【幻想竜域キングアーサー奪還戦】汚名返上のために(作者 瀬和璃羽)
#幻想竜域キングアーサー
#【幻想竜域キングアーサー奪還戦】円卓の間の破壊者
#幻想竜域キングアーサー奪還戦
#王の偶像『クロム・クルアハ』
⊕
●叱責された騎士。
「ディアボロスの甘言に騙されるとは、このクロム・クルアハ一生の不覚であった」
イギリス北部、かつては幻想竜域キングアーサーの王城であったキャメロット城を望む小高い丘の上。
円卓の騎士であるクロム・クルアハは、配下の兵に命じ『巨石』を運び込んでいた。
彼は先日のキャメロット城攻城戦の折り、円卓の間を守護すると言う王命を帯びながら、ディアボロスの圧倒的な攻撃の前に怯んでしまい、あまつさえディアボロスの言葉に乗せられて円卓の間を明け渡すと言う失態を行ってしまっていた。
それを主であるアーサー王に叱責され、その汚名を返上すべくディアボロスの手に落ちた円卓の間を破壊すべく準備を進めているのであった。
「この命を捧げてでも、この作戦を成功せねば。それにしてもストーンヘンジが健在であったなら、このような準備も必要なく円卓の間を破壊出来というのに……」
悔しそうなクロム・クルアハの背後で、運び込まれた巨石が規則正しく円環上に並べられていく。
クロノ・オブジェクトで出来たキャメロット城を破壊するには、それこそ『聖剣』レベルの攻撃力が必要。
だがおいそれと切り札を切る訳にはいかないため、簡易版ストーンヘンジを用意し破壊の儀式を行おうと言うのだ。
「アーサー王陛下、我が忠誠を見届けて下さい」
今度こそ命を賭ける覚悟のクロム・クルアハに、隙は無かった。
「皆さん、キャメロット城の攻略、お疲れ様でした。皆さんの活躍の結果、幻想竜域キングアーサーの断片の王アーサー・ペンドラゴンを討つ絶好の機会がやってきました」
新宿島は新宿駅、その一角にある何時もの本棚の前に、時先案内人の月読・栞がディアボロスたちを迎えてくれた。
幻想竜域キングアーサー……その主たる種族のドラゴンたちは何れも強大な力を持ち、妖精郷を滅ぼす寸前まで追い込むなど、クロノヴェーダの中でも最強種たるに相応しい特別な存在であった。
だがディアボロスの活躍によって多くの円卓の騎士が討ち取られ、竜域ダンジョンを失い、妖精郷からも撤退し、そして≪七曜の戦≫の結果アイルランドとグレートブリテン島の南半分を失うことになった。
そして絶対不可侵であったはずの王城、キャメロット城もディアボロスの奇襲攻撃で陥落した今こそ、断片の王であるアーサー王に戦いを挑む絶好の機会。
そう栞は告げるのだが、だがその表情は曇り顔。
ふぅ、とため息を漏らしながら、彼女は話を続ける。
「ですが、アーサー王はまだ勝利を諦めておりません。我々がディアボロス・ウォーの際に使用する新宿島を破壊して、ディアボロスを撃退する準備を整えて待ち構えているようなのです」
新宿島はディアボロスの本拠地……攻防一体の拠点であるが、同時に本拠地を敵の前に晒しだす行為でもある。
TOKYOエゼキエル戦争の大天使からの情報もあるのか、『聖剣』の威力に自信があるのか、アーサー王は新宿島壊滅を狙っていると言う。
そして、更に自らが敗北したとしても『幻想竜域』を残すべく、王妃竜グィネヴィアをゴンドワナ大陸に移動させ、未知のディヴィジョンである『空想科学コーサノストラ』とも密約を結んでいるとの情報も。
「……厳しい戦いになると思いますが、あと一歩、皆さんの力をお貸しください」
栞は両手を組み、ディアボロスたちを見つめるのであった。
