リプレイ
エイレーネ・エピケフィシア
イスカンダルが向かう先は、ペルシアの王都でしたか……
史実でアレクサンドロスが破壊し尽くした街を新たな拠点に見込むとは、皮肉なものですね
バベルの塔の消失が導いた有利な状況を、ここで終わらせはしません
全身全霊をかけてミウ・ウルが進む道を護ります!
ミウ・ウルが進む一帯の景色に紛れる色合いの、フードつき外套を着用
そこが砂地であれば吹き上がる砂塵や途上の砂丘なり岩なりに身を隠し
草原であれば低木の後ろや茂みを遮蔽物として、索敵をしていきましょう
視認性の悪い場所に潜みつつ、自分と仲間は【完全視界】で万全の視野を確保
敵は蟻の姿をしており穴を出現させるパラドクスも持つ蟲将
予知に通り物陰に伏せる者の他にも、土砂を掘って潜りこむ者もいるかもしれません
砂の不自然な盛り上がりや動物が本能的に避けているような領域の有無、僅かな物音など、敵の気配を感じさせる要素を慎重に調べます
視界内に伏兵がいないと判断すれば進み、更に捜索を続けます
敵を発見した時はハンドサインで仲間に伝え、先制攻撃を準備します
……皆様、参りましょう
ハーリス・アルアビド
イスカンダルの目論見を阻む事ができれば今後の流れを優位に進めることができるでしょう。
各地で戦いを続ける方々の奮闘に報いるため、そして今後の作戦のためにもミウ・ウルを守り通さねばなりません。
ミウ・ウル自身に迷彩を施せればよいのですが、手元にある物資だけでは難しいでしょう。【平穏結界】を施し少しでも気付かれる可能性を低くします。
【完全視界】があればこちらの視覚は確保できますね。【風使い】と【砂使い】の力で不自然でない程度のものを起こし、平穏結界と併せて外部から見えにくいよう工夫します。
地面の凹凸や遮蔽物になるものなど【地形の利用】を行い、一定距離ごとにミウ・ウルの方向と自分がいる周辺に動物のものとは思えない大きな痕跡がないかをより注意深く【観察】します。
地面に耳を当てて不自然な物音がないか耳を澄ませ、周囲の砂粒の動き一つ見逃さぬようにしましょう。
●
「イスカンダルが向かう先は、ペルシアの王都でしたか……」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)の視線の先。ミウ・ウルの進行方向。
それこそが彼の都の名。イスカンダル大王の目指す地であり、ディアボロスにとっても、また。
「しかし、史実でアレクサンドロスが破壊し尽くした街を新たな拠点に見込むとは、皮肉なものですね」
「ええ、ですがその事実を知る事が出来たのは僥倖でした。イスカンダルの目論見を阻む事ができれば、今後の流れを優位に進めることができるでしょう」
来たる、3月22日。
その日までに、先んじてペルセポリスへと辿り着く事が出来れば。
「各地で戦いを続ける方々の奮闘に報いるため、そして今後の作戦のためにもミウ・ウルを守り通さねばなりません」
ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)のその言葉に、エイレーネも確りと頷きを返して。
「バベルの塔の消失が導いた有利な状況を、ここで終わらせはしません。全身全霊をかけて、ミウ・ウルが進む道を護ります!」
この作戦に携わる、ディアボロス達の意志は固い。
●
さて。
期日までに確実にペルセポリスへと到達する為には、備えを出来る限り盤石なものに近づけ、待ち受けているという伏兵部隊からの被害を抑えつつ蹴散らす事が肝要となる。
(「ミウ・ウル自身に迷彩を施せればよいのですが、手元にある物資だけでは難しいでしょうね……」)
ハーリスは改めてミウ・ウルを見上げる。巨大な黄金の船体がそこにあった。
この船を隠したり、物陰に隠れるようにして移動させるのは、残念ながら難しい。せめてと平穏結界を張るものの、注意深く索敵されている状態ではいずれ確実に見つかってしまうこの状況。
発見を遅らせる事が出来るのは、恐らくは誤差の範囲内。だが、その一分一秒、一瞬が作戦の明暗を分ける事だってある。
少しでもその差を広げるべく、ミウ・ウルに巻き上げられた砂を、目眩ましになればと補強する形で強める。
「視界の確保はお任せください」
ディアボロス側も視界を遮られるが、エイレーネが展開した世界は砂煙の中でも全てを見通す力を齎してくれた。
砂地に紛れるフード付きの該当で景色に紛れる彼女は、ミウ・ウル周辺の警戒をハーリスに任せ、自身はそっとその場を離れる。
岩陰などに身を隠し、索敵を行う相手にとって常に視認性の悪い場所へと位置取る事を心掛けつつ、こちらからも敵の影や気配を探り始めた。
(「予知の通りの物陰なども勿論ですが、敵は蟻の姿をしており穴を出現させるパラドクスも持つ蟲将……」)
明確に視認出来る岩や枯れ木の陰だけでなく、土砂を掘って潜り込んでいないかも念入りに警戒。
例えば、砂の不自然な盛り上がりや動物が本能的に避けているような領域の有無など。
僅かな物音も聞き逃さず、微かな気配も取り零さないよう、慎重に調査を続けていくエイレーネ。視界内に敵がいない事を認めて進めば、導かれるようにミウ・ウルも進む。
そのミウ・ウルの傍に残ったハーリスも、周囲の観察を怠らず、細心の注意を払って歩を進めていた。
地面の凹凸や遮蔽物になるものなど、兵を伏せるのに利用出来そうな地形ではより注意深く、一定距離ごとに進行方向とその周辺を警戒する。
