オーストリアの淫魔の街

 芸術を悪用しオーストリアの街を惑わして支配している淫魔が確認されました。
 淫魔は、街の人々を音楽で洗脳し、悪徳と退廃の街にし、エネルギーを吸い上げているようです。
 街を支配する淫魔を撃退し、人々を正気に戻してあげてください。
 街を退廃させた淫魔は、音楽や芸術で人々を争わせ、その上位者を城に招いて、自らの配下に加えようとしています。
 この習性、利用する事が出来れば、街を支配する淫魔を暗殺して街を解放することが出来るでしょう。

序曲はオペラコンテスト(作者 大丁
9


#断頭革命グランダルメ  #オーストリアの淫魔の街  #1802年 


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#1802年


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 オーケストラの奏でる厳かな調べが、大広間のパーティー会場に満ちていた。
「フルーティア様におかれましては、ご機嫌麗しゅう……」
「まあ、オペラコンテストの優勝者に、お近くでお会いできて光栄ですわ」
 紳士淑女が、上流階級での立ち居振る舞いをしている。
 かのようでいて、フルーティアと呼ばれた女性は、たしなみとはほど遠い。僅かな布だけあしらったドレスを着ていた。
 小悪魔の角を生やした、文字通りの淫魔である。
 その小さな唇が、そっと優勝者の男性に囁きかける。
「あとで私の部屋に忍んでいらして……。どうか、舞台で歌った愛の言葉を、私のためだけに聞かせて……」
「はっ……! もちろん、喜んで」
 だが、この男性が城から帰ってくることは無かった。
 すがりついた淫魔に、紳士の堕落を吸いつくされ、命まで墜としたからである。

 新宿駅グランドターミナルのホームのひとつには、時空間移動の列車、パラドクストレインが到着していた。
 すでに、車両側壁に沿ったロングシートの左右にわかれ、ディアボロスたちが腰掛けている。
 彼らの視線は、通路中央に立つ女性に注がれた。
「ごきげんよう。わたくしは、ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)と申します。この車両の行き先を感知した、時先案内人ですわ」
 一礼するとファビエヌは、情報を語り始める。
「断頭革命グランダルメの勢力圏であるオーストリアの町々は、自動人形の支配下に入っているクロノヴェーダ、淫魔によって支配され、退廃の都と化しております」
 耳慣れない言葉に戸惑っていないか、案内人は一言ずつ確認するように、紫の瞳をディアボロスにむけてくる。
「町の人々を救うためには、支配している淫魔を撃破せねばなりません。通常では接触することさえはばかられる相手ですけど、当の淫魔が開催しているコンテストで優秀な成績を収めれば、淫魔のパーティーに招かれることができますわ」
 察しのいい何人かが、頷いた。
「ええ。淫魔が開くパーティー会場ならば、警備は薄く、淫魔の撃破が可能かもしれない、というワケです」

 ファビエヌの人差し指が、なにかの拍子をとる。
「開催されるのは、オペラコンテストです。まず、淫魔フルーティアが支配する町に潜入し、住民の様子を調べてはいかがでしょう」
 確かに、いきなりオペラを歌わされるより、傾向を掴んでおいたほうがいいだろう。
 クロノヴェーダを撃破する勢いでシートから腰を浮かせた面々も、いったん座り直した。
「劇場の舞台に立って、オーケストラの伴奏を受けながら、一場面だけを歌と演技で表現します。放蕩な男が女性を口説いている場面だそうですわ。判っているのはそれだけです」
 審査には、淫魔の趣味趣向が反映されている。
 それを探り出し、優勝を狙うのだ。
「優勝できなくとも、淫魔の目に留まるような活躍をすれば、パーティーに招いてもらえます。親族や友人も招くことが出来るので、入賞者以外も参加できます」
 細い指先が、電車の吊り革を順番につついて揺らした。
「会場では淫魔と会話などをしつつ、頃合いを見計らって戦闘を仕掛け撃破してください。お気を付けいただきたいのは、町には多くのクロノヴェーダが居ること。異変を察知して敵が駆けつけてくるよりも早く、素早く撃破して素早く脱出してくださいませ」

 ファビエヌはいま一度、座席を見回した。
「淫魔のコンテストは独特です。あなた様方の知恵と工夫で乗り切り、そして……イイコトしましょ♪」

「さあ、私と来るのだ、この色男の胸に抱かれに」
「いやいや、俺こそが、愛のしもべなるぞ」
 マントにペルソナマスクの男がふたり、路地裏で花売りの女を取り合っていた。
「そんなこと言って、あんたたち、どうせオペラコンテストの練習代わりなんでしょっ」
 憤慨した女は、花籠をひっつかんでぷいと顔を背けた。
 が、こっそりニヤケている。
 どうやら、三人とも既婚者で、互いにバレていないつもりのようだった。
 淫魔の町のそこかしこには、放蕩を気取る輩がいて、自由というにはあまりにおぞましい、不貞を働いているらしかった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【活性治癒】
3
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV4 / 【反撃アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 チェインパラドクスの一回目は、断頭革命グランダルメにて、オーストリアの淫魔と戦うシナリオとなっております。

 コンテストは、オペラ。
 そして、魅惑のドレスで迫る淫魔フルーティア。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
60

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトワール・ライトハウス
よろしい、この俺が正しい放蕩っぷりを啓蒙して……そういう話ではない?

