ハルファスのカテドラル

 港区を支配するジェネラル級アークデーモン『死と破滅のハルファス』は、港区の完全な統治すらままならない状態で、品川区の大天使の侵攻を受けていました。
 この侵攻に加え、ディアボロスの攻撃を受け、さらにディアボロスの行った誘導作戦の影響で「江東区のアークデーモン」が侵攻の兆しを見せており、存亡の危機に陥りつつあるようです。
 そのため、ハルファスは、本拠地である東京タワーを中心に、有力なカテドラル(悪魔聖堂)を配置し、根拠地の防衛に徹する構えを見せています。

 カテドラルは『ハルファス』自身が駆けつける事ができる最終防衛ラインです。
 ジェネラル級であるハルファスは、アヴァタール級・トループス級のアークデーモンや大天使の支配権を強引に奪い取って配下にできます。
 そのため、他区の軍勢による侵攻を食い止められていますが、ディアボロスには関係がありません。
 ハルファスの港区絶対防衛ラインを破壊する事で、港区をハルファスの手から解放する決戦を挑めるようになるかもしれません。

カテドラルに危疑を籠めて(作者 棟方ろか
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#TOKYOエゼキエル戦争  #ハルファスのカテドラル  #港区 


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 青の底にそびえるアッシュブラウンの聖堂は、今日も多くの信者と共にあった。
 天窓から降り注ぐいつもの陽射しも、今日ばかりは降臨の兆しに思えてならないと、信者の誰もが感じた、そのとき。目映い輝きが視界を覆い尽くす。
 真白の世界が明ければ、そこに立つのはもちろん。
「おお、ハルファス様……ハルファス様が光より降臨なされた!」
「なんてこと! 陽よりも眩しいお姿を拝めるなんて……っ」
 歓喜に咽ぶ声を浴びる者こそ、ハルファスと配下の狼たち。
「心して耳を傾けよ。今、港区は種々の悪しき者より、侵略を受けている」
 ハルファスからのお告げに、信者たちも各々が見聞きした襲撃について想起せざるを得ない。なにせ心酔しきった信者たちだ。他の区から伸びる魔の手を知らぬ者はいない。
 そして、ハルファスがすべての悪を追い返していると信じる者だけが、ここに集う。
「恐れる必要は無い。我が加護がある限り、カテドラルは敵に屈しない」
 不安はいつしか喚声へと転じ、聖堂は信仰心で充たされる。そんな信者の様相を認めたカテドラルの主アモンが、慈悲らしさを塗りたくった微笑を浮かべ、話し出した。
「ここはハルファス様の御膝元。この方がいらっしゃれば、心配とは無縁です」
 まろい声色で話したアモンに、信者一同、涙ぐむ。
「アモン様……はい、我らハルファス様に全てを捧げた身。今日も明日も祈り続けますっ」
「祈ります、アモン様。穢れなきハルファス様の、その御心のままに」
 こうして聖堂がそっと抱くのは、信者の声と祈りだけ。
 そして信者たちがどれだけ浮かれようと、清掃を担うクリーナーデーモンはせっせとカテドラルを磨くだけ。
「きうっ」
「きゅきゅ、きゃぃ!」
 本日も異常なしであります、とでも言わんばかりの、きりりとした顔。こうしてクリーナーデーモンたちはまた何度でも聖堂を綺麗にし、入り込む汚れを掃うべく警備に戻る。
 ハルファスのカテドラルに、疑念の言葉は微塵も漂わない。

●発車時刻を前に
「やあやあ聞いておくれ! 港区の支配者の本拠地、突き止めることができたよ!」
 木庭・国男(デーモンの魔創機士・g03330)の挨拶は、いつにも増して朗々と響いた。
 ディアボロスの活躍で判明したのは、港区を辛うじて統治しているジェネラル級アークデーモン『死と破壊のハルファス』の本拠。
 すると次の問題は、かのハルファスが何を目論んでいるのかだが。本拠地『東京タワー』周辺に沢山のカテドラルを構え、最終防衛ラインを築こうとしているのが、その回答だ。
「築かれた最終防衛ラインを、ハルファス本人が守ってるんだ」
 本人が守ることで、侵攻してきた他区の軍勢を退けようというのだろう。
「ま、僕らには関係ないけどさ!」
 他区からの襲撃は防げても、ディアボロスの襲撃は防げないはず。だからこそ。
「ハルファスの思惑も、最終防衛線も綺麗に崩してやっておくれ」
「最終防衛ライン、か。つまりそこを崩せれば……?」
 集ったディアボロスがどよめけば、戦友たちの頼もしさに眦を和らげ、国男も頷く。
「そう。ハルファスとの決戦が……港区奪還が、もう目の前まで来てるんだよ」
 光明が形となって見えてきた。案内をする国男も、奮い立たずにいられない。

 では肝心のカテドラルとやらに、何があるのか。
 国男によると、ハルファスへの強い信仰心を持つ一般人の信者が集められているそうだ。
 人数は数百程だが信仰の強さは驚異的で、カテドラルの主たるアークデーモン『雷の処刑者アモン』の能力を増大させる要因でもあった。
 つまりカテドラル攻略において、この信者たちが持つ信仰を無くす必要が出てくる。
「ただ、ものすごぉく熱狂的な信者なんだ。簡単にはいかないと思うよ」
 だからまずは、カテドラルを警備中の『クリーナーデーモン』を掻い潜る。
 そしてハルファスの護衛を、華麗にもしくはスマートに倒し、ハルファスを撤退に追い込むのが良いだろうと国男は続けた。妄信してやまない信者も、偉大なハルファス様が逃げたと知れば、疑念を抱かずにいられないはずだ。
「そしたら信者たちも、君たちの言葉に耳を傾けてくれるかもしれないしねぇ」
 信仰心をここぞとばかりに失わせれば、カテドラルの主『雷の処刑者アモン』を守る加護も失われ、撃破しやすくなる。

 一通りの説明を終えた国男が、募る情を噛み締めるように静かに紡ぐ。
「ディヴィジョン攻略旅団が行った誘導作戦の結果、港区は劣勢に立たされてるんだ」
 その結果、港区を完全に統治できていないハルファスが自ら動いた。つまりディアボロスの行動によって、確実に物事は前進している。時間が流れゆくように、着々と。
 それをひしひしと感じているからこそ、国男は高らかに告げるのだ。
「皆で繋げた今だ。成功させて、港区奪還のカウントダウンを叫ぼうじゃあないか!」

●狂信者の集い
 狂信者は云った。
 嗚呼、あれぞ我ら哀れな民を救い賜うハルファス様のお姿。神秘に満ちたあの姿かたちこそ、完全無欠の証。
 狂信者は涙した。
 まさか今、まさに今、苦境に苛まれているこの港区のため、我らのための奇跡が示現しようとしている。
 狂信者は笑んだ。
 かのハルファス様に不可能はなく、敵も悩みの種もない。だから我らは安心して祈りを捧げればよいのだ。
 狂信者は眩んだ。他には何も考えず、眩む一方だった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
2
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
8
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【活性治癒】
5
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【使い魔使役】
2
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV9 / 【ガードアップ】LV4 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【ダブル】LV4 / 【ロストエナジー】LV4

●マスターより

棟方ろか
 お世話になっております。棟方ろかです。
 新たな展開も、楽しんで頂ければ幸いです!

●最終目標
 雷の処刑者アモン(アヴァタール級)の撃破

●選択肢についての補足
①ハルファスの畏れを失わせる
 オープニングにある通り、攻略開始時に挑むのは至難。
 内容によって、④に影響します。

②👾施設を警備するトループス級『クリーナーデーモン』
 カテドラル内を警備しており、発見されるとお掃除されちゃいます。
 ディアボロス=汚れ、という扱いです。ひどい。
 内容によっては、③や④に影響するかもしれません。

③👾ハルファスと護衛トループス『狼の悪魔・マルコス』
 ハルファスとその護衛たちとの戦闘選択肢です。
 ただし、戦う相手は護衛のみとなります。

④👿アヴァタール級との決戦『雷の処刑者アモン』(攻略必須!)
 ボスとの戦闘。撃破すると、このシナリオは攻略完了となります。

 それでは、いってらっしゃいませ!
110

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


坂登・悠日理
惺音g03409と

おいおいこいつら本当に悪魔?
どこかで見たような…
まさに悪魔的可愛さ

レオ何だよ?
まさか自分も可愛い気取ってるつもりか?
お前よりユキミの方が可愛いぞ絶対
なー惺音
えー!?
何だそのどや顔
おー行け行け
惺音に格好いいとこ見せてやれ

看板立てても無駄だぞ
倒せレオ
槍投擲し看板なぎ倒しついでに吹き飛ばし
接敵しハンマーで叩く

掃除大変だなー
惺音は掃除って得意だっけ?
俺も手伝ってやろうか?
攻撃しつつ敵を誘導
周囲をよく観察し出来るだけ水を流しやすいように地形の利用
惺音レオ下がって
水計で押し流す
掃除するなら水必要だよな?
てか
看板じゃ防げないだろ水は

この調子で
どんどん綺麗にしよ

えっ
家ではモップ掛けるよ!?


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と

何だか、可愛い悪魔だね
あらいぐ…ううん、何でもない
…成程、悪魔的
あれ、レオどうしたの
えと、レオも可愛いと思うけど…
多分、カッコ可愛いって分類だと思う
…そして、私の頭の上でユキミが照れてる

うん、看板を立てても
私達が侵入しなくても…此処からでも色々出来るし
幻惑煌々の魔法陣を彼ら付近の壁や床に発生させるよ
お掃除的には気になるかな…消せないけど

精神が惑う相手達に、そっと
…知ってる?
動物の毛もよく落ちるんだよね
貴方の隣の悪魔からも抜け毛が…と
仲間内でも妨害してくれないかな

私?
掃除はしても、得意って程じゃないなぁ
ゆぅ君の声でユキミを抱えて下がり

…ゆぅ君
家では、こういう掃除は駄目だからね


 こいつら本当に悪魔なのかと、坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)が眉間で疑問を象った。
「どこかで見たような……」
 森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)もこくりと同意を頷きで示す。
「何だか、可愛くて、ぬいぐるみみたいな……悪魔だね。悪魔というより、あらいぐ……」
「きゃうっ」
 応じたのか否定したのかは定かでない、クリーナーデーモンのひと鳴きに。
「……何でもない」
 惺音はそっと眼を逸らした。
 きゃう、と声をあげるその様相も含め、まさに悪魔的可愛さだと悠日理が呟けば、少女もなるほどと納得する。
 そうして、可愛いやら何やら連呼する二人の姿を、レオとユキミも眺めていた。
 じいと穴があくほど見つめていたレオが、途端にまなこを細めて、悠日理の尻をつつく。
「痛っ、何だよレオ、まさか自分も可愛い気取ってるつもりか?」
 感づいた悪友からの言葉は、オブラートに包まれもせずトスッとレオに突き刺さる。
「お前よりユキミの方が可愛いぞ絶対。なー惺音」
「えと……」
 あっけらかんと言ってのけた悠日理。そして心なしむすっとしているようにも見えるレオ。一方ユキミは、惺音の頭の上でぺたんとなりながら、顔を小さなおててで覆おうとしていた。
 対照的な悠日理とレオの前で、惺音は困惑から頭を少しばかり傾けつつも、どう答えようかと思考を巡らせる。
(「言い方を誤ると、どっちかが拗ね……ちょっとだけ、いじけるかもしれない展開が、見えるような」)
 勘を働かせながら彼女は、印象をそのまま紡ごうと決めた。
「レオも可愛いと思うけど……多分、カッコ可愛い、だと思う。分類すると」
 惺音の一言に、ぷす、と鼻息を鳴らすレオ。
 すると悪友の株と気分が上昇したかのような状況に、えーっ、と悠日理が途端に唇を尖らす。
「何だそのどや顔ー」
 悠日理の言うどや顔で、レオはクリーナーデーモンと向き合い、じりじりと睨み合う。あらいぐまもあらいぐまで、愛くるしさでは負けまいとレオとの牽制し合いを続けた。果たしてかれらにとって何を賭けた争いなのかと惺音が呻くも、しかしすぐさま気持ちを切り替える。
 そして惺音が指で虚空をなぞれば、光による魔法陣がそこかしこへと描かれていく。
 咄嗟に悪魔が何食わぬ顔で『清掃中』看板を置くも、惺音の魔法陣の輝きは――届く。
「私達が、看板の奥へ侵入しなくても……色々出来るよ」
 光彩放つ陣が壁や床に浮かび上がった。しかも、ちかちかと明滅に似た光の強弱が起こり、清掃員たちも、やばい汚されちゃった、とばかりにきゅわきゅわ悲鳴を挙げる。
 すかさず魔法陣を消そうと試みるもふもふ群を前に、悠日理は。
「そういえば惺音は、掃除って得意だっけ?」
 突然の話題に、ぱちりと惺音が瞬ぐ。
「私? 掃除はしても、得意って程じゃないなぁ」
「なら、俺も手伝ってやろうか? 惺音、レオ、下がって」
 すかさず惺音はユキミを抱え、ささっと後ずさる。
 言うが早いか悠日理が喚んだのは、青龍のごとき水の流れ。膨大な水に押し流されていく悪魔たちは、それでもせっせと何かを磨く仕種を続けた。
「どうよ、看板も水に呑まれたらおしまいだろ」
 すべてを水に流し、レオにも劣らぬどや顔のをした悠日理へ、そろりと向かうのは。
「…………ゆぅ君」
 たっぷり間をとった惺音の、じとっとした眼つき。
「家では、こういう掃除……駄目だからね、絶対」
「もきゅ」
 惺音に続いてユキミも一声発すると、今度は悠日理が「えっ!?」と跳ねるようにまばたく番で。
「家ではちゃんとモップ掛けるよ!?」
「本当かな……」
「ほんと本当! 水で洗えば一気に掃除できるとか考えてないって!」
「本当かな……」
「もきゅう」
 悠日理と惺音と時々ユキミの応酬を見守るレオは、ひとり我関せずとばかりに口を出さぬまま、洗われた聖堂を一頻り眺めるばかりだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【水源】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!

エヴァ・フルトクヴィスト
畏怖というより、信仰を集めている所に些かの疑問がありますが……。
港区をアークデーモンから解放の為、カテドラルは落とさせて貰いますよ!
まずは施設の奥へと入り込む為の警備の排除ですね。

光学迷彩を使用して出来うる限り建物の影など遮蔽物を利用して移動。
警備するクリーナーでモーンを急襲しますよ!
高速詠唱で虚空の淵を使用。
相手の反撃にはドローイングナイフでの攪乱や結界術を張ったりと、
臨機応変に対応です!

見た目や行動はとってもかわいいですよね……はっ!!
この見た目もそうやって攻撃をかわし、相手を討ち取る為の巧妙な罠!?
成程、流石は悪魔と呼ばれる存在。

排除出来ましたら港区を支配するハルファスとのご対面ですね!


