いつかはこの夏も、思い出となるのだから(作者 河流まお
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#最終人類史(新宿島)  #夏の最終人類史防衛計画  #🍉夏休み選択肢有 

●1
 クーラーでキンキンに冷えた薄暗い会議室の中。
 室内をぼんやりと照らしているのは、大型モニターからの灯りである。
 画面に映し出されているのは、とあるゲームだ。
 そのジャンルはアクションともRPGとも言い難い。あえてジャンルを名付けるとするならば……それは『ノスタルジー』となるのだろうか?
 主人公は小学校6年生の少年or少女であり……小学校における最後の夏休みを、ただ自由に過ごす。
 昆虫採集をしたり、秘密基地を作ったり……夏休みの過ごし方は各プレイヤーに委ねられている高い自由度がウリのゲームだ。

「……つまり、今回の依頼はこういうことです」
 コントローラーを操作して、自分だけの秘密基地を造り上げながら祖母島・壱花(鬼人のデーモンイーター・g03502)は言う。
 いや、何が「こういうこと」なのかさっぱり判らん、と声をあげると、壱花はカブトムシの個体厳選しつつ頷く。
「今回、攻略旅団の提案で、天正大戦国と隣接している奪還地域の防衛計画を強化する事となりました。
 対象の地域は、【三重県北部地域】【三重県南部地域】【奈良県南部山岳地域】【大阪府東部】【横須賀市】の五地域となります」
「わりと広いな……」
 山あり海あり都市部あり。とにかくその地域内のどこかに防衛拠点を作って欲しいというのが今回の依頼だ。
「今回は、旅団を防衛の要とする計画ですので、計画に協力してくれる有志の旅団長は、該当地域に旅団出張所を建設し、有事に備えて欲しいのです」
 別に、その場所に人員を常在させて欲しいというわけではない。
 その場所にディアボロスの防衛拠点があるというだけでも、地域住民はかなりの安心感が得られるはずだし、天正大戦国への牽制にもなるのである。
「というわけで、防衛拠点と言っても、そう堅く考える必要はあまりないのです」
 自由に夏休みを満喫しつつ、片手間に秘密基地を作っても問題は無い、と壱花。いやもちろん、ガチでお城みたいなの造ってくれたら、それはそれで有難いのだけども。

●2
「せっかくの夏休みです。防衛拠点の建設はパパッと終わらせて、対象地域のどこかで、ひと夏の思い出作りするのもいいんじゃないでしょうか?」
 打ち上げ花火が夜空に大輪の華を咲かせてゆく。美しくも儚い、その花を眺めながら壱花はゲームコントローラーをコトンと置く。
 最後に、壱花が過ごした夏休みの集大成というべき絵日記が表示され、そしてスタッフロール。
「というわけで、どうか思い出に残る夏休みを。それでは宜しくお願い致します」
 そう説明を締めくくり、一花は復讐者たちにぺこりと一礼するのだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【アクティベイト】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

河流まお
河流まおと申します。精一杯努めさせて頂きますので、どうか宜しくお願い致します。

今回の防衛計画は旅団が主体となるので、施設の設置場所の指定や方針については『旅団長』からお願い致します。
旅団長以外の団員は、団長に協力する形で参加して貰えればと思います。
個人旅団でもご参加いただけます。
極端な話、防衛拠点に関しては「夏休み初日に頑張って建設した」でも問題はありません。
皆さんが夏休みをどう過ごしたのか、教えていただけるような感じでプレイングして頂ければ幸いです。
40

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


マルゲリータ・ディオンブラ
旅団【Atelier Margaret】は【横須賀市】にある防空壕を現代的に作り替えちゃうよ
修復加速でちゃっちゃと直して必要なら拡張もありだね
特に避難民の保護に重要な場所は建物復元で強化しておく
内装はベガスもかくやという豪華なカジノだよ
防空壕を改装するのはここが「地下カジノ(合法)」だからさ!
ドキドキするだろう
子供用ビールをグラスに注いでシュワシュワする飲料を一気に飲み干すような背徳感がある

バー風のカフェや各種衛生設備、休憩設備もあるし倉庫に物資の集積や非常用発電設備も用意して、いざというときは生活空間に早変わりさ
マリアナ諸島からの爆撃はなくなったけど小田原から砲撃がきそうだからね
地下は古今東西有効な防御拠点なのだ

しかし悲しいかな【Atelier Margaret】は個人旅団でカジノを運営するには人手不足だからハウスキーパー使いつつ住民の皆さんにも協力してもらってカジノを楽しんでもらおう
ポルターガイストがいるカジノ?

ボクもディーラー服を着てルーレットを提供させてもらう
今夏も熱い夏になるね


●1
 横須賀市役所の職員から聞いた場所へと赴くと、そこは小さな丘のような場所であった。
 その敷地は、現在は公園としても使われているようで、ミンミンゼミの鳴き声を聴きながら丘の展望台へと登れば穏やかな東京湾を一望することが出来た。
「ん~、まさに夏の風景ってかんじだね」
 青空に浮かぶ白い雲、水平線と海辺の街。まるで絵葉書のような美しい光景にマルゲリータ・ディオンブラ(🍨・g11056)は上機嫌に微笑む。
「おっと……でも、今日は横須賀観光に来たわけじゃなかったね」
 弾むような足取りで展望台から降りて、向かう先は敷地内にあるという『防空壕』である。