オペラねぇ……昔、父上に連れられて見たことはあるが、あれは素人にできるもんかなぁ。
だが、観客に向けた芸術なら、そこには趣味趣向、流行り廃りがある。

街のレディを口説き、前回までのコンテスト優勝者の話を聞こう。
そこに共通点があれば、それが淫魔の趣味である可能性もあるからな。
――無論、レディのみの視点では不足するかもしれない事には気づいている。
ならばどうするべきか?

男も口説きます。
見た目を褒められて胸キュンするのはレディの特権じゃねぇ! このパラドクスレベルの鑑定眼で男も褒めちぎり、誑し込んでやるぜ!!!!


錢鋳・虎児
「よく分かんねーけど、ここに来ればカーちゃんみたいなのが沢山いるって言ってた!」
事情を飲み込めていない少年ですが
いきなり殴りあいすべきではないと母やファビエヌさんに言われたので
一先ず聞き込みする事にしました。
とはいえ、小学校にも通えなかった少年は
やっぱりよく分かっていません。
とりあえず、母に似た感じのする女性に声をかけるようですが…?
「なーなー!この辺でおぺらこんたくと?ってのをやるらしいけどよー!
それってどこで何をするやつなんだー?」


「あんたたち、私のどこをそんなに、好きになったのよ」
 花売りは結局、マスク男たちを振り返ってたずねた。
 が、花籠を揺すられ、視線を下に向ける。
「なーなー!」
「ち、ちいさい男の子が?」
 そこにいたのは身長100センチに僅かに届かない、錢鋳・虎児(無敵の御ガキ様・g00226)。
 まるで甘えたような目ですがりつかれ、女は動揺した。
「なーなー! この辺でおぺらこんたくと? ってのをやるらしいけどよー!」
 マスク男たちも、顔を見合わせるなか、虎児はかまわず問うてくる。
「それってどこで何をするやつなんだー?」
「こんたく? ああ、オペラコンテストのことね。まもなく中央広場に面した劇場でひらかれるんですよ」
「そうとも、私のような色男が、歌を競うのだ~♪」
 虎児の聞きたいことが判ったからか、マスク男は拍子をつけてしゃべりだす。
「いやいや、俺こそが、優勝をいただくの、だ~♪」
 オペラコンテストは、おもに男性の出場者が、用意された女性役を口説くものらしい。
 女性役で出場して、助演賞をもらうこともでき、ペアでの参加、あるいは知らない者同士、単独での参加も可能、ということだった。
「花売りなんかせずに~♪ 私だってお城のパーティに招かれたいわ~♪」
 3人の声が重なって響く路地裏。
 そこへもうひとり、背の高い男性の影がさした。
「ほう、君たち。すでに熟練者のような、いい声じゃないか」
 エトワール・ライトハウス(執行人・g00223)である。
「オペラか……。俺も昔、父上に連れられて観たことはあるが、あれは素人にできるものなのか?」
 競いあっていたはずの男たちは、なぜか頬を赤らめ、ペルソナごしにも判るほど、瞳を潤ませていた。
「熟練者、だなんて。そんな旦那」
「肉屋と八百屋を褒めすぎですって」
 口説かれるのは、女ばかりではないということか。あるいは、エトワールの卓越した鑑定眼と交渉術によるものか。
 町民たちが教えてくれたことによれば、こうだ。
 前回までの優勝者をはじめ、歌の技術よりも、歌詞を自作して相手の喜びそうな言葉を浴びせかけるほうが、男女とも評価されている、と。
 それで、町中が口説き合戦になっているほどだ。
「でも……坊やを見てたら、家で待ってる家族のことも……はぅ!」
「か、カーちゃん?」
 虎児は、肩を抱かれていた花売りを、思わず母と呼んでしまった。
 だが、女は彼をほったらかして、広場に足を向ける。肉屋と八百屋も、マスクをかけ直してフラフラと。
「俺たちが、正しい放蕩っぷりを啓蒙してやろうじゃないか」
 エトワールは、追おうとする虎児を引き止めた。
 彼らの洗脳をとく情報は手に入っている。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

天夜・理星
見れば見る程すごい光景だよね。
歌で人々がこうも熱くなって狂って…。
まさに夢だよね、これってさ♪

選択肢にある通り戦闘行動は一切行わないよ。
残留効果だけ残す感じで。

フルーティアさんがこのオペラの大会で本当にやりたいことを聴くよ。勘繰るわけじゃなく、純粋に。
こうも歌を響かせているんだから、邪だけじゃなく、本当は何か、人々にこう思ってほしいとか、これが見たい、したいとか、そういうのがあればなあ。
一抹の希望だけど、人々に対して思うところがあるのなら…。
まあ、もしまともな答えが返って来なくても、コンテストの上位入賞の鍵を得られるなら、それはそれでいいことだよね。

