最終人類史のバレンタイン2024

 新宿島及び奪還済みの地域で、バレンタインを楽しみます。
 チョコを作ったり、造ったチョコを渡したりして、楽しいひと時を過ごしましょう。
 チョコを作る場所や材料などは、時先案内人と、新宿島や帰還した地域の人々が用意していますが、特別な材料などを持ち寄っても良いでしょう。心を込めたチョコレートを作ったり、渡したりして、バレンタインを楽しんでください。

※重要1

 《七曜の戦》後の日本各地、およびオーストラリア全域の『帰還』の成功により、最終人類史の力が強化されています。
 多くのディアボロスや住民達が、最終人類史のお祭りを心から楽しむ事で、最終人類史の力はさらに高まり、ディヴィジョンの排斥力を弱められます。
 この効果により【3月1日】に、【2月末日までに完結した『新宿島のバレンタイン2024』のシナリオ数】と同じ日数だけ、その時点で発生している全てのディヴィジョンの全ての事件の【攻略期限】が延長されます。
(例えば【10シナリオ】が完結していれば、全ての事件の攻略期限が【10日】延長されます。なお、3月1日よりも前に攻略期限が来る事件や、攻略期限が無い事件、期限がくれば自動的に成功する事件に影響はありません)

※重要2

 この「バレンタインシナリオ」でプレイングが採用された方(トレインチケット含む)には超限定の「アイコンフレーム」をプレゼント!
 アイコンフレームのデザイン等の詳細はこちら

ジョワイユーズ・サン・ヴァロンタン~愛を込めて花束を(作者 秋月きり
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#最終人類史(新宿島)  #最終人類史のバレンタイン2024  #バレンタイン2024 


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 花がいい、と女は言った。
 特別な日に送るなら、花がいい。何処にでもありふれていて、それでいて、思いを伝える事が出来て。
 花がいい、と女は言う。
 向けられた笑顔は、とても可憐で、大輪の華を思わせた。

「バレンタインの季節……ですわね」
 最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。時先案内人、マリー・アントワネット(人間のサウンドソルジャー・g09894)がそう口にする。
 さて、少々、最終人類史の話をしよう。
 最終人類史の暦は現在、2024年2月である。その初旬に行われた行事、節分では地獄変のエネルギーをチャージ出来た。そして、中旬の行事であるバレンタインにもまた、特別な力がある。
 多くの復讐者や住民達が最終人類史のお祭りを楽しむと言うことは、最終人類史の力を高めると言うこと。結果、改竄世界史の排斥力を弱める事につながっていくのだ。
「と言う訳で、バレンタインのイベントを執り行おうと思いますのよ」
 会場は新宿島内某所。パーティ会場と、其処に隣接する調理室を押さえる事に成功したと言う。
 成る程。調理室で何かを作り、それをお披露目するイベントのようだ。実にバレンタインらしい、と説明を受ける復讐者は得心と頷く。
 そんな彼らに、マリーは言った。
「花が良いと思いますの」
 ――少しだけ、話が見えなかった。

「バレンタインは愛を表現する日。ですが、日本式の友愛を確かめ合ったり、告白の切っ掛けにしたり、そう言うのも素敵だと思いますのよ」
 だから、もしも『何かを伝えたい』と思うのであれば、花を添えて贈ると良いのでは無いかしら? と言うのがマリーの言い分だった。そこまでは何となく理解出来る。
 では、調理室は?
「折角なので、お花を作りたいな、と思いますの」
 要約すると、お花の形を模したお菓子を作りたい、とのことだった。
 色々考えた末、マリーが選んだのは。
「おはぎ、ですわ」
 日本の伝統食だった。うるち米ともち米、そして餡子から為るお菓子を何故? との疑問の声に、彼女は「お花を作りましょう」と答える。
 曰く、最近のおはぎは色取り取りに進化し、花おはぎというジャンルまで生まれてきている、とのこと。
 曰く、少し緩めた餡子は絞り袋での加工が容易で、お花の作成が難しくない、とのこと。
 そして何より――。
「美味しかったのですわ」
 故に、花おはぎを皆で作りたい。
 そう告げた彼女は花のように満面な笑みを浮かべていた。

「渡す相手はどなたでも構わないと思いますわ。愛する人への本命チョコの代わりに。日頃の感謝を伝えたい友達や家族に送るでも。もしくは……皆様を支えてくださる一般人の方々に感謝を込めて、でも」
 バレンタインという行事を成功させれば、歴史侵略者達との戦いに有利となる。それは事実だ。
 だが、それが理由なのは寂しいですわ、とマリーは言う。
 大切なのは心から行事を楽しむこと。それだけが今、復讐者達に望まれている事だ。
「勿論、その場にいない人に愛の言葉や感謝を告げても、罰は当たらないと思いますの」
 ゴシップ好きの片鱗を見せ、ふふりと笑う姿は愛らしい少女の様にも思えた。

 さて、2024年2月のバレンタイン。
 貴方はどう過ごすだろうか――。
「妾達がその手助けになれば幸いですのよ」
 時先案内人は微笑し、貴方を迎え入れる。

「絞り袋良し、口金もOK。白あんも準備済みだし、着色用のフルーツパウダーも準備完了、と」
 会場の準備に勤しむスタッフの一人が、指差し呼称をしながら道具類や食材を確認していく。
 おはぎは言ってしまえば、米粒が少し残る程度まで潰したおにぎり状のそれに、餡子を纏わせ丸めた物。準備そのものは難しい物ではない。
 後は作業者の腕と言うか、センスと言うか、要するに感性次第だ。
 そして、それに応えられるだけの準備はした……筈だ。大丈夫。自信を持てと、自分に言い聞かせる。
「ディアボロスの皆さんはどんなおはぎを作るんだろうなぁ」
 きっと素敵な物を作って下さるに違いありませんわ。
 会場の設置を取り仕切る妙齢女性はそう微笑み、次の指示を口にする。為政者を思わせる程、堂に入った指揮にスタッフの彼は感心し、次の準備へと向かうのだった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【口福の伝道者】
2
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

