【幻想竜域キングアーサー奪還戦】その手に流星の輝きを(作者 椎名遥
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#幻想竜域キングアーサー  #【幻想竜域キングアーサー奪還戦】最速の遊撃部隊  #幻想竜域キングアーサー奪還戦  #パーシヴァル 

 幻想竜域キングアーサー。
 キャメロット城を望む海の上空で、無数の龍影が大空狭しと空を翔ける。
「まだだ、もっと速く、もっと高く! その程度の速度では、ディアボロスに勝つ事はできないぞ!」
 縦横に飛翔し、旋回し――真っ直ぐに、一直線に空を翔け。
 限界ギリギリを攻めるその勢いに身体の制御を失いそうになりながらも、歯を食いしばり翼を広げて風を捉え、体勢を立て直して行軍へと喰らい付き。
 円卓の騎士『パーシヴァル』は、その随伴を務める部下たちは、間近に迫る戦争に備えて訓練を重ねてゆく。
「このグレートブリテンの戦場の全てを我らは駆け巡り、仲間を護り、ディアボロスと戦う事になる!」
「「「はっ!!」」」
「その為に必要なのは、速さだ!」
 流星にも称されるほどの、高速飛翔を得意とする飛竜であるパーシヴァル。
 戦場において彼らが務めるのは、キングアーサー全土を対象として支援する遊撃部隊。
 故にこそ――求められるのは、速さ。
 如何なる戦場であろうとも遅れることなく駆け付け、時に先陣を切るほどの速さ。
「もっと速く、限界を越えろ!」


「みんな、決戦のことは聞いているわね?」
 新宿駅グランドターミナルへと集まったディアボロスに一礼すると、挨拶もそこそこに八雲・沙耶(人間のガジェッティア・g03536)は説明へと入る。
「幻想竜域キングアーサーを巡る戦いは、みんなの活躍のおかげで解放まで後一歩と言うところまで進んでいるわ」
 妖精郷を滅ぼす寸前まで追い込むなど、クロノヴェーダの中でも特別に強大な力を持った存在だったドラゴン勢力。
 だが、ディアボロスの活躍により、多くの円卓の騎士が討ち取られ、竜域ダンジョンを失い、妖精郷から撤退し――さらには《七曜の戦》の結果、アイルランドとグレートブリテン島の南半分を失うまでに至り。
「そして、絶対不可侵とされたキャメロット城までもがディアボロスの奇襲攻撃によって陥落した今こそ、断片の王アーサー・ペンドラゴンを討つ、絶好の機会と言えるでしょうね」
 無論、今なおアーサー王を始めとする円卓の騎士の戦力は、そして知略は侮れるものではなく、時間を与えてしまえば体勢を立て直して新たな動きを見せてくるだろう。
 故にこそ、『歴史の奪還戦(ディアボロス・ウォー)』――新宿島ごとキングアーサーのディヴィジョンに転移して最大戦力での決戦を挑み、時間を与えることなくアーサー王を討ち取り、その地の最終人類史への奪還を成し遂げる。
「多くの部下を失い、城までも失ったアーサー王は、間違いなく劣勢にある状態――だけど、ここまで追い詰めても、アーサー王は勝利を諦めていないようね」
 聖剣エクスカリバーや聖剣ガラティーン、大規模儀式魔術による新宿島の破壊作戦。
 そして、自らが敗北したとしても『幻想竜域』を残すべく、ゴンドワナ大陸に移動させている王妃竜グィネヴィアの存在。
 さらには、未知のディヴィジョンである『空想科学コーサノストラ』とも密約をかわしているという。
 自身の勝利、ドラゴンとしての勝利、そして――ディアボロスへの勝利。
「あらゆる形での勝利を追い求めるその執念は、ある意味では断片の王としての力以上に恐るべきものなのかもしれないけれど……それでも、負けるわけにはいかないわ」

 これまでの奪還戦であれば、『新宿島大結界』で新宿島を守ることが出来ていた。
 だが――今回の戦いでは『ディアボロス』が致命的な打撃を受ける可能性が予見されている。
 聖剣ガラティーンの発動を許せば、新宿島が南西から北東にかけて切り裂かれ、失われることになるだろう。
 そして、
「聖剣エクスカリバーで新宿島が両断され、新宿駅が消失した場合……どのような影響が出るかは不明だけど、これまでのような戦い方は不可能になることは確実よ」
 それを阻止するためには迅速な進軍は必須条件であり、そのためにも前哨戦で相手の戦力を削っておくことが肝要となる。
 大戦力であるからこその隙を突き、できる限りの損害を与えて速やかに撤退する奇襲戦。
 引き際を見極める必要がある難度の高い作戦になるが――成功すれば、それだけ決戦を有利に進めることができる。
 ――ならば、願う未来を取り戻すために、覚悟と共に進むのみ。
「みんな、行きましょう。いつかの明日を取り戻すために!」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3

●マスターより

椎名遥
 長きにわたるドラゴン勢力との戦いも、ついに最終段階。
 ……に、なるかどうかは、まだまだ不明な要素もいろいろと。
 続編に続く要素もいろいろ眠っているのかもしれない。残党とかメカとかゾンビとか。
 そんな感じでこんにちは。椎名遥です。

 このシナリオは、12月17日(日)に行われるリアルタイムイベントの直前シナリオ。
 集団戦一章のみの、特別な形式になっています。

 このシナリオの攻撃対象は、円卓の騎士随一の速度を誇るジェネラル級ドラゴン『パーシヴァル』の軍勢となります。
 その速度を生かして各戦場を支援する遊撃部隊として動く軍勢。部下達も速度自慢がそろっています。
 『成功したシナリオ数×5%』だけ、『⑥パーシヴァル』の敵残存率が低下します。

 特別に目覚ましい活躍をおさめ、見過ごすことができないと思わせるほどの大打撃を与えた場合、低確率で『パーシヴァル』が登場します。
 ここで倒すことはできませんが、『一太刀浴びせる』『宣戦布告する』『思いを叫ぶ』などのアクションを書いておくと、何か反応があるかもしれません。

 キングアーサーとゴンドワナと、謎のディヴィジョン『空想科学コーサノストラ』も交えた一大決戦。
 わかっていることと、わからないことと、それでも対応しなければならない脅威と。
 色々なものが混在する戦いとなるけれど、それでも乗り越える以外に道は無い。
 無事に世界を取り戻せるように、頑張りましょう!
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


シル・ウィンディア
最速の騎士かぁ…。
かっこいい称号だなぁ~。でも、称号ならわたしも負けないからっ!
薄明殺し、シル・ウィンディア行きますっ!