「自分の歌で、世界は変えられるのかな?」


ミルフィ・ブランラヴィット
アドリブや連携等歓迎

敵を知れば百戦危うからず
戦闘行動は一切行わず
フルーティアと接触
会話を試み

服装は社交用ドレス
(極度に露出)
淫魔の角や翼・尻尾を強調し
淫魔の縁者と
思わせますわ

『御初にお目にかかりますわ…』

フルーティアに一礼し

『貴女様のお噂は…かねがね…一度御会い致したく…』

『わたくしも見ての通り若輩者ながら…オペラにも興味がございまして…都度この街でオペラの催しをされております、貴女様の事を伺い…ご挨拶に』

フルーティアと会話しつつ
【情報収集】で
情報等集め
彼女の考えや趣向
真意など聞きますわ
敵ながら
芸術を理解するその心
彼女にも思うところは
あるのではと…

『オペラの催し…楽しみに致しておりますわ…♪』


青龍院・桜
「まずは敵の情報を得る必要があるわね。
そのために淫魔と直接話しましょう」

陰陽符をタロットカードのように持って、占い師として淫魔に接触するわ。
淫魔の趣味がわかったほうが、コンテストの審査でも有利になるでしょうし、ね。

「占い師の桜と申します。
今宵はフルーティア様の将来を占わせていただきます」

占いと称して、淫魔フルーティアの趣味や興味関心などを聞き出していくわ。
……まあ、淫魔の好みなど、聞くまでもないかもしれないけれど。

情報を得るために、淫魔から何か命令されても、ここは我慢ね。
まだ戦うわけにはいかないから、おとなしく命令に従うわ。どんな命令でも、ね。

「あなたの趣味、よく理解させてもらったわ」


 舞台の上ではまだ、リハーサル中だった。
 予選を突破したコンテスト出場者は、舞台下のオーケストラピットにむかって注文を付けている。
 市民用の観客席は、ピットからさらに後方に向かって階段状に登っていくが、上流階級のためのボックス席というものがあって、バルコニー型のそれらが、劇場周囲の壁に3段にわたって設えられていた。
 もっとも高級なのは、舞台の真横といっていい位置の最上段。
 天夜・理星(復讐の王・g02264)は大胆にも、そのボックスからリハーサル風景を眺めていたのだった。
「歌で人々がこうも熱くなって狂って……。まさに夢だよね、これってさ♪」
 振り返った先には、本来の主人。
 このオペラコンテストの主催者にして、町を支配する淫魔、フルーティアの姿があった。
「お世辞はけっこうですよ」
 バルコニーの奥には、くつろぐに十分なひと部屋が用意されている。
 ひじ掛けのついた椅子で足を組んでいる淫魔は、しかし指先ひとつで護衛のクロノヴェーダたちを呼べる立場にあった。
「私は人々に夢など見せない。もっと、現実的な世界に生きているのです」
 不遜なクロノヴェーダへの復讐心を抱えつつも、理星は一抹の希望も持っていた。
「歌で、世界は変えられるのかな?」
「現に私は、そうしてきました……」
 淫魔フルーティアが、視線を部屋のすみにむけると、長ソファにふたつの人影が折り重なっている。
 仰向けに寝そべっている小柄なほうは、ミルフィ・ブランラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・g01705)。
 社交用のドレスはすでに乱れて、いや元から露出度が高かったようだ。
 その胸元を隠すように、陰陽符を並べさせられているのは、青龍院・桜(元陰陽師の占い師・g03997)だ。
 お札でも、タロットカードのような配置である。
 淫魔は嘲笑まじりの声をかける。
「占い師の桜さん。ミルフィ嬢のお胸は、まだ大きくなるか、お分かりになりまして?」
「ええ。あなたの趣味ともども、よく理解させてもらったわ」
「あの……フルーティア様……わたくしのことを占っていただけるのはうれしいのですが……その、恥ずかしゅうございます……」
 桜とミルフィが、あやしげな遊びに抵抗できないさまを見せびらかし、「どう?」と理星に両手を広げてみせた。
 豊満な胸がひと揺れする。
 世界は意のまま、それがフルーティアにとっての現実、と示したいらしい。
 バルコニーを離れた理星は嘆息し、長ソファに向かった。
「こうも歌を響かせているんだから、邪なだけじゃなく、人々に対して思うところがあったらなあ」
「芸術を理解する心をお持ちだとばかり……」
「ほんと、そうね」
 アヴァタール級の淫魔が余裕をかましているあいだに、3人のディアボロスは通路への壁を一刀両断にし、脱出してしまった。
「あ……お待ちになって」
「オペラの催し……楽しみに致しておりますわ……♪」
 ミルフィの言葉だけが、ボックス席に残された。
 しかし、逃走しながらも、理星がたずねると、淫魔のお仲間に思わせてご機嫌取りにいく作戦が、いつのまにか桜とからむことになり、桜も占いを持ちかける前段階が、ああなったのだと言った。
「情報を得るために、よ。おとなしく従うしかなかったわ。どんな命令でも、ね」
 そんな、桜の頬は、みょうに艶めかしく火照っていたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV2が発生!

