リプレイ
レイ・ディース
【モフ部】
他の方との連携アドリブ歓迎
仲間の効果も活用
これは練習中の氷雪系の技の絶好の的になりそうですね
暴徒は脳味噌までカチコチに凍らせてあげます!
双眼鏡持参
私と獅子城さん、サーヴァント二人は森林迷彩のマント着用(草原寄り)
【防空体制】で察知しやすくし【PD通信】で連絡をしっかり取り合う
移動はなるべく遮蔽物を利用
敵がうるさいとは言え、こちらが騒ぎ立てても何もいい事ないので静かに行きます
発見しても深追いせず仲間に連絡して静かに追跡
エインとスエニョちゃんの索敵も頼りにしてるね
※二人とも尻尾ピコピコ
先日グランダルメで哨戒した怠惰淫魔とか趣味淫魔以上に発見と先手取りが楽そうな相手だけど、油断は禁物!
獅子城・羽鳥
【モフ部】
他の方との連携アドリブ歓迎
仲間の効果も活用
うわあ…熱苦しい脳筋どもだなあ…
まあ脳筋な分パワーは相当あると見て、油断せず臨むぞ
双眼鏡持参
俺とレイ、サーヴァント二人は森林迷彩のマント着用(草原寄り)
【防空体制】で察知しやすくし【PD通信】で連絡をしっかり取り合う
移動はなるべく遮蔽物を利用
発見しても深追いせず仲間に連絡して静かに追跡
スエニョと仔山羊の目耳鼻もあてにしてるぜ
※頭撫で撫で
前回湖水地方で戦った竜魔将エレインと部下の騎士団は有能で苦戦したが、こいつらはどうなんだろう……
油断禁物ではあるが、脳筋暴徒騎士サマ方はおちょくりたくなってうずうずしてくるから困る……
ブロス・ブラッドハート
んぇ、なーんか狂暴そうなやつらだけど……おれも戦いってなるとゾクゾク本能がうずいちまうからな
はんめんきょーしってのにしとこ…!
と、いまはしょーかい活動だったな
ガングランは赤いから目立つだろーし、ジャッカーは体が燃えてるからこっちも見つけやすそうだな
【パラドクス通信】が出来れば仲間と手分けして森林をカバーするぜ
おれは高所に陣取って【光学迷彩】を使用、上空を見渡して異変に気づけるよう注意しとく
紅はおれの好きな色だからな、見落とすつもりはねーよ!
敵を見つけたら飛行ルートの途中で待ち伏せすんぜ
合流させちまったらヤバそーだかんな。へへっ、戦場でのひきょうやこそくなら兵法だぜ!
アドリブ・連携歓迎だぜ
アルメア・グラウプナー
「…やかましい事この上ないが、個人的にはああいったノリは嫌いじゃないな。舞台の上に立ったつもりで居る者にはそれなりの箔がある」
「ま、この通り兵としては失格も良い所だがね。こっちとしてはやりやすいんだがな、ははは」
・行動
では、我々もここが相応の舞台となる様、相応しく動くとするか。
【完全視界】と狙撃眼の機能を使用しつつ、森林の【地形を利用】して身を隠しながら地上より敵部隊を探していくとしよう。
哨戒中は話にあった大声での朗唱とまた集団飛行による風の発生を探索材料に【情報収集】してゆく。
敵部隊を発見する事が出来ればその行動を【追跡】しながら挙動を【観察】し、攻撃に移るタイミングを見計らっていくとする。
●序幕
平原に隣接した森林の中。
その一角にある獣道を、JR山手線の車両に似た列車が占有していた。いや、占有どころではない。大きな車体は細い獣道の外にはみ出し、周囲の木々を撓ませ、あるいは完全に押し倒している。
異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「こりゃまたスゲェところに停車したもんだなー」
「まあ、仕方あるまい。遮るもののない草原側にパラドクストレインが出現したら、すぐに敵に見つかってしまうからな」
車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、そのうちの一つから二人のディアボロスが降り立った。
一人は、ドラゴンの角や翼を有した十歳前後の元気そうな少年――ブロス・ブラッドハート(竜孺子・g03342)。
もう一人は、黒い軍服に身を包んだ金髪紅眼の女――アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)。
両者に続いて降車したのもディアボロスたち……と思いきや、さにあらず。ぬいぐるみのように愛らしい姿をしたパンツァーハウンドとメーラーデーモンである。
地面に飛び降りた二体は、同時に回れ右して車両を見上げた。尻尾を小刻みに振りながら。
その視線の先に現れたのは一組の男女。端正な顔立ちの青年と内気そうな印象を受ける少女だ。ともに森林迷彩のマントを羽織っている。
「敵に見つからないことも重要だけど、なによりも重要なのは敵を見つけることなんだよね」
青年――獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)がサーヴァントたちの傍に降りた。
「そうですね。絶対に見つけましょう」
少女――レイ・ディース(光翼のダークハンター・g09698)も降車した。
そして、尻尾を動かし続けているサーヴァントたちに笑顔を向けた。
「エインとスエニョちゃんのことも頼りにしてるからね」
尻尾の振り方が激しくなった。
●獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)
俺たちはパラドクストレインから離れて、森の奥に進んだ。
先頭を行くのはレイだ。後方にいる俺には、マントに覆われた彼女の背中がちょっと膨らんでいるのが判る。リュックとかを背負ってるわけじゃないよ。そこにあるのは天使の翼だ。
俺の両隣にいるのはサーヴァントたち。右側ではパンツァーハウンドのスエニョが四つの足でちょこまかと歩き、左側ではメーラーデーモンのエインが小さな羽でぱたぱたと飛んでいる。
ブロスとアルメアは別の方角に向かったので、姿は見えない。でも、パラドクス効果で出現した通信機があるから、やりとりはできる。
「通信テストだ。聞こえるかい、ブロス?」
『おう! かんどーりょーこー!』
通信機からブロスの元気な声が返ってきた。
続いて聞こえてきたのはアルメアの声。
『車内で令震から聞いたところによると、爆撃竜ガングラン卿が引き連れているのは『蒼炎のジャッカー』なるトループス級だそうだな。同タイプの敵と戦ったことがある」
『俺もあるぞ!』
と、通信機越しにブロスが再び叫んだ。
『うねうね曲がる細長い体にめらめら燃えるたてがみみたいな青い炎をまとった奴らだろ? 目立つ形してっから、見つけ出すのはそんなに難しくないと思うぜ」
●ブロス・ブラッドハート(竜孺子・g03342)
羽鳥がパラドクス効果で用意してくれた通信機からレイの声も聞こえてきた。
『敵は飛行しているとのことですから、パラドクス効果の『防空体制』を発動させておきました。これで察知しやすくなっているはずです』
「ありがとよ!」
礼を言いつつ(シャレじゃねえぞ)、おれは森の中をずんずん進んだ。少しだけ距離を置いて、アルメアも同じ方向に進んでいる。
「トループス級だけじゃなくて、ガングランだかガンガラガンだかいう奴も目立つんじゃないかな? 名前の雰囲気からして、なんとなく赤い色をしてるような気がするし」
「確かに」
と、アルメアが言った。
「赤色ならば、目立つだろうな」
「だろ? まあ、目立たなかったとしても絶対に見逃さねーけどな。赤つうか紅はおれの好きな色だからよ」
ひときわ高い木の前で、おれは足を止めた。物見台に最適って感じの木だ。枝振りが立派で葉っぱがたくさんあるから、身を隠すにもちょうどよさそう。
「この木の上で空を見張っとくよ」
おれは木に飛びつき、枝に手をかけ、足をかけ、上へ上へと登った。周りの木に遮られない高さまで行ったところで止まり、枝にまたがって空を見回す。
目に入ってくる色は青ばっか。それに雲の白色もちらほら。
今のところ、俺の好きな色は見えないな。
●レイ・ディース(光翼のダークハンター・g09698)
知覚をフルに働かせて周囲の様子を探りつつ、木の陰から木の陰へと素早く移動。
ある程度まで進んだら、停止して後方の羽鳥さんに合図。