 アジア太平洋戦争末期に造られたというその場所に内部へと足を踏み入れると、ひんやりとした冷厳な空気が感じられた。
「……するべきことは山積みのようだね」
 まさに「ものけのから」とか「がらんどう」といった言葉がピッタリの、何もない空間だ。さらには、壁や天井に、幾つか崩れかかっているところまであったりする。市役所の人、もう少しいい場所なかったの?
「でも、ドキドキしてきた」
 まるで子供用ビールをグラスに注いで、シュワシュワする飲料を一気に飲み干すような背徳感がマルゲリータの中に湧き上がってくる。
 戦争が終われば不要と破棄され、人々の記憶からも忘れ去られたようなこの場所を、活気あふれる地下カジノへと改装しようというのが、旅団【Atelier Margaret】の作戦なのだ!
「あ、カジノといっても、ちゃんと合法だからね」
 そこだけは誤解のなきよう、と小さく微笑んで、マルゲリータは改築作業を開始するのだった。

●2
「まずは修復加速でちゃっちゃと直して、あとは入り口付近の部屋はいくつか拡張しておこうかな」
 ついでに、避難民の保護に重要な場所は建物復元で強化しておくことを忘れないマルゲリータ。
 さて、元が防空壕なだけあって、外壁と天井さえ修復してしまえば頑強な造りである。ゆえに、マルゲリータがもっぱら苦心することになったのは、カジノの内装に関することだ。
「次は、業者さんへと連絡をとって……」
 目指す内装は、ベガスもかくやという豪華でゴージャス、そしてロイヤルなカジノである。そのためには、出来る限り本場の物を取り寄せたい気持ちがマルゲリータにはあった。
 ゆえに、少々内装にはお値段が張ることになっちゃうわけだけど……まあ、きっとこれまで依頼をこなしてきた分の貯えでなんとかなるはずさ、たぶん。
「お~い、支配人さ~ん、このルーレット一式はどこに置くんですか~い?」
 ふむ、支配人……なかなかいい響きだね。そっか、ボクが支配人か~。
「あの……支配人さん?」
「あ、それはここでお願いっ」
 そんなこんなで、業者さんとの目が回るような忙しい日々を過ごしつつ、マルゲリータの夏休みは過ぎてゆく。

●3
 劇的なるビフォーアフターを経て、豪華な地下カジノへと生まれ変わった防空壕。
 これがテレビ番組なら例のBGMと共に「なんということでしょう……!」と息を飲まれている場面だろうか。
「完成しやしたね……支配人さん」
 内装業者さん達も感慨深いのかしきりに頷いている。
 バー風のカフェや各種衛生設備、休憩設備も完備。奥には倉庫に物資の集積も可能。さらには非常用発電設備も用意して――。
「いざというときは生活空間に早変わりさ」
 マルゲリータもその出来栄えに満足した様子で上機嫌に頷く。引き換えに、お財布は随分と軽くなったけど……まあ、それは今は忘れよう。人件費は近隣住人の協賛とハウスキーパーでなんとかなりそうだし。
「にしても、立地が地下で良かったんですかい?」
「マリアナ諸島からの爆撃はなくなったけど、小田原から砲撃がきそうだからね。
 地下は古今東西有効な防御拠点なのだ」
「へ~ぇ、支配人さん、小っちゃいのに色々と考えているんすねぇ……」
 ちっこいは余計だよ。でも、まぁこの業者さん達には今回の件では大変にお世話になったといえる。
 マルゲリータはルーレット台へと視線を送り、
「せっかくだ、オープン前の特別営業。君たちも楽しんでいってくれるだろ?」
 今夏も熱い夏にしてあげるよ、と可憐なウィンクを一つプレゼントするのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建物復元】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

月下部・小雪
五月姫さん(g00544)の揺蕩の茶屋と、ぎょ、業務提携、です!
いっしょに旅団出張所を作って、【奈良県南部】の平和を守ります!

現地の人もお手伝いしてくれたおかげでモーラット風の建物が完成、です!
えへへ、地元の木材をふんだんに使ったぬくもりのある建物になり、ました。

か、かっこよくバリアを展開できるとよかったのですが……クロノオブジェクトではないので仕方ありません。
代わりに地下にシェルターを作って、いざという時に避難できるようにしておきますね。
地上部分は研究所という名のモーラット達の遊び場、です。モーラットが遊んでるところをみんなで眺めてほんわか、します。

併設する五月姫さんの茶屋は奈良県南部初出店、です!
提携メニューにモーラット風のかき氷をメニューに加えて、もらいますね。
ボクも茶屋の店番をお手伝いしたりして、地域の人と仲良く、なっちゃいます。
はい、ここにはとってもすごいモーラットもいるので、安心、してくださいね。

※アドリブ連携大歓迎


瀧夜盛・五月姫
小雪さん(g00930)の研究所さんと、業務提携だよ
ひとりよりも、できること、たくさん増える
一緒に【奈良県南部】、防衛しよう

研究所さんの雰囲気、邪魔しない程度に、だけど和風の憩い所。茶屋を営業、するよ
地元の人に、木材を、いただいて、オオカミさんには吹き飛ばされない程度に、丈夫な作りに
奈良・和歌山は、多くが森林だけど、その質はかなりいいって、きいた
モーラットさんが遊んでるところ、眺めながら、材木の香り、楽しむ

看板メニューは、コラボメニューのかき氷と、あつあつのこんにゃく
奈良県南部といえば、こんにゃく、有名、だからね
ツーリングに通りがかる、人たちにも、地域の人、にも、気軽に来てもらえる、空間に、しよう

少しでも、場所が知られて、馴染んで、「ここにいけばディアボロスがいる」「逃げられる場所がある」って覚えてもらえれば、それは日常の延長線上に、避難があるという、状況を作れる

