リプレイ
湯上・雪華
アドリブ、連携歓迎
きょーちゃん(g09629)と
今回はきょーちゃんと一緒ですよ
強くなりたいなら実地ですからね!
前は一人だから心配かけたわけだし、たぶん……ま、今回の相手は殺し合いましょ?で済みますね!
服装はいつもの、と言いたいですが、逆上狙いでいつもより可愛い格好です
白のロングチャイナですよ!暗器も仕込めるからいいんですよね
ふふ、私がどっちに見えるかなんて些細な問題じゃありません?
殺したいなら殺せばいいじゃないですか、そんなところにいるから腕が訛るし、弱腰になるんですよ
そんなに弱くて本当に戦えるんですか?
弱い者いじめって嫌なんですよね
そんなところに籠もってるだけの弱虫に何言われても怖くないのですよ
負け犬の遠吠え、ですね
同じ犬でも全然可愛くないですけど
いい感じに挑発できたらこちらに誘き出して、戦いやすいところまで後退を
あとは討伐するだけ、ですからね
全力で、遊べる相手であれば十分、そうでなきゃ……伽藍を満たす糧となってくださいな?
水上・鏡夜
アドリブ、連携歓迎
おひいさま(g02423)と
まぁ、ボクも自力をつけたいとは言った、言ったが……こういうところに連れてくるか?普通……
はいはい、挑発して誘き出して仕留めればいいんだね
晒しを緩めに巻き直したいつもの姿で行こうか
多少胸を見せたところで釣れるならいいだろ
それなりの大きさらしいからね
…………おひいさま、そうやるから過保護にされるんだぞ?
その辺理解してないなぁ……
欲が溜まってるなら出てくればいいだろ?
それともなにかい?ボクらを襲うのすら躊躇するほど弱い腰抜け共ってことか
そんな相手なんてゴメンだね
面白みもかけらもない、こんなところまで観光しに来たわけでもないってのにとんだ無駄足だ
犬って番犬くんのことだろ?
そこと比較するのは烏滸がましくないかい?向こうのほうが圧倒的に強いんだからさ
さて、程よく煽ったら弱気を装うか
出てこないから煽っていたと思わせたほうが敵も油断するからね
そのまま後方へ引き、誘い出そうか
戦うための力を得たい、と思うのは奪われた怒りを胸に宿す復讐者……ディアボロスにとっては、その復讐の炎を燃やす薪めいたものであったのかもしれない。
少なくとも、《七曜の戦》を経たディアボロスたちは各ディヴィジョンのクロノヴェーダたちから警戒される立場になった。
飛翔や使い魔使役などに対する対策も、その一つだろう。
これまでどおりの戦いができるとは限らない。
ならば、力をつけなければならない。
「強くなりたいなら実地ですからね!」
湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)は伴する水上・鏡夜(共在者・g09629)に、にこやかに言い切った。
それも力強く。
眼の前にあるのはアンティオキアの城壁であった。
その前に二人はパラドクストレインから降り立ち、見据えている。敵陣の前に自分たちはいる。その事実はあまりにも迂闊な行為に思えただろう。
だが、アンティオキアの城壁の上から雪華と鏡夜を見るトループス級の亜人たちは、動かなかい。
そのように厳命されているのだ。
守りを固める。
それこそがアンティオキアに座す『勝利王セレウコス』の取った方策だった。
周囲の情報を得つつ、訪れるであろう援軍を待つ。
謂わば籠城である。そのために亜人たちの統制を取ることは必須。一度、この統制が崩れれば、亜人たちは好き勝手に動くだろう。
そうなれば、いたずらに戦力を削る事になってしまう。
「あー? ディアボロスか、ありゃあ?」
「女じゃねーか! なあ、たった二人だぜ? やっちまおうぜ」
「ばか、てめーは『勝利王セレウコス』様の言葉を忘れたのか、このウスラトンカチがよ!」
城壁の内側では亜人たちが言い合いをしている。
「……おひいさま。確かにボクも自力をつけたいとは言った、言ったが……こういうところに連れてくるか? 普通……?」
「えっ、だって、今回の相手は殺し合いましょ? で済みますよ?」
鏡夜は、城壁の向こう側から己に突き刺さるような亜人たちの下劣な視線に寒気を覚えるようであった。
亜人たちにとって人間の女性は、己達が増える為の存在でしかないからだ。
そうした視線に鏡夜はいつもの姿よりも、さらしを緩めた姿で来たことを、少し後悔したかもしれない。正直、あまり心地よいものではない。
「それに一人じゃないですしね! 私もいますから、大丈夫ですよ」
雪華は白いロングチャイナドレスの裾を揺らして見せる。
その様は女人にしか見えなかっただろう。
「おい、もうひとりのは女か? 男か?」
「胸の膨らみがねぇからな、どっちだ?」
亜人たちは城壁から二人の様子を見ている。すぐさま襲いかかってこないのは悪戯に先端を開いて戦力の消耗をしないようにという厳命が未だ頭に残っているからだろう。
女人と見ればすぐさま襲いかかってくるであろう、これまでの亜人達の所業を考えれば、随分と辛抱強いものであると二人は思ったかも知れない。
けれど、雪華は普段ならば、答えもしないような亜人たちの疑問にわざと大仰に応える。
「ふふ、私がどっちかなんて些細な問題じゃありません?」
「何を言ってんだ、てめえは!」
「だって、そうじゃあないですか? 殺したいなら殺せばいいじゃないですか。そんなところにいないで」
くすくすと雪華は笑む。
嘲笑めいた言葉に亜人たちの額の血管が浮き上がる。
「腕がなまるし、弱腰になるんですよ。そんなに弱くて本当に戦えるんですか? 私、弱い者いじめって嫌なんですよね」
「……おひいさま、そうやるから過保護にされるんだぞ?」
鏡夜は雪華の挑発の言葉を聞いて、そういうところだぞ、と思わないでもなかった。
あえて亜人たちを挑発する。
そのためには過激な物言いも必要であろうが、必要以上にあおり倒す必要もないのではないかと鏡夜は思ったのだ。
ともすれば、自分の体。
それを餌にしてしまえば、亜人共はやってくるだろうとさえ思ったのだ。緩めたさらしが、その証明でも在った。とは言え、此処は雪華に乗ったほうが良いのもまた事実。
「溜まってるなら出てくればいいだろう? それともなにかい?」
鏡夜は笑う。
「それとも何かい? ボクらを襲うのすら躊躇するほど弱い腰抜け共ってことか。そんな相手なんてゴメンだね。面白みもかけらもない」
こんなところに観光市に来たわけじゃないのだ、と鏡夜はさらに大仰に嘆いてみせるような所作を見せる。
完全に城壁にこもる亜人たちを下げる物言いだった。
「ふざけるなよ、てめえら! てめえらなんぞなぁ!」
「今すぐにでも、ぶち殺してやらぁ!」
「おい、やめろ!」
城壁の中で亜人たちは揉めているようだった。まだ理性を残す者がいるようであるが、もう一押しだと雪華は感じ取る。
「嫌なんですよね、弱いものいじめって。そんなところにこもってるだけの弱虫に何言われても怖くないのですよ。負け犬の遠吠え、ですね。同じ犬でも全然可愛くないですけど」
「おひいさま、番犬の犬くんと比較するのは烏滸がましくないかい? だって、奴ら亜人だろう? 犬くんよりは強いはずさ。なのに」
これだけ言われても何もしないなんて、と二人は笑む。
「ああ、でも少し怖いかもな。これだけ煽ってしまったんだ。ただではすまないだろうし」
な、と鏡夜はさらに弱気に見せた煽りを城壁の中の亜人たちに叩き込むようだった。
どうせ、そんなつもりもないくせに、と視線で彼らを射抜けば、とうとう彼らも本気になる。
「言われっぱなしであってたまるかよ!」
「てめえら、楽に死ねると思うなよ! ぐっちゃぐちゃにして吊るしてやるぁ!」
その言葉、その怒気、そうしたものが二人を射抜くようにしてほとばしり、城門の一つが上がる。そこにあるのは、トループス級『ゴブリン戦車』たちの姿だった。
槍衾を手押し車のようにして、押す亜人たちが咆哮を上げる。
ビリビリと響く怒声に二人は身をすくませるのではなく、笑む。
