ハロウィンナイトからの脱出(作者 音切)
#最終人類史(新宿島)
#最終人類史のハロウィン2023
#ハロウィン
#地獄変
#新宿島大結界
⊕
見知らぬ部屋で、キミたちは目を覚ました。
石の床は冷たく、鉄格子が見える。
「牢屋? ここは一体……」
訝しげに周囲を見回したキミたちは、己の異変に気付く。
「この姿は
……!?」
妖怪、鬼。あるいは、お化けや怪物。
確かにヒトであった筈のキミたちの姿は、そう呼ばれるべきものへと変化していた。
「キヒヒ……」
動揺を隠せないキミたちの耳に、不気味な笑い声が響く。
キミたちが振り返ると、そこには執事服を纏ったフランケンシュタインが居た。
「あなた方は人間の世界より此処に連れてこられ、儀式を受けたのですよ」
我々の仲間になる儀式をね……と。
執事服のフランケンシュタインは言う。
「あと二時間ほどもすれば、ハロウィンの夜が始まります。そうなれば、あなた方はもうヒトには戻れない」
我々の仲間として、永遠にこの館で過ごす事になると。フランケンシュタインが怪しく笑えば。
「ふざけるなよ!」
キミたちと共に捕らわれていた人狼の男が、フランケンシュタインに掴みかかる。
ガシャンと、鉄格子が音を立て。
僅かに顔を顰めたフランケンシュタインは、人狼を突き飛ばした。
「……くっ」
「何をしても無駄です。あと二時間、ここで大人しくしていなさい。私は忙しいのでね」
大切なお客様方への、おもてなしもせねばなりませんので……と。
意味深に『キヒヒ』と笑い声を上げて。フランケンシュタインは牢を後にした。
「ずっとこの姿のままなんて……そんな。何としても脱出しないと……!」
だが、こんな牢に閉じ込められて、一体どうしたらいいのか……。
途方に暮れるキミたちに、人狼の男が声を掛ける。
「お前たち。俺と一緒に、ここから脱出する方法を考えてくれないか?」
さっき、あのフランケンシュタインともみ合った時に、こいつを奪ってやったんだ……と。
人狼の男が取り出したのは、『牢屋の鍵』と『地図』。
「これで何とか、この牢からは出られると思うんだ。そしてこの建物は……デカい屋敷らしいな」
人狼の男が広げた地図に、キミたちは視線を落とす。
キミたちが今いる場所は、『隠された地下牢』の内の一部屋。
そこから出て唯一の階段を上れば、一階の『物置部屋』に出る事が出来る。
館の一階フロアには、『食堂』『書斎』『厨房』と、いくつかの『使用人室』。
そして、『エントランス』の正面玄関には、大きな鍵のマークが描かれている。
東西にある階段を上がると、そこは二階フロア。
『子供部屋』が二つと、『夫人の部屋』が一つ。そして沢山の『客室』。
そして、西階段を上がって三階フロアへ行けば『主人の部屋』と、何の記載もない『謎の部屋』がある。
「鍵があれば、この玄関から逃げられそうか? だが、この儀式の呪いはどうしたら……」
困ったように、ぐるる……と。狼男が喉を鳴らす。
キミたちの目標は二つ。
一つ、儀式の呪いを解き、元の姿へ戻る事。
二つ、この館から、無事に脱出する事。
その為には、何をすればいだろう?
キミたちは顔を見合わせて、知恵を絞る。
「とにかく、情報が要るな。分からない事が多すぎる」
「手分けして、屋敷を探索しますか?」
「そうだね。でも、あのフランケンシュタインに見つからないようにしなきゃ」
「そう言えば、あいつ大切なお客様がどうとか言ってなかった?」
「私たち以外にもお客さんが来てるなら……聞き込みとかできそうかも?」
「え、危なくない?」
「でも、俺たちが儀式を受けて、すぐにこの牢に閉じ込められたのなら……今の俺たちの顔って、あの執事しか知らないんじゃ?」
一通り相談を終えたキミたちは、行動を開始する。
本来の姿を取り戻し、元の世界へと帰るために――。
●
「……という設定の、脱出ゲームなんだよ」
集うディアボロス達を見回して、綴・稀夜(妖狐の魔導忍者・g08573)は、今年のハロウィンの説明を始める。
「今年も『地獄変』でのエネルギーの集積も兼ねて、色んなハロウィンパーティーが企画されてるからね」
一般の人も、そして勿論ディアボロスたちも笑顔で盛り上がれるようにと。
稀夜が企画したのは、リアル脱出ゲーム。
その名も、『ハロウィンナイトからの脱出』である。
会場は、東京のとある大きなホテル。
その一部の階を貸し切って、ハロウィンらしいホラーテイストの洋館風に内装を仕上げてある。
「それでまずは……言うまでもない事だけど、一応これハロウィンパーティーだから『仮装』は必須でお願いね」
一番大切な注意事項を先に伝えて、稀夜は脱出ゲームのルールを説明してゆく。
プレイヤーとしてゲームに参加する者たちは、『隠された地下牢』という場所からスタートし、この謎の館を探索してもらう事になる。
何処に向かって、何をするのかによって。様々な謎や、それを解くためのヒントが見つかる事だろう。
