リプレイ
エルマー・クライネルト
モスクワ市内も酷い状態だったが、此方も大概だな
弄ばれて死ぬか、見放され死ぬかの違いか…どちらも人々には堪ったものではない
新宿島で排斥力を受けない時代に合った料理を用意して貰う
体力のない者でもすぐに食べられるなら野菜と肉を柔らかくしたシチーが良いだろうか
他にも保存の効く食料などを持てるだけ持ち込む
現地に到着したら【口福の伝道者】を使用し料理を増やし、全員へ行き渡るよう話す余裕のある住民に人数を確認しながらオラトリオと協力して配る
食事が行き渡ったところで皆に伝えなければいけないことがあると話を切り出す
先日モスクワの様子を見てきた。過激な政策を推す貴族が権力を握り…酷い有様だった
人を人とも思わない所業、奴等は民を使い潰そうとしている
この地に再び配給が行われることも無いだろう
私はこの現状を赦すことができない、だから行動する
世迷言だと思ってくれていい、だが必ず結果を見せると約束しよう
…酷なことを言っている自覚はある。過酷な状況を生きるとは辛いものだ
だが、その先には必ず良いことがあると…信じてほしい
「パラドクストレインに乗る前に……」
エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は、新宿島で用意する物がある。
一つは料理。時先案内人から聞いている情報では、人々は餓死寸前らしい。
(「……そうなると、排斥力を受けないもので作った、体力のない者でもすぐに食べられるなら野菜と肉を柔らかくしたシチューが良いだろうか」)
もう一つは保存の効く食料。それを持てるだけ持ち込む事にした。
温かいシチューをタッパーに入れてもらい、干し肉、ドライフルーツ等を持てるだけ持って、エルマーはパラドクストレインに乗り込んだ。
そして……現地に辿り着いたエルマーが見たものは、飢えにより瘦せ衰えた人々が、何とか生きようと、樹皮や寒さの中でも根を張る草等でどうにか食いつないでいる。そんな現状だった。
とにかく、まずは食べ物だ。
「皆、集まってくれ! 食べ物を持ってきた!」
寒さで冷めてしまってはいけないので、『食べ物』という言葉に希望の光を灯した人々が集まってから、持参したシチューを食べ、400人分のシチューを人々に提供した。配膳をオラトリオのフルーフと協力して行い、人々の様子も確認する。
「空腹で一気に食べてしまいたい気持ちは分かるが、皆はまともに食べていない時間が長いだろう? ゆっくり食べて欲しい。幾らでもあるから、急がない様に、な?」
飢えていれば一気に食べたくなる事は分かる。だが、いきなり胃腸に物が沢山入ってしまえば、身体を壊してしまうからだ。
実際、沢山のシチューがあるので、安心感もあり、人々もエルマーの言葉を聞いてくれる。
(「干し肉も食事と言えば食事に入るか。こちらも増やしておこう」)
その事にも気が付き、エルマーはシチューに夢中になっている人々に気が付かれない様に保存食も増やしておいた。これで、少しの間はもつだろう。
そして、長い空腹から脱する事が出来た人々に、大切な事実を切り出す。これは、きちんと伝えないといけない事だから。
「先日モスクワの様子を見てきた。過激な政策を推す貴族が権力を握り……酷い有様だった。人を人とも思わない所業、奴等は民を使い潰そうとしている。この地に再び配給が行われることも無いだろう」
どの位の事が人々に伝わっているかは分からないが、やはり何よりも『配給が無くなる』という事実は一番の衝撃で、皆、おろおろとし始めた。