「今回の作戦は、前回手に入れた円卓の間の防衛になります。円卓の間のクロノ・オブジェクトは運び出せる物は運び出しましたが、特に円盤状の『円卓』など、動かせない物も多くあります。恐らくアーサー王としては他勢力……私たちディアボロスに渡すことは、非常に厄介なことになると判断したのでしょう」
直径100メートル近い青い円盤状のクロノ・オブジェクト『円卓』……未だその使用方法は分からないが、どうやら『幻想竜域』を存続させるにあたり、他勢力に渡したくない物なのだろう。
ドラゴンたちは簡易版のストーンヘンジを用意し、円卓の間の破壊を狙っている。
それを防がねばならない。
「それと、アーサー王の『聖剣エクスカリバー』による攻撃は、新宿島を両断しパラドクストレインが発着する『新宿駅』の消失が予測されております」
聖剣による攻撃を阻止するためにも、残るドラゴン勢力を事前に減らし、ディアボロス・ウォーでは速やかにアーサー王を撃破する必要がある。
新宿駅を失えば、今までのような活動は出来なくなることは目に見えて明らか。
新宿駅の喪失を防ぐため、そして彼らが破壊しようと必死の円卓の間を護るため、円卓の騎士であるクロム・クルアハ配下のドラゴン勢力を削ることは作戦として大きいと栞は告げる。
「ディアボロスの皆さん……私はここから応援することしか出来ませんが、新宿島のため頑張ってください」
そう言うと栞は、応援の気持ちを込めた差し入れのドーナツを、パラドクストレインの中で食べて下さいと袋一杯に差し出すのであった。
リプレイ
ナイナ・ヴィラネスティズム
SPD
味方との協力・連携重視
絡みアドリブ可
あらあらまあまあ・・・
自身の行いを厳しく怒られましたのね?
私としては頑張れ!頑張れ!頑張れ!の意味を強く持ってお話しいたしましたのに
まずは円卓の間を守るべく敵の進撃を止める立ち回りに興ずる
敵竜に対して挑発的な言葉を並べてこちらに注意を引くよう試みる
まあ!汚名とは挽回するものではなくて?
ここでディアボロスの一人や百人を討ち果たす事もできないのは将として如何なものかと思いますのよ
敵の纏う靄から火球が放たれれば空間を移動・接敵しつつ回避運動の徹底、
直撃を避けるべく自身の体に結界術を施す
敵竜の腹部に接敵できればヴィラネストアーツ
ジャンプからの徒手空拳の連撃と貫通撃を徹底的に叩き込みましょう(グラップル)
味方との連携では味方の攻撃の機会を作れるように敵の目の引きつけ役として立ち回る
まあ!私ばかりに注視していてよろしくて?間合いがガラ空きでしてよ
あら?私を無視していて良かったのかしら?月の見えない後ろが寂しくてよ
オホホホホ!
撤退時は味方に合わせる
孤立厳禁
レオアリア・フォルシオン
ああ、遂に来たのね…
ドラゴンよ、真に『騎士』が報われる日を前に絶叫なさい!
ダメージアップで威力を増強させた『周囲の水分を凝固させ巨大な氷柱を精製する質量攻撃』
『空間そのものから大量の水を生み出し瞬時に凍結させる事で空間ごと凍結する広域殲滅』
『膨大なる水の魔力を生成して大量の鋭い氷の槍に変換し攻撃する単体攻撃』
の三つの術式を自在に組み合わせ、エンディヴァーを攻撃
『対竜同一概念術式』たるパラドクスでドラゴンが繰り出す鉤爪のパラドクスを迎撃
他に使える残留効果も組み合わせてドラゴンの攻撃を凌ぎ、反撃を叩き込むわ
アーサー王の聖剣が放たれればただじゃ済まないでしょうね
けれども、先手を打ったのはわたくし達!
このまま優勢を確保したまま押し切るわ!