掛かった、と。
「やれやれ、ようやくその気になってくれたか」
「あとは討伐するだけ、ですからね」
「ああ、このまま後続を引き離すように誘い出そう」
二人は敵の挑発を見事に行い、トループス級『ゴブリン戦車』たちをまんまと城壁の外、その荒野へと引きずり出す。
それを見やれば、仲間のディアボロス達が攻撃を開始することはわかっている。
「全力で遊べる相手であれば十分、そうでなきゃ……伽藍を満たす糧となってくださいな?」
「おひいさま……無茶しないでほしいな」
約束はできない、と雪華は笑み、鏡夜は頭を抱えながらも、迫る土煙に亜人たちの立ち上る怒気を見やるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV2が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
ハーリス・アルアビド
余程堪えかねていたようですね。凄まじい勢いですが、その分周りに注意を払う余裕もないようです。そのありさまでは戦車の強みも活かしきれないでしょう。
砂漠の神にして嵐の神セトよ、お力添えを。この地を解放するため荒れ狂う御力の一端を私にお授け下さい。
【セトへの嘆願】による砂嵐に敵群を飲み込みます。巻き起こる砂塵を【砂使い】でより巧みに操って砂で敵の視界、砂嵐の音で聴覚を遮り連携を断ち【撹乱】します。
この状態で勢いに任せて動けば戦車同士の衝突が起こり、より混乱するでしょう。
私自身も砂嵐の中に入り、砂の幕と【残像】を生む速度での【ダッシュ】を用いて同士討ちや見当違いの攻撃を誘導し、混乱を助長させます。
混乱を鎮めようとする者、砂嵐の中から出ようとする者がいれば優先的に倒しましょう。
クロエ・アルニティコス
愚かですね。
今更、分かり切ったことでしたか。
死地へと飛び込むのが好きなら、こちらも歓迎してあげましょう。
その下劣な欲望ごと、焦げるといいでしょう。
挑発により、意気盛んに砦を飛び出してきたゴブリン戦車たちの出鼻をくじく様に、先頭集団に対して【泥濘の地】。たかが10%ですが、先頭が露骨に減速すれば後続は全力で進めず先頭に対して不満を抱くか、ぶつかるか。
先頭集団の気をそらすには十分です。
足止めしたところを【タロース・オフリス】を使用。
タロースを象った怪物を作り出し、戦車に乗るゴブリンを灼熱の身体で掴み、抱き、焼き焦がします。
小賢しい不意打ちが得意なようですが、こちらが準備万端の中、挑発でおびき寄せられ、速度すら殺された中では何の脅威でもありません。
お前たち死ぬ理由は2つ。
お前たちの品性が下劣だったこと、そしてお前たちが愚かだったこと。
そんなお前たちに相応しい死に方でしょう?
存分に苦しんで、死んで下さい。
クロム・エリアル
……挑発は十分と判断
それならば、クロムは待ち構え迅速に釣り出された敵を掃討
押さえつけられた欲求が解放された時の勢いは脅威
けれども、それは統率に欠く
ならこれは、ピンチでは無くチャンス
城壁付近で迷彩柄のカモフラージュネットを被り、伏せて敵が出て来るまで待機
いつでも攻撃に移れるように、双銃『Libra』を持ち何時でも戦闘態勢に移行できるよう「精神集中」しながら機を待つ
ゴブリン戦車が城塞から出撃して来たら息を潜め、少し動向を追う
此方より先に挑発した仲間の方に突撃していくようなら、背後を取れるタイミングを利用
ネットから出て、地面を蹴ると同時に地面スレスレを飛翔し加速
距離を詰めて戦術検索
選択……Ex.Skill.Consecutive
銃撃とマズルスパイクによる殴打の「連撃」で戦車を押すゴブリンに攻撃開始
背面が取れない場合は側面からの攻撃を選択
戦車の突撃は無理に回避するより、正面から受けないよう戦車上方に飛び込むように受けそのまま受け身を取り次の行動に繋ぐ
アドリブ連携等歓迎
白水・蛍
アドリブ連携その他諸々歓迎
味方との連携積極的に
周囲の味方をSPDでディフェンス
でてきましたか。たまってたのでしたか。
まあ、注意力散漫。こちらの注意力だけ切らさなければ問題ないでしょう。
どのような相手でも油断せずに戦う事です。
パラドクス発動。
――我が音にて応えて来たれ、降りしきる雨の如く降り注ぐ音の弾丸!
多数の銃を召喚、音を弾丸と成し、相手に向かって銃撃の雨を降らせましょう。
即座に動けますか?即座に回避行動をとれますか?
取れなければ死あるのみ。
では、その身を地に伏せよ。そして地の底に逝くとよいです。
敵は護りを固めてしまえば勝ちに近づけた。
我々の策略で出撃してしまった事でその勝ちを放棄した。
そしてその代償が命です。
全て自業自得というべきでしょうか。
ディアボロス達の挑発により、城壁にこもっていた亜人たちは、その怒気をみなぎらせるようにして城門を開放し飛び出す。
それは統率された群としてではなく、我先にと争うようにして飛び出す姿であった。
「殺す! ディアボロスだろうがなんだろうが知ったことか! 男は殺せ! 女は痛めつけて連れ帰ればいい!」
彼らにとっての行動原理は欲望だけだ。
それに勝る者はない。
確かに上位である『勝利王セレウコス』の厳命はあった。
しかし、挑発によって、それを上回るだけの欲望が、鬱憤と共に噴出したのならば、彼らを止める者はもういなかったことだろう。
トループス級『ゴブリン戦車』たちは、その槍衾に手押し車をつけたような戦車でもって一気に猛進する。
獲物を得るために。
己の抑圧された欲望を発散させるために。
ただそれだけのために彼らは大地を蹴って、土煙を上げて突き進むのだ。
だが、次の瞬間、彼らは乾いた大地を踏みしめるのとは異なる感触を足裏に覚えただろう。
「……っ!? なんだぁ!?」
「車輪が、沈む!? おい、なんだよこりゃあ!」
『ゴブリン戦車』たちは皆、一様に己達が押す戦車とも言えぬお粗末な手押し車が大地に沈んだことを認識し、声を上げる。
だが、彼らの足は泥濘に取られ、思うように動けない。
「でてきましたか。たまってたのでしたか」
「余程堪えかねていたようですね。凄まじい勢いですが……」
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)とハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は城壁から飛び出して来た『ゴブリン戦車』たちの姿を認め、ディアボロスの仲間たちが行った挑発が効果的であったことを知る。
そして、同時に彼らの怒気の凄まじさも知るだろう。
些か煽り過ぎではないかと思うほどの勢いは、その立ち上がる土煙を見ればわかるところであった。
しかし、それはやりすぎではないことをハーリスたちは理解している。
「周りに注意を払う余裕もないようです」
「まあ、なんという注意力散漫。こちらの注意力をきらさなければ問題ないでしょう。油断なく」
「ええ、あのありさまでは戦車の強みも活かしきれないでしょう」
ハーリスの言葉正しかった。
『ゴブリン戦車』たちは一気呵成に飛び出し、挑発を行ったディアボロスを蹂躙しようとしていた。しかし、彼らの強みである戦車という突進力は、出鼻を挫かれたように大地にたたらを踏むようにしてつんのめっていた。
何故なら、それはクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)の手繰り寄せた残留効果、泥濘の地によってぬかるんだ大地へと変えられていたことにさえ気がつけなかったからだ。
確かに強烈な怒りは瞬発力を生み出すだろう。
戦車の突進力を増強させるものであった。しかし、蛍の言葉通り、『ゴブリン戦車』たちは注意力散漫になっていたのだ。
自らが踏みしめる大地が硬いと信じて疑わなかった彼らは、次の瞬間に、自分たちが踏みしめる大地がぬかるんでいることなど想像もしなかったに違いない。
「今更、わかり切ったことでしたか」
