蠢く海の森(作者 蒼深紅
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#黄金海賊船エルドラード  #サルガッソー海域の戦い  #サルガッソー海域  #大西洋 

 銀のような鈍色のような、色のないような身体を揺する。触手のような髪のようなモノの奥から覗く唯一の薄暮色を瞳が見開く。
「すごい、すごいよディアボロス! どうして止まったの? このまま進んでボクの海藻達に捕まってしまえばよかったのに」
 サプライズに喜ぶ顔はすぐに悔しそうな表情に取って代わる。
「ボクの海藻達、あの船を捕まえちゃって! そしてお前達もさっさと出撃するんだ!」
 サルガッソーは配下へと指示を出す。
「ボクの海でディアボロスの好きににはさせないでよね」
 サルガッソーの全身が蠢いた。

●魔の海は海の森
 ウィリアム・グラス(漂泊の吟遊詩人・g03295)は困ったねぇと呟いた。
「せっかく敵の海賊船を振り切って海賊島の近くまで航行出来たのに、ね」
 ディアボロス達の海賊船は攻略猟団の機転により、サルガッソー海域の手前で停泊したため無傷のままだが、海域から伸びてくる巨大海藻は海賊船を拿捕し、サルガッソー海域に引きづり込もうとしている。
「多分、いや、絶対に海藻に捕まって引きづり込まれたらダメだと思う。あ、もうちょっと海藻が船に絡んでいるかもしれないけど、だから、巨大海藻を破壊しつつ、巨大海藻を操って襲撃してくるアビスローバー達を倒して欲しいんだ」
 ウィリアムは言う。

「厄介なのはこの海域の特性なんだよ」
 ウィリアムは海賊船の周囲の海が全てネバネバした粘性を持っていると伝える。
「だから、戦いはクロノ・オブジェクト化している巨大海藻の上でかな。それ以外の海では動きづらいんだ。ボートもすぐに海藻に巻きつかれちゃうから利用しづらいしね。何か妙案があれば違うんだろうけど、基本的に敵に有利な戦場ではあるよね」
 ウィリアム自身には有効なアイデアはなさそうで、ちょっとだけ申し訳なさそうだ。

「ねばつく海は水面歩行の効果がなくても歩けるぐらいだけど、足を取られてしまうから、戦いには不利かもしれないね。でも、海藻だって破壊できるし、アビスローバーだって撃破できない敵じゃない。だから、今回も突破していこう!」
 景気良く言った後に、大丈夫だよね、とウィリアムは小声で言った。

●海の怪異
 海は凪いでいるように見える。けれどそれは本当ではない。粘稠度の高い液体となった海が自由に動けないだけだ。その海面を彼方からずるずると異様な音が迫る。目を凝らして見れば、それば巨大な緑の海藻達なのだとわかるだろうし、そのあちこちにアビスローバー達が乗っていることもわかるだろう。
「知らない物を知る。ディアボロスを知る。俺は其の為なら何でもやるぜ」
「イアーソーン様のお望みのままに」
「イアーソーン様の願いを叶えて差し上げます」
 ソレらは柔らかい笑みを浮かべ、首魁然としている白い服をまとったようなアビスローバーを中心にして、獲物たるディアボロスの海賊船へと半包囲しつつ、ゆっくりと確実に迫っていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
3
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV4 / 【反撃アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

蒼深紅
 ごきげんよう、皆様。マスターの蒼深紅です。今回は海です! でも魔の海です。敵は巨大海藻とアビスローバーさん達です。攻略猟団の英断で敵の罠を回避しましたので、この勢いでサクサク敵を倒しちゃいましょう。アビスローバーは1体ずつ海藻の上に乗っています。海藻から落ちると敵も味方もネバネバの海でディアボロスは動きが制限されてしまいます。色々考えて行動していただけると、嬉しいです。でも、力押しだけ!も潔くて清々しいです。
52

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


玖珂・藤丸
海賊島の近辺にこんな海域があったとは……。間一髪と言ったところでしょうか。
気づけた有利を活かしていきましょう。
まずは海藻の破壊からですね。
ガンガン取り除きます!

まずは船の周囲から海藻が絡みついているところを確認します。
特にこんがらがってそうな点を探せれば良いでしょうか。

ある程度観察出来たらさっそくパラドクスを使っていきます。
【玖珂式水術"暴れ鮫の鉄砲水"】!
周囲の海水から巨大な鮫を生み出しましょう。
鮫には先ほど確認した場所を重点的に、海賊船に絡みついた海藻を噛み砕いてもらいます。

