ゼレノグラードの死体儀式
攻略旅団の提案により、モスクワ周辺で活動していると推測されていた、ジェネラル級アークデーモン『骸運びのブネ』の消息が判明しました。
彼女は、モスクワ近郊の都市『ゼレノグラード』で、忌まわしい実験を行い、ゼレノグラード市民を、トループス級の大天使やアークデーモンに覚醒させようとしています。
ゼレノグラード市内には、死体を積み上げて囲われた円形の広場が複数造られており、そこに集められた市民を覚醒させる儀式を行っているのです。
急ぎ、ゼレノグラードに向かって、この忌まわしい儀式を阻止してください。
骸運びのブネ
其は人生の墓場なり(作者 秋月きり)
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「えっとぉ、ここに来たら、結婚できるって聞いたんですけどー」
改竄世界史吸血ロマノフ王朝、モスクワ近郊都市ゼレノグラード。その広場に赴いた一般人は、そこに居た少女にそう問いかける。
小柄な体躯から見て、おそらく外見年齢だけならば声掛けした妙齢女性より下。だが、その背に広がる翼、そしてこの寒さにもかかわらず露出の高い服装が、彼女がただの人では無い事を示していた。
アヴァタール級大天使『第六天守護天使・ガキエル』は上から下まで彼女を見定めると「そうよ」と素っ気ない声を上げる。
「実際には結婚できるかどうかは貴方次第だけど、ここならその可能性はあるわ。……ねえ、貴方、どうして結婚したいの?」
「そ、そりゃ、独り身とか寂しいですし、将来の不安もありますし、出来れば結婚した方がいいって思いますし」
しどろもどろな彼女の言葉に、成る程、と頷くガキエル。
そして思考を一巡りさせた後、和やかな笑顔で言った。
「いいわ。貴方に婚活させてあげる。婚活団の一員にしてあげるから、こっちいらっしゃい」
「え? あ、はい。ありがとうございます」
女性の手を引き、ガキエルは広場の中央へと歩み進んでいく。その一方で、「結婚を真面目に考え、子供は三人が云々」と回答した青年男性を追い返しているのだから、『婚活団への入団』は、彼女なりの基準がある様だった。
(「でも、婚活に来たのは本当だし、任せていたら大丈夫そうだし。駄目元でやって、駄目だったら諦めればいいか」)
女性は知らない。世の中には一度でも手を出してはいけない領分があると言う事を。
その一つに絡められたことに彼女は気付かぬまま、ガキエルと共に歩み進んでいく――。
「攻略旅団の調査より、ジェネラル級アークデーモン『骸運びのブネ』の消息を掴む事が出来ました」
最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。到着したパラドクストレインを背景に、時先案内人、マリー・アントワネット(人間のサウンドソルジャー・g09894)は復讐者達にそう告げる。
「ブネはモスクワ近郊にある『ゼレノグラード』の町を支配、市民をトループス級大天使やアークデーモンへ覚醒させる儀式を行おうとしております」
ゼレノグラードには、死体を煉瓦のように積み上げた壁で覆われた円形の儀式場が複数造られており、その儀式上に集められた一般人をトループス級へと覚醒させようとしているようだ。
「急ぎ、ゼレノグラードに向かって、トループス級にさせられた一般人を救出、忌まわしい儀式場の破壊をお願いします」
悲哀に染まった瞳を伏せ、マリーはその願いを口にする。
「さて、儀式場に集められた一般人たちは、トループス級に覚醒させられていますわ」
だが、幸いな事に覚醒したばかりである為、復讐者達が強く呼び掛けることで、無事に救出する目があるようだ。そのトループス級達を撃破する必要がある、との但し書きが付くようだが。
「覚醒させられたトループス級の性質に反するような呼び掛けを行えれば、より効果があるようです」
そして、そのトループス級の名は――トループス級アークデーモン『婚活団』と言った。
「その名の通りですわね。伴侶を求める妄執に取り憑かれるあまり怪人化した男女から構成されるトループス級ですわ。此度『とりあえず結婚したい』との願いを持つ物だけを集め、覚醒を促しているようですの」
結婚なんて、通過点に過ぎず、その後の人生の方がずっと長いですのにね、と、25年ほどの重みを口にするマリー。
さすがに14歳で結婚した記憶を持つ女性だ。年期が違った。
