イタリア北部救援作戦
《七曜の戦》で蹂躙戦記イスカンダルに強奪されたイタリア南部は、断頭革命グランダルメから消滅し、海となりました。
攻略旅団の提案により、この海になった地域に近いイタリアの、救援支援に向かう事になりました。
亜人は《七曜の戦》終戦時に蹂躙戦記イスカンダルに戻り、断頭革命グランダルメのクロノヴェーダもこの地域から撤退した為、この地域にはクロノヴェーダの姿は無いようです。
残ったイタリアの都市を巡って、住民と交流を行いつつ、彼らの支援を行ってあげてください。
この救援作戦が成功すれば、イタリアの一般人達は自給自足で生活していく事が可能になる筈です。
黄金実る季節に~北イタリア救援(作者 中村一梟)
#断頭革命グランダルメ
#イタリア北部救援作戦
#イタリア半島
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●混迷のロンバルディア
イタリア北部、ミラノの東方に位置するとある農村。村の広場で人々が顔を突き合わせていた。
「もうすぐ収穫なのに、どうしよう……」
「収穫できたとしても買ってくれる人がいないよ」
「冬支度で色々と入用なのに」
彼らが異常に気づいたのは数日前のことである。収穫を控えたこの時期、例年この村には作物を買い付けにくる都市の商人や収穫作業を目当てにする出稼ぎ労働者がやって来る。だが今年は、そういった人々が誰も訪れていないのだ。
彼らは知らない。ここからはるか南、ローマから先の大地が姿を消してしまったことを。
人々の認識しえない所で世界は激変し、それでも変わらず時は流れ、秋が訪れていた。
●大地断絶
イタリアの地図を片手に、天海・雛子(蒼碧妖瞳のエピシスト・g03175)は復讐者達を待っていた。
「よっす。今回のお仕事は攻略旅団提案の『イタリア北部救援作戦』や」
言いつつ、雛子は地図を広げる。イタリア半島の南半分とパルマが塗りつぶされている。
「断頭革命グランダルメは《七曜の戦》で負け続きやった。南イタリアでは蹂躙戦記イスカンダルに。パリとオーストリア、ブリテン島にオルレアンでディアボロスに」
これらの敗北を受けて、大陸軍は元帥の配置転換を含む再編成を開始している。その過程で、北イタリアからの撤兵が行われたのだ。現在、イタリア北部にクロノヴェーダはいない。
「トループス級まで全部いなくなった完全撤退や。それ自体はええことなんやけど、そのせいで起きた問題もある」
大陸軍の撤退とローマ以南の消失を受けて、イタリア各地で交通と物流が途絶えてしまっているのだという。
元々豊かな地域であったからすぐに死者が出る程の困窮に陥ることはないが、季節が巡って冬になる頃にはより深刻な状態になってしまうことが予想された。
「やから、その辺の場所に手を貸しに行くってことやな」
労働力や物資を提供し、住民達とコミュニケーションを取って不安を解消するのだ。
●イル・ラッコルト
雛子によれば、今回の目的地であるミラノ付近の農村では間もなく稲刈りが始まるという。
「イタリア北部のポー平原は、ヨーロッパじゃ珍しく稲作が行われとるんや。ほら、リゾットとかあるやろ?」
農業の機械化がされていない時代、収穫には多くの人手が必要だ。目下の課題である稲刈りを手伝うことで村人がディアボロス達に心を開き、その他の困りごとについて相談されることもあるだろう。
「いっぺんに全部解決できんくても、クロノヴェーダがおらん今からこつこつやってけば来年には他の村と協力してやっていけるようになると思う」
北イタリアの現状が《七曜の戦》の結果もたらされたものならば、それはディアボロス達と無関係とも言えないだろう。復讐者達が支援した結果奪還が叶ったパルマ公国の例もある。
「クロノヴェーダはもう知らんって北イタリアを見捨てたけど、あたしらは違う。そうやろ?」
リプレイ
ジョルジョ・ストレッポーニ
※連携・アドリブ歓迎
故郷の南イタリアはこれから亜人を叩き出して行くが、北イタリアも素晴らしい歌劇場が多くいつも歌っていた
時代は違えど出来ることはしたい
考えなしに領土を拡げた挙げ句、自分たちより酷い亜人やキマイラにくれてやった腑抜けの大陸軍の居場所などないな