騎士竜を発見したら
高速詠唱で隙を減らしてから、六芒星精霊速射砲を撃っていくよっ!
ターゲットは、味方が攻撃した敵がいるならその敵を中心に。
わたしの攻撃が初撃なら、手近なところの敵を中心に攻撃を仕掛けていくよ。

それ以降に関しては、ダメージが大きそうな個体を見つけたのなら、その敵を中心にしてパラドクス砲撃を行っていくよ。
こういう戦闘の場合は、確実に敵の数を減らしていかないとね。

敵攻撃に対しては、ガードアップの効果を使いつつ、背中に発現したの光の翼を体の前面にもっていって防御を。
痛いけど、耐えられないものじゃないからねっ!

敵の圧が強くなったら撤退を開始するよ。
流石にここでこけるわけにはいかないからね。

遭遇しちゃったら…
せっかくの機会だし名乗り上げようかな。
氷のペディヴィア卿、黒翼公パロミデス、薄明のガレスを倒したディアボロスのシルだよ。
パーシヴァル卿、今度は戦場で会いましょうね


天破星・巴
アドリブ&辻連携歓迎

ドラゴンとの決戦の時がやっと来たのじゃ。
ドラゴンと鬼では鬼の方が優れていると言うことを証明するときじゃ。
戦場に必要なのは速さではく、鍛え上げらた膂力こそ重要だと魂に叩き込んでやるのじゃ。
まぁ情報の伝達の速さが重要であることは認めぬでもないのじゃ

同じ戦場にいる仲間と連携を取り孤立や深追いしないように注意しながら確実に敵の戦力をそぐように行動

太陽・月・星の光を集めて光の爪を生成し切り刻む『三光爪』で敵の角を切り落とし返す刃で首を落す

聖剣を名乗る価値の無い斬撃などわらわの敵では無いのじゃ

パーシヴァルが現れたら殿となり味方が撤退するまでの時間を稼ぐべく光の爪て斬りかかり、実力を見定める
今は退くがその首洗って待っていると良い

やはりこやつはSPD能力に秀でた固体の様じゃのう

速く駆けつけたところで速さだけではわらわ達に落とされるだけじゃ


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

ブリテン島の戦場全てに駆け付けられるその機動力
脅威としか言いようがございません…。

が…。

空を駆けて戦うのは何もお前達だけでは無い。
『SKYRAIDER』が空中戦の極致を見せてあげます。
いざ、蒼空を駆けろ!

≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫
『Boeotia』と精神と全武装をリンクさせ
人と機械が互いを補い合い、相乗効果を発揮した『人機一体』の状態へ。

フライトデバイス『アクロヴァレリア』を起動し【飛翔】
その出力を最大に跳ね上げてパラドクスを発動し
人機一体の制御で通常ではありえない【空中戦】を展開します。

『ナノマギア』を瞬時に組み換え武装を構築
遠距離では機械魔導弓『ACRO』に魔力の灯火を番えてパラドクスの矢を放ち
近距離ではナノマギアの配列を組み換え煌剣『シュトライフリヒト』を構築し、敵を一閃します。

敵の攻撃は『アルヴァーレ』による【結界術】で雷を遮断し
『シャルダント』からの【結界術】で敵の体当たりの攻撃を緩和します。

最速に迫れ!限界等…無いんだ!


リューロボロス・リンドラゴ
速さ、か。
厄介よな。
その機動力にて、逃げに回られては面倒この上ない。
逆説連鎖で回避はあまり意味をなさぬが、射程の問題はあるからの。
戦争当日こそが命のかけどきだと、冷静に戦場外まで逃げられてはどうしようもないからの。
逃げられる前に、迅速に討たせてもらうぞ!
くははははははははは!
我も【飛翔】し空中戦よ!
仲間と飛翔を重ねて逃さぬよう速度を上げたいところよな!
飛翔は狙い打たれる故、そういう意味でも数を増やして的にされるのを分散したい所よ!
もっとも、今回は敵に逃げを打たれるのが一番面倒故、かかってきてくれるのなら大助かりだがの!
高速飛翔が得意な奴らだ。
自らの得意分野で挑まれればプライド的にも受けて立つであろうよ!
そらそらどうした!
貴様たちのブレスはその程度か!
我は龍、我こそはドラゴン!
風を用いたブレスとはどういうものなのか見せてくれようぞ!
――大地よ、空へと変われ。新風巻き起こすは竜である。
ルゥオオオオオオオオオオオ!
逃さぬよう挑発も込で大暴れしてくれるわ!
【命中アップ】で狙い撃たせてもらうぞ!


ラヴィデ・ローズ
おっと
気合十分なところ悪いがここが終着だ

パラドクスは『レゼル』にて
ご挨拶の一矢
オレも【飛翔】して、仲間一人が集中攻撃されるような状態を緩和できれば
もし飛翔使用者が自分だけなら敵数が減るまで控えておく

大戦を前に
互いに腕慣らしといこうじゃないか、ねえ?

