リプレイ
瀧夜盛・五月姫
(怨霊に憑かれています)
クククッ、祭りか! 踊りか!
アビスローバーどもも惑わされているとは嘆かわしいものよな?
しかし! だがしかし!
支配されるだけのクロノヴェーダであるとはいえ、やる気がないのはいかがなものかのう?
この地は彼奴ら(アビスローバー)が支配しておったのであろう?
カカカッ!
よい! よいぞ!
どぉれ、吾が見本を見せてやろうぞ!
【勝利の凱歌】を展開!
たしか……アークデーモンだったか?
奴らめは『畏怖』を糧としておったな?
ならば民どもに与えるべきは『畏怖』に抗う『勇気』よ。
それだけで遊舞を止められるとは思わん。
だがその心に萌えた拒絶する意思。それこそが民草どもの踊りを僅かにでも鈍らせる事ができるやもしれん。
さてあとは、吾らの“技量”の見せ所よなぁ?
さぁさぁ準備を怠るなよ、輩(ともがら)どもよ!!
親皇たる吾の【情熱】の【ダンス】を前に、味方とて【誘惑】されぬのは赦さんぞ!!
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
ダンスも色々あるのに。注文が人を選ぶね……
人々の表情、踊りを具に見つめ
“金杯”を取り出し、盃より溢れる穢れを一身に浴び
スパンコールと羽飾りを加えたネメシスの似姿を纏う
僕はいいけど。はじめよっか
しゃなりしゃなり、音楽と空気で自身にトランスを促して
……♪
【勝利の凱歌】を拝借。民衆の情動に色を加えてから
入りはパシスタの如く堂々と。生気に満ちた振り付けで興味を惹き
くす、くす、くす
人々へ蠱惑的な微笑みを携え
きみの、サンバも、すてきっ
一般人もクロノヴェーダも、別なく振り撒く好意は蜜の如く
ねえ、こっち、きて?
最中。情火をかんばせに咲かせ周囲をホーダへと【誘惑】
倒れた者をさり気なく被害から遠ざける
熱狂と陽の光を一纏めに、照り返す瞳は紅玉めいて妖しく煌き
注目は高揚へ、心地よい疲労が生む汗は装身具に
もっと、もっと、もっと!
惜しみなく。ステップで流すのが勿体無いと思わせるほどてらてらと
貪欲に。ウェパルの役すら啄まんと
みて、みて、みて❤
魅せ付けるは熱烈なウンビガーダ。欲望を啜り恍惚と舞い踊る
狂気が満ちている。
大都市『リオ』が集落の一つは平時であれば百人単位の人間しか存在しない。けれど、今は違う。
千人単位の人々がアヴァタール級アークデーモン、泡沫のウェパルの『幼体』によって率いられ、さらにはアビスローバーさえも従えて踊り狂っているのだ。
踊ることだけ。
踊ることだけを強いられている。
他の生命維持の一切は許されない。
踊る、踊る、踊る。
ただ、それだけである。
息が続かなくなれば倒れ込むだけであるし、足の筋が攣るのであっても同様だっただろう。
そうなってしまったものたちを避けるという考えは踊り狂う人々にはない。
ただ只管にステップを踏む。
大地を打ち鳴らすかのように踏みしめるのだ。倒れ込んだものなど目に入らない。大地と同じであると言うように踏みつける。肉が拉げ、骨が砕けても、それでも踊り続ける。
臓腑が渦巻くように鳴動しても止まらない。
血潮が逆流するかのような熱狂。
それが今まさに『リオ』で行われているダンスカーニバルだった。
「クククッ、祭りか! 踊りか!」
「ダンスも色々あるのに。注文が人を選ぶね……」
「アビスローバーどもも惑わされているとは嘆かわしいものよな?」
瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)とロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は、集落のダンスカーニバルに紛れ込んだ。
それは簡単なことだった。
例え、この踊りの集団にアビスローバーたちがいるのだとしても、彼らもまた踊り狂っているのだ。
それほどまでに泡沫のウェパルの『幼体』による力は強力だったのだ。
「しかし! だがしかし! 支配されるだけのクロノヴェーダであるとはいえ、やる気がないのはいかがなものかのう? この地は彼奴らが支配しておったのであろう?」
五月姫は、TOKYOエゼキエル戦争から漂着してきたアークデーモン、『泡沫のウェパル』に良いようにされているであろうアビスローバーたちを嘆かわしいと笑う。
