汚い嘘や言葉で操られたくないから(作者 西灰三)
#吸血ロマノフ王朝
#エカテリンブルクのラスプーチン
#エカテリンブルク
#怪僧ラスプーチン
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「……ディアボロスの行動は、まさに複雑怪奇。もはや、手段を選んでいる場合では無い」
ラスプーチンは自身が読み切れないディアボロス達の活動を前にして、ついにありえない手段にとりかかろうとしていた。
「冬将軍には申し訳ないが、アルタン・ウルクという毒をもって、ディアボロスと言う毒を制するしか無いだろう」
敵を討つために別の敵を招き入れるなど、発覚したら発言力どころか立場や命すら危うくなる行動ではあるのだが、彼はなまじ間近でディアボロスの実力と活動を認識してしまっているので己の判断でそうせざるを得ない。
「なに、ディアボロスであれば、侵入したアルタン・ウルクを全て撃破してくれるはずだ。であれば、吸血ロマノフ王朝の損害は軽微となろう」
確かにディアボロスならそういう動きをするだろうが、それはラスプーチンがディアボロスに対するある種の信頼を持っているからだ。
「ディアボロスは、私がエカテリンブルクに入った事は知らない筈だが……、油断はできない。準備が整うまで、エカテリンブルクの戦力に防衛を指示せねばな」
かくて背任とも言える作戦を独自に進めようとするラスプーチン。彼の一世一代の作戦が幕を開けようとしていた。
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「まあその動きは私たちに筒抜けなわけなんだけどさ」
森部・灯(全力全開高気圧バール!・g03325)はやれやれといった調子で話し始めた。
「攻略旅団の方針で、手切れになった怪僧ラスプーチンの撃破を狙うことになったよ。いやー長い付き合いだったね」
思えば機械化ドイツ帝国攻略戦からの付き合いである。その終わりもそろそろということだ。
「でもそのラスプーチンは配下をモスクワに残して、自分一人でモスクワから出て消息不明になったんだ。なったんだけど、別の攻略旅団の方針で調査を行った『エカテリンブルク』にラスプーチンが来てたのが分かったんだ」
こういう事があるのがラスプーチンにとって一番恐ろしい事だったと思われる。
「ラスプーチンの目的はエカテリンブルクの南の排斥力を下げて、アルタン・ウルクを吸血ロマノフ王朝に入れて私たちディアボロスにぶつける……つもりみたい。もう吸血ロマノフ王朝の排斥力はだいぶヤバそう」
タウリカ半島方面には蹂躙戦記イスカンダルから亜人が入り込んでいたりするので、かなり弱体化しているのだろう。
「まあでもそれを許すと吸血ロマノフ王朝の一般人にも大きく被害が出ちゃうから、急いでエカテリンブルクにいってラスプーチンの破れかぶれの行動を止めてきてほしいんだ」
とは言ってもエカテリンブルクはかなりの戦力が集まっているポイントだ。
「なんせすぐ近くにはアルタン・ウルクがいるわけだしねえ。ここの戦力はラスプーチン派閥じゃないけど、ジェネラル級のラスプーチンが『ディアボロスが、吸血ロマノフ王朝にアルタン・ウルクを呼び寄せようとしている』って嘘を吹き込んで、ディアボロス迎撃の為に出撃してるよ。まずはこれを一気に突破しないとラスプーチンには届かないよ」
そういう意味ではひたすら戦いを続けるシンプルな作戦ではある。敵防衛ラインは泥でぬかるんだ足場の悪い所に更に塹壕が掘ってあり、そこに飛行型の『蚊』が待ち構えているので簡単ではない。足場を気にして高く空中に出ようものならあっというまに集中攻撃で落とされるだろう。それらを撃破したら指揮官のオルロック伯爵と護衛のノーブルバトラー達との決戦となる。
「エカテリンブルクの部隊はかなりしっかりしたメンバーだよ。簡単にはいかないかな。でも余裕があったらラスプーチンの本当の目的を伝える事で疑いをもたせることができるかも。……まあ全滅させてもいいけど。基本的に信じてはくれないけど、ラスプーチンがなんかしようとした時に、とっさに動いて邪魔してくれるかもだし」
ただそれをやる場合はアヴァタール級の護衛が対象になるので、護衛を残したままアヴァタール級と戦うという更に難易度の高い戦いを求められるだろう。護衛をある程度削っておけば多少は楽になるだろうか。
「ま、でも基本はシンプルな作戦だよ。それじゃ頑張ってね、行ってらっしゃい!」
