リプレイ
クロエ・アルニティコス
あちらにしてみれば攻めに転じれば負け、好転の道は見えず……というところですが、こちらとしてもエルサレムの神像鎧を纏う亜人との戦いは簡単なものではなく、いつ東方やバルカン半島より援軍が来るとも分かりません。
セレウコスの取った手はそう間違った手ではないでしょう。
ほとんどの亜人どもにそれを理解する程度の頭もないのは幸いですが。
まずは数を減らし、アンティオキアへと攻めかかりましょう。
情報収集に出る亜人どもは見逃し、帰ってくるところを狙います。
情報収集の疲労や気の緩み、あるいはストレスなどで警戒心もまばらになっている頃でしょう。
行きに亜人どもが通ったルートで隠れて待ち伏せし【カリュブディス・ネペンテス】を使用、不意打ちで仕留めます。
カリュブディスの蔓で散開する亜人どもの足を捕縛し、捕虫器の中へと放り込み、消化液で溶かします。
慣れない情報収集ご苦労様です。
お前たちごときが得た情報など私たちには必要はありません。
その口から出すのは断末魔だけで結構。死んでください。
●全てを徒労に
『勝利王セレウコス』領の首都アンティオキアへの道。その手前の砦の扉は今は固く閉ざされていた。
いくつもの防衛部隊が配備され、一切の通行を遮断している。
その砦から少し離れた位置にディアボロス達は包囲網を展開していた。
包囲網に参加していたクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は敵が来るまでの間、考えを巡らせていた。
「あちらにしてみれば攻めに転じれば負け、好転の道は見えず……というところですが、こちらとしてもエルサレムの神像鎧を纏う亜人との戦いは簡単なものではなく、いつ東方やバルカン半島より援軍が来るとも分かりません」
こちらの事情を知っているかどうかはさておき、セレウコスの取った手はそう間違った手ではないとクロエは考える。
籠城戦。防衛に力を入れられてしまうと、時間がかかるほどに、包囲網を敷いているこちらが敵の援軍との挟み撃ちに会う可能性が出てくる。
「まあ、ほとんどの亜人どもにそれを理解する程度の頭もないのは幸いですが」
そこを突いてまずは数を減らす。そして、アンティオキアへと攻めかかろう。
「種子に宿るは我が悲嘆、芽吹け『カリュブディス・ネペンテス』!」
砦へと向かうゴブリンファランクス兵の集団。
その姿を確認したクロエは、パラドクスを発動し不意打ちする。
「誰だ!?」
道を塞ぐ人影を見つけ、ゴブリンファランクス兵が声をあげた。
「慣れない情報収集ご苦労様です」
クロエが返答し笑みを浮かべるが、その目には亜人への憎悪が浮かんでいた。
「なっ……お前、ディアボロスかっ」
「今更気付くなんて……余程お疲れのようですね」
情報収集の疲れ、得られた情報による絶望に、注意散漫になっていたゴブリンファランクス兵は、ようやく今の状況を理解し、顔を青ざめさせた。
「散開しろ! 何としても情報を持ち帰るんだ」
「みすみす情報を持ち帰らせるような真似、すると思います?」
「行けっ!! 一人でいい。砦の向こうへ!」
焦り、仲間へと指示を出すがもう遅い。情報を掴ませないためにも、一人たりとも逃がすつもりはない。
「その口から出すのは断末魔だけで結構。死んでください」
クロエの放つパラドクスによって、叫び声が次々とあがる。
攻撃の手から逃れたゴブリンファランクス兵がバラバラに砦を目指す。
だが、クロエは焦ってはいなかった。
端から一人で全滅させるつもりはない。
頼もしい仲間がいる。だからこそ、そちらは仲間に任せ、クロエは目の前の敵に集中した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘OKです
持てる全てを以て渡り合うのが戦いだとして
知慮に欠ける敵であれば付け入る隙はあるだろうね
けれど、慢心せずに行こう
力を発揮させてしまったなら、容易く勝てる敵など居ないのだから
事前に地形を確認して、待ち伏せに向いたポイントを絞り込んでおこう
そして、他のディアボロスと共闘できそうであれば提案もしておきたい
