リプレイ
荒田・誠司
アドリブや連携など歓迎
【心情】
女性たち、ウェアキャットたち、どちらも悪くないはずなんだけれどな
とにかく頑張って情報を集めるとするかな
す、すみません。ここのルールを改めて教えてもらえませんか?(演技)
【行動】
街にはフード付きのマントを着た上でモブオーラを使用して潜入する
頭の部分にはウェアキャットの耳のような突起も肉体改造でつけておく
街の様子などを観察し、噂話もしっかりと聞いて情報収集をする
友達催眠を使用し、この街に連れてこられたばかりで改めてルールを確認したいとびくびくと怯える演技を交えながら尋ねる
街の人たちだって他人が罰せられているのを見て気分がいいわけないから教えてくれるのではないだろうか
ディアナ・レーヴェ
※フード付き外套で種族特徴は誤魔化す
(痛ましいとは思う。けど)…戦争だものね
(冷静に受け止め、その上で)
お互い様、って言わせてあげる
(叩き潰す)
さて!
移動は【モブオーラ】、蹄の音は極力一般人の影で伏せ
聞き込みは人気のない所、小声の【友達催眠】で
「…またこの辺、殺された子が出たんですって」
無知と不安を装い
「私、まだ見たことないの、その金属のお馬の隊。怖いわ!どんな奴なの…?」
馬と亜人の大きさ、速さ、数
都度驚く演技
「全部の路地に巡回に来るの?」
通常、馬は複雑な地形が苦手。街にそういう場所はない?
「…お馬って、絶対沢山食べるのに。あんな飼ってるなんて――」
動力源は?
充電?方法が分かれば妨害したいわね
●亜人の街にて
「……女性たちもウェアキャットたちも、どちらも悪くないはずなんだけれどな」
通りを行き交う人混みの中に、荒田・誠司(雑草・g00115)とディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)の姿があった。
二人を見咎める者は、今は居ない。周到な変装と【モブオーラ】が発動しているおかげだ。大胆に動けばバレかねない(あくまで確率が半減するだけなは重要だ)が、慎重に行動している限りは問題ない。
「……戦争だもの。痛ましいとは思うけど、ね」
ディアナの言葉は、誰にも同情していないように思える。だがそれは軽率というものだ。彼女はただ、己を強いて冷静であろうとしていた。
こんなことが赦されていいわけがない。その思いがなければ、ディアボロスは時間を越えることすら出来ない。此処にいるという事実が、彼女にもまた怒りがあることを示している。
(「いずれ、"お互い様"って言わせてあげる。きっと――いいえ、必ずね」)
本当に赦せないからこそ、今はその怒りを礎に立つべき。ディアナはそう判断できる戦士だった。
この景色を生み出す根幹を、いずれ必ず叩き潰す。
強い決意がなければ、こうも冷静を保って溶け込むことは出来まい。
「街には入れたが、まずはどうするか……声をかけようにも、ある程度目星をつけたいな」
「そうね。出来るだけ、亜人の目につきそうな人の多い場所は避けたいわ。きっと、人目を避けたいウェアキャットもいるはず」
日常的に亜人の暴虐で死者が出ている。となれば、亜人の視界に入らないように行動するウェアキャットも少なくないはずだ。ふたりはまず耳をそばだて、そういう注意深い人物を探すことに専念した。
「おい、なんだこの料理は。辛味が足りねえぞ!」
通りがかった酒場から、亜人の悪態。そして、皿か何かが割れる音。
「申し訳ございません! すぐに作り直させていただきます!」
平伏するウェアキャットの悲痛な声が聞こえる。ふたりは足を止めかけ、こらえた。今はまだその時ではない。
「……向かいの建物の影を見てみろ」
誠司に言われ、ディアナは目立たないようにフードの下でそちらを見やった。
わかりにくいものの、怯えた表情のウェアキャットの少女が酒場の様子を窺っている。
「ちょうどいいわね。行きましょう」
ふたりはしめやかに移動し、建物の陰へと向かう。
「す、すみません」
「ひっ!」
声をかけられた少女は、びくりと身を竦めた。誠司は、心底申し訳無さそうな表情を作る。
「あの……怖いですよね、あそこの騒ぎ。俺もあんな失礼をしてしまったら、どうしようって思って」
「そ、そうね。最近通りで事件があったばかりで皆神経質になってて」
「それって、もしかして殺された子が出たっていう……?」
ディアナが不安そうな表情を作ると、少女はこくこくと頷く。
「俺も噂だけ聞いたんです。それで、その……誰か詳しい人に、この街のルールを教えてもらえないかと」
【友達催眠】の効果もあり、少女はすっかり、ふたりがすがる思いで声をかけたのだと信じ切っていた。
「そうなんだ……うん、怖いよね」
「殺したのは、金属のお馬の隊なんでしょう。怖いわ! どんな奴なの……?」
少女はディアナの言葉に青ざめ慌てふためいた。
「だ、ダメだよ、"奴"だなんて! 亜人様に聞かれたら……」
「あっ。ご、ごめんなさい」
「どうか、助けてくれませんか。この通りです」
頭を下げる誠司に、少女は根負けして話してくれた。
青銅の馬。それはキュクロプスが手ずから作り上げたクロノオブジェクトであり、ウェアキャットには触ることすら許されていない。
体躯は屈強な軍馬より一回り大きく、誰も見たことはないが驚くべき速度で駆ける健脚を持つという。
「青銅馬に乗る亜人様は、常に一塊になって見回りをしていらっしゃるの。大通りを通ってぐるりと街を一周するのだけれど、裏路地まで来ることはめったになくて……だから、私みたいに目立たないようにしていれば安心よ」
少女は語る。ふたりはそれぞれに声に出さず思った。
(「常に固まって行動するのは、そのほうが示威効果が高いからか」)
(「ウェアキャットではなく、亜人が生み出したクロノオブジェクトとなれば、通常の生物とは一線を画すわね」)
やはり、奴らの目を盗んで施設に潜入するのは容易い。あえてそうしない限りは、女性らを救助するまでに接敵する恐れはないだろう。
「お馬って、絶対沢山食べるのに。ご飯とかどうしているのかしら」
「それが、何も食べず水も飲まずに動くんですって。亜人様は常に馬の近くにいらっしゃるそうよ」
「そうなのね。恐ろしい……」
ディアナは驚き怯える演技をした。少女は労りの眼差しを向ける。
「この街は、あくまで亜人様のものなんですね」
誠司は言いつつ、酒場のほうをちらりと見た。悪態の主と思しきゴブリンが、肩で風を切り店を出ていく。
ふたりは一瞬だけ、その姿を鋭く睨んだ。少女すらも気付かぬ、ほんの一瞬だけ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
白水・蛍
アドリブ・絡み等歓迎
……あまり派手に動いてはいけませんわね……
ただ、調べるべきことは調べましょう。
【友達催眠・モブオーラ】も使用しつつ……
「エジプトからのオベリスク」についての情報を集めましょう。
また、女性たちが何処にいるかも調べないとですね。
味方と協力しつつ……聞くべきことをこっそり聞き、周囲の人の話もつぶさに聞いて情報を集めましょう。
万が一危なくなったら<ダッシュ>でこっそり逃げましょう。
どんな時も<臨機応変>に。何とかやっていきましょうね。
●ウェアキャットの陳述
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は、主要な調査は仲間に任せた上で、自身は「エジプトからのオベリスク」に関する噂を集めることにした。
「残留効果のおかげで注意されにくいのはありがたいですね……私のパラドクスも役立てばよいのですが」
気持ちとしては、蛍も仲間に加わり、女性たちの所在について究明したいところだ。
だが何事も適材適所、欲張っても中途半端になってしまうだけ。己の行動はけして無駄ではない、とフードを目深に被り言い聞かせた。
派手な行動を避けた蛍は、仲間たちの残留効果もあり、亜人たちから怪しまれることなく動けた。
まずは耳をそばだて、それらしい噂が流れていないか確かめるが……ウェアキャットたちは亜人の目が届く範囲で口を開くことはない。服従を魂に刻み込まれた証だ。
