リプレイ
リーシャ・アデル
・心情
敵のジェネラル級とかが出てきたのはいいけど、また面倒な状況ね?
ヴェル・ス・ヴァールも居るなら尚更……
まぁ、アタシ達が活躍してその力を削げるのなら、頑張るしかないわね
・戦闘
パラドクス「翠焔・創像:フレアスラッシャー」で≪飛翔≫の効果を得つつガーゴイルガンナーを殲滅する方向で動くわ
暴れて警備を集中させておけば、掻い潜る人達もやりやすくなるんじゃない?
戦いの補足で、リアライズペインターの力で『翠焔・創像:フレイムフェザー』を創って【投擲】したり、光の輪で魔弾は相殺するようにするわ
・その他
アドリブ等は大歓迎よ
ヴェル・ス・ヴァールの本体は両親の仇でもあり、憑依合体している大天使とも因縁があります
天夜・理星
はいアタシこと天夜理星参上♬
早急に復讐に屈してもらおう。天使も悪魔も、どっちもどっちかも知れないってんだから。
…もっとも、今は悪魔だけ、か。
カテドラルに近づく為には警備をどうにかしなきゃね。
どうせ直属護衛を後で差し向けて来るのなら、警備をやり過ごすよりも片付けた方が早い気がする。
で、急降下ねえ…?
だったらすぐ対応出来るこのパラドクスがいいね。
刻は刹那、改め瞬け♪
急降下の瞬間をギリギリまで引きつけて、パラドクスを発動、残像を伴ってすれ違うことで敵を時空の歪みの修正に巻き込んじゃおう!
お台場へ移動させる作戦が事前に功を奏していたみたいで良かったよ。
おかげさまで、もっと事態を良い方向に動かせるから!
アルメア・グラウプナー
「神の教えへの信仰が篤いという事自体は立派ではあるが…信じる者は掬われるという言葉もあるなあ…果てさて…」
「ま、それは兎も角私は私で仕事を始めよう。彼らが信じている存在が何であるかを知らしめるためにな、はっはっは!」
・行動
相手は銃手か。ならば目には目を、歯には歯を、銃には銃をだ。
基本的には火砲による【砲撃】とガトリングによる【制圧射撃】で攻撃しつつ進撃していこう。
複数人を対象に取れるならば大砲火を使用して一気に倒し、接近戦や空中からの奇襲にはソードオフと爆裂鉄球に持ち替えて【臨機応変】に対応していくか。
ああ、それと一般人への被害、及びそれを誘発する建物への被害は極力抑える様に立ち回ろう。
籠室・楓
・心情
私にとってはこの世界が故郷です。
必ず取り戻します。
・戦闘
ローブを羽織って信者に紛れ込みカテドラルへ潜入します。
他のディアボロスの攻撃が始まって現場が混乱状態になったら
【モブオーラ】と【忍び足】で気配を消しながら護衛に近づき
【アサシネイトキリング】で密やかに仕留めます。
敵に気づかれそうになったら助けを求める信者の振りをして油断を誘い、
完全にばれるまで暗殺を続けます。
「ああ、どうか私達をお守りください…なんちゃって」
※アドリブ歓迎
結城・花撫
ここはアタシ達の住む東京(現代地球)とよく似てるのに、大天使だとかアークデーモンなんて化物が我が物顔で闊歩してるなんて、不思議な感じ……。
でもよく似てるからこそ他人事だなんて思えない。アタシ達の東京が侵略されてるも同然!
まずは邪魔な警備を殲滅する必要があるかな。
掻い潜るって言っても、追いかけてこられたら挟み撃ちにされかねないし。
パラドクス「破軍衝」で攻撃します。
撃破できそうな敵を優先して攻撃し、味方と連携が取れそうな場合は積極的に連携を狙って行きます。
この後も戦闘が続くので無理はしないが、他のディアボロスが危険に陥りそうな場合はその限りではありません。
瑚雛・凛櫻
司くん(g00131)と参加
(司くんのぶっきらぼうな態度には結構慣れてる)
アドリブ◎
まずは施設で行動しやすく為の下準備ってワケね
それにしても…なかなか良いマスケット…ってそんな所見てる暇はないわね
相手が急降下して襲い掛かってきた所を狙撃
私は司くんの狙撃から逃れた敵を撃ち堕とすように心掛けるわ
お掃除は綺麗にしなくちゃね♪
電脳空間から自作のマスケット銃を大量に出して攻撃よ!
集団相手にはこの戦法が一番良いわね
司くんへの魔弾の供給も忘れないわよ
合図があったら随時渡していくわ
「お待たせ、しっかり撃ち堕としてよね」
「これで此方は大体片付いたかしら?」
思いがけない称賛の言葉には思わず笑みが零れてしまうかも
甲斐・司
凛櫻(g00518)とコンビ
(対応はぶっきらぼうで名前は呼ばない)
アドリブ◎
どうせ倒さないといけない敵だ、それなら正面から堂々と行こうか!
それにしても二丁ライフルにコート、良いセンスしてるよ。
もっとも、中身が全然話にならないけどな?
◆
コイツらに銃と爪があるように、俺の武器にも刀身がある。
接近して来たら斬り伏せ、遠ざかれば撃ち落して、臨機応変に対処。
群れてるなら丁度いいんで、魔晶銃剣から魔弾の力を解き放って制圧。
魔弾の制作者(凛櫻)もいるから弾切れは気にしない。
「ん」って短く声をかけて手を差し出して、追加の弾を要求。
(凛櫻に)撃ち漏らしの処理や弾丸の供給、まあまあサマになって来たんじゃないか?
フェルト・ユメノアール
ハルファスさまねー
さすが悪魔、口が上手いっていうかなんて言うか……
なんにしてもこのまま放っておく訳にはいかないね
とりあえず施設に入るためにも警備をなんとかしないとね
仲間のみんなが戦いやすいように陽動と攪乱を主眼に行動するよ
接近前に蜂の巣にされないように物陰に隠れて施設の側まで近づいてSCドッペルシャドーを召喚
シャドーにはボクの姿に変身してもらって、それに紛れて攻撃を仕掛けるよ
ワンダースモークを括り付けたトリックスターを投擲、相手の視界を遮って射撃を妨害した隙に近接攻撃が届く位置まで接近
相手が距離を取ろうとしたらアンカーバングルを射出して拘束
そのまま懐に潜り込んでトリックスターで相手を切り裂くよ
●
人々の間を歩みながら、聖者の如く手を広げる大悪魔。その後ろに付き従う黒衣の女が、微笑んで。『祈りを捧げよ。さすれば我が加護が、お前たちを護るであろう』
『さあ、皆さん。ご一緒に唱和いたしましょう。ハルファスさまへ信仰を捧げ、畏れ敬うのです』
厳かに語り掛ける、二体の大悪魔。床に頭をこすりつけるように人々は悪魔に縋りつき、救いを乞う。
「ハルファスさま……」
静かな熱狂の中、悪魔を賛美する儀式が終わりを告げる。大悪魔らが壇上へと戻り、厳粛に降臨の儀を終えようとした、その時だった。
カテドラル正門より、爆音が轟いたのは。
『……!』
「な、なんだ!」
「ハルファスさま! 今の音は……!」
「お助けください! きっとまた、何者かの襲撃です!」
信者たちから甲高い叫びが上がり、黒衣の女は眉を寄せて主を見る。死と破滅の大悪魔は、緩やかに手を上げて人々の恐慌を制した。
『ヴェル・ス・ヴァール。まずは警備を出せ』
『しかし。それではここの守りが……』
『臆するな。幸運にも、ここには我も我が部隊もいる。何者が攻めてきたのか、確かめよ』
女とその主は、視線を合わせる。ハルファスに、動じる様子はない。少なくとも表面上は。
『……畏まりました』
二体の大悪魔は、施設の警備隊を正面へと向かわせる。
互いの思惑を、計りながら……。
●
一方、カテドラル正門。
涼やかな秋の夜風が、荒れた車道を撫でている。
遠方に映る東京タワーはこの瞬間にも煌々と輝いていたが、周辺の建物はまちまちに明滅し、時に命が尽きるように光を落とす。
夜の来ない大都会と謳われた地は今や、天使と悪魔の紛争の舞台。異形の闊歩する、滅びの地。東京タワーのひざ元に聳えるカテドラルこそ、その証左だ。
だが、そこに見張りとして配置されていた二体の悪魔像は、すでに黒煙を燻らせて動かなくなっていた。
「は~い、アタシこと天夜理星参上♪ 早急に屈してもらうわよ。天使も悪魔も、どっちもどっちかも知れないってんだから」
尤も、ここにいるのは悪魔だけみたいだけど。と、天夜・理星(復讐の王・g02264)が言葉を結ぶ。
居並ぶのは、八人の復讐者たち。
「ハルファスさまねー。さすが悪魔。口が上手いっていうかなんて言うか……なんにしてもこのまま放っておく訳にはいかないもんね」
「ええ。ジェネラル級、か。また面倒な状況よね? ヴェル・ス・ヴァールも居るなら尚更……まぁ、その力を削げるのなら、頑張るしかないわね」
フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)とリーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)が、気合の息を吐く。
更にその後ろで、銃口の煙を吹き払う甲斐・司(神殺士・g00131)に、瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)が弾丸を投げ渡して。
「どうせ倒さないといけない敵だ。それなら正面から堂々と行こうか!」
「中でどう動くにしても、行動しやすくする為の下準備ってワケね。司くん。魔弾は供給するから、しっかり撃ち堕としてよね?」
「ああ。それにしても、二丁ライフルにコートとは、こいつら良いセンスしてるよ」
刃に銃、拳に魔術……それぞれの武を翻し、復讐者たちは東京の夜に立つ。二体の見張りは、その力量差と人数差を前に、抵抗の間もなく潰れた。尤も、正面切っての制圧を始めた以上は、すぐにこの場に施設警備の全てが押し寄せるだろう。
「ここは、アタシ達の住んでた東京だったはずなのに、大天使だとかアークデーモンなんて化物が我が物顔で闊歩してるなんてね……他人事だなんて思えない」
「ええ……私にとってはこの世界が故郷です。新宿島は、私にとっての未来……必ず取り戻します。今も、未来も」
奮起する結城・花撫(人間の破軍拳士・g00183)に、籠室・楓(人間のレジスタンス諜報員・g02213)が静かに応じる。
「うむ。想いは皆、共通だ。ま、それは兎も角、仕事を始めよう。中の人々が信じている存在が何であるかを、知らしめるためにな。はっはっは!」
アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)がガトリングを構え直した時。歪んだ正門を突き破って、悪魔像の群れが飛び出してきた。冷えた視線が復讐者たちを貫いて、灼熱の銃口が一斉に持ち上がる。
「「行くぞ!」」
重なった一声が、闘いの火蓋を切った……!