こうなることは、とクロエは笑むでもなく淡々と泥濘の地に足を取られた『ゴブリン戦車』を認める。
確かに足止めできる時間は多くはない。
だが、我先にと怒りで正気を失ったような突進を迫る『ゴブリン戦車』たちにとっては、その僅かな時間が致命的だった。
「死地へと飛び込むのが好きなら、こちらも歓迎してあげましょう」
そのクロエの言葉と共にカモフラージュネットにて大地に擬態していたクロム・エリアル(近接銃士・g10214)が、ぬかるんだ大地に足を取られていた『ゴブリン戦車』へと飛び込む。
彼女が纏っていたネットが荒んだ風に煽られて宙を舞う。
それと同時にクロムの手にした操縦が煌めく。
仲間のディアボロスたちが一手打って、生み出してくれたこの隙を彼女は逃すことはない。
「抑えつけられた欲求が開放された勢いは脅威。けれども、それは統率に欠くというのなら、これはピンチではなくチャンス」
クロムは、その瞳にパラドクスの輝きを宿す。
大地を蹴って、地面スレスレに飛翔する。飛ぶ勢いのままに彼女は、Ex.Skill.Consecutive(エクススキル・コンセキュティブ)……即ち、接近してのマズルスパイクでの殴打の連打によって『ゴブリン戦車』の押し手の亜人を打ちのめす。
「こ、こいつどこから!? ぐぁっ!?」
「どこからもそこからもない」
踏み込んで打ち込むマズルスパイクの一撃は『ゴブリン戦車』の押し手を次々と打ちのめし、宙に舞い上げる。
その舞い上げられた亜人たちは地面に落ちることはなかった。
「砂漠の神にして嵐の神セトよ、お力添えを」
ハーリスのパラドクスが輝く。
セトへの嘆願(セトヘノタンガン)によって得られた力。舞い上げられる砂嵐によって、クロムがカチ上げた亜人たちは空高く舞い上げられる。
そう、彼らの生命あるうちに地面に降り立つことはなかった。
彼らの体は高く高く砂嵐と共に舞い上げられ、その肉体を切り刻みながら、絶命して大地へと落下し、その血潮を大地にし生駒セル。
「この地を解放するため、荒れ狂う御力の一端……この私にお授けくださったのです。生命ある内に大地を二度と踏みしめられるとは思わぬことです」
彼の手繰る砂嵐が、さらに渦を巻くようにして『ゴブリン戦車』たちを取り囲んでいく。
砂がこすれる音が響き、荒ぶ風の音がアジン達の耳を打つ。
「見えねぇ、聞こえねぇ! なんだよ、どうなってやがるこりゃあ!」
亜人たちは見ただろう。
砂嵐の中を駆け抜けるハーリスの影を。
だが、それは彼らの意識を撹乱させるものであり、同時に空より降り注ぐ弾丸が彼らを穿つ。
「我が音にて応えて来たれ、降りしきる雨の如く降り注ぐ音の弾丸!」
喚来鳴音弾丸銃雨(ヨビテキタルハオトナルダンガンノジュウノアメ)と言うべきか。
蛍の招来せしめた数多の銃が音と弾丸を為して、砂嵐の直上より『ゴブリン戦車』たちの頭蓋を打ち砕く。銃弾の雨を彼らが躱せるはずもない。
すでに泥濘の地によって彼らの戦端は先頭をして渋滞を起こしているのだ。
足を止めた戦車を相手にするなど容易いのだ。
「動けないでしょう? なら死あるのみ」
「くそが、ディアボロスが! こしゃくなことをしてくれてよぉ! 待ってろ、てめえらを……!」
亜人の恨み節が蛍の耳を打つ。
だが、彼女は構わなかった。これはすでに亜人たちの敗北を決定づけられた戦場に他ならない。彼らは守りを固めていれば、ディアボロスの意図を断ち切り、勝つことも出来ただろう。
だが、挑発に乗せられた飛び出した時点で、こうなることは決定されていたのだ。
「くそっ、銃弾が!」
「では、その身を地に伏せよ」
蛍は砂嵐の中に蠢く『ゴブリン戦車』たちを見据える。
引き金を引く必要はない。
己は魔力を声に乗せれば良い。
銃声の轟音と共に響く歌声は告げる。
「そして、地の底に逝くとよいです」
そう、ディアボロス達は『勝利王セレウコス』の方策を台無しにした。いや、亜人たちが自らの手で放棄したのだ。
ならば、その代償、代価というものは、彼らの生命。
「全て自業自得と云うべきでしょうか」
「その通りです。彼らの下劣なる欲望ごと、焦げるといいでしょう」
蛍の放つ銃声に負けぬほどの勢いで持って、荒野の大地を割るようにして鈴蘭の球根から成長した植物の巨人……タロース・オフリスが面を上げる。
それはクロエのパラドクスによって生み出された怪物。
魔女たる彼女は、泥濘から脱した『ゴブリン戦車』たちを見据える。
残留効果でもって彼らの勢いは完全に殺した。
たとえ、泥濘の地から這い出したとて、城門を飛び出したときの勢いはすでに削がれているのだ。
そこに植物の巨人が立ち塞がる。
「お、おいおい、おいおい! こんなやつが……!」
「熱い、熱ぃよ! なんだこいつ! 熱を、植物のくせに、熱を発して……!」
ぎゃあ、と響く声。
それは亜人たち『ゴブリン戦車』たちから上がる悲鳴であった。
クロエのパラドクスによって生み出された巨人は植物でありながら、熱を発する。その灼熱めいた巨人の腕は『ゴブリン戦車』を車体毎握りしめ、大地へと叩きつける。
「お前たちの死ぬ理由は二つ」
クロエの言葉響く中、クロムの操縦が放つ殴打の鈍い音が響く。
クロムは撹乱するように『ゴブリン戦車』たちの間隙を縫い、その打撃とパラドクスが生み出す残留効果の軌跡を追うようにしてクロエの生み出した巨人が亜人たちを焼き焦がす一撃を叩き込む。
「お前たちの品性が下劣だったこと、そしてお前たちが愚かだったこと」
「このまま敵の戦力を削ぐ」
クロムは双銃の殴打で次々と『ゴブリン戦車』の推進力とも言うべき押し手の亜人たちを打ちのめしていく。
さらにそこに蛍の招来した銃より放たれる弾丸が打ち込まれ、轟音を放つ。轟音はさらにハーリスの生み出した砂嵐でもって彼らの視界を塞ぎ、思うように戦えぬ状況を生み出していく。
「これこそが嵐の神の御力」
ただ己の欲望のままに振る舞うこと。
それだけのために、得られたはずの勝利すら投げ捨てる愚かしさを蛍とハーリス走る。
そして、クロエは告げるのだ。
「これこそが下劣なる品性をもつお前たちに相応しい死に方でしょう? 私の生み出した巨人が放つ熱によって存分に苦しんで、死んで下さい」
その言葉が最後となって『ゴブリン戦車』たちは何一つ思うままにできぬ末路をたどる。
焼き焦げた戦車ばかりが荒野に残される。
其の様を、城門が開門したばかりか、配下たるトループス級が飛び出したという報を受けたアヴァタール級『蛇身の馭者エリクトニオス』は見ることになる。
「……なんたる」
彼は仮に亜人たちがディアボロスたちの挑発によって飛び出すことがあっても、早々撃滅されることはないと踏んでいた。
ある程度の損耗に抑えられると思っていたのだ。
だから、彼もまた護衛たるトループス級たちと共に二頭仕立ての戦車を駆り、城外へと飛び出していたのだ。
だが、それが誤りであることを彼は知る。
「まんまと釣り出された、というわけか。致し方あるまい。あまりにも敵の動きが早すぎる。これは」
計画された蹴撃であることを彼は蛇身を蠢かせ、理解した。
此処にとどまってはならない。
とどまれば、兵の損耗だけでは済まない。ならば、取れる手は。
「私を護れ。『ゴブリンファランクス兵』」
その言葉にトループス級『ゴブリンファランクス兵』たちは槍を構え、戦闘態勢を取る。ここで指揮官である『エリクトニオス』を失えばどうなることかは、彼直下のトループス級である『ゴブリンファランクス兵』たちは理解したのだ。
つまり、其の程度の理性は働いた相手と見える。
ならば、『ゴブリン戦車』たちのような挑発は効かない。
しかし、城壁へと戻らんとする彼らを逃さず、潰さない手はないだろう。
「敵はディアボロス。その鋭き槍の穂先を並べ立てよ。伴する兵の死こそ己の死と思え」
『エリクトニオス』の号令と共にディアボロスたちは、戦闘態勢を緩めることなく、立ち向かわねばならないのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
