イオニア海の毒蛇(作者 一条もえる
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#蹂躙戦記イスカンダル  #イオニア海の海戦  #イオニア海  #白のクレイトス 

 イオニア海に降り注ぐ陽光は眩しく、海面を輝かせている。
 その鮮やかな青の中を、十数隻の帆船が航行していた。風を帆に受け止めて進む船では、この海域を哨戒するジェネラル級亜人・白のクレイトスが羽を休めていた。
 しかし、その表情は硬く険しい。
「まさか、デメトリオス坊ちゃんに続いて、アンティゴノス様までもが薨(こう)ぜられるとは……」
 先日に行われた『断頭革命グランダルメ』奪還戦において、断片の王イスカンダルは多くの将を失った。その中には、単眼王・アンティゴノスも含まれていたのである。
 大きくかぶりを振ったクレイトスは気を取り直すように、側近どもに力強く呼びかける。
「とにかく、我らの任務はディアボロスどもにイオニア海を越えさせないことだ。
 奴らはこの機会を狙って、アンティゴノス様の領土を狙ってくるやもしれぬからな」
「は……」
 レルネーのヒュドラは気怠げな半眼のまま、言葉少なに頭を垂れる。頭を下げつつ、足元で蠢く蟹を、爪先でつついた。
 その様子に構うことなくクレイトスは、
「いずれは、奪われたイタリア南部を奪還する。しかし、今はその時ではない。今は耐えるときだ……!」
 と、捲土重来を期していた。

「まずは『断頭革命グランダルメ』奪還戦の奮闘、お見事でございました!」
 許・伯隼(人間の無双武人・g03617)は集まったディアボロスたちに笑貌を見せ、
「さぁ、お疲れでしょう。まずは腹を満たし、話はそれからといたしましょう」
 と、湯気を上げる蒸籠の蓋を開いた。中には饅頭(マントウ)が蒸されており、
「これがなかなか、合うのですよ」
 伯隼はそれをふたつに割って、その間に醤で煮た豚肉を挟んだ。見た目はハンバーガーに近い。
「敵の重要拠点であるバーリを解放したことで、南イタリアから亜人どもを一掃することが出来ました。
 これにより、南イタリアから海路でマケドニアやギリシア方面へと向かうことが可能になりました」
 その地域は、先の戦いで斃れた単眼王・アンティゴノスの領地である。アンティゴノス亡き今、その地がどのような動きを取るのかはまだわからないが、複数のジェネラル級が残り、油断はできない。
「攻略旅団は、バーリから海路を用いて『オリンピア』へと向かうことを採択しました。
 その案に従い、敵の哨戒網を撃破しつつ上陸を目指しましょう」

 伯隼はさらさらと、白紙の上にイタリア半島周辺の地図を描いた。
「ここがバーリ。その沖合まではパラドクストレインで向かうことが可能ですが、そこから先は自力で進んでいただかなくてはなりませぬ。
 まぁ、敵の哨戒区域に入るまではしばらく時間があるでしょう。その間に、奪還戦の疲れを癒やし、存分に英気を養ってくだされ。
 なんでしたら、この饅頭も持って行かれるとよろしい。それとも、甘い花捲の方がよろしいか?」
 と、伯隼は微笑む。
「残念ながら、のんびりできるのはそこまでです。
 向かっていただく海域は巨大肺魚どもが哨戒しており、これを退ける必要があります。
 敵の戦意は旺盛で油断ならぬ相手ですが、逆に言えば、それだけこちらの誘いに乗りやすいということ。肺魚どもを麾下に置く敵将・レルネーのヒュドラの来援が間に合わぬよう、十分に引きつけて戦うのがよろしいのではないでしょうか。
 その後、敵将およびそれを護衛するドルフィンマンどもを撃破したのちは、いちど退いてくだされ」

「皆様が接触した敵の数や位置から、敵の警戒網や上陸に適した場所の分析が進むことでしょう。それはお任せくだされ。
 強いて言えば……」
 伯隼は顎を撫でる。
「敵の警戒網の粗密を知るために、なるべくならば広い範囲を探っていただけると分析も捗るかと思われます。虚実を用い、敵を東奔西走させてくだされ」
 そう言って、伯隼は拱手した。

「……と、いうことだから。ディアボロスどもの接近に注意して」
 帆船の甲板で、ヒュドラが配下どもに指図をした。
「ギョーッ!」
 すると、何を考えているのか読み取れない、とぼけた表情でペタペタと歩き回っていた巨大肺魚どもは、声を張り上げて海へと飛び込んでいく。
 肺魚どもはエンネアドだが、キプロス島での訓練を経て亜人の指揮を受けることに慣れていた。
「なぁに、いざとなれば俺たちが、このマッスルで敵を粉砕してやりますとも! たとえ最後の一兵になろうとも!」
 と、ヒュドラを護衛するドルフィンマンどもが力こぶを見せつける。
 ヒュドラどもの乗るこの船は戦闘には適さない、移動用のものである。風のないときは、このドルフィンマンどもが櫂を握る。
「……はぁ。なんでこんな暑苦しい連中を指揮しなくてはならないのかしら」
 ヒュドラはため息をつき、足元の蟹……小さな使い魔に、愚痴をこぼした。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【水面走行】
2
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【アイテムポケット】
2
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV4 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

一条もえる
 こんにちは、一条です。
 まずは『断頭革命グランダルメ』奪還戦、お疲れ様でした! 予想以上の戦果と言ってよいかもしれません。人形皇帝ナポレオンを撃破したのみならず、『蹂躙戦記イスカンダル』の諸将を討ち取ることにも成功したのですから!
 今回の作戦で向かっていただくイオニア海は、南イタリアとバルカン半島の間に広がる領域です。バルカン半島……ギリシャや本国であるマケドニア方面を支配していた将こそ、奪還戦で討ち果たした単眼王・アンティゴノスでした。とはいえ、その領域にはいまだ多くの敵兵力が残されています。
 これを撃破しつつ、オリンピアを目指しましょう。
 まず、選択肢①において、敵の哨戒海域を目指してください。天気はよく波も穏やかな旅となるでしょう。小舟程度ならば持ちこむ事も可能です。英気を養いつつ、進んでください。
 選択肢③において敵と遭遇、戦闘に移りますが、この際、敵を本隊からなるべく引き離した方が後の戦いが有利に働くとお考えください。
 肺魚どもとの戦闘に入ると、それはまもなくヒュドラの知るところとなります。敵が駆けつけてくる前に態勢を整え直し、迎撃してください。

 では、よろしくお願いします。
 いつも感想、ありがとうございます。一言でも長文でもとても励みになりますので、よろしければぜひ。
42

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


陳・桂菓
【魔女の薬店】で参加。

まずは海を進む、と。
水中適性は誰かが積んでくれるらしいし、私は後の戦闘のことも考えて【水面走行】を持っていくとしよう。

まあ、今はせっかくなので、水着を着てだばだば泳いでいく。去年買った、スポーツタイプの青いビキニ。
戦闘前の魂の洗濯だ。海水浴を楽しみつつの道行きと洒落込もう。
「いや、気合いが入っているというよりは、むしろ全力で脱力するための格好なんだがな?」

