オリュンピアの儀式、大規模予選大会への潜入

 オリュンピア近郊の廃神殿を拠点に、周囲の情報を確認した結果、オリュンピアでは例年に無い大規模な大会が開かれようとしている事が判明しました。
 おそらく、大幅に減少した戦力を補充する為に、かなりの無理をして大規模な大会を開いているのでしょう。

 攻略旅団の方針に従い、オリュンピアの儀式の一つである『大規模予選大会』の儀式場に潜入し、その妨害を行ってください。
 予選大会の儀式場は、魔法的に造られた迷宮です。内部では、トループス級の亜人が最後の一人になるまで殺し合い、生き残った者がアヴァタール級に進化するというもののようです。

雷霆のヒステリア(作者 西灰三
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#蹂躙戦記イスカンダル  #オリュンピアの儀式、大規模予選大会への潜入  #オリュンピア 


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 オリュンピュアの街。そこにはとある『門』があった。その前には多くの亜人達が集まっているが、その門の大きさはそれらの亜人が通るのに不自由しない――最終人類史の尺で言うなら3m程度の高さを持っていた。
「……まだか?」
 亜人達は何かを待っているようでありそわそわとしている。見れば門の向こうは別の空間につながっているようであり、おそらくはそこから来る何者かが目当てなのだろう。それからしばし時が流れると『門』に変化が現れ、亜人達が一斉に注視する。
「ぐ、ググぅ……」
 そこから現れたのは大きな体躯を持ったトロールであった。門をギリギリ通れる程度の体には多くの傷が付いており、反面その体には雷が弾けておりその強さを感じさせた。それを見た亜人達はトロールの祝福を称えるようにシュプレヒコールを贈るのだった。


「蹂躙戦記イスカンダルはオリュンピュアに上陸し廃神殿の一つを確保したことで、敵に察知されることなくオリュンピュアの街に潜入することが可能になった」
 アスアド・ガーメディー(人間のオークスレイヤー・g08920)がまずはそう切り出した。
「そのオリュンピュアの街ではかなり大規模な儀式が行われているようで、恐らくイラン東武の決戦や断頭革命グランダルメ奪還戦で多くの戦力を失ったためだろう。戦力の増強のための儀式と見ていいはずだ」
 蹂躙戦記イスカンダルはかなりのジェネラル級を失っている。急いで建て直さなければと考えているのだろう。ディアボロスに加え北にはアルタン・ウルク、東にはリグ・ヴェーダがあるのだ。
「儀式はトループス級の亜人を殺し合わせ、生き残ったものをアヴァタール級に進化させるというものだ。さらにこれをトループス級ではなくアヴァタール級で行うことによってジェネラル級をも作り出そうとしているらしい。……つまりその材料となるトループス級のアヴァタール級への進化を阻止し、亜人達の目論見を潰しに行ってくれ」

 そのためにはまず儀式の行われる闘技場を見つけ潜入しなければならない。
「予選大会はオリュンピュアの都市周辺にある複数の会場で行われている。皆に潜入してもらうのはそのうちの一つだが、そこから簡単ではない」
 正規の出入り口には多数の亜人達がいるためそちらからの潜入はできない。
「入るならば清掃や管理のためにウェアキャット達が使う『裏口』的な場所からとなるだろう。この入口は予選に参加できなかった亜人が忍び込まないようにウェアキャットが工夫を凝らして偽装をしている。まずはウェアキャットに接触して秘密の入口の情報を手に入れる必要があるだろう。……秘密の入口の情報は亜人にも漏らしてはならないと命じられているため、ウェアキャットから直接情報を得るのは難しい。だが会話の中から怪しいと思われる場所や施設などの情報を得ることはできるはずだ」
 【友達催眠】などの残留効果を使っても、その場所を直接知っているウェアキャットからは聞き出すことはできない。暴力に訴えれば得られる情報の重要度は上がるが、それも大まかなところまでしかわからないだろう。
「ある程度絞り込めたならあとは現地での調査となる。情報を元に秘密の入り口を発見し、儀式が行われている迷宮に潜入して欲しい」
 迷宮に入り込めればあとは亜人達との戦いとなる。
「亜人同士でも戦っておりそのままにしておけば数が減るが、勝ったほうが強化されるのである程度の見極めが必要だろう。お互いに削りあった所を横から切り倒す機会があれば狙っていくと良い。無論不意に強くなっている者もいる可能性があるので油断は大敵だが」
 そしてトループス級を全滅させると別の迷宮の勝者との戦いが発生する。
「別の迷宮の勝者となったトループス級はアヴァタール級になっており、更に雷を纏って戦闘力が強化されている。此方も油断せずに戦ってくれ」
 倒した後はウェアキャットの裏口を逆に辿る事になる。正規の出入り口には亜人達がひしめいている。

