リプレイ
断頭革命グランダルメ。
そのベルサイユ宮殿に開いた時空の歪みに、飛び込む影があった。
一つ二つではない。幾多の影は全て、パラドクストレインから飛び移った復讐者達であった。
時空の歪みが繋がる先は1793年10月16日。
だが、ディヴィジョンと言う正史の常識が通じない世界に開いた歪みが、黙って復讐者達を受け入れる筈もなかった。
斯くして、復讐者達へ時空の歪みが牙を剥く。
それは彼らの瑕疵――精神的外傷を抉る、残酷な物であった。
リゼット・ノア
朧な影が複数、私に迫ってくる。
それが誰か、私にはわかる。
クロノヴェーダに敗れ「歴史改竄」された故郷で。
敵を足止めし逃がしてくれた仲間。
敵の攻撃から私をかばってくれた友人。
「なかったこと」にされた、名前も姿も思い出せない大切な人たち。
私は無力だった。
逃げるしかできなかった。
私だけが生き残ってしまった。
新宿島にたどり着いてからのことを思い出す。
新しい戦いの始まり。歴史を超える手段。
あの時は何もできなかった。
けれど、まだ、できることがあると、取り戻せるのだと教えてもらえた。
「…まだ、終わってない。貴方たちを取り戻す…そのために、私はここに来ているのだから」
決意を込めて【パラドクス】を発動させます。
それは、呪詛だった。
リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)の前に立ち塞がったのは、無数の影だった。
その影を彼女は知っている。知っている筈の存在だ。
「……そう。これが、私の精神的外傷」
改竄された世界史の中で、それでも共に戦った仲間達や友人達。戦いの果て、「無かった」ものとされた、大切な人々。
名も姿も全て失い、ただの影に堕ちた彼らは、リゼットに問う。
「何故お前だけが蘇った」
「何故?」
「何故だ?」
今も尚、リゼットを蝕む縛鎖。それが、死者の怨念の形を取って、彼女に絡みつく。
「……ええ」
あの時の私は無力で、逃げることしか出来なかった。庇われ、逃がして貰うことしか出来なかった。
そして、その果てに彼女だけが、新宿島に流れ着いてしまった。
「でも、今は」
そう、今は違うと知っている。出来る事がある。まだ、取り戻せるのだと、教えて貰ったのだ。
「……まだ、終わってない。あなた達を取り戻す。……その為に、私は此処に来たのだから」
だから、さようなら。私のトラウマ。
意を決し、リゼットを紡ぐ。現れた影は彼らではない。これは、自分の内面を模した、時空の歪みによる攻撃だ。
「あなたは忘れてしまった。初めから何もなかった。それでも、ここには生きて、死んだ命があった。それは決して失われない」
私は決して忘れない。
その想いを以て、現れた影を全て、吹き飛ばした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
マティアス・シュトローマー
思い出すのは友人を3人亡くした日。
レジスタンス気取りで祖国に反旗を翻した俺達は、笑えるほど呆気なくゾルダートの前に倒れた。手負いの一般兵を捕らえた程度で調子に乗った慢心の結末。
俺に逃げろと叫んだ、庇った、手を伸ばした3人の姿が。
あの時のゾルダートが。
寸分の狂いもなく眉間に向けられた銃口が。
……これまで何度も悪夢で見た光景だ。今でもまだ吐き気がするし足も震える。
それでも。あの日々を、あの生活を取り戻すために前に進むと決めたから。戦う力を手に入れたから。
俺は何度だって感情を押し殺して、薄っぺらい笑みを浮かべる。
光の矢を放ち、この偽物を切り裂く。
愚者と笑われようが、これが俺にできる精一杯だから。
それは、悔悟だった。
マティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)の前に出現したそれは、この断頭革命グランダルメに存在する筈のないクロノヴェーダ――機械化ドイツ帝国の帝国兵、ゾルダートであった。
「貴様は……」
彼奴を知っていた。その顔を忘れる訳がなかった。何より、彼奴が自分に、自分達に何をしたのか、一日たりとも忘れる日はなかった。
歯を食いしばり、身構えるマティアスに、ゾルダートは静かに自動小銃を向ける。その動作は機械的で、だが、それ故に誤りは無かった。
そう。これがマティアスの精神的外傷。
ゾルダートの射撃はマティアスの脇を打ち、そこに在る筈のない悲鳴と、血飛沫をまき散らしていく。
「――っ」
三人の名前を呼ぶ。ここに居るはずのない友人の名を、しかし、マティアスの悔悟は彼らの名を全て、紡がせていた。
ああ、と驚愕する。
ああ、と嘆く。
俺はまた、奴らを失ってしまったのか、と。レジスタンスを気取り、祖国に反旗を翻した愚かな自分達を、機械化ドイツ帝国が粛正した、あの時のように。
そして、ゾルダートの銃口がマティアスに向けられる。眉間を貫く筈のそれは、しかし、一瞬早く放たれた光の矢によって打ち払われていった。
「それでも、あの日々を、あの生活を取り戻す為に前に進むと決めた」
その為に、戦う力を手に入れた。
光を指先に番え、マティアスはそれをゾルダートに――己のトラウマへと向ける。口元に張り付いた笑みは、酷く薄っぺらな物だった。感情を押し殺した結果、浮かび上がった物だとマティアスは知っている。それが、今の自分だ。
「Gott segne Dich」
そして、それが彼の覚悟だった。
愚者と笑われようと、己の全てをクロノヴェーダに叩き付け、正史を取り戻す。
それこそが、彼の答えだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
エヴァ・フルトクヴィスト
ベルサイユ宮殿に発生した時空の歪み、
繋がる先はこの場所で起きた歴史の転換点のその日、ですか。
転換点での企みを打ち砕く為、力を尽くしますよ。
時空の歪みは映す。
クロノヴェーダが奪う。護ろうと誓った人々を。共に戦う仲間を。
そして積み上げてきた研鑽と経験を。
敗北感と絶望、そして怒りすらも奪おうモンスターが闇に覆い尽くす様に迫るも。
奪わせないとポツリ。
過去も、現在も、そして未来も!