稲刈りの人手の他、冬支度にも困っているようだ
とりあえず【アイテムポケット】で穀類以外の排斥されない保存食の干し肉や魚の塩漬け、オイル漬け、野菜や果物のピクルスなど
冬用の衣類や毛布
現地で使う簡単な農具工具、薪を切る斧を持参
保存食は【口福の伝道者】を借りて増やそう
仲間や住民と稲刈り歌を歌いながら働こう
世間話でも愚痴でも何でも聞いて、後のより良い支援につなげるか
何かしら道具や設備を修理したり、薪を切って来るのも忘れずにだ
他にも必要な仕事があればどんどん手伝っていこう
収穫の後で宴を開くなら、収穫祭を祝う歌や当時の流行り曲、他にも村で好まれてる歌があれば聞いて覚えて一緒に歌おう
私の歌は歌劇場の中だけで歌うものではないしね
稲を刈る村人達が口ずさむ歌が聞こえてくる。先刻まで手伝っていた作業の中ですっかり耳に染み付いたその調べに、ジョルジョ・ストレッポーニ(Il Voce Grande・g10013)は故郷に想いを馳せた。
(「時代は違えど出来ることはしたい」)
亜人共に征服されてしまった南イタリア。古里ではないが馴染みの深い北イタリア。誇るべき素晴らしい舞台の数々はしかし、断絶された時間の向こうにあって立つことが叶わない。
「考えなしに領土を拡げた挙げ句、自分たちより酷い亜人やキマイラにくれてやった腑抜けの大陸軍の居場所などないな」
歌手が口にするには剣呑な呟きがジョルジョの唇からこぼれた。だが今はこれでいい。今の彼は復讐者ディアボロスなのだから。
「ご苦労様でしたな、旅の方」
背後からかけられた声が、ジョルジョを望郷から引き戻した。振り返ればこの村のまとめ役である老爺が立っている。
「聞けば稲刈りだけでなく、干し肉や塩漬けの魚などを皆に分けてくださったとか。慈悲深い貴方に感謝しております」
彼の声音が探るようなものであることを、明敏なジョルジョの耳は聞き取った。促す視線を向けると、老人はやや声を低くする。
「貴方のような人物が田畑しかないこの村を訪れたのは、決して物見遊山が目的ではありますまい。かといって、食べ物を分け与える余裕をお持ちならば日銭目当ての出稼ぎというわけでもないでしょう」
この村は毎年そこそこの量の米が収穫できるとあって決して貧しくはない。だがそれは、獲れた作物を買ってくれる商人がいるからこそ。買い手が現れない現状は、村人達にとって出口のない迷路に入りこんでしまったかのようだ。
「旅の方、貴方は一体……?」
落ち着いてはいるが不安に満ちたその声に、ジョルジョは思っていた以上にこの村には余裕がないのだ、ということに気が付いた。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
●彼らの戸惑い
男と老人が話しているのを遠巻きに眺めながら、数人の村人がひそひそと囁き交わす。
「うまく聞き出してくれるかしら……?」
「少なくとも、あの人が来れたってことは何か戦争とか流行り病があったってことじゃないだろう」
「けど、去年の今頃はミラノからも商人さんが来てくれてたのに……」
「米が売れなきゃ収穫祭どころじゃないぞ」
今何が起こっているか、そしてこの先何が起こるのか。「わからない」という現実が彼らを蝕み始めていた。
梅指・寿
村人達の「わからない」を出来るだけ「わかる」ように上手く説明したいわ。
けれど多少の緊張感は持ってもあんまり怖がらせたくもないのよね…よし、習うより慣れろ、頑張って説明するわ。(自分の両頬を両手でぽんぽんして気合を入れる)
はじめまして、貴方がこの村の代表の方ですね。
私は梅指・寿と言います。
私達はディアボロスという団体で、ミラノよりずっと遠くの所からやってきました。
この村にやってきたのは、この地方に住む人達を戦渦に巻き込まないようにする為です。
驚かないで聞いて頂きたいのですが…
実は先日とても大きな戦いがありました。
とてもとても大きな戦で、ここより南の土地が無くなりました。
もうしばらくしたらどこかの村の人が実際見に行って本当だと確認すると思います。