クロム・クルワハが出てきたら即座に撤退
使える残留効果を使い、攻撃を受ける前に戦域から離脱するわ
報告書では『アーサー王は私の生還を喜びこそすれど、叱責はせぬだろう』とは言ってたみたいだけど、違ったみたいね?
アンゼリカ・レンブラント
なんだかとてもクロム・クルアハは怒られたんだ
ですよねー、と思ったりするけど
まぁ私たちの知るところじゃないね
確保した円卓は有益に使う、破壊させはしないよ
これまでと同じ!仲間と動きを合わせ仕掛けるね
踏み込むときも勿論気合十分っ!パラドクスの格闘攻撃をお見舞いだよ
反撃もしっかり堪えてそのまま近接戦
POWで積極的に仲間をディフェンスし反撃の機会を得る
そのくらいの爪!アーサー王の剣に比べればたいしたことないよ!
私は黄昏殺しのアンゼリカ、さぁかかってこいっ
過信はしないけど、味方陣営を鼓舞するように叫び、
腹筋を引き締め耐えながら戦っていくよ!
これまで戦い抜いてきた自分と、心強い仲間たち
負けるはずがないよ
奪還の志とともに、最大まで輝け私の光!
パワー全開の《光獅子闘拳》を受けてみろーっ!
さぁこれで終わったかな
クロム・クルアハが現れたら仲間と示し合わせ撤退
隙を作らないよう孤立しないよう引く時も動きを合わせて引くよ
残念だけどクロム・クルアハ、汚名返上の機は渡さないよ
戦争のときは、まず最初に落としに行くからね!
天破星・巴
アドリブ&辻連携歓迎
ドラゴンとの決戦の時がやっと来たのじゃ。
ドラゴンと鬼では鬼の方が優れていると言うことを証明するときじゃ。
巨大なら良いというではなく、鍛え上げらた膂力こそ重要だと魂に叩き込んでやるのじゃ。
同じ戦場にいる仲間と連携を取り孤立や深追いしないように注意しながら確実に敵の戦力をそぐように行動
太陽・月・星の光を集めて光の爪を生成し切り刻む『三光爪』で敵の鉤爪を切り落とし返す刃で首を落す
『私』怨竜とは陰気な性格をした竜が居るものじゃのう、自己中なのは竜の性質なのかのう。
汚名を返上すべく戦場に乗り出してくる可能性は高そうじゃったが…
不覚を取ったことで慎重になっておるのかのう。
それならそうで慎重になっているうちに戦力を削らせて貰うだけじゃ。
クロム・クルアハが現れたら殿となり味方が撤退するまでの時間を稼ぐべく光の爪て斬りかかり、実力を見定める
今は退くが汚名で汚れたその首洗う機会なく落とさせてもらうのじゃ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
いよいよ戦争か。出来るだけ戦力は減らしておかねぇとな
ここで倒れたら元も子もないから気をつけていこう
円卓、壊される前に奪っておきたいところだな
【行動】
仲間と声を掛け合い積極的に連携する
まずはパラドクスを使い銛とそれを撃ち出す銛撃ち銃を製作し装備する
そのまま使える残留効果を使用しながら一定の距離を保ち
銛を撃ち込んで遠距離攻撃をする
近づいてくる対象への攻撃なら近づかなければいいんだ
銛の貫通力が高いとはいえ竜の鱗を纏う相手だ
当てずっぽうではなく
目や口といった少しでも通りやすい部分を狙う
効くようなら翼膜に当てられれば行動を制限できるかもしれない
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で防ぎ払う
自分から後方に跳んで衝撃を殺せばダメージをより減らせそうだ
必要な時は臨機応変に対処する
シル・ウィンディア
クロム・クルアハ、ここでまた来るんだよね。
円卓ってそこまですごいものなんだね~。
…でも、それがわかったらこっちも是が非でも守って見せないとね。
それじゃ、いきましょうかっ!
