リプレイ
レイラ・イグラーナ
人民が飢え、凍え、絶望しているのがこのディヴィジョンの……吸血ロマノフ王朝の正当な姿だと言うのであれば、人民はこの王朝が正当なものであるとは認めません。
そして貴方がたが認めぬ人民を力で抑えつけようとするならば……革命で以て抑えつける者を打ち破りましょう。
さて……貨物車両が使えるのなら、少々大規模なことも行えますね。
本物の集落へと近づかれてはならないということを考えると、まずは偽の集落へと続く道を作らなければなりませんね。
貨物車両に砕石を乗せて持ち込みます。セメントまで使うのは難しいですが、一時的な道であればこれで十分でしょう。
集落へと続く本来の道の中で可能な限り平らなところを選び、偽の道として分岐。砕石を敷いて新たな道を作ります。
道がすぐに途切れては誘導になりませんから、可能な限り長く伸ばしましょう。
また、アカザなど寒冷地域でも育つ植物の種を持ち込み、本来の道の方へと撒き【植物活性】で成長を促進。
本来の道の方を植物で目立たない、今は使われていない道だと誤認させます。
ロザーリヤ・ユスポヴァ
『貴族もどき』の苛烈な収奪は幾度も目にしてきたが、とりわけこの地の支配者には呆れ返る
もはや利潤のための収奪すら行わず、ただ破壊の喜びに耽溺するとはな
この暴挙を容認している中立派の長、ドラキュラとやらは余程の狂人のようだ
偽の道を作るとは素晴らしい案だな、乗らせて貰うとしよう
砕石などの資材を運ぶための小型ダンプは貨物車両で持ち込めるだろうか?
流石に無理だった時に備えて【怪力無双】を用意し、手で荷車を押したり土嚢を運ぶことになっても良いようにしておこう
臣民の絶望を望む者が相手となれば、道の先に人がいると誤認させる用意もしておこう
貨物車両で持ち込んだ木材を使い、簡素な小麦倉庫を【怪力無双】の助けを得て作成
実際に使う気はないから外側だけそれらしく見えればいい
さらに焚き火で煙を立て、少し遠くからも聞こえる音量でロシア民謡の録音を流す
これで「仕事の合間に農民が焚き火を囲み、歌って楽しんでいる」様子を演出するのだ
臣民の血を絞り尽くそうとすれば、いずれは自らの首も絞めることになる
奴らに思い知らせてくれよう
人が飢え、凍え、絶望する。
それは『従属』という感情エネルギーを糧とするクロノヴェーダが人びとに望むものであった。
いや、そうでなければならない。
幸福であってはならない。満ち足りていてはならない。
いつだって人間というものは悲惨な状況に身を置かねばならない。
顔に張り付くのは絶望しか許されない。
吸血ロマノフ王朝を支配するヴァンパイアノーブルたちの思考は、それに限ったものではないだろうが、しかし根底にあるものであった。
支配者の思考。
被支配者を慮る思考は、如何にして彼らを『従属』させられるかにしか向いていない。
此度のウクライナを襲うヴァンパイアノーブルの非道もまたその一つだ。
「『貴族もどきの収奪は幾度も目にしてきたが呆れ返るばかりだ」
ロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)は、穀倉地帯を焼き払うという愚行をもって人びとに『従属』を強いるヴァンパイアノーブルに怒りと同時に落胆を示す。
利潤などない。
ただ破壊することに喜びを覚え、人びとの絶望こそが馳走であると言わんばかりである。
「故に人民はこの王朝が正当なものであるとは認めません」
レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)はパラドクストレインの貨物車両にふれる。
彼女たちが最終人類史から運び込んだのは大量の砕石と、それを運ぶための小型ダンプであった。
「人民が力で押さえつけられようというのならば……私達は革命で以て抑えつける者を打ち破りましょう」
「ああ、しかし、偽の道を作るとは素晴らしい案だな。乗らせてもらうよ」
ロザーリヤは感服していた。
此度の事件において肝要なのはヴァンパイアノーブルたちを穀倉地帯の畑から引き離し、誘導するところにある。
畑を燃やさせないことも重要であるが、戦いの場が畑となって壊滅的なダメージを受けることを避けなければ、この事件の裏にいるであろうヴァンパイアノーブルの目論見を完璧に打ち崩すことはできない。