「……?」
エイレーネが動きを止め、ミウ・ウルを制する。黄金の船体が動くのを止めると同時に、ハーリスも足を止めた。
だが、事前にエイレーネから伝えられていた、伏兵部隊発見のハンドサインは送られてこない。
(「敵影ではないですが、北北西の方角に何かが移動したような痕跡が集まっていますね」)
勿論、殆どは巧妙に消されていたし、数もそう多くはなかったが。僅かに残る、消し切れなかったそれを、緻密な索敵を徹底していたエイレーネが見逃す筈もなく。
ハーリスを振り返れば、彼もまた地面に耳を当て、不自然な物音や、砂の流れがないかを探っているようだった。そして、ややあってから徐ろに立ち上がると、エイレーネへ視線を向けて力強く頷く。
どうやら二人共、同じ結論に達したようだった。
今はまだ痕跡しか見当たらないが、そこに『痕跡があった』という事は――そう遠くない位置に、敵が潜んでいる事実を示している。
「……皆様、参りましょう」
エイレーネとハーリスは、敵に先んじて仕掛ける準備を整えながら、再び歩を進めるのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
エイレーネ・エピケフィシア
敵は確実にこの方角にいますが、攻めかかるにはもう少し近づく必要がありますね
引き続き哨戒を続けつつ、すぐ皆様と合流できるように準備しておきましょう
ミウ・ウルを傷つけさせないためには、先制攻撃からの速やかな制圧が肝要です
敵の移動の痕跡が残る北北西へと進んでいきます
【パラドクス通信】を発動して仲間と情報交換し、他のメンバーやミウ・ウルの現在位置を常に把握
敵を探しつつ、向こう側がミウ・ウルを発見して襲撃をかける動きがないか注意しましょう
引き続き地形に身を隠しながら視覚的な痕跡を辿りつつ
そろそろ接近してきているでしょうから、会話する声や物音にも深く注意します
敵が具体的にどこを隠れ場所としているかの把握も重要ですね
案内人様が予知されていた「物陰」に合致する建造物や地形を探すのと同時に
予知された集団以外の群れがいる場合を考慮し、他にも伏兵が潜むに適した場所がないか見ていきましょう
敵の所在が明らかになったところで【パラドクス通信】を使い仲間に連絡します
救援機動力で合流していただき、攻撃を開始しましょう!
●
(「敵は確実にこの方角にいますが……」)
凡その方向は把握した。問題は距離だ。
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は成果に油断する事なく、慎重に索敵を続ける。
(「攻めかかるにはもう少し近づく必要がありますね。引き続き哨戒を続けつつ、すぐ皆様と合流できるように準備しておきましょう」)
何よりも重視すべきはミウ・ウルへの被害、それを極力抑える事。最低でも、修理の為に長時間停止する事態を招かないように立ち回らなければならない。
その為には、先制攻撃からの速やかな制圧。これが肝要だと、常に頭の片隅に置いて進む。
目指すは敵の移動の痕跡が残る、北北西。
(「今はまだ、パラドクス通信からの連絡はありませんね」)
仲間達の手元にも現れたであろう小型の通信機からは、何も聞こえてきてはいない。敵を見落とし、奇襲を許してしまったのならば、今頃何かしらの連絡があっただろう。頼りがないのはいい便りとはよく言ったものだ。
だが、気は抜けない。引き続き岩場や枯れ木等の物陰、砂の様子等を確認しながら、自身も身を隠しつつエイレーネは進む。
(「そろそろ接近してきているでしょうから、会話する声や物音にも深く注意せねばならない頃合いでしょうか。敵が具体的にどこを隠れ場所としているかの把握も重要ですね」)
それに、予知された集団以外の群れがいる場合も考慮する必要があると考える。実際、時先案内人からは『物陰』に敵が潜んでいると知らされると同時、斥候部隊がいるようだとも報告されているのだから。
受け取った情報を念頭に置きながら、索敵を続ける中、ふとエイレーネが顔を上げた、その瞬間。
(「! あれは……」)
進行方向にある岩の向こう。何かが、動いた。
しかし、黒くはない。影を落としてはいるものの、寧ろその体色は白い、と感じられて。
(「だとすれば、あれは斥候部隊……? 部隊を構成しているという亜人の『ウェンディゴ』の特徴とも一致します。ならば本命の伏兵部隊も近い筈、……!!」)
エイレーネは気がついた。
その少し離れた地点に点在する周囲の岩場、枯草……その周辺に、数名で一組という形で、バラバラに、しかしすぐに相互でフォローが出来るような位置取りで、黒い影がちらちらと見えた。主に、枯草の隙間等から。
(「このまま進んでいれば、敵の視界に入り気づかれていたでしょう。危ないところでした」)
だが、今やこちらが先んじて敵を発見出来ている。
そうなってしまえば、もうこちらのものだ。
「敵を発見しました。直ちに攻撃を開始しましょう!」
通信機へと手短に、しかし力強くエイレーネが告げる。
この優位性を、活かさない手はない。敵に気取られ、均衡状態に持ち込まれる前に、機先を制するのだ!
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
エイレーネ・エピケフィシア
一気呵成に攻めかかり、戦力と気勢を削ぎ落として差し上げましょう
船に群がる蟻どもの一匹として、冬を越えさせはしません!
