リプレイ
柊・冬子
※アドリブ・連携歓迎
【ガチレン】
貧する人からカツアゲかける不届き者がいるんですね!
あーゆうクズってのは全殺しかけられても文句は言えないですよね!
まずはあのクズ共を蹴散らして、やればできる!って所を一般の人達に見せないといけませんね!
まずは敵への牽制と一般の人に知ってもらう意味で自分がディアボロスだっていうことを広報!
私達がいるってことは簡単に略奪なんてできませんよ!
そのまま戦闘突入!人から物盗ろうとしてる敵から脱兎虎仁鬼拳で叩いていきます!
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
【ガチレン】
私掠免許どうこうは置いておいて、住民を守るついでにエルドラード攻略な必要になる船ももらっていくとしよう。
冬子の言うとおり、きっちり蹴散らしてやらないとな。横から攻めて住民がいる前に行かれても面倒だ。堂々と正面から迎え撃ってやろう。
船から降りてきたタートルーパーに向かって突っ込む。あっちはディアナに任せて冬子と共闘して陸地の敵を叩く。図体はデカいみたいだが、それだけで勝てるとは思うなよ。姿勢を低く、間合いの内側に入り込んで上段回し蹴りを叩き込む。
ディアナの方に数が多く向かうならそっちのカバーに入る。
単純な格闘戦なら遅れを取りはしない。振り下ろされる爪を念動力を通したバンデージを使って反らしながら立ち回る。
敵がいるかもしれない場所に奪いに来ているんだ。それなりの覚悟は出来ていただろう。
ディアナ・レーヴェ
【ガチレン】
敵の来る方角は最初から分かってるわね?
なら私は【水中適応】使用で、水中銃を手に静かに潜水し待機。
上陸前、冬子の大声広報に敵の気が逸れた直後の隙をつくように【Interferenz】。船から叩き落して混乱させましょう!
(船は少しくらい壊れても後で修復加速でも使えば良いし、もしクロノオブジェクトならそもそもそう壊れないでしょって心算。…この計算が怪しいなら、無茶はしないでおく!)
そのまま数体こっちで引き付けるわ。冬子、獅子堂、上陸した奴は任せたわよっ!
引き続き海を駆け回ってパラドクスで翻弄。
但し地上の様子にも時々ちゃんと気は払って、戦況によっては向こうの援護にも力を入れるわ!
敵は最初に何体居た?全部私達との戦闘に集中してくれてる?
略奪に向かおうとする敵は最優先でその背を撃つ。
高熱のブレスはきっと一瞬で海水なんて蒸発させるけど、
負傷を恐れるよりは水蒸気を目眩ましにガンガン攻めたい。
来なさい亀さん。レンシューガチ勢の攻撃は、そんな鱗なんてものともしないわよ!
薔薇星・パッフェ
【ガチレン】
アドリブも連携も大歓迎である!
我輩は浜辺に生えている木々の陰に【コウモリ変身】で身を小さくして隠れて待機である。
我輩の役割は、皆の迎撃をすり抜けた敵と戦うことであるな。任せたまえ、1頭たりたも集落には行かせないのである!
…もちろん、我輩が戦うことなく済むのならそれでも全然いいのであるが…。
タートルーパーの足音が間近に聞こえたら、変身を解除してパラドクスで不意打ちをしかけるのである。
うぬぅ、話には聞いていたが大きい!
パラドクスで敵を攻撃。【ドレイン】を発生させて回復しつつ戦うのである。
…我輩は弱いが、もっと弱い存在がこの先にいるのだよ。みっともなくても食い下がらせてもらう。
操り人形『acteur』と共に、これ以上前に行かせないように位置取りを意識して戦う。
反撃の爪は吸血マントを巻き付けた腕で、『acteur』と共に受けよう。一人では持ちこたえられない攻撃でも君と分散すれば耐えきれるだろう。
回復しながら粘って戦えば、きっと仲間の誰かが援護に来てくれるのだ…!