けれど、それでも五月姫は闊達に笑い飛ばした。
「僕はいいけど。はじめよっか」
ロキシアは彼女の言葉にくすりと笑む。
人々の表情を見やる。誰も彼もが己が今何をしているのかを理解していない。
頭の中にある、踊れ、と命ずる言葉に従うばかりだ。
これでは操り人形もいいところであった。
だからこそ、ロキシアはスパンコールの煌めき放つ衣装と羽飾りを揺らして、かき鳴らされる音楽に身を任せるようにして己の心を変性させる。
湧き上がるものがある。
それは勝利の凱歌。
ディアボロスである五月姫とロキシアの胸の内だけではなく、踊り狂う人々の中にも湧き上がる感情だった。
狂気満たされた杯に湧き上がる一点の波紋めいたもの。
それが勇気。
「よい! よいぞ! どぉれ、吾が見本を見せてやろうぞ!」
五月姫は残留効果を手繰り寄せる。か細い軌跡は、さらにロキシアへの手へと宙を滑るようにして走る。
まるでパシスタ。
羽飾りが揺れる。
衣装のスパンコールは陽の光を受けて煌めき、一層ロキシアの姿を知らしめる。
己が此処に居る、ということを示す太陽のように煌めくのだ。
その輝きは生気に満ちたものであったことだろう。
けれど、ロキシアは、くす、くす、と吐息漏らすように笑むばかりだった。
太陽のような輝きを放ちながら月光のような人の心を惹きつけるような仕草。
同時に五月姫もまた己が情熱を発露するようにして踊る。
ロキシアが太陽と月光を併せ持つのならば、五月姫は大地に満ちる情熱だった。陽光も月光も、大地は受け止めて恵みとするだろう。
その豊穣たる情熱の発露を持って五月姫は踊り続ける。
「きみの、サンバも、すてきっ」
「吾の舞踏を前にして誘惑されぬなど赦されぬが故な!」
二人の踊りは情熱的になっていく。
人々の踊りは止められない。けれど、その心のなかにあるのが狂気だけではなくなっただろう。
ひと粒の勇気が波紋となって、彼らの心に勇気という感情を萌芽させるのだ。
アークデーモンが求めるのは『畏怖』である。
踊り続けるという狂気にさらされた彼らであっても、しかして、心に宿るものがある。
狂気に汗ばむ彼らを、己達へと誘うように五月姫とロキシアは煌めき瞳でもって見つめる。
誰もが思っただろう。
あの視線は己にくださったものだと。
それほどまでに二人の舞踏は人の心を引き付けるものだったのだ。
「もっと、もっと、もっと!」
心地よい疲労が襲ってくる。
汗が飛び散り、己の肢体に突き刺さる視線の強烈さが高揚を呼び込む。
惜しみなく振りまく汗の玉は、正しく玉。
その飛沫へと人々は手を伸ばす。
喝采のように伸ばされた手の上を五月姫は舞うようにして跳ねる。
「さぁさぁ、この場は吾のステージよ!」
己が体躯を掲げよと言わんばかりに五月姫は蠱惑的に舞い踊る。その姿にロキシアもまた、視線を集めるかのように、打楽器の音色に合わせて腰をくねらせる。
欲望を煽り、恍惚と舞い踊る姿は、人々の視界に強烈に刻み込まれる。
『畏怖』を塗りつぶすように、その踊りは集落の熱気を帯びて加速していく。
狂気の坩堝の中に、また一つ波紋が起こるようだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
ジェーン・コーネリアス
時先案内人のレーネマクダ、楽しそうだったね。ファッションが好きなのかな?
いいさ、せっかくコーディネートしてくれたんだ。楽しく踊ろうか!
クジャクが羽を広げたような羽飾りを頭にかぶり、大胆に足を露出した衣装を着て、きらきらと輝き、ダンスで派手に揺れるスパンコールを身に着けて舞台に立つ
流れる情熱的な音にリズムを合わせ、軽快に足を踏み鳴らし、小刻みに腰を揺らして踊る
歌とリズムに合わせて情熱的に即興のダンスを披露しよう
自信に溢れた笑みを浮かべ、周囲にもそれを振りまく
勝負ってのは勝つから楽しいんだ。勝たせてもらうよ!
一緒に踊っている一般人にも目くばせし、自然に手を取り、僕の踊りに合わせるように動きを誘導
なんだ。もう疲れたのかい?"主役"が来たからには終幕も間近だ。最後に盛り上げていこう!
既に狂気に当てられた彼らに正気を取り戻させるように、周囲の一般人も巻き込んで、その中央に立って踊ろう
踊る元気のないやつらは手を叩きな!楽しいカーニバルだ、全員で盛り上げていこうじゃないか!