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「まさかディアボロス達があえてアルタン・ウルクを呼び寄せようとしているとは……。流石の私でもそんな恐ろしい事は考えつかなかったぞ……」
「全く恐ろしい相手ですな、ディアボロスというのは」
指揮下の蚊達を塹壕の中に潜ませ、その最奥で待ち構える伯爵と執事はこれから来る強敵に対し戦意を高めている。
「だがその企みもラスプーチン様のお陰で露見し、こうして対策も建てられるようになった。ならば後は彼奴らを追い払うのが私たちの役目という事だ」
「あの塹壕を超えるのは敵とて難しいとは思いますが、万が一の時はお供します」
かくて彼らはディアボロスを迎え撃つべく気炎を上げるのだった。
リプレイ
百鬼・運命
さてとアルタン・ウルクを引き込もうとは、ラスプーチンも厄介なことをしてくれるものだな
まあこちらとしてもモスクワで戦いとなって市民に被害を出すところは望むところではなかったので、出来ればモスクワの外におびき出して倒したかったし、そういう意味では結果オーライだが、ラスプーチンの企みはここで潰させてもらおう
さてまずは防衛ラインの突破だが…相手はデカい蚊か
普通サイズなら叩き潰して終わりだけど、ここまで大きいと厄介だな
更には塹壕に籠っていて、足場も悪い
一応、悪路を走破する為のホバースラスターを持ちこんでいるので、其方を装備
ついでに上手くいけば儲けものぐらいの感じで【土壌改良】で足場の改善を試してみよう
これで機動力が改善すればいいが…上手くいかない時のことも考え、基本的には遠距離戦で戦っていこう
ガトリングやミサイルを牽制に敵の意識を引き付け、敵足元から【黄泉逆矛】を射出しながら攻撃
足元からの攻撃なら塹壕もあまり関係なく、飛行する敵にも対空攻撃として攻撃して行けるだろう
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「さてとアルタン・ウルクを引き込もうとは、ラスプーチンも厄介な事をしてくれるものだな」
エカテリンブルクに近付くまでに広がる大地、一見平たいその領域だがその先からは放たれる殺気が百鬼・運命(ヨアケの魔法使い・g03078)に容易には通させないと知らせる。
「まあこちらとしてもモスクワで戦いとなって市民に被害を出すところは望むところではなかったので、出来ればモスクワの外におびき出して倒したかったし、そういう意味では結果オーライだが……」
そうだとしてもエカテリンブルクは大都市である。もしアルタン・ウルクが境界を来ようものなら人々の被害は甚大だろうし、良くてもラスプーチンと同時にアルタン・ウルクを相手にすることになるだろう。いずれにせよディアボロスには他の選択肢は無い。
「どちらにせよラスプーチンの企みはここで潰させてもらおう」
足に装備したホバーで僅かに浮き上がり泥を蹴散らしながらエカテリンブルク方向へと接近する運命。その音に反応してか蚊達が僅かに体を見せてパラドクスによる攻撃を運命に仕掛けてくる。
「くっ、早速か。ただのデカい蚊というわけじゃないな」
即座に彼も敵の見えた辺りを目標にパラドクスを放つが、あまり手応えが無い。敵は地形を利用し、ディアボロスの反撃を弱める戦い方をしているようだ。
「なら……燻り出してやる!」
塹壕のある辺りの地面にガトリングやミサイルを打ち込むが、それで迂闊に敵は飛び出してこない。運命は敵の気配を感じ次第パラドクスを放ち攻撃するが距離を取っての戦いでは中々突破をすることはできない。防衛に徹したエカテリンブルクの精鋭部隊、それはおそらく対アルタン・ウルクを想定したものでもあったのだろう。
「さすが、と言った所か……!」
エカテリンブルク防衛線、それを超えるには相当の困難を乗り越えねばならないようだ。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
フルルズン・イスルーン
なに? 足場が悪いけど高く飛ぶと撃ち落とされる?
ならば高く飛びすぎないでかつ大量に飛来物体を出して飽和攻撃が良いのである。
飛来物体は爆発するとなお良し。
それを実現させるのがこちら、コフィン・ゴーレムなのだ。
浮遊船葬墓スウォーム!
【フライトドローン】用の足場兼囮群と攻撃用の群を装填!
まず攻撃用群を突撃させての撹乱! 霊体戦乙女ゴーレムくんが突っ込み切り結ぶ!
