リプレイ
ヴィオレット・ノール
……オアシスには、絶対に近付けさせてはいけない。
この集団は邪悪が過ぎる。万が一も与えてはいけない。
必ず、ここで殺そう。皆殺しにしなければ。
トロルさえ釣り出せれば問題ないとは言え……挑発されたことすら忘れるだと。
絶えず罵詈雑言を浴びせかけるか、飛びつきたくなるものを用意するかだが。
……今ほど男の身を悔いたことはないかも知れない。
いや、いっそ女装でもすれば良いのか。
ふふ、ナディア嬢は頼もしいね?
身体の線を誤魔化せるような衣装を着て、紅を差して、甘ったるい香水を吹き掛けて。
それでとびきりの裏声で情を請うてやろう。
『身体が疼いて疼いて仕方がないのです』
『どうかこの哀れな人間に種を呉れは致しませぬか』
ジズ・ユルドゥルム
平和なままでいて欲しい、か。
…そうだな。何も起きない平穏な日々を、必ず守ろう。
そのための手段など選んでいられない。急がなければ。(すぅ〜っ、息を吸う)
亜人ども!!ここに雌の胎があるぞ!!
使いたければ獲りに来い!!
亜人の興味の優先度を鑑みた身も蓋も無い誘い文句だが、これで敵を引き付けたい。
挑発されたことも忘れるとなれば、あまり離れては何を追っていたか忘れかねないな。
あと数歩でトロールの間合いに入る距離を保ち、のろまとか愚図とか絶え間なく罵りつつ、徐々にオアシスから離す。
十分なトロールを誘い出し、タロスがそれに続くのを確認するまで誘引を続ける。
仲間の行動次第では、背後から囲む役割に回ろう。
ナディア・ベズヴィルド
凄惨な予知
国は違えどオアシスの民として、絶対にこのような悲劇は起こさせはしない
何はともあれ奴らの気をオアシスから反らさねば…
そこのヴィオレットさんはやる気に溢れていますね…
ふわりとした衣装をお貸ししましょう、紅もお貸ししますね
(ついでに髪も結い上げちゃおうとお手伝いをして)
業腹だがこれも人々を助けるために必要な事…っ
纏うストールを風に靡かせ、装飾品をしゃらりと鳴らし踊り子の衣装を纏う体を晒そう
ジズさんの声で奴らの目が此方に向けば、艶美な笑み浮かべ誘う様に手招きを
奴らの足が此方に向き始めたらつかず離れずの距離を保ちながら
オアシスから引き離していくわ
嗚呼、早くぶち殺してやりたい
●けだものさえ目を背ける
繁殖は生物の本能だ。虫も動物も植物も微生物も、もちろん人間だって変わらない。そこに善悪はない。善悪以前の話だからだ。
だが亜人は違う。
見るがいい。砂を波濤のように散らし、大地は我らのものとばかりに傲慢に歩くあの図体を。
生きるための競争ではなく、己の遊び場で暇を潰す子供のような、曇りなく邪悪なあの嗤笑を。
奴らは奪うために生きている。これから、その「当然」がかけがえのない平和を蹂躙する――はず、だった。
「――亜人ども!!」
灼熱と極寒の繰り返しで、汚穢を漂白された砂漠に大音声が響いた。
凛とした声だ。屹立する声の主の姿はそれ以上に堂々としていて、トロルに比べて少なくとも半分ほどの背丈しかないはずなのに、ずっと雄々しく立派に見える。
「ここに、雌の胎があるぞ!! 使いたければ獲りに来い!!」
ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は自らの臍下を親指で示した。あまりにも無体で、身も蓋もない。脳味噌がちっぽけな鳥でも、もう少し合理的な誘い方をするというもの。
しかしその直截さが、逆に――というのも亜人どもを過大評価しすぎだが――奴らに効いた。
「女だ」
「女がいるぞ」
「"頑丈"そうな胎だ」
ジズは顔を顰めた。遠くからでも見て解るほど、奴らの笑みはおぞましかった。手足があり頭があり、地面に向かって直立しているという意味では人型めいてはいる。だがあの怖気が走りそうな下劣な貌は、同じ人型とすら思いたくない。
俗物と謗ることさえ憚られる。あれは、存在そのものが生物に対する侮辱だ。
何体かのうすのろが、灯りに引き寄せられる蛾のように足を彷徨わせた。だが別の間抜けが余計なことを言った。
「あんな雌一匹より、あっちの方が沢山いるぞ」
こういう時にだけ血の巡りが良くなるのか、はたまた図体ゆえに知恵が回りかね、目の前にぶら下げられた餌の味すら想像出来ないのか。
いずれにせよ、足を動かしかねた奴らが「それもそうだ」と莫迦な顔をして頷き、まっすぐ踏み出そうとした。
「あら、残念――」
そこでナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)とヴィオレット・ノール(北の菫・g09347)が揺さぶりをかけた。
ジズの後ろにしゃなりと姿を現し、いかにも愚物どもが好みそうな格好で目元を綻ばせる。ゆらりと陽炎めいて身をくねらせる様はしどけなく、気味の悪いぐらいに奴らを惹きつけた。
「どうかそう言わずに、お相手してくださいまし」
紅を差したヴィオレットが、女のものとしか思えぬ声で言った。白磁の指が、巧妙に男の体格を誤魔化した身体をなぞる。
「身体が疼いて疼いて仕方ないのです。どうかこの哀れな人間めに、お慈悲をくださりませぬか」
トロルは痴愚である。その物言いは奴らの耳朶を通すと、口に表すも憚られる下劣な文句に変わるが、とにかく意味は通じた。
「さあ、こちらです。私たちがお相手いたしますわ」
ナディアのほっそりとした指が、蠱惑的に波打った。一度は身の丈に合わない賢しらさを見せた莫迦どもも、あっさり乗せられ身体の向きを変え、のそのそとついてくる。
(「塵芥どもが」)
ヴィオレットは奴らに表情を気取られぬよう、ヴェールを目深に被って吐き捨てた。
演技の仮面が剥がれかかったのはよくない。だがそれを隠して吐き捨てたのは、我ながら上出来と言える。
(「あいつらは、邪悪すぎる。万が一だって与えたくない。惹きつけるためとはいえ、こうやって期待させることすら虫唾が走るよ」)
(「もう少しの辛抱です、ヴィオレットさん」)
ナディアが唇の動きで同意した。金色の瞳には――愚昧な奴らには悟れぬ程度の、しかし仲間ならばはっきり解るほどの――怒りと殺意がぎらぎらと漲っている。
嗚呼、早くぶち殺してやりたい。
こんな、けだものさえ目を背けるだろう醜悪な化け物がこの平和な地を穢すことが、あまりにも我慢ならない。
砂漠は極限の環境だ。死は思っている以上に身近で、けれども極限であるがゆえに腐敗も汚濁もともに洗い流す。だからこそ、砂漠の地において死は忌避されなくなったのだ。
国は違えど、この地はナディアの故郷とよく似ている。伝え聞いた悲劇を、決して許すつもりはなかった。
「そうだな。さっさと叩き潰してやりたい気分だ」
じりじりと退きつつ、ジズは二人に声に出して同意した。
「奴らをいい気分にさせてばかりだと、反吐が出るな。少しストレス解消しておくか」
二人は訝しげに眉根を寄せた――直後、ジズは思いっきり息を吸って叫んだ。
「さっさと来いのろまども、愚図愚図していると逃げてしまうぞ!!」
(「え」)
(「ちょ」)
せっかく惹きつけたのに! と、思わず声を漏らしたヴィオレットとナディアだが。
「女が、吠えたなぁ!!」
トロルどもは面白いように引っかかった。どすどすと足並みが勢いを増す。まるでバッファローの群れのように土煙を上げて迫ってくる。
「嘘でしょう……あいつら、色仕掛けされたことを忘れたの?」
「忘れたんだろう。その程度の脳味噌しかないんだ」
ジズは唖然とするナディアにからっと言った。あまりにも愚昧すぎて、一瞬ふたりから肩の力が抜けてしまった。
「所詮はそういう奴らだ。気負わず片付けようじゃないか」
「……ああ、そうだね。皆殺しにしなければ」
言葉は相変わらず剣呑だが、ヴィオレットの険は(仲間に対してのみ)僅かに和らいだ。リラックス出来たのだ。
「ナディア嬢のこの衣装、頼りにさせてもらうよ」
「ええ、ですから大事にして戦ってくださいね? ヴィオレットさん」
ナディアはにこりと穏やかに微笑み返した。
この怒りも義務感も、殺意も決して間違っていない。奴らに対して容赦をする必要など欠片もない。そこは変わらない。
ただ、同じ思いの仲間がそばにいるという事実は、彼らにとって幾許かの救いになった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【傀儡】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
クィト・メリトモナカアイス
【温熱適応】使用
ここはエジプトではないけれど。
汝らオアシスを荒らし民を害す者。
汝らの名は語られず、刻まれず。荒野にて朽ち果てるべし。
……しまった。こいつらアホなので通じてない。
んむ。我は優しいのでアホな汝らにも分かるように伝えてあげよう。
我、汝、倒す。……これなら通じるかな?
これでも通じぬかもしれぬ。頭の中に何も入っていそうにないし……
そんな感じで挑発してこっちに引き付ける。
んおぉ、アホが怒った!
んむむ、我は親切にしてあげたのに……なんて恩知らずな奴ら。信じられぬ。
その気になれば普通に引き離して逃げられるけれど。
オアシスに向かわせるわけにはいかぬ。絶対に。
つかず離れずで引き離して囲んでもらう。
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
全く、とんでもない事するわねこの亜人達!