クロム・エリアル
……じゃあ次
みすみす逃がしはしない
まずは取り巻きを排除
例え頭目の指揮があろうとも、勢いは此方が上
なら、一気呵成に潰す
双銃『Libra』を構える
泥濘の地……在り物は有効活用
ファランクス兵の機動力を奪う
此方は飛翔し、ファランクス兵の上を取る
ただし、高度はそこまで上げず頭上を飛び越える程度に抑制
Ex.Bullet.Parabellum……装填
速度を上げ敵の頭上を通り過ぎ、そのタイミングで「連射」
片手の銃は盾でガード出来るような位置へ射撃
タイミングをズラし、もう片手の銃で本体を狙う
射撃後は即、反転しファランクス兵達の懐に飛び込み「グラップル」
伸びる槍……距離を取っても無意味
なら、零距離で有利な間合いを封じる
マズルスパイクで柄を叩き軌道を逸らし穂先を掠らせるよう行動
貫かれるのと、掠るのではダメージはあれど違う
即座に次の行動に移り、敵を攻撃
……籠城戦は救援のアテがあるからこそ、成立
明確な援軍が見えない今、早急に叩き将を討つ
これはその為の前哨戦
君達程度でクロム達は止められない
アドリブ連携等歓迎
ハーリス・アルアビド
指揮官は多少冷静なようですね。ですが配下を抑えきれなかった時点でこうなるのは決まったようなもの。
撤退は許しません。すべて倒します。
天空の神ホルスよ、お力添えを。確実な勝利を重ねセレウコスへの道を拓くための翼をお授け下さい。
城門に戻ろうとする敵の進路を妨害するために【飛翔】し、同じく飛翔する方がいらっしゃれば連携を取りこちらに注意を引き付けましょう。
【残像】を生み出す速度と幻惑する動きで間合いを誤らせて【撹乱】し、攻撃と【一撃離脱】を繰り返しながら【泥濘の地】に誘導します。
足を泥に取られたことに気付いた頃には舞い上がる砂埃も【砂使い】で巧みに操り煙幕となりましょう。
頭上高くに位置取り敵の影と自分の影を重ねて分かり辛く工夫し、そのまま最高速度の急降下てホルスの一撃を放ちます。
味方とも連携し、襲撃に気付いて対処しようとする者や指揮を執ろうとする者は優先的に狙います。
頭上からの襲撃に対抗しようとするなら【残像】を狙わせて軌道を変える【不意打ち】を行います。
クロエ・アルニティコス
下らないことをしていますね。
ずっと後の時代の言葉ですが「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」そうです。
今更何を学んだところで、お前たちの愚かさも、それが生む結果もなんら変わりません。
自らの愚かさを呪いながら、死んで下さい。
引き続き【泥濘の地】は展開して敵の散開速度を鈍らせます。
【カリュブディス・ネペンテス】を使用し、ウツボカズラの種を急成長させ、カリュブディスを象った怪物を作り出します。
ゴブリンファランクス兵がファランクスを崩し、攻勢をかけようとしたところを狙い、その手足を蔓で捕縛、捕虫器へと引きずり込みます。
私に死体を辱める趣味はありませんが……どういう死に方をさせるのか?には拘りたいと、常々思っています。
生きたまま全身を焼かれるか、酸で体の外と内から溶かされるか。
果たしてどちらがお前たちにとって苦痛なのか。
教えてくれずとも構いませんよ。お前たちの悲鳴で勝手に判断します。
精々苦しんで、死んで下さい。
エイレーネ・エピケフィシア
エリクトニオス……再び現れていましたか
亜人どもが故郷の英雄の名を騙るなど、あってはならないことです
……それに、亜人の雑兵どもを多少なりとも冷静にさせる、指揮官としての手腕も侮れません
逃すことなく討ち滅ぼさねばなりませんね
《神護の長槍》と《神護の輝盾》を手に参戦
敵指揮官の姿を見ていると、強い怒りがこみ上げてきますが……まずは冷静に手下から片付けてゆきましょう
敵の強固な陣形は脅威、手始めに切り崩したいですね
短時間・低空の【飛翔】で隊列の側面に回り込んでから着地
そこから間髪入れず『恐れなき急襲の槍』を敢行します
――人々を脅かす怪物どもよ、覚悟なさい!
衝突時の爆破によって敵を吹き飛ばし、隊列に穴を開けてやりましょう
そこから仲間たちが続けざまに攻め入ったり、隊列を再編しようとする隙を突けるようになれば重畳です
反撃に対しては、そもそも攻撃時の動きでファランクスを乱すことで、密度を削いで威力を低下
残った敵の槍は盾で防いだり、こちらの槍の柄を絡めることで軌道を反らして、急所に直に当たらないよう対処します
ディアボロスの挑発に乗って城壁から飛び出したトループス級を呼び戻すためにトループス級『ゴブリンファランクス兵』を伴って現れたアヴァタール級『蛇身の馭者エリクトニオス』。
彼はまだ亜人の中では冷静だった。
『勝利王セレウコス』よりの厳命の意味を理解していた。
だが、聡い頭ではもう一つ……そう、籠城という手段を取ったことにより配下である亜人たちの不満をも理解してしまっていた。だからこそ、強く止めることができなかったのだろう。
挑発を行ったディアボロスは少数。
ならばすり潰せることができる。仮に厳命を破った亜人たちがいたとしても、ディアボロスを、敵を撃滅したという報告ができれば帳消しにできると思っている節さえあった。
それが彼の甘さだというのならば、正しくその通りであったことだろう。
魔法の長槍を並べ立て、その切っ先を迫るディアボロスたちに向ける『ゴブリンファランクス兵』たちは着せずして戦いの場へと舞い戻ったことへの喜びの声を上げるように咆哮している。
その恐ろしげな咆哮と一糸乱れぬファランクス。
それこそが彼らの最も恐ろしい点であった。
だが、クロム・エリアル(近接銃士・g10214)とハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は、この亜人部隊を率いるアヴァタール級よりも冷静だった。
「……次」
まずはアヴァタール級の取り巻きを排除することを優先んするようにクロムは一気呵成に攻め立てることを決意していた。その決意の現れが構えた双銃。
手繰り寄せる残留効果。
泥濘の地は、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)によってもたらされたものであるが、しかし有効に活用スべきだと判断したのだ。
ファランクスはたしかに強靭な防御能力と攻撃能力を併せ持つ戦陣である。
しかし、一糸乱れぬ行軍があればこそ、という前提条件があるのだ。ならばこそ、クロムとクロエは敵の足元をぬかるませることによって、その行軍をこそ阻むのだ。
「ギャギャギャッ!?」
「泥濘だと……? このような荒野で何故……これもディアボロスの!」
『エリクトニオス』は『ゴブリンファランクス兵』たちに守られながら、しかし、己の指揮する部隊の動きが鈍ることに歯噛みする。
機動力は必要ない。
けれど、ファランクスという戦陣を維持するためには足を取られ、もつれさせ、その行軍を乱れさせてはならないのだ。構えた槍の穂先が乱れるようにして、てんでバラバラに天を仰ぐ。
ともすれば、『ゴブリンファランクス兵』たちは動揺し、その戦陣を崩すことだろう。
だが『エリクトニオス』の一喝が飛ぶ。
「動揺するな。敵は少数。お前たちの槍の穂先を前に向けよ。それだけで敵は槍衾に恐れを為す!」
その言葉に立て直す『ゴブリンファランクス兵』たちを見て、ハーリスは敵の指揮官が今dあ冷静な判断能力を有していることを知る。
「とは言え、配下を抑えきれなかった時点でこうなるのは決まっていたようなもの。撤退は許しません。全て倒します」
「ええ、下らない」
クロエはハーリスの言葉に同意する。
確かに愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言う。
だが、それは亜人たちにとっては意味のない言葉だろう。彼らが今更何を学んだところで、彼らの愚かしさは消えない。賢者になることもない。