敵に居合わせた先鋒として真っ先に仕掛けつつ、仲間が救援機動力で合流するための標となりましょう
視界に捉えた「数名一組」の敵の一団を狙い、先んじて『地裂撃』を仕掛けます
地を横に薙ぐように《神護の長槍》を振るい、衝撃と砂礫の波を引き起こしましょう
枯草に潜む敵に押し寄せる土砂を被せ、その重量と流速でもって圧殺します
敵の技に対しては《神護の輝盾》で防御
酸液が可能な限り直接肌や目に触れないようにして、負傷を抑えます
足元に広がってしまう毒の大地は、次に攻撃するときに砂礫に巻き込んで飛ばしてしまいましょう
最初の奇襲攻撃のあとは、ミウ・ウルに対して脅威度の高い敵集団を見極めて攻めていきましょう
肉薄してきた者達はもちろん、戦いの混乱に紛れて目立ちづらい場所に隠れたまま酸液での狙撃を行う敵も見逃さないように
【完全視界】を使い、仲間と【パラドクス通信】で情報を伝えあい、取りこぼしがないようにします
●
「船に群がる蟻どもの一匹として、冬を越えさせはしません!」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)が高らかに上げた声は、号令であり。
同時に、敵へと先んじて放たれた攻撃の証。一気呵成に攻めかかり、その勢いと士気の高さで戦力と気勢を削ぎ落とす為の!
「ぬおっ!?」
薙ぐは神護の長槍。
空気を撫で、大地をなぞるようにして振るわれる銀の一閃は、衝撃と砂礫の波濤を潜む影へと齎した。
(「これは魁。そして仲間への標」)
既に救援機動力で、頼もしい仲間達が駆けつけてくれているのをエイレーネは知っている。ならば、いち早く敵の影を捉えた自分が、その道を切り開くのだ!
「そのまま圧し潰します。お覚悟を」
「ぐううっ……!!」
まずは最初にその瞳の中に捉えた一団を、確実に落とす為の一撃を。隠れ蓑とする枯草の上に押し寄せる土砂を振らせ被せれば、その重量と流速を以て敵を呑み込む。
悲鳴はなく、ただ苦しげな呻き声だけが聞こえた。
「怯むな!」
「!」
凛と、乾いた大地に響く女の声。
その頭上には黄金の冠――否。それと見紛う、黄金の角が輝いている。
(「指揮官ですね。しかし今は」)
大将首を狙うよりも、我らが黄金を砕かんと目論む群蟻の掃討を。
せめて一矢とエイレーネに向けられた、毒にも匹敵する酸は、弾丸の如く飛来して迫り来る。だが、不意を突かれたという事実の為か、その勢いは弱々しい。
エイレーネは神護の輝盾を掲げ、大地へと打ち下ろす。その衝撃のみで酸の弾丸は弾かれ、霧散するように掻き消えた。
その睥睨は何物をも通さぬと、威圧するかのようにして。
(「毒の大地もこれならば、恐れるに足りません」)
砂礫に巻き込み吹き飛ばす事も考えたが、殆ど大地に影響を及ぼす事はなかった。これなら乱戦の最中に消えてしまうだろう。
「まだ敵は隠れているでしょう、乱戦中の奇襲に警戒しつつ、ミウ・ウルに対して脅威度の高い敵集団を見極めて攻めていきましょう!」
遮るものなく見渡す視界の世界で戦況を見極め、エイレーネは通信機へと――その先にいるであろう仲間達へと、その言葉を届ける。
ひとつも取り零すわけには行かない。その為には、情報の伝達を疎かには出来ない。
伏兵戦術による奇襲は阻んだ。だからこそ、油断と見落としによってこの優位が覆される事があってはならない。
エイレーネは再度、神護の長槍を握り締め直す。
己の気を、引き締めるようにして。
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【現在のミウ・ウルの損傷:0】
====================
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
通信機からの声を聞き、救援機動力でエイレーネ殿達と合流
斥候隊と伏兵、どちらも見つけられたとは流石だな
ミウ・ウルを護りきるなら蟻兵の殲滅が不可欠だが
『法正』にこちらの情報が渡って、更なる対策を打たれても困る
蟻兵はエイレーネ殿、アルアビド殿に任せ、私は斥候隊の殲滅に当たろう
地の色に紛れられる色のフード付き外套を被り、気配を殺して『ウェンディゴ』へ近づき<情報収集>
何匹いるのか、どこから攻めれば討ち漏らしなく立ち回れるか見極める
伏兵への襲撃が始まれば、こいつらはそちらに気を取られるはず
その隙を狙い音なく<ダッシュ>で接近すれば、【能力値アップ】を付与した咆哮を叩き込む
同時に【泥濘の地】を展開し、攻撃の届かなかった『ウェンディゴ』の行動を阻害
戦線離脱させないような<時間稼ぎ>の立ち回りを優先。消耗が激しいのは覚悟の上だ
反撃の爪には、大籠手や偃月刀で力を流して急所を外し、損害を最小限に
討ち倒した数、観察している数を常に数え、万が一討ち漏らした時の数は覚えておくようにしよう
ディアナ・レーヴェ
荒地や木々に紛れる色合いの布で身を包んで行動するわ!
【パラドクス通信】で皆と連絡を取りつつ、斥候部隊が居る「岩の向こう」の場所を把握したら、エイレーネやハーリスが潜む方向とは別方向から忍び寄る。
地形に隠れる(【地形の利用】)よう、頭を出さないよう、物音を立てないよう、ひっそりと。
…さて、敵は何匹いるかしら? あとで夏候と答え合わせね!
討ち漏らしのないよう確実に。
伏兵への襲撃とタイミングあわせつつ、こちらも速攻で潰していきましょう!
狙いは基本的には味方と合わせて挟撃を狙うけど、万一戦闘より情報の持ち帰りを優先して逃亡しようとする奴が居ないかはよく観察して、もし居たら私はそちらを優先で叩いていくわ!
背を見せる相手を大人しく逃してあげるほど、甘い攻撃をしてあげるつもりはないっ!
技は【全弾雨霰の計】――いや何も考えてない訳じゃなくてね?? 敵が反撃で体温を下げてくるっていうなら、動いて動いて運動量で押し勝てばよいのよ! シンプルイズベスト!!
答え合わせ、あってた?