茨原・なる
オペラかー。馴染みないなあ。
でも愛を囁かれたり口説かれて悪い気はしないよね。
えへへー、女性役もオッケーみたいだしコンテストに参加しちゃお。

衣装はフルーティアが好みそうなのとか用意があるならそれで。
あははっちょっと大胆かもー。
演技は…男のヒトに甘えるような感じだと喜んでくれるよね。

なるはみなし子 一人ぼっちの女の子
いつも笑顔でいるけれど ホントは寂しくて満たされたいの
だから独りの寒い夜から連れ出して 十二時の鐘で解けない魔法をかけて
ガラスの靴を脱いでシルクのシーツに包まりながら
王子様のテノールで囁く愛をずっと聞かせて欲しいの

くすっ、演技だけど
独りの夜が寂しくて満たされたいっていうのは本当だよ。


エトワール・ライトハウス
レオンに乗って舞台上に。
淫魔主催のオペラなんだ、多少の無茶はご愛敬。
本物の弾丸は【隔離眼】で隠しておいて、空砲を撃ち鳴らす。
狩りが好きな貴公子設定で行くのだよ……!

空の、森の、あらゆる獲物を撃ち落とした。
雲を超える鳥と、巨木を砕く獣と比べれば、貴女の体のなんと儚く非力な事か。
この銃の引き金を引けば、弾丸は容易く貴女の胸を貫くだろう。
この剣を首に滑らせれば、刃はあっけなく貴女の熱を奪うだろう。
嗚呼しかし、貴女の心を奪う事。
ただそれだけが、私の言葉ではどうにもなしえない。

(馬から降り、女性役の前で膝をつき)
ですから、これだけで十分なのです。
どうかどうか、貴女の影を見つめる許しだけを、どうか。


天夜・理星
世界は意のまま…か。
あくまで夢じゃなく、世界を変えられるからこそ現実を見てるんだね。
でもさ、世界を変えられるのはこっちも同じだよ?

アタシも男性役でオペラしますか。
衣装と剣は借り物を使って、王になる男が昔から好きな女を妃にしようと愛を囁く歌を、カッコよく歌おう!

歌詞はこれ↓
燃ゆる焦がす この心には
ただ彼方に想う 貴女だけさ
この剣を 勇気を 貴女に委ねよう
この命も 心身体も 全て預けてしまおう
全てが一つになれば 僕らは光
黒に浮かぶ星々さえもが眩む 未来の焔
さあ共に行こう 夜明けの先へ!

歌で世界は変えられる。こんな風に、情熱的に、意のままに。
アタシたちにも出来るってこと、これで説明つくよね?


陣・頼人
インドア系の僕に人前で歌えなんて無理な話だし、ましてや内容も要はナンパしろって事だろ?
とはいえ、これも町のみんなを正気に戻す為。
【勇気】を胸に、【情熱】を込めて自作の歌詞を高らかに歌う。

♪君の瞳に映る夜空 僕はそこに輝く綺羅星
(天を指差しながら)
♪もしも君が寂しいのなら 君を導く光になるよ
(胸に手を当てて)
♪どの星よりも輝いて 君を優しく照らしてあげる
(大きく手を広げて)
♪そして流れ星になり 君の元へと飛んでいくよ
(審査員である淫魔を指差し)
♪さぁ手を取って さぁ行こう
(手を取る仕草)
♪二人だけの 愛の旅路へ
(くるっとターン)