「恐らくこの儀式はイスカンダルにとってかなり無理をしていると考えられる。無理をしなければ戦力が足りないのだろう。だからこそこの機会を逃すわけにはいかない。ここを潰せば彼奴らに致命的な一撃を食らわせることができる」
 そういう意味では重要な作戦である、ここで蹂躙戦記イスカンダルの趨勢が決まると言っても過言ではない。
「それでは必ず成功させてくれ、よろしく頼む」


 闘技場ができてから多くの亜人達がオリュンピュアに集まってきていた。そんな彼らの生活を維持するためにもやはり多くのウェアキャットが集められていた。
「おいお前、これはもらっていくぞ」
「へ、へい」
 亜人達の為に出ている屋台もそうだ。建物の中に住めない彼らは各々に商品を集めては並べ、亜人達に持っていかれる。根こそぎ奪われるのは良い方であり、命まで奪われる店主もいる。かくて彼らは自らの命をつなぐため、今日も入荷と出店を繰り返すのだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【先行率アップ】LV1

●マスターより

西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
今回は蹂躙戦記イスカンダルのシナリオをお送りします。
詳しい内容はオープニング通り。

それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ディアナ・レーヴェ
(服装の工夫で種族を誤魔化しつつ、適当な屋台の人に小声で)
どうしようどうしようーーっ!!
…じ、実はさっき亜人様に根こそぎ商品持ってかれちゃって…

(同情誘うよう必死に)でも中身も見ずに纏めて持っていかれたもんだから、
今日「清掃」する為のものとかメモとか全部なくなっちゃったの!
ね、この辺に「清掃」した事ある子はいなかったっけ?

(該当人物に出会えたら、大声ではできない話と人気ない通りに場所を移し【平穏結界】。同様に説明し)

無理は承知だけど――
お願い!
貸して!!

(実際に道具や場所の目印等のメモが貸されるかはどちらでもよく、「ならせめて目印これであってるかだけでも〜!」みたいなカマ掛け&押し問答の中で情報漏れればよし。視線から大体方角が割れないかも観察)



(で、普通に怪しまれると思うので程々の所で組み伏せてナイフ突きつけるわ!)
(ニッコリ。戦争だしね、多少の暴力は仕方ないわよ?)

ね。裏口の場所を教えてくれる?
良い情報くれるならそう痛くしないわよ!
でも叫んだりこのこと報告したりしたら…
分かってるわね?


エイレーネ・エピケフィシア
このような仕事も今となっては慣れたものです
人々を救うため、責務を果たしましょう

外套の中に尻尾を隠し、最終人類史で購入した怪物のマスクを被って街に入ります
大通りになるべく近づかず、目立たない道を選んで進み、同族達に接触を
現場を知っていそうな備品納入業者や清掃屋が一人でいる時に【傀儡】で動きを封じます

そこの者、競技会の会場の場所を教えなさい
わたしがジェネラル級になった暁には、あなたを召し使いの筆頭として遇しますよ
抜け駆けが目的な以上、他の亜人に情報も漏れません
故に自害を以て口封じとする必要もないのです
実に魅力的な取引だと思いませんか?

断って頂いても結構ですが……その場合は、多くの血が流れるでしょう
あなたのご家族、ご友人、誰かが折れて情報を口にするまでに何人死ぬか
わたしとしても不本意ですが、そんな騒ぎとなれば他の亜人に事態が露見するかもしれませんね