海藻を破壊してもらってる間に、私も『一般水兵用軍刀』での切断を試みます。
……まぁ、パラドクスを使っている訳ではないのでこんなところでしょうか。

普通のワカメ等であれば、醤油でもつけて食べたいところですが、これはやめときましょう。
消化出来るかも怪しいので……


●海はイイ!
 基本的に海は良い。長く海に慣れ親しんだ玖珂・藤丸(海の漢・g09877)としては、陸と同じくらい、いやそれ以上に自分の居場所だと感じられる。赤茶の髪を撫でるこの馴染みのない潮の香りがする南洋の海だとしても、その海がとんでもなくネバネバしていて、しかも巨大海藻に埋め尽くされていたとしても、だ(少し痩せ我慢が入っているかもしれないが)。
「何はともあれ……海賊島の近辺にこんな海域があったとは……驚くべきことでしょう。もし、知らずに突貫していたらと思うと。間一髪と言ったところでしょうか」
 敵はこちらが巨大海藻や粘稠度の高い海の特性を知ったことを知らない。ならば、その有利な状況を生かしていくだけだろう。藤丸は口角を上げて爽やかに微笑んで見せる。日焼けした肌に白い歯が眩しく光る。白い水兵服の襟をただし、同じく白い帽子を深く被り直す。装備の白もまた陽光を弾いて淡く光っているようだ。手には愛用の得物が硬質の輝きを放っている。藤丸の背丈ほどある巨大な銛だ。
「まずは海藻の破壊からですね。ガンガン取り除きます!」
 すでに藤丸は海賊船のの周囲に押し寄せる巨大海藻、その複雑に絡み合い分厚い層となっているポイントに目星をつけている。
「見つけました。こんがらがっていそうな点はそこです!」
 得物を構えて切先を狙った場所へと向ける。周囲の海水が形を作り、出来上がった巨大な鮫に力が灯る。言葉で命じることなく鮫は藤丸が狙っていた海藻のこんがらがった部分へと突進してゆく。
「噛み砕いてもらいます!」
 海水から生まれた獰猛なる鮫は身を捩らせながら海藻に突進し、その中心を貫通してゆく。こんがらがった部分は海藻にとっては根へと通じる大事な場所だったのか、周囲の海藻が散り散りに千切れて、粘稠度の高い海面を上下に揺らしながら折り重なってゆく。そのもう動かない海藻をイカダのように海上を走る藤丸の手にはこれもしっくりと手に馴染む軍刀がある。
「せいっ!」
 掛け声と共に海水の鮫が穿った空白地帯を広げるように海藻を薙ぐ。今度は鮫ほどではない数枚の海藻が海面にぼたぼたと千切れて落ちる。
「……こんなものでしょうか」
 海賊船ののへさきまで戻った藤丸が周囲を確認する。確実に海藻が減ったけれど、まだ海賊船を取り込もうとするような動きは止まらない。
「ならば戦意を無くすまで攻撃するのみ、でしょう」
 ややこんがらがった部分はまだ目視できる範囲にいくつかある。
「海よ、再び三度、私に助力をいただけるのであれば、必ずや海の平和を取り戻りましょう!」
 海水は再び鮫の形を取って海藻の集まる部分へと突進する。水から出来ているとしてもその歯には強烈な破壊力がる。ほぼ同時に海を走る藤丸の軍刀が鮫が噛み砕いた海藻の穴をさらに広く切り開く。
「普通のワカメ等であれば、醤油でもつけて食べたいところですが、これはやめときましょう。
消化出来るかも怪しいので……」
 なんとなく、普通の海苔やワカメが恋しいなぁと思いながら藤丸は呟いた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【水中適応】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

ジェーン・コーネリアス
全く。太平洋に出てきたバカでかい鯨といい、化け物によく遭遇するディヴィジョンだ
海賊稼業ってより神話の冒険をしている気になってくる
神話の冒険ってなら切り抜けるまでが一区切りだ
まずは切り抜けて、そこから反撃といこうか!

大西洋の戦いでもそうだったけど、あっちは海賊船を壊したくないらしい
積極的に海賊船を壊すような攻撃はして来なさそうだ
海賊船の甲板に立ち、遠距離からの攻撃を仕掛けよう

二丁のピストル「Badhbh」と「Nemain」を手に戦おう
「葬笛の丹青」で赤と青の魔力の弾丸を発射。海藻に乗りこちらへと向かってくるオーケアニデスを撃ち抜くよ
こっちは船の上しか動けないからちょうど包囲される位置になる
一方向の敵に注意を払い過ぎず、周りにも注意を払って死角から攻撃を受けないように。複数体を同時に攻撃できる技で牽制していこう

頂戴してからもう半年近く乗ってきた船だ
今更返しやしないよ


玖珂・藤丸
※アドリブ連携歓迎

海藻の対処は出来ましたので、これで海賊船が拘束されることは無くなりましたね。
それではアビスローバーたちの排除と参りましょう。
1人残らずぶちのめしてやります!

仲間に合わせて私も船上から攻撃します。
我が相棒『杭喰具』を構えて、海賊たちに向かって思い切り《投擲》。
着弾点に大きな爆発を起こす【玖珂式銛術"情熱炸裂発破銛打ち"】です!
《投擲》し終わったあとも『杭喰具』に取り付けた鎖を引っ張って、
手元に引き寄せてからパラドクスを再使用することで、何度も爆撃を味合わせましょう。

召喚してきた触手には『一般水兵用軍刀』で斬ってやることで対処。
こちらの海賊船に乗ってくる骨のある者がいたら、しっかりお相手してあげましょう。
『振掬』を大きく振りかぶり殴打します。

海賊船を取り戻したければ、私たちディアボロスを倒すことですね!
正面からかかってくるのであれば、魚もどきと言えど嫌いではないですよ!


