リプレイ
エレナ・バークリー
オリュンピアの儀式も、強引な手に出てきましたね。クロノ・オブジェクトの追加発動とは。ですがそれも、空振りにさせてあげましょう。
初めての実戦ですよ、『コシュタ・バワー』。しっかり期待に応えてください。
『コシュタ・バワー』に「騎乗」して、強化前の敵群に突撃します。
機銃の射程に敵群を捉えたら、Black Bulletで機銃掃射。「衝撃波」で「蹂躙」してあげましょう。敵群の真ん中を一気に突っ切ります。「撹乱」には十分。
ディアナさん、援護感謝ですよ。
さあ、覚悟してください、ケンタウルスの残り物ども。
「一撃離脱」で「挑発」し、冷静な判断力を奪いましょう。まあ、元から狂乱しているようですが。
敵が吶喊してきたら、魔法障壁を多重展開して受け止めます。それ以前にスピードで振り切れればいいんですけどね。攻撃を食らったら、バランスを取るのを第一に。
それじゃ、折り返してもう一回群の中を中央突破しますか。
道を空けてください。邪魔ですよ、あなた方。私が進むところが道です。邪魔者は機銃で蜂の巣にしてあげましょう。
ディアナ・レーヴェ
最初から戦闘に介入して、トループス級が余り強くないうちに叩いちゃいましょう!
(爆走する馬たちの中に更なる大爆走の仲間を見て)
まさに「我が道を行く」って奴ね、エレナ! それ、援護するわっ!
彼女が横の動きで駆け回るなら、こっちは少し離れた後衛からの【Licht fällt】で上から狙っちゃいましょう。
…こんなすばしっこい相手にどう当てるか?
いやあこれだけ乱戦だったら外すほうが難しいでしょう!
っていうか外れそうなら禁句で着弾地点に誘導するわ。やーいやーい残ってるぅ!!
可能な限り積極的にとどめを刺して、数の利はさっさと潰させて貰うわ。
反撃?自爆特攻してくれるならむしろ歓迎ね。
だって、私を追えば追うだけ玉座が遠ざかるもの!
(そして倒れていく敵を見て、何やら満足げに微笑み)――「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」っ!
(※もしかして:そういう意味じゃない)
●狂乱爆走馬を討つ
『アーレスの玉座』の出現により、混沌の渦に呑み込まれたオリュンピア。
玉座の影響を受け狂乱するケンタウルス亜種は、あたかも暴走車の如く市中を駆け回っている。
悍ましい狂騒に満ちた戦場へと、愛機『コシュタ・バワー』と共に突入するのは、エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)だ。
「オリュンピアの儀式も、強引な手に出てきましたね。クロノ・オブジェクトの追加発動とは。ですがそれも、空振りにさせてあげましょう」
市中に訪れたのは彼女だけではない。手持ち式の『火砲』を抱え、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は眼前の敵を見据える。
「最初から戦闘に介入して、トループス級が余り強くないうちに叩いちゃいましょう!」
ディアナへと頷きつつ、エレナはクラッチレバーを離す。
「初めての実戦ですよ、『コシュタ・バワー』。しっかり期待に応えてください」
バイクが発進すると同時、空気を震わせるエンジン音。聞き慣れない音に、ケンタウルス亜種が振り返った。
何事かと驚く彼らへと、エレナは焚き付けるように言い放つ。
「さあ、覚悟してください、ケンタウルスの残り物ども。コシュタ・バワーのスピードに、ついてきてごらんなさい!」
風を切る白と漆黒が、敵群へと突撃した。敵の波を中心から真っ直ぐに切り裂きながら、『Black Bullet』を展開する。
「蹂躙してさしあげましょう」
弾丸が雨嵐の如く、ケンタウルス亜種たちへと刻まれる。突然の乱入は、敵を大いに動揺させた。
ただでさえ元から冷静さを欠いているというのに、エレナの強襲は彼らをさらなる混乱へと突き落とす。
「アアッ!? なんだコイツ速ェ!」
「追いつけねぇ……!」
ケンタウルス亜種たちがエレナを追う。ぐちゃぐちゃに入り乱れる戦場――さらなる混迷を極める状況に、ディアナが瞳の奥を光らせる。
「まさに『我が道を行く』って奴ね、エレナ! それ、援護するわっ!」
彼女が火砲を手に砲撃を叩き込む構えを取る中、数匹の敵が、必死の爆走でエレナに突撃せんとしていた。
「ヒヒイィン! 気合だァ!!」
前方から突撃をかまそうとする敵群を視界に捉え、エレナは不敵な笑みを浮かべる。
「気骨のある者もいるようですね。いいでしょう、そちらの方が走り甲斐があるというものです」
防御用の魔法障壁展開と同時、コシュタ・バワーの前面に装備された機銃が火を噴いた。迫り来る敵へと、再び弾丸が射出される。
「闇を撃ち抜け、黒の弾丸!」
繰り返し撃ち放たれるBlack Bulletの激烈な機銃掃射が、ケンタウルス亜種たちを穴だらけにした。
その攻撃は敵の体を容赦なく撃ち抜き、彼らの吶喊を妨害する。吶喊を防がれ、被弾した敵が声を荒げた。
「クソッ、脚を撃たれた!」
「まだだッ! 追い回せ――」
