リプレイ

●監獄行きのチケットを求め
　大将軍殿も肝の小さい男だ……バスチーユの大通りを歩きながら、荒田・誠司（雑草・g00115）は大きく溜め息をついた。
（「不敬罪ねぇ、色々過敏すぎない？」）
　誰だって上司や親に不満をもてば、ぼやくことはあるだろうに、なぜ堂々としていられないのか？
　斬首を恐れ、国民は口を噤んでしまうのなら……代弁する者が必要だろう。

　誠司は円形の大広場にやって来ると、中央の噴水を背にし、仁王立ちになった。
「バスチーユに住む人達、よく聞いてくれ。……陰口を言っていいとは言わないが、少しでも大変なことがあれば、愚痴を言ってしまうのが人間だと思うよな？」
　見知らぬ者が声高に叫ぶ様子に労働者や、洒落たジャケットを着こなす婦人が、何事かと足を止めた。
「それなのに“大将軍様”はちょっとした事で処刑だ……愚痴を言ったから断頭台に上げろ？　ちょっと意味が分からない。さすがにやりすぎだろう。大将軍って名乗っているくらいなんだから、それぐらいは大目に見ろ……」
　民衆が理解するより早く、誠司の主張は、飛来した斬首斧によって強制的に中断させられた。

　斧の持ち主であるクロノヴェーダを含め、多数の衛兵達が、大通りから猛烈な勢いで迫ってくる。
「反乱分子に慈悲は不要、この場で断罪する」
（「おっと……街の中ってなると、クロノヴェーダの目もあるか」）
　堂々と叛意を示す者を、監獄へ送る必要はないらしい……激昂する衛兵は誠司へ攻撃を開始、巻き添えになりたくない市民達は慌てて逃げ去っていく。


　その服装は砂埃にまみれ、黄ばみが目立ち、ツギハギだらけでみすぼらしいもの。
　見るからに『貧しい生活をしています』という雰囲気で、リゼット・ノア（Cortège funèbre・g02975）は“変装”しながら酒場の裏口をノックする。
　ドアはゆっくり開くと、店主と思しき、豊かな口ひげの男が出てきて、みすぼらしい格好のリゼットを見下ろした。
「どうしたのかな、お嬢さん？」
「働き口を探しているのですが、何かないでしょうか」
「皿洗いだけでも」というリゼットに、店主は唸り声を漏らしてから「何かあったのかな？」と尋ねる。
　理由を問われる……それこそが、リゼットにとって重要だった。

　祈るように両手を握って、リゼットは創作した身の上話を語りだす。
「しつこく姉に言い寄っていた男がいて、姉はキッパリと断ったのです。……それが大陸軍の兵士だと知らず……翌日には反乱分子として捕まり、処刑されて……」
「えっ……」
　その話を聞いた瞬間、店主はギョッとした。
　話の内容を理解してか、それとも厄介者と判断してかは解らないが……リゼットは話を続ける。
「私も目を付けられそうになり、故郷から逃げ、バスチーユまで流れ着いたのですが……路銀がなくなり、一切れのパンも買えないのです」
　もう少し話を続けようとするが、
「う、うちはもう人手が足りているから、悪いけど他所を当たってくれ！」
　そう言い残して、素早くドアを閉めてしまった。
　
　リゼットは他の食堂や酒場でも、同様の話を聞かせて回った……そして、数件目の食堂。
「アタシの店で“匿った”なんて噂が広まったら、堪ったもんじゃないよ！」
　捨て台詞を残す女将を見送ってから数分、次の店を探すリゼットを衛兵が拘束する。
　罪状は『恐喝罪』……“多数の市民へ、不必要に恐怖心を抱かせた”として、リゼットはバスチーユ監獄へ送られた。