…言っておくけど僕だって恥ずかしいんだからね。これ。


 本番のステージに立つと、観客からのプレッシャーはすさまじかった。
(「インドア系の僕に人前で歌えなんて無理な話だし……」)
 陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)は、ぎこちなく首だけを下手(しもて)に向ける。
 金髪に碧眼の美女が、薄絹をまとって佇んでいた。
 ごくり、と喉がなる。
(「ましてや、今からこの人をナンパしろって事だろ?」)
 相手が本職の役者なのは判っている。
 それでも、緊張してしまう。
 気付かぬうちに、指揮者がタクトを振っていた。
 第一音の大きさに驚いて、視線を観客席に戻す。
 すると頼人には、さっきとは違った景色が見えてきた。
 ここにあるのは、洗脳されて囚われている人々の群れなのだ。
(「町のみんなを正気に戻す為!」)
 勇気を胸に、天を指さす。
「君の瞳に映る夜空~♪ 僕はそこに輝く綺羅星~♪」
 少し遅れたが、声は張れている。みずからの情熱に後押しされ、自作の歌詞が口をついて出てきた。
「もしも君が寂しいのなら、君を導く光になるよ。どの星よりも輝いて、君を優しく照らしてあげる~♪」
 大きく手を広げると、女優が数歩、寄ってくる。
「連れていって、私の綺羅星よ~♪」
「さぁ手を取って、さあ行こう~♪」
 本当は、このあたりで審査員の淫魔を意識した仕草をいれよう、などと考えていたが、もう目の前の美女と呼吸を合わせるので精一杯だった。
「「二人だけの、愛の旅路へ~♪」」
 くるりとターンを決めて、拍手をあびて。
 舞台袖にはけてから、頼人は控えていた天夜・理星(復讐の王・g02264)に、耳打ちせずにはいられなかった。
「……言っておくけど僕だって恥ずかしかったんだからね」
「いやいや、カッコいい先陣をきってくれて、仲間として心強いよ」
 ねぎらう理星は、ボックス席で淫魔と対峙したときとは違い、男装していた。
 衣装と剣の借り物で、若い王を演じる。
 上手(かみて)から登場すると、すぐさま最上段のバルコニーを見上げた。
 フルーティアが、悠々とした態度で席についている。
(「世界は意のまま……か」)
 君臨する審査員に一礼すると、王の姿の理星は、妃に迎えたい女性の元にむかった。
(「あくまで夢じゃなく、世界を変えられるからこそ現実を見てるんだね」)
 先ほどの脱出劇の首謀者と、看破されてはいないようだ。
(「でもさ、世界を変えられるのはこっちも同じだよ?」)
 王は剣を抜き放つ。
「燃ゆる焦がす、この心には~♪ ただ彼方に想う、貴女だけさ~♪」
 女優のほうをむいて跪き、剣をさしだした。
「この剣を、勇気を、貴女に委ねよう。この命も、心身体も、全て預けてしまおう~♪」
「全てが一つになるのね~♪」
 愛の囁きに、薄絹の女性が応える。
「僕らは光、黒に浮かぶ星々さえもが眩む、未来の焔~♪」
 剣の柄をふたりで握って掲げた。
「「さあ共に行こう、夜明けの先へ~♪」」
 顔をあげると、淫魔が立ちあがって拍手をしているのが、横目にチラと見えた。
 観客の反応もいい。
 女優は一礼すると、下手の舞台袖に戻っていく。
 歩くたび、身体のラインがはっきりとした。
 同じ薄絹の衣装を纏った、茨原・なる(Thorn Heart・g03623)は、我が身を想って照れる。
「あははっ。やっぱりちょっと大胆かもー」
 愛を囁かれたり、口説かれたり。
 お芝居とはいえ悪い気はしないんだろうと、女優の後ろ姿を見送る。
「オペラかー。馴染みなかったけど、なるでも楽しめそうかなあ。えへへー」
 出番の合図で、ほいほいと、照明のあるところへ進んでいく。
「なるはみなし子、一人ぼっちの女の子~♪」
 歌声は、しっとりとしていた。
「いつも笑顔でいるけれど、ホントは寂しくて満たされたいの~♪」
 オーケストラも切なげな旋律を奏でる。
 本心のまじった歌だった。
 そこへ、金管楽器の高らかな響き。
 空砲がダン、ダンと鳴って、上手からなんと、無双馬が駆け込んできた。
「我は貴公子、空の、森の、あらゆる獲物を撃ち落とした~♪」
 愛馬レオンに跨ったまま、エトワール・ライトハウス(執行人・g00223)が歌う。
 この趣向は町民にもウケたようだ。
 舞台の端と端で境遇を語った、なるとエトワールは、やがて互いの存在に気が付く。
「独りの寒い夜から連れ出して~♪ 十二時の鐘で解けない魔法をかけて~♪」
「雲を超える鳥と、巨木を砕く獣と比べれば、貴女の体のなんと儚く非力な事か。私には、連れ去ることなど容易いこと。嗚呼、しかし~♪」
 一度は見つめ合ったふたりは、再びそっぽを向く。
「ガラスの靴を脱いで、シルクのシーツに包まりながら待つの~♪」
「貴女の心を奪うこと、ただそれだけが、私の言葉ではどうにもなしえない~♪」
 無双馬がアドリブで嘶いた。
 エトワールはそんなレオンを御すと床に降り、なるの前で膝をつく。
「どうかどうか、貴女の影を見つめる許しだけを、どうか~♪」
「そのテノールで囁く愛を、なるはずっと聞かせて欲しいの~♪」
 手をとりあった2人の影が、馬上にもどって重なり合う。
 ハッピーエンドに客は湧き、『町民特別賞』が贈られた。
 淫魔フルーティアの姿は、いつのまにかボックス席から消えていた。
(「歌で世界は変えられる。こんな風に、情熱的に、意のままに。アタシたちにも出来るってこと、これで説明つくよね?」)
 理星は、反響にくらべて入賞できず、頼人も同様だったが、それがかえって町民解放への手ごたえとなった。
 優勝した肉屋は、花売りの肉体について褒めちぎって評価されてた。
 オペラコンテストは幕を閉じ、その肉屋と花売り、そしてなるとエトワールにその友人としてのディアボロスたちは、城のパーティーに招かれる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

青龍院・桜
「コンテストは柄ではないから、私は淫魔との決戦に向かうわ」

式神の案内(【過去視の道案内】)に従って、今の淫魔の居場所へ向かい、強襲をかけるわね。
懐から符を取り出して陰陽術で先制攻撃よ!