護れなかった、仲間や自らの力も失われた。
それでも、諦めないし譲れない。過去から続く現在が私なんだ!
託されたものがある、護れなかった命に報いたい。
そして奪われた怒りを燃やして!
今度こそ必勝の想いを込めて、光の槍を叩き込みますよ!
それは、純粋な怒りであった。
津波が全てを奪い、攫っていくように、世界史そのものが奪われていく。
簒奪者の名前はクロノヴェーダ。世界の歴史も、護ろうと誓った人々も、共に戦う仲間も、そして、積み上げてきた研鑽と経験を。
全て、全て奪われていった。
それが現在の世界に起きたことだと、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は理解している。そうして、世界は虚無の海に沈んでしまったのだ。
「……奪わせない」
ぽつりと零れた言葉は、彼女の本心だった。
クロノヴェーダは奪った。世界の過去も、現在も、そして未来も!
クロノヴェーダは奪った。仲間を。自身の力を。彼女の全てを!
(「それでも!」)
諦めるつもりはない。譲るつもりはない。
過去から続く現在を生きるのが私だ! 私が現在に存在する限り、過去も、そして未来も奪わせはしない。
「世界を支える樹、天の光宿りしトネリコの枝よ。ここに顕現し、生命の輝きを示せ!」
立ち塞がる黒い津波に、エヴァは光の槍を突き立てる。
守れなかった命があった。託された物も、想いもある。その全てに報いることが、彼女の願いだ。
だから怒る。
だから戦い続ける。
それが、彼女の決意だ。
「今度こそ勝利します!!」
植物の枝葉が広がるように、槍から溢れる光が急速に広がっていく。
やがて貫かれたそれは、細部に至るまで灼かれ、消滅していった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
白水・蛍
アドリブ、連携歓迎
・自身のトラウマ
私は……ただ一人生き残ってしまったのです。
厳しくも優しかった、両親。
私の名前をとても幸せそうに呼びその由来を楽しそうに話す祖父と祖母。
仲の良かった友人達。
私は一人生き延びてしまった。私だけが……
・トラウマを乗り越えて
復讐者になった時、私には力はありませんでした。
今も力がある訳ではありません。でも、力を得る方法も共に戦う仲間もいます。過去を取り戻す方法も分かったんです。だから!!
「私は取り戻すためにここに来た。後悔ばかりの『あなた』は消えろ!!」
≪ブレイドハープ≫を握り、自分を勇気づけるために【パラドクス】を使用します!
消えるのは後悔ばかりの過去の『私』です!
それは、写し身であった。
「……私?」
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)の困惑の声に、しかし、目の前に現れた女性は応えない。
見れば見るほど、それは自分だった。纏った羽織。携えたソードハープ。そして、毎日の如く見てきた麗人の様な顔。唯一、鏡と違うのはそれが彼女と同じく、利き腕に得物を携えていると言うところだった。
驚愕する蛍を前に、それは語り出す。
悲しげに、寂しげに、そして。
「私は……ただ一人生き残ってしまったのです。厳しくも優しかった、両親。私の名前をとても幸せそうに呼び、由来を楽しそうに話す祖父と祖母。仲の良かった友人達。その全てが、もはや、この世の何処にもいないのです……」
そして、それは悪鬼の様に目を剥く。それが怨嗟である事を、蛍は知っていた。
「お前は一人生き延びてしまった。そう、お前だけが!」
「――っ!」
唇を噛む。
そう。ただ一人、生き残ってしまった。クロノヴェーダによる歴史侵略は、世界史改竄は親しい者の命を奪い、私だけが、生き残ってしまった。
それは、蛍の知る事実で、そして、全てだった。
「だけどっ! 私は、復讐者になりました! 私はっ!!」
「無力なお前に何が出来る! 過去を失ったお前に何が出来る! 何も守れなかったお前に何が出来る!!」
反論は赦さないと、私は叫ぶ。慚愧、憐憫、嘲弄、嗤笑。それらが入り交じった責め苦は、蛍の心を侵してくる。
「でもっ」
それでも蛍は叫ぶ。自身が無力なのは知っている。力が無かったことも知っている。それは覆す事の出来ない事実だからだ。
「今も力がある訳ではありません。でも、力を得る方法も共に戦う仲間もいます。過去を取り戻す方法も分かったんです!」
だから、と咆哮する。それは否定と決別だった。
「私は取り戻すためにここに来た。後悔ばかりの『あなた』は消えろ!!」
優美な一撃が、蛍を模した時空の歪みを斬り裂く。
一刀の元、斬り裂かれた歪みはそして、茫然自失の表情を残し、消失していく。
「……ここにはもう、後悔ばかりの私は、いないんです」
取り戻すべき未来を知った。仲間の温かさを知った。
自身のトラウマを打ち払った武器の名前は希望。
それを抱く彼女は、もはや無力な存在ではない。歩みを始めた復讐者の一人だった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
瀧夜盛・五月姫
首を見た。
晒し首を見た。
父の晒し首を見た。
“吾の躰は何処なりや!”
生首が叫ぶ。
“五体を繋いで一戦させんぞ!”
眼を見開き、歯ぎしりをしながら叫ぶ。
“五月姫! 朝廷を! 帝を! 滅ぼさんぞ!!”
かつて七条河原に晒された父の首に似たソレが叫んでいる。
こんなの、姫、知らない。
でも何故? 魂の底から、こみ上げる、嘔吐感。
精も根も、口から這い出てくる。
お父、さん……。
嗚呼、そうか。そうよな。
吾こそが娘の心傷、であるか。
ハハハ、当然であるな。
だがな、パパは二度と目の前に現れぬ。
そして嫌なことは全部、引き受けてやろうぞ。
だから五月姫よ、安心して眠っておれ。
どれ、まずは不愉快な吾の首めを握りつぶしてやろうか。
そこに、首があった。
「お父、さん……」
かつて七条河原に晒された父の首。それを想起させる生首が、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)前に浮かんでいた。
生首は目を見開き、五月姫に言う。それは唾棄の様な忌ま忌ましい叫びだった。
「吾の躰は何処なりや! 五体を繋いで一戦させんぞ!」
身体はない。何処にもない。それは既に失われてしまったからだ。
「朝廷を! 帝を! 滅ぼさんぞ!!」
その何れも、正しい世界には存在しない。世界史は全て、クロノヴェーダによって改竄されてしまった。
(「知らない……」)
激昂し、表情を歪める父の生首に、五月姫は一歩、身を引く。
記憶の中にある父は、このような憤怒を口にする人間だったか? 全てを呪う凶の存在だったか?
