リプレイ
支倉・珠
現場に入る前に足で地固めを、というやつです。
村から情報を集める所から始めましょう。
ええと、森に入りそうな樵、狩人、薬師あたりに
・森植物の特性と意思疎通出来そうな植物
・森の危険と有効な対処手段
・ざっくりとした地図
・伝承等で忌み地というか立ち入りが禁じられている場所
・竜の拠点が地図から見てどっちにあるのか
・その他気になる事
あとお金になりそうな薬草とか
可能であれば
・行方不明になった子について
・過去事例との共通点とか思い当たる事が無いか
・変なオブジェクトを所持していたり拾い物してないか
を聞きましょう。
以上を他部隊に伝達、共有します。
可能であれば私の推測も。
メロネア・アーゲインスト
少女たちを誘う森の声か。まるで御伽噺だな。
なるほど。ここがキングアーサーか。
情報は多い方が良い。
森の性質、少女たちの特徴。
森のクロノヴェーダにが関わる情報もあればなお良いな。
少女たちのことは両親に、森に関わることは…木こりなど森に携わる仕事をしている者…あるいは村長など、古くから村を知るものに聞くとしよう。
森を警戒していたのなら、恐らく初めての事ではないだろう。
予測出来ている被害者を救うのは当然だが、それ以上のなにかを出来るなら、私は力を惜しまない。
フ、本来なら見合う報酬が欲しいところだが、特別だ。
この村の特産の菓子でも、後で振る舞ってもらえればそれで良い。
●
妖精郷に降り立って初めに感じたのは、森の澄み切った空気。深い土の匂い。
村には木や石を使った家が並び、人々の衣服や道具さえ自然の素材を感じさせずにはいない。
この村はドラゴンに襲撃された村々に近いが、直接は襲撃されていないのだ。
「なるほど。ここがキングアーサー……妖精郷か」
視線を巡らせるメロネア・アーゲインスト(白紙のメロネア・g02661)は普段通りの無表情で、その内心は窺い知れない。
「ファンタジーゲームの中みたい」
支倉・珠(赤盾・g04907)はゲーマーらしい率直な感想を漏らす。
「きっと素朴で穏やかな村……なんでしょうね」
「ああ。このような事態でなければな」
今、行方不明事件のために、村は喧騒に包まれていた。
「少女達を誘う森の声か。まるで御伽噺だが」
「ここでなら、そんな事件が起きるのも不思議はない気がします。
――さあ、行きましょう、まずは地固め、というやつです」
2人は村の門を潜り、事件解決の第一歩を踏み出す。
近隣の住民でさえない、見知らぬ人々が村を訪れる。村人はすぐに、その意味する所を理解した。
「あなた方は森を越えて旅する力がおありなのですね!」
今は来訪者の出自など気にする余裕もないらしい。ディアボロス達が行方不明者の捜索を申し出ると、藁にも縋る思いの村人達はありがたがった。
「まず森に詳しい仕事の方、例えば樵や狩人、薬師さんから話をお聞きしたいのですが」
「それから、行方不明の2人に近しい者……出来れば家族の話も伺いたい」
珠とメロネアの希望はすぐに叶えられ、2人は聞き取りを開始した。
●
「森に詳しいと言っても、我々も深部へ入ることはありませんが……」
人間の樵とエルフの薬師に、解ることだけで構わないから、と質問していく。
「この辺りの森に特有の性質などはありますか?」
「何種か、不思議な植物があります。
踏むと上に乗った者ごと回転して方向を解らなくする『クルリ茸』、貯め込んだ雨水で霧を作って幻を見せる『目隠しの木』に、甘い香りの花粉を吸うと意識が朦朧とする『催眠妖花』……」
「何か対処法はあるだろうか?」
「ええと、どの植物も一度ギミックが働くとしばらくは無力化されます。だから先に見つけられれば石なんかで遠くから刺激して、仕掛けを空振りさせてやるくらいでしょうか……。
クルリ茸は枯葉の下なんかに隠れている、平べったい土色のキノコ。目隠しの木は葉がお椀みたいな形に常に茂っていて、催眠妖花は花粉を放つ準備に紫の美しい花を開きます」
「意志疎通できる植物もあるんですよね?」
「ええ。森の植物の中には言葉を話し、自由に動けるものもいます。この村では彼等の領域、いわゆる森の迷宮まで踏み入ることはないですが、そういう植物は知恵もあって更に厄介です。
ただ、植物に気に入られた者はむしろ助けて貰えるという話もありますが……」
「森に住むクロノヴェーダについて、何か知っていることは?」
「森の魔女のことですか? 我々を守ってくれるものだと伝えられています」
「ざっくりとしたものでいいですから、地図はありますか?」
「村近辺の地図ならありますが、地図を作れるくらいの範囲はもう探してしまいました……」
「忌み地というか、立ち入りを禁止されているような場所は?」
「立ち入らないというのであれば、森の深部は全てそうです」
●
「お願いです。リルリルとミミルを探してあげて下さい」
行方不明の2人の親兄弟の中で、冷静な者が質問に答えてくれた。その彼等にも、憔悴の色は見える。
「任せて下さい。――まず、2人の特徴は?」
「金の髪をふたつ結びにしているのがリルリル、銀のショートヘアがミミルです。
背格好はこのくらい、服は……」
家族達は外見の特徴を伝えた後、続ける。
「2人は大変に仲のいい親友で、両方とも御伽噺や伝説を愛好し、知らない物語などを聞くと目を輝かせて続きをせがむんです。
それだけに、森の恐ろしい言い伝えもよく知っていました。不用意に森の深部へ向かうなんて考えられません……」
「なるほど」
メロネアは念の為、村人が知っている物語の種類を確かめてみたが、この村の人々は外の世界の物語をほぼ知らなかった。
外界の人間が知る物語は、何であれ少女達の興味を引くだろう。
「過去に、似たような事件が起きたことは?」
「いいえ。若者が急に姿を消すなんて話は聞きません……」
「2人が何か特別に狙われるような心当たりはないですか? 例えば変な物を拾っただとか」
「ううん、特に思い当たるようなことは……」
「2人が森へ入ったとして、方角などの見当はつくだろうか?」
「何とも……。ただ、村を出て東へ向かう人影を見たって話があるんです。普段使われない東の木戸を開ける音を聞いて見に行ったら、森の中に遠ざかる人影があったとか。その時は見間違いかと思ったらしいですが……」
「ふむ。後で確かめに行ってみよう」
後にメロネア達が確かめた所、土埃を被った木戸には新しい手の跡があり、湿った森の地面を東へ向かう足跡を見つけた。
「真っ直ぐに東へ進んでいるみたいですね」
珠は手がかりとなる足跡を観察して、言った。
●
「あなた方は森を警戒しているようだが、何か私達に出来ることはないかな?
