リプレイ
リーシャ・アデル
・心情
なんでバレンタインに解体ショーもどきやるのかしらね……?
まぁ深く考えてもしょうがないから、とにかく削っていくわよ!!
というか5メートル立方はでかすぎじゃない!?!?!?!?
・戦闘……戦闘?
パラドクス『翠焔・創像:デモリッシュアーツ・クロス』の【連撃】かつ【火炎使い】による炎の剣の【斬撃】で暖めつつチョコを斬り刻むわ!!
溶けたチョコもあれば、より楽しめるでしょ多分!!(ヤケクソ)
・その他
アドリブ等は大歓迎よ!!
●チョコがビッグなイベント
バレンタイン仕様に可愛らしく飾り付けられた、彫刻家のアトリエにて。
中央にどっしりと構えるモーラット・チョコを見上げ、リーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)はその巨大さを実感した。
「話には聞いてたけど……やっぱり5メートル立方はでかすぎじゃない!?!?!?!?」
ちなみに最初は10メートル立方にする計画もあったらしいが、さすがに大きすぎるので5メートルにしたらしい。
いや、5メートルでも十分大きいのだが。そして、その巨大チョコレートを、イベントに参加するお客様の手でバラバラにするときた。
「なんでバレンタインに解体ショーもどきやるのかしらね……?」
こう、もっとロマンティックでハートフルなイベント設計はできなかったのか?
しかし、深く考えても仕方がないことだ。こういったイベントには、ノリと勢いと大雑把さが大切なのである。そういうことにしておこう。
あらゆる疑問を胸の奥に収めたリーシャは、パラドクスの力によって炎の剣を生み出した。
「細かいことは置いといて、とにかく削っていくわよ!!」
モーラット・チョコの瞳が、リーシャを見下ろしていた。
アトリエのライトを受け鈍く光を反射する。その様はうるっと瞳を潤ませているようにも見えた。
まるで、『刻まないで~、溶かさないで~』と命乞いをしているかのように。
「本当にリアルだわ。芸術家が後先考えずに魂を注ぎ込んだ作品なだけあるわね」
だが、結局はチョコレートだ。リーシャの心が揺らぐことはない。
「このまま放っておいても、誰にも食べられず捨てられるだけ。それなら、あるべき姿に戻してきちんといただくわ!」
炎の剣が太陽の如き輝きを宿した。モーラット・チョコへと狙いを定め、リーシャは剣を振るう。
「食べ物として生まれてきた者の宿命よ! 観念しなさいっ!」
『翠焔・創像:デモリッシュアーツ・クロス』の華麗なる斬撃が、モーラット・チョコの一部を斬り落とした。
さらに本体から分かたれたチョコレートを、炎の熱で溶かしながら斬り刻む。
溶かしたチョコレートは、なぜか会場に用意してあった大鍋へと投入した。
そんなものまで用意しているのか? お任せあれ! あらゆる状況に対応できるよう、チョコレートをいただくのに便利そうなアイテムは一通り揃えております!
「よし、できたわ! これにフルーツを浸して食べたら完璧ね!!」
鍋の中のチョコレートをすべて消費するには、一体どれだけのフルーツが必要なのだろう?
否、細かいことは気にしたら負けだ。リーシャはテーブルからイチゴやバナナなど、沢山のフルーツを持ってくる。
イチゴを串に刺して、大鍋へと突っ込んだ。チョコレートに包まれたイチゴを取り出し、ぱくりと頬張る。
チョコの甘味とイチゴの甘酸っぱさが口いっぱいに広がる。容赦なく味覚を刺激するそれは、幸せの味である。
「……罪の味が、するわね」
食べ続ければ間違いなく高カロリー。
だが、まだ一つ目だ。まだ行けると、リーシャは二つ目のフルーツをチョコレートに浸すのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【建物復元】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
月下部・小雪
お姉ちゃん(g00960:義姉)とイベントにお呼ばれ、です。
わわっ、お姉ちゃん、コダマ、見てください。
とっても大きなモーラットのチョコレート、です!