故に、誘導と相成るのだが、レイラが打ち出した策は大胆不敵とも言えるものだった。
敵が道を進んでくるというのならば、偽の道を作り上げて己たちの戦いの場へと誘導させようと言うのだ。
そのための砕石。
本物の集落へと繋がる道へは、レイラが手繰り寄せた残留効果でもって植物の種を活性化させる。
雑草が多い茂れば、そこが人の往来なき廃れた道であるとヴァンパイアノーブルたちは誤った認識を覚えるであろう。そして、その隣に人が使っているとわかる道があれば、そちらが正しい道だと思うはずだ。
「ヴァンパイアノーブルたちは、元より此処の支配者であったとしても、こうした細かい地理までは把握していないでしょう」
レイラの言葉にロザーリヤは頷く。
「そして連中は人の営みがあれば、より強く惹きつけられるというもの。貨物車両は便利だな。多くの資材を持ち込むことができる」
彼女は残留効果を手繰り寄せる。
細腕ながらも多くの物資を運ぶことのできる怪力たる膂力を発揮し、木材を運び出す。
「簡易的な倉庫、ですか」
「ああ、簡素であれば近くによって見れば、これが欺瞞とわかるだろうが遠目にはまったく見分けがつくまいよ。それに連中は人びとを苦しめることを目的としている。となれば、視野狭窄ともなるだろう」
そう、それらしく見えることが重要なのだ。
レイラは小型ダンプでもって砕石を巻いていく。
集落から離れるようにして撒かれていく砕石を踏みしめるようにして平らにしていけば、道が生まれる。
舗装まではできないが、しかし、農道というものは、それで十分『らしく』見えるだろう。
時間は多く残されていない。
故に可能な限り長く伸ばす。
「できる限り本物の集落からは引き離さねばなりませんからね。そちらはどうですか」
レイラが小型ダンプから見やるのは、ロザーリヤが組み上げた簡素な倉庫だった。
確かに遠目に見れば穀物倉庫であるように思えるだろう。なにせ、農道の先にあるのだから、疑いようもない。
そして、ロザーリヤは余った資材で焚き火を行っていた。
煙が立ち上れば、それは人の営みである。
ヴァンパイアノーブルたちは、そう思うだろう。
農道、倉庫、煙。
この三つが揃っては欺瞞をヴァンパイアノーブル達は見抜けない。
恐らくこちらの道を喜び勇むようにしてやってくるだろう。
「少しばかり多く資材を持ち込みすぎたやもしれぬと思ったが、むしろ都合がよかったな。さらに」
「これは……」
「ロシア民謡だ。あなたには馴染があるのではないか?」
ロザーリヤが最終人類史から持ち込んだのは、録音された音源だった。
ロシアの民謡。
労働と歌は地続きだ。過酷な労働、単調な作業、そうしたものの疲労を紛れ去るため、時に効率を上げるために歌は活用されてきたのだ。
このような歌が聞こえれば、さらにヴァンパイアノーブルたちは騙されるだろう。
「臣民の血を絞り尽くそうという者たちなのだ。それがいずれ自らの首を絞めることになる」
「思い知らせてやりましょう」
ロザーリヤの言葉にレイラは頷く。
彼女たちの為した誘導は完璧だった。
人々の営みを演出し、畑から引き離すために偽りの農道を作り出した。
これによって彼女たちは砕石を踏みしめる音を聞く。
そう、ヴァンパイアノーブルたちである。
先行して畑を燃やさんとしていたトループス級『吸血修道女』たちだ。彼女たちは疑っていない。この砕石撒かれた道の先あるのが、人びとの営みであると。
そして、それを己たちが燃やし尽くし、その絶望をもって己たちに『従属』という感情をもたらしてくれると確信してやまないのだ。
「来たようだな」
「ええ、これならば確実に敵に先んじることができましょう」
二人は完璧なる誘導と共に何も知らずに偽りの村落へと踏み込んだトループス級に先手を打つ体勢を整えられた。
後は、敵を打ち倒すのみ。
ここならば何の遠慮も要らない!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
レイラ・イグラーナ
ここまで来てこちらに背を向けることはない……とは思いますが、されれば困るのは確か。
逃さず、速攻で仕留めましょう。
やってくる敵が射程に入ったら跳び上がり、銀の針を雨のように降らせる【手製奉仕・雨】で攻撃を行います。
吸血修道女が油断しきっているところに【先行率アップ】で先手を取って攻撃を仕掛け、こちらの襲撃へ態勢を整える前に痛打を与えましょう。