「簡単な謎だと、ディアボロスの皆には手応えがないだろうからさ。しっかりヒントを集めないと解けないようにしてあるから、頑張って探索してみてね。それから……」
ちょっと趣向を凝らして、アクションっぽい要素も用意してみたのだと。稀夜はニヤリと笑う。
「館の中には、色んなNPCさんが居るからね。見つかったら追いかけて来る奴もいるかもしれないよ?」
勿論、ヒントをくれたり助けてくれるNPCもいるかもしれないが、狂言で惑わせてくるNPCもいるかもしれない。
その辺りを踏まえて、どう情報収集してゆくかによって、この脱出ゲームの結末は変わってゆくだろう。
「そうそう。このゲーム、一般の人も一緒に参加するからね。気軽に一人から参加してもらって大丈夫だよ」
一般の参加者たちと上手に連携できれば、一人からでもクリアを目指す事は可能だ。
また、プレイヤーの人数が多い場合は、少人数チームに分かれる形でゲームが複数回行われる事になるため、仲の良い者同士でチームを組んでゲームに挑む事も出来る。
「だから興味があったら気軽に参加していってね。参加側の注意事項としては……」
今回は、一般の参加者もいる手前、パラドクスと残留効果は使用を控えて欲しい。
「鍵付きの扉があったから無鍵空間使っちゃえーとかやったら、ゲームにならないからさ」
不正は、ダメ。絶対……と言う事で、ルールとマナーを守って、楽しく遊んで欲しい。
「それから、良かったら……」
今回は、『NPC役』も募集中なのだと稀夜は言う。
「折角なら、目一杯盛り上げたいからさ。仕掛ける側をやってみたいって人がいたら、ぜひNPC役を演じてもらいたいなと思って」
館の主人や、婦人。子供たち。館に招待されている客人。
フランケンシュタインの執事に、プレイヤーと共に捕らわれていた人狼等。配役は沢山ある。
「それ以外にも、こんなNPCが居ればきっと盛り上がる! って思うような役があれば、オリジナルの役でもいいよ」
そこは器用なディアボロスたちの事。
どんなNPCで、どのような役回りやセリフ回しをしたいか、設定を練ってくれれば。なんやかんやいい感じにストーリーが盛り上がる事だろう。
だから細かい事は気にせずに、好きにやってみたい役回りを演じてくれて大丈夫だと。しれっと丸投げして。
「……という訳で、ディアボロスとしてのお仕事うんたらは、今日は横に置いといて」
思いっきり楽しんできて、と。
稀夜は、ディアボロス……否、古今東西の妖怪、鬼。あるいは、お化けや怪物たちを、送り出すのだった。
●
ギィィィィィィ――。
軋んだ音を立て、牢の扉が開く。
大きく響いた音に、キミたちは息を呑んだ。
緊張に、空気は張り詰め。数秒の沈黙が続く。
「……どうやらあの執事は、近くにはいないようだね」
その言葉に、大きく息を吐いたキミたちは、ようやくその牢から出て……。
「奥に、別の牢もあるのか」
「一階に上がる階段は、こっちですね」
「とにかく情報を集めて……必ず全員で脱出しましょう」
そう頷き合い、探索を開始するのだった。
リプレイ
山田・菜々
『P』
リアル脱出ゲーム、楽しそうっすね。参加させてもらうっす。
仮装は吸血鬼。
このエントランスの鍵のマーク、ここで条件を満たせば、クリアってことっすかね。
他に何か情報がないか、『エントランス』を調べるっすよ。
それじゃあ、各部屋の探索っすかね。
『書斎』から調べていくっすよ。
ふむ。こういうところって、引き出しとかを片っぱしらから開けてみたくなるっすよね。
あとは本棚っすか。さすがに全部、読んでみるわけにはいかないし、何か、情報がでてきてからっすからね。
ひととおり調べたら、エントランスに戻って、他の参加者と情報共有するっすよ。
山元・橙羽
N
肝試しや節分等で必要な「【士気高揚】を打ち消す程怖い仕掛け」なんか全く思いつかない僕にとって、ハロウィンが唯一のエネルギー補充チャンス!!
チェックポイントとして小部屋の中に首無しマネキン、その側の棚には生首を模した人形数個を並べて置いておきます。
部屋に入ると「私の頭は何処…?」とすすり泣く声が聞こえて来ます。マネキンに対応する首を正しく組み合わせれば「ありがとう」の声とともに奥にある次のエリアへの扉が開くという仕組み。
実は生首のうちの一つは僕です(首から上だけを出し、その下の胴体が見えないよう棚に仕掛けをしてある)仕掛けの操作、組み合わせを間違えた人にヒントを教える係とかやってます。
白装束の首無しマネキンが首元から赤く染まっていく、とか面白いかも?
でも調子ぶっこいて大声で騒いだり落書きしたり仕掛けをひっくり返したりするクッソやかましい暴走族(僅かな函館の記憶)…もとい悪い人には、突然めっちゃ怖い造形になった生首&首無し軍団が「元に戻して行けぇぇ!!」と襲い掛かって来るかもよ?
