オリュンピアの儀式、大規模予選大会への潜入

 オリュンピア近郊の廃神殿を拠点に、周囲の情報を確認した結果、オリュンピアでは例年に無い大規模な大会が開かれようとしている事が判明しました。
 おそらく、大幅に減少した戦力を補充する為に、かなりの無理をして大規模な大会を開いているのでしょう。

 攻略旅団の方針に従い、オリュンピアの儀式の一つである『大規模予選大会』の儀式場に潜入し、その妨害を行ってください。
 予選大会の儀式場は、魔法的に造られた迷宮です。内部では、トループス級の亜人が最後の一人になるまで殺し合い、生き残った者がアヴァタール級に進化するというもののようです。

仰望への針路を(作者 海鶴
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●オリンピア近郊・廃神殿
 土を踏みしめるように足踏みの音が響いている。
 それはともすれば地鳴りのように廃神殿を揺らしているようでもあった。
 亜人たちが自らの足を踏み鳴らすのは、眼の前の『門』より現れる者を喝采でもって迎えるためであった。
『門』の先は別の空間につながっているのだろう。
 現れるのは、雷纏うアヴァタール級亜人『アシュラキュクロプス』であった。
 傷だらけであるのは、その空間で凄絶な生き残りをかけた戦いが繰り広げられていたからであろう。

 拍手喝采が万雷のように『アシュラキュクロプス』を包み込む。
 傷の痛みはあれど、しかし心地よいものであっただろう。
 まるで勇者の凱旋。
「ウオオオオオオオオ!!」
『アシュラキュクロプス』は、その喝采に応えるように咆哮するのだった。

●パラドクストレイン
 レーネマクダ・デルトダウ(テト・カフ・g08563)は集まってきたディアボロスたちに一礼する。
「お集まり頂きありがとうございます。蹂躙戦記イスカンダルにおいてオリュンピアへ上陸を果たし、廃神殿の一つを確保したことで亜人たちに察知されることなく街中に潜入することが可能となったことは、すでに聞き及んでおられることと存じ上げます」
 そして、ディアボロスたちはオリュンピアの街で大規模な儀式が執り行われていることを知るだろう。
 推察するにイラン東部の決戦、断頭革命グランダルメ奪還戦で失われた戦力を増強して取り戻さんとしているのだろう。
「オリュンピアで執り行われている儀式はトループス級亜人同士を殺し合わせて生き残ったものをアヴァタール級に進化させるもののようです。そして、さらにこの勝ち残り、進化したアヴァタール級同士をも戦わせることで新たなるジェネラル級を生み出す儀式であるようです」
 つまり、これを阻まねば蹂躙戦記イスカンダルは失った戦力を取り戻し、また盛り返してくる。
 これは阻止しなければ、今後がどうなるかわからなくなってくるだろう。

「故に、この競技会の儀式……つまりはトループス級同士を争わせアヴァタール級に進化させる予選大会は、複数の会場で執り行われている様子。皆様に潜入して頂きたい廃神殿が、そのうちの一つです」
 とは言え、儀式場の正規の入口には多くの亜人がいるため潜入することはできないだろう。
 であれば、『裏口』からとなるのは想像に難くない。
「どうやら、この予選には参加できなかった亜人が儀式場に忍び込まぬように『裏口』をウェアキャットたちに管理させているようなのです」
 ウェアキャットたちにしかわからぬ偽装がされている、と考えて良いだろう。

「まずは儀式場の雑用をしているウェアキャットに接触し、『裏口』の情報を手に入れる必要があるでしょう。ですが、ウェアキャットは『裏口』の情報を漏らしてはならないと厳命されているようである。
 直接情報を得るのは難しいだろう。
 だが、会話などの糸口から、これが何処にあるのかを察することはできるかもしれない。
 その情報を元に儀式場に潜入しなければならないのだ。
「潜入後は、競技会予選に参加しているトループス級を全滅させて頂きたいのです。確かにトループス級同士は殺し合うものです。放置していても数を減らすでしょう。ですが、彼らは勝利を得るごとに戦闘力が強化されていくのです。となれば、手こずるやもしれません」
 その前に一気呵成にトループス級を打倒することも良いかもしれない。
 トループス級を全滅させれば、さらに別の儀式場の勝利者との戦いが発生する。
 当然、別の儀式場の勝利者はアヴァタール級に進化し、更に雷を纏う強化が施されている。

 そして、レーネマクダは己の推察を口にする。
「おそらくこの最規模な儀式、競技会はかなりの無理をして行っている可能性があるでしょう。この大規模儀式を妨害することができれば、新たなジェネラル級の誕生を阻止するとともに、蹂躙戦記イスカンダルに対する致命的な打撃を与えることになるはずです」
 とは言え、競技会を勝ち抜いた雷まとうアヴァタール級は手強い。
 これを打倒することもそうであるが、そもそも儀式場に潜入するための『裏口』を発見するのも手間であろう。
「出発地点の廃神殿にも何か隠されたものがあるようですが、そちらの調査に関しましては、攻略旅団での提案があれば行うことになるでしょう」
 では、と彼女はディアボロスたちに一礼してパラドクストレインへと送り出すのだった。

●ウェアキャット
 生活はあまり良いものではない。
 あまり良いものではない、という言葉自体、自分をごまかすための言葉であることは理解している。
 このオリュンピアは華やかな街だ。
 だが、これを維持するためにウェアキャットたちは酷使されちえる。スラムのような場所ので寝床さえ定かではない生活に加えての労働。そして、目つきが気に入らないなど、単に虫の居所が悪い亜人に戯れに殺される。
 そんなウェアキャットを埋める。
 土を被せる度に鬱屈とした気持ちになる。
 死体の腐敗した匂いに鼻が曲がりそうになる。
「……クソッ、こんなんじゃ、仕事にならなぇじゃねぇかッ」