わかりましたか?
大人しく必要な情報を渡せば、皆が幸せになれるのですよ

《ニュンペーの剣》を突きつけ、必要なら頬をごく浅く切って血を流させて脅しましょう



 亜人とウェアキャットが行き交う街、オリュンピュア。そのバザールの中を頭まで隠した外套を纏ったエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)が行く。おそらくは亜人を模したつもりであろう仮面も被っている。彼女は細い道を行きながらも『迷宮』の関係者、あるいは関係者の関係者の目星をつけようとしている。
(「思ったより候補が多そうですね」)
 力付くで情報を集める事自体は可能だが、何度も繰り返せばそれだけ目立ち動きづらくもなる。とりあえず目についたウェアキャットから暗がりに連れ込もうとしたその矢先、狭い路地に大きな女の声が響き渡る。
「どうしようどうしようーーっ!!」
 その声の主はディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)だった。エイレーネも知っている顔であり自身と同程度には頭が切れる人物である。その彼女があえて騒ぎを起こしているのなら、それに一口乗るのも有りだろうと、人混みに紛れながらエイレーネは趨勢を窺う。
「どうした大声出して? なんかあったのか?」
「……じ、実はさっき亜人様に根こそぎ商品持ってかれちゃって……」
「そんなもんいつもの事だろうが、まさか全部店先に置いてたとかじゃないだろうな?」
「……うん」
「馬鹿かオメェは。バレねえように小出しにしてくんだよ、こういう時はな」
「今度から気をつける。……でも置いてあったものの中身も見ずに纏めて持っていかれたもんだから、今日『清掃』する為のものとかメモとか全部なくなっちゃったの! ね、この辺に『清掃』した事ある子はいなかったっけ?」
「あ? お前屋敷務めもしてんのか?」
 『清掃』とは迷宮での作業の事を指しているのだろう。無論亜人は知らないし、多くのウェアキャットも知らないだろう。故にディアナと直接会話を交わしている人物のような反応が普通だ。ならばそうでない反応を示す人物こそが怪しい、例えば足早にこの小さな通りから離れようとしている者とか。
(「――あれですか」)
 エイレーネは即座に【傀儡】の残留効果を使い、逃れようとしたウェアキャットの男性を更に細い路地へと動かし退路を封じる。身動きできなくなった彼に対し、亜人の面を被った彼女はこのように言う。
「そこの者、競技会の会場の場所を教えなさい。わたしがジェネラル級になった暁には、あなたを召し使いの筆頭として遇しますよ」
 これ以上の無い脅し文句に対し男は怯え気味だ、無理もない。
「抜け駆けが目的な以上、他の亜人に情報も漏れません
故に自害を以て口封じとする必要もないのです。実に魅力的な取引だと思いませんか?」
「そ、そんな事信用できるかよ!?」
「断って頂いても結構ですが……その場合は、多くの血が流れるでしょう。あなたのご家族、ご友人、誰かが折れて情報を口にするまでに何人死ぬか。わたしとしても不本意ですが、そんな騒ぎとなれば他の亜人に事態が露見するかもしれませんね」
「ひぃぃ!?」
 最早ただの暴力組織の構成員の物言いだが、そもそもディアボロスは割とその側面を捨てきれない。そんな尋問を通り越した脅迫が行われる最中、ディアナとの大きな声が先程以上に狭い空間に響く。
「あー! やっと見つけた!」
 嘘である。【平穏結界】を張りつつ出てくるタイミングを見計らっていただけだ。
「さっき『清掃』の話をしてた時何か知ってそうだったよね?」
 エイレーネの脇をすり抜けてずかずかと近づいていくディアナ。
「『清掃』の場所の事教えてくれない? 無理は承知だけど――お願い! 貸して!!」
 男はディアナの頼みを受けながらもエイレーネを見る、しかし彼女は静かにことの成り行きを見守るだけで反応を返さない。
「せめて目印これであってるかだけでも〜!」
 適当な見取り図を差し出してくるディアナに対し男は僅かに首を横に振る。もう異常事態にまともな判断力が無いのだろう。そこに差し込むようにエイレーネが言葉を割り込ませる。
「では、その場所はどこです? 大人しく必要な情報を渡せば、皆が幸せになれるのですよ」
 剣の切っ先をディアナの頭の上に掲げつつエイレーネは言う。言わなければ次はお前だとでも言うように。
「ね。裏口の場所を教えてくれる?」
 完全に殺る気の目をしたエイレーネの姿を見ていた男は観念したように呟く。
「大通りの『デーツの尽きない店』を探せ……。そこを張ってりゃ分かる……」
「ありがとう! この事は黙っておいてくれると嬉しいわね」
「わ、わかった!」
 エイレーネの持つ剣はまだ抜き身であり、その持ち手の彼女はここでやっと頷く。男はその場から脱兎の如く脱出し残るはディアボロスの二人だけとなる。
「いやー、乱暴な事をしなくて済んだわね」
「そうですね、平和裏に事が済んで助かりました」
 情報を無事に得た二人は安堵を挟みつつ、『デーツの尽きない店』を探しに行くのだった。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

ディアナ・レーヴェ
うん、平和平和!
(刃物は出たけど血が流れなかったので平和カウント!)

さて、
まず大通りに行って「デーツの超大口注文があって大量に仕入れたいんだけど、」「しかもその注文主がハマっちゃったのか何なのか、何日も継続的に欲しい見たいなんだけど!」みたいな切り口で、一般ウェアキャットに聴き込みしていきましょう!
服装で種族を誤魔化して、私も商売してるんですーって顔しておくわ。

あと、適宜あの『デーツの尽きない店』ってワードそのままを口にする事も忘れない。
前段と同じ要領ね!
おかしな反応を示した人こそよく知ってるひと。

…それと、裏口を通った人は血みどろの試合の清掃をしてるのよね?
果物系の店しか並んでない場所の癖になぜか血の匂いがした、みたいな事があればかなり可能性が高いわね!

