欠けたピースが繋がる日(作者 木乃)
#最終人類史(新宿島)
#奪還した大地に勝利の凱歌を(東京都、横須賀市)
#『帰還』
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●極東の都
「TOKYOエゼキエル戦争、完・全・制・圧! 長らく戦ってきたディヴィジョンだけど、《七曜の戦》で東京23区を完全に奪還できたわ! まだ生き残っている大天使、アークデーモンがいるようだけど、地の果てに隠れようとぶっ潰すんだからぁ
……!!」
彼の時代から流れ着いた宮尾川・ライラ(蛇姫・g03335)にとって、悲願達成とも言えるが。
拳をブルブル震わせる様子からして、闘志は収まるどころか、まだまだ膨れ上がっていくようだ。
「……ふぅ、それはそれとして。冥海機ヤ・ウマトに占領されていた、横須賀市の奪還にも成功したわね! 新宿島近郊の安全もある程度は確保された、と言えるわ――そこで、残る東京23区と横須賀市民の《帰還》を行いましょ!」
コロコロと表情をかえつつ、ライラはパチン☆とウィンクを飛ばす。
「今回、帰還事業を行う地域は『墨田区、葛飾区、荒川区、北区、板橋区、足立区、練馬区、世田谷区、杉並区、横須賀市』ね。沖縄の離島も奪還できたけど、生活維持が難しいでしょうし、なによりヤ・ウマトの領域内にあるから住民の安全性を優先する形よ」
こうすることには意味がある。
ライラは、いつものように“帰還”について解説し始める。
「まず、奪還した地域は無人の状態で、『2021年8月15日』の時点から時間が静止したままなの。向かった地域で、ディアボロスが【勝利の凱歌】を歌うことで、再び時間が動き出し、人々が最終人類史に帰還できるようになるわ!」
周囲の安全確保、危険物の除去などは、有志の市民が行ってくれている。
ディアボロスは最後の決め手である、【勝利の凱歌】を歌うことに注力するだけでいい。
「【勝利の凱歌】によって、時間が動き出し、姿の見えなくなっていた人々が現れていくわ。帰還した人々は、『おかしなことが起きた』と感じとるから、多少の混乱が予想されるわ。経緯や現状をディアボロスから説明してあげてね」
これまでも人々は、無意識に『自分達の歴史を奪還してくれた、ディアボロスを信頼』してくれた。
ディアボロスの口から説明すれば、納得してくれるのも早いだろう。
「初動の対応が済んだら、周辺区の一般人の担当者に対応を引き継いで、任務完了! だいたい1000人くらいが帰還する見込みよ、ディアボロス同士で連携して解決していってね?」
戦禍を被った地域だが、【建物復元】によって、街並みは元あった形に戻っている。
現地の住民達も、戦時下ではあるが、我が家で過ごせるだろう。
「ところで、人が増えてくることでアタシ的に心配なことがあるの……そう、『人類同士のトラブル』よ! ディアボロスの使命は歴史の奪還、治安維持は市民のお仕事でもあるのよね。人が増えることでトラブルも増える。これは無視できない問題よ」
最終人類史に帰還するのは、心清らかな善人だけではない。
主だった帰還者だと、政治家、活動家、企業の重役――彼らは常に互いの腹を探り合い、利益を生みだしている。
それに差別意識、偏見のある者も、正しい歴史によって生まれた存在。
酷な話だが“善良な市民”だけの世界は、存在しない。
「もし帰還対象に悩んだら、住民トラブルの専門家を集めてくれるとアタシ的には嬉しいわ! たとえば警察官やガードマン、弁護士、SPなんかもアリかもね。人口増加に合わせて、治安維持も重要な課題になってくるわ。選択肢のひとつに入れてみてね」
そう言ってから、ライラは胸に手を当て「これは個人的な話だけど」と前置き。
「TOKYOエゼキエル戦争から漂着した一人として、皆には感謝しているわ。怨敵撲滅までアタシの怒りは鎮まらないけど……今だけは、一個人として喜ばせてちょうだい」