他の復讐者とは標的を合わせて数を減らすことを重視し、また、もし道を引き返そうとする者がいればそちらを優先的に狙います。
敵が歌う歌はただ、己の成すべきことを胸に支配を打ち破りましょう。
救いも幸福も私には不要のものです。
人民が飢えに苦しみ、未来への希望が失われている世界で、私一人の救いにも幸福にも意味などございません。
人民の皆様が飢えと寒さの中でも生き、ようやく手に入れたひとかけらの希望がこの地にはございます。
それを破壊するというならば……お覚悟を。
ロザーリヤ・ユスポヴァ
よし、狙い通り我らが贋作の農地に騙されてくれたな
自らが紛い物であるが故に真実を見抜けないのだ
幾ら節穴の眼でも、ここまで近づけば些かの違和感を覚えるかもしれんがな
……うむ。謀が露見する前に全て狩り尽くしてしまおう
即席の倉庫の周りに積んだ藁山の中に身を隠し敵を待ち伏せしよう
仲間が攻撃を始めるのと機を合わせて飛び出し、奇襲攻撃を行う
≪幻想贋造『失楽の弦鳴』≫により、実体化した呪いのヴァイオリンをかき鳴らすと共に衝撃波を巻き起こそう
敵を吹き飛ばして仲間の攻撃の範囲に集める、或いは逃げ出そうとする所を偽の農地側に押し込むといった形で、一撃でトドメを刺せない場合も以降の戦いが有利になるように
敵が放つ光に対しては、愛剣≪死せざる■■■■■≫を抜刀
刀身で光を受け止めて弾くか、翻した≪星界の天幕≫に吸い込むことで急所への命中を防ごう
この程度か。お前たちの奇蹟とやらは、随分と慎み深いようだな
生きて帰れると思ってくれるなよ。『貴族もどき』ども
この地の民に齎そうとした全てを、お前たち自身に惜しみなく与えてやろう
ディアボロスたちの誘引は見事なものだった。
砕石による新たな道を作り上げ、簡易ながらも穀物倉庫によって偽の村落を生み出し、敵の目を欺く。
ただ畑を焼き払い、一般人ばかりしかいないと油断しているヴァンパイアノーブル、トループス級『吸血修道女』にとって、その偽装を見破ることなどできはしなかっただろう。
全ては傲慢と怠惰故である。
「幾ら節穴の眼でも流石に近づけば、此処が偽装された村落であることには気がつくかもしれぬ。だが、自らがまがい物であるがゆえに真実を見抜けないのだ」
「ここまで来てこちらに背を向けることはない……とは思いますが」
ロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)とレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は、しかし油断はできないと断じる。
如何に敵をうまく誘引できたとしても、後続のヴァンパイアノーブルたちがこちらの動きによって反転する可能性はないわけではない。
「逃さず、速攻で仕留めましょう」
「……うむ。謀が露見する前にすべて狩り尽くしてしまおう」
ロザーリヤは即席とは言え木材を組み上げた倉庫の周りに積んだ藁山に身を隠し、迫る『吸血修道女』たちの姿を待つ。
彼女たちはどこか呑気であった。
人々を絶望させることが彼女たちの使命。
絶望は『従属』樽感情を人間に生み出す。
「どうしようもないと悲嘆にくれる人間たちの顔を早く見たいものですね」
「まったくです。どうしてこんなにも彼らは無駄なことばかりをするのでしょう」
「それもあんなに楽しそうに」
生きる喜びを腐すように『吸血修道女』たちが口々に言葉を吐き捨てる。
彼女たちは偽の村落に踏み込んで尚、此処がディアボロスに偽装されたとは気がついていないようだった。
あまりにも傲慢。
あまりにも不遜。
彼女たちは自分たちが支配する側であるからこそ、そうした思考になっているのだ。
「……まったく。節穴と言ったが、此処までとはな」
ロザーリヤは息を吐き出すと同時にレイラと共に飛び出す。
『吸血修道女』たちの姿をすでに彼女は捉えていた。
「因果の滴、注ぐ応報。神域の歔欷が廃都に落ちる」
投げはなった銀の針が空中で翻り、パラドクスの輝きを解き放つ。
それを『吸血修道女』たちは見ることすらしなかっただろう。完全なる不意の一撃。
如何にこれが逆説連鎖戦であろうとも、ここまで積み上げてきたものが違う。
ディアボロスが偽装し、敵の目を欺いた。
欺かれた眼は、その偽りの村落に釘付けになってしまっている。
攻撃された、と認識した瞬間にはもう遅い。