ん。きっと茶屋になる、よね


●1
 トンテンカンテンと、小気味よい木槌の音が晴天の下に響く。
 奈良県南部山岳地域のとある村。この村はいま一致団結して旅団出張所の誘致に精を出していた。
 大工仕事の経験がある者を中心として、老若男女それぞれが出来ることを探して、皆で力を合わせる。これは『時逆』以降、どこか沈みがちな雰囲気だった村が久々に見せる、活気に満ち溢れた姿だった。

「現地の人もお手伝いしてくれて、よ、良かったですね」
 と、木を伐採しながらコダマと共に汗を拭うのは月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)。
「ん。ひとりよりも、できること、たくさん増える」
 瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)も、丸太を運びながらコクリと頷く。

 今朝がた、村長さんの元へと土地の相談へと赴いてからというもの、コトは恐ろしいほどのトントン拍子で進行していった。
 ソッコーで駆けつけた大工の親方に、出張所のおおまかなイメージを伝えると、ササッとデザインの草案がお出しされ、これに一も二も無く頷けば、あとは村を挙げてのお祭りモードへと突入だ。
 あれよあれよと言う間に起工式が行われて、そのまま二人は建設に必要になる木材の調達を親方から依頼された。
「小雪さん、日焼け止め、塗る?」
「あ、あれ? な、なんだかマダガスカル島でも、同じような作業をしていた、ような……」
 と、おもいっきり力仕事を任された二人の少女だったが……まぁ、ディアボロスの能力を考えるとこれが適材適所なのだろう。

 よっこらせ~、と木材置き場に依頼された分を積み上げ終えると、大工の棟梁は「ほ~う」感心しながら瞳を輝かせる。
「すげぇな。嬢ちゃんたち、いっそのことウチで働く気はねェかい?」
 と、上機嫌に笑う親方。
 「え、ええっ……?」
 思わぬ申し出に狼狽える小雪。五月姫は少しだけ考えてから、
「ん、親方……申し出は嬉しいけど」
「カッカッカ、いや冗談だ、冗談! お前さん達の力を本当に必要としている人たちは、まだまだ世の中に大勢いるからな」
 と、豪快に笑う親方ではあるが、その瞳はどこか複雑な色を帯びているようにも見えた。
 ……クロノヴェーダに対抗できるのは復讐者だけ……。
 一般人である彼らは、そのことを重々理解している。
 親方がどこか申し訳なさそうに表情を歪めたのは、小雪や五月姫のような年端もいかない少女たちに、クロノヴェーダとの命懸けの戦いを背負わせてしまっていることに無力感を感じているせいだろう。
 だからこそ、この村をあげての協力体制というわけだ。
 親方は、夏らしい青空を見上げて「よしっ」と気合を入れ直し――。
「村の者たちにも手伝わせてやってくれ。皆、嬢ちゃんたちの力になりたくてウズウズしてやがるのさ」
 と、親方は腕まくりするのだった。

●2
 目の回るような忙しさの十日間を経て、ついに出張所は完成を迎える。
 その落成式である今日は、お祭り騒ぎのクライマックスとばかりに、村中の者たちが集っていた。
 マイクを持った村長が、挨拶はそこそこにして小雪と五月姫を壇上へと招く。
「いこっか」
「は、はいっ」
 滞在期間中は村に泊めてもらっていたこともあり、こうして集まった人々を見渡すとどの顔にも見覚えがある。
 冷えたスイカを差し入れてくれたおばあちゃん。昆虫バトルを挑んできた子供たち……。そんな人々が、待ちきれないという面持ちで小雪と五月姫の言葉を待っている。
 小雪はせいいっぱいの息を吸って、一生懸命に声を響かせる。
「み、皆さんのおかげでモーラット風の建物が完成、です!」
 どっしりとした安定感と、木材特有の暖かみのある佇まい。そしてなにより、その可愛い外観。
「えへへ、地元の木材をふんだんに使った、ぬくもりのある建物になり、ました」
 胸に抱えたコダマも「もきゅっ!」と満足げに頷く。
 親方さんに、デザイン協力として散々つき合わされたコダマ。それだけに感動もひとしおといったところだろう。
「そ、そして、そしてっ! こ、今回みなさんに手伝ってもらったのが、もうひとつ!」
「和風の憩い所、揺蕩の茶屋、新店舗オープン、だよ」
 純和風喫茶といった佇まいの新店舗。見ているだけでも心が安らぐようなその外観は、山間のこのロケーションと見事に合わさって、まさに峠の茶屋といった趣。
「姫が、茶屋の看板娘として、皆をおもてなし」
 くるっと可愛らしく振袖を揺らしながら、新店舗用の衣装をお披露目する五月姫。スペシャルサンクス、お針子のおばあちゃん。
 響き渡る歓声と拍手の中、五月姫はほんのちょっとだけ微笑む。
 もしこの茶屋の看板娘姿を、父や一族の皆が見たら、どんな反応をしていたのやら、と。

●3
 式典が終わると、あとはガチのお祭り騒ぎである。
 お祭りの中を楽しそうに駆け回る子供たち。完成の祝杯を挙げる大工の親方と若い衆。
 女性会の皆さんはここからが本番とばかりに、五月姫の茶屋の仕込み中。
 