高遠・葉月
アレンジ、共闘歓迎。

ハルファスの権威とやらを失墜させるにはハルファスとその護衛だけでなく
信仰の対象の一部であるこの建造物を保全する者もなんとかしないといけないのだろう
…けれど。
「…もふもふして可愛い感じだから殴り難いわ。なんだか良心が痛みそう」

言いつつ。
怪力に物を言わせてその辺の防火扉をもいだり
掃除用具入れのロッカーをぐいっと持ち上げてもふもふの群れに突撃
冒頭の言葉は何だったのかと疑わんばかりにパラドクス使用で思いっきり横殴りに殴りつける。動かなくなるまでべっこべこに殴る
手持ちの武器が砕けたら適当に掃除用具奪ってまた殴りつけるエンドレス

「…良心が傷んだわね。ストレスは解消できたから治ったけど」


アリス・セラフィハート
アドリブ連携歓迎

ここが
ハルファスさんの
聖堂…

見た目は可愛い
敵さんですけど
油断は禁物

『ちょっと…お気の毒かも…けど…やっぱり敵さんなんですよね…』

パラドクス発動
残留効果で味方と連携
派手な攻撃で陽動し
味方が突破し易くする狙いや
敵を纏めて攻撃の際も使用

ヴォーパルソードで
【光使い】で
剣から
光焔の【衝撃波】【誘導弾】を
放ち

オラトリオの
ロリーナちゃんに
オラトリオクレセントで
光の矢を【連射】して貰い
攻撃

洗浄スプレーにも注意
【風使い】で
逆風を起こしかき消したり
【臨機応変】に行動

『パラドクスの雷やカラスさんを見て…怖がって逃げでもしてくれれば良いんですけど…そうもいかないかな…☆』

防御・回避は
【結界術】【残像】


宿奈・雨祢
港区かあ。ここを取り戻しても新宿島に港区が合体っていうわけにはいかないだろうけど、やれることからやっていかないとね。

さてさて。で、やっていくわけだけど……なんだいこれ?
清掃中につき立ち入り禁止。なるほどなるほど。そういうことなら。

おはようございます。ウェザーキャスターの宿奈雨祢です。本日はTOKYOエゼキエル戦争、港区より天気予報をお届けします。本日は強烈な雨が降る一日となります。河川の氾濫のおそれもあるため、水源近くでの作業等はお控えになってください……流れに浚われても知らないよ。

以上、本日の天気をお届けしました。
掃除をするなら、天気予報はちゃんと確認しないとだよ。


クロエ・ブランシェ
こんなに綺麗なクロエちゃんが汚れに見えるんなら救いようがないですね。いいでしょう。お前を掃除します

戦闘
予め魔術式を刻んだ宝石類を用いて詠唱を省略しながらアイスエイジブリザードを連射します【高速詠唱】
召喚された看板を巻き込みながらクリーナーデーモンを攻撃します。
ほかの人が攻撃の機会をうかがっているのなら時間稼ぎの看板はわたしが魔法で止めましょう。攻撃できる機会を作るのでその後はお願いしますね(アドリブ連携ok)

「綺麗好きなお前は嫌いじゃないですが、お前とその主が消えた方が世界が綺麗になりますよ」


白石・明日香
結構早く来るものだな。これは潰しがいがありそうだ。
随分気の抜ける奴らだが、遠慮はせんよ。
スプレーの噴霧外を見極めて回り込んで接近。
次の行動に出る前に早業、呪詛、解体、捨て身の一撃で纏めて切る!
こいつら片づけたら次は・・・・さてどうするか?


虹空・アヤ
こりゃまた随分可愛らしいコトで
ま、いうて手加減も油断もするつもりねぇケドね

こーゆーのは一か所に集めてまとめて片付けるのが手っ取り早い
敵の只中へ「蹴鞠」を蹴り入れ、掃除しに来た所へ不意打ちかけるとしよう
手鞠へ*光と*電撃纏わせ突撃指示
オレは逆側から回り込み今度は全てなぎ倒す勢いで「蹴鞠」蹴りいれる

反撃は受ける際に建物奥へ飛ばされるよう意識し潜入の効率上げてきたいトコ

手間かけて囲まれたり騒動になっちゃ意味がナイ
行動は迅速に、攻撃したら*ダッシュで離脱
物陰や角などの場所を素早く*記憶、隠れながら進むヨ
音も可能な限り立てないよう注意しとく
状況が悪くなったら【飛翔】で更に目につきにくい所へ飛び潜もう


フェルト・ユメノアール
悪しき者、ねー
悪魔がそれを口にする欺瞞っぷりに思わず苦笑を漏らしそうになりながら作戦に向かう

とりあえず信者の人たちの目を覚まさせる為にも派手に動こうかな
仲間がハルファスの元に向かいやすくなるかもしれないしね

まずはアンカーバングルを使って窓からカテドラル内に侵入
無事に侵入できたら信者の被害防止&警備を引き付ける為に施設の端でありったけの爆裂ゴマとワンダースモークを使用
そしてゴーグルで煙幕を防ぎながら物陰に隠れて様子を窺い、爆発音を聞いた警備がこっちに向かってくるのを待つ
あとは相手が少数なら煙幕に紛れてトリックスターで背後から奇襲を仕掛け
相手が大勢ならボムジャグラーを召喚して範囲攻撃で一掃を狙うよ


奉利・聖
……なるほど、これは何とも許し難き蛮行ですねえ
世界のゴミどもが、我が物顔でディヴィジョンを穢すのは当然ですが
僕と同じ掃除屋を名乗るとは、笑止千万
ゴミが一体何を掃除するというのでしょうか?理解できませんし、馬鹿馬鹿しい
「本物」をご覧じて頂きましょうか

<呼吸法>にて気を巡らせ、<オーラ操作>で末端へ集中
──『軽気功』
スーパースピードでいきます スクレーパーの<投擲>で2体の洗浄スプレーを弾き落とします
後を追うように接近し、<早業>と<連撃>による殺の近接戦闘
まずはその眼、抉り出してさしあげます
次、耳から指を突っ込んで内部を破壊
トドメにその首を掴んで、力をありったけ籠めて手折って差し上げましょう


「きゅっきゃう~♪」
 なんとも呑気な鼻歌が、森厳な静寂で浸されたカテドラルに響く。
 アライグマ、否、クリーナーデーモンは今日も今日とて、美しい装飾とハルファスへの信仰心で象られた聖堂を磨き上げている。ディアボロスたちがこの地に舞い降りたとも知らずに。
 鼻歌へ紛れて、アンカーがしゅるりと歌いながら窓辺へ叩き込まれた。ワイヤーを伸ばしたフェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)が、軽々とした身のこなしで窓枠へ乗る。ひょっこり中を覗いてみれば、敵襲も不審者もまだ確認されていないカテドラルは恐らく、信者らにとって日常のまま。
 そう考えると、フェルトの咥内にも苦々しさが滲む。
(「悪しき者、ねー」)
 ハルファスの口上がどれだけ可笑しいか、信奉者は気づけないでいる。当の本人こそが悪魔だというのに、それが口にした言葉なのだから、フェルトも苦笑いせずにいられない。だからフェルトは華やかな道化の衣装で、色数の少ないカテドラルを賑やかにさせていく。四辺へ独楽を鏤め、スモークであからさまな『騒ぎ』を起こしながら。
 すると警備中のクリーナーデーモンたちが、ピピピーピピーと甲高く報せ合いながら集まってきた。
 よしよしと満足げに頷いたフェルトはすかさず煙りに紛れ、突入の機を窺っていた仲間たちも聖堂内へ続々と姿を現す。
 そして、きゅわきゅわ鳴きながら掃除用具を突きつけてくる悪魔たちの歓迎を受けた。
 なるほど、と頷いて奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)は拳を鳴らす。
「これがクリーナーデーモン……何とも……許し難き蛮行ですねえ」
 すうと深呼吸をしながら、彼は清掃員らへ目を矯める。世界のゴミと呼べるクロノヴェーダが、我が物顔でディヴィジョンを穢しているというだけで、聖には許しがたいことなのに、それとはまた別の憤りが、今の彼を支配していた。
「僕と同じ掃除屋を名乗るとは、笑止千万」
 ある種の殺る気で漲った聖は、真正面から敵陣へ向かう。
 一方では煙幕の残滓を纏わせて、魔術師帽を目深に被ったエヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)が、各所にそびえる柱を陰を経由し、進む。
(「ハルファス……信仰を集めている所に些かの疑問がありますが……」)
 眼を細めて見渡したカテドラルの内部は、たしかに信仰めいた静謐を湛えている。鼻の奥までツンと痛むような冴えた空気は、どうにも不気味だ。しかしエヴァの胸中に恐ろしいと感じる心は欠片もない。それを遥かに上回る好奇心と決意が、彼女の足裏にまで熱を滾らせていく。
 なにせ此度の任務は、港区をアークデーモンから解放するための大いなる一歩。
 エヴァも自然と拳を握り締め、好機を狙った。
 そんな彼女の姿を認め、クロエ・ブランシェ(diaphane・g01909)は悪魔の群れを前に堂々と佇む。ちらと周囲を見やれば、エヴァ以外にも攻撃のチャンスを窺う仲間は多い。
「こーんなに綺麗なクロエちゃんが、汚れに見えるだなんて」
 ぷりぷりと頬を愛らしく膨らませて、クロエは杖をくるくると指先で遊ばせた。
 そしてディアボロスへのお掃除を始めた悪魔の群れめがけ、杖の先端を向ける。
 すると一際美しい装飾が戴くアメシストに、きらりと光が走って。
「救いようがないですね。だから哀れみも覚えません」
 杖の美しさと、穏やかな微笑みからは想像もつかない淡泊な声色で、クロエは言いきった。
「「きぁ!?」」
 彼女の言を耳にした悪魔たちがビクリと跳ねる。一応、意味は理解したらしい。
 ふうん、と唸った高遠・葉月(猫・g04390)の眼にも、きゅうきゅう鳴く生物は捉えてある。
(「ハルファスの権威とやらを失墜させるのに、必要なのは解るけれど」)
 信仰の対象としての一面も持つカテドラル。そこを保全する清掃員が、かれら。当人と護衛だけでなく、かれらへの対処もまた、ハルファスへ精神的なダメージを負わせるのに必要だと、葉月はよく理解していた。だから倒すことに躊躇など無い。
 ただひとつ、アライグマめいた敵の姿を除けば。
「……もふもふして可愛い感じね」
 ぽつりと零した葉月の感想に、内観を眺めていたアリス・セラフィハート(不思議の国の天司姫アリス・g00270)と虹空・アヤ(彩・g00879)が、時を同じくして首肯した。
「見た目は可愛いですけど、敵さん……なんですよね」
 アリスが、どことなく残念そうなため息をついた。少女の大きな眼に映った光景は、和の神秘とゴシック調の荘厳さ漂う装飾。ため息さえも、見惚れたアリスの心境を物語って。
「ここが、ハルファスさんの聖堂……」
 けれど目線を外せば、そこにいるのは。
「きゃぅ!」
 獣というより、動物と呼ぶ方が適していそうな姿。
「混乱しそうです……」
「解るヨ」
 額を押さえたアリスに、アヤがそう寄せた。そしてすぐに彼は改めて敵を見据える。
「こりゃまた随分可愛らしい見目だコト」
 何とはなしに肩を竦めるも、そこには油断や隙が色付かない。
「ええ、殴り難いわ。なんだか良心が痛みそう」
 アヤの囁きを聞いてそっと胸に手を当てた葉月はしかし、俯かなかった。
 閉ざした空を小振りの窓で切り取ったカテドラルを見渡し、アヤは瞳を揺らす。悪魔の気に充たされた空間も、ぴかぴかに磨き上げようとする存在がいて、祈りを寄せる信者がいる。この場を成り立たせている関係性の継ぎ接ぎっぷりを、アヤは感じ取っていた。
 そして継ぎ接ぎのいちピースである、アライグマの悪魔こそが今もっとも叩きのめすべき対象で。
(「ま、いうて手加減するつもりねぇケドね」)
 それこそが彼の性分であり、彼なりの掃除の仕方。
「……本当、なんだいこれ?」
 何気ない所感が、宿奈・雨祢(ウェザーキャスター・g00913)の口を衝いた。清掃員はアライグマめいた悪魔。かれらが誇らしげに振りかざすのは、清掃用品や立ち入りを阻む看板。雨祢も唸らずに居られない。
「清掃中につき立ち入り禁止……なるほどなるほど」
「何か妙案が?」
 音もなく傍らへ立った白石・明日香(体亡き者・g02194)に問われ、妙案ってほどじゃないよ、と断った上で雨祢が続ける。
「天気も良くて気温も適した日なら、お掃除も気持ちいいんだろうなって」
 窓を一瞥した明日香は、既に敵の気を引いて回っているフェルトやエヴァ、クロエへ目線を戻しつつ紡ぐ。
「刻なら皆で稼ぐ」
「うん、やりたいことがあるから、頼ろうかな」
 雨祢がふわりと笑んだのを確かめ、明日香は踏み出した。