秋月きり
 お世話になります。秋月きりです。マリー王妃によるバレンタインイベントを運営させて頂きます。
 ちなみにマリー王妃がバレンタインなる行事を知っているのか? ……と小一時間程、悩みましたが、まあ、最終人類史に到着して半年以上。その辺りは履修済み、と言う事にします! 突っ込まないで下さいッ!!

 以下、補足です。
 ご確認下さい。

※特殊ルール※
 【3月1日朝】に、【2月末日までに完結した『新宿島のバレンタイン2024』のシナリオ数】と同じ日数だけ、その時点で発生している全ディヴィジョンの全ての事件の【攻略期限】が延長されます。

●選択肢について
①最終人類史のバレンタイン
 リプレイでは「イベント会場での様子」を描きます。よって、花おはぎ作成は回想シーン等になりますので、ご注意ください。
 こんなお花(の形をしたおはぎ)を作り、誰々宛てにこんなメッセージを届けます、みたいな感じで頂ければ幸いです。勿論、その場にいる人に直接告げても大丈夫ですよ。

 ちなみに、花おはぎですが、一般的には薔薇や桜の作成となります。
 が、皆様の想像次第で、どんなお花(或いはお花以外)でも作れると思います。色々なアイディアを出して頂ければ、応えるべく頑張ります!

●その他
・ご参加頂いた方は可能な限り、執筆させて頂ければと思います。(万が一、どうマスタリングしても採用出来ないと判断するプレイングを頂いた場合、不採用の可能性があります)
・マリー王妃の他、シルシュ嬢、クリスくん共に会場内にいてお手伝いしています。NPCの手が必要な場合、絡んで頂ければ嬉しく思います。
・恋人同士、グループなどで参加する場合はプレイングの冒頭に目印を入れて頂けると助かります(迷子防止です)。
・執筆は2/17の夜、ないし2/18の早朝から行う予定です。2/17出発までにプレイングを頂ければ幸いです。(それ以前でも対応しますので、早めに送って頂いても大丈夫です!)
・ともあれ、皆様で楽しめるイベントにしたいですね! 頑張ります!!

 それでは、皆様の幸せなバレンタインを願って。

 よろしくお願いします。
109

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


レオアリア・フォルシオン
花おはぎなんてあるのね……
ならネリネ……幸せな思い出、輝き、また会う日を楽しみにの花言葉を持つ花を模した花おはぎを
……帰還したら、また会えるわよね
王国の家族を思いながら赤いおはぎを作っていく

そうだ、他の最終人類史の皆にも……
心の底から会いたい人が、いっぱいいるでしょうし
口福の伝道者で増やしていき、他の人々へ
マリー様も、会いたい人はいるでしょうから……
ディヴィジョン出身の復讐者は、ディヴィジョンの会いたい人と再会できる可能性は低い
けど、わたくしはその前提を覆したい
全てのディヴィジョン出身の復讐者に、最愛の人達との再会を
過去への回帰ではなく、失われた時間を未来にて再演する事で
刻に抗い、全てを取り戻す……それがわたくし達復讐者の『存在理由』
なら、わたくしは『過去の最愛を取り戻す』事を……全ての復讐者に、ディアボロスに与えたいわ

その想いを込めて、ネリネを模した赤い花おはぎを作っていく


 少女は夢を語る。
 それは素敵な事ね、と女は笑う。
 叶うのならば、本当に、本当に素敵な事だと、女は笑った。

 レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)の作った花おはぎはネリネ――ダイアモンドリリーモチーフの物であった。光沢のある花弁に由来し「幸せな思い出」「輝き」との花言葉を有し、名前由来で「また会う日を楽しみに」と言った花言葉を有する花である。
 苺のフルーツパウダーを使用したのだろう。赤い花弁は目にも鮮やかで、思わずマリーは、「わぁ」との感嘆の声を上げてしまう。
「王国の家族を想いながら作ったわ。……帰還したら、また会えるよね」
「それは……」
 最終人類史を背景としない少女の願いは、同じ立場のマリーとしても判る。
 判る故に、彼女も理解している。
 復讐者達の戦いは、あくまで最終人類史を取り戻す為のものだ。
 そして、取り戻したイギリスに、彼女の家族に連なる者は居るだろう。だが、彼女の家族そのものが還ってくるわけではない。レオアリアの生きた時代を取り戻しても、その家族が、いきなり現世に現れるわけではないのだ。
「ええ。存じていますわ」
 マリーの浮かべた曇り顔の意味を即座に理解したのだろう。
 レオアリアは優しく儚げに微笑う。その笑顔は何処かネリネと同じく強い輝きも映していた。
「それでも、私は『過去の最愛』を取り戻したい」
 先の言葉通り、改竄世界史出身の復讐者は、厳密な意味でその世界を取り戻す事は出来ない。取り戻せるのはその正しい過去を用いた未来、即ち現在だ。
 だから、その前提を覆したい。それが、レオアリアの願いだった。
「過去への回帰では無く、失われた時間を未来にて再演することで、刻に抗い、全てを取り戻す。それが私の、復讐者としての存在理由」
 端から聞けば、何たる傲慢な願いだろうと思う。
 端から聞けば、何たる不遜な祈りだろうとも思う。
 だが、その傲慢で不遜な願望に、マリーは微笑する。
 もしかしたら、その願いの行き着く先はどうしようもない袋小路で、レオアリアの願いは叶わないかもしれない。強い障害があって諦めざる得ない物かもしれない。個人の想いだけでは叶わず、より多くの犠牲を伴いながら切り拓く必要のある道かもしれない。
 そして、おそらくそのことをレオアリアは認識している。その上で、自身の願いを口にしたのだ。
「それは……素敵な事ですね」
 見えない未来を断定することは出来ない。正統ではない願いを承認することは出来ない。
 けれど、応援することは可能だ。
 故に、マリーはレオアリアに微笑む。その願望が実を結んだ世界はどの様な物になるのか。その光景は想像は出来なかったが、少なくとも、目の前の少女は笑顔を湛えているだろう。それだけは確信出来る気がした。
「私は、全てのディアボロスに、そんな最愛の過去を取り戻させたいわ」
 レオアリアの誓いこそ、ネリネの花言葉に由来するのだろう。
 菓子の放つ輝きは、主の思いを由来するように、誇らしげな色に染まっていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!