つまり、その辺りを刺激すれば、救出の他、より効果的に戦えるようなのだ。
「今回の儀式に使用された儀式場は、放置すればそのまま大天使勢、或いは吸血貴族達に再利用されてしまう可能性がありますの」
故に、敵に利用されないように破壊する必要があるだろう。
「儀式場を守る者はトループス級アークデーモン『嫉妬団』、そして、アヴァタール級大天使『第六天守護天使・ガキエル』ですわ」
この敵を撃退し、儀式場を破壊すれば、本作戦は終了となる。
可能ならば死者の弔いも行って欲しい。そこにマリーは自身の願いを一言だけ、付け加えた。
「ガキエルの首魁であるブネは、ジェネラル級ヴァンパイアノーブル『死妖姫カーミラ』の指示で、今回の作戦を行っているようですの」
そのブネ本人も、此度の作戦は不本意と思っているようだ。だが、作戦が失敗すれば立場を失ってしまう。
「ですので、皆様が儀式を阻止すれば、引く引けなくなったブネ本人と、決戦を行えるやもしれませんわ」
ブネを失えば、カーミラにとっても大きな痛手となる。
なんとしてもそれをやり遂げて欲しいと、マリーは復讐者達をパラドクストレインへと送り出すのであった。
そして、改竄世界史吸血ロマノフ王朝『ゼレノグラード』広場。そこに造られた円形の儀式場では、アヴァタール級大天使、ガキエルが声を張り上げていた。
「みんなー。結婚したいかーい!」
「うぇーい!」
「結婚したいよねー。煩わしいお付き合いとか面倒だよねー。結婚だけしたいよねー!」
「うぇーい!!」
言葉と共に、血で描かれた怪しい文様が輝き、そこから溢れる力はガキエルに賛同する一般人へと注がれていく。
その光が収まったとき、其処に立つのは白タイツ姿の怪人共――トループス級アークデーモン『婚活団』であった。
「結婚したーい。婚活するぞー。おー!」
生まれ出た新たな歴史侵略者達の産声に、ガキエルは満足げな笑みを浮かべていた。
リプレイ
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
結婚はしてないけど結婚後の思いとかはあるからそれを語ればいいかしら?
こんにちは。あなた達が結婚したがっているという婚活団かしら?
結婚はいいわよ?まぁ、まだ私結婚してないけど……
でもね?相手はいるし相手と将来について語ったことはあるわ。
私の相手は王様になることが夢なの。
みんなからも王様ってあだ名で呼ばれてるわ。そんな相手を私はかっこいいと思うしその夢を叶えてあげたいと思ってる。それって素敵な事でしょ?だから私は王を支える王妃を目指してるわよ。
婚活団の皆は結婚後の理想とかってあるのかしら?
良ければ聞かせて?
と話を聞きつつ相手を油断させ話を聞き終えたところで
なら、婚活団になんてなるべきでは無かったわね。戻りなさい?元の一般の人へと。あなた達はまだやり直せるわ?と語りかけつつ倒していく。
戻りたい気持ちがあれば戻れるわ。
戻りたい気持ちがなく倒すことになった敵には戦闘後に最大限の弔いを
「こんにちは。あなた達が結婚したがっているという婚活団かしら?」
改竄世界史吸血ロマノフ王朝、ゼレノグラード。儀式場に降り立った復讐者が一人、桜・姫恋(苺姫・g03043)は、先程から沸き立ち大声を上げる集団に、そう声を掛ける。
(「結婚はしてないけど結婚後の思いとかはあるから、それを語ればいいかしら?」)
その思いを語る行為が、トループス級アークデーモン『婚活団』の力を削ぐと、時先案内人は言った。
ならば、それを実践しない理由など無かった。
「ええ。そうよ」
「貴方も婚活希望? だったら私達の隊に入りなさいよ。あそこのガキエル様に取り次いで上げてもいいわよ」
見れば、確かに肌も露わな大天使が、婚活団に向かって声を上げていた。ガキエルの煽りに、婚活団達は楽しげな身振り手振りを行っていた。
「そっか。結婚はいいわよね……」
姫恋は目を細め、遠くを見る。独白は婚活団に対して向けられた物ではない。物凄く自然に彼女の口から零れていた。
姫恋はまだ未婚者だ。だが、相手はいる。将来を語った相手が居ると、前置きの台詞を呟き、その思いを吐露した。
「私の相手は王様になることが夢なの」
例えば最終人類史。
その夢を口にすれば、一笑に付されるだろう。
だが、姫恋の相方は真剣だ。ならば、彼女もまた、その夢に真摯に向き合う。そう決めていた。