羽鳥さんが前進し、私を追い抜かして木の陰から木の陰へと静かに素早く移動。ある程度まで進んだところで停止し、後方の私に合図。
そして、今度は私が彼を追い抜かして、木の陰から木の陰へ……と、位置を交互に変えながら、私と羽鳥さん(それにエインとスエニョちゃん)は森の中を進みました。
「ついこの間も湖水地方奪還部隊と刃を交えたよね」
何度目かのローテーション。私を追い抜きざまに羽鳥さんが声をかけてきました。
「あの部隊を指揮していた竜魔将エレインはそこそこ有能だったけど、今回の敵はどの程……」
言葉が途切れました。足も止まっています。
羽鳥さんだけでなく、サーヴァントも止まっています。スエニョちゃんは口吻を突き上げて鼻をくんくんと動かし、エインは羽鳥さんの頭に乗って、耳をそばだてている模様。
同じく耳に神経を集中していたであろう羽鳥さんがこちらを振り返りました。
「聞こえたかい、レイ?」
「はい」
私にも確かに聞こえました。
風に乗って流れてきた奇妙な声が。
『彼方より響くあの声は、私にしか聞こえない幻聴か? それとも、貴殿たちの耳にもちゃんと届いているのかな?』
と、通信機の向こうから冗談めかした調子で問いかけてきたのはアルメアさんです。
私がそれに答えるより先に――
『聞こえるどころか、見えてきたぞ』
――ブロスさんが返事をしました。
『俺の好きな色がな』
●アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)
『防空体制』等のパラドクス効果のおかげか、あるいは相手がまったく無警戒だったからか……まあ、とにかく、敵を見つけることができた。
俄然こちらが有利になったわけだが、私も他の皆も独断で先走ったりはしなかった。パラドクス通信機で交信しつつ、再び合流。落ち合った場所は、ブロスが見張り台として使用中の木の傍だ。
私と羽鳥とレイはわんぱく小僧よろしく木登りに興じることとなった。エインも翼を動かしてついてきたが、スエニョは地上でお留守番。
ブロスが陣取っているところまで登り、空を見やる。
「あっちだ」
と、ブロスは指さしてくれたが、わざわざ教えてくれるまでもない。よぉーく見えているとも。空の青と森の緑に挟まれた水平線が赤く染まってゆく光景がね。
「其は災禍の体現者!」
赤い水平線の向こうから、幻聴ならざる声がまたもや聞こえてきた。先程よりも距離が縮んだので、今度は言葉をしっかりと聞き取れる。
「高き空より襲い来るも稲妻にあらず! 唸りをあげて風を切るも竜巻にあらず! すべてを灰燼に変えるも大火にあらず!」
芝居の台詞めいたその咆哮の残響が消えぬうちに新たな咆哮が響いた。
「其は御身! 我らが首領! 爆撃竜ガングラン卿!」
最初の咆哮は咆哮は一人分だが、今度のそれは大人数のもの。
いや、『一人』だの『大人数』だのという言い方はおかしいか。
奴らは人間ではないのだから。
●幕間
「そう! 私だ! この私だ! 爆撃竜ガングラン卿だぁーっ!」
東洋龍型トループス級たちを従えて、爆撃竜ガングラン卿は意気揚々と飛んでいた。戦う前から凱旋気分。ディアボロスに発見されことなど……いや、そもそもディアボロスが眼下の森に潜んでいることさえ知らないだろう。
「うわー、暑苦しい連中だな」
遠方のガングランを木の上から観察しながら、羽鳥が眉を八の字にして呻いた。
「はい。暑苦しいですね」
レイが同意したが、眉の形は羽鳥とは逆だ。きりりと吊り上がっている。
「でも、練習中の氷雪系パラドクス技の的にするには持ってこいです!」
「ふふっ……」
と、アルメアが苦笑した。
「やかましいことこの上ない連中だが、個人的にはああいったノリは嫌いじゃないな。舞台の上に立ったつもりでいる者にはそれなりの箔があるものだ」
「ハクなんて一つ残らず剥がしてやらぁ!」
ブロスがそう宣言して、木から降りる準備を始めた。
「さぁーて! あいつらのルートを先読みして、途中で待ち伏せしてやろうぜ! 待ち伏せってのはちょいとヒキョウな戦い方かもしれないけれど――」
不敵にして無邪気な笑みがドラゴニアンの少年の顔に浮かんだ。
「――戦場でのヒキョウやコソクは兵法だからな! へへっ!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防空体制】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
アルメア・グラウプナー
「ご機嫌麗しゅうガングラン卿とその従臣どもよ! これより先に貴殿らを行かせる訳には行かないのでね、こうして我々が参上した次第だ」
「悪く思うなよ、これは災禍に巻き込まれた様なものさ。それでも我を通したいならば、十二分に抗ってみるといい!」
・行動
さて、先程話していた通りにガングラン卿の部隊を待ち伏せした上で奇襲を掛け出鼻を挫くとしよう。
まずは開幕にて大砲火を放ち、一気に敵の数を減らしていく。
その後は中距離での射撃戦を展開し、火砲での【砲撃】、ガトリングでの【制圧射撃】【弾幕】、ミサイルでの【爆破】【誘導弾】で攻撃及び味方の支援に周る。
この時も射線が開いていれば大砲火を積極的に使用していくとしよう。
ヴェルチ・アリ
じゃあ、燃やすかぁ。こちとら、炎だけは自信がありましてね。なので、今回も焼き尽くすとしましょう。
ドーモ、ドラゴンの皆さん。ヴェルチです。それじゃあ、灼熱のお時間だオラァ!!
【火炎使い】を使い、相手の炎を上回る炎をもって呑み込み焼き尽くし焼き熔かす。
【完全視界】と【防空体制】を使い、空を飛ぶ相手を見逃さないように。
【パラドクス通信】を使い、周囲の仲間と連携する。
…まぁ、やっぱり、ドラゴンにはドラゴンを、だよね。
力、借りるよ。ベディヴィア卿。
多数の火球を射出した後、火炎瓶とハンマーで凄まじい爆撃を引き起こす。
アドリブ、絡みを歓迎します。
獅子城・羽鳥
【モフ部】
他の方との連携アドリブ歓迎
残留効果活用
(奇襲する時におちょくってやろうと思ってたのに
余りのうるささと暑苦しさで何言おうとしたか忘れた…!
スエニョは大じょうb……なんか楽しそうにドラゴンどもを見てる!?)
うるさい敵にはこっちも轟音で対抗だ!
【PD通信】で仲間とタイミングを合わせて《不意打ち》
予めレイから俺と愛犬の分の氷の大盾もらってダメージ軽減
PDでガトリングガン取り出してから攻撃を終え《一撃離脱・ダッシュ》で回避するまでの過程を《早業》で素早く!
敵の素早い動きは《偵察》で捉えて対処する
飛行する敵は距離を取ってガンガン撃ち落としてやんよ
※愛犬はPDで取り出した台車付きガトリングガン使用
レイ・ディース
【モフ部】
他の方との連携アドリブ歓迎
残留効果活用
※仔山羊が耳を下ろして頭にペタッとくっつける
うるさ過ぎるので耳を塞いでいる
冷気の支配者で頭冷やしてあげようかなと思ったけど
万一脳筋の群れが冷静なパワーファイターに変貌したら厄介よ
一気に脳味噌を凍らせ砕いて倒そう!
【PD通信】で仲間とタイミングを合わせて《不意打ち》
予め私とエイン、希望する仲間に《氷雪使い》で盾を作って渡す
《氷雪使い・連続魔法》で大量の氷柱を作ってエインと一緒に投げまくる!
(仔山羊用のお手製ミトンは既に付けてる)
敵の反撃は《一撃離脱・ダッシュ》で距離を取り《空中戦》の技能で受け流す
ブロス・ブラッドハート
あはは、すっげーど迫力だな!
でも戦いのゴングには似合いだぜっ。賑やかなのは嫌いじゃねぇや!
相棒(大剣)を構えたら味方の近くで待機
こんだけほーかが集中してんだ。うかいしたり森に降りようとするヤツもいんだろ
【防空体制】で敵の動きに注意して、予兆が見えたら地形や障害物も利用して『ダッシュ』
そっちに逃げ場はねーよ!
相棒を一閃させてくぜ
敵の炎玉は【セルフクラフト】と闘気の壁で『拠点構築』して防ぐ。闘気を広げて味方のこともカバーしてみるな
さいかの体現者…にしし、お前らにとっちゃおれ達のがそれかもな
そんじゃおれの名前も憶えといてもらおーじゃん
紅角竜ブラッドハート、ってな!