そんな人々に、エルマーは決意を伝える。心からの思いがしっかりと伝わるように。
「私はこの現状を赦すことができない、だから行動する。世迷言だと思ってくれていい、だが必ず結果を見せると約束しよう。……酷なことを言っている自覚はある。過酷な状況を生きるとは辛いものだ。だが、その先には必ず良いことがあると……信じてほしい」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
ガエル・シルヴァン
随分と冷えるな。土も表層は冷たく固まっているようだ。これでは耕すだけでも苦労する上に作物もろくに育たない。まずはこれを何とかしなければ。
ルバーブ、テンサイ、ジャガイモ、ラディッシュ。寒さに強くロシアでも育つのはこの辺りか。
「少しいいだろうか?俺は食糧が不足が見込まれる場所で畑を作るよう命じられて来た者だ」
「ここにくるのが遅くなってすまない。少しでも助けになるよう働かせてくれないか」
ディアボロスの事を把握しているわけではないだろうし、自分が何者であるかはぼかして伝えよう。
畑作りは元々ある畑とは違う場所にする。畑は基本的に町の外側に作ってあるだろうから、そちらはカモフラージュに残したい。
家に囲まれて外からは見えにくい所を耕して、先にその土を鉢植えか、なければ鉢植えにできる器に移す。これは各家庭で育てる分だ。
改めて耕したら持ってきた物を植えて行く。持ち運んだ量は充分とは言えないが、少しは助けになるはずだ。
近衛・悠
いつだって上の権力者の横暴の犠牲になるのは罪無き一般の住民たちだ。何故カーミラとかいう奴が配給をやめたのか頭を捻るが、考えるより先に苦しむ人を助けるのが先だな。
【アイテムポケット】に干し肉、パン、ドライフルーツなど料理しなくてもすぐ食べれるものを詰め込み、【口福の伝道者】で増やす。そうだな、クリーチとかのお菓子も増やそう。
ある程度までは増やせるからゆっくり飲み込んでな。よく耐え忍んでくれた。
そして事情を話さないとな。実はこの地では穏健派と過激派が争っていてな。配給を止めたのも過激派の方針だ。酷いよな。俺たちはこういう横暴な勢力の所業で苦しんでいる住民を助けるために駆け回っている。突然の来訪で驚かせてすまないがこういう訳だ。
俺たちがこの状況を何とかしてみせる。お腹空いて大変だったな。きっとこの苦境は良くなる。いや、良くしてみせる。圧政者の勝手な決定に罪のない皆が犠牲になるなんて俺の信念が許さないんだ。まずは、託してくれないか?
フルルズン・イスルーン
おや、ふむふむ。なるほど屋内プランターね。そういう視点はなかった。
じゃ、ボクは細々とした部分の方かな。どっちにせよ【植物活性】を施せるようにしといちゃろう。
では、将来の実りの為に。ハーベスト・ゴーレム!
よーし、まずは【土壌改良】加えつつ実際に使う農地の開拓だ。
耕し希望とは見どころがあるぞよ。がんばれ男の子! 肉体派実働面はゴーレムに任せるのがボクの流儀である!
ボクは周辺の整備だね。見えにくい場所の畑を更に見えにくいように工夫を加えてと。
後は住民が扱う農具の整備だ。ある程度予備も踏まえて新宿から持ってきてもいいね。
そして貯蔵穴。寒いとはいえもう少し暖かくなる見込みだから、収穫したものをキチンと補完できる設備も設ける。バレない用に隠す必要もあるしね。
で、作付け作物だけど、暖かくなったから持ち込みでも行けるのかな?