「あの人はみんなからも『王様』ってあだ名で呼ばれてるわ。そんな相手を私は格好いいと思うし、その夢を叶えてあげたいと思ってる。それって素敵な事でしょ?」
だから私は王を支える王妃を目指している。
相方の夢、自らの夢をそう結んだ彼女は、そして、婚活団に問う。
それこそ、此度の作戦の本質だ。
「皆は結婚後の理想とかってあるのかしら? 良ければ聞かせて?」
姫恋が放つ無邪気な問いは、しかし、婚活団にとっては危険物そのものでもあった。
理由は明白だった。
「……え? 結婚後?」
「どどど、どういうこと?! わわわ私達は結婚するの! けけけ結婚したいの!」
「けけけ、結婚したいんだ! びびび美人な嫁さんが出来れば、それで……」
時先案内人の言動の通り、と姫恋は理解する。婚活団のモチベーションは『結婚すること』のみ。その後のことは一切考えていないと、言外に、否、意外と直接的に彼ら彼女らは主張していた。
「……そう」
姫恋の問いに発せられた震撼の言葉は、動揺が走るが故だろうか。
婚活団は困惑気味に仲間と視線を合わせ、そしてフルフルと震えている。
戦う前に勝利を決した。姫恋はそう確信し、最後の言葉を紡いだ。
「なら、婚活団になんてなるべきでは無かったわね。戻りなさい? 元の一般の人へと。あなた達はまだやり直せるわ」
厳しくも優しい呼び掛けに応え、桜吹雪が舞う。その花弁は一つ一つが刃と化し、婚活団を斬り裂き、滅していった。
――否、滅したのは婚活団と言うトループス級の概念だ。桜吹雪が舞い散り、姫恋がふぅっと息を零す頃合いには、床に数名の男女が、気を失ったように倒れていた。
「貴方達は未だ戻りたいと願っていた。だから戻れた。……結婚したいなら、その後も考えないとね」
ごく当たり前の助言が元婚活団の男女に届いたかどうか。
少なくとも、そうあってくれれば嬉しいと、姫恋は願う。彼女の願いは優しい微笑を紡ぎ、迷いの彼らに差し延べられていた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
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桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
さてと、戻る気持ちがあった子たちは戻ったけどあなた達は戻る気なかったのかしら?
ないのなら遠慮なく倒すだけなのだけどどうする?
戻る気あるなら戻れるように導くがないのであれば遠慮なく縛神帯にて《捕縛》し締め上げて倒していく
せめて安らかに逝くのね
来世ではきちんと結婚できるといいわね?
そもそもクロノヴェーダって死んだ後生まれ変われるのかしらね?
まぁ、私達は敵は倒すまでだから関係ないのだけどね
婚活団に入団せずとも普通に暮らしてたら結婚できただろうに……
婚活団に入団して逆に婚期逃したのじゃないかしら?
だって、婚活団ってだけで私達ディアボロスが倒しにくるのよ?普通の人間なら何ともないのにクロノヴェーダってだけで討伐対象になる。そんなの結婚したくて入ったのに結婚する前に死ぬんですもの婚期逃してるよね??
(と粛々と呟き少しでも婚活団に響き戻りたいと願うのであれば最後の機会であることを遠回しに伝えている)
さぁ、最後のチャンスよ?戻りたいと願うのであれば戻れるわ。戻りたいと思うなら来なさい?
桜吹雪が舞った。
桜吹雪が舞っていた。
その中心に立つのは一人の女性。この場に飛び込んできた復讐者の一人、桜・姫恋(苺姫・g03043)。そして、彼女を中心にしてトループス級アークデーモン『婚活団』――同志達が倒れている。
呻いている様から、死んでいないことは明白だ。だが、その身体は既に同志では無い。姫恋のパラドクスを受け、気絶した彼ら/彼女らは、何故かただの人に戻っていた。
何が起きたのか判らなかった。
何をしたのか判らなかった。
「あ……ああああ……」
ただ、ガタガタと身体が震え、声すらも震える。
婚活団が動揺に身体を震わせていることは、明白だった。
「さてと」
静かな声で、姫恋が告げる。声は麗しく、静謐で、そして、冷たかった。
「さてと、戻る気持ちがあった子たちは戻ったけどあなた達は戻る気が無かったのかしら? ……無いのなら、遠慮なく倒すだけなのだけど」
ぞっとする声だった。もしも極寒の地獄が音になったとするなら、こんな響きをしていたのかもしれない。
