ピレネー山脈の撤退軍を討て

 《七曜の戦》の敗北により、大陸軍は、イベリア半島の戦線の維持を諦め、イベリア半島の軍勢を本国に戻す事を決断したようです。
 分散配置していた戦力を集中させる事で、今後の反攻作戦の準備を整えようというのでしょう。
 グランダルメが撤退した後のイベリア半島は、火刑戦旗ラ・ピュセルによって制圧されていく事が予測されます。
 おそらく、ナポレオンは、イベリア半島と引き換えに、ジャンヌ・ダルクと『対ディアボロス同盟』を成立させる事も企図している筈です。

 しかし、このイベリア半島の戦力の撤退は、予定外の行動であり、かなりの強行軍で行われる為、統制が取れていません。
 特に、険しいピレネー山脈を移動する敵は、各個撃破の絶好の機会と言えるでしょう。
 フランス北部に戦力を集中させるという、ナポレオンの大戦略を打ち砕くためにも、ピレネー山脈を撤退する敵軍に大打撃を与えてください。
 撤退する烏合のトループス級を叩きつつ、撤退の指揮を取るアヴァタール級を撃破していく事で、敵に大打撃を与える事が出来ます。

 期日までに成功したシナリオが8本以上であれば、大参謀『バティスト・ジュールダン』との決戦が可能になります。
 16本以上成功させれば『ジャン・ランヌ』元帥との決戦も行う事が出来ます。


ジャン・ランヌ

バティスト・ジュールダン

フラジール・エスペランサ(作者 鏡水面
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#断頭革命グランダルメ  #ピレネー山脈の撤退軍を討て  #イベリア半島  #ピレネー山脈  #バティスト・ジュールダン  #ジャン・ランヌ 


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●大いなる犠牲
 スペイン北西部、大陸軍が防衛拠点を構えるサラマンカの城内にて。
 ジャン・ランヌから告げられた言葉に、バティスト・ジュールダンは瞳を瞬かせた。
「……本国からの撤退命令ですか」
 そう繰り返すバティストに、ジャンは静かに頷く。
「そうだ。パリがディアボロスに奪われ、ミュラ殿がナポリを奪われ撤退した。これ以上イベリア半島に戦力を置いておく事はできまい」
「しかし、エルドラードがスペインを制する事は、なんとしても避けねばならなかったのでは?」
 エルドラードによるスペインへの侵攻。それを阻止するために、自分達はこの地に遣わされた。
 今このタイミングで撤退すれば、エルドラードによる侵攻が再び始まる危険性すらある。
 苦言を零すバティストに、ジャンは仕方ないと言うように首を横に振る。
「優先順位の問題だ。それに、エルドラードからイベリア半島を護る手も既に打っているそうだ」
 どうあれ、撤退は必至。すぐに本国へと帰還する必要がある。バティストはそっと息をついた。
「……私たちに拒否権はありませんね。ですが、撤退中にディアボロスの襲撃を受ければ、被害は免れません」
 本国へ帰還するには、ピレネー山脈を越えていかねばならない。ディアボロスのことだ、山中で待ち構えている可能性が高い。
 ジャンもそれについては理解しているようだ。いたって冷静な表情で、言葉を続ける。
「ある程度の被害は織り込み済みではある。だが、君の采配で、少しでも多くの戦力を本国へ送って欲しい」
 ジャンの目に在るのは、バティストに対する確かな信頼だ。バティストは表情を引き締め、力強く頷いた。
「心得ました。あなたと、そして精鋭軍だけでも必ず、本国に送り届けましょう」
(「たとえ、その為に多くの部隊を囮として、使い潰したとしても……」)
 心の内で、バティストは決意する。

●本国へ
「人によっては既に何度も行っているかもしれないね。今回はピレネー山脈に向かい、撤退中の大陸軍を撃破する任務だよ」
 フロラン・フォンテーヌ(天使のリアライズペインター・g03446)は、集まったディアボロスへと説明を始める。
 断頭革命グランダルメは、ディアボロスの活躍によって、大きく戦力を減退させていた。そしてそれは、《七曜の戦》で、更に顕著になっている。
 この状況を打開すべく、敵は戦力の糾合を目指しているようだ。
 グランダルメ側は、エルドラードから防衛したイベリア半島を放棄し、イベリア半島の軍勢を本国に帰還させようとしている。
「……けれど、それを許す必要なんてないよね。イベリア半島からフランスに帰還する為には、ピレネー山脈を越えなければならない。この山脈越えは、帰還する大陸軍の軍勢を討つ最大のチャンスだ」
 イベリア半島からの撤退軍に攻撃を仕掛け、できるだけ多くの軍勢を撃破するのだ。
 作戦がうまくいけば、撤退軍の指揮をとるバティストやジャンを討つチャンスも得られるだろう。

「パラドクストレインで先回りできるから、その上で撤退中の大陸軍を迎え撃ってくれ」
 撤退する軍勢は、指揮官であるアヴァタール級と護衛するトループス級、そして、彼らに率いられる大群のトループス級という編成になっている。
 敵部隊を先に見つけ、奇襲をかける事で、有利に戦うことができるだろう。
「敵の殲滅が難しいと判断した場合は、指揮官の撃破を優先するのもひとつの手だよ。それでも十分な戦果となるからね」
 今回の指揮官――『猛然たるカンブロンヌ』は、部隊を撤退させるためにディアボロスの前に率先して立ち塞がる。
 精鋭部隊の『リベルタス・エアリアルカスタム』も、大群のトループス級を護ろうとしてくるだろう。

「彼らも必死の想いで山脈を越えようとしている。普段以上に神経を尖らせているだろうね」
 ディアボロスの情報が以前より広まった現状、軽率に残留効果を使用するのも危険だ。
 使うなと言うわけではないが、使用時は周辺の環境や状況を考慮して、慎重に使って欲しい。
 一通りの説明を終え、フロランはこう締め括った。
「必死なところ悪いけれど、彼らにはご退場いただこう。大変な任務だけど、皆ならやり遂げられると信じているよ」

●険しき道
 荒れた山肌を大陸軍は進む。季節柄紅葉が色づき始めているが、彼らにそれらを鑑賞する余裕はない。
 足場にしていた岩が崩れ、ひとりの解体少女が崖から落ちかける。――カンブロンヌが少女の腕を掴み、安全な場所へと引き上げた。
「あっ……ありがとうございます」
「足並みを乱されると困るから助けただけだ。礼などいらない」
 淡々と告げ、先頭に戻ってゆく彼の姿を、助けられた解体少女はぼーっと熱い視線で見つめた。
「捨て石にされても当然な私を守ってくれるなんて……こ、このときめきは……もしかして、恋?」
「カンブロンヌ様ってカッコイイよね。わたし、ファンになっちゃうかも……」
 一連の光景を目撃した他の解体少女達も、きゃいきゃいと騒ぎ始める。それらの声が耳に届き、カンブロンヌは大きな溜息をついた。
「無駄口を叩くな。集中しろ、黙って進め」
 大きな声で後方へと言い放てば、解体少女達は慌てて口を噤んだ。
 まだひそひそと何やら聞こえるのは無視し、カンブロンヌは護衛のリベルタス・エアリアルカスタムへと指示を出す。
「……引き続き、周囲を警戒しつつ進め。ほんの僅かでも違和感や異変を感じたら報せるように」
「はい。そのように」
 彼の命令に、リベルタス・エアリアルカスタムは忠実に従う。
 統制が取れていないながらも、カンブロンヌや護衛のトループス級達の警戒心は強い。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV2

●マスターより

鏡水面
 こんにちは、鏡水面です。
 撤退中の自動人形達を倒し、フランスへの帰還を阻止しましょう。よろしくお願いします。

●基本的な方針
 ①→②or③or④の流れで進めます。
 ②以降は優先順位を付けつつ、手分けして戦うことを推奨します。

 ①敵部隊哨戒
 攻略しておくと、こちら側から見つけての奇襲が可能になりますので、今後の判定が少しだけ良くなります。

 ②護衛するトループス級『リベルタス・エアリアルカスタム』
 大群のトループス級を護衛しています。④の敵に守られている間は、🔴が出やすくなります。

 ③大群のトループス級『解体少女』
 ②と④の敵に守られている間は、🔴が出やすくなります。
 
 ④アヴァタール級との決戦『猛然たるカンブロンヌ』
 護衛するトループス級と大群のトループス級を護衛しています。
 撃破するとシナリオが完結します。他の選択肢も攻略したい場合は、倒すタイミングに気を付けてください。
 
 プレイングの採用状況については雑記に記載しますので、ご確認いただけますと事故が減ります。
 ここまで読んでいただきありがとうございます。それでは、皆様のご参加お待ちしております!
35

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


プターハ・カデューシアス
アドリブ・連携歓迎

撤退中と言うことは警戒の目は厳しいですね

今の所ヘルヴィム直属軍の情報は、我らの持つパラドクスや残留効果に対するものばかり注目されている気がします
ならば新宿島の人類史テクノロジーで勝負

まずは案内人に最終人類史の地図を参考に到着場所を確認し
【パラドクス通信】を
これで、仲間と連携し探索できるでしょう

大人数の移動に適したルートを予想し探索
潜伏に適したエグニママントに動きやすい迷彩服を着用
新宿島で用意した望遠鏡や暗視ゴーグルを活用し探索していきます
レンズの反射にも十分注意