と見せかけての爆破である。技能に爆破が付いてるからね。しょうがないね。
これで敵の頭数を減らしつつ警戒をさせる。迂闊に飛び込んだら不味いと思わせるのだ。
そこに操作用ドローンでこっそりと防空圏を抜ける。
撹乱用の囮ドローンも一応の逃げ道足場くらいにはなるでしょ。
一度陣を乱せば脆いもの。対空ゾーンは広くなると連携取れなくて収集つかないからね。
『蚊』の群れで密度を演出するのは良いけど、一度密度が薄くなると所詮は『蚊』なのだ。
バシバシ叩き落とすのだゴーレムくん達よ!
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「なに? 足場が悪いけど高く飛ぶと撃ち落とされる?」
フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は腕組みしながら考える。
「ならば高く飛びすぎないでかつ大量に飛来物体を出して飽和攻撃が良いのである。飛来物体は爆発するとなお良し」
爆発はロマンだし、使用技能にもそう書いてある。
「それを実現させるのがこちら、コフィン・ゴーレムなのだ!」
そう言って彼女が浮かべたのは複数の小舟、中には霊体の女性型ゴーレムが入っている。ゴーレムなのかゴーストなのかどっちなのだろう。
「行け! 浮遊船葬墓スウォーム!」
浮かべた船葬墓が塹壕に向かって突撃し、下にいる蚊にけしかける。
「……ん?」
ここで違和感を覚えるフルルズン。なんか敵が塹壕から出てくる気配がまったくない。いや容赦なく逆説連鎖線による反撃をする時はちょろっと顔出しているが、外には出ない。これは彼らの勝利条件が防衛であり、わざわざ自分達に有利な地形を捨てることはない、という話なのだろう。
「………」
そしておもむろに彼女は先行して進めているフライトドローンを見た。多分あれに乗ってると、塹壕に潜んでる敵から集中攻撃を受けて仕留められると思われる、優先的に殴られるのはディアボロスなので。この手の残留効果はその効果以上の力を発揮することはないし、加えて戦闘に使えるものはほとんど無いのである。
「………よし! 爆破!」
発明には上手く行かない事がつきものである、そういう時はとりあえず爆破すればなんとかなるものだ。きっとおそらくメイビー。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
マティアス・シュトローマー
塹壕戦ねえ…
砲撃にも上手く対応してくるところを見るに遠距離からの攻撃だけじゃ突破は難しそうだね
ちょっと――いや、かなり泥臭いけどやるしかないか
これまでの戦いで飛んできた反撃の軌道から、塹壕内の敵の大まかな位置を推測。守りの手薄な部分や防御上の死角を見極め、そこを目指して前進しよう
その際泥土に馴染む迷彩服に身を包み、障害物(もしくは先の戦闘で地面が抉れている箇所)があればそこに身を隠しながら、無い場所では塹壕内から発見されないよう匍匐前進で近付いていく
この時【浮遊】を使って地面から僅かに浮き、泥土に触れないよう注意
あの『蚊』はかなり耳が良いみたいだからね
物音を立てないよう慎重に進もう
目的地に到着したら塹壕内に飛び込みパラドクスを発動。威力の高い単体攻撃で付近の敵から素早く倒していく
腹が減ったんなら一時休戦するのはどうかな?
俺はまだまだいけるけど!