頑として水着にもならんし、泳がないって奴もいるな。
まあ、どうせ戦闘が始まってしまえば普段の装備に戻るのだから、効率を考えればその方がいいのかもしれんが。
しかし、何事にも余裕というものは必要だぞ。こういうときは敢えて緩められるだけ気を緩め、空気を楽しむのが吉だ。

カナヅチ? 復讐者の体力や運動能力を思うと、不自然にも思えるが。
「……気の持ちようではないのか? そも、パラドクスを使えば水など恐れるに足りまいに」
「紐ビキニだのスク水だのを着ろというわけじゃなし、そこまで毛嫌いすることもなかろうと思うのだが……」


黄泉王・唯妃
【魔女の薬店】で。
呼び方はそれぞれ、桂菓、エル、あきらさん。

一先ず接敵するまでは海を超えなきゃいけないわけですが。
船を使うか、飛翔を使うか、泳ぐか、海底を歩くか。
どれがいいです?
私は海底散歩がおすすめです。
あと泳げないんで。

桂菓、水着で来るなんて気合入り過ぎじゃありません……?

【水中適応】を持ち込んで海の底を女子4人で談笑しながら進むとしましょう。

「あのお魚美味しそうですねぇ」


エルフリーデ・ツファール
【魔女の薬店】で参加。
常に煙草吸ってます。

海か……。
別に海そのものが苦手なわけじゃないが属性的な相性は悪いんだよなァ。
まあ、行くなら行くけどよ。
ん? 泳げないのお前ら? 何しに来たん?

それで海の底を移動するってか。
じゃあ【水中適応】は任せた。私は【完全視界】でのんべんだらりと周囲を見渡しながら進むとするか。

「……確かにこれだけの絶景見てると魚喰いたくなるなァ。晩飯は魚にしようぜ」


小鳥遊・英
【魔女の薬屋】
泳ぎませんが???
嫌ですが????
水着も着ませんが????

嫌です絶対に嫌ですなんで水に入らねばならないのですか
嫌だーーーーーーーッッッ!!!
陳さん……気の持ちようとか言いますけどね?そもそも人類は水中で生きるように出来ていないんですよ?
【水中適応】でなんとかなるだ???
それって、効果が切れたら死ぬって事でしょう??

…………嫌だーーーーーッッッ!!!!
エルフリーデさんに冷静に言われるとこう……心にクるものがありますね
う、うぅ……敵と戦いに来゛ま゛し゛た゛ッッッ!!
わかりましたわかりましたよ行きますよ行けばいいんでしょう!!もう!!!

ひんひん言いながら後に続きます
ひぇ……水が顔に……ひぃ……
黄泉王さん余裕ありすぎません……?
やだよぉ……帰りたいよぉ……もう帰ろうよぉ……

水に顔をつけるのも嫌なわたしがここまで頑張っているんです
戦闘は楽だといいなあ……


 パラドクストレインを降りれば、目の前は海だった。
 太陽は燦々と輝き、その光は青々としたイオニア海に降り注いでいる。水はどこまでも透き通り、海面はキラキラと輝いていた。
「せっかくだからな。戦闘の前の、魂の洗濯だ」
 陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は笑って、海に飛び込んだ。桂菓の引き締まった肢体を包むのは、スポーツタイプの青いビキニである。水をひと掻きするたびに、筋肉が躍動する。
 水温は20℃にやや届かないほど。正直なところ少し寒いが、仰向けになって全身で日差しを浴びると、確かなぬくもりを感じる。
 心地が良い。
 が、仲間たち……『魔女の薬店』の面々はそうではないらしく、
「桂菓……水着で来るなんて、気合い入りすぎじゃありません?」
 と、黄泉王・唯妃(アトラク=ナクアの娘・g01618)は眉を寄せた。
「いくら、接敵するまでは海を越えきゃいけないとはいえ……」
 頬に手を当て、小首をかしげてため息をつく唯妃。
「えぇ……? いや、むしろ全力で脱力するための恰好なんだがな。これ、去年の水着だし……」
 と、桂菓はビキニの肩をつまんで口をとがらせる。
「唯妃だって水着は持ってるだろ? 黒い奴。着てないのか?」
「着てません」
 肩をすくめる唯妃。桂菓は「そうなのか」と落胆しつつ、
「どうせ戦闘が始まってしまえば普段の装備に戻すから、効率を考えれば水着になる必要はないが……何事にも余裕というものは必要だぞ?
 こういうときは、あえて緩められるだけ気を緩め、空気を楽しむのが吉だ」
 と、もっともらしいことを言う。
「えぇ。そうですね」
 唯妃は微笑んで桂菓の言葉に頷くが、だからといって水着になる気は毛頭なさそうだった。
「じゃあ、英は? 気持ちいいぞ」
 そう言って手のひらに水をすくうが、
「おおおお泳ぎませんが? 嫌ですが? 水着も着ませんがッ?」
 小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)は涙目で、両手を前に突き出してブンブンと振る。渾身の拒絶の動作。
「そもそもわたしのようなオタクは、日差しを浴びると溶けるんですよ! まして海なんて、陽キャの巣窟ですよ! 塩まかれたナメクジみたいに、溶けるだけなんですよ!」
「そこまで言わなくても。別に、紐ビキニだのスク水だのを着ろというわけじゃなし……まぁ、試しに」
「問題はそこじゃありません! 嫌です嫌です、なんで水に入らねばならないのですかッ? 嫌だぁぁぁぁぁぁぁ~ッ!」
 身も世もなく、ジタバタともがく英。
「語るじゃないか」
 エルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は煙草を携帯灰皿に押し付け、苦笑する。
「だいたい陳さん……試しにとか気軽に言いますけどね、そもそも人類は水中で生きるようにできていないんですよ!」
「それはそうだが」
 桂菓は怪訝そうに首を傾げる。彼女らディアボロスの運動能力を思えば、「泳げない」とは奇妙にも思える。
「気の持ちようではないのか? そも、パラドクスを使えば……」
「【水中適応】でなんとかなるだ? それって、効果が切れたら死ぬってことでしょう?
 嫌だぁぁあぁぁぁ~ッ! 死にたくないッ!」
 駄々っ子のようにもがく英。
 エルフリーデはそれを横目に海を見やり、
「私も、別に海そのものが苦手なわけじゃないが……属性的な相性は悪いんだよなァ」
 と、ため息を付く。
「まぁ、皆が行くというなら行くけどよ」
「船は用意してきませんでしたから、空を飛ぶか、泳ぐか、海底を行くか……ですね。
 どれがいいです?
 私は海底散歩がおすすめです。泳げないんで」
「お前も泳げないのかよ」
 エルフリーデは呆れ気味に、涼しい顔の唯妃を見た。
「お前ら、何しに来たん?」
「うぐ」
 英が胸を押さえる。怒るでもなく非難するわけでもなく、淡々と言われると心にクルものがある。戦場が海上となることは、はじめから分かっていたことだ。
「う、うぅ……敵と……」
「あん? なんて?」
 エルフリーデが目を眇めて、下から英の顔を覗き込む。
「敵と! 敵と戦いに、来まじだぁッ!」
 嗚咽混じりに叫ぶ英。
「わかりましたわかりましたわかりましたよ! 行きますよ行けばいいんでしょう! もうッ!」
「ふふ。では、進みましょう」
 唯妃は口の端を持ち上げて、ゆっくりと爪先を海中に差し入れた。その体が海中に没していく。
「ひぃ……水が、顔に……ひぃ」
「さ、あきらさんも早く」
 唯妃が、海中から英の腕を引く。
「黄泉王さん、余裕ありすぎません? 泳げないのは一緒なのに……!」
「さぁ、どうしてでしょうね」
「【水上歩行】でいいじゃないですか! 海を渡るならあれだけでも十分……!」
「いいかげん諦めろ」
 と、エルフリーデが英の頭を海中に押し込んだ。
「がぼぁッ!」
 この世の終わりという表情で英は口中から大きな泡を吐き出す。しかし一度水中に入ってしまえば快適なもので、呼吸にも困らない。
 桂菓はときおり海底を蹴って浮かび上がり、遊泳を楽しんでいる。
「そこまで毛嫌いすることはなかろうに……」
 それでも英は、
「やだよぅ……帰りたいよぅ……もう帰ろうよぉ……」」
 と、泣き言を言っている。
「……頑張れ」
 水を恐れる者の心理を桂菓に理解しろというのが、無理というものであろう、致し方ない。
 英の手をガッシリと掴んだままグイグイと引っ張り進む唯妃は、
「見て下さい、エル。あのお魚。美味しそうですねぇ」
 と、そばを通った魚群を指さした。
「……確かに、これだけの絶景を見てると魚食いたくなるなぁ。晩飯は魚にしようぜ」
 エルフリーデも目を細める。
「海鮮づくしだ。……肺魚やイルカはごめんだがな」
 一行が進んでいるところは、深さはさほどない。陽光は海底まで伸びていて、あちこちを泳ぐ魚の姿がよく見える。
「違いない」
 と、桂菓は笑う。
 楽しく談笑しつつ進む仲間たちを尻目に、「はは……」だの「えぇ」だの、曖昧な相槌しか打てなかった英であるが。
「……水に顔をつけるのも嫌なわたしが、ここまで頑張っているんです。戦闘は、楽だといいなぁ」
 と、ポケットに入ったスマートフォンを握りしめた。
 
