リプレイ
玖珂・駿斗
「やっと来たよ、この時が」
世田谷区、自分の故郷
ここを奪還するために力をつけてきた
泳ぐ、ただまっすぐに
奪還するために
邪魔するやつは誰であろうと容赦はしない
目指すは奪われた故郷
取り戻すんだ、今こそ
あの日常を
「あの頃の俺とは違う、もう奪われるだけなんてまっぴらだ!」
「返してもらう、この地も空も。でかい面して飛んでられるのも今だけだ!」
黒白園・真雪
アドリブ・連携歓迎。
トップもいねぇ、処刑ショーっつう娯楽も中止になってだらけきってるなんざ、突っ込まれても仕方ねぇってもんだ
このチャンスを逃す訳にはいかねぇ、デケェ相手を引っ張り出す為にも成功させるっきゃねぇな
海からの潜入か……、ちっと冷たいけどまぁ、泳ぐのには問題ねぇよな。
……海水浴とか、よく考えたらやったこと無かったぜ。
これが初の海水浴ってのは、ちぃっと複雑だけどよ……けど、敵地に着くまでの間ぐらい、楽しんじまうのもアリかもな
泳ぎ方をよく知らない子どものように適当に動いてみたり、翼を羽ばたかせて水面すれすれを滑空してみたり
よっぽどじゃねぇと溺れねぇとは思うけど、一応気を付けておくか
ラウム・マルファス
ソラ(g00968)と
水中適応で海底へ行くヨ。
あんまり眼鏡濡らしたくないケド、海上を行くのも目立ちそうだからネ。まだちょっと水中は寒いナァ。
海中用に換装した汎用ドローンで、面白いものが無いか探しながら進もウ。
せっかくだから熱波の支配者も試してみよウ。水温もあがるのカナ?気温だけカナ?
海中用に換装した汎用ドローンに掴まって進めばラクチンだネ。
「……来た方向どっちだっケ?」
目印ないからわかんないんだよネ。スマホのGPSと地図アプリ使えるかナァ。見てみよウ。
地上が近づいたら、周囲に敵がいないか警戒して、なるべく目立たないように上陸しよウ。
ソラス・マルファス
兄貴(g00862)と
いい天気だねぇ。戦いなんざ忘れてゆっくりしたいところだが、まぁそうもいかねぇやな。焦るつもりはねぇが、進めるペースで進むとしよう。
水中適応で海底を歩くぜ。相変わらず植物も生物もなく平らなのかねぇ。歩きやすいのは有り難いが、少々不気味にも感じるな。
兄貴のドローンが使えそうなら、俺も一台借りよう。
地上より視界は悪いから、兄貴がはぐれないよう適当に白衣を掴んでおくぜ。
「そっちじゃねぇよ、ほれ、あんまりキョロキョロしてると迷子になるぞ」
地上へ出たらヤンキーデーモンを探すんだったか。テラスなら南向きの高いビルの中層か高層だろう。それっぽい場所を探すとしよう。
●決意
目の前に広がる青々とした海――その先に、目標の地がある。玖珂・駿斗(人間の一般学生・g02136)は海の先に見える世田谷区を見据え、ぎゅっと拳を握りしめた。
「やっと来たよ、この時が」
そう呟く声にも自ずと力が入る。
世田谷区は駿斗の故郷だ。かつて彼は普通の少年だった。学校に通い、大切な者と共に過ごし、穏やかな日常を送っていた。
そのすべてを、クロノヴェーダに奪われた。
(「ここを奪還するために力をつけてきた。絶対に、取り戻す」)
駿斗は海へと飛び込んだ。泳ぐにはまだ冷たい温度でも、彼の心は炎のような熱を持っている。その意志が、彼を進ませる。
波を掻き分け、ひたすらに泳いだ。ただまっすぐに、奪還のことだけを胸に抱いて海を渡る。
(「邪魔するやつは誰であろうと容赦はしない」)
この日のために数多の戦いを潜り抜け、肉体を、戦闘技術を鍛え上げてきたのだ。
まだ何の力も持たなかった頃のことを思い出す。翼を持つ異形共に侵略された、あの日のことを。
(「……忌々しい記憶だ……思い出すだけで、怒りが沸いてくる……」)
怒りだけではない。ただ奪われるだけだった絶望も、悲しみも。すべての感情がそこにあった。
溢れる感情を目前の海原にぶつける。普段は物静かで感情を身の内に押し込めているような彼だが、今は違う。
「あの頃の俺とは違う、もう奪われるだけなんてまっぴらだ!」
目指すは奪われた故郷。取り戻すんだ、今こそあの日常を!