「いっくよー! とくと見よ、SCボムジャグラー!」
 歌うように響く、フェルトの掛け声。
 閃光を背にして曲芸師が鮮やかなジャグリングを披露し、投げていた道具を悪魔へ投げつけた。
「きゅ?」
 ぽおん、と軽やかに放られた物こそ特製の爆弾で。思わず受けとってしまった清掃員がきょとんとするうちに、そこかしこから派手な爆発音が歓声のように沸く。実に華やかなショータイムだ。
 爆風が過ぎ去った後に残された悪魔は、看板を立ててフェルトへ爆発物持ち込み禁止と訴える。
 ぺろ、と僅かに舌先だけ出して笑ったフェルトは、やはり道化師らしくかれらの抗議を躱していく。
(「これだけ引き付けたら、ハルファスの元に向かいやすくなる人もいるかな」)
 ハルファスと護衛の所への先行を試みる仲間への声援代わりに、フェルトはもうひとつカラフルな煙幕で戦場を彩った。
 色彩豊かな煙りの中から、コホンとひとつ咳ばらいが零れる。
「おはようございます。ウェザーキャスターの宿奈雨祢です」
「きゃう?」
「きゅわ?」
 突如として始まった天気予報に悪魔たちが反応した。
「本日はTOKYOエゼキエル戦争、港区より天気予報をお届けします」
 天候を気にしているのかいないのか、ともかく雨祢の視聴者となった悪魔たちとは別の個体へ、影がかぶさった。物陰より飛び出したエヴァの魔術――虚空の淵だ。深淵より顕現した術式のかたちは、空間も世界も切り裂くかのごとく、清掃員を急襲する。
「あなた方がどれだけしっかり警備しようと、カテドラルは落とさせて貰いますよ!」
 エヴァの宣言に、きゅうきゅうと叫び声が返った。ブラシを振り回し、清掃員がエヴァへ飛びつく。泡だらけのブラシでゴシゴシされようものなら、エヴァも黙っていられない。
 ブラシも悪魔もぐぐっと押し返すエヴァと、洗い流したいアライグマの対決を目の当たりにして、アリスはうずうずしていた。
(「ちょっとだけ……お気の毒かも……でも」)
 敵は敵なのだと言い聞かせるように繰り返し、少女は空色の瞳にその敵を映す。
 きゅうきゅうと鳴くかれらに触れたらきっと、ぬいぐるみのようなのだろうと想像できてしまうから。しかも眼前では、エヴァが件の悪魔に触れている。触れるというほど穏やかな接触の仕方ではなくとも、アリスにはちょっと羨ましい。
 彼女の羨ましげな視線を受けて、エヴァはうんうんと頷く。
「見た目とか、動きはとっても可愛いですよね……はっ!?」
 だが直後にエヴァは息を呑む。
「ま、まさかこの姿……そうやって攻撃をかわし、相手を討ち取る為の巧妙な罠!?」
「きゅぁ?」
「ほら! またそうやって愛らしく首を傾げたりして! 流石は悪魔、侮れません」
 ぷくぷくとエヴァの頬が葛藤で膨らむのを目撃したアリスは、ふるふると頭を横に振り、自制するように白銀の剣を掲げた。刀身を滑る光が溢れに溢れ、それらはいつしかパラドクスの糧となる。
「いきますよ……!」
 あどけない少女がカテドラル内で描きあげたのは、不思議の国の雷鴉。
 魔鳥が翔ければ軌跡に雷雲が浮かび、闇の色に染まった雷が清掃員へと落ちる。
「きゃうわぅぅ!?」
 悲鳴を轟かせた清掃員を認め、アリスによぎるのはささやかな願い。
(「この雷さんとかを見て、怖がって逃げでもしてくれればいいんですけど……」)
 しかし清掃員たちは鴉や雷の軌跡さえも、綺麗にしようとスプレーを吹き付けていく。
 降りかかる洗浄スプレーを、振り払いながらアリスは後ずさった。
「やっぱり、そうもいかないかな……☆」
 軍隊とは違い、統率の取れていないクリーナーデーモンたち。
 動きを一頻り眺めていたアヤは、近い志向を持つ仲間たちと視線を重ねる。
「一か所に集まりつつあるから、纏めて叩くとしよう。あーゆーのはそっちの方が手っ取り早い」
「お任せください、準備万端です」
 クロエが肯えば、ひしゃげたバールを振り回していた葉月も、こくりと顎を引く。
「蝟集を蹴散らすのも、爽快よね」
 言いながら葉月たちが瞥見した先、変わらずショーで魅せているフェルトも片目を瞑り応えた。
 こうしてディアボロスたちは再び、戦場を駆ける。
「モチロン、オレもやるよ」
 もたげた口の端で応えたアヤが、彩を織った蹴鞠を群れへ蹴り入れる。光が注がれずともきらきら輝きながら、蹴鞠は悪魔になど読めぬ軌道で、てんてんと笑っていく。清掃員たちもきらきらにほんの一瞬、目を奪われて。
「手鞠、蹴鞠を追って突撃だヨ」
「もきゅ!」
 言われるや手鞠がころころと駆け出す。しかも平時と同じままで突撃するのではなく、アヤから受けとった魔力の色と輝きを、まろく纏わせて。
 これこそがアヤのパラドクス――彩白。
 天と地とを浮き立つように行き来する蹴鞠の光彩と、手鞠のふわふわころころ感とが入り乱れた、悪魔の群れ。そこから響くのは水や洗剤を撒いて擦るときの音と、それから。
「きゅわっ、きゅぁ!」
「もきゅ~?」
 泡まみれにされた手鞠が、アライグマのブラシに押されて転がる声。
「……もうちょっとこう、プライドとか無いのか」
「もきゅう」
 深く溜息をついたアヤがいるにも拘わらず、手鞠はつぶらなまなこをくりくりさせたまま転がっていく。手鞠の受ける痛みはアヤが感じているものの、手鞠とクリーナーデーモンの対峙だけなら平穏そうな一場面だ。
 だが、ディアボロスたちの志はもう緩まない。
 紫雲ゆらめくまなこで悪魔を見据え、術式を唱えたクロエから吹雪が起こる。
「いいでしょう。お前を掃除します」
 宝石よりも鮮烈な輝きが、クロエの魔術となって白く、青く、縮こまった清掃員たちを飲み込む。
「きゅぉぉ……っ」
 氷雪に浚われまいと看板にしがみつくアライグマも居たが、悲しいかなクロエの魔力と意欲には打ち勝てない。かれらは凍てつく風景へ、溶けるように消えていった。
 吹雪が止んだその一瞬だけ、聖堂内のとある場所にはアライグマ型の雪だるまが出来たとか出来ていないとか。
「芸術点も重要ですからね」
 クロエは心なしか楽しげに、そう笑って。
「では、後はお願いしますね」
「ええ。それじゃ、いくわよ」
 彼女の背から飛び出した葉月は常より、バールや標識といった何処にでもありそうな物品を手にしている。いずれも葉月のリーサルウェポンだ。磨かれた床を思い切り蹴った葉月の目標地点、そこに佇む一群を打ちのめすための武器で。
 もふの陣へと突っ込んだ彼女が生み出すのは、重たいものが風を切るような音。そして力いっぱいの横薙ぎ。一閃にのまれた清掃員があたふたするも、葉月は心苦しがることなく思い切り殴りつけていった。
「邪魔よっ!」
「きゅわぅぅ!」
 さっき殴り難いとか言ってたじゃないですかー、と抗議するアライグマにも構わず、葉月の暴風は敵陣を散らす。
 そして暴風から遠い所にいた悪魔の元へは、明日香が向かう。
 侵入者を汚れと見做し、掃除するのが清掃係の勤め。随分極端な行為だと息を吐きながらも、艶やかな赤を宿した明日香の双眸は、スプレー噴射の残滓が転がる一帯を確かめた。掃除用スプレーという見かけからは想像しがたいが、殺傷力は充分にあるもの。
 だからこそ悪魔は誇らしげにスプレーを振り回し、明日香はそんな敵の背へ回り込む。
(「機会と呼べるものは、結構早く来るものだな」)
 思いに耽りつつ、鳴きやまない悪魔らを前にしても、彼女の表情は揺らがない。
「いつまで経っても、気の抜ける奴らだが……」
 戦闘が開始されてから多少なりとも時間は過ぎているというのに、威厳や恐怖から遠いクリーナーデーモンの様相を、明日香は見つめて。
「遠慮はせんよ。潰すべき相手が待っているからな」
 得物に宿った呪いを解き放ち、かの悪魔をずぶりと切り捨てる。
 咄嗟にスプレーが噴射されようと、明日香に膝を折らせるほどの力はなく――そこへ。
「連ねます!」
 舞い込んだのは、黙々と敵を蹴散らしてきた聖の掛け声。
 云うが早いか彼の身体は、気力を総身に巡らせながら悪しき魔の懐へ入る。
 そして間もなく、自らへかかるスプレーの狭間から突き出した腕で、敵の首根っこを掴んだ。
「ゴミが一体何を掃除するというのでしょうか? カテドラルだろうと街中だろうと関係ありません」
 問い掛けるも、返答はこれっぽっちも期待していなかった。むしろ清掃論の一つや二つ語ろうものなら、言い終える前に心身を粉砕していただろう。尤も、語らずともゴミを片付ける未来に変わりはないが。
 は、と怒りから嘲笑うように息を吐き、聖は気功術を駆使して、目にも留まらぬ早業で悪魔の命を手折った。
「これが本物の掃除屋ですよ。もう二度と、名乗らないで頂きたいものです」
 言い捨てた聖がふと目線を外せば、雨祢のウェザーニュースも佳境に突入する頃で。
「本日は強烈な雨が降る一日となります」
 窓へと振り向く悪魔もいたが、かれらの眼には澄んだ晴れ空しか映っていない。
 けれど雨祢からのお知らせは、まだ止まない。
「河川が氾濫するおそれもあるため、水源近くでの作業等はお控えになってください……」
 ――流れに浚われても、知らないよ。
 語尾に含んだ笑みは、雨祢の口端を上げさせる。
 すると彼女の報せ通り、一帯は瞬く間に洪水と化す。
 しかも意思を持ったかのように、濁流がクリーナーデーモンを丸呑みにしていく。
「きゅあぁっ!?」
 看板で免れようとした悪魔の健闘も虚しく、カテドラル玄関口は雨が教えた雨によって洗われる。
 言葉通り綺麗さっぱり、悪魔たちの面影すら遺さずに。
「……以上、本日の天気をお届けしました」
 にこりと薄い笑顔を燈して、雨祢の放送は終了する。


「排除できましたね!」
 どうにか誘惑に打ち克ったことも喜び、エヴァが頬を上気させながら皆へ呼びかける。
「やったね、大成功!」
 ピースしてみせたフェルトを始め、仲間たちが頷きや眼差しで応える中、眦を和らげたクロエは悪魔へ別れを告げていた。
「綺麗好きなお前は嫌いじゃなかったですが……お前とその主が消えた方が、世界は綺麗になりますよ」
「クロノヴェーダでさえなかったらと、思います」
 しゅんとしていたアリスの一言に、葉月もどっと疲れたような吐息を落とす。
「……たしかに良心は少し傷んだわね。ストレスは解消できたけど」
 力任せに倒していったときの爽快感は未だ消えず、葉月の総身を巡る。
「港区を取り戻したら、どうなるんだろうね」
 ふと雨祢が口にした言の葉は、ディアボロスたちの誰もが気にかけていたこと。
「新宿島に合体……っていうわけにいかなくても、やれることからやっていかないと」
 雨祢の話を聞き留めながら、明日香も得物をしまい、一息つく。
「やれること、か。一先ず片はついたんだ、次は……」
 明日香が見やったのは、カテドラルの奥。先ほどからアヤがじいっと確かめていた大扉だ。
 東京らしからぬ重厚な大扉は、まるでディアボロスたちを牽制するかのように、軋みながらそこに立つ。
 この向こうが信者たちのいる大広間。大広間を突き抜けていくのが、ハルファスに会う意味では一番の近道だ。しかし玄関口脇の通用口を使えば、信者だらけの大広間を通らず奥へ到ることが叶う。少々遠回りにはなるが。
「騒動になっちゃ、ハルファスとやらや信者に気取られるとも思ったケド……」
「扉を開けて覗き見ることもしませんでしたね。信者は」
 聖がそう綴る。今も狂信者の姿はない。壁に耳アリなだけかもしれないが。
「いよいよ、港区を支配するハルファスとのご対面です!」
 エヴァが最奥となる方角を直視したまま、次なる機会へとディアボロスの意識を繋げる。
 誰もが痛感していた。カテドラルを構築する歪みの重さを。
 そしてハルファスにとって都合よく整えられ過ぎた舞台は、間違いなく敵地だと。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【水源】がLV2になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV3が発生!
【ダメージアップ】LV3が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

シオン・ラモール
【紫蝶】
ケダモノ……だね
み、魅力的? レベッカ、照れる……戦うまえは、やめてほしい
だいじょうぶ、こんなヤツらにおれ達は負けない

大鎌を携え、翼を広げ吶喊
鎌を振るい攻撃を躱しながら、魔弾を乱射し打ち据える
獣くらい、軽く蹴散らしてやる

心配しないで、レベッカ
おれはいくらでも頑張れる、戦えるから
レベッカを護るため、なら!

あれがハルファス……強い、悪魔。分かるよ
おれも悪魔、だけど、おれはお前を狩る悪魔だ
なにが穢れなき、だ。おまえには悪意しかない

それに、お前なんかより、レベッカの方がずっと綺麗だ
顔も、羽も、心も!
――おれは、言いたい事を言っただけ、だから


レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
まあ…なんというか、こう…
うつくしくないわ、ね
おなじ悪魔でもシオンの方がずっと魅力的だわ

《星黎》を振るう軌跡に顕現せし氷柱矢
追跡の法式を織り交ぜ、連ね放てば
穿つ先は翼か獣身か

夢中になり、前へ前へとのめり込んでゆく彼を案じ
…深入りは禁物よ、シオン

彼が紡ぐ言葉のひとつひとつが心地好く
まるでわたしへの褒美のよう
もっと強くなれる…そんな気がするの
ただ…そうね、すこしこそばゆいかも

ふ…と細い吐息より鏤む黄金の粉粒
次第に幻蝶が何処からともなく現れ
悪の使いすら夢に抱かれる
ね…魔女も捨てたものじゃないでしょう?


 水分を湛えた時に似た深い樹木の色合いが、一室を暗くさせている。
 木の壁に四囲されたその場で、ディアボロスたちは聖堂の異様さを改めて思い知る。シオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)もそのひとりだ。彼の負う紫の翼までもが、どんよりとした気を押しのけるかのように煌々と輝いて見える。それぐらい、雰囲気は重たい。
 レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)もまた、天の翼を震わせていた。
「まあ……なんというか、こう……」
 うつくしくない。
 言葉を選ぼうとしたが、どうにも適しているのがそれだけに思えて、レベッカは睫毛をそっと伏せる。
 少女が美しくないと感じとったのは件のアークデーモン、ハルファスの見目だ。佇む様は威圧とも神秘とも程遠いのに、そんな悪魔をここの信者たちは奉っている。この事実が信じられないぐらいに、レベッカの胸中をよぎるのは。
「おなじ悪魔でも、シオンの方がずっと魅力的だわ」
 念は素直に言の葉となる。耳にしたシオンの方は、えっ、と瞬ぐばかりだったが。
「み、魅力的……?」
「ええそう。当然よ。あんなのに比べたら。ううん、比べるのもおかしいぐらい」
「あ、っと……」
 事もなげに続けられたものだから、シオンの顔がみるみる朱を帯びていって。
「レベッカ、照れる……戦うまえは、やめてほしい」
 とうとう俯いてしまった。
 けれど踏み出したレベッカが星黎を掲げれば、シオンも再び顔をもたげる。
「……だいじょうぶ、こんなヤツらにおれ達は負けない」
 きゅ、と握りこんだ想いと共にシオンは双翼を広げ、宙へ飛び上がった。カテドラルと呼ばれるだけあり、懺悔室か告解室にも似たこの部屋も、天井だけは高い。そして地を駈る狼らにとって、天知るディアボロス――シオンは厭うべき存在。
 咆哮を重ねながら跳びつくかれらへ魔弾を射出すると、弾へじゃれつくように獣が動き回った。しかし狼の狙いはディアボロスそのもの。高速機動を得たかれらは、シオンの翼を折るため、冷たい床へ引きずり下ろそうとするために喰らいつく。
「ケダモノ、だね」
 思わずシオンが零す程に、悪魔たちの挙動は護衛ながら野生に溢れ、どろりとした本能を滴らせる。
「シオンっ」
 呼び声にシオンは振り返らずに返す。
「心配しないで、レベッカ」
「……深入りは禁物よ」
 彼の意志を汲んでレベッカが平静を装い連ねれば、首肯が届いた。
「おれはいくらでも頑張れる、だって……」
 遠くハルファスを睨みつけたシオンの双眸が、光を散らす。
「なにが穢れなき、だ。おまえには悪意しかない」
 シオンからの一言に、ハルファスの顔が向くけれど。言い放った本人の顔はどこへも逸らされない。
「お前なんかより、レベッカの方がずっと綺麗だ……顔も、羽も、心も!」
 たったひとつ。ひたむきな想いだけ、シオンは抱きながら鎌を振るう。
 満ちるハルファスの気を打ち祓うような彼の後背を目で辿り、レベッカは呼吸を整えた。敵を前にしているというのに、なんて心地好いのだろう。それもこれもシオンの奏でる言葉が、声があるからで。
(「まるでわたしへの褒美のよう」)
 もっともっと、強くなれる。
 予感めいた温もりを杖に燈して、レベッカは魔法を紡いだ。
(「ただ……そうね、すこしこそばゆいかも」)
 ちょっとだけ、頬を緩めて。
 レベッカの紡いだ魔法により、ひらひらと世界を泳ぐ蝶が幻想を纏いつつ煌粉を振り撒き、そこは一瞬、黄金の郷――現と幻の境と化した。眺めるだけのハルファスは動じないが、護衛たちがざわつき、受けた苦痛から逃れようと銘々レベッカへ牙を剥く。
 それでも彼女は薄く笑むのだ。シオンからもらった言葉の力があるから。
「悪の使いすら夢に抱かれる。ね……魔女も捨てたものじゃないでしょう?」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

