スイス偵察作戦~ヴォーバン陽動攻略戦

 攻略旅団の提案により、断片の王である『人形皇帝ナポレオン』の新たな拠点と目されるスイス地域に対して多方面からの偵察作戦を行なう事になりました。
 この作戦では、スイス国境に近いフランス側の要塞、ヴォーバン要塞への攻撃を行い、敵の目をフランス国境に向け、偵察を支援する陽動作戦となります。
 ヴォーバン要塞の制圧は目的では無いので、攻略は失敗しても問題ありません。
 敵の目を引き付けるべく、散発的な攻撃を行ってください。
 ヴォーバン要塞の攻略を成功させた場合は、陽動以上の効果を期待できるかもしれません。

月下に踊れ、復讐者(作者 秋月きり
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#断頭革命グランダルメ  #スイス偵察作戦~ヴォーバン陽動攻略戦  #スイス  #ヴォーバン要塞 


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#ヴォーバン要塞


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「既に多くの方が聞き及んでいるかも知れませんが、妾からも解説させて頂きますね」
 最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。パラドクストレインの前に立つ淑女、マリー・アントワネット(人間のサウンドソルジャー・g09894)が時先案内人の仕事を全うすべく、集まった復讐者達へその文言を告げる。曰く、断頭革命グランダルメの断片の王、人形皇帝ナポレオンは、フランス本土から退去し、スイスを新たな拠点としたようなのです、と。
「そして、この情報を得た攻略旅団からは、スイス地域に対し、多方面からの偵察作戦が提案されましたわ」
 今回、マリーが告げる作戦は、その偵察作戦の一助だ。スイス国境に近いヴォーバン要塞の攻略を行う、と言う物であった。
「ヴォーバン要塞はスイスの玄関口として防備が固められていますわ。よって、この要塞を攻撃する事で、他の偵察作戦への警戒が薄れ、成功率を高められる……と言う訳ですの」
 ちなみに正面突破によるヴォーバン要塞の攻略も検討されたが、かなりの戦力が必要になるようだ。
 もしも実行するならば、攻略旅団での【重点目標】に設定する必要があるでしょうね、とマリーは口にする。

「そう言う訳ですので、此度、陽動作戦と取られないように、出来るだけ人目を引くような演技を行うことが推奨されていますの」
 ヴォーバン要塞を攻略すれば、人形皇帝ナポレオンを追い詰める一手となる。その為、本気で攻略する姿勢を見せれば、敵を騙すのは難しくないだろう。
「それで、ですね。此度、皆様に倒していただく敵は、アヴァタール級淫魔『月影のオーギュスト』と、彼が率いる小隊になりますの」
 驚くべき事に、敵は淫魔である。
 味方の視線に気付いたのか、マリーは「何か申し訳ありません」と曖昧な微笑を浮かべる。特に彼女に何かあるわけでは無いが、此処に至るまでに色々あったのだ。そんな表情をしても致し方無かった。
「ともあれ、拠点を守る淫魔との戦いになりますわ。ただ、相手の土俵で戦うことはお奨めしませんの」
 彼奴らに籠城戦を許せば、要塞そのものを上手く利用し、戦うだろう。真正面から戦うことは悪手だと断言する。
 と言う訳で、淫魔達に対して優位に戦うには何らかの手を打つ必要がある。マリーの言葉を要約すると、そういう話だった。

「各地の偵察を成功させ、一気に攻め入れれば、断頭革命グランダルメの命脈を絶つことも可能と思われますの」
 そしてそれこそが今の彼女の悲願だ。故に力を貸して欲しいと、マリー・アントワネットの名を与えられた彼女は一礼する。
「その為にも、この陽動作戦をお願いしますわ」
 皆様、ご武運を。
 祈りと共に、彼女は復讐者達をパラドクストレインへと送り出す。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【完全視界】
3
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。
【狼変身】
1
周囲が、ディアボロスが狼に変身できる世界に変わる。変身した狼の咆哮は「効果LV×10m」以内の指定した通常の生物を怯えさせ、「効果LV」分の間、行動不能にするが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1

●マスターより

秋月きり
 お世話になります。秋月きりです。ヴォーバン要塞の攻略シナリオをお届けします。
 ちなみにタイトルですが、『げっかにおどれ、でぃあぼろす』と読んで下さい。一生懸命考えました! お願いします!!