大人数ですから、目立たない訳は無いはず
移動の形跡さえ見つければ追うことは容易いでしょう

足跡は勿論、進軍の音、匂い、砂埃なども参考に
疲れ知らずの自動人形とは言え暗視能力があるわけではないでしょうから
夜間であればある程度の灯りを必要とするでしょうから、それを頼りに探すのもいいですね

幸運にも発見できた時は、味方の救援機動力の座標となるべく
潜伏し自身の気配には充分注意をして尾行して、彼らの状況をしっかり観察します


九条・朔夜
相棒のシエル(g09156)と参加

グランダルメは大事な相棒の故郷だ。復讐者になって一年も経ってないが、もうボロボロなのは分かる。そして戦力立て直しに必死なのも。軍師だから分かるんだが、僅かな戦力でも拠点に返せば戦力になるからな。でもシエルの故郷の為にそんな事をさせる訳には行かない。



シエルにも土地勘はあるが、念の為に最終人類史の地図をシエルと確認して
地形などの情報を掴んでおく。通り安いところとかな。

【パラドクス通信】で先行の仲間と連絡を取り、情報を元に迷彩柄の外套を羽織り、森の地形に紛れられるように【光学迷彩】を使用。山中は突然の霧もあり得るのでシエルに【完全視界】を使ってもらう。

俺も戦闘集団にいたから分かるが、大集団の移動にはある程度広い場所を達らないとな。それに目立つ。足跡とか木の折れた後や草の乱れた後を【偵察】【観察】【地形の利用】を使って移動する軍勢を捜索。

敵集団を見つけたら【パラドクス通信】で仲間に知らせて、シエルと奇襲するタイミングを計るぜ。


シエル・ヴィオレ
相棒の朔夜(g09155)と参加

今年の2月に復讐者として覚醒してから我が故郷グランダルメでの混沌たるクロノヴェーダの跋扈ぶりに呆然としたものですが、最早クロノヴェーダの
勢力は斜陽。

ただ、元々グランダルメの勢力は大軍勢。軍人の娘故わかりますが、残った戦力を無事に本拠地に返せば、立て直しは容易です。ここまで追い詰めたんです。戦力の再編はさせません。

イベリア半島は少々土地勘がありますが、場所が込み入った地形ゆえ、最終人類史の地図と朔夜と確認して地形を掴んでおきます。

【パラドクス通信】で先行の方と連絡を取り合い、情報を交換。

迷彩柄の外套を羽織り、【光学迷彩】を使った上で【完全視界】を使用。大群が通りそうな広い道を探します。慌てての撤退の進軍ですから隠れる余裕はないはずですし、目立ちます。進軍の音も砂埃も【観察】してしっかり。

朔夜は戦闘集団の軍師ですし、私は軍の指揮官の娘です。敵に先手を取るため、二人の知識を併せて、軍勢の挙動を観察。

見つけました。さあ、これからどうするか。


●Pirineos
 薄青い影を落とすピレネー山脈。峻険たる山々は、スペインとフランスの間を横断するように連なり、進む者の行く手を阻む。
 ディアボロス達はパラドクストレインから降り立った。盆地に降りた彼らは、大自然の威容を目の当たりにする。
 澄んだ空気が美味しく感じる。だが、今は混じり気のない澄んだ空気も、ひとたび敵と交われば、血と硝煙の香りに濁るのだろう。
「……この山脈のどこかに、自動人形の軍勢がいるのですね」
 山々を食い入るように見つめ、シエル・ヴィオレ(神籟のプリエール・g09156)は呟いた。
 呟く彼女へと、九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)が言葉を返す。
「ただでさえ険しい道を、必死で行軍中だろうな。必ず見つけて、仕留めてみせるぜ」
 だが、間違いなく警戒の目は厳しいだろう。プターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)は、山肌へと視線を巡らせながら紡ぐ。
「追う立場ではありますが、我々も十分に警戒して参りましょう」
「ああ、下手を打って返り討ちに遭ったら元も子もないからな」
 軍師たるもの詰めを甘くしてはなるまいと、朔夜は肝に銘じている。グランダルメの軍勢は勢力を弱めつつあるが、だからこそ油断できない。
 その気持ちはシエルも同じく。表情を引き締め、シエルは前を向いた。
「気を引き締めていきましょう。ここまで追い詰めたんです。戦力の再編はさせません」
 山の間を冷たい風が吹き抜けた。風は彼らの髪を揺らし、ひんやりとした気配を散らせてゆく。
 プターハは空を見上げた。空を汚すように、灰色の雲が居座り始めている。確認のために出していた地図を懐にしまい、プターハは朔夜とシエルへ目を向けた。
「山の天気は変わりやすいものです。お二人とも、どうかお気をつけて」
 プターハの言葉に朔夜とシエルは静かに頷く。三人は二手に分かれ、敵部隊を探すべく険しい山中へと足を踏み入れた。
 
●山中の捜索
 朔夜とシエルは迷彩柄の外套を身に纏い、木々が茂る斜面を捜索する。
 敵がこちらを発見する危険も考慮し、森に群生する植物や地形に身を隠すことも忘れない。隠密行動を取ったうえで光学迷彩を展開し慎重に進んだ。
 視界の数メートル先が霧に覆われ始めていた。だが、完全視界を展開すれば、霧による視認性の低下など敵ではない。
 周辺の環境の変化――折れた木の枝や、草が踏まれたりした所がないか。僅かでも見逃さぬよう、周囲に目を配りつつ、朔夜は思考を巡らせる。
(「今のところ気配は感じない……だが、この周辺にいることは確定している。絶対に逃がすものか」)
 僅かな戦力でも拠点に返してしまえば、敵の戦力となってしまう。大陸軍の強化は、奪還への道を遠のかせる要因になり兼ねない。
 大切な相棒の故郷のために、決してそんなことはさせまいと、朔夜は強く想う。
 少し先、地面が露出している山肌が見えた。朔夜の隣をゆくシエルが、小声で言葉を紡いだ。
「この先、視界が開けています。見晴らしがよい分、私達もより一層注意しましょう」
 重要なのは一方的に敵を発見することだ。開けた場所に出て敵の視界に入ってしまえば、哨戒が台無しになる。
 朔夜とシエルの出自と立場ゆえか。哨戒任務の重要性について、二人は十分すぎるほどに理解していた。
 生い茂る木々が一時的に途切れる場所――二人はその場所へ入る前に、木陰で一旦立ち止まる。
 危険がないことを確認し、剥き出しの山肌へと進入する。地面を注意深く観察し、朔夜は無数の足跡が残っていることに気付いた。
「シエル、見てくれ。足跡が大量に続いている。……この数だ、おそらく自動人形達のものだろう」
 シエルはすぐに朔夜の傍に行き、彼が指し示す地面へと視線を落とす。足跡の数と向かう先を確認して、彼女は確信を得たように頷いた。
 ――逸る感情が一切無いわけではない。それでも、軍人の娘として、シエルは次に取るべき行動を冷静に判断する。
「足跡が続いているのは、仲間が捜索している方向です。追いましょう、まだそう遠くには行っていないはずです」
 彼女の落ち着いた横顔を見つつ、朔夜は安堵したように笑みを浮かべた。
(「急いては事を仕損じると言うが、シエルは大丈夫そうだな。良い面構えだ」)
 彼の視線に気付き、シエルがチラリと目線を向ける。
「朔夜、私の顔に何か付いてますか?」
 不思議そうに問うシエルに、朔夜は首を横に振った。
「いや、何でもない。さあ、行こうぜ」
 最初こそ不思議そうに首を傾げるシエルだったが、すぐに思考を切り替えて、足跡の向かう方向を見据える。
「はい。必ず見つけましょう」
 お互い頷き合い、二人は足跡を追って再び森の中へと入ってゆく。山肌から森へと抜ける風が、二人を導くように行く先の木々の葉を揺らした。
 
 ――朔夜とシエルが足跡を発見する少し前まで遡る。プターハは二人とは別の入り口から山中へと分け入り、大陸軍を探していた。
(「……霧が出てきましたね。完全視界があるので、視界には問題ありませんが」)
 空から霧が降りてきている。そして、その霧は少しずつ濃くなっているようだ。迷彩柄を模したエグニママントが、霧を模倣するように白をその表面に滲ませる。
 望遠鏡を取り出し、木立の間から周辺を見渡した。どこを向いても、同じ森が続いている。
 この一見『同じ森』から、変化を見つけるのだ。足跡、匂い、あらゆる移動の形跡――敵は大人数だ。目立たない訳がない。
 形跡は必ず残っているはずだ。それさえ見つければ、追跡が可能になる。
(「敵は大軍で移動している……ということは、入り組んだ道は極力避けるはず。地形的にそのような道を、すべて回避するのは困難でしょうけれど」)
 移動に適したルートを計算し、プターハは捜索範囲を限定する。なるべく道幅の広い場所へ。ただし、自分の身は慎重に隠しつつ。
 風が、木々の間を通り過ぎた。風の中に混じった音に、プターハは足を止める。
(「! 今の音は……」)
 僅かだが風に紛れて音が聞こえたのだ。葉や地面を踏みしめる、無数の足音が。
 風向きを確認し、その方向へと注意を向ける。望遠鏡のレンズ越しに、木々の間を歩く自動人形達が見えた。彼らを視界に捉え、プターハは金の瞳を細める。
(「見つけましたよ……こちらにはまだ気付いていないようですね」)
 監視を続けつつ、プターハはパラドクス通信で朔夜とシエルへと発見の情報を伝える。