波間から海の向こうを睨み付けた。世田谷区よ、そしてそこに居座る忌まわしきクロノヴェーダ達よ、待っていろ。
「返してもらう、この地も空も。でかい面して飛んでられるのも今だけだ!」
●輝きの青
黒白園・真雪(怒りの天使を宿した者・g09418)は砂浜に立ち、海をジッと眺める。ざあん、と水が鳴り響き揺れ動いた。この海を渡れば、世田谷区に辿り着く。
「トップもいねぇ、処刑ショーっつう娯楽も中止になってだらけきってるなんざ、突っ込まれても仕方ねぇってもんだ」
ふう、と一息ついて、真雪は一歩、また一歩と足を踏み出した。
「このチャンスを逃す訳にはいかねぇ、デケェ相手を引っ張り出す為にも成功させるっきゃねぇな」
浅瀬から少しずつ深いところへと歩みを進めていく。足に当たる水が、少しだけ冷たい。
(「海からの潜入か……、ちっと冷たいけどまぁ、泳ぐのには問題ねぇよな」)
腰まで海に浸かったところであることに気付く。よく考えたら、海水浴など初めてではないか。人生初の海水浴が、まさか任務での移動になろうとは。
(「これが初の海水浴ってのは、ちぃっと複雑だけどよ……けど、敵地に着くまでの間ぐらい、楽しんじまうのもアリかもな」)
真雪は思い切って割り切ることにした。
泳ぎ方をよく知らない子どものように適当に動いてみる。最初はうまく進めずにいたが、続けるうちに不思議と進めるようになった。
今度は、翼を羽ばたかせて水面すれすれを滑空してみる。心地よい風が頬を撫でた。
頭上には青空、眼下には青い海。太陽が波紋を輝かせ、真雪の灰の瞳に光を散りばめる。
(「あぁ、ここは、眩しいな……」)
これから待つのは血生臭い戦いだというのに、この場所はこんなにも美しい。
「……こうやって海を泳ぐってのも、悪かねぇな。今度はもっと穏やかな理由で来てぇもんだ」
きらめく海に再び身を預けながら、真雪はぽつりと呟いた。
●道標
皆が思い思いに泳ぐ一方で、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)とソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)も、共に海を渡る準備をしていた。ソラスは空を見上げ、その青さに深く息を零す。
「いい天気だねぇ。戦いなんざ忘れてゆっくりしたいところだが、まぁそうもいかねぇやな」
ソラスは空から穏やかな海へと視線を落とした。揺れる水面を眺めつつ、さらに言葉を続ける。
「焦るつもりはねぇが、進めるペースで進むとしよう」
彼の言葉にラウムも頷き、波打ち際へと足を踏み入れた。
「海底に向かおうカ。海上を行くのも目立ちそうだからネ」
あまり眼鏡を濡らしたくはないが、今回は我慢することにする。二人は水中適応を使用して海の中へと潜っていく。海底は視界が悪い。ソラスはラウムとはぐれないよう白衣を掴んでおく。何もない海底をソラスは見回した。
「相変わらず植物も生物もなく平らなんだな。歩きやすいのは有り難いが、少々不気味にも感じる」
「こう何もないと退屈だネ。面白いものが無いか探しながら進もウ」
ラウムは水中用ドローンを起動し、視界に入る範囲で探索させる。ちょっとした宝探し気分だ。
しかし、四月末の海というのは、まだひんやりとしている。ラウムは肌寒さにぶるりと身震いした。
(「まだちょっと水中は寒いナァ。熱波の支配者って、水温もあがるのカナ? 試してみよウ」)
熱波の支配者を使用してみたが、とくに変化はない。どうやら水温を直接上げることはできないようだ。
寒そうなラウムの様子を見つつ、ソラスが言葉を紡いだ。
「ここ、寒いよなあ。ま、話でもしながら行けば気が紛れるだろ」
その言葉にラウムが頷く。そうしてひとつ、提案をした。
「上陸してからの作戦でも考えるカイ?」
提案にソラスはニカッと明るい笑みを浮かべる。
「そりゃあいい。地上へ出たらヤンキーデーモンを探すんだったか。テラスなら南向きの高いビルの中層か高層だろう。それっぽい場所を探そうぜ」
「そうだネ。上陸はなるべく目立たないようにしよウ。万が一、敵に見つかると面倒だからネ」
海を渡る分には危険はないという話だったが、念のため警戒しておいた方が良いだろう。
互いに今後の事を話しながら――ラウムがはたと立ち止まった。彼の様子にソラスも足を止める。
「ん? どうした、兄貴?」
首を傾げるソラスに、ラウムは困ったような表情をする。
「……来た方向どっちだっケ? 目印ないからわかんないんだよネ」
スマートフォンのGPSや地図アプリが使えないか開いてみた。しかし、電子機器自体は起動するが、読み込み中のまま先に進まない。
(「ウーン、海底じゃ電波は届かないカ、残念」)
さて、どうしようか。ラウムが考えようとしたその時、ソラスがくいと彼の腕を引っ張った。
「そっちじゃねぇよ、ほれ、あんまりキョロキョロしてると迷子になるぞ」
強過ぎず、それでいてしっかりと掴んで離さない優しい手だ。ラウムはぱちぱちと瞬きしたあと、穏やかな笑みを浮かべた。
「頼もしい弟が居てくれて助かるヨ」
二人は再び進み始める。暗かった海に光が差し込んできた。地上が近いようだ。
面白いものが海の底に落ちているということはなかったけれど、退屈を持て余すことなく、彼らは世田谷区へと到着した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
●上陸
海を渡り、ディアボロス達は世田谷区へと上陸した。
海沿いに立つビルの傍――太陽の光が注ぐテラスで、ヤンキーデーモン達が相変わらず惰眠を貪っている様子が確認できる。
さあ、今こそ強襲の時だ。
黒白園・真雪
アドリブ・連携歓迎。
さて、と――ここからは分かりやすい殴り合いの時間って訳だ。ソッコーでデーモン共をぶっ飛ばして、直属とかいう防衛部隊の奴等を引っ張り出してやる。
派手にやりゃあ直属の奴等も気付くか? ま、一先ずは油断してやがるデーモン共からだ。
【飛翔】してテラスで寝転がってやがる所に突っ込んでやるか
喧嘩でもそうだけどよ、いきなり襲われて反応出来ねぇ状態ってのは意外と続かないもんだ。その前にどんだけ殴れるかだな
翼に力を込め、光輪の刃をいくつも浴びせてやる
釘バットにチェーン、いっそ懐かしいじゃねぇの。喰らってやる義理は無ぇけどな!
