リプレイ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
情報は流さないに越したことないからな
特に相手は強い力を持っている。情報まで手に入れられたらこっちが不利だ
暗殺とはいえ凍って動けなければ意味ないだろう
【行動】
仲間と声をかけて積極的に連携を取る
敵からの攻撃は暗殺者って名乗っているくらいだから全方位からくるだろうから
背中側は盾のフェイク・プリドゥエンを背負って攻撃を受けないようにして
前方は電光警棒で受けて防ぐようにしよう
忍耐力で耐えられる場合は耐える
あらかじめ作っておいた触れた敵を凍らせる水を広範囲に撒く爆弾を投擲して攻撃する
残像ってことは特殊な動きで幻惑しているはずだ
一部でも凍って動けなくさせれば惑わすのは困難になるだろう
味方や地形にはただの水として作用するようにしているから間違ってかかっても問題はない
必要なら臨機応変に対処する
ヴィオレット・ノール
亜人達の混乱ぶりを見るに、大灯台とバベルの塔が担っていた役割は相当大きかったみたいだ。
頭の悪い亜人でも、指揮系統は重要だということだね。
バベルクラッシュ作戦、想像以上の成果じゃないか!
あとは情報も含めた都市封鎖に、防衛戦力の各個撃破。
堅実に積み上げていけば……アンティオキアのセレウコスにも手が届く。
うん、俄然やる気が出てきたかな。
それじゃあ、今日も頑張って亜人を皆殺そうか。
諜報の亜人部隊を見つけるのはそう難しくはない、のかな。
なら気にするべきは……どの辺りで仕掛けるか、だろうか。
混乱を増長させるためには、いずれの部隊も無事に出立し任務を行っているのだと思わせた方が良さそうだ。
そうすれば、指示を出した側は待ちの姿勢に入らざるを得ないはず。
となれば、部隊が城壁から十分に離れている地点で襲撃しよう。
尤も、個別行動に移ろうとするなら話は別だけれどね。
牽制には蹴りを放ち、直後の攻撃は星月の杖を用いての槍撃だ。
標的は味方と揃えて、手早くその数を減らしていこう。
敵の退路を【防衛ライン】で塞げないかな?
●分断
「亜人達の混乱ぶりを見るに、大灯台とバベルの塔が担っていた役割は相当大きかったみたいだ」
頭の悪い亜人でも、指揮系統は重要だということだね、ヴィオレット・ノール(北の菫・g09347)はアンティオキアの城塞を眺めて、ひとりごつ――。
「バベルクラッシュ作戦、想像以上の成果じゃないか!」
いつの時代も、情報伝達の速さというものが、戦いの帰趨をわける……バベルの塔が如何に重要なクロノ・オブジェクトであったか――考え、ヴィオレットは小さく笑みを零す。
「堅実に積み上げていけば……アンティオキアのセレウコスにも手が届く――うん、俄然やる気が出てきたかな」
静かに、温和で理知的な印象の双眸を細めた儘、
「それじゃあ、今日も頑張って亜人を皆殺そうか」
物騒なことを言って、周囲を見渡す。
目標のゴブリンどもは、所在なさげに彷徨いている。統率があるようなないような、は亜人にありがちな傾向だ。敵を見かけても報告に戻れと命じられているのだから、張り合いもない。
「取り敢えず……どの辺りで仕掛けるか、だね」
呟き、敵の動きを追うように、ヴィオレットも少しずつ移動していく。
「混乱を増長させるためには、いずれの部隊も無事に出立し任務を行っているのだと思わせた方が良さそうだ」
そうすれば、指示を出した側は待ちの姿勢に入らざるを得ないはず――彼の言葉を、荒田・誠司(雑草・g00115)は、首肯する。
「情報は流さないに越したことないからな」
情報の無い相手に接触して、情報をくれてやる必要は無い――静かな声音で言う。
ゴーグルをかけた彼の表情ははっきりとは解らぬが、ヴィオレットの案に乗ってくれるつもりらしい。
二人は、じりじりと向こう動きを見、暫し待つ。
部隊の数は少ない。十ほどだろうか、否、伏兵もいるやもしれぬ。ふらふらと偵察なのか巡回なのか、定まったコースとも思えぬ動きを見せている。
そんなゴブリンどもに少々焦れつつ……其れら充分に城壁から離れたところで――彼らは、さっと駆け出す。
長い白髪を靡かせたヴィオレットは、身の丈を越える杖を難なく振りかざし、一気に距離を詰める。
彼が杖を突き出せば、ゴブリンらの足元から突き出した槍衾が、その身体を次々と串刺しにする。
「て、テキか!」
濁った声で、それらは騒ぎ出すが――同時、大地に白い直線が描かれ、シンプルな防衛ラインがゴブリンらの退路を断った。
そこへ、誠司が無造作に、爆弾を放り投げる。
「そらよ、凍ってしまえ!」
即座に爆発した爆弾は、更に小さな爆弾を散らす――その内部には、敵を凍らせる水が仕込まれており、触れた途端、ゴブリンらは身体の一部を凍らせた。
長く継続する効果でないことは、誠司も認識している。電光警棒を構え、さっと距離を取る。
「クソ、クソ、ツメタイ!!」
亜人らはわめきながら、短剣を構えると、両者に向かってそれぞれ跳びかかる。
防衛ラインの向こうへ回り込むことは許さぬとばかり、立ち塞がっていたヴィオレットには――牙を剥いたそれらが、短剣を逆手に躍り掛かってくる。刃に漂う猛毒の気配に臆さず、ヴィオレットは一蹴り、相手の出鼻を挫くよう蹴り付けると、杖を振るった。
槍衾が再びゴブリンの身体を貫いていく――なれど、元よりそれらは捨て身で掛かってきている。脚が千切れようとも前へと進み、刃を突き立ててくる。
ヴィオレットも腕にいくつかの創を負ったが、どちらがより深手であったかは、比べるまでもない。
誠司は自分を取り囲むゴブリンらが、どんな変幻をもって仕掛けてくるかの備えがある。
背の守りは、背負った盾――フェイク・プリドゥエンに委ね、電光警棒で正面から敵の斬撃を跳ね飛ばす。
「凍って動けなければ意味ないだろう」
「コンナモノ!」
ゴブリンはつたなく強がったが、傷が響いているのか、動きは精彩を欠いていた。
誠司は油断も隙も見せぬ。全方位から仕掛けてくるに違いないという予測と、備えていた。首元や、大腿動脈を狙う攻撃が際どく滑り込もうとも、前へと踏み込み、次々閃く斬撃を捌いて、新たな爆弾を投擲する。
ぱりぱりと凍り付いていくゴブリンを尻目に、攻撃を受けとめ――ヴィオレットと二人、一体たりとも逃さぬように追い込んでいった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
ラヴィデ・ローズ
勝利王……いよいよご尊顔が拝めそうとはな
牙城を崩す良い機会だ
腕が鳴るね
舞台を整えていこう
アンティオキア周辺の街道に潜伏した状態で
出入りする亜人部隊を警戒、発見次第叩く
初手は居合わせた仲間とタイミングを合わせて強襲
やあ、来たよ
とね
パラドクスは『レゼル(長剣/長弓)』にて
先行率を高め、仕掛けた勢いのまま畳み掛けていきたいところだ
幻で惑わしての急所狙い、ね
オレもよく用いる戦法な分、手口は分かるよ
仲間とは背を預け互いの死角を減らしながら
敵の踏み込みに合わせ、急所を守るべく武器で庇う
鈍らだな
致命傷以外は安いものと動じず
返す刃で残像ごと纏めて斬り捨てる意気でいよう
もっと美しい幻でも見せてくれればねぇ