悪魔像の群れは、唸りながら引き金を絞る。長銃を軽々と片手扱う膂力に、石の如き肉体は、まさに人外。この場に集ったのがただ武装した一般人であれば、次の瞬間には皆殺しだ。
だが先頭を切って走り出したフェルトは、自分に向く無数の銃口を恐れることなく、向かっていく。
「ボクの頭が弾けるところを見てみたいって? とりあえずこっちも、施設に入るためにキミたちをなんとかしないといけないし。ご要望にお応えするよ! さあ、現れろ! SCドッペルシャドー!」
蜂の巣になる直前、カードを散らして道化師フェルトが舞った。瞬間、煙の中から現れる、無数の人影。フェルトと同じ顔、同じ姿で微笑んで、悪魔像たちに向かっていく。
『……!?』
悪魔たちの銃口が、ぶれる。
これは影だ。姿を模した、幻。すなわち、パラドクス! どこかにいる本体に当てれば、それで片が付く。
そう気付いた悪魔像たちは迷いを断ち切り、引き金を絞った。笑顔で迫る道化娘の影が、弾丸に引き裂かれて弾けるように散っていく。元より、他区のクロノヴェーダとの戦闘に備えていた警備部隊。その判断は迅速だ。
「でもボクには、この一瞬の隙で十分!」
煙から飛び出たアンカーが、一体の悪魔像の胸に突き刺さる。咆哮を上げてワイヤーを掴む怪物に向けて、フェルトは一気に跳躍した。その身を弾丸の如く舞わせて、敵の頭蓋にナイフを叩き込む。
『……!』
本体を見破った別の個体が、即座にフェルトに銃口を向けた。瞬間、花撫のしなやかな足が、それを蹴落とす。
「させないよ。例え警備を掻い潜っても、追いかけて来られたら乱戦になりかねない。だから、ここできっちり全滅させて、それから奥へ行く!」
吸い込む息が熱を持ち、肺腑は炎を放つが如く。腰と共に振り下ろした足が落ちた長銃を割って、捻った拳が悪魔を打つ。舌と唾液を吐き散らし、悪魔像は胴体から真っ二つに割れ飛んだ。
『ギッ……!』
まだ生きていた上半身が、もう片方の銃を持ち上げる。だが速かったのは、花撫の左手。
「ここは、アタシたちの東京だ! アンタたちのいいようには、させやしない!」
放たれた衝撃波が、引き金を引く間もなく悪魔像を粉砕した。
猛り吼える花撫に、分身で攪乱するフェルト。
敵中に飛び込んだ二人に向けて、悪魔の群れは一斉に飛び掛かる。投げナイフと拳が迎え撃つが、その全てを撃ち抜くには至らない。悪魔像は高く跳躍して攻撃を飛び抜け、鋭い爪を構えて滑空する。
「急降下、ねえ? アタシの前で、その動きは命取りよ。さあ……刻は刹那、改め瞬け♪」
そう言うなり、悪魔像と交差するのは黒い影。瞬間的に飛び込んできた相手に向けて、悪魔が爪を振り下ろす。だが引き裂いたのは、すり抜ける残像のみ。振り返る悪魔像に向けて、黒い影がくすりと笑いかけた。
「はい、こっちの思惑通り。お台場へ移動させる作戦も功を奏したみたいだし。おかげさまで事態を良い方向に動かせる! さあ時空の歪みよ、正しく戻れ!」
理星はすでに悪魔の頭上を取っていた。濃縮されていた時間が、周囲を巻き込んで元に戻る。理星が振るった剣の軌跡に巻き込まれ、悪魔はチーズのように縦に裂けた。
割れた悪魔像が地面に激突して土煙が上がる。それを踏み越え、司と凛櫻が背中を合わせた。司の銃が、がちりと撃鉄の空音を響かせた瞬間、彼はそれを振るって突っ込んできた悪魔像と馳せ合う。
「残念だったな。お前らに銃と爪があるように、俺の武器にも刀身があるのさ。ん……?」
「はい、お待たせ。それにしてもあいつら、なかなか良いマスケットね……ってそんな所見てる暇はないか!」
弾が切れる度にぶっきらぼうに差し出される手に、一瞥もせずに弾丸を投げ渡す凛櫻。二人は回転しながら照準を切り替え、高速で飛翔する悪魔像を狙い撃つ。背中合わせの二人を前に、悪魔たちは囲みながらも攻めきれない。
『ギイィイ!』
やがて、悪魔の一体が金切声を上げ、群れる蝙蝠のように集結した。度重なる牽制に業を煮やし、一気に攻め掛かる気だ。
「はっ……! 集団で一気に押し切る、ってか? 残念だな。群れてくれるなら、丁度いいぜ! 吼えろ、神獄ノ獅士!」
待ち構えていた司が、魔弾を一気に解き放つ。向かって来た悪魔たちを次々と撃ち抜く、四条の閃光。予想外の広範囲射撃に悪魔像たちが慌てた時には、その頭上に無数のマスケット銃が狙いを定めていて。
「集団相手には、この戦法が一番良いわね! 討ち漏らしはしないわよ!」
滝のように降り注いだ銃弾が、魔弾を生き延びた悪魔像の頭蓋を撃ち抜いていく。
凛櫻が着地した時、その背を護る様に司が剣を振るって、二人は竜巻のように敵を払う。
飛び交う銃弾、粉砕される瓦礫。
カテドラル前の広場で、悪魔たちがと復讐者の乱戦が加速する……!
混沌とした戦場。立ち込める土煙が戦場を覆い、視界は利かない。
カテドラルの門を護っていた悪魔たちは、前に飛び出さずに銃を構えていた。
攻め寄せる復讐者たちの力は強大だ。だが勢いに乗ってこの土煙から飛び出してくれば、その瞬間に蜂の巣に出来るように。
「ああ……これは一体、どういうことでしょう」
その時、悪魔像の一体が、背後に気配を感じて振り返った。ローブ姿の人影が一つ、よろめきながら頭を抱えて悪魔像に身を任せる。
「ハルファスさまのカテドラルに、こんな恐ろしい力を持った者たちが攻めて来るなんて。どうか、どうか私達をお守りください……どうか……」
迷い込んだ悪魔崇拝者? いいや、戦場となっている正門に、安全な広間からわざわざ信者が出てくるはずがない。仮に誤射したとして、悪魔はそれを後悔する精神性を持っていなかった。
その指が即座に迷いを断って引き金に力を籠める。
「なんちゃって……ふふ、背後に回るまで気配を殺していましたし、すぐに気付きますよね。もちろん、その『判断を下す間』さえあれば、私の仕事は完了しますが」
だが銃口を突き付けられた楓は、微笑を浮かべて銃口を見つめたまま。弾丸が弾けることはなく、代わりに弾け飛んだのは、悪魔の腕の方だった。
『……!』
悲鳴を上げて膝を突いた悪魔に反応し、周囲の悪魔像が振り返る。身構えた楓を圧殺せんと、一気に飛び掛かった。
「あら……私一人に、そんなに集中してよろしいのですか? 私たちの主力がいるのは、」
「こっちだというのにな!」
高らかな笑い声と共に、機関銃の砲火が鳴り響く。無数の弾丸が土煙を引き裂き、悪魔像たちが空中で次々と撃ち抜かれていく。しゃがみ込んだ楓のみを器用に外し、土煙を割って出るのはアルメア。
「はっはっは! 射撃戦の最中に後ろに気を取られるとは。だが遠慮はしないぞ。目には目を、歯には歯を、銃には銃をだ!」
反撃の銃火の中、アルメアはガトリングを振るって銃弾を撒き散らす。咄嗟に身をかわした数体の悪魔像が、アルメア目掛けて走り出した。
しかし。
「舞え! 炎の輪よッ!」
先頭を切った一体が、首を落とされて大地に転がった。何が起こったかもわからぬうちに。
『!』
悪魔たちの頭上から、鋭い光輪が降り注ぐ。上からの奇襲に対応しきれず、悪魔は次々とその五体を裂かれて行く。
「ヴェル・ス・ヴァールの本体に私の技を届かせるまで……こんなところで足止めされるわけにはいかないのよ」
空で天使の翼を広げていたのは、リーシャ。無数の光輪を引き連れて、悪魔たちを指し示す。
「さあ、これが最後の仕上げ。行くわよ!」
降り注ぐ光の中、戦場から土煙が晴れていく。
カテドラル前は、すでに掃討戦に移行していた。
「距離を取る気だ。足止め頼むよ!」
「任せてー。ボクからは、逃げられないよ」
数の少なくなった悪魔像たちを、フェルトのワイヤーが取り押さえ、花撫の拳が打ち砕き。
「撃ち漏らしの処理や弾丸の供給、まあまあサマになって来たんじゃないか?」
「ふふ……ありがと。これで此方は大体片付いたかしら? さあ、終わらせましょ」
司と凛櫻が追い詰めた悪魔たちに射撃を浴びせかけた。
逃れる悪魔の首を飛ばして、理星が正門を振り返って。
「こっちは終わり! そっちはどう?」
残るは、正門前の数体のみ。頬をかすめる銃弾も気にせず、アメリアが腕の火砲を持ち上げる。
「すぐ終わる! 銃には銃とか言っといてなんだが、最後にコイツも持っていけ……! ファイエルッ!」
砲弾が炸裂し、轟音と共に悪魔像が砕け散った。再び立ち込めた土煙の中、立っているのは最後の一体だけ。だが土煙が晴れても、最後の悪魔像は手をだらりと下げて棒立ちになったまま、動かない。
「爆音と煙と乱戦……隙を突くには、最高の環境でした。では、おやすみなさい」
楓が武器をしまうと、最後の悪魔がゆらりと崩れ落ちる。
戦場には復讐者たちだけが立っていた。
秋の夜風が、空しく路上を撫でていく。
カテドラルの前に散らばるのは、砕けた瓦礫と折れた長銃だけ。
それぞれ周囲に視線を走らせて動く者のないことを確認すると、復讐者たちは頷き合う。
警備隊は全滅だ。正門での闘いは終わった。
身を翻した復讐者たちの前に口を開くは、おどろおどろしい悪魔の神殿。
ジェネラル級アークデーモンの出城たる、カテドラル。
報復と奪還の意志を胸に、復讐者たちは魔城の門を潜る。
目指すは、敵勢の集結する最奥広間だ。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【建造物分解】LV2が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
カタリナ・スノーホワイト
わたしは向こうの世界から来た
だけど、わたしの中に入った心が叫ぶの
東京を取り戻すんだって――だから
絶対に負けられない!