帰り着くまでが前哨戦だからね
長居無用だし【反撃アップ】は
敵多数でも短時間での撃破速度を上げる&体力を残すため
また個人で突出し過ぎず、包囲されないように
狙いを仲間と合わせ消耗した敵から落として、頭数を減らそう

敵の斬撃は急所を武器で庇い直撃は逸らしたい
ま、島を斬ろうとする聖剣よりはそれっぽいが
オレ程度も一太刀で斬れないんだから、名前負けだね
反撃時はこちらも長剣の斬撃で返そう
……眼下に広がる、愛憎の故里
逸る想いは表に出さず
ただ、揮う武器にのみ乗せて

追撃を振り切る余力のあるうちに退きたいね
もしも円卓の騎士が現れた場合
負傷者を連れ最高速で離脱を図る
その際、負傷の大きい仲間が狙われればディフェンスに入りたい

打ち砕き続けるよ
……いつかの明日を取り戻すために


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

先んずれば人を制す
言葉を体現したかのような軍勢相手にひた駆ける
燃える展開、いーね、いーね!

“比翼連理”の一振を手に、残る三つを周囲に従えて
湧き立つ闘志を薪に
いざ、朱に染め上げる!

Moon-Childを四肢に這わせ活性化
身体を空中機動に耐え得るよう備えておき
【飛翔】を拝借、味方と共に空をゆく

戦場が空だってなら、情報戦に輝くものをお一つご用意
【防空体制】、より良い目を!
AWACSめいて注視し、敵の挙動を味方へごほーこく
各々が最適なタイミングで攻めかかれるようにね

紅玉めいた瞳が猛禽めいて狩れると見た一隊目掛け
敵味方のスリップストリームも利用し鋭く強襲
唸れソハヤ、伝承の如く!
戦場の空気、己の言葉を火打ちとする【火炎使い】の技巧を凝らし
振り抜く一刀より迸る炎熱波で空を、敵を焼き焦がす!

反撃に際しては宙の刀も含めた四刀で守りに入り
余裕があれば黒羽舞わせ受け流し
そうでなければ受け止め縺れ込むように味方の下へ、連携の呼び水とする

最速を出し抜く。限界を越えるのは、パラドクスと協同でっ!


霧宮・悠希
・SPD

今までのに多くの領土を奪い返し、戦力を倒し、策を防いできた。
それでもなお脅威で、次の戦争でもやるかやられるかの状態にされている。

……ドラゴンは、強いな。
だからこそ倒さなきゃいけない。やるからには勝つだけだ。

並外れた速さを誇る相手に、相手の得意なやり方で戦いを仕掛けてやることは無い。
地上から重火器を撃ちかけて誘き寄せる。パラドクスでなければ効かないのは知っている。

だからこそ、意識を集中。念動力を集中。雷のように動こうとも捉えて、見切って……!

──『復讐者の返報』。
敵の突撃に合わせて特殊なサイキック・エナジーの力場を展開し、それによって敵の突撃を弾き逸らす。
敵の勢いを、攻撃の威力を衝撃に変えて返すことで大きな隙を生じさせる。

そして間髪入れずに、致命的な反撃を入れる。
パラドクスの力が乗った「執行人」の一撃を、機関砲やミサイルランチャーの乱射を。
ただ1度の隙を致命的なものとして、逃すこと無く仕留める。

その繰り返しだ。何度でも来い、叩き落としてやる!
……だが、引き際は間違えないようにする。


眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎

久しぶりの戦場だ、いい風が吹いてるねェ……
遊撃部隊をそのままにしておくのは面倒だ、削れるだけ削るとしよう
さァ……ここはドラゴンと鳥の速さ比べと行かせて貰おうか

味方との連携は重視する、相手の速度を削ぐためにも
牽制の弾丸はばら撒いていこう、少しでも勢いを削げば味方がやりやすいはず
俺は欲張らず、確実にまず1匹仕留めに行くぜ
飛翔にのせたパラドクスで追いすがり、死角から一発叩き込んでやらァ

パーシヴァルっつったか、円卓の速度自慢……!
敵ながら中々に熱いじゃあねぇか、その心意気は同感だ
そうだ、もっと速く、限界を越えろ──
星をも砕いて焼き尽くす、それくらいの気概と意地は俺にもあるぜ
返す翼で一気に加速、炎翼はためかせ最高速度で戦場の中枢へ突撃
天を焦がすこの翼ァ、受けてみやがれェーッ!!


