リプレイ
ぴしっ。
乾いた音がひとつ鳴るたび、小さく呻く幼子の声。
痛む身体を丸め、歯を食いしばって必死に耐える。
誰も助けてくれない。
どこにも逃げられない。
なんでおとーさんはこんなことするの?
なんでおかーさんはたすけてくれないの?
まえみたいにギュッとしてよ。
あたま、なでなでしてよ。
いたいよぉ。
おなかすいたよぉ。
ねぇ……。
ねぇ、ねぇってば……。
鞭打ち大会と称した、悪趣味な催し。
集められた年若い親たちは黒革の鞭を振るい、実の子を打ちつける。
可愛い我が子。
本来であれば、何より大切で守るべき存在。
だのに、なぜ……。
逆らえない自分、弱い自分を責めるように。
父も母も、涙も枯れた虚ろな目でひたすら鞭を振り下ろした。
ア・ンデレ
「むちうちたいかい、たのしそうじゃん。アンデレちゃんもいーれーて!」
アンデレちゃんは鞭を持って、笑顔で振るう。
鞭は使ったことないけど、アンデレちゃんのすごいパワーまかせに。
ノーブルメイドの見様見真似で地面を叩いてみる。
ばちーん。
鞭はバラバラになった。
クロノオブジェクトでも何でもない普通の鞭はアンデレちゃんのパワーに耐えられなかった!
「むちうちたいかいなんて、つまんねーことやってんじゃねー!」
アンデレちゃん、怒った!
アンデレちゃんは鞭を見捨て、自分の巨大な手で、ノーブルメイドをばちーんと叩く。
やっぱり頼れるのは自分の腕だけだね。
そうだそうだ。今回はこいつらを倒して、子供たちを救わないといけないんだった。
つまらない遊びに付き合っているほど、アンデレちゃんは暇じゃない。(開き直り)
一人一人確実にばちんとつぶしていこー。
そんな小さな手じゃ、アンデレちゃんの大きな手には勝てないよ。
●赤い手の鞭打ちメイド
「あーもう、どいつもこいつも下手すぎーっ!」
子供の親たち、みんな全然ちっとも鞭の扱いが上達してない。
採点不能。
これじゃゲームにもならないと、『深窓の令嬢フランツィースカ』は癇癪を起こす。
「ほらそれ、フランちゃんに貸してみなさいよ」
奪い取った鞭で地面をぴしり。
フランツィースカがするのに合わせ、配下の『ノーブルメイド』たちも揃って鞭を鳴らす。
ぴしっ、ぴしっ。
あんな勢いで叩かれては、痩せ衰えた幼児などひとたまりもない。
絶望に頭を抱え、現実から逃れるように親たちが目を逸らしたそのとき──。
「むちうちたいかい、たのしそうじゃん」
アンデレちゃんもいーれーて! と、自前の鞭を手に現れたのは、満面の笑みを浮かべたア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)。
おもちゃみたいにへなちょこな鞭、どこで仕入れてきたかはナイショだ。
ぱちーん。
鞭なんて使ったことない。
でも、ちょいと真似して地面を叩いてみる。
ばちこーん。
「あ……」
呆気ない。
余りに呆気ない脆さで、へなちょこ鞭は木っ端みじんに砕けて消えた。
「あーあ……」
どうやらアンデレのスーパーなパワーに耐えられなかったらしい。
そもそも、へなちょこなんだから仕方ないけれど。
「むちうちたいかいなんて、つまんねーことやってんじゃねー!」
アンデレちゃん、怒った!
逆ギレです。
いけません、それは完全な逆恨みです。
分かってるけど、やってられっかー! の勢いで鞭を捨て、異形巨大化させた手で近くのノーブルメイドをぱちーんと叩く。
ひゅーんと飛んでく、憐れなメイド。
「やっぱり、頼れるのは自分の腕だけだね」
得意げに言ってから、はたと思い出す。
「そうだそうだ。今回は、こいつらを倒して、子供たちを救わないといけないんだった」
つまらない遊びに付き合っているほど、アンデレちゃんは暇じゃない。
一人一人、確実にばちんとつぶしていこー。
心臓をえぐり取ろうと伸ばしてくるメイドの赤い手をひょいとすり抜けて。
「そんな小さな手じゃ、アンデレちゃんの大きな手には勝てないよ!」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
栗花落・月桜
アドリブ・連携歓迎
●心情
愛し合って愛情をもって育てていたであろう家庭を強制的に壊しましてや親たちに自分らの子供を虐待させるなんてそんな悪逆非道な行為が行われていると聞いて黙って見過ごすなんてできません。
●行動
鞭打ち大会……鞭は持ってませんが代わりに【断頭台の振り子】にて貴方方を断罪させていただきます。
古来より処刑は行われてきたのですから罪人は首を切られて然りだと思うのです……
【ダメージアップ】にて火力を増し切れ味鋭くしながら確実に一体ずつ処刑をしていく。
貴方方は罪無き人々に苦痛を与えすぎました。親も子も皆心にダメージを負ったのです……
一般人では貴方方に対抗はできないのですから、我々ディアボロスが助けられる命は代わりに助けるのが道理です……
この悪しき大会はこれ以上続けさせるわけには行きません!