●勝てば官軍、負ければ賊軍
ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は【水中適応】を利用し、海賊船に接近していたが、浜辺に乗り上げていることもあって、水上にあるのは船尾の一部のみ。
(「……足音が聞こえてこないし、アビスローバーは総出で略奪に向かったの?」)
時先案内人は『海賊船自体はクロノ・オブジェクトだ』と告げているが、敵のいない船を攻撃する理由はない。むしろ、作戦目的である“海賊船の拿捕”ができなくなる。
そしてアビスローバー達にとって“ディアボロスも敵対している冥海機ヤ・ウマトで、その住民を守る”など予想外……だからこそ、海賊船を無防備な状態にできるのだ。
(「帰ってくるとすれば、集落から略奪し終わった後。――いけない、早く合流しなきゃ!」)
急ぎ踵を返し、ディアナは上陸したアビスローバーを追って浮上する。
ディアボロスが到着したとき。アビスローバー達は、住民達から略奪を始めようとする寸前だった。
逃げ惑う人々を守るべく、柊・冬子($箱入り不良娘・g06303)、獅子堂・崇(破界拳・g06749)は真っ向から殴り込んでいく。
「怪物退治は私達ディアボロスに任せて、この場から離れてください!」
「ディ、ディアボロス? 冥海機じゃない、のか? ……いや、そんなことどうでもいい。食糧を忘れるな! どこかに隠れるぞ!」
冬子の要請に、住民達は困惑しながらも『アビスローバーを食い止めてくれるらしい』と解り、急いで物資をかき集めて内地に駆けだす。
「ディアボロス! 八ツ裂キ、八ツ裂キ!」
「貧する人からカツアゲかけるとは、とんだ不届き者ですね! 全殺しかけられても文句は言えませんよ!?」
法則破壊によって瞬間移動したように間合いを詰め、《脱兎虎仁鬼拳》をタートルーパーに叩きこみ、殴りつけた拳を住民達へアピールするように掲げた。
名乗りをあげる冬子に、タートルーパーの鋭い爪からなる鈍重な一撃が襲い、ナックルガードで受けつつはじかれる。
冬子の一撃で削られたアビスローバーを巻き込むように、崇も《我流破界拳・驚天》を見舞い、
「私掠免許どうこうは置いておいて、住民を守るついでだ。お前達の海賊船も頂いていく」
「ダメダメ! 奪ウ、オレ達、特権!」
上段回し蹴りと、それによる旋風でアビスローバーを押し返しにかかった。
岩のような鱗を持ち、鋭い爪を豪快に振り下ろすタートルーパーの姿は、さながら特撮モノで街を破壊する怪獣のようだ。
薔薇星・パッフェ(役『吸血鬼 薔薇星・パッフェ』・g10767)、は一拍おいての交戦となった。
すでに集落へ入りこんでいる以上、道中で引き留めることはできない。
(「ここが仕掛け時である!」)
【コウモリ変身】を解くと、パッフェは《バットストーム》を起こし、タートルーパー達にオーラでできた吸血コウモリの群れで、奇襲をかけた。
「我輩は弱いが、この島にはもっと弱い存在が、定住しているのである。――自らを律し、正しく生きようとする者達を、見殺しにする理由はなかろう!」
吸血コウモリに襲われるタートルーパー達だが、発生源であるパッフェの位置を即座に特定し、4体で一斉に飛びかかる。
――【ドレイン】は“相手の行動を中止できたときのみ”に発動するが、事はそう上手く運ばず。
反撃による集中攻撃を『acteur』を盾にして防ぎつつも、人形越しに伝わる強烈な衝撃が、パッフェの体力を容赦なく削ぎ落としていく。
崇の起こした【ガードアップ】で打たれ強くなっていたことで、継戦し続けられた。
一足遅れで、ディアナは救援機動力で追いつくや、《Interferenz(インターフェーレンツ)》を展開。大量の小型爆雷を空中に発現し、連鎖爆発を起こしていく。
「ギャギャ!!? アッチ、来タ!アッチ、居タ!」
大きく息を吸い込み、その全てを高熱のブレスに変換して、ディアナめがけて吹きかける。
ずぶ濡れだったディアナの衣服から、一瞬で水分が消し飛び、水蒸気さえ起こさぬ超高温でディアナの肌も爛れさせていった。
「っ……敵は全員、こちらに回っているわ。ここで叩くわよ!」
「ディアナさん、気合はいってますね……カメ公ども! 私達がいる限り、ここで略奪できるとは思わないことです!」
自身の拳と拳をぶつけ合い、気合を入れ直した冬子が、タートルーパーの分厚い外皮を強打し、亀裂を走らせる。
他勢力の領土へ略奪しにきたアビスローバー達にとって、集落にどれほど被害が出ようと知ったことではない。
奪い、取りあげ、手中に収め、我が物とする。
それがアビスローバーという、クロノヴェーダの生存手段でもあるのだから。
「分厚い甲羅のようだが、それだけで勝てると思うなよ――噴ッ!!」
崇の回し蹴りがタートルーパーの側頭部を蹴り抜き、頭蓋の折れる感触が伝わってくると、そのままズシンと音を立てて地べたを転がらされる。
パッフェも『acteur』を前面に出し、鋭い爪の猛攻に備えてから、
「みっともなくとも、食い下がらせてもらう。我輩の“美学”に賭けて!」
少ない物資を巡って殺し合うことなく、ギリギリまで耐え抜こうと足掻く住民達の生き様に、パッフェは胸を打たれたのだろう。
外套を血で赤く染めようとも、集中する反撃を受けようと、怯むまいと心を強く持ち続けた。
「カチコミ上等です! 返り討ちにされたいヤツから、かかってきてください!」
弱ったタートルーパーを積極的に狙い、冬子は着実に敵の数を減らしていく。
さらに、ディアナの散布する小型爆雷によって、生き残るタートルーパー達は外殻もボロボロに。
「来なさい亀さん。レンシューガチ勢の攻撃は、そんな鱗なんてものともしないわよ!」
「モウッ! 略奪、デキナイ! 船長、怒ル! アッチ行ケ!!」
高熱のブレスは、荒ら屋もろとも焼き尽くそうと吐き散らされる。
振り下ろされる鋭利な爪で、ディアボロスごと小型コンテナが潰される。
痛ましい戦禍を刻みつけていくタートルーパーだが、歴戦のディアボロス達を相手に、劣勢へと追いやられていった。
残る数体、パッフェの放つ吸血コウモリが食らいつき、ディアナの爆雷、崇の拳術が追い打ち、
「こいつが締めのイッパツです!!」
冬子の鋭い裏拳が最後のタートルーパーへ直撃し、フラフラと後退してから、仰向けで息絶えた。
高みの見物を決めこんでいたキャプテン――フニペロ・セラは神経質そうに眉根を寄せ、眉間にシワを浮かべていた。
「冥海機ならまだしも、なぜディアボロスが、このディヴィジョンの住民を助けるので? 道理に適っているとは思えませんね」
フニペロ・セラにしてみれば、“抗争に第三者が介入してきた”とも言える状況。不可解と言っていい。
だが、やるべきことは変わらない。
「まあいいでしょう。アビスローバーの略奪を阻むなら、冥海機であれ、ディアボロスであれ、排除するのみ……漕ぎ手はここの住民を利用するとしましょう」
逃げ遅れている住民に目をやり、フニペロ・セラは不気味に笑う。
息を呑みながらも、住民は一人、また一人と逃げ去っていく――。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
薔薇星・パッフェ
(アドリブも連携も大歓迎!)