 己の鼻は仕事道具だ。
 この鼻がなければ、亜人から命ぜられた仕事ができない。繊細な花の香りを嗅ぎ分けることができなければ、死活問題だ。文字通り、である。
 仕事ができなければ、処分される。
 かと言ってこれを他者に共有することもできない。
「クソッタレが」
 毒づくことしかできず、ウェアキャットは死せる同胞の死骸に土をかぶせ、鼻を擦るのだった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【冷気の支配者】
5
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【猫変身】
1
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV1 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はオリュンピアにて行われている大規模儀式……トループス級同士を争わせ、アヴァタール級に進化させ、さらにアヴァタール級同士を争わせジェネラル級へと進化させる競技会を潰すシナリオになっております。

 この儀式が行われている儀式場内部は迷宮と化しており、集められたトループス級たちが最後の一人になるまで脱出することができません。
 これを繰り返し、アヴァタール級に進化した者同士を争わせ新たなジェネラル級を生み出すことが、多くの戦力を失った蹂躙戦記イスカンダルの戦力補充の策であるようです。
 これを妨害しなければ、また蹂躙戦記イスカンダルは勢力を盛り返すことでしょう。

 ①住民との会話(ウェアキャット)(👑5)
 まずは、このオリュンピアで働くウェアキャット……とりわけ、儀式場を管理するための『裏口』を知る者と接触しなければなりません。
『裏口』の情報が徹底的に秘されてるのは、『儀式に参加資格を得られなかった亜人が儀式に潜り込もうとするのを防ぐ』ためです。
 ウェアキャットが施したカモフラージュの情報を持っていることは、非常に重要なことであり、これを漏らすことは亜人であってもありません。
 当然、友人や親しい者に対しても絶対に漏らすことはありません。
 強く拷問、詰問すれば直接的ではないにせよ場所の情報は得られるかもしれませんが、確定させるような詰問は自死を選ばせることになるでしょう。

 ②秘密の出入り口を探せ(オリュンピア)(👑5)
 ウェアキャットによってカモフラージュされた儀式場への入口を探す選択肢になります。
 選択肢①の情報から、恐らくここだろう、と当たりをつけることはできます。
 ですが、ウェアキャット自身の工夫によって、皆さんを惑わさうような仕掛けがなされています。
 これを運任せか、もしくは得た情報から推察するなどして『裏口』を発見せねばなりません。

 ③👾予選迷宮のトループス級『マッスルゴブリンズ』(👑11)
 無事、儀式場に潜入すると内部は迷宮のようになっています。
 トラップなどはありませんが、迷路のようになっており、トループス級と偶発的に出会って殺し合いをすることになるでしょう。
 つまり、待ち伏せや奇襲といった戦法を取るトループス級もいるかもしれません。
 ただ、時間を掛ければ推移と共に数は減っていきますが、強化されたトループス級との戦いを行わねばならなくなるでしょう。

 ④👿雷を纏うアヴァタール級との戦い『アシュラキュクロプス』(👑12)
 別のぎ式場で勝ち抜いたトループス級が進化したアヴァタール級です。
 雷を纏う体躯を持ち、通常のパラドクスに雷を伴う力を発揮しています。
 見た目以上に狂戦士めいた状態になっており、まともな会話はできないでしょう。

 それではオリュンピアの儀式によって失った戦力を補填しようとする蹂躙戦記イスカンダルの盛り返しを防ぐべく戦う、皆さんの物語の一片となれますよう、たくさんがんばります!
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


バトラ・ヘロス
戦力を回復されると困りますね
難しい任務ですが挑戦しましょう

案内人の話だと花の香りが関係ある様です
事前に街の情報を調べてあたりを付けておきます

話にあったウェアキャットの動向を探り、周囲に人がいない状況で「話があるんだけど付き合って」と声をかけ人目のない場所へ
フードで顔を隠しておきます
鞘に納めた剣を見せて強引に
【平穏結界】使用

「競技会場の裏口を知っているんでしょう。教えて」
先ずは無理矢理聞き出そうとします
間違って自害されない様、加減に注意

「…無理なら大まかな場所だけでもいい。後は自分で探す」
少しずつ譲歩して落としどころを探らせます
「出場者に用があるだけ。口止めされてるのは、無関係な亜人を入れない為でしょう。あたしには無関係」
「見つかるまで何度でも会いに来る。密告しても無駄、隠れるから。協力してくれればあなたの事は忘れるわ」
花に関係ある場所を例に出してかまをかけます
「…例えばあの辺りとか?」
反応を見て探ります

申し訳ないけどこちらも形振り構っていられません
多少強引にでも手掛りを求めます


ジズ・ユルドゥルム
自死を選ぶほど徹底的に秘されているとは、厄介だな。

レーネマクダの予知によると、彼らは花の香りを気に掛けていた
裏口の場所は花に関係している…?
どれ、かまをかけてみるか

亜人が花なぞ気にするかと怪しまれても面倒だ
マミーのなりそこないなりに、漂着したマミーのふりでもしようか
彼らは亜人の「北風」式の詰問には耐え慣れているだろうし、「太陽」式に質問してみよう

予知に登場したウェアキャットか、彼と同じ職務の者へ声をかける
虚言防止の威圧として
質問の最中にこれ見よがしに「守護者の戦斧」を宙に投げる手遊びをしておこう。

やぁ、そこの者。務めご苦労。
私はキプロスから赴任したばかりでな。この街は他所で見ない美しい花が多くて驚いたよ。
ところで…花のことを詳しく教えてほしい。
信仰を集めるため、この地の花で香油を作らせたい。
「繊細な」香りの花がいい。私の傍に侍る信心深い者だけが、香りを感じることを許されるような。
そんな花の咲く場所を知らないか?
…ふふ。正直に教えてくれれば、何もしやしないさ。正直に教えてくれれば、な。