行方不明の2人を救うのは当然だが、それ以上のなにかを出来るなら、助力を惜しまないつもりだ」
聞き取りを終え、村人達にメロネアは問う。
「ありがとう、旅の方。……森は恐ろしいですが、恵みも齎します。私達の生活も森があってのこと」
「今はただ、あの2人が無事に戻ってくれたらそれで……。助けて下さったら、どんなお礼でも致します」
村人の答えに、メロネアは少しだけ口元を緩めた。
「フ、本来なら見合う報酬が欲しいところだが、特別だ。
この村の特産の菓子でも、後で振る舞ってもらえればそれで良い」
「そんなことでいいの? じゃあ僕、ベリーを沢山摘んでくるよ!」
「ナッツとベリーのパンを焼くわ!」
「ああ、それは楽しみだ」
子供達に鹿爪らしく頷くメロネア。その陰で。
「私はお金になりそうな薬草でも教えて頂ければ……」
珠はこっそり薬師に交渉を始めているのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
小保方・星空
エルフのディアボロスがいない理由…。
逆に言うと、ディアボロスになった種族はなぜなれたのか、ってこと??
妖精郷の人たちに話を聞きに行きます。
歴史が好きなのでそういうことに興味があるんです、という格好で。(【歴史知識】使用)
内容は、まずは基本的なところから?
エルフさんたちってどういう種族なのか。
耳が長くて、レジェンドウィザードのような魔法や妖精騎士のような剣技が使えたり?
あと、寿命が長い?他には?
それに、エルフさんたちの伝承とか、妖精郷とエルフさんたちの関係?
エルフさんたちの前では言いませんが、個人的にはブルームウィッチが妖精郷を守るのはなぜなのかが知りたいです。
仲間とは協力します。
シャムロック・クローバー
ディアボロス、特に現代で覚醒するのには、クロノヴェーダへ『怒り』の感情が要になるのよね。
クロノヴェーダの手に落ちつつも抗ってディアボロスとなったって種族もいるし。
エルフたちも、今回みたいな強引なクロノヴェーダ化に怒り抗えば、ディアボロスとして覚醒していたんじゃないかしら。
……実際、怒ったりするのかしら?
エルフって長命だって聞くけど、長い人生を歩む分、感情の起伏が穏やかだったり……とか?
あるいは森に生きるってイメージがあるし、自然の流れに身を任せて、いちいち腹を立てたりしない……とか?
エルフって種族の性格や性分の傾向を、本人たちや、普通の人間もいれば彼らから見てどんな印象か、尋ねてみましょう。
●
珠達が調査を始めたのと同じ頃。
「エルフのディアボロスがいない理由、ですか」
「どうしてなのかしら?」
微妙に硬い表情の小保方・星空(人間の時間神官・g03546)と、表情に子供っぽさを残すシャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)は別件の調査の為、顔を見合わせて考え込んでいた。
行方不明事件の解決に繋がりはしないだろうが、これを調べるのも今後の為に重要な筈だ。
エルフ達に直截に「何故ディアボロスがいないのか」と問うても仕方ないだろう。仮説を立て、何を訊くかをまず決めなくてはいけない。
「逆に言うと、ディアボロスになった種族はなぜなれたのか……ってこと? ですよね」
「それなら、ディアボロス、特に現代で覚醒するのには、クロノヴェーダへの『怒り』の感情が要になるのよね。クロノヴェーダの手に落ちつつも、抗ってディアボロスとなったって種族もいるし。
エルフたちも、今回みたいな強引なクロノヴェーダ化に怒り抗えば、ディアボロスとして覚醒していたんじゃないかしら?」
「ということは、エルフさん達は怒りが足りない……?」
「そう。……実際、怒ったりするのかしら?
エルフって長命だって聞くけど、長い人生を歩む分、感情の起伏が穏やかだったり……とか?