パラドクス通信は常に使用状態に。
攻撃タイミングを合わせたり、敵が誰を狙っているかが分かった時の連絡用だね。
…まぁ、攻撃対象者に伝えても当たるんだけどね、パラドクスだから。
でも、心構えができるとできないじゃ違うしね。
接敵したら、高速詠唱で七芒星精霊収束砲を撃っていくよ。
一撃必殺とは言えないけど、でも、ただじゃすまない魔砲をプレゼントしてあげるっ!
敵の攻撃に対しては、マントで体を覆って防御動作を。
熱い熱いっ!?でも、熱さだけじゃ倒せないからね、わたしたちはっ!!
WIZでディフェンス可能な味方がいるならディフェンスを行うよ。
…そのまま反撃もプレゼントですっ!!
敵がかなり弱ってきたら
全力魔法の七芒星精霊収束砲!
…薄明殺しの魔砲の威力をその身で味わってねっ!
さぁ、遠慮なく全部もってけーーっ!!
ふぅ、ひとまず落ち着いたかな?
ファギー・ルヴァン
※アドリブ、連携歓迎
……エンディヴァー…貴方は、そんな名前だったんだ…
黒い体に真っ赤な瞳…あの時見た姿そのまま…別個体かもしれないけど、それでも、やらなきゃ…
あの時は、どうしようもなかったけど、今なら平気…だって、今は、こんなにたくさんの味方がいるんだから。もちろん、コロロもだよ
だから、一緒に戦おうね…行こう、コロロ。
他の味方たちより後方に立ち、【高速詠唱】で魔法攻撃。
その間は相棒のコロロに周囲索敵してもらいます
攻撃が来たら回避行動または魔法で相反
この熱さや痛み…あの時と比べたら全然なんともないんだから…
エンディヴァーの動きの隙を見つけたら、すかさず【高速詠唱】で『咲かせるは、狐百合』を発動します
この炎は、過去の絶望ではなく、未来への希望…この炎は…数多の敵を焼いた私の願い。
……さあ、貴方も、この炎に焼かれてしまいなさい…!
クロム・クルアハが出現したら、状況を見ながら仲間たちと撤退開始
コロロ、今はまだ攻めるときじゃないよ…必ず、倒しにいこうね
ガンドラ・ブラッディア
■連携・アドリブ歓迎
あの会話の時、クロム・クルアハが、想定していた通りに、ならなかったか。
とはいえ奴は、叱責こそされたが、それは器の小ささから、来たものでは、ないだろうな。
腹立たしい話だが、アーサーの視点は、大局を見ている。
故にこそ、命を賭して、忠義を示すのだろう。その点においては、敬意を表する。
無論我輩らは、不倶戴天の間柄。
その忠義を超え、企てを打ち砕くのみ。
竜呪剣『隕星』を、精製する。
呪いの黒曜石塊を、敵へ落下させ、或いは自在に振り回し、その質量を以て、粉砕してくれよう。
反撃に対し、【ガードアップ】や、【アヴォイド】等、有用な残留効果が、あるのならば、活用しながら、黒曜石塊や、竜呪剣『隕星』自体で、可能な限り、致命打は防ぐ。
今度こそ、クロム・クルアハを討ち、真に円卓を手にする、第一歩なのだ。
此処で引くは、絶対にない。
――砕け散れ。
全ては世の、平和が為……!