 皆の力で建てた出張所を見上げながら、小雪は満足そうに頷く。
「か、かっこよくバリアを展開できるとよかったのですが……クロノオブジェクトではないので、そこは仕方ありません、ね」
 敵の軍勢をバリアで弾き飛ばすモーラット。その勇姿も見たかった気がするが――。
「か、代わりに地下にシェルターを作って、いざという時に避難できるようにしてあります」
 それに、この【モーラット研究所『毛玉会』出張所】はただのシェルターではない――。
 刮目してくださいっ! と小雪が建物の正面扉を開け放つと、村の子供たちが「わ~!」と目を輝かせて乗り込んでゆく。
「地上部分は研究所という名のモーラット達の遊び場、です。モーラットが遊んでるところをみんなで眺めてほんわか、です」
 そこはまさにモーラットの楽園。ふわっふわの毛玉天国。
 その圧倒的な癒し性能は、子供たちはモチロン、村長さんや親方さんのようなおっさんたちにも効果てきめん。KAWAIIが疲労回復、副交感神経優位につながることはもはや現代医学でも証明されている。
 慌ただしく過ぎたこの十日間の疲れを癒すため、人々はしばしこのモーラット研究所で憩うのだった。

 一方その頃、揺蕩の茶屋の新店舗を改めて見上げるは五月姫。
「地元の人に、木材を、いただいて、オオカミさんには吹き飛ばされない程度に、丈夫な作り」
 そして――。
「奈良・和歌山は、多くが森林だけど、その質はかなりいいって、きいた」
 小さく息を吸うと、木造特有の落ち着いた香りが感じられる。このまま、モーラットさんが村の人々と遊んでるところを眺めながら、材木の香りを楽しみたいところだけど……。
「村の皆、お世話になった、次は、姫のばん」
 看板メニューは、コラボメニューのかき氷と、あつあつのこんにゃく。
「奈良県南部といえば、こんにゃく、有名、だからね」
 そしていつか、お店が有名になれば、村の人たちだけでなく、遠方から訪ねてくる人もでてくるはず。
「ツーリングに通りがかる、人たちにも、地域の人、にも、気軽に来てもらえる、空間に、しよう」
 この場所が、いつか皆の憩いの場となるように、と五月姫は祈る。
「少しでも、場所が知られて、馴染んで……。日常の延長線上に、この避難場所があるという、状況を作れるように」
 ここにいけばディアボロスがいる、逃げられる場所がある、と近隣にも広まれば、周辺の村もカバーすることが出来るはず。茶屋でのおもてなしに駆け回りながら、五月姫はそんなことを思う。

「お、遅くなってごめんなさいっ! 五月姫さん、あ、改めてですが、奈良県南部の初出店、おめでとうございます!」
 研究所のほうがひと段落したのか、小雪が茶屋の手伝いに駆けつけて来てくれた。
「ん、ありがとう。さっそくだけど、小雪さんの分の、制服もあるから、お客様からの、オーダーをお願い」
「は、はぃい!」
 制服に着替えるやいなや飲食バイトの洗礼、オーダー地獄へと放り込まれる小雪ちゃん。
「え、えと、抹茶モナカ2つ、あうあつこんにゃく4つと、モ、モーラット風のかき氷、4つ、みたらし団子3つ、で、です? しょ、少々お待ちください~」
 もう少し、この慌ただしい夏休みは続きそう、と二人は思いながら――。
「ん。きっと茶屋になる、よね」
「はい、ここにはとってもすごいモーラットもいるので、安心、してくださいね」
 と、村の皆さんとの交流を十分に深めてゆくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

新城・橙花
【奈良県南部】【天剣絶刀】
エレナお姉ちゃん(g00090)と一緒に参加するねー。

出張所の建設は、できるところは私もお手伝いするよー。
とは言っても身軽さを活かして高い所の作業とかかな?

無事に建設完了したらきゃんぷ開始ー。
手伝ってくれた人のために飲み物や食べ物を用意してみたりするねー。
「もちろんエレナお姉ちゃんにもちゃんと用意してあるよー」

場が和んできたら、神楽の舞でも披露してみようかなー。

うん、この地は大和の国、古の歴史が刻まれた土地。
平安京出身の私にも、親和性が高い所だよー。

静謐に、それでいて情熱的な巫女の舞。
「妙見尊星が王に奉る…この地に集いし人々に、平穏な日々があらんことを」

舞い終えたら元の表情豊かな狐に戻って、また土地の人たちと楽しむねー。


エレナ・バークリー
【奈良県南部山岳地域】
【天剣絶刀】

旅団長として有事への対応を定めます。

周辺が山岳地帯であり、想定される敵種族・天魔武者は飛行能力を有する個体が少ない可能性が高いため、ディヴィジョン境界の霧を越えてくる敵の進軍経路を地元の土地勘に詳しい方から伺い、【セルフクラフト】で道を塞ぎます。より足止めが出来るよう、【トラップ生成】で侵入者があれば道を崩落させるなどの仕掛けも用意します。

山地と人里の間に旅団出張所を整備。パラドクストレインを利用しやすくするよう鉄道の駅を模した構造とし、山岳地帯で侵攻が確認された場合、速やかに旅団員がトレインで乗り付け【避難勧告】を使用します。

当旅団の防衛計画は、敵の山地での足止めで時間を稼ぎ、住民を十分に離れた避難施設へ誘導することとなります。
現地自治体関係者を中心に避難用地図を作り、警察官を中心とした有志に先導してもらう形で、【フライトドローン】も活用して移送困難な方を搬送しながら、戦場になる地域から避難してもらいます。