あるいは森に生きるってイメージがあるし、自然の流れに身を任せて、いちいち腹を立てたりしない……とか?」
「確かめに行きましょうか」
星空とシャムロックは連れ立って、村人に聞き込みを開始した。
「エルフは怒りにくかったり、しないかしら?」
2人の質問に答えてくれたのは、物知りだという村の老人達……種族はエルフも人間もいる。
「私等の知り合いの範囲の話じゃが、特別そんな気はしないがのう」
「うう……」
いきなり仮説は砕かれた。
「……こうなったらまず、基本的な所から質問していきましょう。エルフさんはどういう種族なのか。
耳が長くて、魔法や剣技が使えたりしますよね?」
「耳は間違いなく長い。魔法や剣技も、使える者は使えるな」
「あとは、寿命が長い?」
「どうじゃろう。老いる速度は、人間もエルフも同じじゃよ。一生の長さも、そう変わらない……かのう?」
「そうなんですか……」
古老がやや曖昧な言い方なのは、エルフの一生の終え方が特殊だからなのだが、それはまた別の調査で明らかになるだろう。
「他にエルフと人間の差と言えば、エルフは美形が多い気がする、くらいかのう」
さて再び、星空とシャムロックは向き合って考える。
「ディアボロスになる理由は『怒り』。ここまでは間違いない筈だわ」
「もう少し考えてみましょう。その怒りはどういう怒りでしょうか」
「クロノヴェーダに大切なものを奪われた怒りよ。歴史改竄とかいって……」
「歴史、といえば……」
歴史に詳しい星空には、少しひっかかるものがあった。
「私達は、アイルランドの歴史とか、イングランドの歴史は知っていますよね。でも妖精郷という場所の歴史は……?」
「知らないわ。歴史の本に妖精郷っていう項目があったら、とっても楽しいけどね」
シャムロックは想像してにこにこした後、はっと思い当たった。
「……じゃあ、こういうこと? 妖精郷はもともと存在しない歴史だから、クロノヴェーダに歴史を奪われた怒りも生まれなくて、ディアボロスが覚醒しない?」
「そこまで一息に推論を進めていいのか解りませんが、私達の知識に『妖精郷の歴史』が存在しないことが、この場所の特殊な条件かも……?」
「調べてみようか。妖精郷の歴史を」
そういうわけで、2人は再び老人達に訊ねた。
「妖精郷の歴史について、教えて下さい」
「詳しいことは私等も知らないよ。遥か昔から、私等は妖精郷に住んでいる。
ただその前は、世界の様々な場所に別れて暮らしていた住人が、妖精の導きによって妖精郷に移住してきたのだ……という言い伝えもあるのう」
「他には?」
「知らないのう……。
しかし懐かしい。リルリルとミミルも、あんた方のように連れ立って、知らない物語をせがんできたものじゃった。2人が無事じゃとよいが……」
老人達は行方不明の少女を心配し始めた。そろそろエルフを探しに森に入る頃合いかも知れない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
一ノ瀬・綾音
綾音ちゃん、ドラゴンたちが気になるな。
なんかドラゴン達の行動って的を射てないようで射ている気がするんだ。
なんとなく、ほっておくとジリ貧になりそうだから拠点情報はつかみたいね。
現実化【翼】で【飛翔】して拠点がありそうな方角の空中へ。
『記憶術』『情報収集』で自分の通った場所の地形を運命変転録にまとめておくよ。書かれたページは後で破って提供して情報共有する。
うーん、もう少し情報集めたいけどとりあえずこの辺かな。
エルフの方が一番気になるしね、お忍びでの寄り道はほどほどにしておこう。
●
「綾音ちゃん、ドラゴン達が気になるな」
一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)は考える。
(「なんかドラゴン達の行動って、的を射てないようで射ている気がするんだよねー」)
クロノヴェーダ達が何をどこまで考えているのか、その手の内は現状ほとんど見えていない。警戒するに越したことはないだろう。
(「なんとなくだけど、ほっておくとジリ貧になりそう。だから拠点情報はつかみたいね」)
妖精郷の村々を襲ったドラゴン達がどの方角からやって来たのか、その情報は先の事件に関わったディアボロスによって集められている。
綾音は飛翔効果で高く舞い上がり、その方角へ向けて飛び立った。
空から見て解ること。妖精郷はほとんどが森に覆われている。
「あ、あそこに集落を発見、と。ここに川が流れてて、距離は大体……」
それでも時々現れるランドマークを見落とさず記憶し、煌めきの羽ペンで運命変転録にスケッチしていく。
そんな地道な作業を続けながら、しばらく進んだ頃……。
「!」
変化は目に見えて現れた。視界の先で、ずっと続いていた緑の森が途切れているのだ。
その向こうはぼんやりとしか視認できないが、土の色が見えている気がする。
(「うーん……もう少し情報集めたいけど、これ以上は危ないかな」)
綾音は考える。森の途切れた先がドラゴンの領域だとしたら、近づき過ぎるのは危険だろう。
(「エルフの方が気になるしね、お忍びでの寄り道はほどほどにしておこう」)
綾音は高度を下げ、来た方向へ引き返した。この調査によって、ドラゴン拠点の位置に関する情報の精度も上がるだろう。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
●
情報収集を終えたディアボロス達は、発見した足跡を辿って村の外へ進んだ。草や枝を踏み折って進んだ形跡は続き、やがて……。
「やって来た、やって来た」
「誰も近づかせるなってお達しだぞ」
「でも、彼等はエルフを助けに来たんじゃなくて?」
「無駄だ。誰であろうと、ブルームウィッチには勝てやせん」
ひそひそ声が聞こえる。知恵を持ち、動き回る植物達の領域、森の迷宮に踏み入ったのだ。
時先案内人が語った情報によれば、エルフに同情的な植物達もいるようだが……?