 その思いをよそに。この海域を哨戒する巨大肺魚どもが、彼女たちに迫っていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

陳・桂菓
【魔女の薬店】で参加。

さて、戦闘だな。
哨戒する肺魚たちが本隊に合流する前に叩きたいわけか……策があるらしいな、唯妃。
いいだろう、乗ってやろう。

要は追い込み漁というわけか。エルと唯妃が張った罠の地点に、私と英で追い込んでいくと。
私はスピードをもって敵群の背後に回り込みまくり、退路を遮断しよう。
使用武器は蚩尤旗矛。
まずは肺魚が泥を吐いてくるのを、旗布を振り回すことで打ち払う。旗に泥が纏わり付きはするだろうが、手足の動きが鈍らされるよりは何倍もマシだろう。
噛み付きは旗の柄なり槍穂なりをかちあわせて防げば良い。
そうして【蚩尤超限暴】の速度をもって常に回り込みつつ、エルフリーデや唯妃のいる方へと押し込んでいく。
唯妃の糸に絡め取られつつエルの大火力に呑まれるのもいいが、それより前に私に斬られたり刺されたりしても別に変わるまい? 追い込むのが役割といって、攻勢に手を抜くつもりはない。
何となれば罠に至る前に全滅させてやるつもりで斬りかかるとしよう。


黄泉王・唯妃
【魔女の薬店】で参加。
呼び方はそれぞれ、桂菓、エル、あきらさん。

さて、先ずは水中の肺魚から処理しましょうか。
誰か策はあったりしますか?
……ありませんか。ではこうしましょう。
水中ではエルの砲撃も効果が薄そうですので範囲を固定したパラドクスを。
私が【斬糸結界】をその周囲に、大きめの網目状に設置しておきます。
そこに桂菓とあきらさんが派手めなパラドクス等で追い込んでいただいて、エリアに肺魚が一定数入れば斬糸の網をを絞って出られなくすれば、と。
まあ、何処までうまくいくかはわかりませんけど水中に一日の長がある相手なら挑発等も通じやすそうですし、【捕縛】【早業】は私が得意にするところですし。
後の撃ち漏らしは個別に片付けましょう。

「さてさて、まさに一網打尽といった風情ですねぇ。網に掛からない相手も大きく数を減らしているでしょうし、物の数ではないでしょう」


小鳥遊・英
【魔女の薬店】

楽をするのは得意です。得意分野、適材適所。
作戦立案黄泉王さん、実行は……まあみなさんで。
わたしの適所は後方支援、前に出ることはありませんがみなさんが戦いやすくするのがお仕事です

……なるほど、追い込み漁ですね?なら、ド派手にブチ上げて差し上げましょう
追い込み漁よろしく広範囲から魔法陣を展開
徐々に範囲を狭めてこちらの領域に誘い込みます
陳さんと連携を取りながら誘えるといいですね
ホログラムウィンドウとコンソールを駆使して繊細に配置を確認
穴がありそうな場所を魔法陣で補います
後方支援はお任せくださいと言ったでしょう
お膳立ては完了です、あとはお任せ致しましたよ

……え、あれ、なんか、アレ……?
近づいて見てると……き、キモ……
えっやっ、ちょっとまって気持ち悪いいやだ来るな早く黄泉王さん!!エルさん!!!!やっちゃってください気持ち悪いーーーーーーッッッ!!!


エルフリーデ・ツファール
【魔女の薬店】で参加。
常に煙草吸ってます。

パラドクスに海が如何こうとか関係無いってのはわかってるんだがなァ。
まあ、楽させて貰えるならそうするぜ。

【火炎使い】の矜持に賭けてやるべき仕事はきっちりと、な。
【高速詠唱】でパラドクスを維持し続ける。
相手の反撃は、まあ頑張って耐えるしかねェかな。
近くに英がいるなら水流に押し流されないように襟首掴んどこう。