せ、せっかくなので記念にお写真を撮らせて、もらいましょう!
チョコレートを切り分け始めたら、ボ、ボク達もお相伴にあずかり、ます。
そ、そですね。それじゃあ、あのアンテナの部分をもらいにいきましょう!
【浮遊】でアンテナの高さまでふよふよ浮いて削り取っていきますね。
イチゴやバナナ、口直しにポテトチップスなんかを摘まみながらおいしくいただいちゃいますね。
あれ、コダマがいません?と思ったら彫刻家さんのところにご挨拶にいってるみたい、です。
モーラットのことが大好きらしいので、コダマの魅力にメロメロになっちゃうかも、しれません?
コダマももきゅっとポーズをとってて、もしかして被写体のつもり、でしょうか?
※アドリブ連携大歓迎
月下部・鐶
義妹の小雪ちゃん(g00930)とイベントにお呼ばれしたよ♪
おおー、ほんとだ、すっごいおっきい!
この問答無用のサイズ感!かわいいモーラットがこんなに大きくなっちゃった!
これぞアートが見せるパワー!
チョコレートの切り分けをする前にしっかりアートをアートせねば!
画用紙開いてスケッチしてたら小雪ちゃんがふわりと巨大チョコの切り取りに……
おっきいモーラットチョコと格闘する小雪ちゃんちっちゃかわいい!
しっかり絵に残しておくのでした
おっといけない今日はチョコを食べる日だった!
小雪ちゃんが切り分けてきたチョコはお皿に盛りつけて、せっかくだから今日はいつもよりちょっと苦めのコーヒーに挑戦してみよう!
小雪ちゃんも挑戦してみる?
アートしてるコダマちゃんがナイスポーズを撮ってるのを見つけたら
あたしも負けじとスケッチしよう! 見守る小雪ちゃんもしっかり添えてね!
アドリブ、連携、大歓迎!
●アート・バレンタイン!
パステルカラーの花々と、宝石のように煌めくハートの装飾が、アトリエを春のように彩っている。
暖かな景色の中心にはモーラット・チョコ。ご機嫌な表情で座る彼を見上げ、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は瞳を輝かせた。
「わわっ、お姉ちゃん、コダマ、見てください。とっても大きなモーラットのチョコレート、です!」
「もきゅ~っ!」
隣のコダマがぴょんぴょんと跳ねる。コダマもどこか嬉しそうだ。
小雪の歓声に、月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)も、モーラット・チョコへと熱い視線を向ける。
「おおー、ほんとだ、すっごいおっきい! この問答無用のサイズ感! かわいいモーラットがこんなに大きくなっちゃった! これぞアートが見せるパワー!」
芸術に通ずる者として、この作品に感動を覚えずにはいられない。今から、この傑作を食べるのである。
「せ、せっかくなので記念にお写真を撮らせて、もらいましょう!」
小雪はいそいそとカメラを起動する。全体が収まるように位置取りし、パシャリと一枚。
「ちゃ、ちゃんと撮れてるでしょうか……」
確認すると、上手に撮れていた。小雪がほっと一安心する一方で、鐶は絵筆と画用紙をサッと取り出した。
「食べるだけで終わりじゃもったいないからね。あたしもスケッチしてくよ! しっかりアートをアートせねば!」
正面からモーラット・チョコを観察し、紙の上にその姿を描いていく。
慣れた手つきでサラサラと描き進めていたが、そろそろ切り分けが始まるようだ。
(「ふふっ、バッチリ絵に残せたね。あとはチョコレートを食べるだけ――」)
鐶の視線の先に小雪の姿が映る。小雪はふよふよと浮遊しながら、モーラット・チョコのアンテナ部分へと近付いていた。
真剣な表情で、チョコを削り始める。
「んしょ、よいしょ、と……えいっ……と、取れました!」
小さな手で必死にアンテナを削り取るその姿に、鐶は堪らず喜びの声を上げた。
「おっきいモーラットチョコと格闘する小雪ちゃんちっちゃかわいい!」
考えるより先に手が動いていた――別の画用紙を用意して、白いその上に絵筆を走らせる。
その速度たるや、風のように速く。
「インスピレーションが湧いてくる! これが小雪ちゃんのプリティパワー!?」