 さて、補足です。
 以下、ご確認下さい。

●選択肢について
①拠点防衛のトループス級『淫魔の剣舞団』
 防衛戦に長けたトループス級との戦いになります。そのまま正面から攻撃を仕掛けた場合『🔴』が出易くなっておりますのでご注意下さい。
 何らかの対策を行っておくと良いでしょう。

②アヴァタール級との決戦『月影のオーギュスト』
 ①を率いているアヴァタール級です。①を全滅させると出現します。
 皆様の格好良い戦いが描写出来ればと思います。

●その他
・「そうですね。それがどうも淫魔の剣舞団は魅力的な異性を切り刻みたいと言う妙な欲求がある様なのですの。つまり、その、魅力的な男性が呼び掛けると、ノコノコ出てくる……可能性があるような、無いような、なのですの。うん。頭痛い……」
・「その上、外見しか興味ないようなので、女性の方も男装した後、魅力的な男性っぽく振る舞うと、引っかかり易い……筈ですわ。どうしてこんなのが、もう、本当に……」
 以上、頭を押さえながら呟かれた時先案内人からの助言です。参考になれば幸いです。
・本作戦ですが、何故か月光差す夜になります。特に制限ありませんが、灯りを持ち込む等、何らかの対策を行うと判定に良い影響を与えるかも知れません。
(例えば松明等がないのに『火炎使い』のみに頼る等、技能のみではプラス判定になりませんので、ご注意下さい)
・肩の力を抜いて参加して頂ければ幸いです。実はそう言うシナリオです。

 それでは、皆様の楽しいプレイングをお待ちしております。
 よろしくお願いします。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


桜・姫恋
アドリブ・連携歓迎

異性を切り刻みたいとはまた変な欲望を持ってるのね?

女の姿で行っても出てこないだろうから事前に男に見えるように男装(胸はさらしで押し潰し声もなるべく低くし疑われないよう小型変声器で男の声に聞こえるように細工もしつつ見た目はどこからどう見ても美青年風に)

変装後は敵が出てくるように儚げな男性を装いつつアンティーク風なランタンを灯り代わりに持ちながら月を見上げてみる

それに吊られて敵が出てきたらしばらくは相手に話は合わせつついつでも戦えるように静かに準備をしておく

敵が襲いかかってきたら正体を明かしながら瞬時に敵の死角に回り込み《捕縛》用の縛神帯を《不意打ち》にて放って敵を《捕縛》しながら締め付け倒しながら戦っていく

男の声と女の声で相手の耳元で囁きながら戸惑わせ逃げる奴らは捕まえ確実に倒していく


一・百
防衛に長けた敵…だよな?
配置を確認し声を掛ける
師匠は愛想よくすればいいとか言ってたが…
笑いかけてみるとか?
駄肉に興味無いが仕方ない…

月光が照らしかけてる場所で
そんなとこに居ないで俺の相手をしてみないか?
眺めているだけではつまらないだろう…?
軽く襟元を緩め
持ち込んだランタンを掲げ意味深に微笑みかけたら灯りを絞り足元へ
月光の下の方がイケメンにみえるかも?
こちらは完全視界で暗がりの視界も確保
手は紅玉姫の柄にかけ
いつでも抜刀出来るよう油断なく誘う
アリアみたいに振る舞えるのが1番なんだろうが…

誘い出てきたら
動きを見極め攻撃間合いに入った瞬間
氷華千刃で氷刃を舞わせ手足の関節に氷華を咲かせ動きを妨害
氷刃と闇に紛れ背後へ回り込みPDを帯びた刀で敵を貫き仕留める

お前達に私怨は無いが…
そっちのお腹出してる奴には腹パンと教育的指導をしておかないと…
PTAがお待ちかねだ邪魔はさせない…
斬り刻みたいらしいが
舞でも刀では遅れを取るつもりはない…
それに俺には決まった相手が居るしな…


アリア・パーハーツ
※連携/アドリブ歓迎

御覧あれ、王妃様
我らがグランダルメの為に華麗に口説き落としてくるのだぜ

黒髪ウィッグ、胸は潰し、オーダーメイドのブラックスーツ
青いスカーフを付けて、優男の完成
声色も低めに、流し目で射止める大作戦

【完全視界】で視界は良好
ふむ、そういう配置か…陽動も兼ねて多めの所を崩しに行こう
殺気は悟られないよう微笑みを向けて
差し出した手には何もないのだと

御機嫌よう麗しいレディ達
月明りが良く似合う美女とお近付きになる栄誉を、どうか
可憐な踊り子だ、さぞ優美に舞うのでしょう
どうかダンスのお相手にしていただいても?