物陰で微かに聞こえる囁きも、生活の愚痴がほとんどで、街の外について噂する者は誰もいなかった。
蛍は意を決し、酒場の給仕に声をかけた。
「すみません。少しお話を窺っても?」
「は、はい、なんでしょうか」
応じた給仕は憔悴していた。ゴブリンに因縁をつけられたせいなのだが、この時の蛍はそれを知らない。
「実は私は、亜人様のご命令で調べ物をしておりまして……」
使い走りを装い、オベリスクの特徴をかいつまんで説明した。
「……こういったものをどこかで見たり、それらしい噂を聞いたことはないですか?」
「いえ……申し訳ないですが、毎日亜人様のために労働するのが精一杯で、街の外についてはまったく……」
「そうですか……ありがとうございます」
蛍は会話をそこそこに切り上げ、思索する。
(「オベリスクの手がかりはなし……いや、まったくないわけではないか」)
ここまででわかったことがある。それは、「ウェアキャットは自分が住む場所以外のことには無知である」ということだ。おそらくは人間も同じだろう。
イスカンダルはあまりに広大すぎ、かつ環境的に過酷だ。旅する自由などあるわけもない。遠方の情報を集めようとするなら、聞き込みとは異なるアプローチが必要そうだ。
どのような手を取るにせよ、攻略旅団での提案から始めねばならないが。
「いっそ亜人が見つけて利用してくれたりしたら、逆に楽なのですが……」
などと益体もない考えがよぎり、蛍は嘆息した。このディヴィジョンの現状を把握できただけでも意味は大きい。これもまた、前へと進む確かな一歩になるはずだ……。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
播磨・仁絵
なんと酷いことを…わたくし世俗に詳しいわけではありませんが、これは酷いと分かるのです……なんとしても救わねば
【モブオーラ】の使用、小柄な体格を活かし物陰に息を潜めながら調査しましょう
天井裏、積み荷の隙間、木の影……隠れるところはいくらでもございます
移動は人混みに紛れて忍び足のダッシュで素早く。
気配を悟られそうになったら猫の鳴き真似でやり過ごしましょう
弁柄にも翼を隠して野良猫に扮して貰い、怪しいものがあれば拾うようお願いしますね
アドリブ絡み歓迎
●陰に潜みて
亜人にとってもウェアキャットにとっても、このグロテスクな支配構造は当然のものだ。
だから、ウェアキャットは抵抗するという思考さえ思い浮かべない。
だから、亜人は敵がいると思って警戒することさえない。
そんな街の、さらに人目のないところを選んで潜めば、亜人の目を盗むのは容易だ。残留効果が加わり確率が半減されることで、盤石な隠密はさらに確実なものとなる。
(「……それにしても、なんどひどい」)
積み荷の隙間から外を覗き込み、播磨・仁絵(捧げられしもの・g08502)は顔を顰めた。
こうしてあちこち出歩いているだけでも、亜人の癇癪に苦しめられるウェアキャットは何人も目についた。
「おい、邪魔だぞ。どけ!」
「す、すみません!」
ちょうどあそこでもそうだ。荷車を重たそうに押していた女性ウェアキャットが、肩で風を切るオークにどやされ、可哀想なぐらい身を縮こませて通りの端まで引っ込んだ。
あの荷物とて、結局は亜人のための資源として利用されるだけなのだろうに。
世俗に詳しくない仁絵でも、確信する。これは許してはいけないものだと。
だが、今はまだその時ではない。怒りだけでクロノヴェーダの支配を覆せるならば、そんなに楽な話はない。
「……なんとしても、救わねば」
決意を新たに、仁絵は人目を避けて影から影へと渡り歩く。
そうするうち、徐々に仁絵の耳にウェアキャットたちの囁き声が集まってくる。
通りで殺されたスィール――おそらく時先案内人が説明した予知のウェアキャットだろう――には、姉がいるということ。
「ロザも大変だよねえ、ただでさえ人間の世話役なんてやらされているのにさ……」
(「……なるほど。ロザ。それが世話役のウェアキャットの名前なのですね」)
はたしてこれがどの程度役立つ情報なのかはわからないが、覚えておくに越したことはあるまい。
そしてなにより……亜人の暴虐で家族を亡くしながら、それでもなお仕え続ける彼女の心境たるや、察するに余りある。
仁絵の心に燃える怒りが、また一つ強く燃える。それこそが、何よりの成果に思えた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!
フルルズン・イスルーン
むーん、エジプト風味、よりは信仰による純度が無いから雑。
自分で自分の首括って槍で縫い付けて、片目をくり抜いて知識を得ようとするくらいじゃないとねぇ。
乙女の味方しに行こっかコフィン・ゴーレム。
あるならば【モブオーラ】と【友達催眠】を借りてこっそり&逃走経路策定。
ない場合に備えて、現地に馴染むローブとフードで隠れ隠れ。
まずは軍馬がネックだけど、小道とかで隠れて躱しながらいけないかな?
ルートが無いかチェックだ。
見つかると全部壊しながら来るだろうけどね。
ウェアキャットには軍馬を避ける知識を教えてもらいたいけど、それがあるなら、か。
そして【フライトドローン】を準備。
最悪これで可能な限り逃がそう。
クィト・メリトモナカアイス
獣神王朝では、民たちはエンネアドとマミーを信じていた。
ここは違うけれど、ある意味では同じ。
猫の者たちは亜人に逆らえないものだと信じている。
今はまだ。
けれど。きっといつか。
【モブオーラ】でウェアキャットたちに紛れて亜人の目を掻い潜り街に潜入。新宿島から適当な飲み物を持ち込んでおいて、【友達催眠】も使ってウェアキャットに話しかける。
汝に聞きたいことがある。
美容にいいらしい飲み物を手に入れた。
人間の女性たちに持っていきたいのだけれど。
亜人…様に見つかると取られそう。
上手く見つからずに行ける道とかないだろうか。
場所と目立たない道を聞き、その時が来たら【平穏結界】で目立たぬよう女の人たちを連れて逃げる。
●道筋
「……獣神王朝では、民たちはエンネアドとマミーを信じていた」
フードを目深に被り、ウェアキャットに紛れたクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が呟く。
隣を歩くフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)が、ちらりとそちらに目をやった。
「そうだねぇ。けどボクから見ると、信仰による純度がないから雑、って感じかな」
「うむ。たしかに違う。でも「信じている」という意味では同じ」
クィトはまっすぐ前を見ている。きょろきょろと視線を彷徨わせれば、挙動不審だと見咎められかねない。
「猫の者たちは、亜人に逆らえないものだと"信じている"」
「……なるほど? 信仰とは違うね、たしかに。彼らはそう信じることで、自分自身を縛っているわけだ」
クィトがこくりと頷いた。フルルズンは「やだねぇ」と頭を振る。
「自分で自分の首括って槍で縫い付けて、片目をくり抜いて知識を得ようとするくらいじゃないとねぇ。亜人はそういうとこダメだよ」
「……でも、信じさせるぐらいに支配は盤石」
「そうだね」
ふたりの目は凪いでいた。そしてふたりは声を揃えて呟いた。
「「今はまだ(ね)」」
そして声には出さないが、心の中で呟く――「けれど。きっといつか」と。
これは、そのための一歩。小さいかもしれないが、確実に前に進む、重い一歩だ。
だからこそ気を抜くことはない。ふたりは大通りを避け、しかし不審だと怪しまれない程度の路地を細かく行き来した。
理由はふたつ。ひとつは、亜人の目をなるべく避けることで、出来る限り見咎められる確率を下げること。
【モブオーラ】などの残留効果は、あくまで「確率を半減させる」ものであり、確率そのものを減少させはしない。
フードも被らず堂々と表通りを歩くような、確実に見つかるような愚を犯せば残留効果どころの話ではないのだ。
その点、ふたりの偽装工作と注意深い動きは見事なものだった。
もうひとつの理由は、作戦実行のルート策定のためだ。