アドリブ・連携歓迎だー
●レイ・ディース(光翼のダークハンター・g09698)
ガングラン卿たちの進行方向――森林の外縁部にほど近い辺りに私たちは移動しました。
「敵の炎を防ぐために氷の盾とかを作ってくれないか?」
木の陰に身を潜めて敵を待ち受けていると、隣にいた羽鳥さんにそう頼まれました。
しかし、期待に応えることはできません。
「無理です。氷や炎といった属性に関する技能を少しばかり心得てるからといって、その属性を自由自在に扱えるわけではありませんから。そういう性質のパラドクスを介することで可能になる場合もありますが、それにしたって万能というわけではなく……」
と、話している間もガングラン卿たちは迫り続けています。かなり距離が縮まりました。そろそろ、私たちの姿を見つけるかも?
しかし、敵が見つけるより先に――
「どうも! ドラゴンの皆さん!」
――火炎放射器で武装した若い男性が自ら姿をさらけ出し、堂々と手を振ってみせました。
彼はサイボーグのヴェルチさん。新たに合流した仲間です。
ヴェルチさんに続いて――
「ご機嫌麗しゅう、ガングラン卿! そして、その従臣ども!」
――アルメアさんも言葉を投げました。
いえ、言葉だけではありません。
携えている銃器を総動員して、砲弾だの光線だのミサイルだの銛だのを次々と撃ち出しました。
「……と、挨拶をしておいてナンだが、すぐに麗しからざる機嫌になってしまうだろうね! 我々がこうして参上したのは、ここより先に貴殿らを行かせぬためなのだから!」
芝居がかった朗々たる語りを盛り上げるかのように砲弾が炸裂し、光線が閃き、ミサイルが爆発し、銛が突き刺さり……あっという間に何体かのトループス級が傷だらけになりました。攻撃範囲が広い(故にダメージが低い)パラドクスなので、死に至った者はいませんが。
「おのれ、何奴ぅ!?」
と、大音声を発したのはガングラン卿。アルメアさんと同じくらい芝居がかっています。
「ディアボロスに決まってるだろ……」
羽鳥さんが呆れ顔でぼそりと呟きましたが、その声が聞こえていないであろうガングラン卿は芝居気たっぷりの独白を続けました。
「さてはディアボロスか!? ディアボロスだな! ここで会ったが百年目よぉ!」
「あはははは!」
と、ブロスさんが笑い声を響かせました。
「あいつ、俺たちのことを百年も待ってたのか? ずいぶんと気の長いヤツだなあ!」
●アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)
「うぉぉぉーっ! 虐殺の雄叫びを上げよぉー!」
『災禍の体現者』ことガングラン卿は体を反らし気味にして急制動をかけると、翼の動かし方に変化をつけて、その場に滞空した。
後に続いていたトループス級たち(もちろん、私の砲火群を浴びて負傷した者たちも含む)は止まらない。次々とガングラン卿を追い抜き――
「『悪魔(ディアボロス)』などと称しているが、所詮は地を這いずり回ることしかできぬ虫ケラよ! ガングラン卿のお手を煩わせるまでもない!」
「おう! 我らだけで片付けてやろうぞ! 領地奪回戦の肩慣らしに丁度よいわ!」
「いやいや! こんなザコどもを蹴散らしたところで肩慣らしになるものか!」
――吠え猛りながら、私たちのほうに迫ってきた。炎を帯びた長い体をうねらせているので、燃える波が空から迫ってくるように見える。たいした迫力だ。
「あはははは! すっげー、ド迫力だな!」
ブロスがまたもや笑い、私と同じような感想を述べた。派手なアトラクションを前にした子供さながら。まあ、実際に子供なのだが。
「でも、戦いのゴングには似合いだぜっ! 賑やかなのは嫌いじゃねえや!」
「わんわーん!」
ブロスに同意するかのように鳴いたのはパンツァーハウンドのスエニョ。目をキラキラ輝かせて『燃える波』を見据え、尻尾を激しく振っている。彼(彼女?)からすれば、恐るべきドラゴンの群れもフリスビーやボールやゴム製の骨といった犬用の玩具も同然なのかもしれない。
それと対照的なのはメーラーデーモンのエイン。『うるさくてかなわん』とばかりに両耳を伏せている。
そのエインの主たるレイに羽鳥が声をかけた。
「さっき言ってた『練習中の氷雪系パラドクス』とやらを使ってみるか?」
「いえ、ちょっと待ってください」
と、答えたのはレイではない。
ヴェルチだ。
「まずはウチに炎熱系パラドクスを使わせてくださいな。暑苦しい敵には冷や水をぶっかけてやるのが定番ですが、より熱ぅーい技をぶつけてやるのも乙なもんですよ」
●獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)
「目には目を、歯には歯を、ドラゴンにはドラゴンを……力を借りるよ、ベディヴィア卿!」
今は亡きジェネラル級ドラゴンの名をヴェルチは口にした。
次の瞬間、彼の右肩の辺りから炎が噴き上がった。背中に装備していた火炎放射器のタンクが爆発でもしたのか? ……いや、違う。その炎はパラドクスの産物らしい。
「灼熱のお時間だ、オラァーッ!」
ヴェルチの叫びに合わせて炎は虚空に燃え広がり、巨大な翼の形を取った。でも、空を飛ぶための翼ではないようだ。それは突風を受けた旗さながらに躍動し、無数の火の粉を撒き散らし、そして、幾十かの火の玉を放った。
複数の咆哮が轟いた。火の玉の散弾を食群らったトループス級たちの咆哮。それは痛みと熱さがもたらした悲鳴であると同時に、誇りを傷つけられたことで生じた怒号でもあるだろう。『地を這いずり回ることしかできぬ虫ケラ』と侮っていた相手に手酷くやられたんだから(しかも、同族たるドラゴンの力で以てね)。
もちろん、吠えるだけでは終わらない。そいつらもまた火の玉を撃ち出して反撃した。
ヴェルチはそれらを躱し切ることができず、体のそこかしこを燃やされたけど――
「なかなかの火力ですね」
――表情には余裕があるよ。
「だけど、大事なことを見落としていますよ」
そう、トループス級たちは見落としている。失念している。
ここにいるディアボロスはヴェルチやアルメアだけじゃないんだ。
「氷の盾を作るパラドクスは持ち合わせていませんが――」
そう言いながら、レイが木の裏から飛び出した。
エイン(ちなみにまだイカ耳のままだ)と一緒に。
「――氷の槍なら、何本でも生み出せますよ」
●ヴェルチ・アリ(火日饗凶・g03614)
ボクも敵も火炎弾を乱射したもんだから、辺り一面火の海……とまではいかないけれど、あちこちで木や草が燃えている。森林火災の一歩手前って感じ。
でも、ボクは数秒間ほど炎の熱さを忘れた。たぶん、他の皆も忘れただろう。
涼風と呼ぶには冷たすぎる風が吹いてきたから。
風上に立ってるのはレイだ。その手には、彼女が『氷の槍』と呼んだものが握られている。風が帯びていた冷気の発生源――長大な氷柱。
「『冷気の支配者』を使って頭を冷やしてやろうかとも思ったのですが、そのせいで脳筋軍団が冷静な戦士にでも変貌してしまったら、とても厄介ですよね。なので――」
レイは氷柱を放った。槍でも投げるかのように。
「――一気に脳味噌を凍らせて打ち砕きます!」
しかも、一本では終わらない。レイの背中の翼から光の粒子群が放出されたかと思うと、それらが集まって新たな氷柱に変わった。その氷柱を投げている間に三本目が生み出され、三本目を投げている間に四本目が、五本目が、六本目が……と、間断なく攻撃を受けて、四体のトループス級が針鼠みたいな有様になった。
さすがに脳味噌が凍り付くほどのダメージは受けてないみたいだけど、そいつらは体をよろめかせて後退した。間合いを取って仕切り直すつもりなんだろう。
でも、仕切り直せなかった。
なぜなら――
「こっちに逃げ場はねーよ!」
――いつの間にやらブロスが後方に回り込んでいたから。
小さな体に不釣り合いな大きな剣を構えて、彼はトループス級たちに突進した。
トループス級たちは長い体を振り回すようにして反転し、火炎弾を発射。
だけど、ブロスの勢いは弱まらない。オーラみたいなものを前面に展開して火炎弾を防ぎつつ、敵の懐に一直線だ。
そして、大剣を横薙ぎに払った。
「『さいかのたいげんしゃ』とか言ってったっけか? おまえらにとっちゃ、おれらこそがそれかもな!」
深紅の刀身が唸りをあげ、複数のトループス級の首をまとめて刎ねた。
●ブロス・ブラッドハート(竜孺子・g03342)
熱っちいなぁ、もう! 敵の火の玉攻撃は闘気で弾き返してやったんだけど、カンペキに防ぐことはできなくて、火傷しちまったよ。さすがはドラゴンだ。トループス級だからといって、攻撃力はバカにできねえなー。
……なんて思いは顔に出したりせず、俺は相棒(この剣のことだぜ)を勢いよくブン回し、刃についた汚ねえ血を払い飛ばした。
「百年も待った相手なら、名前くらいは憶えといてもらおーじゃん! 紅角竜ブラッドハートたぁ、おれのこった!」
「この『紅角竜ブラッドハート』くんが言ったとおり――」
アルメアが俺の横に並び、何丁もの飛び道具をまたもやバンバン連射した。
「――我々は、貴殿らにとっての災禍だ。故に恨むのも逃げるのも無駄。従容と受け入れるべきではないかな? ……などと言っても無駄か。ならば、気が済むまで抗うがいい!」
「もっとも、気が済んだ頃には消し炭に変わってるでしょうけれど」
ヴェルチが火炎瓶を放り投げた。ただの火炎瓶なんぞがクロノヴェーダに通用するわけがないのに、直撃を受けたトループス級は火達磨になってる。背中に生えた炎の翼の力を瓶に込めたのかな?