●謎深き大海を渡る乙女達
 盛り上がり、うねる巨大な海藻は随分と切り割かれ、見通しは随分と良くなった。
「これで海賊船が拘束されることは無くなりましたね」
 一仕事終えて海賊船へと戻った玖珂・藤丸(海の漢・g09877)は帽子のつばが作る濃い影の中で強い光を放つ双眸を彼方に向ける。そこには新たな巨大海藻の襲来と、その1つ1つに楚々として立つ乙女の姿を視る。
「それではアビスローバーたちの排除と参りましょう。1人残らずぶちのめしてやります!」
 藤丸が手にした相棒『杭喰具』を構える。
「ソレには全く同意だな。太平洋に出てきたバカでかい鯨といい、巨大海藻とそれに乗った化け物といい、よく敵に遭遇するディヴィジョンだ」
 海賊船の甲板の上に立つジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)も、もう愛用の得物を手にしている。1つでも強力ながら、白と黒の双つ遣いでこそ更なる威力を発揮する美しい銃だ。
「せっかく遠路はるばる来てるんだからね。こっちの攻撃を馳走してやるから堪能してくれると嬉しい!」
 二丁のピストルから繰り出されるのは赤と青の魔力のこもった弾丸だ。弾力のある波の上下動、距離を詰めてくる速度、不規則に揺れる海の乙女・オーケアニデスの儚げな姿……それらは全て一瞬にしてジェーンの中で解を創る。
「そこだよ!」
 撃ち出された2つの弾丸はそれぞれが軌跡を描き、何もない海上に美麗な弾幕を形作る。
「え?」
 驚くオーケアニデスはその表情のままで動かなくなる。一瞬で3体のオーケアニデスが胴を大きく撃ち抜かれ、巨大海藻から海へと転がる。反撃はないし再び浮上することもない。
 だがジェーンは先制攻撃の成果にも油断することはない。
「死角からの攻撃は?」
 海賊船へと向かってくる巨大海藻やオーケアニデスの姿はバラバラで、近いモノもいればまだ遠いモノもいる。
「密集してくるとは……好都合です!」
 ジェーンの視界に映るのは巨大な銛を鍛えた肉体を存分にに使って投擲する、その一瞬前の藤丸だった。白い水兵服姿の藤丸の身体が弓のようにしなる。
「私の情熱は……爆発です!」
 相棒たる『杭喰具』に藤丸の『漁師としての情熱』をありったけ注ぎ込む。漁とは気が遠くなるほど奥が広く、極めたと思っても更に深淵が広がる獲物との格闘だ。互いに命をかけて挑む、その熱き情熱が迸る。思いっきり投げられた銛は着弾点で広範囲な大爆発を起こし、オーケアニデス4体を巻き込んだ。着弾点から放射状に巨大海藻が引きちぎられて四散し、オーケアニデス達も粘稠度の高い海へと投げ出される。それでも4体は生きていた。
「ひどい」
「きえて」
「きらい」
「……いけ!」
 オーケアニデスの言葉と同時に召喚された触手が船の縁にいた藤丸に迫る。
「その攻撃は想定済みです!」
 藤丸はすでに構えていた軍刀で触手を斬る。1つ、2つ……しかし3つ目が大きく水平にスイングして藤丸の足元を払い、4本目がバランスを崩した藤丸の胴にしっかりと巻きつき、甲板に叩きつけた。
「……ぐっ!」
 水兵服と揃いの帽子が衝撃で外れるが、藤丸はわずかに顔を顰めただけで半回転して身を低くして起き上がる。
「まだ戦えるかな?」
 敵と藤丸の射線を遮るように間に入ったジェーンが振り返ることもなく聴く。答えは聞く前からわかっていたような気もする。
「もちろん、戦闘続行です。これはかすり傷にもなっていません」
 足元の帽子を軽く払って深く被り直し、藤丸は立ち上がった。反撃のダメージは外からでは全くわからない。
「それはよかった!」
 口元に淡い笑みを浮かべ、ジェーンは波間に浮かぶオーケアニデスたちを睨め付ける。あっという間に3体のオーケアニデスがジェーンの青と赤の弾丸に屠られ、巨大海藻ごと千切れて海に沈んでいく。
「君の獲物を仕留めてしまったけれど、怒らないよね」
「もちろんです」
 残る1体のオーケアニデスは藤丸の銛が串刺し、ぶんと振り回して遠くに捨てる。もう次の敵が迫っている。丁寧に銛からはずしてやる暇はない。
「ひどい」
「ひどいわ」
 怨嗟の声をあげて次々にオーケアニデスたちがディアボロス達の海賊船へと向かってくる。だが、海賊船を巻き込むような大掛かりな破壊工作は巨大海藻もそれに乗るオーケアニデス達も仕掛けてはこない。
「船は壊したくないようだね。それはこちらとては好都合だよ」
 いっそ優しいとさえ思えるほどの笑みを浮かべたジェーンが言う。しかし、光の反射で銀一色にも見える海面と同じ揺れる髪を掻き上げる仕草にも、きらめく陽光のような色の瞳も、甘い要素は一つもない。
「もうこれは僕たちの船だからね」
 両手に握るピストルから放たれる青赤の弾丸が幾重にも弾幕を彩り、オーケアニデス達を撃ち抜いてゆく。
「ひどい」
「ひどいわ」
 オーケアニデス達は大穴の空いた胴を両手で押さえ、同じセリフを何度も繰り返し、触手を召喚してジェーンへと放つ。
「おっと」
 1つ目、2つ目を回避しても、挟撃するように襲いかかる触手に拘束され、ポーンと海へと投げ飛ばされた。
「ブハッ!」
 すぐに海面に出るけれど、粘稠度の高い海はまるでジェーンを逃さないかのように、触手のように身体に絡みついて自由を奪う。
「鬱陶しいな!」
 強く振り払うけれど、完全には剥がれない。
「これを掴むのです!」
 声と共に何かがジェーンのすぐ近くに降ってきた。
「……有難い!」
 ふり仰げば、海賊船の上にいる藤丸が見える。そして藤丸が投げた白い浮き輪に手を伸ばす。
「しっかり捕まってください」
「心得た」
 気合いと共に藤丸が浮き輪と繋がっている頑丈なロープを引く。浮き輪が、そしてそれに捕まっているジェーンが海水を滴らせながら弧を描いて海から海賊船へと戻ってくる。
「助かった」
「お互い様でしょう」
 交わす言葉は短いけれど、今はそれで事足りる。
「まだ戦えますか?」
 藤丸の漆黒の瞳が『答えは知っている』のに尋ねてくる。
「あぁ、もちろんだ」
 当たり前の、約束されたかのようなジェーンの返答に2人は小さく頷き、それぞれ迎え撃つべき敵へと走る。
「どれほどやってきても、この船は今更返しやしないよ」
 ジェーンは必死に海水に浸さず守ったピストルを両手に構えて弾丸を放つ。
「海賊船を取り戻したければ、私たちディアボロスを倒すことですね!」
 正面から向かってくる敵は嫌いではない。ここまでやってくる気概のある敵ならば心ゆくまでやり合って見たくもある。藤丸も相棒たる『杭喰具』と軍刀を構え、巨大海藻とオーケアニデス達へと狙いを定めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