 冬の寒さはあれど、差し込む日差しは温かさを残し。
 海上を吹き抜ける風は、静かに――しかし、どこか張り詰めた気配を内へと秘めていて。
「久しぶりの戦場だ、いい風が吹いてるねェ……」
「ドラゴンとの決戦の時がやっと来たのじゃな」
「ああ、やっとだ」
 間近に迫る決戦の空気に、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)と天破星・巴(反逆鬼・g01709)が笑みを浮かべて拳を握り。
 それに頷きを返しながらも霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は遠く――海上の空を飛翔する無数の龍影を見据える。
 アイルランドのベルファスト攻略作戦、バミューダ海底の竜域ダンジョン、天然の要塞エアーズロック、そして七曜の戦。
(「今までのに多くの領土を奪い返し、戦力を倒し、策を防いできた。それでもなお脅威で、次の戦争でもやるかやられるかの状態にされている」)
「……ドラゴンは、強いな。だからこそ倒さなきゃいけない。やるからには勝つだけだ」
「うむ。だが、わらわ達もまた強い。ドラゴンと鬼では鬼の方が優れていると言うことを証明するときじゃ」
 両手に銃砲火器を展開する悠希が、拳を打ち合わせる巴が、呼吸を整え敵を見据えるその先で。
 遠くの空を舞う龍影の動きが僅かに乱れ、幾つかの分隊に別れ――そうして、
「速さ、か……厄介よな。その機動力にて、逃げに回られては面倒この上ない」
「ブリテン島の戦場全てに駆け付けられるその機動力。脅威としか言いようがございません……」
 急速に視界の中で大きさを増す龍影――最速の円卓の騎士『パーシヴァル』の配下に相応しい速度を宿す騎士龍の姿に、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)とレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)はそっと息をつく。
 逆説連鎖戦において回避は決定的な要因には成りえないとは言え、伝令として、増援として、あるいは切り込み役として、卓越した速度はそれだけで厄介な武器となる。
 そして今もまた、戦争当日こそが命のかけどきだと、冷静に戦場外まで逃げられては討つことも叶わなくなる。
 なればこそ――こちらもまた相手以上の速さで以って、逃げられる前に討ち果たす。
「空を駆けて戦うのは何もお前達だけでは無い。『SKYRAIDER』が空中戦の極致を見せてあげます」
 視線を鋭くするレイの視界の中で、ゴーグル型デバイス『Boeotia』の放つ光が周囲に漂う無数の超常ナノマシン群『ナノマギア』へと走り。
 接続し、制御し、レイの精神と全武装をリンクさせ――至るのは人と機械が互いを補い合い、相乗効果を発揮した『人機一体』の境地。
「湧き立つ闘志を薪に、いざ、朱に染め上げる!」
 笑みを深めるロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)が、ふっと息を吐くと同時に、その四肢をナノマシン流動体『Moon-Child』が包み込み。
 膨張・硬質化し高速での空中機動に耐え得るように補い強めたその腕で、抜き放つのは四振の刀型決戦兵器。
「≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫」
「四連装抜刀式アクティブ防護システム“比翼連理”、抜刀!」
 己が心と、共にある装備と、その全てを一つに束ね。
 レイが、ロキシアが、得物を携え敵を見据え。
「最速の騎士かぁ……かっこいい称号だなぁ~」
 二人と共に龍群を見つめるシル・ウィンディア(薄明殺し・g01415)が、そっと笑みを浮かべ――そして、
「でも、称号ならわたしも負けないからっ!」
 表情を引き締め、鋭く息を吐き。
 抜き放つ精霊剣『フルラージュ』の先に展開するのは六芒星の魔法陣。
「六芒星精霊速射砲(ヘキサドライブ・ソニック・ブラスト)っ!」
 素早く、速く、魔力を巡らせ詠唱を紡ぎ。
 描く星の頂点に灯る火・水・風・土・光・闇の六属性の魔力を一点へと集束させて。
「気合十分なところ悪いがここが終着だ」
「進むことも、退くことも、できると思うな」
 魔力の光を束ねるシルと左右に肩を並べ。
 ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が握る呪弓『レゼル』に紫黒の呪炎を束ね。
 悠希が構える銃砲火器へとサイキックオーラを纏わせて。
 並び構える三つの照準が狙うのは、射程に収めた龍群のその中心。
 そこに灯る龍の吐息の光を見据え――、
「薄明殺し、シル・ウィンディア行きますっ!」
「スウォーム・ミサイルランチャー、撃ち抜け!」
「まずはご挨拶の一矢――大戦を前に、互いに腕慣らしといこうじゃないか、ねえ?」
 シルの砲撃魔法に、悠希のミサイル、そしてラヴィデの放つ焔矢と。
 三つ重ねて撃ち放つディアボロス達の砲撃が、同時に龍群から放たれるブレスを、さらにはその主をも貫き飲み込んで――その爆炎を突き抜ける無数の影へと、
「「――おおっ!」」
 同時に飛翔し切り込む人鳥が、レイが、その得物を閃かせる。
 銃槍『バイビーク』の切先と、煌剣『シュトライフリヒト』の光刃と。
 飛翔する速度を載せて放つ二つの刃が、雷撃を纏う龍の爪牙と交錯し、互いの身を後ろへと弾き返し――しかし、
「やるもんだ、が……遊撃部隊をそのままにしておくのは面倒だ、削れるだけ削るとしよう」
 弾かれながらも体勢を崩すことなく空を踏み。
 ふっと笑みを浮かべる人鳥が、槍を巡らせその背に炎を背負い。