さぁ、終わりにしましょう。
貴方方はもうこれで終わりです
親は子を育て、子は親を慕う。
互いを愛し、慈しみ合って。
慎ましくも穏やかに暮らしてきたであろう家族。
その幸せを強引に奪ったばかりか、望まぬ虐待までをも強いるだなんて──。
「そのような極悪非道な行い、黙って見過ごすことなど出来ません」
戦うすべを持たぬ一般人に代わり、助けられる命は我々ディアボロスが助けるのが道理。
静かな怒りを胸に、栗花落・月桜(大きい武器はロマン・g10626)もノーブルメイドたちと対峙する。
「鞭は持っていませんが、その代わりに……」
貴方がたを断罪させていただきますと、大鎌を構える。
狙いを定めて揺れ動く刃は、死へのカウントダウンを刻む振り子のよう。
「古来より、処刑は行われてきました。罪人は首を切られて然り……そうは思いませんか?」
答えを考える暇も与えず、素早く一閃。
ギロチンの如き勢いで、月桜はノーブルメイドの首に刃を叩きつけた。
「うぐっ……」
深く斬りつけられ、血を吐いて呻くメイド。
それきりメイドは声を失い、代わりにひゅうひゅうと喉を鳴らして恨めしげに月桜を見返した。
まずは一撃。
「これは虐待に怯え、痛みと空腹に耐えかねて泣いていた子供たちの分です」
言いながら、月桜の顔も苦痛に歪む。
月桜が敵に与えたダメージは決して小さくなかったが、同時に放たれた反撃の鞭が彼女の華奢な身体を容赦なく締め上げていた。
「くっ……」
手足の力が抜け、己の生命力が奪われてゆくような感覚に襲われる。
「こん、な……」
こんなところで倒れる訳にはいかない。
傷つき、苦しみながらも、月桜は決して攻撃の手を止めようとはしなかった。
「貴方がたは、罪無き人々に苦しみを与えすぎました。親も子も皆、心にダメージを負ったのです……」
背中に庇った親子の方をちらりと見やる。
彼らのためにも、この悪しき大会をこれ以上続けさせる訳にはいかない。
「さぁ、終わりにしましょう」
次こそ必ずとどめを刺してみせる。
強い決意とともに、さらなる一撃に力を込めた。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
ノーヴル共は本当に碌でも無い奴等ばかりだが、こいつらは特に禄でもないな
人々を玩具の様に扱いやがって……!
奴等を倒して広場に集められた人達を助けだし、他にも苦しめられてる人たちを助けて早々にウーストレルを引きずり出してやらないとな!
其処までだ外道共!
親に子を無理やり傷付けさせる様な真似、此れ以上させはしない
俺の魔弾で貴様等は討ち取らせて貰う!
もう大丈夫
貴方達が奴等に従う必要はもうない
我が子を傷付け親に傷付けられる日は終わりだ!
痛いか?
だが其の程度の痛み貴様等が彼等に強制した事による心の痛みに比べれば遥かに軽い
親に護るべき子供を傷付けさせ子供に自分を守ってくれる筈の親に痛めつけられる苦しみを与えた報いしっかり受けろ!!
親子に近いメイドから順次◯双翼魔弾で攻撃
親子達の所に駆け寄り彼等を護る様に位置取りながら戦う
攻撃の対象は親子に最も近い敵を最優先で攻撃
又、敵の攻撃に関しては流れ弾が親子に行くのを防ぐ為、場合によっては回避せず心臓周辺を〇結界術により護りを固める等し対処
「ノーブル共は本当に碌でも無い奴等ばかりだが……」
あいつ等は特に禄でもないなと、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は苦々しく呟いて目を上げる。
見据えた先には、怯えてうずくまる一組の親子を取り囲んだノーブルメイドの姿。
早く鞭を振るえと両親を脅し、柔らかな子の頬すれすれに自らの得物を叩きつけている。
「人を玩具の様に扱いやがって……!」
ただの威嚇かもしれない。
けれど、このまま放っておくことなど出来ない。
奴等を倒し、苦しめられてる人達を助けて早々にウーストレルを引きずり出してやらなくては。
「其処までだ、外道共!」
親に子を無理やり傷付けさせるような真似、これ以上させはしない。
怒りに身体が自然と動く。
瞳や髪と同じ、金色の悪魔の翼を広げて。
ルィツァーリが放つ魔力の弾は、続けざま敵の背中を撃ち抜いた。
「うぐっ!」
「ううっ……」
苦しげに身を捩り、仰け反るメイドたち。
髪を振り乱して突き出した血色の両腕が、ルィツァーリの心臓を掴みにかかる。
「……おっと!」
真紅のマントを翻して飛び退る。
「悪いが、そう易々と捕まるような間抜けではないんでな!」
そうしてすぐまた低空を駆けると、ルィツァーリは親子の方に近づいた。
もう大丈夫と声を掛け、自分たちが来たからには心配ないと励ます。
「貴方達が奴等に従う必要はない。我が子を傷付け、親に傷付けられる日は終わりだ!」
ふたたび敵と向き合い、距離を詰める。
驚いたメイドは反射的に下がろうとするが、放った魔弾はどこまでも執拗に追いかけ、決して的を外すことはない。
「ああっ……」
普段は表情に乏しいメイドの顔が苦痛に歪む。
「……痛いか?」
堪らず倒れ込んだ敵を、冷たく見下ろすルィツァーリ。
「だが、其の程度の痛み……」
こいつらが親子に与えた心の痛みに比べれば、遥かに軽い。
「親に護るべき子供を傷付けさせ、子供に自分を守ってくれる筈の親に痛めつけられる苦しみを与えた報い、しっかり受けろ!!」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
リューロボロス・リンドラゴ
※無明卿宿敵主
――有象無象よ、我が前から消え失せよ。薙ぎ払うは竜である。
幼子達も。クロノヴェーダ共も。
目にすることになるだろう。
くだらぬ大会の開幕とともに我が尾にて薙ぎ払われるメイド達の姿を。
ふん。どうした?