炎の彩を添えてあげよう
弾き、跳び退る等で定期的に距離を取り、視野を広く
基本は狙いを合わせ弱った敵から迅速に削り落とすとして
情報遮断のため、戦場からの離脱を狙う挙動があった場合は最優先に妨害、撃破を狙う
しぃ
断末魔のひとつ、上げさせてはやらない
一角・實生
状況の把握ができないまま無闇に動くのはリスクが高いものな
けれど、今回はそれが相当な裏目に出る形だね
了解。勝利王の名を崩す一手としよう
敵に情報を与えずに効果的に叩くならば迅速・的確を常に意識
城塞都市ならば隠れる場所は多そうだね
城壁をはじめとした物陰や遮蔽物に身を隠しつつ、スコープや肉眼で偵察・観察を行い敵の配置や数などを情報収集
【パラドクス通信】で仲間と共有するよ
仲間とタイミングを合わせてパラドクスを発動し先制攻撃を行う
合わせる、行くよ
撤退しようと身を翻す者がいればグラナトゥムで進む先を銃撃し足を止めさせよう
お前達には情報は渡さないし持ち帰らせない
生き残った敵は急所を狙ってくる
残像に惑わされぬよう、仲間が攻撃しやすいよう後退しつつグラナトゥムの銃身で攻撃を受ける
多少の負傷は気にしないよ
情報を持ち帰らせないための必要経費と思えば安いもの
仲間からの通信にも注意を向け、取りこぼしのないようにしないとな
先日の戦いの戦果がこんなに早く活きるなんて
――過度に奮い立つ心はグラナトゥムに流そう
●敵勢、沈黙
「状況の把握ができないまま無闇に動くのはリスクが高いものな」
一角・實生(深い潭・g00995)は、勝利王セレウコスの判断に、他の亜人とは異なる慎重さを感じて、ひとり頷く。
「――けれど、今回はそれが相当な裏目に出る形だね」
皮肉な話だね、囁くように言って、微かに笑う。
立派な城塞だこと、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)はのんびりと辺りを観察しつつ、銀の瞳を細める。笑みの形にも、剣呑な形にも取れる表情で、
「勝利王……いよいよご尊顔が拝めそうとはな――牙城を崩す良い機会だ」
腕が鳴るね、そう告げるラヴィデの声は、通信機の向こう、朗らかに響き。
「了解。勝利王の名を崩す一手としよう」
實生も薄く微笑んで、相棒である大口径のセミオート式狙撃銃を抱えるように引き寄せた。
スコープを覗けば、街道をゆくゴブリン暗殺者の一行が、はっきりと見える。肉眼でも視認できるのではあるが――その動きを見て、端末に情報を囁き、二人が仕掛ける位置を調整する。
『合わせる、行くよ』
その声に、「お先に」と端末に囁き返したラヴィデは、その場で弓矢を番え、きりきりと引き絞る――街道をのろのろ動くゴブリンどもへ、限界まで引き絞った矢を放つ。
矢は、風に溶け、刹那、燃え盛る呪詛の矢となって、一群に降り注いだ。
「ギャ!」
「て、テキか!?」
突如と雨のように降り注いだ火の矢に、ゴブリンどもは慌てふためき、ラヴィデを振り返る――攻撃すると、居場所は知られてしまう。
だが、そんなことは充分に把握している。
「やあ、来たよ」
ラヴィデは挨拶と共に、微笑みを向けた。
直後、ゴブリンらの無防備な背を、白色のいかづちが撃つ。ぱんと爆ぜるような衝撃を不用意に喰らったそれらは、目が零れんばかりに広げて、膝を突く。
「ぐ、ゥ……でぃあぼろす、め」
敵の策にかかったと気付いたゴブリンは、忌々しげに呻く。その場に留まるのは危険だと、物陰から實生は跳び出しながら、翠の瞳で、敵を見据える。
「お前達には情報は渡さないし持ち帰らせない」
静かな声音は自らの決意を口にしただけだが、ゴブリンらには挑発のように響いたようだ。
ぎっと睨み付けてきたかと思うと、それぞれに飛び起き、駆け出す。その速度は、瞬間的にはかなり早く。それらの姿が、黒い影のようにぼやけ出す。
それを見、ラヴィデは口の端に薄い笑みを湛える。
「幻で惑わしての急所狙い、ね……オレもよく用いる戦法な分、手口は分かるよ」
自ずと實生と背中合わせに、敵を迎え――じっと見つめていると、敵の姿は分裂して見え、現在地が解らぬ……それが、三体。
ならば、じっと見なければ良い。相手が踏み込む音を聞き、体格、動きの癖から、狙うであろう急所を守る――。
いつしか持ち替えていた剣の柄で、鳩尾を抉らんと繰り出された刃を、押さえ込んだ。
結果、その刃が裂いたのは、ラヴィデの袖先で……彼は肌の表面に鋭いものが奔った感覚を知りながら、
「鈍らだな」
敢えて、煽る。同時に閃く、左右からの短剣を、同じように軽く手首を捻って剣で受け流す。
敵は急所狙い――それを悉く退けたのなら、今、負った傷は軽傷と呼ぶのも大袈裟に思えた。そんなものか、銀の瞳でそう語り、彼は強く前へと踏み込んだ。
「もっと美しい幻でも見せてくれればねぇ――炎の彩を添えてあげよう」
ちょっと通るよ、と無造作に剣を薙ぐ。
彼の刃は、ふっと掻き消え……刹那、ごうごうと盛る炎を帯びて、周囲を一閃した。至近距離に迫っていたゴブリンどもの喉笛を掻き斬った。
その、背後――實生は懐深く跳び込んできたゴブリンに合わせ、後ろへ倒れ込むような姿勢で跳んでいた。
銃身で、刃の狙いを逸らしながら、引鉄を引く。
「溟い汀に漂うのは――ちからの残滓だ」
カッ、と走った雷が視界を白く染める――後ろへと滑り込みながら、姿勢を変え、即座に次の敵へと視線を送る。
横から躍り掛かってきたゴブリンの一刀が肩を掠める。
身体を捻って銃を斜めに振り上げ、刃が深く肌に食い込むのを防ぎ――再び、撃つ。
白煙を上げて倒れ込んだゴブリンを冷静に見つめながら、少し熱を帯びた肩を何でもないように撫でて、駆ける。
(「情報を持ち帰らせないための必要経費と思えば安いもの」)
残る敵は、と視線を素早く走らせれば。
何とか生き残ったが弱り切ったゴブリンへ、ラヴィデが禍々しい炎を灯す剣を振り下ろしていた。
「断末魔ひとつ、上げさせないよ」
黒衣を纏った暗殺者は。背から大地に串刺しとなって、絶命する。
これで最後かなと何事もなく言う彼に、實生は頷く。
そして、至近に聳え立つ城塞をしみじみ仰ぎ、
「先日の戦いの戦果がこんなに早く活きるなんて」
言って、實生はグラナトゥムを強く握る。勝手に昂ぶる心を……強い感情が生む予断を、呪いを、銃へと流して、心を落ち着かせる。
まずは第一段階。ここからが、作戦の肝要なのだから――。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
これで誘き寄せられるといいんだがな
安い挑発で打って出るってなら本当に紛い物だな
俺なら打って出るなんてせずに嘲笑う。勘違いしたければさせればいいんだがらな
【行動】
俺は大声で挑発しようか
どうやら敵は自分の力
暗殺術に余程の自信があるらしい
そんな敵なら格下と思われる者に侮られるのはとんでもない屈辱に違いない
まずはパラドクスにの弾丸を上空に放ち爆発させて視線を引いてから大声で仲間と話すように挑発する
ここを守る愚かな亜人共は俺たちが外にいるってのに戦うこともしない臆病者のようだな
もしかしたらさっきのゴブリンの方が強いんじゃないか?だから中の奴らも出てこないんだな!
