鳥撃ち(作者 西灰三
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#蹂躙戦記イスカンダル  #イラン高原、イスカンダル軍奇襲作戦  #イラン高原  #ペルセポリス  #断片の王『イスカンダル』  #イラン高原大決戦 


 インド方面から多くの亜人達が後退している。その一言で言い表すには彼らの数はあまりにも多く、亜人の足元にあるはずの大地はまるで見えない。その大軍勢にはいくつもの軍旗が翻り、その中心となる将軍がその本数だけいるのだろう。しかしその中にあって断片の王、イスカンダルは重い表情を浮かべている。
「《戴冠の戦》まで未だ多くの時を残しながら、我らの蹂躙がこうも停滞するとは。業腹ではあるが、ペルセポリスより東の領土は放棄し、体制を立て直すしかあるまい」
 ディアボロスの動きによって蹂躙戦記イスカンダルは随分と作戦などに影響を受けている。だが断片の王たるものそれでただ現状を受け入れるようなものではない。
「だが、敵がいかなる想定外の策を弄して来ようと、それら全てを倒してこそ『唯一絶対の王』足りうるというものだ。 将兵達よ、新たな蹂躙のため、我と共に進軍せよ!」
 その先がどこなのかを今のディアボロスに今すぐ知る術はない、だがイスカンダル達の道行きに仕掛ければ、或いは。


「ペルセポリス電撃戦は無事に成功したようだな、皆の働き感謝する」
 アスアド・ガーメディー(人間のオークスレイヤー・g08920)がまずは労いとともに現状を伝える。
「スサ攻略後の迅速な移動からの電撃戦は、敵を大きく混乱させる事に成功したようだ。この影響でペルセポリスに向かっていた断片の王イスカンダルは、ペルセポリスを見捨て更に西に向かって移動しようとしているらしい」
 だが大軍勢の動きの変化はそれ自体に綻びを生む。
「この動きに合わせ攻略旅団の提案の通り、軍勢に奇襲を掛けて欲しい。奇襲によってイスカンダル軍に打撃を与えることで、攻略旅団の方針に沿った情報を得ることができるだろう」
 相手の出鼻を大きく挫くことで得た機会だ、これを見過ごす手はない。

「今回の奇襲は敵軍の情報収集が目的となる。とは言うが別段特に口を動かす必要はない。この奇襲攻撃の成果が上がれば上がる程に、攻略旅団から提案されていた情報を得る事が可能だ。……つまり戦闘中に特殊な事をする必要はない。戦いに集中し敵を撃破してくれ」
 やるべきことは戦闘のみと考えて良い。
「インド遠征軍は圧倒的な大軍ではあるが、多数の亜人の群れに過ぎない。つまり部隊間の連携等が不得意だ、彼奴らは攻撃は強いが防御に回るとそれ程でもない。敵陣深くに入り込まず、外側の部隊から叩き敵戦力を削いでから脱出してくれ」
 丁度今叩きやすい所にいるのは翼を持つ飛行部隊だ。なまじ目と機動力がある分、本体から引き離して撃破するのも難しくはないだろう。

「イスカンダル軍には将軍として多数のジェネラル級が従軍しているようだ。その全てのジェネラル級を撃破してイスカンダルの首を取るのは必ずしも不可能とは言わないが、かなり難しいと考えられる」
 イスカンダル軍のジェネラル級もそれぞれが強力な個体であることを考えれば、現実的には厳しいだろう。
「他方、見捨てられたペルセポリス側は攻略する事もできるだろう。その気があるのならば攻略旅団での提案を行ってくれ」
 加えて地政学的にはインド方面に残された亜人達が弱体した事も変化を招くかもしれないという。
「境界付近の戦力……例の『翼侯・法正』らのいる部隊も戦力が低下しているのは確実だ。この機に合わせリグ・ヴェーダ方面の状況にも影響が出てくる可能性も考えられる」
 いずれにせよ現状の蹂躙戦記イスカンダルは大きく動いている。
「この機会にどれだけ介入できるかが今後の攻略に大きく関わってくるだろう、よろしく頼む」