 プターハからの通信を受け、朔夜とシエルは発見地点へと向かっていた。
「やはりこの先ですか」
 シエルが前方を見据える。視界に捉えるまでに、そう時間は掛からないだろう。鋭い緊張感が漂うが、彼女の足取りは的確な追跡ルートを辿っていた。
 それは朔夜も等しく。一切の無駄を省いた道を駆けながら、彼は周辺の気配に意識を研ぎ澄ませる。
「……居た。身を隠せ」
 前方の木々の隙間から、進軍する自動人形達の背中が見える。二人は息を潜め、彼らの後方についた。
 敵に気付かれぬようにある程度距離を取り、シエルは小声で話す。
「見つけましたね。さあ、これからどうするか」
 祖国を取り戻すための、最良の選択を。彼女は強い意志をその眼に宿した。
「タイミングを合わせて奇襲と行きたいところだな」
 朔夜はパラドクス通信を用い、その旨をプターハへと伝える。
 ――連絡を受け取り、プターハは同意の言葉を返した。
(「さあ、ここからが正念場ですね」)
 プターハは敵の隊列を注意深く観察する。
 『解体少女』を囲うように護衛する『リベルタス・エアリアルカスタム』。
 そして、先頭に立つアヴァタール級……『猛然たるカンブロンヌ』もまた、彼らを守るように先頭に立っている。
 敵がまだディアボロス達の存在に気付いていない現状こそが、好機と言えよう。だが、好機と言えども、この先順調に事が進むとは限らない。
(「奇襲をかけるとはいえ、一筋縄では行かないでしょうね。守りを固める相手に対して、どう戦うか……」)
 プターハは表情を引き締める。敵は目前。戦いの前触れを察知したかのように、木々で翼を休めていた鳥が飛び立っていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

プターハ・カデューシアス
駆けつけてくれたソレイユと共に
カンブロンヌの所まで【完全視界】や【光学迷彩】を利用して気取られぬよう移動
仲間と【パラドクス通信】で連絡を取りタイミングを合わせて奇襲


ソレイユが作った隙を突き「地神の守り」で攻撃を
カンブロンヌの足元から土竜で強襲し、トループス達との間に割るように【防衛ライン】を引きましょう
「さあ、貴方の相手は私達です よそ見はさせませんよ」

大陸軍の膨大な記録を利用した反撃は手強いですが
こちらも負けていられません、ソレイユと連携し
できる限り【フェイント】を仕掛け翻弄しましょう

あの軍勢を大陸軍と合流をさせないことが大切
仲間がトループス達を殲滅するまでは、あくまで抑えに徹します

味方との連絡を密にし、冷静に状況把握に努め
疲弊しすぎないよう、必要ならば敢えてこちらか攻撃を仕掛けずに相手の攻撃への反撃のみで凌ぎましょう

護衛のリベルタスにもラズロルや心強い仲間が向かっていますから
安心して背中は預け、自身の役割に集中

ソレイユとは息の合った連携を心掛け、彼に向かうP攻撃にディフェンスを


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

偵察、お疲れ様ですよ
大陸軍の再編成は絶対に阻止したい所ですから、加勢に参りました

完全視界・光学迷彩を使用し、霧と森に紛れて先頭のカンブロンヌに接近
プターハが防衛ラインを引きやすいように、私は正面から仕掛け注意を引きつけましょう
その隙にトループス級との間を分断してくだされば、戦いやすくなるでしょうから
パラドクス通信で仲間とタイミングをあわせて、奇襲開始です

宙に展開した鍵盤で「鐘」を演奏
不可視の使者を喚び、ダメージアップの加護も乗せて
正面から切り裂いてやります
プターハとカンブロンヌを挟撃するように布陣して
配下を指揮する余裕を無くすように、徹底的に攻めます
指揮官狙いと見せかけて、配下を狙う仲間への意識を多少でも遠ざけられれば幸いです

反撃の火砲には魔力障壁を展開して凌ぎ
プターハへのW攻撃にはディフェンスに入り、反転攻勢に出ます
森や霧の中を常に移動し続け
プターハの攻撃直後に反対方向から攻撃を撃てるようにタイミングを調整

よそ見なぞ、させませんよ
もう少し、ダンスのお相手を願いましょう


●霧中の円舞
 霧の森を征く無数の軍靴。それは自動人形達による決死の行軍か。それとも、山を越え希望を掴もうと足掻く行進か。
 どちらにせよ、止める以外に選択肢は存在しない。大陸軍の再編成を阻止することこそが、ディアボロス達にとっての希望なのだから。
(「皆、もう配置についていますね。……あとは、同時に攻撃を仕掛けるだけ」)
 木陰に身を潜めつつ、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は自動人形達を視界に捉えた。
 先頭に立つカンブロンヌとの距離が近付く。第一撃目は、ソレイユの演奏から始まる。パラドクス通信を開き、彼の口から密やかに紡がれるのは戦闘開始へのカウントダウン。
(「……3、2、1――」)
 ゼロの代わりに、輝く鍵盤が霧を照らす。それが奇襲の合図だ。刻限を告げる鐘の音が、霧を裂くように響き渡った。
 幻想的な輝きと共に、荘厳たる音色がカンブロンヌの耳へと届く。
「鐘の音……――!」
 カンブロンヌは言葉と共に、目を見開いた。木立を抜ける風が、鋭い刃を得たように尖る――否、それは風ではない。ソレイユの奏でる音だ。
 超常の音は空気を伝わり、カンブロンヌの体を容赦なく斬り裂いた。
 同時、彼の足元から巨大な土竜が突き上がる。プターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)の『地神の守』だ。
「随分とお急ぎでいらっしゃるようですが、足を止めていただきましょうか」
 衝撃にひび割れた地面へと白いラインが走る。カンブロンヌとトループス級達を分断するように引かれたそれに、カンブロンヌは眉を寄せた。
 だがそれも一瞬。次には全ての無駄を省いた剣技が、プターハへと繰り出される。
「来るだろうと思っていたぞ。ディアボロス」
 その一撃をプターハは受け止める。一見無表情に見えるカンブロンヌの瞳には、鬼気迫る気配があった。ゾッとするほどに恐ろしい視線にも、プターハは一切動じない。
 身の毛がよだつほどに恐ろしい光景など、これまで幾度となく目にしてきた。たかが自動人形の殺気に満ちた視線など、どうということはない。
「おや、もしや私達のことを待っていただけていたのですか?」
 口元に柔らかな笑みを浮かべる。プターハの微笑みを、カンブロンヌは冷たく見つめた。
「……ほざくな」
 吐き捨てる彼の背後で、再び鐘の音が鳴り響く。とっさに振り向くカンブロンヌへと、不可視の衝撃が襲った。
 罪を断ち切るかのごとき斬撃の向こう、カンブロンヌはソレイユの姿を捉える。
 ソレイユは鍵盤へと指を走らせ続けている。鐘の音は、彼が奏でる旋律そのものだ。煌めく光彩と共に生み出される斬撃は、カンブロンヌに裁きを与え続ける。
 カンブロンヌからの殺気に満ちた視線を浴びながら、ソレイユは瞳を細めた。
(「そうだ、それでいい……ずっと私達を見ているといい」)
 カンブロンヌを引きつけ、その間に他の仲間がトループス級を倒す。決して余所見などさせるものか。
「演奏を止めろ」
 カンブロンヌは斬り裂かれながらも、無数の銃弾を撃ち出す。降り注ぐ弾が、ソレイユの魔力障壁に衝撃を与えた。
 防ぎ切れなかった弾がいくらか体を掠めるが、ソレイユの演奏は止まらない。
「どんなに撃ち抜かれたとしても、この指が動くかぎり私は奏で続けましょう」
 強い眼差しでそう告げるソレイユへと、カンブロンヌは再び銃口を向けた。
「ならば、その機能が停止するまで撃つのみ」
 引き金に手を掛けるカンブロンヌを、ソレイユは澄んだ瞳で見つめる。――正確には、カンブロンヌの、その背後を。
「お忘れですか。あなたの敵は」
 ソレイユが言葉を紡いだ。続けて、カンブロンヌの背後から。
「一人ではありませんよ」
 プターハの声と同時、再び巨大な土竜が大地を割って現れた。土竜はまるで神が姿形を変え顕現した存在であるかのように、強力な力を宿す。
 迷いのない突進と共にカンブロンヌへと衝突し、その体を空へと突き飛ばした。
「ソレイユの演奏に夢中のようですね。まあ、気持ちはわかりますが」
 朗らかに言うプターハだが、その瞳には鋭い眼光を宿している。
 絶対にこの場から通さない。彼の強い意志を、カンブロンヌも感じたのだろう。
「チッ……次から次へと」
 空に打ち上げられながらも、カンブロンヌが体勢を整えた。落下しながら剣を構え、プターハへと突っ込んでくる。
 それに気づかないプターハではない。彼はとっさにメルセゲルを展開する。鞭がしなり蛇のように伸び、カンブロンヌの剣へと絡み付いた。
 そのまま鞭を持つ手を横に振るう。カンブロンヌの体ごと落下軌道をずらし、半ば強引に突進を回避する。
 カンブロンヌはメルセゲルを振り解くが、そのまま木へと激突した。
 体を打ち付けながらもその表情は変わることなく。氷のような眼差しのまま、プターハへと銃弾を放つ。
(「たとえ有利な状況であっても、薄氷の上を歩いていることに変わりありません」)
 銃弾の幾つかが体を掠める痛みと共に、プターハは思考を巡らせる。確かな戦力と、経験に基づいた作戦を実行することで実現した状況だ。
 だからこそ、些細なミスは許されない。
 カンブロンヌへと、焦燥に駆られた解体少女が叫んだ。
「カンブロンヌ様!」
 カンブロンヌがハッとしたように目を見開く。
「ッ……馬鹿どもが! 喚く暇があるなら逃――」
 言葉は鐘の音色に掻き消された。――視えないが、間違いなく、来る。
 そう感じるやいなや、襲い来る衝撃に耐えるカンブロンヌ。彼へと、ソレイユは淡々と告げる。
「逃がしませんよ。あなただけでなく、彼女達もです」
「ぐ……っ」
 カンブロンヌが苦しげに呻き、唇を噛み締めた。
 ソレイユは強く想う。たとえ彼らの希望を踏み躙ることになるとしても、故郷を、家族を取り戻すのだと。
 彼は真剣な表情で、再び鍵盤に指を置いた。
「さあ、もう少しダンスのお相手を願いましょう。私とワルツを……踊っていただけますね?」
 ダンスの誘いは断罪の鐘の音色と共に。物騒なお誘いに、カンブロンヌが顔を顰めた。
「……お断りだ、と言いたいところだが」
「答えは『はい』しか選べないのだと、貴方も理解しているのでは?」
 プターハが穏やかに返す。口を閉ざすカンブロンヌの反応を肯定の意であると捉え、プターハはさらに続ける。
「貴方に拒否権はありません。さあ、貴方の相手は私達です。よそ見はさせませんよ」
 仲間達がトループス級に専念できるよう、必ず彼を喰い止めてみせる。
 仲間を信じ、自分を信じ、プターハはカンブロンヌをその瞳に捉えた。彼の心は、凪いだ湖のように落ち着いている。
🎖️🎖️🎖️🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