ロボットみたいなのもいるのがちょっと驚きだけども、今はそんな事言ってる場合じゃないわ!
まずは亜人達を惹きつけないと!
アイドルは注目を集めるのが仕事!任せておいて!
出来れば仲間の【パラドクス通信】も使って、仲間が捌けていない亜人に対応するわね!
それじゃ【飛翔】で飛び上がって、空中からレゾネイト(杖兼マイク)で亜人達に話しかけるわ!
遠くのオアシスよりも、会いに行って握手できるアイドルのほうが良いと思わない?
距離は近からず遠からずの距離を保ち続け、亜人の頭でも分かるように身振りも大きくしてみようかしら!
冰室・冷桜
予知とはいえ、聞いてて気分いいもんじゃーわね
とはいえ、聞いたもんを忘れてなんてのも更に気分悪いし
私でもできることをやらせてもらいますか
……ここまで頭がアレだと一周回って兵隊としては優秀じゃない?
褒めるのはアレだけどさ
とりあえず挑発すること自体は難しくなさそうですし、トロルたちの足元に石投げたり、大きな物音でも立ててまずはこっち気付いてもらいましょ
女てーのが一目で分かるように姿は隠さず、ちょい肌も多めに晒す感じで
奴さんらがこっちに気付いたら大きく悲鳴をあげましょ
きゃー亜人よー!みたいな
こっちに進路を変えたら追いつかれない程度の距離を保ちつつ、興味を失われないように悲鳴を合間に上げて誘導するわ
●
最初に"それ"を目撃した村民は、いつもの蜃気楼か何かと考えた……だがすぐに思い直した。
「そんなわけないかあ」
蜃気楼では、ない。なにせ"それ"は――至極あっさりと、彼らの視界から消え失せてしまったからである。
「何かあったのか?」
「ん? ああ、いや何も」
蜃気楼はもう少し時間をかけて消えていく。きっと陽炎でも垣間見えたのだろう。男はそう思うことにした。
……と、まあこの通り、ありえた未来は阻止された。
では何が亜人どもを引き寄せたかというと、まず初めに奴らの悪意ある本能を刺激する女たちの色仕掛けだ。
血の巡りの悪い莫迦どもの大半はそれで引っかかったが、無駄に図体も数も多い連中は「あっちのほうが食い物だってあるし男を殺せるから楽しそうだ」とかいう、亜人らしいふざけた理由で女を無視する奴らもいた。
「まったく、とんでもないことしでかそうとしてるわね! けどそこまでよ!」
そういう連中を遮ったのが、まずソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)である。
空に【飛翔】して、わざと姿を曝す。敵の注意を惹きつけるのにこれほど分かりやすく効果的なやり方はあるまい。
「なんだぁ」
「遠くのオアシスよりも、会いに行って握手できるアイドルのほうがいいと思わない? 握手も出来ちゃうかもよ!」
「「「……」」」
トロルは顔を見合わせた。
「それってうめえのか?」
「意味わかんねえ」
対応は塩を通り越して岩塩だった。方法はともかく、肝心の文句についてはカルチャーが少々足りなかったらしい。
「アホな奴らには、歌とか芸能とかわからぬ」
ちっちっ、と何故か訳知り顔で語るクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)。任せておけとばかりに一歩前に出た。
「挑発するなら、こうやる」
おほんと咳払いし、小柄ながらに堂々と胸を張り言い放った。
「ここは故郷(エジプト)ではないけれど、我は立ちはだかろう。
汝ら、オアシスを荒らし民を害す者――汝らの名は語られず、刻まれず、荒野にて朽ち果てるべし」
すっ、と細い指がトロルに突きつけられた。異郷の地にあっても、砂漠に生きる者はひとしく守護すべき民である。
ナイルのように雄大なクィトの決意と覚悟が、亜人どもを痛烈に挑発する!
「何言ってんだぁ?」
「それってうめえのか?」
「意味わかんねえ」
はず、っていうか実際バチバチにキマってんだけども、やっぱり通じてなかった。馬の耳に念仏ならぬ、亜人の耳に挑発……!
「って聞いてないじゃないのよ!?」
「しまった。こいつらアホなので通じてない」
ソラのツッコミに、クィトはたらっと汗をかいた。表情は変わらないけども。
「挑発すること自体は難しくなさそうなのに……なんか、逆に難易度上げてない? セルフで」
状況を静観していた冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)(いつもよりちょい露出度高め)も、思わず呆れ気味に口を挟んでしまうほどである。
「やっぱり、一周回って兵隊としては優秀なのかも……褒めるのはアレだけどさ」
「ロボットみたいなのに率いられてるから、頭も単純ってコトなの!?」
ソラは大げさなぐらいオーバーなリアクションで驚いた。
「……アホ、だとぉ?」
「頭が単純だとぉ~!?」
ビキビキッ! と、どこかの不良漫画みたいな勢いで青筋を立てるトロル兵! まさかの(ある意味納得だが)反応だ!
「んむ。我は優しいので、アホな汝らにもわかるように伝えてあげよう」
クィトは相変わらずのんびりした顔でこくんと頷いた。
「我、汝、倒す。……これなら通じるかな?」
「いやいや、いくらなんでも……え、マジ? これも通じてないの?」
これみよがしにツッコミを入れる冷桜。なにやら黙りこくっているトロルどもに、ぺいっと石を投げつける。こつんと鋼じみた筋肉に小石が跳ねた。
「んむぅ、これでも通じぬかもしれぬ、頭の中に何も入っていそうにないし……」
クィトの眉にシワが寄った。滅多にない表情だ。深刻そのもの……!
「「「ぶぶぶブッ殺してやらぁあああ!!」」」
「ひゃあああっ!? めちゃくちゃ聞いてるわよこれ!!」
途端にブチブチこめかみから血ぃ噴き出しながら襲いかかってくるトロル兵! ソラは慌てて距離を取った!
「んおぉ、アホが怒った! 何故だ、我は親切にしてあげたのに……」
「えっ、待ってあれってそういう方向でバカにして挑発する作戦じゃなかったの!?」
あまりにもクィトが真顔で言うものだから、冷桜はちょっと不安になった。そのつもりで一枚乗っかっただけに。
「とにかく、反応したからにはできるだけ惹きつけましょう! 他の皆が挑発した奴らとひとまとめにして、挟み撃ちよ!」
「恩知らずな奴ら。信じられぬ」
「私はこの状況のほうが信じられないんだけど」
ああもう、と気を取り直す冷桜。すっと息を吸い、叫んだ!
「きゃー亜人よー! アホで恩知らずの亜人どもよー! 助けてー!」
「「「このアマあぁあああ!!」」
効果覿面だ。こうしてトロル兵は、もはやオアシスのことなど頭から抜け落ちて、二手に分かれたディアボロスどもにまんまと誘い出された……!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【温熱適応】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
「女、女、女ぁあああ!!」
「アホじゃねぇ! ブッ殺してやらぁ!!」
大群はすっかりオアシスのことなど頭から抜け落ちて、あるものは怒り狂いあるものは涎を垂らしてディアボロスを追う。
挑発と誘導が成功したことで、ディアボロスは奴らを挟撃し包囲した。もはやトロル兵がオアシスを襲うこともないだろう。
そして大群が移動したため、一応の指揮官というべき鉄巨人『タロス』もまた、戦場に猛接近している。
奴の高熱能力は、大群と同時に相手取るには分が悪い。速攻戦術でトロル兵を蹴散らし迎え撃つか、あるいは大群を倒すまでの間誰かが足止めを引き受けるか……いずれにせよ、仲間との連携なくして殲滅は難しい状況だ!
クィト・メリトモナカアイス
いや汝らはアホだと思う。
こんなところまでノコノコと着いて来るし。
んむ、こっちのお話。
汝らが理解していようといなかろうと。
汝らの身はここで朽ち、その魂もここで滅ぶべし。
汝ら略奪者、民の記憶に残ることもなし。
「北より至れ月冠す火」で黄金猫拳打棒に着火。
トロルが放り投げてくる岩とか土塊とかその辺のものをぴょんぴょんと荒野を駆けて回避しながら接近。
近づいたら真っ赤に燃える肉球で顔面を思いっきりぶん殴る。
顔の脂肪?的なもので受け止められても炎の肉球で脂肪ごと焼く。
もう我の知るエジプトはないけれど。
我は民の守護者。
それが変わることはない。
エイレーネ・エピケフィシア
遅ればせながらわたしも加勢いたします
おお、誘導は既に完了していると……皆様、流石です
ではここで雑兵を悉く討ち滅ぼすとしましょう
タロスとの戦に邪魔を入れさせないため──そして、人々を護るために!
≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に参戦
仲間と息を合わせ、包囲を防ぐべく背後をフォローしながら戦います
【トラップ生成】により周囲に落とし穴やトラバサミを展開
敵の足並みを乱した上で、『飛天旋舞斬』を放って斬り込みます
槍を振るって斬撃で首を刎ね、或いは刺突で心臓を突き
すれ違いざまに敵を蹂躙してゆきます
跳ねる土塊からは低空【飛翔】で距離を取り、避けきれない分は盾で防御
怪物どもよ、タルタロスの深淵へと墜ちなさい!
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
……まあ亜人達はオアシスから離れたし結果オーライってことで!
さて、この位離れたらもう良いかしら!
まんまと誘導された「ド」アホのトロル達!
倒されるのはアナタ達の方よ!
(四肢と翼が赤く染まるネメシス形態発動!)
引き続き【飛翔】して上から攻撃していくわ!