 そして、巨大海藻の多くは海面を漂い、オーケアニデス達は海に沈んだ。その向こうから姿を見せたのは、白い典雅な衣を纏ったかに見る『イアーソーン』だった。
薬袋・透 (トレインチケット)



笠置・慶 (トレインチケット)




「おぉ。俺の知らない敵が来たか。なんとも喜ばしい! せいぜい俺を楽しませてくれるんだろうな」
 巨大海藻に乗った金髪に白い服を着たアビスローバーは嬉しそうにディアボロス達や、その乗船たる海賊船に接近してくる。その姿は巨大な帽子のように貝殻をかぶり、吸盤を持つ触手のような肉体を隠し持つ南国の貴婦人のようでもある。つまりはいくつもの形態を併せ持つキメラ的なモノだ。
「期待させといてがっかりさせるなんて、そんな野暮なことはしないわよ」
 薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)は海の色を背景すると鮮やかに映える赫の髪を風になびかせ、ゆっくりとまぶたを開く。青い瞳は海よりもきらめいてイアーソーンを見つめ、好戦的な笑みを浮かべた唇、その口角があがる。
「……少しずつじわじわといたぶって殺して、あげるよ」
 蠱惑的な言葉とイントネーション、態度は明らかにイアーソーンを格下に見て挑発している。
「安くみられたもんだな!」
 イアーソーンが乗る巨大海藻の速度があがり、透へと肉薄する。
「僕達とイイコトしましょ?」
 殺し合いだけど、と思いながら先に動いたのは透だ。
「友望む孤独な王よ、貴方の望むものは今ここに」
 誰にもマネの出来ない特別な声で放つ言葉が鯨の霊をここに喚ぶ。幻の鯨が放つ声は音波攻撃となってイアーソーンへと伝搬する。
「……ぐぅう」
 貝の様な部分を盾のようにしてイアーソーンは攻撃を受ける。
「やるじゃない。でもね、俺にはお仲間がいるんだぜ」
 イアーソーンの言葉通り、瀕死で海に浮かんでいるだけだった『海の乙女・オーケアニデス』達が一斉に起き上がって透へとすがりつく。
「き、気持ち悪い」
 ぺとりと触れる感触が気味悪くて、思わず透はオーケアニデス達を足蹴にする。
「残念! ここががら空きだぜ」
 透の隙をつくようにイアーソーンが迫る。しかし、そこに立ちふさがったのは別のディアボロスだった。
「なに?」
 強い存在感を放つわけではない笠置・慶(文車妖姫・g08817)はイアーソーンに気づかれることなく接近していた。透だけに気を取られていたイアーソーンの失態だ。緩やかに動きながらも明るい琥珀色の瞳がひたっとイアーソーンを見つめている。その静かだが強い目力に気圧され、イアーソーンの動きが鈍る。
「いったい、いつの、間に?」
 慶は淡く、冷たく、静かに動きながら微笑む。
「私は後方にいたから敵の動きは把握していた。それだけだ」
 そこで舞は完成する。その瞬間、具現化した狐の尾がどこまでも長く伸びて、そしてイアーソーンの胴を貫いた。
「思った通り、柔らかい」
 慶の攻撃に海藻1つ分、後退させられたイアーソーンは、だがまだ倒れない。
「素晴らしいな。そのような攻撃は見たこともない。まったく独創的な素晴らしい攻撃だ。見事だ、ディアボロス!」
 イアーソーンの言葉、その褒め言葉こそが攻撃だった。思考の一部が麻痺してしまったかのように深く広く考えられない。今度は慶が数歩後退する。
「好きにはさせないわよ」
 慶の背後から跳びあがった透の鋭い回し蹴り、と同時に共に再び喚ばれた鯨の声がイアーソーンを襲う。
「楽しい、楽しいな、ディアボロス」
 傷から体液を流しながらも嬉しそうに吠えるイアーソーン、その横からも巨大海藻の上を移動した慶の尾が槍の様に突き刺さった。
 まだ戦いの趨勢は見えてこない。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【水中適応】がLV3になった!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

