イスカンダル軍奇襲作戦~強欲の将(作者 風音つばさ)
#蹂躙戦記イスカンダル
#イラン高原、イスカンダル軍奇襲作戦
#イラン高原
#ペルセポリス
#断片の王『イスカンダル』
#イラン高原大決戦
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●イスカンダル大王軍、軍議
インド戦線から後退してきた、亜人の大軍勢。
大地を埋め尽くす程の軍勢には、多くの種類の亜人達が居り、幾つもの軍旗がたなびいていた。
その軍旗一つ一つには、有力な将軍が存在していることを意味する。
そんな溢れる軍勢の中、居並ぶ幹部たちに対し断片の王『イスカンダル』が言葉を放つ。
「《戴冠の戦》まで未だ多くの時を残しながら、我らの蹂躙がこうも停滞するとは」
業腹であると告げると、場の空気がひりつく。
怒りに触れ、たじろぐ幹部を一瞥し、イスカンダルはペルセポリスより東の領土は放棄し、体制を立て直す事を決断する。
「敵がいかなる想定外の策を弄して来ようと、それら全てを倒してこそ『唯一絶対の王』足りうるというものだ。そうだろう?」
イスカンダルの問いかけに、肯定するように敬礼する亜人達。
その様子に頷くと、イスカンダルは声を上げる。
「将兵達よ、新たな蹂躙のため、我と共に進軍せよ!」
「おおおおおぉぉぉおお!!」
イスカンダルの号令に、亜人達は大地を揺るがすほどの雄たけびを上げたのだった。
●新宿駅グランドターミナル
ペルセポリス電撃戦は、無事に成功した。
スサ攻略後の迅速な移動からの電撃戦は、敵を大いに混乱させることが出来ただろう。
この影響で、ペルセポリスに向かっていた断片の王イスカンダルは、ペルセポリスを見捨てて、更に西に向かって移動しようとしているようだ。
「勿論、この動きを見過ごす事は出来ないよ。攻略旅団の提案に従って、この軍勢に奇襲をかけて欲しい」
時先案内人の七色・絵名(虹の絵筆・g03274)は、そう皆に告げる。
奇襲によってイスカンダル軍に打撃を与える事で、攻略旅団の方針にそった情報を得る事ができるだろう。
「今回の奇襲作戦は、敵軍の情報を掴む事が目的だよ」
この奇襲攻撃の成果によって、攻略旅団から提案されていた情報を得る事が可能だ。
「戦闘中に特別な情報を集める必要は無いから、みんなは目の前の戦闘に集中してくれていいよ」
インド遠征軍は圧倒的な大軍ではあるが、多数の亜人部族の混成軍である為、部隊間の連携などは、得意では無いようだ。
「敵陣の奥に入り込み過ぎないように、外側の部隊を叩いて混乱させながら、敵の戦力を削ったら、頃合いを見て撤退してほしい」
亜人の軍勢は、攻撃時にこそ最大の力を発揮する。
受け身に回っている間は、その力を十全には発揮できないだろう。
そこを衝くのが今回の作戦だ。
「イスカンダル軍には将軍として多くのジェネラル級が従軍してるみたい。全てのジェネラル級を撃破するのは難しいだろうけど戦力を削る大事なチャンス、逃さず仕掛けていこう!」
●亜人の軍勢、新たな目的地へ
「ああ……ペルセポリスに到着したら、特別休暇が貰えるはずだったのに……」
期待は外れ、ペルセポリスには向かわず、このまま行軍するという命令を受けてしまった。
「不満があるのは分かるが、聞こえないように言えよ」
言葉を漏らす部下たちに向かって『強欲将軍』ペイトンはそう告げる。
睨まれた部下が硬直する中、ペイトンはニヤリと笑う。
「お前ら、よく考えてみろ」
「と、言いますと?」
「活躍すれば名声は俺らのものだ。貰えるはずだった休暇以上のものが手に入るだろう。それをみすみす他の奴らにやれるか」
部下たちに発破をかけ、ペイトンは他の部隊をどう出し抜くかを考え始めた。
リプレイ
ハーリス・アルアビド
各隊同士の連携はないに等しいと言うのは事実のようです。本隊が対処に動く前に末端を崩していきましょう。
砂漠の守護神にして嵐司りしセトよ、お力添えを。あらゆる敵を薙ぎ払うお力をお授け下さい
祈りを捧げ【幸運】を願い、戦の勝利を誓います。
【残像】を生み出す速度で駆けながらまき起こる砂塵を砂の幕とし、【残像】と【忍び足】の緩急を加えてこちらの所在と攻撃のタイミングを見誤らせ、的確な狙えぬよう【撹乱】しましょう。