 レイもまた、煌剣を両手で握り、フライトデバイス『アクロヴァレリア』の出力を戦闘レベルまで引き上げて。
「さァ……ここはドラゴンと鳥の速さ比べと行かせて貰おうか!」
「いざ、蒼空を駆けろ!」
 さらなる速さで、鋭さで、走り閃く斬撃は――龍が体勢を立て直すよりも早くその身を切り裂き。
 翔け抜ける二人へと追いすがる龍の雷爪を、飛び込む巴の拳が打ち払う。
「光の鬼爪は森羅万象を切り刻む、血溜まりに躯を晒すが良いのじゃ」
 その掌に集うのは、太陽と月と星――天の三光を集めて形成する光の爪。
 閃く光爪が龍の雷爪を受け止め、切り裂き、弾き返し。
 弾かれた爪を引き戻す間を与えることなく、切り込むリューロボロスの拳が龍の胴へと突き刺さり――続く蹴撃に弾き飛ばされる龍へと、さらに空を蹴る巴が、翼を羽ばたかせるリューロボロスが追撃をかける。
「鬼神変改『三光爪』」
「龍刀鉄尾――受けるがいい!」
 翔ける巴の手掌の中で光爪が形を変じ、束ねて一つの長爪を作り出し。
 リューロボロスが抜き放つ青龍偃月刀『龍刀鉄尾』が、その咆哮に応えるように嵐を纏い。
 光と風を従え、十字に閃く斬撃が龍の胴を切り裂いて――、
「戦場に必要なのは速さではく、鍛え上げらた膂力こそ重要だと魂に叩き込んでやるのじゃ。まぁ情報の伝達の速さが重要であることは認めぬでもないのじゃ」
「だからこそ逃げられる前に、迅速に討たせてもらうぞ!」
 なおも続けて閃く刃が、その背後から切り込む新手の龍騎士の爪牙と、尾刃と、切り結び。
 止むことなく弾け散る火花の中、さらに切り込むロキシアが四振りの刃を閃かせる。
「ソハヤ・大通連・小通連・顕明連!」
 その手に握るソハヤの太刀と、自在に宙を舞う三振りの刃。
 伝承の機能を再現した刃が縦横に閃き、左右から切り込む竜の爪牙を宙を走る二刀が受け流し。
 続け、宙を踏んで大きく跳躍すると共に、撃ち下ろす刃で足元を掠める龍を貫いて――続けて切り下す一刀で相手を仕留めつつ、その身体を足場としてロキシアはさらに次の敵と切り結ぶ。
「先んずれば人を制す、か――燃える展開、いーね、いーね!」
 息つく間もなく襲い来る、速度に長けた無数の龍兵の波状攻撃。
 呟くその言葉を体現したかのような攻勢は、僅かでも気を緩めれば、即座にその爪牙でロキシアの身を切り裂くだろう。
 ――だからこそ、止まらない、緩まない。
「まだまだ――」
「さあ――」
「「――ここからだ!」」
 足を止めることなく敵を見据え、刃に宿す炎と共にロキシアが閃かせる斬撃が。
 重ねて踏み込む、巴が左右の手に形成する光を束ねた鬼の爪が。
 そして、前後左右あらゆる方位から高速で切り込み閃く龍の尾刃が。
 交錯する刃と爪と尾が、いくつもの火の粉と光を散らし、互いに傷を刻み合い――、
「「『――っ!』」」
 宙を走る火花を潜り抜け、さらに切り込む龍爪が刃を弾いてロキシアへと閃くも、その一閃はわずかに早く飛び退くロキシアを掠めて空を裂き。
 続け、身を翻す龍が尾刃へと光を纏わせ放つ斬撃を、長剣が如き長さまで伸ばした巴の光爪が受け止め――断ち切り。
「『三光爪』が四指『刀爪』。聖剣を名乗る価値の無い斬撃などわらわの敵では無いのじゃ」
 相手に苦悶の声をあげる間すら与えることなく、返す刃がその首を切り落とし。
 同時に、後ろへと跳躍するロキシアの手が弾かれた刀を掴み取り、
「伝承開放、大通連!」
 言葉と共に刃を横へと振り抜けば、宙に残る軌跡から無数の刃が生み出される。
 幾本もの分身を作り出す『大通連』。その伝承を再現した機能で以って幾本もの刃の分身を作り出し、龍の群れへと走らせて。
「もっと強く、もっと早く――いくよっ!」
 切り裂き、弾け、砕ける刃の雨の中。
 さらに重ねるように、光翼を展開して空を翔けるシルが刃を閃かせ――刃の軌跡が描く魔法陣から、続けざまに放たれる砲撃魔法が龍へと突き刺さり。
 その光に並走するように、嵐を従えリューロボロスが翔け抜ける。
「くははははははははは! ああ、ここからが本番よ!」
 縦横に閃く刃で龍爪を打ち払い、尾刃を切り飛ばし、続けて走る龍の翼を受け止め飛び退き――その動きを溜めとして身を沈め、追撃とばかりに大きく息を吸い込む龍を見据え。
 その顎から光が解き放たれるよりも速く、シルが虚空に三つの剣閃を描いて放つ三連射の砲撃が龍へと突き刺さり。
 僅かに生まれたその間を逃すことなく、
「そらそらどうした! 貴様たちのブレスはその程度か!」
 空を蹴り、翼をはばたかせ、翔け抜けざまに閃く刃が、龍の吐息を、その胴を切り裂き。
 なおもその背後から、左右から、襲い来る龍のブレスを、リューロボロスの放つ咆哮が嵐となって打ち払う。
 多数の敵を相手取るならば、目立ちやすい飛翔は狙い撃たれる危険性と背中合わせ。
 だが――今回の目的はできる限り多数の敵の撃破。
 逃げを打たれることなく、向こうからかかってきてくれるならば、むしろ好都合。
「高速飛翔――貴様たちの得意分野で挑んでやろう!」
「逃がさないし、逃げないよねっ!」
 龍の翼を、光の翼を、その背に広げ。
 翔けるリューロボロスとシルの連撃は、四方より迫る龍よりもなお速く、その爪牙と切り結び、押し返し――そうして、
「見えたぞ!」
「――ああ、そこだ!」
 押し込まれ、生まれた龍達の足並みの乱れ。
 一呼吸にも満たないほどに僅かで――しかし、高速戦闘中においては致命ともなり得るその隙間を見据え。
 悠希が展開する銃砲火器の砲撃が、人鳥の振り抜く銃槍の銃弾が。
 さらに重ねて、長弓へと姿を変えた『レゼル』よりラヴィデの放つ焔矢が、Boeotiaを通して視界と照準をリンクさせた機械魔導弓『ACRO』からレイが放つ光矢が、続けざまに突き刺さり――その弾幕の中を飛翔する龍影の動きの先を読み、悠希は手を止めることなくさらに砲火を走らせる。