「なに、この音色……!?」

淫魔の魔曲を聞いた瞬間、全身に耐え難い快楽が……!?
こ、この程度の誘惑に高貴な陰陽師である私が屈するわけには……

けれど、敵はアヴァタール級の淫魔。
簡単には誘惑に逆らえず危機に陥るけれど……

「時よ戻れ、そして我が身を癒やし給え」

【四方四季の庭】で時間を操り、自分の肉体の時間を戻して【活性治療】するわ。
よくもやってくれたわね。淫魔の時間を数百年進めて塵に還してあげるわ!

アドリブ・絡み歓迎


ミルフィ・ブランラヴィット
アドリブや連携等も歓迎

わたくしも
【過去視の道案内】を
使わせて頂き
フルーティア様との決戦に
向かいますわ

『オペラも…貴女様にとっては…単なる「手段」に過ぎない…という事ですかしら…?』

一般の方には
【避難勧告】

味方と連携も

『アームドクロックワークス』を展開
アームキャノンと
【ジャバウォックの爪牙】を手に【砲撃】【誘導弾】【弾幕】
【制圧射撃】や
【突撃】【斬撃】で攻撃

敵パラドクスは
こちらもパラドクス発動
サキュバスミストの風で
音を相殺や
相手の精神を侵蝕
演奏を阻止

攻撃は
【オーラ操作】【結界術】で
防御

『わたくしもサキュバスの端くれ…遊びをして頂いた時は…悪い気はしませんでしたわ…でも…貴女は倒させて頂きますわ』


茨原・なる
オペラの衣装ままにフルーティアの前へと。
えへへー、なるはね、舞台の上だけじゃ物足りないの。
もっといっぱい満たされたいよ。

淫蕩夜曲で快楽を注がれて、身悶えて失神しそうになるけれど
なるにとってはそれも自分を満たしてくれるもので。
でももっと、もっと――だから ねえ 食べられてくれる?

[忍耐力]で攻撃を耐えたなら
フルーティアへと伸ばした茨を絡ませて[捕縛]
【命中率アップ】を利用して[Px貪欲の茨]で攻撃
行動中止からの【ドレイン】を狙うよ。

なるの心のからっぽなとこ、いっぱい満たしてね。


天夜・理星
過去視の道案内に導かれた友人として話そう。
民たちの命を奪う欲望で未来が続くわけがない!
あなたはもう支配者じゃないよ。
仮初の愛に溺れただけの…♬

んじゃ、今日も復讐復讐…♪
連携避難の一切を味方に任せ自分は演説。
もしまともに夜曲が直撃しようが情熱で立て直す。いい歌だね…!
終幻はとどめ狙い。味方の連携で弱ったところを誘惑で惹きつけて…バン♫

情熱的な時間を、心地良い歌を望む人がいる。
そして…空な心を満たす色を渇望する人だって、ね?

世界を意のままにしようと思うなら!
願いを叶え、その未来に命に寄り添うのが王!
ハッピーエンドはそうやって創るんだよ☆

せめて最後くらいは、扇情的なカーテンコールになるといいね?


陣・頼人
好機は今。
ここできっちり、町のみんなをおかしくした騒動の幕を下ろす。

まず残留効果の【避難勧告】でパーティー会場にいる他の一般人を逃がし、戦いに巻き込まない様にする。
そして手近なテーブルを片っ端から蹴り上げてその一つに身を隠し、自分の動きを悟られないようにしながらテーブルの陰から様子を伺う。
彼女が淫蕩夜曲を使おうとしたら【投擲】でフルート目がけて皿を投げつけて妨害し、その僅かな隙に【一刀両断】でテーブルを叩き切ると同時に【突撃】で奇襲を仕掛ける形で【デストロイスマッシュ】を叩き込む。
「お楽しみの時間は、もう終わりだよ!」


エトワール・ライトハウス
肉屋と花売り、お前たちもまた強敵《とも》であった……。
……アイツらこの場に居んじゃねぇか! あって良かった【避難勧告】!