「オラァッ、寝惚けてやがるテメェ等にお見舞いしてやんよ!」
玖珂・駿斗
「粛清の時間だゴルァ!」
キャラじゃないがぶっこみながら[砲撃]しつつ接近
「ヒトの島で好き勝手やってくれるじゃねぇか、ひき肉にしてやるよ」
[砲撃][制圧射撃]で動きを抑えながらせまってくるやつは砲身でぶんなぐる
ある程度集まってきたらメテオダイブ
爆炎の中からまた砲身を繰り返して手当たり次第ぶっとばしていく
ラウム・マルファス
ソラ(g00968)と
「アハ、やる気無さそウ。あのまま大人しくしてくれればいいのにネ」
「ソラ、無理しちゃダメだヨ」
心配だケド、信じてるヨ、ソラ
汎用ドローンを情報収集用に飛ばすヨ
周辺の敵の接近を警戒させル
不意打ちは避けたいからネ
飛翔で距離を取りつつ、魔力を敵の上空に流してツララを作り、敵を貫くヨ
簡単には溶けないから、倒せなくても多少は動きが阻害できるだろウ
討ち漏らしはソラに任せて、敵に攻撃を加えつつ、ソラに近づく敵はイバラの冠で牽制するヨ
睨まれても平気さ、ボクはソラを護らないといけないカラ
って言いたいけど、耐えられなさそうなときはチョット戦場から離れてプルプルしてるヨ
怖いからネ
ソラス・マルファス
兄貴(g00862)と
探すまでもなかったな
「そう上手くいくわけねぇのはお互いわかってんだろ。さぁ、やるぜ」
……わかってるさ、冷静にならねぇとな。
飛翔で一息に敵へ接近し、呪詛を纏った大剣で切り伏せるぜ。兄貴の氷で撃ち漏らしたヤツは優先して狙い、確実に数を減らそう。釘バットは大剣の腹で打ち払いつつ、飛翔で下がって勢いを殺す。
呑気にしていた以上周りに人はいねぇと思うが、もし一般人が巻き込まれそうなら最優先で護ろう。
兄貴にガン飛ばしてるやつはなるべく身体を割り込ませて視線を遮ろう。とはいえ俺が拘束されて両方に危機が及んだら本末転倒だ。先走り過ぎねぇように、兄貴の位置にも気を付けつつ戦うぜ。
●開戦
聳え立つビル、青い空と海、そして物静かなテラス。表向きは平穏なこの場所が、これから苛烈な戦場へと変わる。
ディアボロス達の侵入にまだ気付いていない敵を眺めつつ、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)が小さく笑った。
「アハ、やる気無さそウ。あのまま大人しくしてくれればいいのにネ」
密かにドローンを飛ばす彼の横で、ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)もまた、寝転ぶヤンキーデーモン達を観察している。
「探すまでもなかったな。……しかし、想像以上に無防備だな、あれは」
「確かに無防備だが、いきなり襲われて反応出来ねぇ状態ってのは意外と続かないもんだ。その前にどんだけ殴れるかだな」
喧嘩でもそうだけどよ、と言い加える黒白園・真雪(怒りの天使を宿した者・g09418)の横で、玖珂・駿斗(人間の一般学生・g02136)が、それなら、と口を開く。
「徹底的にぶん殴って、あのたるみきった牛共が起き上がる前に叩き潰してやる」
駿斗は砲身を空へと向けた。テラスで眠りこけているヤンキーデーモン達の真上へと、彼は狙いを定める。
「粛清の時間だゴルァ!」
――キャラじゃないとは自分でも思っている。だが、故郷を奪還するための作戦だ。そうせずには居られない。
砲弾を撃ち放った。それは激しい音と共に敵の頭上で炸裂し、突如として爆撃の雨を降らせる。
「うぎゃあっ!? な、なんだ!?」
「敵襲、敵襲だ!」
先制攻撃に敵が慌てふためきながら起き上がろうとして――その頭上に、今度は無数の光輪が降り注いだ。爆撃に敵が動揺しているのを好機に、真雪が上空から攻撃を繰り出したのだ。
「先手必勝ってな。ソッコーでテメェ等をぶっ飛ばして、直属とかいう防衛部隊の奴等を引っ張り出してやる!」
強襲に混乱する中、敵が焦りと殺気の滲んだ目で真雪を睨み付ける。
「テメェらいつの間に!?」
「いつの間にってか、結構堂々と上陸してたんだがな。油断してるからそうなるんだぜ?」
真雪はふわりとテラスへと降り立った。殺気立つ彼らを動じることなく見つめ返し、にいっと口端を吊り上げてみせる。
整った顔立ちに浮かべられた挑発的な笑みが、敵の神経を逆撫でしたらしい。
文字通り鼻息を荒くしながら武器を握る敵の姿に、真雪は過去を思い出して瞳を細める。
(「釘バットにチェーン、いっそ懐かしいじゃねぇの。喰らってやる義理は無ぇけどな!」)
敵が雄叫びを上げた。
「オラアッ! 死に晒せやディアボロスどもっ!」
飛び掛かってくる。攻撃を躱しつつ、真雪は彼らから距離を取った。分かりやすく単純な殴り合いだ。小難しいことを考えなくていいのは何かとやりやすい。
「おいおい、寝すぎて体が鈍っちまったんじゃねぇか? 遅すぎるぜ!」
翼を広げエネルギーを集束させていく。そのエネルギーは怒りの感情から生み出されたものだ。集束させたそれを、真雪は解き放つ。
「オラァッ、寝惚けてやがるテメェ等にお見舞いしてやんよ!」
天使の慈悲深さなど微塵も感じない光の刃が、敵を斬り裂いた。
海際の穏やかだったテラスは、もはや地獄と化している。硝煙に包まれた空間の中で駿斗は、抵抗する敵へと再び武器を向けた。
「ヒトの島で好き勝手やってくれるじゃねぇか、ひき肉にしてやるよ」
「それはこっちの台詞だこの野郎!」
釘バッドを振り上げた敵が駿斗へと突進する。一方、駿斗は敵が口走った言葉に思いきり眉を顰めた。
「……こっちの台詞、だと?」