狂気の坩堝と化した集落。
その中にひときわ輝く者たちがいた。
スパンコールの煌めき、そして孔雀の羽根を広げたような飾りを頭に備え、美しい曲線描く足が高く跳ね上がっていた。
大胆な露出。
揺れる度に汗が散る。
情熱的な、それでいて人の目を強く惹きつける衣装。
流れるは情熱的な音。
いや、旋律。
泡沫のウェパル『幼体』の齎す狂気によって人々は踊り狂っている。
足踏みが音になっているのだ。
ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は笑っていた。
楽しそうにわらっていた。
コーディネートされた衣装は、彼女の美貌と相まって一層輝く。
狂気の坩堝にあってさえ、輝く。銀髪に交じる赤と青の一房が揺れ、彼女の体躯の豊かさを誇るようにして艷やかになっていく。
軽快な足は、狂気の旋律を踏み潰すようにして奏でられる。
小刻みに揺れる腰。
誰もが目を留めてしまう。
視線を向けてしまう。
即興であった。けれど、それでもジェーンの顔には自信が満ち溢れていた。
最も優れた踊り手を選ぶのが、この狂気のカーニバルの目的であるというのならば、己こそがそれに相応しいのだという自信に満ちあふれていたのだ。
「勝負ってのは勝つから楽しいんだ。勝たせてもらうよ!」
そう、勝つ。
選ばれるのではない。選ばせてやるのだ。
狂気を塗りつぶすようなジェーンの情熱的な踊りに近くにあった一般人は誘蛾灯のようにジェーンに近づいていく。
だが、ジェーンはそれを目配せ一つで止める。
まるで銃撃されたように近づいた一般人は胸の高鳴りに足を止めてしまうのだ。
未だ踊る体力残る若者の一人が、それでもジェーンに近づくも、足元がおぼつかない。
「なんだ。もう疲れたのかい? でもね、"主役"が来たからには終幕も間近だ。最後に盛り上げていこう!」
つまりは己である。
自然と若者の手を取る。
引き寄せ、引き離し、ステップを踏む。
狂気ではなく情熱でもって彼らの心を取り戻す。
代わる代わる、立ち替わり入れ替わり、ジェーンは次々と人々を変えて踊り続ける。
へたり込む一般人たちにジェーンは笑いかける。
「踊る元気のないやつらは手を叩きな! 楽しいカーニバルだ! 全員で盛り上げていこうじゃないか!」
笑って。
笑って。
笑って。
ジェーンは艷やかな色香纏うようにしてへたり込む人々の中心で踊り続ける。
それは正しく最高の踊り手であることを示すようだった。
喝采の音がジェーンを包み込む。
彼女の情熱が、狂気を上回った瞬間だった。
そして、喝采浴びるジェーンとディアボロスたちの姿に同じように狂気に侵されたいたトループス級『イールガイズ』たちは気がつく。
「ディアボロス、ディアボロス! ディアボロス、ガイル! ナゼ!」
「コロセ! ディアボロスガモットモスグレタオドリテナド!!」
狂気に満ちた『イールガイズ』たちがディアボロスたちに殺到する。
ジェーンはしかして、不敵に笑い、そして。
「今更僕らに気がついたって遅いよ。さあ、皆、掟を守って良い略奪を」
手にしたピストルを天に掲げ、戦いの、略奪の開始を告げる号砲を放つのだった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
瀧夜盛・五月姫
(怨霊に憑かれています)
ハハハッ!
ああ、よいぞ。よいぞ、輩(ともがら)よ
伴に踊り尽くしてやろうぞ!
なぜ? なぜと問うか、クロノヴェーダ
貴様らがいるところ、吾らが来るのは必然であろう
むしろ他種のクロノヴェーダごときに踊り狂わされておった分際で何を抜かす
まずは吐く言葉があるであろう?
「ボクタチヲタスケテイタダキ アリガトーゴザイマス、ディアボロスサマー」だろう、ほぅら
それともなにか、本気でこの広場で一番になろうとしておったのか?
ククッ、不様よなぁ
【クロスボウ】を片手に突撃
ダンスの次は宴であったか?
ウナギをよこすとは、なかなか豪勢であるな
どうせなら蒲焼にしてくれようぞ
ウナギどもに【クロスボウ】を放つ
はんっ、なるほどな
そのネバネバは吾らの足をすくうためのもの
だがしかしだ、吾かわ極めし【ダンス】のステップを前にやすやすと捕らえられるか?
ほうら、攻撃を受け流すのにも緩急とリズムが必要だろう
そうら、スローとクイックだ
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
ダンスの次は演技だったね。俳優になった覚えはないんだけど
“魔槍”を電脳魔術ストレージから引き抜き
お頭さんに任されたんだ。得意分野、本気でやりますとも
こっちは行けるよ。五月姫さん
決断的に狂気の渦へと駆け、真っ直ぐな突撃――
何故も何も。郷に入れば郷に従う
の、直前でパラドクスによる残像を展開。敵陣を惑わせながら浸透し
高速戦闘の勢いを乗せ刺し貫いて
主役の座。人々の安寧
次いで振るう刃で切り裂く鰻捌き
海賊たちのアイデンティティ。すべてを奪還する略奪っ
お行儀が良いでしょ。褒めて頂戴?
ニッと笑みを浮かべ。挑発も兼ねた絵になるような所作で手を差し出す
反撃に際しては
パラドクスでもダンス勝負しようっての?いいけど
柄を振るうことで相手のSPDに含まれる回避挙動を敢えて起こさせ
タイミングを読み。迫る刃に対し、
身体に這わせ硬質化させたMoon-Childで応じる所作もまたダンス
寄せては返す波の如く。受け、或いは槍で捌く
やがて挑戦的な笑みで攻めに戻り、舞台の熱を冷まさせぬ槍舞
まだまだ、見ていって!