作戦の成功率に直結するだろうからね
待ち伏せを狙う為に、情報収集に向かう部隊の往路は見逃して
復路で策に嵌めるとしよう
遠間から出現部隊のルートを確認しつつ隠れてやり過ごし
戻るルートでパラドクスを仕掛ける
パラドクスは【詭雷の連環】を
足元を泥濘化する事で判断力や逃げるルートを奪いたい
刻印銃から射出した浮遊機雷をバラ撒いておき、飛刀を投擲する事で更に後背を脅かしていこう
機先を制して判断力奪った状態のまま、可能な限り損傷を与えておきたい
目的は嫌がらせではなく殲滅なのだから、一兵たりとも逃せない
連携するディアボロスに火力があるなら、オレは退路を阻む側に回ってもいい
●待ち伏せ
作戦とは一丸とならねば、綻びが生じるもの。
「持てる全てを以て渡り合うのが戦いだとして、知慮に欠ける敵であれば付け入る隙はあるだろうね」
イリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)は、じっと砦を見つめていた。
砦の中では今頃、今回の防衛作戦に不満を持ってる者が居ることだろう。
そこを突いてやれば、いずれ護りに穴が開くはず。
だが、慢心はしない。力を発揮させてしまったなら、容易く勝てる敵など居ないのだから。
まずは目の前の事に集中しよう。イリヤは砦の扉を一瞥し、砦に背を向けた。
遠くから断末魔の叫びが聞こえる。
続けざまに響く叫び声に、クロエが派手に戦っている事が分かる。
どれだけの恐怖を感じたのだろうか。こちらへと走ってくるゴブリンファランクス兵は背後をしきりに気にしていた。
そのせいで前方で待ち構えているイリヤには全く気付いていなかった。
「はは……逃げ切ったぞ」
追ってこない事に安堵するゴブリンファランクス兵。
だが、それは油断となる。
「まあ、掻き乱そうか」
イリヤがパラドクスを発動する。
【泥濘の地】を使って作り出した泥濘に、ゴブリンファランクス兵はまんまと嵌るのだった。
「何でこんなところに泥濘が」
「何でだと思う?」
泥濘に足を取られながら進むゴブリンファランクス兵に話しかけるイリヤ。
「な、こっちにもディアボロスだと」
「集団相手に一人で対処する訳ないでしょう」
初めからここに立っていたと告げると、ゴブリンファランクス兵は悔しそうに顔を歪めた。
イリヤが念隔式飛刀『緋刃』を投擲する。
「どこに投げている」
ゴブリンファランクス兵は軽々とそれを躱し余裕の笑みを浮かべた。
しかしそれは避けられたのではなく、避けさせたのだ。
避けた先でゴブリンファランクス兵の体に浮遊機雷が触れる。
「は……?」
触れた浮遊機雷は途端に赤く染まり……弾けた。
一度爆発が起これば、設置されていた浮遊機雷が次々と誘爆を起こす。
爆発が止んだ頃には、ゴブリンファランクス兵の体は泥濘に沈んでいた。
イリヤは次の場所へと向かう。
その後も、至る所で爆発音が鳴り響いた。
一兵たりとも逃がさない。目的は嫌がらせではなく殲滅なのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
クロエ・アルニティコス
さて、それで……挑発しておびき寄せろ、ということでしたね。
亜人どもの脳なんて、奪うか殺すか犯すかしかないのですから、相応のレベルまで落とした挑発をしなければなりません。
【アイテムポケット】から折り畳みの椅子と机を取り出し、砦の前でのんびりと本でも読みましょう。
今日持ってきた本はギリシャの魔術の歴史についての本。
魔術に関して得るものがあるわけではありませんが、これはこれで興味深いですよ。
改竄世界史と最終人類史の過去でどんな違いがあるのか、過去は現在にどう伝わり、どう解釈されているのか。
そういったことを過去の人間の視点から考えれる資料とすれば貴重なものです。
と、そうやって【アイテムポケット】から取り出したブドウのジュースを飲みつつゆっくり本を読み、砦の前で余裕さをアピールしましょう。
バカにされていることに怒って出てくるか、あるいは無防備な女がいると思って出てくるか。
いずれにせよ。
出てきた時がお前たちの最期です。