弱者は砦の中で震えていればいいのによ!俺たちの邪魔さえしなければ命だけは助けてやろうぜ!
というような感じで嘲るようにいうかな
ギャハハという笑いもつけよう
臭うという理由から近づけさせないなら
さっき戦ったゴブリン達と比較したらより怒らせられるんじゃないかな
仲間と積極的に連携し協力する
必要なら臨機応変に対処する
一角・實生
下手に小細工するより率直に挑発と取れる行動をした方が良さそうだ
まあ、言ってしまえば下品な挑発……と
そういうのあまり好きじゃないし得意でもないけれど、やるしかないね
籠城しているその城壁をまずは観察しよう
城壁の窓や狭間から顔を覗かせる亜人はいないかな
顔を出した瞬間に奴らには当たらないぎりぎりの位置をグラナトゥムで銃撃してみるよ
再び顔を出すなら似たような場所を撃つ。これを繰り返す
呆れたように肩を竦め、翼も煽るように何度かはためかせて
指差したり敵に背を向けながらも視線は敵から外さずいたり
こいつらは駄目だよ
俺達の方が明らかに数が少ないのに出てこない
ただの腰抜け集団じゃないか
わざとらしく大きなため息をひとつ
演技系は自信がないし実際に下手なので
手で顔を覆うなり若干大袈裟な動きでカバーもしよう
銃撃に顔を引っ込めなかった敵には手招き
お前はほんの少しだけ他より骨のある奴みたいだ
いいね。やるかい?
こんな感じかな、もっと連続で撃った方がいいかい
【パラドクス通信】で仲間と打ちあわせつつ誘き出そう
●嘲弄
防衛に徹した山の長老・ハサンと、それに従う暗殺教団員らは、まだ見回りに行かせたゴブリンどもが帰らぬことに気付かない。
亜人というのは命令を素直に聴き、遂行する者もいれば、なかなか移り気な者もいる。予定時刻を過ぎようが、儘あること、と見なしているのやもしれぬ。
もっとも、ディアボロス達に、それらの予定など知るよしもないのだが……。
問題は、ハサンらを、セレウコスの指示を破らざるを得ぬほどに憤怒させる、その方法だ。
「どうする? といっても、策は決まっているんだが」
荒田・誠司(雑草・g00115)の問いに、一角・實生(深い潭・g00995)は頷く。
「下手に小細工するより率直に挑発と取れる行動をした方が良さそうだ――まあ、言ってしまえば下品な挑発……と」
はあ、と気乗りしない吐息を零し、實生は困ったような笑みを浮かべる。
「そういうのあまり好きじゃないし得意でもないけれど、やるしかないね」
「ああ、折角演じるんだ。巧く引っかかってくれることを願うとするか」
対する誠司も、肩を竦めて見せる。
さて、一芝居うつ前に――二人は城塞をよく観察する。實生が注目したのは、壁より周囲を覗く亜人がいないかどうか。
アンティオキアは、現状、ディアボロスの襲撃を知らぬ。ゆえに、何処まで警戒を強めているか。先程のゴブリンの様子を見ると、さほど警戒度は強くなさそうだが。
(「狭間から見てる奴はいない……かな」)
或いは極めて頻度が低いか、だ。實生は少々失望を覚えたのだが、プランは変わらぬ。愛銃を構えると、いつでも狙撃可能な状態に持ち込み、始めるぞ、という視線を誠司と躱し、撃つ。
石を撃つ、独特の音色が響き、にわか、内部が騒然となった気配がする。
先程まで放置されていた狭間より、山羊角が覗く。
そこに撃ち込むと、パラドクスによる反撃を喰らう可能性が高かったが――實生は構わず撃った。
ギュンと唸る弾丸の雨に、はっと顔色を変えて、暗殺教団員は顔を引っ込める。
今度は、誠司が銃を天に向け、発砲した――。
刹那空に広がる嵐。突風が周囲の塵を巻き上げて、けたたましい爆発を連鎖させていく。焦臭さと熱を周囲に撒き散らす。
明確な、パラドクスによる示威行為――。
それでも、城壁の向こうで動かぬ亜人らを、誠司は「ハッ」と思いっ切り嘲った。
「ここを守る愚かな亜人共は俺たちが外にいるってのに戦うこともしない臆病者のようだな」
張り上げた声は、爆音の後だというのに、思ったよりも通りよく響いた。
ばさりと白い翼をはためかせ、實生は顔を手で覆って、やれやれと呆れたようなジェスチャーをする。
「こいつらは駄目だよ、俺達の方が明らかに数が少ないのに出てこない――ただの腰抜け集団じゃないか」
言って、深い溜息をつく。解りやすい嘲弄をと意識するあまり、つい演技が仰々しくなるが――向こうからすれば、これくらいが一番よく響くだろう。
そうだな、と相槌を打ち、誠司は畳みかける――。
「もしかしたらさっきのゴブリンの方が強いんじゃないか? だから中の奴らも出てこないんだな!」
一拍、反応を窺ってみる。少しだけ反応があるような――何かが割れる様な音がしている。
「ここまで言われても動かないんだ、無駄だよ。きっとアンティオキアは腰抜けの国なんだ」
いっそ背を向け、實生が告げるや、誠司がギャハハと笑う。
「弱者は砦の中で震えていればいいのによ! 俺たちの邪魔さえしなければ命だけは助けてやろうぜ!」
わざとらしく嘲笑しながら、誠司は内心溜息を吐く。
(「これで誘き寄せられるといいんだがな……」)
――片や、誠司は冷静な頭でこうも思う。
(「安い挑発で打って出るってなら本当に紛い物だな」)
作戦は妥当なものだ。こうして、自分達は敵を誘き出すため挑発しているのだ。即ち、城壁内部に突撃するのは危険だと判断している――戦いの優位性を守るならば、籠城は正解なのだろう。