キャンプに参加して地元の方々と交流を深めます。


●1
 山間から朝陽が昇る。
 静謐な朝の空気を吸いながら、エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)はその日の鍛錬を終えた。
「そろそろ橙花を起こさないといけませんね」
 奈良県南部のとある山岳地域にあるこの村は、今回【天剣絶刀】が出張所を建設することに、村を挙げての協力を申し出てくれた。
 村長さんが滞在中の宿も用意してくれたので、昨日は有難く一宿一飯の恩義に甘えたというわけだ。
 古民家の2階にあがって、新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)を優しく揺する。
「橙花、朝ですよ」
「ん、あと5分……」
 たぶん、5分後も同じことを言われるので、ここは心を鬼にしなければならない。
「ほら、今日は村に人たちも手伝ってくれる日ですから、遅れないようにしないといけません」
 えいっと布団から引き剥がすと橙花はゴロゴロと横に転がり、少しだけ恨めしそうにエレナを見る。
「む~、エレナお姉ちゃんのいじわる……」
 恨まれてしまった。ふくれっ面の橙花をなだめてから身支度を整えて、村のはずれにある山道の入口へと向かう。そこには村長さんと青年団の皆さんが集まっていた。
 村長さんは二人に気が付くと頭を下げて、
「おはようございます。昨日はよく眠れましたでしょうか?」
「はい、おかげさまで」
 橙花はまだ半分は夢の中といった感じではあるものの、とりあえずこれでメンバーは揃った。
 天魔武者を想定した防衛計画の開始である。
 
●2
 太陽が高くなってくるにつれて、夏の暑さも本格的なものとなってくる。
「うー、本当に暑いねー」
 蝉しぐれを聞きながら山道を進む。村長さんの話では、かつてはこの道を松尾芭蕉が通ったこともあったんだとか。
「松尾芭蕉か~、橙花にも何か良い句が降りてこないかな~」
 でもって、句碑が残っちゃったりして~と笑う橙花。
 そんな雑談を楽しみながら歩き続ければ、山道はやがて天正大戦国との境界にほど近い場所へと辿り着く。
 エレナは周辺地図を開き、皆を集めて、
「これまでの傾向からではありますが、想定される敵種族・天魔武者は飛行能力を有する個体が少ない可能性が高いと思われます」
「たしかに、いかにも鎧武者って感じで、空を飛んでくるのは少ないかも~」
 これまで出会った天魔武者を思い浮かべながら橙花も頷く。
「そのため、ディヴィジョン境界の霧を越えてくる敵の進軍経路はある程度は予想できるのではないかと思います」
 そこで、土地勘のある村の人々の出番というわけだ。
 皆で地図を囲みながら検討を重ねて、可能性の高い場所を洗い出してゆく。その要衝に出張所を建てるのが、エレナの計画である。

●3
 場所が決まれば、あとは建設。ここ十日ほどはそれに尽きた。
 山地と人里の間に旅団出張所を整備してゆく【天剣絶刀】。
 その構造は、パラドクストレインを利用しやすくするよう、鉄道の駅を模したものだ。
 もし山岳地帯で敵の侵攻が確認された場合には、速やかに旅団員がトレインで乗り付け、近隣の村々に避難勧告が出来るようにしようというわけである。

 おおまかな防衛計画としてはこうだ。
 まず、敵を山地で足止めして時間を稼ぎ、住民を十分に離れた避難施設へ誘導する。
 現地自治体関係者を中心に避難用地図を作り、警察官を中心とした有志に先導してもらい、同時にフライトドローンを活用して移送困難な人を搬送してゆく。
 これにより戦場となる地域から、安全に近隣の人々を避難させることが出来るはずだ。
「あとは、敵の進軍経路となりそうな道を予めセルフクラフトで塞いでおいて、より足止めが出来るよう、侵入者があれば道を崩落させるなどのトラップを用意しておけば……」
 と、駅舎で防衛計画書のまとめを作成しながら、エレナは「ふぅ」とひと吐息をつく。

 近隣の村々の協力もあって、出張所の建設はもうすぐ終わる予定である。
 とはいえ、ここ数日間は建設作業の指揮で根を詰めすぎてしまった気がする。
 結果として、せっかくの夏休みにも仕事を詰め込んでしまったことにエレナは苦笑。
「つき合わせてしまった橙花には、悪いことをしてしまいました」
 と、駅舎の窓から暮れなずむ夕日を見つめていると、コンコンと扉を叩く音が聞こえた。
 どうぞ、と促せば入って来たのは橙花だった。
「エレナお姉ちゃん、お仕事終わった?」
「はい、出張所も明日には完成ですよ」
 そして、夏休みらしいことが出来なかったことを謝ろうと思ったそのとき、
「ねねっ、それなら」
 橙花は向日葵のような笑顔で微笑み、エレナの手を引いた。
「みんなで、きゃんぷしようよ!」

●4
 村の人たちも集めて、橙花が主催のキャンプが開催されてゆく。
「手伝ってくれた人のために、飲み物や食べ物を用意してあるよっ!」
 と、皆のために甲斐甲斐しく駆け回ってゆく橙花。
 きっとこの日のために、裏で準備を進めていたのだろう。出張所の建設もたくさん手伝ってくれていたのに、とエレナは驚くほかない。
「もちろんエレナお姉ちゃんにもちゃんと用意してあるよー」
「あ、ありがとうございます」
 冷たい飲み物を受け取りながら、エレナは思う。
 もしかしたら橙花は、私の夏が仕事だけで終わってしまわないようにと考えて、ここまで付いてきてくれたのかも、と。
 
 キャンプはそのまま出張所完成の前祝いとなってゆく。
 篝火を広場の中央に焚いて、その炎を囲みながら皆で飲めよ歌えよのお祭り騒ぎだ。
 かくし芸やら一発芸の飛び交う中、やがてお鉢が回ってきた橙花は少し考えて。
「えと、それじゃ神楽の舞でも披露してみようかなー」