振り下ろされた釘バッドを砲身で無理やり受け止める。ギリギリと鍔迫り合いをするさなか、駿斗は敵を鋭く睨み付けた。怒りが腹の底から沸々と込み上げ、それが彼の力となる。
「この地を奪ったのはお前達だろう……!」
釘バッドを弾き返す。弾き返され後方へと体勢を崩した敵へと、即座に砲身を差し向けた。己の武器にエネルギーを注ぎ込み叫ぶ。
「焼き尽くせ、メテオダイブ
!!!!」
再び流星が火を噴いた。激しい砲撃が敵を包み込み、その体を撃ち砕いていく。容赦のない攻撃に怯み逃げ出そうとする敵へも、逃がさんと言わんばかりに砲撃を繰り出し、吹き飛ばしていった。まさに破竹の勢いである。
迷いなく突き進む駿斗の姿に、真雪が感心したように言う。
「おう、気合入ってんじゃねぇか」
真雪の言葉に、駿斗は力強く頷く。
「当然だ。このチャンスを逃すわけにはいかないからな」
駿斗の心はいつも以上に燃え上がっていた。
ディアボロス達は猛攻を続け、敵を制圧していく。だが、敵も数だけは多い。
未だ残るヤンキーデーモン達と対峙しながら、ラウムはソラスへと目をやった。
「ソラ、無理しちゃダメだヨ」
その声色に宿るのは信頼と心配。直接口に出さずとも、不思議とソラスには兄の考えていることが伝わった。
「そう上手くいくわけねぇのはお互いわかってんだろ。さぁ、やるぜ」
冷静にならなければいけない。自分にそう言い聞かせ、ソラスは飛翔する。敵の注意が完全にこちらへと向く前に急接近し、大剣で斬り払った。宿る呪詛の力が敵を深く傷付ける。
「この野郎! やってくれたな!」
激昂した敵が釘バットを手に飛び掛かってきた。ソラスは釘バットを大剣の腹で打ち払いつつ、後方へと飛び退いて攻撃を受け流す。接近戦で大きく立ち回るソラスへと敵の視線が集中した。後方から一匹の敵がソラスへと襲い掛かろうとする。だが、ラウムがそれを見逃さない。
「それ以上、ソラに近付かないでくれるカナ?」
しっかりと狙いを定め、彼は上空から氷柱を降り注がせる。魔力を内包した氷柱が、敵をテラスの床へと縫い付けた。
「さっきまで寝ていたんでショ? もう少しそこで休んでいなヨ」
肉体を穿つ氷柱が、じわじわと生命力を奪っていく。
「クッ……貴様!」
幸か不幸か氷柱から逃れた別の敵が、ラウムを睨みながら近づこうとし――。
「絶対に近づけさせないぜ」
その横っ腹を、ソラスの大剣に斬り飛ばされた。斬り伏せた敵には目もくれず、ソラスはラウムと敵の間に立つように位置取る。
「兄貴、大丈夫か?」
ソラスの問いに、ラウムはこくりと頷いた。
「睨まれても平気さ、ボクはソラを護らないといけないカラ」
そうは言うけれど体が僅かに震えてしまう。敵の眼光は、彼の内側に潜む恐怖心を駆り立てるように輝くのだ。それでも、とラウムはその場から離れたくなる足を必死に縫い留める。
――すぐ傍に弟が居るのに、格好悪い姿など見せたくない。
そんな兄の姿を見て、ソラスはゆっくりと息を吐き出した。彼はすべて理解した上で、いつも話すときと同じように言葉を紡ぐ。
「無理しちゃ駄目だって言ったのは兄貴だろ。怖いなら怖いって言っていいんだ、無理するなよ」
誰かと想いを共有することで、逆に恐怖心が和らぐことだってあるのだから。ソラスの言葉に、ラウムは苦い顔で笑う。
「……兄として、それはちょっと情けなくナイ?」
ソラスは迷うことなく首を横に振った。
「情けなくなんてないさ。さあ、やろうぜ!」
大剣を構え気合を入れるソラスに、ラウムは普段の笑みへと戻る。
「あぁ、サクッと終わらせてしまおうカ」
再び魔力を集結させ氷柱を生成する。魔力を帯び妖しく輝く漆黒の氷柱が、ラウムの周囲に展開された。
降り注ぎ、縫い留める。心の内で唱えると同時に、無数の氷柱が再び撃ち放たれた。生命力を奪う脅威はまるで弾丸のように、敵の体を貫いていく。
「ガアアアアッ
!!!!」
苦悶に満ちた敵の悲鳴が空へと響き渡った。そこに追い打ちを掛けるように、ソラスが敵へと電光石火のごとく接近する。
「その重たそうな体ごと、空に舞ってもらおうか!」
力のかぎり大剣を振るった。加速する衝撃が敵を上空へと打ち上げる。衝撃によって打ち上げられた敵は絶命し、そのまま地に落下する。二人の息の合った連携が、無数の敵を屠り去っていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV4になった!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
●黒き翼
テラスのヤンキーデーモン達は壊滅的な状況だ。襲撃を察知し駆け付けた黒翼のメリリムは、護衛のフェザートルーパー達と共に、上空から状況を見下ろしている。
「ディアボロス……やっぱり来たね」
「メリリム様、ヤンキーデーモン達が……」
「あぁ、本当に酷い体たらくだ。けれど、今更それを言ってもしょうがない」
メリリムはヤンキーデーモン達から視線を外し、ディアボロス達へと目を向けた。そうして、淡々と言葉を紡ぐ。
「キミ達の目的はわかっているよ。世田谷区の奪還だろう? だけど、その願いは叶わない。ここはもうボク達クロノヴェーダの……マルコシアス様の地だ。キミ達に返してやるつもりはない。だけど、そうだな……」
ふと何かを思い付いたように顎を撫でて、メリリムはニヤリと口元を歪ませた。
「美しい海と綺麗な青空……この場所を、キミ達の墓標にしてあげようじゃないか」
白水・蛍
アドリブ・連携歓迎
さて。空に沈むのはどちらでしょう。
余裕ぶっていると……簡単に沈みますわよ。
飛翔を使用して空中戦を。
そしてパラドクスを発動させます。
――我が音にて応えて来たれ。全てを穿つ魔力の一撃!