ディアボロスの踊り子の熱情が狂気を上回った瞬間、トループス級『イールガイズ』たちは、最高の踊り手として選ばれたのがディアボロスであると漸くにして気がついた。
「ハハハッ! ああ、よいぞ。よいぞ、輩よ。伴に踊り尽くしてやろうぞ!」
その熱狂の渦に巻き込まれる……いや、飛び込むようにして瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は笑う。
狂気に満たされた舞踏の中にあってさえ、熱情はこれを凌駕せしめる。
それを示し、同時に五月姫は『イールガイズ』たちの疑問に応えるように舞踏のステップのままに地面を打ち据え、彼らの視線を惹きつける。
「なぜ? なぜと問うか、クロノヴェーダ」
「ディアボロス、コンナトコロマデ!」
「貴様らがいるところ、吾らが来るのは必然であろう。むしろ他種のクロノヴェーダごときに踊り狂わされておった分際で何を抜かす」
五月姫の唇の端がつり上がっていく。
それは嘲りの表情であると『イールガイズ』たちは気がついただろう。
「まずは吐く言葉があるであろう?」
「ナニヲ!」
「『ボクタチヲタスケテイタダキ、アリガトーゴザイマス、ディアボロスサマー』だろう、ほぅら。言うてみるがよい。それともなにか、本気でこの場で一番になろうとしておったのか?」
「ワラウナ!」
『イールガイズ』の激昂と共に手から放たれるは粘液の網。
だが、それは五月姫には予見できていたことだった。さっと、身を翻し、迫る追撃のカトラスの一撃を受け止めながら五月姫は笑う。
「ククッ、無様よなぁ?」
「そうだね、五月姫さん」
ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)もまた同様だった。
手にした槍を構える姿は、それまで熱狂的な踊りの渦中にいたとは思えぬほどに苛烈にして鮮烈だった。
煌めくパラドクスの瞳。
残像剣(ザンゾウケン)たる凄まじい速度で五月姫の傍らより飛び出し『イールガイズ』の腹を穿ち、貫く。
「主役の座、人々の安寧。それら全部を奪還するために略奪っ」
「グハッ、オマエタチハ」
「お行儀がよいでしょ。褒めて頂戴?」
ロキシアが笑む。
それは舞踏に興じていた頃となんら変わりない笑みであったことだろう。
さらに五月姫が姫の鹵獲品:洋弓銃(ヒトカラ・モラッタ・クロスボウ)の引き金を引く。
放たれたクロスボウの矢はパラドクス。
至近距離に迫っていた『イールガイズ』を吹き飛ばし、さらに前に出る。
それは何故か。
言うまでもない。
戦う己達、ディアボロスの姿を狂気にさらされ、そして今、戦いの渦中にて『畏怖』たる感情を募らせる人々に見せるためだ。
「はんっ、なるほどな。そのネバネバは吾らの足を救うためのもの。だがしかしだ」
「うん、ならダンスで勝負しようって話」
ロキシアは寄せては返す波のように軽やかなステップを踏みながら振り下ろされたカトラスの一撃を槍の柄でもって受け流し、その刃を地面にめり込ませるのだ。
それはあまりにも鮮やかな手並みであったことだろう。
まるで舞踏の続き。
熱狂は畏怖に冷めたとしても、それでも今此処にあるのはあくまで舞踏。
「ほらほら、どうしたの。こっちだよ、こっち」
「そうら、スローとクイックだ」
挑発的な言葉と仕草。
二人の動きは正しくそれが目的だったのだ。
『イールガイズ』たちはディアボロスを排除しようとする。
けれど、それはディアボロスにとっては好都合だった。クロノヴェーダがディアボロスを排除できぬという光景は長く続けば続くほどに、この熱狂のダンスカーニバルを持って『畏怖』を集めようとしていた泡沫のウェパル『幼体』の目論見からは大きく離れていく。
「まだまだ、見ていって!」
故にあえて熱狂的な舞台に幕を下ろさせはしない。
迫る『イールガイズ』たちを矢で居抜き、槍で穿つ。
そのパラドクスの明滅は、人々の『畏怖』を払うには充分たる光景であったことだろう。
二人は大立ち回りというよりも、円舞のようにくるくると体を回し『イールガイズ』たちを翻弄し続けるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】がLV2になった!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
クローディア・ベネット
おいおい、似合ってるじゃないかジェーン
その恰好で酒場に繰り出したらきっと出禁を喰らっちまうよ
「うちの看板娘が霞むだろ」ってさ!
私達が来るのを知ってた訳でもないだろうに、監視者がいるんだな
アークデーモンなんて得体の知れない奴が不審な動きをしないようにか?
まぁ理由なんざ今は何でもいい。全員血祭りにあげるだけだ!
【通信障害】で敵集団間の連絡を封じ、仲間と手分けして敵を追跡
【完全視界】があれば、仮に暗がりに逃げ込まれたり、煙幕の類を持たれてても関係ないね
必要に応じて集落の建物の屋根に登って視界を確保したり、経路のショートカットを行いながら進もうか
敵を視界に捉えたら『さまよえる悪霊の光』を撃ちこんでやろう
しつこく追尾する無数の球電が1発でも当たれば最後、痺れた身体に後続が立て続けに飛び込み、焼き尽くす
敵の反撃は≪船長のサーベル≫を受け流しに用いて捌き、ダメージを抑えながら攻め続けるよ
悪いね。私達は清廉潔白のヒーローじゃなくて残酷非道の海賊だ
逃げ出す野郎を見つけた日にゃ、喜んで背中を撃ってやるのさ!