そんな彼らの頭へと、真上から砲弾が落ちた。砲弾は彼らの頭を撃ち砕き粉砕する。エレナに気を取られている敵群へと、ディアナの『Licht fällt』が降り注いだのだ。
数匹の敵が潰れたのを見届けつつ、ディアナは次の砲撃を撃ち放つべく火砲を構える。
「ふふっ、みんなエレナに夢中ね! でも、たまにはこっちも見てくれないと……今みたいに、頭が潰れちゃうわよ?」
「よくもやってくれたなァ!」
怒りを沸騰させた敵が、荒れ狂いながら迫り来る。自爆特攻大歓迎と、ディアナはわざと敵を煽るように捲し立てた。
「やーいやーい残ってるぅ!! ケンタウルスが残ってるー!!」
「ぶひひぃーん!! ぶちコロスゥ!!」
容易く挑発に乗る。こうなれば動きは単純そのもの。いくら素早かろうと、弾を当てることに苦労はしない。元々乱戦状態なのも相まって、イージーモードの域である。
ディアナは再びLicht fälltを発射した。反撃から逃れるように後方へと退けば、敵は真っ直ぐに追ってくる。
「さあ、どんどん自爆特攻してくるといいわ。そうやって追えば追うだけ、玉座が遠ざかるもの!」
素直過ぎる突進の先は、砲弾の落下地点だ。当然、頭部を砲弾に破壊され、敵は攻撃の続行停止を余儀なくされる。
崩れ落ちる彼らを眺め、ディアナは満足げに微笑んでみせた。
「――『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』っ! ……使い所、合ってるわよね?」
最終的な目標……アヴァタール級を将とするならば、先にこの馬どもを倒す必要がある。なので、おそらく合っていると思う。
「ディアナさん、援護感謝ですよ」
全力で疾走し敵を攪乱しながら、エレナがディアナへと声を掛ける。エレナへと、ディアナは強気な笑みを返した。
「この調子で、さっさと潰しちゃいましょう!」
数を減らされながらも、ケンタウルス亜種たちは決して怯えることなく、ひたすらに狂乱し続ける。
「ひひぃいん! 兄弟が何人死のうと関係ねぇ!! オレが最後に生き残りゃいいんだ!!」
「生き残るのはオレだァ!!」
ディアボロスがいるにも関わらず、同族同士で殺し合いをしようとする。
アーレスの玉座の影響とはいえ、あまりの野蛮具合に呆れそうになるが、これが亜人クオリティ。
「道を空けてください。邪魔ですよ、あなた方。私が進むところが道です。邪魔者は機銃で蜂の巣にしてあげましょう」
エレナはアクセルを回し、ディアナは火砲の照準を合わせる。
「誰も生き残らせはしないし、玉座にも絶対に座らせないわ! この混乱は、私たちが制しましょう!」
エレナとコシュタ・バワーのハイスピードな立ち回りが敵群を混乱させ、それにより生じた隙に、ディアナが策略と天運の合わせ技で砲撃を叩き込む。
息の合った連携を繰り返し、夥しい数のケンタウルス亜種たちを消耗させていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎
えーと、強化前の時点で仕留めに行けばいいんだね。
蹴散らしやすいから大歓迎。
とりあえず『蹂躙者』で思いっきり轢き潰そう。
腕が多いけど人馬型ってだけでこいつらには挑発になってそうな気もするけど……
まあ、私は気にしない。
え、ケンタウルスの残りなんて言ってないよ?
お前達はそういうのじゃないもの。
だってほらえーと、適当に絵にでも描くと……
とかやって気勢を削げないかな。
人と馬があるでしょ、ケンタウルスになってるパーツがここで、お前達亜種がここ。
どっちにもないパーツ。人間の腰の部分だけが独立して蠢いてる哀れな生命体が存在したら、そいつこそケンタウルスの残りだよ、うん。
だからお前達はケンタウルスの残りなんかじゃない。
ケンタウルスの残りっていう個性さえ持てなかった方の哀れな何かだよ。
ひとしきり誤魔化したら、再び『蹂躙者』で跳ね飛ばして離脱しよう。じゃーねー。
……え、ダメかな?
誤魔化せなかったら仕方ない、突撃し合って真っ向からのぶつかり合いだね。
美空・旭
エレナさん(g00090)から声をかけて頂きましたが……何というか私が手を出さなくてもあのヘンテコなケンタウロスの残り物を片付けてしまいそうですね。
まあこちらはこちらで私らしく、こそこそ嫌らしくやらせてもらいましょう。天候予測、戦闘知識を駆使して弾道予測、砲撃技能で軌道を調整して塹壕掘りを生かしてインスタントトーチカで即席塹壕を作成、新兵器『Mod1』で射撃。反動はこれまた新兵器『Mod2』で相殺。飛行ユニットとしての仕事ではなく反動を殺すだけですが、今回はこれで問題ありません。
攻撃を受けた後、敵は此方に突っ込んでくるでしょう。これを繰り返して相手の動きを大雑把にですがコントロールします。簡易的な誘導弾ですね。
後はトーチカに身を潜めて自爆特攻による爆散、同士討ちを誘発するだけです。計略、と呼ぶにもお粗末な戦法ですが。要は馬? を玉座から遠ざけて倒せば良いわけで、これで勝手に弾け飛んでくれるなら目的は達している、と判断していいのではないでしょうか?