 オリュンピアの街は華やかな雰囲気に満ちていた。
 とは言え、それは明暗分かつが故の華やかさであったことうだろう。
 亜人にとってはトループス級からアヴァタール級へ、そしてジェネラル級への道が僅かであっても光明として降り注ぐ栄誉の祭典であるが、ウェアキャットにとっては亜人たちの要求に絶対応えなければならない。
 応えられなければ死ぬしかない。
 華やかな街の様子とは裏腹にウェアキャットたちが寝起きする住居とも言えぬスラムめいた場所は、まさしくそうした華美の光に照らされぬ色濃き陰であったことだろう。
「戦力を回復されると困りますね」
 バトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)はこれが難しい任務であることを理解する。
「儀式場へと侵入するための『裏口』はあれど、これを知るのは一握りのウェアキャットのみ。しかも自死を選ぶほどに徹底的に秘されているとは、厄介だな」
 ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)もまた頷く。
 二人はフードで顔を隠し、さらに念を入れていた。
 ウェアキャットにはディアボロスと亜人の区別が付けられない。
 しかし、今回の『裏口』を知るためには、むしろ姿形というのは重要なことであっただろう。

「案内人の話だと『裏口』はどうも花の香りが関係あるようです」
「花の香りに気をかけているようでもあった。どれ、かまをかけてみるか」
 二人はウェアキャットの姿を探す。
 スラムの様子は酷いものであった。幸いにこんな場所までやってくる亜人はそういないようだった。
 ウェアキャットは幼き者もいれば、年老いた者もいる。
 少し考える。
 亜人から『裏口』の管理、雑用めいたことを命ぜられるのならば、どんな人材だろうか。
 子供、老人では当然無理だろう。女性でもダメだ。
 となれば、年若い男性のウェアキャット、ということになる。
 そして、気まぐれにウェアキャットは殺される。些細な理由で殺されてしまうのならば、そうしたいわゆる働き盛りの男性ウェアキャットというものは数が少なくなるであろう。

「となれば、見つけ出すのは、そう難しくはないか」
 ジズはスラムを歩いていくと土を掘り返されたような場所があることに気がつく。
 バトラはすぐさま気がついた。
 死臭。
 そう、此処には死体が埋められている。埋葬されている、というにはあまりにも乱雑なそれの近くに一人の男性ウェアキャットが疲れ果てたように腰掛けている。
 ジズとバトラは互いに顔を見合わせて頷く。
 手繰り寄せるは残留効果。
 空間が変化していく。平穏結界によって閉ざされた内部の様子を把握されにくくなる。だが、これは平穏結界の外から内側が認識されにくくなるだけだ。
 騒ぎ立てれば、当然意味をなさない。
 故にジズは座り込んでいる男性ウェアキャットの前に立つ。

「やぁ、そこの者。務めご苦労」
 彼女の言葉に男性ウェアキャットは怪訝な顔をしながらもよろめきながら立ち上がり、頭を深く下げる。そうしなければ、亜人に殴られると知っているからだ。ほとんど平伏するような体勢で彼はジズたちの前に頭を下げている。
「へ、へぇっ! もったいないお言葉……!」
「競技会場の裏口を知っているえしょう。教えて」
「えっ!?」
 バトラは直球で尋ねた。フードで隠した彼女の顔色を伺うように男性ウェアキャットは視線を上げる。
 すると、彼女は手にした剣の鞘を眼前に突き立てた。
 土に突き立てる音にウェアキャットの肩が震える。

「出場者に用があるだけ。口止めされているのは、無関係な亜人を入れないためでしょう。あなたには無関係」
 ウェアキャットはなんと応えたものかと思考を巡らせている。
 下手なこと言えば殺される。逆に正直に応えても殺されてしまうだろう。
 死ばかりが彼の頭に巡っていく。
 死ぬにしてもゴミクズのように死にたくはないし、かと言って弄ばれるようにもごめんだった。
「まあ、そう脅かさない。キミ、私は此処に赴任してきたばかりでな。この街は他所でみない美しい花が多くて驚いたよ」
 にこやかな雰囲気のジズにバトラは自分が『北風』のようだと思ったかもしれない。
 もっと言えば、アメとムチのムチの方。
 ジズはバトラの言葉に乗っかるように落とし所を提供するように言葉を紡ぐ。

「ところで……花のことを詳しく教えて欲しい。『繊細な』香りの花がいいんだが。香油を作らせたいと思っていてね。そんな花の咲く場所に心当たりはないかい?」
「そ、それは、その……」
「……例えば、あの辺りとか?」
 ジズの言葉に視線泳ぐウェアキャットにバトラはカマをかけるように言葉を投げつけ、指差す。
「それともあっち?」
「あ、う、あ……」
 ウェアキャットは思う。計算していたと言ってもいい。
 この人らは己に『裏口』の場所を言わせたいのだ。だが、直接言えば、己が死に追い込まれるとも知っている。
 きっと咎めることはしないだろう。
 だが、己から漏れた、と亜人に知られるのはまずい。なら、と言葉にしなければ良い。直接的に言わなければ良いのだ。

「……お、お求めのような花は、『3つ』ございまして……へ、へへっ、『繊細な』香りもそうでありますが、『色』もまた『鮮やか』なものでございますもんで……お、贈り物としても、よろしいかと」
 媚びへつらうようなウェアキャットの言葉にバトラは頷く。
「そうか。ふふ……教えてくれたね。気分がいい」
 ジズの言葉にウェアキャットはさらに平身低頭して地面に額をこすりつけた。
 もうこれ以上は、と言っているようでもあった。