ナナリー・ラフィット (トレインチケット)



アンジェリーカ・リヴィンスキー (トレインチケット)



●尋問
 戦闘の真っただ中ではあったが、ナナリー・ラフィット(「夢魔の安らぎ亭」オーナー・g04037)はなるべく目立たないよう気配を殺し、海面に浮かぶ『海の乙女・オーケアニデス』を引き上げた。紫色の前髪の奥で輝く金色の瞳は蠱惑的輝くが、オーケアニデスにはもうその美しさを感じる余裕はない。
「これもだめ、ですね。立派に死んでます」
 ナナリーはまた引き上げてしまわないよう、ぐいっと海の中へとオーケアニデスを深く沈める。さらに、1体、もう1体と引き上げては沈め、そうして6体目にようやく瀕死のオーケアニデスを引き当てた。
「喜ばしいことです。では、さっそく教えてください。イアーソーンさんやあなた達はコーサ・ノストラの『密売』について知っていることがありますか?」
 ナナリーの言葉が聞こえているのか、いないのか、オーケアニデスの反応は乏しい。
「動画を取っていますからただ、話くれるだけでいいのです。密売と聞いて心当たりがありますか?」
 オーケアニデスの反応はない。
「仕方がありません」
 ナナリーはオーケアニデスに優しくとどめを刺し、そしてずぶずぶと海に沈めた。

 別の場所で、アンジェリーカ・リヴィンスキー(吸血鬼のダークハンター・g07564)も、もうすぐ死んでしまいそうなオーケアニデスに密売について聞いていた。
「ウチが調べた限りでは、別の報告でも密売の情報は芳しくないのよ。だからこそ、あなたからの情報も欲しいのよね。どうかしら?」
 オーケアニデスは力なく首を横に振った。
「密売? わからない。ここの海藻達はなんでも集める」
「お掃除が大変」
「沈んだ船の荷物は、私たちのもの」
「返さない」
 瀕死のくせに強欲なのか、この欲があるからアビスローバーたりえるのか、アンジェリーカは首を傾げる。そのあたりのことは新宿島で調べものをしてもよくわからなかった。現地調査が大切なのだと改めて痛感する。アンジェリーカはもう言葉を話す力もなくなったオーケアニデス達を海藻でぐるぐる巻いて沖に流す。
「これ以上の情報はもう得られないだろうから、あとは敵を倒すだけ、かしら?」
 アンジェリーカは辺りを見回す。すでに動けるオーケアニデス達はなく、ディアボロス達とイアーソーンとの最後の戦いが始まっていた。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

ジェーン・コーネリアス
そいつは何よりだ
苦しんで死なれるより楽しんで死んでくれた方が後々化けてでてきそうにないからね
そのまま満足して沈んでくれよ?

それじゃあこっちもとっておきの「お宝」を出そう。いくよ、「おたから」!
アクアスライム『おたから』を水の槍へと変える『水槍の秘宝』を使い、イアーソーンの乗る巨大海藻へと飛び乗り接近戦をしよう
ジャンプで飛び乗るとともに水の槍を突き出し突き刺し攻撃、そこからはあっちの貝の拳を槍で防いでは切り返して突き、薙ぎ払い、イアーソーンを攻撃していく
仲間が接近戦を挑むならお互いの武器が邪魔にならないよう、イアーソーンを海藻の前後から挟み撃ちをするようにして、仲間が遠距離戦なら射線を遮らないようにして立ち回ろう
船の上や集団戦じゃ使いづらいけど、それでもとっておきの一つだ
見られたことは幸運に思うんだね!

すぐに役立つ情報は得られなかったけど、見境なく船を沈めて荷物を蒐集しているらしい
この海に飛び込めば面白い宝はあるかもね
くっくっ、これまでにない危険な海水浴になりそうだ


玖珂・藤丸
ふむ……どうやらここの海賊たちは密売にはあまり関わっていないようですね……。
であれば、あとは海賊を倒すのみです。
戦闘がお好きなようなので、こちらも全力で挑みましょう!

「今こそ海賊狩りの時です。
 玖珂・藤丸、出撃します!」

まずは船から飛び降り【水面走行】を使用して、イアーソーンの元に向かいましょう。
我が相棒『杭喰具』を構えて、さっそく攻撃です。
【玖珂式模造術"真紅巨銛投擲”】を使用します!
オーラで巨大な銛を生み出し、イアーソーンに向かって撃ち込みましょう。
「スカした面してんじゃねぇぞ、貝野郎!」

敵は貝を手につけて反撃してくるのですね。
……シンプルな拳闘ですか、武人らしくて良いですね。
こちらも肉弾戦に持ち込みましょう。

反撃の拳は正面から受けてやります。
そのまま海藻の上で殴り合いと洒落込みましょう!
イアーソーンに集中することはもちろんですが、ジェーン殿の立ち回りに注意を払います。
あとは相手が倒れるまで、ぶん殴ります!