 巫女服に着替えてきて、篝火の前に立つ橙花。
 シャンと神楽鈴を鳴り響かせると、まるで神々が合いの手をうつように『やまびこ』をかえしてくる。
「うん、この地は大和の国、古の歴史が刻まれた土地。
 平安京出身の私にも、親和性が高い所だよー」
 静謐に、それでいて情熱的な巫女の舞。
 篝火に照らされたその金髪が、まるで炎のように揺らめく。
 橙花が揺らめく炎に合わせて踊っているのか、炎のほうが橙花に合わせて揺らめき踊るのか――。
 人ならざる存在を降ろしたようなその神秘的な踊りに、人々は息を飲む。
「妙見尊星が王に奉る……この地に集いし人々に、平穏な日々があらんことを」
 舞い終えたら元の表情豊かな狐に戻って、ぺこりと一礼する橙花。
 拍手と歓声が爆発する。

 エレナのところへ駆け戻ってきた橙花は「どうだったー?」と、少し照れた様子で聞く。
「とても、綺麗でしたよ」
 なんだか簡素な答えになってしまったが、それ以上の言葉も思い浮かばなかった。橙花はパッと顔を綻ばせて、再びエレナの手を引く。
「じゃ、次はエレナお姉ちゃんも一緒に踊ろうよ! キャンプファイヤーだよ!」
 見れば、篝火の周りではすでに村の人々が輪になって踊っていた。
「そうですね。これもひと夏の思い出です」
 エレナは頷き、自分もその輪の中に入ってゆくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

クーガ・ゾハル
ケペシュ(g06831)と協力りぞーと

夏だ、ナツヤスミだ、ヨコスカ海辺のヒミツ基地だ
おれたちも、いっぱいハシャごう

怪力無双とセルフクラフトでピラミッド風、なんてどうだ
墓……つまり、ゆっくりできるとこだよな?

エアコン(冷気)カンビで
中はハンモックと、プールと……えーとあと
星がみえるマドもあればいいよな
あついからな、みんなが、すずしくヒトヤスミできるぞ

ヒンヤリ冷気のふきぬける、基地のテラス
植物活性ヤシの木陰のベンチで
エジプト・シュッチョー・りぞーとだ
へへへ、ドレイ時代にたくさん、ソーゾーしたからな
こんなところ、あったらいいなって

こういう時は、これつけるといいらしいぞ
ケペシュの背中にサンオイルをザツにぺたぺた
うーん、こうかな
キズあとの多い背をしずかにいたわって
これでキレイにコンガリだ
次はコショーと、タレかな
なんだよ、ジョーダンだぞ……え、おれも?

陽にさらされた背のうえに
かわいた小さいヒトデをこっそりのせて
できあがりを楽しみに
これで夏がおわるまでは、星がいっしょだ

へへ、なんでもない


ケペシュ・ナージャ
クーガ(g05079)と【alf layla】で

もう子供じゃないんですからそんなにはしゃぎませんよ
ですが秘密基地というのは悪くない響きですね
やってやりましょう
海辺にささやかなリゾートを作りましょうか、さながら砂漠の中のオアシスのような

ピラミッドですか
俺たちらしいモチーフですが墓ですよ、あれ
クーガがいいなら俺は構いませんが
それだけ設備が整っていれば安らかに眠れそうですね
星空が眺められるのは嬉しいです、一緒にソーダを飲みながらゆっくり星見ができると良い

クーガ、こういうの得意だったんですね……
自由な発想力があるというのか
などと妙に感心しながら俺も彼を手伝います

つめたっ……なんですかそれ、サンオイル?
よく分かりませんが、大人しく塗りたくられます
……って、なにを美味しくいただこうとしてるんですか
まったく、罰として後でクーガもサンオイルの刑ですよ

背負った星には気が付かずに、貴方との暫しの休息を満喫しましょう


●1
 夏休み。
 燦々と輝く太陽と、眼前に広がる碧い海。おまけに目の前には白い砂浜があるとしたら、するべきことは一つである。
「夏だ、ナツヤスミだ、ヨコスカ海辺のヒミツ基地だ~!」
 瞳を輝かせながら駆け出すのはクーガ・ゾハル(墓守・g05079)。
 一歩一歩と踏みしめる砂浜は、太陽の光を目一杯に浴びてちょっと熱いくらい。だが、そんな足裏の熱さも、どこか日常から外れた感じがあって楽しい。
「おれたちも、いっぱいハシャごう!」
 と、同意を求めて後ろを振り返るクーガ。だがしかし、すぐあとを追いかけてきているはずのケペシュは遥か後方。ようやく国道沿いのガードレールを跨いでいるところであった。
「もう子供じゃないんですから、そんなにはしゃぎませんよ」
 と、ケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)はいつも通りの冷静。
「……こんな時くらい、羽をのばしてもバチはあたらない気がするぞ……」
 と、肩を落としかけているクーガに、ケペシュは少し考えて――。
「ですが、秘密基地というのは悪くない響きですね」
 クーガの表情がパッと太陽のように輝く。
「だろ! ふたりで協力りぞーとだ!」
「やってやりましょう」
 えいえいお~と拳を振り上げる二人。
 というわけで、【alf layla】出張所建設作業の始まりである。

●2
 場所は決まったので、お次は建設計画である。
「ケペシュは、なにかイメージある?」
 と、クーガに問われて、ケペシュは「そうですね」としばし考えながら周囲を見渡す。