(「俺なら打って出るなんてせずに嘲笑う。勘違いしたければさせればいいんだからな」)
果たして、彼の思案が完了する一瞬に、あちらもバタバタと騒がしくなっていた。
實生がスコープを覗けば、一度は引っ込んだ暗殺教団員らが、こちらを窺うように狭間から覗いている。
ならば、と彼は銃撃を再開する――。
石を撃って跳ね返る跳弾の音に、ぎょっと首を引っ込めるのではなく、憎らしげな……或いは、悔しげな表情を此方に向けてくる。
そんな、銃弾に顔を引っ込めなかった相手に、實生は手招きしてみせる。
「お前はほんの少しだけ他より骨のある奴みたいだ――いいね。やるかい?」
「……っ!」
「なんだ、やっぱり腰抜けか!」
にやっと不敵に笑う、ディアボロス達へ。
侮辱に顔を紅潮させたそれらは、皆、顔を引っ込めた――。
そして。
バリン、ガシャン、ドン……と城壁の向こうで狂瀾の音色を奏でたかと思うと、戸が開き――どっと暗殺教団員らが、駆けだして来た。
「我らを嘲ったことを、後悔させてやる――!」
望むところだと返しながら、ゴーグルの向こう、誠司は様々な思いから目を細め。實生は相手に見られぬよう、胸を撫で下ろすのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
●屈辱のハサン
山の長老・ハサンは、手にしていた杯を地に叩きつけ、割った。
それでも収まらぬ怒りと屈辱に、老人の手が戦慄く。
「おお、長よ……!」
暗殺教団員らも、戸惑いと恐れと、それ以上の怒りに震えている。
壁の向こう、ディアボロスの挑発は確り届き、一方的に攻撃されるという――無防備な相手の隙へ攻撃せずに耐える、という、極めて消極的な行動をとったこと。
それは亜人らの矜持を大いに傷つけていた。
「ここまでコケにされ、出撃せぬわけにはいかぬ――我らの恐ろしさ、愚か者どもに刻み込んでくれる!」
周囲におかれた備品に当たり散らしても収まらぬ怒りに、いよいよハサンは立ち上がり、叫ぶ。
「者ども、であえ――我らが力、見せてみよ」
「はっ!」
複数の声が、綺麗に揃い、ハサンより先に、外へと飛び出していく。
――それが愚策であったかどうか……それは、この先の戦いで決まる。
ヴィオレット・ノール
うん。無事にと言うか、まんまととでも言うか……出てきたね。
籠もられる方が厄介だから素直に喜んでおこう。
将が深慮でも、末端がこれではその苦労たるや……まあ、亜人共にかける情けも何もありはしないけれどね。
それじゃあ、一匹残らず駆除しよう。
奴等は厄災そのもの、百害あって一利なし、だ。
殺してしまうのが一番良い。
ふむ。これは……複数体による連携の技、だろうか。
ひとまず武器で受け、蹴りで勢いを削いで……一撃あたりはやや軽い、かな?
その機動性は厄介だけれど、このくらいの威力ならいくらか多めに反撃を受けても大丈夫だと思う。
星月の杖を数度振るって、『吶喊する火種』を呼び出そうか。
同時に狙えるのは3体。連携して動く個体それぞれを狙ってみようかな。
爆ぜなよ、亜人共。
弱っている敵を優先して狙えたら良いけれど、丁度良いのがいなければこちらでどんどん削っていこうか。
削れたら止めを刺すのはお任せしよう。こういうのも連携、なのかな。
可能な限り、味方と死角を補い合えるように立ち回りたいね。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
いやぁ、むかつくように挑発した甲斐があったと喜ぶべきなのか。あんな安い挑発で出てくるなんてって呆れればいいのか分からなくなりそうだ
冷静ぶっててもやっぱり亜人は亜人だったってことだな。情けない
【行動】
パラドクス通信で連絡を取り合い積極的に連携していく
盾のフェイク・プリドゥエンは背負って背中側の死角を補い
前方からの攻撃は電光警棒で防ぐ
最初は防御に徹してエアライドで空中を何回跳べるのかなどの情報収集を行い
それを基に特定回数を跳んだ敵や自分を攻撃してきた敵に対して電光の鞭を伸ばして捕獲
そのまま一人を集中攻撃して倒す
連携は強いがその代わり、味方が一人でも倒されれば混乱が生じる
そう簡単には一人の隙を埋められないはずだ
こちらも仲間と連携して一人ずつ対処しよう
電光の鞭は長さは決まっているがその間の中なら軌道を自由に操作できる
不規則に軌道を操作して敵を翻弄してやろう
必要なら臨機応変に対処する
ラヴィデ・ローズ
暗殺者を名乗るには随分と感情的だなぁ
亜人は亜人ってところか
なぁに、話が早くて助かるって話さ
ご足労感謝
パラドクスは『レゼル(長剣)』にて
斬撃に伴う残像でまず鎖の狙いを乱すことで
不完全な拘束のまま、もう一方の敵を踏み込ませる
全精神を研ぎ澄ませ、意表をつきそこを断つ
――といった狙いでいこう
考えられた連携だが
信じすぎるのも如何なものかな
だから足元を掬われる
こんな風に、ね
跳躍して宙にいる間は比較的無防備だろうし
斬り飛ばす敵をぶつけ足並みを乱す間にもう一体、もいいね
ともあれ、ディアボロスの力も連携が肝
狙い合わせ、手早く減らしてお得意の複数での同時攻撃戦法を阻もう
足場に使われそうな壁や岩もパラドクスに巻き込み壊す
死角になる遮蔽は少ない方が今回は戦いやすそうだ
あとは仲間同士、背を預けあえばやりやすいね
急所を庇う意識は常に。敵の攻撃はなるべく武器で受けたい
亜人の口走る「兄弟」にはどれ程の重みがあるのか