　監獄内へ収容されていくディアボロスを遠目に見送り、アンネローゼ・ディマンシュ（『楽士大公』ディマンシュ大公・g03631）はバスチーユの警吏との接触を試みる。
（「バスチーユでも処されない重罪人……警吏の話なら、正確性の高い話を聞けるかも知れませんわ」）
　アンネローゼが警吏の詰め所を窓から覗くと、数名の警吏が書類を整理していた。
　ドアを数回ノックすると、中から警吏の1人が顔を出す。
「お食事の配達に参りましたわ」
「ああ、もうそんな時間か。おーい、メシの時間だぞー」
　残留効果『友達催眠』により、親しげに接してくる警吏達は仕事の手を止め、ランチタイムと洒落こむ。
「そういえば『とある貴族が他の貴族へ罪をなすりつけた』と噂で聞いたのですが……本当なのですか？」
「さあ？　貴族同士で足の引っ張り合いなんて『滑稽』だとは思うがね」
　フランス革命、それは旧支配者へ反旗を翻した市民革命。
　その旧支配者の一端といえる貴族に対し、市民からの風当たりの強さは容易に想像できた。

　さらにアンネローゼは『現の夢』を展開し、警吏がうとうとし始めたことを確認してから、詰所の奥へと踏みこむ。
　帳簿が溢れかえる書棚に手を伸ばし、気になる見出しの書物を取りだした。
（「……パリ市内や遠方での重罪人について、めぼしい記録はありませんわね」）
　いつ警吏の交代時間になるか解らない以上、長居は無用。
　……蒐集するほどの記録はないと判断し、書物を元の位置に戻すと、アンネローゼは足早くその場を後にする。


●囚われの身の有り様
　ブレロー・ヴェール（le vengeur du sang・g05009）は残留効果『モブオーラ』を纏いながら、バスチーユ監獄の内部へ潜入。
（「やれやれ、相変わらず酷いことをしているね」）
　グランダルメのクロノヴェーダは『処刑』することで、自らのエネルギーにしている。
　罪状のこじつけ。処刑する口実……利用できるものは、なんでも利用しているのだろう。

　囚人達の脱出ルートを確保すべく、ブレローが鉄扉のひとつを開けようとしたとき。
「……そこのお前、何をしている？」
　監獄内を巡回していた兵がブレローを呼び止めた。
　モブオーラは《注目されたり、話しかけられる確率を半減するエフェクト》
　“監獄という特殊な環境下”で、具体的な策もなしに、目立たないよう動くことは困難だろう。
「何号室の囚人だ？　……まさか、侵入者か！？」
「……悪いが、ここで捕まるつもりはなくてね」
　想定外の相手に兵士が驚いている間に、ブレローはもと来た道を駆け抜けていく。
　逃走経路は確保しきれなかったが、彼女を捜索するために監獄の外へ借り出されていく者達が増え、内部の警備は手薄となった。


　牢屋へ突き飛ばすようにリゼット・ノア（Cortège funèbre・g02975）は押し込まれ、鉄柵越しに兵士は離れていく。
（「上手く、囚われましたね」）
　他のディアボロスに感謝しつつ、リゼットは獄舎内を観察する。
　……誰もがいつ処刑されるか解らず、ビクビクと縮こまっている中。
「ずいぶん手荒く扱われていたけど、ケガはない？」
　小綺麗な格好の青年が、気遣わしげに声をかけてきた。
　大丈夫だと伝えると男は安堵したように微笑む。
「あなたは？」
「僕は、ジュリアン……“立派な立場とは言えない人間”だね」
　聞き覚えのある名前と品のある服装からして、彼が『無実の罪を受けた下級貴族』に違いない……そう確信し、リゼットは作戦を打ち明けることに。

