【断頭革命グランダルメ奪還戦】天と陽の防衛網(作者 坂本ピエロギ)
#断頭革命グランダルメ
#【断頭革命グランダルメ奪還戦】獣神王朝の残滓
#断頭革命グランダルメ奪還戦
#③ラー・ホルアクティ
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断片の王ナポレオンの拠点である、スイス首都『ベルン』。
巨大クロノ・オブジェクト化した其の地を守る、ヌーシャテル方面の防衛網にて。
其処で防衛の任に就くのは、トループス級マミー『エスカドロン・マムルーク』の群れであった。彼らは周囲を抜け目なく見張りながらも、同胞たちを相手にそれとなく噂話に興じている。
『なあ、聞いたか? ホルアクティ様が仰った言葉を』
『ああ、聞いたよ。ディアボロスを撃退できれば、皇帝陛下に怖いものは無くなる……ってな』
彼らが言うホルアクティとは、このヌーシャテル防衛を担うジェネラル級の名前である。
天空神と太陽神の名を持つ自動人形であり、ベルンのクロノ・オブジェクト化を成し遂げた立役者。そんな指揮官が語ったという言葉を、マミーたちは噂の種にしているのだった。
『オベリスクの力で、既に滅びたディヴィジョンから力を得られるんだと』
『俺も聞いた。てことは獣神王朝エジプトの力も、いずれ……嗚呼、凄えなあ!』
『そうとも。ナポレオン陛下こそ、獣神王朝を再興するファラオに相応しい御方だ!』
いずれ、自分たちマミーやエンネアドにも春が来る――。
その日の到来を待ち侘びるように、マムルークたちは再び防衛の任務に戻って行った。
●新宿駅グランドターミナル
断頭革命グランダルメの頂点に君臨する断片の王、『人形皇帝ナポレオン』。
彼が目論んだ起死回生の策は、復讐者の活躍によって打破された。ベルンに追い詰められ、窮地に陥るかに思われた王は、しかし更なる策をもって奪還戦を戦い抜かんと動き出したのである。
「それが、蹂躙戦記イスカンダルと火刑戦旗ラ・ピュセル……二つのクロノヴェーダ勢力との取引ですっ!」
涯辺・こより(人間のガジェッティア・g03387)はそう言って、復讐者たちへの説明を開始する。
復讐者への復讐と、グランダルメの豊富な人口という餌で外部の戦力を引き入れて、ナポレオンは決戦を戦い抜こうと動き始めている。更には北アフリカに疑似ディヴィジョン『永劫戦線フランスリブレ』を創造する計画を立て、その力を取り戻そうとしているのだと。
ナポレオンとイスカンダル、二体の断片の王を相手取った奪還戦。
それは間違いなく、激しく、そして今までに経験したことの無い戦いとなるだろう。人類の勝利のために、どうか皆の力を貸して欲しい――そう告げて、こよりは説明の詳細に移った。
「今回皆さんに向かって貰うのは、ヌーシャテル方面。綺麗な湖の北端に位置するエリアです」
この地には現在、ジェネラル級自動人形『ラー・ホルアクティ』とその配下たちが、ベルン防衛の任に就いている。そこへ襲撃をかけて敵戦力を削ることが、作戦の目的だ。
「ホルアクティの勢力は、その殆どが獣神王朝エジプトから漂着したマミーやエンネアドで構成されています。今回戦うのは『エスカドロン・マムルーク』というマミーで、魔法機械馬の突撃を得意とする敵みたいですね」
マムルークたちはグランダルメの機械や戦術を会得しており、ナポレオンへの忠誠心も高い。油断せず臨めば苦戦する相手ではないが、一度の作戦でホルアクティの軍勢を全滅させることは不可能だ。したがって、ある程度の数を撃破したら戦場を離脱した方が良いだろう。
「皆さんの戦い次第では、ホルアクティが前線に出て来る場合があるかもしません。そうなった場合は、危険ですからすぐに撤退を行って下さいね。本番は、この後に始まる奪還戦ですから!」
ホルアクティはベルンを守るジェネラル級の一体であり、戦力を減らしておく意味は大きい。現在は奪還戦に向けて大詰めを迎えつつある状況だが、どうか無理をすることのように、とこよりは言う。
「作戦を成功に導いて、そして……必ず無事で帰って来て下さい。それじゃ皆さん、出発しましょう!」
人形皇帝の野望を挫き、奪われた大地と歴史を取り返すため。
獣神王朝の残滓たるクロノヴェーダが待つ地へと、こよりは復讐者たちを送り出すのだった。
リプレイ

零識・舞織
アドリブ・連携歓迎
もう何度目かの戦争ですが今回はまた大規模な戦となってますね。
獣神王朝は奪還戦しか縁が無いですがその残党が足掻くならしっかり引導を渡さねばなりませんね。
人妖筆を取り書き出すは立派な荒武者と沢山の火牛。
荒武者を纏いパラドクスを発動し敵群を薙ぎ払い焼き払います。
突撃してくるなら火牛で迎え撃ちます。ダメージは受けますがあちらもただでは済まないはずです。
自動人形となり果てた異国の神の姿は一目見たいですがあまり無理せず他の方に従い退く時は退きます。
キット・アスワド
エンネアド嫌ってるからって、残党まで追い回す気はニャかったんだがにゃー
ましてやホルアクティなんて人形だし、ラーッて叫ぶだけで
…けど、こーも面倒起こされちゃ話は別じゃん?