「まあ、諦めろ。こっちが間合いに入る以上向こうも間合いに入るんだから。まだこいつくらいならキモカワイイとかで済むレベルなんじゃねェの? 私もキモいと思うけど」


 ひんひんと泣き言を言っていた小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)が、やっと落ち着いてきた頃。
「そろそろ、のようですね」
 黄泉王・唯妃(アトラク=ナクアの娘・g01618)は透き通った海(その明るさには【完全視界】によるものも含まれている)のむこうに、うごめく影を認めた。
「うぇ、出たんですか?」
 英がビクリと身を震わせる。
「そのようだ」
 エルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は咥えた煙草を揺らしながら、使い込まれた樫の杖を握り直す。
「さて、いよいよ戦闘か」
 陳・桂菓(如蚩尤・g02534)も真紅の蚩尤旗を構え、揺らぐ水の向こうを凝視する。
「哨戒する肺魚どもが本隊に合流する前に叩きたいわけだが……肺魚ごとき、蹴散らしてやろう」
「待ってください、桂菓。
 確かに策がなくとも、遅れを取るあなたではないかもしれませんが……かといって、無策というのもつまらないもの」
 唯妃は微笑みをたたえ、一同を見渡す。
「策があるらしいな、唯妃。いいだろう、乗ってやろう」
 と、桂菓は楽しげな笑貌を向ける。
「作戦立案、黄泉王さん。実行は……みなさんということですね」
「お前もだよ、英」
 エルフリーデが英の頭を小突く。思いのほかいいところに決まったらしく、英は涙を浮かべた。
「わ、わたしの適所は後方支援、前に出るのは苦手なんですよぅ」
「ふふ、そのあたりは考慮しています、あきらさん。それと……水中では、エルの砲撃も効果が薄いかもしれませんので」
「パラドクスに海がどうこうとか、関係ないのはわかってるんだがなァ。
 まぁ、楽させてもらえるなら、そうするぜ」
 と、肩をすくめるエルフリーデ。
「わたしも、楽をするのは得意です! 得意分野、適材適所……みなさんが戦いやすくするのがお仕事です!」
 と、英も表情を輝かせる。
「頼りにしている。さぁ、いくぞ!」
 口ではそう言おうとも、いざ戦いとなれば英もまた歴戦の勇士である。桂菓は目を細め、声を張り上げた。
 それを合図に、ディアボロスたちは一斉に動き始めた。
「ギョーッ!」
 肺魚どもがディアボロスたちの姿を認めたのは、そのわずかに後だった。
 肺魚どもはなかば海底に潜り込みつつ、砂を巻き上げながら接近してくる。
「ギョギョーッ!」
 肺魚どもが、立ちはだかる桂菓に向かって泥の塊を吐き出した。それはネバネバと体に纏わりつき、動きを絡め取る粘性の泥である。
 しかし桂菓は、蚩尤旗を振り回し、それを絡め取った。真紅の旗は瞬く間に泥に塗れるが、
「手足の動きを鈍らされるよりは、何倍もマシだろう」
 と、水をかき分けて敵前に迫る。肺魚どもはその肉体を食い千切らんと襲いかかってきたが、桂菓は自らの内に眠る古代の戦神の力を呼び覚まし、限界を超えた身体能力で敵中を駆け巡り、その鋭い歯を避ける。
「と、ト……翔ぶゥ!」
 旗の先は、鋭い穂先を持った槍である。鋭い呼気とともに繰り出された鋭鋒が、肺魚どもを立て続けに貫く。
「ギョ……ッ!」
 それでも肺魚どもは桂菓を囲み一斉に襲いかかろうとしたが、その周囲に紫色の魔法陣が浮かび上がった。
「陳さん!」
 魔法陣は水中に溶け込んだ気体を集めて凝縮させる。そして、凄まじい爆発を発生させた。爆発の直撃を受けた肺魚は、全身を引き裂かれてゆらゆらと水中に浮いた。
「ふふふ、後方支援はおまかせくださいと言ったでしょう」
「助かった。まだまだ行くぞ!」
 桂菓は「自分たちはむしろ先鋒ではあるまいか?」と首を傾げたが、英が納得しているのなら、それでよかろう。
 桂菓は襲い来る肺魚どもの歯を槍の柄で防ぎながら、敵群の側面に回り込む。
「追い込み漁ですからね! なら、ド派手にブチ上げて差し上げましょう!」
 英は壮語し、桂菓とは逆の方向に回り込んで再び魔法陣を展開する。
「お膳立ては完了です。あとはお任せしましたよ!」
 が、
「ギョギョギョーッ!」
 英の間に突如、肺魚が飛び出した。海底の泥の中に潜み、機を伺っていたのである。
「ひぃッ!」
 その敵はとっさに吹き飛ばした英であったが、
「え……あれ、なんか、アレ……? 近くで見ると、き、キモ……!」
 肺魚の、何を考えているのかわからない目と表情が焼き付いてしまった。肺魚どもはさらに、英に向けて押し寄せてくる。
 全身にぞわりと鳥肌がたった。
「え、や、ちょちょちょ! ちょっと待って気持ち悪い気持ち悪い! やだやだやだ来るな~!
 黄泉王さん、エルさん! はやくやっちゃってください~ッ!」
「わかったわかった。抜かりはねェよ」
 エルフリーデが樫の杖を敵群に突きつける。桂菓と英に追い込まれ、あるいは彼女らを追った肺魚どもは、唯妃とエルフリーデが待ち構える正面に立たされていた。
「お任せを。じゅうぶんにうまくいったようですね」
「はは、これくらいはイケると思っていただろ?」
 笑うエルフリーデに、唯妃は口の端を持ち上げるだけで答える。
「捕縛、早業は私が得意とするところ。一網打尽といたしましょう!」
 唯妃は素早く、鋭い切れ味を持つ極細の糸を辺りに発している。それは網となって肺魚どもを捕らえ、その身を切り裂いた。
「ギョー! ギ……!」
 逃れようと必死に水をかいた肺魚の首が、糸に絡め取られて切断された。
 腕を飛ばされ、腹を割かれた「程度」で済んだ肺魚どもにも、さらなる責め苦が待ち受けている。
「囲え覆えよ窯の蓋、地獄の底で身を焦がせ!」
 半球状の赤黒い炎が、敵群を取り囲む。肺魚どもはそこから逃れられないまま、断末魔の悲鳴を上げながら焼き尽くされた。苦しみのあまり海面に向けて手を伸ばすしかない様は、まさしく地獄の光景であった。
「まぁ、キモいのは諦めろ。こっちが間合いに入る以上、向こうの間合いにもなるんだから。
 こいつらくらいなら、まだ『キモカワイイ』ぐらいのレベルなんじゃねェの?」
「そ、そうでしょうか……?」
 目を細め、横目で肺魚を見やる英。
「ま、私はキモいと思うけど」
「やっぱりキモいんじゃないですか!」
 エルフリーデと英とはそんなやりとりをしつつも、魔法陣を、あるいは炎で敵を追い込み、蹴散らしていく。
「ギョーッ!」
 しかし肺魚どもも懸命の抵抗を見せ、残った者どもで円状に泳ぎ回り始めた。
 すると怒涛の渦が生じ、それは海水だけでなく海底の泥も巻き上げて、泥の大渦となる。
「く……」
 踏ん張った唯妃だが、渦は彼女の身体を吸い寄せていく。そこに、肺魚が喰らいついた。
 黄色と黒の縞模様に彩られた、蜘蛛を思わせる唯妃の腕。そこからは赤い血が流れ出たが、
「多くの同胞を失った、この程度の渦では……動きを封じるには不足です。物の数ではありません」
 放たれた斬糸が、肺魚の肉体を四散させる。
 慌てて距離を取ろうとした肺魚どもだが、
「唯妃の糸に絡め取られるのも、エルの大火力に呑まれるのもいいが。
 私に斬られたり刺されたりしても、別に変わるまい?」
 算を乱した敵群の中に飛び込んだ桂菓は、残った肺魚どもを突き倒し、斬り伏せた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!