そして、それが生み出す結果もまた変わらない。
故に、クロエの瞳には復讐の炎が揺らめく。
「自らの愚かさを呪いながら、死んで下さい」
揺らめく瞳の炎の最中にパラドクスの輝きが解き放たれる。彼女の言葉と共に生み出されるは、カリュブディス・ネペンテス。
ウツボカズラの種子に注がれた魔力と悲鳴。
それによって成長した怪物が蔦をしならせながら、ほとばしり、『ゴブリンファランクス兵』たちの足を掴む。
「ギャッ!?」
がくん、とファランクスの一角が崩れる。
蔦が彼らの足を掴み、泥濘へと変わった地面を引きずるようにして怪物『カリュブディス』の捕虫器へと放り投げようとするのだ。
当然、『ゴブリンファランクス兵』たちは抵抗するだろう。
だが、そこに掛ける影があった。
「敵の指揮は見事。けれど、勢いは此方が上。なら、一気呵成に潰す」
クロムは双銃を構える。
そして、クロエの生み出した怪物の放った蔦に引きずられ、しかし抵抗しようとする『ゴブリンファランクス兵』へと双銃に装填された、Ex.Bullet.Parabellum(エクスバレット・パラベラム)の弾丸を放ち、その抵抗が無駄であると示すように、その体躯を貫く。
「敵の攻撃は距離をとっても無意味。伸びる魔法の長槍、厄介」
しかし、それが敵の機動力を奪っても、動揺さえ沈めればファランクス陣形を保つ事のできる力の拠り所でもあったのだ。放たれる長槍からの一閃を双銃の受信で受け止めながら、響く衝撃にクロムは体を弾き飛ばされる。
「強烈。けれど」
吹き飛ばされた体をエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)が地を這うように、跳ねるように飛翔しながら受け止めてくれる。
「ご無事で」
「無論」
短いやり取り。だが、クロムを地面に即座に降ろしたエイレーネは、その声色の端々ににじみ出る怒りめいた感情を抑え込み続けることが難しかった。
彼女にとって敵部隊の指揮官『エリクトニオス』の名は、奪われてはならないものであった。
亜人が騙ることなど、もってのほか。
嘗て現れたアヴァタール級とは異なると理解していたとしても、嘗ての英雄の名を騙る亜人が存在している、という事実が彼女の怒りをさらに燃え上がらせrう。
「冷静に」
「ええ、わかっております」
クロムと入れ替わるようにしてエイレーネは手にしたん長槍と輝く盾を手に『ゴブリンファランクス兵』へと飛び込む。
さらに続くようにしてクロムも飛び込む。
敵陣を崩す。
それこそがファランクスの陣形に打ち勝つ方策。
「勇者たちが進む道、その先陣を切ります」
エイレーネの瞳がパラドクスに輝く。
恐れなき急襲の槍(アローギスティ・エピドローミー)は己の手にある。己の信仰をエネルギーに変え、一気に弾けさせるようにして『ゴブリンファランクス兵』の槍衾のような陣形へと飛び込む。
恐るべき長槍の切っ先と、彼女の手にした神護の長槍の切っ先が交錯し、火花をちらしながら、その一撃を叩き込む。
周囲に炸裂したエネルギーの爆発が陣形を突き崩す。
敵は冷静な指揮官を有している。
彼の指揮が発揮される限り、部下の動揺は抑えられ続けることだろう。その指揮官としての手腕は侮ることはできない。わかっている。だからこそ、逃してはならないのだ。
たとえ、それが己の中にある強烈な怒りとは異なる要因であったとしても。
「逃しは致しません。必ず……――人々を脅かす怪物どもを! 覚悟なさい!」
こじ開けられた隊列の穴にクロムは飛び込み、弾丸を解き放つ。
放たれた弾丸は『ゴブリンファランクス兵』たちを穿ち、さらにクロエの生み出した怪物の蔦が彼らの足を取って捕虫器へと放り込み、その体を内部の酸でもって溶かす。
その悲鳴がさらに怪物を成長させるのだ。
「私に死体を辱める趣味はありませんが……どういう死に方をさせるのか? には拘りたいと常々思っています」
クロエの怒りは、その点に直結している。
奪われたもの。
生命であれ、尊厳であれ、なんであれ。
奪われたのならば奪い返さなければならない。その怒りを体現する方法をクロエは持っている。
ならばこそ、彼女は言葉にするのだ。その言葉が恐れを引き出し、敵を怯えさせ、竦めさせるのならば、いくらでも彼女は言葉を紡ぐだろう。
「生きたまま全身を焼かれるか、酸で体の外と内から焼かれるか。果たしてどちらがお前たちにとってより苦痛なのか」
教えてくれ、とは言わない。
言わずともわかっていることだ。
彼らの悲鳴こそが、己の生み出した怪物の糧。
「せいぜい苦しんで、死んで下さい」
その冷ややかな言葉と共にハーリスの舞い上げた砂埃の向こうに、彼の瞳がパラドクスに輝く。
敵は撤退を判断するだろう。
何せ、絶対的な防護を誇るファランクス陣形を穿たれたのだ。とは言え、ハーリスは機先を制する。クロムとエイレーネによる突撃。
それによって穿たれた穴はクロエが押し広げた。
悲鳴は動揺を誘い、恐れを生み出す。
ならばこそ、彼は祈る。
「天空の神ホルスよ、お力添えを。確実な勝利を重ね、『セレウコス』への道を開くための翼をお授け下さい」
その言葉とともに残像生み出す家のような速度で戦場を跳ねるようにして飛ぶ。
敵の魔法の長槍は確かにハーリスの体を貫く。
だが、止まらない。
彼はホルスへの嘆願(ホルスヘノタンガン)を為している。
ならばこそ、彼は変幻自在たる一撃でもって『ゴブリンファランクス兵』の頭蓋を割るような急転直下たる一撃を叩き込む。
血潮が舞う。
それが己の血か、それとも敵対者の血であるかはハーリスには判別が付かなかった。
けれど、確実に言える事がある。
己の嘆願は確かに届けられているのだろうと。故にハーリスは迫る槍の穂先が己の体を貫こうとも止まらない。最高速度の急降下の一撃を持って『ゴブリンファランクス兵』を穿ち排除する。
敵指揮官たるアヴァタール級。
その道を開くために彼ができることは、傷を厭うことではない。
叩き潰し、穿ち、陣形を崩すことだ。
「この戦果を天空の神ホルスに奉りましょう」
ハーリスの力強い言葉にエイレーネは構えた盾と槍でもって『ゴブリンファランクス兵』の陣形をさらに崩す。再編などさせない。
『エリクトニオス』であれば、残存した味方を再編し、規模を縮小したとしても陣形を取り戻すことをするだろう。
それだけのことができる敵であるという認識は敵を認めるところでもあった。
「敵の陣形を乱します!」
エイレーネの槍が『ゴブリンファランクス兵』を穿ち、クロムの双銃より放たれる弾丸がとどめを刺す。
そして、ハーリスが己の身を厭わず敵の攻撃を受け止めながら叩き潰す。
重ねられた骸は何一つ残らない。
何故なら、クロエの生み出した怪物の中へと全てが引きずり込まれるからだ。
その異様なる光景に『ゴブリンファランクス兵』たちが動揺しないわけがない。たとえ、恐れを知らぬものであっても。無知なるものであっても。
死とは最も連想しやすいものであり、それは恐怖に紐付けられたものであるからだ。
故にクロエは告げる。
「悲鳴こそがこの怪物の糧。ならば、お前たちは、己の運命を今まさに見ているのです」
その言葉を裏付けるように悲鳴が上がる。
エイレーネは盾でもって敵陣を押しのけ、アヴァタール級へと迫る。
満ちる怒りが胸より溢れそうになる。
けれど、それでも冷静さを務めるのだ。
そうでなければ、奪われた名を取り戻せないのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
【水源】LV1が発生!
【活性治癒】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
水上・鏡夜
アドリブ、連携歓迎
おひいさま(g02423)と
まぁ、手分けしてのほうが効率もいいからね
やるなら徹底的に、策も潰してこそだろ
さて、本命はこっちってことか
わかりやすいね。んじゃ、おひいさま、前は任せたよ?