レイラの放った手製奉仕・雨(ハンドメイドサービス・ドーシチ)たる銀の針は雨のように『吸血修道女』たちの体躯へと叩き込まれ、その身から血潮を大地から噴出させる。
「ぎゃあっ!? 何がっ! 攻撃!? これは、パラドクス
……!?」
『吸血修道女』たちの動揺の声が上がる。
「お前たちには勿体ない旋律であるが――旧ユスポフ家所蔵品目録:収蔵品26号/『失落の弦鳴』──贋造。さあ、魂魄を震撼せしめる音色を心逝くまで味わうが良い」
ロザーリヤは幻想贋造『失落の弦鳴』(フォージェリィ・ストリングオヴディスアピアレンス)たるパラドクスによって実体化した呪いのヴァイオリンをかき鳴らし、衝撃波でもって『吸血修道女』たちを吹き飛ばす。
それは敵をただ吹き飛ばしただけではない。
彼女たちの体躯を一箇所に集め、その動きを制限するものであった。確かに距離を無意味とするパラドクスを前にしては、効果が薄いことであったかもしれない。
だが、それでも次なる攻撃を与えるためにはこうした工夫の積み重ねが勝敗を決するのだ。
故にロザーリヤは手にした己が呪いのヴァイオリンの旋律を聞く。
理解するだろうか。
ヴァンパイアノーブルたちは、この旋律の意味を。
「ディアボロス、まさか私達を謀ったのですか! その罪、万死に値すると理解しなさい!」
握りしめた十字架より放たれる光をロザーリヤは受け止め、弾くようにして一歩を踏み出す。
「この程度か。お前たちの奇蹟とやらは。なんとも慎み深い光だ。真の奇蹟、その輝きというものはな!」
見よ、とロザーリヤが示すは天。
そこに煌めく銀の光はレイラの放った針であった。
空中で銀の針を掴んだレイラは、その身を翻しながら赤い瞳で睥睨する。
『吸血修道女』。
彼女たちが齎すのは救いではなく絶望であった。
「人の幸福とは従属していることであると理解しなさい。私達は支配を与えている。何も考えなくてもいい。何も思わなくていい。ただ漫然と生きるだけで死ぬことができるのですから、それが真の喜びでしょう」
彼女たちの言葉に反吐が出る思いであった。
救いだと言った。
これを。
人びとに炎の絶望を与えることが救いだ、と。
ならばレイラは否定する。
「救いも幸福も私には不要のものです」
「なぜ? 人は救いを求める生き物でしょう? 幸福を願う生き物。だから、私達が与えるのです」
「人民が飢えに苦しみ、未来への希望が失われる世界を作り上げている。それを救い、幸福と宣うのならば」
己は幸いであるのかもしれない。
戦う力が手にあるのだから。
だが、己の手にある力は人民を救うためにある。人民の明日を希望に換えるためにある。
ならば、己に救いも幸福も意味などない。
己の世界に存在する他者、人民たちが未来への希望を思い描き、飢えることなく生きることに邁進できてこそ、己には救いと幸福が意味をなすのだ。
故に。
「生きて帰れると思うなよ。『貴族もどき』ども」
ロザーリヤの胸に復讐の炎が燃え盛る。
彼女たちは、この穀倉地帯の畑を燃やそうとした。
生きる希望を胸にいだいている人びとの心を燃やそうとしたのだ。許されるべくもない。ならば、自身が与えるのは、『吸血修道女』たちがもたらさんとした絶望そのもの。
惜しむことはない。
「与えてやろう」
「人民の皆さまが飢えと寒さの中でも生き、ようやく手に入れたひとかけらの希望がこの地にはございます。それを破壊するというのならば……」
お覚悟を、とレイラは旋律を切り裂くようにして銀の針を放つ。
それは『吸血修道女』たちの脳天を穿ち、その鮮血でもって絶望齎す炎を鎮めるように打倒するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
モリオン・スモーキー
アドリブ等々何でも可
絶望を求めてやってきた敵に絶望を。
とっと済ませてしまいましょう。塵芥と思ってきた敵を塵芥の様に散らして差し上げましょう。
では、参ります。
敵が踏み込んできたところを先手とって(先行率アップがその為に活きるでしょうから)、パラドクスにて先手を加えます。
やってくる敵を正面から受け止め、正面より倒しきってしまいましょう。
――救いはいらない。
――幸福もいらない。
――自分にそれは意味がない。
――受け取る理由がないものを受ける理由はございません。
その歌は受け取る事の出来ぬ者にも効くものでしょうか?