住民を守るようにフニペロの間に立ち、【士気高揚】を使用しつつ演説をしよう。心に響くように、身振り手振りを交えた演技がかった仕草で。
住民諸君、待ちたまえ!
逃げた先になにがあるというのかね。冥海機が助けに来ると、まだ信じているのか。
…本当に、心から?
諸君も薄々気付いているだろう。彼らは来ないと。
そうとも、だから配給が途絶え、この緊急時に応援もないのだ。
安心したまえ。諸君のことは我輩達ディアボロスが守る。フニペロ・セラ君は退けよう。
だがその後は自分達の力で生きていくのだ。
冥海機の配給に頼らず、自給自足で生活をする。この島だけでは難しくとも、近隣の島々と協力すれば成り立つだろう。いや、生きたいのならば成り立たせるしかない。
自分を信じるのだ。
諸君はこの困窮のなかで奪い合わずに耐えた、逞しい人間だ。
その自律心と忍耐力、そして自力で生き抜こうとする強い意思があれば出来ないことなど何もない!
柊・冬子
他の仲間達が戦ったから見つけられたチャンス!ここを生かさないと勝負師じゃないですね!
まずは高いところに登って大声で注目を集めないといけませんね!
しかし、冥海機冥海機と…おんぶに抱っこじゃないですか!
このままじゃ飢え死に?ふざけてるんですか!?
口開けてれば親鳥が餌くれるって考えで大人として恥ずかしくないんですか!
今目の前で命賭けて戦ってくれてるは誰ですか!みなさんはあの人たちに恩を返そうとか思わないんですか!?
まずは命賭けて逃げてください!
次に命賭けて生きる道を見つけてください!
●“常識”
住民の半数はすでに集落を脱していた。
そのままフニペロ・セラと交戦していたら、住民の大部分が姿を隠してしまい、まともに対話することもできなかったかもしれない。
トループス級を蹴散らした後、柊・冬子($箱入り不良娘・g06303)、薔薇星・パッフェ(役『吸血鬼 薔薇星・パッフェ』・g10767)が急ぎ、逃走していく住民達に叫ぶ。
パッフェが【士気高揚】を展開、補助エフェクトが周囲に広がっていく。
冬子は――家屋というには、あまりに粗末な――半壊した小屋の上によじ登り、
「冥海機、冥海機と……おんぶに抱っこじゃないですか! このままじゃ飢え死に? ――ふざけてるんですか!?」
強い語気で、逃げ惑う住民達を叱咤する。
――“住民は身も心も弱りきっている”と、資料には記載されていた。
幾人かの住民は冬子を一瞥し、聞く耳持たぬとばかりに走り去る。
「口を開けてれば、親鳥が餌くれるって考えで……大人として恥ずかしくないんですか! 今、目の前で命賭けて戦ってくれてるのは、誰ですか? ――みなさんはあの人たちに、恩を返そうとか思わないんですか!?」
「住民諸君、“冥海機が助けに来る”と、まだ信じているのか……本当に、心から?」
冬子とパッフェ、双方の言葉を受けてだろう。
一人の青年が我慢ならないとばかりに、声を張り上げた。
「そうだよ、それのどこがおかしいんだッッ!?」
「…………ぇ」
予想外の言葉にパッフェ達は絶句する。
失念していた――“排斥力”の存在を。
改竄世界史/ディヴィジョン内はクロノヴェーダにとって、邪魔な異物は取り除かれ、クロノヴェーダの支配体制が『当然の世界』に変貌している。
冥海機こそ、自分達を支配する絶対的な存在――それが『冥海機ヤ・ウマト』での“一般人の常識”なのだ。
もし、冥海機が敗北する姿を見ていれば、『冥海機にも敗北することがあり、危急存亡に陥っていた可能性』を示唆できたが……東メラネシアには、もう現れない。
男は怒りに任せ、二人に抗議をぶつけ続けた。
「ディアボロス? そんな“正体不明の組織”を信用する理由がないんだよ、こっちは! 恩を返せ? “助けた見返りを用意しろ”ってことか!? お前達こそふざけんじゃねぇ!!」
その怒声に、他の住民達も共感を示していた。
心を抉られた仕返しとばかりに、ナイフより鋭く冷たい眼差しを――特に、冬子へ向ける。
追い詰められた人間に対し、先の叱咤は、言葉が強すぎた。
反感を覚えるのは無理からぬほどに。
(「そうだ、相手は身も心も限界ギリギリの人達で……キツい説教なんか、受け止める余裕もなかったのに……!」)
後悔、先に立たず。冬子はもう押し黙るしかなく、頼みの綱は――パッフェのみ。
パッフェも想定外だった。だが、努めて平静に言葉を返した。
「信じているのだな、冥海機を……だが、配給が途絶え、この緊急時に応援もないのだ。このまま“最悪の結末”を迎えたくあるまい」
心底から非礼を詫びるように、しかし、説き続ける意志があることをパッフェは示す。
(「頑なとなった心を揺さぶることは、もはや困難であろう。だが、時先案内人は言っていた」)
――『自立した生活を築かなければ!』って思わせられれば、それは“住民の意志”だ。絶対に忘れやしねぇ。
パッフェは賭けに出た。分が悪いことは承知の上。
だが、火のない所に煙は立たない。――火種だ。どれだけ小さくとも、心に“火種”を灯さねば!