「ディアボロスだ! ディアボロスですよヒュドラ様!」
「えぇ……? 肺魚たちはいったいなにを……。えっと、なら……」
「お任せくださいヒュドラ様! 今こそ俺たちのマッスルをお見せするとき! ヒュドラ様はここでゆっくりと筋トレしていてください!」
「行くぞマッスルー!」
「マッスルー!」
 ドルフィンマンどもは、何か指図しようとしたレルネーのヒュドラを尻目に、次々と海へと飛び込んでいく。その勢いとは裏腹に、立つ波飛沫は非常に小さい。
「……やらないわよ、そんなもの」
 ヒュドラはこめかみを押さえて座り込み、爪先で使い魔を軽く蹴った。
陳・桂菓
【魔女の薬店】で参加。

しっかり言葉もしゃべるし、連係のできた戦い方をするところを見ると、敵の知性はそれなりに高いらしい……が……なぜだ。バカっぽい印象がぬぐえん。
まあいい。出てきたからには叩き潰すのみ。

使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
何やら、唯妃が妙な戦法を試してみたがっているが……なるほど?
要は、私に蜘蛛糸を結びつけて唯妃が振り回し、私はひたすら武器を振るう。いわば人間モーニングスターか。
別に構わんが……本当に効率良いのか、それ?
まあ、ちょうどいい技もある。【砕空狼牙】によって全周囲に斬撃波を撃ちまくるという状態で振り回されてやるとしよう。モーニングスターのスパイクとしては、破格の破壊力を持つものになるだろう。
この技、大体は足を止めつつ使うのだが、なるほど、自分が動かずとも勝手に近接の間合いにまですっ飛べるというのは、それなりに便利かもしれん。
……動きを自分でコントロールできんのは不安もあるが。

「――唯妃、楽しくなりすぎてないか? 振り方がだんだん雑になっている気がするのだが!?」


黄泉王・唯妃
【魔女の薬店】で。
呼び方はそれぞれ、桂菓、エル、あきらさん。

さあ、次は海豚男ですよ!
皆はやりたいことはないですか?
うん、ないと。じゃあもう好き勝手やって下さいよ!
ただ桂菓はちょっと貸してくださいね?

というわけで実験的に私の糸を桂菓に括りつけて振り回して、その先端で桂菓が好きに暴れるというのはどうですか?
新しいパラドクスのひらめきにもなるかもしれませんし。

というわけで振り回します。
SPDパラドクスとか関係ないんですよ!
それはもう楽しそうに!

「あはははは! それそれぇい!! 桂菓も楽しんでますか!? 私は楽しいです!!」


エルフリーデ・ツファール
【魔女の薬店】で参加。
常に煙草吸ってます。

さて、次かァ。
なんかまた変なのが来てるな。
さて、どう攻めるよ軍師様。
え、やりたいこと?
別にねェけど、おいおい丸投げかよ。まあ、これくらいの相手ならどうとでもなるだろ。

なんか唯妃と桂菓はなんか頭悪そうなこと始めてるし、こっちはデバフでも撒いとくか、あきら。
というわけでゆらゆらとは鬼火のような炎をばらまくぞ。
海だし、雰囲気的にもぴったりだろ。

「……一歩間違えれば私らもあの振り回される奴に巻き込まれてたのかと思うとゾッとするぜ。やられる時にはあきらが先で頼むな?」


小鳥遊・英
【魔女の薬店】で
出、出〜!丸投げ奴〜〜
まあ、それくらい自由度上げてもらったほうがこちらとしても動きやすいわけで
わたしは後ろで悠々自適にさせてもらいますね

黄泉王さんと陳さんをなんとも言えない目で見送って……
あ、アス、デバフ撒きます
カタカタ、ッッッターン!とエンターキーを押して魔法を発動
手に武器を持っていると言うことは、踏み込みをして攻撃をしてくるということ
なら踏み込みをさせなきゃいいってワケですな、QED

前で楽しそうにぶんぶんしているのは……うーん、本人たちが楽しそうならいいんじゃないですかね
エルフリーデさんに生贄にされそうになったらわたしは回線安定丸を生贄にしますね
……まあ、近づかなきゃ巻き込まれないのでは?知らんけど

…………うわー、やっぱりこいつらとキモくないです???
なんでみなさん平気なんです???