この任務には段階がある。通常であれば、囚えられていた人を自力で脱出させるなり方法もあろうが、ディアボロスは彼らを連れて街を出なければならない。そのためのルートを下調べするのは極めて重要である。
「見つかったら向こうは全部壊して来るだろうけど、ボクらが逃げるときは話が別だからね」
「うむ。気付かれるのが遅ければ遅いだけ、遠くに逃げられる」
人混みを避け裏路地の作りをチェックし、頭に叩き込む。加えて【フライトドローン】の残留効果も発動させた。
この下準備は、間違いなく脱出の大きな力となる。他の情報次第では、遅滞戦術においてかなりのアドバンテージを得られるはずだ。
一度ふたりは分かれ、フルルズンは逃亡ルートの策定重点に専念することにした。
その間クィトは、新宿島から持ってきた茶を手に、休憩中と思しきウェアキャットに話しかける。
「汝に聞きたいことがある。少しいいか」
【友達催眠】の強化された効果により、ウェアキャットはにこりと笑みを綻ばせた。
「うん? なんだい、俺でよけりゃなんでも聞いてくれ」
「美容にいいらしい飲み物を手に入れた。人間の女性たちがいるそうだから、持っていきたいのだけれど」
ちゃぷん。と、見慣れない色の液体がボトルの中で揺れるのを見て、ウェアキャットは「なるほど」と納得する。
「……亜人……様に見つかると、取られそう」
「あー、たしかに。亜人様は褒美として与えられるまで、収容所に近づいちゃならねえってリュカーオーン様に命ぜられてるそうでね。以前、たいそうご立腹で大変だったんだよ」
「うむ。なので上手く見つからずに行ける道とかないだろうか」
実に見事な質問だった。不審な点もなく、また潜入に最適なルートを割り出すことが出来る。
「ここだけの話だよ。あそこにゃ果実を運び込むための、秘密の抜け道があってだ……」
「ふんふん。なるほど」
クィトは説明された内容を、完璧に頭に叩き込んだ。これもまた、迫る追撃戦において、ディアボロスたちを非常に有利にする有力情報となるだろう。
一方その頃、逃亡ルートの策定ついでに聞き込みをしていたフルルズンは。
「……その青銅の馬って、食事もせずに動くんだ。さすが亜人様だねぇ」
「そうなのさ。ただね、健脚だっていうけど、全力で走ってるところを見たことがないんだよ」
「ふうん? 見回りだけなら必要ないといえばそうだけど……」
フルルズンは頭の中で考えた。
(「……あるいは、何かデメリットがある? 全速力で走ると制御に集中しないといけないとか……」)
青銅馬が本当に万能なら、わざわざ見せびらかしたり、亜人自ら手を汚すことはあるまい。キュクロプスの技術力もタカが知れている。
「ありがとう。亜人様に怒られないうちに作業に戻るよ」
フルルズンは笑顔で手を振り、ウェアキャットに別れを告げた。
情報は徐々に集まりつつある。ふたりは確かな手応えを感じた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
エイレーネ・エピケフィシア
蹂躙される人々も、奴隷に貶められた同族も
今すぐ全員救えたらどれほどよいことか
実際わたし達に出来るのは、今救える方を救うことだけです
それでも諦めはしません
最初の一歩なくして、最後の一歩もないのですから
【プラチナチケット】使用
現地に溶け込む服装でウェアキャットの使用人に混ざります
馬が入りづらい狭い路地を極力進み
親切そうな年嵩の同族を探して話しかけます
長命は生き残る知恵の証明です
すみません、あなたの熟練ぶりを恃んで聞きたいことがあります
近頃、知人が亜人様の巡回に出くわしてしまって……
友達に巡回が手薄な道を教えて、皆で生き残りたいんです
良い道をご存知ないでしょうか?
……と、侵攻・逃走経路を探りましょう
クロエ・アルニティコス
他人の痛みは他人の痛み。
他人の嘆きは他人の嘆き。
私が痛むことも、嘆くこともありません。
ですが。あぁ腹立たしい……!
分かっています。今ここで亜人を一匹や二匹縊り殺したところで作戦に支障をきたすだけだと。
我慢しますよ。今はまだ。
それぞれが集めた情報を集まって共有していては目立つでしょう。
亜人の目を避けつつ【パラドクス通信】を使って情報の共有を行います。
それぞれの集めた情報を基に、女たちが集められている場所、侵入時刻、侵入経路、内部の様子、脱出経路を確定させます。
あとは青銅の馬の情報も欲しいですね。話を聞き、大きさやある程度の数が分かればいいのですが。
……我が物顔で歩いていられるのも今だけです。
●万端
ディアボロスの腕はあまりにも短い。だがその目は意外なほど遠くまで見えるし、その耳は思うよりも鋭敏だ。
だから見えてしまうし聞こえてしまう。奪われ、虐げられ、苦しむ人々の絶望と悲しみが、背負うものだからこそ。
蹂躙される人々と、奴隷に貶められた同族。このイスカンダルの全ての人を救えたらどれほどいいか――エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は心から思う。
だが、ディアボロスの腕は短い。短すぎる。手が届くのは目の前のほんの少しだけ。この街はまさに典型例だ。
それでも諦めない。「いつか」を心に誓い一歩を踏みしめる。エイレーネにとって、彼らの痛みは己の痛みだった。
一方で、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は真逆だ。
他人の痛みは他人の痛み。
他人の嘆きは他人の嘆き。
痛むことも嘆くこともない。
だが、怒りはある。
「……あぁ、腹立たしい」
フードを被っていなければ、がりがりと頭をかいて地団駄を踏みたいぐらいの気分だった。
体の内側で、炉の如き炎が燃えているかのような気分だ。怒りを呼気に変えて吐き出すと、冬の大気に白い靄めいて消えていった。
「……クロエ様」
「わかっています」
エイレーネの心配そうな表情に、クロエはぴしゃりと答えた。
彼女らのいる裏路地のひとつ隣では、今も大通りに彷徨い出た亜人の酔漢が、露天商に難癖をつけている。
ゴッ、という鈍い音と人が倒れる音。ウェアキャットの悲鳴……おそらくは不興を買って殴り飛ばされたか。
「今ここで、亜人を一匹二匹縊り殺したところで、作戦に支障を来すだけです。我慢しますよ」
「……ええ、これが最初の一歩です。いつかは最後の一歩に続く、そのための」
ふたりは揃って、"今は"と言葉尻に付け加えた。
今は耐えよう。ウェアキャットたちがそうしているように。
今は一歩で抑えよう。かつて勇者たちがそうしたであろうことと同じように。
ふたりは騒ぎに加わることなく、昏い路地を行く。その姿は、喜楽を押し殺し服従するウェアキャットとほぼ同じだ。
違いがあるとすれば……彼女らには、燃える怒りがあったことだろう。
忍耐の成果はあった。
クロエの用意した【パラドクス通信】で、仲間たちは合流の危険を冒すことなく情報を共有することに成功する。
「潜入ルート、よし。脱出経路も策定済み。世話役についての情報は……内部への侵入を迅速にしてくれそうですね」
クロエはまとめあげた情報を精査し、これから採るべき計画を練り上げる。
侵入ルートは、果実などを亜人に気付かれず運び込むための秘密の道。これはクィトからの情報だ。
脱出ルートはフルルズンが割り出した。まず間違いなく、街の亜人の誰にも気付かれず外へと脱出できる。敵の追跡は、収容所がもぬけの殻であると気付いてからだろう。相当な距離を稼げるはずだ。
誠司とディアナの情報収集がなければ、一行の情報収集はスムーズには進まなかっただろう。
青銅の馬は、食事や動力を必要としないクロノオブジェクトであること、常にキュクロプスと共にあり工作は不可能であることなどがわかった。
全力で走る姿を誰も見たことがないという点から視るに、追跡中の敵は十分な戦闘が出来ないはず。追撃戦で役立つだろう。
世話役の名は「ロザ」。時先案内人が視た、少女スィールの姉。他のウェアキャットは彼女を長としている。
「それではわたしは、使用人に混ざって情報を集めてまいります」
「わかりました。何かあれば通信してください。私は少し別の調べ物を」
エイレーネとクロエは一時別行動を取ることにした。