アドリブ、絡み、連携歓迎です。
●狂乱を鎮める蹂躙
激しい戦闘音が鳴り響く市内。先行して戦う仲間たちを援護すべく、シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)と美空・旭(悪辣軍師・g02138)が、戦場へと駆け付ける。
シエルシーシャは『呪具【縛る招き手ナックラヴィー】』を手に、淡々と言葉を紡いだ。
「えーと、強化前の時点で仕留めに行けばいいんだね。蹴散らしやすいから大歓迎」
旭もケンタウルス亜種たちの様子を確認し、戦況を把握する。
「エレナさんから声をかけて頂きましたが……何というか私が手を出さなくてもあのヘンテコなケンタウロスの残り物を片付けてしまいそうですね」
相変わらず元気に走り回ってはいるが、当初の数よりもだいぶ減っている。
宝玉へと呪詛を注ぎ込みながら、シエルシーシャは冷たい眼差しで敵群を見据えた。
「とりあえず『蹂躙者』で思いっきり轢き潰してくるね。ナックラヴィー、出番だよ」
呪具を核に纏め上げられた呪詛が、シエルシーシャを取り巻いた。彼女を包み込んだ呪詛は、ナックラヴィー本来の姿へと形を変える。奇怪で歪な、四腕の巨大な人馬だ。
シエルシーシャと同様に、旭も戦闘態勢へと移行する。射撃ユニット『Mod1』と飛行ユニット『Mod2』を展開し、狙いをケンタウルス亜種へと定めた。
「まあこちらはこちらで私らしく、こそこそ嫌らしくやらせてもらいましょう。せっかくですから、新兵器を試してみるといたしましょうか」
相手はトループス級。新たな武器を実戦に投入する機会としては打ってつけだろう。
かくして、ケンタウルス亜種の掃討作戦は加速する。
旭は『インスタントトーチカ』を発動し、市中の一角に簡易防御拠点を構築した。すぐさま塹壕の中に身を隠し、Mod1を構える。
高速で射出された弾丸は宙を駆け、ケンタウルス亜種たちへと嵐のように衝撃を浴びせた。
「ブヒヒィーッ!? いってェ! どっからだ!」
激昂する敵から目を離さず、旭は射撃ユニットの性能を確認する。Mod2が反動を相殺しているため、ブレも最小限だ。
Mod2のメインの役割は別にあり、反動の相殺は飛行ユニットとしての仕事ではないのだが、現状はそれで問題ない。
「命中精度は良好、実戦に用いても差し支えない性能です。無論、改良の余地はありますが」
「コソコソしてんじゃねぇ! 殺す!」
塹壕に身を隠す旭を発見した敵が、怒り心頭の状態で突っ込んでくる。
急速に迫る敵にも、旭は一切動じない。敵がそのように動くことは、既に予測済みだ。
「やはり来ましたね。待っておりましたよ。こちらが塹壕に隠れている以上、彼らは突っ込むしかありません」
横方向へと飛び退いて突進を回避する。塹壕に激突した敵はそのまま自爆し、爆炎を巻き上げた。爆風を受け流しながら、旭は自爆突進をわざとらしく褒め称えた。
「非常に素晴らしい突進です。その調子で、どんどん突っ込んで自爆してください」
倒れぬ旭へと、苛立ったケンタウルス亜種たちが、立て続けに迫る。だが、それも彼女の計略の内だ。
(「計略、と呼ぶにもお粗末な戦法ですが。要は馬? を玉座から遠ざけて倒せば良いわけで、これで勝手に弾け飛んでくれるなら目的は達している、と判断していいのではないでしょうか?」)
旭が知恵を用いて戦う一方で、シエルシーシャも彼女ならではの手段で戦いに臨んでいた。
『限定開封:狂瀾怒濤の蹂躙者』により呪詛を身に纏い、異形の姿となった彼女へと、ケンタウルス亜種がキレ散らかす。
「なんだそいつはァ! 煽ってんのか!?」
ナックラヴィーの姿が人馬型ゆえか。敵の怒りに、シエルシーシャは首を傾げた。
「え、ケンタウルスの残りなんて言ってないよ? お前達はそういうのじゃないもの。だってほらえーと、適当に絵にでも描くと……こんな感じかな」
人と馬が描かれた絵を見せて、シエルシーシャは懇切丁寧に説明してやる。
「人と馬があるでしょ、ケンタウルスになってるパーツがここで、お前達亜種がここ。どっちにもないパーツ。人間の腰の部分だけが独立して蠢いてる哀れな生命体が存在したら、そいつこそケンタウルスの残りだよ、うん。だからお前達はケンタウルスの残りなんかじゃない。ケンタウルスの残りっていう個性さえ持てなかった方の哀れな何かだよ」
ケンタウルスの残りと言われる方がマシなのではないか。ナイフのような言葉が、グサグサとケンタウルス亜種たちに突き刺さった。
「むずかしいこと言いやがって!」
「馬鹿にしてるのはわかった! 殺す!」
汚い罵倒を繰り返しながら、敵群が突撃してくる。そんな彼らへと、シエルシーシャは呆れたように息をついた。
「さっきから『殺す』ばかり言って、二番煎じもいいところ。やっぱり没個性だね」
深紅の眼を妖しく輝かせる。その輝きに呼応するように、呪詛で形作られた体が激しく蠢いた。
濃密な呪いを全身に巡らせ、シエルシーシャは疾駆する。
「ナックラヴィー! 呪え、鎧え、踏み躙れ! 呪詛をばら撒き、芯まで侵せ!」
災厄を具現化したかの如き怪物が、市中を暴れ回る。齎される破壊に敵群は蹂躙され、その身を砕かれていった。
――戦闘開始当初、山のように居たケンタウルス亜種。しかし現状、彼らは指で数えられる程度にまで減っている。
「目標達成まであと僅かです。気を引き締めてまいりましょう」
Mod1による射撃を決して止めることなく、旭はシエルシーシャへと声を掛けた。旭の言葉に、シエルシーシャは呪体を維持しながらも返す。
「うん、残りの亜種達も跳ね飛ばしてくるね。徹底的に蹂躙しちゃおう」
彼女たちは残存する敵を一匹残らず平らげる。かつて亜人たちが人々へとそうしたように、その命を蹂躙し、終わらせる。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
●
ケンタウルス亜種を掃討し、ディアボロスたちはオリュンピアの中央へと到達した。
そこではアーレスの玉座を巡り、アヴァタール級へと進化した亜人たちが、互いに殺し合おうとしている。
そこに居るのは儀式に臨むアヴァタール級だけでなく、儀式を守るよう命令されたトループス級も集結していた。
儀式を守るためディアボロスを狙うトループス級『アルテミス・アーチャー』。
彼女たちは獰猛な狩人の眼をギラつかせながら、ディアボロスの姿を探している。
「必ず儀式を成功させるわ……」
「邪魔するディアボロスは全員殺す……絶対に殺す、殺す、殺すころすコロス……!」
他方、彼女らが守る儀式に参加する『ディオメーデースの人喰い馬』も、目を血走らせていた。
炎のように赤い髪と尾を振り乱し、彼女は荒々しく咆哮する。
「立ち塞がる奴らを全員喰い殺して、アタシが勝者になるッ! 誰にも止めさせやしないよ!!」
エレナ・バークリー
いよいよ闘技場ですね。オリュンピア競技会は、私たちの手で完全に叩き潰してあげましょう。
持ち込んだフルートを「精神集中」して「演奏」して、「精神攻撃」「闇使い」の昏き深淵に潜むは悲劇従えし黒皇竜を行使。
暗闇の中だろうと、私のパラドクスは狙う必要もありません。さあ、その心を悲嘆で満たしてください。弓矢を番える手がまともに動けなくなるくらいに。
飛んでくる矢は、魔法障壁で防御します。
さすがにそれに任せて棒立ちなどはしませんけどね。メロディに合わせたステップで最小限の動きにより矢を避けていきましょう。私の曲に絡め取られた相手の矢など、まともに飛ぶかも怪しい。
あとは、防御は周囲の方にお任せしてしまいましょうか。
さあ、亜人ども。終わりの始まりです。『蹂躙戦記イスカンダル』も、間もなく無に帰する。ここでどれだけ足掻こうと、運命は変わりません。
だから、大人しく殺されろとは言いませんよ。精一杯抵抗して見せてください。私たちは、その更に上を行きます。
奪われた歴史を取り戻す戦いまであと僅か。ここで一手前進です。
ディアナ・レーヴェ
こういう殺し合って高め合う類の儀式、個人的には嫌いじゃないんだけどね――
……なんて、口に出したら他の復讐者に怒られちゃうかしら? 喧嘩はしたくはないから空気は読むわよ!