エジプトの面汚し共とまとめて一掃してやるにゃん
人形皇帝がファラオにーなんて、まさに莫迦話だけど相手は本気な分やる気は十分なんだよなァ
隙を突くのもムズそーだし数が少ない所を狙って一当てするしかニャいかっ
そっちが人馬一体ならこっちは猫に翼!
高熱が生み出す上昇気流も利用して飛び上がり、【空飛び猫】で反撃ニャ!
危ない時はアミっちが(オレごと攻撃して)フォローしてくれるし安心して突っ込むゼ!
戦ってれば勝手に敵も集まってくるだろーし、囲まれる前に敵数減らせるだけ減らしたら【飛翔】も使って撤退にゃ
ナポレオンにファラオなんてやる気があるとは思えねェし、仮に獣神王朝が復活しても奴隷国家が関の山だろ
まーエンネアドに従ってマミーになったよーな奴らなら元から奴隷で万々歳にゃのかァ?
神でもファラオで皇帝でも、飼い猫暮らしなんてオレなら御免だがにゃー
青い湖に面したヌーシャテルの地。
ベルンを守るように展開する『ラー・ホルアクティ』の防衛網を目指して、復讐者たちが疾駆していく。
目的は、防衛網を構成するマミー勢力の撃破。来たる奪還戦の障害となる敵勢力を、削り取ることだ。
「断頭革命グランダルメ奪還戦ですか……もう何度目かの戦争ですが、また大規模な戦になってますね」
愁いを帯びた表情で、零識・舞織(放浪旅人・g06465)が吐息を洩らした。
彼の言う通り、今回の奪還戦は非常に大規模と言える。亜人やキマイラウィッチの勢力を引き入れる策を打ったナポレオンは現在もベルンに控えており、その地を守るここヌーシャテルは奪還戦までに戦力を削っておきたい場所の一つだ。
「奪還戦しか縁のなかった獣神王朝ですが、残党が足掻くなら、しっかり引導を渡さねばなりません」
そう言って舞織が向けた視線の先には、防衛網を構成するマミーの一団が見える。
『エスカドロン・マムルーク』。かつてエジプトより漂着し、グランダルメの技術を取り入れて生まれたトループス級は、戦意旺盛な様子で周囲の警戒を行っていた。ナポレオンの疑似ディヴィジョン創造は、エジプト出身の彼らにとっても大いに利がある。戦いに賭ける想いも、並々ならぬものが有るのだろう。
「……ま、そんなの許す訳ないんだけどにゃー」
剣呑な気配を含んだ声で、キット・アスワド(たそ枯れの黒猫・g02021)が呟いた。
その眼には、ホルアクティと配下たちへの熱い怒りが宿っている。獣神王朝の残党を追い回す気など彼には元よりないが、ここまで大きな面倒ごとを起こすなら話は別だ。一度戦うと決めれば容赦はしないとばかり、スフィンクスの『アミっち』を連れて戦う気満々の様子である。
「さて。ここで、オレも空を飛べれば万々歳ニャけど……」
キットが周囲を見回せば、戦場の一帯に見て取れるのは膨大な数の軍勢だ。今回戦うマムルークはもちろん、彼方には他のエンネアドを始めとするトループスも見て取れる。飛翔を使用すれば、戦場の軍勢から集中攻撃を浴びるであろうことは想像に難くない。
この戦場で、飛翔の利用は自殺行為――そう結論付けるのに、大した時間はかからなかった。
「隙を突くのもムズそーだし、正面から攻めるしかニャいかっ! 戦ってれば勝手に敵も集まってくるだろーし!」
「ええ、敵はトループス級ですから苦戦することは無いでしょう。引き際を見誤らなければ問題ないかと」
「よーし、了解ニャ! 囲まれる前にガンガン減らして、キリの良いところで撤退ニャ!」
戦って、撃破して、頃合いを見て撤退。作戦中にすべきことを改めて頭に叩き込み、キットは舞織と共にマムルークたちへ攻撃を開始していく。彼の相棒アミっちと共に。
「さあ、始めましょうか!」
作戦の一番槍を務めるように、舞織がマムルークの群れへと突撃して行く。