オレはねぇ……いつも考えるんだが
想う心があれば無辜の人から奪う筈もないか
よかったよ
キミたちが、ただの外道で
一角・實生
敵には見せないけれど安堵の息をひとつ
うまくいって良かった
正直これ以上は何を言えばいいか悩んでいたところだった
パラドクス通信でこっそり胸の内を明かそう
揃う声に彼らの連携を警戒する
ひとりが多数から狙われる事態とならないよう、仲間とつぶさに状況を報告し合い連携していく
こちらも複数なんだ
背中側、側面
ひとりでは対応仕切れない部分を仲間で補い合うよう動きたい
仲間が攻撃する敵の息の根を止めることを重視しよう
この得物ぶん、俺は戦況を広く見ることができる
狙いを定めパラドクスを発動
戦場に残る命中アップのちからも借りて確実にとどめを
敵が操る鎖はグラナトゥムを巻き込ませて可能な限り拘束を緩めたい
そしてエアライドに似た効果――俺だったら死角からの最適経路を見出すのに使うな
だから、俺もエアライドで最適な回避且つ仲間が攻撃可能な位置へ跳ぶ
連携はお前達だけの特権ではないよ
種族の特性や気質を抑え込むのは難しいものだよな
でも、例えそれに成功しても結果は同じだったと思うよ
――お前達はクロノヴェーダだからね
●連携
「いやぁ、むかつくように挑発した甲斐があったと喜ぶべきなのか。あんな安い挑発で出てくるなんてって呆れればいいのか……」
荒田・誠司(雑草・g00115)はゴーグルの下、複雑な表情を浮かべて呟く。
『うまくいって良かった……正直これ以上は何を言えばいいか悩んでいたところだった』
敵に見えぬよう安堵の溜息ひとつ、一角・實生(深い潭・g00995)がこそっとパラドクス通信で囁いた。
まあ、いいじゃないか――ヴィオレット・ノール(北の菫・g09347)は言う。言うが、二人の意見には同調している。
「うん。無事にと言うか、まんまととでも言うか……出てきたね」
彼は残念なものを見るような表情で敵を見る――籠もられる方が厄介だから、喜ぶべきことだけど。
「暗殺者を名乗るには随分と感情的だなぁ――亜人は亜人ってところか」
ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)はのんびりと断ずる。
「冷静ぶっててもやっぱり亜人は亜人だったってことだな。情けない」
それに首肯する誠司に、ヴィオレットは肩を竦める。
「将が深慮でも、末端がこれではその苦労たるや……まあ、亜人共にかける情けも何もありはしないけれどね」
――実際、彼らが命令だから、と籠もっているフラストレーションを刺激した。
その壁を越えられなければ、この城塞を崩す事など叶わぬ……敵が憤懣に駆られているならば、感謝するまで。
敵が冷静であろうが忠義者であろうが、それらと正反対であろうが――なすべきことは、徹頭徹尾かわりはしない。
「それじゃあ、一匹残らず駆除しよう。奴等は厄災そのもの、百害あって一利なし、だ――殺してしまうのが一番良い」
静かな声で、ヴィオレットが言い放つ。
山羊の特徴を備えた亜人らは、カタールを手に、ディアボロス達へと最後の距離を詰めんとする。
「我らを侮辱した報いを受けよ」
精悍な顔の、剣呑な光を宿した双眸にじろりと睨まれ、ラヴィデは柔らかに笑った。
「なぁに、話が早くて助かるって話さ――ご足労感謝」
逆巻く呪炎を長剣に纏わせ、突き出す。
ひゅっ、と風が裂く音が駆け抜けた刹那、暗殺教団員は、大袈裟に貌を庇った――竜に灼かれる幻像に惑わされ、目測を誤る間、その身体に無数の疵が走り、鮮血を撒き散らす。
くっ、と苦痛に呻くも、
「兄弟!」
「ああ」
ひとりが、拳を突きつける。手甲から、ラヴィデへと鎖を巻き付け、片や、一方の男は跳躍した。空中で細かくステップを刻むような動きで、斬り込んで来る。
一瞬のコンビネーション。
警戒していたラヴィデの袖口が、風に煽られたように揺れたと思うや、ぱっと朱が散った。しかし、彼は動じぬ――ふぅん、と相手を見極めるような眼差しで見つめ、さっと鎖を振りほどき、間合いを取り直す。
更に視線を巡らせれば、第二陣が跳びかからんと低い姿勢をとっている――そこへ。
「ここだね」
實生が、彼らの握る刃を狙って、狙撃する。
虚を突かれた暗殺教団員は両腕に凄まじい衝撃をうけて、跳び退く。
「こちらも複数なんだ――囲ませはしない」
「チィッ!」
歯を食いしばり、それらは實生へと鎖を放つ――複数体が、同時に動く。一気に距離を詰めてくるその瞬間ばかり、止めることは敵わぬ。
彼は鎖を銃で受けとめ、自身も地を蹴った。恐ろしいのは正面の敵ではない。死角を狙われるのだから、今の死角を庇うように逃れれば良い。
その考え方で、正しかったようだ――ぴっ、と何かが引っかかる感触を背に感じるが、痛みと呼ぶほどでもない。
實生が翼を広げながらふわりと着地しながら、ぴしゃりと告げる。
「連携はお前達だけの特権ではないよ」
彼を仕留めるべく、純粋に追っていた亜人らは、はっと息を呑む。
昼間であっても鮮やかに輝く電光警棒。
否、その警棒より先に伸びる雷撃そのものの鞭の軌道、そのスパークを眼前に、亜人らは動けなかった。
「電流量制限解除、最大出力!」
そう誠司が発し、振るう。
乾いたような、バチンという衝撃が彼らを襲う――居並んでいなくとも、距離を超え貫くしなやかな雷霆に、一人、白煙を上げて崩れ落ちる。
「兄弟!」