「……人影はないっすね」
ばさりと、黒いマントを揺らして。
今宵、吸血鬼に扮した山田・菜々(正義の味方の味方・g02130)は、物置部屋を後にする。
キャンドル型のランプに照らされた廊下は薄暗く、コウモリや南瓜のオブジェがそこかしこに置かれていて。
何ともハロウィンらしい雰囲気に、好奇心が疼く。
「それじゃあ、情報収集開始っす」
菜々と同じ、プレイヤーであるミイラ男やセイレーン。怪しい怪盗たちと、顔を見合わせ頷き合って。
菜々が最初に目指すのは、エントランス。
(「この鍵のマーク……」)
広げた地図に描かれた鍵のマークは、ここに何らかの仕掛けがある事を示しているのだろう。
それが何なのか、まずは確認しなければと。
そーっと、エントランスを覗き込めば。
(「誰かいるっす」)
顔色の悪いゾンビメイドの姿を見つけて、菜々は息を潜める。
『困ったわ』
大きな独り言と共に、溜息を吐いて。ゾンビメイドが奥の廊下へと消えてゆくの確認したら。
大きく息を吐いた菜々は、ようやくエントランスの中へと入ってゆく。
ゾンビメイドの立っていた場所に近づけば、そこに在ったのは……。
「置時計……でも、止まってるっすね。それに……」
振り子の静止した置時計から、くるりと視界を回せば。
閉ざされた大扉に張り付けられた、メッセージカードが目に留まる。
『一つは、時を操る。
一つは、時を動かす。
時を告げる鐘で、私は開く』
「ようやく謎のお出ましっすね」
いよいよ脱出ゲームらしくなってきたと、ニヤリ。
菜々の顔に、勝気な笑みが浮かぶ。
だが、この謎を解くにはまだまだピースが足りないようだ。
次はどの部屋を探索しようかと、考える菜々の耳に。
――ぎぃやぁぁぁぁぁぁ。
誰かの悲鳴が届く。
●
(「そろそろ、誰か来てくれるでしょうか……」)
薄暗い書斎の中。
棚に鎮座する生首こと、山元・橙羽(夕焼け色の蝶・g01308)は、扉へと目を向けた。
肝試しに節分に、『地獄変』でのエネルギーの集積を兼ねたイベントは色々あれども。
絶叫ものの怖い仕掛けなど、そうほいほいと思い付くものではないと、少しハードルを感じている橙羽だけれど。
何せ今回は、ハロウィンという絶好の題材がある。
――書斎かぁ。
扉の向こう、廊下の方に微かに人の気配を感じたなら。
……しくしく、しくしく。
「ひょぇ!?」
開かれた扉から恐る恐る顔を出したプレイヤーに、まずは、すすり泣きの洗礼を。
「な、生首……」
首から下がプレイヤーには見えないように、棚にはバッチリ細工済み。
そのまま目を閉じて。ピクリとも動かない橙羽を、作り物の首だと思ったのだろう。
『マジでリアルだな』などと、油断したプレイヤーがずかずかと近づいてくるのを感じて。
橙羽は、止めの一言を言い放つ。
「私の、体は――」
『何処?(重低音)』の言葉と共に、黄金の目をカッと見開けば。
――ぎぃやぁぁぁぁぁぁ。
ばっちり目の合ったプレイヤーが、絶叫と共に書斎から駆け出してゆく。
「え、待ってください!」
『謎解きは!?』と、プレイヤーを引き留めたくとも、生首役の橙羽には伸ばせる腕の持ち合わせがない。
(「でも、エネルギー補充に貢献できたと言う意味では、喜ぶ所でしょうか
……?」)
しかしながら、ここの謎を解かなければ、プレイヤーたちがキーアイテムを入手できないのも事実。
戻って来てくれるだろうかと、そわそわ。
落ち着かない時間を過ごしていると。
「ここに、喋る生首がいたんっすか?」
どうやら逃げ出したプレイヤーが、応援を呼んで来たようだ。
ここも暗いっすね……と、書斎に入ってきた菜々に向かって。
橙羽は、本日二度目の問いを投げかける。
「私の体は、何処?」
「体と、首……つまり、正しいペアを作れって事っすね」
書斎のあちこちに置かれた、人形の生首と首無しマネキンを見回して。こくりと頷く菜々に、その調子だと。
橙羽もまた、心の中で相槌を打つ
「でも、この二つの首は、ほぼ同じに見えますね……?」
「けれど視線は……見ているものは違うかも」
回収した首を見比べて、首を傾げるプレイヤーにヒントを与えるのも忘れない。
「そう言えば、本棚を見上げているマネキンと、席に座って本を読んでるマネキンがいたっすね」
だから、視線が上向きの首は本棚の所に。
下向きの首は座席にと、組み合わせてゆけば。
――ゴゴゴゴゴ。
効果音と共に、本棚の一部が扉のように開いて。
「やりましたね!」
笑顔で隠し部屋へと入ってゆくプレイヤーたちの姿に、橙羽の表情も綻ぶ。
しかし、それはそれとして。
仕掛けのボタンをポチっと押せば、マネキンたちの衣装が血のように赤く染まって――。
「装備していると、他の人には人間に見えるペンダント……っすか」
「そんなの何処で使うんでしょう?」
隠し部屋の中で、どうやら無事にキーアイテムを手に入れたらしいプレイヤーが、血まみれのマネキンに悲鳴を上げる事になるのは。
もう少しだけ、先のお話――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
荒田・誠司
N
アドリブなど歓迎
【心情】
脱出ゲームか、NPCとして参加したいな
ヒントをあげるのはどうだろうか
【行動】
仮装はジャック・オ・ランタン
カボチャの仮面を付けて上から黒いルーベンスハットを被り
ゆったりとした黒のローブを着ている
先にテーブルの上にハロウィンの合言葉は?と書かれた紙を置いて
客室の一つに光学迷彩とモブオーラで隠れ潜む
トリックorトリートと言われたら姿を見せる
驚かせたなら謝罪しお菓子はないけどとローブの袖口に手を入れるふりをして
アイテムボックスから火の玉が入ったランタンを取り出して渡そうとする
火の玉は装置を改造した物で調べるべき場所を一度だけ教えてくれるようにしてある
もしも謎に息詰まったらこの中の火が教えてくれると伝える
もちろん触れても燃えないけれど触らないように注意しておく
ランタンは残ってしまうのでそのまま持って行ってもいいし
いらないのなら客室のテーブルの上に置いて欲しいと言おう
後で回収しにいく
怖がらせないように穏やかに話して脱出できるように祈っていると伝えよう
赤上・イズル
■ツキと一緒(g04892)
■アドリブ・連携歓迎
さぁ、ツキ!張り切って脱出しましょう!
思わずくそデカボイスで言ってしまって手で口を塞ぐ
そんなイズルは頭部と片目を除いて全身包帯巻き巻きのミイラ男の姿
視界がちょっと悪くて少し動きずらいけど普通に動く分には支障はないっぽい
フランケンシュタインに見つからないようにしなくてはですね!