敵がこっちを狙ってくるなら、動きがわかりやすくてある意味助かるわ!
私は元より大した防御手段は備えていないけど、
矢を番えるその起こりを捉えて、行動中の味方の背を狙おうとする敵は端からどんどん叩き潰していこうとは考えてる。
あとは囲まれないよう、絶えず足を動かしたり、移動する味方を支援するように地形を崩す射撃を行ったりね!
――そおれっ、覚悟しなさい名前被りッ!
(※ローマ神話の「ディアナ」がギリシア神話のアルテミス相当であるからって言いがかりである!)
※ところで、私は普通に火砲で砲撃しているだけのつもりでいる。…いるんだけど、無自覚に発動しているパラドクスは【Wiegenlied】――フルートの音色や巫女の演舞に共鳴するよう、深く、静かに。
無意識である故に魅了すら漂白していく、狂乱の宴を鎮める死の静けさ。
…ん。おやすみなさい――。
●旋律と唄
アーレスの玉座が生み出した狂騒が、戦場を支配する。
正気を失った亜人たちを見つめ、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)はそっと瞳を細めた。
(「こういう殺し合って高め合う類の儀式、個人的には嫌いじゃないんだけどね――」)
……なんて、口に出したら他の復讐者に怒られちゃうかしら? 心の内で呟きつつ、その手にはしっかりと『火砲』を構える。
エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)も、落ち着き払った声色で紡いだ。
「いよいよ闘技場ですね。オリュンピア競技会は、私たちの手で完全に叩き潰してあげましょう」
演奏の準備はできている。フルートに指を添え、エレナは凛と敵を見つめる。
アルテミス・アーチャーたちが、二人の存在に気付いた。
「ディアボロスだわ!」
「殺せ、射殺せ!」
弓を構えて一斉に向かってくる。迫り来る女狩人に、ディアナはクスリと笑みをこぼした。
「本当に血気盛んなんだから。こっちを狙ってくるなら、動きがわかりやすくてある意味助かるわ!」
エレナも迫る闇を視界に捉える。
「同感です。正々堂々、迎え撃つとしましょうか。私の演奏を聴かせてさしあげます」
アルテミス・アーチャーたちが呪詛を撒き散らし、空間を闇に閉ざす。
闇の中であってもエレナが取り乱すことは無い。凪いだ湖面の如き眼差しで、広がる闇を受け止めた。
「暗闇の中だろうと、私のパラドクスは狙う必要もありません。さあ、その心を悲嘆で満たしてください。弓矢を番える手がまともに動けなくなるくらいに」
フルートに息を吹き込めば、魔竜の魂が目を醒ます。
『昏き深淵に潜むは悲劇従えし黒皇竜』――魂へと影響を与える破滅の音色が闇へと広がり、敵の精神を蝕んでゆく。
心を搔き乱され、アルテミス・アーチャーたちは弓を引き絞る手を震わせた。
「な、なんなの? この音は……!? 胸が締め付けられる……」
「屈するな! 撃てぇ!」
苦境の中、反撃に放たれた呪いの矢。それはエレナを狙ったものであるが、本来の鋭さとは掛け離れたものだ。
魔法障壁を展開しつつ、エレナは踊るようにステップを踏む。
障壁に弾かれ、或いは障壁にすら当たらずに通り過ぎ……狩人の矢は虚しく空を切った。
「ワルツを踊るより容易い。殺意が足りないのではないですか?」
エレナが流れるように紡げば、アルテミス・アーチャーの一人が唇を噛み締める。
「次は必ず射抜く……!」
「何度でも挑むと良いでしょう。倒れるまで、喰らい付いてきてください」
再び矢を番えんとする彼女へと、エレナは涼しく微笑んだ。それでいて、瞳は研ぎ澄まされた剣のようだ。
彼女は鋭き眼差しで、敵群を射抜く。
「さあ、亜人ども。終わりの始まりです。『蹂躙戦記イスカンダル』も、間もなく無に帰する。ここでどれだけ足掻こうと、運命は変わりません。だから、大人しく殺されろとは言いませんよ。精一杯抵抗して見せてください。私たちは、その更に上を行きます」
熱に浮かされた戦場を切り裂くように矢が飛び交う。
より苛烈さを増す戦いの中。激烈な矢の嵐に負けず、ディアナは火砲を撃ち上げた。
「――そおれっ、覚悟しなさい名前被りッ!」