 二人はその様子を見やり、立ち去る。
「『3つ』と言った。つまり、目印は『3つ』。『繊細な』香りと『色』の組み合わせがある、と」
「視線の先にあったのは、此処か」
 野原に咲く野花が一面に広がった場所に二人は立つ。
 ここが恐らく『裏口』の場所なのだろう。だが、花は『赤』『青』『黄』の三種類。
 そして、恐らく香りと色の組み合わせが目印になっているのだろう。『鮮やかさ』と『香り』。
 正しい組み合わせは一つ。
 その花の下に『裏口』を隠しているのだ。
「それさえわかれば」
「探そう。魔法的な仕掛けじゃないだろう。ウェアキャットのできる範囲……カモフラージュしているんだ」
 二人は己たちが手に入れた手がかりと共に『裏口』を探すために野原の花々を観察するのだった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

バトラ・ヘロス
仕方ない事ですが、やはり確定的な情報は得られませんでしたね。
それでも助かりました。有り難く参考にさせていただきましょう。

件の花畑に向かいます。
目印になる花を探しましょう。
まず、繊細な香り、とのことですね。
鋭敏な感覚で嗅ぎ分けられる事が必要で、嗅覚が鈍ると判別出来なくなる、
という事は、鮮烈な香りではなく微かな香りなのではないでしょうか。
それぞれ近付いて香りを嗅いで識別します。

次に色ですが、難しいですね。ただ、香りがウェアキャットの鋭敏な感覚での判別が必要なものなら、色彩もウェアキャットの色覚に依るものかもしれません。
猫の色覚は、赤が判別出来ず黄色はくすんで見え、青はより鮮明に見えるとの事です。彼らの眼が猫に近ければ三色の花が混ざる中では青い花がより鮮やかに目に映るのではないでしょうか。

香りの薄い青い花を頼りに探ってみます。
見当違いなら【猫変身】して低い視点から直接裏口を探します。
この効果で感覚も猫になれば分かりやすいのですが。


 儀式場への『裏口』の場所を求めるディアボロスの前にまた難題が立ちふさがるようだった。
 ウェアキャットは直接的な場所を提示しなかった。
 いや、できなかった、というのが正しいのかもしれない。強行的にウェアキャットに問い詰めれば自死を選びかねないからだ。それは無論ディアボロスとしても望むところではなかった。
「仕方ないことですが、やはり確定的な情報は得られませんでした。それでも」
 僅かばかりでも情報が手に入ったのだ。
 助かった、と思うべきであろうとバトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)は気を取り直して、ウェアキャットの視線の先にあった花畑に足を踏み入れる。
 赤、青、黄色。
 一見すればただのランダムに配された草花であろう。
 花弁が開き、その香りが微かに香るようであった。

 この花が『裏口』への目印になっている、ということはウェアキャットの語る言葉からも類推することができる。
 そして、もう一つ。
『繊細な香り』である。
 問い詰めたディアボロスの言葉に乗っかる形でウェアキャットは告げたのだろう。
「鋭敏な感覚で嗅ぎ分けることが必要で、嗅覚が鈍ると判別できなくなる。ということは」
 バトラは考える。
 特定の匂いではなく『繊細な香り』と言ったところがバトラには引っかかる。
 そう、花の強烈の香りではなく微かな香りを目印にしていた。

 赤、青、黄色と順にバトラは嗅ぎ分けていく。
 判別ができない。
 どれも同じ香りがするように思えてならない。どういうことだ? 香りで判別していたのではないのか?
 バトラは首を傾げる。
「次に考えられるのは色、『鮮やか』と言っていいました」
 これが猫であれば、その色覚によって人間とは異なる視界によって判別することができたかもしれない。だが、それはウェアキャットの眼が猫に近ければという前提に寄るものであった。
 となれば、その可能性も低い。
 だが、どうして『匂い』と『色』を組み合わせているような事を言ったのか?

 いっそ猫に変身すればわかるかもしれない、とバトラは残留効果を手繰り寄せる。
 猫の視点。
 人間とは異なる視点。
 香り、色。
「……これは」
 バトラは気がつく。なぜ、ウェアキャットは嗅覚が鈍る事を嫌がったのか。
 それは嗅ぎ分けるのではなく、『香りが存在するものとそうでないものを区別する』ためであったのだ。
 敢えて『繊細な香り』というディアボロスの言葉に乗ったのは、嗅ぎ取れないような『繊細さ』ではなく、まったく無臭であるがゆえ。

「まったく無臭の花なぞ、存在するのでしょ……う、か……あ」
 造花。
 そして色、鮮やかさ。
 自然のものではない、不自然な鮮やかさを持つ花を探すべきだったのだ。
「なるほど。となれば」
 バトラは己の感じたことを仲間たちにも伝えるだろう。
 あと僅かだ。
『裏口』が存在する場所、そこに咲くのではなく、植えられたであろう人工の鮮やかさを持つ無臭なる花を探せばいいのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【猫変身】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

フミラ・ヴィグリーノ
なるほど・・造花でしたか。ならば場にそぐわない鮮やかな色の花が群れている場所を探せばよろしいのですね?
其処こそが裏口であると。
いいでしょう。手掛かりを得られたならいけますとも。
周囲をしらみつぶしに探してそれに該当する花を探しましょう。
前の人が見つけた造花をサンプルとして自然の花と見比べて見つけてい行きましょうか・・・・
目当ての場所を見つけたら調べてみましょうか。隠し階段でもあるのか壁に仕掛けがあるのかそれを手探りで調べましょう。
首尾よく見つけたら周りの方にも知らせて突入しましょうか。
いよいよ大詰めですし張りきって行きましょう!