でもさむーい冬は来るんだよねぇ。
ま、一応現地の種苗があるならそれを植え付けて【植物活性】で促進していこう。根付きが良い方が良く育つからね。
もう一人、支援の食料を持ってきたのは、近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)。
アイテムポケットに干し肉、パン、ドライフルーツ等、調理しなくても直ぐに食べられるものを用意した。
これを食事として食べ、数を増やすのだけれど……。
「他のディアボロスが保存食をある程度用意してくれているけれど、これらはどの程度増やすべきか……」
悠はガエル・シルヴァン(竜の守護者・g10318)とフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)と共に考える。
「裕福になりすぎるのは目立つから良くないとの事だったな。俺は、畑や家庭の庭で植える物を用意してきたが、育つまでにはそれなりにかかるだろう」
「ボクの植物活性も作物が根付いたり、最初の成長には良い効果は出るだろうけど、土壌改良と違って今回限りなんだよねぇ。人数を考えると……足りなさすぎても多すぎても困る訳だしねぇ」
前に訪れたディアボロスが、人々に渡している保存食が400食分。そして、今、ここにいるのは悠、ガエル、フルルズンの三名。
「……最大の1600食分が多いか、少ないか。作物がある程度出来るまでの事を考えて……」
「でも、食料に満足している様な状態ではいけない。かといって、植えたものを掘り返されても困る」
「難しいところだよねぇ」
難しいと感じる一番の理由は、やはり増やすものが基本的に干し肉やドライフルーツ等『保存食』になるものが中心だからだ。だが少なすぎて、持ち込んだ苗や種等を、飢えて食べてしまったら意味が無くなってしまう。
ただ、彼らは今まで『死なない程度』の配給を受けてきた人々だ。ある程度の食事量に慣れているだろう。
悠、ガエル、フルルズンは話し合いを重ね、二人が食べて+800食、計1200食に抑える事にした。
「じゃあ、俺は各家に増やした保存食を配っていこう……クリーチは今食べて貰ってもいいか。今まで耐え忍んできたんだ」
「こちらは力仕事が出来そうな人達を集めて、畑や家庭での育て方を伝えよう」
「ボクも畑を手伝うよ。それと、畑がより分からない様にしたり、農具の整備とか貯蔵穴を用意すればいいかな」
悠は各家を回って平等に保存食を配り、ガエルとフルルズンは畑などをメインに動く事になった。
悠は保存食を渡す時に、この地で起きている穏健派と過激派が争いの事も話す。配給を止めたのは過激派の方針だという事も。そして、自分達は、そんな圧政者から犠牲が出ないようにする為に、助ける為に来た事。また、配給は来ないので、この保存食以外にも作物を育てて暮らして欲しい事を一つ一つ心を込めて言葉を伝える。
「俺たちがこの状況を何とかしてみせる。きっとこの苦境は良くなる。いや、良くしてみせる。まずは、託してくれないか?」
「少しいいだろうか? 俺は食糧不足が見込まれる場所で畑を作るよう命じられて来た者だ。ここにくるのが遅くなってすまない。少しでも助けになるよう働かせてくれないか」
ガエルはこの中でも力仕事をこなせる者達を集めて、事情を説明する。先程の食糧支援もその一環ではあるけれど、この先も生きていく為には食料になる作物を育てていかなければならないからだ。
「キミ達はやっと空腹を満たせたばかり。畑の方はボクのゴーレムで耕すよ。では、将来の実りの為に……ハーベスト・ゴーレム!」
やっと食べる事が出来たばかりの人間に、耕作の様な力仕事は厳しすぎるし、今まで耕作した事が無い所を耕すのはもっと厳しい。そこで、フルルズンは美しき黄金の髪のような光の束を備えた女性型のゴーレムを作り出した。
突然のゴーレムの登場に人々は驚くが、それが人に似ているその姿に少し安心してくれた様だ。彼らは、食料が突然大量に増える所も見ていて、ディアボロスが不思議な人達だと思っているらしく、少しずつ慣れてきたのかもしれない。それに、自分達が去れば、彼らの記憶からは消えてしまうのだから、例えゴーレムが現れようとそう簡単に思い出したりはしないだろう。