うん!(親指ぐっ)
ユーフェミア・フロンティア
人手が必要ならば、私も援護させていただきますね。
少しでも力になれるのなら…。
土地に合わせた迷彩柄のフード付き外套を用意して纏っておきます。
平穏結界も併用してできる限り監視しているトループス級の元に移動を行いますね。
気付かれたり、監視トループス級との戦闘が起きたら、平穏結界を解除。
そのまま接近してから聖杖に炎を纏わせてから、神火斬妖剣で焼き斬りますっ!
そちらは、氷が得意みたいですが、私は炎が得意なんですよっ。
ここは氷と炎の比べ合いになりますかね?
時間稼ぎをしてもらっているなら、その間にできる限りの敵を攻撃ですね。
狙いは味方と合わせて、確実に退治していきますね。
パラドクス通信も併用して、取りこぼしのないように注意をしていきます。
私の攻撃で弱っている敵が見つけたら、その敵の事をパラドクス通信で伝達します。
敵パラドクスは、ブルースターの加護に込められている結界を展開して少しでも防ぐようにして…。
ダメでも、聖杖に炎を纏わせて斬り払いを試みます。
こちらは何とかなりましたね。
情報は伝えさせません
●
「斥候隊と伏兵、どちらも見つけられたとは流石だな」
手元の通信機から聞こえた報の言葉に、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は僅かその口角を上げた。
救援機動力で駆けつけた為、索敵には参加していなかった彼だが、この分ならば事は此方の有利に運べるだろう。
(「さて、ミウ・ウルを護りきるなら蟻兵の殲滅が不可欠だが。『法正』にこちらの情報が渡って、更なる対策を打たれるような事態も避けたい」)
何せ、伏兵部隊を配置し、その上で斥候に偵察をと命じたのも彼の流れの軍師だ。その手腕は悪辣ながら、イスカンダルの勝利と利益のみを突き詰めるのなら鮮やかですらあると言わざるを得ない。それこそが『虫唾の走る』事実でもあるのだが。
ともあれ、錬晏は仲間達を信じ、蟻兵の掃討を託す事にした。自身はそっと気配を殺し、近辺に居たという斥候隊の殲滅に当たるべく動く。
目深に被ったフードは地の色に紛れ、外套はその姿を広がる大地に紛れさせてくれる。開戦の合図と物陰を頼りに斥候部隊へと慎重に、しかし迅速に距離を詰めていく。
「……さて、敵は何匹いるかしら? あとで答え合わせね!」
斥候部隊が居るという『岩の向こう』を窺うように視線を向けて、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は茶目っ気たっぷりにそんな事を言った。そして錬晏へとぱちり、ひとつ目配せする。
(「討ち漏らしのないよう確実に、ね」)
ただの一つの数え漏らしもないように。全てを此処で仕留める為に。
彼女もまた、荒地や木々に紛れる色合いの布で身を包み、発見される確率を出来得る限り下げた上で此処まで来ていた。勿論、頭を出さず、物音を立てず、ひっそりと密やかに。
そして、もう一人。ユーフェミア・フロンティア(光彩聖姫・g09068)も同じように、大地に合わせた色合いの、迷彩が施された外套に付いたフードをぐっと被り直し、ぎゅっとその裾を握った。大丈夫、此処まで誰の接近も発覚していない、筈だ。
(「少しでも力になれるのなら……」)
今回の作戦は速攻と、ミウ・ウルへと被害を出さない立ち回りが肝要。加えて、斥候部隊という不安要素もある。後にディアボロスに不利益を齎す可能性の芽は摘んでおきたいところであるし、その不安要素に気を取られて、防衛が疎かになってしまったなんて事態も避けたいところだ。
だから、防衛に向かう仲間達が心置きなく戦いに集中出来るよう、そして同じ考えの仲間達が少しでも余裕を持って立ち回れるよう、援護するのだ。ユーフェミアは己にそう課した。
さあ、それぞれに仕掛ける準備は整った。
敵に気取られる前に、叩き潰す!
「――咆えろ、黒龍!」
「神火よ、刃となりて潜む者を焼き切れ!」
錬晏の黒、ユーフェミアの赤、二色の刃が鋏の如く、断罪の斬首にも似てウェンディゴを挟撃する!
「ヌ……!?」
獣と然程変わらぬ唸りにも似た驚愕の声は、咆哮と爆音に吞み込まれて掻き消えた。
その衝撃で生まれた土煙の中から、苦し紛れのような凍てつく銀槍が、ユーフェミアを目掛けて飛来するも。
「そちらは、氷が得意みたいですが、私は炎が得意なんですよっ」
氷と炎の力比べか。望むところだ。
絶対に負けはしないと、結界を張り押し留めると同時に、薙ぎ払う軌跡に赤を描く神火で打ち消した。その髪には加護を齎す青い星の花が揺れている。
錬晏も己に迫る冷たき爪での反撃も、難なくその刃で受け止め力を流し、衝撃と共に弾き返した。
「こちらも速攻で潰していきましょう! ……ん?」
ディアナも二人と合わせて追撃を……と考え飛び出したところで、ふと気付く。
先に仕掛けた二人の攻撃を免れた個体が、離脱を測る素振りを見せている。情報の伝達を優先するつもりか。
「お生憎様、背を見せる相手を大人しく逃してあげるほど、甘い攻撃をしてあげるつもりはないっ!」
ましてや、戦場で隙を見せるなど、狙ってくださいと言わんばかりではないか。
その好機を、ディアナは決して逃さない。
「全弾雨霰の計――戦いは物量ってね!」
テイク・オフして低空に留まり、ずらりと並べる火砲、機関銃、自動拳銃から水中銃まで、選り取り見取り。
その全てが無防備な背中へと火を噴いて、弾が尽きるまでと雨霰。ばら撒き、飛び散り、突き刺さり、撃って撃って撃ちまくる。
反撃すらも意に介さず、怯まず、退かず、邁進する。これぞ軍人であり、軍師でもあるディアナの編み出した計略――計略?
