裏切りのサンクトペテルブルク

 緊急事態が発生しました。
 攻略旅団の提案に従い、多方面からサンクトペテルブルクを攻撃する為に出発した『パラドクストレイン』が、敵の奇襲攻撃を受け、危機に陥っています。
 この襲撃の裏には、ディアボロスの大作戦を予測あるいは察知して、対抗策を用意した黒幕が存在しているようです。
 襲撃されたパラドクストレインに登場していたディアボロスが決死の防衛戦を行ってくれている間に、後続のパラドクストレインで現地に向かい、救援機動力で駆けつけ、敵の奇襲部隊を撃破して下さい。

※特殊ルール
 この事件が失敗した場合、或いは『パラドクストレインを守れ』の選択肢をクリアせずに完結したシナリオが4つ以上出た場合、パラドクストレインに大きな被害が生じます。
 今後の攻略に影響を及ぼすかもしれません。なお、どのような影響が出るかは、現時点では不明です。

切札は切られた――『悪』の列車を壊すべく(作者 柊透胡
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#吸血ロマノフ王朝  #裏切りのサンクトペテルブルク  #サンクトペテルブルク 


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 ――ディアボロスを乗せて新宿駅を発車したパラドクストレインは、時空を越えてディヴィジョンへ移動する。
 そのパラドクストレインの行き先は『吸血ロマノフ王朝』。攻略旅団5月期の提案に則り、サンクトペテルブルクを攻略するべく出撃していた。
 多方面から同時侵攻する事で、サンクトペテルブルクの戦力を誘引し、攻略の隙を作る――首尾よくいけばジェネラル級の首級をも狙える、奇襲作戦であった。
「!?」
 現地に到着するまで、ディアボロス達は打合せや相談をするのが常だ。今回もいつもと同じく――だが、車窓の光景に、そのディアボロスはハッと息を呑む。
「何だ、あれは……」
 本来であれば、眼下に広がるのは永久凍土の白き光景。その筈が――一帯が灰色に、蠢いている。
 ――――!!
 子細を確認する暇こそあれ、重力に逆らいパラドクストレインへ襲い掛かる、鼠の大群。その向こうに、老いた風貌のヴァンパイアノーブルが並び立つ。その影も、一応におぞましく蠢いて。
「襲撃です!」
 吸血ロマノフ王朝に於いては、かつて無い緊急事態。よもや、パラドクストレインが襲われようとは――このままでは、車両がもたない。
 意を決し、ディアボロス達は得物を構える。パラドクストレインを、何としても守り抜かなければ!

「緊急事態です」
 新宿駅グランドターミナル――表情硬く、篁・弧珀(陽炎う陰陽射手・g03309)はディアボロス達を見回す。
「吸血ロマノフ王朝攻略旅団より、サンクトペテルブルクを多方面から攻撃する作戦が採択されました。その第1陣は、既に出撃しています……彼らの乗るパラドクストレインが、ヴァンパイアノーブルに攻撃されているのです」
 至急、襲撃されているパラドクストレインの救援に向かわねばならない。
「パラドクストレインには、作戦に参加予定のディアボロスが乗っています。ある程度、時間は稼いでくれると思いますが……事態は一刻を争います。急ぎ、現地に向かって下さい」
 救援機動力を駆使すれば、きっと間に合う筈だ。
「敵の狙いは、パラドクストレインの破壊です。残念ながら、今から向かっても、襲撃の阻止には間に合いません。当座、パラドクストレインに乗車しているディアボロスの方々に、任せざるを得ないのが歯がゆくはありますが……救援に向かう皆さんも、宜しくお願い致します」

 今正しく、パラドクストレインが攻撃されている。
「襲撃されているパラドクストレインは、上空に在る為、格好の的とになってしまっています」
 もし、乗車しているディアボロスがパラドクストレインを守ろうとするならば、空中へ飛び出して戦う事となる。【飛翔】の使用時と同様、絶体絶命の状況に立たされる事になるだろう。
「それでも、空へ飛び出して戦うディアボロスがいれば、パラドクストレインも無事に撤退出来る可能性は高くなりますが……」
 現地の戦況は、現地のディアボロスに任せるしかないだろう。
「兎に角、皆さんは、可及的速やかに救援に駆け付けて下さい」
 標的がパラドクストレインである為、救援に駆け付ける側のパラドクストレインも、現場から少し離れた地点までしか移動出来ない。
「到着後は救援機動力を使い、戦場に急いで下さい」

「……攻略旅団の情報によれば、サンクトペテルブルクに『怪僧ラスプーチンの配下』が接触しているとの事です」
 この情報が掴めたのは、やはり5月期の提案の1つ、「カーミラ撃破後の派閥争いの影響でサンクトペテルブルクを出入りする勢力を見張る」の賜物だろう。
「そもそも、ディアボロスの作戦の裏を掻いて襲撃出来得るのは、怪僧ラスプーチン以外に考えられません。可能であれば、襲撃してきたクロノヴェーダより、ラスプーチン関与の言質を得て下さい」
 場合によっては――サンクトペテルブルクに集うジェネラル級達と対峙する前に、ラスプーチンの派閥と戦う事になるかもしれない。

「『裏切られた』というべきか。あるいは『ついにこの時が来た』というべきか……!」
 拳を机に叩きつける音が、地下の秘密部屋に響き渡る。
「カーミラを討ち、我らの目をモスクワの統治に向けさせた隙に、サンクトペテルブルクへの大規模侵攻を行うとはな」
 目を血走らせ、忌々しげに吐き捨てる怪僧ラスプーチン。
「コトリン島やシュリッセリブルクへの攻撃程度ならばまだしも……」
 多方面からサンクトペテルブルクを攻撃し、本格的な大規模攻略を始める――ディアボロスの方針は、ラスプーチンにしてみれば、明確な裏切りであり、『ラスプーチンと手を切って良いと判断して動いた』としか見えない。断片の王坐す首都の攻略など、到底看過出来ぬ事態であった。
「我らを欺いてのこの動き。ディアボロスはついに吸血ロマノフ王朝を滅ぼしに動き始めるつもりか」
 モスクワ監視団の言動は、既に報告を受けている。ラスプーチンの統治を掣肘せんとした意図も、関係を切る気であったならば納得がいくというもの。
「やむを得ぬ、我が策の多くが潰えるであろうが、サンクトペテルブルクに対応を求めねば」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【狼変身】
1
周囲が、ディアボロスが狼に変身できる世界に変わる。変身した狼の咆哮は「効果LV×10m」以内の指定した通常の生物を怯えさせ、「効果LV」分の間、行動不能にするが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

