【断頭革命グランダルメ奪還戦】信仰の残り香(作者 つじ
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#断頭革命グランダルメ  #【断頭革命グランダルメ奪還戦】獣神王朝の残滓  #断頭革命グランダルメ奪還戦  #③ラー・ホルアクティ 

●わんわん
 ヌーテンシャル方面へと出向いた一団、そこには機械人形とも亜人とも違う、獣の頭を持つクロノヴェーダの姿があった。
 エンネアド――敗退した獣神王朝から流れ着いた彼等は、天空神と太陽神の名を冠した自動人形に付き従い、防衛の任に就いているのだ。
「ホルアクティ様は、おっしゃった。ディアボロスの攻撃を撃退する事が出来れば、皇帝陛下は、無限の力を手に入れるのだと」
「オベリスクの力で、既に滅びたディヴィジョンから力を得ることが出来るのだと」
 彼方を見つめるつぶらな瞳には、信仰のそれを思わせる無垢な光を湛えていた。
「――つまり、獣神王朝エジプトの力も、いずれ、呼び出せるようになる」
 失われし世界を、その光の中で見つめながら、夢見るように彼等は言う。
「ナポレオン陛下こそ、獣神王朝エジプトを再興するファラオとなるだろう」
 わんわん、くーん。


「この地の奪還戦も近付いてまいりました。皆さん、準備はよろしいですか?」
 新宿駅の一角で、盾祀・楓(人間の風塵魔術師・g03193)が一同に問いかける。
 《七曜の戦》後、姿を消していた断片の王ナポレオンだが、その狙いがようやく明らかになった。スイスを最終拠点とし、オベリスクの力を利用して、起死回生の策を講じていた――というのがその内幕だが、攻略旅団の作戦により、これを事前に阻止、追い詰めることに成功している。
 しかし、追い詰められたナポレオンは、ディアボロスへの復讐心を利用して火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラウィッチを決戦に誘うと共に、グランダルメの豊富な人口を餌に、蹂躙戦記イスカンダルの亜人を引き入れ、ディアボロスとの決戦を戦い抜こうとしているらしい。
「この戦いに生き残ったならば、ナポレオンは、オベリスクの力を使って、北アフリカに疑似ディヴィジョンを創造し、その力を取り戻してしまうでしょう」
 世界史に名を残す英雄の名を冠する、ナポレオンと、イスカンダル。2体の断片の王と戦う事になるので、激しい戦いが予測されるが。
「皆さんならば、きっと切り抜けることが出来るはずです」

 ナポレオンは、確かに追い込まれた状態だが、ここで取り逃がせば、力を取り戻して再び、ディアボロスの前に立ち塞がる事になるだろう。淫魔を戦力化して配下に組み込む手法、他勢力を巻き込んで事態の打破を狙うその手腕、いずれの観点からも、この戦いで仕留めておきたいところだ。
「この奪還戦におけるディアボロスの作戦方針は、戦争後の状況に大きな影響を与えるかもしれません……より良い結果を勝ち取るためにも、ここで敵勢力を削いでおきましょう!」
 最後にそう締めくくって、楓は一同をパラドクストレインへと導いていった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【照明】
2
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

つじ
 こちらは『断頭革命グランダルメ奪還戦』のファーストアタックシナリオになります。
 一章構成、速度優先で進めますのでよろしくお願いいたします。

●ボナパルティズム・インプゥ
 いぬです。いやエンネアドです。
 自動人形の『ラー・ホルアクティ』――獣神王朝エジプトの叡智を秘めたジェネラル級自動人形であり、ベルンのオベリスク化に大きな役割を果たした彼の配下です。現在は、その叡智の結晶であるベルンを護るべく防衛網を築いています。
 現在はナポレオンを崇拝しているようですが、獣神王朝再興の願いもまたその胸に抱いているようです。
 とにかく数が多いので、『吶喊して暴れたら即撤退する』、『はぐれた少数の部隊を倒して戦力を減らす』などの方針を推奨します。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


ジズ・ユルドゥルム
獣神王朝の再興か。
エンネアドやマミーの元になるリターナー達も、再び作り出すつもりなのだろうか。
蘇った獣神王朝は…鉄の神に見守られ、無限の力を持つ王の庇護のもと、
死者と生者が再び会える世界といったところか?
ふふ。夢のようだな。

…犬派の仲間には酷な見た目の敵だな…。
…いぬ、あののちょろっと出た桃色のベロがかわい…
ハッ、いかん。ついいぬのことを考えてしまう。
ケレイ(鷹のジン)のカッコいい場面集を脳内再生して対抗しよう…!