「暗殺者が、湿っぽい声をあげるもんじゃない」
冷ややかに、誠司は呟く。しかし、これで一人……彼は双眸を鋭く細め、カウントする。
「そう簡単には一人の隙を埋められないはずだ」
「っ……兄弟よ!」
号令ひとつ、彼らは誠司に向けて、次々と跳びかかって来る。
背中の死角は先の戦いと変わらず、盾に委ね。警棒を構えて彼は応じる。
空中を駆けて強襲してきた亜人らの中を掻い潜るように突進し、振り下ろされるカタールを強引に弾いていく。
渾沌となった戦場の中、ふらっと佇んでいたヴィオレットが、殺気を感じ……白髪を揺らして、振り返る。
「覚悟――!」
「ふむ。これは……」
正面から挑んでくる暗殺教団員の一撃を、ひとまず杖で受けつつ――これも、結構腕にくる――ヴィオレットは次に横から斬り込んで来る敵をしのぐべく、杖の先を蹴って弾ませ、薙ぎ払う。
とはいえ、それは攻撃のテンポを、ややずらした程度のこと。両のカタールを振り下ろされ、生じた剣風が、ヴィオレットの身体に届き、じわりと血を滲ませる。
それでも、
「……一撃あたりはやや軽い、かな?」
そう、うっすら微笑んで。彼は守りのために正面に構えた杖を、そのまま相手に突きつける――。
「爆ぜなよ、亜人共」
その杖の先は。
唐突に、シンプルに、爆ぜる――。
ヴィオレットへと詰めていたそれらは、一気に吹き飛ばされる。赤黒く焼けながら、亜人らは、小さな呻き声で苦痛を堪える。
「さ、どんどん削っていこうか」
埃を払うように杖を薙ぎ、ヴィオレットは穏やかな調子で、そう告げた――。
踏み台によい岩場を、踏み切る直前に破壊された暗殺教団員らは、狙った高度を出せず、半端に滑り込んでくる――その身体捌きは亜人であることも含め、特別隙のあるものではないが――。
「もう動きは読み切った」
誠司は断言し、警棒を垂直に叩き込む。
実際に亜人らの身体を撃つのは、その先に伸びる雷電の鞭だ。切り返しの限界を見極めた彼の一閃は、足を止めた瞬間を狙って、走る。
悲鳴もあげぬまに脱落していく兄弟の姿を尻目に、距離をつめるそれも――カタールの鋒が、彼の黒衣を裂く替わり、横から首根を抉るような斬撃に襲われた。
ラヴィデは幻影を見せる技を最大に利用し、亜人らを掻き乱す。先に岩場を砕いたのも彼である――攻撃のついで、或いは合間に……明確な遮蔽物や、目に付いた地盤を軽く崩して、仲間達を援護していた。
夥しい血を流しながら、亜人が腕を前へと伸ばす。
何とか搦め捕ろうと放たれた鎖は、ラヴィデが庇うよう差し出した刀身に緩く絡んだ。
その瞬間、横から飛び出してきた相手に、彼は流し目を送る――。
「考えられた連携だが、信じすぎるのも如何なものかな……だから足元を掬われる――こんな風に、ね」
しゃ、っと鎖ごと剣を引く。武器は高く上がらぬものと考え、上を取る形で躍り掛かった亜人は、ラヴィデの頭上で真っ二つになる。
「くっ……兄弟!」
悔しそうに歯がみするそれらへ、彼は銀の双眸を細め「兄弟ねえ……」と、零し。
「亜人の口走る『兄弟』にはどれ程の重みがあるのか」
淡淡と――ラヴィデは独り言のように言う。
「――オレはねぇ……いつも考えるんだが、想う心があれば無辜の人から奪う筈もないか……よかったよ。キミたちが、ただの外道で」
そういう風に出来た対立存在同士。理解しあえるはずもない――。
呪炎で歪んだ視界の向こう、ラヴィデの冷静の剣閃が、またひとり、それらの首筋を掻き裂いた。
俗悪の儘、報復へと走ろうという亜人の手元、武器が正確に射貫かれる――實生の掃射で深い亀裂を走らせようと、砕かれようと……今度こそ、両腕がずたずたになろうと、亜人は止まらぬ。
兄弟同士、呼びかけ合い、空へと躍る。その姿を、翠の瞳で見つめ、口を開く
「お前達の絆がニセモノだ、とまでは思わないけど」
ひとつだけ同情するよ、實生は静かに告げる。
「種族の特性や気質を抑え込むのは難しいものだよな……でも、例えそれに成功しても結果は同じだったと思うよ」
しかし、彼は軽く首を左右に振って……冷徹なる銃口を突きつける。傷ついた刃が、彼の相棒を打つが、鈍い金属音が響くだけ。
それを跳ね返しながら、彼は高く跳躍する。宙を蹴って、彼らより少し上をとりながら、引鉄を引く。
「――お前達はクロノヴェーダだからね」
先程より近い距離から凄まじい銃声が響き、見合う速度で、肉を容赦なく穿っていく。
「ぐっ……」
命こそ繋ぎ止め、地に膝を突いた亜人は、ぐっしょりと血に濡れていた。無事な兄弟は何人いるのか――確認するよりも先に、無慈悲な声が山羊耳に届く。
「おっと、休むのはまだ早いよ」
杖をふり、ヴィオレットは爆発する火種をばら撒く。
爆風に吹き飛ばされた者が、絶命したか否か、彼はさほど気にしなかった。
「任せたよ」
「ああ」
すかさず、誠司が雷の鞭を振り下ろす。
無駄のない一挙によって強か打ち据えられた最後の暗殺教団員は、真っ黒に焼け焦げ、地に倒れ込んだ。
「こういうのも連携、なのかな」
兄弟でなくとも、協力しあって戦うことはできる――揶揄するように言って、残された指揮官を、静かに振り返る。
「さて、殲滅まで、残り一体だ」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【エアライド】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【グロリアス】LV1が発生!