…どうか慌てないでください。私達ディアボロスはこの地方にいる人達を守りたくて来たのです。
いきなり全て信じろって言うのは難しい話よね…
ですからどうかこの村のお手伝いをさせて下さい、そこから私の話が一考できるか、信じれるかどうか考えて頂けないでしょうか。
(「『わからない』を出来るだけ『わかる』ように説明しなければ……」)
己の頬を数回掌で叩き、梅指・寿(不沈の香・g08851)は疑問を口にする村長の下へと向かう。
「私達はディアボロスという団体で、ミラノよりずっと遠くの所からやってきました。この村にやってきたのは、この地方に住む人達を戦渦に巻き込まないようにする為です」
「……――!?」
沈黙から驚愕、そして混乱へと彼の顔色が変わっていくのを見つつ、寿は言葉を続ける。
「驚かないで聞いて頂きたいのですが……実は先日とても大きな戦いがありました。とてもとても大きな戦で、ここより南の土地が無くなりました」
「な――なくなった?」
老人は目を白黒させる。寿が告げた事実は、彼の想像力をはるかに超えていた。呼吸は浅く多くなり、恐慌という沼に向かって滑り落ちていく。
「……どうか慌てないでください」
緊張感は持っても怖がらせすぎないように、と寿は考えていたのだが、匙加減を誤ったらしい。大きな戦いや大地の消失といった衝撃的な文句だけが老人の心に突き刺さってしまっている。
「私達ディアボロスはこの地方にいる人達を守りたくて来たのです」
「――守る? 何から? 大陸軍がいるではありませんか」
そして、老爺が縋りついたのはクロノヴェーダだった。人形皇帝ナポレオンとその軍隊が敷いていた盤石な支配体制はもはや過去のものだったが、この改竄世界史に暮らす市井の人々はそれを知らない。
知らないからこそ、彼らはこう言う。
「そうだ、きっと大陸軍が何とかしてくれます」
慄き震えるその声に、寿は用意していた「この村の手助けをしたい」という言葉を口に出さず吞みこんだ。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
●村長マルタン老の動揺
きっと大陸軍が何とかしてくれる。
戦禍の到来を告げた彼女に対してマルタンは咄嗟にそう反駁したものの、彼自身その言葉が真実だと心から信じ切れずにいた。
商人や出稼ぎが訪れないのは、この村以外の場所で戦による混乱が広がっているからではないか?
そんな風に世が乱れているのは、大陸軍でも手を余す大戦なのではないか?
だが……。
皇帝ナポレオンと彼の軍隊の武威をもってしても鎮められない戦乱や、土地が消えるなどという天変地異が本当にあったとして。
ただの年老いた農民に過ぎない自分に、一体何ができるというのか。
直視しがたい現実を前に、マルタン老人は知らずの内に一歩、後退っていた。
ソラス・マルファス
動揺する気持ちはわかるぜ。士気高揚で少しでも熱意を伝えよう。
「ソラス・マルファスだ。寿と同じく、この村の支援に来た。よろしく頼む」
「まぁ、落ち着いてくれ。南の戦いは終わったから、ここに戦火は来ない。証拠は出せないが、信用して欲しい」
真摯に頭を下げよう。
まずは目の前の問題に集中するよう伝え、凌ぎ方を教えよう
「大陸軍の支援を当てにしたい気持ちもわかるが、待ち続けるわけにもいかん。まずは当座を凌ぐための準備が必要だ。そうだろう?」
「なにもこの村以外存在しないってわけじゃねぇんだ。近隣の村と物々交換して、助け合えば生きていける。俺たちはそのための支援をしてるんだ。信じてくれなくて構わない。だがどうか、物資と知識は受け取ってくれねぇかな」
「飢えも困窮も、家族を亡くす悲しみも腐るほど見てきたんだ。目の前で不幸になる人間を、これ以上見たくねぇんだよ。頼む」
「稲を刈れば今すぐ必要な分の食料にはなるだろ?冬に向けては、保存食や防寒具が必要かい?他に何か、冬を越すために必要なものはあるか?」
よろめくように後退った老人の前に、一人の男が進み出る。
「まぁ、落ち着いてくれ。南の戦いは終わったから、ここに戦火は来ない。証拠は出せないが、信用して欲しい」