『激闘! 巨大モーラット・チョコVS小雪ちゃん』の絵を最速で完成させ、鐶は達成感に満たされた。
チョコレートを無事手に入れた小雪は、トッピングとなる食材も皿に入れ、ご満悦の鐶の傍へと戻る。
「チョコレートと、イチゴにバナナと……あ、あと口直しのポテトチップスも、いっぱい持ってきました」
皿を差し出して、ニコリと花が咲いたような笑みを浮かべる小雪。
二人は持ってきたトッピングと共に、チョコレートを楽しむ。
果実とチョコレートが織り成す甘いハーモニーを味わいつつ、鐶はあらかじめ考えていたことを提案した。
「せっかくだから今日はいつもよりちょっと苦めのコーヒーに挑戦してみよう! 小雪ちゃんも挑戦してみる?」
その言葉に、小雪は首を傾げて思案する。
(「お、大人になるための第一歩、かもしれません」)
牛乳や砂糖を混ぜて飲むのも良いけれど、苦いコーヒーもまた乙である。コーヒーは大人の味と最初に言い出したのは誰だったか。
とにかく、せっかくの機会だ。小雪は覚悟を決めたようにきゅっと表情を引き締めた。
「が、頑張ってみます」
小雪の決意に力強く頷いて、鐶は小さめのカップにコーヒーを淹れて持ってくる。
手渡されたコーヒーに、小雪はそっと鼻を近づけてみた。良い香りが鼻孔を刺激する。
まずはチョコレートを口に入れ、そのあとコーヒーを含んでみた。舌に触れる苦味に、ぷるぷるっと翼が震える。
そんな小雪を鐶がじっと覗き込んだ。
「……どうかな? 無理そうだったら、すぐに口直しの飲み物を用意するから」
提案した手前、駄目だった時の対処法は既に考えてある。少しだけ心配そうな鐶へと、小雪は首を横に振った。
確かにコーヒーは苦いが、感じたものはそれだけではなかったのだ。
「に、にがいですけど、チョコレートの甘さが際立って、美味しいです!」
苦味が舌に広がるかと思いきや、次に訪れたのはチョコレートの甘みと調和した味わいだった。
舌の上で踊る美味しさに、瞳を輝かせる小雪。彼女の幸せそうな顔を見て、鐶の表情も自然と明るくなった。
「おおーっ、良かった! 挑戦成功だね!」
チョコレートと一緒にいただくコーヒーは最高。もちろん過剰摂取は良くないけれど、今日は別だ。
バレンタインなのだから、素敵なオトナの味を沢山味わいたいと、鐶は思う。
美味しいものは共有したくなるものだ。小雪は隣にいるはずのコダマへと目を向ける。
「コダマも食べてみる? ……あれ、コダマ?」
気が付くと、コダマがいない。どこに行ったのだろうと見回せば、彫刻家の元へと駆け寄っていた。
「もきゅっきゅー!」
細い手をぱたぱたとばたつかせていたかと思えば、くるくるのほっぺに手をぷにっと当てて、顔を強調するようなポージングを決めている。
そのキュートな姿に、彫刻家は夢中になった。
「も、モーラット・コミュが僕にアピールしているッ……ひらめいた! これはイケる!」
アトリエにあった木材を引っ掴み、設計図もなしに彫り始める。その様子に芸術家魂を刺激された鐶も、再び絵筆を手に取った。
「コダマちゃん、プロのモデルさんみたい! これはぜったいに絵に残さねば!」
ご機嫌にポーズを取り続けるコダマをじっくりと視界におさめ、画用紙の上にその姿を形作ってゆく。
色をしっかりと描き込んで、よりリアルに仕上げていった。
バレンタインらしく、背景には甘いハートとチョコレートをイメージした色ものせて。
「完成したよー! コダマちゃん、バレンタインバージョン!」
完成した絵を小雪へと見せると、小雪は心の底から嬉しそうに微笑んだ。
「わわ、す、すごい、コダマがもうひとりいるみたいです!」
チョコレートと共に芸術の趣も楽しみつつ、二人はイベントを満喫する。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【浮遊】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
文月・雪人
【凪】ならく、裕樹、樞兄さんと
※アドリブ歓迎
まさかの巨大モーラットチョコが!!