クロム・クルアハが、出現した場合、素早く撤退を。
お互い様だろうが、敢えて言おう。
覚悟せよ。次に会った時、それがお前との、決着なのだ
●紫怨竜エンディヴァーとの決戦。
「円卓の間での会話……クロム・クルアハが、想定した通りに、ならなかったのか」
幻想竜域キングアーサー……残されたイギリス北部の領土。そしてディアボロスにより落城した王城キャメロット城。
そのキャメロット城を見下ろす丘へと向かいつつ、ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)が複雑そうな顔を見せる。
「栞の言うところだと、アーサー王になんだかとても怒られたみたいだね」
同じようにむむむと言う顔を見せながら答えたのは、アンゼリカ・レンブラント(黄昏殺し・g02672)だ。
彼女はどちらかと言うとクロム・クルアハの処遇よりも、今回確保した『円卓』が、アーサー王が破壊を命じる程にそれほどまで凄いクロノ・オブジェクトなのかと言う興味の方が勝っていた。
「あらあらまあまあ……私としては頑張れ! 頑張れ! 頑張れ! の意味を強く持ってお話しいたしましたのに……」
そう心外ですわ、と口元を隠すのはナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)……目の端が笑ってるのは、きっと気のせいだろう。
「クロム・クルアハ、ここでまた来るんだ……円卓って、そこまで凄い物なんだねー」
シル・ウィンディア(薄明殺し・g01415)の言葉に、だからこそクロム・クルアハに汚名返上の機会が与えられたのだろうとガンドラが告げる。
「腹立たしい話だが、アーサーの視点は、大局を見ている。故にこそ、命を賭して、忠義を示すのだろう。その点においては、敬意を表する」
アーサー・ペンドラゴン……幻想竜域キングアーサーの断片の王。
最強種たるクロノヴェーダ、ドラゴンの王である彼が見ているのは、幻想竜域の未来。
迫る歴史奪還の戦い、ディアボロス・ウォーに備え、そしてそれに敗れたとしても幻想竜域を生き残らせるため、その障害となる『円卓』を破壊する。
円卓の破壊には、残る貴重な円卓の騎士の命を賭けても良いと判断するだけの何かがあるのだろう。
冷静に部下の命を天秤に乗せる判断を下せるアーサー王の度量に、ガンドラは恐ろしさを感じるのであった。
「いよいよ戦争か……出来るだけ事前に戦力は減らしておかねぇとな。だがここで倒れたら元も子もないから気を付けていこう」
そう鼓舞する荒田・誠司(雑草・g00115)の声に、天破星・巴(反逆鬼・g01709)はやっと出番が来たと張り切っていた。
「ようやくドラゴンとの決戦の時が来たのじゃ! ドラゴンと鬼では鬼の方が優れていると言うことを証明するときじゃ……巨大なら良いというではなく、鍛え上げらた膂力こそ重要だと魂に叩き込んでやるのじゃ!!」
鬼人である巴は、鬼より竜が優れていると言われるのが気にくわなかった。
だからこそ、ドラゴンとの決着をつけるこの戦いに燃えていた。
同様に、騎士としてドラゴンに決着をつけたい者が居た……レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)だ。
「ああ、遂に来たのね……ドラゴンよ、真に『騎士』が報われる日を前に絶叫なさい!」
幻想竜域キングアーサーの出身であり、ドラゴンに故郷を滅ぼされたレオアリアにとっては、この幻想竜域の行く末を賭けた戦いは、まさに悲願成就の時……だがまだその始まりでしかない。
誠司は無茶をするなよと巴とレオアリアに念を押す。
何せ本番前のリタイアほど、悔しい物はないからだ。
「ファギーは大丈夫か? ファギー?」
最後列を行くファギー・ルヴァン(明けぬ夜森の魔法つかい・g00880)に誠司は話しかけるが、彼女は何かに集中しているのか気付かない。