柊透胡
 こんにちは、柊透胡です。
 今回は、『吸血ロマノフ王朝』行きのパラドクストレインに、時先案内人篁・弧珀がご案内致します。
 本件は、以下の攻略旅団の提案によるシナリオタイプです。

 ・多方面からサンクトペテルブルクを攻撃し、本格的な大規模攻略を始めましょう。
 ・カーミラ撃破後の派閥争いの影響でサンクトペテルブルクを出入りする勢力を見張る。

 以上の方針に従い、多方面へパラドクストレインで出撃したディアボロスが、何者かに襲撃を受けた……という状況となります。

 このシナリオの参加者は、以下の何れかの立場になります。

 【1】奇襲作戦のためにパラドクストレインに乗っていたディアボロス。
 【2】後続のパラドクストレインで救援に駆けつけるディアボロス。
「パラドクストレインを守れ」の選択肢に参加した方は必ず【1】の立場になります。
 それ以降に参加する方は、自分が【1】【2】どちらかの立場か、分かるように記載していただけるとリプレイに反映しやすくなります。

 リプレイの進行は②→③→④(①)の予定です。
 【1】のディアボロスの皆さんが決死の防衛を行い、救援が駆けつけて撃退という流れとなります。
 ①は不可欠ではありませんが、アヴァタール級にと対話して黒幕の情報を得られれば、『推定』を『確定』とする事も出来るでしょう。
 ちなみに、本件の襲撃部隊は「深窓の淑女とじいや達(沢山)」。「マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチ」は、シベリア鉄道の雄、セルゲイ・ウィッテの奥さんの名前だそうです。……何処かで聞いた名前ですね?

 攻略完了に必要な成功数を大きく超過しての採用は致しません。上手く役割分担して頂ければ幸いです。
 それでは、永久凍土の地より、皆さんの熱いプレイングをお待ちしています。
76

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


イツカ・ユメ
奇襲作戦のはずだったのに、こっちが奇襲されるだなんてどうして……って、今は考えている余裕は無いよね。
わたし達の希望を繋ぐ、パラドクストレインを守らなきゃ!

せーの!で飛び降りたら、大声で希望を歌え、勇気を叫べ!
わたしはここだと、存在をアピールして敵の注意を引き付けるように攻撃するよ。
曲調をころころと変えて、相手のリズムを乱すように挑発。
可能な範囲で、パラドクストレインから敵を遠ざけるように立ち回るね。
ほらほら、お上品な淑女さんやおじいちゃん達にはついてこられるかしら?


【未来予測】も働かせつつ、周囲の状況をしっかり観察。
パラドクストレインに危害を加えそうな相手を優先して攻撃して、
パラドクストレインに攻撃が当たりそうだったら、身体を張って全力で『ディフェンス』するよ!
緊張する戦いの場にも、わくわくの探索の地にも、大好きな人とのデートにも連れて行ってくれた、大切なものだから。
大丈夫、傷一つ付けさせないよ!


 ――――!!
 外からの衝撃で、パラドクストレインが揺れる。
「うわ……」
 窓の外には重力に逆らいパラドクストレインへ襲い掛かる、鼠の大群。歴戦のイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)であっても、怖気立つ光景だった。
(「奇襲作戦のはずだったのに、こっちが奇襲されるだなんてどうして……」)
 今は、襲撃の原因を考える余裕は無い。最終人類史とディヴィジョンを行き来するこの電車は、単なる移動手段ではない。ディアボロス達の希望を繋ぐ、パラドクストレインを守らなくては!
「せーの!」
 鼠の雪崩が途切れたと見るや、思い切りよく車両から飛びだすイツカ。
 いつか叶う、夢はきっと叶う――大声で希望を歌え、勇気を叫べ!
 いつかどこかで聴いた歌を、アップテンポに――わたしはここだと、存在をアピールするようにソードハープを奏でれば、老いた風貌のヴァンパイアノーブル1体目掛けて鋭い音の刃が迸る。
「ほらほら、おじいちゃん達についてこられる――っ!」
 覿面、反撃の黒爪のみならず、吸血鼠の大群が、蠢く影がイツカに殺到する。
(「【未来予測】……駄目だ」)
 残留効果【未来予測】は、通常の視界に加えて1秒先までの未来を同時に見る事が出来るようになる。戦闘に於いて瞬時の判断で行動を変える事は十分可能だろうが……すぐ、悠長に過ぎると気付く。
 逆説連鎖戦のパラドクスの交錯は瞬時だ。「複数の行動を比較、判断し、行動に移す」頃には、敵の攻撃も終わっている。反撃自体はいっそ自動的であり、わざわざ【未来予測】を使うまでも無い。
 使えないとなれば、思い切りよく切り替えるイツカ。
(「大丈夫……パラドクストレインに、傷1つ付けさせないよ!」)
 ディアボロスとなって――緊張する戦いの場にも、わくわくの探索の地にも、大好きな人とのデートにも。連れて行ってくれた、大切なものだから。
 パラドクストレインから空中に飛び出し、地上に降りるまでの数秒。イツカは十分に敵の注目を集めた。
 攻撃が殺到する寸前、状況把握が間に合った幸い。パラドクストレインを襲う、禍々しき影の軌道を1度は遮る事が出来た。パラドクスの奔流に息を詰まらせながら、イツカは必死に身を捻り、パラドクストレインから距離を稼ぐ。
「あ、ぐ……」
 だが、残留効果【ドレイン】の発動も侭ならぬ中、イツカは忽ち満身創痍。
「ほらほら、おじいちゃん達、休んでいる暇なんてないよ!」
 それでも、痛みに震える両手を叱咤し、琴弦を弾く。『イツカノウタ<quick arrange>』の曲調をころころと変えては、相手のリズムを乱すように挑発する。
 ブンッ!!
 空を斬り裂き、血のオーラを纏った黒爪が、イツカを貫く。
「……っ」
 辛うじてソードハープで反撃しながら、堪え切れず膝から崩れ落ちる。
(「ちょっと、やり過ぎた、かな……」)
 霞む視線の先――いまだ空中に在るパラドクストレインの周囲を、【飛翔】する影が見る。
(「ごめん、時間稼ぎ……後は、任せ、る……」)
 大丈夫、まだ戦っているディアボロスがいる――安堵が少し、申し訳なさを幾許か抱きながら、イツカの意識は暗転した。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ディアナ・レーヴェ
獅子堂g06749と共にトレインを守り抜く!