「ペルセポリスに入れないなんて!」
 金切り声を上げるアヴァタール級亜人タイス――亜人では珍しい女性型だ――がヒステリックに喚いている。それもそうだろう、ペルセポリスに着いたら特別休暇を与えられるはずだったのが一転不意にされたのだから。彼女の隠すつもりもない憤懣に、配下のトループス級であるスプンタ・マンユが丁寧な口調でなだめる。
「お気持ちは分かります。ですがここは一旦抑えましょう。その怒りはいずれ現れるディアボロス達に取っておきましょう」
「ああ? この私に指図するつもり? 何様のつもり?」
 神様のつもり、と一瞬スプンタ・マンユは脳裏に浮かんだ言葉を飲み込む。どうせ目の前の上司に何を言った所で無駄だろうと判断して、表面だけ取り繕う。
「いいえ、滅相もありません。ですがこれも偉大なる王、イスカンダル様の決定です。お忘れなきよう」
 流石に断片の王の名前が出ては彼女も不承不承受け入れるしか無い。しかしその心には翼と同じように不満の炎だけが燻っていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【未来予測】
2
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1

●マスターより

西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
今回は蹂躙戦記イスカンダルで、イスカンダル軍に奇襲を掛けるシナリオをお送りします。

詳しい内容はオープニングの通り。

以上です。それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!

さしものイスカンダルも、行き先を変えざるを得なかったみたいね!
この調子で攻め立ててさらなる情報も得たい所!

本隊から少数を引き離すのならアタシに任せて!
離れたところからマイク兼杖の《レゾネイト》で敵を挑発して、翼持ちの部隊を引きつけようかしら!
あら、ペルセポリスに入れなくて仕方なく行き先変更でもするつもり?
「蹂躙」の亜人が聞いて呆れるわね! それならアタシでも楽に倒せちゃうかも!

戦闘は周りを大きく動いて敵を「撹乱」するわね!
《レゾネイト》の挑発も入れて敵の視線を引き付けるわ!
で、あっちのパラドクスは……うわ、うぞうぞしてる……。
ち、小さい亜人型生命体に取り囲まれないように動き続けるわ!
もし引っ付いてきたら容赦なく《レゾネイト》で殴り飛ばして距離を取るわね!

十分敵を引きつけられたらコッチの番!
【心動と先見の低音圧撃!】を「全力魔法」でブッ放すわ!
敵も小さいのも纏めて潰してあげるんだから!
ふふん、アイドルのステージは上空じゃなくて地上の客席で見るべきよ!


ディアナ・レーヴェ
引き離しは、我らのアイドルが上手いことやってくれてるみたいね!

そうしたら、私は付近の高台に予め潜んで、最初はこの高原地形の様子をしっかり観察する事に注力するわ(【観察、地形の利用】)!
敵を引き連れたソラが速やかに場を離れたら、丘か何かを回り込んだその先で「追ってきた部隊からは(もちろん)視線は通せるけど、残した本隊からは視線が通らない、地形的に援軍もよこし辛い」みたいな状況に持ち込みたいのよね。
ついたり離れたりしつつ【パラドクス通信】も使って適宜、移動ルートとかナビしましょう。

技は【Umarmung】。敵の猛襲をあえて体当たりで受け止める形で、お互いに潰し合っていく。
1対技の攻撃力の高さを生かして、確実に敵の数を減らしていく!

…亜人にしては、あなた達は冷静な話しぶりするのね。
でも、一部分だけが冷静でも、周りがあんなノリだと大変でしょう?
お役目ご苦労さま――
ここでさようなら、よっ!