イリヤ・レダ
※アドリブ・連携OKです
ふむ、今度は挑発だね
亜人の兵士である彼等の耐え難いモノは自分達を貶される事ではないかと想定してみるよ こちらは強そうに見えないだろうから、そこも有利に働くかもしれない
「クリーニング」で軍装を汚れ一つない状態に仕立て、少人数で煽る
出てきたら個別撃破すべきだから、武装の情報はなるべく与えない
弓で狙われない程度の距離は保っておこう 飛び道具は通用しないと思わせた方が外に出てきやすいかもしれないしね
オレ達と彼等は文字でも意思疎通できるはずだから白地の大きめの布に「怖いからオウチに籠ってるの~?」「武器を捨てて慈悲を求めながら降伏してきたら苦しませずに刻んでやる」等々の煽り文句を書きつつ、ハンドベルを手にガランガランと鳴らしてみようか
他にも挑発行動を取るディアボロスは居るだろうから、敵の動向は同時に観れる程度に近い所で煽っていくのがいいかな
敵が思わず突出したら、足元を泥濘化しつつ引き撃ち気味にパラドクスを【緋封 解放】で発動する緋色の嵐で彼らを次々に葬っていこう
●挑発する二人
砦の前へとやって来た、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)とイリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)の二人。
様子を窺うと、扉の前や砦の上には警備しているトループス級の姿が見える。だが、どこをさがしてもアヴァタール級の姿は見えなかった。
「ふむ、今度は挑発だね」
「さて、それで……挑発しておびき寄せろ、ということでしたね」
もちろん誘き寄せるのは姿の見えないアヴァタール級。
「どうしましょうか?」
「そうね……亜人どもの脳なんて、奪うか殺すか犯すかしかないのですから、相応のレベルまで落とした挑発をしなければなりません」
「なるほど。それなら高度な駆け引きより単純な方法がいいですね」
「ええ。極力単純に……それでいて明確にバカにされているのが分かるのがいいでしょう」
「それなら、亜人の兵士である彼等の耐え難いモノは自分達を貶される事ではないかと想定して……後はこちらは強そうに見えないだろうから、そこも有利に働くかもしれない」
武装の情報はなるべく与えたくはない為、今は丸腰。無防備な姿をさらして、それから後は弓に狙われない距離を保つ。
色々と考えを巡らせるとイリヤが再び口を開いた。
「オレはこんな感じがいいと思います」
「いいですね。それなら私はこの様な感じに……」
イリヤの考えに頷きクロエも自分の考えを話す。
挑発方法をしばらく話し合うと、互いに頷き準備を始めるのだった。
道の真ん中で、折り畳みの椅子と机を並べ、のんびりと本を読み始めるクロエ。イリヤの【クリーニング】のおかげで身綺麗になり、優雅さが増している。
その側ではイリヤが文字を書いた白地の大きな布を木の棒に括り付け、横断幕の様にしていくつも並べていった。
布には『怖いからオウチに籠ってるの~?』『武器を捨てて慈悲を求めながら降伏してきたら苦しませずに刻んでやる』『丸腰の相手にすら怖気づくの?』など、幼稚ともとれるようなのも含め、罵詈雑言がいくつも書かれている。
伝わらなければ意味がない為、幼稚な内容くらいが丁度いいと判断した結果た。
更にこちらへと注意を向けさせるために、イリヤは手にしたハンドベルをガランガランと鳴らす。
騒がしさに亜人の視線が集まる中、イリヤはクロエへと視線を向けた。
「ところで、何を読んでいるんです?」
「これ? これはギリシャの魔術の歴史についての本ですよ。特に得るものがあるわけではないですが、これはこれで興味深いですよ」
答えながらクロエはページを捲る。
そうこうしているうちに、砦の方がざわつき始める。
あと一押しだろうかと、クロエは【アイテムポケット】からブドウのジュースを取り出した。
「あなたも飲みます?」
「いただきます」
乾杯。二人してブドウのジュースを口にする。
砦の前で、まるで避暑地で過ごすかのような余裕を見せつける二人。
どうせ砦に籠って出てこないのだろう?