いやぁこれは凄いね、モコモコ野郎もびっくりだ
大のチョコ好きとしては夢のような企画だよ
とりあえず記念写真撮っておく?(うきうきとカメラ構え
今回は消費が目的なのだよね
うっかり口福の伝道者なんて…いや、使わないから大丈夫大丈夫!
にゃふふ、クダ吉も興味津々だね♪
さてどうやって食べようか…って、めっちゃ齧り付いてるし!
ワイルドだなぁ
とはいえ人が齧るのは難しそうだし、刀か或いは糸で斬るとか?
あ、そっちは本物のモコモコ野郎だから齧っちゃダメだぞー!
斬糸結界で、巨大チョコを程よい大きさにカットしよう
何となくモコモコ野郎の顔が青いけど
ほらほら大丈夫だよー?(切り出したチョコを渡してなでなで
めっちゃ美味しい♪
にゃふ、ラム酒のいい香りまで!
ショコラショーのショータイムだね♪
クダ吉は、モコモコ野郎がちょっと羨ましいみたい?
次はクダギツネチョコがいいと、芸術家さんとフロランに猛アピールしているよ
にゃふふ、負けず嫌いなとこもまた可愛いや♪
野本・裕樹
【凪】の皆さんと参加
呼び方:ならくさん、雪人さん、樞さん
※アドリブ歓迎
大きいですね……それにまるで生きてるみたいです。
こうも出来が良いと少々食べにくいけれど、食べるべき時に食べてあげるのがチョコにとっても一番ですよね?
記念撮影が済んだら早速切り分けていきましょうか。
《妖刀『鐵喰』》が一番使い慣れているので上手に斬れると思うのですが、《廻刃刀『竜顎』》のチェーンソーで豪快にというのも捨てがたいですね。
なんて……冗談です、モコモコ野郎くんがビックリしていますからこのくらいにしておきましょう。
ちゃんと包丁も持って来ていますから私はそれで食べやすい大きさに切り分けますね。
チョコばかりで飽きが来ないようにポテトチップスを間に食べながら楽しいひと時を。
あれ?ラム酒抜きなのってもしかして私だけですか?
仕方ありません、成人後の楽しみにとっておきましょう。
その時にはクダキツネチョコも食べられると良いですね。
狭間・ならく
【凪】ユキヒト、ユーキ、カナメと。
でっかいチョコがあると聞いて。ユキヒトが食ってみたいと言うから。
……はァーーーン??
よくまたこんなものこさえたモンだな……。呆れるというかなんというか責任持って食えよというか。
……ふむ。写真撮るのはもういいかね。ンじゃ、やるか。一応訊くけど──
・・・・・・・
切り刻んでいい んだよな?(駄目って言われてもやめないが)
(灼刀でゴリゴリに切り刻んで削ろう)(容赦なさすぎてモコモコ野郎が震えている)
とりあえず、こんなモンか。細かい作業はそっちに任せた。
オラ、モコモコ。共食いの時間だぞー。む、何やらすでに餌付けされてやがる。
そいやサーヴァントは使い手の分身みたいなものと聞いたな。酒くらい平気だと思うとったが。
……ナラクさんがモコモコを食うのもやはり共食いに入るか?(まがお)
ひひ、冗談ジョーダン。
なに、クダ吉もチョコになりたいンか?