●残る者
山の長老・ハサンは苦々しい表情で、戦場を見た――酒の酔いもすっかり冷めている。
だが、彼は決して窮地に困惑しているわけではない。
「そうだ、命を賭けた戦い――強者を蹂躙する、これぞ、亜人の本領よ」
物静かな声で、そう告げた。
その声音を聴く限り。そして表情を見る限り、ハサンに、既にディアボロス達へ憎しみはないようだ。
いっそ喜びを向け……深く煙管を吸い込みながら、「殺し甲斐があるというもの」と、ただ笑った。
●応酬
山の長老・ハサンの前で。
ふぅん、とブロス・ブラッドハート(深紅の稲妻・g03342)は大きな目を瞬かせ、
「ディアドコイのホンリョーとか、よくわかんねぇけど――闘争本能ってのなら、わかるぜ」
彼には長大すぎる印象の、深紅の大剣を正面に構えた。
ニッ、と牙を見せて、ブロスは笑う。赤茶の髪が、金に近い煌めきを放ち、彼は地を蹴る。
尾を高く振り上げ、翼で風斬り――彼はハサンへ一足で距離を詰めると、胸先で大きく旋回する。
「邪魔するなら容赦はしないぜ!」
言うや、ぶんと唸るは、大剣であり、尾である。
剣振り回し、尾を叩きつけ――ブロスを中心に雷嵐が起きたよう、激しく。
大雑把、大ぶりな乱撃なれど、ゆえに強烈な力で叩きつけられる衝撃が、ハサンを襲う。
一歩、二歩と、押されながら――翁は「ほう」と感心の声を上げる。
「これは小僧と侮れぬか」
「ジィさんもな!」
互いの間に散る、小さな火花。
何時抜いたかもわからぬ短剣で、嵐のような大剣の乱撃を弾いた相手に、ブロスは不敵に言い返す。
短剣を逆手に――片手で山羊髭を撫でたハサンは、ふっと唇をすぼませ、煙を吹きつける。
直感的に、距離をとったブロスは。
視界を覆う白煙が、真っ暗闇に変じた瞬間、身構えた。
刹那の、はてしない闇と、唐突なる無音を前に、彼は溶け込むように目を伏せ――感覚を研ぎ澄ませ、膚に触れる痛みを頼りに、赤の瞳を、かっと開いて暴れ出す。
でたらめな大暴れに、小さな弧を描き走ったハサンの短剣は――急所狙いを、的確すぎるがゆえに、弾かれた。
腕に流れた一筋の血を、適当に拭って、ブロスはそんなもんかと問い掛け笑う。
「やるようじゃな――しかし、暗殺教団の教導役は、こんなものではない……」
静かに短剣を構え直し、そう口にしたハサンへ。
「有象無象に湧いて出てくる亜人共めが――達人気取りか」
ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)は敢えて挑発を投げる。
「略奪も蹂躙も、斯様な題目を唱えれば暗殺と聞こえようか、浅はかな考えよな」
金の瞳で睨み据えた麗人は、誘うように腕を伸ばす。
しなやかな四肢で身を包む薄絹を揺らし、舞踏の所作で優美に構え――指先をくいと曲げ、来い、と促す。
ハサンがそれをどう捉えたかはわからぬが、彼女に向かい冷笑を浮かべると、
「何、貴様の相手をするは儂ではない――貴様自身よ」
手元の短剣を叩き合わせ、キィンと高い音を立てる。
すると、ナディアの目の前に、ナディアそっくりの幻が現れる。
彼女が柳眉をひそめたのは……困惑ではなく、ただの不快感であろう。
「私の術が亜人如きに真似ができるものか――その身で味わえ!」
ナディアは激したように狐耳を欹て、尾を逆立て、詠唱する。
「喰らえ『アルバリ』 第23星宿 血の盟約により我が声に応えよ 古ノ腕爪は絶対の流れ 数多に蠢き 災禍を払え」
瞬間、ナディアの幻覚は、地を割り現れた人の丈ほどのある巨大な爪に、引き裂かれる――驚くは、それと同時に、ハサンの身体が大きな爪痕で引き裂かれたことであった。
「驚嘆に値する――だが、まだじゃ」
老人は、嗄れた声で告げると、再びナディアの幻覚が同じ場所に立ち。
先程のナディアとそっくりそのまま、『飲み込む者の守り星』を唱える。
彼女の影より伸びる爪を、ナディアは軽やかに跳躍して躱す……艶やかな髪の先が、途切れて地に引きこまれていく。
だが、未だ終わらない――暗き影のしつこさをよく知る彼女は、休むことなく駆けながら、反撃の詠唱を終える。
「自分の術を返されて慌てるとでも?」
侮るな、ナディアは低く告げ、再び幻に術を叩きつける。
爪に裂かれて消えた幻の後ろ、ぐっと胸を押さえたハサンに。
「こっちのことも忘れるなよ! 行くぞ、相棒!」
ブロスが躍り掛かる。大きく振りかぶった相棒――紅角刀を、その山羊角をへし折らんばかりに、垂直に振り下ろす。
ぐ、と老人は呻いて、短剣を盾に受け止めようとするが、ずぶりと刀身が肩に沈み――更には、その尾に叩かれ、横薙ぎに吹き飛ばされる。
ハサンは衝突に逆らわず、跳び退いたようでもある。それは、攻撃直後の体勢不安定なブロス目掛け、再び闇を広げて短剣を閃かせる。
その身体捌きは老獪かつ隙のない流麗なものであったが、闇に臆さぬブロスは痛みを反射に、刃の及ばぬ先まで、するりと逃れてしまう。
果たして、攻撃後の隙を狙われるのはハサンの番となり――ナディアの這わせた影、足元から飛び出す爪に直接斬り裂かれる事となる。
「ほら、本領とやらを見せてみるがよい」
玲瓏と響く声でナディアが煽り。
「おう、まだまだ、奥の手はあるんだよな!」
額の角を振り上げ、ブロスはにっかりと笑うのだった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
殺し甲斐ときたか。なるほど、あんなつまらない挑発で出てきただけのことはあるな
直近の敵にばかり目を向けているから足元が疎かになるんだぜ
【行動】
仲間とはパラドクス通信などで連絡を取り合い積極的に連携していく
最初は敵に気づかれないように自分の周囲にパラドクスを使用した罠を設置
地面に仕掛けるタイプで足を踏み入れれば蜘蛛の巣状のワイヤーが敵を捕えるという物だ
敵が俺の視界を封じ聴覚での索敵も困難にしてしまうというなら
近づいてくるというのを逆手に取り捕らえればいい
無音なのは動作だけだ
呻き声といった何らかの声を上げるなら聞こえるはずだ
上手くいけば追い討ちをかけられるかもしれない
仲間が攻撃する良い隙にもなるだろう
それからフェイク・プリドゥエンを背負って背面からの強襲のダメージを受けにくくして
前方は電光警棒を構えて防ぐ構えを取って油断を誘う
必要なら臨機応変に対処する
ラヴィデ・ローズ
亜人はいいねぇ
欲望に忠実。悩みなんかなさそうだ
レゼルは放る
パラドクスでの身体能力強化が
どの程度煙に対抗できるか
いずれにせよ長期戦をしたい状況でもない
地を宙を蹴り付け、派手に仕掛けていこう
共闘相手がいれば
互いの後隙を補う、畳み掛ける連携を心掛ける
避けようとして避けられるもんじゃなさそうだし
敵の攻撃は極力『竜爪』や腕で庇う意識
踏み込みの深い急所狙いなら
逆に、傷付こうと刃ごと握りしめる意気でいる
なんたってこっちは「二本」あるからね
煙と同じに消え回られては厄介な中
引き付け、捕えた、一瞬ならば
肉を切らせて骨を断つが叶いやしないか
残る腕で不意打ちの反撃を叩き込みたい
ふっ、と
憎み厭うてきた戦場の
過日以来、高揚感に血が騒ぐのは
竜の所為か、それとも
――わかるよ
とは言いたくないなぁ
愉しい、悦ばしいなんてのに
そうやって殺し合いが生の全てになる程
ヒトをやめたつもりも、やめるつもりもないんだ
このナリで言っても、か?