 目に留まったのは白い砂浜。その光景は、どこか故郷の地を連想させる。
「海辺のささやかなリゾートを作りましょう。さながら砂漠の中の……」
 と、そこまで言葉が出て、自分でも少し驚く。正直なところ、ケペシュには故郷にあまりいい思い出がない。

 黄金の瞳を持たぬものは王族にあらず。

 そう疎まれ、蔑まれていた日々。それでも、やはり故郷だったのだろう。
 ふと思い出すのは母の瞳だ。湖水のように深い蒼。慈愛に満ちたその瞳はまるで――。
「……オアシスのような」
 クーガがニッと微笑み、「それ、いいな」と頷く。
 真正面から自分の瞳を見られてる気がして、すこし照れる。
 コホンと咳払いするケペシュ。
「クーガこそ、どうなんですか?」
 その言葉に、クーガはよくぞ聞いてくれましたのポーズ。
「怪力無双とセルフクラフトでピラミッド風、なんてどうだ?」
 いよいよ故郷らしくなってきた。
「ピラミッドですか。俺たちらしいモチーフですが……墓ですよ、あれ」
「墓……つまり、ゆっくりできるとこだよな?」
 むしろ『ゆっくり』を越えて、『安らかに』まで足を踏み入れている気がするのですが……。
「クーガがいいなら、俺は構いませんが」
 まあ、ピラミッドの建設は王が存命の間にコツコツと進めておくのがセオリーではあるし、アリといえばアリなのかもしれない……

 ●3
 というわけで、いざ建設である! 我らが建設大臣はクーガ・ゾハル!
「まずエアコン(冷気)カンビで、中はハンモックと、プールと……えーと、あとあと」
「それだけ設備が整っていれば安らかに眠れそうですね」
 快適すぎて、そのまま永き眠りについてしまわないか心配になるレベル。
「あついからな、みんなが、すずしくヒトヤスミできるぞ」
 と、キラキラと瞳を輝かせるクーガの勢いはとまらない。
「あとは、星がみえるマドもあればいいよな」
「星空が眺められるのは嬉しいです、一緒にソーダを飲みながらゆっくり星見ができると良い」
 さらにさらに、アイディアはとまることなく溢れ出す――。
「ヒンヤリ冷気のふきぬける、基地のテラス。
 植物活性ヤシの木陰のベンチで、エジプト・シュッチョー・りぞーとだ!」
 まさにトントン拍子で計画を進めてゆくクーガ。
「クーガ、こういうの得意だったんですね……。自由な発想力があるというのか」
「へへへ、ドレイ時代にたくさん、ソーゾーしたからな。こんなところ、あったらいいなって」
 意外なるピラミッド建設の才能。妙に感心しながらも、クーガを手伝ってゆくケペシュであった。

●4
 そんなこんなで、ひと夏のピラミッド建設作業の日々は瞬く間に過ぎてゆき――。
「いよいよ完成ですね。ですが……」
「ですが?」
「なんだか、肌がヒリヒリしませんか?」
 夏の日差しを目一杯浴びながらの建設作業。エジプト出身の二人といえど、こうなるのは致し方なしといったところか。
 だが、クーガは「ふっふっふっ」と得意げに笑い。
「こういう時は、これつけるといいらしいぞ」
 と、ケペシュの背中にサンオイルをザツにぺたぺた塗ってゆく。
「つめたっ……なんですかそれ、サンオイル?」
「うーん、こうかな」
 傷痕の多いケペシュの背中を静かに労わってゆくクーガ。
 その心遣いを察して、ケペシュは大人しく塗りたくられておくことにする。
「これでキレイにコンガリだ。
 え~と、次はコショーと、タレかな」
「……って、なにを美味しくいただこうとしてるんですか。
 まったく、罰として後でクーガもサンオイルの刑ですよ」
「なんだよ、ジョーダンだぞ……え、おれも?」
 ケペシュが笑って、クーガも笑う。
 思えば、せっかくの夏休みだというのに、ピラミッドの建設作業に熱中しすぎて全然遊んでいなかった気がする。だから今日ぐらいは、こうして過ごすのも悪くないだろう。

「よしっと」
 陽にさらされたケペシュの背のうえに、こっそりとかわいた小さいヒトデを乗せるクーガ。これで仕込みは完了、あとはできあがりを楽しみに。
「これで夏がおわるまでは、星がいっしょだ」
「何か言いましたか?」
「へへ、なんでもない」

 奴隷だった頃に見上げていた夜空。あのときは、手を伸ばしても届かなかった星。
 でも今は、ここにある。ともにある。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

エレナ・バークリー
最終人類史防衛計画について(報告)

本件について、以下の通り報告します。

1.概要
奈良県南部山岳地帯の村落に、パラドクストレインの利用を前提とした出張所を設営しました。
現地関係者とも連携を図り、協力を取り付けることに成功しています。

2.設備
パラドクストレインの規格に合わせたプラットフォーム等を複線で建設し、下車したディアボロスが現地へ速やかに向かえる構造を採用しました。
出張所の機能は駅舎に集中して、簡易にまとめています。

3.地域住民との関係
出張所建設計画を打診した時から住民は非常に協力的であり、計画段階から現地住民からの有形無形の支援を多く受けました。
住民の避難計画策定は、現地の協力がなければ完成をみなかったことは間違いのないところです。
出張所の完成に際しても祝賀行事を行っていただいており、今後も定期的に訪問して協力関係を維持する努力を継続する方針です。

4.天魔武者の侵攻
実際に天魔武者の侵攻が起きた際は、山地の遅滞工作で時間を稼ぎ、ディアボロスの到着までに住民が避難出来る時間を確保します。



 祭りの夜が終わり、朝日が山間から登ってくる。
 駅舎の一室に戻ったエレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は窓から朝焼けの景色を眺めて「ん~」と身体を伸ばし、最後の一仕事に取りかかる。
「さて、最後の仕上げですね。まずは……」