さて、見た目が美女だろうと容赦はせん!
貴様の放蕩も今日が最後だフルーティアァァァあふん。
フルートの音色で気絶させるってズルじゃない?
……諦めるか、躱すの。

使うパラドクスはバヨネットパレード。銃撃で相手の逃走を牽制しつつ接近。
どんなに恐ろしい戦場だろうと、進軍し敵を討つのが戦列歩兵の戦いだ。淫魔の魔曲は厄介だが、今更自分の精神ひとつに翻弄されてどうするよ。
近づけたなら【神速反応】の効果を使い、ナイフを抜き放つ。
幕切れはあっけないもんだ。その胸にナイフを突き立てて閉幕だ。


錢鋳・虎児
「ぃよっしょっしゃーーーーー!!!」
突然天窓を派手に割りながら、悪魔の羽根を広げて落ちてくる少年。
もう殴っていいよ、と言われたので殴りにきたようです。
この6歳児に難しい事を考える頭は有りません。
この会場に辿り着くのも、大層迷ったくらいです。
ですが、辿り着ければ此方のもの。
手にした巨大な棺桶を、問答無用でフルーティアにぶつけようとします。
「クロノなんとかは!ぜーいん俺がブッとばして!!
トーちゃんを返して貰うんだーーーー!!!」
フルートの魔曲もなんのその。ただその技を当てる為に。
「ぶっとべぇぇぇぇぇーーーー!!!」
爆鎚棺撃(コフィン・ハンマー)。
その一撃は、果たして。