パラドクスにて相手の身を穿つ魔力の砲撃を相手に放ちます。
その後反撃は神速反応も利用して致命傷を避けます。
相手の攻撃も同じ様に致命傷を避けつつ、反撃で魔力の砲撃を相手にぶつけて差し上げましょう。
零識・舞織
遅ればせながら参陣仕ります。今回は周りを散らしていきましょう。
飛翔で集団の前に躍り出てパラドクスを発動し、巻き起こる暴風で敵群を吹き飛ばします。
回避は高度を上げたり下げたり、時には【壁歩き】を利用して敵を翻弄し致命傷は避けます。
空は貴方方だけのものではないと少しだけでも感じていただけるとありがたいですね。
●天高く
空と海の青が支配するシーサイド。そよ風が頬を撫でるその場所で、嵐を呼ぶような闘争が巻き起こる。
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は、視線を空へと向けた。空の支配者を気取る敵を見据え、淡々と言葉を紡ぐ。
「さて。空に沈むのはどちらでしょう。余裕ぶっていると……簡単に沈みますわよ」
空へと飛翔し、より敵を叩きやすい射程へと突入した。――まずは、敵の護りを突破する。
フェザートルーパーの姿をしっかりと捉え精神を研ぎ澄ました。飛び回る敵の動きを読み、照準を合わせる。
(「――今!」)
絶対に当たるという確信を得て、蛍は魔力を込めた言霊を解き放った。
「――我が音にて応えて来たれ。全てを穿つ魔力の一撃!」
悪魔の描かれた弾丸が瞬時に具現化され、撃ち放たれる。弾丸はフェザートルーパーに命中し、その体を穿ちながら炎を噴いた。
「動じるな、反撃せよ!」
メリリムの命令にフェザートルーパー達が攻撃の陣形を組む。風を凝縮した無数の弾丸が発射され、蛍へと迫った。
蛍は迫る弾丸の軌道を見極め、上昇した反応速度を以てこれを回避する。弾がいくつか体を掠めるがその程度、取るに足らない。
攻撃に手応えを感じず、敵の一部に焦りが生まれ始める。
「もっとよく狙わないと……!」
フェザートルーパーが焦燥を滲ませ言った。その翼を、蛍のデビリッシュチェイサーが容赦なく撃ち抜く。
「言ったでしょう。余裕ぶっていると簡単に沈むと。そのような心構えで、よく防衛部隊など名乗れますわね」
蛍の言葉に悔しげな様子を見せるフェザートルーパー達へと、突如出現した暴風が襲い掛かった。
吹き飛ばされるフェザートルーパー達を眺めながら、零識・舞織(放浪旅人・g06465)が穏やかに微笑む。
「遅ればせながら参陣仕ります。今回は周りを散らしていきましょう」
「これ以上隊列を乱されるわけにはいかない!」
敵は暴風に対抗すべく隊列を組み、再び風の弾丸を生成した。弾丸は止めどなく舞織へと放たれる。
即座に高度を上げ、舞織は弾丸を回避した。移動先にも風の弾丸が飛んでくるが、今度は高度を下げながら躱すことでダメージを軽減する。
立て続けに連射される弾丸から逃れるように、ビルの壁へと降り立った。
「思うように行かず、随分と苛立っているご様子ですね」
煽るわけでもなく感じたことをそのまま伝える。一匹のフェザートルーパーが、不快そうに口走った。
「この程度の状況、想定の範囲内だ」
「想定していたとしても、実際に直面したときにどうするかは別の問題でしょう。……さて、貴方方は、この風に対処できるでしょうか?」
壁からとん、と足を離し、再び空へと飛翔する。敵の前に躍り出て、舞織は青空へと筆を走らせた。穏やかな空に再び暴風が訪れ、龍のように渦を巻く。
それはかつて神から零落した妖怪、一目連の天候を操るといわれた力を再現したものだ。
「妖に堕とされし龍神よ。その怒りを暴風に変え敵を屠れ!」
荒れ狂う風の龍が敵陣を蹂躙し、フェザートルーパー達の隊列を乱す。
なんとか体勢を整えてもそこには追撃が待っている。フェザートルーパーの群れへと、蛍がすかさず狙いを定めた。
(「確実に仕留めるまで、決して攻撃の手は緩めません!」)
再び魔力の砲撃を撃ち込んだ。砲撃は敵に命中し、青空に激しい爆炎を散らす。徹底的な一撃だ。たとえこちらが優勢に見えたとしても、彼女は油断など欠片すら抱かない。
蛍の攻撃に合わせ、舞織も暴風によって何度も空を乱す。狂暴な風が敵へと幾度も牙を剥き、彼らの体力を削っていった。
吹き荒れる風に揺れる笠を押さえながら、舞織は飄々と言葉を紡ぐ。
「空は貴方方だけのものではないと、少しだけでも感じていただけるとありがたいですね」
そう、この青空は、クロノヴェーダ達の所有物ではない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【飛翔】がLV5になった!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
ラウム・マルファス
ソラ(g00968)と
「奪った自覚があるなら大人しく裁かれてくれないカナ?」って挑発。まぁ効果は薄いだろうし、無理だろうケドネ。
空戦の準備はまぁまぁカナ。ボクはあまり飛ばないけどネ。ウッカリ壁にぶつかったら痛そうだシ。
カラス型ドローンに爆薬搭載。ソラに先行するように突撃させ、自爆攻撃。爆煙で一瞬、ソラの姿を隠すヨ。ついでに余った爆煙を隔離眼に入れておク。敵が通るときにタイミング良く解除して撹乱を狙おウ。
ボク自身はあまり動かないようにしつつ、敵の攻撃はカラスを突撃させて相殺を狙うヨ。
ソラス・マルファス
兄貴(g00862)と
盗人猛々しい……が先に邪魔な敵を片付けよう。
敵の大将が見てる前で手の内を晒したくはないが……まぁなるようになるか。あまり器用な戦い方はできないんでね。
飛翔し、兄貴のドローンの爆煙に隠れて接近。羽の雨は大剣の腹で受け、そのまま横なぎに切り伏せるぜ。
兄貴に飛ぶウィンドバレットも可能な限り防ぐとしよう。
庇って怪我でもしたら、あとで文句の1つも言われそうだが、傷つけたくねぇのはお互い様だ。まぁ無理はしねぇさ、まだ大物が残ってるんでね。
●空を越える
隊列が乱れるフェザートルーパー達へと、メリリムが再び指示を出す。
消耗しながらも陣形を組み直す彼らを、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は微笑を顔に貼り付けつつ見上げた。
「奪った自覚があるなら大人しく裁かれてくれないカナ?」
「そういうことは、上まで来てから言ってくれないか?」
メリリムから冷たい言葉で挑発を返される。
(「まぁ、やっぱり効果は薄いよネ」)
そしてラウム自身も、敵からの挑発に乗るつもりはない。積極的に自ら空中に飛び出すつもりはなかった。うっかり壁にぶつかったら痛そうだ。だが、飛ばずとも空に居る敵を攻撃する方法はある。