さ、これで候補は最小限に絞れたかしら?
あとは「張ってりゃ分かる」って言われた以上、自分も露店出そうとするフリとかしながら、場に馴染む事や隠密に集中して根気強く待って観察。
候補を順に、可能なら【パラドクス通信】しながら仲間と手分け。


エイレーネ・エピケフィシア
『デーツの尽きない店』ですか……
実際の在庫を示すものか、或いは何らかの符牒なのか?
知恵の女神の神官らしからぬことですが、実はわたしは複雑に隠された物事を考えるのが得意ではないのです
今日はディアナ様が来て下さって安心しました

亜人の仮装はやめ、生来のウェアキャットとしての姿が分かるようにします
【モブオーラ】を纏い、同族の群衆に紛れ込んで大通りを歩きながら、『デーツの尽きない店』を探しましょう
果物を売っている露店があればデーツの量やその他の店の特徴を見て、ディアナ様が聞きこみで集めた情報と照合
「尽きない」と言うからには、一目見て分かる程度には在庫が多いはずです
新たな情報があれば適宜【パラドクス通信】で受け取りつつ、愚直なりに足で稼ぎましょう

店が確定した段階での張り込み時は、他の店で立ち話しながら買い物を行ったり、ベンチに腰掛けて休むフリをして違和感がないように
裏口が仮に店内にあれば人目がない時を見計らい突入
どこか別の場所なら、建物の壁や人々の群れに身を隠しながら案内される作業者を尾行しましょう



「いやー順調に進んで良かったわね! 平和平和! このまま入口見つけたいわね」
「それにしても『デーツの尽きない店』ですか……。実際の在庫を示すものか、或いは何らかの符牒なのでしょうか?」
 目的の大通りを目指しつつディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)とエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は行く。ヒントは手に入れたものの実際の場所が分かった訳では無いので現地での調査は続けなければならない。
「知恵の女神の神官らしからぬことですが、実はわたしは複雑に隠された物事を考えるのが得意ではないのです。今日はディアナ様が来て下さって安心しました」
「修行中の軍師だけどね。……でも今回はもっと単純に考えればいいんじゃないかしら」
 【モブオーラ】で人混みに紛れた二人は言葉を交わしながら今後の行動を相談する二人。
「単純にとは?」
「『デーツの超大口注文があって大量に仕入れたいんだけど』とか『しかもその注文主がハマっちゃったのか何なのか、何日も継続的に欲しい見たいなんだけど!』みたいに、とにかく沢山必要なことを聴き込むの」
「つまり直接『デーツの尽きない店』を探せばいいと?」
「そういう事ね」
 通信機を見せてディアナはエイレーネに返す。とにかく数と根気を必要とする調査方法なので知恵はそれほど必要としない、はずだ。
「足で稼ぐのなら問題はありませんね、盾と槍を持って駆けるわけでも無いですし」
「砲弾も降ってこないしね。それじゃ始めましょうか」
 一旦分かれた二人は大通りを歩きながらデーツを置く店を訪ねながら探して回る。手分けして探せば同じ店を見つけたとしても情報の確度が上がっていくものだ。そして調査を始めてしばらく経った後、二人はある青果店の見える所に腰掛けていた。
「やはりあの店ですか」
「うん、全然積まれてるデーツの山が減ってない」
 この時代のこの地域のディヴィジョンではデーツ……ナツメヤシは重要な作物であり生産量自体は多い。しかし亜人の性質上その生産者は減っており在庫がそこまで確保できるとは考えにくい。単に売れてないだけという可能性もあるが、他の商品は減っているようだ。あとは情報の通り張っていて変化があるかどうかだろう。
「……ゴブリンの群れが来ましたね」
 エイレーネが声に剣呑さ込めつつ現れた亜人達を刺すように見つめる。しかし流石に動かずその動きを注視していると、件の店から多くのデーツを彼らはかっさらっていく。
「さて……」
 ディアナは即座に店主へと目を向けると、彼は奥にある建物へと入っていく。エイレーネと共にその店主の後を追うと、彼女の鼻腔に微かな血の臭いが入ってくる。
「ビンゴ!」
「果物の香りで誤魔化していたようですね」
 彼女たちが倉庫に入ると驚いた店主が大声を出そうとする、が即座にディアナの手がその口を塞ぐ。
「騒がない方が良いわよ?」
「あなたはここで何も見なかった。……良いですね?」
 二人が抜け身の刃を見せつけると、店主は大人しくデーツを抱えて倉庫を出ていく。おそらく『清掃』の報酬で在庫を確保していたのだろう。荷物の奥の床には闘技場に続く通路が隠されていた。
「あとは分かりやすいわね」
「ええ、残るは戦いでどうにかなる相手ですからね。もっと単純な話になって助かります」
 ディアボロス達はイスカンダル達の企みを叩き潰すために出入り口を潜るのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

ディアナ・レーヴェ
(……ミミック、かあ。亜人の中でも特に、彼らには特別な嫌悪感を覚える)
(そのお腹の中は……あんた達が寄生なんかする為に、女の人が整えたものじゃない――!!)