反撃はライオットシールドで心臓周辺を集中的にガードする事で受けるダメージを軽減。能力値アップの効果を乗せた反撃で敵を撃破し、防衛ラインを突破しよう
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「塹壕戦ねえ……」
中々突破に至らない先行隊と敵の動きを見ていたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は顎に指を当てて思案する・
(「砲撃にも上手く対応してくるところを見るに遠距離からの攻撃だけじゃ突破は難しそうだね」)
守りに徹している敵を食い破るのは簡単ではないだろう、その手段を思いついた彼は一つの案を思いつき、そして一つのため息を付く。
「ちょっと――いや、かなり泥臭いけどやるしかないか」
泥色の迷彩服を調達してきた彼は、身を伏せてから僅かに浮かぶ。これまでの戦いでさらに荒れた戦場には幾つかの凹みがあった。つまりはかつての戦争と――最終人類史に語られる近代戦と同じ戦術。敵に見せる面積を減らしつつジリジリと距離を詰める戦い方だ。幸い、浮遊しているので音もなく速度も一般人が匍匐前進するよりは早い。それでも歩く程度だが。
(「耐えろよ、俺」)
それでも塹壕に近づけば敵から攻撃を受ける機会は増える、爆ぜる泥が降り注ぎ濁った水が目に入る。それでも諦めずに塹壕にたどり着いた彼は飛び込んで先程攻撃を見舞ってきた蚊をすぐに見つけた。
「Eins,zwei,drei!」
即座に敵に鬱憤を晴らすようにマティアスは蹴り掛かり、蚊は壁に叩きつけられる。
「腹が減ったんなら一時休戦するのはどうかな?」
踏み込まれ攻撃を受けた蚊が動きを鈍らせたのに対し、彼はそんな言葉を投げかける、がその返事が返ってくる前にもう一度踏みつけるような蹴りが蚊を強かに打つ。
「俺はまだまだいけるけど!」
そのまま敵を蹴り潰した彼はこれまでの鬱憤を晴らすかのように、塹壕に潜む敵を撃破していくのだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
レイラ・イグラーナ
流石に精鋭ですね……
ですがここまでの攻撃で確かに敵も数を減らしています。
押し切りましょう。
この辺りに私たちが利用できる障害物はなく、逆説連鎖戦において距離は重要ではない……ならば、踏み込みましょう。
塹壕に籠る敵を上空から狙うためではなく、ぬかるんだ地面を素早く走破するために地面すれすれを浮かぶ【飛翔】。塹壕へと突き進みます。
まっすぐに進めば自由に動けず狙われることにはなるでしょうが、それは離れていても同じこと。波の刃による傷は覚悟の上で防刃コートChat Noirを纏い、まずは回避することよりも素早く突破し敵の籠る塹壕内に入ることを重視します。
ここまでの戦いでこちらが遠距離から攻撃を行う印象をつけられていれば幸運ですね。
塹壕内に飛び込めたなら【手製奉仕・飛】。塹壕内を飛び回りながら銀の針を投擲し、蚊の集団を穿ちます。
こちらも傷を負っている。【ダメージアップ】を始めとした各種残留効果で短期決戦を挑みます。
対アルタン・ウルクを想定した精鋭部隊……倒すことの今後への影響も大きそうですね。
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「流石に精鋭ですね……」
レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)はこれらが元々アルタン・ウルク対策の兵士であることを確認する。
「ですがここまでの攻撃で確かに敵も数を減らしています。押し切りましょう」
難関であるこのポイントさえ抜ければ後はここ程は厳しく無い。彼女は意を決して体を中に浮かせる。
「この辺りに私たちが利用できる障害物はなく、逆説連鎖戦において距離は重要ではない……ならば、踏み込みましょう」
【飛翔】による低空飛行。主に冥海機ヤ・ウマトでの海上戦で行われることの多い戦術だが、明確に足場が悪く高空を取れない戦場ならば選択肢として選ぶものの一つだ。もちろん目立たない訳では無いが、不利な状況をできるだけ短くし敵の塹壕に素早く飛び込めば地形の有利不利は五分五分にまで持ち込める。
「……!」
波の刃が彼女の防具ごと肉を裂く、しかし致命の一撃になる程には深くない。しかし何度も防刃コートは耐えてくれないだろう。それに幸い敵はディアボロスが高速で突っ込んでくる事を想定していない。
「届きました」
するりとレイラは塹壕内に入り込むと、銀の針を存分に投げつけて蚊の群れを撃ち落としていく。虫のような姿をしているがその動きは相当に訓練された兵士のそれと変わらない。
(「これが対アルタン・ウルクを想定した精鋭部隊……倒すことの今後への影響も大きそうですね」)
もし仮にラスプーチンの目論見が達成されれば、エカテリンブルクは無防備にアルタン・ウルクを前にする事になるだろう。その時果たしてディアボロスはどう動けばいいのか、そうはならぬよう彼女は突破口を開くためにパラドクスを放つ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
レイラ・イグラーナ
塹壕を突破して先へと進み、続く敵部隊と出くわしたなら声をかけましょう。
そうですね、仰るように、簡単な防衛線ではございませんでした。
人の姿はしておらずとも、その実態は良く訓練された兵士といったところ。
ですが、私たちも立ち止まれぬのです。アルタン・ウルクを吸血ロマノフ王朝に呼び込まないために。
聞いていた情報と違うことにあちらが反応を示せばさらに話を続けます。
貴方たちはそう聞いているのですね。
残念ながら、貴方たちの考えや彼の言葉を否定できる、確たる証拠は持っておりません。
そして、貴方たちが私たちより彼の言葉を信じるのもまた頷けること。
ですが……これまで私たちは各大領地やモスクワなどでの戦いを始めとし、常に吸血ロマノフ王朝への従属から人民を解放するために戦ってきました。
今回のことに、違和感は覚えませんでしたか?