いいえ、きっと、そうではない。
――ですから、自分にはそれらはいらないものですから、熨斗つけてお返しいたします。
幸福と救いにすがり、揺蕩って逝きなさい。
「これは、どうしたことです」
アヴァタール級ヴァンパイアノーブル『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』は、先んじて村落の畑に向かわせた『吸血修道女』たちが齎す炎と黒煙が空を染め上げていないことに疑念を抱く。
確かに自分は『吸血修道女』たちに命じた。
畑を焼き払い、一般人たちに絶望を与えよ、と。
だが、砕石を踏みしめた彼女は、その光景を見ることはなかった。
あったのは、パラドクスの輝き。
明滅する輝きの下には『吸血修道女』とディアボロスが戦う姿があったのだ。瞬く間に打倒される『吸血修道女』たちは、決して弱いヴァンパイアノーブルではなかった。
なのに、なぜ。
「お前たち。行きなさい。この先にあるのはディアボロスの策動。なれば、これを打倒さねば、我らが任務は達成されないでしょう」
「ハッ!」
トループス級『ノーブルメイド』たちは主たる『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の言葉に従い、砕石の道を突き進む。
それが偽りの村落への道とも知らずに、ただ命令に愚直に従うように進むのだ。
その姿を見やりモリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)は待ち構え、瞳をパラドクスに輝かせる。
「絶望を求めてやってきた的に絶望を」
絶望を人びとに振りまくことなど許しはしない。
早く済ませよう。
ただそれだけの意識しかモリオンにはなかった。
敵は人びとを塵芥のように扱う。従属して然るべき。支配されて然るべき。
人間など取るに足らぬ存在であり、見くびって当然という思惑しかないのならば、モリオンは、そんな彼女たちをこそ塵芥のように散らせなければならないと胸に激情を秘めていた。
「では、参ります」
「……ディアボロス! これはやはりお前たちの!」
『ノーブルメイド』たちのパラドクスが煌めく。
血の如き色をした赤い鞭を操り、モリオンへと打ち据える彼女たちの一撃よりも早く、モリオンは深く踏み込んでいた。
間合いのさらに深く先へ。
手繰り寄せた残留効果によってモリオンは砂混じりの嵐のように旋風をまといながら、そのナックルガードのついた方なを振るう。
まるで鎌鼬のように振るわれたサイクロンスラッシュの一撃が『ノーブルメイド』の体を引き裂く。
血潮が散るように空中に飛沫となって飛ぶ。
そのさなかをモリオンは、さらなる旋風と共に踏み出していた。
「――救いはいらない」
そう、与えられるものではないからだ。
「――幸福もいらない」
まだ、己がそれを得るわけにはいかない。
「――自分にはそれは意味がない」
なぜなら。
「――受け取る理由がないものを受ける理由がございません」
ただ、それだけなのだと言わんばかりにモリオンは己が斬撃を『ノーブルメイド』へと叩き込む。
どれだけ彼女たちが従属こそが幸福であると説くのだとしても。
それでも己はそうしたものとは無縁なのだ。
まだ取り戻していない。
すべてを、己を。
もしも、己に救いと幸福が訪れるとしたら、きっとその時なのだ。
だから、今ではない。
「――ですから、自分には要らないものですから、熨斗つけてお返しいたします」
傲慢と怠惰。
支配と言う名の泥濘に揺蕩う者たちが抱える重石は、それだけでいい。
モリオンの刃は『ノーブルメイド』を斬撃で持って打ちのめし、さらなる追撃を見せるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
リューロボロス・リンドラゴ
ふん。飛んで火に入る夏の虫よな。
いや、ロシアの夏や虫がどのようなものかは分からぬ故、貴様達にはピンとこぬやもだが。
意味を分かる必要も無かろうよ。
貴様らはここで潰えるのだからな!
――我が首、数えきるまで命はあるか? 出雲覆うは竜である。
我が真体の一部を顕現し、メイド共を蹂躙してくれようぞ。
鞭?
うねうねしたものがお望みか?
良かろう。
打ち合ってやるとしよう。
顕現するは我が真体の尾の数々よ!
くははははははははは!
どうした?
そのような脆き鞭で竜を縛れはせぬぞ!
もっと魔力を絞り出すが良い!
足りぬというのなら絞り出させてやろう。
魔力ではなく貴様達の血をなああ!
縛り上げるとはこういうものだと言わんばかりに我が雄々しき尾で薙ぎ払ってくれるわ!
む?
ああ、いかぬな。
縛るまでもなかったか。
轢き潰してしまったわ。
ワンモアよ。
む?
縛るはずが木っ端微塵か。
我が尾、鞭と言うには太く、大きく、強すぎるからの。
さて、待たせたの、ソフィア・ペロフスカヤとやら。
お祈りの時間は終わったか?
覚悟は決まったか?