「キュイィィィィィィィィィッ!」
「お出ましのようだぜ。なんかまた、変なのがよ」
 紫煙を吐き出したエルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)が顎をしゃくる。
 その言葉通り、ドルフィンマンどもは矢のような速さで水中を迫ってきていた。小さな点が、ぐんぐんと大きくなる。
 黄泉王・唯妃(アトラク=ナクアの娘・g01618)は『魔女の薬店』の仲間たちを見渡して、
「さぁ、次は海豚男ですよ! 皆は、やりたい策はないですか?」
 と、意見を求めた。
「いや、別にねぇけど……」
 エルフリーデは小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)の方に視線を向けたが、意見を求められた英は、慌てて両手を顔の前で振った。
 エルフリーデは肩をすくめる。
「で、軍師様はどう攻めるよ?」
「皆、やりたいことはないと? じゃあもう、好き勝手やってくださいよ!」
「で、出た~ッ! 丸投げの奴~ッ!」
 大げさに後じさりする英。
「丸投げかよ。
 まぁ、これくらいの相手ならどうとでもなるだろ」
 と、エルフリーデは『使い込まれた樫の杖』をくるりと回して構え直す。
 リアクションにさほど反応してもらえなかった英はうつむきがちに、
「ま、まぁ、それくらい自由度上げてもらった方がこちらとしても動きやすいわけで、そこは臨機応変にというか無策の策というか、わたしは後ろで悠々自適にさせてもらえてラッキーというか……!」
 と、早口でまくし立てた。
「来るぞッ!」
 陳・桂菓(如蚩尤・g02534)の鋭い声に反応して、ディアボロスたちは散る。その中心を、
「ディアボロスどもめ、このマッスルで、蹴散らしてくれるぞ~ッ!」
 と、槍を構えたドルフィンマンどもが突き抜けていった。
 桂菓が顎に手を当てて、首を傾げる。
「しっかり言葉も喋るし、なかなかの連携のようだし……知性はそれなりに高いらしい……。
 が、なぜだ。バカっぽい印象が拭えん」
「『なぜ』って考える必要、あります?」
 と言ったのは、英。
「まぁいい。出てきたからには、叩き潰すのみ!」
 桂菓は双短戟『騰蛟昇竜』をそれぞれの手に構えて、再びの接近を待ち構える。
「えぇ。でも桂菓。その身体、貸してくださいね?」
 その肩を掴んで耳打ちしたのは、唯妃である。
「妙な戦法を……。別に構わんが……本当に効率いいのか、それ?」
「さぁ?」
 いけしゃあしゃあと言って、肩をすくめる唯妃。ため息をついた桂菓であったが、
「まぁ、いいだろう」
 と、試みに乗る。
「キュイキュイ~ッ!」
 ドルフィンマンどもが一斉に口から水を吐き出した。それは激しい水流を生み出し、敵群は一気に間合いを詰めてくる。その槍が、桂菓と唯妃に迫らんとしたとき……。
「いきますよ桂菓!」
「うおォン、私はまるで人間モーニングスターだ!」
 唯妃が粘性を持つ極細の糸を放つ。それは敵ではなく、桂菓の身体を絡め取った。そして、渾身の力でそれを振り回す。
 勢いに乗った桂菓は、両手に短戟を構えている。遠心力のままに繰り出された短戟は槍を弾き返し、敵のこめかみを砕いた。そればかりではない。振るわれる刃は斬撃波を生み出し、左右から襲いかかってきた敵も切り刻む。
「ギュイイイッ!」
「どうだ。モーニングスターのスパイクとしては、破格の破壊力だろう!」
「あはははははは! どうですか、桂菓も楽しんでますか? 私は楽しいですッ!」
「……唯妃。楽しくなりすぎていないか? 
 なるほど、たしかに自分が動かずとも勝手に近接の間合いにまですッ飛べるというのは、それなりに便利かもしれんが……。
 だんだん、振り回し方が雑になっている気がするのだが!」
 桂菓の髪が、海底の岩をかすめた。しかし唯妃は、
「大丈夫、任せてください! それそれぇいッ!」
 と、かまわず攻撃を続けている。
「……おい軍師。頭の悪いことやってるが、それでいいのか?」
 エルフリーデが眉間を押さえる。英も頬を引きつらせつつ、
「まぁ……本人たちが楽しそうなら、それでいいんじゃないですかね?」
 と、なんとも言えない表情でふたりを見た。
 実のところ、効果のほどは微妙である。桂菓の刃が敵を屠っているのは確かであるが、それが彼女のもともとの力量。よく見れば、唯妃の糸も敵を絡め取ってふつうに手傷を負わせている。
 まぁ、もしかすると新たなパラドクスを考案するきっかけにはなるのかもしれない。
「……こっちはこっちでデバフでも撒いとくか、あきら」
 エルフリーデが杖を振るうと、海中には無数の光が生み出された。
「は、はい!」
 カタカタカタカタッとノートパソコンのキーを素早く叩いた英はドヤ顔で、
「タァーンッ!」
 と、大きな音を立ててエンターキーを叩いた。ホログラムウィンドウでやればいい操作なのだが……この方がカッコイイし。
 海底に、赤色に輝く魔法陣が無数に生み出された。仲間たちの足元に形成されたそれは彼女たちの力を高めるが、敵の足元にあるそれは、ぐにゃりと歪んで敵を傷つけるとともに敵の動きを阻害する。
「フヒヒッ。バフとデバフを撒けるとか、わたし、有能すぎますなぁ~」
「惑え迷えよ魂の火、己が心の内に逡巡せよ……!」
 一方で、エルフリーデの生み出した炎は、敵を押し包む。
 鬼火、怪火、あるいはウィルオウィスプ……様々に呼ばれる、ゆらゆらと揺蕩う炎は海中を照らす。水がうねると、それに合わせて光も揺れた。
「キュ、キュイイッ……!」
 その炎は魂の揺らめき。そこから目が離せなくなったドルフィンマンどもの精神を蝕んでいく。よろめくドルフィンマンどもを見渡し、口の端を持ち上げるエルフリーデ。
「海だし、雰囲気的にもぴったりだろ?」
「キュイイイイイ……ッ! このマッスルへの信頼が揺らぐだと……!」
「そうじゃねぇよ」
「負けるな、俺たちのマッスルを信じろ! キュキュキュキュキュ!」
 ドルフィンマンどもは隊列を組んで守りを固めつつ前進し、そして手にした槍の石突を渾身の力で殴り飛ばした。
「キュイィィィィィィィィィ!」
 射出された槍を、かろうじて避けるエルフリーデ。そして敵陣はさらに前進し、英に迫る。
「……やっぱりこいつら、キモくないです? なんでみなさん平気なんです?」
「失礼な! このマッスルがキモいとか、そんなはずがなかろう!」
「そこではなく……いや、それもキモいですけど、キモいのはそこだけじゃなく顔というか肌の質感というか全体的にというか……ひぃッ!」
 ドルフィンマンは「マッスルを馬鹿にするな!」と槍を振り上げたが、モーラット・コミュ『回線安定丸』が飛び出して、敵の腕を押した。敵の狙いは逸れ、槍は海底の砂に突き立つ。
「斬り刻むッ!」
 そこに踊りかかった桂菓の刃が、ドルフィンマンの腕を斬り飛ばした。のたうつ敵の首に唯妃の糸が絡みつく。
「……まぁ、やはり踏み込みも自分の間合いのうち、だな」
 苦笑する桂菓。
「では、エル。次はあなた、どうです?」
 唯妃に水を向けられたエルフリーデであるが、
「勘弁してくれ、ゾッとするぜ。やられるなら、あきらが先で頼むな?」
「うぇッ? いやいやいや、そうだ、やるんなら『回線安定丸』を生贄に!」
 と、庇ってくれたサーヴァントを無慈悲に差し出す英。
「キュイイイイッ! ゴチャゴチャ言わず、俺のマッスルを思い知れッ!」
 唯妃に飛びかかり、その身体を引きずり倒そうとしたドルフィンマンども。
 しかし、
「いま、大事な作戦を立てているところなのですよ。お静かになさいな。
 さもなくば、貴方の生命も運命も絡めとってあげましょう!」
 唯妃は柳眉を逆立て、ドルフィンマンどもを蜘蛛の糸にかけた。敵はなんとか逃れようとしたが、もがけばもがくほどに糸はきつく身体を締め上げていく。
「……あら?」
 次の実験者を選定した唯妃が振り返ったとき、ドルフィンマンどもは糸の中で力尽きていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV2になった!
【照明】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!

陳・桂菓
【魔女の薬店】で参加。

あとは指揮官を倒すのみか。
奇妙なナマモノどもを率いる羽目になってご苦労なことだが、同情して手心を加えるなんて真似はせんさ。

使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
小さな蟹の使い魔が死角から襲ってくる――一匹だけなわけはないとして、数は多いだろうか?
まあ何匹であろうが、どこから来るのだろうが、構うまい。
まずは全方位に【砕空狼牙】の斬撃波を放つ。威力よりは速度、射程よりは密度を重視した斬撃の網を作り上げ、蟹を迎撃しよう。
仮に網の隙間を突破してくる蟹がいたとしても、闘気の渦で払いのけるなり何なりできそうなもの。
これで、少なくとも拮抗状態生み出し、それを保つことはできるだろう。
仮に蟹への対処で手一杯で、私の斬撃波を届かせることができないにしても、幸いこちらには味方に恵まれている。
ヒュドラの意識が私に向いている間に、薬店の誰かしら……馬鹿火力を持つエルなり誰かなりが、押し潰してくれるだろうさ。


小鳥遊・英
【魔女の薬店】で参加
このお方はあんまりキモくないので直視できます!