打って出る気もないのだろう?
この臆病者め。
亜人たちは二人の姿にそう言われているような気がした。
もちろんこの事はアヴァタール級へと即座に報告される。
元々城壁堅守などという作戦に不満を持っていたアヴァタール級は報告を受けあっさりと挑発にのった。
重い扉が開く。
開いた扉からアヴァタール級が青筋を浮かべながら出てきた。
何人かの亜人が必死にアヴァタール級を宥めようとしているが、聞く耳を持たないどころか邪魔だと宥める亜人を殴り飛ばす。
「バカにされたまま防衛を続けろと? ふざけるなっ! あいつらを倒せば防衛したのと変わらん! 行くぞ、その気がある奴だけついてこい!」
出撃するアヴァタール級と付き従う護衛。
その様子を眺めていた二人は、作戦通りと笑った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
八蘇上・瀬理
【人柄】マイペースな姉気質の関西弁鬼人
【心構え】面倒くさがりだが、仕事となるとスイッチが入る
※味方との協力、絡み大歓迎
おー、あんな見え見えの挑発に引っかかっておびき出されとる。やっぱ攻めるしか能が無いんやなあいつら。ぶっちゃけアホやろ。あーあーあんなに突っ走って戦列伸び切ってしもとうし。あんなん、横から食い散らかしてって言うとうようなもんやんか(悪い顔で笑いながら)
ま、うちは今回お手伝いやから、露払いは任しといて。あの伸び切った戦列の後ろの方のトロル共、蹴散らしてくるわ。必死こいて指揮官追っかけて隙だらけ。アホな上司持つと大変やねー同情はせんけど。雷弾で先制攻撃。混乱しとるとこに突っ込んで乱戦に持ち込むで。長槍が味方に当たるー言うて躊躇しとる隙に倒せるだけ倒してさっさと離脱や。後は引き撃ち。うちの雷弾相手に悠長な間合い取りは命取り、なんてなー。卑怯?ありがとう、最高の誉め言葉やわ(くっくと笑う)
イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘OKです
ファランクス…
かつて戦場で力を発揮した陣形の事だった様に記憶している
兵同士での押し合いには強いかもね
ただ、ディアボロス相手だったらどうかな?
それと、冷静さを欠いてるようだけれど?
怒りと勇敢さはイコールではないんじゃないかな?