どうする? と彼女は尋ねる。
どうして欲しい? と彼女は問う。
この先の生殺与奪は誰の物か、素直に自覚しろ。
優しい声色は、それを説くように紡がれていた。
「あ、あ、あ、ああああ」
零れたのは悲鳴だった。
言葉にならない声が零れ、響き、そして、婚活団の誰もが呻き声を零す。中には限界を感じたのだろう。双眸から涙を零し、嗚咽する者まで現れた。
だが、それでも彼らは歴史侵略者だった。
歴史侵略者になる事を選んだ、どうしようもない程ちっぽけで弱い存在だった。
「いいのか?」「このままだと、結婚できないぞ」「結婚するんだ」「結婚する……」「けっこん」「けっこん」「けっこんっ」
それが、婚活団の縋れる唯一にして全てだった。
だから、先頭に立つ彼は、姫恋へと飛びかかった。拳を振りかぶり、しかし、体当たり斯くやの勢いで姫恋へと吶喊する。涙の後が、流星のように尾を引いた。
「そう」
姫恋は呟き、パラドクスを紡ぐ。
形為るものは地面から一直線に伸びる鎖。それが婚活団を捕縛し、ギチギチと締め上げる。
「ならばせめて安らかに逝くのね。来世では結婚出来る事を祈ってる。――そもそも、クロノヴェーダに生まれ変わりがあるのか、知らないけど」
仲間を救おうと、必死に距離を詰める者がいた。それも縛り、ふぅっと溜め息を吐く。
姫恋に抗おうと、影から強襲する者もいた。それも鎖で縛り、首を振る。
片っ端から縛った。全て縛った。縛って縛って縛って――気がつけば、全ての婚活団を縛り上げており、そんな自分自身に微苦笑を零してしまう。ここまで本気を出すつもりは無かったのだけれども。
「婚活団に入団せずとも普通に暮らしてたら結婚出来ただろうに……」
縛り上げた婚活団の一体を捕まえ、その顎に指を這わせる。浮かぶ笑みはサディスティックなそれで、見るものが見れば、恍惚とした表情と表現していたであろう。
「貴方達、婚活団に入団して、逆に婚期を逃したのじゃないかしら? だって、アークデーモンってだけでディアボロスが倒しにくるのよ?」
そう。その意味では彼らは道を踏み外した。外道には外道の末路がある。それが今、彼らに襲い来る復讐者という名の災厄だ。
「貴方達はクロノヴェーダって言う討伐対象。だから、ここで終わり。結婚したくて婚活団に入ったのに結婚前に死ぬの」
そして、笑う。その嘲笑は、極寒の空気の中、妖艶に煌めいていた。
「婚期逃してるよね??」
多大な悲鳴が響き、縛り上げられた婚活団達が地に倒れる。その様を見届け、姫恋は、
「まったく、手間を掛けさせて」
婚活団と言う咎から解放されていく彼らに向け、ウンザリとした声を上げていた。
大成功🔵🔵🔵🔵
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桜・姫恋
アドリブ歓迎
さて、婚活団は倒したし……次は嫉妬団かしら?
時先案内人の助言によると惚気ればいいのね。
惚気なら任せなさい!
え?まずはあれだよ普段は見た目も言動もカッコいいのよ?婚活団の時にも言ったけど王目指してるだけあってかっこいいんだけどね?恋愛に関してはピュアピュアで可愛いの。
手を繋いだだけで顔を真っ赤にしたり不意打ちで頬にキスしたら固まったりしてからかいがいのある可愛い恋人さんなの。
ついつい弄りたくなるのよね。反応が可愛すぎて
とドンドン惚気ていきつつダメージ負ってるのが目に見えてわかるぐらいまでのダメージを与えたら
んー、語ってたら早く会いたくなっちゃった♪ねぇ、もう終わりにしていいよね?と【縛鎖の陣】にて縛り上げ一気にトドメを刺しに行く。
早くりぃちゃんとイチャラブしたいから手加減しないけどごめんね?
あ、りぃちゃんって恋人の愛称ね?
と戦いながらもさり気なく惚気話を混ぜながら戦っていく
零識・舞織
アドリブ・連携歓迎です。
ロマノフには合わない賑やかな敵ですね。だからといって油断も手加減も致しませんが。
惚気…というのは難しいですね、そういう相手はおりませんので、ですから惚気話を聞いて弱っている嫉妬団ごと儀式場を破壊しようと試みます。
【熱波の支配者】で寒さもある程度は和らいでますから、最終人類史観から該当するページを見つけ人妖筆でサラサラサラと火牛を書き上げ『英雄写旭将軍火牛計』を発動します。
弱っているところ悪いですが逃げないと轢き飛ばされてしまいますよ!