奉利・聖
さぁさぁ、ゴミ掃除に休みはございません
目についたゴミは即刻排除、一かけらも残してはなりません
ハルファスとかいうゴミをいずれ掃除するためにも、今はこのゴミどもを消し去ることに注力しなければいけませんからね
──では、掃除を遂行します

<呼吸法>にて気を練り上げ、<オーラ操作>で機動力を強化
<観察>により行動の軌跡を<看破>し、インファイトにて応戦
<早業>による<連撃>で軽い打撃を加えつつ──『絶気功』
絶やしてさしあげましょう、その身の感覚をね
何も感じ無くなれば、まともに四足歩行をすることもできなくなる

後は簡単だ、頭部を潰して回ってお終いです
さぁ、次のゴミ掃除が僕を待っています
急がなければいけませんね


白戸・もがり
狂信はちょっと怖いなあ……でもまあ、彼らが根っから悪いこともないハズ
ちゃんと見て考えるの、簡単そうで難しい事だしね。現実を見せる為にも思いきり戦おう


って訳で、お掃除悪魔を抑えて貰ってる内に狼悪魔を倒す
此方をまだ捕捉していないなら、高速詠唱・不意打ちで隙を突こう
仲間の攻撃の方が早ければ、その人が狙った敵を含むように冬風の帳を下ろすね

更に攻撃で出来た氷雪を使い、敵の手足に纏わり付かせ反撃の勢いを鈍らせたいな
動きをよく観察し、精神を集中。敵の視線や姿勢から攻撃の瞬間を読み、杖や魔力障壁で受け流し
凌いだ直後、翼を狙って吹き飛ばすように風を叩きつけ。体勢をちょっとでも崩させて、他の人も狙い易い隙を作るよ


小田桐・左京
なんか天使達と同じ様なことをしている気もするが、ハルファスって奴は働き者だな~
あんたらもそう思わないか。まあ狼に聞いても仕方ないからやるとするか。

さて、こちらも悪魔の力を使うとするか。
しかし敵の数も多いし囲まれると危険だな飛翔して魔弾を撃ち込こみながら飛び回らないとな。魔弾を掻い潜って近づいてきた敵は一撃で切り伏せたいところだが達人ではないし回避しながらだと難しいな。

こいつらは信仰されていたのに悪者扱いされるようになったから悪魔のまねをしてやり返しにきた日本狼か?悪魔だし西洋の方の狼な気がするが…考えてもわからんし、まあクロノヴェーダだし気にしなくてもいいだろ狩るとするか!


白石・明日香
効果2すべて使用。
次は取り巻き達か・・派手に暴れるとしようか!
飛翔して敵の攻撃範囲の外から接近。フライとドローンを囮として敵に突っ込ませてその隙に相手の間合いの外から一気に近づいて早業、呪詛、解体で容赦なく切り捨てる。
さて、ハルファスさんよ。アンタはどうする?


 悠然と佇む『死と破滅のハルファス』は、訪問者たちを歓迎もしなければ、かれらに一驚もしなかった。疾うに感づいていたのだろう。かの支配者、ジェネラル級アークデーモンはただただ黙している。
 なんだろうな、と小田桐・左京(デーモン合体した武人・g03432)は顎をさすった。深く思考を巡らせたわけでもないが、左京の抱いた違和が働くおかげで、一群を前にしながら彼は平生のまま佇んでいる。
「天使達と同じ様なことをしている気もするが……ハルファスって奴は働き者だな~」
 悪魔らしからぬ、という響きを口にしかけた左京は噤む。
 代わりに自身が悪魔の力を行使して。
「あんたらもそう思わないか?」
 ハルファスを護る獣らへ問うも、グルルと喉の唸りが届くだけで期待できそうになく、双翼で飛び上がった左京は肩を竦めた。
「まあ狼なんぞに聞いても仕方ない。やるとするか」
 その狼一行は、動き出したディアボロスに眸を光らせながらも、持ち場を離れない。
 ハルファスの声がカテドラルに響く、そのときまでは。
「心せよ、悪しき者ども。マルコスの牙で膝を折る時は近い」
 ゆけ、とハルファスが告げるや狼の群れが駆け出す。
 眼前で描かれた光景から信者たちの様相を思い浮かべて、白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)は苦みを覚えた。
(「狂信かあ、ちょっと怖いなあ……」)
 信者に関しては、邪魔をしてこないだけまだ良いのかもしれないと、もがりは息を吐く。狂信するあまり、集団でなり振り構わず突撃などされては、彼女も複雑な気持ちになってしまう。彼らもまた、港区の区民には違いないのだから。
(「でもまあ、悪魔に洗脳されているようなもので、根っから悪いこともないハズ」)
 うん、きっとそう。
 もがりは自らへ言い聞かせながら踏み出し、氷点下ならではの趣で魅せる雪風を結い始める。
 一方、ハルファスと悪魔マルコスが占拠したこの場を見渡し、白石・明日香(体亡き者・g02194)は、息で笑った。
「次は取り巻き達か。護衛というだけあってか、数だけは多いようだな」
 当然か、とも念う。
 最終防衛ラインと呼ばれるものを構築し、他区からの侵略を防ごうというのなら。
 しかしハルファスがそれを求めれば求めるほど、明日香たちにとっても都合が良い。何故なら。
「派手に暴れるとしようか!」
 当事者の眼前で、存分に暴れられるのだから。
 前後を気にせず戦えるという点では、奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)も同じだ。
 腹底まで吸い込んだ空気が、聖にこの場がいかなる所かを実感させる。清んでいるのか淀んでいるのかの二択で言うなら、ここは淀んでいると聖には断言できる。何故なら片さねばならぬ存在が、蔓延っているからだ。
「さぁさぁ、ゴミ掃除に休みはございません」
 見やればハルファスの存在そのものが、ディアボロスへずっしり重圧を与えてくる。
 カテドラルに満ちる意が、空気がそうさせているのだろう。だが。
「では、掃除を遂行します」
 欠片も残すまいと、聖は構わず床を蹴った。
 護衛の悪魔マルコスらは、ハルファスよりも遥かに格下。獣の性を猛らせたところで、その事実は揺らがない。だから聖も急ぎの掃除を望む。
(「まだ先があるのですからね」)
 カテドラルの主と、そしていつか再び相見えるであろうハルファス。
 いずれも聖にとっては、世界を綺麗にするため倒さねばならぬゴミだった。
 お掃除モードへ入って長い聖の手刀から、マルコスの体内へ気が流れ込む。
「お任せください。絶やしてさしあげましょう。……その身の感覚をね」
 それさえ爆ぜてしまえば、悪魔とて叫ばずにいられない。
「グゴガァァ……ッ!!」
 悶えた悪魔が、息も絶え絶え野生の本能を解放し、四つ足で聖を襲う。
 四方八方、彼へと飛びかかる獣があれば、近くで左京が一瞥した先にもマルコスたちはいる。沸き上がる魔力を練り上げていく左京の双眸に映る、敵の姿かたちはどれも酷似していて。
「まずは確実に数を減らしていこうか」
 誘導弾に空中戦の心得まで、パラドクスの力を高めるものを彼は揃えている。あとは、聖堂の天を掴んだ左京の手で創られた弾丸が標的を追いかけ、撃ち抜くのみ。走る獣と追尾の魔弾。言うなれば鬼ごっこの如し。
 かれらの爪牙に裂かれ噛まれようと、左京も、そして彼が紡いだ魔力も止まらない。
「さて、逃げても逃げきれないと知ったら……どうするか」
 四囲されぬように翔け続け、敵の挙動を目に焼き付けていく。
「合わせるよ!」
 もがりの声が響く。左京の弾で討たれた狼が倒れるまでのわずかな間で、彼女の片腕から零れだすのは、きらきらとした冷たさの証。それらはいつしか冬風の帳となって、研ぎ澄ませたはずの獣の直感をも凍てつかせる。
 悲鳴や雄叫びをも呑みこんだ氷雪が、マルコスの命を軋ませ、落命への一途を辿らせた。
「どうかな、骨身に染みた?」
 得意げに口端をもたげたもがりへ、返る鳴き声はない。
 その頃、宙空より滑空した明日香が、魔骸より生み出した刃をもってマルコスを切り刻んでゆく。
 同時に、只のドローンよりディアボロスを優先した悪魔たちの爪や牙が、明日香にも痛みをもたらしていく。突き立てた牙も、引き裂く爪も、すべてが力強いけれど、明日香は怯まない。キッとねめつけ、自らへ反撃してきた個体を蹴飛ばしながら間合いを取る。
 そこで不意に、港区の支配者へと明日香が顔を向けて。
「さて、ハルファスさんよ。アンタはどうする?」
 応じる音は、ひとつもなかった。
 宙を舞いながら、ふと左京は眉を上げる。こいつらは何なのだろうと。
(「悪魔のまねをした日本狼か? ……まあクロノヴェーダだし、気にする必要もないだろ」)
 狩りの続きを行う左京よりも後方、もがりはハルファスの指示に従う群れを見ていた。
 似ていると感じたのだ。
(「狂信者たちも……実際こんな感じなのかな」)
 崇めるハルファスの言葉を鵜呑みにし、縋るだけ。ディヴィジョンに根付いた不安や恐れが、より人々の心身を暗がりへ引きずり込んでいるのだと、もがりもよく知っている。
 だからこそ思うのだ。
(「ちゃんと見て考えるの、簡単そうで難しい事だしね。頑張らないと」)
 全身全霊で立ち向かおうと意を決した彼女の眼差しは、もう足元へ落ちたりしない。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【ドレイン】LV1が発生!

坂登・悠日理
惺音g03409と

おーあいつがハルファス?
…狼邪魔でよく見えない
ぴょんぴょん飛んで
惺音見える?
うわっすっごい!
見えた!
あほっぽい鳥面!

まぁとりあえず
蹴散らすぞレオ
惺音が動きやすいよう
レオに指示し敵陣攪乱
攻撃が集中しすぎないように
臨機応変に前に出てハンマーで叩いたり
気を引くように後ろから槍投擲

ひっ
すんごい鋭くない?
あの爪と牙
アライグマ達綺麗にしたのに壊してるし
危なっ
幸運で滑って間一髪避け
あーいや大丈夫
何て事ない
強がり笑って手振り
惺音が頑張ってるんだ
俺もいいとこ見せなきゃな
勇気出し反撃で踏み込む
爪と牙で攻撃してくるって分かってれば
間合いは読める
観察し動き看破
強打し吹き飛ばし
レオ行け!
合図し乱れ突き


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と
ゆぅ君をディフェンスする

ハルファスって、72柱の事なら鳥だよね
マルコスも似た名前の狼悪魔がいるけど
そこから取ったのかな

飛べば見られるけど…
一度、ゆぅ君の肩を掴んで少し飛行で浮き
こうやっと飛ぶんだけど、見えた?
終えたら狼悪魔に向かうよ
ユキミはゆぅ君を守ってね

力は怖くても、接近戦になるなら
光を少し長めの短剣の形状にして二刀持ちで
基本は左は受け流したりして防護や牽制
右で斬る様に動くよ
状況次第で左右の役割を逆にもするけど

引き離せなくても
一撃毎に狼の腕の間合い分だけ飛行して離れて
次へ翔けてまた一撃と一撃離脱

ゆぅ君!?
…私が行って、接近の狼がゆぅ君を狙っても困るし…
レオ、お願いね…!