[忍び足]で間合いへ踏み入り、口説き油断させ、隠していたナイフで一閃
ひとりひとり確実に仕留めていく
ダンスなら「俺」も得意だ、さあ次の相手は誰かな

はいはい、そこのお嬢さん近い近い、お触りは禁止
あの格好いい狐さんには格好いい旦那様がいるんだから
そもそも顔だけで寄っていく女はモテないぞ

アヴァタール級の方は、うん、大丈夫
仲間たちが颯爽と腹パン、…じゃない、倒してくれるだろう


「さて、王妃様の言葉を確認しようかな」
 時間にして深夜。ヴォーバン要塞の一角にほど近い闇夜の森の中で、アリア・パーハーツ(狂騒・g00278)が声を上げる。彼女――今の格好を見れば、「彼」と呼ぶ方が相応しいだろうか――の言葉に、共に行動する一・百(気まぐれな狐・g04201)と桜・姫恋(苺姫・g03043)はこくりと頷く。
 三者三様の格好は、しかし、何れもある共通項を持って纏められている。
 曰く――イケメン。
 そう。此処に集う三者はそれはもう、端から見てドキッとするぐらいの美男子であった。当然、アリアと姫恋は淑女の為、男装であるが、それを差し引いたとしても、恐るべきいけめんっぷりである。
 何故このようなイケメンイケ女が揃ってしまったのか。
 それは、アリアの先程の言葉が理由であった。
「王妃の助言はこうだよ。『それがどうも淫魔の剣舞団は魅力的な異性を自ら切り刻みたいと言う妙な欲求がある様なのですの』と」
 それを口にしながら、頭を押さえていたのは、淫魔達の極悪非道な所業に心を痛めるが故か。彼女の心労を軽減するためにも、是非とも、ヴォーバン要塞を陥落させたい処である。
「異性を切り刻みたいとはまた変な欲望を持ってるのね?」
「淫魔だしね……」
 姫恋の呟きを、しかし、百は首を振って切り捨てる。妙な欲望と言うのは姫恋の通りだが、とは言え、相手は歴史侵略者。常識で語れない相手だ。確かに淫魔のエネルギー源は「堕落」だが、とは言え、堕落させた挙げ句に切り刻むとか、断頭の材料として自動人形に差し出すとか、色々あるのだろう。
「さて。二人も承知だろうが、相手は防衛に長けた敵だ……。正面から向かっても苦戦は必至、と王妃も言っていた。それは実際、その通りなのだろう……」
 堅牢な要塞に籠もられれば、攻め入るものも攻め入りづらい。幾多の復讐者達がその攻略を望み、傷付いてきたかを百は知っている。逆説連鎖戦は時間や空間、世界法則すら書き換えるとは言え、それは相手側も同じ。結果、優位なものは優位なまま残り勝ちだから、質が悪い。ともすれば、その文句は、歴史侵略者側も言っているような気がするが、それは置いておこう。
 故に、今回も同様だ。
 相応の策がなければ、彼らは淫魔の剣舞団の攻撃の元、滅多斬りにされるだろう。流石に切り刻まれる趣味はないので、避けたいと微苦笑する。
「だが、俺達には策がある……」
 百はその為の助言を師匠から貰ってきた。曰く「愛想良くすれば良い」だった。駄肉に興味は無いが、仕方ないと割り切る。
 そして、アリアと姫恋は男装を選んだ。黒髪のウイッグに、ブラックスーツ。青いスカーフを身に纏ったアリアは、優男なホスト――もとい、イケメンの装いをしていた。女性らしい曲線は色々と補正した。僅かに小柄ながらも、端から見れば、そして遠目から見れば、充分過ぎるほどの美男子であった。
 姫恋も同じく、彼女の特徴として主張する膨らみをサラシで潰した後、男物のシャツとパンツで儚げな男性を演出している。アリアが剛ならば姫恋は柔。そんな印象すら抱かせていた。
「よし。それじゃ、攻略を開始しよう……」
 月下に踊れと誰かが言っていた。ものの見事に踊って見せよう。
 百は二人に軽く笑いかけ、歩を進める。既に役に入りきっているのか、その微笑は輝かんばかりに魅力的な光を帯びていた。

 そして。ヴォーバン要塞。
 歩哨の如く周囲を警戒していたトループス級淫魔『淫魔の剣舞団』の一人は、月下に輝く三者に気付く。
 並の兵ならば、その時点で警鐘を鳴らし、仲間に迎撃を訴えただろう。それは淫魔の剣舞団の彼女もまた、同じであった。
 妖しい奴らが近付いて来た。ならば、仲間に伝え、全身全霊を以て立ち向かう。それが彼女達の矜持だ。
 一言で言うならば、復讐者達は見誤っていた。
 彼女達は愚鈍ではない。要塞に近付き、妖艶に彼女達を誘う存在がいれば、こうもなる。
 即ち。
「みんな! イケメンが来た!!! 直ぐに行かなきゃ!!」
 ――復讐者の想像を遙かに凌駕する程、欲望に忠実なのであった。