シューニャ・シフル
アドリブ連携歓迎

こっちの戦況は詳しくねぇが、要するに敵の数を減らせってことだろ。それなら任せろ。
あいつが目立って囮やるならやらせとくか。俺は横から狙わせてもらうぜ。

先頭を突っ込んでくるやつから撃ち抜いて出鼻をくじいてやる。撃ちながら下がってソラと合流。【パラドクス通信】で後ろが援護しやすい位置取りをとりながら戦闘を続ける。

お待ちかねのディアボロスだ。相手になってやるから怒りでもなんでもぶつけてきな。

鉤爪と嘴は左腕に着けた追加装甲を盾にしのぐ。致命傷さえもらわなきゃどうにでもなる。

*敵を貶すような発言はしません。



 タイスとスプンタ・マンユの部隊はピリピリとした雰囲気が漂っていた。何せ指揮官のタイスは不機嫌極まりないし、配下のスプンタ・マンユ達は余計な面倒を増やしたくないために必要以上に口を開かない。これ以上面倒ごとが起きないと良いとでも願っているようだった。……そういう時に限って面倒事というものはやってくるものである。
「………!」
「何、この音? 歌?」
 スプンタ・マンユ達の顔色がすぐに悪くなり、タイスが不機嫌そうにその音がなんであるかを見聞する。
「こんな状況でこんなやかましい歌を歌ってる奴がいるの? 気に食わないわ」
 直ぐ様飛び立ち音源の方へと向かおうとするタイス、しかし護衛たるスプンタ・マンユたちはもう嫌な予感しかしていない。
「タイス様、ここは我々が黙らせてきますので落ち着き下さい」
「は? なんで私があんた達の言う事聞かなければいけないのよ?」
 羽を動かしながらも言葉を交わす亜人達、タイスの動きは止まらずスプンタ・マンユ達も連れて動く。そして十分に軍勢から離れた所で歌を歌っていた者の正体を見てスプンタ・マンユ達は頭を抱えた。
「今日のライブに集まってきてくれてありがとう!」
 ディアボロス、ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)が奇妙な杖を持って立っていたのだ。そして即座にタイス達の後方から二つのパラドクスが分かれて放たれる。どうやら最初から罠に嵌める気でいたらしい。……人並みの知能のあるクロノヴェーダなら警戒するかもしれないが、亜人だし。
「我らのアイドルが上手いことやってくれたみたいね!」
「こっちは狙い放題だな、一気に数を減らすぞ!」
 パラドクス通信越しにディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)とシューニャ・シフル(廃棄個体 No00・g07807)が言葉を交わす。事前に誘い込む場所まで割り出したのはディアナの手腕が大きい。そこに無防備に踏み込んだ亜人達にディアボロスが容赦する理由は特に無い。
「くっ! アンタ達私を守りなさい!」
「分かっています」
 しかし分かっているとできるかどうかは別の問題である。斜め後方から攻めてくるディアボロスに対し空中から攻撃を仕掛けに行くものの、思い切り機先を奪われたトループ級達は反撃もままならない。
「ほらほら、そんな所にいると穴だらけになるぜ!」
 空中というのは逆説連鎖戦において利用できる要素が少ない。亜人達は飛べるから飛んでいるだけであり、しかも攻めるときは多数で群れて押し込むのでそれが不利になることは少ないだろうが、このような少数同士の戦いだとその僅かな差が結末を変えることも珍しくはない。そのにっちもさっちもいかない状況にソラが更に挑発を投げつける。
「ペルセポリスに入れなくて仕方なく行き先変更でもするつもりだったの? 『蹂躙』の亜人が聞いて呆れるわね! それならアタシでも楽に倒せちゃうかも!」
「あのクソガキ……! アイツからやりな!」
 あからさまな挑発だがアヴァタール級の命令とあっては従わざるを得ないのトループス級である。タイスを守るトループス級の一部から羽を持つ小さな鳥のような生物が飛び立ちソラに襲いかかる。
「……うわ……うぞうぞしてる……」
 対するソラが大型スピーカーを召喚し、襲い掛かってくるそれらを打ち落としていく。そして指揮が乱れたトループス級に対し、シューニャが銃弾をどんどんと景気よくプレゼントする。
「どうした、怒っているのか? 相手になってやるから怒りでもなんでもぶつけてきな」
 自分の元へ攻め込んできた敵の爪を左腕の装甲で防ぎつつ、至近距離から銃弾を放ち撃破するシューニャ。敵の数が減ってきたのを見計らってソラの方へと下がっていく。他方残ったトループス級を片付けるべくディアナは殿を受け持つ。
「……亜人にしては、あなた達は冷静な話しぶりするのね。でも、一部分だけが冷静でも、周りがあんなノリだと大変でしょう?」
「敵に情けを掛けられるほど屈辱的な事は無いと今理解しましたね」
「お役目ご苦労さま――ここでさようなら、よっ!」
 雷を纏った拳を敵の頭の上から振り下ろし、最後のスプンタ・マンユを地面に叩き落とし護衛を全撃破したディアナ。あっという間に丸裸にされたタイスに対し、ソラが言う。
「ふふん、アイドルのステージは上空じゃなくて地上の客席で見るべきよ! アナタもね!」
 上空で三人を見下ろしながら歯ぎしりするタイスに、ソラは胸を張って笑みを返した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV2が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!