「家に囲まれていて、外からでは分からない土地はあるだろうか?」
「ある程度はボクが工作するけれど、畑が見つかると大変な事になるかもしれないからねぇ」
ガエルとフルルズンの言葉に、人々はどこが良いのだろうかと話しつつ、一先ず集落の中央にある広場の様な場所に案内された。広場といっても、何かが敷き詰められている訳ではなく、剥き出しの土だけれど、人が集まるのには良いのだろう。ぐるりと眺めると家が取り囲むように並んでいる。
ガエルが持ち込んだ作物は、ルバーブ、テンサイ、ジャガイモ、ラディッシュの四種類。ただ、今まで配給で生きてきた集落なので、外にある畑は瘦せ細っているし、そこまで耕地面積も大きくはない。しかし、配給が無くなり何も植えられていない状態なので、カモフラージュだけでなく、ぱっと見ても食料が無いというアピールの一つにはなるだろう。ただ、種苗の方は飢餓の結果、全て無くなってしまっていた。
「土壌改良の効果が出るのは、300m半径内だから、まずはここを中心にして畑を耕して、作物ごとに畑を分散させるのも良いか」
「いけ、ハーベスト・ゴーレム! 凍った土ごと耕すんだ! 将来の実りの為に!」
フルルズンの言葉に、女性型ゴーレムがザクザクと耕していく。そして耕された場所の土を、ガエルは頼んで集めて貰っていた植木鉢やそれに準ずるものに移していった。この土と鉢は各家庭で育てる分だ。ルバーブ辺りは育てる事が出来るだろうから。
それから耕された土地に、ジャガイモ等を植えていく。ルバーブも勿論、畑にも植える。フルルズンのゴーレムも植物活性で生長を促して、根付きも良くしていった。
その後、フルルズンは各家庭に配られたルバーブにも植物活性を施しつつ、外から畑が分からない様に整備していく。ガエルと戻ってきた悠は農具の壊れてる部分を修理したり研いだりして、今後の畑での作業が楽になるように整備した。
そして、フルルズンはゴーレムに貯蔵穴を作らせる。
「ここに収穫したものを保存しておけるからね」
それに、こうすればバレずに隠しておく事も出来るから。
「持ち運んだ作物の量は充分とは言えないが、少しは助けになるはずだ」
「畑での収穫と保存食、これで何とか頑張って欲しい」
ガエルと悠も、そう続ける。
耐え忍ぶ日々はまだ続くだろうけれど、何とかこれで日々を乗り越え、保存食が無くなっても、畑での栽培と収穫でこの先も頑張って生き延びて欲しい。そう心から願うのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
ガエル・シルヴァン
自給自足のために必要な物が予想したより乏しい。排斥力さえなければもっといい対処ができると言うのに、腹が立つな。
が、俺が腹を立てても誰の腹も膨れん。さっきシチューを配っている者がいたから俺も手伝うか。
【アイテムポケット】には種にする物以外の現物も入れてあるし、瓶詰めの保存食も持ってきた。新宿で資料を見て用意したから多分排斥力とやらは大丈夫だろう。
シチュー作りを手伝って【口福の伝道者】の力を借りてこっちも増やす。他の仲間にも手伝ってもらえばもっと増やせるな。
特に飢餓状態が酷い者や病で消化能力が落ちている者には具は特によく煮てペーストのようにしてから薄めて少しずつゆっくり食べてもらう。
体が弱って動けない人がいないかも聞いて、そうした人には直接持って行って様子を見ながら食べさせよう。
冰室・冷桜
さてさて、今日も元気に困ってる人々のお手伝いといきますか
寒さが緩和されていくとはいえ、ふっつーに冬の寒さは厳しいもんだしね
少しでも精をつけないとね
シチューを配ってる人が居るみてーですし、私は少し違うものにしますかね
てーことで、私はスープでも用意するとしますか
噛んだりするのが辛い人も居るでしょうしね
材料と調理器具は【アイテムポケット】で持ち込みーの
栄養重視で野菜多めってー感じで、栄養もしっかり摂れるように野菜も溶けるくらいまで煮こんでいきましょ
飲むだけでも十分栄養が摂れますようにってー感じで
動ける元気がある人には料理の手伝いもお願いしましょ