今度は、貴様の番だ。
ディアボロスのパラドクスが明滅する。
トループス級『ノーブルメイド』たちは突如として現れたディアボロスたちに困惑していた。
それもそのはずだろう。
彼女たちは一般人たちの村落があるとやってきたのだ。
なのに、そこにあったのはディアボロスの村落の偽装が施されたなにもない場所であったからだ。
「謀られたのですね、私達は」
『ノーブルメイド』の言葉にリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は鼻を鳴らす。
「ふん。飛んで火にいる夏の虫よな。いや、吸血ロマノフ王朝の夏や虫がどのようなものかわからぬ故、貴様たちにはピンとこぬやもだが」
リューロボロスは翻る血の如き赤き魔力の鞭を受け止める。
「意味を分かる必要もなかろうよ。貴様らはここで潰えるのだからな!」
握りしめた鞭。
ぎりぎりとテンションのかかった鞭の間に伝わるのは互いの膂力の拮抗。
「我が首、数えきるまで命はあるか? 出雲覆うは竜である」
パラドクスにより己の復讐形態の巨竜たる姿の一部を顕現させ、彼女は走る。
大地を蹴って、彼女の尾が翻る。まるで『ノーブルメイド』たちの放つ鞭に対抗するかのようであった。
「うねうねしたものがお望みのようだからな! くはははははは!!」
多重顕現術式・八岐大蛇(サモン・リンドラゴ)によって顕になった尾が鞭のようにしなって『ノーブルメイド』たちの体躯を打ち据える。
「くっ……!」
「どうした? そのような脆き鞭では竜は縛れはせぬぞ!」
四方八方から走る赤い鞭がリューロボロスの体躯を絡め取る。手足を縛る鞭ごとリューロボロスは『ノーブルメイド』たちを引き寄せ、己が尾で打ち据える。
それは鞭で打ち据えるというには、あまりにも野太い尾であった。
空中で尾の痛打を受け止めた『ノーブルメイド』の体躯がくの字に折れ果て、地面に叩きつけられる。
「む? ああ、いかぬな。縛るまでもなかったか。これでは轢き潰した、というのであろうな」
リューロボロスはため息を付く。
縛るつもりで轢き潰し、『ノーブルメイド』の体を強く打つ。
拉げた体躯は大地に血を染み込ませるばかりであった。
「我が尾、鞭というには太く、大きく、強すぎるからの」
これこそが己であるというようにリューロボロスは笑う。
その声は、離れていたアヴァタール級ヴァンパイアノーブルの耳にも届いただろう。
「野蛮極まりないわね、ディアボロス。このように策動巡らせなければ、戦えないとは。気品の欠片もないわ」
アヴァタール級『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』は言う。
護衛のトループス級が打倒され、畑を焼き討ちさせるために遣わしたトループス級もディアボロスによって打倒されている。
この事態を前にして彼女が前に出るしかないのだ。
「お祈りの時間は終わったか? 覚悟は決まったか? 今度は、貴様の番だ」
「よくも宣うものだわ。それではまるで私が臆病者のようではないですか。まさか、私が誰かの影に隠れてこそこそとしているとでも思っているのではないでしょうね?」
『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』は言う。
これまでトループス級が率先して動いていたのは、彼女が臆病であるからでもなく、弱いからでもない。
ただ、傲慢だからだ。
怠惰ではなく傲慢。
他者とはすべて己の足元にあるもの。
虐げられて当然。利用されて当然。そううそぶく彼女だからこそ、この状況にあっては、その力を発揮するだろう。
「ディアボロス、あなた達こそ、私の邪魔をしたのだもの。覚悟はよくて?」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
レイラ・イグラーナ
人民の希望と未来を己の残忍な欲望のために破壊するのが気品であり、人民の生命と生活を守ろうとすることを使命とするのが野蛮だというならば、私たちが分かり合うことはもはやないでしょう。
革命とは虐げられた人民に残された最後の叫びにして抵抗。
革命家レイラ・イグラーナ、人民に寄り添い、その望みを果たしましょう。
銀の針を両手に戦闘を行います。
【手製奉仕・駆】で戦場を駆け回り、敵を撹乱しながらの攻撃を行います。
血のような赤いオーラを避けながら戦場を走り、オーラで包まれた場合も注ぎ込まれた意思による昏倒に抗い、自分の意志で立ち続けましょう。
他の復讐者とも連携を取ることで死角より急速に接近し、ソフィア・ペロフスカヤの胸を銀の針で穿ちます。
革命とは血によって始まり、血によって成され、血によって終わるもの。
この場は貴女の血で以て幕を引きましょう、偽りの革命家。
ロザーリヤ・ユスポヴァ
破壊の喜悦に憑りつかれ、巡回路の確認すら怠った蛮人が何か言っているようだな
移動する間、灼熱の炎に呑まれて燃え尽きる農地のことしか考えなかったのか?
くくく……それほどまでに炎が見たかったのなら、見せてやろうではないか
真なる貴族よりの下賜だ。有難く拝受したまえよ
愛剣『死せざる■■■■■』を抜刀
同様に接近戦を挑む仲間と敵を挟み込むように動き、息を合わせて異なる方向から立て続けに攻め込もう
どちらかの攻撃が敵の注意を惹き、或いは姿勢を崩した所で、後続が決定的な一撃を加えられればよいだろうな
攻撃時は≪魔性契約『灼裂の贖罪』≫を行使
強壮な異形の腕で力強く剣を振るい、刀身に火焔を纏わせて斬りかかる
鋭い刃が敵を斬り裂くと共に、露わとなった骨肉を炎で焼いてやろう
これこそがお前の望んでいた光景だ。刮目せよ、そして存分に酔いしれるがいい!