小保方・星空
知らない物語をせがむ…。ちょっと親近感がわく人たち。
見つけて、無事に連れ戻さないと。
「こんにちは。わたしたちと、お話してくれない?」
わたしたちもドラゴンと戦っていること。
妖精郷やエルフさんたちを守りたいと思っていること。
リルリルとミミルが物語が好きなこと。もっとたくさんの物語を知って欲しいこと。
植物さんたちにリルリルとミミルを助けたいと思っていることを話し、彼女たちのいる所へ通してもらえるようお願いします。
仲間とは協力します。
月下部・小雪
リルリルさんとミミルさんを探しに出発、です。
仲間のディアボロスに聞いた自然のトラップに要注意ですね。クルリ茸はグルグル回ると気持ちも悪くなりそう、です。
東に向かった足跡をたどって追跡開始、です。
途中で拾った細長い木の棒で目の前をトントンと叩きながら移動すればクルリ茸には引っかからないはず、です。
周りもよく「観察」しながら進んで、目隠しの木や催眠妖花があれば「念動力」で周りの物をぶつけて刺激を与えちゃいますね。
ふぅ、結構進んできました。念のため「パラドクス通信」で一緒にきた人がリルリルさん達と見つけてないか確認しましょう。
※アドリブや連携も大歓迎
シャムロック・クローバー
大変な時に話を聞かせてくれたんだもの、そのお礼はしないとね。
それに身近な人がいなくなってしまった時の気持ちは、種族が違ってもきっと同じ。
捜索隊、出発よ!
不思議植物の対処は他の人に任せて……あ、でもなるべく優しくしてあげて。
こういう植物が、外部から妖精郷を守ってくれているのかも(でも同時に、妖精郷を森に閉じ込めてもいるのかしら……?)
リルリルとミミルのこと、植物たちに呼びかけてみましょう。
あの二人を早く無事に帰してあげなくちゃ。
二人はもちろん、村の人たちもみんな心配していて、かわいそうなの。
このままじゃ妖精郷全体が悲しみに包まれたまま。
憂いを晴らすためにも、二人の場所へ連れて行ってちょうだい。
一ノ瀬・綾音
じゃあリルリルとミミルを助けに行こうか。
ドラゴンも気になるけどね。
【パラドクス通信】で仲間と情報の共有をしつつ、東へ追跡するよ。
なるべく罠となる植物でも傷つけないようにする。自分たちが踏み荒らす敵と思われたら嫌だからね。
霧や花粉が出たら『風使い』で軽く吹き飛ばす。枯葉も軽く吹き飛ばしてクルリ茸がないか確認、踏まないように注意。【飛翔】【エアライド】も使って足元の植物とかを傷つけないように。
同時に植物たちに呼びかけよう。
ねえ、綾音ちゃんたちエルフを探しに来たんだ。
綾音ちゃんたちはドラゴンを退治しているし、その鍵がエルフにあると思う。だからエルフを助けたい。
どうか綾音ちゃん達を助けてくれないかな?
●
陽光を遮る木々の下でも、残留効果の照明によってディアボロスの周囲は明るい。
その明かりの中を、小保方・星空(人間の時間神官・g03546)は進み出た。
「こんにちは。わたし達と、お話してくれない?」
なるべく柔らかい表情を作って、植物達に呼びかける。
「話すことはない……」
「立ち去りなさい……」
植物の中の、頑固な者達はにべもない。が、星空は諦めずに続けた。
「少しでもいいから、聞いて。わたし達、森に迷い込んだエルフの女の子を探しに来たの」
「エルフだって……」
「やっぱりそうだ」
同情的な植物達は囁き合うが、頑固な植物達の声がそれをかき消した。
「森の魔女は戦力としてエルフを求めているのだ。帰せない!」
「ドラゴンと戦っているのは、わたし達も同じ。そしてただ戦うだけじゃなく、妖精郷やエルフさんたちを守りたいと思っているの」
星空の言葉に、一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)も続く。
「そうなんだよ。綾音ちゃん達はドラゴンを退治しているし、その鍵がエルフにあると思う。だからエルフを助けたいんだ。
どうか通してくれないかな?」
「外敵との戦いは、森の魔女の仕事。魔女に任せればいい……」
植物達の反応は思わしくないが、星空は何とか説得を続ける。
●
一方、工夫して迷宮を抜けようとするのは月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)だ。
「なるべく優しくしてあげて……?」
お願いするシャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)に、
「はい。もちろん、です」
と頷いて、木の棒で辺りを探る。
「クルリ茸……グルグル回ると気持ちも悪くなって大変、です」
木の葉を除けられ、木の棒でトントンされた茸は、
「見つかったー」
と、ひとり虚しく回転した。
「それから、雨水を貯めた木や、紫の蕾の花には……えいっ」
念動力でそれらを遠くからつついてやれば、
「わっ、誰かいる!?」
と、刺激に反応してギミックを空振りさせてしまった。
「上手いものね!」
シャムロックの感嘆の声に、モーラットのコダマもフードの中でご満悦。
ここに辿りつくまでにも、小雪は観察力と植物知識で罠のある植物を発見し、これらの方法で切り抜けて来たのだ。
――しかし、相手が普通の植物だった時には上手くいったものの、知恵ある植物にはやがて通じなくなった。
クルリ茸は別として、目隠しの木と催眠妖花は仲間から「誰もいないぞ、騙されるな!」と教えられ、罠を空振りさせることがなくなってしまった。
「どうしましょう。このままだと、霧と花粉で先に進めない、です」
「うーん。風さえあれば吹き散らせるんだけどなー」
困惑する小雪の横で、綾音もまた考え込む。
綾音の【風使い】の技能をもってしても、無風の場所に風を起こすことは出来ない。
パラドクスで起こす風を操るか、自然の風が必要だが、遮るものだらけの森の迷宮では十分な風が吹いて来ないのだった。