大和・恭弥
――特別な日に花を。
その言葉を聴いて、想うところがあり作った花おはぎ。
料理は困らない程度にするけれど、菓子は知識がない。それでも、俺にも作れるのなら、とスタッフの方々に教えてもらい完成した。

見立てたのは桜の花と、新緑の葉。
春の彼岸なら牡丹餅が妥当だろうけど…と悩みながら
「桜なんて風流ね」と背中を押してもらって心が決まったもの
愛情の交換や、友人同士の会話。賑やかな会場に綻ぶような桜の花
白あんに桜パウダーを施し、緑は…俺が好きな抹茶パウダーで

あの人みたいには、繊細に作れなかったかもな。
蘇るのは、最近、淡く夢に見るようになった光景
幼い頃、一度だけ。祖母から教えてもらったのだと、母が作ってくれた
花見に行こうと、桜のようなおはぎと甘い和菓子を用意して
母と片手を繋いで、もう片方は……誰、だったかな。

思い出そうとしたところへマリー王妃様をお見かけする
花を問われて「日本の花なんです」と説明して
花言葉は「精神美」や「優美な女性」それから…
ああ、いえ。何か、忘れている気がして
でも、きっと。幸せな記憶でした。


 女は言う。それは、大切な想い出だったのだろう、と。
 男は言う。きっと、幸せな記憶だったのだ、と。
 それは些細な会話で、何気ない日常の一幕。
 だが、互いの心を癒やす優しさが、そこにはあった。

「綺麗なお花ですね」
「日本の花なんです」
 マリーの感嘆に、大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)はにこりと微笑む。
 恭弥の用意した花おはぎは、桜パウダーと抹茶パウダーを用いた桜の花と新緑のおはぎであった。彼岸ならば牡丹餅が妥当だろう、と悩みながら作成したとのこと。日本の行事に明るくないマリーに、そのような行事の存在を告げ、まあ、一ヶ月程先の行事ですけれど、との微苦笑を添える。
「まあ。まあ」
 東洋文化に興味が尽きないのだろうか。
 明るい顔で聞き入るマリーは、恭弥の言葉一つ一つに感嘆の吐息を零していた。
「ですから、何を作ろうか迷ったんです」
 特別な日に花を。
 マリーの呼び掛けを受け、思うところがあった恭弥は、このイベントに参加した。料理スキルはあっても製菓そのものには自信がない。そんな彼だったが、スタッフの尽力もあって完成出来た、という。
 ただ、どの花をモチーフにした花おはぎを作るかは、最後まで悩んでしまった。
 決め手となったのは、友人から貰った「桜なんて風流ね」の後押し。
 それを受けて作った桜のお菓子は華やかで綺麗で、しかし、少しだけ迷いの色も合って。
 上手く出来たのか、失敗したのか。良く判らないなと恭弥は自己評価し倦ねていた。
「妾は素敵だと思いますけども……」
 子供の様に目を輝かせるマリーを見れば、それが正しい評価なのかな、とも思う。
 ただ、それでも、とも思ってしまう。
(「あの人みたいには、繊細に作れなかったかもな」)
 脳裏に蘇るのは、淡い夢のような光景。おそらくは、刻逆時に奪われたはずの、記憶の残滓なのだろう。
 花見に行こう。桜吹雪の中、そう言って幼い自身の手を引いた女性は、おそらく母だったのだろうか。彼女は祖母から教えて貰ったのだと言う桜色のおはぎと、甘い和菓子を用意して、そして、空いた手で恭弥の片手を握ってくれていた。
 手に伝わる温かい感触はもう一つ。だから、その時の恭弥の両手は塞がっていたはずなのだ。
 もう一つの手は……誰かと繋がっていた。それが誰だったのか、思い出せないけれども。
「桜は恭弥様にとって大切な想い出なのですね」
 マリーの独白に、ハッと我に返る。
「そうでしょうか? いえ……きっと、そうなのですね」
 桜の花言葉は「精神美」「優美な女性」、そして……。
 内心に浮かぶ言葉をしかし、恭弥は首を振って打ち消す。そうではない。自分が口にするべき言葉は、そんな人並みな物では無くて。
「……どうかしましたの?」
 気がつけば、マリーに顔を覗き込まれていた。視界一杯には白い肌と金髪、そして揺れ動く青い瞳が広がり、その近さに思わずびくりと身動ぎしてしまう。
「ああ、いえ。何か、忘れている気がして……」
 掴もうとした記憶の残滓は、はらりと指先から零れるように消えていく。
 そんな己の心を満たす喪失感は、しかし、どこか温かくて明るくて。
 だから、と恭弥は言葉を口にした。
「でも、きっと、それは幸せな記憶でした」
 そうでなければ、今、胸を温めている物の正体を説明出来ない。
 もしかしたらそれは恭弥の願望に過ぎないだけかもしれないが、それでも、そう有って欲しいと、心から願ってしまう。
「それならば、良かったですわ」
 マリーが彼に向けた微笑みは、彼の桜に負けない位に華やかで、可憐な物であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