しかし他人の惚気話を聞くというのも中々来る物がありますね。嫉妬団にならないように破壊に集中するとしますか…。
「こ、婚活だーんっ!」
儀式場に慟哭が響く。
見れば、儀式場の警備を担当していたトループス級アークデーモン『嫉妬団』達が、婚活団達の残滓――正確に言えば、婚活団から一般人に戻った人々が気絶し、倒れ伏している姿――を抱えながら、涙を流していた。仮面によって見えないが、望陀の涙が彼ら等の顔を濡らしているような気がした。
「確かに婚活団はついこの間覚醒したばかりのか弱き存在……」
「だが、結婚に掛ける熱意は本物だった」
「恋愛を忌避する怠惰! 膨れ上がった自尊心! 結婚を求める強欲! その末路の色欲! 何れは暴食で身体が膨れ、『自身は結婚出来ない』もしくは『もっといい結婚しやがって』と嫉妬で汚れていく――そんな存在だった!」
「それをっ!」
「それを無に帰した!」
慟哭しながら、物凄く盛り上がっていた。
(「いや、これ、何の状況でしょう……」)
仁王立ちして泣く敵兵の様子に、零識・舞織(放浪旅人・g06465)は冷や汗を掻く。
確かに敵はアークデーモン。その上、名称から受け取るようなおどろおどろしい雰囲気を持たない賑やかな敵で、吸血ロマノフ王朝に合うか合わないかと言えば圧倒的な後者な存在だ。
(「……とりあえず、私は私の役目を果たしましょう」)
嫉妬団を討ち、儀式場を破壊する。それが舞織の望む目的だ。
ともすれば呑み込まれてしまいそうな熱気そのものを破壊するかのように、舞織は己がパラドクスを紡ぎ始める。
「惚気なら任せなさい!」
婚活団を打ち倒し、或いは縛り上げた桜・姫恋(苺姫・g03043)は、ふんぬと荒い鼻息を吐き、快活な声を上げた。
時先案内人の言を信じれば、嫉妬団は惚気話に大きくダメージを受けるらしい。そんな馬鹿な、と言いたくもなる助言だったが、それが正しい助言だと、何故か姫恋は知っていた。
故に、姫恋は大きな双丘をたゆらせながら胸を張り、甘々な言葉を紡ぐ。
それは自身の相方への賛辞であった。
「まずはあれだよ。普段は見た目も言動も格好いいのよ? 婚活団の時にも言ったけど王を目指してるだけあって、格好いいんだけどね? でも、恋愛に関してはピュアピュアで可愛いの。手を繋いだだけで顔を真っ赤にしたり不意打ちで頬にキスしたら固まったりしてからかい甲斐のある可愛い恋人さんなの!」
反応が可愛過ぎて、ついつい弄りたくなるのよね。
そう結ばれた言葉に、嫉妬団達は。
「ぐはあああっ!?」
何故か派手に吹き飛んでいた。効果覿面だった。
望陀の涙を流した後に口から吐血し、地面へと転がる。瓦礫が点在する床にのたうち回る様は、彼らの受けたダメージを視認可してくれていた。
「ああっ。語ってたら早く会いたくなっちゃった♪ ねぇ、もう終わりにしていいよね?」
酷い切り上げ方と共に、召喚した縛鎖で嫉妬団を拘束。
それを笑顔のまま敢行する姫恋に、周囲の嫉妬団達は戦慄した。
「か、帰れよぅ! だったらさっさと帰ってくれよぅ」
嫉妬エナジーを暴走爆破させながら、泣き言のような言葉を口にする嫉妬団。
だが、姫恋はあくまで復讐者。責任感の強い淑女でもあった。吸血ロマノフ王朝で己が欲のまま闊歩する大天使やアークデーモンを許しておけない。そう言う気概の持ち主でもあった。
故に、如何に恋人との惚気を口にしようとも、この場で帰宅すると言う選択肢は無いのだ。
「早くりぃちゃんとイチャラブしたいから手加減しないけどごめんね?」
……無いのだ。多分。
斯くして姫恋のらぶりぃでこめでぃな無双は、儀式場に存在する嫉妬団達を縛り上げ、或いは跳ね飛ばしながら、展開されていくのであった。
「いやはや。惚気話と言われても、そういう相手がいませんので……」
物凄く生き生きとパラドクスを放つ姫恋に、舞織は苦笑を浮かべる。
(「嫉妬団は姫恋さんに任せていて問題なさそうですね」)
このままの勢いで彼女は嫉妬団を壊滅するだろう。ならば、自分は儀式場の破壊に専念するだけだ。これは決して、惚気話が口に出来ない言い訳では無い。
「平家破りし猛将、その激りを暴威に変え全てを燃やし破壊せん!」
詠唱と共に喚び出した炎の猛牛が、儀式場を駆け巡る。