レゾネイトで挑発しつつ、味方が攻撃しやすいように視線を誘導するの!
目立って集中攻撃されるなんて想定内!
敵が飛ばしてくる地面は飛翔の速度で回避か、魔力障壁でガードして致命傷は避けるわ!
味方の攻撃に注意が行ったら、アタシもレゾネイトを剣形態のレゾネイト・エッジに変えて【鮮麗と天翔の輝光線刃!】!
アイドルのライブは見逃し厳禁よ!
●侵略者を討て
「……さて、このくらい離れたらもういいかしらね!」
はるか彼方のオアシスを一瞥し、ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)は安全を確信する。少なくともトロル兵団に関しては、誘導完了したといっていいだろう。
「何をわけのわからねえこと言ってやがるアマぁああ!!」
一方、挑発に怒り狂ったトロル兵は涎を撒き散らし、悪鬼の如き形相で迫っていた。
「あら、まんまとひっかかった「ド」アホのトロルにはわからなかったかしらね!」
「てってめえ!! おでたちはアホじゃねえ!!」
「いや、汝らはアホだと思う。こんなところまでノコノコとついてくるし」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が、すかさず辛辣なツッコミを入れた。
「んだとぉ!? てめえもわけのわかんねえことほざきやがって!」
「んむ、まあこっちのお話。汝らが理解していようと、いなかろうと――」
再び少女の指が、迫りくる悪鬼の群れを示した。
「汝らの身はここで朽ち、その魂もここで滅ぶべし。汝ら略奪者――民の記憶に残ることも、なし」
「斃されるのはアナタたちのほう、ってことよ!」
然り。オアシスの民は、こいつらが攻め込んできていたことさえ知らぬままにこの戦いは終わるのだ。
ディアボロスが邑を守ってくれたことすら――だがそれをよしとするからこそ、クィトたちは命を張ろうとしている。
「ごろじでやる、ごろじでやるぁあああ!!」
ぶうん! と丸太を振り回し砂嵐を起こすトロル兵。テクニックもクソもない、泣きじゃくる子供のようなやけっぱちの攻撃だ。しかしその巨体と怪力にものを言わせた攻撃は、近づくだけでミンチになること必至!
「遅ればせながら駆けつけてみれば、やはり亜人は醜いものですね……」
救援機動力で素早く敵の背後を挟撃したエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、見るもおぞましい悪鬼ぶりに顔を顰めた。
「その醜悪な振る舞いを、この地の平和な集落に住む方々に見せるわけには参りません。神々に代わり討ち滅ぼします!」
「ウェアキャット風情がごちゃごちゃやかましいぞぉ!!」
高く振り上げられた棍棒が、恐ろしい速度で振り降ろされる! エイレーネは地を蹴り、這うほどの低空飛翔でこれを回避! 背後で棍棒が地面に衝突すると、猛烈な砂の柱が立ち上るほどの衝撃が大地に炸裂した!
「やっぱり、直撃は避けないとヤバいわね……!」
敵の膂力の危険性を改めて感じ取ったソラ。これは紛れもなく生命の危機だ。決して油断していい敵ではない。
気を引き締めた彼女の精神に呼応し、肉体が応報の形態を顕現させる。四肢と翼は赤く脈打つように染まり、風をどよもすほどのデーモンの魔力がソラの身体から溢れ出した!
「あんなにぶんぶんされてると、ちょっとだけ近づきづらい」
「ならアタシの出番ね! アイドルたるもの、注目されるのは慣れっこだもの!」
ソラはエイレーネと入れ替わるように、敵に向かって一気に近づいた。トロル兵はまんまとひっかかり、素早く飛翔するソラを捉えようと手当たり次第に棍棒を振り回す。
「うおおおお!!」
「ほらほら、アタシはここよ! このアイドルオーラに目がくらんじゃって、当たらないのかしら!?」
ソラはまるでステージの上で歌い踊るような動きで巧みに攻撃を躱し続けた。棍棒が何度も地面を打ち据え、そのたびに砂の柱が激しく飛沫を巻き上げる。
クィトとエイレーネは、その間に敵の死角に回り込んでいた。ソラが注意を惹きつけてくれたおかげで、もともとがら空きな敵の守りは隙だらけだ。
「……参ります!」
「んむ。囲んでぼこすのは……こっち」
ずん!! と、敵が棍棒を振り下ろした瞬間、エイレーネとクィトはお互いを目指して跳んだ。二人がすれ違うのは、ちょうどトロル兵の頭部が存在する位置だ。
「今日の黄金猫拳打棒は真っ赤に燃えている」
「ぐぶぇっ!?」
スパーン! 高熱で赤く発光するクィトの『黄金猫拳打棒』が、トロル兵の鼻っ柱を叩きのめした。プロボクサーの痛烈なアッパーカットをもらったかのように、トロル兵はがくんと上を向かされる。
「怪物どもよ、タルタロスの深淵へと堕ちなさい!」
そこに、エイレーネの長槍が滑り込んだ。どれだけ分厚い脂肪があろうと、一点に狙いを絞って槍を振るえば……!
「げえっ!? く、首が吹っ飛んでやがるぅ!?」
仲間が一瞬にして首なし死体に変わったことに、狂乱していたトロル兵も恐怖した。追い回していたソラに、隙を晒していることも頭から抜ける始末。
「アタシのことを忘れるなんて、アイドルファンの風上にも置けないわね。アイドルのライブは見逃し厳禁よ!!」
ジャキン! と、拡声杖『レゾネイト』が剣の形態に変形した。回避から攻撃に転じ、一気にスピードを乗せて飛翔! トロルの巨体を超えるほどの長大な光の刃が、冴え渡る横薙ぎの一文字を描く!
「「「ぎゃあああ!!」」」
地平線の彼方までぶった斬れそうなほどの見事な斬撃は、トロルの肉の鎧でも防げない。胸下あたりをスパッと斬られたトロル兵は、そのまま上下に両断されずずんと砂の中に倒れ伏した。
「なっ!? こ、こいつら強えぞぉ!?」
「いまさら気付いたか。やっぱり汝らは取り返しのつかないアホ」
ぴょんぴょんと敵の残骸を足場に高所を取ったクィトが、混乱するトロル兵の脳天をズゴンッ!! とおもいっきり叩きのめす。トロルの頭部が2/3ほど肩にめり込み、目と鼻から血を噴き出して死んだ。
「もう我の知るエジプトはないけれど――我は民の守護者。それが変わることは、ない」
びゅう、と懐かしさを感じさせる砂塵が吹いた。それはクィトが愛した故郷そのものの風ではない――けれども、風の中にはいのちの香りがある。砂の世界に生きる民のにおいだ。
「もとより、わたし達の狙いはあなた達ではありません。疾く滅び、消え去るのです!」
エイレーネの長槍が、神に代わって心臓を射抜き邪悪を裁く。またひとつ断末魔が木霊して、愚かな怪物は砂漠に屍を曝すのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
デカブツの目を引きつけつつ弱点の場所を探っていこう
俺がどうにかなる前にこっちに来てくれるって信じるぞ
【行動】
タロスの足止めと弱点見極めのために相対
温熱対策にゴーグルと濡らした布で目と口を保護
温熱適応も使っておくがどちらにしろ気休めにかならないだろうがやらないよりはマシだろう
盾のフェイク・プリドゥエンをジェットボード形態に変えてタロスの近くを動き回りつつ
あらかじめパラドクスを使って作っておいたダツを起動
統率で操りながら全身くまなく攻撃する
熱のせいでいつまで持つからスピード勝負だ
敵からの攻撃が来たら電光警棒でいなしたり忍耐力で耐える
倒そうとは思わずにキツくなったら離れる
●赤熱の巨人
トロル兵団との対決が始まった頃、迫りくる鉄巨人タロスの前にひとりの青年が立ちはだかっていた。彼の名は荒田・誠司(雑草・g00115)。
「すさまじい熱気だな……迂闊に近づくわけにはいかないか」
話に聞いて想像していたよりも、タロスの放つ高熱は強烈だ。高熱にさらされた砂粒はじゅうじゅうと音を立て、炉の中の鉄のように赤く輝いている。砂漠に深々と刻まれた足跡は、もはや炉そのものだ。奴の存在自体が、砂漠という死の大地をも穢している。
オオオオン――と、腹の底に響く雄叫びらしき金属音を響かせ、タロスが誠司に襲いかかった。見た目はどう見ても天魔武者ないし自動人形のような無機物系クロノヴェーダだが、その中身はやはり亜人らしい。敵を相手に真正面から来る愚かしさと、それを補って余りあるパワーがその証拠!
「そう簡単に捕まるわけにはいかん、俺と遊んでもらうぞ」
誠司はフェイク・プリドゥエンを巧みに操り、砂を波のように蹴立てて疾走した。タロスの無骨な剣が、そのすぐ後ろに振り降ろされる。ずしん!! と大地が揺れて砂が高く舞い上がった。直撃すれば跡形もあるまい……!
(「誰が考えだした武装か知らないが、理に適っているな。こちらは持久戦に徹することが出来ず、勝負を挑むしかない」)
再び降り落ちた剣を躱しながら、誠司は奥歯を噛み締めた。痺れをきらせて敵の懐に飛び込もうとするのが、もっともおろかで取ってはいけない悪手だ。そんなことをしたら最後、あの超高熱で身体の内側まで焼き尽くされ、怪力を喰らうことになる。
ここはひたすら距離を取り、ヒットアンドアウェイで敵の注意を惹きつけるしかない。試されるのは機動力だ。
「さあ、来い。ちょこまかと逃げ回る小物は、さぞかし目障りだろう?」
オオオン――!! 苛立ちを感じさせる雄叫びが大気を震わせる。バチバチと電撃を纏う剣が地面を抉るように振り上げられた。誠司はすかさずダツ型の攻撃機械を召喚し、死角から射出。鋭い針は高熱で溶ける前にタロスの身体を串刺しにする!