「やれやれ」
溜息をつきながら、羽鳥も戦いに加わった。
「なにか気の利いたことを言って敵をおちょくってやろうと思ってたんだけど……あまりの喧しさと暑苦しさのせいで、なにを言おうとしてたのか忘れてしまったじゃないか」
羽鳥が使ってるのは、何本もの筒を束ねたような飛び道具。えーっと、『がとりんぐがん』だっけ? 数の上ではアルメアのそれに劣ってるけど、威力と迫力は負けてねえ。ダダダダダッ! ……と、すんげえ音を響かせて、弾丸をバラ撒いてる。しかも、その『ダダダダダッ!』は二重奏と来たもんだ。スエニョの奴も一回りちっちゃい『がとりんぐがん』を撃ちまくってるから。
「『あまりの喧しさ』と仰いましたが――」
レイが苦笑を浮かべた。横目で羽鳥を見つつ、正面の敵に氷柱をぶつけながら。
「――羽鳥さんが奏でている連射音も相当なものですよ」
「べつにいいだろ」
『ダダダダダッ!』を続けながら、羽鳥が肩をすくめた。
「ヴェルチの言い様じゃないが、目には目を、歯には歯を、騒音には騒音だ」
「わんわん!」
スエニョも楽しそうに『ダダダダダッ!』してる。
エインはあいかわらず耳を伏せてるけどな。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV2が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
●幕間
「貴様ら、恥を知れーい!」
翼を大きくはためかせて滞空状態を維持しながら(足場のない空間に仁王立ちしているように見える)、爆撃竜ガングラン卿は怒声を降らせた。
トループス級ドラゴンの蒼炎のジャッカーたちに向かって。
「なんたる醜態! なんたる失態! 貴様らは災禍の尖兵にして地獄への水先案内人ではなかったのか!? 私の顔に泥を塗りおってぇーっ!」
感情というものが物理的な熱量を有しているなら、ガングランの憤怒によって周囲一帯は灼熱地獄と化していることだろう。
しかし、それほど激しく叱責されているにもかかわらず、ジャッカーたちは謝罪や反省の言葉を述べなかった。頭を深く垂れることも恐怖に震え上がることもなかった。
当然だ。
皆、もう死んでいるのだから。
ディアボロスに倒されてしまったのだから。
「この泥はディアボロスの血でしか濯げぬな……」
歯軋りにも似た呟きを漏らし、ガングランはディアボロスたちを改めて睨みつけた。
そして、芝居がかった語調(もはやおなじみである)で呼びかけた。
「では、リドルといこうぞ!」
なにが『では』なのかはよく判らないが、これが彼なりの宣戦布告の流儀なのだろう。
「其は戦場の芸術家! 赤で塗り潰し、黒を描き出し、白く染め上げる者!」
答えがガングラン自身であることは明白だった。赤い炎を吐き、黒煙を上げさせ、すべてを白い灰に変える存在。
陳腐な謎かけだが、当人は気に入ってるらしい。その表情からは怒りの色が消え、代わりに得意げな笑みが浮かんでいた。
ヴェルチ・アリ
いやいや、そんなに叱らないであげてよ。割と熱かったんだって、そいつらの攻撃。何の慰めにもなってない?それは失礼しました。
さぁてと。
…それはお前。それは貴方。爆撃竜ガングラン卿。
そんでは、僕も改めて。
それは炎。それは閃光。天を染め上げ蝕むもの。
背中から灼熱の炎の翼をジェットの様に吹き出し、目の前の竜をにやりと笑いつつ睨みつける。
その炎、貰いに来たぞ。爆撃竜ガングラン卿。
【温熱適応】を使い、相手の高温から味方を護る。
【完全視界】と【防空体制】を使い、相手の攻撃を見極めつつ。
【光学迷彩】を使い、相手の死角に潜りこむ。
【火炎使い】を使い、防いだ相手の炎を超える炎を叩き込む。
アドリブ、絡みを歓迎します。
アルメア・グラウプナー
「あっはっは! 良いね大将、舞台に立ち続ける者の矜持を貴殿から感じるよ。ならばしっかり応えなきゃあならんな」
「――そうだ、其は爆撃龍ガングラン卿に他ならぬ。では相対するは何か? 其は救国の英雄。現世を壊し、来世を創り、今世を生きる者である!」
・行動
今日は役者に恵まれた。派手な舞台になりそうで楽しみだ、はっはっは!
基本は中距離より火器群でちょっかいを掛けつつ様子を見ていく。
火球や火炎の軌道を【砲撃】や【弾幕】で逸らしたりして味方の支援を行おうか。
疲労やダメージで動きが鈍ってきたら攻勢に出る。コートを脱いで炎熱を防ぐ使い捨ての盾代わりにして【突撃】し、【捨て身の一撃】で大喝砕を叩き込んでやろう。
ブロス・ブラッドハート
(ネメシスで急成長、巨大な騎竜形態に)
ははは!っとーに賑やかな戦場だなぁ
そんじゃぁ、俺の紅もココでド派手に目立たせてもらおーか!
【飛翔】と【防空体制】で空を飛んで爆撃竜に接近
飛行軌道を読まれづらいように急加速や減速、転回しながら火球を掻い潜ったら目指すは空のデッケェ赤だ!
支援があんのはありがてぇ
味方の弾幕が追い詰める方向へ更に追撃して『一撃離脱』
爆撃竜が自由に空を飛べねぇようにしてくぜ
紅角を振りかざしてリドルに対抗するみてぇに咆哮だ
ここ(湖水地方)はお前の慕う陛下とやらの場所じゃねぇよ
ここに暮らす人達のもんだ
地獄への水先案内はこの後に会う部下にでもしてもらうんだな!