「敵でなければ“海の漢”と認めてやっても良かったかもしれませんね」


アンドリーニャ・エストレーラ
魔の海域にはアビスローバーかい
不届き者を成敗と行こうじゃないか
いつかアンタらの親分も沈めてやろう
首を洗って待っていな

楽しい遊びがお好きかい?
【泥濘の地】でちょっとは差が埋まるだろうかね
【トラップ生成】で海上に漁師網を張り、それを足場に跳び回ろうか
奴さんが網に掛からずとも、鬱陶しがらせたり、視界を邪魔するぐらいでいいのさ
動きに注目を引いてる間に《織歌の糸》で《デッドリーバインド》
さあ、あんたは私を楽しませてくれるんだろうね?
水面はできるだけ踏まないようにするけど、しょうがない時は水面走行で足を取られないようにしよう

クルーや信者達をけしかけられたら、飛び回って逃げようかね
囲まれたり致命傷を受けたりしないように気をつけて、得物を避けていこうか
さあさあおいで
そのまま仲間達の方へ誘い込んでしまおうか

アドリブや連携は歓迎だね


●海の藻屑
 もはや聞くべきこともない。ならば、この海から排除する以外なすべきことはない。
「そいつは何よりだ」
 ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は不敵に笑った。海の上にあっても日に焼けた様子もない白い肌も、陽光のように煌めく瞳も、夜の海を冷たく照らす月光が凝ったような髪も、何もかも奇跡のように美しい。その顔に浮かぶのは過酷な海を知る船乗りの笑みだ。
「苦しんで死なれるより楽しんで死んでくれた方が後々化けてでてきそうにないからね」
 迷信深い歴戦の船乗りが好むようなジョークを口にすると、ジェーンは彼女の『至宝』を槍に変えて柄を握る。そして海賊船からイアーソーンがいる巨大海藻へとダイブした。
「え? 何?」
 突然、至近距離へと迫ってきた大胆なジェーンの行動にイアーソーンは動転したのか、有効な行動が全くできない。
「君ってば、どこもかしこも隙だらけだね。本当の『お宝』の真の力、見せてやるよ!」
 聖なる水が凝ったかのような美しい槍、その切先が突進するジェーンの動きさえも力と変えてイアーソーンの喉元を突き刺した。
「ガァああ」
 威力に押されるように上体をのけぞらせるイアーソーンは、咄嗟に貝を手にしてジェーンの槍に殴りかかる。姿勢を崩しつつの反撃はジェーンにも槍にも痛打を与えることはないが、それでも無傷とはならない。
「やるね」
 くるくると槍を回しながら、ジェーンは笑う。
「でも、まだまだ僕の攻撃は続くからね」
「くっ……」
 やりにくそうにイアーソーンが巨大海藻の上で半歩後ずさる。
「今こそ海賊狩りの時です。玖珂・藤丸、出撃します!」
 いにしえの武士のように戦場で高らかに名乗りをあげた玖珂・藤丸(海の漢・g09877)の声が響く。
「何?」
 それがディアボロスだとわかっていても、イアーソーンは目の前にいるジェーンから目が離せず、藤丸の姿を探すことができない。その間に海賊船を飛び出した藤丸は巨大海藻がのたうつ海面を走る。粘稠度の高い海面に広がる巨大海藻は藤丸が全力疾走しても、沈むことはない。
「このまま真っ直ぐ突き進みます!」
 その手には相棒である『杭喰具』を携えている。
「この銛を……ぶち当てます!」
 収束する藤丸のオーラが赫い巨大な銛をを形づくり、それを思いっきり身体をしならせてイアーソーンへと投げつけた。
「スカした面してんじゃねぇぞ、貝野郎!」
「そこかあぁあ!」
 イアーソーンが気づいた時にはもう眼前に赫い銛が迫っている。反射的に手にした貝を盾のようにして身を守ろうとするが、どこまで藤丸の攻撃を防げたか。互いの攻撃、そのエネルギーがぶつかり合い、空間を震わせイアーソーンにも藤丸にも衝撃が走る。
「くっ!」
「ぐわっ!」
 海面が大きくうねり、巨大海藻も高波のように上下に動く。ふわりと身体が浮くその力に逆らわず、藤丸はをジェーンの立ち位置を考え、イアーソーンを挟み撃ちにできるような場所に着地する。
「いい判断だね」
 ジェーンが短く言いながらも、もうイアーソーンへと接近する。
「何?」
 揺れる巨大海藻に翻弄されていたイアーソーンはジェーンの攻撃に反応出来ない。聖なる水が凝ったかのような美しい槍の先がイアーソーンの頭部を占める貝のような部分を突き崩す。
「ぎゃああぁぁ!」
 悲鳴が終わるのを待つ藤丸ではない。巨大な赫いオーラで出来た銛がイアーソーンの肉肉しい体を狙って突き出される。
「ぎゃあ!」
 悲鳴をあげたイアーソーンが体を捻り、体の代わりに左腕がざっくりと藤丸の銛に串刺しになる。傷から体液がドボドボと海面に溢れる。
「許せん! 許せんぞ!」
 闇雲に振り回されるイアーソーンのグローブ代わりのような貝がジェーンと藤丸へと襲いかかる。
「おっと」
 器用に巨大海藻の上で軽いステップを踏むジェーン。藤丸も身を屈め黒髪の上を拳が通過する。ジェーンも藤丸も直撃は食わらないが、イアーソーン渾身の空気をも切り裂くような貝の拳に細かい傷が記されてゆく。