何を驚く?
鞭打ち大会なのであろう。
早速打たせてもらったぞ?
ああ、我が得物は竜の尾だが、気にするな。
良くしなり、打ち据える。
実質鞭だ。そうであろう?
最も水天たる我にとっては鞭よりも羂索の方が馴染み深いがの。
知っておるか?
羂索とは人々をすくい上げる縄のことだ。
水天と同一視されたヴァルナも、縄索にて悪を縛り、罪を罰したという。
訳の分からぬことをだと?
分かりやすく言ってやろう。
幼子達よ、助けに来た。
幼子の敵よ、死に絶えろ!
血の鞭、何するものぞ!
その程度で竜を縛れると思うてかあああ!
もう大丈夫だと幼子たちに希望を持たせるためにも、揺るぎはせぬ。
全員で向かわねば勝ち目がないと思わせ、敵を引き付け、幼子達の安全を確保するためにもダメージなど無いと振る舞うぞ!
圧倒するさまを見せつけてくれるわ!
「――有象無象よ、我が前から消え失せよ」
薙ぎ払うは竜、我こそはリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)であると、名乗りを上げる。
「我が龍尾は拒絶と知れ」
小躯に似合わぬ巨大な龍の尾を軽々と振り回し、リューロボロスは敵の群れをひと息に薙いだ。
「……っ!?」
気づいたときにはもう遅い。
声を上げる間もなく、ノーブルメイドたちは木の葉のように吹き飛んでいた。
「う、ううっ……」
全身を強く地面に打ちつけられる。
倒されたメイドは、全部で4体。
みな驚愕の表情を顔に張り付かせ、すぐには立ち上がれずにもがくその様は、何とも無様だ。
「ふん、どうした。何を驚く?」
鞭打ち大会なのであろう? と、薄く嗤うリューロボロス。
「大会と聞いたので、早速打たせてもらったのだが……ああ」
リューボロスの得物は竜の尾。
だが、気にするな。
これはこれで良くしなり、打ち据えられる。
実質、鞭も同じだ。
「……そうであろう?」
身をもってその威力を知ったはずのメイドたちだが、誰一人リューロボロスの問いには答えない。
もはや、答える気力すらないというのか。
それでも構わず、リューロボロスは続けた。
「最も、水天たる我にとっては鞭よりも羂索の方が馴染み深いがの」
知っておるか?
羂索とは、人々を救い上げる縄のことだ。
水天と同一視されたヴァルナも縄索にて悪を縛り、罪を罰したという。
「訳の分からぬことを……だと?」
ならば、分かりやすく言ってやろう。
「幼子達よ、助けに来た。幼子の敵よ、死に絶えろ!」
血の鞭、何するものぞ! の精神で、恐れず怯まず竜の尾を振るう。
「その程度で竜を縛れると思うてかあああ!」
全身を捕らえて縛りつけようとする反撃の鞭を払い退け、さらに一撃。
圧倒的な強さを見せるその様は、謂れのない虐待に心身を弱らせた幼子たちの目にどう映っただろう。
願わくば、幼子たちの憧れとしての竜でありたいと思う。
「そのためにも……」
もう大丈夫だと希望を持たせるためにも、決して揺るぎはせぬ。
小さき子らの敵をすべて駆逐してやろうではないか!
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
リューロボロス・リンドラゴ
ふん、なんだ。
遊んで欲しいのか?
幼子たちの相手なら喜んでするが、貴様の相手など……と言いたい所だが。
良かろう。そんなにも踊りたいというのなら相手をしてやろう!
ダンス相手とダンスステージを用意してやろう!
来たれ、我が城、我が眷属!
――宴よ、最後の晩餐となれ。時を喰らうは竜である。
くははははは!
突如始まったタイやヒラメのライブに幼子たちはぽかんとするのではないか?
だがまあちとショッキングなことになる故な。
親達よ、子の目を覆ったほうが良いかもだぞ?