九条・雅
相棒のエアハルト(g03594)と参加

おはぎはシンプルな分奥深いお菓子だ。アタシもだが、エアハルトも好物のようだね。お花のおはぎか。日々進化してんだねえ。マリー嬢も色々な文化を楽しんでいるようで。ああ、エアハルトが嬉しそうだ。

花おはぎは薔薇が多いらしいね?なら薔薇を作ろうか。家族によく菓子を作ってるんで、凝った作業も大丈夫だ。まあ、こういうのはエアハルトの方が
得意なんだが。


相棒に合わせて紫の薔薇を作る。着色のフルーツパウダーを使えば、紫のおはぎも可能だろう。

エアハルトは常に紫の薔薇を胸に付けてるのもあるが、何より紫の薔薇が似合う。上品で誇り高い。何より人として尊敬してる。尊敬の気持ちも込めて
紫の薔薇のおはぎを贈るよ。

ああ、オレンジの薔薇のおはぎか。愛嬌、熱望、健やか・・まあいつも壮健でいるようにしているが。なんか照れるね。絆、か。ああ、ずっとパートナーとして共に。

マリー嬢にも紫の薔薇のおはぎを。上品で誇り高い。まさに貴女のようじゃないかい?尊敬の気持ちも込めて。どうか受け取ってくれ。


エアハルト・ヴィオレ
相棒の雅(g03417)と参加

おはぎは新宿にきて初めて知りましたが、シンプルながら奥深く、込められた伝統もあって私も大好きです。マリー嬢、すっかり文化を満喫されているようで。その姿を拝見できてとても嬉しいですよ。

花おはぎとは風流なものもあるんですね。薔薇がポピュラーのようですので、薔薇のおはぎを作りましょう。

相棒の雅に合わせてオレンジのフルーツパウダーを使ってオレンジ色に仕立てましょう。ええ、何気にお菓子作り好きですし、こういう細かい作業得意ですよ。

オレンジは情熱の色でもあります。雅は姉御肌で頼もしく、いつも生き生きとしている。いつまでも元気でいて欲しい願いと、変わらぬ絆を込めてオレンジの薔薇のおはぎを贈ります。紫の薔薇のおはぎ・・尊敬、ですか。少し照れますね。期待に応えられるように努力したいですね。

マリー嬢にもオレンジの薔薇のおはぎを贈りたい。いつまでも貴女が健やかにいられるように。この時間に繋がった絆を大事にしたいですね。


 貴方を尊敬している。女の言葉に男は微笑う。
 貴方との絆は変わらぬ物として。男の言葉に女は微笑う。
 温かな微笑と心温もる遣り取りに、見守る女もまた心の底から笑みを浮かべた。