「魔の海域にはアビスローバーかい。不届き者を成敗と行こうじゃないか」
 アンドリーニャ・エストレーラ(碧海のセイレーン・g10892)の声が戦場に響き渡る。陽光のように輝く金色の髪、南洋の日差しの祝福を受けた褐色の肌、紺碧の海の色を写したような瞳が戦意に輝く。
「楽しい遊びが好きかい? さあ、あんたは私を楽しませてくれるんだろうね?」
 その言葉が終わるか終わらないかの瞬間、イアーソーンの動きが止まる。一体いつから仕込んでいたのか、細い糸がイアーソーンの腕、首、足を縛り付けていた。それはどんどん締め付けてゆき、イアーソーンの口から獣のような咆哮が響く。
「があぁぁぁぁ! 痛い、痛い!」
 食い込んだ傷から体液が溢れる。
「良い仕事ぶりじゃないか。助力を歓迎するよ」
 巨大海藻の上で体勢を立て直したジェーンがアンドリーニャに笑みを浮かべる。
「この海藻の上はグラグラしていて足場が安定していませんが、慣れてくればそこそこ立っていられます。このまま一緒に戦いましょう」
 帽子を被り直し、ピチッと姿勢を正した藤丸もアンドリーニャに声をかける。
「そうだね。こんな貝殻もどきのアビスローバーに大きな顔をされるのはゴメンだからねぇ。そのうちこいつらの親玉も成敗するつもりだし、やってやろうか」
 清々しいほどの笑顔でアンドリーニャは湾曲した剣、カトラスを構える。
「それじゃ、行こう!」
 上下にも左右にも揺れる巨大海藻の上を軽やかにジェーンがイアーソーンへと向かって走る。
「こ、小癪な!」
 亀裂が走る貝をボクシングのグローブのように構え、イアーソーンが悔しげに叫ぶ。
「粉々に粉砕してやる!」
 ブンブンと拳を振るうけれど、そのどれもがジェーンの身体に当たることはない。
「藤丸! そっちはいける?」
「はい。問題ありません」
 全く別の場所にいたはずの藤丸はイアーソンを挟み撃ちにできる場所に出現していた。これもジェーンの動きをよく見ていた藤丸だからできることだ。
「頼もしい!」
 ジェーンの清らかな水が凝ったかのような槍と、藤丸の赫く輝く銛の切先がほぼ同時に逆方向からイアーソーンを刺し貫く。
「がああぁぁぁ!」
 正面からのジェーンの槍に切先が背中から突き抜け、背から貫いた藤丸の銛はイアーソーンの胸の真ん中から体液に濡れて突出する。悲鳴をあげるイアーソーンの口から同じような体液が噴出した。さらにイアーソーンの拳が闇雲に繰り出され、飛び退いても幾つかはジェーンの腕や藤丸の横腹に浅く当たる。その空隙に飛び込んだのがアンドリーニャだ。
「あんまりオイタをするんじゃないよ。おとなしくしてな、死ぬまで、な」
 ジェーンと藤丸、どちらかに向かって移動しようとした様子のイアーソーンだったが、またもアンドリーニャの細い糸に拘束されて身動きが出来ない。まるで幼子相手のような口調にイアーソーンの顔が紅潮する。
「ば、バカにしやがって! この!」
 ジェーンでも藤丸でもなく、アンドリーニャへと向かって拳を突きつけ、すると海に沈んでいたはずの『海の乙女・オーケアニデス』の手が巨大海藻の上に立つアンドリーニャを求めて伸びてきた。
「な、なんだい。あんた達は! 気色の悪い!」
 まるで海で死んだ者の魂が死霊となって、新たな犠牲者を海に引き込もうとする怪談のようで、アンドリーニャは一気に別の巨大海藻へと飛び退いた。そして、オーケアニデスの手はその動きについて来られない。
「でも、実害ないじゃないか。イアーソーン、あんたももうお先真っ暗だね」
 全身ボロボロのイアーソーンは巨大海藻の上で足踏みをして怒りを露わにしているが、それで戦況が好転するわけもない。
「いい加減、終わらせてやろうじゃないか。ねぇ」
 いっそ優しいとさえ思える笑みを浮かべ、アンドリーニャはジェーンと藤丸を交互に見る。
「そうですね。わかりました。私が最後まで責任を持って殴り倒します」
 イアーソーンとは別の巨大海藻に立っていた藤丸が小さく頷いて言う。
「そうだね。これで最後にしてやろうか。満足して沈んでくれよ」
 ジェーンの言葉が合図であったかのように、3人のディアボロス達が一斉に動く。
「ころ、殺して、殺してやる!」
 まるで呪詛でもするかのように隠滅な言葉を繰り返すイアーソーン。挟撃するのは予定どおりだが、ジェーンよりも先に藤丸が接敵した。赫い銛を短く持ち、殴り合うかのようにイアーソーンと攻撃を仕掛け合う。
「はははっ、これなら、これならどうですか!」
 繰り出される藤丸の攻撃にイアーソーンもヒビ割れた貝の拳で応戦するが、こちらには全く余裕はない。
「がぁあ!」
 藤丸の銛に貫かれ大きく投げ出されるイアーソーン。しかし、空高く舞う前にアンドリーニャの細糸に絡め取られ、巨大海藻に引き戻される。衝撃が粘稠度の高い海面を輪のように広がり、その中央でイアーソーンは動けずにいる。反撃はない。
「あんたの死場所はここだって私が決めてやったから、ありがたく思いな」
 アンドリーニャの瞳は海のように深く冷たい。
「これから僕たちには面白いお宝探しって危険な海水浴が待ってるだ」
 頭部を守る貝ごとイアーソーンの頭をジェーンの槍が串刺しにした。ピクピクと下肢のようなタコ足が蠢いていたが、それもすぐにぐったりとする。ジェーンが飛び退くと、巨大海藻ごとイアーソーンの体は粘稠の海に沈んでいった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年07月09日