基本はトレインをWIZ・POWでディフェンス(※)
→獅子堂のHPが半分切ったらディフェンス対象を彼に変更
→トレイン帰還不能レベルの損傷が近そうなら再び(※)に戻す。決死で。

敵の射線に飛翔で割込むわ!
大きく翼を広げ、速度・進路共に変則的な縦横移動も取り入れとことん「邪魔」に
装備は片手に機関銃、片手に括った鉄板ね。直撃は逸らす!

まずは獅子堂と狙いを合わせて【Mephisto】で数体潰すわ。
「ほーら。トレインばかり見てると全滅するのはあなた達よー?」って強気を見せつけてやる!
…まあ正直不利なのこっちだけど、不利だからって不利そうな顔してやる必要ないのよ?そら、笑えッ!

以降はどの程度私達に気を惹けてるかを見、不足なら余裕の顔で煽っては手広く敵に弾撒いて目立ち、充分なら敵の数減らし&防戦重視に
(もし能動攻撃として黒爪か影縛りの選択を確認できた敵は、私達の能力の穴に刺さるし早期排除を)

獅子堂と防衛箇所はざっくり分担
トレインの深い破損部や基幹部は手厚めに守る


獅子堂・崇
ディアナg05579と共にパラドクストレインを防衛する

パラドクストレインをSPD、POWでディフェンス
ディアナの動きが鈍る程の傷を負っていたらディフェンス対象をディアナに変更

飛翔を借りてパラドクストレインの前に飛び出して攻撃を妨害する。

いつかはこういうことが起きるだろうと考えたこともあっだが、いよいよ来たといったところか。替えが利くとはいえこいつを壊されるのは面倒だ。
空での戦闘経験は多くないがこなしてみせよう。敵からの攻撃は両手に巻いた念動力を通したバンデージと【ガードアップ】を使って急所への攻撃は逸らして受ける。
基本的にディアナとは別の車両を防衛、敵の攻撃にはきっちり反撃を食らわせていく。

こっちから攻める時は上段回し蹴りで近くにいる敵から吹き飛ばしていく。
ここにいる仲間だけで敵を全滅させる気概を持って挑む。他の仲間が来てくれるという前提で戦えば敵に気付かれて攻撃を急ぐ可能性があるからな。


 ガキィッ!!
 パラドクストレインを抉らんと伸びる黒爪を、獅子堂・崇(破界拳・g06749)は身体を張って阻む。
(「いつかはこういうことが起きるだろうと、考えたこともあっだが……いよいよ来たといったところか」)
 パラドクストレインは、案件の数だけ出現する。だが、破壊されたパラドクストレインが、再び現れる保証はない。見す見す破壊されては。今後の作戦行動に影響が出るかもしれない。
「それは、面倒だからな!」
 人間の破軍拳士でありデストロイヤーである崇は、空中戦の経験も多くない。
(「だが、こなしてみせる!」)
 正しく一所懸命。バンテージに念動力を込め、急所を庇う体勢で身構える。
 ――――!!
 一方、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)も別方向から押し寄せる影を、大きくデーモンの翼を広げて遮る。
 『パラドクス』故に、パラドクストレインの機関部が通常の電車と同じかは定かでないものの。敵のパラドクスの直撃は避けるべく、片手に機関銃、逆手にでかい鉄板を掲げている。
「こうなったら、とことん『邪魔』になってやるわ!」
 速度も進路も、共に変則的な縦横移動も取り入れ、少しでも敵の目を惑わせんと。
 だが、【飛翔】してパラドクストレインの周囲に留まる時間が長くなるにつれ、2人への攻撃も苛烈となっていく。
 数多のクロノヴェーダが押し寄せる状況で、【飛翔】状態が如何に目立つか――全く途切れず殺到する怒涛に、戦場で【飛翔】する危険性をまざまざと実感する。
「ほーら。トレインばかり見てると全滅するのはあなた達よー?」
 機関銃から弾丸の雨を降らせ、敢えて強気を口にするディアナだが、今はパラドクストレインの防衛で手一杯だ。崇と照準を合わせて、敵を斃す余裕も無い。
(「……まあ、正直不利なのこっちだけど、不利だからって不利そうな顔してやる必要ないのよ?」)
 そら、笑えッ! とばかりに唇に冷えた笑みを刷くディアナ。
(「他の仲間が来てくれる前提で戦えば、敵に気付かれて攻撃を急ぐ可能性があるからな」)
 崇の方も、ディアナと2人で敵を全滅させる気概で、戦い続ける。相当な胆力だ。
 ドゴォッ!
「あ……ありがとっ」
 今しも、ディアナに襲い掛からんとした黒爪を、崇の粗削りな上段回し蹴りが吹き飛ばしていく。
 だが、大きなパラドクストレインのディフェンスと違って、ディアボロス個人を庇おうとすれば、どうしても十全にはいかない。
(「そろそろ、地面に降りるべき、か……?」)
 微笑むディアナと対照的に、鋭く黒の双眸を眇める崇。
 2人体制の防衛であるからこそ、今はまだ保っているが、【飛翔】を継続する状況はイイ的だ。片方が墜とされればジリ貧どころか、間を置かず、もう一方も集中砲火で撃墜されるだろう。
 全滅の憂き目の前に――防衛の先陣を切ったディアボロスがそうしたように、パラドクストレインから飛び降りながら攻撃して注意を引けば、パラドクストレインから敵の目を引き離せるだろうか……。

 ――逡巡する内に、ディアボロスの増援が駆け付けて来てくれたのは、かなりの幸運であったと言えるだろう。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