3連続の爆発に対しては、動いた先で次の爆発の範囲に入り込まないように注意して駆け抜ける
躱しきれない爆風と炎を『星界の天幕』に吸い込んで威力を軽減し、負傷を抑えて次の応酬に臨もう
リューロボロス・リンドラゴ
ほう?
言うではないか。
覚悟だと?
できておるよ。
我が我として目覚めた時から貴様達クロノヴェーダを滅ぼし、幼子達の復讐を成し遂げる覚悟がな!
故に。
このような爆発如きで竜の歩みを止められると思うてか。
言ったであろう、覚悟ならできてると。
三度の爆発をただただ突っ切ろうぞ。
貴様を穿つ。
それだけを考え拳を振るおう。
――崩れ落ちよ。独り立つは竜である。
中国の拳法曰く。
三歩必殺、三歩破軍。
一歩で一度、二歩で二度、三歩で三度!
三度の爆発を超えて貴様を打つ!
死のカウントダウンよ!
喜べ、貴様達の思い描いていた未来は変わる。
それこそを革命と呼ぶのだろう?
くはははははは!
友たる組員達は挟み撃ちや連携による死角からの攻撃を目論んでおるようだからの。
我は敢えて独立独歩で動いた方が敵も対処しにくかろうよ!
三歩ならぬ三者必殺よ!
我は龍。我こそはドラゴン。
幼子達の復讐者、リューロボロス・リンドラゴなり!
人民の意思を騙る者よ。
幼子達の意思、思い知るが良いわ!
さて、今一度聞いてやろう。
覚悟はできたか?
敗れ死ぬ覚悟は!
「ほう? 言うではないか」
アヴァタール級『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の言葉にリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は獰猛たる輝き放つ瞳を向けた。
覚悟せよ、と彼女は言った。
それはリューロボロスにとって意味のない言葉だった。
覚悟とは、すでに己の腹の中にあるものであり、今更取り繕うものでもなければ、他者に宣言するものではなかった。
彼女の言葉はただ他者を威圧するだけのものであった。
そこに力は宿らない。
そう、言葉に力などない。
それを如何にして感じ取るのか。往々にして代わりゆくものであるからこそ価値がある。
「できておるよ」
「そうかしら? 私にはあなたがただ癇癪を起こした子供のようにしか見えないのだけれど」
炸裂する爆発。
三連続立て続けにリューロボロスを襲うパラドクス。
それは圧倒的な火力で持ってリューロボロスの龍鱗を約だろう。
だが、リューロボロスは、その爆発を躱すのではなく真っ向から飛び込んだ。肌を焼く。痛みが走る。
「それがなんだというのだ。我が我として目覚めたときから貴様たちクロノヴェーダを滅ぼし、幼子たちの復讐を成し遂げる覚悟など、とうに出来ておる!」
穿つ。
ただ、一点。
それだけでリューロボロスは『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』へと踏み込み、その握りしめた拳にパラドクスの輝きを宿す。
「――崩れ落ちよ。独り立つは竜である」
爆発は死へのカウントダウン。
リューロボロスの、ではない。『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の死へのカウントダウンである。
巻き起こる爆風の中をリューロボロスは踏み込んで爆竜拳(リン・ドラゴニック・ラースナックル)たる一撃を叩き込む。
臓腑をえぐるような拳の一撃に『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』は吐血する。
だが、その吐血のままに彼女は仰向けに宙を舞い、しかし背に負った血の翼の切っ先を地面に突き立てて立つ。
「痛いわ。でも、それだけよ。痛みなど革命につきもの。血も流れるのも必須。なら、私の血だって革命への道程への一歩でしかないのだわ。それに、まだ私は人間が苦しみ絶望する顔を見ていない」
だから、死ねないのだというように彼女の瞳がパラドクスに輝く。
血のオーラがレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)とロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)を包み込む。
攻撃の意志。
吸血ロマノフ王朝の掲げる理念に仇を為すものへの牙。それが彼女のパラドクスであった。
「破壊の喜悦に取り憑かれた者が何を言う。巡回路の確認すら怠り、我らが策謀にただ嵌っただけの蛮人が何を言っているのだ。いや、灼熱の炎に飲まれて燃え尽きる農地のことしか頭になかったのか?」
ロザーリヤは嘲笑する。
滑稽だ。
どれだけ尤もらしいお題目を掲げようとも、結局ヴァンパイアノーブル『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』たちのやっていることは、ただの暴力だ。
争いを止める手段としての言葉すら放棄した者が革命を宣うのだ。
これが笑わずにはいられない。
どこまでいっても、彼女たちのやっていることは、標榜する革命の理念からは程遠い。
「それほどまでに炎が見たかったのなら、見せてやろうではないか。魔異なる貴族からの下賜だ。ありがたく拝命したまえよ」