「さっき空を飛んだ時、森の上なら風が吹いていたんだよ。でも上に出ると森の中が見えなくなるし、分厚い木の葉に遮ぎられて、風を森の中まで届かせられないよね」
綾音の話を聞いて、小雪は申し出た。
「あの、それならボク、何とか出来るかも、です」
「どうするの?」
「こう、です……」
小雪は両手を掲げ、念動力で頭上の木の葉をかき分ける。
「何だ何だ? 閉じられないぞ!」
木々は驚き、緑の天蓋に開いた穴からは光が降り注いだ。
「押さえておきます、から、はやく……」
「ありがとうね。綾音ちゃん、行って来るよ!」
綾音は小雪が作った開口部から、青空めがけて飛翔した。
森の上に出ると、手足を広げて大気のうねりを全身に受け止める。
「風よ、力を貸して」
吹き過ぎようとする風を導き、操って、開口部から森の中へと吹き下ろした。
「わあ、今度は何が起きた!?」
またも驚く植物達。吹き下ろしてきた風が森の中を駆け巡る。
「今のうちね!」
シャムロックは少しだけ飛翔を使い、密集隊形となって道を阻むクルリ茸群を飛び越えて、進む。
木と花の群生からは霧と花粉が放たれたが、上から送られ続ける風量によって吹き払われ、シャムロックを止めることは出来なかった。
「どうだった?」
「上手くいったみたい、です」
「ええ。こんなに進んだわよ」
風が止んで綾音が小雪の下に降りて来た時、シャムロックは2人からかなり離れた地点まで踏破していた。
「そんな、我等の森の罠が……」
「不思議な力の持ち主だ……」
頑固だった植物達は、すっかり自信を失った様子。
「これで森の魔女への言い訳も立つ……」
「この人達にエルフを助けて貰おうよ……」
萎れた頑固者に変わって、エルフに同情する者の声が大きくなって来たようだ。
「そう。わたし達を止めようとしても無駄よ。それより、手助けしてくれない?」
シャムロックは提案した。今の方法を何度も続けて森を進むより、そちらの方が楽で迅速だろう。
●
「それでね……リルリルとミミルは、物語を聞かせて欲しいってせがむんだって。わたしも少し、親近感が湧いたんだ」
「うん……うん……」
「2人はまだ、年も若いんでしょう? これからもっと沢山の物語を知って、仲良く楽しい時間を過ごしていた筈。それが無くなってしまうなんて……きっと心の中では悲しんでいるよ。話を聞いただけのわたしでも、悲しくなるんだから」
「そうだ。そうだ」
「しくしく……」
星空は村人から聞き知ったエルフ達の身の上を、物語り続けていた。同情的な植物の声は次第次第に大きくなり――そして小雪達が森の罠を破って見せたことで、反対派の声も聞こえなくなった。
「ね、あの2人を早く無事に帰してあげなくちゃ」
シャムロックも星空の説得を後押しする。
「2人はもちろん、村の人達もみんな心配していて、かわいそうなの。わたしは見て来たわ。
このままじゃ、あの村はずっと悲しみに包まれたままよ。憂いを晴らすためにも、わたし達を2人の場所へ案内してちょうだい」
「ああ、ああ。そうしよう」
「ただし……ブルームウィッチには秘密だよ」
植物達はそこでぴたりと囁きを止め――静かに身を寄せて、一筋の道を描き出した。ここを辿ればエルフの下へ向かえるのだろう。
「話を聞いてくれてよかったです。村の人達も、はやく安心させてあげたいですね」
「ええ。大変な時に話を聞かせてくれたんだもの、そのお礼はしないとね。
それに身近な人がいなくなってしまった時の気持ちは、どんな種族でもきっと同じだし。
……さあ、捜索隊、再出発よ!」
「はい、です」
「気を抜かずに行くよー」
ディアボロス達は示された道を進み、森の迷宮を踏破した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【照明】がLV2になった!
【パラドクス通信】LV2が発生!
【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ダブル】LV1が発生!
●
「部外者が、一体どうやってここまで入り込んだのか……」
森を抜けた先は、また森。木と蔦に囲まれた広場に、花の魔女は立っていた。
「ですが、ちょうどよかった。出来を試すとしましょう。生まれ変わったばかりの兵士達の、ね」
ブルームウィッチが鞭を振るうと、それに応えて蔦の獣が吠え、飛び立つ。
唸りを上げて空中を駆け回る、その2頭の獣こそ、姿を変えられた2人のエルフなのだ。
「さあ、彼等の血肉を森の養分に変えてあげなさい」
魔女の命令に従い、ヴァインビーストがディアボロスに襲いかかる!
小保方・星空
見つけた、リルリル、ミミル。
きっと元に戻して、連れて帰る。
二人を説得します。
「リルリル、ミミル、聞こえる?村の人たちに頼まれて、あなたたちを助けにきたの」
「あなたたちは、物語が好き。まだ、もっと色んな物語を知りたいでしょう?だから、お願い戻ってきて」
そうして、お話を語ってみます。
イギリスの、アイルランドの?それとも新宿島の。(【歴史知識】使用)
他には、二人が落とした詩集を見つけて、それを読んでみるのもいいかもしれませんが…。
説得が成功したら、リドルウェーブで攻撃をします。
「たま、お願い」
仲間とは協力します。
シャムロック・クローバー
あれがこの森の魔女・ブルームウィッチ……!?
まるで猛獣使いみたいに偉そうね。
でもあのヴァインビーストは猛獣じゃなくて、いたいけなエルフの女の子達よ。
絶対に連れ戻すんだから!
まずは意識を取り戻してもらうために、二人に呼びかけなくちゃ。
リルリル! ミミル! まだ消えてないわよね!?
あなた達を助けるために、わたし達は森の外から来たの。
みんな心配してるし、一緒に村へ戻りましょう。
戻ったら外の世界の話も聞かせてあげるわ。
何がいいかな、『海』とか『砂漠』とかの話はどう?
二人の息吹が感じられたら、
パラドクス【魔女のプランターポーション】でクロノヴェーダ化を阻止。
効いて、わたしのお薬!
二人を元の姿に戻して!!