わざと汚したフードつきマントを纏うエイレーネは、うらびれた使用人と誤解させるのに相応しい姿だった。
彼女は年嵩の男性……年齢は4、50ほどか……を見定め、声をかけた。
「すみません」
「ん? どうしたんだい。亜人様の使いかな」
「はい……ですが用件は別にございまして」
エイレーネは周囲を見渡し、声を潜めた。
「あなたの熟練ぶりを恃んで聞きたいことがあります。近頃、知人が亜人様の巡回に出くわしてしまって……」
「……それで?」
「友達に巡回が手薄な道を教えて、皆で生き残りたいんです」
フードの下の、不安と恐怖が綯い交ぜになった表情を垣間見せる。
「よい道をご存知ないでしょうか? 亜人様のご気分を害するのも心苦しく……」
「……そうか。じゃあ、このことは他言無用だよ」
男性は神妙な面持ちになり、声を潜めて語った。
「亜人様に人間の女を見せないようにと、リュカーオーン様から教えられた道があるんだ。街の外から女を運び込む時は、いつもそこを使うんだよ」
「……なるほど、ありがとうございます」
これで脱出ルートはより盤石になった。奴らが気付くのは、ディアボロスたちが街から相当離れてからになろう。
(「準備は万端。あとは……わたし達次第ですね」)
エイレーネは気を引き締めた。次の一歩こそが、作戦を左右するものになる。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
クロエ・アルニティコス
……そういえば、他にも調べることがあると言っていましたね。
決行までにはまだ時間があります。
手持ち無沙汰でいるとついうっかり手が出そうになりますし、気を紛らわすためにも聞いてみましょうか。
【友達催眠】を使い、できる限り年配の、色々なことを知っていそうなウェアキャットへと話しかけます。
突然すみません。つかぬことを聞くのですが。
ここより遠く東の地。「バビロン」という都市のことをご存じでしょうか。
そこには宙に浮かぶ庭園があるという噂がありまして。
ぜひ見てみたいとは思うのですが、なにぶん真偽のほども定かではなく。
そういった庭園の噂などご存じでしたらお聞きしたいのですが。
●バビロンの空中庭園
エイレーネと別行動を取ったクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)は、ある特徴のウェアキャットを探して裏路地を彷徨った。
そうしていないと苛立って仕方がないのもあるが、これも調べるべき情報なのは確かである。
「丁度よさそうですね」
クロエが見定めたのは、腰を曲げて難儀そうに龜を運ぶ老女だった。
エイレーネと同じ判断基準だ。この環境下で長く生きているなら、それだけ知恵にも通じるはず。
「突然すみません。つかぬことをお聞きしますが」
「はぁい? なんですかのう」
残留効果のおかげでクロエが怪しまれることはない。もともと老婆も人のいい性格なのだろう。
「ここより遠く東の地、「バビロン」という都市のことをご存知でしょうか」
「はぁ? バビ……?」
「そこには宙に浮かぶ庭園があるという噂がありまして……」
クロエは「是非見てみたいとは思うが、真偽のほども定かではない。ゆえに調べている」と偽り、聴き込んだ。
すると老婆ははてな、と首を傾げる。
「よくわからんけれど、それはきっとセレウコス様のご自慢の庭なんじゃろうねえ」
「いえ、ここより遠い……本当にはるか遠くなのですよ?」
バビロンの空中庭園があるとされたのは、最終人類史の情報が正しければ、イラク首都バクダートから90kmほど南の地だという。
カナンの地からは、ざっと1000kmほど離れている。クロエはそれを知っていたからこそ、このセレウコスの領地よりも東のはずだと前置きしたのだ。
だが、老婆の答えは今示した通り。彼女はセレウコスの領土がどこまで続くのかさえ知らない。
(「……バビロンどころか、この土地さえ……街の外のことは何もわからない。そういうことですか」)
すでにオベリスクについて調べていた蛍も、同様の感触を得ていた。
やはり、このイスカンダルの力なき一般人は、己が住む場所のほんの周囲のことしか知らないのだ。
ディヴィジョンの広大さに対し、あまりに分断された社会。静かに怒りが再燃する。
「……そうですね、きっとそうなのでしょう。ありがとうございました」
老婆に別れを告げ、クロエは足早にその場を離れた。
噂の類から遠方の情報を当たるのは無理筋らしい。それがわかっただけでも意味はある。
情報を求めるなら別の手が必要なのだ。もっともそれは、攻略旅団で議論されるべきこと。
今はただ、己がなすべきことにのみ集中する。クロエもまた、決意を新たに身を潜めた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
●夜襲、そして
十分すぎる情報を集めたディアボロスたちは、日没の頃合いを狙って収容所に急いだ。
女性らを健康にするためには、多くの資源が要る。食料、薬草、水、他にも様々。
亜人ですら、一目見れば略奪しかねぬ価値ある貴重な物資だ。それらもまた、女と同じように亜人の目につかぬように、ごく一部のウェアキャットが秘密のルートを使って運搬している。
ディアボロスたちは、そのルートを辿り、誰にも気付かれることなく収容所へと入り込んだ。
認識を誤認ないし阻害する残留効果が適切に揃っていたおかげで、収容所そのものへの潜入も滞りなく進む。
「…………スィール……」
世話役の長・ロザは憂いのある表情で、ディアボロスたちに気付くことなく通り過ぎていった。
彼女の懊悩と悲哀は、今はどうしようもない。時間にしか解決できないことも、世界にはあるものだ。
そうしてするりと共同寝室にたどり着いたディアボロスらは、囚われていた女性6人を無事に見つけ出すことに成功した。
どこかで亜人の注意を惹くようなことがあれば、こうもたやすく入り込むことは出来なかったろう……その場合当然、脱出も困難になる。彼女らを全員連れて逃れるのは難しかったはず。
「た、助けに……来てくれたの……?」
「なら、逃げなきゃ。ここにいたら私たち……!」
意外なことに、女性らの理解と順応は想像以上に早かった。
それもそのはずだ。彼女らはわかっているのだ……どれだけ快適だろうと、その理由は自分たちを貢物として亜人に差し出すため。つまりまごついていれば、死ぬのだと。
「でも、どうしましょう。実はひとり、緊張のせいで体調を崩している者が」
不安げに切り出す女性たちだが、【フライトドローン】がそのピンチを救ってくれた。これもまた、ディアボロスたちの入念な作戦の賜だ。
……と、このようにして収容所を秘密裏に抜け出したディアボロスらは、事前に割り出した脱出ルートをしめやかに進み、亜人に気取られることなく街から離れることに成功する。
女性たちは街が遠のいても、そちらを不安げに振り返ることが多かった。件の青銅馬の部隊について、どこかで聞かされていたせいなのだろう。
安全圏まではあと少し。そのたびに振り返る回数が増える。心臓が早鐘めいて拍動する。気持ちが逸り、足がもつれる。あと少し、あと少しなのだ……。
●同時刻、収容所
「そんな」
ロザは青ざめた。もぬけの殻の共同寝室。女たちの姿はない。いつの間に? 誰が? 女たちが自分で逃げ出した――そんなはずはない。ありえない!
「ど、どうしましょう。わ、我々では……」
「……ッ」
不安がる世話役の言葉に、ロザは拳を握りしめた。
伝えねばならない。そうしなければ自分たちが殺されるのだ――妹のように。
生き延びてしまった。ならばもう、泥を食んででも生き延びねばならない。今は。
「……リュカーオーン様にご報告を! 早く!」
涙を滲ませてロザは叫んだ。それが女たちを殺すことと同義であることとわかった上で彼女は選んだのだ。
●
ほどなくして事態は亜人の知るところとなり、街中に恐ろしい狼の遠吠えが響き渡った。
「ひいっ!」
ゴブリンに痛めつけられた酒場の給仕は、頭を抱えて震え上がった。
この街でもっとも恐るべきは、蹄の音ではない。あの遠吠えだ。偉大なるリュカーオーンの狩りを意味する声!