「――いや何も考えてない訳じゃなくてね?? 敵が反撃で体温を下げてくるっていうなら、動いて動いて運動量で押し勝てばよいのよ! シンプルイズベスト!!」
ね! とディアナはユーフェミアへと視線を向けた。こてんと首を傾げられる。
だが直後、彼女ははっと何かに気付いたように、無線機へと唇を寄せて。
「錬晏さん、そこから右の敵が弱ってます! 追撃お願いします!」
「心得た。任せてくれ」
ユーフェミアの通信で動いた錬晏と、一瞬ディアナの視線がかち合う。
錬晏が頷くのを見て、ディアナはニッと笑みを浮かべて見せた。
その足元は、泥になっていた。敵の歩みを遅らせるその泥濘が、追撃を容易なものにさせたとディアナは気が付いていた。それを行ったのが、彼であるとも。
「私もまだまだ、頑張ります!」
「そうね、負けてられないわね! 次行くわよー!」
三人、それぞれの奮戦が、互いを鼓舞する。
残敵の討滅に、そう時間は掛からなかった。
●
白く蠢く獣にも似た亜人の姿は、もうない。
己の手に視線を落とし、何やら指折り数える錬晏へと、たたっとディアナが駆け寄る。
そして、何事かを彼に告げると、悪戯っぽく笑って。
「答え合わせ、あってた?」
無邪気な少女のように、ディアナがそう問うてくるものだから。
錬晏も、ふとその表情を少し和らげて。
「ああ、間違いないだろう」
「うん!」
頷けば、ディアナは親指をぐっと立てて笑うのだ。
そんな彼女の様子に、ユーフェミアもまた微笑むものの、改めてすぐに無線機を取り出して。
「こちらは何とかなりました。もう、情報を持ち帰られる心配はありません」
防衛を担う仲間達へと伝える。少しでも、安心させたかったから。
聞こえてきた安堵の声に、ユーフェミアも胸を撫で下ろした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【おいしくなあれ】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【リザレクション】LV1が発生!
ハーリス・アルアビド
来ましたか。敵は地面にも潜れる蟻のようです。戦が長引けばそれだけミウ・ウルへの被害が出やすくなるでしょう。仲間と連携し一匹たりとも残さず潰します。
大地の神ゲブよ、お力添えを。蟻がいかに地面の中を巧みに移動できようとも、そこはゲブの御手の中です。
【祈り】を捧げ共に戦う仲間達とミウ・ウルへの【幸運】を願います。
蟻の群れを【ゲブへの嘆願】により迸る砂礫の【衝撃波】に敵群を飲み込み、分断します。
吐き出す強酸も【強打】される砂礫と衝撃波の中ではまともに効果を発揮することは困難。大地を穢すことなどできません。
迸る砂礫の砂嵐に巻き込まれた敵群に私自身も突入し、衝撃と共に巻き起こる砂塵を【砂使い】で巧みに操り【残像】を生み出す速度と合わせて敵を【撹乱】しましょう。
【完全視界】と【パラドクス通信】があればこちらは周辺の状況の把握と仲間同士の連携が容易になります。ミウ・ウルに向かおうとする者を優先的に狙い、全てをゲブ神の御手で冥界へと送ります。
シル・ウィンディア
ミウ・ウルは傷つけさせないよっ!
援護射撃を行うから、みんな頑張ってっ!!
パラドクス通信での連絡を受けて、速攻を仕掛けるよ。
敵を視認したら、高速詠唱からの六芒星精霊速射砲!
狙いは、味方の攻撃した敵を中心に撃ち抜かせてもらうからっ!
一体でも早く、確実に落としにかかるよっ!!
初撃以降は、ミウ・ウルに気を向けさせないように、敵群の中に突っ込むように前に出ていくよ。
敵群の中で暴れまくれば、それだけ意識は向きにくくなると思うしね。
以降は、敵を倒すために狙いを重ねてパラドクス攻撃を行うね。
但し、ミウ・ウルを狙いそうな敵を見つけたら、そちらに向かって優先的に攻撃を仕掛けていくから。
ね、よそ見しないでわたしと遊んでっ!!
敵の攻撃はパラドクス使用時に発現する背中の光の翼で体を覆って防御を行うね。
波状攻撃は手数が沢山だから痛いけど…。でも、それだけ逆に撃ち抜く機会が多くなるからっ!!
WIZでディフェンス可能な味方がいればディフェンスを行っていくよ。
ふぅ、これでひとまず、かな?
あとは指揮官を狙うだけっ!
●
「来ましたか」
敵の発見と攻撃開始の合図を受けて、ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は今や前だけを見据えている。
既に敵の位置は知れた。ならば次に為すべき事は、戦いが長引きミウ・ウルへが被害を受ける事のないよう、迅速に仕留めるのみだ。
(「敵は地面にも潜れる蟻のようですね。仲間と連携し一匹たりとも残さず潰します」)
ハーリスは一瞬、ほんの一瞬だけ、瞑目した。その刹那に神への祈りを込めて。
「大地の神ゲブよ、お力添えを」
其は大地の神。地に潜み巣食う存在が、如何に巧みに動き回ろうとも。
彼の神の御手の中、決して逃れる術はない。
共に戦う仲間達と、ミウ・ウルへの幸運を――切なる祈りを込めて、大地へと打ち付けた拳は砂礫を伴って衝撃波を生み、その瞳に捉えた黒い影を纏めて打ち据えた。
「ギッ!?」
「ちっ、こっちも居場所が割れたかっ!!」
蟻兵は悪態を吐きながらも、奇襲が失敗したと見るや即座に反撃に移る。蟻酸が弾丸の雨のように、ハーリスの上へと降り注いだ。
「その強酸も、大地を穢すことなどできません」
舞う砂礫が防壁の代わりとなり、己ごと酸を打ち消していく。その下に佇むハーリスの、服の裾すら溶かす事は叶わない。
其処に、割り込むようにして。
「ミウ・ウルは傷つけさせないよっ!」
朗々と響いた声は、通信を受けて駆けつけたシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)のものであり。
「高速詠唱からの六芒星精霊速射砲……これがわたしの、六界の精霊達からの援護射撃っ!」
描く六芒星に集った魔力が収束し、一点を貫く巨大な魔力砲と成り。
仲間への、ミウ・ウルへの攻撃を阻むように、溢れる魔力を迸らせて、放たれる!