言いがかりであることは自覚している。だが、それはそれとして、名前に共通部分があれば気に掛かるものだ。そんなわけで、掛け声ついでに言ってみたわけである。空気を震わせる衝撃が敵群へと撃ち込まれ、砂埃と爆炎を巻き上げた。
「怯むな! 進め!」
「ディアボロスを殺せ!」
硝煙の向こうから這い出たアルテミス・アーチャーたちが、魔力を帯びた舞を踊りながら弓矢を放った。
矢を番えるタイミングに合わせ、ディアナは次々に火砲から火花を咲かせる。
僅かでも油断すれば、囲い込まれるだろう。決してその場に留まらず、戦場を常に動き回り、隙を見せぬよう立ち回った。
――戦いの時は短く、それでいて永久に続くようにも感じる。矛盾した時間感覚の中で、ディアナは『Wiegenlied』を口ずさんだ。
(「……えぇ、《その夢の中に、天国がありますように》――」)
それは無意識下に眠る祈り。咲かせた火花は深紅の薔薇の如く。薔薇は天から降り注ぎ、毛布のように敵を包み込む。
「……なんだか、眠くなって……――」
舞いを止め、脱力した敵が崩れ落ちた。その様子に、ディアナは首を傾げる。
「倒せた、のよね? 思っていたのと違うけれど……苦しみながら死ぬより、ずっといいわね」
「ふわぁ、踊り疲れちゃった……」
またもう一人、眠るように力尽きた。どこか穏やかな死に顔に、ディアナは優しく微笑みかける。
「……ん。おやすみなさい――」
荒れ狂う矢の嵐も、飛び交う砲弾の衝撃も。エレナのフルートの音色とディアナの唄が重なり、共鳴し、調和する。
調和の先、体力も戦意も尽きたアルテミス・アーチャーたちが、次々と倒れていった。
「トループス級の殲滅を確認。……ふーっ、あとはアヴァタール級だけね!」
敵群の掃討を終え、ディアナは視線の先にアヴァタール級『ディオメーデースの人喰い馬』を捉える。
エレナも同じく人喰い馬へと目線をやった。
「奪われた歴史を取り戻す戦いまであと僅か。ここで一手前進です」
視線に気付き、人喰い馬も二人へと狂気に満ちた眼を向けた。その眼差しは、邪魔者に対する敵意に満ちている。
ディアナとエレナは各々の武器をしっかりと構え、人喰い馬と対峙する。
「弾の数は十分っ。さあ、本作戦の仕上げといきましょう!」
これまで以上の強敵を前にしても、朗らかに笑みを浮かべるディアナ。エレナも余裕の表情を崩さず、力強く告げた。
「ディオメーデースの人喰い馬……強化されたその力とやら、見せていただきましょう」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
エレナ・バークリー
やっと、『アーレスの玉座』が見えるところまで来られました。あれですか。
あなたをあれに座らせるわけにはいきませんよ。とはいえ、その体型でどう座るのか? まあ、どうでもいい話です。
クレイモアと精霊剣を抜いて、「精神集中」「念動力」「呪詛」で地の底の玉座は全てに君臨すを行使。
全力で走っているところに高重力をかければ、バランスを崩して地面に抑え付けられるでしょう。このまま身体を砕いて差し上げます。
ははっ、それで仕留めきれることも無し、ですね。
ですが、重力の頚城は確実にあなたを捕らえています。振るう腕も脚も、いつもより重いでしょう? そんな状態の攻撃をあしらうのなど、容易いこと。クレイモアとバックラーでさばきましょう。
「全力魔法」で出力を上げて、人喰い馬の身体にかかる重力をもっと強くしていきます。どこまで耐えられますか?
どうせなら『アーレスの玉座』を破壊したいですが、他にもまだ戦いは続いている様子。勝手なことをするのはまずそうです。
それに、まだこの相手も討滅しきれていませんしね。まずは眼前の敵を。
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎
さーて、この辺りの亜人は大体倒し終えたね。あとはこの暴れ馬だけか。
まあ、遠くを見ればあちこちまだ乱戦が続いてるみたいだけど……
うん、そこそこ減ってきたかな。みんな頑張ってるっぽいね。
さて、今は目の前の相手に集中しようか。
……せっかくの人馬相手だし、このまま『蹂躙者』でいこうか。
人馬呪体対人馬、ってことで真正面からぶつかっていくよ。
ただ、こっちは四つ腕、そっちは二つ腕。
まあそっちも加護とかもらってるんだし、この程度をズルいとは言わないよね?