ひひひ、もしまた皆で食うとなったら、尻尾からガリガリと齧ってやろうかね。
十野・樞
【凪】のナラク、文月、野本嬢と
アドリブ歓迎
5m✕5m✕5m……
確かに造形は見事、天晴れと言うほかねえが……
マジで芯までチョコレートなのか、おい
ウエディングケーキみてえに、中身は発泡スチロールとかじゃねえんだな?
それだけのチョコを集めて加工したってだけでも恐れ入るぜ
アトリエに甘い匂いが染み付いてねえか?
俺も記念に写真でも撮っとくか
大きさ対比に、誰か【飛翔】でチョコモラの頭の上に登って座ってくれねえか?
皆で座って、フロランも交えてセルフタイマーで記念撮影と行くか
くたびれたおっさんは
チョコの切り分けは若人に任せる
細切れにされるチョコモラに
モコモコ野郎がなにやらアレな感じだが……あれは単なるチョコだ、おまえさんじゃねえからな?な?
気付けにチョコを削ってココアパウダーと牛乳を鍋に入れて沸騰寸前まで【熱波の支配者】、それにラム酒を加えたショコラショーでも作ってすすめるかね
ん?ナラクが成人済だから、モコモコ野郎も大丈夫と思ったが?
あ、お子様にはラム酒抜きな
クダ吉なら、パンケーキとかもいいんじゃねえか?
●ホット・ショコラ・バレンタイン
イベント会場のアトリエに入った瞬間、存在を主張するモーラット・チョコが視界に飛び込んだ。
どどんっ! と何処からともなく太鼓の音が聞こえてきそうな勢いである。
「……はァーーーン?? よくまたこんなものこさえたモンだな……。呆れるというかなんというか責任持って食えよというか」
狭間・ならく(【嘘】・g03437)の言葉のとおりである。情熱と欲望のままにモーラット・チョコを生み出すのではなく、一度落ち着いて考えるべきであった。だが、こうなってしまったからには、お客様の胃袋に希望を託すしかない。
ならくが呆れる一方で、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)はキラキラと瞳を輝かせている。
「まさかの巨大モーラットチョコが!! いやぁこれは凄いね、モコモコ野郎もびっくりだ」
彼の相棒、クダ吉も興味深げにチョコレートを見上げていた。その横では、モコモコ野郎が毛を膨らませながらチョコレートを見つめている。
「大きいですね……それにまるで生きてるみたいです」
野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)も巨大な作品を前に、深く感銘を受けたように言葉を紡いだ。
モーラット・コミュの毛並み、可愛らしい表情――細部まで再現された繊細な彫像と言えよう。
全体をじっくりと観察し、十野・樞(束の間の・g03155)はそのクオリティに感心する。
「5m✕5m✕5m……確かに造形は見事、天晴れと言うほかねえが……マジで芯までチョコレートなのか、おい。ウエディングケーキみてえに、中身は発泡スチロールとかじゃねえんだな?」
その通り。中までチョコたっぷりである。発泡スチロールを使うことは、モーラット・コミュを愛する彫刻家のプライドが許さなかった。
曰く『それじゃ愛が足りない』のだとか。結果として、樞の考えているとおり、アトリエにはチョコレートの甘い匂いが染み付いている。長時間滞在したら、香りが移るかもしれない。これはチョコレートの濃い香りを纏わせて帰ることになるな、と樞は確信するのであった。
――ともあれ、巨大なモーラット・チョコを前にして、ディアボロスたちが為すべきことは決まっている。
「大のチョコ好きとしては夢のような企画だよ。とりあえず記念写真撮っておく?」