さあ、おいで
数々の疑問を検証しようよ
パラドクスは「詭雷の連環」を
彼等がオレ達の元へと向かうルートを泥濘化しよう
そして投擲した飛刀で後背を脅かしつつ、刻印銃で次々と浮遊機雷を散布していくよ 機雷を突破してきた兵が居たら刺突剣で迎え撃ちつつ間合いを取ろう
オレが彼らを迎撃しつつ城から離れていく事で、オーク兵達の陣形は間延びして孤立しやすくもなるだろうし他のディアボロスへの支援ともなると見込んでいるよ
パラドクス通信が可能なら仲間との連携も密になるね
もしかしたら、オーク兵達は途中で詭計嵌められたと気付いてしまうかもしれないね けれど生かして帰す必要も無い
彼等は自らの決断の対価を示さなければならないだろうね
殲滅したならば、彼らを留められなかった将を待とう
クロエ・アルニティコス
指揮官が一番頭に血が上っていそうですね。致し難い。
まぁ、亜人どもの知性に指揮官も雑兵も大差はありませんか。
ファランクスも防衛に長けた陣形でしょうに。
今の怒りに焦る精神状態で、まともな密集陣形が組めるか疑問ですね。
【泥濘の地】をさらに重ねてこちらに突撃してくるオークたちの足を鈍らせ、隊列を乱しつつ苛立たせましょう。
あちらの陣形がくるってきたところで【タロース・オフリス】を使用。タロースを象った怪物を作り出し、ファランクス陣形を他の復讐者と挟み撃ちするようにして攻撃を仕掛けます。
密集し、金属製の盾や鎧で攻撃を受け止めようと、タロースの発する熱で盾や鎧ごと熱し、焼き尽くしましょう。
生きたまま焼かれる程度で大げさですね。
お前たちも同じようなことを、それ以上の苦痛を。人に味わわせてきたのでしょう?
甘んじて受けてもらいますよ。
●乱れた陣形に強み無し
開いた扉から、続々と亜人が飛び出してくる。
指揮官であるアヴァタール級を先頭に、トループス級『トロル兵団』ファランクス兵が続く。
武器を振り上げ、一目散にこちらへと向かってくる様子は、まるでイノシシのよう。
「おー、あんな見え見えの挑発に引っかかっておびき出されとる。やっぱ攻めるしか能が無いんやなあいつら。ぶっちゃけアホやろ」
八蘇上・瀬理(鬼道漫遊奇譚・g08818)は面白いものを見たとばかりに腹を抱えて笑っていた。
「指揮官が一番頭に血が上っていそうですね。まぁ、亜人どもの知性に指揮官も雑兵も大差はありませんか」
対してクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は冷めた目で見つめている。
こちらへと到着する前にイリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)は敵について考察をしながら呟いた。
「ファランクス……かつて戦場で力を発揮した陣形の事だった様に記憶している。兵同士での押し合いには強いかもね」
「ええ。ファランクス、防衛に長けた陣形でしょうに。今の怒りに焦る精神状態で、まともな密集陣形が組めるか疑問ですね」
「あーあーあんなに突っ走って戦列伸び切ってしもとうし。あんなん、横から食い散らかしてって言うとうようなもんやんか」
「確かに冷静さを欠いているね。怒りと勇敢さはイコールではないのに。まあ、万全でもディアボロス相手に通用したかな?」
陣形をまともに組まれていたら面倒だったのかもしれない。しかし現状、目の前のファランクス兵たちには陣形の『じ』の字もない。
あのように全速で突撃をしながら密集陣形など組めるはずもない。
「陣形を組み直される前に倒したいですね」
「そうですね。隊列を乱せばもっと苛立ってくれるでしょう」
イリヤとクロエが話していると、話し合いは終わった? と瀬理が二人の前に顔を出した。
作戦を聞き瀬理が頷く。
「なるほど。ま、うちは今回お手伝いやから、露払いは任しといて。あの伸び切った戦列の後ろの方のトロル共、蹴散らしてくるわ」