と改めて気を取り直し慎重に…ツキの手を握って屋敷内を探索します
いろいろ部屋はありますがやはり『謎の部屋』が気になりますか
しかしそこへ行くまでにフランケンシュタインには見つからないようにしつつ
見つけたNPCからには情報を引き出したいですね
嘘をついたら包帯で巻き巻きにしますよ~~と脅してみたり。ふっふっふ~
さて謎の部屋…トラップが仕掛けられてないか気をつつ
フランケンシュタインの恥ずかしい日記とか隠されていたりませんかね
俺が思うに寂しかったんじゃないでしょうか。もっと仲間が欲しかったのかと。
なんて、そんなことを書き記したものがないか探します
儀式の事も書かれていたらいいのですが
ツキシロ・フェルドスパー
イズル君(g04960)と一緒!
アドリブその他諸々歓迎!
よーしイズル君がんばろ―!
と小声で。イズル君の大声にはちょっと慌てて、口塞ぐ。
自分はセイレーンの仮装をするで!
んーと、足元魚に竪琴持った人魚さんやでー!
動かれへん?【浮遊】や【飛翔】で大丈夫大丈夫。
イズル君と手を握って移動だー!
どの部屋調べる?イズル君。
んー……『謎の部屋』が気になるー!いくーー!
見つかりそうになるのあかんし、【光学迷彩】【モブオーラ】で隠れながらいこ。
謎の部屋に入ったらトラップないか<観察>して、調べつついこ。
何があるかなーいいものあればいいなー<幸運>お願いしまーーす!!
なんてね。てへ。
「おぉ」
物置部屋を出て。拓けた視界に長く続く廊下が見えれば、いよいよゲームが始まるのだと。
湧き上がる期待に、赤上・イズル(赤き悪魔・g04960)は声を零す。
「さぁ、ツキ! 張り切って脱出しましょう!」
漲る気合をそのままに。『おー!』と拳を振り上げれば。
「ちょお、イズル君声がおっきい……!」
ツキシロ・フェルドスパー(非日常に迷い込んだ漂流者・g04892)が、慌ててイズルの口を塞ぐ。
フランケンシュタインを始め、何処に危険なNPCが居るか分からないのだ。
だから、声は小さくひっそりと。
「よーし、イズル君がんばろ―!」
振り上げる拳も控えめに、『おー』と小さく声を合わせたら。
今度こそ、探索開始……しようと思っていたのに。
「そこに誰かいるのですか? キヒヒ」
やはり、先程の大声が聞こえてしまったのか。
地下牢でも聞いた特徴的な笑い声が、二人の耳に届く。
「さっきのフランケンシュタインですね。とにかくここを離れましょう」
「あ、待って。自分、今は走られへんねん」
そう言うツキシロも、ここを離れる事には大賛成なのだけれど。
今宵のツキシロは、美しき歌声で人を惑わすセイレーン。
本来、人の足があるべき場所が魚の尾ひれと化している為、特別に『浮遊』の残留効果だけは使用を許可されているのだけれど。
「……これ、歩く程度の速度しか出ぇへんねん」
「ではひとまず、何処かに隠れますか」
ミイラ男へと扮したイズルは、巻いた包帯の隙間から辺りをきょろきょろ。
ツキシロの手を引いて、近くの部屋へと身を潜める。
「おやぁ? この辺りで声がしたと思ったのですが……キヒヒ」
扉越しに聞こえる、執事のくぐもった声に、否が応でも緊張が高まる。
そのまま何処かに行ってくれればいいが、もしも部屋に入って来られたら逃げ場がない。
(「相手がクロノヴェーダやったら、返り討ちにするところなんやけどな」)
けれど、これはゲームだから。
運よく執事が何処かに行ってくれる事をひたすら願って、しばし――。
「……声がしなくなりましたね」
「どっかいったかな?」
扉にピタリと耳を寄せて。
不気味な笑い声が遠のいてゆくのを確認したイズルは、ようやく肩の力を抜き、息を吐いた。
「それにしても、ここは食堂だったんですね」
「みたいやね。それで自分、さっきから気になってたんやけど……」
あれ、なんやろ……と。
ツキシロが、テーブルの上を指差す。
今は食事の時間では無いのか、燭台以外は何も乗っていないように見えたけれど。
よくよく目を凝らせば、一枚のメッセージカードが置かれていた。
●
(「よし。気付いたようだな」)
ゆっくりと、メッセージカードへ近づいてゆく二人の姿に。
カーテンの影に身を潜めていた荒田・誠司(雑草・g00115)は、こくりと頷いた。
集ったプレイヤーたちの中でも、鋭敏な感覚を持つディアボロスの二人組が食堂に入ってきた時は、見つかってしまわないか少し警戒したけれど。
NPCとして仕掛け人サイドである誠司は、残留効果も特に使用制限はされていない。
しかして、新宿島だからこその高レベルな光学迷彩とモブオーラを以て。完璧に気配を消した誠司は、その合言葉が紡がれる時を待つ。
「何て書いてあるん?」
「ええと、『ハロウィンの合言葉は?』だそうです」
誠司の用意しておいたカードを手に、イズルとツキシロは顔を見合わせて……。
真っ先に思い付いた言葉を、半信半疑に口に出す。
「ええと……」
『『トリック・オア・トリート』』
その瞬間に。
「やぁ、お二人さん」
迷彩も、モブオーラも脱ぎ捨てて。誠司は二人の前へと躍り出た。
「今宵のハロウィンは楽しんでおいでしょうか?」
ばさりと翻る黒いローブに。顔には南瓜の仮面。
ローブと色を揃えたルーベンスハットが、どこか優雅なジャック・オ・ランタンがお辞儀をしてみせれば。
「ぅわ、ビックリしたぁ」