疑問に対する応えはない。代わりに胃液が、孕む内容物と共に込み上げ、地面と自身の身体を汚す。
「五月姫!」
父が呼ぶ。父が叫ぶ。父が吼える。
「違う……」
涙に濡れた目で、父親と認識する生首を見やる。それが自身の精神的外傷だと気付いた時、五月姫は込み上げる物に逆らえず、全てを吐瀉した。
それは悲鳴の形を取った絶望だった。広がる光景に目を背け、全てを否定したかった。蹲り、目も耳も塞いでしまいたかった。
だが、それは出来ない。ここに常識は無い。目を閉じても、耳を塞いでも、生首は五月姫の前にあった。
故に叫ぶ。咆哮の様な悲鳴は、
やがて、その悲鳴が尽きたとき、五月姫はゆらりと立ち上がった。
「嗚呼、そうか。そうよな。吾こそが娘の心傷、であるか」
まるで古風な男性の如く、五月姫は嘆き混じりに呟く。まるで、何者かに憑かれた様な口調はしかし、可憐な少女の唇から零れ出でていた。
「だがな、パパは二度と目の前に現れぬ。そして嫌なことは全部、引き受けてやろうぞ。五月姫よ、安心して眠っておれ」
眠りに陥った我が子に語り掛けるような、そんな優しい口調の五月姫は、ゆっくりと、自身の得物である大薙刀を振りかぶる。
「面ッ」
そして、裂帛の気合いの元、振り下ろした。
それが捉えたのは、彼女が父と見た生首。怨嗟を振りまきながら両断されたそれは、寸断と共に消失し、塵芥のように消えていく。
「まずは不愉快な吾の首めを潰したぞ。五月姫よ」
生首の最期を見届け、恍惚とした表情で五月姫は呟く。
愛しげに、そして、何処か誇らしく。
何かを見守るような表情の彼女はやがて、時空の歪みの最奥へと呑まれていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
リゼット・ノア
目立つ所に立ち、市民に呼びかけます。
どうか、聞いてください。
辛く苦しい生活を強いられた貴方たちが、自分たちを見下し、贅沢に楽しく生きていた貴族を憎むのはわかります。
けれど。
全てを失い、処刑を待つだけの1人の女性に対して罵詈雑言を浴びせ嘲笑うのは、貴方たちが憎んだ貴族の行いと同じではないですか?
もし、貴方たちがこれから豊かで幸福な暮らしを手に入れたとしましょう。
それを妬む者たちが貴方たちを告発し、断頭台に上らせ、聞くに堪えない悪口を浴びせたとしても。
貴方たちはそれを当然のことだと許すのでしょうか?
どうか、断頭台の刃を憎しみで振るわないでください。
処刑台は貴方たちを楽しませる娯楽ではないのだから。
イシュア・アルミゴス
すっごい声。でも救うんだ。怖気づいてる場合じゃないよね
この狂気を落ち着かせよう
拡声器の準備よし。
王妃の断罪を声高に叫ぶその行いに正義はあるのか!
王妃の行いは僕も聞いた。だけどそれでも負けない国家であった筈だ!
栄光あるこの国はもっと美しく!強靭で!誇り高かった筈だ!
この国が腐敗したのは王妃のせいじゃない。別の場所にある!
確証もなく怒りだけで進めれば見える真実も曇ることになる!
そんな状況で人の死を望むことは正しいと思うか?いや正しい筈がない!
革命には血を求めちゃ駄目だ。正義と信じて進んだ行いの
終着点がこれでは駄目だ。血と刃で出来るのはただの処刑だけだ
そこに正義は無い。正義であっていいはずが無いんだ
白水・蛍
アドリブ、連携歓迎
「人々を落ち着けましょう。大丈夫、何とかなりますよ」
≪ブレイドハープ≫で演奏し人々の心を落ち着かせる様な音楽を奏でます。
また、【プラチナチケット】を使用し人々に言葉を投げかけます。
以下台詞。改変可。
「彼女は何をしたのでしょうか。確かに貴族たちはあなた方の税を使い、贅沢をしたでしょう。では、彼女の生活を知っている者はいるでしょうか。彼女も他の貴族と同じように生活している事を誰か目撃した事はあるでしょうか。誰も見た事がないのであれば、何故そこまで声高に叫ぶのでしょう。彼女を知らずにその死を望むのでしょうか。今一度考えなおしてください。たった一人に押し付ける事は正しいのでしょうか」
エヴァ・フルトクヴィスト
革命とクロノヴェーダによる熱を醒まし、本質へ目を向けさせる為に。
光学迷彩で人々の前へと到達後、解除。
ロッドで地面を打ち鳴らして、注目させ呼びかけ。
皆さん、突然の無礼お許し下さい。
ですが、少しお時間を。
どんな悪女か苦しめられた当事者として見に来たかと思います。
そんな皆さんにこの言葉を。
歴史や人物像は時代に勝利した者が作るものである、と。
私達が知るマリー・アントワネットはその人の一面でしかない。
ただその事だけを受け入れ、熱に浮かれるというのならば。
王がこの処刑を主導している者達に置き換わり、踊る国民の図は変わりません。
国民が主役なら。
自己自身の意志に従って行為する「自由」意志、忘れずに心宿して。
時空の歪みを抜け、そして復讐者達は走る。ある者はトラウマに心を砕かれ、ある者は嘆きに身体すら侵されている。
だが、それでも復讐者達は走る。彼らはその為にやってきたのだから。立ち止まる暇など、無かった。
復讐者達が辿り着いたのは、大勢の民衆が集う断頭台広場だった。
人々の熱狂が耳に痛い程響いている。殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺意塗れの合唱にリゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)は表情を歪める。目の前に広がる光景はそれ程までに悪辣で、そして、悲しい物だった。