手に取った人妖筆で描き出すは荒武者と火牛の絵。リアライズペインターの筆捌きで創られた絵が、たちまちパラドクスで命を吹き込まれ、『英雄写旭将軍火牛計』となって現実世界へと降臨した。
「平家破りし猛将、その激りを暴威に変え全てを燃やし破壊せん!」
かつて最終人類史において、木曽義仲が倶利伽羅峠で行った火牛の計略――。
それを再現するかのように、絵から飛び出した猛牛たちが群れを為し、全身を燃え盛らせながら突撃して行く。彼らの前方に展開するマムルークの群れ目掛けて。
『な、なんだあれは!?』『牛!? 牛が突っ込んで来るぞ!』
地響きを立てながら殺到する火牛たちは、まるで炎の津波の如く。進路上に雁首揃えるマムルークを瞬く間に呑み込んで、踏み砕き、焼き焦がし、跡形も無く粉砕し始めた。ダメージアップを込めた突進の勢いたるや凄まじく、たちまち混乱の渦が戦場を呑み込んでいく。
『うぐわっ!』『ぐおぉっ!』『ちっ、ディアボロスか……! あそこだ、応戦しろ!』
対するマムルークも数体が混乱から立ち直り、跨った魔法機械馬を高速機動モードに可変させた。
直後、機械の馬に跨ったマミー騎兵の一体がバイクめいた速度で突撃。更なる超加速で舞織を捉える。反撃を浴びせるのに飽き足らず、更なる攻撃を浴びせんとマムルークが再度の突撃体勢に入ろうとした、しかし次の刹那、
「魔女に箒、虎に翼、月は猫と跳ね空飛び猫! ふーん、随分のろいにゃー」
『……っ!? ま、魔法機械馬に追いつくだと!?』
逆説連鎖戦で世界の理を書き換えたキットが、疾駆するマムルークに易々と並走する。
いや、並走という表現は性格ではない。アミっちの加護を受けた彼は不可視の風の翼を背中に負いながら、重力を無視した機動で地上すれすれを浮かぶように移動しているのだ。その高さは、馬に跨るマムルークとちょうど目線が合わさる……否、意図して合わせている。
そうして次第に距離を詰めるにつれて、マムルークと機械馬が何の前触れも無く切り裂かれ始めた。キットが翼として纏うパラドクス――『空飛び猫』の風が、刃となって彼らを切り刻んでいるのだ。
「神でもファラオで皇帝でも、飼い猫暮らしなんてオレなら御免だがにゃー。てめぇにゃ、この最期がお似合いニャ!」
『――!!』
風の翼が勢いを増すと同時、機械馬もろともマムルークの体が細切れにされて四散する。
撃破した個体を一瞥もせず、キットは戦場を見渡した。彼と舞織の襲撃によって防衛網は大混乱に陥っており、マムルークの群れは完全に浮足立っている状態だ。続く味方が攻撃を行う状況は、理想的な形で整ったと言えよう。一方の舞織は急いで退路を切り開くと、キットへ退却の合図を送った。
「さて、長居は禁物です。ここから先は次の仲間に任せて、退きましょう!」
「オッケーにゃ。アミっち、撤退だニャ!」
作戦の役割を十分に果たした二人は、後続に後を託して離脱していく。
マムルークがお返しとばかり繰り出す機械馬の高熱突撃と銃弾を凌ぎながら、脱兎の如き勢いで退路を駆け抜けるキット。続く舞織もまた戦場の彼方を振り返り、敵の軍勢を見遣った。今も防衛網の奥で指揮を執るであろうホルアクティを、其処に見出すかのように。
「この奪還戦は私たちが勝ちます。決着は、その時に」
かくして来たる戦への勝利の誓いを胸に、二人は戦場を後にする。
自分たちの進む先が、人類の勝利に繋がることを信じながら――。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
さて、前哨戦だ。敵をできる限り減らすとしよう
そんな状態で前の列が動きを止めればどうなるかだ。突撃で全て解決するとは思わないことだ!