(「こちらはやれるだけやってみる。その代わり、トロルの方は頼んだぞ、みんな……!」)
誠司のこめかみを汗が伝う。ギリギリの死闘を演じながらも、的確な攻撃は着実にタロスにダメージを蓄積していた。
成功🔵🔵🔴
効果1【水中適応】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
ライカ・ネイバー
連携アドリブ大歓迎う
(戦闘中はダッシュ、ジャンプ、空中戦、地形の利用で常に走り回ります)
近寄らばきっちりこんがり
遠赤外線の恐ろしさが身に沁みるぜ……
しかしそれでもお手伝いは止まらんのです
どうせあの胸のがコアだ!
って事でわかりやすく鎮座してる胸の玉をパカンとカチ割りにカチコミましょ
ちょいと遠めからパラドクスで召喚した骸骨軍団と一緒にロケランを狙い撃ちますぞ
精度の悪さは数で補えば良かと
遠くからちょっかい掛けて囮になりつつ
ジリジリと前進、接近してる人がヤバそうな時に割って入り〜のフォロー出来るように詰めときましょ
●突くべき間隙
「うひー、遠赤外線の恐ろしさが身に沁みるぜ……」
大立ち回りを続ける誠司とタロスを遠巻きに、接近のチャンスを窺うライカ・ネイバー(エクストリームお手伝い・g06433)。十分に離れ身を隠したライカでさえ、溢れ出す高熱のせいでタロスを直視することも難しかった。
「しかしそれでも行くしかない、お手伝いに来たならば……我ながらこの性分は辛いですな」
トロル兵団との戦いは未だ続いている。その数とタフネスゆえに、手練のディアボロスでも即殲滅とはいかないようだ。
ならばエクストリームお手伝い(自称)としては、足止めが成功しているうちに弱点看破に寄与すべきだろう。問題はどのようにして探し出すか、だが……。
「こういうのはストレートにわかりやすいところのはず! 具体的に言うとあの胸んとこの丸いやつ!」
と思ったらまさかの脳筋思考である。当てずっぽうでもそれっぽいところを叩くというのはまあ間違ってはいないが!
オオオオン――!!
「亜人のくせにロボ・ソ・ノモノな声出してんじゃねーですよ! かかってこいやオラァン!?」
ライカは物陰から飛び出した! 振り返ったタロスはバチバチと剣から電撃を放ち、ライカを迎え撃つ。全身が赤熱し、ライカの視覚と触覚を苛む!
「あっちちち! やっぱこれ近づくの無理ですね!」
横っ飛び回避したライカが先ほどまで立っていた場所を、ずん!! と剣が叩き切る。ライカは砂の波を浴びながらごろごろ転がり、敵が次の攻撃に入る前にパラドクスを発動。背後にずらりと現れる骸骨の大軍隊!
「精度の悪さは数で補う! 総員構え――シューーート!!」
KA-BOOM!! 点でなく面を制圧する大火力だ! タロスは棒立ちで弾幕を浴びる!
見た目通りに頑丈らしいタロスは、ロケットランチャーの集中砲火を浴びても意に介さずぎこちなく剣を構える。どうやら高熱のせいで弾丸のほとんどが命中前に炸裂し、威力を減衰させられているらしい。
「チッ、とことんやりづらいですね……!」
爆炎の中、ジリジリとタロスが迫りくる……ライカは一歩も引くことなく、全身に爆撃を浴びせ続けた……!
成功🔵🔵🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
ヴィオレット・ノール
さて、誘導は成功したようだ。少々危なかったけれど、ね。
鉄巨人『タロス』……あれが合流する前に、まずはこの愚図共を殺し尽くそう。
砂に還れとは言わないよ。それすら大地への冒涜だ。
熱光に灼かれて塵ひとつ残さず消え去るが良い。
……声? 目的はとうに達しているのだから、いつまでも猫撫で声なんて出す訳ないだろう。
『サンシャインブレイク』で、太陽光を集めて刃を形成。そのままトロル兵を灼き斬ろう。
標的は味方と揃えて、迅速に潰していきたいな。
ばら撒かれる砂や土は毛皮で払い除け、大きな塊には飛び退いて直撃を避けよう。
借り物の衣装だからあまり汚したり破いたりはしたくないけれど……いざとなったら修復加速でどうにか。
ナディア・ベズヴィルド
一瞬ヒヤリとしたが無事に誘き寄せる事が出来て良かった
うん、あいつらはアホだから本当に良かった
面倒な奴が合流する前にさっさと片してしまいましょう
見た目通りの脳筋な奴らだな、だが…筋力だけは馬鹿には出来ない
美味しい話には罠があるとしらなかった?
本当、貴方達亜人は思慮が足りないわね…(思慮、その言葉も知らなそう)
簡単に言えばバカって事よ!分かった?聞こえてるーー?
相手を煽って怒らせ此方に注意を向けさせる
【トラップ生成】で作った落とし穴の方に奴らを誘き寄せて
バランスを崩したところでPDで攻撃をするわ
抉り飛ばされた土塊や石等は魔力障壁を展開し、防ぎつつ
仲間と連携をとりながら確実に仕留めていく
呉守・晶
アドリブ歓迎
おっと、なんとか間に合ったか
誘導はもう終わってるか、流石だな
んじゃ、遅れてきた分はちゃんと仕事しねぇとな!
デカいからタロスが近づいてくるのがよく見えるな
アイツがこっちに辿り着く前にトロル兵を片付けるとしようか!
味方と連携して敵の包囲を崩さないようにしつつ、流れるように動き回って敵が投げてくる物を避けていくぞ
舞うように激しく動き回って、魔晶剣アークイーターで斬りつけていくぞ
脂肪が分厚いが、俺のアークイーターをそれだけで防げる鈍らだと思うなよ?
それと踊るように激しく動いてるんで無意識だが胸がバインバインと揺れてるから、この頭蛮族のトロル共ならそれに釣られてきっと隙を晒してくれるだろうな
●そして熱波が来たる
戦場は泥沼の様相を呈していた。
ディアボロスらに混乱はない。それはすべて、大型かつ剛力を誇るトロル兵が、怒りと混乱の雄叫びを上げて暴れ回っているがゆえに起きていた。厄介なのは、奴らの癇癪は岩を放り投げ棍棒を振り回し、近くも遠きもまとめて真っ平らにしてしまうパワーがあったことだ。
「間に合った……と思ったらすごい状況だな! こりゃ近づくのも一苦労だぞ……っと!」
呉守・晶(TSデーモン・g04119)は空から降ってきた大岩――言うまでもなくトロル兵が放り投げたものだ――を回避した。砕けた岩が間欠泉じみて砂の柱を立て、舞い上がった砂は煙幕のように戦場に立ち込める。もしも遠くから戦場を眺める者がいれば、局所的な砂嵐が起きたと錯覚するだろう。
「どこまでも大地を冒涜する奴らだ。こんな連中は、砂に還すことすら厭わしい。跡形もなく消し去ってやろう」
娼婦の演技をやめたヴィオレット・ノール(北の菫・g09347)の声は、いつもよりも昏く低い。彼をよく知るナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)でさえ、一瞬別人ではないかと思ってしまうほどに。
「……面倒な奴が合流する前に、さっさと片してしまいませんとね」
ヴェールに半ば隠された金色の瞳が、ちらりと遠くを見やる。砂の天幕の向こう、炎天下が一部だけ水飴のようにどろりと濁って見えた――鉄巨人タロスの発する、凄まじい熱気のせいだ。あそこでは、今も仲間が立ち回ってくれているはず。
「うおおお!! 死ね死ね死ねェェ!!」
トロル兵は涎を撒き散らし、こめかみからは怒りのあまり血を噴き出して叫んだ。木偶の坊と言うには、あまりにも凶暴!
「そんなに騙されたのがムカついたのかよ? だったら少しは頭を使うべきだったな!」
晶はヴィオレットとナディアの逆側に回り込み、敵を挟撃しつつ挑発した。ぎろりと、血走ったトロルの目が彼女を睨む。
「うるせェ女がァ!! 死ねェ!!」
足元の地面に丸太めいた指がずぶずぶと突き刺さる。トロルは力任せに地面を岩盤ごと引っ剥がした!
「うお! 岩がなくなりゃ地面ごとぶん投げるってか? アホな分パワーは有り余ってやがる……!」
「なら、投げさせなければいい――遅いよ」
ヴィオレットはすでに剣を振り終えていた。燦々と降り注ぐ太陽光を集めた剣が、じゅうと空気を灼きながら霧散する。それと同時に、すさまじい熱を孕んだ斬撃が砂嵐を斬り裂いた!
「ぐぎゃあっ!?」
おぞましい断末魔が響いた。鋼鉄をも切断しかつ溶断する鋭利な熱光剣は、分厚いトロルの脂肪もなんら問題にせず真っ二つに断ち切った。袈裟懸けに斬られたトロルの身体が、ぬちゃりと音を立ててズレて倒れた。
「あの野郎! よくも……うおっ!?」
ぼごん!! と、地面が陥没した。落とし穴だ。ヴィオレットに振り返ろうとしたトロルは、まんまとトラップにかかって体勢を崩す。巨体である分、バランスを崩した時の隙も大きい!