はにかむ笑顔を浮かべつつ、ディアボロスを乗せたパラドクストレインを送りだす。
リプレイ
桐生・八重
さて、では横須賀の在日米軍について担当しましょうか
アメリカがイレギュラーである可能性も含めて、刻逆以前の最強の列強の軍属とは話をするべきでしょう
横須賀の米軍施設にて、先ずは穏健派の基地上層部の人員を帰還
米国大使館の人が作った書類等を提出し、刻逆という人類史最大最悪のテロが起きた事を説明
合衆国は、クロノヴェーダ以上のイレギュラーに占拠されている可能性があります
ですがご安心を、ワタシ達ディアボロスが合衆国を奪還して見せます
そう言って安心させた後、基地にいた軍人を帰還させ上層部の人と共に説明を
刻逆とクロノヴェーダについては以上の通りです
ワタシ達ディアボロスが貴方達に願いたいのは、残存する各国代表や自治体を通しての治安維持です
刻逆前では貴方達は文句無しに最強の集団
そんな貴方達だからこそ、共に複数の団体と手を取って治安維持を行えると信頼できます
そう言って演説を行った後、合衆国国家を斉唱
ディアボロスへの信頼を掴めたのを確認した後に『合衆国奪還作戦、開始ですよ!』と言って激励を
音無・サカハ
アドリブ、連携歓迎
まずは北区に帰還、ここから人が多く帰還するので、まずは治安を維持できる人員を補塡しないと。
「これから忙しいになるな…」
治安を維持するには警察官や支援者などが必要、まずはここから始めよう 【勝利の凱歌】を使い、彼らを帰還し、キッチンと説明する。
「受け入れ辛いかもしれないけど、今はもう2023年なんだ…ほら、ホントだろ?」
自分のスマホ(サモンデバイス)画面を彼らに示し、そこに【2023年 8月】が書いている。
ここからは状況説明だ、俺はディアボロなったばかりで、上手く説明できないかもしれないため、【パラドクス通信】を使い、他のディアボロたちの手助けを要請しよ。
「ごめんな、上手く説明できなくって、これからは大変になるかもしれないけど、一緒にがんばろ」
帰還した人達はいい人だけじゃない、悪い人もいるかもしれない、けど今のような状況こそ、力を合わせる必要があるんだ。
霧宮・悠希
東京23区のすべて、そして横須賀市が戻ってきた。
ぼく自身はディアボロスとしてそんなに戦えてない。世界もまだめちゃくちゃだ。
……けれど。……2年、経ったんだ。そろそろ、願ってもいいかな……?
何となく海が見える場所で。横須賀市で【勝利の凱歌】を歌う。
曖昧な記憶の中から、少しでも鮮やかなものをかき集めて願いを込める。
何よりも取り戻したいもの。取り戻したかったもの。
──家族がいる。父さんがいて、母さんがいて、双子の兄がいる。
一緒にいたんだ。ずっと。あの時までは。
きっと上手な歌じゃない。それでも歌う。
そしてもしも、もしも、家族を取り戻せたのなら。
いつの間にか2年も経って、世界はめちゃくちゃで、ぼくも変わってしまって。
変わってしまったのが、こわいけど。
話すこと、話さなきゃいけないこと、いいたいこと、たくさん、ある。
うまくいえない、かもしれないけど……。
……そう、なったらいいな。
『帰還』に協力できる。それだけでもいい、けれど。
●人類帰還線、横須賀行き
ディアボロス達は互いの要望をあげた結果、ヤ・ウマトから奪還した“横須賀市”へ向かうことに。
横須賀の地に降り立つと、無人の街と潮風が出迎える。
「隣接都市が奪還できていないこともあって、横須賀は離島になっていますね。船舶でも日帰りできることは幸いと言えますか」
桐生・八重(超高校級のホワイトハッカー兼電脳に聳える隠者・g03785)は海上に臨む、大田区を見つめて状況を確認する。
「……あの、すみません。一緒に来てもらって」
霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は言いにくそうに音無・サカハ(過去を探す旅人・g10149)を上目遣いで見遣り、
「気にするな、小さな村でも駐在所くらいはある。どこにでもいると考えたから、時先案内人も提案したんだろう」
「では、どこから向かいますか。悠希さんも希望があるならどうぞ」
八重も尊重する姿勢を見せるが、悠希は慌てて首を横に振る。
「あ、安全確保してもらっていますが、まずは治安維持の専門家が優先かと! ……ぼくは、その後で充分ですから」
「積もる話もあるだろう。お言葉に甘えて、先に俺らの用をさっさと済ませよう」
どこか緊張した様子の悠希に、『心の準備ができていない』と感じてか、サカハと八重の予定からこなしていく。
●Patriot
八重の希望先は『横須賀米軍基地』だった。
「アメリカの状況は不気味なほど見えない以上、不安を募らせる在日アメリカ人も現れるでしょう。抑止力にするなら、同じ国民が適任――では」
少女の歌声が、【勝利の凱歌】となって基地内に響き渡る。
姿の見えなかった者達は、フッと姿を現してたたらを踏んだ。
「な、なんだ……この感覚は?」
「失礼、米国大使館の許可を得て参りました。上官との面会許可を頂けますか?」
本来なら不法侵入で拘置所送りだろうが、【強運の加護】のおかげで、理解ある軍人と接触できた。
大使館の書類もあって、トントン拍子で取り次ぎが進み、最高責任者と応接する八重は経緯と現状を踏まえてから本題に入る。
「合衆国は、クロノヴェーダ以上の“イレギュラー”に占拠されている可能性があります」
「クロノヴェーダ……現代兵器の一切が通用しない、歴史を改竄する侵略者。恐ろしい相手だが」
大使館という外交の窓口が案内状を書いていることから、言葉から信ぴょう性を十分に感じられる。
だが、
「それ以上のイレギュラーがいるという“証拠”は? なにか記録があるのか?」
証拠はない。事実確認ができていない以上、憶測に過ぎなかった。
それでも、改竄世界史によって、世界が混乱の最中にあることは揺るぎない事実。
「イレギュラーが存在する確証は、ありません。……ですがご安心を、ワタシ達ディアボロスが合衆国を奪還してみせます」
「現代兵器も通用しない相手、ではな……我々がチカラになれることはあるか? 存亡の危機にある民衆を捨て置くなど、軍人として恥ずべき行為だ」
戦力となれない以上、“穀潰し”という、不名誉なレッテルは避けたいだろう。
だが、八重にとっては渡りに船。
「ワタシ達ディアボロスが貴方達に願いたいのは、残存する各国代表、自治体を通しての治安維持です。刻逆が起きるまで、貴方達は文句なしに最強の集団」
だからこそ、“市民を守る存在”として、これほど信頼できる組織は他にない。八重は熱弁を振るう。
「列強が誇る海上保安組織ならば、複数の団体と手をとって、治安維持を行うことも容易いと存じます」
「フ、了解した。我々の愛国心が試されているならば、知らしめなければな」
――基地内の隊員を集め、八重は同様の説明を水兵達に行った。
そして、
「合衆国奪還作戦、開始です! 合衆国を愛する兵士の皆さん、祖国を想い歌いましょう」
そう宣言し、合衆国国家を高らかに歌いあげる。
これは世界に迫る危機。国家の垣根を越えて挑む、巨大な戦争だと知らしめた――。
●志
「さっきは凄いシーンを見た気がするぜ……俺もしっかり務めを果たさないと」
八重の政治的なパフォーマンスを見たことで、サカハは困ったように頭を掻く。
「人口増加はトラブルにも繋がる、か……これから忙しくなるな」
横須賀市警察署本部は、海軍基地からすぐ傍にあった。
サカハも【勝利の凱歌】を歌うと、警察署員が次々と姿を見せていく。
ひとまず警察署前の駐車場に集まってもらい、