そう言って笑う瀬理はとても悪い顔をしていた。
行ってくると言い残し瀬理は一人、道を外れ走り出した。
瀬理を見送ったイリヤとクロエは正面に迫る亜人を見つめる。
まず初めにやった事は【泥濘の地】を使い足元に泥濘を作り出す事。
これで足を鈍らせ、隊列を乱す。
今の段階でも相当にバラバラの状態なのだ。泥濘に嵌って更に苛立ち焦る様子が目に浮かぶ。
「さあ、おいで」
イリヤは亜人たちの到着を今か今かと待ち望んだ。
「―――穿ち灼け」
「なにっ、後ろから!?」
瀬理のパラドクスを受け、ファランクス兵が倒れる。
突如の襲撃にファランクス兵たちに動揺が走った。
「どうもー。あんたら隙だらけや。アホな上司持つと大変やねー同情はせんけど」
本隊から遅れ気味の集団に攻撃を仕掛け、瀬理がニヤリと笑う。
混乱している所に更に突っ込み乱戦へと持ち込む。
先頭集団は後ろからの襲撃に気付きもせず前だけを見据えていた。
戦いが長引くほど、本隊との距離が離れていく。
ファランクス兵が焦り、長槍を振るうも、瀬理はタイミングを見計らい引き撃ちして間合いを取る。
「くっ、卑怯な」
「卑怯? ありがとう、最高の誉め言葉やわ」
瀬理はそう言い、笑うと攻撃を再開した。
『こっちは上手くいったよ。このまま挟み撃ちや』
間合いを取りながら攻撃を続けていたイリヤとクロエの元に【パラドクス通信】が届く。
「それじゃあ、オレらも一気に決めましょう」
「ここからは全力です」
足を止めたイリヤとクロエ。先程までと違う雰囲気にファランクス兵は怪訝な表情を浮かべる。
「まあ、掻き乱そうか」
パラドクスが発動し、イリヤの目の前には次々と浮遊機雷が散布されていく。
浮遊機雷に触れ、ファランクス兵が爆破される。
このままではまずいと引き返し、泥濘から脱しようとする相手には、投擲した飛刀で牽制。
逃げ場を失いファランクス兵は次々と浮遊機雷の餌食となった。
「種子に宿るは我が憤激、芽吹け『タロース・オフリス』!」
クロエのパラドクス攻撃にファランクス兵は盾や鎧ごと熱しられ焼かれていく。
「ぎゃあああああああっ!?」
「うおおおおおおおお!」
ファランクス兵のもがき苦しむ声と共に、辺りに肉の焼け焦げる匂いが充満する。
「生きたまま焼かれる程度で大げさですね。お前たちも同じようなことを、それ以上の苦痛を。人に味わわせてきたのでしょう? 甘んじて受けてもらいますよ」
憎しみの目を向け、クロエは言い放つ。
人に害を成す相手に対して、容赦はしない。
焼き尽くされたファランクス兵の鎧がジュウと音を立て泥濘に沈んでいった。
残るはアヴァタール級『トロル兵団』アルギュラスピデスのみ。
アルギュラスピデスはディアボロスを睨みつける。
視線を受け止め、ディアボロスたちは余裕の表情を浮かべた。
今作戦、最後の戦いが始まろうとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV3になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
クロエ・アルニティコス
何ですか?その目は。
何か勘違いをしているようですね。
この事態を招いたのはお前の愚かさ故。お前の愚かさはお前の責であり、私の責ではありません。
恨むのであれば、愚かな自分を恨むことです。
亜人に説いても仕方ありませんしね。
わざわざ砦から出てきたところを見逃す道理はありません。
どのみち、ここで殺すのですから。
【ラードーン・ローザ】を使用。ラードーンを象った怪物を作り出します。
ラードーンを敵の進行方向へと作り出して突進を阻害。高い防衛力を誇る茨で足から絡みつき、鎧に覆われていない部分から締め上げて弱らせます。
鎧に覆われていない部位から狙って弱らせた後に、銀の鎧で弾き返せない、植物の怪物による物理的な攻撃で鎧や盾ごと締め上げ、締め殺します。