「クロノヴェーダに扇動されているとは言え、これは酷いですね」
大音量斯くやの声量の中、しかし、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)が述べた言葉は、意外なほど冷静だった。
此処に集う人々の熱狂は、断頭台に上る淑女――マリー・アントワネットに向けられている。処刑台に上らされる彼女だけ取ってみれば、それは確かに正史が示す通りだった。
(「ですが、これは誤った歴史なんです!」)
故に正さなければならないと、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は自身の得物であるソードハープを掲げる。
断頭台広場の中央に居るのは彼の王妃だけではなかった。処刑を待つ彼女の周囲を、自動人形や淫魔達――クロノヴェーダが詰めている。それこそが、今の光景が正史とは異なる物だと告げていた。
「拡声器の準備よし! 行くよ!」
イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は喇叭型の拡声器を取り出し、断頭台に群がる人々へと向ける。
扇動には扇動を。演説には演説を。
その為には、まず彼らの意識を、こちらに向ける必要があった。
蛍がハープを奏で、旋律を響き渡らせる。拡声器を通り、幾倍にも膨れ上がった音の波はそのまま、殴打の如く大衆を横殴りにした。
(「届きました!」)
旋律を受け、民衆の幾らかは復讐者達へと視線を向ける。まだ熱狂し、叫ぶ人々も残っているが、それも全て取り込むべく、リゼットは声を張り上げた。
「どうか、聞いてください!」
そして彼女は説く。貴族を憎む人々の気持ちは分かる。だが、それを娯楽に興じてしまえば、あなた方もまた、享楽に耽った貴族と変わらない。
否。それ以下だ。処刑を待つだけの女性に罵詈雑言を浴びせる姿は、それ程までに醜いものだ、と。
「何を!」
「お前は貴族の味方をするのか!」
リゼットの言葉に、人々の視線が変わる。それは、罵声の向け先がマリーから彼女達に変わっただけだが、それでも民衆の意識を向けることが出来た。
(「史実のマリー・アントワネットからして、あまり民衆の為、と言う人物像ではなかったけれども」)
むしろ、『赤字夫人』の徒名が示す通り、端から見れば如何か、と思うような逸話がたんまりあるし、それはそれでどうかと思うのも事実だ。
ただ、その憎しみ全てを彼女にぶつけるのは間違っている。短杖を打ち鳴らし、その音を以てエヴァは、自身への介入を宣言した。
「皆さんはどんな悪女に苦しめられたのか、とこの場に集まったと思います。そんな皆さんに、言葉を贈らせて頂きます。曰く、『歴史や人物像は時代に勝利した者が作るものである』、と」
確かにマリー王妃は贅沢三昧な生活を送っていた。日々の生活に困窮する彼らから見れば、それは許しがたい物だろう。
だが、それは彼女に限った話ではない。早い話、君主制の王族なんて、多かれ少なかれ、そんな物なのだ。
「貴方達が主役であろうとするなら! 自己自身の意志に従って行為する『自由』意志を、忘れずに心に宿して下さい」
その判断を行うのは『歴史を改竄する者』ではない。此処に集う一人一人だ、とエヴァは訴える。
「そうです! 今一度考え直して下さい。王侯貴族の犯した罪を、たった一人の女性に押し付ける事は正しいのでしょうか?」
「そ、それは……」
蛍の投げ掛けに、人々は顔を見合わせる。三人の言葉を経て、憐憫の情が生まれたようだ。それが熱狂とぶつかり、揺れ動いているのだろう。
「そこに正義はあるのか!」
故に、イシュアは叫ぶ。
「王妃の断罪を声高に叫ぶその行いに正義はあるのか! 王妃の行いは僕も聞いた。だけどそれでも、このフランスは貴方達に支えられ、負けない国家であった筈だ! 栄光あるこの国は美しく! 強靭で! 誇り高かった筈だ!」
戸惑う彼らにぶつけるそれは、端から見れば新たな扇動だったが、それでも今の彼らが沈静化すれば、それで良かった。
「この国が腐敗したのは王妃のせいじゃない。別の場所にある! 確証もなく怒りだけで進めれば見える真実も曇ることになる! そんな状況で人の死を望むことは正しいと思うか? いや正しい筈がない!」
その行く末に革命が起きたのは致し方ないだろう。特権階級による君主制は何れ、打ち倒される運命だ。
だが終着点が血と刃で終わって良い筈がない! 暴力で彩られた最後に正義はない! 正義は堕ちてしまうんだ!
イシュアの演説を、彼らは戸惑いの表情で受け止める。自分達の在る筈の正義が、自分達の行為によって貶められるとの訴えを理解してしまったのだろう。
「どうか、断頭台の刃を憎しみで振るわないでください。貴方達が血と刃を振るえば、次に血と刃が振るわれる先は貴方なのです」
それを当然と、許せますか?
リゼットの問いかけに、民衆は呻き、しかし、拳を下ろす。
再度、彼らが断頭台に向けた視線は厳しく、だが、そこに先程までの熱狂は既に、宿ってはいなかった。
「貴様ら! 何をしているか!!」
「おでましですね!」
誰何の声に、真っ先に反応したのは蛍だった。集うクロノヴェーダ達にソードハープを突きつけ、高らかに宣言する。
「貴方達を倒しに来ました! この儀式を失敗させる為に!」
彼女の声に呼応する様、トループス級クロノヴェーダ『サンソン式断頭人形』達は、自身の得物を構えるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ダブル】LV1が発生!