彼――ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)は深く頭を下げる。マルタン老は顔を上げ、ソラスを見返した。
「貴方は……?」
「ソラス・マルファスだ。寿と同じく、この村の支援に来た。よろしく頼む」
ソラスもまた、正面から老人を見返した。その双眸が湛える真摯な光に、老人の顔から警戒の色が抜けていく。
「大陸軍の支援を当てにしたい気持ちもわかるが、待ち続けるわけにもいかん。まずは当座を凌ぐための準備が必要だ。そうだろう?」
まずは目の前の問題を解決することが優先と説くソラス。
「貴方の言う通りですが、準備と言っても……収穫した米が売れなければ何もできません……」
力なく首を振る老人の肩にソラスは手を置いて告げる。
「なにもこの村以外存在しないってわけじゃねぇんだ。近隣の村と物々交換して、助け合えば生きていける」
老人は瞠目した。ソラスの言葉は彼にとって思いがけないものであったのだ。
「物々交換? しかしそれは――」
「飢えも困窮も、家族を亡くす悲しみも腐るほど見てきたんだ。目の前で不幸になる人間を、これ以上見たくねぇんだよ。頼む」
ソラスはあえてマルタン老の言葉を遮った。その続きを言わせてしまえば、彼は彼らが生き延びる道を自ら閉ざしてしまうことになる。
「俺たちはそのための支援をしてるんだ」
胸の中で煮え滾る感情を隠そうとしないソラスに、マルタン老はゆっくりと頷いた。
「確かに、私たちのように作物が売れずにいる村があるというなら、彼らと助け合わなければならないでしょうな」
ソラスも頷く。これで道は拓けた。後はこの道が繋がっていくように伸ばしていくだけだ。
「稲を刈れば今すぐ必要な分の食料にはなるんだろ? 冬に向けては、保存食や防寒具が必要かい? 他に何か、冬を越すために必要なものはあるか?」
復讐者と老人は語り合いながら、村人達が待つほうへと歩いていった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
梅指・寿
マルタンさんには怖い思いをさせてしまったわ…反省しなくちゃ。
村人の人達はどうかしら?
稲刈りのお手伝いをしつつ村人の様子も確認したいわ。
持ち込む物
アイテムポケット一個目には冬用の布や糸。当時の製法で作った暖かい布や色取り取りの毛糸に木綿糸に刺繍糸。
アイテムポケット二個目には裁縫針、編み棒、空いた場所に先程の布や糸の残りを詰め込み。
アイテムポケット三個目には塩や砂糖に香辛料、リンゴやビルベリーにイチジクといった生の果物、あと果物のジャムや砂糖漬けに干し果物といった保存が効く果物。
服を繕ったり飾ったり甘い物を食べたい女性や子供向けになるかしら。
頭よりも高く稲を収穫して積み上げたりして収穫のお手伝いを一生懸命して、一息ついた所で「ところでこんな物を持ってきたのですが」と小さな露店みたい商品を広げて現物交換するわ。
「お代は収穫したお米達でどうですか?」
このまま持ち帰って新宿島で食べちゃってもいいし種にして育ててもいいと思うの。
村の人達もタダで貰うよりは対価がちゃんとある事で安心しないかしら。
村人達と協力して作業を進め、今年の稲刈りにも終わりが見えてきた頃。
「ところでこんな物を持ってきたのですが」
梅指・寿(不沈の香・g08851)は新宿島から持ちこんだ物資を広げ、村人達と物々交換の交渉を始めていた。
「お代は収穫したお米達でどうですか?」
その提案は、村人達の生業に程よく合致していた。村長マルタンは寿が広げたちょっとした商店のような品々を見渡して、一度頷く。その表情に、先刻寿と交わしたやり取りの影は落ちていない。寿は密かに胸を撫で下ろした。
(「マルタンさんには怖い思いをさせてしまったけど……よかったわ」)
手の空いた女達を幾人か、長が手招きする。寿が持ちこんだ物資の品定めと選択を彼女らに任せて、老人はその場を後にする。寿の相手はその婦人達へと移り替わった。
寿に向かって左手には、冬向けの衣料を仕立てるのにぴったりな毛織物や色取り取りの毛糸、それらを縫製するための針と糸、手編みのための編み棒など。右手には塩や砂糖に香辛料、果実類とそれを材料にした砂糖漬けに干し果物といった品々が並ぶ。