1.概要
 奈良県南部山岳地帯の村落に、パラドクストレインの利用を前提とした出張所を設営しました。現地関係者とも連携を図り、協力を取り付けることに成功しています。

 村長さんと青年団の皆さんを始めとして、今回の建設には多くの人達に手伝ってもらった。彼らの協力が無ければ、完成はまだまだ先のことになっていたに違いない。
「次に……」

2.設備
 パラドクストレインの規格に合わせたプラットフォーム等を複線で建設し、下車したディアボロスが現地へ速やかに向かえる構造を採用しました。
 出張所の機能は駅舎に集中して、簡易にまとめています。

 備えあれば憂いなし。平時から備えておくことこそが防衛の基本。
 今回建設した【天剣絶刀】の出張所は有事の際を強く意識した作りである。
「景観としては、山の中の秘境駅といった感じですね」
 これはこれで趣がある、かもしれない。
「そして……」

3.地域住民との関係
 出張所建設計画を打診した時から住民は非常に協力的であり、計画段階から現地住民からの有形無形の支援を多く受けました。
 住民の避難計画策定は、現地の協力がなければ完成をみなかったことは間違いのないところです。
 出張所の完成に際しても祝賀行事を行っていただいており、今後も定期的に訪問して協力関係を維持する努力を継続する方針です。

 祝賀行事。昨晩のキャンプファイヤーを思い出して、エレナはくすっと小さく微笑む。
 あの踊れや歌えやのドンチャン騒ぎと、篝火の前で舞い踊る少女の姿。
 働き詰めの夏休みとなってしまったが、最後に良い思い出が出来たと言える。
「最後に……」

4.天魔武者の侵攻
 実際に天魔武者の侵攻が起きた際は、山地の遅滞工作で時間を稼ぎ、ディアボロスの到着までに住民が避難出来る時間を確保します。

 いずれ来たる天魔武者との決戦。その時のためにも、今回のような事前の準備と、自己の鍛錬を怠らないようにしなくては――。

 と、エレナが報告書を書き終えて一息つくと、コンコンと執務室の扉を叩く音が響いた。
 どこかおずおずと、遠慮がちに、「お仕事終わった?」と問いかけるかのようなそのノックにエレナは小さく微笑む。
 まだ少しばかり夏休みは残っている。今日は羽を伸ばして、一緒に残りの夏を楽しむのも悪くないだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年09月01日

夏の最終人類史防衛計画

 天正大戦国攻略旅団の提案により、天正大戦国と隣接した最終人類史の奪還済み地域の避難施設や避難計画の策定、防衛出張所の建設を進めることとなりました。
 同様の施設は《七曜の戦》前にも用意しているので、今回は《七曜の戦》で奪還した地域での対策を進めることになります。

 クロノヴェーダの侵攻があった場合、対抗できるのはディアボロスだけですので、ディアボロスが「旅団」の活動等を通じて定期的に訪れることが防衛強化と人々の安心に繋がります。
 そこで旅団長の方は万一の際に防衛拠点となる『旅団』の出張所をどこに設けるか決めた後、人々との交流で安心感を高めるような活動を行って下さい。
 今回の対象地域は【三重県北部地域】【三重県南部地域】【奈良県南部】【大阪府東部】【神奈川県横須賀市】となっています。

【🍉夏休み選択肢🍉】
 選択肢「【🍉夏休み】旅団出張所の建設&地域交流会」でプレイングが採用された方には、「2024夏休みアイコンフレーム」をプレゼント!
 獲得できるアイコンフレームのデザインはこちらで確認して下さい。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#最終人類史(新宿島)
🔒
#夏の最終人類史防衛計画
🔒
#🍉夏休み選択肢有


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選択肢『【🍉夏休み】旅団出張所の建設&地域交流会』のルール

 攻略旅団の方針に従い、天魔武者が最終人類史に侵攻してきた場合の避難施設としてどんな場所が良いかを考え、そこに旅団出張所を設けます。
 建設には現地の一般人(建設関連企業)も協力してくれます。
 旅団出張所を準備した後は、地域住民との交流もかねて、夏らしいイベントを楽しむのも良いでしょう。

※特殊ルール
 この選択肢は、旅団の団長が参加している必要があります(団長と一緒なら、団員の方も一緒に参加できます)
 団長は、出張所を建設する地域を【三重県北部地域】【三重県南部地域】【奈良県南部】【大阪府東部】【横須賀市】から1箇所選び、プレイングで指定してください。
 指定が無い場合は、プレイングが採用できない場合があります。

 旅団出張所を作成した場所に、天魔武者が侵攻してきた場合、旅団施設が天魔武者に襲撃させる場合、この選択肢で指定した内容での住民の避難や、防衛作戦などが行われます。

【🍉夏休み選択肢🍉】
 この選択肢でプレイングが採用された方には、「2024夏休みアイコンフレーム」をプレゼント!
 獲得できるアイコンフレームのデザインはこちらで確認して下さい。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、敵の大規模な作戦に影響を及ぼす。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『最終人類史防衛計画の報告』のルール

 このシナリオで扱った、最終人類史防衛計画の報告を行なってください。
 どの旅団が、どの地域に旅団出張所を設けたかと、主な活動目的が『避難』であるのか『防衛』であるのか、また、周辺住民との連携が良好であるかどうかなどの報告を行ってください(交流イベントを行った場合、連携が良好となります)。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。