新城・橙花
これだけ人がいれば警戒していても限界はあるよね。
警戒している敵で孤立した位置にいる敵を狙うよ…あんまり市民は巻き添えにしたくないし。
[光使い]で自分の姿をごまかしつつ、近づいて棒焙烙をころころと[投擲]。
[誘導弾]でうまく相手の足元に放り込んで[爆破]。
[結界術][火炎使い]で市民に被害が出ないように相手を包み込むよ。
そして大剣型呪刀【譲葉】で両断。
「冤罪のお姫様を助けるのは騎士のお仕事らしいけど、許してねっ」
口調も戦闘モードにしつつタイミングを計ってパラドクス呪法【狐火乱舞】
「これは裁きの炎です」
他の皆がアヴァタール級を攻撃しやすいようになるべく敵を引き付けつつ数も減らすね。
アリス・セラフィハート
アドリブ連携歓迎
クロノヴェーダさんの
勝手には…
マリーさんを
みすみす処刑は
させません…!
残留効果2は
全て使用
【完全視界】
【強運の加護】で
行動強化
【飛翔】で
【空中戦】も行い
【臨機応変】に行動
民衆を
巻き込まない様
比較的大群から離れた敵を狙い
奇襲
【光使い】で
自分の姿をちらつかせ
敵を撹乱し引き付け
民衆から離れた場に誘導
各個撃破
ヴォーパルソードで
【斬撃】【両断】【薙ぎ払い】や
【光使い】で
剣からの
光焔の【衝撃波】【誘導弾】や
パラドクスで攻撃
ロリーナちゃんに
オラトリオクレセントで
光矢の【連射】で
援護して貰い
【結界術】【残像】で
防御・回避
演説や戦闘中の
味方が行動し易い様
連携
マリーさん…慌ただしくして
すみません…
マティアス・シュトローマー
この護衛の数……マリー王妃の処刑はクロノヴェーダにとって重要な意味を持つものなんだろうな。
それなら尚更阻止しないと。
敵の警備は厳重。正面から向かったところで多勢に無勢。
だったら奇襲攻撃を仕掛けよう。悪戯は俺の得意分野だからね。
「鬼さんこちら。手の鳴るほうへ」
まずブリンデ・クーを発動。【光学迷彩】で姿を隠し、敵を煽って民衆から離れた場所に誘導する。
誘導後はヘッドショットで攻撃。
その後も【光学迷彩】【完全視界】【地形の利用】で上手く身を隠しつつ、敵の反撃を交わしながら注意を引く。
少しでも演説や戦闘中の仲間が動きやすくなるように。
……悪いけど、もう少し俺と遊んでもらうよ。
イシュア・アルミゴス
断頭の刃を背負った憐れな自動人形、君らを否定する。その悍ましい刃が二度と振り下ろされないように。この惨劇を終わらせる
セルケトクロウを振るい人形達を牽制。敵が避けた瞬間に意表を突く形で射出させ敵を断ち切る。さらにハンマーのように振るい敵を蹴散らせた上で冷気を放出。そんなに重そうなギロチン持ってちゃ動きにくいだろ?体を凍らせ動きを封じ、そのうえで砕き破壊する。
身も心も氷雪の様に儚くそして美しく。凍てつき砕けて骸をさらせ。処刑の為に生み出されたとしても、せめて散り際だけは美しく。そうだろう?
エヴァ・フルトクヴィスト
民衆の皆さんの熱狂は収められたでしょうか。
処刑の公開は畏怖を植え付け支配する為の大いなる一手だったはず。
流れを完全に断ち切る為に出来るだけ多くの敵を打倒して。
次なる布石へとしますよ!
相手の動きを完全視界で視野を広げつつ観察し、
勝利の凱歌に乗せながら妖精さん達を的確に統率。
妖精さん、お願いしますね!
自身も含めたディアボロス達の動きに搦めて攪乱しつつ、
斬撃を加えていきますよ!
相手の攻撃は光学迷彩で姿を隠してみたり、
エアライドの二段ジャンプなど強運の加護も頼りに出来うる限り回避。
ダメージも治癒活性で癒して戦闘力を継続させます。
また一般の方の被害も無い様に動き配慮も。
撤退までに一体でも多く倒しますよ!
「この護衛の数……マリー王妃の処刑はクロノヴェーダにとって重要な意味を持つものなんだろうな」
自分達に群がってくる無数のトループス級クロノヴェーダ、サンソン式断頭人形の姿を見やり、マティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)は嘆息する。数からして、大量も大量だ。如何にこの儀式を彼奴らが重宝していたか。それを推測するのに充分な警備の数であった。
「自動人形は『処刑』でエネルギーを得ていると聞きますが、この処刑の公開には、大衆への畏怖を植え付け、支配を強くする為の大いなる一手だった可能性がありますね」
エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)の言葉に「成る程」と頷いてしまう。王侯貴族を守るつもりのなかった、否、王侯貴族だからこそ執行された処刑を以て進められた恐怖政治は、一般大衆にとっても畏怖の対象になり得るだろう。
(「マリーさん。慌ただしくして、すみません。今、助けます」)
壇上の王妃を見上げ、アリス・セラフィハート(不思議の国の天司姫アリス・g00270)は一瞬の黙礼を果たす。
この邂逅に如何なる意味があるのか、未だアリスには見出せない。だが、それでも、歴史の歪みは正すべきだし、クロノヴェーダの好き勝手は許せないと義憤に駆られる己を止めるつもりはなかった。
「冤罪のお姫様を助けるのは騎士のお仕事らしいけど、許してねっ」
身の丈ほどもある呪剣を構える新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)は、揶揄の様な挑発をクロノヴェーダへと向ける。クロノヴェーダ、サンソン式断頭人形のモチーフであると思わしきサンソン家が貴族を名乗っていた事を思えば、かなり皮肉めいた発言であった。
「断頭の刃を背負った憐れな自動人形、君らを否定する。その悍ましい刃が二度と振り下ろされないように、この惨劇を終わらせよう」
鋏と言うにはあまりに大型な生体鋏を突きつけ、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)が宣言する。
それが、開戦の合図となった。
「王墓を守る蠍の鋏はちょっと特別らしいよ」
身も心も凍てつかせる冷気を孕み、鋏は断頭人形の喉元を狙う。対する断頭人形もまた、自身の得物である断頭台を変形させ、イシュアの身体を解体すべく振り回す。
鋏と断頭台。寸尺の差違など明白なそれは、しかし、断頭人形の喉元が斬り裂かれることで、決着を迎えた。