そのような手段を選ばぬ、恐ろしい策を用いる者に……身内に心当たりはございませんか?
エカテリンブルグの防壁を破壊し、アルタン・ウルクを呼び込もうとしているのはラスプーチンその人です。
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「オ、オルロック様……」
「どうした?」
「ディアボロス達が防衛線を突破してこちらに来ています……!」
「何だと! あの防衛線をか!?」
「間もなくここに来るでしょう、迎撃準備を!」
急な戦況の変化に慌ただしく動く司令部、その最中にレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が飛び込んでくる。
「本当にあれを突破してきたとは……!」
「そうですね、仰るように、簡単な防衛線ではございませんでした。人の姿はしておらずとも、その実態は良く訓練された兵士といったところ。ですが、私たちも立ち止まれぬのです。アルタン・ウルクを吸血ロマノフ王朝に呼び込まないために」
裾に付いた泥を軽く払いながら彼女は事もなげに言う、だがその言葉に聞き流すにはやや大きな言葉があったのをヴァンパイアノーヴル達は問い返した。
「……何を言っている? 貴様らこそこの地に彼奴らを呼び込もうとしに来たのだろう!」
「貴方たちはそう聞いているのですね。残念ながら、貴方たちの考えや彼の言葉を否定できる、確たる証拠は持っておりません」
「そうだ、それがお前達のやり口だろう! あまりにラスプーチン氏から聞いている情報と食い違う!」
「そして今の貴方たちのように、私たちより彼の言葉を信じるのもまた頷けること」
信じられないと声を荒げる彼らを前にして、その反応を粛々と受け入れるレイラ。だが『ですが』と彼女は言葉を続ける。
「これまで私たちは各大領地やモスクワなどでの戦いを始めとし、常に吸血ロマノフ王朝への従属から人民を解放するために戦ってきました」
「つまりお前達はこのエカテリンブルクにいる一般人をアルタン・ウルクから守るために来たとでも言うのか」
「ええ、その通りです。……今回のことに、違和感は覚えませんでしたか?」
レイラは静かに伝えるべきことを伝える。
「そのような手段を選ばぬ、恐ろしい策を用いる者に……身内に心当たりはございませんか?
「………」
「エカテリンブルグの防壁を破壊し、アルタン・ウルクを呼び込もうとしているのはラスプーチンその人です」
「………何をバカな事を。それが真実だとして一体どのような利点があるというのだ」
彼らにとってそれは最もな話ではある、ショッキングではあるがそれだけだ。
「貴様らがどのような企みをしているかは知らんが、やるべき事は変わらん。ここで止まってもらうぞ、ディアボロス!」
「そうですね、こちらもそのつもりで来ました。お覚悟を」
種は蒔かれた、後は道を切り開くまでだ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
マティアス・シュトローマー
狭くて暗い、おまけにジメジメしたこの塹壕に留まれだって?――御免だね
俺達にもここを突破して成すべき事があるんだ
君達が退かないのなら、強引にでも押し通るまで!
オルロックの撃破に向け、まずは彼の護衛であるノーブルバトラーをこちらに引き付け足止めしよう。レイラの言葉を持ち帰る伝令役には一人いれば十分。仲間の攻撃が妨害されるのを防ぐ為にも可能な限り撃破しておきたい
君達の相手はこの俺だよ
まさか伯爵様ともあろうお方が、一人じゃ何も出来ないなんて言わないよね?