九条・朔夜
相棒のシエル(g09156)と参加

まあ、分かりやすく忠誠心高い精鋭兵って感じか。何かシエルが微妙な顔してるが。まあ、あれだけ目立つ外見してるとな。



折角奇襲出来る状況にあるんだ。アヴァタール級の抑えに行ってくれる仲間と【パラドクス通信】で連絡をとり、タイミングを併せてリベルタスの方へ【光学迷彩】を纏って襲撃!!

随分特徴的な動きで見るだけで目が回りそうだが、まず、【高速詠唱】で地面から無数の矛を出して攻撃!!砂礫混じりの旋風のせいで視界が遮られそうなので【完全視界】で視界をクリアにして【精神集中】でしっかり狙って攻撃!!空中と周囲は攻撃に巻き込めても地面からの攻撃は対応できないだろ!!

ただ多くを巻き込む分反撃は喰らうだろうし、矛さえも飛び越えてくる可能
性あるんだよな。【残像】で致命傷を外して地面に倒れる事は回避し、接近してきた敵は大太刀で【吹き飛ばし】して対処!!

見た目はアレなんだが、物凄く強いな。伊達に護衛兵任されてる訳じゃない。でも、その意志、越えさせて貰うぜ!!


シエル・ヴィオレ
相棒の朔夜(g09155)と参加

・・・・確かに辛い撤退作戦に相応しい精鋭兵に相応しい外見かもしれませんが。何か違和感が。まあ、優秀な事は間違い無いですね。

哨戒が上手くいった事で奇襲が出来る状況を最大限に活かしたいですね。アヴァタール級の抑えに行ってくださる方々と【パラドクス通信】で連絡を取り合い、トループ級と同時に奇襲できるようにタイミングを併せます。【光学迷彩】を使い、不意を突いて奇襲できるように。

私は軍の指揮官の娘で音楽家の娘でもあります。聞こえてくる歌は嫌悪感し感じません。衝撃波が見えるなら【残像】で回避を試みますが、音だけが聞こえるタイプなら物理的に黙らせるしかありません。【高速詠唱】で華厳滝落としを発動。頭上から不意に水塊を落としてその無駄な後光ごと潰してあげましょう。

外見に言いたいことは沢山ありますが、実力と忠誠心の高さは本物。だからこそこのトループ級を残しておけません。こういう兵を乗り越えてこそ、私たちの信念を示せるかと。


ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎

持参した森林迷彩のフード付きマントを纏い【光学迷彩】で森に潜みつつ
奇襲ポイントへ
カンブロンヌとは反対側のリベルタス、解体少女達を仲間達と囲むように適度な距離を取って潜もう
仲間達とタイミングを合せ一斉攻撃だ

先ずは集団に砂蝙蝠をけしかけ、爆発と同時に砂煙を撒き散らし視界を奪おう
僕等は【完全視界】で視界確保済みだし問題無いよね
素早く護衛を役立たずにしていこう
更に周辺森からフライトドローンを敵陣を囲むように配置し進路妨害に使う
敵がどれだけいるか警戒心を強めさせ少しでも手を煩わせるのに使えればヨシ
奇襲成功の為にも設置時は停止させた状態で