「炎天の巡・旋」を起動、「守護者の戦斧」を構える。
私は手斧の機動力を活かして敵陣へ吶喊し、イヌ達を撹乱する。

斧に炎を灯して敵陣に向かって投擲、炎の勢いを強くしながら、大きく円を描く起動を描いて手元へ戻す。
炎に巻かれた敵の撹乱を狙いつつ、手元に戻した斧で敵陣へ斬り込み、混乱した敵へ斬撃を叩き込み数を減らしていく。
…頭はあんまり狙わないようにしよう。

敵陣深くへは向かわず、敵が体勢を整える前に素早く撤退する。

獣神王朝は、死者が蘇る夢の世界はもう終わった。
夢は夢のままでいることだ。


●終わった夢の残滓
「獣神王朝の再興、か」
 ボナパルティズム・インプゥ、居並ぶエンネアドの群れを遠目にして、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は小さく呟く。あのエンネアド達の夢見る世界、失われたあのディヴィジョンをなぞるのならば、エンネアドやマミーの元となるリターナーの存在も不可欠だろう。
 彼等の願い通りやり直し、蘇った獣神王朝は、獣頭ではなく鉄の神に見守られ、死者と生者が再び会える世界――ということになるか。
「……ふふ。夢のようだな」
 その理想は理解できないこともない。エンネアドとはいえ、願いを抱くその瞳は無垢に輝いて見えるし、ちょろっと出た桃色のベロもかわいく……いや、一体何を考えている?
 逸れだした思考を元に戻すように頭を振る。自分でさえこの有様なのだから、犬派の者にとってはさぞ辛い相手だろう。意識を持っていかれないようにと努め、ジズは片刃の斧をその手に握った。
 思い浮かべるのは、ケレイのカッコいい場面集。脳内再生したそれをなぞるように、斧へと力を宿らせる。篝火のように灯った焔を手にし、彼女は強く地を蹴った。
『敵襲! 敵襲です!』
『迎え撃ちましょう! 皆さん、我等が王を讃える歌を――!』
 にわかに騒ぎ出したエンネアド達が、揃って信仰の歌を紡ぎ始める。寄せる波のように厚みを増す聖歌は、力ある幻影を織り成していく。
「遅い!」
 それが狗頭の巨神を描き出す前に、ジズは炎を纏った手斧を投擲した。
 鋭く放たれたそれは宙を舞い、旋回すると同時に風を、炎を纏い、赤く燃える軌跡を描く。そこに宿ったケレイの力でブーメランのような軌道を取って、狼の牙がポメラニアン頭の幻影を斬り裂いた。
『アーーーーッ!』
『不敬!不敬ですよ!!』
 刃と炎、それに巻き込まれたエンネアド達が悲鳴を上げて慌てふためく。そこに、空中で手斧を受け止めたジズが、刃を閃かせて飛び込んでいった。
 敵の混乱に乗じて切り込んだ彼女は、手斧の取り回しの良さを活かして付近のエンネアドを血祭りに上げる。抵抗の姿勢を見せた個体を蹴り飛ばし、得物を振りかぶり――。
『ま、負けませんよー!』
 そのつぶらな瞳と目があって、一瞬ジズの眉が跳ねる。停滞、と言うほどの隙はなかったけれど、縦に振るわれるはずだったそれは、曲線を描いて敵の胴を切り裂いた。
『フェイントとは……お見事です……』
「……」
 そう、フェイントだ。頭に刃を振り下ろしにくかったとか、そういうことは決してない。
「……獣神王朝は、死者が蘇る夢の世界は、もう終わった」
 夢は夢のままでいることだ。
 崩れた敵陣の一角、そこに言い聞かせるような言葉を残す。そして彼女は、敵方が体勢を整える前に踵を返した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

ゼキ・レヴニ
なにっ、今回の敵は殊更に犬アピールをしてくるエンネアドだと…!
戦れるのか…?犬派のおれが…。
いや目を覚ませゼキ・レヴニ。あいつら胸から下めちゃくちゃ人間だぜ
つまり頭を見なければ…行ける!