……とはいうものの、さすがに並みのアヴァタールとは圧が違うね。
口ではともかく、軽い気持ちでかかれる相手じゃないか。
全部は無理でも、ヤバそうな攻撃はしっかり見極めて直撃を避けないと。
●加護を打ち破るべく
立ち塞がるトループス級を倒し、手近な狂騒は鎮まりつつあった。しかし、市内全体で見れば、未だ狂った戦は続いている。
ただ、今は目の前の相手に集中すべき時だ。シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は、眼前の『ディオメーデースの人喰い馬』を睨み据えた。
「さーて、この辺りの亜人は大体倒し終えたね。あとはこの暴れ馬だけか。まあ、遠くを見ればあちこちまだ乱戦が続いてるみたいだけど……うん、そこそこ減ってきたかな。みんな頑張ってるっぽいね」
トループス級の屍を乗り越え、エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は武器を堅く握る。
「やっと、『アーレスの玉座』が見えるところまで来られました。あれですか」
左右それぞれに構える精霊剣『Key of Gate』と『両手剣クレイモア』。得物は敵の姿をその刀身に捉え、光を反射する。
「忌々しい奴らだ……」
人喰い馬が牙を剥いた。猛り狂う狂暴な眼差しを真っ直ぐに受け止めて、エレナは淡々と返す。
「あなたをあれに座らせるわけにはいきませんよ。とはいえ、その体型でどう座るのか? まあ、どうでもいい話です」
シエルシーシャも宝玉を胸元に添え、力強く言葉を紡いだ。
「儀式はこれ以上進めさせない。必ずお前を倒して、阻止してみせるよ。一筋縄ではいかないだろうけどね」
戦の火蓋は既に切られている。あとはどちらかが倒れるまで、戦うのみだ。
人喰い馬が、激しく嘶いた。
「かかってきなッ! アンタらに勝てないようじゃ、勝者なんて務まらないからねぇ!」
人喰い馬が疾駆する。迫り来る敵を視界の中心に据え、エレナは二振りの剣を交差させた。精神を研ぎ澄まし、彼女は詠唱を地の底へと響かせる。
「魂は天に昇り、魄は地に引かれる。濁気宿せし現世の軀(からだ)よ、罪の根源たる大地の中心に全てを委ねよ」
『地の底の玉座は全てに君臨す』――喚び寄せるは冥府の呪縛。呪縛とは、重力そのものである。刺すような冷たさが、人喰い馬の体を撫でた。
「ッ……!」
瞬間、その体を高重力が捕える。その場に縫い付けられ停止する人喰い馬へと、エレナは重力の出力を上げていく。
「ははっ、それで仕留めきれることも無し、ですね。ですが、重力の頸木は確実にあなたを捕らえています。振るう腕も脚も、いつもより重いでしょう?」
人喰い馬の瞳が鋭く光った。
「たとえ重くとも、この力があればッ!」
強引に重力の束縛を引き千切った。エレナへと急接近し、硬い蹄を見舞おうとする。
クレイモアとバックラーを反撃の軌道に合わせることで、エレナは衝撃を受け止めた。
(「力任せかつ無軌道な攻撃……まさに暴れ馬ですね。重力を抜け出すほどの力は、アーレスの玉座の加護によるものでしょう」)
冷静に分析しつつ攻撃をいなしきれば、両者の間に一時的な距離が開く。
――やはり、強い。ひり付くような睨み合いの中、エレナは口元に笑みを滲ませる。強敵を前にしても、颯爽と。
「重力から逃れてみせましたか。しかし、果たしてどこまで耐えられますか。私にじっくりと見せてください」
人喰い馬は再び大地を駆け、『ポダルゴスの疾駆』を繰り出そうとしている。
『限定開封:狂瀾怒濤の蹂躙者』を展開するシエルシーシャは再び巨大な人馬呪体となり、人喰い馬を冷淡に見下ろした。
人喰い馬はシエルシーシャを見上げ、瞳をギラつかせる。
「ほう、アンタも馬なのか? 面白い!」
「こっちは四つ腕、そっちは二つ腕だけどね。まあそっちも加護とかもらってるんだし、この程度をズルいとは言わないよね?」
シエルシーシャは長く裂けた口を大きく開き、歪な肢体をゆらりと揺らした。湧き立つ呪詛は空気を侵食し、戦闘の熱ごと穢していくようだ。
直視するのが難しい程に悍ましい、ナックラヴィーの真の姿。だがその姿に物怖じせず、人喰い馬は笑った。
「ハッ、当然!」
躊躇なく向かってくる人喰い馬へと、シエルシーシャは意識を集中させる。
(「……さすがに並みのアヴァタールとは圧が違うね。口ではともかく、軽い気持ちでかかれる相手じゃないか」)
ただ暴れ回るだけでは、人喰い馬にダメージを与えることはできないかもしれない。
地面を蹴る音、縦横無尽に走り回るその姿。五感を研ぎ澄まし、シエルシーシャは敵の動きを捕捉した。
(「足音を聴いて、姿をよく見て、気配を感じて……――今。ナックラヴィー、踏み潰せ!」)
前脚を振り上げ、その蹄で人喰い馬を踏み潰す。
巨大な呪詛の塊に押し潰され、人喰い馬は「ぐうっ」と呻き声を上げるが、直後に鋭く咆哮した。
「ッどりゃあああッ!!」
ナックラヴィーの蹄を押し返し、反撃の蹴りを繰り出す。呪体越しでも響く衝撃に、急所を守りつつ受け流すシエルシーシャ。
「重い衝撃……直撃したら、ひとたまりもないだろうね」
やはりアーレスの玉座の加護を得た敵の強さは油断ならないと、改めて実感する。
パラドクスによるダメージは与えているものの、人喰い馬は未だ健在だ。
エレナは人喰い馬の反撃を躱しつつ、シエルシーシャの足元へと身を滑り込ませた。
「落ち着いて、着実に行きましょう。攻め手を重ねれば、必ず勝機は見えます」
エレナへとシエルシーシャは頷き、呪体にさらなるエネルギーを注いだ。
「うん、焦りは禁物だね……大丈夫、被弾は覚悟してるから。ヤバそうなのはもちろん避けるけど」
シエルシーシャは地面を蹴り上げた。敵の走りに対抗するように、彼女も大地を駆ける。
逆側から敵を挟み込むようにエレナも立ち回り、攻撃の機会を創り出さんと思考を巡らせた。
――疾走する人喰い馬を追い詰める戦いは、まだ幕を開けたばかりだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【スーパーGPS】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
ディアナ・レーヴェ
(敵の姿を確認すると軽く苦笑)
しまった将を射んと欲したら将まで馬だったわ。……ま、いっか!
私はまず、皆の戦闘音や狂乱の騒音に隠れるようにして、市街地の物陰をそっと回り込んでみる。
それから使用するのは【Zählen bis drei】――パラドクス中に用いる嘘はね、「みーんなーーッ!! もうなんか面倒になってきたから私あの玉座こわしてくるぅーー!!!」って!