婦人達は旅人が持ちこんだ外界の品の物珍しさに目を惹かれつつも、自分達がこの冬を越すために必要な量と質を備えた物品を選んでいく。彼女らを束ねるマルタン老の細君に至っては、寿が提供する品と収穫された米を釣り合わせるにはどう比較すれば良いのかと老練な交渉術を見せて寿に舌を巻かせたりしつつ。
「――はい、それではこれで交渉成立です」
寿と村の婦人達の物々交換は平和裏に幕を閉じたのだった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【アイテムポケット】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
ソラス・マルファス
さて、あとは時間の許す限り支援をするとしよう。
食料と防寒具はジョルジョや寿が持ち込んだ分で足りそうだな。俺は度数の高い酒を持ち込んでおこうか。果物を漬け込むにも良いだろう。あとは、薪と木材を持ち込み、道具や家屋の修理をしよう。修理用の道具も時代に合わせたものを持ち込むぜ。
もし希望者がいるなら、教えながら作業しよう。ついでに不安なことがあれば愚痴を聞いておこう。話すだけでも楽ってことも、あるかもしれねぇしな。
まずは道具の修理からだな。傷んだ柄は付け替えて、緩んだ程度なら楔を打ち、金属の刃は研いでおこう。木製の釘の作り方と使い方を教えれば、応急修理くらいはできるようになるだろう。
道具が揃ったら家屋を修理しよう。板を打ち付けて隙間風を防ぎ耐久性を高めるだけでも多少の助けにはなるだろう。あとは荷車を直して、将来の物々交換に備えようか。
一方その頃、ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)の姿は村外れの小屋にあった。稲刈りの最中に水田とは逆の方向に向かう男を見つけて声をかけてみれば、農具の修理をすると言うのでついて来たのである。
「中々筋がいいねぇ、兄さん。ウチの跡継ぎに欲しいくらいだ」
「はは、そいつはどうも」
村長と同年代と思しき彼の軽口に相槌を打ちながら、ソラスは傷んだ柄を交換し、楔を打ち、刃を研いでいく。
しばらく二人が作業を続ける音だけがしていたが、不意に老人が呟いた。
「どうなっちまうのかねぇ、これから」
ソラスは視線を上げて彼を見た。老人は面映ゆそうに笑みを浮かべる。
「儂はそう長くはないからあれだが、若い衆のことが心配でね。兄さん、あんた来年もここに来るのかい?」
「……」
老人の問に対する答えを、ソラスは持っていなかった。この村が――さらに言えばこの改竄世界史が――今後どうなるのかは誰にもわからない。勿論、ソラス達ディアボロスは『断片の王』を打倒しここを含めた土地を最終人類史に奪還することが目標ではある。だが、それがいつだと断言することは不可能だ。
平たく言えば、この村に『来年』は来ないかもしれない。
「悪い悪い、別にまた兄さん達を頼ろうってつもりじゃないんだ」
ソラスの沈黙をどう受け取ったのか、老人は頭を下げる。ソラスは首を振って曖昧な返事を返すしかなかった。
それからまたしばらく、二人が作業を進める音だけがあって。
「――こんなもんだな。さて次は、荷車でも見ておくか」
最後の一つを修繕し終えて、老人は立ち上がった。ソラスも続いて席を立ち、ふと思い立って『アイテムポケット』を探る。
「これを」
取り出した瓶をソラスは老人に向かって差し出した。透明なガラスの中で、淡い黄金色の酒が揺れる。
「こいつは……グラッパか。しかも上物じゃないか」
見返してくる老人に向かって、ソラスは笑みを浮かべてみせた。
「また来るって約束はできないからな。餞別だと思ってくれ」
蒸留酒を受け取った老人は、天を仰いで笑声を上げる。
「ありがたく貰っておくよ。また会うことがあったら呑もう」
肩を叩かれながら、ソラスは扉を開く。
老人が手にした酒と同じ色をした風景が、彼らの眼前に広がっていた。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!