 もう一度繰り返そう。時先案内人含め、復讐者達は見誤っていた。彼女達を過大評価していた。
 多少は警戒されるだろうと、外見以外にも二重三重に準備してきたし、それぞれ口説き文句を用意していた。姫恋に至っては変声器すら用意し、更なるイケボでイケメンを装うつもりだった。
 だが、月光の元、男装女子含め、三人の美男子が揃った、それだけで、淫魔達は要塞の利を捨て、彼らの元へと走ったのだ。拍子抜けも甚だしかった。
(「防衛に長けた敵……だよな?」)
 百の困惑は、当然の帰結だ。いや、もう少し頑張れよ、とすら思ってしまう。さすが歴史侵略者。復讐者達の持つ常識など通じる筈も無い。
「あの、私達、あの要塞を警備している淫魔なんですけど、今、お時間あったりします?」
「お、おう」
 もうこのまま切り伏せてしまっても良いのでは無いか。そんな思考が百の脳裏によぎる。
 が、周囲に目を配れば何故かまだまだアリアも姫恋もまだだ、と首を振っていた。もう少し油断を誘うつもりなのだろうか。仕方ない、少しばかり付き合おうと、百は空咳。軽く襟元を緩めると、如何にも今から遊ぶつもりだったのだ、との風体を装う。
「そうだな。眺めているだけではつまらないだろう……? 俺の相手をしてみないか?」
「よ、喜んで!」
 頬を朱に染め、無防備に百の胸元へ飛び込む淫魔A。
「御機嫌よう、麗しいレディ達」
 百に続き、ふふりと蠱惑的な笑みを零すアリア。魅了の邪視ではない筈のそれに、しかし、淫魔達はぽぉっと蕩けた表情を浮かべる。物凄く効果的だった。
 上手く行き過ぎて罠を探りそうになったが、まあ、それも無いかと言葉を続ける。実際、そんな甲斐性があれば、もう少し何とかなっていただろうなぁ、と思ってしまった。
「美しい月夜に照らされる美女とお近付きになる栄誉を。どうかダンスのお相手にしていただいても?」
 可憐な踊り子風の衣装を褒め、優美に舞うことを期待する台詞に、淫魔B、Cは「あら」と蠱惑的な笑みを零した。
「勿論。貴方のような美男子と踊れるなんて、私達は幸せですわ」
 誰でも褒められれば悪い気はしない。アリアの言葉に従ってか、優美さを装っているが、頬がピクピク震えている。喜悦を感じているのは明白だった。
「貴方も遊びに来たの?」
 ランタンを手に、ただ佇む姫恋に、別の淫魔が声を掛ける。
 何処からどう見てもその表情は蕩け、目にはハートマークが浮かんでいた。生憎姫恋には見えなかったが、場面が場面ならば、その頭に「魅了!」の文字が見えたに違いない。
「私達も、実はちょっと、暇しててー」
「お兄さんのようなイケメンさんなら大歓迎かなーって」
「よ。社長。いい子いまっせ。あたしですけど!」
 くねくねと身体を揺すり、姫恋に絡みつく淫魔達は、彼女、もとい彼の関心を引こうとしているのか。色々な声、手腕で投げつけられる声は甘く、そして、姦しかった。
「そうだね。私……いや、僕達は遊びに来たんだよ」
 すり寄る淫魔達に話を合わせながら、姫恋はにこりと笑う。その微笑に零れる黄色い声は取り敢えず無視。複数人でも相手して上げるよ、と言わんばかりに挙げた両手はしかし――。
「こんな風にね!」
 刹那に紡いだのはパラドクスだった。両腕から伸びた縛鎖は淫魔達を絡め取ると、ギチギチと縛り上げていく。
「え? 何々? こういうの好きなの? お兄さん」
「そろそろ気付きなさいよ。ばーか!」
 パラドクスを受け、淫魔D、E、F――都合三体の淫魔から、きゃっきゃうふふと嬉しげな声を上がった。この場面を迎えても尚、この胆力である。別の意味で大物だった。
「お前達に私怨はないが……、お前達の後ろにいる奴に腹パンと、教育的指導をしておかないと……だしな」
 邪魔はさせないと、己が得物、紅玉の妖刀を抜刀。冷気と共に淫魔に叩き込んだ百は、ふぅっと愁いを帯びた嘆息を零す。見事なまでに洗練された氷纏いの抜刀術は淫魔の腹を切り裂くと、その身体を地に伏せさせ、消滅へと導いて行く。
「ダンスなら『俺』も得意だ」
 そして、アリアの暗器――気まぐれで選んだナイフもまた、淫魔の喉を斬り裂き、月花の如く血潮の華を咲かせる。倒れ伏せた淫魔は動かない。ただ、ドクドクと血を流し、やがて、消失していくのみであった。
「さあ、次の相手は誰かな」
 アリアの端正な微笑に、歓声じみた悲鳴が木霊する。
 ともあれ、一方的な虐殺が始まろうとしていた。