さて!!
迷宮というのなら、慎重に索敵しながら進むのは基本ね!
【完全視界】使用、あとは手鏡とかも上手く使いながら物陰伝いに静かに進んでいく。

耳を澄ませましょう。先に発見できたら、仲間とも動き合わせて奇襲を狙うわ。
もし敵が別の敵と戦闘中なら、便乗してこっちも弱ってる相手から狙いましょう!

総合的には敵の方が多い訳だし、極力狭い通路に引っ張り込んで囲まれない状況を作って戦いたいわね。

特に敵が喰い合って数を減らすのを待ったりはしないけど、だからって特に大急ぎで行動したりもしない。
だから多少は強化された個体と戦う事になるかもしれないけど、こっちもそれを想定しての単体攻撃(【Rat】)予定よ!

(命乞いの声を聞けば)「たすけて」?「この子だけは」?(…私は――)
ごめんね。
もう死んでるの、赤ちゃん。
(言い聞かせるよう呟いて、惑わされず、一撃を)


エイレーネ・エピケフィシア
あのトループス級を目にするのは此度が初めてではありませんが、何度見ても惨たらしいものですね
命を奪われた人々の魂が静かに安らぐためにも、一匹残らず討ち果たしましょう!

迷宮の中を無策に進んで集中攻撃を受けるのは避けたいですね
今回の敵はまるで死体のように見える姿で、しかも暗所で目立ちづらい体色です
待ち伏せを勝ち残るための選択肢として重視する者もいるかもしれません
足元や曲がり角には特に気をつけ、敵の発する匂いや戦闘音も敏感に察知しながら進みましょう

敵に攻撃を仕掛けるときはなるべく、こちらに気付かず通路を歩いている時や、同族同士で殺しあっている所を急襲して有利を得ます
『スピアウォール』を発動して、《神護の長槍》を突き出すと同時に、わたしの左右の空間に生じるいくつもの幻影の槍で槍衾を形成
逃げ場のない迷宮の中を鋭い穂先で埋め尽くし、遺体の中に潜んだ敵を確実に貫いてみせます

反撃は《神護の輝盾》を構えて防御
敵が大きく腕を振るった後の隙や、他の死体に乗り移ろうと飛び出した瞬間を狙って、再び攻勢に転じましょう



 迷宮内に腐臭が満ちる、それはここの選手の体臭だ。ここでアヴァタール級とならんとしているトループス級亜人はミミック。何を模してその名前で呼ばれるかというと、母体である。……亜人は生まれてくる時に人の女の腹を必要とするが、その際に母体の死亡となった時にその体を奪い取ったのがミミックという亜人だ。元から嫌悪感のある亜人の中でもおそらく最も生理的嫌悪をもたらすのがこの種類だろう。
「あのトループス級を目にするのは此度が初めてではありませんが、何度見ても惨たらしいものですね」
 エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)の感想は率直なものだった。それは神官として、或いは人として真っ当なものだろう。ミミック達はこの迷宮で生まれ直す為に殺し合いをしているのもまたおぞましい。その気配を感じたディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は嫌悪感と怒りを綯い交ぜにした表情を浮かべ歯を食いしばっていた。
「ディアナさん、大丈夫ですか?」
「……。ええ大丈夫よ!」
 エイレーネに声をかけられたディアナはいつもの表情に変わる。だがその裡には自分よりなお激しいものがあるのはエイレーネとしても分かる。
「命を奪われた人々の魂が静かに安らぐためにも、一匹残らず討ち果たしましょう」
 エイレーネは一歩歩き出し、迷宮内を索敵しながら先導する。彼女の後を追いながらディアナは静かに怒りの炎を燃やす。
(「……ミミック、か」)
 程なくして争う音が聞こえてくる、死体の体をぶつけ合いながら争うミミックを見て何も言わず二人は奇襲をかけるタイミングと見て飛び出した。
「あなた方のいずれも勝者にはさせません!」
 相争うミミック達に無数の槍衾を突き立て、その片方を倒すエイレーネ。即座に反撃が来るがその一撃は盾にぶつかり派手な音を立てる。
「甘い!」
「エイレーネ後ろ!」
 彼女らと同じように考えていたと思わしきミミックがその背後から迫る。それに更に反応したディアナが即座に砲撃を放ち奇襲をしたミミックを吹き飛ばした。
「助かりました、そちらはお任せしても?」
「ええ、これくらいならこっちで」
 既に何体か倒しているのだろうか、ディアナの相対するミミックはこともなげに立ち上がる。そこには虚ろで満ちた腹が見えた
(「そのお腹の中は……あんた達が寄生なんかする為に、女の人が整えたものじゃない――!!」)
 今にも叫びだしそうな口を顎の力で無理矢理に閉じ、砲塔を向けるディアナ。その殺気を受けたミミックは空気を捻じ曲げて音を発する。
「タスケテ……コノコダケハ……」
 それはその名の通りの模倣なのだろう、しかしそれは確かにディアナの心を揺らがせる。
(「……私は――」)
「ディアナさん!」
 今度はエイレーネが注意の言葉を飛ばす。しかしそれよりも先にディアナの腕が動いてもう一度飛びかかろうとしていたミミックを撃ち抜いた。
「ごめんね。もう死んでるの、赤ちゃん」
 どさりと床に落ちて消えていくミミックにディアナは呟く。既に周囲の敵を撃破していたエイレーネはディアナに近づき、そしてディアナは笑みを浮かべる。
「さて! 次の敵を探しましょう!」
「……。ええ、分かりました。ディアナさんはご自愛くださいね」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