「本当、あなた達亜人は思慮が足りないわね」
ナディアはあえてすぐには攻撃せず、立ち上がろうともがくトロルを見下した。
「なんだと女!? ……シリョってなんだ?」
案の定、亜人は言葉が解らないらしい。目を点にしている。
「じゃああなたにもわかるように簡単に言ってあげましょう。つまり、バカってことよ」
ナディアは鼻で笑った。
「わかった? ねえ、聞こえてる? もしもーーし?」
「て、て、てめえええ!!!」
「おいバカ野郎立ち上がるな! 邪魔だ!」
「うるせえてめえが邪魔だ!!」
落とし穴に足がはまったままのトロル兵のせいで、後ろの兵士たちはナディアを殴れない。敵を目の前に仲違いを始める始末だ。
ナディアが魔術を完成させるには、十分すぎる時間を稼いでいた。
「跡形もなく消し飛ばす、でしたよね? ではそれに倣いましょう」
ナディアはヴィオレットを一瞥し、いたずらに微笑んだ。ドォン、ドォンと、炎天を遮り立ち込めた暗雲から太鼓めいた音が響く――それは雷龍の唸り、世界を砕く破滅の咆哮の前触れ!
「な、なんだ!? 何かが来やがる!」
「おっと、こっちも忘れんなよ? お前らみたいな原始的な奴らは、こういうダンスも好きなんだろ!」
破滅の足音に敵が慄いた一瞬の隙に、晶は懐に飛び込んだ。そして魔晶剣アークイーターを振るい、踊るような華麗な動きで敵を切り裂く。ヴィオレットの熱光剣に比べれば、一撃一撃の威力は低い……しかし切れ味は負けずとも劣らずだ。連続斬撃は全て関節や腱といった致命的箇所を正確に斬り裂いている!
「こ、このアマ……!」
「ぶっ殺……うお、でっか」
ついでに言うと、その恵まれた肢体による(本人的には無意識の)魅了効果みたいなもんもある。その胸は豊満であり、戦闘中だというのに馬鹿みたいに見入るトロル兵はなんとなく体色のせいでメロンっぽく見えた。
その間にも暗雲は深く立ち込め、もはや炎天は完全に遮られていた。夜闇の如き暗黒は、トロルの行く末を暗示している。
「雷竜よ、咆哮なさい。その怒り以て、醜い塵芥どもを灰燼と化せ!」
ナディアが片手を振り下ろすと、暗雲が切り裂かれカッ!! と世界が白く灼けた。太陽よりも眩い白熱の極光が、ジグザグに亜人を切り裂く!
「「「うぎゃあああ!!」」」
「お前らの出番は終わりだ。消えろ」
おぞましい断末魔をかき消し、再び雷光が轟く。同時にヴィオレットの振るった熱剣が、暗雲を4つに裂いて世界を再び輝かせる……太陽を取り戻した砂漠に、トロル兵の残骸は欠片一つありはしなかった。黒く焦げた砂のシルエットだけがその痕跡だ――そしてそれも灼熱の風に吹かれ、散っていった。
「ド派手なパラドクスだな! ホントに跡形もなく消し飛んじまった」
晶は残心し、アークイーターの刃に付着した血を振るい落とした。地面に散った緑色の血は、砂を汚す前に蒸発する。3人は肺を灼きそうなほどの熱波に顔を顰めた。水飴を凝らせたような陽炎は、今や目と鼻の先まで近づいている。
「あとはあいつだけ、だな。無事トロル兵も片付けられたし、準備万端で迎え撃てるぜ!」
「ええ。気を引き締めてかかりましょう」
ナディアは晶の言葉に頷き、身構える。鉄巨人タロスの緋色の巨体が、砂嵐を押しのけて姿を現した……!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【温熱適応】がLV3になった!
【通信障害】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
あのアホ達の相手はもう大丈夫っぽいわね!
だったら次はあのタロスとかいうロボットをどうにかしなきゃ!
おっと、行かせないわよ!【防衛ライン】で少しでも時間を稼ぐわ!
さっきライカが攻撃してた胸の玉、あれもそれっぽいけど……。
こういうのって背後にわかりやすいレバーとか有ったりするのよね。
というわけで、即座に焼かれない距離を保ちつつ、きっちり全周観察するわよ!
【周遊と閉塞の旋転囲繞!】!
ライブステージを飛び移りながらそれっぽい場所を探して、あったらそこを集中攻撃!
なかったらやっぱり胸の玉なのかしら! とりあえず目立つ部分を攻撃ね!
エイレーネ・エピケフィシア
神話に語られる「本物」のタロスには明確な弱点がありました
踵に刺さった釘が外れると、穴から体内の血が洩れ出して死ぬのです
あれが同じかは分かりませんが……試してみてもよいでしょう
単純に背後を取れれば有利になりますしね!
【トラップ生成】で周囲に足を引っかけるワイヤーやトラバサミを展開し、敵の動きを阻害
背後を取れるよう、仲間と立ち位置を分けて包囲する立ち回りを心がけます
状況によっては【飛翔】や【フライトドローン】で空から後ろに回るのもよいでしょうか
神話において弱点がある踵を主として、背面に何か不審な部分がないか探りましょう
当たりをつけたら『流星が如く燃え立つ投槍』を発動し、離れた位置から狙い穿ちます!
ジズ・ユルドゥルム
誘導は上手くいったな。
杜撰な「いろじかけ」が通用することだけは奴らの長所か。
あとは…暑苦しい巨人の相手をせねば。
まずは程度に距離を取り、「熱砂の嘴」をタロスの各部位に向かって撃つ。
「命中時に一瞬高温が和らぐ」
「特定の場所を攻撃から庇う」など
特異な事象が起きないか注意深く観察したい。
観察の際は、【完全視界】で光や視界の揺らぎを排しておく。
距離を取っての観察が難しければ
短時間接近し、戦闘継続限界まで奴の装置を探る。
特に、接近した私を排除すべく熱波を強める様子があれば、
熱の上昇に呼応して体表に変化が無いか観察しよう。
装置を発見でき次第破壊したいところだが…
限界が近ければ、破壊は仲間に任せ一度退こう。
●巨人の間隙
時間は、トロル兵団の全滅から少しだけ遡る。
砂の波を立てて猛進する巨人、タロス。無機物めいた外観と機械的な動きはグランダルメの自動人形あるいはドイツ帝国のゾルダートに酷似しているが、一方で亜人らしい貪欲な破壊衝動を感じさせもする。存在そのものが人類ひいては生命への侮蔑と悪意に満ちた、あるべきではない存在だ。
「おっと、行かせないわよ!」
ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)はその前に果敢に立ちはだかった。飛翔するソラの前に【防衛ライン】が出現する。タロスは……足を止めない! ズンズンと進みながら上半身をぐりんと傾け、片腕で地面を引っ剥がしたのである! 野球選手のアンダースローめいて、引っ剥がされた岩盤がそのままソラに擲たれる!
「って、アタシを殺せば【防衛ライン】も消えると思ってるの!? いくらなんでも前のめりすぎでしょ……!」
ソラは咄嗟に高度を上げた。緩い放物線を描いた岩盤が真下に着弾し、盛大な砂柱を舞い上げる。もはや災害だ。
「無機物の冷酷さと亜人の残忍さのコラボレーションか。杜撰な「いろじかけ」が通用するという亜人(やつら)の長所が台無しだな」
皮肉めかした声とともに、舞い上がった砂の煙幕がぶわりと円状に吹き飛び、骨の仮面で鼻から上を覆ったジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)の姿が現れる。砂嵐を貫いたのは、ジズが放った溶解・成形された砂の弾丸である。赤熱する砂は超高熱の陽炎をも同様に貫き、緋色の装甲を直撃!
「……腹部ではないな。やはり胸部のあの装飾か?」
巨人は一瞬ぐらりとよろめいたが、すぐに踏みとどまりコースを変更して進撃を再開する。ジズはそれを大して驚きもせず冷静に受け止めた。彼女の目的は攻撃による足止めではなく、破壊すべき兵装がどこにあるかを見極めることだ。
「あるいは、踵に刺さった釘……でしょうか」
「釘? そんなの見当たらないっていうか、そもそも砂埃で見えないっていうか……」
「そうですね。ですが神話に語られる「本物」のタロスの弱点は、踵に刺さった釘を外すことなのです」
と、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)が指摘した。一説には英雄がその神箭でもって見事に射抜いたとも言われているが、それも魔女の呪文で眠らされていたからこそ。あのスピードで突撃してくる巨人相手に踵を狙うのは、至難の業だろう。
「だが見えていないからこそ、悪くない着眼点だな。私は前から攻撃を続け、他の部位にないか観察を続けよう」
「なら、アタシたちが後ろに回り込む役ね!」
「わかりました。左右に分かれて挟み撃ちにすることで、見落としがないようにいたしましょう」
防衛ラインを迂回したタロースは再び速度を上げる。その間に作戦会議を終えた3人は分担通りの位置についた。ソラが敵の右手、エイレーネは対面の左手。ジズは正面に立って、後退しながら攻撃を続けるという具合だ。これならば、仮に装置がどこにあろうと見落としはない。
すると、三方を囲まれた途端タロースの動きに変化が起きた。超高熱および岩の投擲だけでなく、片手に持った電撃剣を振り回し、3人を決して近づけまいとする。明らかに不自然だ!