我も眷属達で壁を作り、視えないように気をつけるがの。
ヴァンパイアに我や魚たちが引き裂かれるというショッキングではない故安心せよ。
この程度の振り回し、元気な幼子たちと遊びまくっておる我にとってはなんともないわあ!
どうした?
息が上がっておるのではないか?
我はまだ遊び足りぬぞ?
幼子たちの未来を奪い、歴史を奪った貴様が老化に苦しむとは因果応報であろう?
幼子たちは歳をとることを許されなかったのだぞ?
貴様は鶴になることを許さぬ。
幼子の敵よ。我の敵よ。朽ちろ。
● 深窓の令嬢は人形遊びがお好き
鞭音が絶えた広場。
地面に転がるノーブルメイドたちはぴくりとも動かない。
「早くあいつらをぴしっとやっちゃいなさいよ。ねぇほら……んもう、ねぇったら!」
ただ一人残されたフランツィースカがいくら駄々をこねても、反応はなかった。
「……チッ」
こと切れたメイドの背を雑に蹴飛ばして。
「あーあ、つまんない」
頬を膨らませたフランツィースカに、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)が声をかける。
「つまらない? ……ふん、なんだ。遊んで欲しいのか?」
幼子たちの相手なら、喜んで。
貴様の相手など御免被る……と、言いたいところだが。
「良かろう。そんなに踊りたいのなら、相手をしてやろう!」
ダンスの相手に、ステージも。
敢えて貴様が望むまでもない。
「来たれ、我が城、我が眷属!」
――宴よ、最後の晩餐となれ。時を喰らうは竜である。
「くははははは!」
現れ出でしは、竜宮城。
タイやヒラメのダンサーズ。
ひらりひらひら、舞い踊る。
フランツィースカもつられて踊る。
踊る踊るおどる。
手も足も止まらない。
少し離れた場所から見ているであろう幼子たちは、きっとぽかんと見惚けていることだろう。
「なんなのよこれぇ……」
あんたたちなんか、すぐに壊れるお人形のくせに。
お人形を踊らせるのは、フランちゃん。
あんたたちじゃない!
「禁じられた危険な人形遊び、一緒に遊びましょ」
リューロボロスの華奢な腕を掴んで引っ張って。
くるりくるくる……って、あれ?
急に足に力が入らなくなってへたり込む。
「どうした? 息が上がっておるのではないか」
この程度の振り回し、元気な幼子たちと遊びまくっておる我にとってはなんともないわあ!
あっさり腕を振りほどいたリューロボロスとは対照的に、気がつけば全身ふらふら。
ふらふらしわしわ……しわしわっ!?
「いやぁぁぁぁぁぁ──」
パラドクスに呪詛の効果があるなんて聞いてない。
「幼子たちの未来を奪い、歴史を奪った貴様が、老化の呪いに苦しむとは因果応報であろう?」
これまでフランツィースカが奪ってきた、小さな命。
あの幼子たちは、歳を取ることすら許されなかった。
貴様には鶴になることも許さぬ。
「幼子の敵よ、我の敵よ……朽ちろ!」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
さて、後はこいつを倒せば彼等を完全に開放する事が出来るな
尤も解放してからの方が大変ではあるが……何れにしても其の為に全力を尽くすのみ、だ!
人形遊び、な
そうやって遊びのつもりで甘く見ているなら討ち取られるだけだって事を教えてやるさ!
さあ行くぜ相棒!
スヴェルカーニエの名の如く、其の煌めきで敵を翻弄してやるぞ!
成程、普通の人間では確かに此の怪力には耐えきれんだろうな
だが、俺達を甘く見て貰っちゃ困るぜ!
此の程度で倒れる程、俺の今迄の戦いは甘くはない!
我が神の焔矢を以って……貴様を討ち、ウーストレルを討ち……断片の王を討つ!!
覚悟するが良い外道!
まさか此の程度で弱音を吐くんじゃなかろうな!
貴様に無理矢理子供を痛めつけさせられた親の、子供達の心の痛みに比べれば遥かにマシだぞ!
相棒の無双馬に◯騎乗し敵に◯突撃
敵に接近と同時に〇ペルーン神の焔矢をぶちかましては離れるヒットアンドアウェイ戦法をし敵の意識が此方に向くようにして戦う
スヴェルカーニエ=ロシア語で煌めきの意味
アハルテケ種
「行くぜ、相棒!」
無双馬の背に乗り、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は戦場を駆ける。
相棒の名はスヴェルカーニエ。
ロシア語で煌めきの意味を持つ、アハルテケ種の月毛馬だ。
「スヴェルカーニエの名の如く、其の煌めきで敵を翻弄してやるぞ!」
残す敵は、ただ一人。
「深窓の令嬢フランツィースカ。あいつさえ倒せば……」
この地に閉じ込められ、望まぬ虐待を強いられた親子を解放出来る。
ルィツァーリたちが戦っている間に、なんとか安全なところまで逃れたのだろう。
不安げにこちらを見ている子供たちの姿が目の端によぎった。
「尤も……」
心身共に傷ついた幼子の介護に、親たちへの精神的ケア。
解放してからの方が大変かもしれない。
「何れにしても其の為に全力を尽くすのみ、だ!」
そう覚悟を決め、スヴェルカーニエの鼻先を敵に向ける。
一気に速度を上げると、ギリギリまで接近した。
空駆けし天空の神よ、偉大なる雷神よ! 我が敵を討つ為に御身の焔矢を降らせたまえ!