狙いは仲間の攻撃で弱った敵群。一体でも早く、多く、確実に落としに掛かる!
「わたしも頑張るから、みんな頑張ってっ!!」
仲間達を鼓舞しながらも、シルは思考を巡らせる。
(「敵はまだ残ってる。出来るだけミウ・ウルに気を向けさせないようにしないとね」)
その為には、目の前の敵に意識を向けさせればいい。無視出来ないほどに、掻き回してやればいい。
寄せ集まり突破を狙う敵の攻撃を、広げた光の翼で受けて振り払い、シルは再び高らかに声を上げた。
「ね、よそ見しないでわたしと遊んでっ!!」
折角、遥々異郷の地から相手をしに此処まで来たのだ。
放っておいて他に行くなんて、させてやるつもりはさらさらない!
(「波状攻撃は手数が沢山だから痛いけど……でも、それだけ逆に撃ち抜く機会が多くなるからっ!!」)
敵の一手でさえも、活路を開く起点に変えて。
ミウ・ウルだけでなく仲間の様子にも気を配りながら戦うシルに、蟻兵の一体が舌打ちした。
「ちっ、思った以上に守りが固い!」
「まだまだ、こんなものではありませんよ」
其処にハーリスも合流し、残る敵と交戦を開始。
錯乱するように砂を巻き上げると同時、再び衝撃波を敵群へと突き刺した。シルも併せて、集中砲火で着実に落とし、敵の数を減らしていく。
その時、斥候部隊撃破の報が無線機から届けられた。この戦いの情報が、敵に齎される事はもうない。
「よしっ、このまま決めちゃうからっ!」
「ゲブの導きの下、大地へと還りなさい」
先行していたエイレーネも其処に加われば、大勢は決したも同然であった。
砂が煙の如く舞い上がり、膨大な魔力が射出され、白銀の一閃が走る。
蟻兵もその数の利を活かして抗おうと試みるも、その反撃によってミウ・ウルへと傷をつける事は愚か、ディアボロス達の猛攻を押し留める事すら出来ず。
奇襲を看破され、機先を制されたまま、その後の流れが覆る事はなかった。
即ち――ディアボロス達はこの防衛線を、無傷で切り抜けたのだ。
「ふぅ、これでひとまず、かな?」
「ええ、しかし……」
「うん、解ってるよ」
ほっと一息吐いたシルへと、ハーリスが掛けた言葉。
その意味はシルも――否、此処に集ったディアボロス、全員が理解している。
未だ折れぬ黄金の冠。その存在を誇示する女鹿の角。
終わっては、いない。
「あとは指揮官を狙うだけっ!」
シル達の向けた視線の先。
「蟻兵は壊滅したか……だが、此処を通すわけにはいかない!」
輝く蹄が音を立てる。
ケリュネイアが、走り出す。
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【現在のミウ・ウルの損傷:0】
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大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】がLV2になった!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
エイレーネ・エピケフィシア
神話に現れるケリュネイアの鹿は、アルテミス様に見初められた聖なる獣でした
故に、女神の元に届けるべく生け捕りとされたのですが……名を騙っただけの怪物であれば話は別です
あなたの命はここで必ず貰い受けます!
《神護の長槍》と《神護の輝盾》を手に、疾走する敵に狙いを定めます
【泥濘の地】を発動して移動速度を鈍らせ、少しでも動きを追いやすいように
そしてぬかるんだ地面の中に、【トラップ生成】で蹄がはまりこむ大きさの穴を隠しましょう
敵はクロノヴェーダ……引っ掛かっても些細な動揺や瞬間的な減速が見られるだけでしょうが、今はそれで十分です
好機を見定めたなら、槍を『流星が如く燃え立つ投槍』として投擲します
一瞬の隙を捉えて凄まじい速度で飛ぶ槍で胸を貫き、鎧の内側までも深く穿ってみせましょう
反撃にはこちらも盾で対抗し、姿勢を保った上で身を逸らして槌の直撃をいなします
いかなる試練が立ちはだかろうとも、人々を救うため、この身は戦いの道を進み続けます!
アテーナー様!どうか我が槍に、穢れし獣を討ち滅ぼす力をお与えください!
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
斥候隊を片付けた後は、素早くミウ・ウルを護る仲間の元へ<ダッシュ>で移動
合流前に<地形の利用>で身を潜めて、畳み掛ける時機を図る
盾と槌で守りと攻めを同時に行うか
ならば俺たちは連携して手数を増やし攻め立てるまで
仲間の攻撃の間を埋めるようなタイミングで、朱殷の闘気を纏わせた偃月刀で切りかかる
【ダメージアップ】を付与したパラドクスを発動させれば、闘気が偃月刀の刃を龍頭の形へ<武器改造>
その盾を、その槌を持つ手ごと噛み砕く勢いで、初撃の防御で使われる得物を<グラップル>して、仲間の攻撃の隙を作り出す
反撃には、あえて盾を偃月刀で受け止め体制崩しを防ぎ、迫りくる槌を【ダメージアップ】を付与した大籠手と護紋で耐え抜け、鍔迫り合いの状況へ
ふいに足の力を抜いて逆に体制を崩させれば、そのまま懐深くに偃月刀の<薙ぎ払い>を叩き込む
我らの希望であるミウ・ウルに、簡単に触れられると思うなよ
『法正』が放った刺客は全て打ち払い、ミウ・ウルと共にペルセポリスへ一刻も早くたどり着く!