遮蔽物や高所から偵察
斥候部隊など本隊から逸れた部隊へ、建物や地形の影に身を隠しながら近づき
味方とタイミング合わせて強襲を仕掛けるぜ

そおら、餌の時間だ!
金属塊『躯』を変じた大鍋の中で溶解した鉄を、雨のごとく奴らの頭上へ
魅惑の鳴き声も喉ごと焼けちまえ
つぶらな瞳と目が合わんように敵の足元を見て動きを探るが
モフモフの誘惑に負けそうになったら
飼い犬のネイトの散歩グッズ『Neith』を握り、「情熱」をもって本物の犬の尊さを思い出すぜ
フリスビーキャッチして得意げないぬ…ホットドッグを丸ごと奪ういぬ…ゴロンして腹を撫でさせるいぬ…
くっ、カワイイ!
犬擬きがネイトに敵うモンかよ…!
【ガードアップ】も重ねて「誘惑」を跳ね飛ばし、リードを鍋で焼き切って反撃するぜ

ある程度片付けたら不利になる前に撤退だ
戦争までステイしてな、ワンコ達


サアシャ・マルガリタ
あ、あれはポメラニアン……の、頭!?
可愛さにかまけて油断したところを突く作戦ですか。くっ、汚い!
……でも胸から下は人間ですよね?
ふ、そんな不完全な姿に惑わされるサアシャだと思ったら大間違いですよ!

目には目を、歯には歯を。ペット(?)にはペット(?)を
踊る銀シャリをけしかけて群れから数匹誘い出し、はぐれたところをとっちめるです
わんこなのは頭だけとはいえ……銃で撃つの、胸が痛みますね
サアシャはどちらかと言えば大型犬の方が好きですし、更に言えば猫派なんですが……

なんて躊躇っていたら銀シャリが囓られているです!?
やられる前に、やれー!!!(どんどんばーん)

少しでも頭数を減らせたら欲張らずに撤退するです
……銀シャリ? 何ですかその虚無の奥底から覗くじっとりした眼差しは
いえ、わんちゃんねこちゃんには弱いですが相棒はやっぱりペンギンに限るですよ。ねっ(ご機嫌伺い)