「花おはぎは薔薇が多いらしいね?」
 とは九条・雅(赫焉のパシオン・g03417)談。故に花おはぎは薔薇を象ったそうだ。こう言う凝った作業は相棒の方が得意なんだが……と苦笑しながら作った花おはぎは、繊細な飴細工のように綺麗で、醸し出す造形美にマリーは、思わず感嘆の吐息を零してしまう。
「……マリー嬢、すっかり文化を満喫されているようで」
 紫薔薇に見とれていると、背後からそんな声が掛かった。
 雅の相棒、エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)である。整った顔立ちが浮かべる微笑は、溢れんばかりの喜びを主張していた。
「その姿を拝見出来て、とても嬉しいですよ」
「そう言われると、少しばかり恥ずかしいですわ……」
 頬を押さえ、羞恥に俯いてしまう。
 エアハルトの文言通り、様々な復讐者達が「現代社会を満喫している」とマリーを評していた。本人はそのつもりは無い、と一応の反論を試みるのだが……しかし、『1793年』の改竄世界史しか知らなかったマリーにとって、そこから200年以上未来の最終人類史が魅力的な場所なのは事実だ。折角なので、と見繕った衣装も、着てみればそれなりに好評だった。
 それを満喫している、と言うのならば、確かにそうだろう。
 色々な思案でくるくる変わるマリーの表情に雅もエアハルトも、ふふりと笑みを零していた。
 そんな中、ともあれ、とエアハルトが声を上げる。
「おはぎは新宿に来て初めて知りました。シンプルながら奥深く、込められた伝統もあって私も大好きです」
「そうだね。シンプルな分、奥深いお菓子だ。アタシもだが、エアハルトも好物だし……マリー嬢もそのようだね」
「……あ、後で運動しますのよ」
 今日一日で一体どれくらいのカロリーを摂取したのか。
 目を泳がせるマリーに、これ以上のツッコミは野暮だろうと、雅は真摯な表情を形成する。――も、目端には笑みが宿っていた。何処となく、歳の離れた妹を見守る姉を思わせる視線だった。
「雅は姉御肌なんですよ」
 こそりとエアハルトがマリーに囁く。
 姉御肌で頼もしく、そして生き生きとしている。
 だから、何時までも元気でいて欲しいとの願いと、変わらぬ絆を込めて、花おはぎを作ったのだ、と。
 彼が抱く箱には、オレンジ色の薔薇が詰まっていた。オレンジバラの花言葉は「絆」「幸多かれ」「信頼」「熱望」「健やか」。成る程。彼が雅に抱く思いそのものなのだろう。
「なんか、照れるね」
 苦笑半分、理解半分。
 そんな雅が作った紫薔薇の花言葉は「誇り」「気品」「尊敬」だ。上品で誇り高い。何より人として尊敬している。そんな気持ちを込めて作った、とのこと。
 何のことはない。
「ご馳走様です」
 あてられてしまいましたわ、とマリーは微苦笑する。
 だが、それが良い。ゴシップ好きな感情が何処から流れてきたモノかはさておき、今、此処に居るマリーもこのような心がほんわかする話は好きだ。
 その為、二人が花おはぎを交換する様子を、ニコニコと見守ってしまう。
 照れている雅の姿も良い。
 期待に応えられるよう努力したい、と己を鼓舞するエアハルトの姿も良い。
 何より、二人がとても嬉しそうなのが、凄く良かった。
「嬉しそうだね」
「まあ、マリー嬢が嬉しそうなのは良いことです」
「ええ。お二人に幸あれ、ですわ」
 肉体的には20代半ばだが、復讐者に覚醒するまでは、マリー・アントワネットの記憶が彼女の全てを占めていた。要するに、気持ち的にはアラフォーなのである。
 つまり、二人を同世代と認識しているが故の祝辞でもあったのだ。
「おっと。こっちはマリー嬢にだ。上品で誇り高い。まさに貴女のようじゃないかい? どうか受け取ってくれ」
「いつまでも貴女が健やかにいられるように。この時間に繋がった絆を大事にしたいですね」
 祝福の言葉を紡ごうとしたマリーに、雅からは紫色の花おはぎが、エアハルトからは橙色の花おはぎが渡される。
 二人から渡された小さな桐箱を抱き、マリーは「まぁ!」と感嘆の吐息を零した。
「ありがとうございます! ええ、是非っ!!」
 手を取り、二人に感謝を示す。
 マリーの浮かべた花のような笑顔に、雅とエアハルトは顔を見合わせ、そして、同じような微笑を浮かべた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

ロキシア・グロスビーク
サヨコちゃん(g09883)と!
人手が欲しいからって誘ったんだ
ホントのところは。最近あの子と喧嘩しちゃってね
だから、そのままにしたくなくて

で、花おはぎは……
マネッチアとアセビの花を模したものを複数個サヨコちゃんへ
あ、桂ちゃんの分もあるよ!
作ってる間は世間話やこないだ共闘したことだとか、
そゆの中心で話したかも
気まずい所はあっても、喋らないと場が持たないし!

はいこれ。桜や菊でも良かったんだけど……どう、良く出来てるでしょ?
反応を受け、くすりと微笑を浮かべて
花もね。味や見た目、生態だけじゃあないってことさ

わあっ、綺麗!食べるのが勿体なくなりそーだなー
うん。あまーい
形は違っても、お互い相手のことを考えてるんだ

……僕はディアボロス。人類史全体で協力して、未来を掴む。その一人
だのに、仲間にまで赦せないって想いを抱えたまんまじゃ、
きっと勝てる敵にも勝てなくなるだろうから
ケンカしたことを思い出したりして、気持ちよくもないしね
だから。またどこかで話をしよう。お暇な時にでも、さ

ふふ、ありがとねサヨコちゃん!


月鏡・サヨコ
ロキシア(g07258)に同行

見栄を張ろうとして強敵と戦うあなたの考えに、納得はしていない
でも、バレンタインの行事を遂行するために増援が必要だというなら……兵器として、その要請を果たす
私は、目的のための器だから

これは馬酔木……?
鹿も食べない有毒な植物だということぐらいは、私も知っている
作り物とは言え、どういうつもり?
確かに、形はよく出来ているけど……あっ、桂。飛びつかないで……

私は蒲公英の花を作っていた
元から食べられる花の形をしている方が、口に入れるのに抵抗がないと思ったから
やはり発想が真逆
……でも、ロキシアのも味は美味しい

悪いけど……今も私には、あなたのことが理解できていない
兵器は心情とは無関係に、ただ必要な作戦を遂行するもの
……人が何を心に抱えていても、私には求める言葉を与える機能が無い
慰めや納得を求めているなら、他の誰かと連れ立った方がいいはず

だけど……それでも私が必要と思うなら、呼びつけてくれても構わない
僚友の士気は作戦の成功率に関わるから
……また、人手が必要な時にでも声をかけて


 人手が欲しい。男の本心は異なれど、男は女を誘った。
 期待には応えられない。女はただ、男にそう語る。
 建前と本音。想いと言葉。その双方が入り交じり、男と女は語り合う。
 それもまた、男女が織り成す光景の一幕――。