「オンナ! オンナが、キえた!!」
「オレたちのホウビなのに! カッテにキえやがった!!」
土煙をあげ、怒れるキュクロプスが街を飛び出した。その只中には、四肢でもって力強く大地を駆ける巨狼あり!
「貴様らのモンじゃねえ!! まだな!! あれはオレのモンだ!!」
怒りに牙を剥き出し、リュカーオーンは吠えた。その速度は青銅馬と並走するほどに疾い。
「だがせっかくだ、貴様らの中で最初に女を捕まえた奴に、その女をくれてやる! だから追え、全力でだ! いいな!!」
「「「ウオオオオ
!!」」」
ざっと10騎を超える青銅馬のキュクロプス部隊が、鬨の声をあげてさらに加速した。
疾い。安全圏へと急ぐ女たちとの相対距離は、驚くべき速度で縮まる。何の妨害もなければじきに追いつき、惨たらしい蹂躙が始まるだろう。
だが、ディアボロスには十分な時間があった。
部隊を分け隠れ潜み、遅滞戦術と迎撃を手分けするには十分すぎるほどの時間が。
奴らはそれを知らぬ。青銅馬の健脚は噂通りのものだが、全力疾走するそのパワーはキュクロプスをもってしても制御に苦労すると見えた。
その猛追を妨害し、浮足立ったところを叩けば、一網打尽にするのは容易いはずだ。
荒野にはいくつもの岩が点在し、身を隠して待ち構えるには事欠かない。しかし罠の類を敷設するには、荒野は見晴らしがよすぎる。その場合は工夫が要るだろう。
女性は6名全員五体無事かつ無傷で健在。5名は食料と入浴、マッサージのおかげで気力体力に満ちている。
ただひとりのみ、精神的に参ってしまったことで自力で歩くのが困難な状態だ。
その一名を除けば、女性たちは出しうる体力で安全圏まで全力でひた走るだろう。
リュカーオーンは青銅馬部隊よりやや後方、奴が青銅馬を追い抜いて女たちに追いつく心配はない。
なによりも対処すべきはトループス級だ。ここからがディアボロスの本領発揮の時だ!
凍雲・雪那
ん。
遅滞戦術、青銅馬の足止め……確かに。
――吹雪け、厳冬の風。
氷食輪廻、大地をも凍てつかせる冷気、広域に撒き散らす。
周囲の地形ごと巻き込んで、青銅馬とキュクロプス、その進軍を妨害する。
相手は毅き亜人、如何にトループスと言えど、単なる凍て風では、精々勢いを弱める程度。
青銅馬には、猶更寒さ、効かないかも。
でもね、幾ら馬力を誇っても、足元お留守じゃ、意味が無い。
ボクの氷食輪廻、凍ったものは、とても脆弱になる。
そうだね、どれくらい、脆いかって、言うと……
大型の動物が、踏みつけたら、即座に砕けて、穴が開くくらい。
踏めば砕ける、凍り付いた地形、一々気にしながら走るの、大変だね?
これで、時間は稼げるかな。
ディアナ・レーヴェ
※この時代の「女の人間」の服装で臨む。翼は外套に押し込んで
私、荒野で堂々すっ転んで待つわ!
(勿論姿を現す契機は、皆の作戦を邪魔しないよう【パラドクス通信】で調整するとして!)
肩で息して俯いて、足を挫いた風に辛そうに押さえて、振り返った瞳は馬を捉えて恐怖に見開かれて――
って感じで逃げ遅れた収容女性のフリしたら、広い荒野でも敵が来る地点は誘導できるでしょう?
ギリギリ迄引き付けたら【飛翔】で一気に上へ飛び去る
敵達には空からパラドクスを叩きつけると共に、足元の砂に隠した【トラップ生成】で転んで貰うわ!
ねえ。その全力疾走でバランス崩したら、エラいことになるでしょう?
欲に目が眩んでるからそうなるのよ、変態
久住・野乃
(サポート)
基本おとなしいですが、必要があれば戦うことを厭いません。
器用なほうではないので、策を弄せず真っ正直に。
からめ手とか、フェイントとか、わかりません。
調査でも、聞きたいことを直球で聞いてしまいます。
「野乃には難しいことわからないです」
分からないことは分からないとはっきり答えます。
遊ぶときは思いっきり楽しみます。
攻撃は正面きって、パラドクスどんっ。
「倒してしまえばいいんですよね?」
ただし、他の人の邪魔をしないようにとは気を付けています。
どんなことでも全力出しがち。
素直でなんでも信じやすいので、よく騙されます。
すぐ慌てふためきます。
基本お任せ。自由にお使いください。
●ひとつ目の策
餓えた亜人どもは涎を垂らし、単眼にぎらつく欲望を滾らせて馬を駆る。ひび割れた地面を青銅の蹄が力強く蹴るたび、通常の馬の蹄音とは奇妙に異なる甲高い音が響いた。
「ミつけたぞ!」
そのうちの1体が喜色ばんで叫んだ。曲刀で指し示した先には影ひとつ。真新しい絹の外套は、明らかに収容所に用意された上等なものだと一目でわかる。背格好は多少高めだが、亜人の母胎に選ばれるのは健やかな女性であるのが常だ。男にしては小さすぎる、女と考えるのは至極当然だった。
ただひとつ奇妙なところがあるとすれば、それはたったひとりで荒野を走っていることか。
キュクロプスどもに備わった武器作りの知能が、他のことにも活かせる『知性』であるなら、多少は訝しんだかもしれない……が、あいにく奴らも所詮は亜人なのだ。
「オレのモノだ! オレがモラう!」
「オレだ!」
『リュカーオーン』から略奪と蹂躙の許可を得ているキュクロプスどもは、我先にと競って馬を走らせた。
息を切らして走る女との距離は、あっという間に縮まる。そして見ろ、女はついに躓いて転んだ。キュクロプスどもは残忍な愉悦に口元を歪ませ、げらげらと笑いながら手を伸ばす……!
しかして。
「まんまとかかったわね」
振り返り、外套の奥に見えた恐怖に見開かれた瞳は、あっという間に嗜虐と侮蔑の色に細められた。
「「「!?」」」
何かがおかしい。キュクロプスどもはいまさら気付くがもう遅い。伸ばした手は空を切った――女が、飛んでいる!?
「なぁっ!?」
急上昇したことで風が吹き、女のフードをばさりと払った。外套が内側からなにかに押し出されてはぎ取れる……女の背中に広がる、悪魔めいた翼。翼だと!?
「残念。私は偽者よ。こんな手に引っかかるだなんて、本当に下劣な連中ね!」
ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は勝ち誇って嘲った。然り、彼女は逃げ出した女性たちに扮し、キュクロプスの一部を自ら囮となって引き寄せたのだ。
「だ、ダマしたな、ディアボロスぅ!!」
キュクロプスは怒り狂い、上空のディアナを睨む。いま時点の【飛翔】の速度では、青銅馬との追いかけっこには少々分が悪い……が、ディアナの策の本命は、ここからなのだ。
「アホ面をして上を見ていていいのかしら? 少しは足元に気をつけたほうがいいんじゃない?」
青銅馬の前脚が力強く地面を叩いた。すると、地面を覆う砂がぼう! と間欠泉めいて勢いよく吹き上がり、青銅馬が体勢を崩す!