えぇ、当たり前だけど大嘘よ!!
壊し方知らないし勝手に壊したら大変なことになるとか聞いてるし、っていうかそもそも玉座ってどれ???
ともあれこの発言で動揺した敵が、こっちに火を噴くなり轢き殺しにかかるなりしてくれればしめたもの!
誰かその隙だらけの背をさっくりやっちゃって頂戴ね。
火炎に巻かれたら慌てず騒がず、しっかり息を止めて肺を焼かれないように。
あとは足元に置いておいたアイテム「鉄板」の端を踏んで蹴り上げて、火炎の方向を逸らしながらさっと横手、エレナの障壁の陰に逃れましょう。
……いやまあ、鉄溶けると思うけどね? ノーガードよりはね!!
エレナ・バークリー
さすがに、加護で強化されたアヴァタール級は手強い。ですが、先程で、大まかなところは掴みました。
今度こそ終わりにしましょう、人喰い馬!
人喰い馬の周囲に「結界術」を展開して「捕縛」で脚を封じ、「全力魔法」「光使い」で煌輝嚇灼たる絶光の小庭を行使。
誰にとっても、頭上は死角。天上から降り注ぐ、「浄化」の力を宿した「連続魔法」の破邪の光線で「貫通撃」です!
猛り狂ってますね。炎の吐息が来ますが、先程それは見せてもらいました。
「火炎使い」で火伏の属性を持たせ、斜行展開した魔力障壁で受け流し、ディアナさんごと守るとしましょう。
直撃さえ凌げれば、あとは「忍耐力」で何とかできます!
結界が破られても「高速詠唱」で術式を繋いで、駆け回る人喰い馬を狙って空からの光線を撃ち続けます。
これ以上『蹂躙戦記』に一人の将も増やさせません。この地に集った亜人は全て、私たちディアボロスが刈り取ります!
私の光とあなたの炎、我慢比べに勝つのはどちらでしょうね?
間もなく決着ですよ。「精神集中」して光条の全弾命中を狙います。
美空・旭
本音は接近戦で重い一撃を入れたいところですし、体格差を生かしての不意打ちは得意とするところですが、すでにぶつかり合いしている中に滑り込んでうまく立ち回れる自信はありません。よって、次善の策として青龍水計で大量の水を叩きつけ攻撃します。相手は炎、火には水というのは鉄板です。
私は戦闘知識と計略が武器の軍師、ですが水使い、でもありまして水のパラドクスは主力です。距離を取って支援もしくは移動砲台に徹します。範囲と手数の勝負ならこちらに分があるかと。
「威力ではそちらが上ですね。なので……質より量、というやつで対応しましょう」
後は狙い、というよりは期待程度ですが【水源】ですね。水の中やぬかるみは力が入りにくいので、踏ん張りがききにくい。反動の相殺を阻害できるかもしれません。併せて【フライトドローン】も借りますか。一応飛行ユニット『Mod2』の補助はありますが、飛翔があるわけでもないので水場の影響がうまく出て来るならそれを避けるための足場として活用させてもらいます。
アドリブ、絡み、連携歓迎です。
●炎潰える時
大地を揺らすように、蹄の音が重く響く。『ディオメーデースの人喰い馬』との戦いは、炎の熱を引き連れて加速する。
乾燥した空気を静かに吸い込み、美空・旭(悪辣軍師・g02138)は思考する。
彼女にとって、『体格差を生かしての不意打ち』は本来得意とするところだが、現状で実行するのは難しい。
安定して立ち回るために為すべきことを、旭は十分に理解していた。
「本音は接近戦で重い一撃を入れたいところですが、すでにぶつかり合いをしている以上、最善策ではありませんね。よって、支援もしくは移動砲台に徹します」
旭の姿を視界に捉え、エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は頼もしく感じる。
(「頼もしい援軍ですね。後方からの支援は、彼女に任せておけば問題ないでしょう」)
ならば、自分は武勇を以て仲間を護りながら立ち回ろうと、エレナは心に決める。
一方で、アヴァタール級を目の当たりにしたディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は、先ほど己が発した決め台詞を思い返していた。
「しまった将を射んと欲したら将まで馬だったわ。……ま、いっか!」
ディアナは騒乱に乗じ、市街地の物陰へとそっと回り込む。大声を出せば、人喰い馬にも声が届く距離だ。
(「さあ、一芝居打ちましょうか」)
発動するのは『Zählen bis drei』。嘘を飾り付け、相手を惑わすパラドクスである。
すうぅっと大きく息を吸い込んだ直後、ディアナは声を張り上げた。
「みーんなーーッ!! もうなんか面倒になってきたから私あの玉座こわしてくるぅーー!!!」
大嘘である。壊し方も知らなければ、そもそも勝手に壊せるような代物ではない。そもそも玉座がどれかも把握していない上、作戦自体そういった方針ではない。そして、こちらの事情を眼前の敵が知るはずがないことも、十分に理解している。
当然、人喰い馬から返ってくる反応は、驚愕と怒りに満ちたものとなった。
「玉座を壊すだと!? ふざけた真似を!」
燃え盛る炎を口から吐きながら、人喰い馬はディアナを追ってきた。
迫る炎と共に、感じる激しい熱。ディアナは息を止めつつ、足元の『鉄板』を蹴り上げた。炎と鉄板が接触する、1秒もないであろうその僅かな時間。その間に荒れ狂う火炎から逃れる。
(「引っ掛かったわねっ! 3秒惑わせられればそれで良し! それだけ時間があれば――」)
ディアナの狙いはその3秒間にあった。人喰い馬の頭上に、無数の輝きが見える。
刹那、炎すら貫く光の柱が降り注ぎ、人喰い馬の頭から背に掛けてを容赦なく串刺した。