「諸君のことは、我輩達ディアボロスが守る。フニペロ・セラ君は退け、早急に立ち去ることを約束しよう。だが……その後は、自分達の力で生き残りを図ってほしい」
パッフェは胸に手を当て、責務を果たす意志を身振りで伝える。そして、
「“冥海機は必ず現れる”と諸君が信じるなら――最善を尽くし、一分、一秒でも生き長らえねば」と説く。
嫌悪に満ちた視線ではあったが、数名の住民がパッフェを見続ける。
「自給自足の生活を確立させられれば、生存率は上がる。この島だけでは難しくとも、近隣の島々と協力すれば成り立つだろう」
“新たな選択肢”という微かな火が灯さねば。100万分の1でもいい。
ゼロでなければ“選ぶ可能性がある”のだから!
「冥海機を待ち続けるならば――生きたいならば、成り立たせるしかない!」
パッフェは祈るように、言葉を紡ぐしかなかった。
「諸君は、この困窮の中で奪い合わずに耐えた、逞しい人間だ。その自律心と忍耐力、そして自力で生き抜こうとする強い意思があれば、出来ないことなど何もない! ……今はただ、逃げ延びるのだ!」
「――……っ」
ハッとして、足を止めていた者達は逃げ去っていく。
最終人類史に帰還すれば、住民達は排斥力でディアボロスを忘れる。
だが、彼らに“可能性の火種”を残せた――冥海機を待つために、“自給自足の生活を始める可能性”を。
冬子達を見ていたフニペロ・セラはせせら笑い、「無駄なことを」と嘲る。
「ますます度し難いです、敵地の人間を生かそうなど。……あの態度、明らかに嫌悪されていましたよ?」
その言葉に、パッフェの顔から感情が失せた。
「忘却される我輩達への好悪など、二の次である。“絶望に抗う”ことが重要なのだ」
「あなたこそ余裕ぶってますが、ここはもぬけの殻ですよ! これじゃ略奪できませんね?」
住民はもういない――冬子はそう主張するが、フニペロ・セラは楽しげに瞼を細め、
「先の様子では痕跡を隠す余裕もなく、引きずり出すのは容易い……んふふ。アビスローバーの素晴らしさも“伝道”しませんとね」
おぞましい思想を匂わせる。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【狼変身】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
古宮・泉美
(トレインチケット)
頼坂・ソウマ
(トレインチケット)
●フニペロ・セラ
この複雑な状況において、頼坂・ソウマ(君と星が消えた日・g10271)はとても心強い援軍だといえよう。
(「住民がディアボロスをどう思おうが……関係ねぇ。俺自身、ディアボロスになった俺に嫌気が差してんだ」) 自己嫌悪するソウマにとって、今さら憎まれようとダメージは少ない。――だが、それ以上に。
「おい、タコ野郎……テメェだけは許さねぇ。他人の家族まで奪おうってんなら、尚更な!!」
「そうですね。美しいポリネシアの海で、なにより清貧な暮らしを送る人々への非道……あまりに許し難いわ」
怒れる古宮・泉美(MOMO・g03355)の連れる、モーラット・コミュのモモもキリリとした表情をみせる。
半人半魚というべきか。セラは裾から覗くタコ足をくねらせ、
「おやおや。互いに集落を壊した仲ではありませんか、手を引けば心の傷も浅く済むと思いますよ?」
「うるせぇ! トラウマに深いも浅いもないんだよ、屁理屈が通ると思うな!」
戦術エフェクトがソウマの心身を強化し、ソウマは激情に駆られるまま攻撃を開始。
《復讐の刃》で創造した棘付き棍棒をぶん投げ、セラの軟体に強打させる。
そのがむしゃらな一撃に対し、セラはほくそ笑みながら《死病を持ち来る海魔》を発動――紫黒色のオーラを思わす、即効性の病原菌をまき散らし始めた。
それを吸い込んでしまったソウマに、激痛と、穴という穴と目から血が流れ出す。
「病原菌? そんなものまで、集落で使う気だったの……いい加減にしなさいよ!?」
魔銃PAYBACKを発砲し、セラの足元に着弾させる。
――その弾痕から《潤水》が噴き上げ、“福者”の名を持つアビスローバーを、浄化せんとずぶ濡れにしていく。
「なんと悲しいことでしょう。介入してきたのは貴方達なのに……ですが、これもアビスローバーの繁栄に必要なこと」
その身に受ける痛みで精神を高揚させ、セラは鋭い爪を泉美に振り上げた。
――《その苛烈さは信仰心故に》、アビスローバーへ貢献する狂喜をチカラに変え、泉美とモモを何度も斬り裂いていく。
「ふ、ふふ……はははははははははははっ!! 略奪、そう略奪です! 貴方達の魂を奪うことも、また“略奪”となるのでしょう!」
指先を赤く塗らしながら、セラは狂気的な笑い声をあげる。
その様子を見るソウマの視線は、汚物を見るような軽蔑を含んだ。
「心底イラつかせてくれるぜ……テメェみたいなヤツこそ、クソ野郎って言うんだろうな!」
血反吐を吐き捨てながら、次の攻撃に向けて身構える。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【イルカ変身】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
ディアナ・レーヴェ
【ガチレン】
※選択肢2の成功後の執筆希望
漕ぎ手はここの住民を使うって?