　リゼットの話を聞いて、ジュリアンは目を丸くしていた。
「処刑人を倒して、処刑を中止させる？　……しかも、その隙に脱獄しろなんて」
「はい……あなたには逃げるとき、先頭に立って他の囚人を導いてほしいのです」
　その提案にジュリアンは表情を暗くする……そこへ、牢番がやってきた。
「またお前か、弱小貴族が騒ぐな！」
「彼は“礼儀知らずな兵”のエスコートで、ケガをしなかったか気遣ってくれただけです」
「なんだとぉ？」
　ジュリアンに侮蔑の眼差しを向けていた牢番に、リゼットがくってかかると、視線は反抗的なリゼットに向けられ、
「不作法な振る舞いに羞恥の念もないと？　まさか大陸軍の兵士が“恥知らず”だったなんて」
「き、さまぁ……いいだろう、明日の処刑はお前からだ！　おい弱小貴族、この無礼な小娘に感謝するんだな！！」
　顔を真っ赤にした兵はのっしのっしと離れ……鉄扉が勢いよく閉まったせいで、けたたましい金属音が牢獄に反響する。
「……ふう、ウソは言っていないのですが」
　呆れたように溜め息を吐くリゼットに、ジュリアンは意を決したように口を開いた。
「キミの覚悟、よく解ったよ……この牢獄にいる皆と脱獄してみせるよ。誰一人欠けずにね」


　監獄から無事に脱出して、ブレロー・ヴェール（le vengeur du sang・g05009）はその足で酒場へ移動する。
　労働者の“憩いの場”でもある大衆酒場には、仕事の合間に一息ついている市民で溢れかえっていた。
　空いているカウンター席に着き、ブレローは『モブオーラ』を纏いながら、周囲に聞き耳を立てる。
（「さて、断頭台について話している者達がいればいいのだけれど……」）
　酒場の中はワイワイ賑わい、明るいうちからグラスを傾ける者が多く居た。

　飲食目的で人の出入りは多いものの、“断頭台”というワードはブレローの耳に入ってこない。
　ワイングラスを傾けながら、ブレローは理由について考えた。
（「どこで憲兵に通報されるか解らないし……公の場で話題にあげることは避けているのかもしれない」）
　誰だってあんな残酷な死に方はしたくないし、気軽に話せる話題とも言えないだろう。
　場所を変えてみようと、ブレローは代金を支払い、次の店を探し始めるのだった。


　食事の配給を待つ間に、リゼット・ノア（Cortège funèbre・g02975）は同じ牢獄の者達へ声をかける。
「ここは、それほど重罪ではない囚人が収監されている、と聞きました……では、他の囚人が収監されている場所や、『もっと重い罪の囚人』が囚われている場所などはあるでしょうか……？」
　ジュリアンを含めて尋ねられた者は、
「うーん……悪いが、聞いたことがない」
　と唸り声を漏らすばかりだった。

　監獄とはいえ、収監者の出入りが激しいだけに、外の噂を知らぬ者は少なくないだろう。
「そう、ですか……」
　残念がるリゼットに、ジュリアンは「なにか事情が？」と聞き返す。
「私や仲間が罪無き罪で囚われ、処刑されようとしている人達を救おうとしているのです……もし他の場所があるなら、その方達も救いに行ければと……」
　話をするリゼット達に、近くの囚人が投げやりな態度で割り込んできた。
「残り少ない命だろ、もっとマシな過ごし方しようぜ？」
　番兵との一部始終を見ていたらしく、ひねくれた物言いで忠告する男にリゼットは反論せず……静かに牢内の温度を上げる。
「私の言葉に耳を傾けてくださったお礼です……寒い牢獄では、体力を奪われやすいですから……」
　無事に逃げおおせられるよう、せめてもの後押しになればと……石牢を暖かな空気で満たしていく。




　いくつか味方の残した手掛かりを得て、よく似た兵装で身を固めた獅子城・羽鳥（メタリックトルバドゥール・g02965）は警備の薄くなったバスチーユ監獄へ乗りこもうとしていた。
「侵入者はこっちにもいなかった」
「そうか……全く、余計な仕事増やしやがって」
　警備兵はぶちぶちとぼやいていたものの、大して注意を払ってこなかったのは『モブオーラ』の影響だろう。
「な、なんだかドキドキしますね……貴族ってことは、キラキラな装飾品とかお持ちでしょうか？」
　未知の宝飾がある可能性に、同じように変装するカルン・ティミド（略奪竜カルン・g00001）も昂揚しつつ、そのまま交代を装って監獄内へと向かう。