ハルファスを挑発し出方を伺いつつ権威を貶めるわ
江東区から攻められてるんでしょ
あそこは意外と血気盛んなの多いからね
隣に江戸川区墨田区大田区って
前から土地争いは多かったんだから
こんな所で引き籠ってる場合じゃないでしょ、悪魔さん?
で、手下に攻撃させるだけって……本当に小物ね
地上攻撃が得意なら、飛んでいれば避けられるかな?
光使いの全力魔法、目晦ましをして一気に飛翔
こっちが上を取っちゃえば、こういう事も出来るのよ!
頭上の光輪を分裂させ一斉に投げ放ち斬撃
味方の援護を優先して、敵を押さえ込むわ
宝心・ライラ
◇心情
「みんな集まってお祈りしてる…なんだか懐かしい。おうちにいた時みたい」
懐かしさに浸っていたいけど、これじゃだめ
だって皆笑顔じゃゃないんだもの
せっかく集まったなら、皆で笑ってお祭りしましょ!
◇戦闘
空からの弾幕をダブルピースの障壁で防ぎながらパラドクス展開
天井から伸びてくる空中ブランコに飛び乗って、私も空中戦で対抗するわ
「奇想天外、阿鼻叫喚!不思議なサーカスの始まりよ!」
信者さんに見せつけるように空を舞い、フェザートルーパーの一人を捕まえたら、そのまま豪快に振り回してハルファスへと叩きつけるわ
「私からのささやかな笑顔のプレゼントよ。偉ぶってないであなたも一緒に笑いましょ?」
アドリブ連携大歓迎
●
月の輝く東京に別れを告げ、復讐者たちはカテドラルへとなだれ込む。悪鬼の口の如く開いた門を潜った先には、鳩のような頭をした無数の彫像が並んでいた。恐らく、ところどころの分かれ道は信者たちの居住区。この異様な大廊下をひた走れば、最奥の広間に着くはずだ。
「何か、聞こえる……?」
誰かが呟く。聞こえてくるのは重なり合った詠唱の声。ハルファスを賛美し、その強大さを歌い上げる祈りだ。
「みんな集まってお祈りしてる……なんだか懐かしい。おうちにいた時みたい」
宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)は思い出す。同じく悪魔を崇めた、己の一家のことを。他者から見れば異常な家であったかもしれずとも、己の原風景には違いない。懐かしさに浸りたい想いもある。
「けど……これじゃだめ。だって、この祈りには笑顔を感じないんだもの」
同じく、この空気に郷愁を覚えつつも、カタリナ・スノーホワイト(Tears Drop・g05001)が、その囁きに頷いて。
「うん……その気持ち、少し、わかる。それに、わたしの中に入った心が、叫ぶの。東京を取り戻すんだって」
二人は先頭を切って、広間へと通じる門を破った。
篝火とシャンデリアが妖しく影を躍らせる広間には、異様な光景が広がっていた。
放射状に居並ぶ信者たちは、手を組み合わせこちらに背を向けたまま。その中心にある壇上で、救世主よろしく両手を広げるのは、鳩頭の悪魔。
『ようこそ、諸君。歓迎しよう』
大仰な台詞が終わる間もなく、甲高い嘶きが頭上にこだまする。
「そうね。せっかく集まったなら、皆で笑ってお祭りしましょ!」
「わたしたち……絶対に負けない。負けられない!」
身構えるライラとカタリナ。その頭上から、翼を生やした女の群れが躍りかかる……!
悪魔像たちとはまた異なる、硝子のこすれるような金切声と共に、風の弾丸が降り注ぐ。
『ハルファスさまの御前です! 天罰に撃ち抜かれ、首を垂れて傅きなさい!』
そう叫ぶのは、ハルファスの腹心である黒衣の女。広間の入り口に降り注ぐ弾幕は、部屋に一歩でも踏み入った者を肉隗にする勢いだ。
しかし。
「そんな命令、従ういわれはないわ」
傘のように広がった障壁が、それを弾く。両手の指でピースを組んで、それを展開するのはライラ。更に障壁の傘の下を、カタリナが滑り抜けて。
「手下に攻撃させるだけって、本当に小物ね。それに従うアンタたちも。地上攻撃が得意なら……!」
即座に展開した天使の翼が大気を叩き、輝きが翼女の視界を奪った。
『……!』
すぐに頭を振って翼女たちは視界を取り戻したものの、眼下にカタリナの姿はない。困惑して周囲を見回した時、その頭上に光が収束する。
「こっちが上を取っちゃえば、どう! 空中戦が出来るのは、貴女達だけじゃないわ!」
カタリナの光輪の嵐が、更に高みから翼女たちを切り裂いた。翼を裂かれ、女たちの悲鳴が上がる。
いつの間にか、中空から現れた空中ブランコに乗ったライラが、その一体の足を掴んで。
「ええ! 奇想天外、阿鼻叫喚! 不思議なサーカスの始まりよ!」
中空に飛び出した彼女は、そのまま回転して掴んだ翼女を叩きつける。鳥が潰れる悲鳴を上げて、無数の羽が飛び散った。
「私からのささやかな笑顔のプレゼントよ。偉ぶってないであなたも一緒に笑いましょ?」
語る先は、鳩頭の悪魔。降り注ぐ羽の中、一心不乱に祈りを捧げていた信者たちの間に、動揺が走る。そこに乗じるように、カタリナが悪魔を指して。
「江東区から攻められてるんでしょ? あそこは意外と血気盛んなの多いからね。ここは前から隣と土地争いは多かったんだから。こんな所で引き籠ってる場合じゃないでしょ、悪魔さん?」
『……ふん。構うな。侵入者を殲滅せよ』
大悪魔は鼻で嗤うように受け流したが、この状況が長引けば緩やかに構えてはいられまい。
それはまさに、堂々たる宣戦布告。
闘いは、ここからだ……!
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】がLV2になった!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【アクティベイト】LV1が発生!
天夜・理星
直属の護衛をぶっつぶーす!
一度道が拓けたんだ。ここからはもっと広く奥深くまで、さらに道を作らせてもらうよ…?
先にライラさんたちが向かっている以上、ある程度敵集団に疲れが出来てると思うんだ。
…え、出来てない? どっちでもいいよ、やることは変わんないから♪
魔力を込めた羽の雨で視界が遮られるのなら、パラドクスで視界を明瞭にして、自然体の姿勢から両断技能で斬り払う。
で、ジャンプからの飛翔で一気に距離を詰めて…一気に護衛たちを斬り伏せる!
聖剣技マイティルート…自在の聖剣。道を拓けっ♬
ね、やること変わらないでしょ。
護衛を剥がして…ハルファスとかいう悪魔には速やかに退散してもらおう!
結城・花撫
まずは邪魔な警護部隊を片付けることが出来たね。
「次のお相手はアンタ達かい?」
アタシとしては直接ハルファスとやり合うのもやぶさかではないんだけどね。
今回の作戦はハルファスと直接やり合うことは想定してないし、フェザートルーパーを倒すことに専念するとしよう。
アタシにとっては初めての空中戦だけど、味方と連携すれば何とかなるでしょ。
【飛翔】の効果で敵よりも高い位置を取り、更に【エアライド】の効果でジャンプ、勢いをつけてパラドクス『飛鷹猛襲脚』で攻撃。
「自慢じゃないけど、脚にはちょっと自信があるんでね」
敵勢力とは言え、一般人に被害が及ばない様に注意はするつもりだよ。
また味方とは積極的に連携を取ります。
アルメア・グラウプナー
「さて、これで地上の銃士は粗方処理したか。では次はそこの航空兵だな」
「どんな気分だいハルファス殿? 唯の人である身が、その力を以て神の御下へと段々と近づいてくるぞ? 何もしなくて良いのかね?」
・行動
次の相手は空中からの攻撃を最も得意としている様だ、少し戦法を変えよう。
基本的には火砲による【砲撃】やガトリングでの【制圧射撃】を用いての中距離戦を行っていくが、どちらかと言うとこれは牽制だ。
それを嫌って高度を下げてきたらソードオフと爆裂鉄球に持ち替えて【エアライド】【飛翔】を使い一気に接近、空中での格闘戦で地上に叩き落としていく。
相手の身動きが不自由になっている様ならメテオールをぶつけていこうか。
籠室・楓
・心情
邪魔な警備は消えました
聖堂に居座る悪魔を祓いに行きましょう
しかし守護天使気取りの悪魔とは全く…
・戦闘
ばら撒かれた風の弾丸が信者に当たりでもしたら危険です
ここは敢えて【飛翔】せず地上に残り、敵の方から地面に降りてきてもらいましょう
【青龍水計】の流水を空中に発生させ、水圧で敵を叩き落とします
水の中に囚われてしまえば、風の弾丸も撃てないでしょう
信者が巻き込まれないよう、言葉でも牽制しておきます
・牽制
あら、信者の方々を巻き込んでもよろしいのですか?