そう、まずは記念撮影である。雪人がうきうきとカメラを取り出した。彼の提案に、樞が賛同する。
「こんな機会、滅多にないだろうしな。フロランも呼んで記念撮影と行こうぜ。……フロラン、ちょっといいか?」
樞は、少し離れた場所でチョコレ―トを食べていたフロラン・フォンテーヌ(天使のリアライズペインター・g03446)へと声をかける。
「もぐもぐ……あっ、どうしたの? 何かあったのかな?」
決してイベントの主催であることを忘れてチョコレートに夢中だったわけではない。
口に入っていたチョコを急いで飲み下すフロランへと、樞はモーラット・チョコを指し示す。
「そんなに慌てなくてもいいぜ。せっかくのイベントだ、一緒に写真を撮らねえか?」
フロランはほっと息をついた後、嬉しそうに頷いた。時先案内人も交え、四人はモーラット・チョコと共に写真を撮ることにする。
樞がチョコレートの一番上に視線をやる。彫像の頭上には、チョコレート色のベンチが設置してあった。
「大きさ対比に、誰か飛翔でチョコモラの頭の上に登って座ってくれねえか? 撮影用のベンチもあるしな」
樞の言葉に、雪人が手を挙げた。
「それいいね、俺が行こう! クダ吉も来るかい?」
クダ吉もこくりと首を縦に振る。
「もきゅっ! もきゅーっ!」
モコモコ野郎が激しく飛び跳ねている。どうやら登りたいようだ。
その様子に、ならくも頭の上へと向かうことにする。
「モコモコもコイツのてっぺんが気になるか? なんか荒ぶってるし、ついてくか」
雪人やならくの様子に、裕樹もチョコレートに登ることを決めた。
「皆さんが登るのでしたら、私も行きましょう。普段では味わえない貴重な経験になるでしょうし」
この展開は、自分も一緒にベンチに座った方が面白い画が撮れるだろう、と樞は思い至る。
「こりゃ全員で座って撮る流れだな。余裕で座れそうだし、ちょうどいいか」
全員で頭上へ登り、ベンチへと腰掛けた。雪人がカメラをちょうど良い位置に置き、セルフタイマーを設定する。
「10秒後にシャッター切るよ、笑って、笑って―!」
素早くチョコレートの頭上に戻り、自分の位置におさまる雪人。
――…………3、2、1、カメラがピカッと光を放った。
モーラット・チョコの全体像と共に、頭の上に座る彼らをしっかりと写真におさめる。
写真を撮り終え、裕樹はすうと息を吸い込んだ。甘い香りが鼻から喉奥まで入ってくる。
「こうして登ってみると、チョコレートの甘い香りが凄まじいですね……香りが服に移りそうです」
アトリエに入っただけでも甘い香りがしたのだ。触れられるほど近くにいるならば、なおさらだろう。
モーラット・チョコから飛び降りて、ならくが『灼刀』を抜き放った。
「……ふむ。写真撮るのはもういいかね。ンじゃ、やるか。一応訊くけど──……切り刻んでいい、んだよな?」
緋色の刀身が、ギラリと光を放つ。なぜかモコモコ野郎がビクッと震えた。
「さっそくカットして実食といこう♪ さてどうやって食べようか……刀か、或いは糸で斬るとか?」
ワクワクとしながらモーラット・チョコを眺め――雪人はふと思考を巡らせる。うっかり口福の伝道者を使ったら、どうなるのだろう。
モーラット・チョコの大軍勢が、アトリエをぶち抜いて出現したりするのだろうか……。
そこまで想像して、彼は首を横に振る。大変興味深いが同時に危険だ。止めておこう。などと考え事をしていたら、クダ吉がモーラット・チョコの足元にがぶがぶと噛み付いていた。
「めっちゃ齧り付いてるし! ワイルドだなぁ。人が齧るのは難しそうだし、糸で斬るかな」