添星、お相手仕る
後衛からの支援を主体に動こうか
自分の影もそうだが、おひいさまの影を中継してなら範囲に入るだろう
奇襲からの隙をついてもらえるからね
戦車を絡めとるのもだが、馬の方を優先しようか
機動力を削いでおけば後からの面々も楽だろう?
恨みはないがここで終わってくれ
反撃に関しては鉄扇にて受け流そう
掠る程度ならいいが、致命や足への被弾をできるだけ避けたいところだね
動きつつ、攪乱錯乱を優先させてもらおう
ボクら二人なら大丈夫だ
やれるだけのことをやってこそ、だよ
……ひひ、楽しそうに遊ぶ姿を見られるってのはいいもんだね
湯上・雪華
アドリブ、連携歓迎
きょーちゃん(g09629)と
駆逐が速いですね……
待ち伏せからの殲滅って効率もいいし、こちらの消耗も減らせるし
残るは指揮官だけみたいですし、全力で遊ばせてもらいましょうか
きょーちゃん、背中は任せたよ?
渇望抱く伽藍、参ります
前に出て前衛を務めますよ
妖刀だけでなく、ナイフも使って行きましょう
投槍を相手にするなら距離もですけど、速さ、挙動を注意深く観察
槍が当たらないように、当たりにくいように受け流しつつ、踏み込みましょうか
将を討つには馬からとも言いますが、足回りはきょーちゃんに任せて
私が狙うのは将ですよ
頸は落とせなくともその四肢、一本もらいたいですね
深手を負われられるだけでも有利になるというもの
どこまでも食らいついていきますよ
満たされぬ渇望、その呪詛、味わっていただきましょうか!
脅威なるファランクス陣形は崩された。
ディアボロスの攻勢は穴をうがち、広げ、敵の動揺を呷るようにして突進の威力へと変えた。
たとえ、それが血潮塗れる行軍の轍であるのだとしても、それでもディアボロスは前に進む。奪われたものを奪い返すために。
ただそれだけの為に彼らは復讐の炎を胸に宿し、その瞳にパラドクスを輝かせる。
その顔を、その激情をアヴァタール級『蛇身の馭者エリクトニオス』は見ただろう。彼の指揮、その手腕はたしかに優れたものであった。
挑発によって飛び出した配下たち。
彼らは容易く打ち破れる存在ではなかった。けれど、ディアボロスはそれを打ち破って見せたのだ。
さらには己を護る『ゴブリンファランクス兵』たちでさえ……。
「駆逐が速いですね……」
湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)は共にパラドクストレインから降り立ったディアボロス達が瞬く間にアヴァタール級である指揮官の配下を排除した光景を見やる。
『ゴブリン戦車』も『ゴブリンファランクス兵』たちも、即座に排除してみせたのは、彼らの手腕によるものであろう。
自分たちが挑発したことによって敵の動きは単調なものとなっていた。
効率がいい。
「まぁ、手分けしてのほうが効率もいいからね。やるからには徹底的に、策も潰してこそだろ。さて、本命は……」
水上・鏡夜(共在者・g09629)は己たちに迫るアヴァタール級『蛇身の馭者エリクトニオス』の姿を認める。
二頭仕立ての戦車を駆り、その蛇身たる彼の動きは戦場にあって迅速さを尊ぶものだった。
「撤退は最早ならぬか。ならば、一人でも多くのディアボロスを打ち倒すのみ」
彼は手にした槍に口より放たれた緑色の炎を吹き付け、まとわせる。その槍の穂先に宿った炎は、パラドクスであることを示していた。
「巨星の如き一撃、受けてみよ!」
その蛇身の、亜人としての膂力を示すように投擲された一射は、正しく巨星が空より降り落ちるかのような一撃となって雪華を襲う。
前衛を務める雪華にとって、そのパラドクスの一撃は苛烈なるものであった。
己の背中は鏡夜に預けている。
ならば、己が為すべきことは一つだけだ。
「きょーちゃん、背中は任せたよ?」
「おひいさま、こういう時は、ボクが『前は任せたよ』というところだよ」
「そっか。なら、遠慮なく任されようね。渇望抱く伽藍、参ります」
「添星、お相手仕る」
ほとばしる緑の炎を振り払いながら妖刀とナイフが十字に振り抜かれる。
身を焼く炎は苛烈そのもの。
痛みが走るが、しかし、その瞳は『エリクトニオス』を捉えている。
どれだけ二頭仕立ての戦車の機動力が凄まじく、また槍の投射のリーチが長くとも、雪華はその瞳に『エリクトニオス』を捉えている。ならば、そのパラドクスは輝く。
「冥き陰より咲くは漆黒の茨なり」
同時に鏡夜の瞳もパラドクスに輝く。
光は影を生み出す。
己の影が伸びるようにして戦場にある『エリクトニオス』の戦車とつながる。それは二頭の馬を絡め取り、その動きを止め、さらには縛り上げるようにして『エリクトニオス』へと迫るのだ。
「恨みはないが、此処で終わってくれ」
「終わるつもりなどない。私の失態だ。それをそのままにしておくことなどできぬ。『セレウコス』様の厳命を、配下を抑えきれなかった私の責任。その責務を果たすまでは!」
『エリクトニオス』の蛇身たる尾が槍のように鏡夜へと放たれる。
広げた鉄扇でもって受け止められた一撃。
鉄扇は壊れこそしなかったが、しかし、その衝撃は鏡夜を吹き飛ばす。
何たる一撃であろうか。これが亜人という存在。苛烈なる一撃を受けながらも、鏡夜の瞳は死んでいなかった。
「ボクら二人なら大丈夫だ。やれるだけのことをやってこそ、だよ」
鏡夜は知っている。
このような苛烈なる相手を前にしても雪華は笑っている。
まるで戦場を遊び場にするかのように雪華は笑いながら『エリクトニオス』へと踏み込んでいる。
必ず、己の影が『エリクトニオス』の戦車の動きを止めてくれるのだと確信しているからこそ、踏み込めるのだというように雪華は大地を蹴る。
「貪り喰らえ」
己は伽藍。
空虚(ウツロ)満たす伽藍であるのならば、その身に宿した呪詛こそが中身であろう。開放されたそれにより、己はまた空洞になる。
それが満たされぬ渇望。
その伽藍を抱えるからこそ、己は奪われたということを理解できるのだ。
「どこまでも食らいついていきますよ。満たされぬ渇望、その呪詛、味わっていただきましょうか!」
放たれる妖刀の一撃を『エリクトニオス』は槍の柄でもって受け止める。
「その呪詛の矛先すら忘れた空虚に私が……! 飲まれるのものか!」
受け止めた一撃を返すように槍を振るおうとして『エリクトニオス』は己の腕が動かぬことを知る。そう、鏡夜のはなったパラドクス、その影によって己の体が縛り上げているのだ。
軋む体。
亜人としての体躯。
蛇身としての体は影を振り払うようにして雪華へとパラドクスを放つ。
だが、それよりも早く。
「……ひひ、おひいさま、楽しそう。いいもんだね」
近くで、あの笑顔を見ることができる。
鏡夜にとって、それが嬉しくて仕方ないのだろう。その笑顔を背に受けて、雪華は逆手に握りしめたナイフの一閃に呪詛を籠め、『エリクトニオス』の体躯へと言えぬ傷跡を刻み込み大地より上る影を足場にして鏡夜に笑むのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【浮遊】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
ハーリス・アルアビド
残るはただ一騎。いかに強力な槍を操り炎を燃やそうとも、こちらも退くつもりはありません。
砂漠の神にして嵐の神セトよ、お力添えを。あらゆる敵を薙ぎ払うそのお力の一端をお貸し下さい。
【残像】を生み出す速度で駆け、舞い上がる砂塵を【砂使い】でより巧みに操り、的確な攻撃を行えぬよう【撹乱】します。
どのような傷を受けようとも耐え抜き攻撃の機会を確実に捉えましょう。
常に動き回りながら味方と常に連携を取り、死角に回り込んだ【不意打ち】を繰り返しそれが癖だと覚え始めた時を狙いましょう。
死角に回り込むと見せかけて残像を囮にし、低空の【飛翔】で急激に間合いを詰めて【捨て身の一撃】を放ちます。
クロエ・アルニティコス