【行動】
仲間と声を掛け合い積極的に連携する
残留効果は使えるだけ使おう
まずはパラドクスを使用し炸裂すると動く物を凍らせる水の入った小型爆弾を製作
それを投擲して攻撃する
高軌道モードで突撃してくるということは
前方の敵だけでも凍らせられて動きが止まると後続同士がぶつかって大事故になるだろう
それは大きな隙につながるはずだ
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ
ある程度の被害を与えられれば
盾をジェットボード形態に変形させて一気に離脱しよう
必要なら臨機応変に対処する
メルキディア・セデクリエル
アドリブ連携大歓迎
神獣王朝の残滓…あまり縁がなかったけど、ここで悪縁断ち切る気概で漸減作戦と参りましょうか!
輪閃機シルトガーレを手に浮かべて、18機のアガートツヴァークを念動力制御し、仲間の奇襲に合わせてしかける
相手の亜空間突撃に対して、襲いかかるタイミングを見極めてシルトガーレで受け流す
亜空間装置は試験型と聞いてるから必ずクールダウンの必要性がある…その隙をついてアガートツヴァークをシルトガーレに連結。
白銀の三光剣となった巨大な戦輪…シルヴァリオ光輪を思いっきり投げつけて両断してあげるわ!
もしホルアクティが現れそうな時などを撤退のタイミングとして、皆に呼びかけつつ下がりましょう。
ユオ・ルスカ
連携、アドリブ共に歓迎
【心情】
漂着した敗軍の兵と侮る訳には行きますまい。
むしろ、彼らは決戦で大きな障害となりましょう。
故に此処で多くを討つ。全滅が叶わずとも、無視できぬ損害を与えなければ。
しかしホルアクティの存在、是も常に意識に置いておかねばなりませんな。
我等は玉砕するに非ず、先に続く為に戦うのですから。
【行動】
足の早く統制の取れた騎兵相手、先ずはその機動性を削ぐとしましょう。
【防衛ライン】を張り、大楯を構えながら味方と共に攻め上がって行きます。
騎馬突撃の銃、剣撃は傾げた大楯で少しでも軽減しつつ受け止め、そのまま大楯ごと体当たりしてパラドクス発動。【反撃アップ】
巨大な盾を魔術で幾つも生み出し圧し潰しますが、撃破より機動性を削ぎ味方の支援に繋がることを重視します。
また、乱戦の中でも出来る限り周囲の状況に気を配ることを忘れずにいましょう。万が一があります故。
ホルアクティが現れれば即座に味方へ伝え、我の大楯を以て殿としつつ退きましょう。
「逝くは今に無し。討つ為にも討たれる訳には行きません。」
ヌーシャテル方面の防衛網を構成する一角は、蜂の巣を突いたような大騒ぎに陥っていた。
マムルークの陣形は、今や乱れに乱れた状態だ。そこを目掛けて復讐者たちは第二波の攻撃を開始していく。更なる人数、更なる勢い。そして何より、更なる圧倒的な火力をもって。
『隊列を建て直せ!』『ホルアクティ様の元へ敵を通すな!』
前線では、混乱した戦場を駆け回りながら、数体のマムルークたちが同胞に檄を飛ばしていた。
今回の決戦におけるグランダルメの帰趨は、獣神王朝出身の彼らにとっても他人事ではない。断片の王であるナポレオンが勝利すれば、北アフリカ方面に新たな疑似ディヴィジョンが築かれる。復讐者との戦いで故郷を失った彼らにとって、それは心からの悲願に違いない。
「もっとも、俺たちが来た以上……それも夢のまま終わる訳だがな」
攻撃準備を完了し、突撃態勢を整えた荒田・誠司(雑草・g00115)が無情な声で呟いた。
彼が見遣る先には、いまだ混乱から立ち直っていないマムルークの群れが居る。先行した二人の復讐者が浴びせた襲撃は、どうやら大きな効果を上げたようだ。この好機を逃す手は無いとばかり、誠司を始めとする復讐者たちは息を合わせるように敵陣へ向かって行く。