 オーケストラの奏でる厳かな調べが、大広間のパーティー会場に満ちていた。
「フルーティア様におかれましては、ご機嫌麗しゅう……」
「ふ、ふる、フルーティア様、はじ、はじめまして」
「まあ、オペラコンテストの優勝者ペアに、お近くでお会いできて光栄ですわ」
 主催者の淫魔が挨拶にまわっている。
 やがて執事に案内され、丸テーブルにかたまっていた、7人の男女と面会した。
「こちらが、町民特別賞を獲得されました、エトワール・ライトハウス(執行人・g00223)様と、茨原・なる(Thorn Heart・g03623)様でございます。それと、お付きの方々……」
 一礼した受賞コンビに声を掛けようとして、フルーティアの口元が歪んだ。
「そこにいるのは……占い師の桜! それに……!」
 青龍院・桜(元陰陽師の占い師・g03997)が、懐から符を取り出している。そのとなり、テーブルに寄りかかる姿勢は、バルコニーで会った時と同じ、天夜・理星(復讐の王・g02264)。
 位の高い人物と称して近づいてきたサキュバス、ミルフィ・ブランラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・g01705)が、今また不遜な態度をとる。
「オペラも……貴女様にとっては……単なる『手段』に過ぎない……という事ですかしら……?」
「え? オペラ? コンテストにあなたたちも紛れ込んでいて? ……逃げ出したのではなく?」
 淫魔が動揺している隙に、陣・頼人(武装騎士ヴィクトレオン・g00838)は場を離れて、別のテーブルを蹴りあげた。
 ひっくり返された料理と、銀器がたてる音よりもけたたましく、避難勧告のサイレンが鳴り響く。
 オーケストラは演奏をやめ、赤く明滅する大広間にいた一般人は、出口を求めてざわめきだす。
「私のパーティーが滅茶苦茶に……」
「ぃよっしょっしゃーーーーー!!!」
 奇声とともに悪魔の羽根を広げて、錢鋳・虎児(無敵の御ガキ様・g00226)が、主催者に殴りかかる。
 その様を、コンテスト助演女優賞は指さした。
「坊や? 坊やじゃないの?」
「うわあ、どうなってんだ、これは?!」
 優勝者のマスクの紳士の、実は肉屋が、あたふたしているところへ、無双馬『レオン』が乗りつける。
「肉屋と花売り、お前たちもまた強敵(とも)であった……。さあ、城門はあちらだ、逃げたまえよ」
「あんたは、町で出会った色男の……!」
「特別賞さん、ありがとうございます!」
 エトワールが指示すれば、優勝ペアだけでなく、来場者はみなそれに従う。
 オペラの雰囲気のままなのは、なるも同様で、フルーティアの前から離れなかった。
「えへへー、なるはね、舞台の上だけじゃ物足りないの。もっといっぱい満たされたいよ」
「でしたら、私の奏でる調べをお聴きになって」
 淫魔フルーティアは、ようやく態勢を立て直すと、フルートに唇をあてた。
 淫蕩夜曲が、対峙した者の意識に入り込む。
 小さく呻くと、なるは自らの襟を掴んだ。薄絹のすぐ下の胸には、快楽が満たされていく。
 けれども、いっぱいにするなら、なんでもいい。
「もっと、もっと――だから、ねえ、食べられてくれる?」
 快楽に代わり、衣装を突き破って出てきたのは、『貪欲の茨(グリード・イーター)』。
 イバラの戒めが、フルーティアの身体を捕縛する。
 しかし、淫蕩な指遣いだけは阻止できなかった。響きが、そばにいた桜の身体も揺さぶりだす。
「なに、この音色……!?」
 耐え難い快楽に、全身は火照り、桜は着物のたもとを開いてしまう。
「こ、この程度の誘惑に、高貴な陰陽師である私が屈するわけには……」
 のぞいている素肌を隠すように、前屈みになった。
 収めていた陰陽符が、大理石の床にバラバラとこぼれる。
「と、時よ……我が身を……」
 散らばった符の一部が、正しい配置になっている。『四方四季の庭』が発動し、冬の景色がほてりを抑えた。
「よ、よくもやってくれたわね」
 卒倒しそうなところを踏みとどまり、桜は身を起こした。
 着物から膨らみまでこぼれてくる。
「淫魔の時間を数百年進めて塵に還してあげるわ!」
「桜様、お召し物が乱れてますの」
 ミルフィが支えにくる。
 拾った札を、そっとあてがうと、なぜだか「くすっ」と笑みがこぼれた。
「今度はわたくしが隠す番になりましたわ」
 気付けばこの2人は、また抱き合うかたちになっている。ミルフィはそれを笑ったのだ。
「わたくしもサキュバスの端くれ……遊びをして頂いた時は……悪い気はしませんでしたわ」
 桜といっしょに、淫魔を見据える。
「……でも……貴女は倒させて頂きますわ」
 ピンクの髪がなびき、同じ色の風が立った。
 音は空気の流れ、風で相殺される。
「はああうっ!」
 フルーティアの唇が、楽器から離れた。『サキュバスミスト』の魅了が、淫魔を逆に浸蝕しはじめた。
「ああ、私のところにいらして……。愛の言葉を聞かせて……」
 僅かにあしらわれた布を引っ張れば、ドレスは苦も無く脱げ落ちる。
 並みの男なら、ためらう場面だ。
「ひっさぁぁぁーーーーっつ!!!」
 6歳児には、大人の都合を考える頭はない。
 棺桶型のランチャーを振り回した虎児が、遠慮なく突っ込んでくる。
「クロノなんとかは! ぜーいん俺がブッとばして!! トーちゃんを返して貰うんだーーーー!!!」
 アヴァタール級の虚ろな瞳に、『爆鎚棺撃(コフィン・ハンマー)』の殴打が叩きつけられた。
 のみならず、よろめく裸身に、マジックミサイルの乱射が撃ち込まれる。
「ぶっとべぇぇぇぇぇーーーー!!!」
「あうううっ」
 爆発で、色白だった肌が、黒いススに汚れる。
 ぺたんと尻もちをついたフルーティアだったが、何もかも無くしてもフルートだけは手放さない。
 横倒しになったテーブルのひとつに背を預け、再び独奏会をはじめようとした。
 その傍ら、最初に頼人が倒したテーブルが、一刀両断にされる。
「お楽しみの時間は、もう終わりだよ!」
 当の頼人が、竜骸剣で奇襲を仕掛けてくる。
 混乱に乗じて、遮蔽をとっていたのだ。
(「好機は今。ここできっちり、町のみんなをおかしくした騒動の幕を下ろす」)
 想いが念動力となる。
 ドラゴンから造られた魔剣に宿った。
「デストロイスマッシュ!!」
 淫魔の翼が力なく、柱にめり込むのが見えた。
 石材が崩れ、瓦礫の中、振れる尻尾にあたりがつく。
 エトワールがとどめを刺しに行く。
「見た目が美女だろうと容赦はせん!」
 銃撃で牽制し、敵の逃げ道を塞ぐ。
「貴様の放蕩も今日が最後だフルーティアァァァあふん♪」
 埋もれた中からも、フルートの音色がもれてきた。
「ま、まだこんな攻撃ができるのか。聴かせるだけで気絶させるってズルじゃない?!」
 人間の戦列歩兵は、かわすのを諦めた。
 進軍する。
 どんなに恐ろしい戦場だろうと、そうして敵を討っていたのだ。
「淫魔の魔曲は厄介だが、今更自分の精神ひとつに翻弄されてどうするよ」
 『バヨネットパレード』によって白兵戦の距離まで詰める。
 仰向けになった淫魔の胸に、ナイフを突き立てようとして。
「幕切れはあっけないもんだ。さぁ……あふん♪」
 膝がガクガクする。
 その半身に、フルーティアはすがりついてきた。
「き、貴公子さま。私に、愛の言葉を……」
 抵抗しようにも、エトワールの意識も危ういところ。
 理星が、女を背中から抱いて、やさしく引き剥がした。
「あなたはもう支配者じゃないよ。仮初の愛に溺れただけの……♪」
 淫魔の手がだらりと垂れ下がり、フルートがカランと甲高い音を立てて落ちる。
 ディアボロスの面々も、互いに肩を貸し合いながら並びにくる。
 まるで、カーテンコールだ。
「情熱的な時間を、心地良い歌を望む人がいる。そして、空な心を満たす色を渇望する人だって、ね?」
 なるが、頷いた。理星のセリフは続く。
「世界を意のままにしようと思うなら! 願いを叶え、その未来に、命に寄り添うのが王! 今こそ宿せ、『終幻(レネゲイド)』の力!」
 向き直らせたフルーティアに、最大出力の右ストレートが飛んだ。
 時間時空世界法則を書き換え直すかのように。
 美しきクロノヴェーダは、ここに滅んだ。
 町は解放されるはずなのだが、アンコールの時間はない。
 新宿島行きのパラドクストレインへと、ディアボロスたちは急いで城を後にした。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】がLV3になった!
【現の夢】LV1が発生!
【建造物分解】LV2が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!

最終結果:成功

完成日2021年08月24日