顕現させた巨砲を放つ。
焔矢の如き勢いで砲弾が炸裂し、フランツィースカの足元で爆風が巻き起こった。
「きゃっ!」
衝撃で地面に叩きつけられる。
煤けた顔を上げ、フランツィースカはルィツァーリを睨みつけた。
「なっ、なによ。あんただって……」
すぐに壊れるお人形のくせに!
禁じられた危険な人形遊び。
無邪気な少女の笑みで、はい握手。
ぐっと引き寄せた腕を思いっきり振り回しちゃいましょ!
「人形遊び、な」
馬上から引きずり降ろされたルィツァーリが、軽く頭を振って立ち上がる。
確かに、普通の人間ではこの怪力に耐えられないだろう。
「だが、俺達を甘く見て貰っちゃ困るぜ!」
此の程度で倒れる程、俺の今迄の戦いは甘くはない。
そうやって遊びのつもりで甘く見ているなら……。
「討ち取られるだけだって事を教えてやるさ!」
我が神の焔矢を以って……貴様を討ち、ウーストレルを討ち……断片の王を討つ!!
「覚悟するが良い、外道!」
ふたたびスヴェルカーニエと駆ける。
そうしてまたすぐ敵との距離を詰めて、ヒットアンドウェイ。
派手にぶちかました砲撃は、先ほど以上の威力でフランツィースカにダメージを与えた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ア・ンデレ
「かわいそうなフランちゃん。
ともだちがいないから、めいれいして、したがわせて、むりやりしないと、あそべなかったんだね。
いいよ。アンデレちゃんが、ともだちに、なったげる。
アンデレちゃんちゃんが、ともだちとして、ころしたげる。
アンデレちゃんが、さいごのあそびあいてに、なったげる。」
目と目が合ったら友達だ。それがアンデレちゃんのモットー。
それはクロノヴェーダが相手でも例外ではない。
でもそれは、殺さない理由にはならない。
アンデレちゃんは、子供たちを、救わないといけない。いや、救いたい。
アンデレちゃんは拳に赤いオーラを纏わせる。
「みて、これがともだちのパワーだよ。ひとりじゃだせない、すごいパワー。」
アンデレちゃんはその拳におもいをのせて、フランちゃんにプレゼント(パンチ)する。
フランちゃんのお遊びには、全部付き合ってあげる。友達だからね。
最後は「またね。」といってお別れするよ。
「かわいそうなフランちゃん」
ディアボロスといっぱい戦って。
きれいなドレスもマントもボロボロ。
かわいい王冠は、ぺしゃんこにへっこんじゃった。
髪もぼさぼさ、立っているのもやっとみたいだ。
けれど、ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)が言ってるのはそういうことじゃない。
「ともだちがいないから、めいれいして、したがわせて、むりやりしないと、あそべなかったんだね」
ほんとに、ほんとに、かわいそう。
だから……。
「いいよ。アンデレちゃんが、ともだちに、なったげる」
「あんた、なんか……に……」
情けをかけてもらう筋合いはないと、フランツィースカはキッとねめつける。
鎖で手首に繋いだうさちゃんのぬいぐるみを振り回し、威嚇した。
「……なさけ?」
きょとんと問い返すアンデレ。
あっ! と気づいて、ぶんぶん手を振る。
「アンデレちゃんちゃんが、ともだちとして……」
ころしたげる。
「アンデレちゃんが、さいごのあそびあいてに、なったげる」
目と目が合ったら友達だ。
それが、アンデレちゃんのモットー。
当然、クロノヴェーダだって例外じゃない。
けど、殺さない理由にはならない。
アンデレちゃんは、子供たちを救わないといけない……いや、救いたいから。
拳に赤いオーラを纏わせる。
「みて、これがともだちのパワーだよ」
ひとりじゃだせない、すごいパワー。
その拳に、想いを乗せて──。
ともだちからもらったパワーをこのいちげきにこめる。
「フランちゃんにプレゼント、したげる」
すべての友達、みんなからもらったパワーは、アンデレのパンチを最強にする。
しゅぱっと飛び上がり、勢いをつけてぱこーん!
ごりっと骨の砕ける音がして、フランツィースカの頬が醜く歪んだ。
「うぐっ……」
「まだ、たりない?」
フランちゃん、フラフラしながらもなんとか立ってる。
「あんがい、つよいね」
だったら、もういっぱつ! と、アンデレは大きな赤い手を握り締めた。
「フランちゃんのおあそびには、ぜんぶ、つきあってあげる」
……ともだち、だからね。
どがっ!
ぼこっ!
壊れても友達。
そう、最期まで──友達。
ばっごーん!