ジェーン・コーネリアス
くっくっ、その時は酒と一緒に笑い話の土産を船に持って帰るしかないね
君も一緒に出禁になってくれてもいいんだよ?クローディア。きっと似合うさ
時先案内人の持つ能力っていうのは本当に革命的だね
まごまごしてたら逃げられるような状況でも、事前にきっちり決めて全員で動ける
さぁ、1体たりとも逃がさないよ!
イールガイズは五月姫とロキシアに任せて僕とクローディアで逃げる海賊半魚人を追うよ
【通信障害】で連携を断って逃げる海賊半魚人を追撃。数はそう多くない。手分けをして一匹も逃がさないことを重視しよう
ジャンプで飛び上がり、右手の「Badhbh」、左手の「Nemain」、二丁のピストルから銃弾を放つ『炸華流星』
逃げるつもりなら遠慮なく後頭部や背中を狙い弾丸を撃ちこんで吹っ飛ばすよ
もし逃走を止めてしてくるなら【反撃アップ】で接近してくる動きを読み、飛び出してきたところをパラドクスで攻撃する
戦いもせず臆病者みたいに逃げれば見逃してくれるとでも思ったかい?
随分と買いかぶってくれるじゃないか
きらびやかなスパンコールを揺らし、ジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は熱狂の舞台から飛び降りるようにして人々の合間を駆け抜ける。
間隙を縫う、とはこのことである。
如何に彼女が、このダンスカーニバルにて最も優れたる踊り手に選ばれたとしても、やるべきことがある。
そう、このダンスカーニバルを催したのは泡沫のウェパル『幼体』である。
クロノヴェーダ、アビスローパーにとってはアークデーモンである泡沫のウェパル『幼体』は外様。
この状況を必ず監視しているトループス級がいるはずなのだ。
だからこそ、ジェーンは走る。
派手で情熱的な衣装のままに走る彼女は、まるで流れ星のようであった。
故に、クローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)は笑う。
「おいおい、似合ってるじゃないかジェーン」
その声にジェーンは一瞬驚いた顔をしたが、しかしクローディアの姿を認めて笑む。
「その格好で酒場に繰り出したらきっと出禁をくらっちまうよ。『うちの看板娘が霞むだろ』ってさ!」
「くっくっ、その時は酒といっしょに笑い話の土産話を持って帰るしかないね。君も一緒に出禁になってくれてもいいんだよ? クローディア。きっと似合うさ」
己が衣装を指差しクローディアに言う。
それは面白いことである、とクローディアは笑い、人々の合間を往く。
目的は一つ。
このダンスカーニバルを監視しているクロノヴェーダの排除である。
敵は己達が来るのを知っていたわけではないだろう。
なのに監視者がいる、という状況をクローディアは訝しんでいた。
「アビスローパーにとっちゃアークデーモンは得体の知れない奴は信用ならないってわけかね?」
「ともあれ、まごまごしていたら逃げられるような状況が事前に僕らが知れるというのは革命的だね」
「まぁ、理由なんざ今はなんでも良い。全員血祭りに上げるだけだ!」
「そうさ。一体たりとも逃さないよ!」
すでにダンスカーニバルの中心では仲間のディアボロスがトループス級アビスローパーと激突している。
パラドクスの明滅はきっと監視していたアビスローパーたちも認めるところであっただろう。
この状況を異変と見て彼らは即座に離脱を開始するはずだ。
故に迅速果断なる攻勢が必要となる。
「いた!」
クローディアとジェーンは即座に残留効果を手繰り寄せる。
通信障害によって敵が何らかの手段でこちらの状況を知らせることを防ぐためだった。そのような手段を持っているのならば、即座に己達の情報が敵にわたってしまう。
そうなれば面倒なことになるのは明白だった。
「数は多くない。それもそうか。監視に数を策なんてこと下策もいいところだ。一匹も逃さないよ、クローディア!」
「ああ、お宝は総取りが鉄則ってもんだ!」
二人は一気に高台にて監視していたトループス級『海賊半魚人』の姿を捉え、その瞳をパラドクスに輝かせる。
クローディアはさまよえる悪霊の光(ウィル・オー・ザ・ウィスプ)を手繰り寄せる。
「さあ、行きな。地獄にも愛想つかされたとしても、私が面倒見てやるんだからさ」
その言葉と共に無数の球電が走りそのばを離れようとしていた『海賊半魚人』の背を打ち据える。
「ぐっ……ディアボロス!? 速すぎる……どういうことだ!?」
手にしたカトラスを振るい、迫る球電を切り払いながらクローディアへと畳み掛ける一撃。
だが、その一撃はクローディアの構えたサーベルに受け止めれ、火花を散らすばかりであった。
「戦いもせず臆病者みたいに逃げれば見逃してくれると思ったかい?」
『海賊半魚人』の後頭部に突きつけられるはジェーンの手にしたピストルの銃口だった。
鉄と頭蓋がぶつかる音、次の瞬間躊躇なく引かれた引き金。
放たれた弾丸は『海賊半魚人』の頭部を打ち抜く。
「悪いね。私達は清廉潔白なヒーローじゃなくて残酷非道の海賊だ」
ぐらりと揺れた体を押しのけ、クローディアは言う。
「逃げ出す野郎を見つけた日にゃ、喜んで背中を撃ってやるのさ!」
「な、なんて奴らだ! こいつら!」
「おや、ずいぶんと買いかぶってくれるじゃないか」
それでもなお『海賊半魚人』たちは情報を持って逃げ出そうとする。
それは上位たるクロノヴェーダからの命令であったのだろう。なんとしても情報を持ち帰れ、という。
だからこそ、クローディアとジェーンは逃さない。
この『リオ』にて起こったことの何一つとしてクロノヴェーダに伝わることはないというように、炸華流星(サッカリュウセイ)が宙を走り、クローディアの球電が『海賊半魚人』の体を打ち据え、穿つ。
崩れ落ちる『海賊半魚人』の体を見やり、二人は周囲を見回す。
取りこぼしはない。
このダンスカーニバルを監視していたトループス級は全て排除した。
ならば、後は。
「このらんちき騒ぎの胴元を締め上げるだけってこった」
クローディアの言葉にジェーンは頷く。
「アビスローパーに情報は渡さない、狂気のダンスカーニバルはぶち壊す。そんでもって」
狂気に酔ってもたらされる『畏怖』を得ようとしている泡沫のウェパル『幼体』もぶちのめす、と二人は今尚パラドクスの明滅するダンスカーニバルの中心へと走るのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】がLV4になった!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
ジェーン・コーネリアス
こいつがウェパルの幼体か
別のディヴィジョンからやってきたアークデーモンって話だけど、見た目じゃそうアビスローバーどもと変わらないね
それじゃあやることも変わらない、捌いてあげるよ!