魔性契約『灼裂の贖罪』(デモニックパクト・レンディングフレイム)によって、屈強なる姿へと変貌したロザーリヤの腕。握りしめるは、宝玉埋め込まれた剣。
その名を示すものはない。
ただ彼女の愛剣であるということだけが、そのパラドクスの輝きを受ける理由だった。
レイラと共に踏み込む。
すでに『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』はリューロボロスの一撃によって消耗している。
ならばこそ、ここで逃さぬように踏み込まねばならない。
身を覆う赤いオーラは、己たちの精神に革命的意志とも言うべき精神への負荷をかける。
だが、そんな負荷すらもロザーリヤは踏み越えて己が剣を振るう。
刀身に火焔がまとわりつき、その斬撃が『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の体躯を切り裂く。炎は、彼女たちが畑に放とうとしていたものである。
ならばこそ、意趣返しだった。
「これがお前の望んでいた後継だ。刮目せよ、そして存分に酔いしれるがいい!」
「そのつもりはないわ。私の肉体が燃える様より、他人が燃えている方が嬉しいもの。だってそうでしょう? 低俗で、脆弱な人間が燃える方が、よほどいい。だって、人間というのは、すべてそうあるべきよ」
『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』は言う。
彼女の言うところの革命とは、すなわち己の精神革命である。
既存の概念を破壊し、己の欲求と履き違えること。それこそが彼女の革命。
他者を変えるのでもなく、環境を変えるのでもなく、ただ己の中の心を革命させる。欲望を刷新する。それが革命。
「だったら、人間は惨めたらしく生きていないと!」
「それがあなたの正体ですか」
人民の希望と未来を己の残忍な欲望のために破壊することこそが気品。
人民の生命と生活を守ることを使命とすることを野蛮。
レイラは思う。
同じ革命を標榜する者であっても、此処まで違う。
クロノヴェーダとディアボロスという立場以上の溝が目の前に横たわっていた。
「私達がわかり合うことは最早ないでしょう」
「もとより、そのつもりなんてないわよ」
赤いオーラがレイラを包み込んでいる。流れ込む革命的意志。
己が精神を圧迫する強烈な濁流の如き意志にレイラは己が二本の足で立ち向かう。
「革命とは、虐げられた人民に残された最後の叫びにして抵抗」
「虚しいわね。ただ言葉を置き換えただけじゃあない」
「その言葉に力はない。故に革命家レイラ・イグラーナは人民に寄り添い、その望みを果たしましょう」
レイラの瞳がパラドクスに輝く。
疾駆する。
彼女は爆風荒ぶ中も、火焔が舞う中であっても構わず駆け抜けた。
ただ、己が手にした銀の針を叩き込むためだけに。意識を昏倒させるような濁流の意志さえも彼女には意味がなかった。
己の中には真芯に通った一つの理念がある。
革命。
言葉にすれば、それは『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の語る言葉と字面は同じであった。
けれど、その内にあるものが違う。
これは叫びだ。
叫んでいるのだ。己という体を通して、多くの虐げられた人民たちの断末魔がほとばしっている。
最初に流れた血は誰のものであったか。
「誰かの望みを果たすために戦うなんて、なんて自分がないのかしら。そんな力で私の革命的意志に抗おうなんて!」
「誰かに寄り添うことのできるのもまた人であり、革命的。そういうことであろう? 貴様にはないものだ。唯ひたすらに革命は己のためのものと言うのであれば!」
ロザーリヤの剣が火焔と共に道を切り開く。
残留効果を手繰り寄せるようにしてリューロボロスが踏み込んだ。
「さて、今一度聞いてやろう。覚悟はできたか? 敗れ死ぬ覚悟は!」
打ち込まれる拳の一撃と共に爆風が荒ぶ。
爆風は『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の視界を塗りつぶした。
それはレイラにとっても同様であったことだろう。
だが、彼女には見えている。
戦いにおいてディアボロスが他者のために残すもの。
軌跡にしてか細い糸撚り合わさることによって鎖の如き強固な力。そう、残留効果の軌跡をレイラは見ている。
手にした銀の針は、その軌跡をなぞる。
ためらうことなんてない。
「革命とは血によって始まり、血によって成され、血によって終わるもの」
銀の針が閃光のように『革命家ソフィア・ペロフスカヤ』の旨を穿つ。
鮮血が大地を濡らした。
「私以外の、血、で、でしょう……?」
「いいえ、この場は貴女の血で以て幕を引きましょう、偽りの革命家」
銀の針が血に濡れる。
だが、偽りの革命は此処に失墜する。
絶命した骸を見下ろし、レイラは息を吐き出す。
未だ吸血ロマノフ王朝を革命でもって打倒することはない。だが、確実に一歩もまた歩みだしたことをレイラは実感し、歪なる欲望のままに人々の絶望を煽る炎を食い止めたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!