というわけで、テテーン!オートエイム銃〜
今回はスナイパーライフル型にしました
いやだって距離は取りたいじゃないですか??
ビー玉に炸裂魔法のコードを組み込んだ特製銃弾でみなさんをアシストします

後方支援者がなぜ後方に居ると思いますか?
……いやビビってるわけではなく
いやいやそりゃちょっとはビビってますけど!
戦場を俯瞰するように全体を把握し、手の足りない場所や危ない場面をアシストするためです

わたしには大きなチカラはありません
それは他の方の役割でしょう
ならば、わたしは下地を整え、他の方が実力を発揮できるようお手伝いするのみです

――さて、始めます
遮蔽物はありませんが、距離を取ってライフルを構えて
取り逃した蟹がいればそいつを
ヒュドラが攻撃モーションに入れば隙を作るべく射撃を

さあ、お膳立ては致しました
どうぞよろしくお願いしますね


黄泉王・唯妃
【魔女の薬店】で。
呼び方はそれぞれ、桂菓、エル、あきらさん。

さて、雑魚はすべて片付きましたから後はアヴァタール級を残すのみ。
最早小細工も不要。全力戦闘で行きますよ皆さん!

【水中適応】と【完全視界】、パラドクスで水中を高速で移動して相手を撹乱しつつ、スピードを活かして皆の死角をカバーしてディフェンスできるように立ち回りましょうか。
打撃、鋼糸で相手の体勢を崩しながら攻めるの事を主にします。

「火力は申し分無し、援護もある。ならば私はいつも通り遊撃に回りましょう」
「なんだかんだで楽な仕事でしたね。いつもこうだと面倒が無くていいのですが」


エルフリーデ・ツファール
【魔女の薬店】で参加。
常に煙草吸ってます。

今回のお仕事もアイツで終いか。
やっぱ海とかは気分も上がらんし、さっさと片付けて飲みに行くぞお前ら。

【高速詠唱】で一気に術式を開放。
【オーラ操作】で炎の尾を操り、束ねた一撃で【貫通撃】だ。
近接戦闘の技術は高くないが、一人じゃないんでな。
他の奴の動きの流れに乗るようにして最大火力をぶち込んでいくぞ。
相手の反撃は毒液のようだが水中であるのに加え、パラドクスの影響で全身を薄く炎が覆っているからな。
相性的に直撃を貰う事は少ないだろう。

「おうおう、最後だからかみんな元気だなァ。まあ団長として恥ずかしくない程度には仕事させて貰わなェとなァ!」
「おっし、終わり終わり。帰ったら乾杯といこうぜ。あきらは未成年だからジュースでだけどな」