月下部・小雪
ひ、ひどいです。好きなことを忘れて、勝手に兵士に変えられて、こ、こんなの絶対に許せません。
リルリルさんとミミルさんを元に戻してください。
魔力障壁で攻撃を防ぎながらリルリルさん、ミミルさんに呼びかけます。
き、気をしっかりもってください。お父さんもお母さんも、兄弟もみんな心配、してます。
そ、それに二人が知らないお話もまだまだいっぱいあります。
桃太郎さんとか日本の昔話、聞きたく、ないですか?それくらいならボクでもお話できます!
なんとか意識を取り戻してもらえたら、今がチャンス、です!
【サドンモーラット】で隠れていてもらっていたコダマに不意打ちで体当たり攻撃をしてもらいます!
※アドリブや連携も大歓迎
●
森の深部は植物達の世界だ。吸い込む空気は澄んだ香気がいよいよ強く、踏みしめる足下の草さえ蠢いている。
ざわめく濃緑の世界の中でひときわ鮮やかに、傲然とこちらを見下ろすのは森の魔女。
「あなたがこの森の魔女・ブルームウィッチ……!? まるで猛獣使いみたいに偉そうね」
シャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)は、その魔女に負けじと腰に手を当てて睨み返した。
「猛獣? そのような生易しいものではありません、森の眷属は。すぐに不届き者を八つ裂きにするでしょう」
魔女が指揮者の如く鞭を振るうたび、蔦の獣達は吠え猛る。その鳴き声は森に轟いて、草や葉をぶるぶると震わせたが。
「何だか悲しんでいるみたい……」
「はい。苦しそう、です」
事情を知る小保方・星空(人間の時間神官・g03546)と月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)は声の内に、助けを求める少女達の意志を感じ取ったのだった。
「ひ、ひどいです。2人は好きなことを忘れて、勝手に兵士に変えられて……こ、こんなの絶対に許せません。
――リルリルさんとミミルさんを、元に戻してください」
勇気を持って、小雪も魔女を睨み返した。
「この子達は生まれ変わったのです。もうエルフになど戻るものですか」
「……いいえ。ここまで探しに来て、やっと見つけたんです。リルリル、ミミル、きっと元に戻して、連れて帰る」
「そうよ。あの子達は森の魔女の兵士じゃない、いたいけなエルフの女の子。絶対に連れ戻すんだから!」
星空とシャムロックは決意を込めて、迫る獣に対峙する。
復讐者は諦めない。
「リルリル、ミミル、わたし達の声が聞こえる?」
「リルリル! ミミル! まだ消えてないわよね!?
あなた達を助けるために、わたし達は森の外から来たのよ!」
「き、気をしっかりもってください。お父さんもお母さんも、兄弟もみんな心配、してます」
ビーストの攻撃にさらされながらも、何度も呼びかける。
「こんな攻撃ぐらい、平気よ……!」
「まだどうにか防げ、ます」
幸い、無理に変化させられたばかりのヴァインビーストのパラドクスは、トループス級の中でも更に弱かった。小雪の魔力障壁が蔦の攻撃を押し止め、星空は残像を残して牙を掻い潜る。
「あれがどこかに落ちている筈……あった!」
身を躱しながら、星空は草の中を探し――そして見つけた。エルフ達が催眠で操られながらも、ここまで手放さなかったお気に入りの詩集。
「2人とも思い出して。あなた達は物語が好きな、ただのエルフの女の子だって。
まだ、もっと色んな物語を知りたいでしょう? だからお願い、戻ってきて」
拾いあげた詩集を掲げる星空を前に、ヴァインビーストの動きがやや鈍くなった気がした。
「ふ、2人が知らないお話も、まだまだいっぱいあります。
桃太郎さんとか日本の昔話、聞きたく、ないですか? それくらいなら、ボクでもお話できます!」
「一緒に村に戻ったら、あなた達が知らない外の世界の話も聞かせてあげる。何がいいかな、『海』とか『砂漠』とかの話はどう?」
小雪もシャムロックも、すかさず畳みかける。駆け回るビーストの足が鈍り、蔦は迷うように宙をさ迷い始めた。
復讐者は物語る。
「お、お婆さんが川で洗濯していると、大きな桃が流れて来たん、です。どんぶらこ、どんぶらこ、と……」
「海っていうのは、見渡す限り一面の水なの。潮の匂いに波の音」
「物語に名前を残す、海を冒険した船乗りと海賊のお話は……」
今や獣達は宙を駆けず、地に足を着いて復讐者を囲んでいた。
「グ、グ、ギィ……」
「え?」
「グ……づき、ギかせて……」
「それガら、ドうダるの……?」
唸り声に混じって、少女の高い声が聞こえる。
「話が出来るの?」
「お、思い出しました、か?」
「あなた達の名前は!?」
復讐者の呼びかけに、初めて2人は明確に頷いた。そしてたどたどしくも名前を答える。リルリル、ミミル、と。
「やっと思い出してくれたわ!」
「よかった、です。やりました、ね」
シャムロックと小雪が喜びの声を上げ、
「2人とも、少しじっとしていてね。すぐ元に戻してあげる」
星空は2人を怖がらせないよう説明した。
「たま、お願い」
「コダマ。今がその時、です」
「効いて、わたしのお薬! 2人を元の姿に戻して!!」
スフィンクスは翼を広げ、惑わしの光を放ち。
モーラットは草陰からぴょこんと跳び出して体当たり。
そして秘伝の調合の水薬が、絡みつく蔦を溶かし……パラドクスの力によって蔦が解れ、崩れ去った後、残されたのは2人の少女。
ディアボロスが見守る中で、金と銀の髪のエルフはすやすやと寝息を立てていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】がLV3になった!