「ギ、グ、グ、ア」
「そんな重そうなギロチンを持ってちゃ動きにくいだろ?」
それがイシュアの投げ掛けた最後の慈悲だった。射出された鋏に喉を斬り裂かれ、地面に転がった断頭人形は、その頭を踏み砕かれる事で、終焉を迎えていく。
「消えずの妖火よ、燃やせ燃やせ、全てを灰と化せ」
冷気に負けずと、飛び交うのは青白い狐火――炎熱であった。橙花から放たれたそれは一瞬にして炸裂。周囲の酸素ごと、断頭人形達を焼き滅ぼしていく。
「これは裁きの炎です」
淡々とした機械的口調は、断頭人形達の焼死が当然とばかりに響き渡っていた。まさしくそれは、死神の声の様に思えた。
「行きます!」
気合いの台詞は、天使の翼で飛翔するアリスから紡がれた。
声と共に出現した無数の光輪はその場で激しく回転すると、その勢いのまま、断頭人形達へと強襲していく。
光輪に斬り裂かれ、或いは打ち砕かれ、断頭人形達は派手に吹き飛んでいく。
「鬼さんこちら。手の鳴るほうへ」
マティアスの声はしかし、虚空の中で響き渡る。声に反応した断頭人形達の視線の先に広がっていたのは、静かな民衆と、それを背景に戦い続ける復讐者と断頭人形の光景で、そこにマティアスの姿はない。
無い筈だった。
「……悪いけど、もう少し俺と遊んでもらうよ」
突如出現したマティアスは、拳銃の銃口を断頭人形の後頭部に押し当てると、間髪入れずに引き金を引く。
吐き出された弾丸は断頭人形の頭の中身をぐちゃぐちゃに潰し、反対側の額から飛び出していく。
「妖精さん、お願いしますね!」
度重なる復讐者達の攻撃に浮き足立つ断頭人形達を、更なる衝撃が襲撃する。
そんな彼らに肉薄したのは、妖精を伴った魔術師――エヴァだった。
妖精による攻撃と、妖精剣の斬撃との波状攻撃に、断頭人形達は為す術もない。応戦する傍から、復讐者達の集中砲火を受け、一体、また一体と沈んでいく。
気がつけば、そこに蠢く断頭人形の姿は、数える程しかなかった。
「撤退までに一体でも多く……と思いましたが、やり過ぎましたか?」
あははと、乾いた笑いと共に魔術を紡ぐエヴァの攻撃と。
「奇襲成功って事だ。良いことじゃないか?」
拳銃を操るマティアスの笑みが重なる。
「悪人の末路なんてそんなものだ。せめて去り際だけでも美しく。そうだろう?」
多数対少数の戦いを乗り切ったと、胸を張るイシュアの背後で、こくりと機械的に頷くのは橙花だ。
言葉を交わす彼らはしかし、そこに油断の色はない。ただ目の前の敵を倒し、断頭台に掛けられた女性を救う。その気概のみが、その目に、その両手に宿っていた。
「ロリーナちゃん!」
そして、戦いの終局は、アリスとそのサーヴァントによって屠られる断頭人形の断末魔の叫びに彩られていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【冷気の支配者】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【命中アップ】がLV2になった!
「何が……何が起きているんだ……」
突如処刑場に乱入した何者かが、仲間を倒し、或いはトドメを刺していく。
まるで、処刑されるのがマリー・アントワネットではなく、自分達だと言わんばかりの暴挙に、トループス級クロノヴェーダ『サンソン式断頭人形』の一体は、慌てて身を隠す。
「……何処かの○○○○○○からの差し金、か?」
だが、何処のディヴィジョンがこんな暴虐を行うと言うのだ?
しかも、此処は時空の歪みの先だ。こんな処まで乗り込むとは考え辛かった。
ならば、と思う。
彼奴らが誰かは判らないが、その狙いがマリー・アントワネット処刑の妨害である事は明白だった。
「しゃああああああああっ!」
ならば、戸惑う理由はなかった。儀式の妨害に対する妨害。それこそが彼が行える最後の報復だ。
雄叫びと共に歌を奏で、断頭台へと走り抜く。ギロチンの紐を切っても良し、自身の斬首斧を振り落としても良し、だ。マリー・アントワネットを殺害すれば、全てが終わる。仲間は全て乱入者に殺されたかもしれないが、その乱入者達に一泡吹かせる光景を想像し、断頭人形はにんまりと笑んだ。
リゼット・ノア
…演説に注力していたので、戦闘は任せていたのですが、断頭人形のとどめを刺しきれなかったようですね。なら、私も動きましょう。
残っている数少ない人形の意識が戦っている味方を向いているようならその不意を打ち、パラドクスによる紅い霧で攻撃しましょう。
「…そう言えば、サンソン式、と言いましたね。なら、こう言うべきでしょうか。『お赦しくださいね、ムッシュウ。わざとではありませんのよ』」
マリー・アントワネットは処刑人であるサンソンに、そう言ったそうですが。
とはいえ。トループス級をいくら倒しても雑兵でしょう。
本命の、アヴァタール級がどこにいるか、確認をして、仲間にも備えるように促しましょう。
――その瞬間だった。
天地がひっくり返ったのは。
そんな天変地異を錯覚し、しかし、地面に激しく叩き付けられた処でようやく理解した。ひっくり返ったのは自分だ、と。
「お赦しくださいね、ムッシュウ。わざとではありませんのよ」
一語一句違えず、それは言った。
そいつの放った薄紅色の霧が足を砕き、勢い付いた断頭人形は、そのまま派手に転んでしまったのだ。
「ひゃっひゃっひゃっひゃ」
笑いが零れる。それが自分の口から零れた狂乱の声だと、最後の最後まで断頭人形は気付くことが出来なかった。
薄紅色の霧によって精神を蝕まれ、破壊されたからだ。
最後に彼が見た姿は、白い肌の少女が静かに囁く様であった。
「さて。これで終いでしょうか」
周囲を見渡したリゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)はしかし、自身の言葉を否定する。
トループス級をいくら倒しても、雑兵に過ぎない。倒すべきは彼らを指揮するクロノヴェーダ――少なくともアヴァタール級だ。
だが、雑兵を倒したことで、道は拓けた。
それが仲間の演説と奮闘の成した結果だ。ならば、後はそれを邁進するのみだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
アリス・セラフィハート
アドリブ連携歓迎
何が正しいのか
私には…
けど
悲しい事は…
終わらせます…!