「そうだ、そういう反応を見たかったんだ私は」
ジズの口元に笑みが浮かぶ。先ほどから何度も『熱砂の嘴』で胸部や頭部を攻撃しているが、それらを防御する気配はない……すでにライカの弾幕も浴びせられているというのに、まだダメージをものともしないとは驚異的な防御力だ。しかしそれゆえに、狙うべき箇所は消去法で狭まっていく。
(「やはり、下半身の何処かにあると見るべきか。となると問題は――」)
ジズは両翼に分かれたソラとエイレーネを交互に見やった。電撃剣の直撃を避けるため不規則な移動を強いられる二人は、思うように背面に回り込めないようだ。どうにかして敵の速度を落とさねば、これ以上の観察は望めないだろう。
「二人とも」
ジズは新たな弾丸を生成しながら言った。
「今から私が、限界距離まで奴に近づく。その間にいいポジションに回り込んでくれ」
「わかったわ……って、えっ!?」
「……心得ました!」
危険だ、と言いかけたソラを遮り、エイレーネが頷いた。ジズはふっと笑みを和らげ、次の瞬間には仮面の下の眦を決し、喉を灼くほどの熱波に自ら身を投じた!
(「まったくもう……そんな体を張った真似されたら、アタシも頑張るしかないじゃない!」)
ジズを止めても埒が明かないことは、ソラも解っている。今すべきは彼女が生み出す好機を絶対に逃さないこと……エイレーネにはむしろ感謝したいぐらいだった。
「即興コラボといくわよ! アタシに合わせて!」
「こ、こらぼ? あの、芸事は不得手なのですが……が、頑張ります!」
エイレーネはちょっと思ってなかった申し出に目を白黒させつつ頷いた。困惑は一瞬、残像を生じさせるほどのスピードで移動したソラに、エイレーネはしっかりと動きを合わせてくれている。するとその時、焼けた砂がバチバチと飛礫になって二人の体を叩いた。すさまじい熱風が、巨人の全身から放射状に吹き荒れたのだ!
「……ッ!」
周囲に張り巡らせたワイヤーが熱で融けて千切れるのを見て、エイレーネは奥歯を噛み締めた。揺らめく陽炎の向こうにはジズらしき影をかろうじて認められるものの、無事かどうかは確かめようがない。今目を向けるべきは、敵なのだから。
「「――あったわ/ありました!」」
朦朧とするジズの耳朶を、二人の快哉めいた声が叩いた。冷水を頭から引っ被ったように意識が明瞭となる。
(「よし」)
口をきゅっと引き結び、心の中で応える。肌を焦がすほどの超高熱だ、呼吸をすれば肺腑が焼けるのはわかりきっている。息を止めたジズは、二つの弾丸を敵の膝頭めがけて放った!
弾丸が命中した瞬間、今までとは異なるパァン! という爆ぜるような音がした。成形状態を保てなくなった砂の弾丸が、装甲に命中したことでポップコーンのように飛散したのである。
直撃とは言い難いためダメージはやはり期待できないが、運動エネルギーをそのまま浴びたタロースは、さすがにがくりと膝を突いた。飛散した砂が立ち込める煙幕を巻き込んで吹き飛ばし、台風の目のような凪をもたらす。実時間にしてコンマ秒あるかないかという一度きりの好機――エイレーネは跳んだ!
「輝ける槍よ、偽りの巨人を過たず穿たんことを!」
「アイドルからのスペシャルプレゼントよ、たっぷり受け取ってね!」
エイレーネの擲った槍を、ソラの放った魔法の弾幕が華やかに彩る。ステージから客席へばらまかれた銀テープめいて、きらきらと光のパーティクルが瞬き……そして、踵部分に隠された装置に命中! なんらかの魔法的反応で生じた爆風が、三度砂を吹き飛ばした!
「あっちちち! 爆発するとまでは聞いてないわよ! 二人とも大丈夫?」
爆風で大きく距離を取らされたソラは、もうもうと立ち込める砂の向こうに投げかけた。一陣の風が砂を洗い流し、ジズとエイレーネの姿を表す。二人ともいくらかの火傷や、吹き飛んだ砂による擦過傷を受けている。
「ああ、なんとかな。おかげで命拾いした」
「こちらも、無傷ではありませんが戦闘に支障はありません」
当然、負傷程度はジズのほうが深い。だが片膝を突いた姿勢から立ち上がる彼女からは、有無を言わせぬ迫力があった。ソラは気遣いの言葉をぐっと飲み込み、アイドルらしくはにかんで一つ頷く。
「オーケー、それじゃあ……アンコールといきましょうか!」
風は砂の煙を洗い流し、向こう側で戦う仲間たちの姿を表す……巨人の放つそれとは違う、爽やかな熱風の残滓が3人の頬を撫でた。トロル兵団は跡形もなく消し飛んだらしい。
もはや、ディアボロスを阻む超高熱の帳はない。蹌踉めきながら立ち上がった緋色の巨人の双眸が、断定的殺意に燃えるように輝く……!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
エイレーネ・エピケフィシア
今やあなたを護る焔の壁は存在しません
この地で暮らす人々の平和のため、滅び去っていただきます
悪辣なる偽りの巨人よ──覚悟なさい!
地を蹴って跳び上がってから【飛翔】
惑わす素早さで敵の周囲を縦横に飛び回り、どこから来るか分かりづらいように
こちらの動きで敵の集中を乱している間に仲間に攻めていただき、その後に不意打ちに持ち込むのもよいでしょう
機を見て敵に向き直りながら急降下し、『舞い降りる天空の流星』を仕掛けます
≪神護の輝盾≫を構えて反撃に備えつつ、落下の勢いを乗せた≪神護の長槍≫を全力で突き付け、タロスの重厚な体躯をも穿ち抜きましょう
アテーナー様!どうかこの槍に、いかなる鎧をも貫く力をお与えください!
クィト・メリトモナカアイス
おぉー……熱くなし。
んむ、これならやれる。
それにしても。これは亜人と言っていいのだろうか……?
なんというか兵器っぽい。そんなこともあるかな?あるか。
なんにせよ。汝も叩きのめす。
黄金猫拳打棒を手に「災いたれ守護の血河」。
荒野を駆け、落ちている岩などを投げてくるのを避け、隙を見つけては黄金猫拳打棒で殴る一撃離脱戦法。
ぶん殴りや他の復讐者の攻撃でタロスの態勢が揺らいだらジャンプして頭上からの肉球叩きつけで粉砕する。
汝が民にとっての災いであるなら。
我は汝らにとっての災いとなり、その血で河を作る。
汝ら悪しき者、その形も留めぬ。
呉守・晶
おっ、トロル共を相手してる間に頼れる味方がやってくれたな
これであいつはただのアヴァタール級だな
……だが、こいつは本当に亜人か?
随分と機械っぽいし、それとこいつには亜人にとって重要な生殖能力あるようには見えないんだがな?
まぁこいつの正体がなんだろうと、ぶっ倒すのは決定事項だ!
【飛翔】して投げつけられる岩なんかをジグザグに飛翔して避けつつタロスに向かって突っ込むぞ!
魔晶剣アークイーターの封印を一部解除して峰に魔力噴射スラスターを持った巨大な片刃大剣に変異させて、スラスターを全力で吹かして加速しながら懐に飛び込んで叩き斬るぞ!
鉄巨人だろうが、真っ二つにしてやる!斬り裂け、アークイーター!
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
あら、その目はロボっぽくても亜人は亜人って感じかしら!
でも情「熱」を失った敵にアタシ達がやられるはずがないわ!
ディアボロスライブ、本番の時間よ!
それじゃアタシは【飛翔】で上空から攻撃していこうかしら!
タロスの周囲を飛び回って「撹乱」し、こちらに気が向いたら【トラップ生成】で落とし穴を作って体勢を崩すわ!
体制が崩れたらチャンスね!【飛入と渦動の五元光芒!】でその鉄の身体をブチ抜いてやるんだから!
反撃でまた超高熱が来ても、触れてくるってことは近づいてくるってこと!
ジズのアレを見たらアタシだって張り切っちゃうわよ!
息を止めたまま、至近距離からの【五元光芒!】で仕留めるわ!
ライカ・ネイバー
連携アドリブ大歓迎
いや〜弱点はそこだったか〜
これ見よがしに『弱点です!』みたいな顔して違いましたってのは上手いなぁ
まるで右側のビットみてぇですわ
それはそれとしてこっからわたしらのターンっすね
ってことでカニちゃんネメシスいくぜ〜!
召喚!
どでけぇカニの背中にライドオン!
特等席で怪獣大決戦といきますぞ
まあ時間もないんで先手必勝即戦即決
がっつり足をアンカーに砲撃体勢に入りますわよ
撃てば勝つ!ビーム発射を最優先に
死ななきゃ安いの精神で捨て身の一撃じゃい!
カニがよぉ!
鉄巨人なんぞに遅れを取る訳がありませんわ〜〜!
ジズ・ユルドゥルム
(フーッ…と長い息を吐く)
おかげで焼かれる食パンの気分を味わえたよ、でかぶつ。
ははっ。好い目をするじゃあないか。
そうだ、そうでなくては。仮にも生き物ならば、生きるために足掻け!