「うおお!?」
罠だ。青銅馬の健脚はたしかにすさまじい速度を誇るが、もともと騎馬に優れているわけでもないキュクロプスにとって制御は困難。ましてや女に目が眩んでいてはどうしようもない。
そこに前肢を絡め取る罠が加われば、待っているのは前方に投げ出されるという事態だ、まるで暴れ馬の背中から放り出されるように、先頭を競っていたキュクロプスは無様に地面を転がった。
「ぐえっ!!」
そこへさらに砲撃の雨。周囲の砂がさらに舞い上がり煙幕の役割をなす。
「今よ、サポートよろしくね!」
ディアナは叫んだ。途端、さらにふたりの力が加わり、後続のキュクロプスの勢いを削ぎ落としにかかる。
「トラップ、大成功です! 野乃には、こういうことは難しくて無理ですけど……こっちなら!」
「ん。後詰め、心得た――もう、こっちに来た奴らは自由にさせない」
あらかじめ岩陰に潜んで待機していた久住・野乃(六尾のもふ狐・g03512)と凍雲・雪那(報仇雪恨の■■姫・g07783)が、すぐさま仕掛ける。トラップを避け迂回しようとするキュクロプスを逃すわけにはいかないのだ。
「全力で行きますっ!」
野乃は駆け出し、自らを四角錐(ピラミッド)型のエネルギーで覆うと、突っ込んでくる騎馬めがけて体当たりを繰り出す。トラップを警戒しなければならず、しかもディアナの見事な演技に騙され足並みが乱された状況では、前のめりのタックルは避けきれない。統率されていた軍馬の列は、内部からかき乱されるように散らばった。
「凍結(Freeze)、粉砕(Crush)、侵蝕(Erosion)――氷食を、刻む」
次いで、舞う砂をも凍らせるほどの極低温の風が向かい風となり吹き付けた。雪那の『氷食輪廻(グラシアル・ゼロ)だ。
霜は菌類めいて根を張り、トラップの設置で不安定になった地面をさらに脆くさせる。ただでさえ視界の悪い砂の煙幕のなか、白い靄が加われば、いかなキュクロプスの単眼とて見通すのは易くない。
「ま、マエがミえねぇ!」
「チクショウ! オンナはどこだァ!」
餓えた亜人どもは、書くも憚られる口汚い罵倒を撒き散らしながら、もはや前に進むのを諦めてんでバラバラの方向に四散していた。
このまま攻撃を仕掛けるのも悪くない。が、それにはそれに備えている仲間たちがいる。ならばここでなすべきは、奴らが元の勢いを取り戻さないように徹底的に撹乱することだ。
「……踏めば砕ける、凍りついた地形、いちいち気にしながら走るの、大変だね?」
白い靄の向こうから、雪那の静かな声。抑揚は漂う冷気めいて大人しいが、侮蔑と嘲弄の色があるのは間違いない。
「すごいパラドクスです……野乃も負けてられませんっ。精一杯、足止めしますっ」
野乃はディアナと雪那の手際に目を輝かせるも、すぐに我に返り右に左にと飛び回った。姿見えぬ跳梁者と化した妖狐の予測不能な撹乱は、相乗効果でキュクロプスを混乱させる。
「お、オレたちのオンナが! トられちまうぅ!」
別行動を採った同族どもを妬み、キュクロプスは嘆いた。なんと醜く自分勝手な精神か。
「この期に及んで、まだ、それなんだね。本当に、度し難い」
「欲に目が眩んでるからそうなるのよ、変態」
雪那とディアナは、心の底からの軽蔑の言葉をぶつけた。キュクロプスどもは怒り狂うが、その怒りがさらに平静を損なわせ、果敢に攻撃をかける野乃にチャンスを与えてしまうのだ。
「あなたたちみたいな亜人に、もう犠牲は出させませんよっ!」
少女は小さな体にありったけの怒りと勇気を秘め、ふたりの卓越した腕前に少しでも追いつこうと戦い続ける。
もはや青銅馬はいななき、生身であれば泡を吹いて混乱していそうな有様だ。敵部隊の足並みは、完全に乱された!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
播磨・仁絵
アドリブ絡み歓迎
彼らは私のような小さな存在など目にも止めないのでしょうね、そこが好機です
パラドクス使用、忍び足のダッシュで突撃、青銅馬の足を思い切りぶっ叩いて破壊。足元をちょこまかと動いて撹乱させましょう
大きいと、小回りがきかなくて大変ですね
反撃へはぎりぎりまで引き付けてから一気に【飛翔】上空に飛び回避し対処
青銅馬から降りた奴らも同様に向こうずねを叩いたり膝かっくんを仕掛けたりして転倒させます
ぼやぼやしてると、足元すくわれますよ……文字通り。
アウグスト・エステルブリッツ
(サポート)
人間の思想家×レジェンドウィザード、35歳の男です。
普段の口調は男性的(私、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
戦闘においては、まずは一般人を守るべく、敵との間に割って入ろう。
そして脱出を援護するために踏み止まり、「ここは我々に任せろ!」と声を掛けておく。
その上で、他のディアボロスと連携して戦うとしようか。
できるだけ足手まといにならず、そして敵に可能な範囲でダメージを与えられるように。
困っている人の救援行動に関しては、人々からやって欲しい事を聞いて調査。
その上で必須と思われる事、やっておいた方が良い事、そして出来るならば……の三段階にトリアージ。
仲間と共有して、困っている人を助ける。
●小さき者、巨大な波紋
冷気の白い靄と砂とが混じり合い、天然の煙幕を生み出す。青銅馬は完全にコントロール不可能になり、キュクロプスどもは怒り狂っていた。つまり、絶好のチャンスが訪れたのだ。
「今ですね。このまま殲滅します」
播磨・仁絵(捧げられしもの・g08502)は、小柄な体躯にそぐわぬ意外な機敏さで地を蹴った。70cmに過ぎない幼いヒルコが、地に這うほどに低く伏せてまっすぐ走れば、スピードも相まって捕捉は困難になる。
馬上から人を見下し虐げてきた亜人相手ならば、なおのこと。
「テキか!? ドコから……」
「此処ですよ。亜人よ」
声は真下から。キュクロプスが無数の武器で狙い撃つよりも先に、青銅馬の四肢が砕け、体勢を崩した!
「なぁ!?」
「私のような小さき存在など目にも留めないのでしょうね。だから、こうやって出し抜かれるのです」
仁絵は無表情で言い、そのまま垂直に飛び上がって無数の武器の包囲網から逃れた。
ごく一部の武器を避けきれず肌に多少のダメージを追うが、大したものではない。優勢は変わらないのだ。
「オノレ! ガキめが!!」
「さっき学んだのではないですか? 上を見ていると足元を掬われると」
再び、無数の武器……どれもこれも人間を苦しめ殺すことに特化した、いびつで原始的なものだ……が、砲口を定めるように仁絵を狙った。しかし彼女へ放たれることはなかった。
「いい啖呵だ。ならばその証明は、私が担おう!」
無数の武器が、砕け散った。仁絵のパラドクスか? いや、違う。武器を砕いたのは雨のような無数の銃弾である。
颯爽たる声と銃弾が吹き払ったかのように、天然の煙幕が晴れる。風に金色の髪をなびかせ、攻撃者であるアウグスト・エステルブリッツ(人間の思想家・g08506)が立っていた。
「まだイただとォ!?」
「彼女のアドバイスを聞いておくべきだったな。だがもう遅い!」
アウグストがアジテーターのように大げさに腕を振るえば、何処からともなく無数の弾丸が降り注ぎ、己に飛来する武器を撃ち落としてしまう。ごく一部、刺々しい刃のダガーや吹き矢めいた小さな鏃がアウグストの髪の一房と肉をわずかに奪っていったが、軽傷に過ぎなかった。
遅滞戦術が成功し、足並みを乱された時点で、奴らの勝ち目は失せていた。踵を返して一目散に逃げるのが、キュクロプスどもにとって最善の選択肢だったはずだ。
「チクショォ! オンナ! オンナをヨコせェ!」
「ディアボロス! コロじでやるゥ!」
それが出来ないから、亜人でありクロノヴェーダなのだ。アウグストはよだれを垂らして吠えるトループスの浅ましさに、顔を顰めた。
「……醜いな。これほどの数の武具を創り出せる知能があるのならば、それに相応しい振る舞いをすればいいものを」
「出来ないからこそ、足元掬われたんですけど……ね」
さもありなん、とアウグストは仁絵の言葉に頷いた。
ふたりは背中合わせに立ち、あらゆる方角から飛来する無数の武器を躱し、あるいは撃ち落としながら、確実に敵の数を減らしていく。
もうキュクロプスに、立ち上がることは許されない。仁絵の攻撃が足を破壊し、アウグストの起こす銃弾の嵐が、立ち上がるための体力を削り取っていくからだ!