こーゆーのは待ってるだけじゃなくて、自分で作ったりするのも気分が変わるもんですし
材料はたくさん持ち込んでますから慌てず、騒がず、お願いしますねー
「自給自足のために必要な物が予想したより乏しい。排斥力さえなければもっといい対処ができると言うのに、腹が立つな」
ガエル・シルヴァン(竜の守護者・g10318)は、余りにも物資の足りない集落の現状に、腹が立ってくるが、腹を立てても誰の腹は膨れない。
アイテムポケットには、用意した畑に植える種、そしてルバーブ、テンサイ、ジャガイモ、ラディッシュの現物、そして、新宿島で調べた排斥力が働かない瓶詰めの保存食。それを詰め込んできた。
畑の方は、一旦後回しにして、まずは飢えている人々の為に配られていたシチューを、ガエルはまず増やす事にした。
食糧支援にはもう一人、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)も、野菜がたっぷりな栄養重視のスープの材料と調理器具をアイテムポケットにいれて持ち込んでいる。
「冷桜殿、シチューを増やすのを手伝ってもらっても良いか?」
「良いですよー。私はスープを用意するんで、後でこっちのスープも増やすのを手伝って貰っても良いですか?」
「ああ、勿論だ」
ガエルと冷桜はシチューを頂いて、800人分に増やす。
配膳の時には、一人一人の様子を見る。特に気を付けないといけないのは、飢餓状態が酷い者や病で消化能力が落ちている人々だ。彼らには、シチューを薄めて具も潰した。
「いいか? 腹が減っているだろうが、急にかきこんだら却って身体を痛める。ゆっくり、ゆっくりとだ」
身体が弱っている人には、そう優しく声をかけて、ゆっくりと食べて貰う。お腹が減っている状態では、一気に食べたくなる気持ちは分かるのだが、声をかける事で焦らない様にと気を配った。
「身体が弱っていて動けなくなっている人もいるんじゃないか? いるなら教えて欲しい。持ち帰ってあげようと思っているかもしれないが、体力のある俺が運んだ方が、皆の体力を奪わないからな」
尋ねてみると、やはり、それなりの数はいる様だ。家族がそうなっている人は、持ち帰ろうとしていたのだが、ここは余計な体力を使わない方が良い。
「冷桜殿。申し訳ないが各家への配膳も手伝って貰っても良いだろうか?」
「それくらいお安い御用ですよー。後から私もスープ作る予定なんで、家が分かっていると助かりますし」
出来るだけ温かいままで、食事を持っていきたい。冷桜に協力を頼んで、ガエルは動けない人がいる家に運ぶ。二人がかりプラス冷桜のメーラーデーモンのだいふくもいるので、各家に運び、同じように薄めたシチューを、ゆっくりゆっくり、集まっていた人々よりも、より慎重に、飢えた身体に少しでも栄養がつくようにと食べさせた。これで少しは体力がもってくれるだろうか。
全体に行き渡ると、ガエルは貯蔵穴に向かい、持ってきた食材を入れる。それと、持ってきた種も少し手元に残しておきつつ、そちらも種だと分かるようにして入れておいた。
「保存食は……冷桜殿にも協力を仰いで、こちらも後で増やしてもらおうか」
持ってきたのは、瓶詰の保存食。また、食べ心地も違うだろうし、少しはバリエーションがあった方が、皆も食べ飽きないだろう。二食分だけ残して、後は貯蔵穴に入れておく。寒いから瓶詰のものはここにあった方が良いだろうし、身近にない分、うっかり食べてしまうリスクも減るだろうから。
それから、畑の方にも足を運ぶ。成長している作物に、もう一度植物活性を使うと、一部の作物は収穫可能になった。ジャガイモは新しい種芋にもなるし、地中でも保存が可能なので、それは置いておいて、他の作物も種用の物は別に残し、収穫が終わった所には種を撒いていく。
「畑の作物の育て方も後で伝えておかないとな」
収穫物も貯蔵穴に入れて、今後の畑や家での作り方も伝えておかないと、そうガエルは思った。中にはもしかすると作った事のない作物も混ざっている可能性もあるからだ。
「しかし……カーミラの配下に見つからず、かつ、裕福にしすぎてもいけないという制限は、なかなか厳しいな……」