ハルファス様がお守りくださらないどころか、
他区の天使や悪魔と同様に危害を加えてくるとなったら
折角集めた彼らの信仰心も消え失せるでしょうね
※アドリブ歓迎
フェルト・ユメノアール
前座は終了、ここからが本番だね
さあ、完全無欠のハルファスくんはどう出るかな?
取り巻きは空中戦が得意みたいだね、相手の土俵で戦うのは得策じゃないし
何とかして地上に引きずり降ろすよ!
そうと決まれば……現れろ!SCクラウンジェスター!
クラウンジェスターはトルーパーたちを魔法で迎撃し、囮になって貰って時間稼ぎ
で、相手がそっちに注目している隙をボクが突く作戦だね
攻撃に当たらないように、柱など遮蔽の影をダッシュで移動
敵の死角からアンカーバングルを射出して、翼に絡める事で飛行能力を失わせ、地面に叩き落とすよ!
後は相手が体勢を立て直す前に一気に接近、トリックスターで首や腹などの急所を斬撃で切り裂く!
●
荘厳ささえ感じさせる、悪魔神殿。その最奥へ、復讐者たちは殺到する。
「後ろからの追撃などはありません。さあ、聖堂に居座る悪魔を祓いに行きましょう」
後方を警戒していた籠室・楓(人間のレジスタンス諜報員・g02213)が、先へ行く仲間たちへ叫ぶ。先ほど先陣を切った二人に続いて、次々と広間へ雪崩れ込む復讐者たち。
「邪魔な警護部隊は片付けたよ。次のお相手は、アンタ達かい? アタシは直接ハルファスってのとやりあうのもやぶさかではないんだけどね」
結城・花撫(破壊屋・g00183)が風を弾いて指し示すのは、広間奥の壇上。フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)は、くすくす笑って挑発する。
「前座は終了、ここからが本番だね~! さあ、完全無欠のハルファスくんは、どう出るのかな~?」
翼女たちがドレスを翻して、風を放つ中、復讐者たちは広間を覆うように駆け広がって。
「ハルファスさま!」
「お、お助けを!」
入り口で展開される激戦から逃れるように、信者たちは壇へと縋りついた。それを遮るのは、黒衣の女だ。
『落ち着きなさい。ハルファスさまの御前です。慌てることはありません。身辺警護の者たちが、あなた達を守ります』
そういいつつも、黒衣の女の視線はちらりと主の顔を伺って。
『不埒な侵入者どもですね。こちらに従う気配がありません』
『ふむ……そのようだな』
主たる大悪魔はゆとりをもって構えていた。だがそれが見せかけであることを、黒衣の女は知っている。
(『このディヴィジョンのクロノヴェーダである以上、眼前の上位者に屈さぬ者などいないはずなのに……!』)
事実、己がそうだ。ジェネラル級の指令に、逆らうことは出来ない。
黒衣の女は内心の動揺を押し殺して、パニックを起こす信者たちを宥める。
その間にも、天夜・理星(復讐の王・g02264)の剣と、アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)の銃が、門を破壊するように広間へ突っ込んでくる。
「一度道が拓けたんだ。ここからはもっと広く奥深くまで、さらに道を作らせてもらうよ……? 直属の護衛も、ぶっつぶーす!」
「地上の銃士の処理は終わったぞ。次はこの航空兵どもだな。対空砲火の手本というものを見せてやろう!」
黒衣の女は苛立ちつつも、戦線に加わることが出来なかった。
(『このパラドクス使いどもは一体、何者なんだ? 他区の勢力に力を分け与えられた一般人だとは、とても……!』)
黒衣の女の力は、信者たちの信仰によって倍増している。うろたえる彼らを切り捨てれば、信仰を失い力を失ってしまう。
全ては主の連れて来た手勢が、復讐者たちの勢いを、止めきれるかに掛かっていた。
鳥の囀りを思わせる、甲高い叫び。その狂乱の中、翼女たちが襲い来る。
「皆さん、お気をつけて。こちらはまだしも、敵の攻撃が人に当たれば危険です。ハルファス様はどうせ、信者の方々をお守りくださらないでしょうし。いえ……むしろ私たちを倒せるなら、巻き込んでも全く構わないでしょうから」
楓が身を転がしながら、言葉で敵を牽制する。黒衣の女が慌てふためいているように、敵は信者を切り捨てられないはずだ。少なくとも、今は。
とは言え、流れ弾が一般人に当たるのを避けたいのは、こちらも同じ。
「わかった、任せな! さあ、アンタ達! アタシとやり合いたいなら、こっちだよ!」
地面を蹴って、花撫が飛翔する。更にエアライドを駆使し、壁を走るように進む彼女の背後を次々と嵐の羽ばたきが穿っていく。
「自慢じゃないけど、脚にはちょっと自信があるんでね! 撃ち抜いてみなよ!」
金切り声が上がり、小嵐の追撃が勢いを増した。それに追いつかれる瞬間、花撫は壁を蹴る。
「空中戦は初めてだったけど……! 喰らいな! コイツがアタシの必殺技、パート1だ!」
渾身の蹴りが翼女を貫いた。真っ直ぐに滑空する鷹が、小鳥を打ち落とすように。空中に、血と羽を散らして敵の一体が千切れ飛ぶ。
その背に、他の翼女が狙いを定めた時。
「現れろ! 奇術師、SCクラウンジェスター! 歓声に答え、鮮やかに舞台を彩れ!」
フェルトの声が響き渡り、仮面を付けた謎の道化師が敵勢の中に現れる。
『……!?』
中空に魔法陣を描く仮面道化師に向けて、敵は一斉に攻撃を仕掛けた。道化師の放つ光弾と敵の小嵐が激突する。道化師の力は強力だが、敵の真っ只中に飛び込むのは自殺行為だ。道化師の姿は、あっという間に彼我の力のぶつかり合いに呑み込まれる。
だが激烈な爆発の中で道化師の姿が依り代である召喚札に戻った時、翼女たちは気付いた。この道化師自体が、召喚されたパラドクス。つまり囮……!
「気付いた時には、もう遅い」
煙の中を飛んだアンカーが、翼女の羽を絡め取った。それを引いて跳躍するのは、フェルト。女を足蹴にしたときには、その背にナイフを突き立てて。
「派手な見た目で関心を惹いて本命が別っていうのは奇術の基本。覚えておきなよ。次があったらね!」
投げナイフが跳ねて、次々と翼女たちの羽を貫く。
それでもなお、翼女たちは空中へ踏みとどまった。その飛翔力は基本能力にして、並のパラドクスさえも超えるのだ。
「流石にクロノヴェーダ。トループス級でも、種としての力は人を優に上回る……それなら!」
そう囁くのは、楓。花撫とフェルトが敵の虚を突いて攪乱した隙を見逃すほど、復讐者の決意は甘くない。
楓が誘う手に導かれ、突如として天井から流水が降り注いだ。口を開いた青龍の如く、咄嗟に撃たれた風の弾丸ごと翼女たちを呑み込んで大地に叩きつけていく。
「敵の方から、地面に降りてきてもらうまで……今です!」
楓の降らす豪雨に、敵が苦し紛れに放った羽の雨。それら全てが、突き刺さる針の滝のようなもの。もはや前も見通せぬ驟雨となって、戦場に降り注ぐ。
だが。
「ふふ、皆のおかげで、敵にも疲れが出ていたみたいね。ま、出ていなくても、やることは変わんないんだけど♪」
剣を振るいながらその中を駆け抜けるのは、理星。降り注ぐ羽だけを正確に弾き、摂理を超えた超感覚で驟雨の中を跳躍する。
「聖剣技マイティルート……自在の聖剣。道を拓けっ♪」
雨中を走った二閃。剣を滴る緋が雨に流れて消える間に、床に打ち付けられていた翼女たちの首がぽろりと落ちる。
その剣技を掻い潜った数体が、必死に翼をばたつかせて浮かび上がるが。
「ふむ。どんな気分だい、ハルファス殿?」
そこに振り下ろされたのは、何気ない呟きと、無慈悲な鉄球。アルメアの大回転投法が、浮かびかけていた翼女の一人を、蠅のように叩き潰す。
「ほら? 唯の人である身が、その力を以て神の御下へ段々と近づいてくるぞ?」
紅い蜘蛛の巣のように潰れた女を一瞥もせず、アルメアは豪快な機甲音を立てて切り詰めた散弾銃を引き抜いた。
その周囲では……。
「ぶっつけ本番だったけど、連携すれば何とかなるもんだね。このまま、攻め切るよ!」
「了解だよ~。変幻自在のスマイル・イリュージョン! 改めて、味わってね!」
「よおーし、とっとと護衛を剥がして……あの悪魔には速やかに退散してもらおう!」
「守護天使気取りの悪魔とは、全く……皆さん、最後まで、気を抜かずに……!」
地に引きずり降ろされた女たちは順に始末され、まだ宙を舞っている者たちも次々と叩き落されていく。
「おやおや……もうすぐ終わりそうだが、何もしなくて良いのかね?」
アルメアは、口の端を持ち上げて天にショットガンを撃ち放った。轟音が広間にこだまする。悪鬼の、嘲笑の如く……。
●
「ハルファスさま!」
信者の悲鳴は、大悪魔の耳に届いたか否か。
流れは、決した。侵入者たちの勢いは凄まじく、翼女たちも間もなくその全てが、討たれて落ちる。
黒衣の女は、舌を打って主の前に進み出た。
『わたくしが出ましょう……! ご助力をお願い申し上げます』
『うむ……うむ』
何かを確認するようにゆっくりと頷くハルファス。その様子に、覇気は感じられない。
『わたくしと共に闘うか、もしくはこちらで信者をまとめてください! ハルファスさま!』
上位者には、逆らえない。クロノヴェーダの運命を呪いながら、黒衣の女は怒鳴り散らした。
この主が本気で共に闘ってくれれば、いくらでも活路は開ける。そうでなくとも、信者たちを取りまとめてくれていれば、自分一人でも勝機はある。前線をこれ以上後退させることは出来ないはずだ。自分は切り捨てていい部下ではない。使い捨ての利く、あの警備の連中とは……。
『ここはお前に任せよう、我が腹心よ。これをお前に対する試練とする。見事にこれを乗り越え、ハルファスへの信仰を示して見せよ』
だが必死に縋りついたその理屈は、冷淡な言葉で踏みにじられた。
『……ッ、ハルファスさま!』
『皆、我が力を与えし腹心、ヴェル・ス・ヴァールの力を見るがよい。それこそ我が加護である。では、さらばだ』
手を動かすより先に激しい光が立ち上り、主に向けて伸ばした指は空を切る。
信者たちが絶叫を上げる中、光の柱は掻き消えた。そこに鳩頭の大悪魔は、もういない。
ハルファスは、この拠点を切り捨てたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
宝心・ライラ
信者さんは任せて
お父様のお仕事を見てたから得意なの!