『マリーさん…お護りし…助けます…!』
残留効果1&2
全て使用
【完全視界】
【強運の加護】で
行動強化
【飛翔】で
【空中戦】も
マリーさんに
被害が及ばぬ様
【結界術】で防護等
【臨機応変】に行動
『子供の私では…庇う事は…けど…護る事はできます!』
ヴォーパルソードで
【斬撃】【両断】【薙ぎ払い】や
【光使い】で
剣からの
光焔の【衝撃波】【誘導弾】で
攻撃
ロリーナちゃんに魔法弓で
光矢の【連射】で
援護して貰い
【光学迷彩】で
敵の攻撃等躱し
パラドクスで一閃
防御・回避は
【結界術】【残像】
【活性治癒】で回復
マリーさんを
救出できたら
『私にも…護れたでしょうか…』
マティアス・シュトローマー
マリー王妃の救出まであと一歩。残るはメリザンドだけ。
【光学迷彩】で身を隠しつつ、シュピネファーデンを発動。
【情報収集】の後【計略】を巡らせ、味方の攻撃でメリザンドが倒れそうな位置、攻撃をかわして飛び退きそうな位置に蜘蛛の巣型のトラップを設置する。
相手の次の出方を正確に読む事が悪戯を成功させる鍵だから。
「動かない方がいいよ。その手足が大事なら」
メリザンドを罠に掛けたら、内臓攻撃を避けるために【エアライド】を使用。
攻撃をかわしながら、更にトラップを張り巡らせた場所に誘い込み、動きを封じる。
今はまだ遠くても、一つ一つ……まずは手の届く範囲から取り戻していこう。あの日なくした全てを。
白水・蛍
アドリブ、連携歓迎
「さて、追い詰めましたわ。覚悟はよろしくて?」
敵に先んじて【パラドクス】を使用します。
歌声に魔力を乗せて攻撃いたしましょう。
その後は≪ブレイドハープ≫で<演奏>や<歌唱>する事で歌声や演奏に魔力を攻撃したり、≪ブレイドハープ≫の剣の部分で接近戦を挑みます。
【エアライド】や【飛翔】を使用して、攻撃に角度を付ければ避けにくくなるかもしれませんね。また隙を作って味方と連携する事も可能でしょうか。
敵を倒せば王妃様に近づいて何か上着とか着せたりできるでしょうか。出来るならしたいです。
「王妃様、ご無事で何よりですわ」と優しい声をかける事も可能であればしたいですね。
イシュア・アルミゴス
さてと、道は拓かれた。特に何も言わなくていいよ。
正義は我らにあり、ってね。僕らの未来への糧となってくれ。
最速の一撃だ。蠍は思ってるよりもっと怖いよ。
狙いが丸わかりだよ。内臓を狙ってるね?怖い怖い。
でもだったら引くだけだ。そしてそこに追い詰めたと油断が生まれる。
付け入らせてもらうよ。見極め一撃を避け、敵の懐に突き刺すは
王墓を守る蠍の一刺し。
君がどういう機構で動いてるのかは知らないし興味もない。
けど僕にも多少は機械の知識があるんだ。ここかな?
痺れる一撃。電撃を走らせ内部機構を焼き切る
王妃を救う、そのために僕らは来たんだ。
どんなに抗おうと僕らは必ずこの悲劇を終わらせる。
これが僕らの覚悟だ
リゼット・ノア
アドリブ・連携歓迎
メリザンドを見つけたら、声をかけます。
知っていますか?
1793年10月16日、マリー・アントワネットは革命軍によってギロチンで処刑されました。
民衆は、彼女の死を革命の成就として熱狂で受け入れたそうです。
わかりますか?
貴女たちの出番ではないのです。
劇の出る幕を間違えた人形には、退場願いましょう。
戦闘が始まれば、仲間の邪魔にならないよう支援をメインに。
私は後方に位置し、妖精と人形で仲間と連携をとります。
タイミングを計ってパラドクスによる攻撃を。
革命の戦闘で人が死ぬ光景を映し出しつつ、メリザンドへ言います。
正史を見なさい。ここに、マリー・アントワネットが死ぬ景色は、ないのです!
エヴァ・フルトクヴィスト
陣形を薄くして突破にはもちろん、敵の数を減らすのも重要ですが。
それ以上に指揮官を撃破するのが一番の近道でもあります。
後の為すべき事為にも、倒れて貰いますよ!
攻撃の隙をついてくる相手には動作を完全視界も使って常に観察、
動いた際は光学迷彩で風景と一体化し、更に飛翔で回避を試みて。
相手の反撃時にはエアライドで軌道を変えて、
勝利の凱歌を勇気に変えて、貫通の一撃を!