クロエ・アルニティコス
救援機動力で他の復讐者と合流し、ともに迷宮を進みます。
状況が状況です。敵も安穏とはせず周囲に注意を払ってはいるでしょうが、戦闘中などは周囲を気にする余裕はないでしょう。
不意を打てれば優位になる。備えはしておきましょう。

【光学迷彩】を使用し、敵から見つかりづらい暗がりを中心に迷宮を進みます。
敵を発見したらカラーリリーの球根へ魔力を注ぎ【カルキノス・ザンテデスキア】を使用。敵の足元から生えるカラーリリーに紛れさせてカルキノスを象った植物の怪物を接近させ、ハサミによる攻撃を行います。
争い合っていても復讐者を見れば休戦しこちらに攻撃を仕掛けてくるでしょう。複数の敵と戦うことを意識し、こちらも他の復讐者と共に戦い死角を作らないように。

亜人は皆、人の死から生まれる存在。
ですがお前はその中でも醜悪ですね。
お前のそれは、どうやって覚えたのでしょうね?
実際に見たのでしょうか。
ならば私の選択も、その時お前がしたようにするだけです。
敵の演技には耳を貸さず、寄生したミミックをカルキノスのハサミで切り裂かせます。



 先行するディアボロス達を追い、迷宮の中を進むクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)。注意を周囲に払いながらも彼女は足早に敵を探す。
(「状況が状況です。敵も安穏とはしてはいないでしょうが……。っ!」)
 曲がり角を差し掛かった所で大きな体躯のミミックが静かに進んでいた。その動きを見る限り迷宮内の何者かに不意打ちをかけるつもりなのだろう。
(「その相手は同じ出場者のミミックか、はたまた……」)
 物陰にとっさに隠れた彼女は暗がりと光学迷彩のお陰か見つかる事はなく、即座にパラドクスの発動に用いる球根を手に取る。
(「いずれにせよ、ここで逃す道理はありません。……芽吹け」)
 隠密するミミックに更に奇襲をしかけるべく巨大な蟹を模した植物の怪物をけしかける。音もなくミミックのそばにまで走り寄ったそれは、巨大なハサミでミミックの腕を切り落とす。
「アアアアア……! イタイィ、タスケテエェ……!」
 奇襲を受け叫ぶミミックの姿にクロエは冷たい視線を投げかける。
「亜人は皆、人の死から生まれる存在。ですがお前はその中でも醜悪ですね。お前のそれは、どうやって覚えたのでしょうね?」
 それは『模倣するもの』の名の通りの答えなのだろう、切られた腕部分だけが忍び寄り彼女に打撃を与えようとするが、それはカルキノスに阻まれる。
「実際にその時を見たのでしょうか。ならば私の選択も、その時お前がしたようにするだけです。――『カルキノス・ザンテデスキア』!」
 クロエの指示を受けた怪物はまず切り落とされた腕を踏み潰し、そしてハサミで頭部を掴む。
「お前達の言葉に貸す耳はありません。消えなさい」
 蟹鋏がそのままミミックを切り裂き消失させる。強さ的には恐らく今倒したのが最後の個体だろう。そう判断した彼女は先行するディアボロスを追う。そしてそこにはやはり迷宮を制した亜人がアヴァタール級となって待ち受けているだろう。それはきっと亜人達全てを討つ戦いにつながるはずだ。それを為すべく彼女は進む足を速めるのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!

六宮・フェリクス (トレインチケット)