アドリブ・連携歓迎だ
陳・桂菓
遅ればせながら助太刀する。
使用武器は朴刀『驪竜』
敵が空から炎弾を降らせて地を焼き尽くそうとするならば、こちらは【飛翔】して肉迫し、接近戦を挑もう。
【単駆突赴】は高速一点突破の技。できれば、炎の弾幕に隙間を見出した上で、それを縫うような道筋で突撃したいところだが……隙がないなら、突破力をもって強引に押し通ることになる。
これは、己の得物の頑丈さと己の技の威力を信じるしかない。
「芸術家気取りか……ならば、この謎を解いてみよ。絵筆を持たぬ芸術家のアトリエと掛けて、貴様のこの場での戦いぶりと解く。その心は?」
「その心は、どちらも『かいがない(絵画ない、甲斐がない)』だ。貴様はここで戦果もなく散るがいい」
●ブロス・ブラッドハート(竜孺子・g03342)
「其は戦場の芸術家! 赤で塗り潰し、黒を描き出し、白く染め上げる者!」
リドルとやらを大声で告げると、ガングランはニヤリと笑ってみせた。新宿島で覚えた言い回しを使うなら、『ちょっとドヤ顔入ってる』ってところか。
ここでトループス級(ガングランに言わせると『サイカンセンペーにしてジゴクヘノミズササキアンナイニン』なんだとよ)の屍の群れが一斉に立ち上がって『ソハオンミ!』と綺麗に声を揃えて答えたりしたらケッサクなんだけども、さすがにそんなことは起きなかった。
だが、無口な屍どもに代わって――
「それはおまえ。それはあなた。爆撃竜ガングラン卿」
「其は御身! 爆撃竜ガングラン卿に他ならぬ!」
――ヴェルチとアルメアがほぼ同時に答えた。
で、アルメアのほうは解答者から出題者に変わった。
「今度はこちらが問う番だ。『災禍の体現者』にして『戦場の芸術家』たる汝に相対するのは何者か? 其は救国の英雄。現世を壊し、来世を創り、今世を生きる者である!」
それって、ディアボロスのことだろ? 俺にだって判るぜー。
ガングランも判ったらしく、自信満々といった感じで答えた。
「其は私!」
……は? なに言ってんの?
「常に己と相対して研鑽を怠らず、他のディヴィジョンの魔手から祖国を守り、不完全なる現世を壊し、より良き来世を創るべく、今世を生きる――この爆撃竜ガングラン卿である!」
どんだけ自分のことが好きなんだよ。ホント、おもしれえ奴だな。
「あっはっはっ! 貴殿らしい解答だ!」
アルメアは楽しげに笑ってるし。
でも、その後ろからとヌッと現れたインセクティアの姉ちゃんは笑ってない。
「次はこの謎を解いてみよ」
と、クマバチっぽい特徴を持ったその姉ちゃん――桂菓はガングランに言った。
「絵筆を持たぬ芸術家のアトリエとかけて、貴様のこの場での戦いぶりと解く。その心は?」
●ヴェルチ・アリ(火喰らい・g03614)
いの一番に桂菓の謎かけに反応したのはガングランじゃなくて――
「んー? さっぱり判らねー」
――ブロスだった。首をかしげて考え込んでる。
ガングランのほうは長い首をかしげてこそいないけれど、さっぱり判ってないという点ではブロスと同じだろうね。そうでなければ、速攻で解答しているはず。
「その心は――」
地を蹴り、高く跳躍する桂菓。重力は彼女を引き戻さなかった。パラドクス効果『飛翔』の力。
「――どちらも『カイがない』だ。貴様はここで戦果もなく散るがいい」
「うまい!」
と、ブロスが賞賛を送った。
「新宿島で覚えた言い回しを使うなら、『座布団一枚!』ってやつだ……とか言ったみたけれど、実はまだよく判らねえんだよなー。ヴェルチは判る?」
「うん。今のは『絵画』と『甲斐が』を引っかけた……」
と、ボクがブロスに解説している間に桂菓はガングランに迫った。赤い闘気を全身から発して。その勇姿は火の玉さながら。
「笑止! 甲斐もなく散るのは貴様らのほうよ!」
ガングランは後方斜め上に飛び、桂菓との距離を広げつつ、次々と火の玉を発射した。こっちは『さながら』じゃなくて本物の火の玉だ。
でも、『さながら』のほうの桂菓は怯まない。折れ線を描いて火の玉の群れを回避し、広げられた距離を一気に詰めた。
そして――
「突き破る!」
――竜骸剣らしき長大な刀を一薙ぎ。
ガングランの腹が真一文字に裂け、どす黒い血が噴き出した。でも、桂菓の体が返り血に染まることはなかった。斬りつけると同時に飛び退ったから。
「ぐぬおおぅ!?」
と、身をのけぞらせて悲鳴を発したガングランだけど、三秒も経たないうちにその悲鳴を哄笑に変えた。
「うはははははは! 思ったよりもやるではないか! しかーし、これは貴様たちの最初にして最後の一太刀! 以降、私の体から血を流すことはできぬ!」
この状況で強がれるとはたいしたもんだね。呆れるのを通り越して感心しちゃうよ。
「あっはっはっはっは!」
と、アルメアも笑い声を大きくした。彼女の場合、感心を通り越して感動しているかも。
「良いね、大将。舞台に立ち続ける者の矜持を貴殿から感じるよ。ならば、しっかり応えなきゃあならんな」
●陳・桂菓(如蚩尤・g02534)
地上にいるアルメアが銃火器を乱射。
一瞬、ガングランの姿が見えなくなった。爆炎や砲煙に覆い隠されたのだ。その『一瞬』が過ぎ去って再び現れ出た時、爆撃竜は総身に傷を……負っていなかった(私が苗刀『飛竜』で以て与えた傷はあるが)。どうやら、アルメアの攻撃はパラドクスではなかったらしい。いや、そもそもガングランを狙ったわけではなく、奴が私に向かって放った火球群のほうを狙ったようだ。
なんにせよ、その非パラドクス攻撃は効果をあげなかった。
相手を苛立たせることはできたが。
「えーい! 姑息な真似を!」
ガングランは怒号とともに火球群を再び放った。
「おっと!?」
地面を跳ね回るようにして火球群を回避するアルメア。
ガングランは躍起になって追撃しようとしたが――
「ねえ、ガングラン。ボクの謎かけも聞いてよ」
――声をかけられ、首をぐるりと巡らせた。
その視線の先に立っているのはヴェルチだ。
ガングランの目は怒りに激しく燃えているが、ヴェルチの目も燃えている。これは修辞的な表現ではない。本当に蒼い炎が宿っているのだ。
「其は炎! 其は閃光! 天を染め上げ、蝕むもの!」
咆哮に呼応するかのように、ヴェルチの瞳に宿っていた炎が奔流となって……いや、光線となって、ガングランへと伸びていった。
「うぉ!?」
蒼い炎の奔流/光線に首の根本の辺りを打ち抜かれ、ガングランはよろめいた。
墜落こそしなかったが、体勢をすぐに立て直すこともできなかった。
なぜなら、ここぞとばかりにアルメアが跳躍し――
「どうした、大将! 退場するにはまだ早いぞ!」
――爆撃槌を横っ面に叩きつけたからだ。
私が生まれた大戦乱群蟲三国志には錘という武器があるのだが、アルメアの爆撃槌もそれに似ていた。槌部が鉄球なのだ。その鉄球が爆発し、ガングランの体は再び(かつ、先程よりも激しく)よろめいた。今度の攻撃はパラドクスによるものだったらしい。
●アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)
今回は良い共演者に恵まれた。派手な舞台になってなにより。
「思ったよりもやるではないか!」
共演者にして敵役たるガングランが吠えた。その拍子に白い破片が口から飛んだ。我が爆撃槌『ファイアヴェルク』の一撃を食らった際に牙が何本か折れたらしい。彼が『思ったよりもやる』という評価を口にしたのはこれで二度目だが、今回の発言にはより実感が込められているような気がする。
「あの恥知らずの役立たずどもが全滅させられたのも頷けるというものよ!」
「恥知らずだの役立たずだのと言うのはやめてあげなよ」
と、今は亡きトループス級たちを苦笑まじりに庇ったのはヴェルチだ。
「そんなに腐すほど弱っちくはなかったよ。割りと熱かったんだって、そいつらの攻撃」
「うん。熱かった、熱かった」
ブロスが同意した。
そして、大きな翼を広げて舞い上がった
ドラゴニアンとはいえ、身の丈が百二十センチほどしかない男児が大きな翼など持っているわけがない――そう断ずるのは早計というもの。今の彼は『百二十センチほどしかない男児』などではない。いつの間にやら、ネメシス形態に……そう、翼竜のような姿に変化していたのだから。
「どりゃあああーっ!」
雷鳴と地響きが競奏しているかのような雄叫びを発しながら、翼竜となった竜人はガングランめがけて突進した。新宿島で初めて観た怪獣映画という代物もかくやという大迫力。敵役ばかりでなく、仲間の役にも恵まれたな。
「さっき、『祖国を守る』とかなんとか抜かしてたよな? だけど、ここはおまえらやおまえらの慕う陛下とやらの祖国なんかじゃねえ!」
くるりと回ったかと思えば、急制動をかけ、次の瞬間にはまた猛スピードで発進し……と、予想のつかぬ動きで火球を躱しながら、ブロスは敵の懐に飛び込んだ。
「ここに暮らす人たちのもんだぁーっ!」
翼に備わった鋭い爪(翼竜型なので、前肢はない)がガングランの頭頂部に打ち込まれた。
「そうだ。この地にドラゴンの居場所はない」
桂菓もガングランに急接近。今度は背中に斬撃を浴びせた。
「その炎、貰い受けるぞ。ベディヴィア卿と同様――」
ヴェルチの目から再び火線が迸った。
「――ボクの力の糧となってもらう」
次から次へと繰り出される猛攻。ガングランも果敢に反撃しているが、数の差はいかんともしがたく、その体は襤褸切れのようになっている。
そろそろ、幕引きの頃合いか?