●目には目を
「あ、あれはポメラニアン……の、頭!?」
 防衛網を成す敵の姿を眼にして、サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)は驚愕に目を見開いた。エンネアドやら亜人やらその手の相手は見慣れているかもしれないけれど、今回の相手には独特のインパクトがある。
 ふざけているのかと問いたくなるところだが、敵の狙いを彼女は即座に看破した。そう、あれは可愛さにかまけて油断した敵を、集団で血祭に上げる作戦に違いない――。
「……くっ、汚い!」
 そうかなあ、という感情を押し込んだような眼で銀シャリがこちらを見ているが、恐らくは気のせいだろう。何しろあの愛くるしい顔立ちは、刺さるところには深々と刺さる。
「戦れるのか……? 犬派のおれが……!?」
 ということで、こちらのゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)もまあまあ心を揺さぶられていた。幸いなのはまだ会敵前であるという点だろうか、今ならば、まだ心の準備とか対策を試みることができる。初見のインパクトさえ乗り越えてしまえば、突破口だって見えてくるはず。
 さあ、目を覚ますのだ。
「あの胸から下……人間ですよね?」
「ああ……めちゃくちゃ人間だな」
 裾のひらひらした服で判別しづらいが、どう見ても四足歩行ではない。ふさふさの毛並みも無いようだし、何なら靴とか履いてるし。
「ふ、そんな不完全な姿に惑わされるサアシャだと思ったら大間違いですよ!」
 もはや完全に見切った。そう宣言したサアシャは、それを踏まえた完璧な対抗策を考案する。目には目を、歯には歯を。つまり、ペットにはペットである。
「頼んだですよ、銀シャリ!!」
 色々と疑問は残るが、虚無の瞳はその全てを呑み込んで踊り始めた。
『皆さん、敵襲です! ……敵襲です?』
『いや、何でしょうあの踊りは……求愛?』
 あえて発見される位置で踊り出したダンジョンペンギン、その不思議な踊りに気を引かれ、巡回中だったエンネアドの一団がふらふらと銀シャリを追いかけていく。うまいこと本隊から切り離された彼等に向けて、サアシャは隠れた位置から銃を向け――。
「なんか銃で撃つの、胸が痛みますね」
 わんこなのは頭だけだと分かってはいる、それにサアシャはどちらかと言えばポメより大型犬派、というかそれ以前に猫派なのだが、スコープ越しに見たつぶらな瞳はそんな理性を揺らがせる魔力を秘めていた。
「……ああっ、躊躇ってる間に!?」
 迷う時間はそう長くはなかったけれど、その間に追いつかれた囮こと銀シャリが、ポメラニアン頭のエンネアドに齧りつかれていた。
「そおら、ワンコども! 餌が欲しけりゃこいつをくれてやる!」
 『火輪の匙』、ゼキの掲げた金属塊が大鍋の形へと展開し、赤く眩い熱を帯びる。そうして鍋の中で熱され、溶解した鉄を、雨の如く降り注がせた。
「銀シャリ、今の内です!」
 わあわあと悲鳴を上げるエンネアド達に、今度こそサアシャが銃弾を浴びせる。混乱に陥る敵の姿、その悲哀に満ちた声とつぶらな瞳が罪悪感とかその辺を煽ってくるが。
「いや、頭を見なければ……行ける!」
 ゼキはその結論を元に、追撃の手を緩めない。敵を見ないと狙いが定まらないけれど、その辺は敵の足元を見ていれば大体わかる。惑わされぬよう、努めて冷静に――と思っていたのだが、どうやらスッ転んだらしい個体がゼキの視界に飛び込んできた。
「くっ……!?」
 モフモフした毛並の頭は完全にかわいらしいポメラニアンのそれ。犬と戯れる親愛の光景が頭を過って、ゼキは銀細工の反射板――愛犬のお散歩グッズを強く握りしめた。そう、サアシャの言に従うならば、『ペットにはペット』である。
 フリスビーキャッチして得意げないぬ……ホットドッグを丸ごと奪ういぬ……ゴロンして腹を撫でさせるいぬ……。愛犬の姿を思い返すことで、頭の中に描かれる敵の姿を上書きしていく。どちらがかわいいかなど、言うまでもなく、一目瞭然なのだから。
「犬擬きがネイトに敵うモンかよ……!」
 首を捕らえようとするリードを赤熱した鍋で焼き切り、ゼキは敵の反撃を無効化した。
 サアシャの追撃と合わせて鍋をもうひと振るいし、二人は銀シャリの誘い出した一団を撃滅する。騒ぎに気付いた本隊から、援軍らしき者達が迫ってきているが。
「おさらばですよ!」
「戦争までステイしてな、ワンコ達」
 この辺りが頃合いだと見切り、二人はそこから離脱していった。
「……銀シャリ?」
 敵を撒けたか、と後ろを振り返ったサアシャは、ぺたぺたと付いてきているダンジョンペンギンと目が合う。
 そこにはいつも通りの虚無が広がっているわけだが、何やら今はじっとりと、もの言いたげに見えるような……?
「……いえ、わんちゃんねこちゃんには弱いですが相棒はやっぱりペンギンに限るですよ」
 ねっ、銀シャリ。
 取り繕うようにそう言っては見たが、視線はやっぱりじっとりしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

白戸・もがり
いぬかわいい。……ではなくて!
これは立派な前哨戦、ちゃんと戦って数を減らさないとねえ
そう、愛らしいのは顔だけ。身体は人型だし、そもそもクロノヴェーダなんだから……

それじゃあ、私は少数部隊を探して叩く方針でいこうかな
敵陣の地形は行ってみないとよく分からないけど、見回りの部隊とかは普通にいそうだし、そういう敵を見つけたら攻撃
仲間が近くにいるなら仕掛けるタイミングを合わせる、もしくは仲間が仕留め損ねた敵を狙い確実に数を減らしていくよ

攻撃を仕掛けた後は、反撃を受けつつも敵本軍から遠ざかるように後退して釣り出していこう
というかよく見たら、パラドクスの幻影まで犬の頭なんだ
でも、本物の犬が一番かわいくて素晴らしい。そんな紛いものには(気持ちの上では)負ける道理が無いなあ!