「……エンディヴァー。貴方は、そんな名前だったんだ……別個体かもしれないけど、それでも、やらなきゃ……」
彼女が呟いたエンディヴァー……それはこの先に待っているアヴァタール級ドラゴン、『紫怨竜エンディヴァー』の事だろう。
事情があるのか……そう判断した誠司は彼女をそっとしておく。
そんな風に思われているとは知らず、何やら思いつめた様子のファギーに、彼女のサーヴァントであるモーラット・コミュの『コロロ』がもきゅっと頬を擦り寄せる。
「うん、大丈夫……ココロも一緒だから、もう平気。だから、一緒に戦おうね……行こう、ココロ」
頼もしい相棒の姿に、瞳を細くし頬を擦り返すファギーなのであった。
『貴様たちがクロム・クルアハ様を騙したと言うディアボロスか……よくとまあ、のうのうと我の前に現れた物だ』
キャメロット城を見下ろす丘の上にあると言う、『巨石』を運び込んで建築している簡易ストーンヘンジ。
そこに至る山道で、そのドラゴンはディアボロスたちを待っていた。
紫色の霞を纏った黒龍、アヴァタール級ドラゴン『紫怨竜エンディヴァー』……その姿を見たファギー・ルヴァンの心臓がドクンと高く鼓動を打つ。
「まあ! 騙したとは失礼ではなくて? 騙された方が悪いのですわ……それに、円卓の騎士たる者がディアボロスの一人や百人を討ち果たす事もできないのは、将として如何なものかと思いますのよ」
動揺するファギーの前に立つように、ナイナ・ヴィラネスティズムがエンディヴァーを挑発する。
エンディヴァーは主を煽られ、言葉で嬲られ、黙っているほど優しいドラゴンではなかった。
紫の霞が蠢く……そんななか、ナイナは堂々と前へと進むと、ぎゅっと右拳を握りしめる。
「まあまあ! 私ばかりに注視していてよろしくて? 間合いがガラ空きでしてよ……令嬢制裁! 拳に込めるは怒りの打擲!」
その言葉と同時に一気にエンディヴァーの懐に潜り込んだナイナは、パラドクスで強化した右拳を彼の腹部へと深く打ち抜く。
だが流石はアヴァタール級と言うべきか……不意打ち気味のその一撃を腹筋に力を入れて耐えると、お返しとばかりに紫の霞を消費し複数の火球を生み出す。
『小生意気なディアボロスよ……クロム・クルアハ様の分まで、我が仕置きしてやろう』
火球に狙われたナイナであるが、それを救ったのは荒田・誠司であった。
「近づいてくる対象への攻撃なら近づかなければいいんだ、撃ち抜け!」
右腕でにパラドクスで銛撃ち銃と弾になる銛を即席製作した誠司は、ナイナを狙おうとした火球諸共エンディヴァーの竜鱗に覆われていない目や口を狙い撃ち放つ。
飛んで来る火球に対しては、一人乗りのジェットボードになる盾、『フェイク・プリドゥエン』のジェットを吹かし後退と風圧での回避を同時にやってのけた。
「ナイナ、近づくなら先に言って欲しいぜ」
「後ろは信じてましたもの、私。さあエンディヴァーさん。私を無視していて良かったのかしら? 月の見えない後ろが寂しくてよ! オホホホホ!」
合流し、高笑いしてエンディヴァーを更に煽るナイナに、仕方ないなと言う顔をしながら、装着した『解析能力補助ゴーグル』の緑の視界に黒龍を捉える誠司。
その視界の先では、エンディヴァーが火球での制圧攻撃は諦めたのか、鋭い紫の鉤爪を光らせていた。
「クロム・クルアハが、叱責されたらしが、それは彼の器の小ささから、来たものでは、ないだろう。だが無論我輩らは、不倶戴天の間柄。その忠義を越え、企てを打ち砕くのみ」
パラドクスで刀身が禍々しく鋭利な黒曜石が埋め込まれた、マカナ形状の呪剣を精製したガンドラ・ブラッディアがその刃を振り上げると、彼女の頭上に精製された呪いの黒曜石塊が出現する。
「砕け散れ。呪いの木剣を、以て放つは、暴れ壊し往く、絶滅の黒塊……!」