「ガングラン卿よ。貴殿は申し分のない共演者だった。だが、カーテンコールは期待しないでくれ」
私は『ファイアヴェルク』を構え直し、襤褸切れのごとき『戦場の芸術家』へと突き進んだ。
●幕間
アルメアの爆撃槌が炸裂し、桂菓の刀が閃き、ブロスの爪が唸り、ヴェルチの光線が走り……そして、森に土煙が上がり、無数の葉が乱舞した。
ガングランが力尽き、墜落したのだ。
「ジゴクヘノミズサキアンナイはこの後に会う手下どもにでもしてもらうんだな!」
木々を巻き込んで倒れ伏したガングランを空中から見下ろして、翼竜のブロスが言い放った。
ガングランは無反応。大言を吐き続けていた口は開きっぱなしになっており、熱い(というか、暑苦しい?)炎が宿っていた瞳は濁っている。
息耐えてしまったのだ。
「やれやれ。芝居がかった捨て台詞も残さずに死んでしまうとは……画竜点睛を欠くな」
アルメアが残念そうに肩をすくめてみせた。
「気落ちすることはない。竜の画はまだ完成していないんだからな」
桂菓がそう言って、視線を横に走らせた。
「そうだね。仕上げが残ってる」
ヴェルチが頷き、同じ方角を見やった。
森の外――草原がある方角を。
聖ギルダス騎士団がいる方角を。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【温熱適応】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
【飛翔】LV2が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
●幕間(承前)
「えーい! ガングラン様はまだか!? まだ来られぬのか!?」
「遅い! 遅い! 遅すぎるぅーっ! これ以上、待ってらんねえ!」
「いっそ、我らだけで出立するか? ガングラン様たちは後から追い付いてこられるだろう」
「いや、独断専行は許されぬ! これは奪われた地を取り戻すための聖戦なのだぞ!」
「そうだ! 足並みを乱すわけにはいかん! ……とはいえ、待つ身はつらぁ~い!」
草原の丘の上に集まった狂犬の群れ――聖ギルダス騎士団。
彼らはあいかわらず燃え盛っていた。しかし、その燃料は変わっている。先程までは戦意。今は苛立ち。
「おい!」
と、団員の一人が彼方の森を指し示した。
「あれを見ろ! 煙だ! 煙が立っておる!」
彼の言う通り、森からは幾筋もの煙が立ちのぼっていた。ディアボロスたちやガングラン一党が撃ち出した炎によるものだ。
「あれはガングラン様が来られる方向ではないか?」
「そこで煙が生じてるってことは……ま、まさか……」
「信じられぬが、その『まさか』であろう。ガングラン様は――」
団員たちの顔色が変わった。知性をどこかに置いてきたような連中ではあるが、この状況下で事態を把握できぬほど愚かではないらしい。
「――食事休憩を取っておられるのだぁーっ!」
「なんと悠長な!」
「キャンプ気分かよ!」
いや、やはり愚かだった。
ヴォルロント・エルダールーン
(サポート)
ドラゴニアンの撃竜騎士×モーラット・コミュ。
赤い鱗と金色の瞳が特徴的。
恐ろしい見た目をしているが、平和主義者。
「今回は、宜しくお願い致します、自分は新参者ですので、指示を下さい!」
敵にも敬語
「行きますよ!」
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、怪我は厭わず積極的に行動。
他のディアボロスと積極的に共闘し、主に前衛での足止めや殲滅を行う。
依頼の成功よりも情などを比較的優先する傾向がありますが、
成功を目標とする味方の邪魔をするようなことはしません。
また、介錯など、苦しんでいる人のために自身は心身ともに積極的に傷付きに行きます。
細かい部分はお任せ致します!
宜しくお願い致します!
ポーリーン・フォレット
(サポート)
エルフのレジェンドウィザード × オラトリオ
お花とアイドルが大好きなごく普通の71歳のお婆ちゃんよ
ディアボロスとはいえ若い子にばっかり戦わせるなんて、そんなの人生の先輩としてダメダメよね?
情けない姿を晒したら天国の夫に顔向けできなくなっちゃうわ!
それに可愛いアイリーンと一緒なら私だってまだまだ頑張れちゃうんだから!
年寄りの冷水なんて言わせないのよ
でも皆若いのに本当によく頑張ってるわね!偉いわ
パラドクスは指定した物をどれでも使用しちゃうわね
多少の怪我は我慢するわ
モチロン他のディアボロスに迷惑をかける行為と公序良俗に反する行動はナシ寄りのナシよ!
あとはおまかせ!よろしくおねがいしちゃうわね!
●ヴォルロント・エルダールーン(殲滅、破壊、渾沌、多肉植物・g06769)
我らは肩を並べて草原を駆けました。
行く手の丘に陣取るは『聖ギルダス騎士団』なる甲冑姿の竜鱗兵たち。
彼らはこちらの姿に気付くと――
「妙な連中が接近してくるぞー!」
「確認! ドラゴンモドキが一匹! エルフのババアが一匹! それにオマケが二匹!」
「ディアボロスか!?」
「見るからに三下よ! ディアボロスであったとしても、物の数ではないわ!」
――口々に叫びました。
『ドラゴンモドキ』というのはドラゴニアンたる我のことでしょう。ドラゴンの角や翼や尻尾が生えた人間といった姿ではなく、直立したドラゴンのごとき体形であり、しかもガングランのように体色が赤いのですから、モドキ扱いされるのも無理からぬこと。もっとも、竜鱗兵たちのモドキ振りも我とさして変わらないような気がしますが。
「あらあら。随分と口の悪い騎士さんたちだこと」
我とともに走っていたポーリーンさんが苦笑らしきものを漏らしました。『らしき』がつくのには訳があります。肩で息をしているような有様なので、本当に笑っているのかどうか判り辛いのです。なにせ、彼女は七十代。本来ならば、戦場を全力疾走するような年齢ではありません。
我は足を止めました。ポーリーンさんを気遣ったからだけではなく、走る必要がなくなったから……そう、騎士団が丘から駆け下り、こちらに押し寄せてきたからです。
「まあ、ババア呼ばわりされても文句は言えないわよね。実際、私はおばあちゃんですもの。だけど――」
ポーリーンさんも立ち止まりました。
息が切れたからではなく、騎士団を迎え撃つために。
「――アイリーンをオマケ扱いしたことは許さないわ」
アイリーンというのは、ポーリーンさんが伴っているオラトリオのこと。
彼女は(オラトリオ故に)無言でしたが、オマケ扱いされたもう一体のサーヴァント――モーラット・コミュのキングオブエデンは元気よく鳴いて、ポーリーンさんに同意を示しました。
「もっきゅうぅぅぅーん!」
●ポーリーン・フォレット(エルフのおばあちゃん・g06164)
ヴォルロントくんのちっちゃな相棒の可愛い鬨の声に合わせて、私はパラドクスを発動させた。
全身に力が流れ込んでくるのを感じる。すぐ後ろに控えてるアイリーンから。
両手を空に掲げると、その力が一気に解放された。
そして、無数の花片に変わった。
ネモフィラの花片よ。
それらは青紫の軌跡を描いて乱れ飛び、美しくも苛烈な光を放った。
「ネモフィラの花言葉は『あなたを許す』だったかしら?」
こっちに迫っていた騎士たちのうちの二体に光が命中。即死は免れたけど、甲冑の一部が飴のように溶けて、剥き出しになった鱗が焼け焦げた。
「でも、さっきの宣告の通り、あなたたちを許すつもりはないわ。ごめんなさいね」