渾身の一撃が鳩尾に決まると、フランツィースカは声もなく崩れ落ちた。
さよなら、フランちゃん。
また、ね。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
ディアボロスの活躍により、脅威は消え去った。
もう誰も苦しまなくていい。
もう誰も悲しまなくていい。
親も子も抑圧を逃れ、すべての憂いから解放されたのだ。
とはいえ、すぐには感情が追いつかないのだろう。
鞭を投げ捨て、すっかり放心して虚ろにうずくまる親たち。
その傍らで、赤毛の女の子が突然火のついたように泣き出した。
ホッとしたのか、それとも傷が痛むのか。
もしかしたら、いろいろ思い出して急にまた怖くなったのかもしれない。
悲しみは、たちまち伝播する。
つられて他の子供たちも大声で泣き始めた。
ア・ンデレ
「いたかったね。くるしかったね。でも、もうだいじょうぶだよ。アンデレちゃんが、きた。」
笑顔で叫ぶアンデレちゃん。
アンデレちゃんは【活性治癒】を用いて、子供達の傷を癒していく。
そして、【口福の伝道者】を使って、アンデレちゃん特製のクッキーを配るよ。
「アンデレちゃんのクッキー、おいしいよ。」
自分で食べて見せて、安全な食べ物であることをアピール。
「アンデレちゃんは、みんなをたすけにきた。アンデレちゃんは、みんなと、ともだちになりにきた。みんなに、いたいことするやつは、もういなくなった。だから、だいじょうぶ。」
【活性治癒】を使ったとはいえ、鞭でつけられた傷はすぐには癒えないだろう。
だからアンデレちゃんは、笑顔とクッキーと言葉で、子供達を何とか落ち着かせようとする。
子供達に少しでも笑顔が戻るといいな。
リューロボロス・リンドラゴ
然り。もう大丈夫だ、幼子たちよ。
アンデレが傷を癒しておる内に、我は【アイテムポケット】より替えの服を用意しよう。
時代に合わせてはおるが当然、上質よ。
傷痕に触れても比較的痛くなかろう。
鞭で打たれボロボロの、血の滲んだ服などいつまでも着ておるべきでは無かろう。
ぬしらを支配する者達はもうおらぬのだ。
残ったアイテムポケットのスペースには食材を詰め込んでおる。
ルィより教わった具沢山のカーシャを《料理》するとしようぞ。
……料理中に親達が幼子達を撫でたりぎゅっとできれば良いが。
躊躇いがあるようなら料理に誘おうかの。
若き親達は料理も慣れておらぬかもだが、我が教え助ければ良い。
今、我らがしておることはぬしらが幼子達にしてやりたかったことであろう。
の?
くははは、どうだ幼子たちよ。
美味そうであろう?
我とぬしらのお父さん、お母さんが共に作ったのだからの。
うむ。ぬしらのおとーさんとおかーさんがだ。
安心せよ。ぬしらは今も愛されておる。
ずっとずっと愛されておる。
食べてみよ。
ぬしらへの愛がつまっておるぞ?
ぽかぽかよ!
●幼子たちに笑顔を
「みんな、なかないで。ね?」
泣きじゃくる幼子の傍に歩み寄り、しゃがみ込んで目線を合わせるア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)。
「いたかったね。くるしかったね」
そっと伸ばした大きな手で赤毛の子の髪を撫でると、丸くて赤い瞳をキラキラさせて笑いかけた。
「でも、もうだいじょうぶだよ。アンデレちゃんが、きた!」
立ち上がったアンデレが元気よく叫んだ途端、周囲が生命力溢れる世界へと変わる。
アンデレちゃんは、みんなを、たすけにきた。
アンデレちゃんは、みんなと、ともだちになりにきた。
みんなに、いたいことするやつは、いなくなった。
だから、ほんとに、もうだいじょうぶ!