地面に描かれた不可思議模様や様々なオブジェクトをなぎ倒し、ついでに嫉妬団も跳ね飛ばす猛牛達。力強き足音は、全てを薙ぎ倒す山津波の如き轟音となり、儀式場そのものを覆っていった。
「な、なんで牛が、ぎゃああああっ!」
上がる悲鳴は順当なもので、故に、舞織はその文言を言い放った。
「弱っているところ悪いですが逃げないと轢き飛ばされてしまいますよ!」
果たして彼の言葉は、嫉妬団達に届いたのか。
もうもうとした土煙が晴れた後、そこには何かの冗談の様に足跡塗れで倒れる嫉妬団の姿だけが残されていた。
「しかし他人の惚気話を聞くというのも中々来る物がありますね……」
縛られたり、跳ね飛ばされたり。
敵を襲う惨事から軽く目を逸らし、舞織は嘆息する。姫恋の語る惚気が痛痒く響いていたのは、嫉妬団のみではなかったようだ。
舞織は首を振ると、再度、パラドクスを行使すべく、詠唱を続ける。
(「嫉妬団にならないように破壊に集中するとしますか……」)
今はそれが良いだろう。
そう己に言い聞かせ、新たなる猛牛達を儀式場へ喚び出すのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防空体制】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
さて、婚活団と嫉妬団はもう片付けた
後はガキエルあなただけよ?
剣を取り出し《火炎使い》にて剣に炎を纏わせ斬りかかりに走り出し
斬りつけた箇所からは桜の花びらが飛び散り
子供は子供らしくしなさいよ
ガキのくせに婚活とかで人を騙すとか酷いわよ?
見た目的にもあなたまだ結婚すらできないでしょうに
ここで終わりにしましょう?
桜の炎に焼き尽くされろ!!
天夜・理星
へえ、厚めの白いセーターにマフラー巻いて、列車乗ってやってきたのはいいが大天使の子が一人だけか。
みんな頑張ってるみたい…その分スムーズに世界救えるのは助かるね。
拳一つで行くか。
火炎使い技能で拳に火灯すくらいかっこよさマシマシで行くぜ…人の意志を望まぬ相手と結びつけようとするのはやめにしな――
――桜だ、
この桜は、
っは――うんうん、今日も元気でよろしいことだ、ひーちゃん。
子供はそもそも寝る時間だし、まだ学びを十分に得られていない時期だ。
おまけにクロノヴェーダだ…人を騙そうと考えてしまったのも無理もないわけだ。
穏やかな解決が一番いいんだろうが、
躾も必要よな。
熱波の支配者で以って気温を14度上げ、一瞬でも敵の判断を鈍らせる助けにする。
そこにパラドクスを載せる――ダメージアップも。水の弾丸すら、こんな逆説連鎖戦の中反撃率アップでぶち抜きやすいように想いを載せてこの拳を振り抜きゃいいんだ。
子供は学びを得て変わるもの。
変わった先が死じゃ世話もねえけど――
ま、来世じゃいい子になれるよ、きっとね。
「な、な、な、何が起きたというの?!」
叫び声が儀式場の中に響き渡る。
見れば、いつの間に現れたのだろう。アヴァタール級大天使『第六天守護天使・ガキエル』が驚愕の声を上げていた。
まあ、気持ちは分かる。
折角集めて覚醒させた『婚活団』は全て倒れて一般人に戻り、儀式場の警護をしていた『嫉妬団』は顔面を涙や吐血で濡らし、やはり地面に転がされていた。何があったか問いたくとも、誰も彼もが気絶しているか、呻き声を発するのみ。
更に言うならば、儀式場も半壊と言うか、崩壊寸前まで荒らされていた。重機か、或いは重量級の動物でも追い回したのか。魔法陣はぐちゃぐちゃに潰され、調度品は前衛的なオブジェクトを思わせる形に落とし込まれている。要するに壊されていた。
「さて、婚活団と嫉妬団はもう片付けた。後はガキエル、貴方だけよ?」
突如掛けられた言葉に、目を見開く。
声の方向を見れば、複数の復讐者が、彼女を見やっていた。
先の台詞で充分だった。こいつらが、ガキエルの配下達を倒し、そして、儀式場を崩壊させたのだ。
「な、なんでこんな酷い事するの?!」
子供らしい容貌そのままにガキエルは――そんな非難の声を口にした。
「へぇ。みんな頑張ってるみたい……」
白セーターにマフラーと言う温かそうな出で立ちの天夜・理星(復讐の王・g02264)は、周囲を見渡し、ふふりと微笑した。
(「その分スムーズに世界を救えるのは助かるね」)