●
駆ける女鹿は、泥を踏み分けながらもその黄金の輝きを誇示している。
(「神話に現れるケリュネイアの鹿は、アルテミス様に見初められた聖なる獣でしたが」)
生け捕りとされた彼の女鹿は女神の元へと届けられた。だが、この亜人は違うとエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は長槍と輝盾を構え直し。
「名を騙っただけの怪物であれば話は別です。あなたの命はここで必ず貰い受けます!」
眦を決して、狙いを定める。
その、背後。
先刻まで伏兵部隊が隠れていた岩陰に今は、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が身を潜めていた。
斥候部隊の撃破後、急ぎ駆け付けた彼は手始めに、改めてその目で敵の様子を窺う。
(「盾と槌で守りと攻めを同時に行うか。ならば俺たちは連携して手数を増やし攻め立てるまで」)
仲間と連携し、好機を逃さず仕掛けていく。それが出来れば、敵を突き崩せる筈だ。
錬晏は黒龍偃月刀を握り締め――ふと。
エイレーネが、攻撃のタイミングを計りかねている、ように見えた。
(「しかし、些細な動揺や瞬間的な減速が見られればそれで十分、と思っていましたが」)
実は彼女は密かに、ぬかるみの中に敵の蹄大の穴を隠していた。
トラップ生成による罠に殺傷性はなく、クロノヴェーダにパラドクス以外の攻撃は無効。だからこそエイレーネは、それを『隙を生じさせる為の一手』と割り切り、繋ぐ攻撃の準備をしていた。
だが、事此処に及んで敵は、その罠をも物ともせず、進んでくるように見える。勿論、泥を踏んだ事により速度の低下は見られるのだが……。
(「ならばここで仕掛けるしかないか」)
そう判断した錬晏は、予定を早めて飛び出した。
朱殷の闘気を纏わせた偃月刀を振り翳し、その刃を龍の頭、顎門と成す。
「我が刃は牙の如く、穿てぬものなしと知れ――!」
「!!」
真っ向から迫り来る相手……移動速度の低下は距離に関係なく攻撃の入り乱れる逆説連鎖線そのものに影響を及ぼす事こそないが、狙いを定め対処の難度を下げるのであれば意味はある。
先んじて仕掛けてきた錬晏の姿を認め、敵は狙いをエイレーネから錬晏へと変えた。
だがそれでも、こちらが速い。
盾と鎚の合間を縫って、その肉を断ち骨を砕くが如き勢いにて一撃を叩き込む。
龍の顎が獲物を嚙み砕くその姿宛ら。だが、敵は歯を食い縛りながらも錬晏を鋭く睨みつけていて。
反撃が来る。それを理解のみならず、本能で察知して錬晏は身を捻る。
「ならば私も――容易く捉え切れると思うな!」
振り下ろされた盾を、宿した闘気はそのままに、偃月刀で受け止めた。
体勢が崩れるのは防ぐも、開いた横合いへと鎚の追撃が迫る!
「我らの希望であるミウ・ウルに、簡単に触れられると思うなよ」
「何だと」
「『法正』が放った刺客は全て打ち払い、ミウ・ウルと共にペルセポリスへ一刻も早くたどり着く!」
錬晏もまた、咆えた。
彼の右を抉り砕くと思われた打撃は、盾代わりに護紋と大籠手によって阻まれた。
鍔迫り合いの形になり、状況が均衡を保ち、硬直する。
――其処へ。
「錬晏様、感謝致します」
「! 貴様ッ……!!」
好機を自ら作ってくれた、仲間へと、感謝を告げるエイレーネの言葉は。
乾いた風に、凛と響くと同時。
錬晏が、足に込めた力を不意に抜いた。
がら空きになった敵の上半身を目掛けて、流星が――否。
炎を纏い、女神の加護を受けて飛ぶ神槍の一投が、ひょうと風を切り、音を立てて飛ぶ!
「いかなる試練が立ちはだかろうとも、人々を救うため、この身は戦いの道を進み続けます!」
この槍のように、真っ直ぐに。曲がる事も、揺らぐ事すらもなく。
決意を力に変えて、立ちはだかる敵を打ち破る!
「アテーナー様! どうか我が槍に、穢れし獣を討ち滅ぼす力をお与えください!」
エイレーネの真摯なる女神への祈りは、鎧をも貫き深々と胸を抉る一撃へと変えられた。
砕けた黄金の欠片が舞い、迸る鮮血に女鹿の眉は顰められ、苦悶にその表情が確かに歪む。
反撃を盾で防ぎ、続く追撃をも腕の痺れに耐えて往なして見せれば、更に女鹿は忌々しげに、ディアボロスを睨めつける。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【ドレイン】LV1が発生!