九重・古安
【2】
イツカ(g02834)が。恋人が乗ったパラドクストレインが襲撃を受けたと聞いて、増援の便に飛び乗った。
救援機動力と【飛翔】の勢いを使って全速力で突入するぞ。

……人間、沸点を突破すると一周回って頭が冷えるものだな。今すぐイツカを介抱したいが、そのためにもまずは目の前の敵の殲滅が優先だ。
敵の注意をこちらに引き付けて、負傷した味方やパラドクストレインから遠ざける意味も込めて、私的な怒りを吠えよう。――凍土の染みになりたい者から我の前に出ろ、と。

消耗の激しい味方のためにも積極的に前に出よう。特に負傷の酷いイツカに対しては率先してディフェンスを。この期に及んで人質など取らせるものか。

事の真相を突き止めるにしても雑兵に用は無し。問答無用で仕留めるのみだ。
【飛翔】と【エアライド】を組み合わせた急上昇から宙を蹴っての垂直降下でフルスィンガーを振り下ろす。原形を留めないくらいの勢いを込めて『逆落としの跳撃』で叩き潰してやろう。それこそ宣言通り、地面の染みにしてやるくらいの気持ちで。


イツカ・ユメ
【1】

…痛いし、寒いし、身体が重たいけれども。
皆が戦っている音が、古安くん(g02347)の声が、聴こえたようから。
わたしは大丈夫だよって、大好きな人に伝える為に。
この程度でわたし達は負けないって、皆の心を奮い立たせる為に。
痛みも恐怖も吹き飛ばす勢いで、歌わなきゃ!

いたいのいたいの、とんでいけ。皆へ【グロリアス】を届けつつ。
単独で突っ込むと痛い目に遭うのはわかったから、周りの皆とも協力して、囲まれないように行動。
弱っている相手に攻撃を集中させて、確実に数を減らしていくね。
負傷が大きい人が狙われていたら、サーヴァントのキットをぶん投げて守らせるよ。…あとでお菓子買ってあげるから、ね?

生命力を吸い上げる影は厄介だけれども、弱気なところを見せたら敵につけ込まれそうだし、古安くんには心配されそうだから。
ここは余裕の笑顔と根性で耐える!
ピンチの時でも艶やかに微笑むのが、オトナのオンナだもの。
よぼよぼなお爺ちゃんの影なんかに、わたしの歌は縛られないよ!
この命、その程度で吸い尽くせると思わないでよね!


 恋人が乗ったパラドクストレインが襲撃されると聞いて――九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は増援の便に飛び乗った。
「イツカ……!」
 凍土の只中にパラドクストレインが停車するや下車。気が逸るに任せ、全速力で【飛翔】する。
 ディアボロスには、救援機動力が具わっている。理屈でなく直感で、先行のディアボロスの許に迅速に駆け付けられる能力を、今回程ありがたく思った事は無かったかもしれない。
 【飛翔】の最高時速は初期レベルで90㎞。凍土の白に滲むような黒の塊――クロノヴェーダの集団を、古安が認めたのは程なくして。
「!!」
 白と黒の中で、緑の彩りが目に沁みた。老体のヴァンパイアノーブル『ノーブルバトラー』は右手でステッキを突きながら、片手で易々とイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)の襟首を掴み、引きずっている。
「落ちろ。そしてそのまま這いつくばれ!」
 そうして、ステッキを離したノーブルバトラーの右手に、黒爪が閃いた瞬間。1度、2度、宙を蹴った古安は、敵の頭上から鉄鎚を銘の通りにフルスィング。
 ドゴォッ!!
 引きずられて、息が詰まる……痛い。寒い。身体が、重い。それが、打撃の鈍い衝撃が伝わるや、凍土の上に投げ出され、イツカは思わず咳込んだ。
「……あ……古安、くん……?」
 嗚呼、無造作に束ねた白い髪も、くたびれた風の大きめのローブも、いつもの彼だ――だけど、誰よりも頼もしい背中を見上げて、思わず唇に笑みを刷く。
「わたし、大丈夫だよ」
 立ち上がり、ソードハープを構え直した。
(「歌わなきゃ……痛みも恐怖も吹き飛ばす勢いで」)
 この程度で、ディアボロスは負けないって、皆の心を奮い立たせる為に。何より、大好きな人に伝える為に。
「そうか……」
 本当は古安も、気丈にも歌い続けようとするイツカを今すぐにでも介抱したい。だが、まずは目の前の敵の殲滅を優先すべきと思った。
(「……人間、沸点を突破すると一周回って頭が冷えるものだな」)
 パラドクストレインの防衛に奮闘したディアボロスは、イツカの他にもいるようだ。ならば、敵の注意はこちらに引き付ける。
「凍土の染みになりたい者から、我の前に出ろ!」
 ここぞとばかり、私的な怒りを吠えた。宙を蹴って大跳躍、頭上から敵を叩き伏せる勢いで、古安は再度、鉄槌を振り下ろす。
 パラドクストレイン襲撃の真相を突き止めるにしろ、雑兵に用は無い。問答無用で仕留めるのみ。
(「この期に及んで、人質など取らせるものか」)
 黒爪の反撃も構わず前線に斬り込みながら、古安は常に視界の端にイツカを留める。いつでもディフェンスの心算で。
 恐怖で凍えたハートに、希望の光を燈しちゃうの――いたいのいたいの、とんでいけ♪
 いつかどこかで聴いた歌を、お菓子みたいに甘く蕩けるアレンジで。【グロリアス】を更に重ねながら、イツカは歌う。
(「古安くんに合わせて……弱っている敵に、攻撃を集中して。確実に、数を減らしていこう」)
 攻撃に対する反撃は、ディフェンス出来ない。敵の蠢く影がイツカに絡み付き縛り上げようとも、凛と顔を上げて平気を装った。
(「ピンチの時でも艶やかに微笑むのが、オトナのオンナだもの……それに、弱気なところを見せたら、古安くんに心配されそうだし」)
 もし、古安の救援がもう少し遅ければ、イツカは戦闘不能で新宿区外縁部に送還されていただろう。やはりディアボロスならでは不死性であるが、漂着するまでの期間に幅はある。こうして、一緒に戦えなかったかもしれない。
「よぼよぼなお爺ちゃんの影なんかに、わたしの歌は縛られないよ!」
 だからこそ、イツカは根性を振り絞り、余裕の笑顔を崩さない。
「この命、その程度で吸い尽くせると思わないでよね!」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【エアライド】がLV2になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【グロリアス】がLV2になった!

獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎【1】
ディアナg05579に対してディフェンス
血のついた服を脱ぎ捨てネメシス形態になって両手両足に燃え上がるような念動力を纏う。

救援が来るまでなんとか耐えることができたな。ディアナ、まだ戦えるよな。ここから反撃するとしよう。

地上に降りて戦闘態勢を取る。ようやく地面に足をつけて戦えるな。やっぱり俺が戦うなら地上戦だな。さっきまでと同じように攻められると思うなよ。

俺の傷も浅くはないからな。短期決戦でいかせてもらう。
一気に距離をつめて連続で蹴りを食らわせる。今回はあまり大振りにはせずに最小限の動作で技を繋げる。
ノーブルバトラーの爪は【ガードアップ】も頼りにして手足に纏った念動力で防ぐ。
多少辛くとも敵に弱みは見せず、まだまだ戦えると思わせておく。これより大変な時なら何度もあったんだ。これくらい乗り越えてみせないとな。

これ以上はパラドクストレインを狙う暇を与えはしない。


ディアナ・レーヴェ
獅子堂g06749に対してディフェンス。
矢のように敵との距離を詰めていく、彼のその背を援護するように私も火砲を構えましょう!

…増援、か。――えぇ、勿論まだまだ戦えるわ!
このまま防戦一方だなんて性に合わないもんね?(ニッコリ)

獅子堂の本気が空気を伝ってビリビリ伝わる。正直、結構良い気分!
…。っと、でも気分的にはあと2〜3時間くらい戦えそうなんだけど、残念ながら私もそろそろ時折視界が歪んできたりはしてるのよね。
そうね、狙うなら短期決戦。

今度こそ、狙いを合わせて1体でも多く潰していく!

地上戦よね?
なら可能な限り、ある敵の射線がまた別の敵の影で遮られるよう、相手の数の多さが仇になるよう、観察と計算を繰り返しながら走り回るわ!(【Rat】。観察には【完全視界】も活用)

逆説連鎖戦である以上、完全に防ぐ・躱すよりも「少し、やり辛い」「獅子堂を狙おうとすると同時に私が砲撃してきて鬱陶しい」「吸い尽くそうにもどうにもその眼は爛々と輝いて、生命力の底が読みにくい」――みたいな感覚を、敵に与えられれば幸いね。


 ――パラドクストレインへの圧は、確かに減じられていた。
「……増援、か」
「なんとか耐えることができたな」
 ホッと息吐くのも束の間、獅子堂・崇(破界拳・g06749)は上半身を寒気に晒し、両手両足に燃え上がるような念動力を纏う。
「そろそろ、地上戦よね?」
「ディアナ、まだ戦えるよな。ここから反撃するとしよう」
「えぇ、勿論! このまま防戦一方だなんて、性に合わないもんね?」
 応じるディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は、満面の笑みを浮かべる。
「俺の傷も浅くはないからな……短期決戦でいかせてもらう」
 空から急降下の勢いで敵との距離を詰め、連続で蹴りを食らわせる崇。 上段、中段、下段を問わず、一気呵成とばかりに左右の敵に畳み掛けていく。
(「獅子堂の本気、ビリビリ伝わってくる」)
 今度こそ、1体1体確実に。やはり崇を追って地上に降りたディアナは、赤茶の双眸を細めて戦場を俯瞰する。
 ネメシス状態の崇と共闘するのは、正直、気分が良い。後数時間くらい、戦えそうな気すらしてくるが……厳しい防衛戦で、負傷と疲労は確実に蓄積している。
(「……そうね。狙うなら、短期決戦」)
 刹那、視界が揺れたのは、気の所為ではあるまい。小さく頭を振り、火砲を構え直すディアナ。
「敵の左やや後方、そろそろガラ空きになるわ」
 トループス級は数が多い。敵の射線がまた別の敵の影で遮られるなんて、混戦状態を逆手に取るべく、駆け回る。その合間に敵味方の動きを冷静に計算、「次に敵が隙を晒す瞬間」を予想する。後は、崇に機を繋いでも良いし、ディアナ自身が砲撃しても良い。即戦的にフィードバック出来るのは、パラドクスであるからこそだ。
「……っ」
 尤も、逆説連鎖戦に於いて、混戦状態であろうとパラドクスは基本命中する。
「まだまだっ!」
 閃く黒爪から、念動力纏う両手で急所を庇う崇。その表情は、血気盛んの侭。その実、継戦に厳しさを感じていようと、面にはけして出さない。
(「もっと大変な時だって何度もあったんだ……これくらい、乗り越えてみせないとな」)
 その気概は、ディアナも同じく。崇を息を合わせ、パラドクスによる行動予測に即して火砲で追撃、トドメを刺していく。
(「『軍師』の援護だもの。やり辛い、とか、鬱陶しい、とか、少しは厭がって貰わないと」)
 栄光ある戦いは、肉体に癒やしを齎す。絡み付く影に生命力を吸われようと、次なる標的を求めるディアナの瞳は爛々として。底知れぬ粘り強さを脅威に思われれば、重畳だ。
「やっぱり、俺が戦うなら地上戦だな。さっきまでと同じように攻められると思うなよ!」
 漸く、地に足を付けて戦える――その安定感は、崇にはひとしおの様子。いっそ嬉々として、矢のように敵へと迫る崇の背後から、援護を続けるディアナは、ふと肩越しに振り仰ぐ。
「良かった!」
 曇天に車影無し――パラドクストレインは、無事、撤退出来たようだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【狼変身】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

「……まあまあ。困りましたわ」
 凍土に礼装で出現したノーブルバトラーとて、戦場に似付かわしくない風貌であったが……その瀟洒な影は、ディアボロス達の目にも更に奇異に映る。
「じいや達、時間を掛け過ぎてしまったのね……」
 淡いピンクのドレスは楚々として。フリルで飾られたボンネットを被り、パラソルを差しているものの、寧ろ上流階級の邸宅にこそ相応しい装いであった。
「『悪』の列車が、消えてしまうなんて……」
 憂鬱そうに溜息を吐く、アヴァタール級ヴァンパイアノーブル『マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチ』――異形と言えるのは、美しい淑女の腕が4本である事くらいか。
「折角、愛しのセルゲイ様に、素敵なお土産が出来ると思っていましたのに」
ディアナ・レーヴェ
※念の為【通信障害】を最初に使用。何かの通信を遮断した気配や敵の動揺がないか全体を見ておく。

そう。あなた、あの男の所から来てるのね?