カトラス「Macha」を手に戦闘
上段に大きく振りかぶって『龍波断ち』でウェパルの幼体を叩き斬る
さっきまでのダンスの続きを踊るように、スパンコールをなびかせながら戦おう
住民の熱狂で畏怖の感情も弱まってる。高めた情熱で反撃の呪いの歌での精神攻撃や自傷の衝動に抗うよ
歌うウェパルに接近し、『龍波断ち』で頭から叩き割る
耳障りな歌もここまでだ!
わざわざ踊りが得意なやつを選んで食ってるんだっけ?
なんでわざわざそんな面倒なことをしてるかは知らないけど、僕が、僕らが来たのが運の尽きだ
この海で好き勝手はさせないさ
どっかにいる本体もデイヴィ・ジョーンズの監獄に叩き込んでやるから、覚悟しておくんだね
瀧夜盛・五月姫
(怨霊に憑かれています)
はははっ! この国の舞、カーニバルというのは自らも参加してこそなのであろう?
にも関わらず他人ばかりに踊らせよってからに……なあ、貴様は踊らんのか?
いいや、応えずともよい
いずれにせよ変わらぬのだからな、これから貴様を吾らが踊らせることにはな!
ネメシス化! 新皇たる吾自らが馬を率いる姿に畏怖し、ひれ伏すが良いわ!!
愛刀【小烏丸】を片手に切り込み、クロノヴェーダの胴体を斬る!
はんっ、大海を操るか?
ならば貴様こそ文字通りの“藻屑”にしてくれるわ!!
進め、愛馬ども!!
しかし踊らせて畏怖を食らうなど回りくどいわ
人の上に立ち、畏れられるほどに格をしめせばよいだけのことを
まあ、TOKYOエゼキエル戦争から“落ち”延びた風情が登れるのかはしらんがな? ハハハハハッ!
クローディア・ベネット
私は踊るのは嫌いじゃないが、誰かに踊らされるのは不服でね
今そこらで倒れてる連中だって、こんなダンスパーティーじゃ楽しくないだろうよ
さぁ、人魚のお嬢さん。自分がきりきり舞いになる覚悟はできてるかい?
フィナーレの時間と行こうじゃないか!
――『野郎ども、全ての砲門を開け!』
幽霊の海賊達と大砲を召喚してずらりと並べよう
号令一下、ウェパルに対して無数のぶどう弾を放たせる
広く飛び散る弾丸で敵に確実にダメージを与えていこう
相手が機敏なら弾幕で機動力を殺し、鈍重なら(或いは傷で動きが鈍ってきたら)集中砲火で一気に決着を狙おう
反撃の歌は呼び出した絶え間なく続く砲声で対抗し、可能な限り耳に入らないようにしちまおう
それでも自傷しようとする時は《探索者の鈎縄》で自らを縛り上げ、迂闊に動かないようにする
お縄にかかるのは縁起が悪いが、今はそうも言ってられないな!
いくらジェネラル級でも、幼体ならこんなものか
だが親と同じ強さの奴が次々と生まれてくるようになったら、いつまで戦っても終わりゃしないね
さっさと終わらせちまおう
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
敵の様子に鼻で息を吐いて
やっとこさ着いてみたら渦中のアークデーモンが一番ノリ悪いだなんて
エゼキエル出身だってのに、あきれた……
まあ、そっちのがやりやすいといえばそうなんだけど
もう一踊り、頑張らないとね
“魔槍”を携えリズミカルなステップで戦場を機動
もう最後まで雰囲気を維持しちゃおう
敵味方の攻防で生まれる間隙へ差し込むように接近
ねぇ。屋台も物売りも、なーんも無かったんだけど
こんなかわい子ちゃんを踊らせたんだ。出演料くらいは頂こっか?