どうかしら!…そう簡単に言うこと聞いてくれそうなほど、あの住民たちも軟弱では無さそうだけど?
【防衛ライン】で一般人の退避を支援しつつ、そんな台詞で煽っとくわ。
向こうで士気高揚が使われるなら、歓声くらいはここまで届いたかしら?
敵は神経質そうな顔だし、少しくらい苛立って冷静さを失えば良いわ!
いきましょ、獅子堂!(ニッコリ)
(ね。いまさら作戦会議がなくても、私達はお互いの攻撃のリズムくらい知ってるものね?)
私の技は、そんな「いつも通り」「当たり前」を適切に行う【王道の計】――火砲を構え、獅子堂の手刀のタイミングに合わせて敵の足元を崩して回避の間合いを誤らせたり、あるいは敵の触手のタイミングに合わせてその触手を少しでも千切り取って彼の回避行動を支援したり。
爪の連撃はナイフを引っ掛け最低限の守りを。
…あー。身体を張って貢献するのが良い気分なのは、正直分かるわ(笑う)
最も私の場合、上位存在というか上官だけどね!
※機械化ドイツ元軍人
獅子堂・崇
【ガチレン】
アドリブ連携歓迎
俺たちがなぜ戦うかなんて、お前の道理じゃ理解できないだろうな。だが少なくとも、俺の道理にはかなうんだよ。
こいつと問答をしても仕方がないからそれ以上どうこう言うつもりはない。あっちの演説も終わった頃合いだ。
やるか、ディアナ。
今更俺たちに作戦会議も必要ないだろう。援護のタイミングはディアナに任せて俺は奴だけに集中する。
先手必勝だ。ジャンプからの手刀で俺の方に注意を引き付ける。例え触手で防御しようとしてもその触手もろとも絶ちきってみせる。
反撃は承知の上だ。致命傷だけは避けるように両腕で触手を防御する。
例え俺の肉を裂き、骨を砕こうともその程度の攻撃では俺の意志までは奪えはしないぞ。
船の漕ぎ手には俺が立候補しよう。無論お前を倒した後で、船を頂いてからの話だけどな。
薔薇星・パッフェ
【ガチレン】
アドリブ連携歓迎
排斥力のことを忘れ、彼らの生き方を否定してしまった。反感を買うのも無理からぬことだ。
それでも彼らは私達の話を聞いてくれて、逃げてくれた。疲弊して動くのも辛いだろうに。
…フニペロ君、悪いが船の漕ぎ手は諦めてくれ。
私は弱い。だが負けるわけにはいかない。
皆が積み重ねてくれた【命中アップ】を更に重ね、攻撃の成功段階を上げる確率を増やそう。
そしてパラドクスで『acteur』と共に連撃をたたきこもう。
『acteur』よ、彼はタコの特徴を併せ持つようだ。触手が8本あるのは恐ろしいが、しかし私達も両手両足合わせて同じ数があるのだ。手数では負けない、そうだろう?
【ガードアップ】で受けるダメージを減らし、連撃が途切れないように代わる代わる攻撃をしよう。触手が一本でも減ればしめたものだ。
反撃の病原菌はなるべく吸い込まないようにマントで口や鼻を覆う。気休めでも何もしないよりはマシだろう。
私は…我輩は君を退け、早急に立ち去ることを約束したのだ。
負けるわけにはいかないのである!