「曙光の戟」を起動。ジンの光を槍に変じ、タロスへ接近戦を挑む。
奴の巨体は脅威だが、その分我々が奴の死角にも入り込みやすいはずだ。間合いに入る直前で奴の死角に回り込み、短距離低空の飛翔も使用しつつ関節や装甲の隙間などに貫通撃を叩き込もう。
敵の反撃は、光を盾の変じて触れようとする手足を受け止め、
事象を断ち切る効果をもって熱の遮断を試みる。
この地の人々にとって、今日はなんでもない普通の日になる。
悪夢はここで終いだ。
●熱砂の決斗
鉄巨人タロスは完全な非生物ではない。あくまでそれに近しい特徴を持つ「だけ」の、亜人だ。
「ははっ」
それを実感したジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は、どこか安堵を感じさせる声で笑った。
「好い目を、するじゃあないか。焼かれる食パンの気分を味わった甲斐はあったよ、"でかぶつ"」
身体のあちこちに刻まれた火傷の跡が痛ましい。タロスの放つ超熱波を止めるため、ジズは自ら足止めを買って出た。
それも無駄ではなかったと彼女は心から思う。タロスの……無機物のようだった両目に宿る、確かな殺意を引きずり出せたのだから。
「なるほど。あまりに兵器っぽくて、亜人といっていいのか疑問だったけど」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、無表情でこくんと頷く。
「そんなこともあるのか。やっぱり"あれ"は、亜人。んむ」
「所詮は神々の被造物の名を奪い、騙る偽りの巨人……ということですね」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は頷いて同意した。歴史の簒奪者は、エイレーネが信奉する神々と――神話の住人とイコールではない。その名も見た目も、すべては人類史から剽窃しただけの、紛い物に過ぎない。
タロスの身に流れるのは神の血に非ず、男を虐げ女を辱め、生命を侮蔑し踏み躙って得た、汚らわしい亜人の血だ。
「今やあなたを護る焔の壁は存在しません。この地で暮らす人々の平和のため、滅び去っていただきます――覚悟なさい!」
黙れ、小賢しいウェアキャットの小娘が。
……とでも言いたげに、タロスの全身が緋色を増し、双眸がぎらりと輝いた。それは確かに怒りの感情を宿している。
「それにしても、ここまで兵器っぽく作り替えるなんてどうやったのか気になる。普通にこんな風になることもあるかな?」
「いやー、ああいう生態の亜人なのかもですよ。ほら、右側のビットみたいに」
首を傾げるクィトに謎なことをのたまうライカ・ネイバー(ハイパーエクストリームお手伝い・g06433)。なんだろう、右側のビットって。よくわからないけど名曲な気がする。
「これみよがしに「弱点です!」みたいな顔して違いました、ですもん。絶対参考にしてますよ、右側のアレを」
「いやなんの話だよ……右とか左とか、相手一体だろ」
呉守・晶(TSデーモン・g04119)は少し呆れた。よくわからないがこの話題は続けない方がいい気がする。
「まあでも、亜人にあるはずの生殖能力があるように思えねえのは確かだな……こんなもんよこして、最初からここの住人を皆殺しにする気だったのか?」
「なんにせよ、ここでアタシたちが倒しちゃうんだから、どんな目的でも叶いっこないわ!」
ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)が明るく、力強く言った。
「情「熱」を失った敵に、アタシたちがやられるはずがないんだもの――さあ、ディアボロスライブ、本番の時間よ!」
びゅううと、乾いた風が吹いた。赤茶けた砂の風が、両者の姿を覆い隠し……砂塵の幕を稲妻の剣が切り裂く。先に突撃したのは鉄巨人だった!
「そうだ。そうでなくては……仮にも生き物ならば、生きるために足掻け!」
「話が早くて結構だぜ、正面から相手してやらぁ!」
ジズと晶が接近戦で迎え撃つ。横たわる三日月を描くような稲妻剣の薙斬撃(スウィープ)を飛翔して躱し、そのまま懐へ……飛び込むと見せかけ、二人は空中でほぼ直角に曲がり、敵の死角へ回り込んだ。
「!!」
互いに違う方向に別れたことで、タロスはどちらを攻撃すべきか逡巡した。
「その命脈、断たせてもらう!」
その僅かな迷いが生んだ隙に、ジズの突き出した光の槍が装甲を穿つ。鷹の精霊の力を宿した『曙光の戟』は装甲に命中した瞬間激しく輝いて爆発し、タロスの巨体をぐらりと揺らがせた。
「チッ、さすがに一撃とはいかないか」
「だったらこいつはどうだ? 斬り裂け、アークイーター!」
さらに晶の巨大片刃大剣による斬り上げ! 斬撃の余波で砂埃がざあっと舞い上がり、焦がすような太陽を覆った。鋭き太刀筋は、城壁のように堅牢な装甲をばっきりと斬り裂く。ぼとぼとと溢れ出した赤黒い血が、足元の砂と混じり合って泥に変わった。
ゴウウン、と地鳴りを思わせる駆動音――あるいはタロスの咆哮――が低く響く。倒れかかるもギリギリ踏み止まったタロスは、再び双眸をギラリと輝かせ剣を振るった。空中から飛びかかろうとしたエイレーネとソラを狙った斬撃を、二人はさらに高く飛翔することで回避。斬撃の軌跡に、バチバチと虚しくプラズマの残滓が燻る。
「遅いですよッ!」
「スタミナ切れかしら。アイドルはね、持久力だって大事なの!」
ならばと、鉄巨人は空いている手をぬうっと突き出しソラを握り潰そうとした。だがその指先が少女に届く寸前で、巨体はがくんと大きく傾ぐ。足元が崩落……いや違う、落とし穴だ!
「ライブのマナーも知らないの? いけない子(ファン)にはお仕置きよっ!」
ソラの周りに魔法陣が展開し、中心から多色の魔力光が溢れた。レーザーのように収束した光は、タロスの胸部にある物体を集中攻撃する。すでにライカの攻撃で脆くなっていたせいもあり、レーザー砲撃を浴びた胸部のモニュメントは爆炎をあげて吹っ飛んだ。
「お! あれはあれで重要そうなパーツだったんですかね?」
「弱点以外への攻撃も無駄ではなかったのでしょう。この好機、逃すわけにはまいりません!」
ライカに言い、エイレーネは真上から一気に急降下。
「たとえ、この身を燃え盛る流星と化してでも……!」
稲妻剣の刺突を盾で受け流し、落下速度を乗せた流星の如き一撃を叩き込む! すさまじい衝撃が地面に伝搬し、放射状に割れた地面から間欠泉のように砂の柱がいくつも立ち上がった。鉄巨人の身体に無数の罅が走り、さらに一段階深く地面に陥没させられる!
「おー、これはいわゆるもぐらたたき。よし、このまま埋めよう」
クィトは砂埃を低く伏せて駆けることでかいくぐると、苦し紛れの投石攻撃に合わせて高く跳躍。くるくると小さく身を丸めて空中で回転した。エイレーネと入れ替わりに頭上を取り、両手で黄金猫拳打棒を構える。そして!
「この地を乱す者は許さぬ。たとえ我の故郷でなくとも」
SMASH!! 大きく弓なりに反らした全身の筋肉を躍動させ、雪崩れ込むような打ち下ろし! 見た目にそぐわぬパワーで杭のように叩きのめされた鉄巨人は腰まで地面に沈ませられ、大地のほうが耐えきれずに割れて砕けた。
「汝が民にとっての災いであるなら。吾は汝らにとっての災いとなり、その血で河を作る」
鉄巨人は破砕して舞い上がった大地の一部を掴み取り、クィトに叩きつけるように投げつけた。その大地の欠片を蹴って躱したクィトは、先ほどの二倍の空中回転で加速!
「汝ら悪しき者、その形も留めぬ」
SMAAASH!! 敵の攻撃威力も乗せた再びのハンマースラムだ! あまりの衝撃に、鉄巨人の巨体は岩盤と接触してV字を描くように跳ね上がる! 全身の亀裂がさらに罅割れ、ぶしゃりと血が溢れ出した!
「おっとぉ! そのままふっ飛ばしてやったりはしませんよん」
空中に舞い上げられた鉄巨人の足に、ガラガラと何かが絡みついた。それはアンカーである……そう、ライカが駆る巨大な蟹の鋏がアンカーとなり、タロスの足に巻き付いたのだ。んっ巨大蟹!? なんて!?
「ちょっと!? こんなステージギミック聞いてないんだけど!」
ソラは5mを超える巨大な蟹を二度見した。とんだ怪獣大決戦状態である。
「何を言ってますやら、誰がどう見てもただのネメシス形態じゃないですか~。まあともあれ、時間もないのでスイッチオン!」
ライカはへらへら笑った。そしてなにやらコクピット(???)にせり出した赤いボタンを拳で叩き押す。
すると蟹の腹部がウィーンと展開し、蟹味噌のようなゲル状器官その名もカニプリンを露出した。明らかにヤバそうな色で発光するカニプリン。ミョンミョンミョン……って感じの音させながら集まるなんらかのエネルギー! ジャキン! とカニ足がアンカーとなり地面に深く突き刺さる!
「おい待て、あの亜人よりよっぽどツッコミどころの塊じゃないかこれは!?」
「ただのカニですよご安心ください! 鉄巨人なんぞに遅れを取るわけがないんですわぁ~~~!!」
いやカニは鉄の巨人と比較されるようなもんじゃねえだろ、とジズがツッコむ前に、カ ッ ! ! と盛大な光とともに放たれるカニエナジー! 極大ビームが空中の鉄巨人を飲み込んだ!
「おらあああまだまだぁ! 特攻じゃ~~~!!」
ライカはビームを放射したまま甲殻からロケットを噴射し、そのまま捨て身の突撃をかけた! 激突、そして爆発……!