ぐるぐる槍を回し、詠唱と共に会場から砂を収束させ
穂先を突き付ければ敵を貫かんと砂の槍が放たれる!
きみをやっつけたら、トループスたちのカトラスとかで現物支給!
反撃に際しては“魔槍”を地へ突き立て踏ん張ります
は。パラドクスまでカーニバルに向いてないじゃん!なんて主催!
僕はげきおこだよ。こうなったら皆で盛大にアゲてぶっ飛ばしちゃる!
ふんす!これにてお開き!
……何処に居るのかな本体。エンタメが分からないやつは赦せないし
探してたっぷり文句言ってやるんだ!
ディアボロス達の二面作戦は見事だった。
踊り狂う民衆の中にあるアビスローパーと、この乱痴気騒ぎとも言うべきダンスカーニバルを監視していたアビスローパー。
その二点を同時に攻撃し、撃破する。
敵に情報をもたらさず、目論見を余さず打ち砕く。
そして、全てをご破算にさせるためには、このダンスカーニバルを主催しているアークデーモン、泡沫のウェパル『幼体』を撃破しなければならない。
「踊って、踊って、踊って」
泡沫のウェパル『幼体』は周囲の熱狂が薄れ、『畏怖』が得られないことに小首をかしげた。
「なんで踊らない? なんで踊り続けない? なんで『畏怖』しない?」
その疑問に応えるように笑い声が響いた。
踊り狂わされていた人々の中に煌めくパラドクスがあった。
「はははっ! この国の舞、カーニバルというのは自らも参加してこそなのであろう?」
「やっとこさって思ってみたら渦中のアークデーモンが一番ノリ悪いだなんて」
瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は笑い、そしてロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は槍を構え、一気に人の間隙を走り込む。
リズミカルなステップが大地を鳴らすようにして刻まれ、ロキシアの瞳がパラドクスに輝く。
同時に泡沫のウェパル『幼体』のパラドクスによって大波が溢れ出すようにしてロキシアへと迫る。
しかし、ロキシアは構える。
手と手の間。
掌に超圧縮された砂が槍と形容するにはあまりにも頼りなく、しかして一点を穿つ槍へと変じる。
「砂と砂を挟んで、忙しい時でもお手軽に。パラドクスNo.1042、ハイパーサンドブラスター!」
放たれた極細の槍は大波を穿つようにして、泡沫のウェパル『幼体』の体躯を穿つ。
「こんなかわい子ちゃんを踊らせたんだ。出演料くらいはいただかないとね!」
「踊れ、踊れ、踊れ。なんで、なんで、なんで踊らない」
大波がロキシアの体を押し流すようにして吹き荒れる。
だが、その大波を蹴り上げるようにして五月姫が宙へと飛ぶ。
その手には愛刀。
刀身煌めく光と共に彼女の体が変貌していく。
冠するは復讐の女神の名。
「新皇たる吾自らが馬率いる姿に畏怖し、ひれ伏すが良いわ!! ネメシスモード!!」
膨れ上がる力。
黒馬にまたがり、紅蓮の炎噴出させながら五月姫は、炎髪振り乱し愛刀『小烏丸』を掲げる。
パラドクスの輝きが満たされた刃は振り下ろした瞬間に迫る大波を切り捨てる。
「吾、神託を賜りけり(ワレシンタクヲタワマリケリ)、頭が高いわ!!」
そして、大波を切り裂いたパラドクスの一撃が泡沫のウェパル『幼体』の体躯へと届き、その体を袈裟懸けに切り裂く。
血潮のような、体液のような、判然としない飛沫が荒ぶ中、さらなる輝きが戦場に疾駆する。
「私は踊るのは嫌いじゃないが、誰かに踊らされるのは不服でね」
クローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)とジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)の二人がダンスカーニバルを監視していたアビスローパーを片付け、この事件の首魁とも言うべき泡沫のウェパル『幼体』を打倒さんと駆けつけていたのだ。
五月姫の切り裂いた大波。
その道を二人は走る。
「今そこらで倒れてる連中だって、こんなダンスパーティじゃ楽しくないだろうよ。さぁ、人魚のお嬢さん。自分がきりきり舞いになる覚悟はできているかい?」
クローディアの瞳がパラドクスに輝く。
その瞳には意志がある。
「――♪」
如何に泡沫のウェパル『幼体』が呪われた歌を紡ぐのだとしても、彼女の意志をくじくことはできなかっただろう。
「フィナーレの時間と行こうじゃないか! ――野郎ども、全ての砲門を開け!(ブロードサイド・ボンバーディアーズ)」
大号令と共にクローディアの背後に居並ぶは葬列の如き大砲。
道半ばにて倒れし砲手たち。
クローディアは、彼らを死霊術たるパラドクスでもって呼び出し、その砲門を輝かせる。
放たれた砲弾は泡沫のウェパル『幼体』へと叩き込まれ、盛大な爆風を巻き上げる。
「はっ、どれだけ呪いの歌を謳うのだとしても、大砲の轟音の前にはね!」
クローディアの砲火を前に泡沫のウェパル『幼体』の身が傾ぐ。