セルゲイ・ウィッテ。
「鉄道網は、吸血ロマノフ王朝という巨体を生かす為の『血管』である」ってね、敵ながら言い得て妙だったわ。運営も合理的で――えぇ、悔しいけどあの男は戦略って奴をよくわかってる。
(わざと少し苛立たしげに舌打ちして言う。好きな人が『強敵』扱いされて悪い気する女はそう居ない。いい気になって口が軽くなればいい)

あのセルゲイと、それから上司のラスプーチンまで動いてると来たら、この見事な手並みの不意打ちも納得ね。
(まずは推定を確定に)

とうとう私達の列車の見つけ方まで見破られちゃったとは、ほんと『正義』の力は恐れ入る!
(あとはカマかけ。…こんな止む間もない吹雪の中、いくら私達がサンクトペテルブルグを目的地にする事が割れてるとはいえ、空飛ぶ列車が目立つとはいえ。普通に人海戦術で広く空を見張っただけならまぁいいけど、万一特殊な検知手段でもあったら今後が困る)


「……そう。あなた、あの男の所から来てるのね?」
 セルゲイ・ウィッテ――正史に於いては、鉄道会社勤務から政界に登用された異色の経歴を持つ帝政ロシア末期の政治家。吸血ロマノフ王朝に於いても、ジェネラル級ヴァンパイアノーブルにその名を連ねる。
 そして、『マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチ』は、彼のシベリア鉄道の雄の、生涯の伴侶の名前だ。
「あのセルゲイと、それから上司のラスプーチンまで動いてると来たら、この見事な手並みも納得――」
 ――――!!
 ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)の頬を、鋭い一撃が掠める。ハラハラと、斬り裂かれた銀髪が数本散った。
「口を慎みなさい。ディアボロス風情が、呼び捨てにして良い名前ではありませんわ」
 右の指先に真っ赤な爪を伸ばし、アヴァタール級『マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチ』はジトリと上目遣いに睨め付ける。
「それに……セルゲイ様は、鉄道のお仕事でとてもお忙しい方。サンクトペテルブルクに其方の襲撃を報せて来たのは、ラスプーチン殿の独断でしょう。何でも、ディアボロスの情報をスパイしていたのですって。そんな有能な方と『仲良し』だなんて、流石はセルゲイ様ですわ!」
「……はいはい、ご馳走さま」
 まずは、『推定』を『確定』に出来た模様。
「そう言えば……『鉄道網は、吸血ロマノフ王朝という巨体を生かす為の【血管】である』ってね、敵ながら言い得て妙だわ。鉄道運営も合理的で――えぇ、悔しいけど、戦略って奴をよくわかってる」
 続けて、わざと苛立たしげに舌打ちすれば、彼女は目に見えて上機嫌になった。
(「好きな人が『強敵』扱いされて、悪い気がする女はそう居ないのよね。このまま、いい気になって、もっと口が軽くなればいい」)
「ええ、ええ! だから、私も早くセルゲイ様のお手伝いがしたいのですわ! 其方の奇妙な列車、モスクワへの手土産に丁度いいと思いましたのよ。敵の悪い列車だって、セルゲイ様なら……ゆうこうかつよう? して下さる筈ですもの」
 その口振りからして、彼女自身はサンクトペテルブルク麾下のアヴァタール級ではあるのだろう。
「ホント、私達の列車の所在まで見破られちゃったとは、恐れ入るわ。どんな手を使ったのやら!」
 大仰に肩を竦めながら、ディアナは彼女の様子を窺う。
(「いくら、私達がサンクトペテルブルグを標的にする事が割れてるとはいえ……空飛ぶ列車が目立つとはいえ。万が一、特殊な検知手段でもあったら、これから先困るのよ」)
 それで、カマを掛けてみたけれど。
「フフフ、ここに列車が来ると言われましたの。本当にその通りで、素晴らしい情報でしたわ」
 マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチは、何処か得意げな微笑みを浮かべるのみ。
 サンクトペテルブルク襲撃の先行組であるディアナはまだ知る由もなかったが……彼女の『所属』からして、これ以上、情報を漏らす事は無さそうだ。
 ――そろそろ、潮時だろう。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

九重・古安
【2】

奇襲を仕掛けたことを卑怯とは言うまい。パラドクストレインを狙ったことも、卑劣とは言うまい。
――だが、これだけは言わせてもらおう。
貴様らがサンクトペテルブルグへの攻撃を看過できなかったように、俺にも譲れぬものがある。貴様を叩き潰す理由は、ただそれだけの事だ。

窮地は乗り切ったとはいえ連戦で疲弊している味方もいる。こういう時、敵は弱った味方を叩いて頭数を減らしに来るものだからな。ここは積極的に前に出て敵の狙いを引き付けよう。
特にイツカ(g02834)に対してはいつでもディフェンスに入れるよう準備を。
敵側に増援の気配がないとなればここが正念場だ。皆で無事に帰るためにも死力を尽くす!

【時廻の断撃】の力も借りて、最盛期の姿――ネメシス形態の古い軍服姿に変身する。
記憶を失った俺にこの姿のころの思い出は無い。最盛期を思い浮かべてこの姿になる理由も分からん。だが、今この時はこの姿で戦うべきだと、そう感じたのだ。
全身全霊の一撃で相手を叩き潰し……否、そのまま両断する勢いで振り下ろそう。


イツカ・ユメ
サーヴァントのキットと融合するイメージでネメシス形態に。
ここから先は、お互い出し惜しみ無しで!
わたし達の『希望』の列車を、お土産にしてはあげられないから。
代わりに、わたしの歌をお土産にしていって♪

油断せずに、相手の動きや周囲の状況に警戒を。
他の皆とも連携を取り合いつつ、
できる限り古安くん(g02347)をディフェンス。
…大丈夫。無茶はしないから。一緒に、戦わせて?