指揮官が倒れた場合は護衛も逃げる可能性があるので
逃がさぬよう砂蝙蝠で追撃と
フライトドローンで進路妨害を

反撃の高速回転は
風と砂は風塵魔術師の専売特許だよ
劣化版は困るなー
なんて憤慨しながら魔障壁で砂礫を遮る
あと制空権も渡さないよ

こんなに残兵を使って時間稼ぎしたいのだろうけど
思い通りにはさせないよ
漏れなく全部スクラップだ


●機械仕掛けの女神
 戦いの幕開けが、霧の森の静寂を打ち破る。強襲を仕掛けられたのは、猛然たるカンブロンヌだけではない。
 彼への攻撃と同時、リベルタス・エアリアルカスタムが構える布陣へも、ディアボロス達の手は及んでいた。
 聴こえる鐘の音を合図に、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)がパラドクスを展開する。地面から巻き上げられた砂が寄り集まり、蝙蝠へと形を変えた。
「さあ、行っておいで」
 ラズロルの言葉と共に、『ラムル・インフィジャール』が解き放たれる。蝙蝠は砂の翼を羽搏かせ、敵へと突進する。
 爆発と共に砂煙が巻き起こり、視界が砂色に色濃く染まった。
「敵襲だ! ディアボロスかっ!」
 リベルタスが高速回転しながら、砂蝙蝠が飛来した方向へと駆けた。
 砂煙を抜け攻撃を繰り出すが、ラズロルは傍に浮かぶフライトドローンを盾にして躱す。
「残念、ハズレだよ。こっちにとっては大当たりだけどね」
「何……ッ」
 刹那、リベルタスの直下から無数の衝撃が撃ち出される。
 ――九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)が展開する『黄泉逆矛』だ。
 その衝撃は刃のように鋭く、リベルタス達の体を容赦なく貫いた。数多のエネルギーを凝縮させた無尽の武具。それは仇す者を、黄泉へ送らんと手向けられる刃である。
「前と上ばかり見てないで、足元もちゃんと見とくんだな!」
 朔夜はよく通る大きな声でそう言い放つ。その言葉にリベルタス達はとっさに下を見て――直後、頭上から降り注いだ巨大な水塊に押し流された。
 そう、撃ち込まれたのは朔夜の攻撃だけではない。
 朔夜が下に注意を向けさせると同時、シエル・ヴィオレ(神籟のプリエール・g09156)が発動させた『華厳滝落とし』が、敵を呑み込んだのだ。
「特定の方向へ注意を向けさせ隙を作る……さすがですね、朔夜」
「合わせてくれる仲間がいるからこそ生きる戦法だ」
 一連の奇襲がなければ成し得なかった。それはリベルタス達に大きなダメージを与えるが、彼らも精鋭だ。
「動じるな! 迎撃せよ!」
 彼らは朔夜へと反撃を繰り出した。旋風を纏い、朔夜へと迫るリベルタス。
 繰り出される攻撃へと、朔夜は光華の太刀を構えた。強い衝撃が体を揺らすが、朔夜は衝撃を受け流すことで耐え抜く。
 他方、シエルに対してもリベルタス達は反撃を仕掛ける。まるで騒音のような歌の衝撃波が、シエルを包み込んだ。
(「なんて耳障りな歌声なんでしょう……耳がおかしくなりそうです」)
 不快な音の奔流に意識を搔き乱されるが、シエルは心を強く持ち耐え凌ぐ。
 奇襲によって確かな打撃を与えたことは事実。だが、彼らの機能を停止させるためには、さらなる一手が必要だ。
「カンブロンヌ様の助けがなくとも、私達で守り抜くのです!」
「主君のために忠義を尽くすのだ! ディアボロス、何するものぞ!」
 傷を負いながらもすぐに体勢を整え、リベルタス達は互いを鼓舞する。そんな彼らを見据え、ラズロルはやれやれと言った風に息を付いた。
「お相手さん、まだまだ元気みたいだねー。随分と盛り上がっちゃって」
 無論、張り詰めた緊張の糸を解くことはない。だが、焦る必要はない。カンブロンヌの方は、プターハとソレイユが抑えてくれている。
 ――ま、二人なら必ずやってくれるって、最初から信じてたけどね。ラズロルは心の内で呟きつつ、目前の状況から思考と視線は逸らさない。
「まあ、分かりやすく忠誠心高い精鋭兵って感じか。奇襲で崩れない組織力もある」
 リベルタスの軍勢を注意深く観察しつつ、朔夜はそう評価した。見た目はどこぞの女神を彷彿とさせ、それでいて異様な容姿ではある。
 だが、伊達に護衛兵を任されている訳ではないということがよく理解できた。
 ふと、横でシエルが微妙な顔をしていることにも気づく。それはきっと、あの目立つ外見のせいだろう。
「あの見た目は何なのでしょうね。実に違和感があるのですが……まあ、優秀な事は間違い無いですね」
 辛い撤退作戦を決行する精鋭兵に相応しい外見かもしれないとは思うのだが。
 松明のような形をしたライフル。そして、あの振り回しているモノは、どこかフランス国旗の色に似ている……。
 そこまで考えて、シエルはそれ以上考えるのを止めた。とにかく意匠がどうであれ、倒すべき敵であることに変わりないのだ。
「さあ、返り討ちにして差し上げます。ディアボロス達よ、覚悟なさい」
 リベルタス達が一斉に攻撃を仕掛ける。砂礫混じりの旋風を身に纏う彼らへと、ラズロルはどこか呆れたように肩を竦めた。
「またその攻撃? 風と砂は、風塵魔術師の専売特許だよ。劣化版は困るなー」
「劣化版などではありません!」
 否定と共に迫る彼らへと狙いを定め、ラズロルは精神を研ぎ澄ませる。彼の周囲に荒々しい砂嵐が渦を巻いた。
 羽音を響かせる砂蝙蝠をそっと撫で、ニコリと微笑んでみせる。
「それじゃあ僕も、もういっかい見せてあげよう。性能差ってやつを実感してもらうためにもね」
 彼の魔術と、リベルタスの旋風が衝突する。轟々と唸り声を上げる風の中、ラズロルは魔力の障壁を展開。旋風による衝撃と飛来する砂礫を耐え凌ぐ。
 一方で、砂蝙蝠達は砂礫の壁を突き抜け、リベルタス達の体へとその身を躍らせた。砂蝙蝠は連鎖的に爆発し、体に穴を開けるほどの威力を持つ礫を撒き散らす。
「く……っ!」
 攻撃から逃れようと、1体のリベルタスが空へ上がろうとした。だが、その上空にも砂蝙蝠が陣取っている。
 退路を塞がれ動きを止めた敵へと、砂蝙蝠は容赦なく降り注いだ。髪に付いた砂を払いながら、ラズロルは軽快に問い掛ける。
「どうかな? 風塵魔術をマトモに正面から受けた感想、教えて欲しいな」
 無論、言われなくとも理解している。リベルタス達の消耗は明らかだった。まだ数は多いが、それでも着実に減らせている。
 残兵を使って時間稼ぎしたいのだろうが、決して思い通りにはさせない。
「この程度……我らが大義の前では無に等しい!」
 傷だらけになりながらも、リベルタスのひとりが叫ぶ。再び起こる鋭い風は衰えることを知らない。
 吹き付ける風に負けぬよう、朔夜は大地を強く踏み締めた。
「必ず越えさせて貰うぜ! そのためにオレ達は来たんだからな!」
 戦場に響き渡るその声は、天にさえ届くのではないだろうか。強い存在感を示すその言葉に、リベルタス達は殺気立つ。
「越えるのは私達だ! 貴様らではないッ!」
 高速回転による衝撃が朔夜へと襲い掛かる。
 敵の攻撃が朔夜に届くまで――それは瞬くほどの、あまりにも短い時間だ。その刹那の間に、朔夜は思考を巡らせる。
(「どんなに隙がなさそうに見える攻撃でも、死角は必ず存在する。それを……見極める!」)
 その身を斬り裂かんとする高速の斬撃を、朔夜は光華の太刀を再び前に構えることで受け止めた。
 激しい風に、彼岸花の武器飾りが揺れる。強過ぎる衝撃に意識が遠退きそうになるが、心に刻んだ目的が、朔夜の意識を繋ぎ止めた。
 大太刀で敵を薙ぎ払い、無理やり攻撃を弾き返す。――刹那の間に、敵の死角は視えていた。
 飛び退くリベルタス達の後方下から、数多の矛が光の柱のように突き上がる。
 それは串刺しの刑に処するかのごとく、リベルタスの体へと突き刺さり、その自動機構を穿つ。
「どうだ! この攻撃には対応できないだろ!! 見えてないんだからな!!」
「ガ……ッ、お、おのれ……!」
 ギリギリと耳障りな音を立てながら、リベルタスが倒れてゆく。
 金属が擦れるような音に、シエルは僅かに眉を寄せた。未だ残るリベルタス達を視界に映し、静かに言葉を紡ぐ。
「外見に言いたいことは沢山ありますが、実力と忠誠心の高さは本物。だからこそ、残してはおけません」
 彼女の瞳の奥には青い炎が燃える。冷たい彩を帯びた、それでいて熱い炎が。故郷を取り戻すと決めた心の灯が。
 強き兵を乗り越えてこそ、この信念を示せるというもの。
 リベルタス達が抵抗するように歌う。黄金の輝きと狂った歌の波動が、シエルへと津波のように迫る。
 焼け付くような光と、精神を苛む音が脳を揺らした。本当に何度聞いても酷い歌だと、シエルはしみじみと感じる。
 その出自ゆえ、シエルには音楽の心得がある。だからこそだろうか……この音に、歌に強烈な嫌悪感を抱くのは。
「……音程が乱れているだけでなく、内容も滅茶苦茶です。そろそろ黙ってください」
 高速で詠唱を紡ぎ、魔力の水を編み上げてゆく。それは急速に膨らみ、リベルタス達の頭上に影を落とした。
 影の存在に気付き、リベルタス達が逃れようとする――だが、もう遅い。
 水塊が滝のように落ちる。激しい水流がリベルタス達へと叩き付けられ、その体を押し潰した。
 歌が止み、無駄な後光も消え失せる。シエルはそっと息を吐くと、残り僅かな敵を見据える。
「やっと静かになりましたね。……もう歌うのは止めてください」
 リベルタス達に、もはや歌う余力はない。確実に人形達を破壊せんと、三人は追い打ちをかけた。
「なかなか強かったぜ……だが、もう終わりだ!」
「斜陽と共に、落ちていただきましょうか」
 朔夜の矛が刺し貫き、シエルの水塊が洗い流す。ラズロルの魔術が、四肢を破壊する。
「逃げられるなんて思わないでね。漏れなく全部スクラップだ」
 森の中に動かなくなったガラクタが積み上がる。ガラクタ――リベルタスだったモノに囲まれて、解体少女達は言葉を失った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

九条・朔夜
相棒のシエル(g09156)と参加

護衛が全部壊れてびっくりしたか?もうお前達だけだ。助かりたいだろうが、相棒の故郷の奪還の為には戦力は削っておかないとな。

俺は後ろに控える人達が存分に攻撃できるように積極的に前に出て敵群の注意を俺に引きつけるぜ!!交戦する前に【パラドクス通信】で仲間と戦法を打ち合わせておくぜ。

うわ、危ない武器使ってくるな。まあ、俺の大太刀も人の事言えないが!!大上段から振り下ろしてくるなら、【戦闘知識】【観察】で軌道を見切れるか?分かりやすい振り方な分、振り切った隙は【看破】できると思うんだよな。戦闘集団の軍師を舐めるなよ。得物は違えど、こういう戦い方は見慣れてんだ。

ただ、集団で振り下ろしてくる分幾らか攻撃は喰らうと思うんだよな。【残像】で致命傷を避け、【グラップル】で蹴りを入れて体勢を崩すぜ!!

さあ、反撃開始だ!!ヴァリアントソードで【託されし願い】で闘志を漲らせ、全力で大太刀で【両断】する!!

戦場はそこまで甘くない。命を落とす危険はいつもあるんだ。油断大敵だぜ?