さてと、最後はアヴァタール級ね!
相当ヒステリックな性格みたいだし、御しやすいとは思うけど気を引き締めてかからなくちゃ!

残るはアナタだけよ、怒りっぽい指揮官さん!
自分が偉い立場だからって、部下に当たり散らしてたら後々とんでもないことになるわよ!
今この状況みたいにね!
……なんてレゾネイトで呼びかけて更に挑発してやるわ!
行動も読みやすくなるだろうし、他の皆の攻撃も当たりやすくなれば幸いね!
アタシも敵の動きを「観察」して、【熱狂と湧然の四元光芒!】でダメージを与えていくわ!

敵の攻撃を受けて投影されるのは銀プロ(自旅団「シルバースカイ・プロダクション」)が焼き落ちていく様。
今まで築き上げてきたものがなくなっていく光景に心を痛め……。

……甘いわね! そんな程度じゃアイドルの心は揺らがないわ!
様々な苦難、困難、絶望をも踏み台にして、アイドルは輝くのよ!

炎に包まれたところで、アタシの信念はとっくに燃え上がっているの!
「全力魔法」の【四元光芒!】でそっちを消し炭にしてやるわ!


ディアナ・レーヴェ
もう逃げ場は無い。
そんなに休みたいなら、永遠の特別休暇に招待するわ!
(火砲を手に。幻影には一瞬言葉も表情も失うけれど、やがて唇に手を当て顔を綻ばせ)

――わあ、嬉しいっ!
(明るく無邪気に興奮気味に)

あのね、あのね?私、多分ね?分かんないんだけど!
『あなたにはこういう幻でもないと会えない』の――あは、かわいい!
(幻に優しく手を伸ばす)

足が見えたわ。パタパタ、元気!
お腹も見えた。…あら?また泣いてる?またお腹すいたの?もー!
頭が見えるわ。まあるいお顔。柔らかな髪はまだ短いけど私がリボンで飾ったの!
私の。
私の――!


ああ、死んじゃった。

(その幻が焼け落ちるのを見届けると視線は敵へ)
何よその顔。人を愛するのは楽しい事よ?

それに戦場なら誰が死んでも大丈夫って隊長と約束したから、だから戦場なら地獄になっても綺麗だから、
だから私は戦える。

(技は【Zählen bis drei】)
(…うん、ばれた?恍惚とした言葉は敵と何より己を騙した物だと。背に昏く輝く悪魔の翼が『嘘』の魔法を囁いてる)
(『今は騙して』)


シューニャ・シフル
アドリブ連携歓迎

あれだけキレてりゃ向こうから勝手にこっち来るな。釣り出す必要もねぇ。

他の奴らに合わせて動くか。攻撃食らって体勢崩れた時か、あいつの攻撃後にできた隙を狙って攻めるぞ。
搦め手中心の相手なんだろ。だったら真っ正面から突っ込んで一撃食らわせるのが一番早いだろ。その顔面吹き飛ばしてやるよ。