●敬虔すぎた宣教師
フニペロ・セラ――その者は『二つの側面を併せ持つ宣教師』として、歴史に記録されている。
彼は、修道士として熱心に布教活動を行った“聖者に次ぐ福者”であり。
先住民を服従させ、大量虐殺した“最後のコンキスタドール”でもあった。
新大陸に渡った彼は、先住民族を檻に捕らえ、これまでの信仰や文化を悔悛し、改宗するよう“布教”した。
数々の“布教”と“異端審問”は、口にするのも憚られるほど。
その死後、生き残った先住民族の暴露本によって、所業が白日の下に晒されることとなり、列福に留まったとされる。
のちに列聖された彼へ、強い憎悪を抱く者は今なお少なくない。
その人物像を諷刺したような、気味悪いアビスローバーが――今度は、海上に孤立する海賊船という“檻”に、住民達を押し込めようと企てていた。
獅子堂・崇(破界拳・g06749)が拳を鳴らし、セラを睨みつける。
「俺達がなぜ戦うかなんて、お前の道理じゃ理解できないだろうな。――だが少なくとも、“俺の道理”には敵うんだよ」
無関係な者達を巻き込み、独善的な行為で荒らす者を成敗する。
どうせ押し問答になるのだから、崇から言うことはこれ以上、何もない。
「漕ぎ手はここの住民を使うって? どうかしら! ……そう簡単に言うこと聞いてくれそうなほど、あの住民達も軟弱では無さそうだけど?」
ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)も不敵に笑いつつ、【防衛ライン】を敷き、セラの強行突破に備える。
だが、いくらか傷を負っていようと、セラには恭順させるなど造作もない。
「人は『痛み』に弱く、抗えば死ぬと解らないほど、愚かでもない。……死にたくないから逃げた。“我々が”よほど怖いのでしょうね」
露悪的な返答を肯定するように、住民の歓声は聞こえてこない。
嵐が過ぎ去るの待つが如く、今や息を殺し、島内に身を潜めてしまったようだ。
――その沈黙を耳にし、薔薇星・パッフェ(役『吸血鬼 薔薇星・パッフェ』・g10767)が苦しげに瞼を伏せる。
(「排斥力のことを忘れ、彼らの生き方を否定してしまった。……反感を買うのも、無理からぬことだ」)
後ろ盾を失ったとも知らず、彼らなりに、必死に生き残ろうとしていたのに。
だが、こうも思う。
(「それでも彼らは私達の話を聞いてくれて、逃げてくれた。疲弊して動くのも辛いだろうに」)
『出ていけ』という、意思表示だったのかもしれない。
『一理ある』という、変心の意だったのかもしれない。
だが、真意は誰にも解らない。――意志は伝わった、そう信じるしかないのだ。
「フニペロ君。悪いが、船の漕ぎ手は諦めてくれ。代わりに“カローン”の元へ送ってやろう」
「冥府の渡し守、ですか……んふふ。詩的な表現ですね」
厭らしい笑みを浮かべ、セラのタコ足が蠢きだす。
「痛めつけて強要するって……想像以上の卑劣漢ね!」
「やるか、ここで仕留めたほうがいい」
真っ先に飛びだした崇が力強く跳躍し、手刀を振り上げた。
燃え盛るような闘気を纏う《我流破界拳・石火》に、セラはタコ足じみた、ぬめる触手を無数に伸ばす。
手刀が触手を両断すると同時に、セラの縄鞭じみた殴打は、崇を屈服させんと生存意思ごと砕きにかかる。
追撃にかかるディアナは、崇の戦技を熟知している。
(「いつも通り、当たり前に……ここで!」)
崇のパラドクス発動時間を越えた瞬間、ディアナが【王道の計】を仕掛けていく。
鉄砲隊なら、再装填する間に、別の鉄砲隊に射撃する――長篠の戦いで行われた“三段撃ち”を彷彿とさせた。
重キャノンから撃ちだす砲弾は、戦車砲台に勝るとも劣らぬ威力。
砲弾を受け止めながらも、セラは笑っていた。
「抵抗されるほど、屈服させたときの征服感が――堪りませんよねェェ!!?」
アビスローバーに逆らう者を“悔悛”させる。ああ、それ以上の献身的な行いがあるだろうか!?
昂ぶりを抑えきれない様子で、セラはディアナめがけて飛びかかる。
鋭い両爪を受けるには、ナイフに持ち帰る余裕がない……致し方なしと、砲身で直撃を防ぐディアナの細腕に、数本の爪痕が刻まれた。
同時にパッフェが『acteur』を手繰り、焼けた大地に立たせる。
崇やディアナほど、戦の経験がないことは自覚している。
(「私は弱い。だが、負けるわけにはいかない」)
「『acteur』よ、彼はタコの特徴を併せ持つようだ。しかし、私達も手数ならば負けぬ!」
――その意気をこめた《ダンスマカブル》がセラを襲う。
十の指から織りなす、激しく過激な連撃舞踏を受けながらも、セラは病原菌を裾から溢れださせる。
マントで口や鼻を覆って、なるべく吸い込まないよう試みるパッフェ。
その口の端から赤い体液がこぼれ落ちた。
逆説連鎖戦は法則性を歪め、一撃に対し、何度も反撃される。
……だが、“一人で複数の攻撃を受け止め続ける危険性”は、理解できるだろうか?
残留効果もないクロノヴェーダにとっては、劣勢を強いられるには充分。
「私は……我輩は君を退け、早急に立ち去ることを約束したのだ。負けるわけにはいかないのである!」
病原菌によって目を赤くさせながら、吼え猛るパッフェの『acteur』が踊りだす。
己の“役”を果たすべく、勇猛果敢な舞が止まりかけたところへ、崇が躍り出た。
「例え俺の肉を裂き、骨を砕こうとも――その程度の攻撃では、俺の意志までは奪えないぞ!」
「なんと、我の強い異端者ですか……!?」
肩で息をしながら、セラは触手を繰り出すが、その本数は当初より少なく感じる。
数の減った触手に対し、赤く燃ゆる手刀が鋭く斬り落とし――ディアナが火砲を構えた。
(「どんな強敵だろうと、集中攻撃を受け続ければ挫かれるもの!」)
セラがよろめいた瞬間、ディアナの砲門が火を噴く。
ドゴォン!! ――何度目かの爆音だったが、これが最後となった。
「!!!!???!?!?!?」
顔面クリーンヒット。
タコの胴体が張りつく頭部がはじけ飛び、残された胴体は脱力し、崩れ落ちる。
「……あー。身体を張って貢献するのが良い気分なのは、正直分かるわ」
ディアナは裂傷を押さえつつ、砲門を下ろし、パッフェは眉根を寄せた。
「先ほど“早急に立ち去る”と約束した手前、早期離脱を進言する」
その“約束”も、ディアボロスが帰還すれば、忘れ去られてしまう。
認識の相違による不信も、同様に――“排斥力”が消し去る。
崇は「構わない」と頷き、
「海賊船の拿捕を優先しないとな……セラの遺体も海に流すか」
絶命しているものの、住民が戻りづらくなる要因は、なるべく取り除こうと提案。
ディアナの案内の元、アビスローバーの残した海賊船へ向かう。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【書物解読】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV3が発生!