「はいこれ。桜や菊でも良かったんだけど……どう、良く出来てるでしょ?」
 ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)から渡された花おはぎに、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は多大になった瞬きを返してしまう。
「これは馬酔木……?」
 鈴なりに連なる花は、あせびの名を与えられたそれだ。別名アシビ。悪し実を由来とする花がどの様な花か、サヨコは知っている。
 いわゆる有毒植物だ。鹿も食べない、との冠言葉も、理解の内にあった。
 馬酔木と共に並ぶ花おはぎは蝋燭の形をしていた。此方は粗毛火焔草――マネッチアであろうか。綺麗と言えば綺麗だが、馬酔木と並ぶと、何か別の意味を孕んでいる様にも思えてしまう。おそらく邪推だろうが。
「作り物とは言え――」
 どういうつもりだと問おうとした彼女はしかし、その言葉を呑み込む。
 サーヴァントのパンツァーハウンド、桂が横から花おはぎに飛びついたからだ。取られまいと必死に花おはぎを庇い、桂を制する。要らないならくれと言わんばかりのサーヴァントに、しかし、と、サヨコは口を尖らせた。
「ふふ。花もね、味や見た目、生態だけじゃあないってことさ」
「……やはり、貴方とは考え方が真逆のようだ」
 そんなロキシアに渡すサヨコの花おはぎは、蒲公英――タンポポの形をしていた。元から食べられる花の形をしていた方が、口に入れるのに抵抗が無いと思ったから、と添えられた注釈に一度微笑を浮かべたロキシアは、そのまま黄色の玉をパクり。
「うん。あまーい。それに綺麗。食べるのが勿体なくなりそう」
「……いや、食べてくれなければ作った意味が無い。それに、ロキシアのも味は美味しい」
 彼に倣い、花おはぎを口にしたサヨコがぽつりと零す。
 パーティ会場の片隅に席を移した二人は、互い作成の花おはぎを食しながら、あれやこれやと文言を交わす事にした。

 少し前の話だ。
 ロキシアとサヨコの意見は衝突した。
 有り体に言えば、喧嘩したのだ。
 それはよく有る青春の一幕のような些細な話で、ただ、だからと言ってそれをそのままにしたくなくて。
「人手が欲しい」
 そんな言い訳を以て、ロキシアはサヨコを花おはぎ作成のパーティに誘った。
「バレンタインの行事を遂行する為に増援が必要だと言うのならば……兵器として、その要請を果たす。私は、目的のための器だから」
 返事は快諾とは言い難かったが、それでも誘い出すことには成功した。
 そして二人で花おはぎを作り――今に至っていた。

「悪いけど……今も私には、あなたのことが理解出来ていない。見栄を張ろうとして強敵と戦うあなたの考えに、納得はしていない」
 本音の吐露と言えばそうだろう。突如零れたサヨコの台詞に、ロキシアは苦笑する。
「そうかな?」
 価値観の相違はあるだろう。例えばこの花おはぎ。ロキシアは有毒植物の馬酔木を象り、サヨコは食べられる花である蒲公英を選択した。互いに同一人物ではないのだ。すれ違いは起きても仕方ない。
 だが、彼女の物言いはそう言う事では無いのだろう。
「兵器は心情とは無関係に、ただ必要な作戦を遂行するもの。人が何を心に抱えていても、私には求める言葉を与える機能は無い」
「ああ、そう言うこと」
 サヨコの内心を理解し、得心と頷く。
 つまり、彼女は。
「慰めや納得を求めているなら、他の誰かと連れ立った方が良い筈」
 それを過小評価と呼ぶべきか。それとも認知が甘いと嘆くべきか。
 ともあれとロキシアは言葉を口にする。
「……僕はディアボロス。人類史全体で協力して、未来を掴む。その一人だ」
 返答になっていない独白に、再度、サヨコの瞬きが速くなる。紫色な瞳が零れ落ちそうな程開かれている様は、強い驚愕を示していた。
 その視線を敢えて無視し、ロキシアは言葉を続けた。
「だのに、仲間にまで赦せないって想いを抱えたまんまじゃ、きっと勝てる敵にも勝てなくなるだろうから」
 ケンカしたことを思い出したりして、気持ちよくもないしね、と言葉を結ぶ。
 そう。彼女の気持ちも分かる。
 つまり、ロキシア同様、サヨコも気まずいのだ。あの時の喧嘩は、互いに互いでどこか、尾を引いていたようだ。
「勝てると思うのか? あなたの理想のままに」
「負ける理由もないよね」
 犠牲者を顧みない選択肢もあれば、犠牲者を生まないと願う選択肢もある。前者に比べ、後者はおそらく茨の道で、容易に辿れる道ではない。だが、目の前に選択肢が広がるならば、それを掴みたいと願うのは、ロキシアのみの業ではあるまい。
(「流された方が楽かもしれないけど、気まずいのも嫌だよね」)
 サヨコと気まずいのであれば、会話をしなければ良い。だが、そんな選択肢を選ぶつもりは毛頭にも無い。
 だから、やはり犠牲者を生みたくないと言うエゴもまた、捨てるつもりは無かった。
「またどこかで話をしよう。お暇な時にでも、さ」
「……そうだな。あなたがそう言うならば。私が必要と思うならば。呼びつけてくれても構わない」
 僚友の士気は作戦の成功率に関わるから。
 彼女らしい結びの言葉に、ロキシアは再度苦笑。重ねるように笑顔も見せる。
「ふふ、ありがとねサヨコちゃん!」
「……また、人手が必要な時にでも声をかけて」
 ロキシアの思いは何処まで伝わったのだろうか。
 それはサヨコにしか判らない。もしかしたら、彼女自身も全て理解していないのかもしれない。
 だが、思いを描き、選択することには意味がある。
(「気まずさは結構、消えたしね」)
 ならば、彼女に届くまで何度でも呼び掛けよう。
 ポジティブ思考に身を委ね、ロキシアは再度、蒲公英の花おはぎを口に運んだ。
 何かを祝福するような甘さが、口いっぱいに広がり、彼は再度、微笑を口元に湛えていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!