 仲間たちが戦いの音を響かせるその後ろ、到着した二つの影は広がる光景への関心を寄せ合っていた。
 屯する狼が築く山脈の向こうを覗いた坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)が、思わず声をあげる。
「おー、あいつがハルファス? なんか、頭の飾り? 翼みたいなのとか目立つけど」
 支配者の全体像を拝むには、あまりにも狼が邪魔だった。
「……ハルファスって、72柱の事なら鳥、だよね」
 眠たげなまなこで記憶の引き出しを開けながら、森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)が呟く。一回まばたきする間にまたひとつ、彼女は相対する悪魔についても引き出した。
(「マルコスも、似た名前の狼悪魔がいるけど……そこから取ったのかな」)
 知識から紐解こうとする彼女をよそに、悠日理は右から左から、背伸びしては跳ね、着地しては爪先立ちをしてと、めまぐるしい戦場で動き続けていた。
「そんなに見たい?」
 こて、と頭を少し傾けて惺音が問うと、せっかくだしな、と弾んだ声が返る。
「ゆぅ君、飛べば見られると思うけど」
「! そうか!」
 飛翔の加護は場に在る。
 思い出したように宙空を仰ぎ見た彼へ、惺音は細い指を開くように手を差し出して。
「飛んでみよう。ね?」
「もきゅぅ」
 惺音に連ねてユキミも声をあげた。
 それならと悠日理が地を蹴れば、身体は自然と空へ近づく。
「うわっ、わ、すっごい! 見えた!」
 心持ち慣れぬ飛翔に感激しながらも、次に口を衝いたのは。
「あほっぽい鳥面!」
 本人が思う以上にカテドラル内へ響き渡った、素直な感想。
 聞き逃すわけもなかったハルファスが、むっとしたのか僅かに気配を強張らせた。
「よし、顔を見て満足したし、やるぞレオ!」
 悠日理が呼びかければ、レオは揚々と槍を掲げた。レオと悠日理、同じぐらいの意欲が互いを繋いでいる。気付けば顔を見合わせて首肯し、そして悠日理が口を大きく開く。
「いけ! 乱れ突きだ!」
 電磁波が、ハルファスへの信仰で浸された場をも掻き乱すように伝う。レオの雷槍が敵陣を散らすや、敵も牙を剥く。グルルと鳴っていたかれらの喉から咆哮が放たれ、狼たちからの爪撃がレオへ降りかかった。
 しかし悠日理の眼差しにも、レオの歩みにも迷いや躊躇はない。
(「なにで攻撃してくるか、こっちは分かってるんだ……!」)
 それこそがディアボロスの得ているアドバンテージ。だから勇を鼓して、敵を撹乱していく。
(「それにしたってすんごい鋭くない?」)
 激痛に苛まれながら、悠日理が胸元を押さえる。
 けれど――彼はいつしか目だけで追っていた。惺音から伸びる影を。
(「……俺もいいとこ見せなきゃな」)
 共に立ったこの戦場で、向こうも頑張っているとわかるから。振り絞っているのを感じたから。
 ――まだ少し、手が震えている気がする。
 惺音はそれを、気の所為だと誤魔化さなかった。己の力を怖いと思える部分が残っているのは、幾度となく経験を重ねたとしても、やっぱり何処か安心する。
「ユキミ、ここは私が……頑張るから」
 一心同体のユキミへ、見ていてと告げる代わりに添えた惺音のほのかな笑み。
「きゅきゅ!」
 明るい声が彼女の耳朶を打てば、憂いを帯びたまなこも大群の中で光を燈し続けて。
「光よ、お願い……」
 祈りをも光に換えた惺音が、天を駆けながら浄めの力で短剣を模る。刃も柄もすべてが目映く、マルコスらの目つきも険しさを増す。アークデーモンたるかれらは、ディアボロスの輝きも、色も、滅ぼそうとするだけ。
(「好き勝手なんて、させない……っ」)
 想いの一切を失わず、惺音は小刻みな呼吸に合わせて――切り込む。
 吐く息ひとつで頭上から迫り、光刃で悪魔を狩れば。吸うときにはふわりと舞い上がる。
「離して……っ」
 獣に執拗に纏わり付かれ、均衡を崩しかけても、彼女は狼狽しない。
 痛みごと敵を振り切り、目線を外せば。
 そこにはいつだって、彼の姿があるのだから。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【飛翔】がLV5になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

アリス・セラフィハート
アドリブ連携歓迎

私の様な女の子が
護衛と渡り合い

ハルファスさんが
戦わず撤退すれば

信者さんの
信仰心もゆらぐ
でしょうか

『ハルファスさん…私の様な女の子だって…戦えます…!』

護衛の
マルコスさんと戦闘

残留効果1&2
全て使用

【パラドクス通信】で連携

【飛翔】で
【空中戦】も行い

【臨機応変】に行動

ヴォーパルソードで
【光使い】で
剣からの
光焔の【衝撃波】【誘導弾】や
パラドクスで攻撃や
敵パラドクスの対処

近接は
【斬撃】【両断】【薙ぎ払い】
で攻撃

時折わざと
ハルファスさんに攻撃
護衛の意識を反らし
護衛に攻撃が当たる様
仕向け

また
ロリーナちゃんに
オラトリオクレセントでの
光の矢の【連射】で
援護して貰い

防御・回避は
【結界術】【残像】


クロエ・ブランシェ
今度のやつはあんまりかわいくないですね。がっかりです。さっさと燃やしちゃって次いきましょう
とはいえ爪と牙は厄介そうですね。クロエちゃんに傷でもついたらどうしてくれるんですか

引き続き宝石魔法で戦います
多少もったいないですが、まだまだ持ってきた宝石はあるので惜しみなく魔力を解放していきます
爪と牙なら攻撃はほとんど直線的なはずですし基本的には後ろへ避けていきます
飛翔できる環境にあるので、スペースが飛翔して上へ回避、後方に避けるスペースを常に確保しながら挑みます
回避したら後隙にどんどん魔法を打ち込みましょうね【連続魔法】


宿奈・雨祢
……港区に動物園ってあったんだっけ?
ハルファスもなんか鳥類だし。

ま、さっきのと違ってこっちは悪魔らしいといえばらしいし、遠慮せずやろうか。
前衛は他の皆に任せるよ。
僕はインドア系なんだ。

おはようございます。ウェザーキャスターの宿奈雨祢です。引き続きTOKYOエゼキエル戦争、港区より天気予報をお届けします。
局所的な大雨は去りましたが、雨の影響か一部地域では霧が発生しています。この霧は判断力や生命力の低下をもたらすでしょう……あぁ、いまさら逃げようとしても手遅れだよ。

以上、現場よりお伝えしました。

さて……君の配下っていうのも大したことはないんだね。それで? 君はどうするんだい?


 宿奈・雨祢(ウェザーキャスター・g00913)の無垢な瞳は、人工物としての色が強いカテドラルの中で、異色としか呼べない姿を映す。翼の生えた粗野な毛並みの狼に、鳥を象徴する人型のアークデーモン。雨祢はぐるり目線を彷徨わせて。
「……港区に動物園ってあったんだっけ?」
 記憶にないけれど、あるとしたら此処なのかもしれない――なんて考えながら彼女は、クロエ・ブランシェ(diaphane・g01909)とアリス・セラフィハート(不思議の国の天司姫アリス・g00270)の袖をちょいちょいと引く。
「前はお願いするよ。僕はインドア系なんだ」
「クロエちゃんもですよ」
「インドア……私も、おそらくそこに入るかと……」
 ふたりの答えを聞いて、あれ、と雨祢が瞬ぐ。
「じゃあインドア系女子三人、アウトドアみが強い相手に抗ってみよう」
 悪魔の様相はアウトドアというより、野性そのものだけど。
 雨祢がそう告げた傍で、クロエは薄い笑みを浮かべたまま、想いを溜息へ籠める。
「今度のやつは、あんまりかわいくないですね」
 アライグマに似た先ほどの悪魔を、ほんの少しだけ惜しむ気もあって。
 けれど次に瞬いだときにはもう、クロエの意識は今まさに対峙している敵へと注がれた。
「がっかりです。さっさと燃やしちゃって次いきましょう」
「は、はい……護衛さんをたおせば、きっと……」
 アリスがそう連ねた。
 マルコスの集団を倒すのはもちろんだが、そこから派生する部分に彼女は意識を置く。
(「私の様な女の子が護衛と渡り合って、ハルファスさんが撤退すれば……」)
 ハルファスを絶対と狂ったように信じる人々にも、きっと動揺や迷いが生じるはず。
(「信仰心というのは、そうしてゆらぐものなのでしょうか」)
 こてんと首を傾げて考えても、アリスは難しげに眉根を寄せるだけ。
 わからなくても、やることは決まっている。
 だから少女は天使の翼をはばたかせた。ふわり、軽やかに舞い上がったアリスはそのまま宙空で戦場を見渡す。
 ディアボロスとマルコスが造り出す戦況を脳裏へ記しながらも、雨祢の喉からは「うーん」と唸りに近い音が上がってゆく。挙動も、戦法も、つい先ほどまで戦っていた悪魔とは一味もふた味も違うからこそ、思うことがあって。
(「さっきのと違って、こっちは悪魔らしいといえばらしいんだよね」)
 どこからともなく抗議の「きゅぁ!」が聞こえてきそうだったのは、雨祢の記憶が想像させたからか。
 周波数を合わせるように雨祢が気持ちを切り替えれば、唇から溢れ出る言葉は天気予報のみとなる。
「おはようございます。ウェザーキャスターの宿奈雨祢です」
 自然と会釈をした彼女は、もうじきカテドラルへ訪れる空模様を放送し始めた。
「……引き続きTOKYOエゼキエル戦争、港区より最新の天気予報をお届けします」
 彼女の予報が済むまでの僅かな間、カテドラルの天井付近を翔けていたアリスは、数え切れぬぐらいの光輪を出現させる。混じり気のない聖の輝きで象られた無数のリングは、いきます、というアリスの掛け声を受けた直後、マルコスを切り裂いていく。
 煌めきの軌跡が戦場を疾駆した途端、吠えた狼が狩りに勤しむため、彼女へ飛びかかる。降りかかる火の粉を払うように、アリスが得物をぶんぶん振り、マルコスから遠ざかっていく。それを間近で目撃したクロエは、少しばかり瞳を揺らす。
「爪と牙、思ったより厄介そうですね」
「はい、想像より痛いかも……しれません」
 頷いたアリスの顔に射した色から、クロエも察する。
 流れるように、それならと彼女は目線を手元へ落とした。
 クロエの魔法触媒は、常に持ち歩いている宝石たち。いくつもの彩りをそっと掌に包み込めば、秘されし力が肌や衣服を伝っていく。
「惜しみ無くいきますよ、わたし」
 宣言が狼へ届くよりも早く、彼女のリュビィが赤々と標的を追った。馳せた弾は情熱を、連想させる炎でクロノヴェーダを灼く。一体がその色彩に囚われて潰えるのを、他の狼も確かに見て、そして躊躇に似た気配を帯びた。
 皆で重ねに重ねた怒りの増幅(ダメージアップ)が、ディアボロスひとりひとりの一手を、より強力なものへと変えていた。さすがにこの状態で攻勢を強められては、狼の群れとて怯まずにいられない。視覚的にも分かりやすいのだ。一撃が強いというのは。
 浴びた火を耐えたマルコスが、不意に跳ねる。かれの爪は風を切りながらクロエへ向かった。気迫に満ちた爪撃が、彼女の腕を掻く。咄嗟に構えた杖で威力こそ削いだものの、痛みによって覚えた熱さは拭えない。
「クロエちゃんに取り返しのつかない傷でもついたら、どうしてくれるんですか」
 飛び退いたクロエは、もう、と唇をほんの少しだけ突き出す。
「責任取ってもらいましょう。あ、拒否権とかはないですから」
 クロエがにっこり微笑みかけると、狼たちから「ギゥ」というなんとも妙な呻きが零れた。本能で何かを察知したらしい。
 狼の数も減ったところへちょうど、雨祢の天気予報がより明瞭に届く。
「局所的な大雨は去りましたが、雨の影響か一部地域では霧が発生しています」
 続報を綴る唇は、常にカテドラルの妙な空気を吹いて飛ばす。
「……いまさら逃げようとしても、手遅れだよ」
 霧に呑まれたマルコスが一体、また一体と倒れ、三体目が雨祢を執拗に狙い、己の爪でもって仕返す。
 くるりと周囲を見渡したアリスが、喉を開く。
「数、あともうすこしです……!」
 残る敵を報せつつ翔けたアリスは、佇むアークデーモンへ目線を投げる。
「ハルファスさん……」
 ディアボロスへの関心を顔の向きだけで示した港区の支配者へ、アリスは意を決して訴えた。
「私の様な女の子だって……戦えるんです……!」
 握りしめた両手を微かに震わせて。
 しかし当のハルファスは、否定も肯定もせず、理解を示しもしない。
(「い、いったいなにを考えながらあそこに立っているんでしょう……」)
 声音や表情から読み取れるものは、異常に少ない。
 そこへ、雨祢もハルファスを見やって言った。
「それで? 君はどうするんだい?」
 殲滅も間近な状況で、ハルファスは堅く口を閉ざしたままだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV7になった!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!

虹空・アヤ
イイね、今度のは叩き甲斐があるってモンだ
派手に暴れて親玉に見せつけりゃイイんだろ?
――なら頼むぞ、手毬

手鞠に*光使いで光を纏わせ敵の目を引くよう飛び回らせる
攻撃食らわんよう、コッチへ連れてくるんだ
*戦闘知識活かし敵の間合い、立ち位置の間を見極め踏み込み
「Eater」を薙ぎ【硝子片】
パラドクスに*光と*電撃を上乗せし目を眩ませ怯ませれば、隙ができてコッチも動きやすくなるかね

反撃はまともに受けねぇ方が良さそうだ
【飛翔】し*空中戦
旋回し狙いを定め難く、また軸をずらす事で直撃を避けていこう

狼の面してる割にゃ下手じゃねぇの
狩りの仕方、教えてやろうか?
傷を負っても不敵な笑みを絶やさず煽ってくぞ


フェルト・ユメノアール
さてさて、ここからが本番かな
港区のみんなを救うため、ボクたちに出来る事をしよう!

ハルファス!キミが本当に皆を救う存在だと言うのなら、今ここでボクたちと戦え!
そう宣言して戦闘へ

トリックスターを複数投擲してマルコスを攻撃
接近された場合はハートロッドで攻撃を受け止め、防御
さすがに接近戦は不利だね
ならこれでどうかな?
仕切り直しとばかりにワンダースモークを使用、煙幕を使って姿を晦ます
そしてこの瞬間、ボクはSCドッペルシャドーを召喚!
シャドーはボクの姿に変身
その集団に紛れて攻撃を仕掛ける!と見せ掛けて
ボク自身はアンカーバングルを使って相手の頭上へ
そのまま落下の勢いを使って頭部にトリックスターを突き立てる!