敵が攻撃体勢に入ったところで【残像】に誘導して【一撃離脱】を行い、死角へと回り込んで【不意打ち】により【セトへの誓願】の【連射】を放ちます。
●砂塵を駆ける
「各隊同士の連携はないに等しいと言うのは事実のようです」
敵の様子を窺っていたハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は突出した部隊を見つけ呟いた。
西へと移動する大軍。
その中でも我先にと隊列から飛び出す軍旗がちらほらと目に付く。
時代、種族問わず名声欲しさにこうした行動をとるのはどこにでも居るようだ。
そして、いつでもこういう相手は恰好の的となる。
「さて、本隊が対処に動く前に末端を崩していきましょう」
本隊から離れているからこそ、切り崩し、戦力を削ぐことが出来る。
「砂漠の守護神にして嵐司りしセトよ、お力添えを。あらゆる敵を薙ぎ払うお力をお授け下さい」
ハーリスは祈りを捧げ幸運を願い、そして戦の勝利を誓う。
祈りを終え、ハーリスは戦場へと走り出した。
「どこだ、どこに行った!?」
巻き起こる砂塵を幕に、素早く駆けるとハーリスは伸びてくる槍を掻い潜っていく。
時に速度に緩急をつけ、居場所を補足されないよう駆け続ける。
何度も何度も攻撃のタイミングを外し、ゴブリンファランクス兵に焦りが浮かぶ。
その焦りは明確な隙となって現れる。
結果、ハーリスはこうしてゴブリンファランクス兵の死角へ回り込むことが出来た。
「嵐の神セトに願い奉る」
ハーリスが、祈りを捧げる。
巻き起こっていた砂嵐がハーリスの元へと集う。
束ねられた砂嵐が槍の形を成す。
前方へハーリスが手をかざすと、作られた槍が次々とゴブリンファランクス兵に襲い掛かる。
反応の遅れたゴブリンファランクス兵は全身に無数の風穴を作り、その場に倒れたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
クロエ・アルニティコス
セレウコスが死んでいることを理解し、それでも西へと動きますか。どこへと向かい立て直すつもりなのか……
ここで殺せれば最善。ですがそれができる前提で後のことを考えないのも愚かなこと。次も考える必要がある。
そのための情報を得るためにも……まずは目の前の亜人どもを殺し、戦力を削りましょう。
カンパニュラの種に魔力を注ぎ【セイレーン・カンパニュラ】。セイレーンを象った怪物を作り出します。
撤退する亜人どもを横合いから攻撃し、隊列の外側にいる者をセイレーンの叫びで引き裂きましょう。
あちらが散開から包囲を狙ってきたなら散開のため隊列から外れた者に狙いを変更。突出した者から順に撃破を狙います。
連続攻撃は三相の杖で受け止め、深手は負わないように。
この戦いの目的は情報。深追いは禁物。
ですが、それはそれ。
目の前に殺していい亜人どもがいるなら、皆殺し以外の択はありません。
エイレーネ・エピケフィシア
西へ向かう……それだけでは行き先の候補も絞り切れませんね
手つかずの重要都市で塔を築くのか、軍勢を吸血ロマノフ王朝に向けるのか
或いはムシュフシュと合流し、バビロン奪回に注力する展開も考えられるかもしれません
真意を解き明かすため、着実に勝利を積み重ねてゆきましょう
≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に、行軍に疲れた敵を急襲します
『雷光旋舞斬』を放ち、近場の敵を槍で突くと共に雷撃を解き放ち、周囲の敵も一掃しましょう
範囲攻撃に巻き込み、ファランクスの密集陣形に穴が開くように仕向けてやります
その欠落を無視するにしろ補填しようと動くにしろ、敵の行動は乱れるでしょうからね
攻撃後は深く切り込みすぎないように、素早く敵陣の外側まで下がります
敵が突き出してくる槍に対しては、こちらの槍を絡めて狙いを逸らしたり
≪神護の輝盾≫で受け止めることで対応しましょう
手持ち武器で対処しきれない分は、咄嗟に身を逸らし≪神護の胸当て≫で受けます
あなた達が名声を勝ち取ることはありません
名もなき怪物として、奈落の深淵へと落ちなさい!