鞭で打たれ続けて出来た傷を、一瞬で完治させるのはさすがに難しいかもしれない。
それでも、何もしないよりは治りが早くなるはずだ。
子供たちの顔色も、いくらかよくなったように見えた。
「……然り。もう大丈夫だ、幼子たちよ」
ぶっきらぼうな物言いの中に、隠せぬ優しさを滲ませて。
アンデレの言葉に頷いたリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)が、小さなポケットから次々と衣服を取り出す。
下ろしたての清潔なシャツやズボンに、ふかふかの暖かい上着。
どれもこの時代の平民が着ているのと同じ質素なデザインだが、仕立ても素材も上等な一級品だ。
「柔らかなこの肌触り……これなら、傷痕に触れても比較的痛くなかろう」
鞭で打たれ、ボロボロになって血の滲んだ服などいつまでも着ている必要はない。
「ぬしらを支配する者達はもうおらぬのだからな」
早く着替えさせてやるがいいと衣服や包帯を手渡し、リューロボロスは親たちを促した。
「その間に……」
自分は、食事の準備でもしていよう。
あらかじめアイテムポケットの中に詰め込んでおいた食材を並べ、準備に取り掛かる。
近くの家の台所を借り、まずは蕎麦の実を丁寧に洗う。
それをしっかり水気が飛ぶまで乾煎りすると、辺りに香ばしい匂いが漂い始めた。
「……ん?」
気配を感じて振り返る。
柱の向こうから遠慮がちに顔を覗かせる幼子と目が合った。
「おお、着替えが終わったようだの」
傷の手当をしてもらい、小ざっぱりとした服に着替えた者はみな、それまでとはまるで見違えるよう。
ただ、リューロボロスが思っていた以上にその身体は細く、成長も随分と遅れているらしかった。
「美味しい食事を沢山食べて、早く大きくならなくてはな」
まずは我が御馳走しよう。
出来れば子の親たちにも手伝ってもらいたいところだが、今はまだ子供の着替えを手伝うだけで精いっぱい。
我が子を抱き締めることも出来ぬまま、覇気のない顔で別の部屋に行ってしまった。
「仕方ない、まあ良いわ」
彼らとはまた後でじっくり話そうと気を取り直し、炒り上がった蕎麦の実を鍋に移す。
水と塩を入れて弱火で煮込めば、ルィツァーリから教わった蕎麦の実カーシャの完成だ。
仕上げにバターを混ぜ、牛乳と砂糖を加えることで、身体の弱った幼子にも食べやすい味と食感になっている。
「くははは、どうだ幼子たちよ。美味そうであろう?」
出来立てあつあつを皿に盛り付け、早速子供たちを呼び寄せて振る舞う。
「ぬしらのお父……いや、おとーさんとおかーさんも、いつか作ってくれると良いのだがの」
案ずるな。
きっとその日は来る。
ぬしらは、今も愛されておるのだから。
ずっと変わらず、両親の愛情はそこにある。
だから安心していいと、リューロボロスは励ました。
「おとーさん……ね、このおよーふく着せてくれたの」
「おかーさんは、ほーたい巻いてくれたんだよ」
それが嬉しかったと、口々に言った子の顔に赤みがさす。
それぞれ匙を握り締め、カーチャの皿に手を伸ばした。
みんなで食べれば、お腹もぽかぽか。
もっともっとあったかくなるに違いない。
食事の後は、アンデレちゃん特製のクッキーはいかが?
【口福の伝道者】を使い、数を増やしたクッキーを配って回る。
「アンデレちゃんのクッキー、おいしいよ」
まずは自分でぱくりと食べてみせ、アンデレは安全な食べものであることをアピールした。
「クッキー……?」
まるで魔法みたい。
食べれば食べるほど増える菓子に、子供たちは興味を惹かれる。
「はい、どうぞ」
受け取ったクッキーを、恐る恐る口に運んだ。
「あ……」
「ふふっ、おいしいね」
誰かが笑うと、他の子も笑う。
喜びは、悲しみよりも早く伝播する。
甘いクッキーをかじるたび、笑顔の輪が広がっていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
心情
さて、子供達の事は任せるとして俺は親へのフォローをするか
とは言え守りたい我が子を自ら傷付けさせられたんだ
心の傷は元より自分達には子供達の傍にいる資格はないと思って居そうだしな……
こいつは中々大変だな
もう大丈夫だぜ
心ならずも我が子を傷付ける事も其れを止めるのが許されない状況も、もう終わりだ
子供達に駆け寄って子供達を抱きしめる事も怪我を治療する事も……共に笑い合う未来を築く事も許されるんだ
自分が許せない気持ちは判るさ
けど、貴方達に抗う手段はなく逆らえば子供達ごと殺されてたんだ
悪いのは先ず第一に強制した奴等だって事を忘れちゃいけない
其れにさ
自分が許せないなら尚の事、逃げちゃいけない
貴方達が逃げたら子供達は心の傷を癒やせず一生を過ごすことになっちまう
子供達を見捨てないでくれ
自分を許せない気持ちは抑え込み子供達の為に生きてくれないか?
腹が減った状態じゃ悪い事ばかり考えちまうしな
リューが料理を終える迄の応急処置さ
料理が終わる迄の応急処置で親達へ◯ペルーンの慈雨使用し飢えを和らげる
リューロボロス・リンドラゴ
ご馳走様よ。
くははは、美味かったぞ、親達よ。
【口福の伝道者】で増やす必要もあるのでな。
一緒に作った料理を我自身も食っておったのだ。
見たであろう、幼子達のあの笑みを。
きっと我やルィ、アンデレだけではもたらすことができなかったであろう。
幼子達が一番求めておるのはぬしらだ。
我らではない。
お父さん、お母さんにこそ愛して欲しいのだ。
愛されておると感じたいのだ。
ぬしらはどうだ?
違うのか?
愛しておらぬのか?