シエル・ヴィオレ
相棒の朔夜(g09155)と参加

目の前の状況に絶句してる暇はありませんよ。すぐ貴方達も後を追うことになります。我が故郷を人の手に取り戻す為、不要な自動人形には消えてもらいます。

朔夜と交戦前に【パラドクス通信】で戦法の打ち合わせを。朔夜が前に出て敵を引きつける、ですか。後ろは任されました。朔夜に負担掛ける分、バッチリ援護します。

なんか不快な音が聞こえるのですが!?なるほど、解体に特化した鋸剣ですが。なら、その攻撃、徹底的に邪魔しましょう。【戦闘知識】【観察】で敵の動きを見て叡智の銃で【精神集中】。ローゼスバレットを発射して敵を成長する蔦と棘で動きを邪魔します。綺麗なお嬢さん達には咲き誇る薔薇がお似合いです。

ただ、複数を狙う分、反撃は受けますし、敵も集団なので【残像】でで致命傷は避けるようにしたいですね。いざとなれば蒼穹の剣で攻撃を受ける事も視野に入れます。

戦場は状況は常に変わるもの。確実に命が助かる保証はありません。見通しが甘すぎます。さあ、終わりです。


ナディア・ベズヴィルド
ふふ、突然の事で驚いちゃったかしら?
行軍しているのだから常に気を張り詰めどのような事が起こっても迅速に対応できるようにしないと兵として失格よ、可愛らしいお嬢さん方。
――まあ、もうだいたい予想はついているだろうけれども貴方達の旅はお終いよ
ここで潰えなさい、ガラクタ共が。

敵将は頼りになる仲間が止めを刺してくれるという絶対なる確信の元
こちらは解体少女らの殲滅に尽力を尽くしましょう

カンブロンヌもそうだが、少女たちの間でも連携を取らせるわけにはいかない
【通信障害】を用いて敵の連携を阻害する
足並みに乱れがあれば必ず隙もある
私達は【光学迷彩】で視認しにくくし
【パラドクス通信】を用いて効率よく敵を葬っていくように行動するわ

数の暴力とはよく言ったものね。鬱陶しいったらありゃしない

共に戦場を駆ける赤を纏う友に盛大に暴れて散らしてやりましょうと笑みひとつ向けて
言葉はいらない、眼差しで意図は通じるから。
盛大に天を鳴らし人形どもを打ち据えてやるわ

敵の反撃は魔力障壁を展開しダメージの軽減を図る


アリア・パーハーツ
▼連携アドリブ歓迎

御機嫌よう、お嬢さん達
こっちこっち
ふふ
呼んだのはボク様だけど、余所見はだめ
……敵の呼び声に応えるだなんて、やっぱり人形風情じゃ統率が乱れるのも納得

命乞いはどうぞ叫んで構わないけど聞いてあげる気はないのだぜ
もうお前たちがこの地へ踏み入る事が無いように、ここで、殲滅するんだから
カンブロンヌの助けは期待しない方が良い
だって、奴はボク様たちの仲間が討ってしまうのだから

数の利を活かせぬならば、大群の意味はないね

【パラドクス通信】を利用し仲間との連携を取り攻撃を仕掛ける

鋸剣は独鈷杵で受け止め、懐へ滑り込む
間合いへ入り込み武器を振るって吹っ飛ばしてみたり
走り込んで武器ごと体当たりして、飛び上がって頭上から奇襲してみたり
戦線を掻き乱すように独鈷杵を振り回し戦う

粉々になるまで、指の一節さえ動けなくなるまで

踊るように戦う最中、美しい紫が視界を過るだろう
視線を交わすだけで笑みがこぼれてしまう
苛烈な友の戦いっぷりは、いつ見ても美しく心強い

さあ最後の一体まで気を抜かず屠るのだぜ


●ガラクタの命
 リベルタス達を廃棄物にし、騒々しい旋風と歌声が消えた森。幾分か空気が綺麗になったようにも思えるが、解体少女達にとっては、この変化は絶望でしかない。
 解体少女達を護る者たちは崩れ落ちた。頼みのカンブロンヌも今やその手を伸ばすことはできず。
 呆然とする解体少女達へと、九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)が声を掛ける。決して冷たくはない――だが、有無を言わせない声色で紡ぐ。
「護衛が全部壊れてびっくりしたか? もうお前達だけだ。助かりたいだろうが、相棒の故郷の奪還の為には戦力は削っておかないとな」
 朔夜の言葉に、解体少女達は武器をぎゅっと握り締める。
「や、やられてたまるものですか」
「大丈夫。こっちの方がいっぱいいるんだから!」
 そう、数だけは多い。だが……結局、数だけだ。その上、彼女達は浅慮だ。ディアボロス達に、新たな増援が来ることを考慮していない。
 頭上から、楽しげな声が降った。
「やァ、本日の戦場は大盛況なようだね。稼ぎ時ってやつかな?」
 解体少女達はハッとして上を見る。
「御機嫌よう、お嬢さん達。こっちこっち」
 太い木の枝に腰掛け、ひらひらと手を振りながら解体少女達を見下ろすのは、アリア・パーハーツ(狂騒・g00278)だ。
「増援……!?」
 解体少女達が一斉にアリアに視線を向ける。注目を浴びながら、アリアはニコリと微笑んでみせた。
「ふふ、呼んだのはボク様だけど、余所見はだめ。でないと……あっという間に食べられてしまうよ?」
 解体少女達の背後で、ガラクタと化したリベルタス達が音を立てて崩れる。
「ぴゃあっ!?」
 予想していなかった方向からの音に、解体少女達が声を上げた。
 邪魔なガラクタの山を崩しながら現れたのは、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)。彼女は口元に笑みを浮かべながら、驚く解体少女達へと視線を向ける。
「ふふ、突然の事で驚いちゃったかしら? まるで怯えた小動物みたいね」
 柔らかに細められる金の瞳の内には、獲物を捕らえる捕食者の眼光がうっすらと輝いていた。
「また敵が増えた……っ」
 焦燥に駆られる解体少女達へと、ナディアは語りかけるように言葉を紡ぐ。
「行軍しているのだから、常に気を張り詰めどのような事が起こっても迅速に対応できるようにしないと兵として失格よ、可愛らしいお嬢さん方」
 それは穏やかな風のようで、それでいて無慈悲な死の宣告を運ぶ。
 ひとたび逃れられぬ死の匂いを感じ取れば、よほど意志の強い者でないかぎり、恐怖に打ちひしがれるだろう。それは解体少女達も例外ではなく。
「目の前の状況に絶句してる暇はありませんよ。すぐ貴方達も後を追うことになります」
 シエル・ヴィオレ(神籟のプリエール・g09156)は、解体少女達へと銃口を向けた。故郷を人の手に取り戻すため、自動人形には消えてもらう。
 ディアボロス達から、武器と共に明確な殺意を向けられ、解体少女達は震える手で己の武器を構える。
「リベルタスやカンブロンヌ様が護ってくれたこの命……簡単に渡すわけにはいかないの!」
 自動人形が『命』などと、よく言えたものだ。けれど、きっと解体少女達にとっては命と同義なのだろう。
「そうです、最期まで足掻いてやりますっ……それが、大陸軍の糧になるのなら!」
 解体少女達は鋸剣を手に、ディアボロス達を睨んだ。決死の覚悟で挑む彼女達を、朔夜は真っ直ぐな眼差しで見つめる。
「絶対に勝てないと理解していながら、恐怖に震えながらも抵抗するか……その意気や良し」
 相対するように大太刀を構え、彼は堂々と言い放った。
「ならば誠心誠意、正面から斬り込ませてもらう!」
 朔夜の声が森の空気を震わせた。響き渡る大きな声は、無論、解体少女達へも届く。彼女達は怯むことなく、鋸剣を朔夜へと向けた。
 その様子に、シエルは表情ひとつ変えずに言葉を続ける。
「ここにきて一致団結しましたか。優勢に変わりないとはいえ、油断はできませんね。徹底的に叩きましょう」
 解体少女達の変化にも焦ることはない。戦場の状況は常に変わるものだ。それは戦況だけでなく、敵や味方の精神状態にも言えることである。
 シエルは考える。目まぐるしい流れの中でも、その時々の最善策を導き出し実行する――軍の指揮官の娘として、そうすべきだと。
「おう、思いっきりぶっ飛ばしてやろうぜ、シエル!」
 朔夜は快活な笑みをシエルへと浮かべた後、戦列の先頭へと立つように陣取った。頼もしい背中へと、シエルは声を掛けた。
「はい。前は任せましたよ、朔夜」
 信頼に満ちた声色に、朔夜が力強く頷く。彼の背より先――そこに構える大量の解体少女達へとシエルは視線を戻した。
(「必死の時間稼ぎのつもりなのでしょうが……そう簡単に稼がせてなるものですか」)
 より効率的に敵を掃討する手段を。叡智の魔法銃へと、魔力を籠めるべく精神を集中させる。
 一方、解体少女達の一連の行動を、ナディアはどこか冷めた瞳で見つめていた。
(「大陸軍の糧、ね。……私達の糧になるのだけれど、そこは言わないでおいてあげましょう」)
 言ったところで人形に理解できるわけもない。ナディアはそう結論づけて、木から降り立ったアリアへと微笑みかける。
「さあ、盛大に暴れて散らしてやりましょう」
 友と駆ける戦場は、楽園にだってなり得るだろう。ナディアの誘いに、アリアは表情を綻ばせた。
「もちろんだとも。今日も素敵な舞を期待しているよ」
 さあ、この滑稽な人形劇に、幕を下ろすのだ。