魔術の手が熱や炎だけのはずがないでしょう。魔女を甘く見た代価、その血肉と命で払ってもらいます。
まずはよし……とはいえ。
アンティオキアの規模を考えればまだこれからです。じわじわと……追いつめていきましょう。
八蘇上・瀬理
【人柄】マイペースな姉気質の関西弁鬼人
【心構え】面倒くさがりだが、仕事となるとスイッチが入る
※味方との協力、絡み大歓迎
思いっきりブチ切れとるけど、陣形無視して突っ込んだの自分やん。おかげでめっちゃ食い散らかしやすかったから、こっちからしたらアホでありがとうて感じなんやけどな。
さ、敵さんがわざわざまな板の上に乗ってくれたんや。丁寧に料理したげよ。囲んでフクロにして、容赦なく隙なく希望なく締め上げて、それでおしまいや。
味方の力で敵が足を止めたら、上からうちの蓮嘗めが襲うで。純魔力のクラスター爆弾やから属性は乗っとらんけど、まあ弾こうと盾を上に掲げるわなぁ?ええんか?胴ががら空きやで。うちはあんたが一番嫌やなってタイミングで上から空爆するから、せいぜい気張り。そのご立派な鎧も、何べんも攻撃受けたらどうなるやろなぁ。
卑怯上等。うちが味方の攻撃を最大限サポートするんや。集団戦っちゅうのはこうするんやで。足りん頭には難しいかも知れんけどな。
イリヤ・レダ
※アドリブ・共闘OKです
さて、いよいよ大詰めだね
アヴァタール級の巨体となると正直ちょっと怖い部分もあるんだけれど
落ち着いていこうか 付け入る隙はある
「ただ強く生まれついた」だけの奴等の無法を許す気も無いしね
魔法の鎧と盾は割と厄介だね
武具で被弾を軽減しながら吶喊してくるのなら、こちらも避けるのは難しいかもしれないね
けれど、こちらにも培った武装と戦術がある
そして仲間との連携がある
勇猛さだけで覆せるとは思わないで
パラドクスは【掃乱の双射】
普段は魔力を以て刀身と成す刺突剣を、射撃モードに
刻印銃と併せての双射仕様とします
オレが放つのははぐれものの天使の緋色のチカラだ
上手く弾けるといいね
泥濘化した地面を活用し、翼での機動力を活かしつつ引き撃ち気味に
戦場を広く活かす様に真っ直ぐには下がらない様におびき寄せたい
時折放たれる突撃には【神速反応】で 直撃さえ受けなければいい
オレは痩身でお世辞にも強そうには見えないだろう
嘲る様に笑いつつ、なるべく多くの時間注意を引き付けて他の仲間の攻撃を活かしたい
●命令違反の末路
「さて、いよいよ大詰めだね」
残すところはアヴァタール級のみとイリヤ・レダ(『緋』を封ずるモノ・g02308)が呟く。
アヴァタール級『トロル兵団』アルギュラスピデス。部隊を率いる指揮官であるにもかかわらず、挑発にのって突出した結果が配下のトループス級の全滅である。
「よくも、よくもやってくれたな!」
だがその原因が自分だとは思ってもおらず、怒りを顕わにしてディアボロスたちを睨みつけていた。
「アヴァタール級の巨体となると正直ちょっと怖い部分もあるんだけれど、落ち着いていこうか。付け入る隙はある」
視線を受け止め、イリヤは少々たじろぐが、自身に言い聞かせるように言葉を発し気持ちを落ち着けた。
「何ですか? その目は」
クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は言いながらアルギュラスピデスを睨み返していた。
「思いっきりブチ切れとるけど、陣形無視して突っ込んだの自分やん。おかげでめっちゃ食い散らかしやすかったから、こっちからしたらアホでありがとうて感じなんやけどな」
怒るのはお門違いだと八蘇上・瀬理(鬼道漫遊奇譚・g08818)が言うと、クロエも同意するように頷く。
「確かに。何か勘違いをしているようですね。この事態を招いたのはお前の愚かさ故。お前の愚かさはお前の責であり、私の責ではありません。恨むのであれば、愚かな自分を恨むことです」