『ほう、我を呪うか!』
力ある叫びと共に落下する呪いの黒曜石は、呪詛をばら撒きながら敵を打ち砕くべく自在に針路を変える。
それに対応するかのようにエンディヴァーは翼を広げながら高速移動し、流星が落ちる前にガンドラを斬り裂こうと爪を構えた。
「今度こそ、クロム・クルアハを討ち、真に円卓を手にする、第一歩なのだ。此処で引くは、絶対にない。……砕け散れ。全ては世の、平和が為……!」
物理限界を超えた軌道を描き、呪いの黒曜石はエンディヴァーへと命中する。
だが……それを打ち砕きながら、殺気がガンドラに迫る。
『なかなか……痛かったぞ!』
「くっ!?」
手にした呪いの剣を盾にし、辛うじて鉤爪の直撃を防ぐガンドラであったが、その身体は大きく吹き飛ばされる。
返す刃で、レオアリア・フォルシオンを狙おうとするエンディヴァーであったが、彼のその攻撃はレオアリアの予想の範疇であった。
「復元せよ、我が歴史。それは婚姻者を冒涜する者を滅ぼす氷雪の歴史。その復元を以て我は神聖なる婚姻を司る守護者となろう……!」
レオアリアの力ある言葉と同時に、『周囲の水分を凝固させ巨大な氷柱を精製する質量攻撃』 『空間そのものから大量の水を生み出し瞬時に凍結させる事で空間ごと凍結する広域殲滅』 『膨大なる水の魔力を生成して大量の鋭い氷の槍に変換し攻撃する単体攻撃』の三つの術式が同時に起動する。
彼女が生み出した『対竜同一概念術式』と言うパラドクスでエンディヴァーの鉤爪を防ぐと、そのまま逆に反撃を叩き込む。
『ふむ、なるほど……クロム・クルアハ様が苦戦為された訳だ』
反撃を受けた紫の鉤爪を見ながら、レオアリアたちディアボロスの姿を見るエンディヴァーに、彼女は赤い髪をたなびかせながら告げる。
「アーサー王の聖剣が放たれればただじゃ済まないでしょうね……けれども、先手を打ったのはわたくしたち! このまま優勢を確保したまま押し切るわ!」
『そう上手くいくかな? まず目の前の我に勝たねば、だ』
胸を張るレオアリアに、不敵な笑みを浮かべて返すエンディヴァー。
ふふふと笑い合う二人は、同時に弾けるように距離を取った。
「さあ、私は黄昏殺しのアンゼリカだ! 紫怨竜、勝負だっ!」
エンディヴァーの間合いにそう叫びながら飛び込んできたのは、アンゼリカ・レンブラント。
気合いを入れた太陽のような黄金の輝きを放つ彼女に、エンディヴァーは一瞬目を細める。
『これはまた威勢が良い……黄昏殺しか、たいそうな名だ』
そう言い、紫の軌跡を描きつつ鉤爪を振るうエンディヴァーの一撃を、アンゼリカは拳に付けた手甲『戦姫闘拳『Shine Fist』』から生み出す黄金のオーラと鍛え抜かれた肉体で耐える。
「そのくらいの爪、アーサー王の剣に比べればたいしたことないよ! キングアーサー奪還の志とともに、最大まで輝け私の光! パワー全開の《光獅子闘拳》を受けてみろーっ!」
アーサー王の剣を受けただと!? そう驚くエンディヴァーへと向け、黄金のオーラを全身に纏ったアンゼリカが弾丸のように翔ける。
そして右拳、左拳、右胴回し、左踵落としと次々と拳や膝、蹴りがエンディヴァーへと向けて飛んで来る。
「なるほど、ドラゴンと言えど足を止めての打ち合いには弱いのじゃのぅ……それにしても『私』怨竜とは陰気な性格をした竜が居るものじゃ。自己中なのは竜の性質なのかのう?」
アンゼリカの攻撃を観察していた天破星・巴は、わらわも参戦するのじゃと太陽・月・星の天の三光を集め光の爪を生成する。
『私怨などではない、これは幻想竜域キングアーサーを賭けた争いだ!』
ウエイトで勝るエンディヴァーは、その体格差でアンゼリカを吹き飛ばし、巴へと迫る。
「ふむ、体格差で弾いたか……なら巨大なら良いというではなく、鍛え上げらた膂力こそ重要だとわらわがその魂に叩き込んでやるのじゃ」