「あなた達を守るって約束した偉ーい悪魔さんは帰っちゃったわね。約束を破るなんていけないことなのに」
絵本を読み聞かせるようにゆっくりと言葉を紡ぎながら信者達の間を歩く
「でも私達なら皆を笑顔にしてあげられるわ。強くて明るくて楽しい友達がまだまだいっぱいいるの」
こちらに視線を向けた人には笑顔を返してパラドクス発動
私につられて笑った人を傀儡にして、差し伸べた手を取らせるわ
恐怖と混乱の中で誰か一人でも教祖に救いを求めたら、後は集団心理で皆がつられて縋っちゃうの
お父様はもーっと上手だったわ!
「私がハッピーエンドに導いてあげる。だからもう安心していいのよ」
天夜・理星
あーらら、速攻で退散しちゃったね?
素直だな~あの悪魔。じゃあアタシも、アタシたちに出来ることをさせてもらいますか。
復讐の王の演説、ちょっと聞いてってよ。
さて民の諸君。何故あの悪魔が信仰を振りかざしていたかは、もうお分かりだよね。
信仰という言葉を飾りにしていながら、結局は自分さえ良ければどうでもいいんだよ…もう行くところまで行っちゃってるんだ。
民を統べるに値しないんだよ、あの独善的な大馬鹿者はさ。
アタシたちはそんな世界に希望を灯す復讐者。
ただ民の心を奪いつくすだけの侵略者とは明確に違う。
狂信なんかよりも、平和と笑顔の方が何百倍もマシだよ。
ほら、見てみて? アタシたちはもう、友達だよ…♪
結城・花撫
ハルファスは逃げたよ。アタシ達の勢いに恐れおののいてね。絶対の存在なんかじゃない。
最初からアンタ達を守るつもりなんて、これっぽっちも無かったんだ。
都合が悪くなればスパッと切り捨てるし、利用してただけなんだよ。
それでもハルファスを崇めるの?
自分達はか弱い存在です、どうか守ってくださいって?
家畜の様にただ生かされてるだけじゃないそんなの。
そんな人生に何の意味があるの?
アタシだったら嫌だねそんなの。
そんな理不尽な生き方するくらいだったら、最後まで抗って死ぬ方を選ぶよ。
化け物を倒すのはいつだって人間だよ。
直接戦えないっていうなら、アタシ達が奴らをぶった推してやる。
だから、せめて人の誇りを取り戻しな。
アルメア・グラウプナー
おやおやおや、貴殿らは一体揃って何を驚いているのかね?
何のこともない、ハルファス殿はハルファス殿自身の考えに沿い、『正しい』行動を取っただけに過ぎないのだよ。
ハルファス殿の様な『神魔の如き存在』は、常に世界の事を慮り行動している。
…そう、あくまで自身の世界を守る事が最優先だ。貴殿らハルファス殿の信奉者は守るべき対象ではなく、守るべき世界にただ付随しているだけの存在なのだろうさ。
さて、ここまで言えば分かるだろう?
ハルファス殿は大を取り小を捨てた。
自分の守るべき世界を救うために、貴殿らを捨てたのだ。
もう一度貴殿らに問おう。
「ハルファス殿は正しい行動を取ったというのに、何故それ程驚いているんだ?」
カタリナ・スノーホワイト
怖がらないで大丈夫よ。わたし達は味方だから
ほら……こんな風に
大天使だってお友達なのよ
だから何も怖く無いわ
信者達に話しかけながら手にしたSystem-Oでサブリエルを召喚
その威を示して友達催眠――信者達と仲良くするよ
そうすれば仲良くお話出来る筈
サブリエルと共に光使いの力で
明るく照らして計略――ハロー効果で心を揺さぶる
ハルファスはもう行っちゃったよ
あなた達を見捨てて……酷いよね?
それもわたし達に敵わないからって
あなた達がどうなってもいいって
全部放り出して逃げたのよ
だからアレは絶対の存在なんかじゃない
でもわたし達は見捨てたり
逃げたりなんてしないわ
絶対に東京を取り戻すんだから
だから、一緒に戦いましょう
●
飛び交う閃光の中、最後の翼女が地に墜ちる。
その光景を背に、天夜・理星(復讐の王・g02264)は壇上を振り返った。
「あーらら、速攻で退散しちゃったね? 素直だな~あの悪魔」
その呟きを聞いてか聞かずか、信者たちは膝を突く。
「そんな……ハルファスさま……」
「ヴェ、ヴェル・ス・ヴァールさま……私たちは……」
嘆きの声に囲まれて、黒衣の女が立ち尽くす。
彼女は知っている。ハルファスの真意を。縋りつく先を見失った信者たちに、すぐに新たな支えを与える必要があることも。
『え、ええ……大丈夫です。わたくしが』
「おやおやおや? 貴殿らは一体揃って何を驚いているのかね?」
立て直す暇は、与えない。割って入ったのは、アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)。
「何のこともない。ハルファス殿は自身の考えに沿い、『正しい』行動を取っただけに過ぎないというのに……なあ?」
静まり返った広間に一歩を踏み出せば、ただそれだけで信者たちは怯えたように後退る。
「あなた達を守るって約束した偉ーい悪魔さんは帰っちゃったわね。約束を破るなんていけないことなのに」
絵本を読み聞かせるように事実を囁くのは、宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)。
左右からは、結城・花撫(破壊屋・g00183)とカタリナ・スノーホワイト(Tears Drop・g05001)が信者たちを囲む。
「そうさ。ハルファスは逃げたんだよ。アタシ達の勢いに恐れおののいてね。最初からアンタ達を守るつもりなんて、これっぽっちも無かったんだ」
「……酷いよね? あなた達を見捨てて。それもわたし達に敵わないからって。あなた達がどうなってもいいって全部放り出して逃げたのよ」
そして二人は、「だから」と、声を重ねて。
「「アレは絶対の存在なんかじゃない」」
それは、静かな断言。絶対の禁句。目を逸らしていた事実。
信者たちの間に、重苦しい沈黙が満ちる。
『違うッ! ハルファスさまは、私にこの場を託されたのよ!』
拒絶の叫びは、黒衣の女から。己の言葉に虚しさを覚えていても、力の源である信仰と畏怖を失うわけにはいかないのだ。
逆を言えば、復讐者たちもなりふり構わず攻め掛かるのは下策。これ以上追い詰めれば、信者たちは偽りの希望に縋りついてしまうだろう。
「別にアタシたちも、信者の人たちを狙ってるわけじゃないし。ね、復讐の王の演説、ちょっと聞いてってよ」
理星の言葉で、次の闘いの幕が上がる。
これより先は、追い詰められた人々の心を掌に乗せて、言の葉で争うのだ。
『皆さん、ハルファスさまを信じましょう。最後のお言葉の通り、皆のことはわたくしが護ります。あの方は、何よりも力あるお方です』
黒衣の女は、人々に向けて語り掛ける。彼女もまた必死だ。信仰を得さえすれば、その圧倒的な力を証明できるのだから。
「全くだ。ハルファス殿の様な、力ある『神魔の如き存在』は、常に世界の事を慮り行動している」
無論、それを許す道理はない。アルメアが、そこに言葉を重ねる。
「そう、あくまで守るべきは、自身の世界。貴殿ら信奉者はその対象ではなく、守るべき世界にただ付随しているだけの存在なのだろうさ」
クロノヴェーダは人間を決して仲間とは思わない。燃料のように、加工して使い潰すものであり、加工の仕方で効率が変わるもの、というだけだ。
「そうだよ。都合が悪くなればスパッと切り捨てる。利用してただけなんだよ」
花撫が即座に同意を示したのは、それをわかっているから。復讐者たちは、クロノヴェーダの真意を知っている。
「それでもハルファスを崇めるの? 自分達はか弱い存在です、どうか守ってくださいって? そんな人生に、何の意味があるの?」
続けざまの問いかけに、人々は困惑を顔に浮かべて互いに顔を見合わせる。
「だ、だって……」
その中の誰か一人が、ぽつりと声を漏らした。
「あんな力、私たちの誰も持ってない。大悪魔や大天使の人たちの力は……本物なんだ」
『そうよ。あのお方は絶大な力を持つ。時を曲げ、理を支配する。あの方を信じれば、皆は保護されるのです』
黒衣の女は、引き出された弱さにつけ込むように反撃する。
改竄されたものであるにせよ、彼らは世界崩壊の記憶を持つ人々。時間的なずれも、十年もない。今までの常識や生活も打ち砕かれ、混沌の中に放り出された現代人なのだ。何かに縋らねば、その心を支えられなかったのだろう。
「でもさ、民の諸君。何故あの悪魔が信仰を振りかざしていたかは、今の説明でお分かりだよね。結局は自分さえ良ければどうでもいい……もう行くところまで行っちゃってる奴だってことさ」
そう来るのならば、と、理星が布石を打つ。恐怖を解きほぐさねば、人々は偽りの希望に縋りつくというのなら。
「力はあるよ、確かに。でも、民を統べるに値しないんだよ、あの独善的な大馬鹿者はさ。狂信に顔を歪めるよりも、平和と笑顔の方が何百倍もマシじゃない?」
「平和と、笑顔……って」
それを保証してくれるものがあれば、そもそも苦労しない。人々が、そう首を振りかけた時。