一方、シチューを食べ終わって、ある程度、元気が出てきた人々に冷桜は安心する。
スープ作りはもう少し後にして、飢えが酷くて集落の有様も中々の惨状になっている事に気付く余裕が出来た人達も少し現れた。彼らは散らかった物の片付け等を少しずつ、ゆっくりと始めたので、まずはそちらの方を手伝う事にする。
(「少し動く気力が出てきたのは良い事ですね。後で作るスープもお手伝いをお願いしましょ。少し動いて気晴らしも出来ているでしょうし、今は動けない人にも動く力が出てきた人も中にはいるでしょうしね。こーゆーのは待ってるだけじゃなくて、自分で作ったりするのも気分が変わるもんですし。それと、スープは温めなおすのも、ここの人達も慣れているでしょうし、ガエルさんとも協力して、増やしておきましょうかね」)
元々、配給で何とか食いつないでいた人々だ。物によっては作り置きや、炊き出しにも慣れているだろう。
(「そろそろ頃合いですかね」)
アイテムポケットの数に余裕があったので、炊き出しの感じでまずは作ろうかと冷桜は思う。それに、火を使うので集まった人達も少しは暖まれるだろうから。
そして、大きな鍋やら食材やらを用意した。作るのは飲むだけでも十分に栄養が摂れるスープだ。
「これからスープを作りますから、お手伝い出来る人は協力して作りましょ」
声をかけると体力に余裕が出てきた人達が申し出てくれる。
「えーと、これとこれを切って鍋に入れて下さい」
「あなたは、焦げ付かない様に、スープをゆっくり混ぜるのをお願いしますね」
ことことと煮えていくスープ。ゆっくりじっくり火を通して野菜の栄養分がしっかり出るようにして……。
久し振りに料理を作るのだろう。少し緊張した面持ちをしている人もいれば、嬉しそうな人もいる。中には明らかに料理初心者という人も頑張っているので、冷桜は教えてあげつつスープを作っていく。
先にガエルと共にシチューを配ったおかげで、幸いにも騒動は起こらない。ただ、まだかまだかと待っている人達もいる事は確かだけれど、手伝いを頼んだのに待っているという事は、まだそこまで動けないのだろう。
スープを味見して、冷桜はにっこりと微笑む。
「うん、良い感じに出来ましたね。それじゃあ、皆に配るのを手伝える人はお手伝いをお願いします」
スープを配り始めた頃、一通りの作業が終わったガエルが戻ってくる。
「冷桜殿、手伝おう。俺は増やしたものを、動けない人の所に配ってくる」
「宜しくお願いします。私は、こちらで手一杯なので」
増やしたスープを家庭にある鍋等を持ってきてもらって、ガエルは家で動けない人達の元にスープを配り、冷桜は集まっている人達にスープを配っていく。
これで、少しは体力が戻ってくるように。後は保存食と持ってきた作物で、ある程度は食い繋いでもらい、畑の作物を育てて、これから先も生きていける様に……そして、何よりも、ここがカーミラの配下に見つからない様に……彼らがこれからも生きていける事を心から願うのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
近衛・悠
俺一人の支援では到底足りなかったが、戦友達のおかげでなんとかなったか。良かった。でも支援がどうにかなってもご丁寧に見回って潰してくる奴らをどうにかしないと全てダメになる。ただでさえ過酷な状況だからな。危険はできる限り排除しないとな。
諜報員ってのは見た目で敵を惑わし、その隙をつくスキルも重要だ。後、同じ様な役目だからわかるんだが、隙があんまりないな。なるほど、疑われずに探り、潰すには最適だな。でも、思う様にさせる訳にはいかない。
諜報員の名は伊達ではないな。気を抜くと死角から痛打を受けそうだ。しかし、俺は高貴な主人を危険から護衛してきたからな。【精神集中】で近寄っ
てくる気配を察知し、【残像】で致命傷を回避。回避したら【グラップル】で蹴りを入れて牽制。いざとなれば【ガードアップ】に頼るか。
ああ、動きは見事なものだ。だが、気配を察知したらこちらのものだ。また動き出す前に魔影分身術を発動。【貫通撃】【両断】【解体】を併用してその翼ごと斬り裂く。
この地の人々の幸せの為にお前達は排除する!!