「前哨戦も大詰めだ。最後まで、敵をできる限り減らすとしよう」
「そうですな。とはいえ相手はエジプトの残党、漂着した敗軍の兵と侮る訳には行きますまい」
誠司と並んで走りながら、ユオ・ルスカ(Lopussa kiitos seisoo・g10632)が言う。
戦いにおいて、士気の高低は無視できない要素の一つだ。ホルアクティを始め、眼前に展開している軍勢は今回の奪還戦で大きな障害になるとユオは見ている。此処で彼らの戦力に無視できぬ損害を与えておけば、復讐者の戦いは大きな有利を得るだろうと。
「しかしホルアクティの存在、是も常に意識に置いておかねばなりませんな」
「そうね。彼の性格からして、進んで前線に出てくる可能性は低そうだけど、注意はしておきたいわ」
ユオに頷きを返しつつ、メルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)は戦場の彼方を見遣る。
マムルークたちが構成する隊列の彼方、防衛網の最奥部はいまだ鉄壁の守りを固めている。ベルンを守る防衛戦力――その最後方で、ホルアクティは今も指揮を取っているに違いなかった。
(「自棄にならず、最後まで戦い抜く気のようね。侮れない相手だけど……」)
戦うからには容赦はしない。メルキディアは視線を前方のマムルークたちへ移すと、輪閃機シルトガーレを起動する。
続けて、念動力制御する18機のアガートツヴァークを展開。襲撃を行う仲間たちと共に、マムルークの隊列を蹴散らすべく突撃の速度を上げていく。
「ここで悪縁断ち切る気概で、漸減作戦と参りましょうか!」
その声に、ユオと誠司が頷きで応じた。
「そう致しましょう。我等は玉砕するに非ず、先に続く為に戦うのですから」
「よし、行くぞ。攻撃開始だ!」
かくして――混乱するマムルークの群れへ、三人の復讐者たちが次々と牙を剥く。
ヌーシャテルの防衛線を削り、奪還戦でホルアクティを討つ。即ち、獣神王朝の残滓に終焉をもたらす一助と為る為に。
装飾を施された大盾が、分厚い壁となってマムルークの一団へ迫る。
人が丸ごと隠れるほどの大きさを誇る其れは、ユオが構える守護者の盾だ。審楯の名に相応しい圧力を帯びた前進が敵の隊列へ殺到し、統制を乱すように喰い込んでいく。
「好機ですな。皆様、いざ参りましょう」
ユオが仲間を振り返り、合図を送る。
それに応えるように、誠司は手中に爆弾を生成。戦場を吹き抜ける先行率アップの風を背中に受けながら、とっておきの一発を投擲した。狙う先は、混乱の最中にある前列のマムルークたちであった。
『新手だと!?』『くそ、くい止めろ!』
「させるかよ! そら、凍ってしまえ!」
投擲した爆弾がパラドクスの力を帯びて、寸分違わず標的の只中へ到達する。
瞬間、爆弾の炸裂によってばら撒かれた小型爆弾の群れが、マムルークたちの眼前で炸裂した。『特殊爆:氷結嵐』――小型爆弾に封じ込めた液体がぶちまけられ、標的を激しく濡らす。付着した敵を凍結させる液体は、果たしてマムルークを瞬時に凍結させ、その命を奪い去っていく。
『か、体……が……』『こ、凍る……』
「なかなか戦意旺盛のようだが、突撃で全て解決するとは思わないことだな!」
ばたばたと斃れていくマムルークたちへ、誠司は不敵に告げてみせた。
火牛に続く形で加えられた誠司の氷攻めが、敵陣に更なる混乱をもたらしていく。お返しとばかり、マムルークの一体が超高速の突撃を浴びせ返すも、戦いの流れはもはや変わらない。フェイク・プリドゥエンを盾に用いながら、誠司は仲間の二人に更なる攻撃を呼びかける。
「敵の態勢が乱れたぞ! 今だ!」