 時間にして半刻も要さなかっただろう。
「はいはーい。そこのお嬢さん近い近い、お触りは禁止。あの格好いい狐さんには格好いい旦那様がいるんだから!」
 舞うような動きで百に縋り付く最後の一体を引き剥がし、アリアはその豊かな胸元にナイフを叩き込む。心臓を抉られ、血塊を吐く間もなく、淫魔は絶命。彼女はアルファベットで言うとどのくらいだろうか、とも少し考えたが、もう存在しない敵の数を思考しても無意味だと、アリアはただ、首を振る。
「何と言うか、うん。刀で譲るつもりはなかったが……その心配も無かったな……」
 ほぼ一方的な攻撃で終わったのだ。快勝と言っても良いだろう。そんな百が述べた感想に、アリアも同意と微苦笑を浮かべる。
 その刹那だった。
「な、何が起きたというのだ?!」
 そんな声が響いた。
 いつの間に現れたのだろう。月光の元、ピアノを携えた淫魔が召喚されたかのように出現。同時に驚愕の声を張り上げる。
 まあ、部下が全滅しているのだ。こんな声も上がるだろう。
「――貴方達を倒しに来たわ。覚悟する事ね」
 アヴァタール級淫魔『月影のオーギュスト』の突如とした出現に、しかし、復讐者達に驚きはない。
 ただ、覚悟を決めろと姫恋の声が響くのみ。
 その声が可憐な淑女の生声と変成された男性声の二重に響くことは、些細な事であった。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防空体制】LV1が発生!
【完全視界】LV2が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!

ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

おお…、あれが伝説のイケメン、イケ嬢にのみ許された顔面宝g……ごほん

アレ(宿敵)の姿にはイラっとする感情を押し込め
イケメン、イケ嬢の前に要塞など砂の城も同然ということを教えて差し上げましょう
此方にはイケメン代表シャムス、錬晏、イケ嬢代表のナディアがいますから
勝ちましたね、この勝負!
私は、多分普通くらいですので…

とか言っていたら、早速ナディアとシャムスがそわそわしておりました
全ての淫魔を滅すれば、何も無かった事になりますので落ち着いて下さい

完全視界を使用
宙に鍵盤を展開し「光輝」を演奏
雄々しき角の神鹿を喚び、あのいけ好かない淫魔に突進攻撃を指揮
特にボディを狙いましょう
錬晏の腹筋対抗に思わず二度見

仲間と攻撃の機を揃え、包囲しつつ集中砲火
派手に正面から仕掛け注意を引けば、仲間の攻め入る隙となる筈
反撃には魔力障壁を展開して凌ぎ
私の戦意を折るには、その演奏では足りません!
あの者より、美しく優雅に
此方も旋律を重ねます

崩れ堕ちる姿も目に焼き付け
これも私の背負うべき咎
全て覚えておきます


シャムス・ライラ
任務の為とはいえ、可愛らしいうちの妻が囮
アリア殿もご無事で良かった
二人とも大変魅力的だから心配でもう…
淫魔許すべからず
眼前の敵も相変わらず教育に悪そうです
要塞の陥落と青少年の健全化のために是非倒れていただきましょう!
(要塞の方は陽動ですけどね)
美少年代表のソレイユに不埒な真似はさせませんからね!

宵闇には完全視界がありがたく

地形を見つつ
敵周辺にトラップ生成で細かい落とし穴を複数
少しでも気がそがれて演奏に集中できなければそれが隙になるというもの
仲間とタイミングを合わせ
ピラミッドコンバットで集中砲火を浴びせましょう
さぁ、ナディア殿
錬晏も
イケメン、イケ嬢攻撃で敵を滅ぼすのです
ところで毎回無防備に腹を晒すもの
実は腹筋鍛えていて丈夫なんですか?

敵の攻撃は
妻帯者に誘惑攻撃とは
万一引っかかったら後で妻に大目玉ですよ
跳ねのけて
横っ飛びにジャンプ等で間合いを取り
真正面から攻撃に受けぬよう

人呼んで「PTAのシャムス」(淫魔限定)を甘く見ないで頂きましょう

(何かを想うソレイユの様子をそっと見守る)

アドリブ等歓迎


ナディア・ベズヴィルド
見事な…なんて見事な顔面宝具(ソレイユさんが言いかけていたのにぶっちゃけた)
何を言っているのソレイユさん、私がイケ嬢なら貴方もイケメン代表入りしているから
【完全視界】を使用して夜もばっちり

落ち着いてシャムスさん
百さんが魅力爆発しているからって冷静さを失ってはいけない
私だってアリアさんが奴らの目に晒されていると思うと横っ面張り倒して生き埋めにしてやりたいと考えているのよ

のこのこと出てきたオーギュストは連帯責任でこの場で腹パンの刑に処すわ
え?なんでって怒るの?仕方ないでしょ
ベルトを締めないでズボンを降ろして下さいと言わんばかりの格好
公序良俗的にアウトなんだから綺麗さっぱりとお掃除(殲滅)しないと

艶やかな唇は弧を描き、相手の挑発するように笑みを向ける
シャムスさんのベルトにツッコミを入れたいけどそれは最後にして

敵が集中できないようにアルバリで地を割り体制を崩そう
仲間と連携を取り乍ら攻撃
ツッコミどころ満載で戦意を失うどころじゃないわ
さっさと沈め!