釣り出した一団を倒したら、また別の少数部隊や、混乱の中で逸れた敵なりを探し同じように攻撃
他の仲間たちの動きや敵軍全体の動向は確認しておいて、囲まれないように立ち回る事は忘れない
良い感じに数を減らせたり、ジェネラル級が出てきた場合は撤退


●幻の春
 彼方にて防衛線を形成するのは、他ならぬ獣の群れ。人には無い獣毛で覆われた頭部を持つ兵隊達の様子を観察し、白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)は敵の特性を見極める。戦場らしく膨大な数の相手に仕掛ける以上、こうした見立ては不可欠である。
 戦い慣れたディアボロスたる彼女の瞳は、すぐにその敵陣から有用な情報を見つけ出すだろう。
「いぬかわいい」
 ではなくて。
 思わず零れたそれを追い払うように頭を振って、もがりは改めて杖を構えた。
「ちゃんと戦って数を減らさないとねえ……」
 少々意識を逸らされたけれど、しっかりと見れば愛らしいのはその顔だけ、それ以外へと眼を向ければ、姿形は人そのもの。
 そもそもクロノヴェーダであるのだから、見た目に惑わされることなどあり得ない、はず。先に仕掛けた仲間のディアボロス達も、(たぶん)躊躇うことなく攻勢をかけている。その動きに呼応するようにして、もがりもまた敵陣へと切り込んでいった。
 狙うべきは、先の攻撃によって指揮が乱れ、にわかに孤立した小部隊。どこに向かうか決めかねている彼等へと杖を振るう。
『……うん?』
『気持ちの良い風ですねえ』
 戦場には不似合いな、柔らかく穏やかな風に、エンネアド達は心地よさそうに鼻を鳴らした。しかしながら、それは飽くまでパラドクスの見せる幻覚に過ぎない。実際には巻き起こされたカマイタチが、その身を深々と切り裂いていた。
『ワーッ、何事ですか!?』
『敵襲! 敵襲ー!』
 さわやかな笑顔を浮かべたまま倒れた味方の姿に、エンネアド達が騒ぎ出す。
「おっと、見つかったかな?」
 そんな彼等にあえて姿を晒してみせて、もがりは敵の一団を引き付ける。敵の本隊からさらに遠ざけてしまえば、仲間のディアボロス達も好機と見て仕掛けていった。
 襲撃者に抗うべく、犬頭のエンネアド達も揃って聖歌を紡ぎ始めて――。
「ふうん、パラドクスの幻影まで犬の頭なんだ」
 生み出された幻影、巨大な獣神の姿を見上げ、もがりが呟く。エンネアドの姿と同様、その頭は愛らしいけれど……本物の犬が一番かわいくて素晴らしい、つまり。
「そんな紛いものには負ける道理が無いなあ!」
 抗うようにそう口にして、再度の春風を、冷たい冬の刃を放つ。切り裂く一閃は幻影と共に、その向こうのエンネアドを両断した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

レジーナ・ネイサン
《灰桜》
連携・アドリブ◎

取り戻した大地
また奪われる訳にはいかないな
その為の前哨戦って事だね
がんばろう

ルリラと自分達に光学迷彩を使用
建物や物陰に隠れながら忍び足で移動し探索
見回り等のはぐれ小隊を見つけて迅速な各個撃破を狙うよ

…イヤ、犬だね?
ふわふわ毛にウルウルの目
等身おかしいけど非常に犬だね…?
あれ、ブラシがご機嫌斜めだ
自分の方がモフモフだって?わかってるよ
でもルリラのご友人のムジカは良いふかふかだ、って!
うん、ムジカとブラシのお陰で迷わず戦えそうだ