「お任せを。一息に圧し潰してやりましょう」
刹那、ユオの審楯が眩い光を放つ。
光は瞬く間に分厚い盾へと姿を変えて、矛先を前方のマムルークたちへ向けた。魔術で生み出した盾を突き出し、標的を圧し潰す『詣すに能わず』のパラドクスだ。敬虔為らざる者を逃がさぬ為、ユオの揺るがぬ決意を帯びた幾つもの大盾が、巨人の振るう槌のごとくマムルークへと襲い掛かる。
「我が審楯の先は無し」
審判の一言と同時、戦場に木霊するのは大地を揺さぶる程の轟音だ。
ダメージアップを込めて突き出す盾は、機械馬もろともマムルークを粉砕、絶命させていく。重く堅い大岩のような攻撃は無言の圧力を帯びて、敵の心に僅かな躊躇を芽生えさせた。そして、それは正に復讐者にとって絶好の好機。敵の機動性を削いで生じた隙を、ユオはけして見逃さない。
「今ですな。全力で参りましょう」
大盾を構えてマムルークの集団突撃と渡り合いながら、合図を送るユオ。
それに応えたのは、メルキディアであった。亜空間から放たれる敵の突撃を凌ぎ切った彼女は、すぐさま輪閃機を掲げ、前方の敵集団を狙い定めた。
「片っ端から両断してあげるわ、覚悟しなさい!」
同時、天使の輪にも似た閃機が18本の飛剣型端末を接続し、念動力で高速回転を開始する。
そうしてマムルークの群れへと襲い掛かるのは、目も眩むような光を帯びた巨大な戦輪だ。ダメージアップを込めた其の一撃を、いまメルキディアは放つ。混乱させ、圧し潰し、葬り去る――五人の復讐者による襲撃を締め括るように。
「アイオンコード:ラファエル、ゲットセット……銀の刃に息吹を乗せて、唸れ光の大車輪!」
戦場を、一陣の風が吹き抜ける。
それはメルキディアの光輪が纏う聖なる風。パラドクスを込めて放つ『シルヴァリオ光輪』の一撃だ。
『があぁっ!』『ぐふっ……』
白銀の光剣となった戦輪は阻むこと叶わず、グランダルメの手下となったマミーたちの只中で殺戮の大嵐を巻き起こす。刃を浴びて両断され、跡形も残さず絶命していくマムルークたち。戦場のあちこちに屍が山と築かれていく中、ユオが二人に撤退の合図を送ったのはその時だった。
「皆様。そろそろ頃合いですな!」
防衛線の後方に視線を向ければ、そこには増援と思しきトループスの群れが見て取れる。復讐者の襲撃を察知して、撃退しようと言うのだろう。
これ以上の戦闘継続は危険――状況を注視するユオが放つ言葉に、メルキディアと誠司もすぐに応じた。
「敵も充分に削れたようだし、充分な戦果ね。離脱しましょう!」
「そうだな、戻ろう。しっぺ返しを受けては元も子もないからな」
自身の盾をジェットボード形態に変形させた誠司が、退路を切り開きながら離脱していく。
そこへメルキディアが続いて撤退していく中、殿のユオは戦場を振り返った。先程まで彼女たちが戦っていた場所には、今や敵の大群が到達し、乱れた隊列を立て直し始めている。ホルアクティの姿は其処に無く、後にはユオらの攻撃で戦力を削られた軍勢だけが残された。
その光景を見遣り、ユオは最後の言葉を残す。防衛網の戦力を率いる、自動人形の指揮官へ。
「逝くは今に無し。討つ為にも討たれる訳には行きません」
決着をつける刻は、奪還戦を置いて他にない。
今回、ユオらが前哨戦の一つを成功に導いたことで、復讐者は更なる有利を手にした。
天空神と太陽神の名を持つ自動人形、ラー・ホルアクティ。彼が率いる勢力との決着は、間もなく奪還戦で明らかとなることだろう。じきに始まる戦で、自分たちは必ず勝利する――その決意を胸に、復讐者たちは新宿島へ帰還するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!