巴は振り下ろされる鉤爪を、ハサミ状にした光の爪で受け止め、そして切り落とす。
「やはり、アンゼリカどのの攻撃で脆くなっておったのぅ。それにしてもクロム・クルアハ……汚名を返上すべく戦場に乗り出してくる可能性は高そうじゃったが、配下の危機にも現れんところを見ると、不覚を取ったことで慎重になっておるのかのう」
怒りの悲鳴を上げるエンディヴァーに注意を払いつつも、周囲を索敵する巴。
だが彼女の警戒網により強大なドラゴンの気配は感じなかった。
『よくも……よくも我の爪を! 貴様ら、許さんぞ!』
「あれは……ダメです!」
紫の爪を巴に切り落とされた怒りからか、エンディヴァーの全身を覆う紫の霞が消費され、彼の口に炎のブレスが生み出される。
その光景を見た、後方から警戒していたファギー・ルヴァンが警戒の声を上げる。
あれは知っている……あの炎に焼かれれば、紫の霞の一部となってしまう。
最大級まで警戒心を高めたファギーであったが、その視界が急に紫のモコモコに包まれた。
「それっ!」
「ふぇ!?」
押し付けられたのは、彼女のサーヴァントであるモーラット・コミュの『コロロ』。押し付けたのは青い髪の少女、シル・ウィンディアだ、
「落ち着いて、ファギーさん。わたしたちはディアボロス……以前のあなたがどうだったかは分からないけど、今のあなたなら大丈夫なの」
目を閉じて、深呼吸して……そうシルに言われ、ココロの香りを深く吸う。
……日向ぼっこした猫のような、落ち着く香り。
「うん、もう大丈夫! それじゃ、一緒にエンディヴァーへ止めを刺しちゃおう!!」
「はいっ! ココロもありがとう。花よ、今こそ満天の星の如く、美しく咲き乱れよ……!」
愛用の魔法の杖『不変なる導き【アンリベラルリーダー】』を構え、力ある言葉を唱えるファギー。
その言葉と同時に彼女の頭上ではグロリオサをイメージした花々が咲き乱れ、そこから炎が溢れ出す。
まるで天が燃えているかの光景に、うんと頷いたシルも、風翼の装飾と杖頭に藍鉱石の蕾を鏤めた白銀の長杖『世界樹の翼『ユグドラシル・ウィング』』を構える。
「六芒星に集いし世界を司る6人の精霊達よ、過去と未来を繋ぎし時よ……。七芒星に集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれっ!!」
火・水・風・土・光・闇の精霊の力に、更に時の力を乗せた七芒星を眼前に描いたシルの背中から四対の魔力翼が展開し、その翼を大きく開くと、極大魔砲の反動に備える。
「薄明殺しの魔砲の威力をその身で味わってねっ! さぁ、遠慮なく全部もってけーーっ!! 七芒星精霊収束砲!!」
「この炎は、過去の絶望ではなく、未来への希望……。この炎は、数多の敵を焼いた私の願い。……さあ、貴方も、この炎に焼かれてしまいなさい……!! 咲かせるは、狐百合!!」
エンディヴァーが放った炎のブレスをシルの魔砲が撃ち抜き散らし、ファギーの火炎が無防備となったその身を焼く。
『そ、そんな、我が、我が……!』
空を炎で焦がしながら、紫の霞は消えていくのであった。
「ふぅ、ひとまず落ち着いたかな?」
そう告げるシルの声に、ファギーは集中を切らしたかのようにしゃがみ込む。
「そうですね……コロロ、今はまだ攻めるときじゃないよ? そうだね……必ず、倒しに行こうね」
シュシュっとやる気を見せるココロに、今はまだその時じゃない……そう告げるファギー。
こうして、決戦に備え有力な敵を倒したディアボロスたちは、クロム・クルアハが来襲する前に撤退するのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV5が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!