有栖川宮・永遠
救援機動力により、加勢しに参りました。折角有志の人々が支援をしっかりしたのにご丁寧に見回って潰しに回ると。本当に執拗で、質が悪い。ただでさえやっとやっていける状況の方々なんです。これ以上の悪行は許しませ
ん。
敵の能力を削ぐ手段の豊富さ、隙をつく状況判断の鋭さ、その身のこなし。流石諜報員ですね。せめて【戦闘知識】【観察】で敵の動きを観察し、【精神集中】で敵の近づく気配を察知。【残像】でせめて致命傷を外します。
致命傷は外しますが流石に多少の傷は負いますか。でも敵は接近して攻撃してくるので、斬りつけられたらそのまま逃がさずに【高速詠唱】【全力魔法】で黄泉逆鉾を発動。逆鉾に【貫通撃】【捕縛】を合わせて確実に地面に縫い止めます。このチャンスを逃したらまた厄介な動きから死角をつかれますからね。逃しません!!
でも術が間に合わないなら氷霊の剣で受けて捌くしかないですね。苦しんでる住民の皆様の為にここで屈する訳にはいきません!!
ガエル・シルヴァン
万全の支援はできなかったとしても生き抜く気力を得られるだけの助けにはなっただろうか?この先も苦難は続くだろうが助け合って生き抜いてほしいものだ。
そのために大きな障害となる物は片付けねばな。
俺達から支援を受けた事が知られればどうなるかなど考えるまでもない。村の外から今やってきたような顔をして仕掛けよう。
「我が名はガエル・シルヴァン、我が竜に仕える守護者である!」
名乗りを上げて【Arrogant assaut】の初撃で一気に突っ込み【斬撃】で大暴れだ。俺は隠密行動に向かんが、仲間のために惜しむ命などない。陽動として派手に暴れてやろう。
ふん、誘惑など俺には無意味だ。我が婚約者に勝るものなどいないのだからな!悠長に誘惑などできんほどに斬撃の【弾幕】で攻勢を仕掛け、接触するを幸いに切り捨てる。
集落の周りには、カーミラの配下である『諜報員』達がいた。
「む……? 配給を止めているのに、蒸気が立っている?」
「いや、煙かもしれない。しかし、住人が絶望して炎を放つ事にしたとしても、それでは煙の量が明らかに足りない」
「餓死の危機に陥っている者達が自死を選んだとしても、妙だな……」
諜報員達は地図を広げる。
「確かに、あの方向には集落がある。行って確認せねば」
諜報員達は、集落に向かって足を進める。そこには立ちはだかる者達がいる事に、まだ気が付いていない。しかし、僅かでも動きを見せればこちらに直ぐ気付かれるだろう。
(「諜報員ってのは見た目で敵を惑わし、その隙をつくスキルも重要だ。後、同じ様な役目だからわかるんだが、隙があんまりないな。なるほど、疑われずに探り、潰すには最適だな。でも、思う様にさせる訳にはいかない」)
近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)は、そう思うが、こちらに気付いていなくとも、隙を見せる様子が見えないので、攻撃のタイミングが上手く図れない。
「俺が囮になろう。諜報員達の隙をつけるはずだ」
そう名乗り出るのはガエル・シルヴァン(竜の守護者・g10318)。そうすれば、悠と有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)は身動きが取りやすく、隙を突く事も可能だからだ。
勿論、囮になってくれるガエルを見殺しにしたりはしない。必ず、合流して共に戦う事を約束し、ガエルは諜報員の方へと向かった。