「……どちら様でしょうか」
驚きと警戒を露わにするツキシロとイズルが、すかさず壁際に飛んで距離を取る様は、さすがディアボロスと言うべきか。
「おや、驚かせてしまいましたか」
ついさっきもNPCの執事に追われていたようだし、警戒されるのは仕方のない事。
「私は、ただのしがないジャック・オ・ランタンにございます」
荒事を行う何でも屋である誠司だけれど、その正体は諜報員。この手の演技なら慣れたものだと。
普段の口調とは違う、殊更丁寧な言葉で誠司は話を進めてゆく。
「それでは、驚かせてしまったお詫びに……」
ローブの袖口を、ごそごそと。探る振りをしたら。
こっそり準備していたアイテムポケットから取り出すのは、小さなランプ。
「残念ながら、お菓子はないのだけれど」
これは不思議なランプだから。
もしも謎に詰まり、進むべき道を見失ったら灯すといいと。
「この中に灯る火が、きっと道を教えてくれるでしょう」
そう言って、ランプを差し出せば。
・……このランプ、本当に受け取ってもいいものか。
包帯に隠されたイズルの顔には、迷いが浮かぶ。
一見、味方と思えるジャック・オ・ランタンだけれど、それ自体が罠という可能性もある。
「嘘をついたら、包帯で巻き巻きにしますよ~」
なんて。
冗談めかして、脅してもみたけれど。
「それはハロウィンらしい化粧の仕方でございますな」
はははと笑い飛ばして、軽くあしらわれてしまえば、それ以上は探り様がない。
そんなジャック・オ・ランタンを、じーっと観察していたツキシロは、ふっと笑みを零して。
「大丈夫やないかな」
悪人って感じはしないからと、差し出されたランプに手を伸ばす。
「これもきっと、ええもんや」
根拠なんて何も無いけれど。そうだったらいいなと思うから。
もしも罠だったとしても、その時はその時。
受け取ったランプを片手に、『てへ』と笑えば。
「みなさんが脱出できるよう、祈っていますよ」
ジャック・オ・ランタンに見送られ、二人は食堂を後にする。
(「俺の役割はここまでだな」)
その場に残された誠司が、カーテンに隠されたスタッフ用の扉から食堂を出れば。
「……そう言えば、あのジャック・オ・ランタンは、どうして俺たちが脱出しようとしている事を知っていたんでしょう?」
「言われてみれば……」
やっぱり、もう一度話を聞いてみるべきだと。
食堂に取って返したイズルとツキシロに、『忽然と消えたジャック・オ・ランタン』という、解けない謎を残すのでした。
●
「ほなら、このランプはいざっちゅう時に使うとして……次はどの部屋調べる?」
ツキシロにそう問われて、イズルは手にした地図に視線を落とす。
「やはりここが……」
気になるのだと指さすのは、三階フロアの『謎の部屋』。
地図に何の説明も無いと言う事は、裏を返せば重大な秘密が隠されていそうで。
「フランケンシュタインの恥ずかしい日記とか、隠されていたりしませんかね」
あの執事が実は寂しがり屋で、秘密を握ればルートが開けるとか?
或いは、隠しエンドが見られるとか……と、イズルの想像も膨らむところ。
ツキシロもまた『気になるー!』と、好奇心を抑えきれない様子で。
けれど今度こそ、執事には見つからないように。
隠密を徹底して、慎重に向かったその部屋は――。
「あらら。これは……」
「簡単には入れなそうですね」
『恐ろしい魔獣が、部屋を見張っている。
近づくと食べられてしまうだろう』と。
ご丁寧なメッセージ付きで、巨大な魔獣のイラストが張り付けられて。
謎の部屋の扉は、固く閉ざされているのでした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV2が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

嵐柴・暁翔
N
プレイヤー、館の関係者を問わず人間以外の姿をしている方に襲い掛かる役で参加します
仮装はエクソシスト
ゲームやアニメで悪魔祓いとして直接戦うキャラのような、巨大な武器を持っていたりいかにもなデザインのコートを着ていたりします
怪物の姿の相手には襲い掛かりますが、何らかの手段で人間に見えるようにしていれば会話可能でヒントも貰えます
俺はこの館に潜む怪物を始末する為にやってきた
どこかで怪物を見なかったか?
なに、あっちで怪物を見ただと?
俺はこれから怪物を仕留めに行く
……あぁ、それとこの館から脱出するなら左から三番目の客室に鍵が一つ隠されているぞ
それじゃ、俺にやられたプレイヤーは牢屋に逆戻りだ
ただ、俺もイベントキャラだから上手く利用すればいいことがあるかもしれないぞ?
そんな感じで最後にはヒントまでくれるキャラです
水藍・徨
P
ふむ、力を使わずきちんと情報を集めて脱出する。面白そうです。
仮装は、仮面、燕尾服、シルクハットで。
僕は呪いについて、情報を集めましょうか。『使用人室』に向かいます。
そこのお兄さん、お姉さん方、どうか落ち着いてください。僕はこの館に囚われ、呪いを受けた者です。
呪いについて、調べを進めているんです。
相手が友好、敵対的問わず、僕は一貫して友好的な態度で接しますよ。
ただ、驚く時は本心から驚きます。
何なら、一緒に行動しませんか?
一緒にいれば、僕が変な真似をしないか、確かめられるでしょう?