 仲間たちが堅実に戦力を削っていった、その果て。
 俊敏な狼の群れが織り成す騒がしさも、始めの頃と比べてだいぶ静まりつつあった。
 そんな中、敵の見目を認めた虹空・アヤ(彩・g00879)が、イイね、と片頬をもたげる。
「今度のは叩き甲斐があるってモンだ」
 彼が見渡した一室は、群れが群れでなくなった狼の気配も、件のハルファスの色も薄れつつある。連鎖の行く末を想像せずとも知れる。だからアヤはすぐさまモーラット・コミュの手鞠を瞥見した。
「攻撃食らわンよう、飛び回るんだ。頼むぞ、手毬」
「もきゅ!」
 返事は即答。きりりとした目つきへ肯ったアヤは次に、くるりと舞ったフェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)へ目線を送ったのち、床を蹴る。
 一方、顎を引いてアヤへ応じたフェルトの靴先は、楽しげなステップの第一歩を奏でた。じりじりと機を窺う狼も、彼女の
「さてさて、港区のみんなを救うため、ボクたちに出来る事をしよう!」
 道化師帽をゆらゆら遊ばせて、彼女はずびしっとハルファスへ人差し指を突きつける。
「ハルファス! キミが本当に皆を救う存在だと言うのなら、今ここでボクたちと戦え!」
 その身で示せと言うも、当のアークデーモンに応じる素振りはない。
 頑なだなあ、と床を蹴ったフェルトがワンダースモークをノックすれば、今度は聖堂内が鮮やかに染まる。
「ここからが本番だよ!」
「じゃ、派手に演出をキメるとするか」
 色とりどりの煙幕が、戦いの嚆矢となった。
 噴き上がる煙に惑わされることのないクロノヴェーダも、見知った場所をカラフルに飾られてしまっては、唸らずにいられない。ウゥゥと狼の声が地に響くも、かれらの脚力はディアボロスめがけて馳せるのみ。
 アヤは眉に迫る殺気に触れぬよう、右へ左へ軽々と跳びつつ距離を縮めた。
(「オレたちの暴れる様を、親玉に見せつけりゃイイんだろ?」)
 眇めた目へ愉しさの光彩を滲ませて、アヤがゆく。
 彼と手鞠が掻き乱す間に、ポップなメロディを口ずさみながらフェルトが喚び出したのは、自分と同じ外見をしたドッペルシャドーたち。召喚能力の高いフェルトに応えたドッペルシャドーもまた、彼女を真似た跳ね方で次々踊り出す。
「本物どーれだ! キミに当てられるかな?」
 言いながらドッペルに紛れたフェルトの動きは読み切れずとも、狩猟モードの狼はがむしゃらに彼女へ喰らいつく。フェルトは反射的に片足へ体重を乗せつつ身を傾け、杖で凌いだ。衝撃は凄まじくとも直撃を免れさえすれば、身軽な彼女も崩れかけた体勢を戻しやすい。
「ほらほら、これでどうかな?」
 こうして翻弄された狼は、押し寄せるたくさんのフェルトに呑まれ、命尽きた。
 勢いの波が消えぬうち、アヤもEaterの鋭い牙で、狼の爪牙との勝負に出た。
「狼の面してる割にゃ下手じゃねぇの」
 彼という存在から撒かれた硝子片の輝きは、閉ざされた世界であるカテドラルの内側へ、正しき明日への虹を架ける。改竄された世界で、本来の明日へ続くための橋を。
 アヤの不敵な笑みが咲くのと同じタイミングで。
「狩りの仕方、教えてやろうか?」
 そして咆哮と共に駆け寄った悪魔は、アヤの彩色した力に脆く砕けていく。
 汚れた獣爪も、利き足を巧みに使ったアヤへ届く日は訪れない。訪れなかった。
 もきゅう、と歌うように戻ってきた手鞠へ視線を移したアヤは、そこで「あ!」とフェルトの声が弾けるのを聞く。
「ハルファス逃げた! いつの間にっ」
 振り向けば確かに、戦いを眺めていた支配者の姿は消えていて。
「……体面は失ったも当然か」
 アヤが浅い息で笑う。せっかく得た信者を失わぬよう、ハルファスが固執してくれたら、追い詰められたのにとも思う。やはり人間のように、容易くうろたえる相手でも、簡単に折れる相手でもないのだろう。
 そしてディアボロスたちが次に向かう場所は、二択。
 ハルファス逃亡の事実を伝え、信仰心を削ぐため信者の相手をするか。
 構わずカテドラルの主の元へ急ぎ、最終防衛ラインを崩すべく『雷の処刑者アモン』を倒すかだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【温熱適応】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダブル】がLV4になった!

クロエ・ブランシェ
ハルファスは逃げちゃいましたよ。お前たちのことなんてしらなーいって
ここはハルファス様のおひざ元でここにいる限り心配ないとかなんとかあいつら言ってましたがどうでしょうね?

お前たち、本当にハルファスを信じてます?
ただ怖くてわからないから助かりそうなものに縋りついてるだけに見えますよ
見たくないから頭を垂れて、怖くて立てないから跪いている
わたしそういう人、嫌いなんですよね
何を信じるべきか。お前たち、自分で考えなさい
自分で何かを考えて、それがまだなおハルファスだというのならわたしはそれを認めましょう

でもあいつ見た目が美しくないでしょう?
いいんですか、信仰対象がアレで


 大扉が拒絶めいた呻き声をあげる。
 気遣わぬ重さの扉に拒まれながらディアボロスたちが歩を運んだのは、信者が詰まった祈りの間。
 見知り越しの同士が集う場へ現れた人影に、場は騒然となる。
 けれど彼らへ思考する暇も与えず、クロエ・ブランシェ(diaphane・g01909)は薄桃色の唇を震わした。
「ハルファスは逃げちゃいましたよ。お前たちのことなんてしらなーいって」
 信者たちの輪へと切り出した彼女は、あえかな光を背負いながら綴る。
「な、なにを言ってるんだ!」
「嘘だ! ハルファス様がそのような……!」
 一人が声を荒らげれば、他も「そうだそうだ」とクロエを追い返そうとした。
 けれどクロエは気圧されず、にこりと笑む。
「お前たち、本当にハルファスを信じてます?」
 飾るでもなく迂遠でもないクロエの言の葉が、狂信者たちの耳を射る。
「決まってる! あの方さえいらっしゃれば、ここは安全だッ」
「わたしには、怖くてわからないから、助かりそうなものに縋りついてるだけに見えます」
 彼女が所感も述べた途端、人々のざわめきへ困惑が混ざる。
「見たくないから頭を垂れて、怖くて立てないから跪いている……」
 クロエの微笑は常に穏やかだが、紫くゆらす眼差しは冷えきっていた。
「わたしそういう人、嫌いなんですよね」
「なっ……」
 クロエの説教は、信者と化した『港区民』への胸を貫く。
 そこでクロエはハルファスの見目を思い起こし、神妙な面持ちで尋ねる。
 いいんですかアレで、と。
「美しかったり、可愛い人の方がよくないですか? クロエちゃんみたいな」
 自らを指差した彼女の容貌を、かれらもそこで初めて認識したかのように、まじまじと見る。
「……確かに、ハルファス様とは違って愛らしいが」
「騙されるな! 悪徒の意思に流されてはならん!」
 狂いに狂っているだけとクロエも思ったが、心の裡を抉られたことで、狂信が解けかけた者も出ているようだ。
 だから意見が飛び交うのを、クロエは黙って眺めることにした。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV8になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

エヴァ・フルトクヴィスト
縋っても、信じても、自分を見失うか無ければいい様に使われるだけです。
護衛が倒れていく中、何もせず立ち去ったハルファス。
彼は言いませんでしたが……。
戦いの中、貴方達は。
彼の者の為に私達の攻撃の盾となり死になさいと言われたら死ぬのでしょうか?

立ち向かう勇気を持つ、それはとても難しい事だと思います。
ですが自分を見失わず持ち、状況を見極める力はとても大切です。
思い出してください、何の為に力に縋ろうとしたのか、信じようとしたのか。
何よりも生きたいが為だったのではないのですか?

生きたいと思うなら逃げて。

生き残る為に何でも利用して下さい、悪魔だろうが私達だろうが。
その位逞しくずる賢くないと生き残れませんよ?


「彼に縋り、信じても……自分を見失うか、いい様に使われるだけです」
 連ねたのはエヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)だ。
 暮れであり明けでもある光彩を瞳に宿す彼女へ、しかし反論が届く。
「私たちの信仰さえ揺らがなければ、ハルファス様に無下にされることなど……」
 そう話した信者のまなこは、生気も薄く不安定だ。
 だからこそエヴァは口を開いた。
「果たしてそうでしょうか。護衛が倒れていく中、ハルファスは何もせず立ち去りました」
 ハルファスに見捨てられた存在がいる。
 この事実にどよめきが起こり、エヴァの声も少し大きくなっていく。
「もしも戦いの中、彼の盾となり死になさいと言われたら……貴方たちは死ぬのでしょうか?」
「しぬ……?」
 響きが動揺を歌う。狂信に深く溺れた者ですら、目線が彷徨いだした。
 誰もが、死を宣告されたときのような顔色をしていると、エヴァは思う。
 揺れる睫毛越しの光景を、彼女は忘れないだろう――知れぬ不安に染まった区民の顔を。信じてきたものを振り払い、立ち向かうのは難しいことだ。他でもないエヴァもそれをよく知っているから、自然と一人一人の顔を確かめながら話せた。
「思い出してください。何の為に力に縋ろうとしたのか、信じようとしたのか」
「何のって、それは……」
「それは?」
 問い掛けを重ねれば、いつしか信者らの心持ちも傾いていく。
 目線すら合わせなかった者が一人、また一人と彼女へ目を向ける。
「俺、だって俺、死にたくないから」
「わ、私は……安心して暮らせるならって」
「……生きたいと思うなら、逃げて」
 エヴァは静かに答える間、カテドラルを満たしていた空気が変わりつつある。
「生き残る為に利用して下さい、悪魔だろうが……私たちだろうが」
「あなたたちを? いいの? 利用だなんて、そんなことして」
 おずおずと尋ねてきた信者へ、そのぐらいずる賢くなってくださいと、エヴァは深く頷いてみせた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!

シオン・ラモール
【紫蝶】
ん……善いか、悪いかで考えると難しい
要するに天使と悪魔は敵対してる……って、ことだよね

……おれは悪魔だけど、レベッカの味方だから、ね?

説得……おれには難しいことわからないけど
あいつ、ハルファスは、取り巻きがやられたらさっさと逃げちゃったぞ
そんな奴に守られるとか、安全とかより前に、ばからしいと思わないか?
他人に助けを求めても、本当に助かることなんて多分ない
最後には、自分の足で立たなきゃいけないと、おれは思うんだ

でも、みんなは、そんなに弱くないっておれは思うよ
守られるだけの人達じゃないって

ただ守られるだけの暮らしより、みんなで作っていく未来の方が、きっとずっと楽しいと思うんだ
どうかな……?


レベッカ・ブルーゾイス
【紫蝶】
悪魔から見れば天使が悪…
“悪”のゲシュタルト崩壊が起きそうよ

結局のところ
天使で在ろうと悪魔で在ろうと
都合の悪い存在をそう呼ぶだけ
正義や正しさなんて誰にも図れないわ
だから皆、途に迷うのでしょう
シオンには未だ難しいかしらね

行き場を失くした信者達を
唯々哀れに想う
いったい誰が、咎められると言うの
あのように邪なる存在に魅入られる程
貴方がたは苦しんでいたのでしょう
きっとはじまりは…いいえ、今日に至るまで
己が心を歪めてでも求める救いがあったのでしょう

痛苦から目を背け
全てを委ねられるほど
ハルファスは信ずるに値する存在?

堕ちる良さは此の身に沁みて
なればこその助言よ
相手は慎重に選ぶべき…と


 残っていた信者のうち、片隅へ逃れた人々の元へシオン・ラモール(紫石英の彷徨者・g03591)とレベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)は足を運んだ。二種の色がふたつの足音で近寄るのを、信者らは怖がった。これまでの祈りの日々を崩した存在が、瀬間ってくるのだ。これ以上なにを突きつけられるのか、それがかれらを不安に陥れている。
 けれどシオンもレベッカも、互いに頷きあった。二人が伝えたい想いは、とうに定まっている。
「全てを委ねられるほど、ハルファスは信ずるに値する存在?」
 口火を切ったのはレベッカだ。背ければ視界に飛び込むのはほのかな燈り。煌々とつく電灯ではない、薄暗いカテドラルに準じた蝋燭だ。これが目を射るほどの輝きであれば、目も冴え、我を取り戻すこともあっただろうかと、レベッカは思わずにいられない。
 だが、たとえ屋内の燈りが眩しい蛍光灯であったとしても。
(「誰が、目を醒まさなかった彼らを咎められるというの……?」)
 ハルファスの逃亡により、行き場を失くした信者ではあるが。
 かれらは邪に魅入られ、方角を見失うほど苦しんでいたこのディヴィジョンの区民なのだと、彼女は共感を寄せた。
(「今日に至るまで、己が心を歪めてでも求める救いがあったのでしょう」)
 その救いを得た状況を安心と言い表すのか、安全と表すのが正しいかは、レベッカでさえ迷うところ。こうして、哀れでならないと念う彼女の眼差しに認められ、信者たちから血の気が失われていく。来るな、と叫ぶ者がいて。見るな、と訴えだす者もいた。
 それでも引かないレベッカのまっすぐな後背を、じいとシオンが見つめる。
(「おれには、難しいことわからないけど」)
 正面から人々の負の情を受け止めているレベッカの顔が、ここからではわからない。
 だからシオンは踏み出した。
「あいつ、ハルファスは、取り巻きがやられたらさっさと逃げちゃったぞ」
 レベッカの横にひょっこり顔を出して、シオンが信者の集まりへ言葉を放る。
「そんな奴に守られるとか、安全とかより前に、ばからしいと思わないか?」
「さ、さっきの奴も言ってた……そんな、そんなこと」
「信じたくない、っておもう?」
 こてんと首を傾げたシオンから、信者が顔を逸らす。
 一連の流れを目にしたレベッカは、嗚呼と息を吐く。堕ちる良さは、とっくのとうに此の身に沁みている。
「でも、みんなは、そんなに弱くないっておれは思うよ」
 シオンの一言が思わぬものだったのか、え、と人々の輪から驚きがあがった。
「この区には、抗ってる人もいる。みんなも、その区の人たちだから」
 先日までディアボロスが行っていた『港区救援作戦』は、クロノヴェーダに反抗的な住民が居たからこそ成されたもの。
 そうした前提があるからこそ、シオンは紡ぐ。
「ただ守られるだけの暮らしより、みんなで作っていく未来の方が、きっとずっと楽しいと思うんだ」
 つくっていく。その響きは何故だか、狂信に暮れていた彼らの心へ射し込むもので。
 シオンから受けとった言葉を口にしはじめた人々には、まだ戸惑いや葛藤もあるけれど。それでも『自分たちで考えようとしている』ことに変わりない。だからシオンとレベッカはそっと後ずさる。
「……結局のところ、天使で在ろうと悪魔で在ろうと、都合の悪い存在をそう呼ぶだけ」
 不意にレベッカから、ぽろぽろと零れる残滓。
「正義や正しさなんて誰にも図れないわ。だから皆、途に迷うのでしょうし」
 子どもでも、大人でも、有識者でも無垢な者でも。
 正という言葉の捉え方が無数に枝分かれしている以上、全人類が納得する答は導き出せない。それを知っているからレベッカは俯く。そしてシオンは、そんな彼女を知っているから声をかけた。
「天使とか悪魔とかで分けるなら……おれは悪魔だけど」
 ゆっくり、静かな口振りと穏やかな眸を向けて。
「何であっても、おれ……レベッカの味方だから、ね?」
 あたたかな声色が、今はレベッカの目にしみる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!

宿奈・雨祢
いやぁ……逃げたねぇ。
どこからどう見ても逃げたと思うけど……君たちにはどう見えたかな?

もし僕たちが悪人で、君たちを傷つけるつもりだったら、ハルファスはどうやって君らを守るつもりなんだろうね。
試してみるかい? ……なんて、これは冗談だけど。

まぁでも、悪魔なんてそんなものさ。
自分の身に危険が迫らないうちは偉そうにふんぞり返って貢がせておいて、いざ有事になったらスタコラサッサ。
戸惑うよりも、嘆くよりも、まずは怒っていいと思うよ。
これまで散々祈らせておいて、いざとなったら誰よりも先に逃げるような奴に「ふざけるな」ってさ。


白戸・もがり
何かに縋りたい気持ちは分かるよ
急に天使だの悪魔だのが現れて、全部めちゃくちゃになって
従えば救われるなら、って思うのは分かる。でも、滅茶苦茶にした元凶は、だからこそ人を救ったりしない

そもそもあの悪魔が完璧な存在で、本気で人を護ろうと思うなら、他の区の人を助けようとした筈だよ
でも、しなかったでしょう。何ならこの港区で抵抗を続ける人を、排除さえしようとして
そんな相手が人の為に動くと思う?