「黙れ、ババア! おまえらは許すだの許さぬだのと言える立場じゃねえだろ!」
「そうだ! この戦いの大儀は我らにあり!」
光に焼かれたことによって生じたであろう激痛などものともせずに(まあ、痩せ我慢しているだけでしょうけれど)二体の騎士は声を張り上げ、更になんやかんやと言い立てた。たぶん、それらは反論や主張ではなく、言葉によるパラドクス。
私はリウマチに痛む膝を駆使(というか、酷使ね)して、言葉の力が及ばぬ範囲に退避した。新宿で見出した推しアイドルたちの華麗なるステップには遠く及ばないけれど、なんとか回避は成功。
「大丈夫ですか?」
と、声をかけてきたのはヴォルロントくん。
『ええ、大丈夫よ』と答える間もあらばこそ、彼は私の横を通り過ぎ、敵陣へと突っ込んだ。
「咆哮せよ、我が剣!」
ヴォルロントくんは長い尻尾を伸ばしてバランスを取りつつ、ものすごい勢いで上半身を半回転させ、大きな剣を振った。刃の軌道上にいた三体の騎士がまとめて吹き飛ばされ……いえ、違うわね。吹き飛ばされたのは一体だけ。残りの二体(ネモフィラの光に焼かれた例の騎士たちよ)は胴を輪切りにされちゃった。迫力満点の戦い振り。その雄姿はドラゴンモドキどころかドラゴンそのものを彷彿とさせるわ。
でも、騎士たちは気圧されることなく――
「こいつら、意外とやるぞ!」
「三下と見たは誤りであったか! だが、負けはせぬ!」
「おう! 殺ってやるぜぇーっ!」
――今まで以上に鼻息を荒くして、攻撃を仕掛けてきた。
もっとも、気圧されていないのは私やヴォルロントくんだって同じこと。
「オマケと見たのも誤りだってことを教えてあげましょうか」
背後のアイリーンに声をかけると、こくりと頷く気配が伝わってきた。
そして、物言わぬ彼女に代わって私を激励するかのように、ヴォルロントくんの相棒ちゃんが再び吠えた。
「もきゅー!」
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
アルメア・グラウプナー
「やあやあ御機嫌よう聖ギルダス騎士団の諸君! 残念ながらガングラン卿はここに来れなくなったとの仰せだ。代わりに伝言を頼まれている」
「『一足先に冥府へ行く、寂しいからお前達も早く来い』だとさ。と言う訳で――さっさと貴殿らも冥府へ行きたまえ!」
・行動
既にこの舞台に主役は居ない。せめて演出くらいは派手にしなければな。
敵陣へ特殊炸裂弾をバラ撒く様に何発も撃ち込み、爆炎と音で部隊を個別に分断してしまおうか。
後は火器群による【砲撃】【制圧射撃】【弾幕】で反撃の意志を挫き、更に特殊炸裂弾でダメージを与えていくとするか。
これらを乗り越えて接近してきた剛の者には爆裂鉄球とソードオフに持ち替えて応対し吹っ飛ばす。
ブロス・ブラッドハート
(引き続きネメシス形態)
遮蔽物も何もねーなら奇襲は無理か。ならせめて強襲はさせてもらおーじゃんか
空を悠々堂々と飛んで【飛翔】でまっすぐ敵陣に向かうぜ
この姿で「貴様らガングラン様からの言伝だー!」…なんて言やーコロッと騙されるか?
背中に仲間を隠せるよーなら試してみんのもありだな
近づいたところで空中から火炎弾を『ブレス』
聖ギルダスの陣営を狙い撃つぜ
爆撃竜ほどじゃねーだろうけどなぁ、俺の炎も戦場を赤く塗りつぶすには足りるぜ!
言伝?へへっ、それは俺の仲間が伝えるってよ
槍の攻撃は巨躯で牽制、火矢の援護射撃は炎で焼き払う
湖水に足を踏み入れるたびに思い出しな。ディアボロスって災禍をな
アドリブ・連携歓迎だ
ヴェルチ・アリ
はいどうもヴェルチです。申し訳ないんだけど、逃げ出すのも土下座しての命乞いも今回は無しで。
皆殺しには皆殺し、火をつけるんなら生憎僕ってのがいましてね?
まぁつまりは…灼熱地獄、焼き土下座のお時間です。
【火炎使い】を使い、一気に敵を焼き尽くす。真正面から炎で呑み込み焼き熔かす。
どうせすべて焼き尽くす。それが遅いか早いかの違いってだけでね。
だからこそ、安心して燃え尽きてしまえ。火竜を喰らう我が炎、一切の逃げ場も無しだ。
アドリブ、絡みを歓迎します。
陳・桂菓
あとは正面から敵群を撃滅するのみか。
ふむ、そういうのは不得意ではない。一つぶちかましてやるとしようか。
使用武器は双短戟『騰蛟昇竜』
高速移動に強力な斬撃と、シンプルながら効果的な戦法で攻め立ててくるようだ。
【砕空狼牙】の広範囲攻撃ならば、どれほど速かろうが逃げ場も与えず打ち据えることができよう。敵の斬撃の威力に対抗できるかどうかは……私自身の腕力や闘気の強さを信頼するしかない。
平原を見渡せる丘、つまり開けた地形ということは、袋叩きに遭いやすい代わりに、こちらの範囲攻撃だってよく当たるということ。
伊達に戦神の裔など自称しているわけでないことを思い知らせよう。
「蚩尤が武、その身で味わえ!」
●陳・桂菓(如蚩尤・g02534)
私たちはパラドクス効果の『飛翔』を用いて空に舞い上がり、ドラゴンの死体だらけの森を後にした。
数分も経たぬうちに新たな戦場に到着。先行したポーリーンとヴォルロントが竜鱗兵たちを相手に暴れ回っている。
おそらく、敵は私とアルメアとヴェルチの姿をまだ視認できていないだろう。先頭を飛ぶブロスの巨影(そう、彼はネメシス形態を保っていた)に隠されているから。
「おい、貴様らー! ガングランからの言伝だぁーっ!」
ブロスが吠えた。
眼下の竜鱗兵たちがそれに反応するより先に――
「『一足先に冥府へ行く。寂しいから、おまえたちも早く来い』とのことだ!」
――アルメアがブロスの陰から飛び出して急降下。
続いて、私とヴェルチも地に降り立った。
「はい、どうも。ヴェルチです」
並み居る敵に臆することなく、会釈してみせるヴェルチ。
竜騎兵たち(ポーリーンやヴォルロントと戦っている者たちを除く)は突然の乱入劇に少しばかり気後れしているようだ。しかし、そこは練達の戦士(なのだよな?)。すぐに本来の調子を取り戻した。
「えーい! ガングラン様がどうとうかこうとか、わけの判らねえことを言ってんじゃねえぞ!」
「冥府に落ちるのは貴様らのほうよ!」
「皆殺しにしてやるわ!」
怒声を発しながら、襲いかかってくる。凄まじい剣幕だ。
しかし、どうということはない。口幅ったいようだが、私たちもまた練達の戦士なのだから。
その自信を裏打ちしてくれるかのようにヴェルチが静かに呟いた。
「皆殺しには皆殺しを……」
小型の銃器を懐から素早く取り出しながら。
「貴殿らは小洒落た会話劇なんかよりも俗っぽくて血生臭いグランギニョールのほうがお好みだろう?」
アルメアも武器を構えた。こちらは小型ではない。片腕を覆い隠すように装着された大砲だ。
「ならば、その好みを尊重しよう!」
大砲が火を噴いた。
●ブロス・ブラッドハート(竜孺子・g03342)
アルメアのアームキャノン(腕に着けてっから、名実ともにアームキャノンだな)が『ドカーン!』と吠えた。
同時にヴェルチが動いた。群がる竜鱗兵どもの間を走り回りながら、飛び道具を速射、連射、乱射! 撃って、撃って、撃ちまくーる! 鉛弾が四方八方にバラ撒かれ、何匹かの竜鱗兵が蜂の巣になった。たぶん、それはかなり無茶な撃ち方だったんだろう。だって、ヴェルチの手にしている飛び道具からは硝煙とは違う感じの煙がぷすぷす噴き出してるし。
「貴殿の銃、熱を発してないかい?」
アルメアが訊いた。ヴェルチと同じように走り回り、大砲を撃ちまくりながら。
「ええ、発していますとも。尋常じゃないほどの熱を」