戦闘後は増援に囲まれる前に撤退を。
今の私達が出来るのはここまで、ですが。
仲間が陣形を崩し始めています。
もう少し、もう少しであの処刑場に手が届く。
私達は諦めません、受け入れません。
マリー王女、私達を見て何か想ったなら。
その答え、聞きに参ります。
「さてと、道は拓かれた」
イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)の言葉に、リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)はこくりと頷く。
彼女がトドメを刺した断頭人形が、トループス級の最後の一体だったのだろう。ならば、残ったのはただの一体であった。
アヴァタール級クロノヴェーダ『慈悲深いメリザンド』。ギチギチと首を動かし、視線を向ける彼女こそが、復讐者達に立ち塞がる小隊の指揮官にして、最後の障害だ。
「さて、追い詰めましたわ。覚悟はよろしくて?」
そして今、まさに打破の結末は目の前だと、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は挑発紛いの言葉を発する。
終局に向けた戦いの火蓋が、切って落とされた。
「後の為すべき事の為にも、倒れて貰いますよ!」
エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)の強撃は、メリザンドの胸へと叩き付けられる。如何に術用の短杖と言えど、勇気を奮い起こした一撃に用いられれば、その突撃は刺突槍のそれとなんら変わらない。上体を仰け反らせ、打撃に耐えたメリザンドは、お返しにと鋼の爪を振るう。
エヴァの内臓を抉るはずだった一撃はしかし、彼女のローブを削るのみに留まっていた。
「動かない方がいいよ。その手足が大事なら」
光学迷彩を起動していたのだろう。虚空から現れたマティアス・シュトローマー(ザ・フール・g00097)がそう警告する。
得物であったメリザンドの腕には、いつの間にかワイヤーが絡みつき、ギチギチと締め上げていた。エヴァへの攻撃を阻害した原因はこれだった。忌ま忌ましげに表情を歪めたメリザンドは、異なる腕の爪にて、束縛そのものを斬り裂き自由を取り戻す。
「……流石に反則じゃないか?」
目に見える腕以外の腕が至るところから生える様に、マティアスは思わず「冗談だろう」と口にしてしまった。無数の腕が生え、その一本一本が致死威力を持つ凶器の自動人形など、ホラーや悪夢の産物にしか見えなかった。
だが、と首を振り更なるワイヤーを振るう。
此処で怖じ気づくつもりはなかった。自身には夢があった。夢が出来たのだ。
(「一つ一つ……まずは手の届く範囲から取り戻していこう。あの日なくした全てを」)
その為に目の前のクロノヴェーダを倒す。それがマティアスの為すべき事だ。
そして、メリザンドと中間距離で斬り結ぶのは彼だけでは無かった。
「知っていますか? 1793年10月16日、マリー・アントワネットは革命軍によってギロチンで処刑されました。民衆は、彼女の死を革命の成就として熱狂で受け入れたそうです」
独白と共に黒い妖精を召喚するリゼットもまた、その中距離戦の支配者だ。
「わかりますか? 貴女たちの出番ではないのです。劇の出る幕を間違えた人形には、退場願いましょう」
正史に於いて、自動人形に処刑されるフランス王妃など存在しない事象だ。だから去れ。それが彼女の叩き付けた言霊だった。
叩き付けたのは言霊だけでない。黒い妖精達が行った共鳴による破壊音波もまた、排他の意としてメリザンドを殴打していた。
「何が正しいことなのか、私には判りません」
空色に輝く剣を繰りながら、アリス・セラフィハート(不思議の国の天司姫アリス・g00270)はそう独白する。
マリー・アントワネットは死ぬべき存在だ。正史に於ける彼女の運命は、リゼットの言葉通りだ。
だが、少女はそれを肯定出来ない。肯定して良いのか判らない。
だけれど、と彼女は剣を振るう。
今、ここでマリー・アントワネットが自動人形達に処刑される事だけは正しくない。そんな悲しい事は許せない。
「だから、終わらせますッ!」
(「マリーさんをお護りし、助けます……!」)
それが正史通り、彼女を断頭台に送らざる結果になったとしても。
自動人形達の好き勝手に彼女を踏みにじる。それはだけは嫌だと、竜殺しの剣を振るうのだった。
「――ッ!」
「王妃を救う、そのために僕らは来たんだ」
電撃を纏った一突きは、イシュアが放った物だ。自動人形とは言え、機械の一種に違いない。たとえ動力が電気でなくとも、内部機構を電流が灼けば、故障を免れない。そのことを、彼は熟知していた。
「キミ達がどんなに策を広げ、どんなに不条理を叩き付け、どんなに抗おうと僕らは、キミ達が起こす悲劇を終わらせる」
それが、復讐者達の覚悟だ。
胸を、腹を、内部動力すら焦がす一撃に、メリザンドは悲鳴を上げる。
おかしい。彼女は叫ぶ。
間違っている。彼女は嘆く。
「ああ。そうだろうさ。歴史を狂わせ、全てを奪ったお前達は、支配者気取りでそう叫ぶだろうな」
その犠牲者で、そして傲慢な歴史侵略者に怒りを燃やし、全てを奪い返しに来たのが自分達だと、マティアスは吼える。ギチギチと縛り上げる蜘蛛の糸は、その報復とばかりにメリザンドの細い身体に無数の跡を刻み込んでいた。
「任せた!」
メリザンドへの束縛は、即座に解除される。マティアスはそれを、痛い程、理解していた。
故に託す。罠による束縛が生み出した刹那の駆動停止時間は、復讐達にとっては格好の隙であった。
「了解しました!!」
応じたのは蛍であった。ソードハープの刃を突き出し、メリザンドの腹を貫く。伝説の叙情詩斯くやの一撃に、メリザンドは弾かれ、壁へと盛大に叩き付けられた。
「正史を見なさい。ここに、マリー・アントワネットが死ぬ景色は、ないのです!」
「私達は諦めません。受け入れません!」
そこに復讐者達による総攻撃が次々に突き刺さっていく。
閃光が、斬撃が、電撃が、そして魔術がメリザンドを捉え、打ち据えられていく。共に紡がれた声は、彼女を、否、クロノヴェーダそのものを否定する強い言葉だった。
「……黙レ。タダノ食料風情ガ!」
「私たちはっ!!」
旋回したアリスの剣が、刃から生み出された光焔が、メリザンドの身体を貫く。
「キミ達に対する刃――キミ達、クロノヴェーダを殺す者だ」
最後の最後まで現実を直視出来なかったメリザンドの最後に、イシュアはふっと笑む。
事切れた彼女にそれが届いたかどうか。その終わりは彼の知るところではなかったけれども。
「私たちの勝利、です」
勝ち鬨の声代わりにと、エヴァは静かに告げる。
また一歩、マリー・アントワネットの救出に復讐者達は近付く事が出来た。そして、その手はいつしか、あの断頭台広場に至るだろう。
その事実こそが今は喜ばしいとの言葉に、復讐者達は強く頷くのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV2になった!
【操作会得】LV1が発生!
【完全視界】がLV2になった!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!