愚かって言うのはこっちの策にハマってのこのこ出てきたてめぇだろ。一番悪手の選択してるじゃねぇか。

よし、片付いたな。帰る前に次に狙えそうな場所を探しとくか。これだけ敵がいるんだ。まだ楽しませてもらわねぇとな。

*敵を貶すような発言はしません。



「さてと、最後はアヴァタール級ね! 残るはアナタだけよ、怒りっぽい指揮官さん!」
 ディアボロス側の挑発にあっさりと引っかかった挙げ句、護衛をあっさりと全滅させられたタイスの姿にソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)がレゾネイトを通して言葉をかける。イスカンダルの軍勢はやたら数がいるので流れ作業感は否めないのは事実である。
「自分が偉い立場だからって、部下に当たり散らしてたら後々とんでもないことになるわよ! 今この状況みたいにね!」
「何勝ったつもりになってるのよ! あんた達なんか私一人で十分よ!」
「釣り出されて勝手に来て逆ギレか?」
 けたたましく叫ぶタイスに向けてシューニャ・シフル(廃棄個体 No00・g07807)が目を細める。もっともそう口にしても、体の方は仕掛けるタイミングに合わせるように臨戦態勢だ。
「もうあなたにもう逃げ場は無い。そんなに休みたいなら、永遠の特別休暇に招待するわ!」
 火砲を構えその砲口をタイスに向けたディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)、既にその場のディアボロスが自分を撃ち落とせると確信しているのに対し、タイスは怒り狂う。
「やれるものならやってみるがいいわ! アンタたちごときがこの私の首を取れるとは到底思えないけどね!」
「なら試してみるさ」
 いち早く飛び出したシューニャ、しかしそれこそがタイスの狙い。
「愚かな! お前達では相手にならないと言ったろう!」
 パラドクスによって無理矢理に動かされたシューニャの体を燃え盛る炎が待ち受ける。彼女がたじろいだのに合わせて、タイスは更に翼を振るいパラドクスを放つ。
「不遜なるものよ! 過ぎ去りし己が思いと燃え尽きよ!」
 攻撃の機を窺っていたソラとディアナにパラドクスでもたらされたのはそれぞれの精神の拠り所が燃え尽きる幻像。ソラに見えたのは新宿島にある自分が開いている芸能事務所が炎に包まれる姿。それを火種にして彼女自身の体も燃え上がる。そしてディアナが見たのは――。
「――わあ、嬉しいっ!」
「狂っているのか?」
 ディアナが見ているのもソラが見ているものとさして変わりが無いはずである。しかしディアナの言葉には喜色が滲んでいる。
「あのね、あのね?私、多分ね?分かんないんだけど! 『あなたにはこういう幻でもないと会えない』の――あは、かわいい!」

 足が見えたわ。パタパタ、元気!
お腹も見えた。…あら?また泣いてる?またお腹すいたの?もー!
頭が見えるわ。まあるいお顔。柔らかな髪はまだ短いけど私がリボンで飾ったの!
私の。
私の――!

「ああ、死んじゃった」
 炎を愛おしく抱きしめながら立ち上がるディアナ。それを気味悪く見下ろすタイスに向けて彼女は武器を拾いなおして静かに言う。
「何よその顔。人を愛するのは楽しい事よ?」
 パラドクスが効いていない訳では無い、はずだ。現にディアナの体には炎が燻っている。にも関わらず平然としている彼女にタイスは恐怖を抱いた。
「それに戦場なら誰が死んでも大丈夫って隊長と約束したから、だから戦場なら地獄になっても綺麗だから、だから私は戦える」
 そして彼女と同じくソラもゆっくりと立ち上がる。
「……甘いわね! こんな程度じゃアイドルの心は揺らがないわ!」
「お前もか!」
「様々な苦難、困難、絶望をも踏み台にして、アイドルは輝くのよ!」
 ソラの体だけではなく心も燃えて輝いていた、そして彼女はそれに焼き尽くされる程ヤワじゃない。
「これはアタシのとっておき! 4つの力、纏めて一気に喰らいなさい!」
「ついでに砲弾もプレゼントしちゃう!」
「くっ……」
 思わぬ反撃にさらされ思わず防御をするタイス。しかし彼女はその中で重要な事を一つ見落としていた。それに気付いたのは顔面にシューニャの指が食い込んでからだった。
「キレイに吹き飛ばしてやるよ」
 シューニャの膝がタイスの後頭部に強く叩きつけられる、かつ膝当てに仕込まれた指向性爆弾が爆発し、タイスの頭が衝撃と炎に襲われる。不意を付かれ顔面から地面に落ちていくタイスから離れたシューニャはソラとディアナの間に降り立った。
「愚かって言うのはこっちの策にハマってのこのこ出てきたてめぇだろ。一番悪手の選択してるじゃねぇか」
 多くの痛撃を受けながらももう一度舞い上がろうとしているタイスにシューニャは冷たく呟く。一息付きながらも戦いの姿勢を崩さない彼女は、ふと隣のディアナの姿にちょっとした疑問を投げかける。
「さっきなんかハッタリかましてなかったか?」
「……うんばれた?」
 それがどんな嘘だったのか、正確に知ることができるのはディアナだけだろう。問うた側も意味があったかを聞きたかったわけでもないだろう。
(『今は騙して』)
 敵も味方も自分をも欺いて。それでも彼女は戦場から逃げることはない。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【水源】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