お前が英雄の名を騙る者であろうと、英雄その人であろうと……はたまた、それ以外の何かであろうとも。
私が成すことに揺らぎはありません。
オリンポスへの道を開くこと、隣に立つ戦友に恥じぬ己であること。
戦う理由は増えましたが……この復讐と憎悪が薄れることはありません。一匹残らずお前たちは殺します。
【ヒュドラ・アマランサス】を使用。アマランサスの種を急成長させ、ヒュドラを象った怪物を作り出します。
エリクトニオスが放つ無数の鱗の散弾をヒュドラに受けさせ、散弾により首がちぎれようとも、その再生能力で次々と襲い掛からせます。
引き続き【泥濘の地】で動きを阻害しつつ。隙が少ないのなら、無理やりにでも作るだけです。鱗の散弾を受けながらのヒュドラの特攻で、長い首で敵を締め上げて捕縛します。
パラドクスを捕縛し隙を作ることに使えば攻め手に欠けますが……構いませんよ。お前を殺すのは私でなくてもいいのですから。
捕縛した隙を、他の復讐者についてもらいます。
クロム・エリアル
残すは指揮官のみ
最早率いるべき部下も居ない
役目は終了……早々に退場する事を提言
……と言って消えてくれればどれだけ楽か
部下も待っている、早々に後を追うと良い
……チャリオットによる突撃
槍の投擲
時代に合わせた、それらしい装い
流石はクロノヴェーダ見た目は取り繕っている
けれどもそれだけ
所詮は紛い物
それでも自身を誇るなら、潔く散る事を推奨
双銃『Libra』を構える
相手が何であれ、クロムがする事はブレない
低く飛翔し加速
エリクトニオスに肉薄し、戦車に相乗り……零距離戦闘開始
Ex.Bullet.Shell……装填
右手でエリクトニオスを、左手で馬を狙い射撃
本体へのダメージと、馬の暴走を狙う
ふんぞり返って指揮するよりも、戦車から降りて一騎打ちをする事を提言
零距離で膂力任せの槍を受けるのは非推奨……
なら、逆らわない
奴が炎を吐く前に、顔面にアシストコートを被せ槍に纏わせる炎を減少
穂先へ通常弾頭で「連射」
衝撃で狙いをズラして柄を持ち投擲する槍ごと此方も飛ばされる
やり過ごしたら即座に飛翔し「空中戦」
次の攻撃行動に移る
エイレーネ・エピケフィシア
女神の恩寵を身に受けし英雄の名は、亜人には相応しくありません
それはわたし達が背負う歴史、そして救いを待つ都市と人々への冒涜です
必ず討ち果たします!
≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に戦います
ひとつ試してみたいのですが、手綱や馬具はクロノ・オブジェクトでしょうか?
試しに【腐食】をかけ、効いて馬が手を離れ隙を晒すようならそれでよし
効かないのなら執着せず切り替えて戦います
【泥濘の地】による減速や、仲間の攻撃に乗じて一気に畳みかけましょう
≪天翼のサンダル≫の力で一気に加速し、渾身の突撃
盾を構え、槍を深々と突き刺して、『勇敢なる不退の志』を体現する捨て身の一撃を見舞いましょう!
偽りの馭者よ! 汝が死して向かう先は、星々輝く天空にあらず!
大地の底、奈落の深淵へと墜ちなさい!
反撃には槍の穂先を受け流すべく盾を振るい、突き刺しと爆破の直撃を防ぎます
……似ていますね、わたし達の技は
やはりこの身は『生まれ損ない』のウェアキャットなのかもしれません
しかし……力の源が何であれ、都市と人々のために用いるのみです!
呪詛満ちる一閃が影に縛られるアヴァタール級『蛇身の馭者エリクトニオス』の体を切り裂く。
血潮が噴出する。
血しぶきの珠は宙を舞い、荒野に落ちる。
一滴。
されど一滴。確かにディアボロスのパラドクスは、かのクロノヴェーダ、亜人の体を切り裂いた。構えた槍。御する二頭仕立ての戦車が戦場を疾駆する。
「やはりディアボロス……侮るものではないが!」
彼の眼の前に立ち塞がるのはパラドクスの明滅が見せる光だった。
「残すは指揮官」
「ただ一騎」
クロム・エリアル(近接銃士・g10214)とハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)は舞い上げられた砂塵の向こうから一気に城壁から挑発によって釣りだした亜人たちの指揮官であるアヴァタール級に狙いを定める。
すでにトループス級は排除している。
妨害はないはずだ。ならばこそ、ここで一気に打倒しなければならない。
「最早率いるべき部下もいない。役目は修了……早々に退場することを提言」
「ディアボロスが如何ほどのものか。慢心を覚えたようだな!」
『エリクトニオス』の蛇身の上体が膨れ上がる。
全身の血液を上半身に集めたかのようにうねる筋繊維。その亜人としての膂力が槍を構える。それは投擲のフォームであることが即座に知れるだろう。
呼気のように吐き出される緑色の炎。
クロムは低空で大地を蹴るようにして飛び、己の身にまとうアシストコートを投げ放つ。少しでも敵の狙いをそらす目的があった。
あの投擲は受けてはならない。
受ければ確実におのれ達の体は沈むであろうことは理解できる。
だが、煌めくパラドクスは、正しく巨星のようにクロムへと放たれる。
「受けよ、巨星の一撃」
「……!」
放たれた一射。
投擲の一撃がクロムをとらえる。しかし、クロムは受け止めるつもりはなかった。吹き荒れる緑の炎。放たれる通常弾頭も意に介した様子もなく投擲された槍の穂先はクロム目掛けて飛ぶ。
衝撃で狙いをずらす目論見であったが、しかし、それはパラドクスを通常攻撃で弾く行為に等しかった。
故にクロムの目論見は達成されない。
パラドクスは互いに必中。
逆説連鎖戦において、それは必然。故にクロムは目を見開く。
諦めではない。
その一撃を受け止めながら、彼女は背後に飛ぶ。勢いを殺す。そのために彼女は双銃の銃身を砕かんとするかのような勢いで迫る巨星の如き槍の一撃を受け止めて吹き飛ぶ。
いや、吹き飛ばされた、というのが正しいだろう。
「受けたか、我が槍の一撃。星の一撃を。我が不退の意志を!」
「此方も退くつもりはありません」
吹き飛ばされたクロムと入れ替わるようにしてハーリスが残像を生み出す速度で戦場を駆け抜ける。
荒野を蹴って舞い上がる砂塵を纏うようにして『エリクトニオス』の周囲を撹乱する。
血潮が飛ぶ。
痛みが全身に走る。
ディアボロスとは言えど、戦いに次ぐ戦いである。
傷を負わぬことはない。故にハーリスは血潮を撒き散らしながら戦場を駆け抜けていた。
だが、それで彼が止まることはない。
どのような傷を受けようとも耐え抜くという意志がみなぎっていた。
「その覚悟は良し。しかし、巨星の前には潰えるものと知るが良い!」
再び投擲される緑色の炎纏う槍の投射。
ハーリスの動き、その癖を『エリクトニオス』はすでに把握していた。
残像と砂塵をまとい、おのれ達の視線を遮ること。それが彼の癖であると。だからこそ、見誤る。
そう、クロムが己のパラドクスの一射でもって打倒されたという事実もまた。
「リロード……拡散モード」
「何……!?」
ハーリスの巻き上げた砂塵、残像は確かに囮だった。
不意打ちを狙う一撃。
だが、しかし、それは仲間を、クロムの一撃を届けるための方策。そして、己の一撃もまた、底に組み込まれている。
「砂漠の神にして嵐の神セトよ、お力添えを」
セトへの請願(セトヘノセイガン)はハーリスの拳から放たれる。
嵐纏う衝撃波。
その一撃が緑の炎纏う槍の投射とすれ違うようにして『エリクトニオス』の体を打つ。上体がこじ開けられるようにしてのけぞる姿をハーリスは見た。
さらに続く輝きがある。
クロムの一射。懐に飛び込み、装填された弾丸を双銃より放たれる。Ex.Bullet.Shell(エクスバレット・シェル)は拡散性の高い散弾。
一気に解き放たれた無数の礫めいた弾丸が『エリクトニオス』の御す戦車の馬ごと彼を撃ち抜く。
「ふんぞり帰って指揮するよりも、戦車から降りて一騎打ちすることを提言」
「私をも煽るか!」
その言葉に『エリクトニオス』は激高する。
彼自身も知らぬことであったかもしれない。