 オリュンピアの儀式場への『裏口』は巧妙に隠されていたし、その場所を知るウェアキャットの口は固かった。
 口にすれば亜人に殺される。
 弄ばれ、ゴミクズのように殺されてしまうのならばと自死を選ぶ。
 故に強硬策は取れなかった。
 ディアボロスたちはウェアキャットからヒントめいた情報を聞き出し、花畑めいた場所を探索していた。
「なるほど……造花でしたか」
 ウェアキャットが大掛かりな仕掛けでもって『裏口』を隠蔽できようはずもない。
 ならば、簡素。
 しかし、亜人に知られてはならないように工夫をしなければならない。

 故に造花。
 それも花の香、その無臭なるを知ることができなければならない。
 となればこそ、鼻の調子を気にしていたのも頷ける。
「ウェアキャットが特別手先が器用でなければ、その場にそぐわない色の花が群れている場所を探せばよろしいのですね?」
 フミラ・ヴィグリーノ(未踏の沃野・g09477)は先んじたディアボロスからの情報に一つ頷いて花畑を探索する。
 手がかりがすでにえられていることは大いに彼女の探索を助けるところであっただろう。
 提示されていた花の色は赤、青、黄色。
 この3つに関連する造花の花を見つければ良い。

 亜人にはわからないけれど、ウェアキャットにわかる程度の偽装。
「遠目に群れているのを見れば、確かにこの程度の造花であっても、判別はつかないでしょうね」
 フミラは手にした造花をくるりと回す。
 近くでみればお粗末と言える出来栄えであった。
「となれば……」
 不自然に3つの色の造花が密集している場所を探せば良い。
 フミラは注意深く、それでいて虱潰しに当たりを探索していく。すると一箇所だけ3つの色の花が固まっている場所を見つける。
 触れればわかる。これが造花であると。
 上手く作っているが、造花が紛れ込んでいると見ればわかりやすいことこの上ない。

「ここ、でしょうか。ですが、どのような……?」
 彼女が見つけた場所を手で軽く触れる。
 土の硬さではない感触を感じて、指で土を払うとそこにあるのは繋目であった。
「隠し階段の入口……なるほど。目立つ建造物ではなく、地面に『裏口』があるというわけですね。これは皆さんにお知らせしなければ」
 フミラは他のディアボロスたちに呼びかける。
 此処こそが『裏口』であると。
 共に繋目に爪を引っ掛けて起こせば、そこに現れるは階段であった。下っていく先にあるのは暗闇。
 だが、微かに怒号めいたものが聞こえるようだった。。
「すでに内部の迷宮ではトループス級による勝ち抜き戦が始まっているご様子。まずはこれを蹴散らしてしまわねばなりませんね」
 そして、トループス級亜人たちを蹴散らした後、現れるであろう別の儀式場を勝ち残り進化したアヴァタール級を打倒する。
 そのためにフミラたちは見つけ出した『裏口』から儀式場へと侵入し、この迷宮にて争うトループス級を叩くために階段を降りていくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

エイレーネ・エピケフィシア
ひとつの儀式場の中にこれほどの亜人が集まっているとは……
無理を押して大規模な儀式を強行している、というのも頷けますね
ここから大量のジェネラル級を生み出させる訳には参りません
一匹として残さず仕留めましょう!

迷宮の壁を使って曲がり角の向こうから身を隠しながら歩き【光学迷彩】を発動
さらに【平穏結界】を身に纏い、発見されづらいようにしながら孤立した敵を各個撃破しましょう

隠密行動の中で敵の姿や息遣いを認めたなら『邪悪を砕く雷霆の槍』を発動
敵に反応される前に稲妻を纏った《神護の長槍》を投擲します
槍が敵を貫けば体内を雷撃が焼き尽くし……
直撃を躱されたとしても、すぐ近くの壁に刺さった槍が稲光を放って、周囲を雷が跳ね回るでしょう
いずれにせよ閉所では避けづらい攻撃になることを狙います

反撃の内容はよくわかりませんが、拳足による打撃や締め上げと見てよいのでしょうか?
内包する魔術で手元に戻した槍を振るって足を払うか、手を《神護の輝盾》で防ぎ威力を抑えます

神聖な競技が行われるオリュンピアを瀆す者どもよ、覚悟なさい!


フミラ・ヴィグリーノ
ふむ・・・・これは実に迷宮ですね。
探すのも面倒ですから道なりに進んで出会い次第仕留める感じで行きましょう。
移動の際は【平穏結界】を使って道なりに進んでいきます。その際は曲がり角とか障害物の影に敵が隠れていないか警戒しておきます、敵と遭遇次第戦闘し片づけたら即座に【平穏結界】を使いなおして移動を再開これを只管繰り返しましょう。
戦闘時は共存共栄はお断りしたいので距離を開けながら相手が間合いを詰める前に高速詠唱、全力魔法の一撃で一気に片付けましょう!