目的の小隊を見つけたら背後へ移動
ルリラと目配せ、タイミングを合わせ強襲
響く歌声と躍る様に
『Iris』で不意打ちを狙おう
ごめんね
あなた達を帰す訳にはいかない
その等身での突撃は怖いな!?
ダッシュで間合いを取りダメージの軽減や包囲の防止を狙おう
わあ、幻影までポメラニアンが出てくるのか…
もっと素晴らしいモフモフと歌を知っているので!
即お還り願うよ

ルリラをディフェンス
互いの消耗具合を確認し、皆で戦い抜く
引き際は誤らずに増援前に退却を
ふふ
ありがと、ムジカ


ルリラ・ラプソディア
《灰桜》
連携・アドリブ◎

…みんな、それぞれに願いをもって戦いに来てるのね…
ナポレオンへの信仰は彼らの希望なのよね
でも、もう誰にも何も失わせたくないから
うん。いっしょに、がんばりましょう

レジーナさんと【光学迷彩】を共有
なるべく敵の死角へと回り込み
はぐれた少数の隊の戦力を減らす方針

つぶらな瞳で無垢な犬…ね
きらきらうるうる…
愛らしさある姿に気が抜けそう
黒兎のAimer Musica(ムジカ)もブラシさんに倣い
ぼくだって、もふ負けない!とぴょんぴょん
可愛い友人達の対抗心にクスッと笑み零す