京終・興子
アドリブ同行歓迎

名前の割には大王との関係が遠い…
て言うか特別休暇て。燃やさせる側だろお前は。名乗ってるだけにしても皮肉が凄いな。

ともあれスプンタ・マンユには間に合わなかった分、多少の戦力になれる様頑張るか。

私は今回明確に敵より格下だな。
友軍が居れば離れないのは当然として、だが後ろにも隠れない様にしよう。未熟でも一人分の的ではあるからな。その分攻撃が分散すればラッキーだ。

(亡国の狼煙を受けて酷い破壊と崩壊の幻影を見て)
ああ、ああ……そうだな。私が見るのはこれだろうな。
実際には現場にすら駆け付けれなかったから。ただの想像だ。妄想だ。けれど何度も夢に見る…
避けれなかったのか、予期できなかったのか、何とか出来なかったのか、ずっとずっと考えてしまう。ずっと悩んでしまう。今更考えたって何も変えれなのにな。
(焼けながらギロリと睨む)
だが。悩みはしても絶望するだけで済ます気は無いぞ私は!
せめて考え続ける。それすら止めて全部諦めたりするもんか!
(【疑念の枷】使用)
お前も少しは悩め!縛られて絞められて見ろ!



「おのれおのれおのれ!」
 ボコボコにされながらもまだ戦うつもりのタイスに対し、京終・興子(はりぼて黄口・g10666)は呆れた視線を投げかける。
「名前の割には大王との関係が遠い……て言うか特別休暇て。燃やさせる側だろお前は。名乗ってるだけにしても皮肉が凄いな」
 眼の前のアヴァタール級が持つタイスという名は、伝説上はプトレマイオス1世やイスカンダル大王と交遊があったとされる高級娼婦の名前である。で、イスカンダルにペルセポリスを燃やせとも進言したという逸話の持ち主でもある。……燃やさせるというのなら『火遊び』ということなのかもしれない。
「雑魚のくせに偉そうに……!」
「まあそれは否定しない」
 力量的には一線で戦うディアボロスよりは興子の実力が低いのもまあまあ事実の範疇でもある。
「私を愚弄する者よ、灰となれ!」
 タイスが叫ぶと同時に興子の精神に過去の風景が蘇る。事前に敵の能力を聞いていた彼女はその情景に懐かしさを覚える。
「ああ、ああ……そうだな。私が見るのはこれだろうな。実際には現場にすら駆け付けられなかったから。ただの想像だ。妄想だ。けれど何度も夢に見る……」
 狼煙に気付き辿りつた頃には全てが終わっていた、破壊と崩壊。
(「避けれなかったのか、予期できなかったのか、何とか出来なかったのか、ずっとずっと考えてしまう。ずっと悩んでしまう。今更考えたって何も変えれないのにな」)
 悔恨が熱を持ち、行く宛のない心の中のそれが自身の体まで焼いていく。炎に包まれる自分の体を、タイスが愉悦を浮かべて眺めている。しかしその表情に大して興子はギロリと睨み返す。
「だが。悩みはしても絶望するだけで済ます気は無いぞ私は! せめて考え続ける。それすら止めて全部諦めたりするもんか!」
「こいつ……!」
 興子の投げつけた疑念の枷がタイスの首や腕に嵌められる。それはジリジリと彼女の体に圧を掛けていく。
「お前も少しは悩め! 縛られて絞められてみろ!」
「なぜ私がそんな事を……ぐぐっ……」
 それは無意味なことかもしれない、八つ当たりや自己満足かもしれない。しかしこの幻像を何も考えずに見せた敵に対し、何もしないなどということはありえないのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ヴェルチ・アリ
よーし燃やすかぁ。遅れてきてしまった分、それくらいの仕事はしないとね。
というわけでどうもです、大将首さん。えーと、この場合、なんていうんだっけ。…首置いてけ?いや、なんか違うな。
そうだな、ウチらしくいうならば…その炎、置いてけ。


【火炎使い】を使い、相手の火炎を超える熱量をもって呑み込み、焼き熔かす。
【殺気】と【忍耐力】を使い、空中機動をじっくり見定めてから、手に生み出した炎の刃で斬り伏せる。


悪いけど、火炎使いとしては負けるわけにはいかないんだ。その炎の使い方も、空中の動き方も、凄いとは思うけどね。

焼き鳥にでも、捌いてやるとしようか!寄越せ、お前のその炎を!