 相手の得手は高速戦闘。
 並外れた速さを誇る相手に、その得意なやり方で戦いを仕掛けたとしても、簡単に捉えることなどできないけれど――、
「パラドクスでなければ効かないのは知っている」
「だが、少しでも勢いを削げればなァ!」
 戦場の空を縦横に飛翔し、切り結び、弾きあい、反転する――その広げた翼へと砲弾が突き刺さり、眼前を掠めるように銃弾が走り。
「「そこっ!」」
 牽制射撃に意識を奪われ、一段、二段と速度を落とした龍を見据え。
 ラヴィデが、レイが、空を翔ける。
「いくよ、レゼル」
「ナノマギア、構成変換――煌剣『シュトライフリヒト』形成」
 ラヴィデの握る長弓『レゼル』へと紫黒の呪炎が収束し、その姿を長剣へと変じさせ。
 レイのゴーグルから流れる光が弓へと走り、形成するナノマシンへを組み換えレイピアへと再構成して。
「「切り裂け」」
 さらに強く、より速く――龍翼が空を打つよりもなお速く。
 紫黒の呪剣と輝く煌剣と。重ねて閃く二つの刃が翼を断ち切り、胴を両断して。
 ――続け、宙を舞う半身を隠れ蓑として、死角より回り込む人鳥の槍がさらに一体の翼を断ち切り。
 海上へと叩き落されるその龍を、オーラを纏わせる悠希のミサイルの連撃が撃ち貫く。
「俺は欲張らず、確実に仕留めに行くぜ。っと、これで――何体目だ?」
「十は越えたはずだが――何体でも構わない。これまで通り打ち倒す。その繰り返しだ」
「ああ、違いない!」
「何度でも来い、叩き落としてやる!」
 一瞬、視線と言葉を交わし。
 そのまま周囲へと走らせる人鳥の銃槍の弾丸が、悠希の展開する砲弾とミサイルの連撃が。
 なおも回り込もうとする龍群の動きを牽制し――しかし、その牽制射撃を見切ったかのように、幾体かの龍が続けざまの急旋回を繰り返して弾幕をすり抜け。
 ――同時に、
「向こうも慣れてきた、と言うことか」
「でも、こっちだって、そろそろその速さになれてきたよ」
「如何に速くとも、速さだけではわらわ達に落とされるだけじゃと言うことを教えてやろう」
 手を止めることなく悠希が放つ砲撃に合わせ、弾幕を突破する龍群を見据えて得物を握り。
 翼を広げ、更なる加速と共に切り込むラヴィデの斬撃が、すれ違いざまに相手の翼を断ち切り。
 その体を足場として左右へと閃かせるロキシアの飛刃が、横合いから切り込む尾刃の斬撃を受け流し。
 僅かに体勢を崩した隙を逃さず、同時に空を蹴るロキシアの一刀と巴の光がその首を切り落とすと共に――その脇をすり抜け先へと翔けるラヴィデの刃と、同時に切り込む龍の尾刃がぶつかり合う。
「『――っ!』」
 互いに翼をはばたかせ、呪炎と輝光を刃に纏わせて。
 刃と刃の拮抗を、呪刃が断ち切り押し返す――よりも速く、新手の龍からさらに重ねて撃ち込まれるもう一刀がラヴィデの体を撃ち落とし。
 ――けれど、
「いいや――」
「――まだだよ!」
 追撃と放たれる龍のブレスを、巴の放つ三指『飛爪』の光爪が切り砕き。
 なおも余波を突き抜ける複数体の龍を見据えて、ロキシアがその瞳を朱く輝かせる。
「戦場が空だってなら、情報戦に輝くものをお一つご用意。【防空体制】、より良い目を!」
 防空体制の残留効果を通して周囲へと視線を走らせ気配を探り、早期警戒管制機(AWACS)めいて注視して敵の挙動を見通して。
「見えた――そこだっ!」
「ああ、見つけたぞ」
「やってくれたね。けど、今度はこっちの番だよ」
 見据えた先へとロキシアが刃を走らせれば。
 共に共有する防空体制の後押しを受けて、悠希が、ラヴィデが放つ砲撃と火矢の連射が空を切り裂く龍群へと突き刺さり。
 巻き起こる幾つもの爆炎が龍の爪牙を押し返すも、その中を突き抜ける龍が咆哮と共に紫電を纏い。
 閃く龍の雷爪が悠希を捉える。
 ――その刹那。
(「今っ!」)
 意識を集中し、念動力を集中し。
 雷光の如き龍の動きの先を捉えて、見切り。
 悠希がかざす掌の先で、閃く龍の爪が弾き返される。
「──見切った」
 悠希が展開するのは、受け止めた力をサイキック・エナジーへと変化させる力場。
 それが非物理的干渉や射撃攻撃であれば消し去るとともに閃光として変化・逆展開し投射し、近接攻撃の場合は弾き逸らして隙を作り出す、サイキック・エナジーの力場の盾。
 翔ける龍の速度も、振り抜く雷爪の威力も、その全てを受け止め衝撃へと変えて跳ね返し。
「その隙は、逃がさない!」
 衝撃に体勢を崩したただ一度の隙を致命的なものとするように、間髪入れることなく悠希は大剣『執行人』を抜き放つ。
 周囲に飛散したパラドクスの力を、刃へと、展開する銃砲火器の銃身へと収束し。
 同時に、ラヴィデもまた、握る長剣とその背の翼に紫黒の呪炎を纏わせて。
「『パラディン・テイルソ-ド』か……ま、島を斬ろうとする聖剣よりはそれっぽいが、オレ程度も一太刀で斬れないんだから、名前負けだね」
 くすり、と小さく笑みを零して刃を握り。
 前に立つ龍へ――その先にあるキングアーサーの地へと走らせる視線がわずかに揺らぐ。
(「……今は、まだ」)
 遠くに見える愛憎の故里に、胸の内には幾つもの思いがよぎるけれど。
 そっと息をついて、逸る想いを胸の内に押し止め。
 ただ刃へと、纏う呪炎へと乗せて敵を見据え。
「「切り裂け!」」
 渾身の力を込めて宙を蹴り、走り抜ける大剣と炎刃の二つの斬撃が龍を切り裂き。
 ――止まることなく身を翻し、悠希の放つ『砲撃とミサイル』の一斉射撃が、『レゼル』を弓へと切り替えるラヴィデの焔矢が。
 後より続く龍の群れへと突き刺さるその中を、
「「――おおっ!」」