柊・冬子
※アドリブ・連携歓迎
【ガチレン】
みなさん戦闘ありがとうございました!
力仕事でお返ししますよ!
あれ…モーターボートと違って原始的なんですね?
ここで言ってみたかったセリフをひとつ…。
錨を上げろォ!帆を張れェ!!…んー、海賊気分ってやつですね!
まずは【エアライド】で周囲の確認ですね!
空から周りを見渡して安全な場所を確認しましょう!いきなり座礁なんて嫌ですからね!
船は【操作会得】で操舵輪を使って面舵いっぱい!
船の運転はありませんけど原付は運転してたんで任せてください!
楷の操作と帆の操作はお願いしますね!
住民の人たちには色々やっちゃいましたしねぇ…ちょっとエールの一つでもあげながら船旅を楽しみましょうか!
また逢う日までお元気でー!!
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
【ガチレン】
俺たちが残っていたら住人も不安に感じるだろう。今は海賊船をもらって大人しく立ち去るとしよう。
この時代の乗り物だからな。原始的なのは仕方がない。そのセリフを言うのなら冬子は船長だな。
ディアナが漕ぎ手をやるなら俺は帆を張って調整を担当しよう。疲れたらいつでも漕ぎ手は変わるぞ。
俺も一緒に手を振っておこう。
彼らが生きることを諦めたりないことを願っておくとしよう。
エルドラードに向けて出発だな。……ところでどっちに進めばいいんだ?確かここはオーストラリア辺りだよな。
どこかに船を隠す必要があるというし、ちょうどいい島が見つかればいいんだけどな。
確かに、島があれば既に敵がいる可能性が高いな。
それなら手が空いたら双眼鏡を使って周辺を確認して他の皆が手に入れた海賊船を探すとしよう。後は敵に見つからないようにな。
ディアナ・レーヴェ
【ガチレン】
冬子の船長?冬子のお頭?冬子の姉御?
「境界の霧の方角は海賊船自体が示してくれる」と他チームに聞いたけど、今回もきっとそうよね!
出発前に船上をざっくり観察して、そういうの示す仕組みは予め確認しておくわ。
あとは方位磁針でも持ち込んで直進する事だけ考えれば、そのうち境界の霧に突っ込めるでしょう!
はい獅子堂、帆の微調整とかよろしくーっ!
私は漕ぎ手で。
いっちに、いーっちに!
(…住民のこと気にしてるかなって思ったけど、とりあえず元気出たみたいなら良かったわ)
(私はああいう『戦え!』って訴え方自体は心底好きで、流石だと思う。今回は少しばかり状況の噛み合わせと排斥力が手強かったけれど)
私も一緒に「頑張るのよーっ!」って(騒ぎすぎない程度に)エールを送っておくわ!
住民は誰も見てないでしょうし、万一見てても忘れちゃう訳だけど、構わない。
これはただの気持ち。
ただの祈り。
そして今後の任務に臨む自分達への気合。
島は探さなくていいと思うわ、むしろ危ないかも?
安全な海域で他の私掠船との合流を待ちましょう!