念のため、ガエルは、集落の外から来たように装い、諜報員達に、堂々と名を告げる。
「我が名はガエル・シルヴァン、我が竜に仕える守護者である!」
名乗ったのと同時に、竜の力を構えた武器の一点に集中させると、強烈な魔力の弾丸となって突撃する。魔力に覆われた身体も生かして、一気に諜報員達の薙ぎ払った。
「敵を確認! 各自、散れ!」
諜報員の中でもリーダー格と思われる者が号令をかけると同時に、ガエルに接敵するとその頬に触れる。確かにこの諜報員は魅惑的な姿をしている。誘惑を仕掛けながら、更に口づけを狙ってくる彼女をガエルは振り払った。
「ふん、誘惑など俺には無意味だ。我が婚約者に勝るものなどいないのだからな!」
そう、ガエルには婚約者がいる。相手がいくら美しかろうと、魅惑的だろうと、大切な婚約者への思いは揺ぐ筈等ない。
そして、ガエルの宣言に気を取られた諜報員達へ、悠達も一気に攻勢をかける。
悠は自らの影法師を漆黒の分身体として、共に飛び出す。そして、グラップルで蹴りを叩き込んだ。ふいは付かれたが、諜報員の変わり身も早い。猛吹雪を引き起こし、悠に接敵、悠に強烈な一撃を叩き込んだ。致命傷は避けられたが、向こうの気配の隠し方も、攻撃も隙が無い。
(「ああ、動きは見事なものだ。だが、気配を察知したらこちらのものだ」)
吹雪を使って視界を遮っても、どちらの方角にいるのかはこの調子であれば察知できる。再び悠は自らの分身と共に諜報員達の翼ごと斬り裂いた。
「苦しんでる住民の皆様の為にここで屈する訳にはいきません!!」
永遠も、同様に隙を突いて、黄泉逆矛を用い、数多のエネルギーの矛を、敵の足元から撃ち出し、動きを奪う。隙を突かれた事で、何人かの諜報員は足止めされた。
陽動のガエルも暗躍する悠や永遠と動きを合わせる。まずは、永遠の攻撃で足止めを喰らった諜報員達だ。
「道を阻むものは全て蹴散らす!」
自らを竜の力の魔力の弾丸となって諜報員達を一気に薙ぎ払う。悠も諜報員の気配を察知しながら、自身の分身と共に諜報員達を斬り裂いた。
その中で特に重要な役割を担っているのは、永遠だ。彼女の足止めの矛は姿を見せない諜報員も含めて、その動きを封じる。勿論、永遠にリスクが無い訳では無い。諜報員の攻撃は的確だ。致命傷は受けない様に、氷霊の剣でその攻撃を受け止め、なんとかやり過ごした。
「この地の人々の幸せの為にお前達は排除する!!」
動けない諜報員は例え、吹雪の中に身を隠そうとも、諜報員の様な経験のある悠とその分身の攻撃を繰り出し、誘惑に打ち勝つ心と諜報員自ら接触する事を生かして、ガエルも薙ぎ払っていく。
そうした三人の連携攻撃で、無事に諜報員達を倒す事が出来た。
「……これで、一番の障害は片づけられたか」
「ああ、一先ず、危険は去っただろう」
ガエルと悠は安堵の息をつく。一先ず、当面は見つからずに済むだろう。
そして、この根源であるカーミラを倒す事が出来れば、もう心配する事はない。人々はここで何とか暮らしていけるだろう。それを信じて――彼らの生活が少しでも良いものになる事を願うディアボロスだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【土壌改良】がLV2になった!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!