 三刀を伴うロキシアが、両手の光爪を輝かせる巴が、翔け抜ける。
「最速を出し抜く。限界を越える!」
 ロキシアの紅玉めいた瞳が猛禽めいて光を放ち。
 その眼光が見据えるのは、動きを乱した龍の一団。
「――灼かれて、落ちろっ!」
 空を蹴り、風を裂き、身を翻す龍の背後へと迫り――龍翼が起こす風の動きすらも味方として、さらに鋭く、速く空を翔け。
 戦場の空気と己の言葉を火打ちとして、ロキシアの放つ一刀は炎を纏い。
 巴の両手へと光が集い、その五指全てに光爪を形成し。
「唸れソハヤ、伝承の如く!」
「その首、貰うぞ――五指『刻爪』!」
 振り抜く一刀より迸る炎熱波が空を、敵を焼き焦がし。
 前後左右縦横に閃く巴の光爪が、龍群を内より切り裂き走り抜け。
 光炎が入り乱れる斬撃乱舞を押しつぶさんと、更なる数の龍のブレスが二人へと走るも――しかし、
「「や、ぁああーー!」」
 無数の残像を宙へと残し、シルが、レイが、続けざまに放つ砲撃魔法と光弓の連撃が。
 撃ち付けるブレスの雨を貫き、砕き――、
「――遅いっ!」
 砲撃をすり抜け距離を詰める龍の雷爪を、光翼を輝かせるシルが飛び退きかわすと共に、斬撃に乗せて放つ精霊砲の一撃が龍の体を弾き飛ばし。
 続け、空を蹴るレイが、弾き飛ばされる龍へと追いすがり――相手に体勢を立て直す間を与えることなく、形成する煌剣の刃がその身を捉え切り伏せて。
「まだ――まだだ!」
 なおも止まることなく、さらに速度を高め。
 フライトデバイス『アクロヴァレリア』の出力を最大まで引き出し。
 燃える星々を内包した噴射炎の光を、蒼炎から赤く変じさせて。
「GipfelManöver(ギッフェルマヌゥーヴァ)。この空を駆ける、これがボクの……機動戦闘の極致だ!」
 速く――さらに速く。
 宙を蹴り、空を翔け、煌剣を振るい、弓を放ち。
 レイが展開するのは、音の壁すら超えた異次元の異次元の機動戦。
 その速度は世界の認識すらもブレさせて――翔け抜けるその背後に残す残像すらも、実態を持ったかのように動き、得物を携え、戦場を翔け。
 幾人にも、十を超える程にも数を増すレイ達が一斉に放つ、光矢が、光刃が、龍群へと突き刺さり。
「最速に迫れ! 限界等……無いんだ!」
「ああそうだ!」
 その攻勢に合わせ翔ける人鳥が、その背に、槍に、さらに激しく炎を宿らせる。
「パーシヴァルっつったか、円卓の速度自慢……! 敵ながら中々に熱いじゃあねぇか、その心意気は同感だ」
 勝たなければならない戦いがあるならば、越えなければならない敵がいるならば。
 己が気概と意地と全力を賭して、限界すらも超えて見せる。
 それは、人鳥もまた同じこと。
「星をも砕いて焼き尽くす、それくらいの気概と意地は俺にもあるぜ」
 纏う炎に宿るのは、地獄の炎を操るアークデーモンから取り込んだ黒き獄炎の魔力。
 鳳凰の姿を形作り放出する魔力の炎を推進力として、飛翔する人鳥の槍は、紫電を纏い空を翔ける龍の翼よりもなお速く。
 槍と爪牙と尾刃と炎翼と。戦場を縦横に駆け巡る人鳥とドラゴンが、無数の火花を散らして切り結び。
 切り込む槍を飛翔しかわし、さらに高空へと飛翔するドラゴンを見据え、人鳥の炎翼がさらに激しく燃えさかり。
「まだ、まだだ。もっと速く、限界を越えろ──!」
 駆け上がる炎槍の一閃が、追い抜きざまに龍の体を両断し。
 ――続け、返す翼で一気に加速し、天頂より炎翼をはためかせる人鳥が最高速度で戦場へと翔け下りる。
「今こそ俺自身が鳥と化すッ! 天を焦がすこの翼ァ、受けてみやがれェーッ!!」
 自由落下の速度にはばたきを加え、振り抜く翼と斬撃が敵陣を縦横に切り裂き焼き払い。
 受け止めた尾刃をも焼き切る斬撃が龍の体を弾き飛ばし――その先へと回り込むリューロボロスの青龍偃月刀が、踏みとどまることすら許さずその身を両断して。
「この程度か、ドラゴンどもよ――いや」
 崩れ落ちる身体の先へと視線を走らせるリューロボロスの口に、笑みが浮かぶ。
 いまだ残り――そして数える程となった竜の群れ。
 その全てがリューロボロスを見据えて、光を、雷光を、風と炎の光球を収束させて。
「最後の勝負ということか、いいだろう! 我は龍、我こそはドラゴン! 風を用いたブレスとはどういうものなのか見せてくれようぞ!」
 咆哮と共に風を纏うリューロボロスへと、龍群の放つ一斉砲火が突き刺さり、爆炎を巻き起こし――そうして、
「いい気迫だ。だが――足りぬな!」
「防御壁『アルヴァーレ』、『シャルダント』、多重展開」
「痛いけど、耐えられないものじゃないからねっ!」
 一際強く吹き抜ける風が余波を吹き払うその中で。
 その身に風とオーラを纏い、拳を握りしめるリューロボロスが。
 超常・物理、双方の防御壁を残像達と共に多重に展開するレイが。
 そして、身体を庇うように光の翼を展開するシルが、怯むことなく龍群を見据え。
「決着を付けるよ――世界を司る六界の精霊達よ、六芒星に集いてすべてを撃ち抜く力となれっ!!」
 弾き散らした龍達の渾身の一撃。
 その力をも束ねて集め、シルが展開する六芒星の魔法陣が光を宿し。
「――大地よ、空へと変われ。新風巻き起こすは竜である」
 大きく息を吸い込み、世界へと呼びかけ。
 天地の境すら揺らがせるほどの暴風の威を、リューロボロスがその身へと集束させて。
「六芒星精霊速射砲(ヘキサドライブ・ソニック・ブラスト)!」
「蒼穹の孤竜烈風陣(リューロボロス・インフィニティースカイ)! ルゥオオオオオオオオオオオ!」
 続けざまに放つ六連射の砲撃が。
 一帯の海水すらも空へと巻き上げる暴風のブレスが。
 二人の全力をこめた光風が龍群へと走り、貫き、巻き上げて――そうして。