愛しておらぬなら悩み、苦しみはせぬであろう。
ぬしらを躊躇わせるその後悔こそ、愛の証よ。
【勝利の凱歌】で背中を押そう。
凱歌自体は今この時だけのものだが。
ここで踏み出せたという事実そのものが親達にとっての希望となろう。
残留効果が消え、排斥力にて我らが記憶より失われようとも。
親として我が子に今一度手を伸ばすことができたという事実は彼ら彼女らから消えることは無い。
無論、幼子達にとってもだ。
抱きしめ、撫でてもらえたことが希望となる。
我らが宿した灯火を自らの勇気とし、自分たちの足で歩んでいけようぞ。
●大人たちには心からのエールを
「あの、ちょっといいか?」
子供の着替えを手伝い終えた親たちに、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)が声をかける。
さりげなく様子を見ていたルィツァーリだが、親と子の間にはまだどこかよそよそしさのようなものがある。
よそよそしさというか、子供たちへの遠慮のような何か。
無理やり強いられていたとはいえ、本来守り慈しむべき我が子を苦しめ、傷つけてしまったことへの後ろめたさ。
傍にいる資格すらないと思っているのか。
消えることのない自責の念が、彼らの心を今も強く苛んでいるのかもしれなかった。
「自分が許せない気持ちは判るさ」
けど、貴方達に抗う手段はなかった。
下手に逆らえば、子供達ごと殺されていた。
悪いのは、先ず第一に強制した奴等だって事を忘れちゃいけない。
「其れにさ……」
逃げちゃいけないとも思う。
自分が許せないのなら、尚のこと。
「貴方達が逃げたら、子供達は心の傷を癒やせず一生を過ごすことになっちまう」
これ以上、あの子たちを苦しめてはいけない。
我が子を見捨てないで欲しい。
「子供達の為に……」
──生きて、くれないか?
「で、でも俺たちは……」
「心の弱い、どうしようもない親です」
まだ年若い父も母も、頼りなげに首を振る。
頭では分かっていても、すぐには受け入れられないでいるのだろう。
親たちの胸に巣くう闇は、ルィツァーリが考えていた以上に昏くて深い。
どんなに言葉や心を尽くしても、届かないというのか。
「私たちのことは、もう……放っておいて下さい」
母親の一人が、言いながらよろめく。
子供に満足な食事を与えることを許されなかった彼らは、自分たちもほとんど何も食べずにいたのだろう。
「そっか。腹が減った状態じゃ、悪い事ばかり考えちまうしな」
せめていっとき、パラドクスで空腹を癒やそうとしてルィツァーリは手を止めた。
「……っと、その必要はなさそうだな」
ほら、と台所の方を指さす。
そこには、笑顔の幼子たちがこちらを向いて立っていた。
「おとーさん、おかーさん、いっしょにカーチャ食べよ」
「おいしークッキーもあるんだよ」
おぼつかない足取りで父母の元まで駆けてくる。
「あ、ああ」
頷いた父親の頬に涙が伝う。
「ありがとう……ね」
泣きながら、母親は大切な我が子を抱き締めた。
ルイツァーリに促され、その言葉に背中を押されて。
台所に戻ってきた親たちが、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)に勧められるまま席に着く。
「ぐははは、好きなだけ食べるがいい、親達よ」
遠慮はいらない。
カーシャならいくらでもあると、リューロボロス。
「【口福の伝道者】で増やす必要もあるのでな。作った料理を、我自身も食っておったのだ」
そう説明しても、パラドクスのことを知らない親たちには何のことだか分からないだろう。
が、とにかく量はある。
なくなりそうになったら、また食べて増やせばいい。
要はそういうことだ。
「味は、我と幼子達のお墨付きだ」
気に入れば、レシピも公開しよう。
ディアボロスのことは忘れても、味の記憶は残るはず。
「おかーさん、どーぞ」
「おとーさんもいっぱい食べてね」
小さな手で、子供たちも甲斐甲斐しく皿を勧める。
家族で暖かな食卓を囲む。
まだ少し、ぎこちないけれど。
奪われた日常。
当たり前のはずだった、親と子の穏やかな風景がそこにあった。
「見たであろう、幼子達のあの笑みを」
食後のお茶を共にしながら、リューロボロスが口を開く。
リューロボロスたちだけでは取り戻すことは出来なかったであろう、無邪気な笑顔。
「幼子達が一番求めておるのは、我らではない。ぬしらだ」
お父さん、お母さんにこそ愛して欲しいのだ。
愛されておると感じたいのだ。
「ぬしらはどうだ?」
違うのか?
愛しておらぬのか?
愛しておらぬなら、悩み苦しみはせぬであろう。
「ぬしらを躊躇わせるその後悔こそ、愛の証よ」
投げかけられた言葉の前で、親たちはハッとなって顔を見合わせる。
胸の中に重く降り積もったどす黒い雪が解けていくようだ。
親の何人かは、ルィツァーリの説得を素直に受け入れられなかった自分を今更ながらに恥じた。
「ありがとう……ございます」
口々に礼を言う親たちに、エール代わりの歌を贈ろう。
勝利の凱歌。
勇気と希望をもたらすこの歌もまた、ディアボロスが去れば消えてしまう。
それでも──。
ここで踏み出せたという事実そのものが、親達にとっての希望となろう。
親として我が子に今一度手を伸ばすことが出来たという事実は、彼ら彼女らから消えることは無い。
無論、幼子達にとってもだ。
抱きしめ、撫でてもらえたことが希望となる。
「我らが宿した灯火を自らの勇気とし、自分たちの足で歩んでいけようぞ」
凛と胸を張り、リューロボロスは歌声を響かせた。
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効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!