皆の奮闘が、トループス級アークデーモン『婚活団』の覚醒儀式を妨げ、且つ、儀式場ごと、その守護者である『嫉妬団』達を壊滅させたのだ。残すは今、目の前で喚いている大天使のみ。
彼女を倒せば終わり、と言う状況に満足したのだろう。浮かんだ満面の笑みは、とても輝いていた。
「子供は子供らしくしなさいよ! ガキのくせに婚活とかで人を騙すとか酷いわよ? 見た目的にもあなたまだ結婚すらできないでしょうに!」
「が、外見は関係無いでしょう?!」
その傍らに立つ桜・姫恋(苺姫・g03043)の罵倒が響く。
負けじとガキエルが叫び声で応戦するが、分が悪い。
「だいたい伴侶は用意して上げてるじゃない! それに、結婚したいって気持ちを尊重して何が悪いの! 『人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません』。番になるべしと神も説いているわ!」
「……その観点だと、『婚活』は間違っていないのか?」
ガキエルが並べる主張はどうなのか? とも思ったが、相手は歴史侵略者。本物の天使と言うわけでも無く、その上で、自身の役割を盲信しきっている。
多分、論破しても悔い改めたりしないんだろうなぁ、と言うのが理星の感想だった。
「まあ、躾も必要よな」
見た目通りの歳で無いにせよ、ガキエルは餓鬼――つまり、子供の権化だ。充分に学びの場を得られていない時期、と定義しても良いだろう。歴史侵略者が故、人を騙そうとの考えに至ったのも致し方ないと考える。
それに、もう夜も更けてきた。子供は寝る時間だ。故に寝かしつけよう。
思考が結論に辿り着いた刹那、理星は己がパラドクスを紡ぎ上げた。
「刻は今、逆現せよ!!」
理星の感情が世界を揺るがせ、泡立たせる。それらは彼女の右腕に集束。光を携えた右腕を以て、理星は一歩、力強く踏み出した。
それは中国拳法で言うならば、発勁とも呼ぶべき所作だった。
踏み出した足は地面を蹴り、その衝撃を余すこと無く正しく右腕に伝えてくる。全身の筋肉もまた然り。総動員されたそれは、ただ、敵を撃ち抜くという意志の元、生み出す膂力を全て正しく力へと換算していく。
曰く――。
それは、復讐の王の代名詞たる、本気の右ストレートだった。
「ぐぎゃぁ」
それを無防備な腹部に受けたのだ。まるで教本にでも描かれそうな完璧な一打に、罵声を叩き付けていた姫恋すら、その口撃を止め、思わず手を叩いてしまう。
「子供は学びを得て変わるもの。変わった先が死じゃ世話もねえけど――」
己が本気を叩き付け、理星が凄みのある表情を浮かべる。
彼女の背後には、陽炎じみた揺らめきが漂っている。【熱波の支配者】で無理矢理14度程上昇された気温が、刹那の気温差と空気の対流を生み、光の乱反射を行っているのだ。
そんな科学的理屈は兎も角――理星が浮かべる怒りの表情は、的確にガキエルに、現状を示唆する。
彼女達は、ガキエルを滅するつもりなのだと。
「ひぃっ!」
息を飲み、己が身体から水弾を放つ。口論などしている暇など無い。殺さなければ殺される。その悲鳴と共に放つパラドクスはしかし。
「桜の炎に焼き尽くされろ!!」
ここで終わりにしよう、と姫恋が放つ桜の幻影と、共に振るわれた灼熱の斬撃によって、遮られる。袈裟斬りの軌道はガキエルの身体を裂き、裂傷と火傷の跡を刻んでいった。
「っは――うんうん、今日も元気でよろしいことだ、ひーちゃん」
姫恋と共に拳を振るう理星が浮かべるのは、満足げな微笑であった。
まるでガキエルへの攻撃が、制裁が、恋人同士の睦言だと言わんばかりの空気を携え、そして、パラドクスを放つ。
「な、なんなのよっ。もうっ!?」
ガキエルの叫びに、しかし、返ってくる言葉は冷酷その物。
「ま、来世じゃいい子になれるよ、きっとね」
果たして歴史侵略者に輪廻転生があるのか否か。
姫恋も浮かべた疑問に、答えはなく、ただ、理星が押す太鼓判だけが、虚しくガキエルへ叩き付けられていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】がLV2になった!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
零識・舞織
魚を司る天使…ではなく良く似た名前のガキエルですか。名前の通り子供っぽいですがだからといって容赦することはありません。