恒星・沙織
【ヴィラ】
バレンタインは町中に幸せが溢れていて、とても大好きな季節です
告白以外の形でも好意を伝えるような、海外のバレンタインらしさも増えてきて
色んな世界を奪還して紡いできた新宿島ならでは嬉しくなってしまいます
想いを扱う魔女としても、幸せな気持ちが溢れるようにイベントを盛り上げるお手伝いしませんとね

大好きなチョコレートのおかげでお菓子作りは得意
今回の花おはぎも張りきっちゃいます
周りで苦手そうな子がいたりしたらお手伝いもしたいです

燈子ちゃんとミシェルくんへ贈るお花はお揃いで「向日葵」
お二人に似合うお花は何かと考えたら、やっぱり浮かんだのは向日葵でした
燈子ちゃんは去年、ミシェルくんは一昨年の水着であしらわれてたのがとても印象的で

今日こうして素敵なイベントに誘ってくれてありがとうございます、ミシェルくん
お陰で今日も忘れられない思い出が1つ増えちゃいました
燈子ちゃんもいつも大切な時間を分けてくれて、いつかちゃんとお礼をって想ってたんです
これからも一緒に時間を重ねていけたらと希っています、ありがとう


斑鳩・燈子
【ヴィラ】
最近はバレンタインも、いろんなプレゼントが増えてきていて楽しいね
普通のおはぎは経験があるけれど。おはなはうまく作れるかな
おいしく綺麗にできるように、がんばりましょう

おはぎは、白餡でダリアと、フランボワーズのフルーツパウダーで濃いピンクのトルコキキョウを作る
すごい、きれいな色に染まるんだね。色とりどりの餡子、おいしそう
白あんを細工棒を使ってダリアの花びらを一枚一枚作っていく。難しい…けど楽しい
トルコキキョウのひらひら、うまく表現できるかな。丁寧に作る
真ん中の黄色い部分は丸口金で絞って、切れ込みを入れて作る
お菓子作りが得意なので、手伝えることがあればみんなを手伝う

最後、ミシェルくんにダリア、沙織ちゃんにトルコキキョウを渡す
ダリアは感謝をこめて。お誘い、どうもありがとう
トルコキキョウは、優美、美しさ…前から似合うと思っていたの
すがすがしい美しさ、沙織ちゃんに、似合うなって

貰ったおはぎは、写真に収めて、大事に戴くね
嬉しくて、楽しくて、おいしい。素敵な時間だったね


ミシェル・ロメ
【ヴィラ】
おはぎって、あのお饅頭みたいにころんとした形のイメージが強かったんですけど
花おはぎというのもあるんですね
生花のように柔らかで、彫刻のように繊細で、何よりとても美しい
そこに花言葉のメッセージを、想いを込めて贈り合う
なんて素敵なんでしょう

沙織さんにはクチナシの花おはぎを贈りましょう
薔薇に似た八重咲の白花は夏の訪れと共に甘い香りと共に幸せを運ぶ
花言葉は「私は幸せ」「幸福を運ぶ」
沙織さんからはたくさんの幸せをもらったから
今度は僕からもあなたに多くの幸せあれと、感謝と願いを込めて

燈子さんに贈る花はカランコエ
花言葉は「たくさんの小さな思い出」
去年のクリスマスにはみんなで一緒に超特大のケーキを食べたっけ
これからもたくさんの幸せを積み重ねてゆきましょう

そしてマリー王妃には高貴なる白薔薇を
動乱の時代の中で気高く生き、そして今は共に戦う同志(ディアボロス)として感謝と敬愛を捧げます

たくさんの素敵な思い出をありがとうございます
そしてこれからも、共に笑顔の花を咲かせ、幸せを紡いでゆきましょう


 女は言う。これからもずっと同じ時を過ごしたい、と。
 女は言う。皆の時間をずっと大事にしていきたいね、と。
 男は言う。これまでの時間も大切で、これからの時間も大切にしたい、と。
 願いは真摯に。そして、優しく。
 共に過ごすこの時間こそ、彼らにとって正しく他愛もなく、そして掛け替えのない日常であった。

(「おはぎって、あのお饅頭みたいにころんとした形のイメージが強かったんですけど、花おはぎと言うのもあるんですね」)
 生花の様に柔らかで、彫刻のように繊細で、そして何より美しい。
 ミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)は会場の彼方此方で咲く花おはぎを見ては、感嘆の吐息を零していた。どれも綺麗で、そして、美味しそうだった。
 勿論、ミシェルの作品も負けてはいない。手にした飾り箱は三つ。それぞれに別種類の花おはぎが彩られている。この短時間で頑張った、と自分を褒めてあげたいくらいだ。
「それじゃ、始めようか」
 恒星・沙織(ssɐןƃɹnoɥ・g01008)の呼び掛けに、斑鳩・燈子(行先照らすランタン・g01965)がこくりと頷き、【ヴィラ】の面々が揃う。
「なんだかプレゼントの交換会みたいだね」
 燈子の言葉に、一同はふふりと笑顔を零した。