●出航
ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)、獅子堂・崇(破界拳・g06749)、柊・冬子($箱入り不良娘・g06303)は目的の海賊船を発見する。
「あれがエルドラード産のガレー船、もとい海賊船よ」
「なんか、モーターボートと違って……かなり原始的なんですね?」
冬子は木船に目を丸くするが、そも『黄金海賊船エルドラード』は1721年――18世紀初頭のディヴィジョンだ。
モーターエンジンは“オーバーテクノロジー”――だからこそ、人力船/ガレー船というわけだ。
「原始的なのは仕方がない、準備を整えて発とう。俺達が残り続けても、住人を不安にさせるだろう」
崇の提案で、ディアナ達は出航前に海賊船内を検めた。
時先案内人が通達した通り、船室という上等なものはなく、櫂(オール)を漕ぐ一室があるのみ。
船尾側に、小さい丸テーブルと椅子が一脚あるが、船長のフニペロ・セラが使用していたのだろう。
そのテーブルの前に鉄鍋のような、大きな羅針盤が設置されていた。
「これね、エルドラードを指している羅針盤は! 普通の方位磁針と方角を見比べて……ふむふむ」
テーブルを引き寄せて方位磁針を置くと、ディアナは航路をざっくりと推測しつつ、
「あったぞ、帆布。これをマストに張れば少しは楽になる」
「私もお手伝いしますよ! 一人で張るのは大変そうですからね」
手持ち無沙汰な冬子も崇と帆布を運び出し、マストへ張りつけていく。
ディアボロスならマストをよじ登るだけなら容易いが、並行作業するには人手が必要となる。
その途中で、冬子はふと甲板に“アレがない”と気付いた。
「あれ、操舵輪がない? どうやって動かして…………あ」
冬子は言葉にしてみて、初めて気付いた。
この海賊船はシンプルな構造で、動力は“人力”前提の船舶。
つまり、舵という複雑な装置は備えていない。漕ぎ手を指揮し、進行方向を調整するのだ。
「それじゃあ、船の操縦って」
「“櫂を漕ぐだけ”だろう。帆も張るだけの補助用だし、持ち回りで漕ぎ手に回るか」
肩を落とす冬子を崇は励ましつつ、ディアナと合流して、方針をすり合わせることに。
ディアナは簡単な航海計画を立てて、崇達と共有していく。
「見張り、漕ぎ手、羅針盤を見る役で分けたいけど……漕ぎ手は最低でも二人必要ね。風があれば風力に頼りつつ、見張り役に羅針盤を見る担当を兼任してもらわない?」
その提案を受け、
「さすがディアナさんですね、ロジカルです!」
「だが、漕ぎ手は交代しあおう。いつまで漕ぎ続けるか解らないしな」
冬子も崇も賛意を示し、いよいよ出航するときが来た。
最初の漕ぎ手――崇とディアナが櫂で後退するよう動かし、浜辺に乗り上げていた海賊船は、海上へ引き返していく。
……見張り役の冬子は、風で膨らむ帆を見上げてから、住民が残る島に向き直った。
(「住民の人達には色々やっちゃいましたねぇ……キチンと状況把握していたら、もっと上手くやれたでしょうか」)
時先案内人は必要な情報、詳細な資料を提供した。
確認を疎かにした点は、“改善点”として胸に刻む必要があるだろう。
(「でも、うじうじしていても仕方ないです。……次こそ人々に寄り添ってみせます!」)
落ち込んだ空気を振り払って、冬子は島中へ響かせようと声を張り上げ、
「また逢う日まで、お元気でー!!」
その叫びは、船内にいるディアナ達の耳にも届いた。
「俺も、彼らが諦めないことを願っておくとしよう。“新しい選択肢”は提示されたんだからな」
崇は櫂を動かしながら、集落の方向に目を向け、ディアナも目を遣る。
(「気にしてるかなって思ったけど、とりあえず元気が出たならよかったわ」)
住民達と軋轢が生じ、胸を痛めたことは確かだろうが、ひとまず持ち直した様子に安堵する。
ディアナ自身、冬子の奮起を促す手法は好ましく思うし、実行できることは『流石』だと感じていた。
現に冬子は“住民達の本音を引き出した”のだ。
――流れを変えるキッカケになったのは、事実である。
だが……相手は本気で支援を待ち、真剣に僅かな物資を切り詰め、苛酷な状況で精神と体力をすり減らした者達。
言葉選びも良かったとは言えない。
ディアボロスは常に排斥力の影響と、住民とクロノヴェーダの関係性、現場状況を把握し、臨機応変な対応に努めることが肝要。
ディアナが熱心に教え導くだけでも、相手の成長には繋がらない……それこそ“親鳥から餌を待つ雛鳥”になりかねない。
難しいことはない。盤面遊戯と同じこと――試行錯誤/トライ&エラーを重ねていけば、自ずと答えを導き出せるだろう。
だが、それも“本人次第”だ。
現状に満足しているなら、教導すらも馬耳東風と成り果てる。
(「大丈夫よ、私は冬子なら……もっと出来ると信じてるから!」)
「頑張るのよーっ!」
櫂を突き出す窓口から、ディアナも声援を送った。
返ってくる声はない。見送る者もいない。
そして、ディアボロスにまつわる記憶は、排斥力に消される。
あまりに侘しい出航だが……それでも構わない。これは祈りであり、これからの自分達への意気組みなのだ。
漕ぎ手を代わる代わる担いつつ、エルドラードを目指して航行。
そして、ディヴィジョン境界の霧を視認する。
「前方に霧が出てきたわ、あそこを突っ切ればエルドラード海域よ!」
見張り役のディアナが伝令し、漕ぎ手の二人も手にチカラが篭もる。
「一気に行くぞ! いっちに、いっちに!」
「いっちに、いっちに!」
航行速度を上げようと、波間を突き破らんばかりに、崇と冬子は櫂を大きく動かす。
濃霧に突入して幾ばく経ったか――遂に境界を突破した。
「こ、ここが……エルドラードの海域ですか!?」
甲板に飛びだして冬子は感嘆の声をこぼす。
周囲には広大な海があるばかりで、景色が変わった様子はない。
「すでに拿捕された海賊船があったわよね? そちらと合流するのが一番安全だと思うの」
「だな。小艦隊を組むなら、まとめておいた方がいい。敵に見つからないよう慎重に進めよう」
先々を見据え、プランを提案するディアナと崇に、冬子は尊敬の眼差しを送りつつ、
(「私もあんな風に周りをよく見ていけば、もっと役立てますよね。皆さんのいいところ、どんどん学ばせてもらいましょう!」)
自分はもっと成長できる。そう感じながら、再び船を動かせる。
孫子いわく――“敵を知り己を知れば、百戦危うからず”という。
無知の知は、自らを高める基礎となるだろう。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【操作会得】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV2になった!