フレデリカ・アルハザード
暑苦しい…とはいえ、コイツらを鏖にすればイスカンダルは本当に『どちらも再起不能』だ
まず相手の勝利と敗北回避を不可能にする…それも復讐の嗜みの一つなのでしょうね
陶然と笑みを見せると同時、パラドクスを発動

次々と『言霊の拘束具』たる鎖を出現させて待ち伏せや奇襲を仕掛けようとした亜人をも探知し、四肢に絡め取っていく
さて、人体工学的に破壊するとしましょうか
やがて鎖を操作し、効率的かつ徹底的に四肢を引っ張り捻じることで筋肉諸共骨肉を粉砕していく

平和的対話をしましょうか
私にとってはこれは平和への対話なのですよ…
そう言って凄惨な笑み…愉悦と嗜虐に満ちた笑みを見せつけて心身を屈服させた後、鎖を用いて車裂きの如く処刑していく
念の為ガードアップを用いて防御を固め、先行率アップで先手を取りやすくしてからドレインで回復できるようにしてロストエナジーで相手の攻撃を制していく

さ、次は貴様だ…その雷とやらを見せてくれ
トループスを引き裂いた鎖を見せつけ、歩み寄っていくーー


 ディアボロス達によって発見された儀式場への『裏口』。
 巧妙に隠された入口は、湿っぽい空気に満ちていた。簡素と言えば簡素なのだろう。ウェアキャットの手で作り上げる事のできる程度の代物であるのならば、これが妥当とも言えた。
 しかし、内部は違う。
 廃神殿の力によるものか、内部は迷宮と化していた。
 通路はおそらく一対一でトループス級が争うことを想定されているのだろう。広いとは言い難い。
「ふむ……これは実に迷宮ですね」
 フミラ・ヴィグリーノ(未踏の沃野・g09477)は、この迷宮の内部での戦いが遭遇戦になることを理解した。
 トループス級を最後の一体になるまで争わせ続ける孤独めいた儀式。
 これによって生まれるのはアヴァタール級である。
「無理を推して大規模な儀式を強行している、というのも頷けますね。一匹遺さず仕留めましょう」
 迷宮に踏み込んだエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)も頷く。
 トループス級は時間が経てば経つほどに数を減らしていく。
 けれど、数が減れば当然彼らは強化され手強くなっていく。寛容なのは最後の一体を生み出させぬこと。

 ならばとディアボロス達は迷宮の中にあって残留効果を手繰り寄せる。
 この迷宮だ。
 姿を隠すという点においてはいくらでも隙はあるだろう。
 残留効果である光学迷彩、さらに平穏結界を手繰り寄せディアボロス達はトループス級から発見される確率を減らす。と入っても、完璧な遭遇戦においてはどちらに転ぶかはわからない。
 賽の目次第では、敵が此方を発見することもあるだろう。
「道なりに進んではいますが……」
「あちらこちらから戦いの音が聞こえますね」
「……それにしても、なんというか暑苦しい雰囲気があります」
 フレデリカ・アルハザード(正逆の聖女・g08935)は、この迷宮内部で争い続けるトループス級たちの声に首を傾げる。

「ぬんぬんぬんぬん!」
「ふんふんふんふん!」
「ふんぬふんぬふんぬふんぬ!」

 聞こえてくるのは、こうした掛け声めいた声ばかりであった。
 なんだ? 何かおかしい。いや、暑苦しいと感じるべきだろうか。
 フミラとフレデリカは、迷宮の奥から聞こえてくる謎の暑苦しい声にそっと顔をのぞかせる。
 すると、そこにいたのは三体のトループス級『マッスルゴブリンズ』たちが、その鍛え上げられたであろう体躯を打ち鳴らすように激突し、その拳でもって敵対者を打ちのめす姿であった。
 彼らはおそらく最後の三体なのだろう。
 各々の敵を打ち倒した後、互いに振り返り、睨めつけ合う。
 三つ巴の様相を呈する光景。
 まさしく、それは雄々しい肉体を誇る『マッスルゴブリンズ』たちの戦いの果てであった。その体躯には、これまで勝ち上がってきたことに寄る強化が施されているのだろう。
 みなぎる力のほとばしりは、躍動する筋肉と飛び散る汗、そして流した血潮。
「……」
 フミラとフレデリカは顔を見合わせる。

 なんて暑苦しい光景なのだろうか。
「こんなのと共存共栄はお断りします」
「ああ、平和的対話をしましょうか」
 二人のパラドクスが煌めく。
 彼らが三つ巴に気を取られている間に、フレデリカの言霊が走る。
「奇跡を成せ我が軍勢・王をも封する言霊(レギオン・ザ・バインドワード)」
 走る言霊は鎖となって『マッスルゴブリンズ』の四肢を拘束する。絡め取る鎖は、その手首に巻き付いて決してはなられない。どれだけ鍛え上げられた肉体であっても、人体を構成する骨格が人間と似通っているのならば、それを如何にして破壊するのかをフレデリカはしっていたのだろう。
「ふん、ぬぅ~!!」
「暑苦しい……」
 まるで車裂きのように『マッスルゴブリンズ』の体躯が引き裂かれていく。
 塵際も暑苦しいのだな、とフレデリカはめまいを覚えるようだった。

 そして、フミラもまた同様だった。
 距離を取ってはいたものの、しかし『マッスルゴブリンズ』は強化された身体能力で持ってフミラに飛びかかる。
「ふんふんふんふん!!」
 凄まじい拳のラッシュ。
 拳の一打一打が必殺めいた一撃であったことだろう。
 だが、これは逆説連鎖戦である。パラドクスである以上、フミラは己に対する攻撃に反撃する。
 生み出される氷の棘。
 ここは、悉く責め殺す針の筵(ツラヌケヤツラノイハラワタヲ)がすでにしかれているも同然であった。フミラの掲げた杖の輝きと共に放たれた氷の棘が筋骨隆々たる肉体を貫く。
 どれだけ強固に鍛え上げられた肉体であっても、針の筵のごとき氷の棘を前にしては意味をなさなかっただろう。
 貫かれ、血潮落ちる『マッスルゴブリンズ』が倒れ伏した瞬間、その間隙を縫うようにして最後の一体たる『マッスルゴブリンズ』へとエイレーネは走る。