「うるさい! うるさい! うるさい!! 殺したのはお前らだ。お前らが悪い」
アルギュラスピデスの言い分に、三人は呆れた。
どんな言葉をかけようと、返ってくる反応は『自分は悪くない』『悪いのは全部お前たちだ』というのが根底にある言葉ばかり。道理を説いても自己中心的な言葉が返ってくるだけだった。
呆れを通り越して哀れですらある。
「うっわー。こいつ救いようがないアホやん」
「まさかここまで酷いとは……」
「はぁ……亜人に説いても仕方ありませんね」
「これ以上、ただ強く生まれついただけの奴等の無法を許す気はないです」
「わざわざ砦から出てきたところを見逃す道理はありません。どのみち、ここで殺すのですから」
「さ、敵さんがわざわざまな板の上に乗ってくれたんや。丁寧に料理したげよ。囲んでフクロにして、容赦なく隙なく希望なく締め上げて、それでおしまいや」
最早これ以上言い合った所で意味は無い。話を打ち切ると、三人は戦闘態勢に入ったのだった。
「うおおおおおおおおおおっ!!」
「加護付きの鎧と盾は割と厄介だね」
イリヤの攻撃を巨大な楯で弾きながら、突撃してくるアルギュラスピデス。接近し斧を振り上げる。
振り下ろされる直前の斧を目の当たりにし、イリヤは翼を羽ばたかせ、後方へと下がった。
「これは……」
アルギュラスピデスが驚きの声をあげる。踏み込んだ先は泥濘で、足を取られ突撃の勢いが落ちたのだ。
泥濘に気を取られている所に、瀬理の声が響く。
「―――爆ぜ散れ」
声と共にアルギュラスピデスの頭上に魔力で出来たクラスター爆弾が落ちてくる。
アルギュラスピデスは咄嗟に楯を頭上に掲げ爆発から身を守った。
そこへ瀬理は嬉しそうな声で告げる。
「ええんか? 胴ががら空きやで」
「なに!?」
声に反応した瞬間、クロエの放った茨が胴体に幾重にも巻き付く。
アルギュラスピデスは暴れ回り、その茨を何とか引き千切った。
声をかけてきた瀬理にアルギュラスピデスは恨みがましい視線を向ける。
そんな視線をさらりと受け流し、瀬理は楽しそうに話し始めた。
「うちはあんたが一番嫌やなってタイミングで上から空爆するから、せいぜい気張り。そのご立派な鎧も、何べんも攻撃受けたらどうなるやろなぁ」
「どこまでも卑怯な」
「卑怯上等。うちが味方の攻撃を最大限サポートするんや。集団戦っちゅうのはこうするんやで。足りん頭には難しいかも知れんけどな」
「そうです。こちらにも培った武装と戦術がある。そして仲間との連携がある。勇猛さだけで覆せるとは思わないで」
瀬理が再び頭上に爆弾を落とす。
みすみすやられるわけにはいかず、アルギュラスピデスも再び楯を頭上へ。
そのタイミングを見計らいイリヤが武器を構える。
「この間合いで、好きにはさせない」
光弾を乱射。アルギュラスピデスの無防備な胴体に弾が撃ち込まれていく。
「種子に宿るは我が抑圧、芽吹け『ラードーン・ローザ』!」
クロエの作り出した植物の怪物から無数の茨が伸びる。
茨は足から伸びていき、全身を締め上げていく。
「これも魔法なのか……!?」
「魔術の手が熱や炎だけのはずがないでしょう。魔女を甘く見た代価、その血肉と命で払ってもらいます」
「なぜだ、こんな奴らに負けるなど……くそっ! くそおおおおおっ!!」
悔しさに顔を歪ませ、アルギュラスピデスはそのまま茨に絞め殺された。
「終わったな。アホで助かったわ」
「相手を下に見ているからこうなるんです」
「まずはよし……とはいえ。アンティオキアの規模を考えればまだこれからです。じわじわと……追いつめていきましょう」
クロエの言う通り、倒したのは防衛隊のほんの一部。
この調子で続けていこうと、ディアボロスたちは気を引き締めた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!