オレが笑うのはやっぱりそんなしょうもないこと
爺さん、それじゃあね
あんまり寿命縮めたら、怒られるからさ
●陥落
山の長老・ハサンは、僅かに息を乱し、ディアボロス達と対峙し続ける。
髭を撫で、煙管を吹かし――余裕めいてはいるが、疵の痛みを堪えるための薬草の類であろうと、荒田・誠司(雑草・g00115)は見た。
「……儂らの獲物はこれくらいで丁度良い。殺し甲斐があるというものよ」
改めてそう零し、煙を吐くハサンに、誠司はただ溜息を返す。
「殺し甲斐ときたか。なるほど、あんなつまらない挑発で出てきただけのことはあるな」
「議論をする気は無い――好きに言うがよい」
老獪さを刻みつけた顔で、そんな返答をする。
殺しかぁ、としみじみラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が呟く。
蹂躙、殺戮、略奪、それらをひとまとめに生きがいなどと言えるのかと。
「亜人はいいねぇ、欲望に忠実。悩みなんかなさそうだ」
揶揄に違いは無いが、告げたラヴィデの声音は、空にそっと溶けるような、静かなものであった――。
軽く、誠司に目配せする。ゴーグルの向こうの眼差しは見えぬが、その首が軽く縦に動くのを認めるや、ラヴィデは剣を放り出し、強く地を蹴った。
とんと軽やかに宙を躍った彼は、更に宙を踏みつけ跳び、ハサンへと腕を伸ばす。
「もういいかい」
ラヴィデが嘯くや、その身に宿す呪詛を表出させ、紫黒の竜鱗で四肢を鎧う。
振り下ろす腕の先には、凶悪な竜の爪。
腕が描いた弧は呪炎をなびかせ、ハサンの胸を裂く……その、黒い外套の断片が、ぱっと風に舞っていく。
ほう、とラヴィデが目を細めたのは、その爪を、仕込み杖で受け止めていたからだ。
周辺に漂う独特な薫り――それがハサンの煙草の薫りであると認識するや、ラヴィデは後ろへと思い切り跳び退く。
白刃が斜めに走る。
その刀身が思ったよりも長かったのは……ラヴィデの退避が遅れたということか。あるいは、ゆらりと視界が揺れたからか。
いずれにしても、周囲を取り巻く煙の所為であろう。浅く腕に走った浅い傷を見下ろし、うっすらとラヴィデは笑う。
「口先よりは、やるみたいだね」
「ふん。こんな手もあるぞ――」
言うや、ハサンは唇を窄め、更に紫煙を吐き出す。
長く尾を引いた煙が、辺りに立ち籠めると――何も見渡せぬ、真っ暗闇。
静寂に包まれた深淵……そんな空間に、誠司は放り出された。
何も見えず、何も聞こえぬ――敵の姿も足音も探知できずとも、彼は微動だにせず、電光警棒を構え、そこに佇んでいた。
警戒している様子を見せながら、相手の手の内に捕らわれ、緊張した様子を装いながら、
(「――ネタが割れていれば、動揺することもない」)
其処にいるかどうかもわからぬ相手へ。誠司は、ただ告げる――。
「――見えないことは何もない証明にはならないぜ」
「ぐ、」
刹那、蜘蛛の巣型のワイヤートラップが、がっちりとハサンを捕らえた。
この闇の中では、布擦れも刃物の立てる微かな音も聞こえない――だが、脇から聞こえた呻き声を頼りに、誠司は横へと跳び、短く走った刃から逃れる。
「直近の敵にばかり目を向けているから足元が疎かになるんだぜ」
口元に、不敵な笑みを浮かべて、晴れた視界の中、全身をワイヤートラップで切り刻まれたハサンの姿を見る。
タイミングとしては間一髪だが、無傷で凌いだのならば、これ以上望む必要は無い。
「絶対無音の闇だろうと……近づいてくるというのを逆手に、捕らえればいいだけだ」
「おのれ……!」
「ここで激するようなら……やはり、三流だろうな」
暗殺教団とはそんなものか、と。
にこりともせず、誠司は淡淡と問いかける。
「何度仕掛けてこようが、無駄だ――試してみるか」
そういって警棒を隙無く構える彼の挑発に。反論もできず、悔しげに歯ぎしりしたハサンの首筋に、獰猛な爪が走る。
「……!」
「油断してるかと思ったのに――凄い凄い」
咄嗟に反応した敵へ、囃すようにラヴィデは笑う。
仕込み杖で首を庇ったハサンは、ざっくり裂けた肩口に顔をしかめる。全身から止めどなく血を流し、黒衣を重く湿らせているようだが、反撃の一閃は、思ったよりもずっと早く深い斬り上げだった。
鼻を擽る独特の香り。酩酊を誘うようなそれに耐えるよう、ラヴィデは膝を曲げ、鳩尾狙いの鋒を、むんずと掴む。
「……む!」
驚きに目を瞠るハサンへ、
「なんたってこっちは『二本』あるからね」
銀の双眸を眇め、ラヴィデは囁く。
いざ、更に畳みかけんと、ふっ、と息を吐いた瞬間――自分の頬に、口元に、笑みが綻んでいる事に気付く。
(「……憎み厭うてきたはずなんだけど――」)
過日以来、高揚感で血が騒ぐ。それは今、呪詛の力を解き放ち、戦うことで――湧き立ち躍る血のせいだろうか。
楽しい、悦ばしい……敵の一挙一動を見て、爪を薙ぎ、斬り裂き、疵口から灼く。苦痛に耐える表情も、勝機を見出そうとする悪あがきだとか。
(「――わかるよ、とは言いたくないなぁ」)
それに対応できる己を。敵が『本領』と喜ぶそれに重ね、似たり寄ったりかと自嘲する感情が、ハサンはギリギリと刃を引き抜こうと鍔迫りの間、一気に押し寄せてきた。
戦場にある空気を捉えて、楽しい、と感じるのは間違っている――再確認するように、呟くと。
「……殺し合いが生の全てになる程、ヒトをやめたつもりも、やめるつもりもないんだ」
「戯れ言を――生きるために、他者を屠る! それは生物の本能であろう」
やはり、亜人だね、思わず苦笑が漏れる。
「このナリで言っても、か?」
それは自嘲でもあった――命を蹂躙するための鉤爪に。炎を身体に纏わせ。ハサンの仕込み杖から手を離す。
鏡合わせのように両者は正反対に跳躍し、距離を取った。
途端、ハサンは誠司のトラップを踏み抜いて、脚に深々とワイヤーが食い込んだ。無理に抜け出そうとすれば、脚が千切れる――誰から見ても致命的であった。
「やれ!」
誠司が叫ぶ。彼は冷静に、パラドクスによる物理を越えた反撃に備えている。ハサンの一撃を恐れる様子は無いが、完璧に捕らえられたこの一瞬を、見逃す意味は無い。
ラヴィデは軽やかに全身で跳ねる。もう、あの不思議な薫りは漂っては来ない。
「爺さん、それじゃあね――あんまり寿命縮めたら、怒られるからさ」
そう告げて、ぐわりと頭を掴み取るように、竜の凶爪で掻き裂いた――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!