「大丈夫。怖がらないで。わたし達は味方だから」
「うん。私達なら皆を笑顔にしてあげられるわ」
カタリナとライラが、人々に優しく呼びかける。カタリナの手に光の粒子が寄り集まった。そこから呼び出されるのは、彼女の使役する大天使だ。
人々は息を呑んで後退り、黒衣の女は忌々しげに眉を寄せる。
『コイツは! お前たち、やはり他区の大天使の手先か!』
「ううん。わたしたち、誰かの手先なんかじゃない……こんな風に、大天使とだってお友達なだけなのよ。だから何も怖く無いわ」
「ええ。他の人を害さなければ、誰も傷つけたりしない。それに私達には、強くて明るくて楽しい友達がまだまだいっぱいいるの」
荘厳な輝きを背に大悪魔に拮抗し得る力を示しながらも、二人の微笑は何ら悪意のない純粋さに満ちている。それが、信者たちの心を揺さぶったのか、おずおずと進み出た一人が問う。
「ほ、本当にその天使は……アンタたちは、俺たちを傷つけたりしないのか?」
怯える指先を、ライラの手が取る。
「ええ。私たちはただ、皆を悪魔さんから解放して笑顔にしに来ただけ。だからもう安心していいのよ」
つられて笑ったその男は、信者の仲間を振り返る。幾人かの信者たちが、ほっと息を吐いて警戒を緩めた。
「じゃ、じゃあ別に……怖がる必要はないな。そうだろ?」
(「恐怖と混乱の中で誰か一人でも教祖に救いを求めたら、後は集団心理で皆がつられて縋っちゃう……そういうものよね。お父様はもーっと上手だったけど」)
状況は傀儡の残留効果を用いるほどではないと判断し、ライラは優しく頷いた。元々、狂信に身を沈めることで恐怖から目を逸らしていた人々だ。追い詰めた後に友達催眠を重ねて甘く囁かれれば、容易くなびく。
『あ、あなた達はハルファスさまへの信仰を捨てるつもりですか! 祈りを捧げなさい!』
その叫びに、人々がお互いの顔を見合わせた。
『ハルファスさまは裏切りを許しません! 絶対者は、あの方お一人なのです!』
黒衣の女が迫るのは、選択。
機を見て、五人は群衆に向けて一歩を踏み出した。
「さて、選択の時だ。ここまで言えば分かるだろう? ハルファス殿は大を取り小を捨てた。自分の守るべき世界を救うために、貴殿らを捨てたのだ。その上で、貴殿らに問おう!」
「アタシたちはこの世界に希望を灯しに来た復讐者。ただ民の心を奪いつくすだけの侵略者とは明確に違う。ほら、見てみて? アタシたちは友達になりに来たんだよ♪」
「わたし達はあなた達を見捨てたり逃げたりなんてしないわ。絶対に東京を取り戻すんだから。だから、私達と一緒に来て?」
「ええ。私達がハッピーエンドに導いてあげる。それとも、まだハルファスに付き従うの? 皆のことを置いて、逃げだしたのに?」
「そうだよ。アタシだったら、そんな理不尽な生き方は嫌だね。最後まで抗って死ぬ方を選ぶよ」
黒衣の女もまた、取り繕った態度をかなぐり捨てて、人々を叱咤する。
『お前たち! 誘惑を切り捨て、あの方へ祈りなさい! 救われるにはそれしかないのよ!』
人々は風に揺れる葦のように頼りなく、前後を見比べて逡巡する。つまりは、どちらに着くかを迷っている。となれば、後は最後の一押しのみ。
「化け物を倒すのは、人間だよ。いつだってね。悪魔の家畜としてただ生かされるのか、人の誇りを取り戻すのか! 選びな! 直接闘えないアンタ達に代わって、アタシ達がこいつらをぶっ倒してやるから!」
花撫が最後通牒を叩きつけ、その意志が人々の心を打ち据える。
沈黙が広間に満ちて、数秒。
一人が一歩を踏み出した。
「お、俺は……こっちに着く」
『……!』
そう。復讐者たちの方へ。
「守ってもらわなきゃ生きていけない俺たちだが……だからこそ相手は選ぶ」
「確かに、ハルファスはもう信用できない。僕もこっちだ」
「私もこっち。どちらも同じ力があるなら、悪魔より人を選ぶわ……!」
「うちらを追い詰めたのに、あんた達は手を出さなかった……その行動を信頼する」
「利用されて切り捨てられるのは、ごめんだ。機会をくれてありがとうよ」
『お前たち……! 待ちなさい!』
復讐者たちは視線を交わして微笑んだ。もはや黒衣の女の声は届かず、人々の離反は止めようもない流れとなっていく。
決断は終わったのだ。
●
追い詰めた。
残るはもはや、壇上に立ち尽くす黒衣の女、たった一人。
復讐者たちはそれを囲み、人々は広間から避難していく。
『……』
女は長く息を吐いて、壮大に構えるハルファスの像を見上げた。
静かにフードを取り、像に向けて祈るように手を広げて……
『この、クソッタレが!』
咆哮が上がった瞬間、叩きつけた拳から蜘蛛の巣のように冷気が広がった。復讐者たちが咄嗟に飛びのくほどの殺気が爆発し、巨大なハルファス像は瞬く間に凍てついて、砕け散る。
『ようやく理解したわ……。アンタ達、ディアボロスね。八月に皆殺しにしたと思っていたのに。まさかアンタ達を従えてる奴がいるとは思わなかった』
女の背から広がった青い冷気は翼となって、黒いローブを引き裂いた。褐色肌に長い銀髪を晒して、静かに燃える瞳が復讐者たちを振り返る。
『アンタ達の親玉が何区の誰か知らないけど、考えたもんね。この防衛線を突き崩すのに、アンタ達を使うってのは、盲点だったわ』
女はどうやら、この世界で滅ぼされた復讐者たちの一部が、他区のクロノヴェーダの傘下に降って生きながらえたと解釈したらしい。
『でもね……ディアボロス如きが、信仰を削いだくらいで勝てると思ってるなら、大間違いよ』
女の目に、諦観はない。そこには逆襲の冷気が、吹雪のように猛っている。
『一人残らず凍てつかせて、アンタ達の親玉にその生首を突き返してやる! ここでもう一度、敗れてくたばれ! 負け犬どもッ!』
魔剣を振りかざし、女は正体も露わに飛翔する。
その名は、ヴェル・ス・ヴァール。
氷獄の大悪魔。
さあ。
カテドラルを巡る闘いに、決着をつける時だ……!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【傀儡】LV1が発生!
【友達催眠】がLV5になった!
【エアライド】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
【アクティベイト】がLV2になった!
天夜・理星
こっわ。
そんなに怒んないでよ、早とちりさん…
…ま、もう11月も近いし、そりゃカリカリしちゃうよね。
でも、ライラさんの言う通り、笑顔が大事♪
よーし、ライラさん。一緒に連携ぶち上げよう。
障壁によって吹雪が防がれたタイミングで前に出る。
聖剣を解放して、両断、斬撃、火炎使いの技能もフル活用で力勝負。
焔の突破口が出来たなら、ライラさんと一緒に、剣を振るって同時攻撃だ!
宮廷道化師の友達の助けがあるんだ、精一杯応えないとね?
もしライラさんが危ない状況になったら、ディフェンスで庇おう。
想いってのはさ、焔のようなもんだよ。
懐かしさがあっても、根本は燃え尽きやしない…。
復讐の王とその家来が証明してあげよう!
アルメア・グラウプナー
「はっはっは、ついに体裁すら保てなくなった様だな! ま、十分持ったほうなのではないか?」
「さて、最後の総仕上げだ。あとは貴殿を天に返してこの仕事を終いとしよう!」
・行動
さあ、楽しい楽しい大将戦と洒落込もうか!
基本的には戦法は前とあまり変えずに各火器での【砲撃】【制圧射撃】で攻めていこう。
氷に対抗するには低温に強く硬い鋼だ、魔剣はシルトと鉄球で受け止め、魔剣は雹雨はガトリングによる【弾幕】で撃ち落とす。
吹雪は【神速反応】で爆裂鉄球を地面に打ち付け爆風を起こし相殺させる。
大将が地面に降りたり弱ってきたら爆裂鉄球とソードオフの出番だ。
【飛翔】【エアライド】を用いて一気に接近し大喝砕を叩き込もう。
リーシャ・アデル
・心情
ディアボロス如きねぇ?
あいにくと、もう二度と負けるつもりはないわよ!
そう、これがアタシ達の復讐(リヴェンジ)!
アンタが覚えているか知らないけどね!
・戦闘
ネメシス形態である大天使ラピュセールの姿になって戦うわ
武器をリアライズペインターの力でたくさん創り、【投擲】や【薙ぎ払い】、【斬撃】で牽制しつつ、≪ダメージアップ≫や≪先行率アップ≫、≪能力値アップ≫を載せてパラドクス『翠焔創像:フェニックスブレイヴ』で攻撃するわ
・その他
アドリブ等は大歓迎よ
ラピュセールの姿は金の長髪に銀の鎧に3対6枚の炎の翼、緑色の天使の輪を携えてます
※リーシャは8月以前のタイミングでヴェル・ス・ヴァールに敗北しています
宝心・ライラ
連携:天夜・理星
「怒ってる?泣いてる?じゃあ次は笑ってみせて!」
両頬に指を当てにっこり
貴女にも幸福な結末をあげるわね
まずは仲間の前に立ってダブルピースの障壁で吹雪を防ぐ
リゼが炎の突破口を開いてくれたら、オーキードーキーで追いかけるわ
一輪車に乗って火の輪くぐりなんて初めてね!