「ふ、む、これで終わりかの?」
 ふ、と息をつくリューロボロスが周囲へと視線を走らせれば。
 攻撃を交わせるほどの距離に龍の影は既に無く。
「とりあえずは一段落、でしょうか?」
 周囲への警戒を解かないままに、レイもまた頷きを返す。
 ――無論、これはあくまで小休止でしかなく。
 少し遠くへと視線を向ければ、迫りくる新手の影も見えてくる。
 あるいは、無理をすれば戦えなくもないかもしれないけれど――、
「なら、ここが退き時か」
「そうだね。まだ余力があるうちに――」
 今はあくまで前哨戦。全てを出し尽くすのは戦争の当日と、悠希とラヴィデが頷き合い。
 ――瞬間
『――退こう、などとは言うまいな』
 言葉が響き。
 風に残る咆哮の残滓が一瞬で切り刻まれ。
 瞬きほどの間に、その場に蒼光の翼を背負う白き巨竜が姿を現して。
 そうして――ようやく、押しのけられたことを気付いたかのように、風が激しく吹き荒れる。
『遊撃隊である我らを真っ先に狙うとは、賢しいことをしてくれたものだ』
 それが何者なのか――など、問うまでもない。
「その速度と力。なるほど、お前が」
「円卓の騎士、パーシヴァルか」
 言葉と視線に乗せて叩きつけられる敵意を、人鳥は、巴は、得物を握りしめて受け止める。
 遊撃隊の指揮官であり、円卓最速の騎士であるジェネラル級ドラゴン『パーシヴァル』。
 部下との戦いの消耗を背負った状態で相対するには重すぎる敵ではあるけれど。
『さて、どうする?』
「いや、悪いが退かせてもらうよ――今は、ね」
『成程――今は、か』
 一歩踏み出すパーシヴァルに、ロキシアは軽く笑って首を振り。
 その答えにパーシヴァルも苦笑を返す。
 ディアボロスにとっても、ドラゴンにとっても、本番はあくまで戦争の当日。
 すでに決着のついたこの場所で、さらに戦いを選んで手傷を負うようなことは、どちらにとっても望むところではない。
『ならば、せめてもの対価だ。一合程度は受けていけ』
「うん、それじゃ――わたしはシル。氷のペディヴィア卿、黒翼公パロミデス、薄明のガレスを倒したディアボロスのシルだよ」
「貴様のブレスを見せてみよ。我こそは龍。我こそはドラゴン。リューロボロス・リンドラゴ也!」
 シルが大剣を構え、リューロボロスが全身に力を巡らせ。
『ふむ、ならば――』
 同時に、残像を残すパーシヴァルが一瞬で上空へと舞い上がり。
 そうして――宙を踊るシルの剣先とパーシヴァルの魔力が、互いを見据えて幾重にも魔法陣を展開し。
 続け、リューロボロスが、パーシヴァルが、同時に大きく息を吸い込み。
「六芒星精霊速射砲っ!」
「我が吐息は颱風と知れ!」
『見せてやろう、我が吐息を』
 重ねて放つ精霊砲と暴風のブレスを見据え。
 パーシヴァルの放つ白き光のブレスは、展開した魔法陣を突き抜けるたびに、その威力、速度、規模を増加させて。
 空より至る白き一条の光が、精霊の光を、龍の颶風を飲み込み、ディアボロスへと走り――、
「まだだ!」
 二人の砲撃を貫き、僅かに威力を減じさせたその閃光を、飛び込む悠希のサイキック・エナジーの力場が受け止めて。
 圧倒的な出力差に押し込まれながらも、展開する力場は白龍の力の一部を反射し光を砕き――弾け散る余波を切り裂いて、雷霆を全身に纏い翔けるパーシヴァルの翼刃と、同時に切り込む人鳥の焔槍が、巴の光爪が、ロキシアの四振りの刃が交錯し。
 弾き返されながらも、三重の斬撃はパーシヴァルの翼を弾き、軌道を逸らし。
 僅かに体勢が泳いだその先へと、ラヴィデの放つ焔矢とレイの放つ光矢が続けざまに走りるも、その二矢は閃く翼に切り払われ――しかし。
『ここまで、だな』
「そうですね」
 そっと息をついて距離を取るパーシヴァルに、レイも頷き弓を降ろし。
 その間に、弾かれた仲間達も体勢を立て直して、ディアボロスとパーシヴァルは向かい合う。
 今日はあくまで前哨戦。これ以上をやろうとするならば、互いにそれで収まらなくなる。
 故に、
「では――」
『ああ――』
「『いずれ、戦場で』」
 と、視線を交わして、小さく笑い。
 示し合わせたかのように、ディアボロス達が退くと同時に、その場に残像を一つ残してパーシヴァルは姿を消して。
「っと、大丈夫かな?」
「ああ、問題ない」
 僅かにふらつく仲間へと声をかけて新宿島への帰路を急ぎながら、ふと、ラヴィデは背後を振り返る。
 パーシヴァルの飛び去った先――ドラゴン勢力の本拠地たるグレートブリテン島。
 幾つもの想いがあるその地を見つめ、ラヴィデはそっと拳を握りしめる。
 アーサー王も、パーシヴァルも、それ以外の有力敵も含め、ドラゴン勢力の力は決して侮れるものではない。
 そして、それ以外の勢力もまた、無視できるものではないけれど――それでも、
「打ち砕き続けるよ……いつかの明日を取り戻すために」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【飛翔】LV4が発生!
【防空体制】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【反撃アップ】LV3が発生!

最終結果:成功

完成日2023年12月16日

【幻想竜域キングアーサー奪還戦】最速の遊撃部隊

 このシナリオは【幻想竜域キングアーサー奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 幻想竜域キングアーサーのジェネラル級及び、従属状態である『TOKYOエゼキエル戦争の大天使とアークデーモン』と『巨獣大陸ゴンドワナの巨獣』、戦争に利用されようとしている『黄金海賊船エルドラードのアビスローバー』の軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、円卓の騎士随一の速度を誇るジェネラル級ドラゴン『パーシヴァル』の軍勢です。
 『パーシヴァル』は、その速度を生かした遊撃隊として、各戦場を支援する役割を任されているようです。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑥パーシヴァル」の敵残存率を低下させます。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#幻想竜域キングアーサー
🔒
#【幻想竜域キングアーサー奪還戦】最速の遊撃部隊
🔒
#幻想竜域キングアーサー奪還戦
🔒
#パーシヴァル


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選択肢👾大群のトループス級『騎士竜ナイトドラゴン』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)配下のトループス級クロノヴェーダ(👾)の大群と戦闘を行います。
 敵の数が多いので、撃退するには時間が掛かるかもしれません。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える行う必要があるでしょう  詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。