「聖なる槍よ、邪悪を砕く雷光を灯せ!」
 パラドクスに寄る槍の投擲。
 それは稲妻のように宙を走り、邪悪を砕く雷霆の槍(ケラウノス・ドーリ)たる威力を示す。
 雷撃が『マッスルゴブリンズ』の体躯の内側を走り抜け、その内部から焼き切るように凄まじい威力を発揮する。
 狭所であったことが災いしたとも言える。
 また同時に『マッスルゴブリンズ』たちは最後の一体になる王手に手をかけていたのだ。
 油断とも言えない。
 むしろ、強者としての自負があるからこそ、周囲にあるのはもはや己達三体だけだと感じ取っていたのだ。
「私達は闖入者……いえ、神性な競技が行われるオリュンピアを瀆す者は亜人。覚悟はあったはずです。己たちが斃れることも」
「こいつらは己が最後の一体になることを信じ切っていたのでしょう」
「そうでなくば、私達を警戒していない理由にはならないのでしょう」
 あくまでこの儀式に参加できるのは亜人のみ。

『裏口』を使ってディアボロスが侵入してくるとは思いもしなかったのだろう。
 最後の一体を屠ったエイレーネはやりを引き抜く。
 この儀式場に残っているトループス級はいない。
「いきましょう。別の儀式場を勝ち抜いたトループス級……いえ、アヴァタール級に進化した亜人が迷宮の外にて待ち受けているはずです」
 彼女たちは迷宮の外につながっているであろう門をくぐる。
 だが、それは出口ではなかった。
 別の迷宮とつながった場所はまるで円形の闘技場めいた場所であった。
 己たちがくぐった門と正対するよにして、同じような門が存在している。そこから現れるのはトループス級亜人であった。
 激戦を勝ち抜いたであろう傷だらけの姿。

 だが、その瞳は迸るような戦意があった。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
 凄まじい咆哮と共に門より現れたとループス級に雷が落ちる。
 衝撃と土煙。
 その向こう側に異形をフレデリカ達は見ただろう。
 アヴァタール級『アシュラキュクロプス』へと変貌を遂げたトループス級は、正気などなく。己が体躯にみなぎる力をもって、一歩を踏み出す。
 身にまとう雷。
 それがこの儀式場を勝ち抜き、アヴァタール級へと進化した亜人に与えられる力なのだろう。
「次は貴様だ……その雷とやらを見せてくれ」
 その言葉に『アシュラキュクロプス』は、理性感じさせぬ狂戦士じみた咆哮を上げ、ディアボロスへと突進してくるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【冷気の支配者】がLV3になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!

白水・蛍
アドリブその他諸々歓迎

……ほう。雷が進化させる鍵ですか。
雷を元々持ってた……でしたっけね。
いえ、細かい事は抜きにしましょう。我々はぶつかり合う。
そしてどちらかが倒れるだけです。

パラドクスを使用します。
――咲けよ氷(ひ)の華。その血を吸いて美しく咲きたまえ!
相手に氷の華を咲かせてそのままその血を吸い上げます。吸えば吸う程綺麗に咲き誇るでしょう。

相手の攻撃はガードアップで耐えます。また、能力値アップで少しでも自身の力を上げます。
持つ者すべてを利用して全て倒して差し上げましょう!


モリオン・スモーキー
アドリブ・連携歓迎

どういう仕組み何でしょうかこれ……ちょっときになりますね。
そわそわします。
雷を落とすだけで変わるというのはどういう仕組み何でしょうかね……
神様の力を返して貰うから……とかでしょうか?
とはいえ理性や知性を無くす強化などいりませんが。

パラドクスを使用。
――風の宝石、解放。
風を纏った魔力の矢を発射します。その身全部うち貫いてみせましょう。

相手の反撃はガードアップで耐えます。直撃だけ避ければ問題はないでしょう。
そして、こちらも反撃いたします。
最後に立つ者が勝者です故に。


エイレーネ・エピケフィシア
この闘気……変貌して日が浅い新参のアヴァタール級でありながら、今まで目にした同種の亜人を上回るものですね
オリュンピアの儀式が与える力は、それほどに大きい……複数のジェネラル級を生み出し得ることにも頷けます
油断ならぬ相手と心得て参りましょう

戦う空間の中で迸る雷撃からの逃げ場を失わないよう、壁際に押し込まれる状況に気をつけて戦います
仲間が壁際に追い詰められた時は、素早く攻撃を仕掛けて注意を向けさせるように心がけましょう
そうしてわたしが強く敵視されたなら、仲間が背後や側面から攻めかかる好機として頂けば、結果的にこの身も安全を保ちやすくなるでしょう

『生命凍える邪眼の解放』を発動し、敵に向けて構える《神護の輝盾》に刻まれたゴルゴンの顔から邪視を放ちます
儀式の効能で溢れる生命力を削り落とし、付け入る隙を作るのが狙いです
あの巨体が思いの外敏捷に動くとしても、ゴルゴンは眼を回すことなく敵の姿を追い続けます

反撃は盾で受けるか腕を《神護の長槍》で払って対処
なるべく急所を狙う腕を抑え込んで威力を軽減しましょう


 ディアボロス達は雷を見た。
 落雷の瞬間、別の儀式場の勝者たるトループス級は亜人のそれであった。
 しかし、たった一人の勝者たる亜人は雷に打たれ咆哮を上げる。
 衝撃と粉塵。
 その影に揺らめいていたのは、単眼と六腕であった。
 アヴァタール級『アシュラキュクロプス』へと変貌したトループス級は、凄まじい咆哮を上げる。大気を震わせるほどのすさまじい咆哮。
「オオオオオオオオオ!!!」
「この闘気……今まで目にした同種の亜人を上回るものですね」
 エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、雷まとう『アシュラキュクロプス』の姿を観察する。
 トループス級からアヴァタール級に進化するという儀式。
 加えて、本来ディアボロスたちの介入がなければ、この戦いの勝者がジェネラル級に進化する。
 故に、その身にまとう雷が力の証明であるようにも思えた。
「皆様、油断ならぬ相手です。心得て参りましょう!」
 エイレーネの言葉に白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)とモリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)は頷く。