「受け入れづらいかもしれないけど、今はもう……2023年なんだ」
「2023年? 2年も署内にいたと言うの?」
「俺のスマホを見てくれ。ちゃんと表示されている、自分達の端末も同じ日付になってるだろうぜ」
サモンデバイスの画面を一人、一人に見せたことで、サカハの言葉を警官達も信じたようだ。
(「ここからは状況説明だが……ディアボロスになりたての俺が上手く説明できるか」)
堪えきれなかったように、唇を噛みしめていた悠希が口を開く。
「……全部、全部が奪われたんだ。友達と遊んだことも、大事なモノも……家族も。俺達の抵抗も、全部“なかったんだ”って……あいつらは、あいつらは……っ!」
怒りに拳を震わせ、絞りだすように言葉を紡ぐ悠希の姿に、警察官達も目を釘付けにされる。
刻逆さえ起きなければ、小学校を卒業して、中学校へ進学し……真新しい制服に袖を通していただろう。
その少年の言葉が、誰もの心に突き刺さった。
「俺も目が覚めたとき、自分のすべきことさえ思い出せなかった。……知らなければ、って感情が俺を突き動かしているのかもな」
一呼吸おいてから、サカハは改めて警官らを見渡し、
「帰還する人達はイイ人だけじゃない、悪い人もいるだろう。けど、今のような状況こそ、チカラを合わせる必要があるんだ……それでも、ぶつかっちまうのが人間なんだろうが」
サカハは僅かに目を伏せる。
手を取り合えば済むことも、思想や感情が邪魔をする。――人類とは、なんと非合理な生き物だろうか。
「俺達は歴史を取り戻す。だから、人々が安心して生活できる環境を、守ってくれないか」
その願いを袖にする者は一人もいなかった。
警察官とは志もなく、務まる役目ではない。使命を思い出した者達が横須賀市民を守るだろう。
●切望
八重達は警察署の付近を巡回に向かった。
今は一人にしてあげよう、そう気遣ったのだろう。
(「東京23区のすべて、そして横須賀が戻ってきた」)
悠希にとって、長いようで短い2年だった。
だが、成長期の彼は背も伸びているだろう。
(「ぼく自身はディアボロスとして、そんなに戦えてない。世界もまだめちゃくちゃだ。……けれど」)
この2年、ずっと耐えてきた。ただひたすらに願ってきた。
天も粋な計らいをしたのか、警察署は横須賀新港ふ頭のすぐ近く――悠希はふ頭の先に立ち、広がる海上を見つめる。
「……そろそろ、願ってもいいかな」
ポツリと呟き、悠希は潮の香る空気を胸いっぱいに吸い込み、【勝利の凱歌】を歌いだす。
おぼろげになってきた記憶の糸を寄り合わせ、少しでも鮮やかな色を織りなしていく。
かき集めた願いに込める祈りは、小波が聞き届けていた。
(「父さん、母さん、兄さん――」)
刻逆が起きるまでずっと一緒にいた。
両親と仲睦まじく過ごし、双子の兄も大切な家族で――奪ったヤツが赦せなかった。“なかったこと”にしたことも、全部! 全部!!
涙で頬にはいくつも涙の跡が残る。
震える声音で、悠希は歌い続けた。
(「いつの間にか2年も経って、世界はめちゃくちゃで……ぼくも、変わってしまって」)
変わっていく自分が怖い。変わってしまった事実が怖い。
それでも、話したい。話さなきゃ! 言いたいことだってたくさん!
上手く言えないかもしれないけれど……伝えたいことが、悠希にはあった。
凱歌を歌いきり、悠希は溢れる涙を拭いもせず、空を見上げる。
「また一緒に……そう、なったらいいな」
これは、求めて得られるチカラじゃない。
“自分”だから、できること――濡れた瞼と頬を拭ってから、悠希はふ頭を歩きだす。
その先にきっと“望む未来”があるのだと。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV2が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!