線を離脱していった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【猫変身】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
凍雲・雪那
ん。バースト、ねぇ……?
その名前、何処かで聞き覚え、あるような。
まあ、お前じゃなくて、元になった、旧き神、だが。
さて、さて。
煩い音楽だ。これだけの大音量。長く聞いていれば、頭が痛む、だろうね。
それじゃあ、唄には歌で、対抗しようか。
出番だよ、アフ君。
【凍てつく灰色の焔の招来】。正気を奪い、狂い悶えさせる悍ましき旋律を奏で、虚空より灰色の焔を呼び寄せる、よ。
音量が、どうって話じゃないんだ、これはね。
まあ、あくまで曲は前座。
本命は、呼びだしたアフ君……触れれば熱を焼き尽くし、凍りつかせる灰の火炎。
周囲を取り囲むオタマジャクシに、灰焔を叩き込んで黙らせていくよ。
永遠にね。
ある程度、敵の数を減らしたら撤退しよう。
灰焔を一点に集中させ、一気に爆散。目晦まし代わりにして、そのまま戦域から離脱する。
殺しきれないの、ちょっと不満、だけど……
奪還戦の本番で、幾らでも戦う、機会はある。
今日は、この辺で我慢、しておこう。
●音色と灰焔
亜人の軍勢が集う最中。
戦場を見つめた凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)は軽く首を傾げていた。
「ん。バースト、ねぇ……?」
その名前は何処かで聞き覚えがあるような気がしている。雪那は暫し考えを巡らせ、きっとあの黒猫亜人そのものではなく元になった旧き神の方に覚えがあるのだろうと判断した。
「まだ、出てこないようだけど」
それならばそれで此方は軍勢を蹴散らし、少しでも戦力を削っていくだけの話。
雪那は身構え、既に戦っている仲間たちを追いかけた。其処で繰り広げられている激しい攻防を見遣りながら、雪那も自分に出来ることを成そうと考える。
「さて、さて」
「また敵だ!」
「かかれー!」
雪那が姿をあらわすとオタマジャクシ亜人が敵意を向けてきた。仕える主であるバーストのために頑張ろうとしているのだろう。宙を泳ぎ始め、歌い出した敵群を捉えた雪那は氷の笛を手にする。
「わー♪」
「煩い音楽だ」
「わわわー♪」
「これだけの大音量。長く聞いていれば、頭が痛む、だろうね」
それならば――。
唄には歌で対抗するのが正攻法でスマートな対抗策に違いない。雪那は笛を吹き鳴らし、虚空から灰色の焔を召喚した。渦巻く焔に視線を向けた雪那は僅かに双眸を細めた。
「出番だよ、アフ君」
それは凍てつく灰色の焔の招来。
正気を奪い、狂い悶えさせる悍ましき旋律を更に奏でた雪那。その音色に乗るようにして灰色の軌跡が蠕く。
「なにあれ?」
「負けるな、いけー!」
「音量が、どうって話じゃないんだ、これはね」
歌を重ねようとするオタマジャクシ歌劇団に対し、雪那は淡々と紡ぐ。あくまで曲は前座であり、本命はアフ君と呼ぶ焔の方。それは触れれば熱を焼き尽くし、凍りつかせる恐ろしき灰の火炎だ。
「!?」
「黙らせてあげる。永遠にね」
「……!!」
自分の周囲を取り囲むオタマジャクシが灰焔に包まれ、声をあげることなく蹴散らされてゆく。その手際は見事なものであり、歌劇団はあっという間に数を減らされていった。
そうして、灰色の焔が大きく広がっていき――雪那は周囲を見渡した。
「そろそろ、かな。殺しきれないの、ちょっと不満、だけど……」
バーストの姿は見えないが致し方ない。
撤退のタイミングは今だと感じた雪那は灰焔を一点に集中させ、一気に爆散させる。それによってまた何体もの敵が飛び散った。雪那自身は焔を目晦まし代わりにして、そのまま戦域から離脱していた。
「今日は、この辺で我慢、しておこう」
これは前哨戦。
奪還戦の本番で幾らでも戦う機会はあるだろう。そう自分に言い聞かせた雪那は一度だけ戦場を振り返る。
また次の戦いで。
その言葉を最後に、ディアボロスは素早く華麗な撤退を決めた。
近い未来に必ず訪れる戦いへ、強い思いを馳せて――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!