敵を挑発した後パラドクスを発動。雷撃を纏った数多の弾丸を敵陣に放ち、オルロックとノーブルバトラーを分断。【通信障害】の効果で援軍を呼び込まれるのを阻止しつつ、その連携を崩していく
ダメージアップの効果を乗せた複数体攻撃なら、俺一人でも足止めの役目を果たせるはず。その後はHPの少ない個体から狙い撃ち、確実に敵の数を減らしていこう
こちらに向かってくる影は、ライオットシールドで払うか銃撃で応戦。耐え抜いた後、至近距離からパラドクスの弾丸をお見舞いしよう
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ディアボロス達がアヴァタール級であるオルロック伯爵に飛びかかろうとし、それに合わせて護衛のノーブルバトラー達がステッキを構えて護衛に入ろうとする。しかしその動きに割り込んだ影が塹壕から飛び出してきた。
「何!? 敵がそんな所に隠れていただと! そのまま泥水でも啜っていればいいものを!」
「狭くて暗い、おまけにジメジメしたこの塹壕に留まれだって?――御免だね。俺達にもここを突破して成すべき事があるんだ!」
現れたのはマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)。今回のディアボロス達の残る目標は彼らを残してオルロック伯爵を撃破すること。だがそれはそれとして、護衛の彼らをフリーにしておけば、その撃破に困難さがつきまとうことになる。つまり彼の役目はそれまでの時間稼ぎだ。
「君達の相手はこの俺だよ。まさか伯爵様ともあろうお方が、一人じゃ何も出来ないなんて言わないよね?」
「多勢に無勢で攻めておきながら何を言うか! 縛り上げて邪魔をさせるな!」
自らに向かってくる影に対し、ハンドガンのトリガーを引いて銃弾で応戦するマティアス。彼は笑みを浮かべる。
「そんな鎖は傘の代わりにはならないよ」
「何を……、っ!?」
銃弾を弾こうとした影がなにかに弾かれたように動いた。それもそのはず、彼の放った銃弾は雷を帯びておりただの鉛玉ではなかった。
「今度からはステッキじゃなくて傘を持ち歩くことだね」
「ぬうう! 邪魔をするな!」
ノーブルバトラー達と距離を詰めながらパラドクスを放つマティアス、彼は他の仲間達がオルロックと交戦する音を聞きながら自らの仕事に集中するのだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
レイラ・イグラーナ
有能な兵士であればこそ、敵の言葉に惑わされて職分を放棄することがないのもまた分かっていたこと。
であれば……「指揮官を失い敗走」と、そうなって頂かねばなりません。
銀の針を両手に持ち、戦闘を行います。
マティアス様に減らして頂いた護衛の穴を突いて素早くオルロック伯爵へと接近、【手製奉仕・爪】による接近戦を行います。
常に敵に張り付くようにして、護衛の伸縮自在の黒爪攻撃に対して折るロック伯爵を盾にするように回り込みながら戦い、護衛が横やりを入れづらいように。
使い魔の鼠は大量の犠牲者を出す、殺戮能力の高いもの。ですが……今すぐに、目の前の敵を殺せる毒ではございません。
攻撃の邪魔になる、必要最低限の鼠のみを振り払って、鼠への対処よりもオルロック伯爵への攻撃を優先。こちらが病に冒され、身動きが取れなくなるよりも先に勝負を決めるのを狙います。
鉤爪のように持った銀の針を振るい、針による斬撃でオルロック伯爵を切り裂き、最後には首を狙い両断を図ります。
私たちも同じです。やるべきことは変わらず……戦い続けるのみ。
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(「敵にとっては緊急事態の割に反応が早い。……有能な兵士であればこそ、敵の言葉に惑わされて職分を放棄することがないのもまた分かっていたこと」)
自身がオルロック伯爵に攻撃をしようとした瞬間に護衛たちも動き、更にそれに仲間が対応したのを見てレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は意識を固める。
(「であれば……『指揮官を失い敗走』と、そうなって頂かねばなりません」)
改めて彼女は使い魔の鼠を召喚するアヴァタール級を見据える。
「ここで突破されたとてお前達を追い払い穴を塞げばいいだけの事! 滅べい!」
「残念ですが私達もそうさせないだけの理由があるのです。お覚悟を」
両手に持った針を爪のよう扱い無数の鼠の群れを切り裂いて道を作るレイラ。彼女は自身と護衛の間にオルロック伯爵が来るように動き、援護に入りづらい環境を意識して立ち回る。