情報を集めながら話をしましょうか。
怪盗風の仮装らしく、時に、先にあの執事らしい存在が居ないか確かめたり、多少は危険な役回りも受けます。怪盗たるもの、獲得するお宝の難易度が高い程、意気込むと言うじゃないですか。そういうものです。
(「ふむ」)
仮面の奥に隠した黄金の瞳を、興味深そうに細めて。
水藍・徨(夢現の境界・g10590)が向かうのは、『使用人室』。
攻略もしっかり進んでいるとは思うのだが、タイムリミットも刻々と近づいている。
未だ解除方法の分からない呪いについて、少しでも多く情報を得たいところだと。
ひらりと、燕尾の裾を翻しながら。
今宵、怪盗風の衣装に身を包んだ徨は、やや早足に廊下を往く。
他のフロアより質素な装飾の廊下を、奥へ奥へ……歩を進めていた徨の足は、しかし。
廊下に佇む人影を見つけて、ピタリと止まった。
(「執事……では、なさそうですね」)
制服を思わせるシンプルな黒衣に、胸から下げた十字架。
NPCの一人として廊下に立ちはだかる嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)の服装は、紛れもなく聖職者のそれ。
ならば、プレイヤーの味方だと思いたい所なのだが。
(「……あまり友好的には見えませんね」)
ちらりと。徨が視線を向ける先にあるのは、巨大な十字架。
まるで、血がべったりと付いているかのように。
赤い塗装の施された身の丈ほどもある十字架を背負っている暁翔の姿に、否が応でも緊張が高まる。
だが、情報を得るためにはリスクを承知で動くべき時もあるだろう。
(「敵か、味方か……試してみましょうか」)
怪盗たるもの、獲得するお宝の難易度が高い程、意気込むと言う。
ならば自分も、それに習って。
危険を引き受けるのは自分の役割だと、徨は暁翔へと話しかける。
「そこのお兄さん、どうか落ち着いてください。僕はこの館に囚われ、呪いを受けた者です」
だから呪いについて調べているのだと。
正直に語る徨に、暁翔は目を細めた。
NPCとしての暁翔の役割は、怪物の存在を決して許さぬエクソシスト。
プレイヤーもNPCも関係なく、怪物は討伐対象として追いかけまわし、場を混乱させる狂言回しとしての盛り上げ役。
(「呪いの解除イベントって、まだクリアされてないよな?」)
徨の仮装が、比較的人の姿に近いものであったため。追いかけてもいいかどうか、少しだけ迷うところけれど。
プレイヤーたちの攻略状況は、NPCたちに逐一共有されている。
呪いを解除するイベントが終わっていない以上、今の徨は間違いなく怪物という事で。
「くくく……人間のような服装で、惑わすか怪物め」
だが、俺は惑わされたりしないと。
芝居がかったセリフと共に、暁翔は巨大な十字架を構えて見せる。
「……やっぱり、逃げないとダメみたいですね」
ひしひしと感じる敵意に、徨が踵を返して駆け出せば。
すかさず暁翔が、その後を追う。
「人間には優しさを、怪物には鉄槌を。俺の十字架からは逃れられないぞ怪物!」
くはははは、と。
高笑いを響かせながら、ヒントたっぷりの決め台詞を浴びせれば。
(「人間には……」)
その言葉に、徨の脳裏に浮かぶのは仲間から託されたアイテム――『装備すると、他の人から人間に見えるようになるペンダント』。これならば。
(「おっと、あれは……」)
突然、足を止めて振り返った徨の胸に、ペンダントが揺れているのを目にして。
暁翔もまた、ピタリと足を止める。
これを装備しているプレイヤーは、必ず人間として扱うのがNPCサイドのお約束。
「おや、キミは人間か。俺は怪物を追いかけていたんだが」
どうやら見失ってしまったようだと、咄嗟の演技で話の辻褄を合わせつつ。
暁翔は大仰な仕草で、周囲をきょろきょろ。
「キミは、怪物を見なかったか?」
この問いに、プレイヤーはどう答えてくるだろうかと。
膨らむ期待に、青い目を輝かせて演技を続ける暁翔に。
(「どう答えるのが正解でしょうか……」)
徨は思案を巡らせる。
怪物ならば、館中にいるけれど。
エクソシストの言動から察するに、居場所を教えたNPCを排除してくれるという事だろうか。
(「そうなると、指定できるのは居場所が固定されている怪物って事ですよね」)
そして、居なくなってくれた方がプレイヤーにとって利点がある怪物……と考えれば、仲間から聞いた情報の中に一体だけ心当たりがあった。
「三階の大きな部屋の前に、恐ろしい魔獣が居ると聞きました」
「なに、三階に魔獣だと?」
徨の言葉に、ニヤリと。暁翔の唇には、好戦的な笑みが浮かぶ。
狂気のエクソシストとしての演技が半分、もう半分は、三階の部屋に入る唯一の方法に辿り着いたプレイヤーへの称賛として。
「ならば俺は、その魔獣を仕留めに行く!」
「あ、それなら一緒に……」
『行動しませんか?』……という、徨の言葉を遮って。
「……あぁ、それとこの館から脱出するなら左から三番目の客室に鍵が一つ隠されているぞ」
細やかなアドバイスを残し。くはははと、高笑いを響かせて。
暁翔は三階を目指し、廊下を掛ける。
「行っちゃいましたか」
残された徨は、一気に増えた情報を頭の中で整理しつつも。
「……普通にいい人でしたね」
暁翔の消えていった暗闇に向けて、小さく笑みを零すのでした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【過去視の道案内】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
嵐柴・暁翔
N
仮装は変わらずエクソシストですが、サングラスに悪魔の羽と尻尾を追加
呪われて闇堕ちしたという設定で再登場します
先程までとは逆に、プレイヤー、館の関係者を問わず人間の姿をしている方に襲い掛かります
相変わらず場を混乱させる狂言回しではありますが、ヒントをばら撒いたり上手く利用すれば役立ったりとお助けキャラの側面もあります
色仕掛けが有効になり逃げるだけならそこまで難しくはありません
女性が色仕掛けをして上手く挑発するとルパンダイブ的に飛び込んでくるので避けると壁に激突して勝手に自滅します
そして重要アイテムを落とします
間違った方法で解呪するまたは言葉だけで説得すると
だいじょうぶだ‥‥ おれは しょうきに もどった!