縁ある者の倒れ往く姿は何度見ても慣れないでしょうね…


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

淫魔相手の戦い、ああも見事に引っかかってくれるなら、逆に戦いやすいか
仲間の「いけめん」な戦いぶりに称賛を送りつつ、次は俺たちの番だ

自分の容姿はよくわからんが、「いけめん」で要塞の強さは変わらない…いや、いいか。ソレイユが楽しそうだ

【完全視界】があれば立ち回りは憂いがないな
とはいっても、相手はそんなに動き回る相手ではないが、攻撃は見えるにこしたことはない
あのふしだらな恰好が、ソレイユの視界に入るのは微妙だが
さっさと倒そう。あと腹の筋肉なら俺の方がある

偃月刀を構えて朱殷の闘気で狼たちを形成すれば
ソレイユの演奏に合わせ、神鹿と共に『オーギュスト』へ打ちかかる
縦横無尽に駆け巡る狼たちで視線を<撹乱>し、攻撃の的を絞らせない

偃月刀を振り、狼たちと共に牙をその身に穿つ

戦う事の「恐怖」は、とうの昔に置いてきた
不気味な音も怪物の幻影も、俺の戦意を砕くには不十分
仲間と共に容赦なく攻め立て、討ち取ろう

共に戦う皆にディフェンスを

一人で耐えるソレイユの背を軽く叩き
独りになるなと言葉をかける


 アヴァタール級淫魔『月影のオーギュスト』が出現する僅か前。
 バッタバッタと仲間達が淫魔の剣舞団を切り伏せていく様に、興奮の声を上げる者がいた。
「おおッ! あれが伝説のイケメン、イケ嬢にのみ許された顔面宝g……ごほん」
 ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)であった。突如として零れた咳は、仲間の誰しもが心配の表情を形成する。
 ともあれ、流石な自制心を評価したい。王妃が知れば、にっこりとした笑顔を浮かべてくれること間違い無しだ。その単語は少しばかり危険だった。
 だが。
「見事な……なんて見事な顔面……えっと宝貝!」
 地雷原をタップダンスで駆け抜ける、と言うのはこう言うことか。
 ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)の台詞に何処かで誰かが戦慄したが、まあ、致し方ない。覆水盆に返らず。吐いた唾は飲み込めない。
 ちなみにうっかりとした誤字です。そう言うことにしておいて下さい。
 また、一般的に顔面なんとかとは、使用時に顔のアップが表現されるそれのことを差す用語である。顔面で攻撃する技や、恐るべき視線を飛ばしてあれこれする技を指す名称ではない筈だ。……そうだよね?
 閑話休題。
「な、何が起きたというのだ?!」
 突如、そんな声が響いた。
 皆まで言うな、と夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が目を閉じ、強く深く頷く。物凄くイケメンポーズだったが、生憎、それを賛美する筈の淫魔達は何処にもいない。おそらくこの報告書では「折角の表情に声援は、少々寂しくも感じましたわ」とだけ、記載されるに違いない。
 さて、当然ながら、その叫びはアヴァタール級淫魔『月影のオーギュスト』のものであった。彼の者が出現と共に、絶叫したのだ。
「さあ、次は俺達の番だ」
 仲間の奮闘――独壇場とも言うべき快勝に錬晏は惜しみない称賛を送りつつ、共に身構える仲間へ次なる戦いを促す。
 そう、仲間達の活躍でトループス級淫魔『淫魔の剣舞団』は滅した。ならば、後は目の前に現れた淫魔、オーギュストを倒すのみ。ここで油断して敗退することだけは、避けねばならなかった。
「そうですね。淫魔、許すべからず。眼前の敵も相変わらず教育に悪そうです。要塞の陥落と青少年の健全化のために是非倒れていただきましょう!」
 シャムス・ライラ(極夜・g04075)の言葉は何処か、怒りが籠もっていた。おそらくトループス級達への囮に愛しき者が立ったことに対する苛立ちだろう。
「美少年代表のソレイユに不埒な真似はさせませんからね!」
 裂帛の気合いだった。
 いや、少し落ち着こう。落ち着いて。
「落ち着いてシャムスさん」
 興奮を露わにするシャムスに、冷静な声が掛かる。ナディアである。眉目秀麗、容姿端麗の彼女は物穏やかな容貌そのままに、静かに告げた。
「百さんが魅力爆発しているからって冷静さを失ってはいけない。私だってアリアさんが奴らの目に晒されていると思うと横っ面張り倒して生き埋めにしてやりたいと考えているのよ」
 いや何言っているのさ。
 地の分のツッコミは何の其の。いつも通り、簒奪者への怒りを露わにしたナディアは怒りを捲し立て、その勢いにオーギュストは目を白黒させる。
 だが生憎、この場に彼を庇う者は居ない。いとあわれ、との言葉だけが相応しかった。
「そう。イケメン、イケ嬢の前に、この程度の要塞など、砂の城も同然ということを教えて差し上げましょう。此方にはイケメン代表シャムス、錬晏、イケ嬢代表のナディアがいますから、勝ちましたね、この勝負!」
 目をぐるぐるさせながら、ソレイユが言う。なんかもう、怖かった。
「何を言っているのソレイユさん、私がイケ嬢なら貴方もイケメン代表入りしているから」
 しれっと自身がイケ嬢である事は肯定するナディア。傍目に見て当然の認識だが、自己評価が高いことは良いことである。
 ちなみに当のソレイユは「自分は普通ですから……」と固辞していた。
 復讐者達の顔面偏差値は高い。故に平均値――普通の壁も高かった。過去、あの愛の囁きメリクールを惑わせた男とは思えない言葉に、ナディアは「そう」と呟くのみだ。もしかしたら、いつか思い知らせてやろう、と内心で強く誓っていたのかもしれない。
「ふむ。自分の容姿は良く判らんが、『いけめん』で要塞の強さは変わらない……いや、いいか。ソレイユが楽しそうだ」
 至極一般的、常識的な言葉を紡いだ錬晏は、しかし、と首を振る。仲間が楽しそうだからと、非常識を肯定する。その言動に、非常識を是とする歴史侵略者のオーギュストは戦慄した。先程から一貫してオーギュストは震えている。復讐者達の言動は、彼にとってとても怖かった。
「くっ。なんだか判らんが、このヴォーバン要塞を簡単に墜とせると思うなよ!」
 唯一絞り出した叫びは、そんな普遍的な物で。
 故に、まあ当然だろうなぁ、という反語だけが、月下の元、響き渡った。