「おっとー?」
 蹂躙戦記イスカンダルでちょっとばかりの強敵がいるからと迷宮に潜ってみれば、最初の目標であるトループス級に会わず、そのまま終点の闘技場らしき所に出てしまった六宮・フェリクス(An die Freude・g01325)。
「楽しい地獄が待ってると思ってたら……ん?」
 彼が出てきた出口の反対側、やはり似たような場所から現れたのは雷を纏った大きな影。
「これはこれは、殴りがいのありそうな奴が出てきたみたいだ。顔がブサイクなのはちょっとばかりマイナスだけども」
 現れたのは大きな体躯を持ったトロルだった。尤も亜人に美形を求めるのが中々厳しいオーダーだろう。
「……コロス」
 トロルは携えた大剣を両手で握り無造作に振り回す。するとその鉄塊から雷を纏った衝撃波が放たれ、周囲の構造物ごとフェリクスを破壊しようとする。
「おっと!?」
 彼は転がりながら衝撃波をくぐり抜けダメージを最小限にしてトロルへと迫る。彼が距離を詰める間にも敵の武器は絶えず振り回され、フェリクスの体表には傷が増えていく。それと反比例するように彼のマスクの下の口角はつり上がっていく。
「大暴れしてくれたが……こっちの攻撃も受けてくれよ!」
 大剣の一振りをくぐり抜け、身軽な状態を維持するために出していなかった刀を虚空から抜き、その銘の如く閃光に似た一撃を喰らわせる。
「流石、硬いねえ。でもオレの仕事はここまで」
 深追いせず距離を取ったフェリクスは自分の出てきた出入り口を見る。
「後はハニー達に任せるぜ♡」
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

エイレーネ・エピケフィシア
試練を生き延びた亜人を仕留めれば、新たなジェネラル級による蹂躙を防ぐばかりか、イスカンダルの建て直しそのものを防げます
この闘いは確実に、新たな惨禍を防ぐために資するのです
共に人々のための勝利をつかみ取りましょう!

狭い戦場において巨体の敵を相手取るとなれば、壁際に押し込まれるのが最も危険な状況ですね
できるだけ仲間と敵を取り囲む隊形で闘い、誰かが守勢に追い込まれたなら背後や側面から攻撃を差し込んで救援できるようにしましょう

《神護の長槍》を敵に突きつけ、穂先から放つ『勝利齎す女神の威光』を浴びせかけます
皆で重ねた【命中アップ】の導きを支えとして、敵の体を覆う厚い脂肪を浄化の光で削ぎ落とし、体内の急所を狙います
わたしが仕留めきれなくとも、敵に肉薄して戦うディアナ様や、クロエ様の狙い鋭いケンタウロスが好機と見るや痛撃を加えてくれるはずです

敵の技に対しては敢えて踏み込み、剣を振るう手を《神護の輝盾》で横殴りに弾き、狙いを外させ威力軽減を狙います

大神ゼウス様の聖域を瀆した不遜、その身を以て償いなさい!


ディアナ・レーヴェ
ん、迷宮の個体は全部片付いたみたいね。
… ……良かった。

――さて!
気を引き締めて、最後の大物に挑みましょうかーっ!
(明るく笑って言う。いつも通りだ。いつもどおり)

ああ、何だかリングがよく似合う感じのでっかい敵が来たわね!
10m?あんまり距離をとって戦うよりは、私も堂々突っ込んでいっても良いかしら!

敵の突撃に、こっちも火砲を盾代わりにしながら真っ向たち向かうわ。
まあどんなに踏ん張ろうが思いっきり弾き飛ばされるでしょうけど、それでも根性で戦場の端を蹴って、飛び上がっては敵の背や頭上を取るようにする。
こっちの方がサイズ負けしてる以上、こうやってちょこまか鬱陶しく立ち回るのが一番でしょう!(【王道の計】)

重たい剣を振ってるみたいだから、振り切った後の隙は仲間と協力してお互い積極的に狙っていきたいわね。

……私ねえ、今ちょっとむしゃくしゃしてるの。
八つ当たりの相手になってくれない?


クロエ・アルニティコス
えぇ。これでこちらの迷宮の亜人どもは全て駆除できました。
あとは別の迷宮で駆除をしてくれた亜人を殺せば終わりです。
勝ち抜いて進化した個体。元々の強さも先ほどのトループス級の比ではないでしょうし、雷による強化もあります。
己の力を過信せず他の復讐者と共に戦いましょう。

【ケンタウロス・タクスス】を使用し、ケンタウロスを象った植物の怪物を作り出します。
ケンタウロスの放つ矢で敵が盾にする剣の合間を狙い、腕や足、腹などを狙いましょう。
また、前衛で戦う復讐者とタイミングを合わせて攻撃することで、敵が剣を振り切った時を狙い上半身など急所を撃たせます。

敵の突撃に対しては脚を射て突撃の勢いを殺しつつ、横に跳んで直撃は避けます。
衝撃で吹き飛ばされることにはなるでしょうが、その場合でもすぐに立ち上がり戦闘を続行します。

多数の亜人を犠牲にするだけはあります。
お前のようなものからデメトリオスやアルミラージのようなジェネラル級が生まれるのでしょう。
ならばこそ。
お前はここで殺します。再起の目など与えはしません。