人々から『畏怖』を得るためのカーニバルはディアボロスによって、ただの乱痴気騒ぎに堕した。
だが、まだ、と泡沫のウェパル『幼体』は思っただろう。
儀式たるカーニバルをめちゃくちゃにされても、ディアボロスさえ排除できたのならば、いくらでも取り返すことはできる。
そのはずだ。
けれど、泡沫のウェパル『幼体』は己の考えの浅はかさを知る。
この場に集ったディアボロスの全てがそれをさせぬために迫っている。
「こいつがウェパルの幼体か。別のディヴィジョンからやってきたアークデーモンって話だけど、見た目じゃそうアビスローパーと変わらないね」
ならば、とジェーンは笑い飛ばす。
どれだけ呪いの歌が響くのだとしても、己は笑い飛ばす。
「それじゃあやることも変わらない。捌いてあげるよ!」
ジェーンは振り抜いたカトラスと共に踏み込む。
スパンコールが揺れ、きらびやかな光がパラドクスの光を受けて波間に見える太陽光のように、泡沫のウェパル『幼体』の視界を塗りつぶすだろう。
まばゆいまでの輝き。
ジェーンが一際鮮烈に踊り、人々の『畏怖』すら塗りつぶしたように彼女の踊るようなステップはクローディアの砲火の中にあって、さらに目を引く。
五月姫とロキシアが人々の畏怖を弱めていたこともあるだろう。
そして、場を温めていたこともある。
そこにジェーンは飛び込み、人々の視線を集めた。
太陽の光のような情熱。
それは暗き海底にさえ届く。
どれだけ泡沫のウェパル『幼体』が狂気でもって人々の心を『畏怖』で埋め尽くすのだとしても、それでも、情熱の光は人の心に届くのだ。
それを示すようにカトラスにパラドクスが宿る。
「龍波断ち(リュウハダチ)、一刀で……叩き割る!」
振るわれる一閃が泡沫のウェパル『幼体』の頭部から胸元までを切り裂く。
噴出する粘液めいた体液。
だが、それでも歌は響き大波が膨れ上がる。
「いくらジェネラル級でも、幼体ならこんなものか」
クローディアは同時に理解しただろう。
幼体でアヴァタール級の力を持っている。もしも、この『幼体』の起こす事件を察知できていなかったとしたら、いずれジェネラル級に至る強さを持つ者が複数生まれていた危険性を知るのだ。
故に、クローディアはパラドクスの砲火を強める。
「さっさと終わらせちまおう」
「同感です! まったくカーニバルの主催なのにとことん向いていないじゃん! こんなのが主催なんて僕はげきおこだよ」
「なら、どうするよ?」
「決まってるよ。皆で盛大にアゲてぶっ飛ばしちゃる!」
「どの道、奴はアゲられんじゃろうよ。TOKYOエゼキエル戦争から“落ち”のびた風情が登れるものなどありはしないのだからな! ハハハハハハッ!」
ロキシアの言葉に五月姫が笑い。
黒馬と共に五月姫は己が刀を掲げる。
彼女にしてみれば泡沫のウェパル『幼体』のやり方は回りくどいの一言であった。
踊らせ、『畏怖』を喰らう。
わざわざそんなことをせずとも、存在するだけえ畏れられる程の格があればよかったのだ。
だが、それが泡沫のウェパル『幼体』にはない。
「本体たる泡沫のウェパルの格が知れようというもの!」
振るう刀の一閃が大波切り裂き、さらに泡沫のウェパル『幼体』の体躯を切り裂く。
十字に刻まれた体躯。
そこにロキシアの極細の槍が防御すら許さぬとばかりに打ち込まれる。
体躯が揺れる。
揺れて、揺れて、揺れて。
その姿はまるで海底にて根ざす海藻を思わせるようであった。
「僕が、僕らが此処に来たのが運の尽きだ」
クローディアの砲火が荒ぶ。
どんな歌も此処では響かないというように、なおも紡がれる呪いの歌を振り切るようにしてジェーンが走る。
「この海で勝手はさせないさ」
振り上げたカトラスの一閃は今度こそ、泡沫のウェパル『幼体』を両断する。
その一閃は戦いの終わりとダンスカーニバルの終わりを示していた。
「ふんす! これにてお開き!」
ロキシアが打倒された泡沫のウェパル『幼体』が崩れ去っていくのを見やり息を吐き出す。
「文字通り藻屑にしてやったわ」
「決着と言ったところか。しかし、親と同じ強さの奴が次々と生まれてくる……厄介な能力を持っているもんだね、泡沫のウェパルというやつは」
クローディアも己の死霊術にて集った砲手たちに手を上げて見送る。
その様を見やり、ジェーンも頷く。
「どっかにいる本体もデイヴィ・ジョーンズの監獄に叩き込んでやるさ」
それは共に戦ったディアボロスたちの共通する思いであったことだろう。
奪われたものの怒りを鎮められるのは、いつだって復讐の果てである。
ならば、己達の海を荒らしたものが往く末路は、冷たき海底のみ。
そうでなければならない、と熱狂の渦が冷めていくダンスカーニバルをディアボロス後にするのだった――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【通信障害】がLV5になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!