ぽかんとする一同の前に、全身ぶすぶすと焼け焦げた鉄巨人だけが降ってきた。明らかに大ダメージだ。
「あいつ、無茶しやがって……!」
「んむ。亡くすにはおしい者だった」
晶とクィトは空に向かって敬礼した。ライカの爽やかな笑みが空に浮かんだ(気がする)(ついでに言えば当人は黒焦げになったカニと一緒に別の方角に落下してる)。
「縁起でもない冗談はよくないと思いますが!? と、とにかくこの隙にとどめを刺しましょう!」
はっと我に返ったエイレーネは再び神罰の炎を纏い、力強く地を蹴った。
「アテーナー様! どうかこの槍に、いかなる鎧をも貫く力をお与えください!」
「……この地の人々にとって、今日はなんでもない普通の日になる――悪夢はここで、終いだ!」
ジズはエイレーネと対角になるように位置取り、光の槍をさらに巨大化させて跳んだ。すると鉄巨人の身体が真っ赤に激しく発光するではないか。自爆するつもりか!?
「……そうはさせないわよ!!」
太陽を背負い、ソラが言った。おもいっきり息を吸って止めると、再び展開した五重魔法陣を背負い、まっすぐ敵に向かって飛びかかりながら魔力を放出!
「ソラ様……!」
「……ははっ! そうだ、生き物ならば、そうでなければな!」
二人はソラの意思を汲み、すべての力を己の鉾に注いだ。溢れ出した超高熱エネルギーは、ソラの零距離魔力砲撃で強引にし留められ、巨体に逆流する……そしてそこへ、二つの鉾が逆向きの流星となり、天を貫くように駆け抜けた!
空に、2つ目の太陽が生じた。その激しい閃光は、灼けるような青い空にあって、遠くからでもはっきり見えたことだろう。
「こんな真昼にお星様がきらきらしてるよ!」
あどけない幼子が光を指差し、屈託なく笑った。それが死闘の果てに生まれた亜人の散華の光であることなど、彼らは知るよしもないまま、戦いは密かに終わったのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV4になった!
【書物解読】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【活性治癒】LV2が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV3になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
●熱砂吹いたそのあとに
戦いは終わった。
ディアボロスの死闘を知る者は誰もいない。平和な集落は旅人や商人を名乗るディアボロスを笑顔で快く迎えてくれるが、それは来訪者に対する当然のもの。命の恩人への感謝なんてものはない。
それを気楽なものだと考えるか、あるいは胸を撫で下ろしほっと安堵するかは人それぞれだろう。
やがて夕陽が暮れていく。平和なまま一日が終わる。
彼らのいつもと変わらない平和な一日こそが、ディアボロスが命がけで勝ち取ったかけがえのない報酬なのだ。
クィト・メリトモナカアイス
えー、それではこれより第三次紅海をイルカで南下しよう作戦をー……中止とする!
なんだっけ、七曜の戦では亜人はソマリア?を攻めてくることが分かっている。
ならば見るべきは紅海ではなく、アデン湾?とかのアラビア海沿い。
見るべき場所が決まっているならそこに辿り着くまでは速度重視でいける。
【飛翔】で速度を出して可能な限り早く紅海を抜けアデン湾へ。
そこからはこれまでのように【イルカ変身】。
船にも注意だけれど、同じように水中をいく亜人にも注意。
あれらに「イルカとか襲う意味ないし攻撃しないでおくか…」とかは期待せぬ。トロルと違って我はかしこいので。
ソマリア攻めの陣容を偵察し、七曜の戦の防衛戦に役立てよう。
エイレーネ・エピケフィシア
ふむ、アデン湾ですか……
七曜の戦で攻め入る先が分かった今なら、亜人が布陣する候補地は相応に絞れますね
わたしも向かいましょう!
クィト様と共に紅海を【飛翔】して進みます
恐らく敵の出発地点があるのはイエメンの範囲
……ソマリアとの純粋な距離で言えば、現在におけるモカなどを拠点としている可能性もあるでしょうか?
紅海を抜ける前にソマリア西岸で敵が発見されたなら、調査対象を切り替え
紅海沿いに戦力がなければ、東進してアデン湾に向かいます
調査時はわたしも【イルカ変身】を重ねて遊泳速度を上げます
適宜、海底地形に身を潜めるなどして海上の敵からの眼を誤魔化し
陸を見る場合は遠方から僅かな時間だけ垣間見るにとどめます
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
ふふん、アラビア半島の偵察の報告書は全部読んだわよ!(メガネクイッ)
どうやら紅海沿岸で敵の集まっている場所は無いみたい!
だけど敵はソマリアを攻めてくるってことは……。
クィトの言う通り、アデン湾沿岸に集まってると見て間違い無いかも!
というわけでアタシも二人に習って低空の【飛翔】でアデン湾に移動!
【光学迷彩】も使えるかしら!
【イルカ変身】でアデン湾内に侵入して、海上からも調査ね!
湾の名前の由来になってるアデンって街が大きそうで怪しいかも!
【使い魔使役】でお魚を使い魔に出来たらもっと近くまで寄れるかもだし、やってみましょ!
折角奪還した土地、絶対守り抜くんだから!
●そして影は砂に消ゆ
戦いを終えたクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)らは、本来の目的であるアラビア半島での情報収集を行うことになった――の、だが。
「えー、それではこれより第三次紅海をイルカで南下しよう作戦を――」
クィトはすーっと息を吸い込んだ。
「……中止する!」
がくり。エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)とソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)は思わずずっこけかかる。
「な、何をおっしゃるのかと思ったら、中止なのですね??」
「急に神妙な面持ちするから何かと緊張しちゃったわ」
二人は苦笑して気を取り直す。クィトはいつも通りの無表情でふんと鼻を鳴らした。
「なんだっけ、《七曜の戦》では亜人はソマリア? を攻めてくることがわかっている」
「獣神王朝エジプト奪還戦で奪還した地域、ですね。アラビア半島から海を渡って、無人状態のそこを掠め取る目論見だと聞いています」
エイレーネがこくりと頷いた。
「ならば見るべきは紅海ではなく、アデン湾? とかのアラビア海沿い。場所が決まってるなら速度重視で飛べば……」
「……もし万が一その途中に敵がいたら、狙い撃ちにされないかしら?」
ソラがおずおずと言った。
今のところ、紅海沿岸部で敵の集まっている場所は発見されていない。しかしそれは「今のところ」であって、確定したわけではない。そもそも、この調査活動自体がそれを確定させるためのもの……ソラ自身も事前に色々と確認を踏まえてきた身ではあるが、安全を確保できていない状況での【飛翔】は、高度に注意したところで危険であることに変わりない。一度の距離では、カバーするには距離が莫大すぎるというのもある。
「……んーむ」
クィトは腕を組んだ。彼女は亜人の知能に期待していない。期待していないということはつまり、目に入るもんなら鳥でも塵でもなんでも攻撃しそうという評価をしている。それはそれで亜人が聞いたらブチギレそうな気がしなくもないが、まあ実際間違っていない評価である。彼女はかしこいのだ。
「……第三次紅海をイルカで南下しよう作戦をー……中止するのを中止する!」
がくり。二人はまたずっこけそうになった。
やむなく3人は、これまで通り【イルカ変身】を使って海岸線を偵察することになった。
《七曜の戦》は間近に迫っている。おそらくディアボロスの誰もが、かつてない戦いを前にして緊張し、逸る気持ちを抑えられないはずだ。水中を泳ぐそのスピードも、少しでもアデン湾へ近づけないものかと急いているような気がした。
(「ソマリア攻めの陣容が偵察できれば、防衛戦に役立てられそうなのだけれども」)
クィトはじれったそうに尾びれをくねらせた。しかし上の空で泳いでいてはせっかくの偵察の甲斐がない。どこぞの亜人どもと違ってかしこいのだから、と自分に言い聞かせ、万一の見落としがないようにしっかりと偵察に励む。
(「もし仮にアデン湾に敵の拠点があるとしたら、おそらく出発地点はイエメンの範囲……あるいは、現在におけるモカなどと拠点としている可能性もあるでしょうか」)
その少し後ろを泳ぎながら、エイレーネは考える。もちろん、彼女も周りを警戒することを怠っていない。敵影だけでなく、そういったものに遭遇した時すぐに隠れられそうな地形がないかもつぶさに観察している。
(「二人とも複雑そうね~、まあアタシもだけど」)
などと思いつつ、海を泳ぐソラは優雅なものだ。アイドルたるもの、ストレスは最大の敵。うまく"いなす"方法を、ソラは心得ている――まあもちろん、紅海の美しい景色がもたらす心地よさもあるのだが。
「せっかく奪還した土地、絶対に守り抜かないとね」
ふとソラは呟いた。神経を尖らせて偵察に集中していたクィトとエイレーネは振り返るような仕草をし、顔を見合わせる。
「んむ。それはもちろん。砂漠でなくとも同じこと」
「そうですね。だからこそ一つ一つの情報を確実に集めて、決戦に備えましょう」
二人の肩の力――イルカ変身している状態で肩という表現も奇妙だが――が幾分抜けたように思えた。ソラは二人を追い抜き、魚の群れとともに泳ぐように身をくねらせた。
頭上を見れば、水面越しに眺める空は橙に染まっている。集落の人々は、きっとこれまでと同じ夜を過ごし、そして同じ朝を迎えるだろう。まさか自分たちの集落のすぐ近くで戦いがあったなど……いわんや、こんな不思議な力を持った復讐者たちが偵察しているなどとは夢にも思うまい。
(「……そう、絶対に守り抜くんだから」)
ソラは心の中でもう一度言い聞かせた。泳ぐスピードを早め、集落周辺に敵の集まっている場所がないことを確認する。
たとえ一つの戦いが終わったとしても、全てを奪い返すまでディアボロスの戦いは終わらない。終わりは新たな始まりなのだ……。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【イルカ変身】LV2が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!