　監獄内部の詰め所にいた番兵は一人だけ、温かい紅茶で一服していた。
（「他の兵士は休憩返上で出回っているな、これは絶好のチャンスだ」）
　手短に済ませてしまおうと、羽鳥は休憩中の番兵に近づいていく。
「上官に『逃走経路を推測するから、見取り図を用意しろ』と言われたんだが、何処にしまった？」
「見取り図ならそこの棚の上から三番目だよ」
「上から三番目……あ、これですね！」
　カルンが棚を調べると、確かに監獄内部の見取り図を描いた紙切れが出てきた。
　そのまま羽鳥はついでを装い、
「あと『侵入口の鍵穴は変えないとだから、鍵束も持って来い』って」
「……俺は持ち出し厳禁って聞いてるが」
　訝しむ視線が羽鳥に向くが、兵の不運は“一人きり”だったこと。
「あ！」
　カルンが注意を引いた一瞬……不意を突いた羽鳥の当て身で、兵士は頭部を強打し気絶。
　腰に下げた鍵束を羽鳥達が奪い、手足を拘束され、猿ぐつわもかけられた姿で物置へ収納される。

　奪取した鍵で鉄扉を解錠し、羽鳥達はリゼットとジュリアンの収監された牢獄に辿り着く。
「他の牢屋もエフェクトで開けておきますね……はぁ、これが宝箱ならもっと楽しいのですが」
　交代要員が来る前に解錠しようと、カルンが『無鍵空間』を展開している間に、羽鳥はジュリアンに鍵と見取り図を手渡した。
「脱出までの最短ルートは見取り図に書いておいた、混乱している隙に抜けだすんだぜ」
　地図を受け取ったことを確認し、残りの牢屋の鍵も開けたカルンと羽鳥は急ぎその場を離れた。
　……決行は、次の朝日が昇り間もなく。
　“処刑人不在”によって処刑中止となった直後になる。
●汝、罪ありき
　翌日、朝日が昇り始めた頃に処刑人は姿を現した。
　四つ腕にして、四つ脚の自動人形・キュイラッサードールは、囚人が現れるまでの時間を、石像のように微動だにせず待ち構えている。
　群衆を装って断頭台へ駆けつけたディアボロス達の前に、監獄に潜りこんでいたディアボロスも連行されたり、連行する形で処刑場へ結集。
「刑を執行する、罪人を断頭台に上げよ」
　冷淡に言い放つ自動人形は、断頭台の刃を巻き上げ、連行されてきたディアボロスに視線を集中させていた。
　……不意を突けるのは一度きりとなるが、千載一遇の好機を見逃す理由はないだろう。






　昨日の反抗的な態度で、処刑の１番手となっていたリゼット・ノア（Cortège funèbre・g02975）は、引きずり上げられる直前に口火を切った。
「……ここでは、異議を問わないのですか？　ヴェルサイユでは、熱狂した市民が、『殺せ！』と叫んでいましたよ？」
「罪人に発言権はない、疾く断頭台へ上がれ」
　オートマタには聞く耳を持つ気配が一切ない。
　異議すら認めぬ態度に、変装する獅子城・羽鳥（メタリックトルバドゥール・g02965）は眉をひそめる。
（「正史の恐怖政治の方が『やる側にも苦悩があるだけ、まだマシかも』と思ってしまうぞ……」）
　処刑することで自動人形はエネルギーを獲得しているのだ。
　人間が肉を食するときと同様に、自動人形も“なにか思う必要がない”のだろう。
「足を止めるな、早く上がれ！」
　憲兵がリゼットを断頭台へ上げようとした、そのとき。
「ならば私が異議を唱えましょう。この処刑は、断罪のものにあらず」
　リゼットに召喚された自動人形と妖精達は目前の処刑台を攻撃。
「ナポレオンが、死をまき散らし糧を得るためのdîner（夕食）……そこに正義は、ない！」
　高らかに叫ぶ彼女に呼応し、キュイラッサードールの足場を崩す！