●向かう先は何処か
西に向かう敵軍を見つめ、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)とエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は言葉を交わしていた。
「セレウコスが死んでいることを理解し、それでも西へと動きますか」
「西へ向かう……それだけでは行き先の候補も絞り切れませんね」
「どこへと向かい立て直すつもりなのか……」
「手つかずの重要都市で塔を築くのか、軍勢を吸血ロマノフ王朝に向けるのか。或いはムシュフシュと合流し、バビロン奪回に注力する展開も考えられるかもしれません」
思い当たる例をいくつか挙げてはみるが、絞り切れない。
であれば、目的地に辿り着く前に、ここで殺せれば最善である。
だが、それが出来る前提で後の事を全く考えないのは愚かな事。
常に次の手をいくつも考えることが必要であり、重要なのだ。
「そのための情報を得るためにも……まずは目の前の亜人どもを殺し、戦力を削りましょう」
「ですね。真意を解き明かすため、着実に勝利を積み重ねてゆきましょう」
この作戦によって得られる情報は、それこそ次の手を考える為の材料になる。
たくさんの情報を得る為にも、この戦い勝たねばならない。
クロエとエイレーネは互いの健闘を祈ると、敵陣へと向かった。
「種子に宿るは我が憂い、芽吹け『セイレーン・カンパニュラ』!」
手にしたカンパニュラの種に魔力と鬱々とした想いを注ぎ、クロエがパラドクスを発動させる。
種が急成長し、現れた植物の怪物は、金切り声を上げながら飛び回る。
それを耳にしたゴブリンファランクス兵の身は引き裂かれ、その場に崩れ去る。
ゴブリンファランクス兵は攻撃に動揺するも、クロエを包囲しようと動き出す。
周囲を一瞥する。クロエとしても、このまま囲まれるつもりはない。
包囲網が徐々に作られる中、突出した相手へと狙いをつけ、走る。
パラドクスを放ち、陣形に穴をあけると、何とか包囲から抜け出した。
「この戦いの目的は情報。深追いは禁物……」
攻撃を受け、警戒するように後退するゴブリンファランクス兵を見つめ、クロエは今回の目的を思い出していた。
だが、それはそれ。
「目の前に殺していい亜人どもがいるなら、皆殺し以外の択はありません」
再びパラドクスを発動すると、クロエはゴブリンファランクス兵への攻撃を再開した。
続けざまの行軍に、ゴブリンファランクス兵も疲れていた。
蓄積された疲れは、注意力を散漫にさせる。
疲れた様子を浮かべるゴブリンファランクス兵を狙い、エイレーネは神護の長槍と神護の輝盾を手に突撃していく。
「雷霆よ、人々を脅かす慮外者どもに裁きを下したまえ!」
一番近くのゴブリンファランクス兵を槍で一突き。
同時に雷撃が走り、周囲の敵を巻き込んでいく。
「くっ、敵の奇襲だ」
「応戦しろ!」
声を上げ、咄嗟に空いた穴を補うように即座に陣形を整え始めるゴブリンファランクス兵。
深く切り込みすぎないように注意していたエイレーネは、相手の行動を見て素早く敵陣の外側へと下がった。
突き出してくる槍を自身の槍で逸らし、盾で受け止める。
「あなた達が名声を勝ち取ることはありません。名もなき怪物として、奈落の深淵へと落ちなさい!」
敵の攻撃を凌ぎながら、電光石火の速さで次々に槍と雷撃を見舞っていった。
突き刺さった槍を引き抜くと、最後の一体だったゴブリンファランクス兵が煙を吹きながらその場に倒れる。
視線の先には、思惑を潰され怒りをあらわにする強欲将軍の姿があった。
残るは目の前のアヴァタール級『強欲将軍』ペイトン。
ディアボロスは次の戦いに備え、今一度気合を入れた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!