アドリブ、絡みを歓迎します。



「よーし、燃やすかぁ」
 大きく傷つきながらも身も心も燃えているであろう敵、タイスを前にしてヴェルチ・アリ(火喰らい・g03614)はあっけらかんと言ってのける。
「遅れてきてしまった分、それくらいの仕事はしないとね。というわけでどうもです、大将首さん」
「……お前、今なんと言った? 燃やすとか言ったか?」
「ん、そうだけど? えーと、この場合、なんていうんだっけ。……首置いてけ? いや、なんか違うな」
 炎を使う敵を前にして燃やすと言ってのけたディアボロス対し、タイスの全てが怒りに燃える。しかしそんな炎に彼は戦かない。
「そうだな、ウチらしくいうならば……その炎、置いてけ」
「私の炎なんていくらでもくれてやる! 骨が焦げて粉になる程になあ!」
 炎の翼をはためかせ空中からヴェルデに向かって襲いかからんとするタイス、だがヴェルデの方は落ち着きとともに手の中に炎の剣を生じさせる。
「はっ! 本当に私に焼くつもりかい?」
 嘲りながらヴェルデに襲いかかるタイス。巻き起こる熱風や足の爪は確かにヴェルデに届く、しかし炎そのものだけが彼の体を焼くことはない。
「……は? なんでアンタ平気なのよ!?」
「悪いけど、火炎使いとしては負けるわけにはいかないんだ。その炎の使い方も、空中の動き方も、凄いとは思うけどね」
 まるでタイスの炎が彼だけを避けるように動く中、マッジョの炎剣が勢いよく振るわれる。
「焼き鳥にでも、捌いてやるとしようか! 寄越せ、お前のその炎を!」
 殺気と共に炎の剣がタイスの体を薙ぎ払う。自分の力量以上の炎使いの一撃を受け真っ二つに切り裂かれ空中で塵も残さず消失するタイス。
「お前のその炎、確かに頂いたぜ」
 何も無い空間に彼はそう言葉を投げかけると、その場を離れていくのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年03月15日

イラン高原、イスカンダル軍奇襲作戦

 ペルセポリス電撃戦の成功により蹂躙戦記イスカンダルの断片の王『イスカンダル』は、ペルセポリスへの入城を断念。
 これにより、ペルセポリスでの新たな『バベルの塔』建設は阻止できましたが、イスカンダル軍はイラン高原を西へ向かおうとしています。

 この軍勢には多数のジェネラル級がおり、容易に崩せる陣容ではありません。ですが奇襲攻撃で戦果を挙げられれば、攻略旅団の提案に基づく解析を行い、様々な情報を得られるでしょう。
 断片の王率いる強大な軍勢に果敢に攻撃を仕掛け、陣容を明らかとしたうえで、断片の王と相見えるチャンスを伺いましょう。

※特殊ルール
 この事件の攻略期限時点での「シナリオ成功数」に応じ、3月分の攻略旅団提案に基づく情報の獲得や作戦の実行が可能となります。
 4月分の提案は、この事件の状況を踏まえた内容に出来ると、より良い結果となるでしょう。
 この事件は攻略旅団の提案による【期限延長】を行うことができません。
  • 成功数3:断片の王『イスカンダル』の新たな目的地の情報を獲得
  • 成功数5:イスカンダルの軍に居るジェネラル級の情報を獲得
  • 成功数8:イスカンダルの本陣を特定し、接触を図る事が可能に
  • 成功数10:軍勢にいるジェネラル級のうち1体との決戦が可能に
  • 以降、成功数5ごと:決戦を挑めるジェネラル級が1体増加
  • (多数のジェネラル級と決戦を行う事ができれば、イスカンダルとの接触時に、決戦を挑める可能性も生じるでしょう)

断片の王イスカンダル

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#蹂躙戦記イスカンダル
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#イラン高原、イスカンダル軍奇襲作戦
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#イラン高原大決戦


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選択肢👾護衛するトループス級『スプンタ・マンユ』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『タイス』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「エリザベータ・シゲトヴァール」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。