というお約束の台詞とともに重要アイテムを奪って律儀に使い方を説明しつつ逃走します
正しい方法で解呪すれば本当に正気に戻ります
恨み言を吐くように呪いをかけたという怪物についてやたらと詳しく説明します
そしてエクソシスト自身がルート解放の鍵として活用できるようになります
オード・レヴニ
N
【ほろーど】
天使の翼にもべっとり血糊をつけて
ほろぶと一緒に不気味なメイド役をやるよ
ほろぶ、すごい似合ってる
クラシカルなメイド服にうきうき気分なのは抑えて
お上品に、おしとやかに、だね
でもあとで写真はとろ?
裾を摘んでカーテシー
ようこそ、お客様
ハロウィンの夜までどーぞごゆるりとお過ごしください
…こんな感じで合ってる、かな?
役になりきるのはなんだか楽しいね
ゲーム中はメイドらしく
謎解きに詰まったプレイヤーを陰ながらサポートするよ
お掃除ついでにヒントを配置したり
それとなく残り時間を教えたり
迷ったひとをご案内したり…
…メイドさんって忙しいんだね
お手伝いがプレイヤーに見つかっちゃった時は
しーっと唇の前に指を立てて
お客様に快適にお過ごしいただくのがメイドのつとめ
フランケン執事にはどうか、ご内密に
お手伝いしたプレイヤーが脱出成功したら
見えないように小さくハイタッチをほろぶに求め
大成功でございましたわ、だね?
海・ほろぶ
N
【ほろーど】
普段からほっといても土気色の膚で、そのままゾンビ風のNPC役
クラシカルなメイド服で年代の古さも演出
大きなお屋敷だもの、ゾンビメイドがいっぱいいてもいいでしょ
オードも血糊でべったり、堕天使かな?天使のゾンビってなんだか背徳的に見える
写真はお仕事終わったらねと頷きはぶっきらぼう
給仕に掃除、お客様のおもてなしのためにあちこちを動き回る
迷ったお客様のご案内をしてみたり、
目立ちにくいあやしい仕掛けの前で立ち止まって気付いてもらいやすくしてみたり、
口さがなくお屋敷内の噂や最新情報をメイド同士で、お客様にも聞こえるような声で話してみたり。
あからさまにお屋敷から逃げたい!って言いだしたら不審がるけれど
うまーくもっともらしい理由をでっちあげて頂けたら、情報を出すような
ふんわりサポートNPC役
いやもうほんと、メイドってば忙しいね?
脱出したお客様をお見送りする後ろで
オードと小さくハイタッチ
楽しんでもらえてたら光栄ですわ、ってとこかな
お互いの間ではどうにも馴染まない敬語に小さく噴き出す
階段を上った、二階フロア。
左から三番目の客室に、海・ほろぶ(君の番だよ・g04272)は足を踏み入れる。
「失礼いたします」
生気の乏しい土気色の膚に、黒白の衣服を纏って。
怪物だらけの館に相応しいゾンビメイドと化したほろぶは、部屋の中をぐるりと見回して。
(「クローゼットの中……かな」)
身を隠しているプレイヤーの気配に、そっと気付かぬ振りをする。
プレイヤーたちがゲームを目一杯楽しめるよう、進行状況を調整するのがメイドNPCの役割。
そろそろ、この部屋に隠されたアイテムにも気付いて欲しい頃合なのだけれど……。
(「クローゼットを開けて直接教えるのは、ちょっと違うよね」)
ヒントの出し方は露骨過ぎず、さり気なくが大事だと。
掃除をする振りをしながら、ほろぶは飾られた絵画の前に立つ。
「……この絵画、また傾いているわ。誰が動かしたのかしら」
本当は、ちっとも傾いてなんていないけれど。
大きな独り言と共に、ガタガタと。わざと音を立てながら絵画を動かして。
「次の部屋をお掃除しないと」
再度、大きな独り言と共にほろぶは客室を後にする。
(「これで隠し金庫には気付いてくれるかな」)
しかし金庫を見つけられたとしても、それを開くには更にパスワードの謎を解かなくてはならない。
ダメ押しでヒントを出せるよう、もう少しこの辺りで待機しておいた方がいいだろうか……。
(「いやもうほんと、メイドってば忙しいね?」)
プレイヤーたちが自由に行動できる分、彼らをフォローするメイドNPCも大忙しだと。
(「オードの方は、大丈夫かな」)
黄金の瞳に、ぼんやりと廊下の天井を映して。
ほろぶが想うのは、別行動中の親友の事――。
●
ギイィィィ――。
三階フロア。
魔獣が守っていた筈の部屋は、軋みを上げてついに開かれた。
「ぅわ、なんやろこれ」
「……魔法陣、でしょうか」
プレイヤーたちが困惑の声を上げる中。部屋の中央……床に描かれた怪しい魔法陣の上に立つ嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は、『くはははは』と。
重低音の笑い声を響かせる。
纏う黒衣は依然変わらず、エクソシストのように見えるけれど。
「あれ? さっきと雰囲気が違うような……」
プレイヤーたちが首を傾げるのも無理はない。
何故なら今の暁翔には、悪魔の羽と尻尾が生えているのだから。
黒いサングラス越しにプレイヤーたちの動揺を見て取りながら、『ふっ』と。
唇に笑みを浮かべた暁翔は、素早く視線を巡らせて。『人間に見えるペンダント』を装備しているプレイヤーに狙いを絞る。
「くはははは、人間は一人残らずこの俺が捕らえてくれる!」
「ちょぉっ、話が違うやん!?」
「マズいですね。逃げてください!」
「ひぃ、何で!?」
仲間たちに声を掛けられ慌てて踵を返すプレイヤーの動きは、まるきり一般人。
ここは演技力の見せどころだと。
「逃がすものかぁ!」
声は迫力満点に。
しかし全力で手加減しながら、暁翔はその後を追う。
●
(「うーん、これは……」)