 山脈を彩る紅葉の赤が、戦場に吹き荒れる風に激しく揺れる。それは、自動人形達の空っぽの心に宿る情熱の色か。
 ――鮮やかな赤は、血を流さぬ彼らが壊れるとき、血の代わりに散り落ちるのだろう。熱を帯びる戦場の中を、朔夜とシエルは共に駆け抜ける。
「斬り刻んでやります!」
 解体少女達が鋸剣の刃を振動させた。相対するシエルへと、騒々しい振動音が届く。
(「何ですか、この空気を裂くような、金属が連続でぶつかって擦れるような不快音は……」)
 思わず鳥肌が立ちそうになるシエルだったが、それだけだ。リベルタスの歌声ほどではない。この音は攻撃の前動作に過ぎないと、シエルは理解している。
 刃を震わせ、解体少女達がシエルへと迫った。シエルは魔力を銃へと充填させる。だが、それを解き放つ前に、もう片手で蒼穹の剣を抜き構える。
 解体少女達の鋸剣と、シエルの蒼穹の剣が交わった。鍔迫り合いの中、エネルギーの断片が銀の光となって弾け散る。
「私の武器は、銃だけではありませんよ」
 攻撃を受け止めたシエルへと、解体少女達は苦しげに唸った。
「ううっ……斬れ、ないっ……」
 彼女達へと、朔夜が疾風のごとく駆ける。大太刀――光華の太刀を手に、解体少女達へと斬り込んだ。
「お前達の相手はオレだぜ! よく見てなっ!!」
「この、っ!」
 朔夜の攻撃に応戦すべく、解体少女達がシエルから離れる。荒れ狂う風のごとく斬り込んだ朔夜へと、解体少女達が鋸剣を振り上げた。
 巨大な一太刀を受ければタダでは済まないだろう。だが、速くはあるが、その軌道は真っ直ぐかつ単純だ。一瞬の間に朔夜はその事実に気付く。
 複数の刃かつその速さゆえ、完全に避けることはできない――だが、それ以外であれば。
「戦闘集団の軍師を舐めるなよ。得物は違えど、こういう戦い方は見慣れてんだ!」
 己の立ち位置と刀の向きを僅かに変え、鋸剣による打ち込みを受け流した。無論、衝撃は伝わるが、この程度致命傷にはならない。
 受け流され、地面にズシリと突き刺さる鋸剣。それを横目に、朔夜は一気に攻勢へと躍り出た。
「反撃開始っ! 沢山の願いのために、オレはお前達を斬り捨てるっ!!」
 漲る闘志と守護の意志は、朔夜の一太刀に強大な力を与えた。渾身の一撃が解体少女達の胴体へと叩き込まれ、その体に深い罅を入れる。
「ガ……ッ!?」
「深いとこまで入っただろ。もう動くのも辛いんじゃないか?」
 戦場は過酷だ。そこに甘さは微塵も存在しない。弱い者、運の悪い者から、いとも容易く死んでいく。強い者でさえ、命を落とす危険が常に付き纏う。
 壊れかけの人形達へと、朔夜は挑発するように語りかけた。
「まだ、まだ……っ!」
 解体少女達が足掻くように再び鋸剣を持ち上げた――同時、シエルの照準が寸分の狂いなく合わせられる。
「蔦と棘で着飾りましょう。知識の結晶とも言えるこの銃弾を、受け取ってください」
 朔夜に気を取られていた解体少女達は、反応が遅れる。避けようとするよりも疾く、『ローゼスバレット』が撃ち放たれた。凝縮した魔力の弾丸は、解体少女達の体へと深く刻まれる。
 それは一瞬の出来事だった。蔦と茨が彼女達の体を突き破り、血のように真っ赤な薔薇を咲かせてゆく。
「ア……アァ……――――」
 解体少女達はその場に座り込み、動かなくなる。その光景を瞳に映し込み、シエルは冷たく言い放った。
「綺麗なお嬢さん達には咲き誇る薔薇がお似合いです。人形らしく、大人しく座っていてください」
 
 少しずつ数を減らしてはいるが、未だ多く残る解体少女達がディアボロス達へと襲い掛かる。
 解体少女達の鋸剣から放たれる波動を躱しながら、ナディアはその鬱陶しさに僅かながら眉を寄せた。
(「まったく、数だけは多いのね。いくら倒しても、次々と纏わり付いてくるようだわ」)
 数の暴力とはよく言ったものだ。数だけ見れば、この戦いも果てしなく続くように思えてしまう――けれど。
 ナディアは視線を波動の先へと向ける。瞳に映るのは、山の紅葉など比べ物にならないほどに、鮮烈な赤を纏う友。
 解体少女の一人が苛立たしげに声を上げる。
「くうっ、なんで、なんで当たらないのっ!」
 振り下ろされた鋸剣は、剣を持つ腕ごと独鈷杵の鎖に囚われていた。解体少女を拘束したまま、アリアは流暢に言葉を紡ぐ。
「お前たちは団結したつもりなんだろうけれど、隊列も個々の動きも乱れてるよ。まあ、人形風情じゃ仕方ないか」
 ふと思いついたように、彼女はさらに語りかけた。アメジストの瞳に敵を映し込み、試すように。
「……そうだ、命乞いしてみる? それとも、お前たちの大好きなカンブロンヌ様とやらに助けを求めるかい?」
 その問いに、解体少女がアリアを睨み付けた。
「誰がそんな……――ッ!?」
 正面からぶつけられる殺意に、解体少女は身を強張らせる。目を見開く解体少女の懐へと、アリアはするりと滑り込んだ。
 ――結局、命乞いをしようがしまいが、カンブロンヌに助けを求めようがなかろうが、彼女には関係がないのだ。
 自動人形達を殲滅する、それは決定事項。カンブロンヌは仲間が必ず討つ。ゆえに、解体少女が何を言おうと、辿る運命は変わらない。
 独鈷杵の拘束から解放されたのも束の間。同じ武具から繰り出される強烈な打撃が、解体少女の体を打ち砕いた。
「かつては強大だった大陸軍も、随分と堕ちたモノなのだぜ」
 数の利を活かせぬならば、大群の意味はない。倒れゆく解体少女には目もくれず、アリアの視線は次のターゲットへ。
 仲間が無惨に破壊され、解体少女達は恐怖と怒りに震えている。
 ナディアは思う。アリアの戦いぶりを見ていると、心が躍るようだと。
 アリアの眼差しがナディアへと向けられる。そこに言葉はない。けれど、次に何をすべきか、ナディアにははっきりと理解できる。
 二人は互いに微笑み合い、動き出す。
 紫電の煌めきがナディアの髪を揺らした。その煌めきは天へと昇り、虚ろな霧の空に鋭利な輝きを刻む。
「さあ、来なさい。有象無象のガラクタ共。雷光で悉く打ち据えてやりましょう」
 頭上で渦を巻く暗雲。それに気付かぬ解体少女達ではないが、逃げるという選択肢は残されていない。
 無数の波動と斬撃をナディアへと放つ。精神を揺さぶる衝撃波の隙間を縫うように、ナディアはステップを踏んだ。
「また、当たらないっ……」
 当たらぬ攻撃に焦れ、一歩踏み込もうとした解体少女の脚を、死角からアリアの独鈷杵が繋ぎ止めた。その拘束は数秒で解かれてしまうだろう。だが、数秒あれば十分だ。
 ナディアは天空へと祈りを謳う。天地の怒りの象徴、雷竜の咆哮を以て、裁きの雷光を呼び醒ます。
 ――刹那、暗き天から終焉が降り注いだ。最期の悲鳴を上げることすら許されない、破滅の光が。
「貴方達の旅はお終いよ。あとは眠るだけ……星の輝きすら届かない、暗く冷たい場所でね」
 解体少女達は光に焼かれ、ボロボロと崩れ落ちた。紫電を纏うナディアへと、御機嫌な様子でアリアが声を掛ける。
「調子はどうだい?」
 苛烈な友の戦いっぷりは、いつ見ても美しく心強い。アリアの問いに、ナディアも朗らかに返す。
「ええ、絶好調よ」
 その答えに、アリアは柔らかに瞳を細めた。そうして二人は再び前を向き、残る敵へと研ぎ澄まされた技を振るうのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

プターハ・カデューシアス
アドリブ歓迎

護衛のリベルタス・エアリアルカスタムは無事排除できたようですね
後は、解体少女達を殲滅するのみ
そちらに向った仲間も精鋭、必ず成し遂げてくれると信じています
アリアとナディアさんの華麗な戦い振りを眺めている暇が無いのが残念ですが、見惚れて隙だらけになってしまったら面目ありませんからね、真面目に行きましょう

戦闘が始まった今、隠れる必要もありません
戦法を変えて竜翼翔破で【飛翔】し一撃離脱戦に
凱歌の勇壮な曲は心に勇気を与えてくれますね、素晴らしい選曲です

ソレイユの騎士達が気を引いてくれている隙を突いて
俯瞰から解体少女の戦況にも留意
刻々と変わる状況を冷静に判断し
【パラドクス通信】でもお互いの確認しながら臨機応変に行きましょう
殲滅が済むまでは時間稼ぎに徹する方針