今更どうして普通の人達の元に戻れるか、って思うよね
まあ、少しは冷たい目で見られるかもだけど……人だって良い所はある
少なくとも、人を利用する事しか考えてない悪魔よりは、同じ「壊滅した東京の人間」に対して寛容だと思うから


「いやぁ……逃げたねぇ。どこからどう見ても、逃げたとしか言えないね」
 宿奈・雨祢(ウェザーキャスター・g00913)がころころと喉で笑う。
 ハルファス撤退の事実を突きつけ、外側からの印象を伝えてみれば、信者ももっと荒れるかと誰もが予測したが――かれらはアークデーモンとディアボロスの戦いの気を、別室で感じ取っていた者たちでもある。ディアボロスに対して、打ち勝とうとする意思どころか、反抗する勇気も持てずにいるのかもしれない。
 少なくともカテドラルを、ハルファスを拠り所とした民の脆さは、雨祢や白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)にも指摘できるもので。
 薄暮に知る色彩を瞳で揺らし、もがりはそっと唇を震わす。
「何かに縋りたい気持ちは……分かるよ」
 従属や隷属により救われる道が、確かにあるのなら。それを選ぶのも手なのだろうともがりは思う。
 だがハルファスはクロノヴェーダだ。決して完璧な存在でも、無敵の存在でもない。
「あの悪魔が完璧な存在で、本気で人を護ろうと思うなら、他の区の人を助けようとした筈だよ」
「ほ、他の区のことなんて……俺たちには関係ないだろ」
「そうよ。他の区から侵略されたらどうなるか……想像しただけで……っ」
 TOKYOエゼキエル戦争ディヴィジョンの性質上、かれらはきっと、支配者たるハルファスが港区に焦点を当ててくれたことも、救いを見出だした理由なのかもしれない。
(「そう、だよね。それぐらい他区から侵略を受けるのを、怖がっていたんだ」)
 人々の話を聞いたもがりは、黒い狐耳をぴこぴこ揺らして思惟を巡らす。
 その間に、雨祢が頷きを繰り返しながら言葉を連ねた。
「悪魔なんてそんなものさ。危険が迫らないうちは、偉そうにふんぞり返っておくなんてのは」
「そ、そんな……」
「で、いざ自分に危険が迫ったらスタコラサッサ、ってね」
 青褪めた信者を前に、雨祢の弁は鈍らない。
「で、でも……さっきから自分で考えろって言われて、けど私たち……どうしたら……」
 困惑を含んだかれらの声を、もがりも聞いていた。突然降ってかかった別の道を示されたとて、いきなり動き出せる人はそう多くない。もがり自身、それをよく知っていたから。
 しかし雨祢は、溌剌と話し始める。
「まずは怒っていいと思うよ」
 戸惑い、悲嘆にくれ、沈む。そんな方向へ転げ落ちるよりかは、よっぽど怒った方がいいと、彼女は譲らない。区民たちの感情の行く先を思えば、ある程度の方針を披露するのもまた、かれらが上手に情を発露させるための標となるだろう。
「これまで散々祈らせておいて、いざとなったら誰よりも先に逃げるような奴だからね」
 ハルファスに、信者を護るつもりなどなかったのだからと強調して。
「叫んでやりなよ、ふざけるなってさ」
 雨祢が一例を伝えると、ふざけるな、というありきたりの言葉をまるで知らなかったかのように、信者たちが口にし始める。
(「立ち向かう気がなかったなら、こういう反応もしょうがないかな」)
 肩を少し竦めた雨祢の近くから、もがりも口を開いた。
「……今更どうして普通の人達の元に戻れるか、って思うよね」
 かれらは信者としてカテドラルに篭り、外界と隔たれた世界でハルファスのために祈り、生きてきた身。
 境遇を考えるだけで、もがりは自分の腕が冷えていくのを感じた。
 だからこそ彼らへの呼びかけを、やめない。
「戻れるよ。……人だって、良い所はある」
 伏したもがりの眼が映すのは、信者ではない。
 カテドラル内を点すほのかな燈りだけを透かしながら、港区の民を映す。そしてもがりは続けた。
「時間はかかっても寄り添えるし、互いに手を取れるよ。同じ東京の、同じ港区の人間なのだから」
 もがり自身は、その狭間に立ったまま。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

●カテドラルの主
 悲しいですねえ、とアモンは微笑んだ。
 寂しいですねえ、とアモンは瞼を押し上げた。
 いかずちの輝きに染まったかのアークデーモンは、ハルファスが去り、信者たちの心が揺らいだ後も変わらない。ディアボロスらが説得していることも知りながら、行く末を眺めるでもなく、堂内の奥でオルガンを弾いていた。
 辺りには他の悪魔もなく、ただただひとり、荘厳なるオルガンの音色を浴びるばかり。
「しかし人がいかに心揺さぶられたとて、かれらの未来に変わりはありません」
 惜しむようにオルガンから離れた彼女は、唇を悦びの色で染める。
 アモンは心奮わずにいられなかった。
「私が、ディアボロスの無残な死で、聖堂を飾ってあげましょう」
 そうすれば、外へ戻ろうとした民も、また祈らずにいられなくなるでしょうから。
 嗚呼、なんて――なんて悲しいことでしょう。
坂登・悠日理
惺音g03409と

ハルファスは逃げたみたいだぞ
お前も逃げた方がいいんじゃないの?
…逃がしてやんないけど
あいつ倒したら東京タワー行けるな
そしたら天辺まで行こ
笑って自分を勇気付けて

大きいハンマー乗ってるけど
それ乗り物じゃないよな
これ位の方が小回り効いて動きやすいぜ
槍を投擲し気を引き攪乱
その隙に近付きハンマーで強打し吹き飛ばした隙に一撃離脱

レオ頼む!
惺音を援護するようにレオに立ち回らせ
自分も槍やハンマーを投擲隙作る

力を解き放つタイミングは見落とさないよう観察
惺音の合図も聞き逃さず
地形諸共ってんならひとまず飛ぶぞ
今なら空も飛べそう…な気がする
ジャンプし
レオ引っ張り上げろ!
羽根ついてんだろ!

反撃で嗜み


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と
ゆぅ君をディフェンスする

…悪魔って、元々は天使だっけ?
派閥争いで負けた結果で
…やっている事も、狙いも
天使でも悪魔でも同じみたいだけど

…やっぱり
ざわざわした不快感が、心の中でぐるぐるする

東京タワー…?
…うん、天辺行ってみたい
ゆぅ君の笑みに、少しほっとして
魔力を槍に変えて持ち

飛翔して
私やレオが一突する前後や動きと
電気の流れはユキミと一緒に見ておこう

相手が雷霆の力を放ったら
ゆぅ君達、避けて
私も雷を帯びた魔力の短剣を複数撃ち出して電流の阻害を狙った上で
雷自体へも働きかけるよ
なるべく、味方に当たらずに流す様に

雷霆前後の隙が大きければそこを狙って
さっきまでの動きで、甘かった箇所を突こう


 処刑を為すにしては温和な顔立ちで、アモンはゆらゆらとカテドラルのひとときを味わっていた。
「何、お前は逃げないの?」
 坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)のぶつけた率直な疑問にも、アモンは微笑みを絶やさない。
「逃げてほしいのですか?」
「そんなわけないだろ」
「ではお互い、都合が宜しいではありませんか」
 まともに返答する気もないらしい処刑者に、悠日理はふーんと唇を突き出して唸る。
(「こいつ倒したら、東京タワー行けるかもってことだよな」)
 よし、と自らの頬をぺしぺし叩いた悠日理の好奇心は、早くも東京の象徴たる電波塔へ向かっている。
 けれど森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)の方は、胸へ手を当てながら睫毛を震わせていた。
(「……やっている事、狙い。天使でも悪魔でも、それは同じみたいだけど」)
 ざわざわとしたものが、胸中に生まれる。不快感が、ぐるぐる回りだす。
 ――とまらない。
 とまらなかったところへ差し込まれたのは、耳によく馴染んだ声。
「東京タワー、天辺まで行こ」
 悠日理からの誘いに、重たげだった少女の瞼が押し上がる。
「東京……タワー……?」
 瞬いだ惺音はやがて、こくりと顎を引く。
「……うん。天辺、行ってみたい」
 どんな景観が待っているのだろう。高いところからの眺望は、どんな色やかたちをしているだろう。
 そうした期待よりも何よりも。
(「ゆぅ君、笑ってくれてる」)
 そのことに惺音は少しほっとした。
 だからトンとつま先だけで勢いをつけて、惺音はユキミと共に宙をゆく。
「ユキミ。ちゃんと、見ておこうね」
「もきゅっ」
 ひとりと一匹が、寒々としたカテドラル内の天井近くを翔ければ、悠日理は己の身体へ勇気を点して駆け出す。巨大な雷槌を目の当たりにして、悠日理の眉が片方ずつ上がっては下がった。
(「というかあれ、乗り物じゃないよな……?」)
 振るうのか振るわないのか判断つきにくい得物に跨がったまま、処刑者はまどろむように揺れる。
 悠日理が槍を思い切り振りかぶって投げつけるも、アモンの槌が事もなげに弾いた。
「そのような物、全く効きませんよ」
「知ってるって。けどな……」
 言うが早いか悠日理は深くアモンの懐へと踏み込んで。
「痛みとか無くたって、たくさん投げられたら嫌になるだろ?」
「……嫌という感情は、理解しかねますね」
 心底不思議そうな物言いのアモンを前に、悠日理は一歩も引かず、投擲を連ねていく。
 事実、投擲の産物はなく、アモンが構えずとも穂先は弾かれるばかり。
 しかしその間、もうひとつ動く影がある。
 伝承知識ならば、惺音も得手とする分野。それを余すことなくパラドクスに組み込んで一撃を与えた彼女は直後、空気を伝う雷の先端を知る。
「ゆぅ君……っ」
 避けてと彼女が叫ぶより早く、いかずちが戦場に迸った。惺音もすかさず飛び退く。
 アモンと槌の動きをじいと見ていた悠日理は、惺音と交替するように飛び込んで、稲妻よりも速い一撃を放つ。
「愚かな抵抗者には、裁きを」
 すかさずアモンが雷霆の力ですべてを薙ぎ払おうとした刹那、悠日理は胸いっぱいに息を吸い込んだ。
「飛ぶぞレオ!」
 カテドラルの床を思い切り蹴る。場に湛えられた飛翔の効果で、悠日理もレオも同時に宙空へゆく。反撃はたとえ天でも地でも届くものだが、見下ろした処刑者の顔つきだけはどこか、自由を謳歌する姿に縋る気配を見せていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV3になった!

アリス・セラフィハート
アドリブ連携歓迎

ハルファスさんは
逃げました

信者さんも
皆さん方のお陰で…

後は
アモンさん
貴女だけです…

残留効果1&2
全て使用

【パラドクス通信】で
味方と連携

【託されし願い】で
行動力強化

【飛翔】で
【空中戦】も行い

【臨機応変】に行動

ヴォーパルソードで
【斬撃】【両断】【薙ぎ払い】や
【光使い】で
剣からの
光焔の【衝撃波】【誘導弾】
で攻撃

敵の歌の対処は
【風使い】で
空気の流れを乱し
可能な限り
音(歌)を遮り

ロリーナちゃんに
オラトリオクレセントでの
光矢の【連射】で
援護して貰い

防御・回避は
【結界術】【残像】

『信者さんは…人は…貴女達の道具ではありません…人のお心…見くびらないで下さい…!』

思いと共に
パラドクスで敵を一閃


白石・明日香
効果2はすべて使用。
【活性治癒】【飛翔】【光学迷彩】を使用。
また会ったな、お前。ハルファスがいない以上お前も全力は発揮できまい!
【光学迷彩】で目立たなくなって【飛翔】を用いて高速接近。奴の槌を挙動から見切って躱して懐に潜り込み。受けたダメージは【活性治癒】で強引に突破!
間合いに入ったら解体、呪詛、早業、捨て身の一撃で叩き切る!
こいつの本体にはいつ会えるのやら・・・
(オレと何の関りがあるのかその時に分かるのだろうか?)


白戸・もがり
態度ではわかんないけど、此処を守る気は一応あるのかなあ?
甘く見られてるなら、その方が良い
その油断に付け込ませて貰って……人々を解放する為に、倒すだけだからね


避けるのは難しそうだけど、雷霆の地形破壊に巻き込まれないように飛翔を使用
オーラ操作で魔力障壁を強化、更に破壊されて宙を舞う瓦礫や砂を使って雷の軌道を逸らしたり、勢いを殺すよう試みる

何とか凌いだら、風と砂礫、光学迷彩で一旦敵からの視線を切ろう
隠れた事には気付かれるだろうけど、私を探すことに意識を向けるなら、それが他の人が狙える隙になる筈
その間は敵の動作の癖などを観察・把握に集中。味方の動きにも合わせて臨機応変に、機を見てサンドストームを放つよ