プレイヤーvsエクソシスト(闇堕ち)の、追いかけっこ第二幕が始まったと。
インカム越しに状況の報告を受けて、オード・レヴニ(頌歌・g01759)は心の内で声を零す。
追いかけられているのは、どうやら一般人のプレイヤーらしい。
状況から想像するに、元々はエクソシストをやり過ごせるアイテムであった『ペンダント』を、ディアボロスのプレイヤーたちが一般人のプレイヤーに渡していたのだろう。
しかし、謎の部屋――もとい『儀式場』解放のフラグが立った今、闇堕ちしたエクソシストは人間を追いかけてくる怪物と化している。
(「ご愁傷さまだ」)
これはフォローに向かった方が良さそうだと。
ほろぶとお揃いの……しかし、血糊に濡れたクラシカルなメイド服を翻して。オードは、逃げ回るプレイヤーを先回り。
「ひょわ!?」
涙目で走るプレイヤーを、素早く観葉植物の影へと引きずり込んだ。
『しー』
声は出さずに。
立てた指と唇の動きで、静かにしているようプレイヤーに促して。
オード自身は、向かい来る闇堕ちエクソシストの前に身を晒せば。
「ようこそ、お客様」
スカートの裾を摘んで、片足を引き。
メイドらしく、カーテシーで狂えるエクソシストを出迎える。
(「…こんな感じで合ってる、かな?」)
日常ではそうそうする事のないお辞儀は、ちゃんと優雅に出来ているのか。
慣れない演技が、少しばかり気恥ずかしくて。けれど何だか新鮮で。つい、表情が緩みそうになるけれど。
(「お上品に、おしとやかに、だね」)
今はまだ、お客様……もとい、プレイヤーたちの前。
この立派な屋敷に仕えるメイド役として、顔に浮かべる笑みは優雅に。
「ハロウィンの夜までどーぞごゆるりとお過ごしください」
向かい来る異形のエクソシストに微笑みかければ。
「これは……何というかわいこちゃんの誘い!」
「え?」
突如、チャラ男へとキャラチェンジした暁翔が、平泳ぎで宙を舞い。勢いそのまま、オードへダイーブっ!
「そんなキャラ設定だったっけ?」
あまりの変わり身の早さに、思わず一瞬、素に戻りつつ。
ひらりと、オードが身を躱せば。
ごろごろごろごろ……がつんっ!
廊下を転がった暁翔は、そのまま壁へと激突し。くたりと動かなくなった。
「え、死んじゃった……?」
そのあまりの迫力に、プレイヤーの顔からは血の気が引いているけれど。
「大丈夫です。我々はそう簡単に死んだりしませんので。それよりも……」
エクソシスト様が、何か落とされたようですね……と。
オードがそれとなく、プレイヤーの視線を誘導すれば。
「あ、アイテムだっ!」
暁翔が落とした『何かのネジ』を拾い上げ。嬉しそうに何度もオードへと礼を述べて、プレイヤーはその場を後にした。
その姿が、廊下の奥。闇の向こうに消えて。
「……行ったよ」
オードが静かに声を掛ければ。
「ギリギリ脱出は出来そうだな」
むくりと起き上がった暁翔が、悪戯な笑みを浮かべて。
「オード、お疲れ様」
様子を見に来ていたほろぶも、ひょこりと顔を見せる。
「さて、どうなるかな」
制限時間は、残り十五分。
あらかたのキーアイテムが、プレイヤーたちの元に揃った今。隠しエンドまで行けるか、通常エンドの脱出で終るかはプレイヤーたち次第。
どちらにしろ俺は、もう一仕事してくると。プレイヤーの後を追う暁翔を見送って。
「私たちの仕事はここまで……かな?」
ちらりと。
オードが視線で問えば、ほろぶが小さく頷く。
「大成功でございましたわ、だね?」
そう、冗談めかした呟きに。
「楽しんでもらえてたら光栄ですわ……ってとこかな」
恭しく応えれば。聞き慣れた声の、しかし馴染まない敬語が何だか可笑しくて。
どちらともなく、笑みが零れる。
「今頃だけど……ほろぶ、すごい似合ってる」
「オードはなんだか……背徳的? に見えるね」
クラシックなメイド服に退廃的な要素を加えたハロウィンならではの装いは、しっかりと記念撮影をしておきたい所だけれど。
「でも写真は、結末を見届けたらね」
それは、ゲームに決着が着いたその後で。
今は、自分たちの仕事をやり遂げた達成感を胸に。
ほろぶとオードは、小さく手を合わせるのでした。
●エンドロール
「この二つのネジは、あの置時計を動かすためのものだ」
ゲームは大詰め。
そして自分の仕事も、ここが総仕上げだと。暁翔は声を張り上げる。
プレイヤーたちが、自分たちだけでなく暁翔――エクソシストの事も人間に戻す事を選んだのなら。それが隠しエンディングの解放条件。
「館の主人が子供たちを失ってしまった時間に時刻を合わせて、あの時計を鳴らせ。それでこの館に囚われた全ての魂が解放される!」
悪魔の羽も尾も脱ぎ去って。
元のエクソシスト姿へと戻った暁翔は、『怪物たちは俺が抑えておく』と。
「振り返らず走れぇ!!」
迫真の演技で、プレイヤーたちを送り出す。
タイムリミットまで、あと数分。
だが、ここまで辿り着いたプレイヤーたちならば、あの最後のヒントできっと答えに至るだろうと。
走り去るプレイヤーたちの背中に、『お疲れ様』の笑みを送って。
暁翔もまた、NPCとして演じあげた舞台の幕を引いた。
――タイムリミットまで、残り三秒。
誰もが息を呑み、見守る中。
時を告げる音が館中に鳴り響き、ゲームの終了を告げる。
最終人類史のハロウィン2023。
ハロウィンナイトからの脱出――『脱出成功(トゥルーエンド)』
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】がLV4になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!