ハーリス・アルアビド
欲に振り回され暴れるだけならば与し易いのですが、強欲故に望む通りの得を得るための頭はあるようですね。毒にはよい記憶もありませんし、油断はしません。
天空の神ホルスよ、お力添えを。悪しき蛇を倒すため、すべてを見通す目と翼をお授け下さい。
祈りを捧げ仲間への【幸運】を願い、戦の勝利を誓いましょう。
最高速度で【飛翔】し、舞い上がる砂塵を【砂使い】で操り砂の幕とします。
高く飛べば周辺の敵にも悟られるやもしれません。低空を飛びましょう。
【残像】と併せて間合いと攻撃のタイミングを的確に捉えられぬように、そしてこちらに注意を引き受けるため【空中戦】の技能を駆使して不規則な軌道で飛び回り味方の攻撃や罠へと誘導します。
毒を受けても【グロリアス】の効果があればすぐに倒れることはないでしょう。恐れず戦い【残像】や味方の攻撃によって即座に反撃体勢を取れぬ隙を狙い【ホルスへの請願】による【貫通撃】を放ちます。
クロエ・アルニティコス
あるいはそれができると本気で信じていたか。
「取らぬ狸の皮算用」と。そう言うらしいですよ。
いずれにせよ。お前の望みが叶うことは永劫ありません。
エイレーネ(g08936)をディフェンスし、彼女の苦手なWIZでの攻撃から守り反撃していきます。
赤い薔薇の種を手に【ラードーン・ローザ】を使用。ラードーンを象った怪物を作り出します。
100の頭での噛みつきで絶えず攻撃を仕掛け、ペイトンの気を散らすようにして戦闘。
敵がこちらを狙ってきたらラードーンを密集させ熱線を防御。【反撃アップ】で逆に痛打を狙います。
味方の攻撃で隙が出来たならラードーンの首で縛り、締め上げ、噛みつき、肉を食いちぎらせましょう。
お前たちの欲する休暇以上の褒美など、私たちにとってはろくなものではないでしょう。
私たちが来た以上、お前がそれを得ることなどありません。
何ものも得ず――冥府へと墜ちなさい。
エイレーネ・エピケフィシア
あなたは不満を抱いた部下を力で抑え込むのではなく、戦果への意欲を沸き立たせようと試みました
個人の武力のみで指揮官の座を任された者も多い亜人の中では、優秀な統率者だと言えるでしょう
……だからこそ、逃すわけには参りません
≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に、孤立した敵を仲間と取り囲むようにして戦います
クロエ様(g08917)をディフェンスし、苦手な攻撃を引き受けつつ反撃での痛打を狙いましょう
攻防の際には槍を『流星が如く燃え立つ投槍』として投擲
敵の胸や頭部を目掛けて槍を放ち、凄まじい速度が乗った鋭い穂先で、鎧兜を突き抜けて急所を穿たんとします
後詰として動くなら、仲間の攻撃で敵の動きが乱れた所をすかさず狙い決着を
逆に行動順が早ければ、突如飛び来る高速の槍で敵のペースを乱して後続の技に繋いでいきます
敵が召喚する蛇の攻撃に対しては、身を低くしながら盾を構え、足元を払われないようにして防御
薙ぎ払う尾が過ぎ去った後は速やかに次の攻撃に移ります
その狡猾さが更なる蹂躙を産む前に――今ここで、討ち滅ぼします!