引き続き【熱波の支配者】で気温を上げいつも通り動けるようにしてから人妖筆で妖怪の画を次々に書き上げ【妖怪写百鬼夜行軍】を発動しその画をガキエルにぶつけます。
敵の反撃には心でもって耐えます。間違いなく今私が抱えてる負の感情って惚気話を聞いたことに対するモヤモヤなんでしょうがそんなものには屈しませんよ!(唇を血が出るほどに噛み締めながら)
旅は一期一会ですしそういう事もあると一心に言い聞かせて乗り越えてみせます。
出会いとか全く無い私がいうのもなんですが結婚ってのは過程あっての結果なんですから過程を飛ばして結果だけお出ししても長続きなんてしないと思うんですよね。
まぁその場だけの信仰を集めたい天使には届かないでしょうが。
儀式を妨げられ、儀式場を破壊され。
どだい、ガキエルには行き着く先が無かったのだろう。如何にアヴァタール級大天使と言う貴重な戦力とは言えど、ここまで失敗した以上、再起の芽は無い。
故に、倒してしまうことこそ、彼女に与えられた慈悲だった。
後に、零識・舞織(放浪旅人・g06465)は、そう述懐した――。
(「魚を司る天使……ではなく良く似た名前のガキエルですか。名前の通り子供っぽい姿ですが、だからと言って容赦することはありません」)
ちなみに、魚を司る天使こと一文字違いのガギエルは、大天使達の住み処である第六天を守護する役目を持つ、と言われている天使である。それ以上の事は余り知られていない謎多き天使、とも評されている存在だ。故に、舞織がその事を知る自体、彼の博識っぷりを表していた。
ともあれ、倒すと決めた。
ならば、やることはいつもの通りだ。
「絵に封じられし悪鬼羅刹よ今こそ我が絵を依代に権限せよ」
空中に筆を走らせ、次々に百鬼夜行の姿を描いていく。鬼、付喪神、幽霊、伝承の生き物、そして――訳の判らないあれやこれ。具現化した所謂妖怪達は、群れを成して奇声と共にガキエルへと殺到していった。
「つ、次は何?!」
復讐者達と対峙する彼女に取って、それは不意打ちも同然だった。
当然の如く妖怪達にはねられ、吹き飛ばされ、派手に空を舞い、地面へと叩き付けられる。
頭を抑えて悶絶する様に、舞織は「うわ。痛そうですね」との感想を抱いた。
「ひ、酷い……」
子供の表情に涙を浮かべるが、しかし、それで心を砕く舞織ではない。相手は歴史侵略者。外見と実際の年齢が乖離しているなどよく有ること。そんな演技に騙される彼ではなかった。
まあ、実の処、心が多少ざわめいているが、それはおそらく彼女がパラドクスを用いて、舞織の負の感情を増大しているからであろう。嗜虐心とかそちらの方向では無い筈だ。多分。
(「それにまぁ、間違いなく今、私が抱えてる負の感情って惚気話を聞いたことに対するモヤモヤなんでしょうが……」)
そんな物に屈しない! と舞織は更なるパラドクスを行使する。
噛んだ唇から血が零れており、とても痛そうだった。
「――旅は一期一会! たまにはそう言う事もあるでしょう! まずは乗り越えて見せます!」
地の文へのツッコミじみた台詞は兎も角、彼が描く百鬼夜行は再度具現化。ガキエルを轢き潰すべく、彼女へと怒濤の勢いで群がっていく。
「いやっ?! 来ないでっ!? いやあああああ?!」
悲鳴が木霊したが、柳に風と受け流す。今日の舞織はいつもとひと味違った。それが何に由来するかは一先ず置いておこう。
「出会いとか全く無い私が言うのも難ですが、結婚ってのは過程あっての結果なんです。ですから、過程を飛ばして結果だけお出ししても長続きなんてしないと思うんですよね」
妖怪達に貪られ、滅びの道を突き進むガキエルに、手向けとばかりに言葉を添える。
そんな正論パンチはしかし、ガキエルには届かない。ただ、「なんで? 嘘? この私が……」との末期の台詞を口にしながら、滅んで行くのみであった。
「まぁ、その場だけの信仰を集めたい天使には届かないでしょうが」
舞織の織り成す締めの言葉は、言葉通り、ガキエルを捕らえる事は無かった。
彼女の身体は既に、彼のパラドクスによって消失していたからだ。
斯くして、ゼレノグラードを舞台とした覚醒儀式は終息に向かって行く。
その儀式場が、一端を担ったガキエルの墓場となったのは、難とも皮肉な話であった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!