氷の魔女さんに辿り着いたら一輪車を片手に持ってリゼと同時攻撃
「きっと寒いせいでピリピリしてたのね。私達が温めてあげる」
「リゼ王様。宮廷道化師がフォローしちゃうわよ♪」
刃の車輪を叩きつけたらもう片方の手でペダルを回す
氷の世界に真っ赤な花を咲かせましょう
「懐かしい想いに浸らせてくれてありがと…でも、やっぱり私は今の私が好きなの」
結城・花撫
「警備のトループス級はもういない。ハルファスもさっさと逃げ帰った。後はアンタだけだよ。潔くアタシ達に倒されな。」
とはいえ、相手はアヴァタール級。舐めてかかったら痛い目に合うからね。
最初から全力で行かせてもらうよ。
【飛翔】や【エアライド】の効果で宙を駆け、猛禽類が獲物を狙うが如くパラドクス『飛鷹猛襲脚』で攻撃していきます。
積極的に味方と連携し、味方の隙はカバーし、敵に隙ができれば間髪入れずに攻撃に移ります。
「いい加減寒くなってきたし、そろそろ決めさせてもらうよ」
その日一番の高さから必殺の蹴りを食らわせます。
「あー、寒っ……早く帰ってお風呂入りたい」
フェルト・ユメノアール
残念だけど、ボクたちは誰の手下でもないよ!
ボクたちはボクたちの力でこの東京を取り戻す!
その為にもこの戦い、絶対に負けられないね!
【エアライド】を使用、柱や家具などの遮蔽物に身を隠しながらダッシュで戦場を駆け回り
敵の冷気攻撃を躱しながら爆裂ゴマを放って反撃!爆発の熱で冷気を少しでも相殺して仲間を援護
そして、相手が仲間の攻撃や反撃で隙を見せたタイミングで空中に【飛翔】し、パラドクスを発動する!
この瞬間を待っていたよ!現れろ!SCバイバニー!
2バーイ!3バーイ!4バーイ!
可能な限り巨大化させたトリックスターを振り下ろし、相手の元へ急降下
落下速度を乗せた斬撃で真っ二つにしてあげるよ!
カタリナ・スノーホワイト
勝手に終わらせないでよね
あの八月は終わりなんかじゃない……始まりなのよ
『そういう事です。偽りの救済で人々の祈りを弄んだ報い――』
召喚されたままのサブリエルが斧槍を構えて対峙する
『ここで受けて貰います!』
飛翔し浄化の光で牽制、敵の魔力を散らして戦場を温める
そんな氷、幾らでも溶かしちゃうんだから!
カタリナは光の全力魔法でサブリエルを支援しながら
共に戦う仲間の援護を続ける
サブリエルは開かれた活路を突き進み
斧槍の斬撃で敵の攻撃を制する
『祈りを込めた光と炎の一撃、あなたに耐えられますか!』
周囲を炎で包みながら温熱適応で仲間を鼓舞しつつ
相手の動きを封じ込めて必殺の機会を伺う
これで終わりよ、クロノヴェーダ!
籠室・楓
私達をクロノヴェーダの配下だと思い込んでいるなら、精々利用してやりましょう
流言飛語計による甘言で隙を作ります
ようやく気付きましたね
ところで仮に私達を倒したとして、その後はどうするつもりですか
あなたを見捨てたハルファスの元に戻る?
都合のいい駒の帰還に喜ぶか
或いは信者を失ったことを罰するか
いずれにせよあなたはジェネラル級に逆らえません
それに私達が攻め込んだということは、他の聖堂の状況も察しが付くと思います
ハルファスの命は風前の灯です
どうせジェネラル級に従うなら、私達の主の側につくのも賢い選択だとは思いませんか
別に港区に固執する必要もないでしょう
なんちゃって
悪魔が人間の甘言に乗るなんてお笑い種ですね
●
『ここでもう一度、敗れてくたばれ! 負け犬どもッ!』
激怒を込めて叫ぶ、大悪魔。
爆風の如き氷霧が一気に吹き荒れ、仲間たちを吹き飛ばす。
アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は受け身を取りながら床を転がり、嘲笑を浮かべて。
「はっ! ついに体裁すら保てなくなった様だな! ま、十分持ったほうなのではないか?」
壁に激突した身に、広間に並んでいた椅子が折り重なるように降り注ぐ。発砲音がそれを凍てついた木屑に変えて、サイボーグは立ち上がった。
「さて、最後の総仕上げだ……!」
復讐者たちは一斉に構えを直し、氷霧の中枢を睨む。
視界を覆う白い闇を吹き払い、結城・花撫(破壊屋・g00183)が走り出す。吐く息はすでに白い。だがそれも、戦闘機械の蒸気の如き熱を帯びて。
「警備のトループス級はもういない。ハルファスもさっさと逃げ帰った。後はアンタだけだよ。潔くアタシ達に倒されな……!」
隣から走り出るのは、カタリナ・スノーホワイト(Tears Drop・g05001)。その頭上では、大天使サブリエルが光り輝き斧槍を構える。偽りの救済で人々を弄んだ報いを、受けさせんがために。
「勝手に終わらせないでよね。あの八月は終わりなんかじゃない。始まりなのよ……!」
冷凍庫の如く、急激に室温が下がっていく広間。冷酷に猛る悪魔の目を正面に見据えて立つのは、紅く輝く焔の瞳。
「ディアボロス如き、ねぇ? ……あいにくと、もう二度と負けるつもりはないわよ!」
リーシャ・アデル(絆紡ぎし焔の翼・g00625)の背から、三対の炎が翼の形をとって吹き荒れる。報復を誓う力を解放し、リーシャは大天使ラピュセールと呼ばれた者の姿を取って床を蹴る。
『ほざけ! 雑魚どもがッ!』
そして、最後の闘いが始まった。
吹き荒れる氷霧が、まるで白き龍の如く部屋を覆っていく。吼える悪魔は竜巻と化した冷気を操り、、飛び込んでくる復讐者たちを弾き飛ばす。
しかし。
「こっわ。そんなに怒んないでよ、早とちりさん……ま、カリカリしちゃう気持ちもわかるけどさ!」
「怒ってる? それとも泣いてる? じゃあ次は笑ってみせて! 貴女にも幸福な結末をあげるわね」
白煙の横腹を貫いたのは、黒衣の影と金色の髪の少女。天夜・理星(復讐の王・g02264)と、宝心・ライラ(ミス・ハッピーエンド・g01071)。
「そうそう。ライラさんの言う通り、笑顔が大事♪ よーし、復讐の王とその家来で、証明しよう! アタシ達の、想いの熱さをさ!」
「任せて、リゼ王様。宮廷道化師がフォローしちゃうわよ♪」
ライラの指がピースを組んで、発動した障壁が冷気を防ぐ。その隙に理星が振るった聖剣が、紅い光を放って。
「聖剣解放。激情は此より、焔となれ……! さあ、突破口を開くよ!」
理星の身に、刀身に。燃え盛る火焔が宿っていく。
『ふん、炎か』
冷気を切り裂いて駆ける理星に対し、悪魔は氷の魔剣を構えつつも距離を取る。怒りながらも、その底では冷静さを失っていない。だが理星の纏う焔に隠れ、一気にその頭上を跳び抜けた影には、気付かなかった。
『何……!』
「一輪車に乗って火の輪くぐりなんて初めてね!」
刃を車輪に仕込んだ一輪車と、それを駆るライラ。そのまま空中で回転し、一輪車を掴んで振り下ろす。小柄な体に似合わぬ振り下ろしを、悪魔は咄嗟に防いだものの。
「寒いせいでピリピリしてるみたいだし、私達が温めてあげる! 氷の世界に、真っ赤な花を咲かせましょう……!」
その手が刃の車輪を回し、チェーンソーの如く火花を散らす。一気に押し込まれた氷の魔剣が悪魔の肩口に食い込んでいく。
『しゃらくさい!』
爆風の如く吹き荒れた冷気が、ライラの肢体を弾いた。しかし敵を釘付けにしたその隙を、彼女の相棒は逃さない。
「宮廷道化師の助けには、精一杯応えないとね? 復讐の王としてはさ!」
一気に肉薄した理星が、悪魔を間合いに捉えた。聖剣が描く紅い軌跡が氷剣と打ち合って、白い火花が散る。
「想いってのはさ、焔のようなもんだよ。懐かしさがあっても、根本は燃え尽きやしないんだ……!」
赤華一輪、激華炎情。
二人掛かりの赤い華に、振り下ろされる氷の魔剣が、叩き割れる。灼熱の剣閃が悪魔の腋を斬り上げて、折れた氷片は理星の肩に突き刺さる。
『ちっ! 負け犬の分際で……一体、どこの誰と組んだのよ!』
攻め掛かる二人に蹴りを放って、悪魔は再び距離を取る。
「誰と、組んだか?」
その背後に忍んだ気配に反応して、再生した氷の魔剣が一閃する。それを受け止めるのは、楓葉の鉄扇。
「ようやくそこに気付きましたね。ところであなたは、私達を倒した後にどうするつもりですか? あなたを見捨てた主の元に戻る気ですか?」
そう語るのは、籠室・楓(人間のレジスタンス諜報員・g02213)。火花を散らして競り合う剣を食い止めながら、鋭く相手の目を見据えて。
「私達が攻め込んだということは、他の聖堂の状況も察しが付くでしょう。ハルファスの命は風前の灯ですよ」
必殺の暗器が武具とは限らない。真なる毒針を口に秘め、楓は押し込まれる剣を鉄扇で払う。
『逃げられるなら、そうしてるわよ! でもあのクソは、【ここはお前に任す】とほざいた……! それがどういう意味か、わかるわよね!』
憎悪を込めて打ち込んでくる剣を辛うじて弾きながら、思案は巡る。
なるほど。命じられた以上は、それを果たす以外にない。それがクロノヴェーダの階級制。上位者の命令は、本人の意志さえ上回る絶対性を持つ。
ならばと、楓は距離を取ってわざと扇を閉じた。舌先を躍らせるために。
「……クロノヴェーダとはつくづく、不憫な生き物ですね。ならば私たちがここから退き、ジェネラル級たる私達の主を引き入れれば、あなたを従え直してくれるのでは? 別に、港区に固執する必要もないのでしょう?」
『なに……?』
ほんの一瞬、ぴくりとその剣の動きが止まる。命令には逆らえないのだから、肯定は出来ない。それでも、敗残の将につくよりは優位な方へ鞍替えをしたいという本人の想いが生んだ、僅かな気の迷い。