「くっ! だが無傷とはいくまい! 少しでも傷が付けば病が貴様を喰らい尽くす!」
(「大量の犠牲者を出す、殺戮能力の高いもの。ですが……今すぐに、目の前の敵を殺せる毒ではございません。ならば」)
彼女はあえて一歩を踏み込んで鼠に守られるオルロック伯爵の体に針を突き立てる。
「が、ああ! なぜ動ける!?」
「先程貴方もご自分で言ったでしょう。私たちも同じです。やるべきことは変わらず……戦い続けるのみ」
レイラは静かに返して武器を構え直す。彼女らディアボロスにとってはアルタン・ウルクという存在はそれだけの脅威度があるのだ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
百鬼・運命
▪️心情
うむ、『やるべき事は変わらん』のはこちらも同じ
というわけでこちらの邪魔をする以上、ここで貴様を倒させてもらおう
▪️行動
さてレイラさんが疑惑を植え付けている間に指揮官を仕留める準備をしておこう
配下は倒さないので、指揮官を倒す間の妨害が予想される
なので出来れば妨害されない様に不意打ちで倒したい
敵がレイラさんとの会話に気を取られているうちにこっそりと動力甲冑から降り、空になった動力甲冑を式神連携で操って、中に人がいるかのように見せかけよう
幸いあちこちに空になった塹壕があるから、こっそり降りる場所や降りた後に隠れる場所には困らないだろう
戦闘が開始されたら、そのまま動力甲冑で突撃、味方と連携しつつ装備した火器で攻撃
敵の反撃を受けたら動力甲冑を停止させて、こちらを倒したと油断させる隙を作り、本体である自分が潜伏状態からロングレンジライフルで狙撃することで敵を仕留めよう
逆説連鎖戦では動力甲冑から離れていてもダメージはくるのでそこには注意
本体に気がつかれたら、本体を囮に動力甲冑に攻撃させよう
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「うむ、『やるべき事は変わらん』のはこちらも同じ。というわけでこちらの邪魔をする以上、ここで貴様を倒させてもらおう」
百鬼・運命(ヨアケの魔法使い・g03078)が動力甲冑と共に戦うパラドクスでオルロックに攻撃を仕掛ける。それも時折敵の用意した塹壕を使いながらだ。
「それは貴様に使わせるために掘ったものではない! 泥より汚れた奴め! 鼠に食われて死ね!」
けしかけられた巨大鼠に運命からの攻撃が放たれるが、すぐさまにその赤い巨体に空いた穴は塞がり、鼠の前歯が運命を齧り取る。決して浅くないダメージに顔をしかめつつ、彼は反撃を怠らない。
「くっ! 不意打ちができれば……!」
「ここは我らが領地にして戦場よ! そう易々と貴様らの思い通りになると思うな!」
根本的にディアボロスよりアヴァタール級の方が基本的な能力は高い。そう感じにくいのは最終人類史におけるパラドクストレインの機動力と、時先案内人のもたらす情報の効果が大きい。今回のように最初からディアボロスを警戒しているような戦場ではどうしても不意を打つなどの戦術は厳しくなる。
「それだけ敵も必死って事か。……まあ自分の所にアルタン・ウルクが来るかもって思えばそうなるか」
動力甲冑の装備している火器と自身のロングレンジライフルで十字砲火を仕掛けながら、改めて運命は敵の精強さを理解する、
「やはり貴様らが……必ずここで止めてやろう!」
「お前を倒してアルタン・ウルクが来るのを止めてやるさ」
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
フルルズン・イスルーン
怪しい噂が蠢く時、そこに真実が含まれているならば、空を翔けるワタリガラスのように広がってゆく。
口ある者に戸は立てられないものだしね。クロノヴェーダの階層構造でもそれは逃れられないあたり、統率のなんと難しいことか。
では、更なる暗幕を下そう。シェイド・ゴーレム。
まず【防衛ライン】で戦場に線引きして配下からの余計な横槍防止。
話を持ち帰ってもらわないといけないんだ。頭目に集中させておくれよ。
そして、ゴーレムくんによる戦場の惑乱!
見知った場所という感覚を喪失させ、目の前にある物に途端に自信が持てなくなる不安を与えよう。
普段なら大したことのない心理の動き。でも一秒を争う戦闘でいちいち確かな物と確認する手間は大きいものだ。
その不安をラスプーチンの元まで持ち帰ってね。
そんな狼狽えてる所に、ゴーレムくんパンチ! ゴーレムくんキック! ゴーレムくんタックル!