籠城という消極性。『勝利王セレウコス』の意図を彼は理解している。理解できている。だがしかし、それは半分正しいだけだ。
亜人としての本能が、それを拒んでいる。
なまじ、それを抑えられたのは、奪った英雄の名故か。
しかし、ディアボロスによる挑発。部下を失ったこと。体裁、というのならば、そうなのだろう。それを取り繕う必要性はなくなっていたがゆえに。
「やれるものならばやってみるがよい!」
その咆哮を真っ向から受けて、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)とクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は共に並び立つ。
『蛇身の馭者エリクトニオス』――その名。それは英雄の名であった。
女神の恩寵を身に受けた英雄の名。
それを簒奪した亜人には相応良くない。だが、奪うことで。騙ることでもって本来の歴史を冒涜する。
亜人たちにとって、それは自然なことだったのだろう。
故に名乗るのだ。
「私の名を知らずとも良い。我が名は天を仰げば知ることになるだろう」
「それはわたしたちが背負う歴史、そして救いを待つ都市の人々への冒涜です」
エイレーネは長槍と盾を構える。
手繰り寄せた残留効果は不発に終わる。腐食は物品を急速に腐り落とす。だが、クロノ・オブジェクトは腐らせることができない。
彼女が構えた槍や盾もそうであるように『エリクトニオス』の駆る戦車もまた、そうしたものであるからだ。
だが、その結果を受けてもエイレーネは固執しなかった。
己がやるべきことを理解しているからだ。
手繰り寄せた残留効果、泥濘の地は戦車の機動力を奪う。けれど、パラドクスは距離を意味在るものにしない。視界に敵を捉えた瞬間に必中の一撃が飛んでくるのだ。
「お前が英雄の名を騙る者であろうと、英雄その人であろうと……はたまた、それ以外の何かであろうとも。私が成すことに揺らぎはありません」
クロエは思う。
隣に立つ戦友に恥じぬために。何を成すべきか。
それはオリンポスへの道をひらくこと。
そうすることが、己が友に恥じぬために必要な理由だった。戦う理由は増えた。己の胸の中に燃える復讐と憎悪だけではない。
「種子に宿るは我が憎悪、芽吹け『ヒュドラ・アマランサス』!」
撒き散らしたアマランサスの種子に魔力が注がれる。
パラドクスの輝きを受けて生み出されるはヒュドラの怪物。その姿、その威容。全てが彼女の憎悪と復讐の炎を糧にしていることを示していた。
そして、如何に戦う理由が増えたとしても、それらが薄まることがにことを示していた。
「一匹残らず、お前たちを殺します」
ヒュドラの怪物がクロエの憎悪に応えるようにして咆哮し、無数の首が『エリクトニオス』へとほとばしるようにして走る。
「その憎悪を私は超えて見せよう。我欲こそが、あらゆるものを鏖殺せしめる刃なのだ」
蛇身を唸らせ、その尾が振るわれる。
瞬間、鱗が刃となって放たれる。それは正しく散弾めいたパラドクスであった。
嵐のような鱗刃がヒュドラの怪物の首を切り裂き、穿ち、さらにはクロエにも迫る。引きちぎれた首がすぐさま蔦によって絡まり、再生し『エリクトニオス』へと迫る。
隙がない。
『エリクトニオス』の名は伊達ではないと知ることができるだろう。
泥濘の地でもって機動力を封じられてなお、彼のパラドクスは多数と戦うことを厭わないものだった。
鱗刃がクロエの身を引き裂く。
血が吹き出す。しかし、クロエの瞳は痛みに揺れなかった。
純然とした殺意だけが、そこに宿っていた。如何にしても殺す。そう告げるかのようなクロエの瞳を受けてヒュドラお首が『エリクトニオス』の体を締め上げる。
「……ッグ、だが! これで私が倒れると思うたか」
「ええ、攻め手に欠けることは承知の上……ですが、構いませんよ。お前を殺すのは私ではなくてもいいのですから」
クロエにとって、亜人を殺したという結果だけが重要だったのだ。
過程も、己の手で、という意志も関係ない。
亜人は殺す。
この憎悪と復讐の炎だけが、今、正しいものだった。
そして、それに応えるようにして砂塵が舞う。
ハーリスの拳が放つ衝撃波が『エリクトニオス』の死角から放たれる。
「邪魔だてを!」
「いいえ、あなたを打倒せしめるまでは、私も倒れるわけにはいきません」
「己の名を誇るなら、潔く散ることを推奨」
さらに反対側から散弾の銃撃が打ち込まれる。クロムは血に塗れながらも、その一撃を持ってハーリスと共に『エリクトニオス』を挟撃したのだ。
前方からはクロエの生み出したヒュドラの怪物による拘束。
左右からの衝撃波と散弾。
身が軋む。強靭な鱗に覆われた体躯が、傷を追って軋む。その音を聞きながら、エイレーネの瞳はパラドクスに輝いていた。
己の踏み出す一歩が軽い。
天の翼を履くかのようなサンダルが大地を蹴る。加速する。
風が頬を撫でる。
「来るか、ディアボロス!!」
咆哮が轟く。
眼前に迫るは戦車の駆ける勢いと共に流星のように迫る滅殺の槍。その穂先の鋭き輝き。どれほどのエネルギーが蓄えられているのかなど言うまでもない。
「偽りの馭者よ! 汝が死して向かう先は、星々輝く天空にあらず!」
「私の名は星によって語られるものである。それを謗るか!」
「それは――」
眼の前のクロノヴェーダの名ではない。
本来の歴史から簒奪された名である。
故にエイレーネは裂帛の気合を呼気に込めて、構えた盾と槍にパラドクスの輝きを満たす。
「あなたの名ではない! 大地の底、奈落の深淵へと墜ちなさい!」
放たれる槍と槍。
その切っ先が盾に触れる。火花を散り、衝撃がエイレーネの身を打つ。骨身が嫌な音を立てた。
凄まじいエネルギーが戦車の勢いと『エリクトニオス』の持つ膂力と共に爆発的に吹き荒れているのだ。
故に。
勝負を決したのは、己達が手にしたものの相違。
確かに己と『エリクトニオス』のパラドクスはよく似ていた。
「……」
息を呑む。
言葉は飲み込んだ。己の身は『生まれ損ない』のウェアキャット。
名がそうであるように。力も他の誰かの、本来在るべき誰かのものであるのかもしれない。力の源は、復讐の炎に惹きつけられたものであるのかもしれない。
けれど、友が。仲間が。
切り開いた道を己が閉ざす訳にはいかない。
誰もが血に塗れている。傷を負わぬ者などいなかった。故に、彼女は踏み込む。
手にした盾と仲間。
それが『エリクトニオス』とエイレーネの相違。
「勇敢なる不退の志(サラレア・スターシー)は此処に! この身にどれほどの傷を受けようとも、我が友、我が戦友たちの切り開いた道は!」
『エリクトニオス』は見ただろう。
パラドクスの放つ撃滅たる一撃を盾で受け止めながらも、その輝く槍を手放さなかったエイレーネの姿を。
その背後には、ディアボロスたちが生み出す復讐の炎が上がっている。
ハーリスは願った。
クロムは穿った。
クロエは示した。
多くを死なって奪われて。
それでもなお、己達の胸にはたしかな復讐の炎が燃え盛っているのだと。
爆発的な熱量に押されるようにしてエイレーネは渾身たる一撃が叩き込まれる。放たれた槍は『エリクトニオス』の蛇見の鱗を貫き、穿つ。
「……何のために……復讐のためだけに、お前たちディアボロスは」
戦うのではないのか。
その問いかけにエイレーネは、『エリクトニオス』を背にして振り返ることなく告げる。
「都市と人々のために。この力は、そのために用いるのみです!」
掲げた槍の穂先は、勝利を示すように、晴天に煌めいた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【浮遊】がLV2になった!
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効果2【ガードアップ】LV1が発生!
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