だがそれだけで、攻撃に転ずるには十分。
「この瞬間を待っていたよ……! 残念だけど、ボクたちは誰の手下でもないんだ!」
冷気の壁を貫いて、回転するコマが悪魔の眼前で炸裂する。
『……ッ!』
咄嗟に振るわれた剣を、フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)が跳び避ける。その隙に閃いた鉄扇が、悪魔の脇腹を裂いていた。
「ほんの一瞬、惑いましたね。悪魔が人間の甘言に乗るなんて、お笑い種です。あの愚かな主に逆らえない時点で、あなたの運命は決まっていたんですよ……」
楓の冷えた目が、怒り狂う悪魔を刺し貫く。
『貴、様らァアア!』
猛る吹雪が、一気に周囲に迸る。咄嗟に防いだ腕を冷気が裂いて、流れ出る血さえ一瞬で緋色の氷と化す。
(「爆裂ゴマの熱で冷気を少しでも相殺できないかと思ったけど……そんなレベルの威力じゃないね」)
アヴァタール級とは、ジェネラル級にとっては都合のいい駒。その気まぐれに命を左右される、哀れな身。しかしその力は、復讐者たちのそれをも凌ぐ。
それでも楓は拳銃を抜き放ち、フェルトは襲い来る冷気を避けながら、悪魔の周囲を駆け抜けて。
「ボクたちはボクたちの力でこの東京を取り戻す! その為にもこの闘い、絶対に負けられない! 現れろ! SCバイバニー!」
銃弾さえもが凍てついて落ちる中、道化師はバネのように跳ねた。その傍らに、パラドクスのバニーガールを伴って。
「さあ、お願い! 最初は1倍! 次が2バーイ! それから3バーイ!」
悪魔の頭上で、フェルトが投げナイフを掲げた。バニーガールがにこやかな笑顔で魔法の戦鎚を振るう度、ナイフはどんどん巨大化する。
悪魔がハッと、頭上から落ちる巨大な影に振り返った。
「……最後に、4バーイ! さあ、いっくよー!」
竜巻のように襲い掛かってくる吹雪の中、道化師は身の丈ほどに巨大化した投げナイフごと滑空する。
床が砕ける轟音に、肉の裂ける湿った音が続く。飛び散る鮮血は、復讐者のものではない。
『クソッ……! クソッ!』
瓦礫の中から冷気の翼がひらめいて、悪魔がそこから飛び出した。その片足が潰れたようにひしゃげ、紅が滴り床で凍てつく。
咄嗟に距離を取ろうとする悪魔。しかし、ライラと理星が即座にそれに追いすがって。
「懐かしい想いに浸らせてくれてありがと……でも、やっぱり私は今の私が好きなの」
「というわけで、アタシたちが逃がさないよ♪」
そこに続く銃弾は、楓のもの。無論、フェルトも瓦礫の中から飛び出して。
「尤もあなたは、命令の関係で逃げられないでしょうけどね」
「よーし、もう一回! 今度こそ、真っ二つにしてあげるよ!」
『ふざけるな……!』
突風を解き放ち、悪魔は血まみれの足を庇うように飛翔する。
うねる氷霧の中へ身を隠し、悪魔は傷口を凍てつかせて止血する。
(『一体、なんだ? 先ほどの闘いは見ていたが、パラドクスの威力がまるで違う! 追い詰めるほどに強くなっていくかのような、この力は……!』)
悪魔は、積み重ねられる残留効果を知らない。復讐者たちの傷ついた身が、万全以上の力を引き出すことがわからない。
(『目算を誤った。距離を取らねば……!』)
しかし、羽ばたこうとした瞬間、機関銃がその翼を撃ち抜いた。更に、閃光のような人影が交差する。辛うじてその衝撃を受け止めたものの、悪魔は大地を転がって顔を上げる。
「……舐めてかかれば痛い目に合うのは、そっちもこっちも一緒だね。いい加減寒くなってきたし、そろそろ決めさせてもらうよ」
「ああ。さあ、楽しい楽しい大将戦と洒落込もうか! 貴殿を天に返してこの仕事を終いとしよう!」
睫毛も凍てつく中で、待ち受けていたのは花撫とアルメア。怒り狂った悪魔は、歯をむき出して無数の氷弾を召喚する。
『調子に、乗るな!』
迸る、氷の弾丸。機関銃の如く乱射される煌めきに向けて、花撫が駆け出していく。右へ、左へ跳躍する彼女の背後からは、アルメアのガトリングが火を噴いて。
「弾幕を張るぞ! 構わず、飛び込め!」
「ありがたいよ! 任せな!」
頬を、腿を、脇腹を。冷たい閃光が掠めていく。熱い血潮が走るのに構わず、花撫は渾身で床を蹴りつけると、宙を舞った。
「そんな多芸じゃなくてすまないね。代わりと言っちゃなんだけど、今日一番の高さから行くよ……! 喰らいな!」
その一閃は、隼の猛襲の如く。弾雨の中を飛び抜けた蹴りが悪魔の胸倉を打ち抜いた。骨にひびの入る鈍い感触と共に、女の肢体が吹き飛ぶ……その先には。
『……!』
「待ちかねたぞ。氷に対抗するには低温に強く硬い鋼一択! この爆裂鉄球にて、爆ぜるがいい!」
咄嗟に振るわれた魔剣の斬撃にひるむことなく、アルメアはそのまま走り込んで鉄球を振り抜いた。金属と氷の激突する高い打音。迸る衝撃と冷気。両者の肢体が吹き飛び、悪魔は血を吐きながら床を転がる。
(『馬鹿な……馬鹿な! こんな奴らに! こんな……!』)
氷霧が、晴れていく。冷気を引き裂く閃光と熱は、カタリナと彼女の従えるサブリエル、そしてリーシャの焔の翼だ。
「こんな氷、幾らでも溶かしちゃうんだから! 行くよ、サブリエル! 光と炎に、祈りを込めて……
ッ!」
「覚悟してもらうわ、大悪魔……! アタシはもう二度と……あの時と同じ過ちを繰り返しはしない!」
輝く二人の天使が、逃げ道を塞ぐように斧槍と、無数の剣を構えて。
『くっ! この……この、クソアマどもがァアア!』
その両手に氷剣を、周囲に無数の氷弾を生成し、悪魔は立ち上がる。血反吐を吐きながらの咆哮が、大地を凍てつかせる地走りとなって、二人に迫る。
リーシャが撃ち放つのは、焔を帯びた無数の剣。氷結の弾丸と激突し、炸裂する熱と冷気が互いの頬を裂く。熱波と冷気の混沌の中を、カタリナが突撃して。
「サブリエル、活路を開いて!」
斬り上げられるのは、ジェネラル級に従えられた大悪魔の剣。振り下ろすのは、復讐者と共にある大天使の斧槍。冷気と炎光の激突が、目もくらむような閃光を伴って戦場に迸る。
「……これで終わりよ、クロノヴェーダ!」
硝子の割れるような音が響く。砕け散ったのは氷の魔剣。悪魔の肩口から袈裟に入った斬撃が、血飛沫となって迸る。
『……!』
茫然としたまま膝を突いた悪魔が、灼熱の気配に頭上を見上げる。その頭上で、リーシャが描き出していたのは。
「思い知りなさい。これがアタシ達の復讐(リヴェンジ)! ……アンタが覚えているかは、知らないけどね!」
炎の翼が膨れ上がるかのように広がって、巨大な不死鳥が戦慄いた。その核に勇気の心を燃やし、孔雀の如く尾羽を翻して、一気に飛び降りる。
『ひっ……!』
「勇気の焔よ、羽撃けっ!」
巨大な炎の鳥は、抗う冷気を呑み込みながら大地へ激突する。喰われる虫の如く悪魔の絶叫が途切れて、熱風が周囲の冷気を吹き払った。
この闘いで最大の力の激突に、復讐者たちは身を転がして受け身を取る。
ほの暖かい空気に包まれて顔を上げると、煌めいた氷片が降り注ぐ光景が目に入る。その中心で立ち上っていた火柱が消えていった。
悪魔の姿は、もうない。
広間の中心には黒く焦げた炭跡以外、何も残っていなかった。
●
闘いは、終わった。
カテドラルの外には、目の覚めた信者たちが身を寄せ合っている。
「見ていたよ……ハルファスの奴は、俺たちを騙していたんだな」
「ヴェル・ス・ヴァールのことも助けなかった」
「信仰を得るためだけに、利用されていたってことか……」
人々は、偽りとはいえよすがにしていた希望を砕かれ、一様にうなだれている。途方に暮れている者も多い。内戦状態となっている東京の中、これからの展望は無きに等しい。
だが。
「あいつらの力の大きさに目が眩んでいたけど……奴らは私達を護ってはくれない」
「私たちはたとえ弱くても……力を合わせていくしかないのね」
「アンタ達も、一人一人の力はヴェル・ス・ヴァールより弱くても、それを重ね合わせることで、奴に競り勝ったんだもんな」
「例えちっぽけでも、みんなで力を合わせて寄り集まれば、身を護るくらいはできるかもしれない」
疲労と絶望の滲む目には、もう狂気に酔う色はない。
復讐者たちは、その肩を軽く叩いて、言う。
自分たちはまた来る。この地を解放するために、必ず。それまで、力を合わせて生き延びていて欲しい……と。
「あたしなんかに何ができるかは分からないけど」
「命の恩人にそう言われちゃ、断れないや」
「必ずまた、来てくれよ。俺たち、縋りつくことしか出来ないけど……」
きっと生き延びて、待っているから。
そう語る信者たちの目の奥には、か細いながらも生存への渇望と力が灯っていた。
こうして復讐者たちは、秋夜の東京を去る。
カテドラルは陥落し、ハルファスの防衛網は崩れつつある。
その先に待つ決戦へ向けてパラドクストレインが走る、その日のために……。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【落下耐性】がLV2になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【友達催眠】がLV6になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【アクティベイト】がLV3(最大)になった!