「……ほう。雷が進化させる鍵ですか。いえ、細かいことは抜きにしましょう。我々はぶつかり合う。そして、どちらかが斃れるだけです」
 雷が落ちたことによって進化したトループス級。
 そもそも等級が繰り上がる、ということ自体が脅威であった。
 亜人の繁殖能力と加えるのならば、これほど脅威もないだろう。ディアボロスたちがジェネラル級を打ち倒しても、時間さえあれば亜人はいくらでも立ち直ることができるとさえ思えてしまう。
「どういう仕組みなんでしょうかこれ……ちょっと気になりますね」
 モリオンは、雷を落とすだけで強化されるというのは、どのような理屈があるのかと考える。
 とは言え、迫る『アシュラキュクロプス』は狂戦士じみた形相でモリオンたちに迫っている。
 理性があるとは思えない。
 知性があるとも言えない。
 ただの突進。
 
 だが、単純であるがゆえに『アシュラキュクロプス』の六腕による乱打による空気を押し飛ばすパラドクスは脅威であった。
「――風の宝石、解放」
 モリオンの瞳がパラドクスに輝く。
 拳によって圧縮された大気が弾丸のように此方に迫る。
 マジックミサイルが大気の弾丸と交錯するようにして互いを打ちのめす。
 重たい。
 雷によって強化されているのか、モリオンは腕を交差させて凌いだが、しかし、腕の骨身がきしむのを感じただろう。
「――咲けよ氷の華。その血を吸いて美しく咲きたまえ!」
 蛍は、さらに畳み掛ける。
 敵は単純な突撃しかできない。唯戦うためだけに理性を失っているのだろう。
 生への本能とでも言うべきか。
『アシュラキュクロプス』の単眼が蛍を睨めつける。
 単眼より放たれた念動力が彼女の体躯を縛り付ける。振るい挙げられた拳。
 まるで鉄槌のようだった。
「氷紅華……その血によって赤く咲き誇りなさい」
 叩きつけられた拳の勢いが、もしも十全であったのならば蛍の体躯は吹き飛ばされていたであろうし、拉げていた。だが、蛍のパラドクスによって『アシュラキュクロプス』の肩に紅いの華が咲いていた。
 彼の体躯より吸い上げた血潮によって咲く氷の華。

 それによって一撃を耐えきった蛍は、打ち下ろされた腕部を払う。
 よろめく『アシュラキュクロプス』が怒りに燃えるように咆哮する。雷がほとばしり、その身より発せられた。
「オオオオオ!!!」
「怪物よ、その最期に骨身を凍らす恐怖を知りなさい!」
 エイレーネが蛍たちの前に立ちふさがる。
 怒りに任せた拳など恐れるにたりないものであると言うように彼女は手にした盾を掲げた。
 瞬間、パラドクスの輝きが盾に満ちる。
 魔力を流し込むことによって盾に描かれたゴルゴンの首が開眼する。
「ゴルゴンよ、その邪視の力によって相対する者を物言わぬ石塊へと変えよ」
 その力、生命凍える邪眼の解放(オプサルモス・バスカノス)によって『アシュラキュクロプス』は、その身が凍てつくように体表が石化していく。
 それを厭うように『アシュラキュクロプス』は俊敏に放たれた光条より逃げるように走り出す。

 だが、モリオンのマジックミサイルが、その背に迫る。
「逃しません。如何に雷の力を身にまとうのだとしても、風の魔力の矢はその身全部を撃ち抜いてみせましょう」
 最後に立っていたのが勝者であるというのならば、己たちがそうなのだというようにモリオンは魔力の矢でもって『アシュラキュクロプス』を襲う。
 振るわれる六腕をモリオンは受け止める。
 先程の一撃ほどではない。
 度重なるディアボロスのパラドクスによって勢いが削がれているのだ。
「今です!」
 エイレーネが叫ぶ。
 己が盾から解放された邪視の力は、『アシュラキュクロプス』を確実に追い詰めている。
 魔力の矢、そして肩に咲く氷の華。
 そのすべてが強化された『アシュラキュクロプス』をも追い詰めているのだ。

「オオオオ……!」
 よろめく巨体。
 だが、押し込む。蛍は己がパラドクスを掲げるようにして、その言葉を紡ぐ。
「咲き誇れ、華よ」
 その言葉に従うようにして紅い氷の華は『アシュラキュクロプス』という土壌にて大輪の花を咲かせる。
 邪視の光条が体躯を凍てつかせるように、石化させ、マジックミサイルがこれを砕いていく。
 石塊の破片が飛び散る最中、蛍のパラドクスによって生み出された氷の華が『アシュラキュクロプス』の頭上に高く花びらを開かせる。
 
 しかし、その紅の華は巨大になりすぎたがゆえに自重に耐えられず、砕けていく。
 それはまるで赤い花弁のように周囲に撒き散らされ、砕けた巨体の上に落ちていくのだ。
「あの雷は神様の力を返してもらうから……ということだったのでしょうか」
 モリオンの言葉に物言わぬ石塊となった『アシュラキュクロプス』の遺骸を見やるエイレーネはわからない、と首をふる。
 あの雷がトループス級をアヴァタール級に、アヴァタール級をジェネラル級に進化させる力であったというのならば、それが廃神殿の力だったのだろうか。
 蛍は、いずれにせよ己たちが亜人たちの戦力強化の一端を挫いたのだと振り返ることなく、疾く廃神殿の『裏口』から脱出を果たすのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】がLV5になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年07月04日