●強欲の将
「全滅だと……俺の計画が」
他の部隊を出し抜く算段は出来ていた。
部下の士気も申し分なかった。
だからこそいち早く目的地に辿り着くため、歩を進めた。
それなのに。と『強欲将軍』ペイトンは現状を嘆いた。
「そういうのを『取らぬ狸の皮算用』と。そう言うらしいですよ」
クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)が告げる。
「計画を台無しにしておいてよく言うな。だが」
ペイトンがクロエを睨む。
舌をチロチロと出しながら、獲物を狙う目をしていたペイトンの視線を遮るように、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)が割り込むと口を開いた。
「まったく、欲に振り回され暴れるだけならば与し易いのですが、強欲故に望む通りの得を得るための頭はあるようですね」
今尚、次の作戦を考えている様子のペイトンに油断ならないとハーリスは視線を向ける。
「あなたは不満を抱いた部下を力で抑え込むのではなく、戦果への意欲を沸き立たせようと試みました。個人の武力のみで指揮官の座を任された者も多い亜人の中では、優秀な統率者だと言えるでしょう」
「ふん、そんなもの。俺の名声の為に利用したに過ぎない」
「だとしても、それで部下の士気が上がったのは確かです」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)の言葉を鼻で笑うペイトン。
自身の欲の為……と言っているが、今回彼の語った欲望に部下達は感化された。
独断専行しがちな部分があるが、その向上心が周りに与える影響は脅威といえる。
……だからこそ、逃すわけにはいかない。
「お前たちの欲する休暇以上の褒美など、私たちにとってはろくなものではないでしょう。私たちが来た以上、それを得ることなどありません」
「このまま勢い付かせるわけにはいかないですね」
「その狡猾さが更なる蹂躙を産む前に――今ここで、討ち滅ぼします!」
「簡単に倒せると思うなよ。俺はまだまだこの程度で終わる器じゃない!」
互いに武器を構え、睨み合う。
「天空の神ホルスよ、お力添えを。悪しき蛇を倒すため、すべてを見通す目と翼をお授け下さい」
戦の勝利への誓い。そして、仲間への幸運を願い祈りを捧げたハーリスは、周囲に気付かれない程度の低空で【飛翔】すると、砂を舞い上げながら突撃を開始した。
なるべく注意を引きつける為、不規則な軌道で飛び回る。
「天空の神ホルスに請い願う」
隙をついてパラドクスを叩きこむ。
攻撃を受けたペイトンは口から吐く息を剣へと纏わせる。
「――っ!?」
嫌な予感に咄嗟に身を引くと、目の前を剣が通り過ぎていった。
「チッ、これを躱すか……」
「毒にはよい記憶もありませんし、油断はしません」
仕切り直しと、ハーリスは一度距離を取るのだった。
クロエとエイレーネは互いを守りつつ攻撃を続けていた。
「大丈夫ですか? クロエ様」
神護の輝盾で攻撃を弾き、背後へを視線を向けるエイレーネ。
「ええ。大丈夫です」
返ってきた返事に安堵すると、エイレーネは神護の長槍を構える。
「輝ける槍よ、悪しき者の命を過たず穿たんことを!」
投げ放たれた槍が炎を纏い、凄まじい速度でペイトンへ襲い掛かる。
「厄介な……ならこれで吹き飛べ!」
ペイトンはふらつく足に力を籠め、反撃に出る。
巨大な大蛇が召喚され、エイレーネを吹き飛ばさんとその大きな尾で薙ぎ払う。
エイレーネは吹き飛ばされないよう身を低くしながら盾を構え、正面から尾を受け止める。
「う、くっ……」
盾を上へと持ち上げる事で、尾を上へと弾く。
残った衝撃に尻餅をついたエイレーネの背後からクロエの声が響いた。
「準備完了。下がって、エイレーネ」
声に反応して即座にエイレーネが退く。
退いた先、隣のクロエの手には、魔力と抑えきれない負の感情が注がれた赤い薔薇の種が乗っかっていた。
「種子に宿るは我が抑圧、芽吹け『ラードーン・ローザ』!」
パラドクスが発動し、現れた植物の怪物。
植物の怪物は無数の茨を伸ばすと、縛り付けるようにペイトンの全身に絡みついていく。
「しまった!? こんな所で……俺の富が、名声が……」
抜け出そうと暴れるが、暴れれば暴れるほど茨はより強くその身を縛る。
「お前の望みが叶うことは永劫ありません。何ものも得ず――冥府へと墜ちなさい。ハーリス、最後は任せます」
「天空の神ホルスよ、悪しき蛇を倒す為の力をここに」
頭上から降り注ぐ鋭く正確無比な一撃が、ペイトンにトドメを刺した。
西へと向かう亜人の大軍勢。
その中の一部隊を殲滅することに成功した。
大軍勢の内の一部隊と言えど、敵の戦力を削ったのだ。
離れているとはいえ、本隊もじきに部隊の壊滅に気付くだろう。
頃合いだと、気付かれる前にこの場を後にした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!