「うおおおお! カ、カてねェ!!」
「いまさらですか。まあ、こっちを向いてくれて……助かりました」
スパーン! キュクロプスの弁慶の泣き所に、仁絵のキツい一撃。亜人だろうとこの痛みは我慢できるものではない。のたうち回るところへ、タイミングを合わせた最後の弾幕が降り注ぎ、完全に息の根を止めた。
「見事な"足止め"だ! ……しかし、少々物理が過ぎるのではないかな?」
「私の背丈からすると、だいたいいつも此処が一番狙いやすいので」
わずか7歳のヒルコ、仁絵の背丈は70cm。成人男性よりも大柄なキュクロプスの弁慶の泣き所は、まさにベストポジションなのだ。
「そ、そうか……うむ、長所を活かすのは利口だな。しかし……敵ながら憐れだ……」
人間なら誰もが一度は味わった向こう脛強打の痛みに、アウグストはぞっとした。
ともあれ、これで彼らの担当したキュクロプス部隊は殲滅出来た。別働隊も、仲間たちが片付けてくれるはず。
これもまた、亜人の邪悪なる蹂躙と支配を終わらせるための確かな一歩。ディアボロスは決して油断せず、また臆することもなく、勝利に向けて確かな足取りで進み続けるのだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【モブオーラ】がLV3になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
小狡いとか敵に言われるなら褒め言葉、その吠え面が見たかったんだ
蝶はここ辺りでは魂と同じ言葉なんだってな
今までの犠牲者の恨みを思い知れ
【行動】
先に発明や電撃使いの技能とパラドクスを使い蝶の形の機械を製作
敵は仲間が引き寄せて止めてくれるらしいのでその機会に便乗
強力な力を持った亜人が蝶なんて気にする訳もないだろう
統率で操り敵の頭上や周りを飛ばせる
この蝶は敵にダメージを与える他にも痺れさせる効果がある
青銅馬には効かなくても敵には効くだろう
それで時間稼ぎをする
俺は地面と同色の布を被り光学迷彩で隠れつつ
敵の様子を観察しパラドクス通信で同じく足止めする仲間へ連絡をとり連携する
エイレーネ・エピケフィシア
人々を護り抜くことこそ、わたしの復讐者としての本分です
既に亜人の母とされた女性を、或いは亜人に殴り殺されたウェアキャットを救うことは……誰にも出来ません
ですが今を生きる命だけは──!
≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に殿を務めます
最大6mまで伸長する槍のリーチと、盾の護りを活かして
強力な術を使用したり、策を巡らせる仲間の準備が完了するまで時間稼ぎを
【防衛ライン】も展開して、強行突破もしくは大幅な迂回を強制させます
敵との攻防には『スピアウォール』を使用
槍衾を横に広げて、そこに緊密な陣形のファランクスがあるかの如く応戦します
この時に槍で馬の脚や手綱を握る騎手の手を傷つけ、機動力を削いでいきましょう
●現在の重さ
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は殿を務めていた。
自ら言い出したことだ。やらなければならない理由が、エイレーネにはある。
「オンナ! オンナはドコだァ!」
「オレがモラうぞ、オンナァア!!」
亜人どもが迫りくる。邪悪なる単眼は獣じみて餓えていた。見るも胸がむかつく醜悪な化け物……見慣れることなどない。奴らの悪逆も、それに虐げられる人々も。
「ここは通しません。決して!」
エイレーネは一切の搦手を捨てた。遅滞戦術としては合理的とは言い難い。
だがそれでも、やらずにはいられないのだ。
「ドけぇ、ウェアキャット! シュジンにサカらうかぁ!!」
「そうやって、わたしの同族(なかま)を殺したのですね」
失われた命は戻らない。起こってしまったことは変わらない。ならば、せめて……今を生きる命だけは。
人々を守り抜くことこそ、エイレーネのディアボロスとしての本分。身を抛ってでも守らずにはいられない……危うい生き方なのだろう。だがそれでもいい、人々と仲間を守れるなら!
「何があろうと、ここから先へは行かせません!」
槍を振るい騎馬を牽制し、邪悪なる原始的武装を盾で凌ぐ……凌ぎきれぬ。ダメージは増える。エイレーネは臆さない。
それは城砦だった。餓えと渇きのままに進むキュクロプスでさえ、気圧されるほどの城砦の如き守りだった。
後退しながらの戦いは、消耗を強いる。常にこちらを出し抜こうとするキュクロプス相手ならなおのこと、敵からの反撃だけでなく移動にも気を張らねばならないのだ。
(「……分が悪いな」)
身を潜めチャンスを伺う荒田・誠司(雑草・g00115)は、冷静に待つ。待てるのだとエイレーネが言ったのだから、彼はそれを尊重する。別にエイレーネのことがどうでもいいからではない。
戦うエイレーネの表情は、必死で悲壮ですらあり、だが怒りに燃えている。血を流しながら、歯を食いしばって怒りさえも礎に立ち続けている。敵がすべてを薙ぎ払う怒涛とすれば、揺るがぬ石柱のような戦いぶりだった。
(「ならば、俺は俺の本分を、役割を果たすまでだ」)
その決意と覚悟を、中途半端な優しさで取り上げようとするのは、同じディアボロスであり仲間としての礼を失する。
苦しいのは彼女だけではない。多くの仲間が無念に歯噛みし、しかし諦めずこの逃走劇まで事態を繋いだのだ。
砂色の布の下、誠司はバイザーを操作した。奴らの吠え面は胸がすく……だがまだ足りない。もうひとつふたつやってやらねば!
「今までの犠牲者の恨みを、思い知れ」
誠司の口からぽつりと零れた言葉は、亜人にも仲間にも伝わらなかった。しかし、伝える必要などないのだ。
「シねぇえ!!」
曲刀を振り上げたキュクロプスがエイレーネに襲いかかる! エイレーネは避けない。死期を受け入れたか? 必殺の手応えを予感しキュクロプスはどろりとした殺意に呑まれた。
ここだ。誠司は握りしめていた通信端末に向けて叫ぶ!
「……跳べ!」
エイレーネは目を見開き、後ろへ飛び退った。攻撃を避けるため? たしかにそうだ。だが避けるのは敵の攻撃ではない。
蝶である。
振り上げられた曲刀の先端に、ひらひらと蝶が留まった。
「う、ぐ
……!?」
停まっているのだ。キュクロプスの動きが。まるで見えない鎖に縛り上げられてしまったかのように、ぎちぎちと身動きが取れないまま悶えている。一方、青銅馬は走り続ける。不安定な体勢のままで。
「さぞかし自分の力に自信があるんだ。蝶が飛んでいるなんて気にも留めなかっただろう?」
誠司のパラドクスで生み出されたイミテーションの蝶たちが、見えない鱗粉をばらまいていたのだ。エイレーネが飛び退ったのは、その範囲から離れるため。
「ほ、ホカにヒソんでいただとォ!?」
「わたしを「たかがウェアキャット」と侮りましたね」
エイレーネはざりざりと地面を滑りながら、ぐっと両足を踏みしめて停止。槍を腰だめに構える。
そこへ青銅馬が無我夢中で突撃する。迎え撃つにはあまりにも隙だらけだ。
「ト、トまれ! オイ! ヤツにチカづいたら……!」
身動きの取れないキュクロプスが叫ぶが、もう青銅馬は止まらない。そういう風に奴らが急き立てたのだ。
「蝶はここあたりでは、魂と同じ言葉だそうだ。つまるとこ――」
「……迎えが来たのです。ここで朽ちるあなたたちを、冥府へと誘う迎えが!」
エイレーネは槍を突き出した。形容ではなく本当の壁が生まれた。無数の矛の壁が横列をなし、無防備に突っ込んでくるトループスを吹き飛ばした!