 アッシュブラウンの建材に満たされた異観は暗く、白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)はその中でそっと瞼を伏せる。
(「態度ではわかんないけど、此処を守る気は一応……あるのかなあ?」)
 もっと必死になってカテドラルの主らしい面でいてくれた方が、わかりやすい。
 奇妙な素振りで揺蕩う処刑者の様相だけでは、もがりが疑問を抱くのも当然で。
(「けど、甘く見られてるなら、その方が良い」)
 侮りや油断といった類が、いかに危険かをもがりは知っている。
 アモンが緩んでいるのなら、そこに付け込むだけだともがりは裂帛の気合を込めた。
 そんなもがりとは打って変わって。
「また会ったな」
 開口一番、白石・明日香(体亡き者・g02194)の挨拶は、処刑者たるアモンへ届けられる。
 しかしアモンは、喜怒哀楽のどこにも属さぬ微笑を浮かべたまま。それでも明日香は凛として続ける。
「お前が覚えていようがいなかろうが、或いはオレを知らなかったとしても問題はない」
 何故なら倒すだけだから。
 付け加えた明日香の一言を耳にして、もがりも、そしてアリス・セラフィハート(不思議の国の天司姫アリス・g00270)も頷く。
 直後、射殺すような眸で標的を捉えたまま明日香が駆ける後ろ、歩を運んだアリスが、ちいさな唇を震わす。
「ハルファスさんは、逃げました。どこへ行ったかわかりません」
 アモンは応えない。けれどアリスの様子を見ているのは確かだ。
 好奇の視線を振り払って、アリスは連ねる。
「信者さんも、皆さん方のお陰で……ですから後は」
 双眸に映した処刑人の姿は、ちかちかと眼の奥が痛むような感覚だが、折れずにアリスは見据えた。
「アモンさん。貴女だけです」
「ご丁寧にありがとう、お嬢さん」
 ひどく穏やかな声色ながら、アモンから滲む気は凍てつくよう。
 そうしてアモンは、アリスへ意識を向ける。
「ハルファス様がお出かけになられようと、私は変わりませんよ」
 秘密を囁くかのような、柔らかな物言い。
 惑わされずアリスは、一心同体のロリーナに見守られながら戦場で熱を募らせていく。
 青の間に距離を詰めた明日香の軌跡も、アモンは追っていた。その面差しに、焦る気配は欠片もない。
 悠々と居座るカテドラルの主へ向けて、明日香が抜き放った刃は――魔骸から生成した一刃。
「ハルファスがいない以上、お前も全力は発揮できまい!」
「さあ、どうでしょう」
 渾身の力で叩き斬ろうとした明日香の刃が、アモンの鉄槌と交差し、同時に一撃を受け合う。
 明日香は明日香で、アモンはアモンで衝撃に押され足裏で床を擦り、距離があいた。
(「こいつの本体には、いつ会えるのやら……」)
 明日香はふっと短く息を吐く。
(「オレと何の関りがあるのか……その時に分かるのだろうか?」)
 もどかしさを握り込み、今はただただ嚥下する。
 すると、生じた二人の間を突き抜けるようにもがりが飛びあがり、派手な動きで装飾柱へ身を寄せようものなら、槌を振りかざすアモンの視線も、それを追う。
(「あれを倒せば、このカテドラルも戦線も、維持するのが難しくなるはず」)
 焦りの代わり、期待がもがりをくるむ。港区の人々を解放したい。そのための一歩を踏みだし、そのための一手をクロノヴェーダへ叩きつけようと、息せき切る。そして冷えきった空間から風塵を縒り集めていった。
 アモンの顔が逸れたところへ、アリスが空の彩りを集めだす。
 練られた光焔が、カテドラルという名の閉ざされた世界を――駈る。
「受けてください……っ」
 一閃が馳せ、びかびかと稲光を走らすアモンが口ずさむ歌声とぶつかる。
「刻みましょう、この世に留まる肉体を。落としましょう、その命に縋りつくのなら」
「そんなこと……させません……から……!」
 相打つ二色は瞬く間に競り合うも擦れ違い、視認できぬ金色の歌はアリスを、目映い空色の焔はアモンを撃った。
 風音に腕を引かれ、アリスは精神を捩曲げる歌声をほんの僅か和らげるも、それでも苦悶が心身を駆け巡る。
「ッ、信者さんは、人は……」
 アリスが力を込めて、ゆうらり揺れるアモンを眼差しで射抜く。
「貴女達の、道具ではありません……っ」
「そうですね、あれらは私たちの糧に過ぎません」
 道具とは違うとでも弁解するかのようなアモンへ、ふるふるとアリスがかぶりを振って。
「人のお心……見くびらないで下さい!」
 戦場に広がった輝きの内側、風が起こり砂が舞い上がる。
 風も砂も、もがりの技能を駆使すれば処刑者アモンへ確実に――届く。
 譬え裁きのいかづちに打たれようと、もがりの砂嵐はかの金色を覆い、鈍らせて、削り取った。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【活性治癒】がLV3になった!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!

クロエ・ブランシェ
お前、悲しいとも寂しいともなんとも思っていないでしょう
わたしはお前たちみたいな生き物を悲しくて寂しい存在だと思いますけどね
お前たち――大天使もですが
人の心を糧にしながらも人の心を解さない。だから信者に逃げられるんですよ。愚かですね!

混戦になるでしょうから前衛に向く人の後方から宝石魔法で戦います(連携ok
水の魔法で味方の合間を縫うようにアモンを狙います
攻撃は避けられるようなものでもなさそうなので魔法の撃ちあいで相殺を狙います
最後の一撃には今残ってる宝石全部使って全力魔法で叩きこみます
月並みなことを言いますが、お前たちが思っている以上に、人の心は強いんですよ。わたしたちがここにいるのがその証左です


エヴァ・フルトクヴィスト
最終的に加護が無くなろうとも、
自分が排除出来れば問題ないと思っている辺り、
この港区が押し込まれている原因が見て取れますね。
それとも攻略が出来る、
人々を救えるという希望を植え付ける為の罠なのかと疑いたくなります。

ですが、追い詰めた人々を甘く見ない方が良いですよ。
私達だけでなく、ね!

パラドクス通信で皆さんと意思疎通し、適宜連携。
エフェクトで緩急をつけて飛び回りながら攪乱。
相手の雷攻撃には冷静に観察しつつ、
魔術で呼び出した世界樹の枝や、ドローイングナイフを避雷針に臨機応変に回避。
受け止めた枝達は手元へと招集。
雷エネルギーも力に変えて、一本の光の槍へ。
機を見て光の槍を投擲、貫通の一撃を撃ち込みますよ!


虹空・アヤ
化けの皮が剥がれた所で痛くも痒くもないってか
ケドまだ思い通り事が運ぶと信じてンなら、おめでたいこった

今度も迂闊に食らうンじゃねぇぞ、手鞠
手鞠へ*光と*電撃纏わせ敵の注意を引くよう飛び回らせる
同時に「Eater」振りかざし【飛翔】、手鞠とは逆側を飛び攪乱しよう
槌を振るう時にゃある程度の予備動作がある筈だ
*戦闘知識で軌道、間合いを予測し避け、雷はコッチの*電撃と共鳴させ軌道を逸らそうか
隙を見て剣で斬り付けると見せかけもう一歩奥へ踏み込んだなら
【骸喰】で手指を牙と*肉体改造
喰らい付き、肉を骨を噛み砕いてやる

てめぇらの作る偽の未来は、オレ達が変える
陶酔ごっこなら他所でやるンだな、もう機会はねぇだろうが


フェルト・ユメノアール
悪いけど、ボクたちの知っている未来はもっと幸せな世界なんだ
過去を捻じ曲げ、未来を奪ったクロノヴェーダに想いをぶつける
キミたちにこれ以上、未来を奪わせはしないよ!

まずはトリックスターを複数投擲してアモンを攻撃
遠距離からダメージを与えつつ、雷撃をそちらに誘導する事で攻撃精度を低下させて仲間を支援

相手が裁きの雷霆を使ったら【飛翔】を使って空中に退避して直撃を避け
再度トリックスターを投擲する……と見せ掛けてその中にワンダースモークを混ぜ、煙幕で相手の意表を突いた所で反撃だ!
現れろ!SCバイバニー!
可能な限り巨大化させたトリックスターを抱えて急降下
そのまま落下するようにアモンに捨て身の一撃を叩き込むよ!


 悲しいですねえ、とかの者は云った。
 然して悲しむ素振りもなく口にした処刑者を、クロエ・ブランシェ(diaphane・g01909)は瞬きも忘れて見つめる。
「お前、なんとも思っていないでしょう」
 微塵も飾らずぶつけてみれば、伏せられていたアモンのまなこが開かれ、指摘した相手を捉えた。
「いいえ、沢山のことを思っています。感じています」
 例文のような返しをされ、クロエは眉をあげる。
「気にしているようには見えませんけどね。天使でも悪魔でもない人のことですし」
 クロエが連ねるも、アモンは小さく笑うのみ。
 そんな様子にエヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)が口端を上げた。
(「加護が無くなろうとも、自分が排除出来れば問題ないと。そう思っているのですね」)
 自身の能力ならば、退けるにせよ排除するにせよ、それが叶うとアモンは思い込んでいる。たった一体で、自分たちを処すことができると思っているのだろうかとエヴァは息を吐く。するとそこへ。
「化けの皮が剥がれた所で、痛くも痒くもないってか」
 顎を撫でつつ虹空・アヤ(彩・g00879)も、眼を眇めて呟いた。
 アモンを象る艶めきこそ褪せてはいるが、態度には焦りや惑いが生じていない。処刑を担う者の様相は、ディアボロスたちの猛攻を受けた今も揺らがない。
「……この港区が押し込まれている原因が、見て取れますね」
 そう応えたエヴァに、全くだとアヤも肩を竦めて。
(「ケド、ま、何にせよ着実に体力は減ってる」)
 今まで仲間たちの連ねてきたものも、感じ取れる。
 だから喰らいしモノの名で作られた得物を手に、アヤはすっと目線を敵へ向けて。
「迂闊に食らうンじゃねぇぞ、手鞠」
「もきゅきゅっ」
 隣で全身を使って頷いた手鞠が転がっていく。ふわふわ動き出した手鞠を見送って、アヤは反対側へ駆け出した。
 同時にフェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)が、くるりと曲芸用のナイフを踊らせて眼を瞑る。
「悪いけどね……」
 次に両の眼でアモンを捉えたときには、フェルトの手もナイフの切っ先を向けていて。
「ボクたちの知っている未来は、もっと幸せで楽しい世界なんだ」
「未来を知っているなど、おかしな話ですね」
 嗤う処刑人の頬はいつだって冷えきったまま、復讐者たちの姿かたちへ微笑みかける――合図はなかった。ただ相容れぬ対の存在たちが動き出したことで、カテドラルの時間は『未来』を刻みだす。
 銘々位置取りや移動のため靴音を奏でる中、クロエは後方に立ったまま杖を掲げ、魔力を編んだ。
「ご自由に動いてくださればと。わたしの魔法は、合間を縫いますから」
 皆へそう告げながら、クロエの宝石魔術は静かな音色を奏で始めた。
 きらきらがひとつ、色彩に恵まれぬ聖堂に集えば一気に未来は明るさを増して。
「これぐらい、クロエちゃんにはお安いご用ってものです」
 煌めきを受けて、淀んだ悪の空気が変化していく中、処刑者たるアモンは道化師の少女へ声をかけていた。
「あなたの言う幸せは、本当に幸せなのでしょうかねえ」
 フェルトはすぐにかぶりを振るう。
「それ、信仰心を集めるための決まり文句? ボクには効かないよ」
 言い終えるやフェルトがナイフを投げつけるも、やはり傷ひとつ与えられない。
「あなたに私の声が届かぬように、それもまた私には効きませんよ」
「なら、こっちはどうかな? SCバイバニー!」
 フェルトの掛け声に応じたバニーガールが、コンコンと彼女のナイフをハンマーで叩く。トリックスターの名を冠したナイフはみるみるうちに巨大化し、パラドクスの力で以て、アモンが放つ裁きの稲光と相対した。
 アモンの解き放った雷が四辺に伝う一方、宙を舞いながら応酬を聞いていたアヤは溜息を落とす。
(「まだ思い通り事が運ぶと信じてンなら、おめでたいこった」)
 さあ振るえ、と思考内でのみ呟きながら、アヤがアモンの挙動を凝視する。敵が跨がる大槌の色も、想像より随分とくすんでいる。仲間たちの重ねた一撃が、アモンから雷鳴の脅威を少しずつ削った証なのだろう。
 しかし悪魔の表情からは、疲弊も苦痛も窺えない。すべてを穏やかに見守るような眼差しで、アモンは立ちはだかるだけだ。そんな理不尽な敵を前に、フェルトは明朗さを失わずにいた。
「キミたちにこれ以上、未来を奪わせはしないよ!」
 声を弾ませ、フェルトはワンダースモークを取り出す。カチリと開幕の報せが鳴るや、カテドラルは色とりどりの煙幕で飾られた。たとえクロノヴェーダに効かなくたって、一手が、一歩が、一瞬が連鎖していくことを彼女たちは――ディアボロスは、知っている。
 過去を捻じ曲げ、訪れるはずだった未来を、今を奪ったクロノヴェーダ。
 処刑者たるアモンも、そのひとりだからこそ、これまで重ねに重ねて増大した火力で。
「叩きこもーっ!」
 フェルトが叫ぶや、鮮やかな煙りで尾を引いたエヴァが、宙からアモンを視界に収める。
「人々へ希望を植え付けようと、私たちは逃しませんし、壊してみせますから」
 飛び回るエヴァにつられることなく、そうですか、とアモンは笑みを湛えたまま雷槌を振るう。
 アモンのくだす断罪の鉄槌へ、ダンッと力強く一歩踏み込んだアヤが、己の牙をぶつける。すれ違った二色がこすれて、互いを喰らった。そしてアヤの骸喰の力が、アモンの未来を示唆するように、硝子めいた光彩を散らせる。
「てめぇらの作る偽の未来は、オレ達が変える」
 ギリギリとアモンの身も槌も軋ませるのは牙で、アヤの発した言も鋭利にアモンを突く。
 理解しかねますねえ、と処刑人の囁きが零れた。
 直後、アモンが抱える鉛色の心へ疾駆するのは、連ねたクロエのマラキットゥ。
「わたしは、お前たちみたいな生き物こそ、悲しくて寂しい存在だと思いますけどね」
 人心を糧とするアモンをきっと睨みつけて。
「人の心を解さないから、信者にほいほい逃げられるんですよ」
 魔術によって移ろいゆく水の流れは、仲間の合間を縫うように進み、刃となってアモンを貫いた。
 途端に、裁きの雷霆がクロエのいた一帯に降り注ぐ。
「月並みなことを言いますが……」
 総身を駆け抜ける苦悶にもクロエは膝を折らず、俯きもせず、ただ敵だけを見据える。
「お前たちが思っている以上に、人の心は強いんですよ。わたしたちがここにいるのが、その証左です」
 白と黒の狭間をなびかせて、そう言いきった。
 エヴァもこくりと頷き、生命の輝きで槍を結いながら告げる。
「ええ、追い詰めた人々を甘く見ない方が良いですよ。私達だけでなく、ね!」
「愚かな人に、強さなどは生じません」
 決して受け入れる気のない返答をしたアモンへ、アヤが鼻で笑う。
「ハッ、陶酔ごっこなら他所でやるンだな、もう機会はねぇだろうが」
「機会? 何を……」
 アヤの一言で振り向こうとした処刑者はしかし、直後の一瞬という時間を占めるのがエヴァであることに気づけなかった。魔術を用い、生命の強さで創られた槍は、エヴァの手の中で熱を増していく。
(「もう、奪わせはしません。絶対に」)
 美しい枝葉を伸ばした天槍が、翔ける。
 同時にアモンより雷霆の力が放たれ、一帯に在る生き物を追尾するも、天を翔けた穂先は狙い過たずに――。
「かっ、は……?」
 度重なる猛撃で、風穴をあけた。陽にも似た眩しさと、復讐者たちそれぞれの色で抉れたアモンの傷口からは、血でも生気でもなく邪気と魔力が溢れ出す。
「な、ぜ……?」
 本気でわからないといった様子のアモンは、漸くディアボロスたちの顔を瞠目で見つめた。
 そしてまもなく、処刑者は嗚呼と歎く。ディアボロスたちに四囲される中で。
「悲しい、ですねえ」
 カテドラルの主は、復讐者たちの繋げた想念に熔かし尽くされる。
 ハルファスの聖堂が静寂に満たされるまで、まばたき程の時間がかかった。けれど戦いに明け暮れたディアボロスたちにとっては、とてつもなく長い――長くて目が冴える、悪夢のようなひとときだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【活性治癒】がLV5になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2021年10月15日