「それなりに準備はしてきたからネ。空に居なくとも攻撃は届くヨ。今から見せてあげヨウ」
ラウムはカラス型ドローンを展開した。
「ソラ、準備はいいカイ」
ラウムの問いに、ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)は戦闘態勢を取る。
「ああ、敵の大将が見てる前で手の内を晒したくはないが……まぁなるようになるか。あまり器用な戦い方はできないんでね」
ソラスは空へと舞い上がった。翼をはためかせ、敵の一軍へと距離を詰める。
「迎え撃て」
メリリムの命令と同時、フェザートルーパーがソラスの前に立ちはだかる。敵の群れをソラスは鋭く睨み据えた。
(「盗人猛々しい……が、先に邪魔な敵を片付けよう」)
ソラスの前方に、ラウムが先行して飛ばしたドローンが見えた。ドローンは敵へとまっすぐに飛んでいき、群れの中へと突撃する。
自爆したドローンから煙が巻き起こった。爆煙の中に身を隠しつつ、ソラスは敵へと接近する。
すぐ横を無数の羽が通り過ぎていく。煙で視界が塞がれ、敵もソラスの正確な位置が把握できていないようだ。
(「今なら奇襲を掛けられる!」)
煙を抜けた先、ソラスはすぐに敵の位置を把握する。気付かれる前に一気に接近し、大剣で横なぎに斬り伏せた。
「貴様ッ、そこに!」
焦った敵が魔力を込めた羽を放つ。ソラスは降り注ぐ羽の雨を大剣の腹で防いだ。何本かは体を掠めていくが、この程度の痛みであれば問題ない。
前衛で戦うソラスの後ろ姿を見つつ、ラウムは僅かに眉を寄せた。大丈夫だと理解はしていても、弟が傷付く様を見るのは不愉快だ。
――あの、我が物顔で空を飛び回るクロノヴェーダ達のせいで。
「あなた、さっきから面倒臭いですね」
彼らのうちの一匹がラウムへと目を向けた。風の弾を生み出し、ラウムへと撃ち放とうとする。
敵が弾を撃ち出すよりも速く、ラウムは再びドローンを差し向けた。カラスの姿を模した自律機構は風のように疾く飛び、敵の体へと突進する。爆発による衝撃が敵の体を吹き飛ばした。
ラウムは口元の笑みだけは絶やさず、焼け落ちる敵へと告げる。
「面倒臭いのはどっちだろうネ? 侵略者サン」
ディアボロス達の猛攻が、確実に護衛のフェザートルーパー達を追い詰めていく。
「ッ、メリリム様、劣勢です。どうすれば――ッ!」
メリリムの指示を仰ごうとする敵の横腹を、ソラスが容赦なく斬り裂いた。
「次の指示を聞く暇なんざ与えないぜ。とっとと落ちな!」
衝撃を伴う斬撃に耐えきれるはずがない。攻撃を受けた敵は、羽を散らしながら落下する。
落ちる敵を横目にソラスはラウムを気に掛けるように見た。一瞬の動作だったが、確認するには十分な時間であった。
(「ああ、やっぱり兄貴は強いな」)
心の内でそう呟いた後、ソラスはラウムへと大きな声で呼び掛ける。
「兄貴! 引き続き援護頼むぜ!」
ラウムはソラスを見上げて力強く頷いた。
「任せテ。ソラが自由に飛び回れるよう、全力で行かせてもらうヨ」
どんな恐怖も困難も、強い敵だって、きっと越えられる。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
黒白園・真雪
アドリブ・連携歓迎。
おう、いよいよお出ましか。直属の防衛部隊とやら。
此処を渡すつもりは無いってか? …どの口が言ってんだ。ここはテメェらが奪ったんだろうが、オレ達にこそ返してもらうぜ。
飛翔し続けながら上空にいるだろうメリリムに狙いをつける
攻撃してくるンなら、それを辿って居るだろう場所を探し出すぜ
致命傷以外は気にしねぇ、探り当てた場所に一点集中して攻撃だ
オレの力はこの天使のモノだけじゃねぇ、それをテメェに見せてやるよ
「姿を隠してても、言葉は関係ねぇだろ? それが届くって事を思い知らせてやる」
糸を弾いて奏でる音と言葉に力を込めて叫ぶ
オレの言葉、詩そのものがテメェを刻む刃だ、その魂ごと切り裂くぜ
●黒翼との対峙
フェザートルーパー達はすべてディアボロスによって倒された。
黒白園・真雪(怒りの天使を宿した者・g09418)は、上空にいるメリリムを鋭い視線で見上げる。
「テメェの腰巾着ども、全員倒れちまったな」
メリリムは溜息をつきながら、真雪を見下ろした。
「構わないさ。ボクがやることは変わらない」
「一人でオレ達を殺すってか。大した自信じゃねぇか」
「この地を守るのがボクの使命だからね」
上辺だけは綺麗な言葉に、真雪の腹の底から怒りの感情が滲み出す。
「此処を渡すつもりは無いってか? ……どの口が言ってんだ。ここはテメェらが奪ったんだろうが、オレ達にこそ返してもらうぜ」
「やれるものならやってみなよ、ディアボロス」
メリリムは周囲に黒雲を発生させその内に身を隠した。真雪は空を舞い、黒雲をギッと睨み据える。
炎の矢が黒雲から放たれた。雷の速度を誇るそれは、真雪の体に傷を付ける。だが、真雪は一切怯まない。
(「この程度の痛みなんざ大したことねぇ。必ず辿って、探り当てる」)
矢が放たれる方向から敵のいる位置を予測する。――間違いない、あの場所にいる。
「姿を隠してても、言葉は関係ねぇだろ? それが届くって事を思い知らせてやる」
息を大きく吸い込んだ。己の力は天使のモノだけではない。それを敵に見せつけてやろうと強く想う。
糸を弾き、奏でる音と言葉に力を込めて叫んだ。
「謳え、謳え、其は決して潰える事無き怒りの言葉。赦しなど無き我が剣。誓いを込めし音色こそ滅びの刃なり!」
真雪の言葉、詩そのものが敵を斬り刻む刃だ。魂ごと切り裂く旋律と言霊が、確かにメリリムへと届いた。
黒雲が薄れ、傷付いた腕を押さえたメリリムが姿を現す。
「へぇ、やるじゃないか」
メリリムは真雪に向かって歪んだ笑みを見せた。真雪は燃えるような怒りと殺意をその声に宿し、メリリムへと告げる。
「次は腕だけじゃ済まないぜ。……その五体、すべて斬り刻んでやる」
大成功🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
玖珂・駿斗
「アイツがボスキャラってわけか
…なら、ここで撃ち落とせば…っ!」
[弾幕]で動きを鈍らせ[砲撃]を打ち込み注意を引く
[グラップル]で移動しながらこれを繰り返していく
むこうも気流が停滞した場所へ誘い込みたい
逆にそこにいれば大きな移動はしてこない
狙いはそこ
[砲撃]の爆風で気流をみだしながら毒をさけ、毒が回る前に毒ごとメテオダイブで本体を焼き払う
「地元をこんなもんで汚されるわけにはいかないんだ
薙ぎ払う…!!」
御守・樹
あのメリリムってやつ、前に戦ったサハクィエルってやつに似てんな。
サハクィエルは一応天使みたいだったけど、メリリムは悪魔だよな?