「さて。生憎【トラップ作成】で戦闘阻害は出来ません。ですが、私達にはこの連携があります」
 説明的な台詞と共に、シャムスはオーギュストへと跳躍。戦場に現れた小型のピラミッドからの力を享受しながら、その腹部へと拳を叩き付けた。
「ぐぬっ」
「ところで毎回、無防備に腹を晒していますが、実は腹筋鍛えていて丈夫とか、そう言う話なんですか?」
「何のことだ?!」
 息吐く呻き声に被さったそれは、シャムスによる疑問の声。そして、そこにオーギュストの絶叫が重なった。
 説明せねばならないだろう。今、復讐者と対峙しているオーギュストはアヴァタール級である。今まで、数体のオーギュストが現れ、復讐者達と戦った。その何れと今の彼が記憶を共有している……等と言うことはありえない。結果、「毎回」と問うても、「何のことだ?」と返ってくるのは必然であった。
 反撃の楽曲を奏でようとした彼に、しかし、それを許さないと更なる攻撃が重なっていく。
「ベルトを締めないでズボンを降ろして下さいと言わんばかりの格好なんて、公序良俗的にアウト! なんだから、綺麗さっぱりとお掃除しないと、ね」
「ふ。お嬢さん。私の魅力に参り、この下を欲しが……やめてずり降ろさないで?!」
 詠唱代わりに紡がれた挑発の言葉は、ナディアが発した物であった。
 刹那、淫魔らしい余裕を取り戻したかの様に見えたオーギュストは、しかし、次の瞬間には身体を震わせる。石筍の如く地面から出現した爪が、彼の身体を斬り裂くべく、牙を剥いたのだ。それはさながら、ナディアの言葉を肯定するかのようであった。
 それがどの部分を指しているかは、推して知るべし、と言う奴であろう。
「すみませんね。ナディアとシャムスがそわそわしています。まあ、全ての淫魔を滅すれば、何も無かった事になりますので二人は、落ち着いて下さい。貴方は滅んで下さい」
 ソレイユの指は空に展開された光の鍵盤を叩き、その旋律は白き神鹿を呼ぶ。
 その神鹿に跳ね飛ばされながら、オーギュストが叫んだのは、理不尽に対する怒りであった。
「……まあ、難だな。そのふしだら恰好が、ソレイユの視界に入るのは微妙だ。さっさと倒そう」
 そこに駆け抜ける影は、錬晏のものであった。
 逃がさん、と放たれた無数の斬撃はオーギュストを切り刻み、夜闇の中に血霞を咲かせる。まるで狼の群れに襲われたかのような傷痕を遺したオーギュストは、「おのれ!」と雄叫び、反撃の旋律を奏でるべく腕を振り上げる。
 だが。
「あと、腹の筋肉なら俺の方がある」
「……」
「……」
 真顔で紡がれたそれに、どの様な顔をすべきか、オーギュストは判らなかった。仲間の復讐者――ソレイユが錬晏を二度見していることから、彼にとっては信じ難い発言だった、と言う事だけは理解した。それしか、理解出来る物は無かった。
 刹那に見つめ合う――否、睨み合う二人。そんなオーギュストに、錬晏は言葉を叩き付ける。
「戦う事への『恐怖』は、とうの昔に置いてきた」
「頼む! 恐怖を拾いに行って! 過去で大切な物を失わないで?! 今の私の恐怖を理解して?!」
 必死な叫びが錬晏の耳朶を多々いていたが、無視。ただ、斬撃を続け、オーギュストの身体を切り刻んでいく。
(「お、おのれ。ディアボロスとは一体――!」)
 なんか物凄く腹を狙われているわ、ズボンを下げられそうになっているわ、挙げ句に跳ね飛ばされ切り刻まれ、パラドクスを否定されているのだ。
 泣き言の一つや二つ、零れても当然であった。
 事実、オーギュストの脳内は戦慄と恐怖で占められていた。助けを呼べるなら助けを呼びたい、までも心の奥底から叫ぶが、当然、それに応える者など存在しない。
「まあ、残念ですが、貴方の恐怖を理解するつもりはありませんし、貴方の攻撃を受けるつもりもありません」
 その代わりに告げられたのは、至極冷静なシャムスの声であった。
 それは事実上の死刑宣告でもあった。
「人呼んで『PTAのシャムス』、かっこいんまげんていかっことじ、を甘く見ないで頂きましょう!」
「ぺ、ペアレントティーチャーアソシエーション?!」
 勝ち誇るかのような宣言に、目を剥くオーギュスト。ちなみにPTAを日本語訳すれば『父母と教師の会』となるだろうか。淫魔を相手にするには役者不足の組織な気がしたが、今のオーギュストにとっては恐怖の産物でしかない。おそらく物凄い暗殺組織か、最上位の改竄世界史辺りでも、想像していたのかもしれない。
「ツッコミ処満載で戦意を失うどころじゃないわ。さっさと沈め!」
 そして、ナディアの土爪が再度、オーギュストを強襲する。
 パラドクスを受ける刹那、ツッコミ処満載なのはどちらかと表情が歪んだ気がしたが、それに付き合う道理はない。ただ、パラドクスの露に消えろと、幾多のパラドクスを重ねていく。
 続けて注ぎ込まれるのはシャムスの氷撃、そして錬晏の偃月刀や狼の牙による斬撃だ。
 それらが重なり、積み上がる。オーギュストの零す悲鳴のみが、ヴォーバン要塞の眼前へと広がっていった。
「聞け、神聖なる領域を侵す者よ」
 厳かな声でソレイユが断ずる。
 何者であろうとも神域を侵す者は許さない。それは森であり、そして、彼らの歴史――正しい歴史、最終人類史を指し示す言葉だった。
 神域を侵した賊の名前は、クロノヴェーダ。淫魔や自動人形、魔獣魔女達のみならず、全ての歴史侵略者達こそが、ソレイユ達が討つ敵の名だ。
「私達の戦意を折るのに、貴方の演奏では足りなかったようです。故に――そのまま滅びなさい。月影のオーギュスト!」
「ぐわあああああああっ」
 再度神威の白鹿に跳ね飛ばされ、オーギュストは断末魔の叫びと共に果てていくのだった。