「おのれ……不敬なる反逆者よ、我が剣にて断罪してくれる」
　断頭台がないのならばと、キュイラッサードールは得物を引き抜くと同時に走りだす。
　突撃してくる処刑人形へリゼットは再度、自らの自動人形と黒い妖精達を招来させ、蹂躙せんとするキュイラッサードールの注意を引きつけた。
　突如、戦いはじめた処刑人達に市民は驚愕とともに、我先にと逃げだし、その場は一気に騒然とする。
「一般兵の出る幕はない、舞台から降りるんだな！」
　呆然とする兵を羽鳥は蹴り飛ばし、交戦するリゼットから遠ざけている間に、ブレロー・ヴェール（le vengeur du sang・g05009）も群衆の最前列から躍り出た。
「背後がガラ空きだよ！」
　リゼットが注意を引きつける間に、ブレローが疾風脚（クー・ド・ヴァン）を見舞うと、白銀の騎士鎧に大きな亀裂を走らせる。
「他にも、紛れていたか……ッ」
　苦悶する蟷螂乙女の攻撃をいなし、四本脚で突進してくるキュイラッサードールを、ブレローはパラドクスで受け流していく。

　大きく旋回して方向転換しようとする自動人形へ、今度は羽鳥が攻めかかる。
「何者かは知らないが、力を借りるぞ！」
　大きく跳躍するキュイラッサードールに、地上から迎撃する形で羽鳥は巨大な光槍を構えた。
　早撃ちを制したのは羽鳥！
「異議あり！」
　自動人形が引き金を引くより先に、投げ放たれた大槍は肩口を刺し貫いた。
　風穴は空けども、そこから血は流れず……無機質な部品が露わになる。
　射線を大きく乱され、明後日の方向に銃弾を放ったキュイラッサードールは着地と同時に、体勢を立て直そうとする。
「悪賢い者どもだ……だが、処罰は変わりない」
　ギシギシと悲鳴をあげる関節とは異なり、冷淡に言い放つ自動人形は無感情に刃を振り上げる。
　キュイラッサードールはディアボロスの活躍により、損傷が激しくなっている。
　明確な一押しがあれば、撃破できるだろう。


　リゼット達が刃を交えている最中、ぬるりと姿を現した包帯まみれの怪人が一人。
　……乱入者に気づいた自動人形は「何奴」と問いただす。
「姓は奴崎、名は娑婆蔵。人呼んで、『八つ裂き娑婆蔵』ってえモンでございやす」
　奴崎・娑婆蔵（月下の剣鬼・g01933）は時代劇を彷彿とさせる、仰々しい名乗りを上げ、トンカラ刀の柄に手を伸ばした。
「反逆者の一味ならば、貴様に対する振る舞いも変わりなし」
「よござんしょ、あっしの剣は腱を断つ。腕が四本、脚が四本――相手に取って不足なし」

　一直線に駆けだすキュイラッサードールに、娑婆蔵は重心を低くして、真っ向から身構える。
　ヒビ割れたパーツを軋ませ、自動人形が小銃で先制攻撃をしかけるが、娑婆蔵は射線を避けるように側面へ飛び退きつつ、刀身で打ち払う。
　そこへ羽鳥やブレローのパラドクスが炸裂し、キュイラッサードールの胴体はさらに削がれていく。
「……手足が多くある分、この剣、せいぜい味わって逝きなせえ」
　刀を収め直し、鯉口を切る娑婆蔵の眼光はより鋭く、自動人形の急所を見据えた。
　パーツが崩れながらも、刀剣を振るう自動人形めがけ……一閃。
　キュイラッサードールの振り上げた腕が、健脚をみせていた馬脚が……娑婆蔵の一太刀で両断された。

　時を同じくして、監獄内でもトラブルが発生。
　処刑場での騒動に対応すべく、状況を把握しようとしていた兵士達に対し、ジュリアンを始めとする一部の囚人が一斉蜂起したのだ。
　ディアボロスにもたらされた鍵や、脱出ルートのおかげで彼らは無事に脱出を成功させるのだった。

最終結果:成功
完成日	2021年10月04日