「ガ……ッ!?」
目を見開く人喰い馬。敵の反撃に備え魔力障壁を展開しつつ、エレナは流麗に問いかける。
「『煌輝嚇灼たる絶光の小庭』……光に捕らわれ、貫かれる気分はいかがですか?」
「チッ……」
口から血を吐きつつ、人喰い馬は舌打ちする。人喰い馬の狙いはエレナへと移った。
ディアナは炎に溶かされた鉄板へと目をやり、その悲惨な状況に心の中で叫ぶ。
(「うわぁ、やっぱりドッロドロに溶けてるぅ! ノーガードだったらどうなっていたかしら……!」)
実にギリギリの回避であった。
澄んだ眼差しと共に、エレナは光を湛える精霊剣を人喰い馬へと差し向ける。
「あなたは確かに手強い。ですが、先程で、大まかなところは掴みました。今度こそ終わりにしましょう、人喰い馬!」
「……あぁ、終わりにしようじゃないか。アンタらを殺してなッ!」
大地を踏み締め、人喰い馬は再び猛烈な火炎を巻き起こした。襲い来る『ラムポーンの輝炎』を、エレナは動じることなく迎え撃つ。
「猛り狂ってますね。炎の吐息が来ますが、先程それは見せてもらいました」
魔力障壁と火炎が衝突した。激しい炎がエレナを呑み込まんとするが、障壁による防御が彼女を守る。
炎の赤に視界が染め上げられたとしても、その身が焼き尽くされることは無い。ラムポーンの輝炎を凌ぎきり、エレナは堂々と宣言した。
「これ以上『蹂躙戦記』に一人の将も増やさせません。この地に集った亜人は全て、私たちディアボロスが刈り取ります!」
ディアボロスたちを思うように傷付けることができず、人喰い馬は激昂する。
「黙れぇッ!!!!」
怒りのままに火炎を吐き出す彼女を見据えつつ、旭は水が押し寄せる光景をイメージする。
(「一個体の強大さが、必ずしも戦場での強さに繋がるわけではないという事実を示しましょう」)
範囲と手数の勝負。圧倒的な量で差をつけ、勝利を確かなものとするのだ。『悟りの白羽』を掲げると、空間を引き裂いて激流が溢れ出した。
「威力ではそちらが上ですね。なので……質より量、というやつで対応しましょう」
扇を振った瞬間、激流は生き物のようにうねり、人喰い馬へと襲い掛かる。大量の水に押し流されそうになり、敵は脚を踏み締めた。
旭は周囲を満たす水場から逃れるように、フライトドローンへと飛び乗った。
「これが私の次善の策、『青龍水計』です。相手は炎、火には水というのは鉄板でしょう」
害意を持つ水流に巻かれながら、人喰い馬が吼える。
「それがッ、どうした!」
攻撃を必死に耐え、放たれた火炎放射は周りの水を蒸発させながら旭へと向かった。
「水の抵抗など物ともしませんか。ですが、元より期待程度。臨機応変に対処するのが軍師というものです」
旭は炎から逃れるように後方のフライトドローンへと飛び移る。炎が到達するまでの時間を稼ぎ、その間に防御の態勢を整えた。
よって、火炎が追い付くも、その炎熱が旭の体を焼くことは叶わない。
炎の威力こそ相変わらず強大だが、人喰い馬の肉体は傷付き、至る箇所から血を流している。
――終わりの時は近い。
「消耗していますね。間もなく決着ですよ」
エレナの構える精霊剣が、戦いの決着を目前に、刀身に刻まれた術式を清かに輝かせる。
エレナへと力強く頷き、ディアナも『火砲』を構え直した。次は自ら砲撃する気満々である。
「そうね、一気に畳み掛けましょう!」
一斉攻撃の態勢を取る彼女らへと、次こそは炎を完全に消してみせると旭も意気込んだ。
「炎を鎮火する準備はできております」
劣勢に追い込まれながらも、人喰い馬はなおも食い下がる。
「ハァ……ハア、ッ……アタシが、負けるわけないだろうがぁッ!」
息を切らしながらも炎を噴く人喰い馬へと、ディアナは流れるように紡いだ。
「いいえ、あなたは負けるわ。玉座を壊しちゃえば、勝者にはなれないわよね!」
本音と嘘の入り混じった言葉が、再び人喰い馬を翻弄する。
「また妙なことを!」
その発言の嘘に気付く暇など与えない。エレナは再びパラドクスを発動させる。
「最期の我慢比べと行きましょう。私の光とあなたの炎、勝つのはどちらでしょうね?」
「ぐうっ……!」
輝きから逃れようとするも、退路を塞ぐように旭の青龍水計が襲う。
「既に相当消耗しているはずです。傷だらけの体が、それを物語っています」
炎よりも猛々しい水の流れが敵の体を取り巻き、渦の中へとその肉体を沈ませてゆく。
「その炎、膨大な流水にて呑み込みましょう」
藻掻き逃れようとも、大量の水が次々に流入し、抜け出せない。
溺れかけている人喰い馬へと、エレナは再三破邪の光線を浴びせ、敵の思考も肉体も蹂躙する。
「ああぁァッ……!」
敵が激痛に悲鳴を上げるも、エレナは攻め手を緩めない。
「もう痛みを我慢できないようですね。この勝負、私たちの勝ちです」
神聖な光条は幾度も人喰い馬の体を穿ち、ついには地面へと縫い留める。
それでもなおしぶとく抵抗しようとする敵へと、ディアナは火砲の砲口を向けた。狙いをしっかりと定め、彼女は言葉から嘘を取り払う。
「色々言ったけれど……玉座をどうにかする前に、あなたを倒すわ!」
火砲が炎を噴く――発射された弾は、ついに敵の心臓ど真ん中へと風穴を開けた。
「う、そ……アタシが……負ける、なんて……――」
全身から血を噴き出し、人喰い馬はついに倒れ伏す。
亜人たちの狂乱……その一部分ではあるが、切り崩すことに成功したのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV4になった!