 レルネーのヒュドラを乗せた船は、風を受けて波間を漂っていた。
 正しくは、漂流していた。
「……舵取りまで出ていって、こっちはどうするつもりなのよ」
 レルネーはため息を付く。
「何を考えてるのかわからない奴とか、暑苦しい奴とか、もう面倒くさい……」
 そこに、水面がにわかに泡立った。
 海中から飛び出してきたのは、陳・桂菓(如蚩尤・g02534)であった。
「お前が、あの肺魚や海豚どもを率いていた指揮官か」
「……率いたかったわけじゃないけれども。あんなの」
 肩をすくめるその仕草が妙に可笑しく、船縁に立った桂菓は口の端を持ち上げる。
「ふ。奇妙なナマモノどもを率いる羽目になってご苦労なことだが、同情して手心を加えるような真似はせんさ」
 『魔女の薬店』の面々も、次々と甲板へと登ってくる。
 小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)はヒュドラに目をやって、
「あ、このお方はあんまりキモくない……」
 とは言っても、その「髪」は水蛇でできていて、うねうねと蠢いてはいるのだが……。
 だが、無表情に叫ぶ肺魚どもや、テカテカツルツルでマッスルなドルフィンマンどもに比べれば……。
「うん、まだマシです、かなり。ちゃんと直視できますよ!」
「それはなにより、あきらさん。
 雑魚はすべて片付きましたから、もはや小細工も不要! 全力戦闘でいきますよ!」
 と、黄泉王・唯妃(アトラク=ナクアの娘・g01618)は黒黄の縞を持つ大きな手の指を蠢かせる。
「おーう。今回の仕事も、アイツで終いか」
 エルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は大きな息とともに紫煙を吐き出し、
「やっぱ海とかは気分もあがらんし、さっさと片付けて飲みに行くぞお前ら!」
 と、【高速詠唱】を開始した。複雑な術式が、瞬く間に練り上げられていく。
「獣の野生と赤き炎を、この身に宿せ……ッ!」
 エルフリーデは、かぶっていた魔女帽子を掴んで懐にねじ込んだ。その頭には、炎で象った狐の耳が生えている。
 そして腰からは、同じく9本の尾が垂れていた。
「飲み……?」
「悪いが、あきら。未成年のお前はジュースで、だ」
「いえ、そうではなく……居酒屋とか、なんか怖くないです? ウェーイ系が絡んできそうで」
「普通に飲んでいれば、そうそう絡まれるようなことはないさ」
 そう言って笑う桂菓を横目に見て、唯妃は目を細める。
「むしろ、絡んでくるのは桂菓ですね。『ねぇん~』とか言って」
「む……まぁいい。そうと決まればさっさと片付けるぞ!」
 桂菓は双短戟『騰蛟昇竜』を構えて敵将に挑みかかり、また唯妃も鋼糸を繰り出す。
「行くことに決まったんです?
 えと、実はソシャゲのイベントが今日までで……!」
「諦めろ」
「ひどい!」
 涙目になる英だったが、エルフリーデは目を眇めて、
「イベントはもっと計画的に回せ」
 と、にべもない。
「せ、正論で人を殴るような真似を……!
 わかりましたよ! アシストしますから、お願いします!」
 テテーンと、わざとらしい効果音を口でいいながら取り出したのは、
「オートエイム銃~!」
 スナイパーライフル型のそれを構え、英はしっかりとストックを肩に当てて狙いを定める。
 なんだかんだと言いつつも、こうなった以上はさっさと決着をつけたいのはヒュドラの方も同じだったようで、
「かかってきなさいよ。それとも、私が怖いのかしら?」
 と、頭部から生えた水蛇型の触手を蠢かせ、英へと狙いを定めた。
「び、ビビっているわけではなく! いやちょっとはビビッてますけども! いやだって距離は取りたいじゃないですか!」
 息を呑みながらも、その引き金を引く。
 ヒュドラは身を翻したが、自動照準のコードが組まれた銃は、自動的に僅かに銃口を左に動かしていた。銃弾が、ヒュドラの肩をえぐる。
「どうです? 距離を取っているのも戦場を俯瞰するため。わたしには大きなチカラはありませんが、下地を整え、他の方が実力を発揮できるようお手伝いするのみです!」
「このッ!」
「ひ!」
 ヒュドラはその触手で英に襲いかかろうとするも、
「任せろ!」
「火力は申し分なし、援護もある……ならば私は、いつも通り遊撃に回りましょう」
 桂菓の短戟が触手を次々と斬り飛ばし、唯妃の鋼糸がそれらを絡め取る。
 一気に間合いを詰めた桂菓が得物を振るう。その刃も手足も闘気の渦に包まれており、
「行けッ!」
 と、ヒュドラの足元を這い回っていた蟹型の使い魔が飛びかかってきても、
「斬り刻むッ!」
 それを容易く両断してヒュドラに挑みかかる。繰り出した得物は衝撃波を生んで、ヒュドラの脇腹を斬り裂いた。
 だが、使い魔はそれだけではない。桂菓の背後にあった樽や帆の影から、次々と飛びかかってくる。1匹の鋭い鋏が、桂菓の足首を挟んだ。
「桂菓!」
 唯妃が鋼糸を放ち、その使い魔を絡め取って硬い殻ごと砕く。
 桂菓も流れる血などものともせず、
「1匹や2匹ではなさそうだな……!」
 短戟を振るい、全方向に向けて衝撃波を放つ。衝撃波は使い魔の隠れていた帆柱や船室を吹き飛ばした。衝撃は船底にまで及んでいたらしく、船は徐々に海に飲み込まれていく。
「なんてことをしてくれるのよ……!」
 海に投げ出されるヒュドラ。ディアボロスたちも次々と海中に、あるいは水上に立って戦い続ける。
「地を這い、天に巣を掛け、そして水の中すら支配する……蜘蛛の適応力を舐めないでくださいね?」
 唯妃は水中を跳ねるように動き回り、巧みに使い魔どもの鋏から逃れる。
 そして好機と見るや、一気に間合いを詰めてヒュドラへと打ちかかった。敵は長い尾を振ってそれを阻もうとしたが、
「そこに、隙が生まれるのです」
 唯妃の鋼糸が敵の腕に絡まって、引いた。体勢を崩すヒュドラ。
 そこに躊躇無く飛び込んだ唯妃はすれ違いざま、硬質化した爪をヒュドラの尾に突き立てる。吹き出た血が煙のように、海中に漂った。
「めんどくさい連中ね……ッ! でも、この程度で私が倒れるとでも?」
 次々と襲いかかってくる使い魔。桂菓も唯妃も、その対処に忙殺された。
 しかし、またも1匹の使い魔を鋼糸に絡め取った唯妃の傍らで、桂菓は口元をほころばせる。
「幸い、味方には恵まれているのでな。お前がこちらを向いている間に、薬店の誰かしら……馬鹿火力を持つエルなりが、押し潰してくれるだろうさ」
「馬鹿とは、ずいぶんな物言いじゃねぇか」
 文句を言ったエルフリーデであるが、その口の端はニヤリと持ち上がり、ギザギザの歯が覗いている。
「おうおう、最後だからか、みんなも元気だなァ!」
 水中であっても燃え上がる九尾を捻りつつ、エルフリーデは海底の岩を蹴ってヒュドラへと迫る。
「まぁ、私も団長として恥ずかしくない程度には仕事させてもらわねェとなァ!」
「くッ!」
 ヒュドラの頭から伸びた触手が、一斉にこちらを向く。蛇どもは大きく口を開いたかと思えば、見るからに不吉な色をした毒液を噴出させる。
 海中でありながらも、豪雨のように襲い来る毒液。わずかに触れただけで、エルフリーデを激痛が襲った。
「英雄さえ殺す毒、思い知ったかしら!」
 ヒュドラはかさにかかって、なおも毒液を放つ。しかし、
「お膳立てはいたしました。どうぞよろしくお願いしますね!」
 英の放った銃弾が、ヒュドラの額で弾ける。
「おう、任せろッ! ははは、心が跳ねるぜ!」
 九尾を捻り纏めて、エルフリーデはヒュドラを目掛けて突進する。毒液はなおも降り注いできたが、九尾を包む炎がそれらを蒸発させた。
「ひ……!」
「喰らえッ!」
 尾はヒュドラの胴を深々と穿ち、風穴を開けた。

「終わってみれば、なんだかんだで楽な相手でしたね」
 海底の闇の中に消えていくヒュドラの骸を見下ろし、唯妃は微笑んだ。
「いつもこうだと、面倒がなくていいのですが」
「おっし、終わり終わり。帰ったら乾杯といこうぜ! 朝まで飲むぞ」
「ははは、長夜の飲だな」
 エルフリーデと桂菓が顔を見合わせ、笑う。
 さり気なく離れようとした英の首根っこは、ふたりにしっかりと掴まれた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
【水面走行】がLV2になった!
【水中適応】がLV2になった!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2024年05月23日

イオニア海の海戦

 バーリの決戦に勝利したディアボロスですが、攻略旅団の提案により、海路で『オリンピア』を目指す事となりました。
 オリンピアは現在のギリシャに存在します。この地域は蹂躙戦記イスカンダルではジェネラル級亜人『単眼王・アンティゴノス』の領土内の重要拠点であり、陸路よりはマシとはいえ、海路での侵入も非常に困難です。

 イタリア南部とギリシャを結ぶ『イオニア海』には、ジェネラル級亜人『白のクレイトス』がおり、海からの敵に対して目を光らせています。
 白のクレイトス配下には、キプロス島で訓練された、エンネアド、マミー、ゾルダートなどが多く配属されており、海上戦闘を得意とするようです。
 まずは、海戦でクレイトスの軍勢を撃破してください。
 クレイトス軍の戦力が低下すれば、白のクレイトスとの決戦や、その目を掻い潜ってアンティゴノス領へ上陸する作戦などが実行可能になります。
 必要に応じて、攻略旅団で攻略提案を行ってください。

白のクレイトス


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#蹂躙戦記イスカンダル
🔒
#イオニア海の海戦
🔒
#イオニア海
🔒
#白のクレイトス


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選択肢『海を泳ぐ』のルール

 目的地まで、海を泳いで移動します。
 移動が終了するまで目的地に到着できない為、他の行動を取ることは出来ません。
 移動中に敵に発見される可能性は低く、移動の障害となる危険も無いので、ちょっとした海水浴を楽しむ事が出来るかもしれません。  詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『ドルフィンマン』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾哨戒任務中のトループス『巨大肺魚』のルール

 国境や重要拠点の周囲を警戒して哨戒活動をしているトループス級です。
 怪しい物音などで、敵を誘き出して有利な状態で戦闘を行ったり、敵に発見されないように出来るだけ対象に近づくなどの工夫をする事で、得られる情報を多くするなど、状況に応じて、作戦を工夫すると、目的を達しやすいかもしれません。
 アヴァタール級に率いられている場合と、トループス級単独で哨戒任務を行っている場合があるようです。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『レルネーのヒュドラ』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「エイレーネ・エピケフィシア」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。