【植物活性】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
●
「ここまで使えないとは……」
花の魔女が嘆息を漏らした。
「ですが、どうにか時間は稼げましたね」
気がつけば、ざわざわという森の蠢きは更に大きくなっている。
太い枝や蔦が復讐者を閉じ込める檻のように頭上を覆い、高く飛ぶ者を邪魔するべく伸びる。目隠しの木と催眠妖花は広場を囲うように集まって来ていた。草むらでカサカサ音を立てるのは、這い回るクルリ茸だろう。
ディアボロスがエルフの説得に集中している間、魔女は植物達に命令して戦場を整えていたのだ。
「ごめんよ、ごめんよ」
「森の魔女には逆らえぬ」
「せめてこの子達は安全な場所へ……」
申し訳なさそうな植物達は蔦を伸ばし、リルリルとミミルを広場の外まで退避させた。
「あなた達を始末してからもう一度、エルフを作り変えれば問題は無し。2度も生まれ変わるなんて、素敵な体験でしょうね」
魔女は残忍な微笑みを浮かべた。その姿が、目隠しの木から漂う霧の幻像によっていくつも複製されていく……。
弔焼月・咲菜
ドラゴンに対抗するためにエルフを兵器とするか……忌々しいな、反吐をする気も失せるってものさね。
【飛翔】の効果を利用して一気に接近し、顔面に強力な一撃を叩き込む。
魔弓や竜巻は確かに厄介だが…良く見て対処すればどうと言うことはないな。
鞭を振り回して竜巻を作ってくるようなら、逆に鞭に掴みかかってそのまま引きちぎる。竜巻を作らせなければこっちのもんだ。
苦痛を存分に堪能してからで逝けよ。
他人を兵に作り替えて、自分1人で向かって来る勇気すらねぇか。…とんだ糞野郎じゃないか。
●
クロノヴェーダへの怒りが燃えている。
「エルフを兵器に、か……忌々しくて反吐も出ねぇぜ」
「だったら、どうします?」
「これで黙らせてやるさ」
弔焼月・咲菜(葬送の復讐鬼・g01723)は拳を燃え上がらせ、低空を飛翔して魔女を追う。
「魔弓よ!」
魔女は新緑の弾丸で咲菜を迎え撃った。眼前に迫る弾はとても避けられる速さではなかったが。
「よく見てさえいれば、対処は出来る」
咲菜は目を背けずに見据えて対処した。弾が自分のどこに当たるか選んだのだ。
敵を捉える目と、殴り抜く右拳。そこさえ無事ならばいい。
「それ以外ならどうということはない……!」
味方が残した残留効果が能力を上げ、ダメージを和らげてくれる。
魔力弾を受けた肩から、胴から、血飛沫をあげながら、咲菜は飛翔を止めなかった。
「しぶといですね……」
遂に魔女に迫った咲菜だったが、魔女は霧の中に身を退き、自分の幻影達に紛れてしまった。
「他人に自分を守らせて、矢面にも立てねえか……」
尋常の戦いであれば、拳を当てられた筈がない。
だがこの時は咲菜にしか見えない光が道筋を示し、敵の位置を教えてくれた。
まだ弱く稀にしか働かない残留効果が、ここで働いたのだ。
「はあっ!」
赤熱の拳を振り抜く瞬間、催眠妖花の花粉が意識を朦朧とさせる。それで拳は敵を掠めるに止まった。
しかしその熱量は、掠っただけでも魔女に炎を燃え移らせる。
「くっ……なぜ見えたのです!?」
苦悶の声を上げるクロノヴェーダ。
「ハッ。糞野郎は見逃さねえのさ……」
こちらも流血の咲菜はふらつきながら答える。魔女に与えたダメージに加えて、今の立ち回りで罠を発動させた分、続く仲間はいくらか楽になるだろう。
成功🔵🔵🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
小保方・星空
もう一度、リルリルとミミルをヴァインビーストになんて、させない。
…ねえ、あなたも、生まれ変わってブルームウィッチに、なったの?
戦闘、しますがその前に。
ブルームウィッチの周りの、クルリ茸と目隠しの木と催眠妖花。
クルリ茸は、【飛翔】で低空飛行していれば踏まなくて済みそう。
残りの二つは…、目隠しの木が貯めた水で催眠妖花の花粉を湿らせる、とか?【トラップ生成】?
他にはブルームウィッチのウィップトルネードで霧や花粉の薄くなった所に位置取りする感じでしょうか。
仲間とは協力します。
シャムロック・クローバー
よかった、二人は無事ね!
……って、わたし達があまり無事じゃないわね!?
とはいえ植物たちのことも単純には責められないし、せめて花の魔女を倒すまでの間はエルフの二人を任せたわ!
戦闘中にうっかり踏んだり散らしたりしても怒らないでよね。
あとで【植物活性】の残留効果を発動させて、若い芽がすぐ生えるようにしてあげるから。
ということで、ブルームウィッチ!
元々あなたをぶっ倒すつもりで来たのよ、囲われたくらいじゃビビらないんだから!
でも森の中じゃ地の利はあっち……そうだ!
相手は植物なんだから、気温の変化に弱いんじゃない?
冬はお花も枯れちゃうし……ってことで、【アイスエイジブリザード】!
このまま殴りに行くわよ!
月下部・小雪
植物さん達はリルリルさんとミミルさんを心配してくれてたし、わ、悪い人達じゃありません。
この場で悪いのはあの、森の魔女さんだけ、です!
そ、そっちが植物さんのトラップならこっちもトラップでお返し、です。
残留効果の【トラップ生成】で草を結んだブービートラップをいっぱい作ります。
幻像はトラップには引っかからないはずだから、トラップを避けようとしたのが本体のはず、です!