サルガッソー海域の戦い

 大西洋を横断し、目的地である『海賊島』の近海に到達した、ディアボロスの海賊船ですが、攻略旅団の方針により、一時停泊し周囲の調査を行う事となりました。
 海賊船を停泊させると、攻略旅団の危惧通り、停泊した海域のすぐ向こうの海から、巨大な海藻が伸びて、海賊船を捕まえると、同じく巨大な海藻に乗ったアビスローバーが攻撃を仕掛けてきました。
 停泊した先の海域は、クロノ・オブジェクト化した海藻で埋め尽くされた『サルガッソー海』だったのです。
 もし、無警戒にサルガッソー海に突入していた場合は、確実に拿捕され脱出する事は出来なかったでしょう。
 攻略旅団の英断によって、得られた、脱出の機会を生かし、襲い来る敵を撃破して、サルガッソー海域からの離脱を行ってください。


サルガッソー

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選択肢『【攻略旅団】コーサ・ノストラの『密売』情報』のルール

 サルガッソー海域で戦うアビスローバーと会話し、空想科学コーサ・ノストラとの関係や『密売』の情報について聞き出します。
 サルガッソー海域は、黄金海賊船エルドラードと空想科学コーサ・ノストラとの境界に近く、その特性から『密売』などが行われるのに相応しい場所であると考えられます。他の海域よりも情報を得られるかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

※攻略旅団の提案について
 攻略旅団の提案により「コーサ・ノストラの痕跡」および「密売」についての情報を得る場合、その精度が高くなります。
 質問やその意図を具体的にプレイングに書けば、採用率が上がり得られる情報が詳細になりやすいでしょう。
 逆に「知っていることを全部吐け」のようなプレイングは普通に敵に拒否されます(不採用になります)。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『登場人物(NPC)との会話に専念する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『海賊船を拘束する海藻を破壊する』のルール

 襲い来る敵と戦闘を行いつつ、サルガッソー海域から伸びてきて、海賊船を拘束した海藻を破壊し、海賊船の拘束を緩めてください。
 海藻はクロノ・オブジェクト化しており、パラドクスで全て破壊する事で、この海域から脱出できます。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 この選択肢をクリアせずに完結したシナリオ数に応じ、海賊船が拿捕される危険性が上昇します。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、選択肢の説明で指定された特別な効果が発生する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾『粘りつく海』の戦い『海の乙女・オーケアニデス』のルール

 サルガッソー海から出撃したアビスローバーは、サルガッソー海域に無数に存在する「クロノ・オブジェクト化した海藻」を操り、その海藻の上に乗る事で、自由自在に海上を移動して戦闘を行ないます。
『粘りつく海』では、海面でも海中でも、移動や行動を阻害される為、ディアボロスは不利な戦いを強いられてしまいます。
 行動の阻害は【水面走行】のパラドクス効果を利用したとしても、戦闘時の命中率や回避率が半減してしまうほどで、まともに戦闘する事は難しいでしょう。

 対抗する為には、アビスローバーが乗る海藻を攻撃して破壊し、アビスローバーを粘りつく海に落として泥仕合に持ち込むか、或いは、海藻に飛び乗って肉弾戦に持ち込む必要があります。
 様々な、工夫を凝らして『粘りつく海』の脅威に対抗してください。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿『粘りつく海』の決戦『イアーソーン』のルール

 サルガッソー海から出撃したアビスローバーは、サルガッソー海域に無数に存在する、クロノ・オブジェクト化した海藻を操り、その海藻の上に乗る事で、自由自在に海上を移動して戦闘を行ないます。
 『粘りつく海』は、海面でも海中でも、移動や行動を阻害される為、ディアボロスは不利な戦いを強いられてしまいます。
 行動の阻害は、水面走行のパラドクス効果を利用したとしても、戦闘時の命中率や回避率が半減してしまうほどで、まともに戦闘する事は難しいでしょう。

 対抗する為には、アビスローバーが乗る海藻を攻撃して破壊し、アビスローバーを粘りつく海に落として泥仕合に持ち込むか、或いは、海藻に飛び乗って肉弾戦に持ち込む必要があります。
 様々な、工夫を凝らして『粘りつく海』の脅威に対抗してください。


 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「ワシリーサ・ヴォレシア」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。