ハーリス・アルアビド
連携、アドリブ歓迎
残るは指揮官のみ。皆さんのお力によりミウ・ウルの損傷も軽微です。このままペルセポリスへの道、通らせて頂きましょう。
天空の神ホルスよ、お力添えを。あまねくすべてを見通す目と、空を翔る翼をお授け下さい。
【祈り】を捧げ共に戦う仲間とミウ・ウルへの【幸運】を願います。
ミウ・ウルからこちらに注意を引きつけるため【飛翔】し、【空中戦】を仕掛けます。【パラドクス通信】も用いて仲間と密に連携しミウ・ウルに影響が及ばぬよう戦いましょう。
如何に鋭く駆ける健脚を持とうともホルス神の目より逃れられる者はいません。【精神集中】により確実に捉えます。
最高速度の【飛翔】で不規則な軌道を描きながら巻き起こる砂塵を【砂使い】でより巧みに操り、【残像】と併せて的確な攻撃にも周囲への警戒にも集中しきれぬよう【攪乱】し、気付かれぬよう【泥濘の地】に誘い込みましょう。
僅かにでも足が鈍れば十分です。逃れる暇も与えず【ホルスへの請願】による【貫通撃】で守りごと貫きます。
ディアナ・レーヴェ
最初に【パラドクス通信】で飛んでるハーリスへ連絡しておきましょう!
「めちゃくちゃ予備動作の大きな奴(【Polarstern】)やるから、ちょうどその頃に敵を泥沼ぼちゃんさせくれると嬉しいわ」って!
…任務を共にする度に目を見張るけど、こういう時のハーリスの集中力は凄いんだから。
ちょっと鹿だからって、あんな重そうな盾持ってる奴のスピードで捉えられない訳がない! 信頼してる。
そのまま空中と地上(私)で同時攻撃をしかけましょう!
強情なら負けないわよ?
反撃の盾には、火砲を掲げてダメージも厭わず全力の体当たりを仕返すわ。
口元には小さな笑み。逆に押し返す勢いで行く――体勢崩すのはあなたよっ!
無茶でも何でも最終的には押し負けようとも、こうやって予想外の反応を見せれば鎚の一撃も多少は狙いが狂うんじゃない?
さあ、進みましょう!
この先に向かってるのよね? その王さまって奴っ!
●
「残るは指揮官のみ。皆さんのお力によりミウ・ウルの損傷も軽微です」
これならば、ミウ・ウルを停止させずに済みそうだと。
ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は密かに安堵するが、まだ終わりではないとすぐに表情を引き締めた。
その眼差しの先には黄金の冠。女鹿の亜人。避けて通れない障害。
これもまた、超えて行かねばならぬもの。
「このままペルセポリスへの道、通らせて頂きましょう。天空の神ホルスよ、お力添えを――」
祈るは加護を。その身に遍く全てを見通す目と、自由に空翔る翼を。共に戦う仲間とミウ・ウルに、幸運を。
「!」
砂を巻き上げ続けるようにして、羽ばたき旋回するハーリスへと。
ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は、彼の懐に潜むであろう無線機へと、呼び掛けた。
「めちゃくちゃ予備動作の大きな奴やるから、ちょうどその頃に敵を――」
「小賢しい事を!」
傷つき荒ぶる女鹿が咆えた。しかしディアナの声は、言葉は、届いた筈だ。
一瞬、緑の瞳が光を湛えてディアナへと向いた。
(「……任務を共にする度に目を見張るけど、こういう時のハーリスの集中力は凄いんだから」)
如何に敵が重量のある武装で攻め立てようとも、どれほどの健脚で戦場を駆け回ろうとも、捉えられないわけがない。
それは決して、根拠のない自信などではない。これまでの共闘が生んだ確信だ。
(「信頼してるからね」)
ハーリスが仕掛けるタイミングを狙って敵も反撃して来る筈だ。ディアナは彼を信じて機を窺う。
「ホルス神の目より逃れられる者はいません。確実に捉え、仕留めましょう」
「ち……っ」
敢えてすぐには仕掛けず、最高速度で攪乱するような動きで不規則な軌道を描きながら砂と共に空舞えば、敵も攻めあぐねているようだ。
だが、このままでは互いに様子を窺う均衡状態。一手、相手の意表を突く何かが要る。
(「ええ、忘れておりませんとも」)
ハーリスは反芻する。だからこそのディアナの提案だと。
精神を集中させ、動きを誘うようなものへと変えた。敵も狙いを定めて一歩踏み出す。
その一歩でよかった。それが二人にとっては重要だった。
蹄がぼちゃんと勢いよく、泥へ沈み跳ね上げた。
敵はそれ自体はものともしていない様子だったが――それは『合図』だったのだ。
「逃れる暇も与えません」
「何を……! 私は逃げも隠れも……」
「そんな悠長なこと言ってて、大丈夫かしら!」
すぐ背後から聞こえるディアナの声――敵にとっては。
空からはハーリスの、隼の爪にも似た鋭い一撃が。
陸からはディアナの、導きの星光たる砲撃が。
意識を散らすように、また逃げ場のないように、叩き込まれる!
「ぐ……っ!」
「強情なら負けないわよ?」
大勢は決した。だが敵は最期の最期まで、抗う事を止めはしないだろう。
ディアナは火砲を掲げ、捨て身にも等しい全力の体当たりで返した。
その口元には小さな笑みが浮かんでいる。
押し返されるのは、自分じゃない。
「――体勢崩すのはあなたよっ!」
無茶と言われようとも構わない。
最終的に押し負けたとしてもそれでいい。
続く槌の一撃も、仲間を襲う蹄の奇襲も、狂わせられれば御の字だ。
そして実際、勢いを殺された反撃はディアナにも、ハーリスにも痛手を与えるには至らず。
反動でどうと地に倒れ――そのまま、動かなくなった。
「お見事でした」
「ありがと。さあ、進みましょう!」
地上に降り立ったハーリスが、笑みを湛えて労う。それを受けたディアナも笑顔を返しつつ、すぐに進路へと視線を向けた。
立ち止まっている暇すら惜しいと、そう言わんばかりに。
「この先に向かってるのよね? その王さまって奴っ!」
進路、異状なし。
ペルセポリスへ。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】がLV2になった!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!