本体を見つけたら、【百モラ夜行】で分身したコダマに飛び乗って突撃です!
クルリ茸を踏んじゃっても周りのコダマの後について進めば影響はありません!
※アドリブや連携も大歓迎
●
「よかったわ、二人が無事で!
……って、わたし達はあまり無事じゃないわね!?」
安心も束の間、シャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)は自分達の置かれた状況に驚いた。魔女を有利にする森の罠がそこかしこで蠢いているのだ。
「すまぬのう……」
「仕方ないんだ……」
謝る植物達に、シャムロックは首を振る。
「ううん。単純にあなた達を責めることも出来ないわ。せめてあの魔女を倒すまで、リルリルとミミルをよろしくね」
わかった、というようにざわめく植物達。
「そう、です。植物さん達はリルリルさんとミミルさんを心配してくれてたし、今も匿ってくれます。わ、悪い人達じゃありません。
この場で悪いのはあの、森の魔女さんだけ、です!」
「もう一度、リルリルとミミルをヴァインビーストになんて、させない……!」
月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)とコダマ、小保方・星空(人間の時間神官・g03546)とたまは、植物の奥に守られるブルームウィッチを睨んだ。
「ということで、ブルームウィッチ!
元々あなたをぶっ倒すつもりで来たのよ、囲われたくらいじゃビビらないんだから!」
「そうですか。最早私も油断はしません……どうぞ向かって来てご覧なさい」
挑発的なシャムロックに対し、ブルームウィッチは警戒を緩めず反撃の構えを見せるのだった。
「あっちは地の利を生かすつもりかしら」
互いにじっと睨みあい続ける中で、シャムロックが呟いた。
「ボク達を罠に踏み込ませてから、反撃、するつもり、です」
小雪はそれならこちらも、と何かを準備している。
「こちらから戦闘を仕掛ける、しかありませんね。ですがその前に……」
星空はシャムロックと小雪に耳打ちし、罠を突破するための算段をつけた。
「まず、低空を飛翔することでクルリ茸は飛び越えられます」
「ひとつクリアね」
星空とシャムロックは敢えて距離を詰めにかかる。
「さあ、目隠しの木よ……」
魔女は霧の幻像の中へ紛れ込むが。
「どれが本物か解らないなら、全部を殴ればいいわ! アイスエイジブリザード!」
シャムロックのウィザードロッドから放たれるは凍てつく吹雪。先の戦いで数を減らしていた幻影は次々に砕け散り、冷気を浴びた本物だけが残される。
「またひとつクリアです。さあ、たま!」
「ええい……妖花達!」
リドルウェーブの構えを見せる星空。霜に凍てつきながらも、魔女は一斉に妖花の花粉を発射させた。
「けほっ! 星空、気をしっかりもって……」
「うう……」
朦朧とする意識の中で、たまは翼を輝かせたが、魔女を直撃することは出来ない。
「ふふ。受けなさい!」
花粉の中のシャムロックと星空に向けて、魔女は鞭を振り抜いた。
生み出された強烈な竜巻は2人を切り裂き、弾き飛ばす。
「痛ぅ……でもこれで!」
シャムロックは飛ばされながらも風使いで竜巻の風を利用、辺り一帯を包む花粉を全て吹き払った。
「全ての罠はクリアされました」
「……何?」
互いに攻防を終え、罠も取り払われた刹那の空隙に。
「コダマ、今、です!」
きゅっきゅっと鳴き声をあげ、怒涛の勢いでやって来たのはモーラット・コミュの大群。そしてその上に乗った小雪であった。
星空とシャムロックが罠を打ち破りながら戦っている間、小雪は2人が作る好機を活かすために待機していた。
そして今、【百モラ夜行】で分身したコダマに乗って突撃して来たのだ。
コダマ達は勢い余って地面を飛び跳ね、クルリ茸を踏んでくるくるしてしまう個体もいたが、群れの勢いに乗ればはぐれることもない。大質量で魔女に迫る。
「何なのです!?」
驚愕したブルームウィッチはモーラットの群れから逃れようと後ずさり――草むらに隠された小さな落とし穴に片足を取られた。睨み合いの時間を利用し、小雪がトラップ作成で用意していたものだ。
「しまった……!」
「わ、罠を使えるのは、あなただけじゃない、です……!」
体勢を崩した魔女に、モーラットの大群が激突し、蹂躙し、圧し潰した。
――モーラットの大群により、戦いは終わった。倒れたブルームウィッチに最早立ち上がる力はなく、虫の息なのが誰の目にも明らかだった。
「……ねえ。もしかしてあなたも、生まれ変わってブルームウィッチに、なったの?」
星空は問いかける。エルフが植物型クロノヴェーダに変わるのならば、目の前のこの敵も元は……。
「ふふ。あなたにそんなことを話して……何になります……?」
ブルームウィッチは問いには答えず、力尽きる。星空はどんな顔をしていいか解らず――結局、いつもの硬い表情のままなのだった。
「あなた達、大丈夫だった?」
シャムロックは植物達と語らった。
「ええ、ええ。平気です」
「まさかブルームウィッチを倒してしまうとは……」
ざわめく植物達を眺めて考える。
「(この森はエルフを守っているのかしら、閉じ込めているのかしら……その両方?)」
2人のエルフ、リルリルとミミルは無事に目を覚ました。眠たげな目をこすりこすり、発した第一声は、
「大きな桃がどんぶらこと流れて来て……それからどうしたの?」
「そ、それはです、ね……」
2人を村へ送り届ける間、小雪は物語の続きを語らされるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】がLV4になった!
【使い魔使役】がLV3になった!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【能力値アップ】がLV3になった!