『斬糸結界』の糸を展開し、モーラット・チョコの側面からスッパリと切断する。
始まる解体作業を眺めつつ、樞はショコラショーを作る準備を始めた。
「くたびれたおっさんだからな、チョコの切り分けは若人に任せる。ショコラショーを作るから、切り分けたら持ってきてくれ」
「はい、こちらの作業は任せてください」
樞へと頷いて、裕樹はモーラット・チョコのつぶらな瞳を見つめる。アトリエの光源をうすく反射し、命乞いをするように光るこの瞳も、近い将来細かく刻まれるのだろう。本当に命を吹き込んだような彫像だと、裕樹はしみじみと感じる。
「こうも出来が良いと少々食べにくいけれど、食べるべき時に食べてあげるのがチョコにとっても一番ですよね?」
そう、チョコレートにとってのベストプレイスは、人の胃袋の中だ。胃袋へとおさまり消化され、食物としての務めを果たす――それこそがチョコレートの道である。彼らの行く先は、決してゴミ箱ではない。
「……これが、命をいただくということなのでしょうね」
大事に食べなければ、と裕樹は強く想う。彼女の横で、ならくが灼刀を構えながらヤル気に満ちた声色で返した。
「そうだな。ゴリゴリに切り刻んで削って、景気よく喰ってやろう」
良い話をしているはずなのだが、モコモコ野郎の顔がどんどん蒼褪めてゆく。
さて、具体的にどのように斬り刻もうか。裕樹は手持ちの武器をリストアップした。
「《妖刀『鐵喰』》が一番使い慣れているので上手に斬れると思うのですが、《廻刃刀『竜顎』》のチェーンソーで豪快にというのも捨てがたいですね」
鐵喰ならば、ついでにチョコレートの原料であるカカオから鉄分を摂取できる――かもしれない。だが、竜顎の方がイベント感溢れる解体が可能だ。絵面的により面白いのは、こちらかもしれない。
裕樹は思考を巡らせていたが、モコモコ野郎の震えが頂点に達していることに気付く。
「なんて……冗談です、モコモコ野郎くんがビックリしていますからこのくらいにしておきましょう。ちゃんと包丁も持って来ていますから、私はそれで食べやすい大きさに切り分けますね」
解体作業は雪人さんとならくさんがやってくださいますし、と微笑んで、裕樹はモコモコ野郎の頭を優しく撫でる。
ほっと息をつくモコモコ野郎――だがその安寧も束の間である。
「ああ、細かい切り分けは頼む。そンじゃこっちは――正面からゴッソリ持っていくぞ!」
ならくが灼刀を大きく振るう。直後、モーラット・チョコの腹部がゴッソリと削ぎ落ちた。
「もぎゃーっ!?」
ショッキングな光景に、モコモコ野郎が悲鳴を上げる。
ぷるぷると震える己のサーヴァントへと、ならくは視線を落とし、宥めるように言葉を続けた。
「そんなにビビんなって。ちょっと共食いするだけだろーが」
さすがに可哀想に思えてきたのか、樞がフォローを入れる。
「あれは単なるチョコだ、おまえさんじゃねえからな? な? おまえさんはあんな風に細切れにされたり、鍋に入れられて煮込まれたりしないから安心しろ?」
「も……もきゅきゅ、もきゅ……」
モコモコ野郎は皆に宥められ、落ち着きを取り戻――――。
「キューン♪」
取り戻せなかった。チョコレートを堪能していたクダ吉が、勢い余ってモコモコ野郎に齧り付いたのだ。
「もぎゅあぁっ!?」
「あ、そっちは本物のモコモコ野郎だから齧っちゃダメだぞー!」
雪人がクダ吉へと言えば、クダ吉は「キュ?」と首を傾げたあとに状況を認識したらしく、ぱっと口を離した。
解放されたモコモコ野郎は、またもや震えMAXである。
「ほらほら大丈夫だよー? 食べてごらん、美味しいよ」