 戦いが終結し、周囲は喧噪を失っていく。
 ここで夜明けとなれば美しくもあるが、生憎、復讐者達の快勝し過ぎた。繰り広げられた二戦はしかし、僅か数時間で終結を向かえていた。
 故に、ランプの明かりの中、或いは【完全視界】で映し出される世界の中、ソレイユは独り言ちる。
「これも私の背負うべき咎。全て覚えておきます……」
 もしもオーギュストの本体がこの場にいれば、「何れを、何を憶えておくつもりだッ?!」と問うたかもしれないが、生憎、そのツッコミはない。
 ただ、憂うその姿にナディアは嘆息し、シャムスは見守るのみであった。
(「縁ある者の倒れ往く姿は何度見ても慣れないでしょうね……」)
(「だが、これはソレイユが、ソレイユ自身として乗り越えないといけない感情です……」)
 今までの経緯を考えれば酷い台詞だが、まあ、大局は間違っていない。悲しくも美しく散ったオーギュストの最期に二人とて思う処はある。それが同情なのか、憐憫なのか、それとも嘲笑なのか、それは個人のみが知る、と言う奴であった。
「独りになるな」
 肩を叩き、兄貴分である錬晏が強く頷く。
 彼の痛みを変わることは出来ない。だが、分かち、共有することは出来る。そう語るような首肯に、ソレイユは「はい……」と、短い言葉だけ、返答した。

 改竄世界史の夜は深い。
 その先に何が広がっているのか、復讐者達は知らない。
 だが、願わくば。
 此度のような犠牲者が二度と現れないで欲しいと、心の底から思うのだった。

 誰が思っているかはさておき。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV3になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【狼変身】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2024年01月28日