聖書に書いてあるみたいに片方は堕ちたんだろうか?
物陰に隠れ一応完全視界で視界確保。
見えるかどうかで言えば見えないだろう。だけど、ならその黒雲ごと神立の標的にするまで。的がでかい分ばらけて致命傷を与えるには足りないかもしれないけど、そこそこダメージが入れば動きを阻害できるかもしれねぇし。
向こうの攻撃は最低でも黒雲から来るのはわかるんだし、炎の矢であれば観察によりその光を見つけられればタイミングもわかるんじゃないかな。
そしたら飛翔なり壁歩きなり、回避行動専念だ。
ラウム・マルファス
ソラ(g00968)と
ソラを傷つけた相手は許さないケド、さっきのは倒しちゃったからネ
偉い人にも責任取って貰おうカ
「ソラ、やるヨ」
さっきと同じくカラス型ドローンに爆薬搭載
同じ手だって思わせるケド、今回はパラドクスじゃないからただの飛ぶ爆弾ダ
今回は煙幕多めの調合だヨ
さっきと同じくソラに先行して、ドローンを突撃させル
避けられるだろうけど構わず自爆
煙幕で視界を塞いだら、飛翔で一気に上昇して上を取るヨ
「キミの部下がソラを傷つけたんダ、責任取って貰うヨ」
殺気と共に殴りつけ、そのままソラの方に蹴り飛ばス
終わったらソラの怪我を手当てするヨ
かすり傷だって危ないんだカラ
……過保護なのはわかってるヨ
ソラス・マルファス
兄貴(g00862)と
あぁ、兄貴、怒ってるな。まぁそれでも冷静でいてくれるなら、悪いことじゃねぇさ。
「応」
兄貴の言葉に頷いて、先ほどと同じく飛翔で敵へ接近。
煙幕で敵の視界がふさがると同時に、今度は後退するぜ。
すれ違う兄貴に目配せをして、一つ頷いて見送ったらその場で待機。
煙が晴れたり、黒い猛毒が見えたら空輝石で敵を取り囲むような気流を作って少しでも到達を遅らせる。
吹き飛んできた敵が体勢を立て直す前に、横なぎに切り払うぜ。
終わったら兄貴の手当てを受けよう。
「かすり傷だっての。ほっといてもすぐ直るだろ。相変わらず過保護だなバカ兄貴」
まぁ心配してくれてるのは知ってるさ。無碍にはしねぇよ。
●墜ちる翼
晴天を穢すように、濁った黒色の雲が浮かび上がる。ディアボロス達の進路を阻むように広がる災厄の暗雲――それは、メリリムがこの場から一歩も引くつもりがないことを意味していた。
世田谷区は我らの物だと言わんばかりの傲慢な気配。被弾してもなお、メリリムの意志は揺るぎないように見える。
御守・樹(諦念の珪化木・g05753)はビルの陰に身を潜めつつ、メリリムの姿を視界に捉えた。
(「あのメリリムってやつ、前に戦ったサハクィエルってやつに似てんな。サハクィエルは一応天使みたいだったけど、メリリムは悪魔だよな?」)
聖書に書いてあるように片方は堕ちたのだろうか。樹が攻撃の機会を窺う一方で、玖珂・駿斗(人間の一般学生・g02136)はメリリムを正面に捉え対峙する。
「アイツがボスキャラってわけか……なら、ここで撃ち落とせば……っ!」
「撃ち落とすなんて、簡単に言ってくれるね」
メリリムが駿斗へと迫る。
「ああ、簡単じゃないだろうな。だが……やり遂げてみせる」
明確な意図を持った追い込みに、気付かない駿斗ではない。
(「むこうも気流が停滞した場所へ誘い込みたい。逆にそこにいれば大きな移動はしてこない……ならば、狙いはそこだ」)
一見追い込まれているように見える駿斗の動き。その真実は、確実に攻撃を撃ち込むための位置取りだ。メリリムの軌道と周囲の地形から、追い込みたいであろう位置を予測する。
(「お前にとって有利な位置は、俺にとっても有利な位置となる!」)
気流が滞留する地点へと到達した。駿斗の読みどおり、メリリムがその地点に向けて猛毒を展開する。――その瞬間、確かにメリリムの動きが止まった。
「地元をこんなもんで汚されるわけにはいかないんだ。薙ぎ払う
……!!」
全神経を集中させ、その一点に向けてメテオダイブを撃ち放つ。爆風が気流を乱し、空気中に散布された毒を蹴散らした。強大な熱量が空を貫き、真っ直ぐにメリリムの元へ飛んでいく。砲弾はメリリムの肉体へと撃ち込まれ、激しい炎でその身を包んだ。
「チッ……」
炎を振り払い、メリリムが舌打ちする。
「ソラを傷つけた相手は許さないケド、さっきのは倒しちゃったからネ。偉い人にも責任取って貰おうカ」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)がドローンをメリリムへと飛ばす。
これまでの戦闘で弟を傷付けた連中はすべて倒したが、その指揮官であるメリリムがまだ残っている。部下の責任は上司の責任だ。
「ソラ、やるヨ」
ソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)はラウムへと目を向ける。彼は兄の表情からつぶさに感情を読み取った。口には出さず、心の中で思う。
(「あぁ、兄貴、怒ってるな。まぁそれでも冷静でいてくれるなら、悪いことじゃねぇさ」)
その怒りが敵を倒すための剣になるならば、それは身を守る盾にもなるだろう。
「応」
ラウムの呼び掛けに力強く応えると同時、ソラスは空へと飛翔する。
「さっきも見た動きだね。同じ手が通用するとでも?」
メリリムの嘲るような言葉に、ラウムは道化じみた声色で返した。
「さあ、どうだろうネ?」
先行したドローンがメリリムの周囲で自爆する。それはメリリムにダメ―ジを与えることはないが、爆発と共に発生した煙が視界を阻害した。
その瞬間を狙いソラスは後方へと下がる。すぐ横をラウムが通り過ぎた。
(「兄貴、任せたぜ」)
すれ違う瞬間、目配せする。言葉は要らない。目と目を合わせ、お互いのやるべきことを把握した。
煙幕が途切れる前に、ラウムがメリリムへと接近する。体の奥から湧き上がる怒りと魔力――そこから生じた漆黒のオーラを身に纏い、煙幕を突き抜けた。