ソレイユとは引き続き密に連携
彼に向うP攻撃にはディフェンスを

頃合いを見計らい、全力攻撃
反撃は相変わらず嫌なところを突いてきますが
【アヴォイド】効果で躱せれば一興

残念ながら、貴方方に本国の土を踏ませるわけにはいきません
ここで散って下さい


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

トループス級の対応は、頼もしい仲間が向かっています
此方は引き続き足止めしておきましょう
指揮官殿にはもう一曲、お相手願いますよ

引き続きプターハと連携
配下全滅までは分断に注力します

宙に展開した鍵盤で「凱歌」演奏
ここからは転調して、勇ましく、堂々と
白馬を駆る馬上槍の騎士を喚び
正面から一直線に刺突攻撃を仕掛け
駆け抜ければ即反転し、次撃へ備えます

バカ正直で単調な攻撃だと思いましたか?
ここまで派手に動けば、無視することも難しいでしょう
この舞台は独奏ではありません
私の攻撃に気を取られた隙をプターハは見逃さないでしょうから
プターハの飛翔に合わせ、カンブロンヌを挟撃するように位置取り
逃さず追い詰めます

反撃には魔力障壁を展開し、ガードアップやアヴォイドの加護も合わせ凌ぎます
プターハへのW攻撃にもディフェンス
どちらか一人でも道連れに、なんて考えないでくださいね

パラドクス通信で仲間と連絡を取り
配下の殲滅が完了後に撃破へ移行

侵略者との道は決して交わりはしませんが
貴方達が居た事は、覚えておきますよ


●frágil esperanza
 激しい戦闘が巻き起こす衝撃に、色付いた葉は揺さぶられ、その赤や黄の色彩を散らしてゆく。
 舞い落ちた葉が、カンブロンヌの剣に切り裂かれた。
 縦に割れた葉の横を駆け抜け、プターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)は、その瞳にしかとカンブロンヌの姿を捉える。
 カンブロンヌの視線は、プターハの背後へと向けられているように見えた。
「……よそ見ですか、釣れないですね。私は貴方のことを、こんなにも見ているというのに」
 プターハの背後――それよりさらに向こうでは、ディアボロス達が解体少女達と交戦している。
 カンブロンヌの眼が、プターハを見た。
「あいにく、俺はお前達に興味がない」
 低い声色には、うっすらと苛立ちが滲んでいた。凍り付くような会話の間にも鬩ぎ合いは続く。
 ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が鍵盤を打ち鳴らせば、音色が森を支配するように響き渡る。
「次の演目はもう始まっています。その気がなくとも、貴方は舞台に上がらねばなりません」
 その機能が壊れ停止するまで、強制的に舞台へと上がらせ、踊らせ続けるのだ。カンブロンヌへとソレイユはさらに言葉を紡ぐ。
「バレエはお手の物でしょう? 指揮官殿にはもう一曲、お相手願いますよ」
「……フザけたステージだ。全く見所がない」
 吐き捨てるカンブロンヌ。繰り返される攻撃の中、プターハはやれやれといった風に溜息をついてみせる。
 同時に浮かぶ残念そうな表情は、カンブロンヌの言葉によるものというより、彼自身の感情に起因するものだ。
「私もできることなら、美女二人の華麗な戦いを眺めていたいところです。しかし、その機会はまた今度にしましょう」
 本当に無念でならないが、今は目の前の敵に集中する時だ。見惚れて隙だらけになってしまったら面目ない上に、あとで何を言われるかわからない。
 プターハは精神を研ぎ澄まし、背の両翼を大きく広げる。
 解体少女へと向かった仲間達は精鋭だ。戦いの行く末を案じる必要はない。だからこそ、己の役割に集中できる。
「貴方方に本国の土を踏ませるわけにはいきませんからね。ここで散っていただきます」
 
 綱の上を渡るような戦闘が、ジリジリと続く。だが、それも終わりに近づいている。
 カンブロンヌを相手取りつつも、プターハとソレイユは気付いていた。解体少女達の数が、明らかに減っていることに。
 旋律を奏でながらも、ソレイユはカンブロンヌを注意深く見つめる。
(「トループス級はもはや虫の息。おそらく、カンブロンヌも気付いているはず……」)
 銃弾から身を護るために展開した魔力障壁の向こう側、カンブロンヌの表情は見えない。ちょうどその時、仲間からパラドクス通信が入る。
 配下の殲滅が完了したとの報せだった。
「……皆、壊れたか」
 カンブロンヌもその事実に気が付いたようだ。これまで以上に肌がヒリつく感覚に、プターハとソレイユは表情を引き締める。
「……ソレイユ、気付いてますか」
「ええ、もちろんです」
 カンブロンヌの纏う空気が変わった。
「すべては大陸軍のために……このカンブロンヌ、喜んで捨て駒となろう」
 その瞳から氷の冷たさは消え失せ、代わりに強い意志と激しい怒りが混ざる。一斉に向けられる火砲へとソレイユは魔力障壁を展開し、同時、鍵盤を弾いた。
 守護の加護に包まれ奏でられる『凱歌』は、ひとりの騎士を喚び寄せる。勇ましい旋律と共に現れたのは、白馬に乗る幻想の騎士だ。
 白馬は稲妻のように嘶き、騎士はその背で高らかに槍を掲げる。堂々たる威容と共に、騎士はカンブロンヌへと突撃した。
 銃弾の雨の中を、騎士は馬と共に駆ける。一見単純な特攻に見えるが、そうではない。
(「この舞台は独奏ではない。凱歌と共に駆け抜けるのは、幻想の騎士だけでなく――」)
 騎士の槍が、身構えたカンブロンヌへと届く――同時、地上からだけでなく、空中からの急襲がカンブロンヌを襲った。堅牢な翼が、カンブロンヌを打ち据える。
「勇壮な曲と共に征くのは、何とも心地良いものですね。素晴らしい選曲です」
 プターハの『竜翼翔破』である。ソレイユの騎士をカンブロンヌは無視することができない。その隙を突き、逃れられない一撃を与えたのだ。
 強い衝撃が人形の体を揺るがせた。ピシリ、と喉元に大きな罅が入る。カンブロンヌが、己を砕かんとする翼を掴んだ。
「派手な演出は、その裏にある意図を隠すためのものです。バカ正直で単調な攻撃だと思いましたか?」
 演奏を止めずに言葉を続けるソレイユへと、カンブロンヌはザラついた声で返した。
「……お前達は強敵だ。そのようなこと、決して思わん」
 彼はプターハの眼へと銃口を向ける。プターハが翼を羽搏かせカンブロンヌを振り落としたのと、銃口から弾丸が放たれたのは、ほぼ同時だった。
 照準が僅かにずれ、目元を銃弾が掠めてゆく。地面に一旦着地し、プターハはカンブロンヌの状態を冷静に観察する。
「被弾を覚悟した上での反撃ですか。痛くないといえば嘘になりますが、貴方の方が傷は深いでしょう?」
 目元から血が流れるが、彼は眉ひとつ動かさない。一方で、カンブロンヌは喉元を押さえながら苦しげに唸った。
「もたせる……たとえそれが1秒であってもだ!」
 他の隊が山脈を越えられるように、僅かでも時間を稼ぎたいのか。
 人形にも心は在るのだろうか。必死に足掻くカンブロンヌを、ソレイユは凛と見据えた。
「その1秒すら私には惜しいのです。次で決着を付けましょう」
 無慈悲な音色が空を震わせる。ソレイユの演奏に呼応するように、白馬の騎士が再び槍を掲げた。プターハも空へと舞い上がり、攻撃態勢に入る。
「逃げ場など与えませんよ。さあ、耐えられるものなら耐えてみてください」
 大地からは勇壮な凱歌と共に騎士が突進し、天からは流星のごとき電光石火が襲い来る。挟撃を待ち受け、カンブロンヌは大量の銃火器を展開した。
「グランダルメに!! 栄光あれッ!!!!」
 そう吼えると同時、双方の攻撃が衝突し、爆音と硝煙が彼を包み込む。……霧よりも濃い硝煙が晴れた時、そこには四肢の崩れたカンブロンヌの姿があった。
 勝敗は決した。ソレイユは、動けなくなったカンブロンヌを瞳に焼き付ける。
 どのような想いがあったとしても、侵略者との道は決して交わることはない。だが、決して交わることはなくとも、記憶に留めておくことはできる。
「……カンブロンヌ。命を賭した者として、貴方達が居た事は、覚えておきますよ」
 その声色は、木々の葉を微かに揺らす静黙たる風のようだった。
「……好きに、しろ……」
 カンブロンヌは瞳を閉じた。これ以上、お前達と交わす言葉などないと言わんばかりに。
 弔いの凱歌が響く。騎士が振り下ろした槍に貫かれ、カンブロンヌはついにその機能を停止させた。
 峰から冷たい風が吹き下ろす。紅葉に色付いた葉は強く煽られて、より一層その落葉を早める。
 生き急ぐように舞い落ちる赤の中で、プターハはソレイユの背に声を掛けた。
「そろそろ行きましょう。あちらも終わったようですし、帰って勝利を報告しなければ」
 優しい声に、ソレイユは振り向いた。振り向く彼へとプターハは穏やかに微笑んで、他の仲間達がいる方向を目線で指し示す。
 戦闘を終えた仲間達が、ちょうど二人の方へと向かってきていた。ソレイユも笑みを浮かべながら頷いて、仲間達がいる方向へと歩き出した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年10月13日