「……ここは」
 迷宮とは違った開けた場所、そこに足を踏み入れたエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)とディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は既に交戦状態を経たギガントロウルの姿を認めた。
「残りのミミックは……」
「それは私が最後の一体を駆除してきました」
 出入り口を振り返ったディアナが見たのはこともなげに現れたクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)。
「迷宮の個体は全部片付いたのね?」
「えぇ。これでこちらの迷宮の亜人どもは全て」
「……。……良かった」
 ディアナはもうこれ以上『彼女達』が辱められる事はないと安堵する。そして顔をクロエの方から、態勢を整え直そうとするトロルに向けられた。
「――さて!」
「あとは別の迷宮で駆除をしてくれた亜人を殺せば終わりです」
 クロエの視線が斬撃を受けて怯んでいた所から立ち直るトロルを射抜いた。その巨躯と纏う雷が一筋縄で倒せる相手ではないという事を示している。
「勝ち抜いて進化した個体。元々の強さも先ほどのトループス級の比ではないでしょうし、雷による強化もあります」
「ですがイスカンダルはだからこそこのような儀式をせざるを得なかったわけです。試練を生き延びた亜人を仕留めれば、新たなジェネラル級による蹂躙を防ぐばかりか、イスカンダルの建て直しそのものを防げます」
 女神のように盾と槍を構えたエイレーネが倒すべき敵を見定める。
「この闘いは確実に、新たな惨禍を防ぐために資するのです。共に人々のための勝利をつかみ取りましょう!」
「気を引き締めて、最後の大物に挑みましょうかーっ!」
 エイレーネとディアナがまず壁際に追い込まれる前にと真っ直ぐにトロルに突撃を行う。近づけば近づく程にその巨体さが分かる。
「このリングによく似合う大きさね!」
「しかしそれもゼウス様の偉大さには到底叶わないでしょう。簒奪者よ、この場で滅びなさい!」
 エイレーネの槍から光が奔りトロルの体を灼く。しかしその体躯に見合った耐久力があるのか構わず剣を振るうと放たれた衝撃波が盾を構えていたエイレーネを容易く弾き飛ばす。彼女に追撃をされる前にとクロエが弓持つ怪物を呼び出す。
「種子に宿るは我が哀傷、芽吹け『ケンタウロス・タクスス』!」
 現れてすぐに現れたケンタウロス型の怪物は番えた矢を放ちトロルのそれ以上の追撃を阻む。が、矢自体は盾のように構えられた大剣によって弾かれる。
「多数の亜人を犠牲にするだけはあります。お前のようなものからデメトリオスやアルミラージのようなジェネラル級が生まれるのでしょう」
 思いの外に器用な防ぎ方をするトロルに柳眉を逆立てるクロエ。彼女の守りが甘いと見て取ったのか大剣を構えたままトロルに突撃し、彼女を轢いていく。
「くっ……」
 咄嗟に横に飛びのけるものの、同時に放たれる衝撃波までは避けきれず浅くない傷を追うクロエ。なお彼女を潰そうとするトロルの背中で爆発が起きる。
「!?」
「あなたの相手はこっちよ!」
 トロルの無防備なタイミングを図っていたディアナが続けざまに砲撃を放ちながらトロルを引き付ける。
「私ねえ、今ちょっとむしゃくしゃしてるの。八つ当たりの相手になってくれない?」
「シラン……ゼンブ、コロス」
 雷を纏い突撃してくるトロルの上を――雷による火傷を受けながらも――飛び越えてディアナは敵の背中に砲撃を打ち込む。そして彼女が囮となっている間にエイレーネとクロエも態勢を立て直す。
「アテーナー様! 大神ゼウス様の姫神にして、勝利を齎す女神よ! どうかこの槍に今再び、人々の敵を撃ち破る力をお与えください!」
 再度呼び寄せられた光条がトロルを捉えて先程よりもなお激しい力を見せる。
「大神ゼウス様の聖域を瀆した不遜、その身を以て償いなさい!」
「イタイ……!」
 エイレーネとディアナの攻撃に挟まれながらも未だ反撃の気配を見せるトロル。これが迷宮の勝者の力ということなのだろう。
「……ならばこそ。お前はここで殺します。再起の目など与えはしません」
 クロエが杖をトロルの頭に向ける。そしてそれに応じたケンタウロスの弓から矢が放たれ、動きを止められていたトロルの脳天を眼球と共に貫いた。
「ア……?」
 何が起きたのか分からないのだろう、死闘を繰り広げていたとは思えない程に間抜けな声を発してトロルは大きな音を立てて倒れ込む。
「……終わりましたか」
 クロエが怪物を戻し動かなくなった敵の死体を見て呟いた。
「これでここの迷宮は攻略完了って所ね」
「ええ、このオリュンピュアで潰すべき謀もあと少し。そしてその時が……」
 ディアナの言葉を引き継ぎエイレーネは頷く。その時こそ何かが起こるだろう、強い予感を感じつつも彼女たちは一先ずオリュンピアから撤収するのだっ
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【完全視界】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2024年07月19日