切り分けたチョコレートをモコモコ野郎の口元へと差し出す雪人。
モコモコ野郎は震えつつも匂いを嗅ぎ、チョコレートをはむっと口に咥えた。
「オラ、モコモコ。共食いの時間だぞー。む、何やらすでに餌付けされてやがる」
チョコレートの甘さが、モコモコ野郎を落ち着かせたらしい。もらったチョコレートを美味そうに頬張っている。
ともあれ、チョコレートを切り崩し終え、一同はお待ちかねのチョコタイムへと突入だ。
仲間から切り分けたチョコレートを受け取り、樞は特製のショコラショーを完成させる。
チョコレートだけでなく、新たに投入したココアパウダーと牛乳、ラム酒の芳香な香りがふわりと広がった。
「ほら、完成したぜ。果物と合わせて食べると美味いぞ。あ、お子様にはラム酒抜きな」
未成年用に、ラム酒を抜いたものも作ってある。裕樹はラム酒抜きのショコラショーを受け取りながら、はたと気付いた。
「あれ? ラム酒抜きなのってもしかして私だけですか? ……仕方ありません、成人後の楽しみにとっておきましょう」
温かなショコラショーを、こくりと口に含む。牛乳も入れたおかげか、ほんわりと甘やかで優しい味がした。
間にポテトチップスも挟めば、甘味と塩味が絶妙な塩梅を引き出す。
「めっちゃ美味しい♪ にゃふ、ラム酒のいい香りまで! ショコラショーのショータイムだね♪」
ご機嫌な笑みを浮かべる雪人の横で、クダ吉も切り分けたチョコレートをガジガジと食べている。
「お代わりもたくさんあるからな。遠慮せず飲んでくれ」
鍋の中を掻き混ぜながら、樞もチョコレートの香りを楽しんでいる。
ならくもショコラショーを飲もうとして、ふと思い出したようにぽつりと呟いた。
「……ナラクさんがモコモコを食うのもやはり共食いに入るか?」
「もきゅ?」
ラム酒入りショコラショーを口周りに付けたモコモコ野郎が、不思議そうな顔をする。
「ひひ、冗談ジョーダン」
ならくはモコモコ野郎の頭をわしわしと撫でてやった。そんな光景を、クダ吉がジッと見つめている。
彼女らを見つめた後、クダ吉の視線はイベント主催である彫刻家とフロランへと向けられた。
じーっと熱い視線を向け、次はクダギツネチョコがいいと猛アピールしているようだ。
「モコモコ野郎がちょっと羨ましいみたい? にゃふふ、負けず嫌いなとこもまた可愛いや♪」
微笑ましいクダ吉の姿に、雪人の頬が緩む。熱心な様子に、ならくも楽しげに笑った。
「なに、クダ吉もチョコになりたいンか? ひひひ、もしまた皆で食うとなったら、尻尾からガリガリと齧ってやろうかね」
空になった雪人のカップに新たなショコラショーを注ぎつつ、樞が思い付いたように紡いだ。
「クダ吉なら、パンケーキとかもいいんじゃねえか? ふわふわのやつとかそれっぽいだろ?」
チョコレートを囲んで談笑する時間は、目まぐるしい情勢を忘れさせるほどに穏やかだ。
ショコラショーで温まったのは、体だけではない。胸の奥に温かな心地を抱きつつ、裕樹は柔らかに紡いだ。
「来年も、再来年も、皆さんとこうやって集まれたらいいなと思います。その時は私も、皆さんと一緒にお酒を楽しむんですから。クダギツネチョコも食べられると良いですね」
裕樹の言葉に、皆同意するように頷いて、良きバレンタインの日はゆっくりと過ぎてゆく。
このイベントに参加した人々のおかげで、将来の行く末が危ぶまれたモーラット・チョコは無事、胃袋の内へと向かうことができた。
ハッピーバレンタイン! この美しき日に、多くの人々へと幸福が降り注がんことを!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!