ヴェルチがそう答えた直後、奴の周囲に炎がぶわっと巻き起こった。よく判んねえけど、飛び道具の熱を炎に変える……みたいなパラドクスか? さっきの乱射はこれの前段階に過ぎなかったのかも。
「本日二度目の灼熱のお時間だぁーっ!」
炎の突風が吹き荒れた。それを浴びたのは、飛び道具で蜂の巣にされた(でも、まだ死んじゃいない)竜鱗兵どもだ。
だが、そいつらは泣き喚くことも逃げ出すこともなく――
「これが灼熱だと!? 笑わせるな!」
「ちっとも熱くねえや! 小火にも劣るぜ!」
「本当の灼熱ってものを俺らが教えてやらぁーっ!」
――穴だらけプラス火達磨の状態のまま、槍で以て反撃を繰り出した。下っ端のトループス級といえども、根性は一級品ってか。そういうノリは嫌いじゃないぜ。
だけど、悲しいかな、喧嘩ってのは根性だけでは決まらないんだよなー。ヴェルチは素早く体を捻り(それに合わせて、周囲の炎も渦巻いた)、竜鱗兵たちの槍を紙一重か紙半重かってところで躱した。
で、空振りして体勢を崩しちまった竜鱗兵たちの横から――
「まったく……口の減らぬ連中だ」
――桂菓が突っ込んできた。中国版ハルバートみたいな武器を左右の手に一本ずつ持って。
●アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)
「まったく……口の減らぬ連中だ」
呟きとともに小さな竜巻が走った。
もちろん、比喩だ。竜巻の正体は桂菓。闘気を纏った二本の方天画戟を手にして、風をも絶つようなスピードで旋回している。どちらの方天画戟も小振りだが、リーチは決して短くない。標的を斬るのは実体ある刃ではなく、旋回によって生じた斬撃波なのだから。
その恐るべき斬撃波を浴びせられたのは『口の減らぬ連中』と評された三体のトループス級だ。ヴェルチのパラドクスで撃たれ/焼かれてもなお意気軒昂に振る舞っていた猛者たちだったが、今回は耐えきることができず、減らず口の代わりに首と腕と足と尻尾を減らされた。つまり、五体バラバラになったということ。
しかし、残されたトループス級たちの意気は未だに衰えていない。地面に散らばった同胞のバラバラ死体を蹴散らすようにして桂菓に迫り、囲み、剣で斬りつけていく。
「こういう開けた戦場では袋叩きに遭いやすいが――」
桂菓は冷静かつ果敢に対応。次々と襲い来る刃を躱しながら、あるいは捌きながら、あるいは避けきれずに傷を受けながらも、旋回のパラドクスで反撃を加えた。
「――それはこちらの広範囲攻撃もよく当たるということでもある」
さすがにバラバラにされたトループス級は皆無だったが(先程の三体と違って、事前にダメージを受けていたわけではないからな)、剣を折られた者や腕を斬り落とされた者はいた。
「伊達に戦神の裔を自称しているわけでない。蚩尤が武、その身で味わえ!」
何本目かの腕を断ち切って、桂菓が吠え猛ると――
「そうだ! シユーガブをたっぷり味わいやがれ!」
――空を舞っていたブロスが呼応した。
●ヴェルチ・アリ(火喰らい・g03614)
世界が明滅しています。暗くなったかと思ったら、すぐに明るくなり、また暗くなって、明るくなり……。
その原因はブロス。飛行中の彼が頭上を通過する度、陽光が遮られるのです。
「そうだ! シユーガブをたっぷり味わいやがれ!」
幾度目かの薄闇が到来した時、ブロスが叫びました。賭けてもいいですが、『シユーガブ(蚩尤が武)』の意味は絶対に判ってませんね(いえ、ボクにもよく判りませんが、『蚩尤』というのが中国の軍神の類であろうことは察しがつきます)。
空を堂々と飛び回っている彼は格好の的。桂菓と同様、敵のパラドクスを間断なく浴びせられています。だけど、しっかり反撃しているという点も桂菓と同じ。
反撃に使っているパラドクスは――
「今は亡きセンジョーノゲージュツカ様ほどじゃねえだろうけどなぁ、俺の炎も戦場を真っ赤っ赤に塗り潰すには足りるぜぇーっ!」
――咆哮とともに吐き出される炎のブレスです。いえ、巨大な火球と言うべきでしょうか? あちらで着弾し、こちらで着弾し、爆発、爆発、また爆発。無数の炎が飛び散り、飛び交い、ボクのパラドクスによって生じた炎とともに周囲を火の海に変えていきます。
もっとも、竜鱗兵たちの闘志の炎も未だ激しく燃え続けていますが。
「ぬるい! ぬるい! ぬるすぎるぅー!」
「この程度の炎で我らを焼き殺せると思うなよ!」
「ガングラン様の食事休憩が終わる前にかたづけてやるぜ!」
食事休憩云々というのはよく判りませんが、ガングランが討ち取られたということを知らないのは間違いないようです。アルメアの『言伝』を理解できなかったのか。あるいは虚言と受け取ったのか……。
そのアルメアがまたもやアームキャノンを発射しました。
「せめて、演出くらいは派手にしないとな。この舞台の主役となるはずだったガングランは既に退場しているのだから」
砲弾が炸裂し、閃光付きの爆音が轟きました。確かに派手な演出です。そして、堅実でもあります。彼女は無闇矢鱈に乱射しているわけではなく、敵を分断するような形で攻撃しているようですから。
「これでもまだ『ぬるい』と嘯くか?」
そう問いかけたのは桂菓。分断された敵軍の片割れに突撃し、問の答えを待つことなく何体かの竜鱗兵を斬り捨てました。
そして、上空ではブロスが首をもたげ――
「湖水地方に足を踏み入れる度に思い出しな! ディアボロスっていう災禍をな!」
――角の生えた頭を勢いよく振り下ろすと同時に火球を口から発射。あちこちでまた火柱が立ちました。
「いや、『湖水地方云々』という条件をつけてしまったら、二度と思い出せないだろう」
アルメアが薄く笑い、冗談めかした調子でブロスの言葉を否定しました。
「この哀れな騎士たちは湖水地方どころか、地上のどこにも足を踏み入れることはできないのだから」
その通り。竜鱗兵たちはどこにも行けません。冥府に落ちるのですから。
「先にアルメアちゃんが伝えた通り、冥府ではガングランが待っている。だから、安心して燃え尽きてしまえ」
と、ボクは竜鱗兵たちに言ってあげた。
そして、弾雨と獄炎のパラドクス『ノヴェンブレの雷火』を再発動させた。『灼熱のお時間』は終わってない。
「火竜を喰らう我が炎! 逃げ場は一切ないと知れ!」
●終幕
十数分後。
「舞台劇の終わりにはなんともいえない寂しさが伴うものだな」
何度も砲声を轟かせたアームキャノンを労るように撫でながら、アルメアは周囲を見回した。
辺り一面(草原全体と比較すれば、猫の額もいいところだが)は焼け野原と化し、聖ギルダス騎士団は無数の肉片もしくは消し炭と化している。
「そうですね」
目についた小さな残り火を踏み消しながら、ヴェルチが頷いた。
「それが悲劇であれ、喜劇であれ……」
と、桂菓が言葉を添えた。
「なあに、寂しい感じがするのも今だけだって!」
陽気な声を出したのはブロスだ。ネメシス形態を解き、十歳の男児の姿に戻っている。
「あんこーる公演ってのをやる機会がすぐに来るさ! 敵役のクロノヴェーダどもはこの世界にまだうじゃうじゃいるんだからな!」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【照明】がLV2になった!
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【フライトドローン】LV1が発生!
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