ややこしくした後にシンプルな攻撃。これが効く。
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「怪しい噂が蠢く時、そこに真実が含まれているならば、空を翔けるワタリガラスのように広がってゆく」
「敵前で理由もわからぬ詩を詠むなど、抜けないとでも思って気が狂ったか?」
詩的な台詞を吐いたフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)はオルロックの言葉に首を横に振る。
「口のある者に戸は立てられないってことさ。クロノヴェーダの階層構造でもそれは逃れられないあたり、統率のなんと難しいことか」
「世迷い言を一々真に受けるような者は我が同胞にはおらん! 行け不死の吸血鼠よ!」
大仰に言葉を吐くフルルズンに向けて赤い大鼠を遣わせるオルロック。それを見た彼女もゴーレムを召喚する。
「では、更なる暗幕を下そう。シェイド・ゴーレム」
召喚したはずだ。したような気がする、なぜならば急に周囲が知覚しづらくなったような気がする。まあパラドクスなんでぶっちゃけ見た目だけなんですが。なんで鼠は無視してまっすぐ行って――フルルズンを吹き飛ばした。
「ぐわーっ!」
「口程にもない……ぐわーっ!」
互いの呼び出した者が互いをぶっ飛ばしたらしい。コントか。
「こ、このシンプルな攻撃……ゴーレムに使わせたのは正解だった……!」
敵の攻撃の確かさをその身で味わって彼女は呟く。実際問題割と技能に差があるのでより痛いのはフルルズンの方だったりする。護衛に介入されてたら多分もっと危なかった。
「お返しだ! ゴーレムくんパンチ! ゴーレムくんキック! ゴーレムくんタックル!」
「反撃だ、不死の吸血鼠! 体当たり!」
これは逆説連鎖戦(チェインパラドクス)です。決して某怪物育成ゲームでは有りません。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
マティアス・シュトローマー
ロマノフでの戦いを熟知した三人から猛攻を受けているんだ。指揮官様も大分お疲れのようだね
タイミングを見計らい、目標をノーブルバトラーからカッペリへと変更してパラドクスを発動
ダッシュで地を駆け、カッペリの周囲に残るトループス級を足蹴に高く跳躍。さらに【エアライド】で宙を蹴り、遮蔽物の無い高所から衝撃波を伴う一撃をお見舞いするよ
先の言葉をジェネラル級に報告させるため、狙いはオルロック一人。間に割って入る敵がいれば体を捻る等して出来る限り躱すか、複数体攻撃によってディフェンス諸共吹き飛ばす
ダメージアップの効果も活用し確実に削っていこう
何も塹壕病まで再現しなくても……っと!
これ以上汚れるのは勘弁してほしいね
反撃として召喚された鼠達に触れないよう【浮遊】を使って地面から離れよう。飛び掛かってくる個体は【エアライド】の二段跳びで出来る限り躱し、対応し切れないものはライオットシールドで弾く
致命傷を負わないよう、ガードアップの効果も纏っておきたい
これでラスプーチンの計画に綻びが生じてくれたら言う事なしだね
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「指揮官様も大分お疲れのようだね」
攻撃を受け続けるオルロックに対し、護衛を食い止めていたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)が軽く言葉を投げかける。単身でトループス級を止めている彼も無傷とは言えないが、それでも状況に余裕があるのは彼の方だろう。
「ふ、ふん! この程度大したものではないわ!」
「そうかい、なら」
「……! 抜かせるか!」
マティアスの狙いを瞬時に悟った護衛たちが声を上げ、マティアスがその彼らを踏み台にして跳び上がる。
「撃ち落とせ!」
「ぬうう! 此方が劣勢だと考えて!」
高い位置に飛び出した彼にパラドクスによる集中攻撃が放たれる。そのうちのオルロックの者が病をもたらすものと悟ったマティアスは毒づく。
「何も塹壕病まで再現しなくても……っと!」
「そのまま何もできず死ぬが良い!」
「これ以上汚れるのは勘弁してほしいね!」
多くの攻撃を受けながらも彼は軽口は欠かさず、目はオルロックを見据えていた。なぜならば真に追い詰められているのは敵の方だからだ。
「と、止まらないだと!?」
「まとめて……吹き飛べ!」
拳に鋼鉄の篭手を纏わせた彼が鼠の大群ごとオルロックを衝撃波で吹き飛ばす。それまでの戦いで傷ついていた彼はついに抵抗する力を失い地面に伏して動かなくなる。
「お、オルロック様!? ……撤退だ、撤退!」
指揮官を失い脱出していくトループス級達、ようやくここでの戦いが終わったのを確認するとマティアスは大きく息を吐く。
「やっとここは終わったか。……これでラスプーチンの計画に綻びが生じてくれたら言う事なしだね」
ラスプーチンの恐るべき陰謀にまであと少しで手が届く……はずだ。その時こそ長い付き合いの決着となるだろう。その予感を持ちつつディアボロス達は最終人類史に帰還するのだった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!