貴女が愛する人への想いを歌うのなら。
わたしも、わたしの言葉で。
夢を、希望を、愛を歌うよ。
…本人の目の前で歌うのは、ちょっとだけ恥ずかしいけれども。
古安くんがきてくれて嬉しかったし、
頑張る力を、戦う勇気を貰ったの。
助けに来てくれて、ありがとう。大好きだよ。
だから、今度はね。
わたしが古安くんの背中も心も守るから、おもいっきりやっちゃって!


…大丈夫とは思うけれども、万が一逃走する気配があったら相手の退路を塞ぐよ。
ステージの途中で退場するなんて、淑女としてのマナーがなっていないんじゃない?


 ディアボロスとヴァンパイアノーブル、双方睨み合うの中、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)はその姿を変じる――モーラット・コミュのキットと融合したように、その髪と瞳の色が変わり、パチパチと稲妻が周囲を走る。
「ここから先は、お互い出し惜しみ無しで!」
 イツカの『希望』であるパラドクストレインは、到底渡せない。
「代わりに、わたしの歌をお土産にしていって♪」
「願い下げですわ」
 にべもない即答に、思わずクスリ。
「……大丈夫。無茶はしないから。一緒に、戦わせて?」
 気遣わしげな視線に微笑むイツカだが、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)の表情は浮かないままだ。
(「窮地は乗り切ったとはいえ、3人とも、連戦で疲弊している」)
 こんな時、敵は弱った者から叩いて頭数を減らしに来るのが常道だ。
(「ここは、積極的に前に出て敵を引き付けねば」)
「奇襲を仕掛けたことを卑怯とは言うまい。パラドクストレインを狙ったことも、卑劣とは言うまい……だが、これだけは言わせてもらおう」
 庇うようにイツカより前に出て、古安はアヴァタール級ヴァンパイアノーブル『マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチ』を見据える。
「貴様らがサンクトペテルブルグへの攻撃を看過できなかったように、俺にも譲れぬものがある。貴様を叩き潰す理由は……ただそれだけの事だ」
 同時、古安は古い軍服を纏う。最盛期の姿であり――此れこそが、己のネメシス形態と自覚している。
(「記憶を失った俺に、この姿の思い出は無い。最盛期を思い浮かべてこの姿になる理由も分からんがな」)
 だが、今この時は、この姿で戦うべきだと、そう感じたのだ。
「ほんの一時なのが残念だが……まぁいい」
 漲る生命力を得物に託し、古安は全身全霊で振う。この一撃で相手を叩き潰し――そのまま両断せんとする勢いで。
 ドゴオォッ!!
 手応えは確と。だが、交錯するのは――手に宿る知恵。 淑女の繊手を彩る真っ赤な爪が閃く。古安の鳩尾を抉り肺腑まで刻まんと。
「古安くん!?」
「大丈夫だ」
 パラドクスの交錯が力任せであれば、そこにイツカが介入する余地はない。小さな悲鳴に安心させるように応え、古安は得物を構え直す。
(「ここが正念場だ。皆で無事に帰るためにも死力を尽くす!」)
 彼の決意を肌で感じ、イツカは大きく息を吸う。
(「わたしも、わたしの言葉で。夢を、希望を……愛を歌うよ」)
 当たり前の日常を奪われても、いつかの記憶を失くしても、魂の奥底でずっと響いていた、ただひとつの歌――拙く荒削りな、けれど、今を生きる命達の歌を。……本人の目の前で歌うのは、ちょっとだけ恥ずかしいけれども。
(「古安くんがきてくれて嬉しかったし、頑張る力を、戦う勇気を貰ったの――古安くん、ありがとう。大好きだよ」)
 思いの丈を込めて、イツカは歌う。喩え、対抗するようにヴァンパイアノーブルが愛する人への想いを冒涜的な言葉で紡ごうとも。愛に宿る知恵が、イツカの正気を蝕もうとも。
「わたしが古安くんの背中も心も守るから、おもいっきりやっちゃって!」
 イツカは、高らかに自らの愛を歌い上げる――いつか叶う、夢はきっと叶う……そのいつかは、きっと今だから!
 ――――!!
 息を合わせ、古安とイツカ、2人の攻撃が淑女の華奢を打ち据える。
「――ッ!」
「ステージの途中で退場するなんて礼儀知らず、淑女のあなたがする訳ないよね?」
 忌々しげな上目遣いを真っ向から見返し、イツカは誇らかに笑む。古安に護られて、彼の背中を護っている限り――私達は、きっと大丈夫。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!

獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎【1】
引き続きディアナg05579に対してディフェンス
ネメシス形態継続

俺達が乗っていたパラドクストレインがここを通ること正しく予測できていたのか?どうやったのかはわからないが厄介なことだな。

気になることは多いが、まずはここを切り抜けることに集中するとしよう。後ろは頼んだ、ディアナ。俺は全力で一撃喰らわせてくる。

パラドクストレインは守れたが俺たちもこんなところで倒れるわけにはいかないからな。ここでケリをつけさせてもらうぞ。
空高く飛んで念動力を纏った飛び蹴りを叩き込む。

どういう攻撃かはわからないが、そばにはいないほうがよさそうだ。攻撃の後はすぐにその場を飛び退く。もし立っていられない状態になるようなら転がってでもマチルダから距離を取ろう。

今回は敵が一枚上手だったな。
俺たちが乗ったパラドクストレインが狙われて救援は狙われなかったのにはなにか理由があるんだろうか?