うん
ふたりに敵うかわいらしさなんてないと思う

目標を定めれば『フェネクスヴォイス』
敵の動きを鈍らせる精神蝕む歌唱
レジーナさんの色彩の弾丸を敵に命中させるために連携する

わ…おっきなぽめらにあんのお顔
ふふ、強くて素敵な聖歌
でも…わたし達も、護るために戦ってる
だから、歌で負けるわけにはいかないわね

頃合いを見て撤退
増援が来る前に歌に織る魔力で結界術展開
撤退防衛に徹する
ムジカが退路を見失わないようにこっち!と導いてくれる


●歌声と色彩
 この地区にて防衛線を形成するエンネアド達の望みは、失われし世界、獣神王朝の再興だ。元居たディヴィジョンの影響もあるだろう、彼等は神を崇めるのと同様に、断片の王に祈りを捧げる。
「……みんな、それぞれに願いをもって戦いに来てるのね……」
 戦場がグランダルメであるとはいえ、各勢力ともに異なる思惑を抱いている。そして同じ陣営の中でさえも、利害の一致こそあれ願いは様々だ。
「ナポレオンへの信仰は彼らの希望なのよね」
「そうみたいだね、でも――」
 ルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)の言葉に、レジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)がそう続ける。
「取り戻した大地なんだ、また奪われる訳にはいかないな」
 誰かの希望は、別の誰かの絶望になり得る。戦場で対峙する相手ともなれば、その可能性はどうしたって高くなるだろう。純なる祈り、無垢な願いであろうとも、それを通せば泣くことになるのはこちらの『人間』だ。
 もう誰にも、何も失わせたくない。そう口にしたルリラと、レジーナが頷き合う。
「――がんばろう」
「うん。いっしょに、がんばりましょう」
 揃って敵へと目をやれば、祈りを捧げる者や戦仕度を続ける者、そして巡回を続ける者など、様々な敵の様子が見て取れるだろう。そして同時に、この辺りに集まった敵の姿も見ることが出来る。
「……イヤ、犬だね?」
「つぶらな瞳で無垢な犬……ね」
 ふわふわした毛にウルウルの目、気勢を削がれる、というかやる気がどこかへ行ってしまいそうな感触に、二人は小さく溜息を吐いた。
「まあ、ちょっと等身おかしいけど……」
 ポメラニアンな頭部に反して、敵の手足は完全に人間のそれ。まあまあ特徴的な風体をそう評していたレジーナは、視界の端にブラシの姿を捕まえる。
「……どうしたのさ」
 戦闘の前の緊張感――とはまた違った仏頂面を浮かべているように見えて、思わずそう問いかける。
「ああ、自分の方がモフモフだって? わかってるよ」
 一方ルリラの連れたウサギの人形、ムジカもまた、アピールするように飛び跳ねている。謎の対抗心を燃やすその姿に笑みを零しつつ、ルリラは両者を落ち着かせる。せっかく隠れて敵の観察に努めているのに、あまり騒いでは見つかってしまう恐れがある。
「うん、ふたりに敵うかわいらしさなんてないと思う」
「まあ、お陰で迷わず戦えそうだ」
 確かに、敵に惑わされない意識付けの効果はあっただろうか。そう応じたレジーナは先程目を付けた一団――巡回し、他から孤立気味のエンネアド達に狙いを定め、静かに素早く、そちらへ近付いていった。
 背後を取るように忍び寄って、ルリラと目配せを交わす。最初の一手は彼女の歌声だ。死と再生の魔力を宿した『フェネクスヴォイス』、精神を侵すそれが不意打ちとしてエンネアドを襲う。敵が思わず身体を硬直させたところに、レジーナは青紫の色彩を加えた。弾丸のように飛ぶインクの一刺しが、何体かのエンネアドを仕留めていく。
『敵です!!』
『迎え撃ちましょう、我等の信仰の力を見せる時です!』
 わんわん、という吠え声のような警句を飛ばし、敵もまた反撃に出てきた。姿勢を低く、構えたエンネアドはその眼を光らせ、強く地を蹴る。
「その等身での突撃は怖いな!?」
 四足歩行で猛ダッシュを仕掛け、じゃれつように迫ってくるそれから、翼を広げてレジーナが抗う。しかしどうにかそれを捌いている合間にも、残る個体が揃って聖歌を紡ぎ始めた。
 歌声と共にパラドクスによる幻影が描かれ、そこには巨大な獣頭の神が顕現する。
「わ……おっきなぽめらにあんのお顔」
「幻影までポメラニアンが出てくるのか……」
 巨大な、それでいてつぶらな瞳に見下ろされながら二人が呟く。
「ふふ、強くて素敵な聖歌。でも……」
 わたし達も、護るために戦っている。負けるわけにはいかないのだとルリラがそれに対抗し、拮抗する歌声の中を黒翼が舞う。
「それに、もっと素晴らしいモフモフと歌を知っているからね!」
 怯むことなく幻影の巨神を突き抜けて、狙う敵へと指を向けた。
「――ごめんね」
 あなた達を帰す訳にはいかない。放たれた色彩の弾丸が、ポメラニアン顔のクロノヴェーダを貫いていった。
 そうして誘い出した一団を打ち払い、援軍が来る前に、と二人は踵を返す。
 「こっちへ」と示すように動くムジカの後を追って、レジーナとルリラは戦場から退いていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2024年04月20日

【断頭革命グランダルメ奪還戦】獣神王朝の残滓

 このシナリオは【断頭革命グランダルメ奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 断頭革命グランダルメのジェネラル級及び、一時的な協力関係を構築した『火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラウィッチ』、『蹂躙戦記イスカンダルの亜人』、漂着後に各勢力の支配下に置いた『TOKYOエゼキエル戦争の大天使とアークデーモン』の軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。

 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、【自動人形のラー・ホルアクティ】の軍勢です。
 『ラー・ホルアクティ』は、獣神王朝エジプトの叡智を秘めたジェネラル級自動人形であり、ベルンのオベリスク化に大きな役割を果たしました。
 現在は、その叡智の結晶であるベルンを護るべく、マミーやエンネアドを率いて防衛網を築いています。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「③ラー・ホルアクティ」の敵残存率を低下させます。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

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#断頭革命グランダルメ
🔒
#【断頭革命グランダルメ奪還戦】獣神王朝の残滓
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#断頭革命グランダルメ奪還戦
🔒
#③ラー・ホルアクティ


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選択肢👾奪還戦ファーストアタック『ボナパルティズム・インプゥ』のルール

 奪還戦直前のファーストアタックで、敵ジェネラル級の戦場に攻撃を仕掛けます。
 この戦闘に勝利する事で、奪還戦時の敵残存率を減少させることが出来ます。
 敵は軍団規模の戦力である為、ある程度戦って敵戦力を削った後は、頃合いを見て撤退してください。
 状況によっては、敵ジェネラル級と遭遇する場合もありますが、この戦闘で、ジェネラル級を撃破する事は不可能です。
 ジェネラル級も深追いはしてこないので、速やかに撤退すれば、逃げ切ることが出来る筈です。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。