煙の先、そこにはメリリムの姿がある。
「キミの部下がソラを傷つけたんダ、責任取って貰うヨ」
「っ、そっちが来るのか!」
とっさに反応したメリリムが炎と雷による絨毯爆撃を放った。だが、ラウムは止まらない。攻撃を受け流し、あるいは躱し、メリリムへと距離を詰める。
「キミの言う通り、上まで来てあげたヨ」
だから、もう一度告げよう。しかし、それは挑発ではなく、命令にも似た要求としてだ。
その青い瞳に明確な殺意を宿し、メリリムを鋭利な視線で刺し貫く。
「……奪った自覚があるなら、大人しく裁かれてクレ」
力のかぎり拳を叩き付けた。殴りつけた箇所から凍気が広がり、メリリムの体を凍り付かせていく。
「ぐぅっ
……!?」
メリリムが退こうとするが、そのような暇など与えない。続けざまに放たれた蹴りが氷を打ち砕き、その衝撃がメリリムを吹き飛ばす。
――吹き飛ばされるその先で、ソラスが大剣を構えていた。
「ナイスパス、兄貴」
大剣の柄を強く握り締める。呪われた剣から悪魔への殺意が流れ込み、ソラスに力を与えた。
「っ、させない!」
体勢を崩しつつもメリリムが猛毒を散布する。青空を穢す毒の気体がソラスへと迫った。必死な様子のメリリムを、ソラスは真っ直ぐに見据える。
(「そう素直には飛ばされてきてくれねぇか……だが、この程度は想定済みだ」)
風の流れを読み空を駆ける。猛毒を纏いながら突っ込んでくるメリリムへと狙いを定め、大剣に魔力を込めた――接触まで、あと僅か。
風の力を借り、斬撃の威力をさらに上げる。接触する刹那、猛毒ごとメリリムを斬り払った。尋常ならざる風圧が猛毒を散らし、呪詛の大剣が容赦なくメリリムの体を斬り裂く。
深くダメージを受けながら、メリリムは距離を取ろうとする。その大きな隙を、樹は見逃さない。
(「視えた……絶対に逃がさない」)
追い打ちを掛けるように樹の銃弾が放たれた。銃弾の雨に撃ち抜かれ、メリリムは殺気立った表情を樹へと向ける。
「陰から、コソコソと……!」
黒雲を発生させ、周囲を暗黒で包んだ。探知を阻害する雲を、樹は冷静に観察する。
(「狙いは確実にこちらを向いている。それなら、黒雲に意識を集中して……回避する」)
黒雲の奥で僅かに光が見えた。即座に飛翔で上昇し、炎の矢を躱す。立て続けに放たれる矢も致命傷にならないよう受け流しつつ、攻撃の発射地点と軌道を見定めた。
「……陰からコソコソ、か。そっちも同じじゃないか」
ぽつりと呟いて、黒雲へと銃口を向ける。姿をはっきりと捉えているわけではない。雲の中に隠れながら攻撃を繰り出すメリリムの位置を、攻撃が来る方向から予測する。
あくまで予測した位置だ。確実にそこにいる保証はない。それならば、と樹は口を開く。
「姿が見えないのなら、黒雲ごと神立の標的にするまでだ」
的が大きい分、攻撃がばらけるかもしれない。しかし、今のメリリムならば、それすらも致命傷になるはずだ。予測した位置を狙いの中心に据え、再び銃弾の雨を降らせた。
黒雲が急速に晴れる。中から血塗れのメリリムが、ふら付きながら飛び出した。樹の銃弾は間違いなく、メリリムの体へと撃ち込まれたのだ。
「ぐう、っ……まだだ……まだ、ボクは……!」
なおも戦おうとするメリリムへと駿斗が迫った。
「もう終わりだ! 黒翼のメリリム!!」
「くそッ……!」
メリリムが再び猛毒を散布する。しかし、追い込まれているのはメリリムだ。穢れた黒い毒は駿斗に届かない。
グラップルでビルの壁に組み付き、反動をバネに空へと跳んだ。間近まで距離を詰め、メリリムへと砲身を突き付ける。
「いい加減に、落ちろっ
!!!!!!!」
砲弾がメリリムの中心で炸裂し、その肉体を焼き払った。
「あぁ、空が……遠くなって
…………」
炎に包まれながらメリリムは落下する。その命も炎に焼かれ、大地へと落ちる頃には完全に燃え尽きていた。
●束の間の静けさ
穢れた黒雲は消え去り、今はただ、澄み渡る青空だけが広がっている。
静けさを取り戻した海辺で、ラウムはソラスの傷の手当をしていた。
「かすり傷だっての。ほっといてもすぐ直るだろ。相変わらず過保護だなバカ兄貴」
バカ兄貴とは言うけれど、ソラスの声色には確かな優しさが滲んでいる。
「……過保護なのはわかってるヨ。だけど、手当させてほしイ。かすり傷だって危ないんだカラ」
問題ない怪我だと理解はしていても、感情が放置できないと訴えているのだ。
その心境を理解しているからこそ、ソラスはラウムの気が済むまで手当を受ける。
(「まぁ心配してくれてるのは知ってるさ。無碍にはしねぇよ」)
口に出すとかえって気を遣わせそうだからと、ソラスは心の中だけで呟いた。
――頭上で輝く太陽とアクアマリンの空は、美しさを感じさせる。だが、それはまだクロノヴェーダの支配領域であり、彼らの手中にある。
緩やかな風を頬に感じながら、樹は空を見上げた。降り注ぐ太陽光に目を細める。
「この場は制圧したが、本番はこれからだな。強襲作戦が成功すれば、その後はマルコシアスとの決戦が待っている」
樹の言葉に、駿斗は奮起するように表情を引き締めた。
「望むところだ。マルコシアスを倒して、必ず世田谷区を取り戻してみせる……!」
今後、さらに戦いは激化することだろう。それぞれの感情を胸に抱き、ディアボロス達は空を見上げるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【隔離眼】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【飛翔】がLV7になった!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】LV2が発生!
【反撃アップ】がLV4になった!