(「俺たちが乗ったパラドクストレインが狙われて、救援は狙われなかったのには……なにか理由があるんだろうか?」)
 引き続き諸肌を晒し、手足に念動力を燃やし、獅子堂・崇(破界拳・g06749)は痛打を叩き込む好機を窺う。
(「今回は敵が一枚上手だった……俺達が乗っていたパラドクストレインの軌道を、どうやって正しく予測できたのか? わからないのが厄介な所だな」)
 だが、懸念が多くて、思考が取り留めない。溜息を吐き、小さく頭を振る崇。まずは、ここを切り抜ける事に集中するとしよう。
「後ろは頼んだ、ディアナ。俺は全力で一撃喰らわせてくる」
 背後の応答より早く、全身のバネを使い、鋭く凍土を蹴る。
 ――――!! !!
 【エアライド】を以て2度、更に宙を蹴り高度を取る。最大高度で身を捻り、すかさず、ヴァンパイアノーブル目掛けて急降下。飛び蹴りを敢行する!
「蹴り貫く!」
 その様、あたかも赤き流星の如く。文字通りに突き刺さった重い蹴撃に、敵の華奢な体躯がくの字に曲がる。
「……ぁ……く……」
 戦闘の最中も、手放されなかったマチルダ・イワノヴナ・リサネビッチのパラソルがくるりと翻る。
(「まずい……」)
 直感的に危機を察知し、転がるようにマチルダから距離を取る崇だが――逆説連鎖戦に、彼我の距離は然したる意味はない。
 Мудрость в звездах――星に宿る知恵。
 傘の中より、見る見る展開される星明かりの領域。全ての生命体を、崩壊の色に染め上げんと――。
「次は、私の番ね!」
 崇が判読不能の色に染まり切る前に、いっそ快活な声が響き渡った。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【落下耐性】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

ディアナ・レーヴェ
※【1】獅子堂g06749をディフェンス。敵が語る愛と智慧も言い掛かり(【Dämon】)で飲み込み返すわ!

「ゆうこうかつよう」なんて物言いからは思考停止的な愛を推測できる。
崇拝、陶酔、依存。…えぇ、分かるわ。
だって私も『隊長』に、今もそういう愛を抱いてる!

そう、私やマチルダみたいな奴はこんな風に語る――
「届かない人。素敵なあなた。見てるだけで幸せだ」
「愛してるから、命を捨てても」

そういう浅ましい嘘を平気でつく。

そう、言ったら使って貰えない視界に入れないだから言えない、『本当は一緒に生きたい』なんて!
(私は…そうだ。お嫁さんにしてなんて言えなかったから『隊長の軍師』を自称した)
(何時の間にやらネメシス形態)

「あなたの為なら何も要らない」

嘘よ。結婚してよ。
あなたの子供を産みたかった。
あなたと家を作りたかった。

なのにずっとずっと優しい狂気に守られたまま何もかもあなたの側に在る口実に過ぎない事もその顛末も目を背けたまま
欲しい欲しいと伸ばすその手も隠し澄まして無邪気に笑うの、
私達ってそういう化物!


 まず3人掛りで攻撃されて、それでも、マチルダ・イワノヴナ・リサネビッチはまだ倒れない。
 喩えか弱く見えようと、アヴァタール級ともなればクロノヴェーダも丈夫なものだと――ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は思う。
(「でも、『中』もやっぱりそうなのかしら?」)
 ジェネラル級への恋慕は、本来はクロノス級の性情だろう。だが、少なくとも、この分身も同様の筈。「ゆうこうかつよう」なんて物言いから、思考停止的な愛を推測出来た。
「崇拝、陶酔、依存……えぇ、分かるわ」
「……何を」
「だって私も『隊長』に、今もそういう愛を抱いてる!」
 怪訝そうな彼女に、ディアナは明朗に断言してのける。
 例えば――届かない人。素敵なあなた。見てるだけで幸せなの。
 例えば――愛してるから、命を捨てても。
「そう……そう、私やあなたみたいな奴はこんな風に語るのよ。そういう、浅ましい嘘を平気でつくの」
「!?」
 ディアナにしてみれば、口八丁の虚言。だが、その言葉は、パラドクスという質の悪い魔法として成立する。
 クロノヴェーダが、いとも容易く動揺する。それが、何よりの証左。
「『本当は一緒に生きたい』なんて! そう、言ったら使って貰えない。視界に入れない。だから言えない、ねぇ?」
「ち、違いますわ、私は……!」
「あら? 私は、そうだったわ。お嫁さんにして、なんて言えなかったから……『隊長の軍師』を自称した」
 俯くディアナの表情は、誰も窺えない――軍帽で抑えたヴェールに隠れて。いつしか、禍々しき婚礼衣装に身を包み、縁のように火砲を抱えながら、広げられた何対もの腕の先、掌の赤眼が何もかもを見通すように、ギョロリとヴァンパイアノーブルを睨め付ける。
「あなたも言ったのかしら? 愛しいあなたの為なら何も要らないって」
 ――嘘よ。結婚してよ。
 あなたの子供を産みたかった。
 あなたと家を作りたかった。
「わ、私は、セルゲイ様のことをそんな……っ!」
「同類よ。私達ってそういう化物!」
 欲しい欲しいと伸ばすその手も隠し、澄まして無邪気に笑う――ディアナの、『ネメシス』の腕が、幾つも幾つも、ドレスの下から背後から、ゾロリゾロリと伸びてマチルダ・イワノヴナ・リサネビッチを掴む。
「あ、ぁ……」
「ね。あなたの望みなんて、とっくの昔に壊れてるんじゃない?」
 身を竦ませた彼女を引きずり寄せ、囁く――ずっとずっと優しい狂気に守られて、何もかもが口実に過ぎないのに、不本意な顛末に目を背けたまま、愛を囀り続けるあなたなんかに。
「愛に宿る知恵、なんて……愚かしい戯言。嗤ってしまうわ、ね?」
「……」
 クロノヴェーダにも魂はあるのだろう。たった今、ディアナの嘲笑と甘言は、アヴァタール級ヴァンパイアノーブルの内なるソレに爪を立てて抉り、握り潰した。
(「ごめんね、手段は選んじゃいけないの」)
 手を離せば崩れ落ちて、もう、彼女は動かない。
「……お疲れ様! 一旦、帰還しましょうか!」
 最初こそイレギュラーに遭遇したけれど、いつも通りにクロノヴェーダを斃し、いつも通りに新宿島に帰還する――これで、いつものディアボロスの日常に戻れるというものだ。
 だから、頭を一振りして、仲間の方に振り向いたディアナは、いつも通りに緩く笑う。

 ――終わり良ければ、総て良し。
🎖️🎖️🎖️🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年05月26日