 沙織の用意した花おはぎのモチーフは、向日葵だった。
 本人曰く、「二人に似合うお花は何かと考えたら、やっぱり浮かんだのは向日葵でした」とのこと。
「燈子ちゃんは去年、ミシェルくんには一昨年。二人の水着であしらわれてたのが、とても印象的でした」
 向日葵の花言葉は「あなたを見つめる」「光輝」。思い出す二人の姿はとても眩しく、沙織は自身の回想に目を細めてしまう。
「わたしからは、ダリアとトルコキキョウだよ」
 燈子が飾り箱を開ければ、そこには豪華絢爛な花畑が広がっていた。
 白餡のダリアはミシェルに、濃いピンクのトルコキキョウは沙織へと。
 ダリアは花弁の一枚一枚まで作られた本格派。トルコキキョウは花芯から八重に広がった花弁のひらひらまで、物の見事に再現されており、其処に賭けた燈子の情熱が伺い知れた。
 ちなみにダリアの花言葉は「華麗」「優美」「気品」。トルコキキョウの花言葉は「優美」「希望」「清々しい美しさ」。
 感謝と賛美。その双方を込めて、二人に手渡していく。
「僕も二人に花言葉と共に送るよ」
 ミシェルが沙織に渡す花おはぎは、クチナシの花。花言葉は「私は幸せ」「幸福を運ぶ」。沢山の幸せを貰ったから、今度は多くの幸あれとの感謝と願いが込められていた。
 燈子に渡すそれは、カランコエ。花言葉は「幸福を告げる」「沢山の小さな思い出」。
「去年のクリスマスにはみんなで一緒に超特大のケーキを食べたっけ」
 そんな沢山の幸福な思い出を積み重ねていきたい。そんな願いと喜びを込めて。
「あと、これはマリー王妃にです」
「あ、いえ、妾はただの記録係なのでお気になさらず……」
 三人の仲睦まじさに惹かれ、思わず脚を止めたマリーに、残された一箱が渡される。
 目を白黒させるマリーに、その表情だけでも報酬と言わんばかりに、ミシェルはニコニコと笑顔を浮かべた。
「な、なんだか催促したようで悪いですわ……」
「誰もそんな事思っていませんよ」
 笑顔で渡されれば、嬉しくもなろう。
 余り固辞しては失礼だと、花おはぎを受け取り、封を解く。中には白薔薇の花おはぎ達がこれでもか、と言わんばかりに鎮座していた。
「動乱の時代の中で気高く生き、そして今は共に戦う同志として感謝と敬愛を捧げます」
「ありがとうございますわ」
 『1793年』と言う改竄世界史で復讐者達と遭遇し、そして自身も復讐者となる事を決意した女性。『1793年』では様々な出来事が彼女に降りかかり、そしてそれでも生きることを決意したのだ。そこにどの様な想いがあり、葛藤があったかはミシェルは知らない。だが、共に戦う事を選んでくれた。その事自体が嬉しく、そして、賞賛に値する行為だと思っている。
 そんな花おはぎの展示会になってしまったパーティテーブルで、パシャリと音が響いた。
「折角だし、写真に収めておこうと思って」
 これは燈子談。
 テーブルの卓上を彩るのは、とても可憐な細工菓子達だ。ただ食べてしまうのは勿体ない、との気持ちも分かる。
 ついでとばかりに集合写真もパシャリ。撮影役を買ってくれたマリーがカメラに四苦八苦するかと思えば、当然、そんな事は無かった。流石は現代社会を満喫している、と言われるまでの王妃だ。少しだけ勿体ない気がしたが、それは気のせいだろう。
「ふふ。色んな世界を奪還して紡いできた、新宿島ならではのイベントですよね。とても嬉しくなってしまいます」
 柔らかい微笑を浮かべ、沙織が喜びを口にする。
 そもそも、彼女はバレンタインのイベントそのものが好きだった。町中に幸せが溢れる季節は、想いを扱う魔女に取っても幸せな季節だ。
 告白の代名詞だった一大イベントも、今や恋愛だけでなく、友愛や家族愛と言った様々な好意を伝えるイベントと化している。それもまた、多様性の波で、それこそ幾多の世界出身者が入り交じる新宿島ならではのイベントのように思えた。
 その想いを告げれば、燈子もまた、同じような微笑みを浮かべていた。
「そうだね。最近はバレンタインも、いろんなプレゼントが増えてきていて楽しいね。……こんな時間がずっと続けばいいのに」
 例えば今回の花おはぎもそう。チョコレートに拘らず、様々なお菓子が対象となっている。それ以外の贈り物や催し物も増えている。きっと、色々な想いが色々な形で昇華されているのだろう。
 嬉しくて、楽しくて、おいしい。
 素敵な時間に想いを馳せる燈子の言葉に、沙織とミシェルはふふりと笑う。
「今日こうして素敵なイベントに誘ってくれてありがとうございます、ミシェルくん」
 忘れられない思い出がまた一つ、増えましたと浮かぶ沙織の微笑はとても美しくて、優しくて。
「燈子ちゃんもいつも大切な時間を分けてくれて、いつかちゃんとお礼をって想ってたんです」
 いい機会だから、と紡がれた言葉もとても温かな物だった。
 だから、これからも一緒に時間を重ねていけたらと希っています、ありがとう。
 強い切望を、大願を沙織は口にする。真摯な瞳は、それが心からの望みであり礼だと告げていた。
「……たくさんの素敵な思い出をありがとうございます」
 それらを受け止め、ミシェルはぺこりと頭を下げた。
 確かにこのパーティに誘ったのは自分だ。だが、これほど迄に楽しい時間を過ごせたのは、二人がいたからこそ。その感謝を告げるのは当然であった。
「そしてこれからも、共に笑顔の花を咲かせ、幸せを紡いでゆきましょう」
 楽しい時間はいつか終わる。
 だが、楽しい時間を再び作り、過ごす事は出来る。
 何度でも何度でも。
 花が実を結び、新たな花を咲かせるように。
 その願いと共に、ミシェルは目の前の花おはぎを口に運ぶ。口腔一杯に広がる甘味に、彼は満面の笑顔を零した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年02月23日