「「「ぎゃあああ
!?」」」
近づくということは近づかれるということ。青銅馬は槍衾にされ水銀めいた異様な体液を流し蹈鞴を踏む。もはや奴らの足は、ふたりの連携で完全に奪われた……!
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
クロエ・アルニティコス
来ましたか。早かったですね。
ですが想定以上ではありません。
お前たちの首と、青銅馬の首。
彼女たちを安心させるにはどちらがいいか分かりかねますし……どちらももぎ取っておきましょう。
岩に身を隠しておき足止め後に迎撃開始します。
【ハルピュイア・ヒュペリカム】を使用し、オトギリソウの種を急成長させ、ハルピュイアを象った怪物を複数作り出します。
足止めされ、注意が足元の罠へと向いたところをハルピュイアに空中から襲わせ、その嘴と鉤爪でアンティゴノス・キュクロプスを引き裂き、解体させます。
特異な個体がこちらへと向かって来ようとしても、ハルピュイアたちに立ち塞がらせ、こちらへの攻撃を弱めつつ反撃を行います。
フルルズン・イスルーン
おー、吠えよる吠えよる。甲斐性のかけらも無さそうな声なのだ。
武威も怪しければ礼節もなし。戦士としては落第だねぇ。
ほら、あんなに遠くにいるんだ。何も怖がることはないさ。
彼女らを【フライトドローン】で逃げる補助をしてあげてと。
コフィン・ゴーレム、発射!
勇気づける一番の方法はなにかな?
そうだね、景気づけの花火だね! ボクの時代にそんなのなかったけど。
なにか怖いのが追ってきた時、それをチョドーンとやれば怯えた子供も一発なのだ。
いざゆけ、フィリュギャコナ型霊体ゴーレム憑依式船葬墓ミサイル!
もはや何がゴーレムかというツッコミは受け付けぬ。
さて、乙女の味方をすると決めたからね。
敵は殲滅あるのみさ。
クィト・メリトモナカアイス
うおぉぉぉとつげきー(小声)
んむ、亜人の気持ちになってみた。
突撃に失敗したところで。
この機は逃さぬ。モナカ突撃型。いくぞー。
おっきいモナカ突撃型に騎乗して「突撃のラガマフィン」。
足止めされたアンティゴノス・キュクロプスに向けて突進。ロバっぽいのに乗っていようとそうじゃなかろうとモナカ突撃型の体当たりではね飛ばす。
体当たりではね飛ばして行きすぎたらUターン。もっかいとつげきー。
武器が飛んで来たらモナカ突撃型の上で立ち上がって、黄金猫拳打棒で可能な限り弾く。
汝ら民を害し追い立てる者。
汝らを見てるとオアシスの時のことを思い出す。
汝らの名は刻まれず、語られず。
この荒野にて果てるべし。
●あるべきものをあるべき場所へ
「オンナァ! オンナがトオくにいっちまうゥ!」
「オレのオンアだぞ! ウオオオ!」
足並みを乱されたキュクロプスが執着するのは、足止め役のディアボロスでなければ仲間のことでもなく、自分たちが手に入れる「はず」だった女どものことだった。
身動きの取れない、あるいは混乱していななく青銅馬をガツンガツンと殴りつけ、女の尻を追いかけようとしているのだ。
「あーあ、ありゃあひどい。甲斐性のかけらもありゃしない。武威も怪しければ礼節もなし、戦士としては落第だねぇ」
フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)は呆れ返った。他のディヴィジョンのクロノヴェーダ……たとえば機械化ドイツ帝国のゾルダートなどであれば、もう少々マシな振る舞いを見せるだろう。戦闘者としての最低限の品性さえ持ち得ない亜人は、ただただ醜悪だ。
「ひっ! こ、声が聞こえる……!」
必死に走る女たちは怯えた。亜人は遠く、遅滞戦術も成功したが、彼女らの心身に刻まれた恐怖はそれだけ深いのだ。
「大丈夫だよ。ほら、あんなに遠くにいるんだ。何も怖がることはないさ。だから前を向いて、とにかく走るんだよ」
フルルズンは女たちを宥めた。いつもあっけらかんとしたフルルズンだが、その笑顔と声音はいつもより優しげに感じられる。
「んむ。この機は逃さぬ。我らが確実に仕留めるゆえ、案ずるな」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)はこくんと頷き、『モナカ突撃型』を呼び出す。
「さあゆくぞモナカ突撃型。とつげきー」
「おっと、ボクもいかないとね。まあ突撃するのはボクじゃなくてゴーレムだけどね!」
ひゅーん、とすっ飛んでいくクィトに続き、フルルズンは女たちに手を振って戦場へと駆け出す。
彼女たちは顔を見合わせ、足を止めず走り続けた。行く先は楽園ではない……檻の外はより巨大な檻、鎖は長くどこまでも繋がっているが、それでもマシな地獄だと信じて。
「ガ、ガキどもがァ! オレのオンナをよこせェ!」
対するキュクロプスどもは、口からよだれ混じりの泡を吹き、怒り狂って単眼を血走らせている。
青銅馬になおもしがみつく者もいれば、さっさと諦めて地面に降りる者もいた。完全に部隊としての統率は崩れ、協力も連携もあったものではない。
「……所詮、お前らなどそこまでということですよ。この追跡も、流れも、私たちの想定を越えてはいない」
奴らにとって誤算だったのは、待ち構えていたのはフルルズンとクィトだけではなかったということ。
「ま、まだイたのかァ!?」
「いつまでもやかましいですね。とっとと死ね」
岩陰から姿を表したクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)はぎらりと眼光を輝かせ、オトギリソウの種をひび割れた荒野に蒔いた。
「種子に宿るは我が怨恨。芽吹け――『ハルピュイア・ヒペリカム』!」
芽吹いた種はめりめりと恐ろしい速度で根を張り、育つ。ねじくれた茎を伸ばす滋養は怨恨。唾棄すべき亜人どもへの、クロエと女たちと、虐げられたウェアキャットたちの、尽きることなき怨嗟の嘆きと怒りを糧に、草木が花開く。
「ウオオオアア!! ブチコロしてやるゥ!!」
目を見開き吠えたキュクロプスが2体、骨と筋肉をきしませながら一回り以上パンプアップした。怒りによるものか、あるいは死に瀕したことで生存本能めいたものが刺激されたのか、ともあれ他の雑魚どもに比べて突出した超抜個体の発現である。植物が神話上の怪物『ハーピー』の姿を象るのに対し、奴らはいびつな曲刀を振り上げ自らの両足でクロエに挑みかかるのだ。
「おー、でかくなっておる。が、我のモナカはその程度ではびくともせんぞ」
「グオオオ!?」
KRASH!! そこに横合いからのフルスピード突撃、衝突! クィトの跨るモナカ突撃型に体当りされ、巨大化キュクロプスはずしん! と蹈鞴を踏んだ!
「言ったはずですよ。お前らのやることはすべて想定の範囲内だと」
「召喚物の大盤振る舞いだねぇ。よーし、ボクらも負けてられないぞ、行けコフィン・ゴーレム!」
3体、4体と植物製のハーピーが芽吹いて生まれ、葉の翼を広げる。太陽光が遮られた影の下、フルルズンが召喚したのは凝った意匠の船葬墓だ。それらは浮かび上がり、殺到するハーピーと競うようにしてミサイルの如く飛翔した。
巨大化キュクロプスは、クィト&モナカの突撃で勢いを削がれ、足を止められたところにハーピーの爪を喰らい、そしてさらにコフィン・ゴーレムの自爆突撃で爆炎に呑まれる。
盛大な爆発は、きっとこちらを見返しているであろう女たちの目にも届いたことだろう。
「ギャアアア!!」
「勇気づけるにはやっぱり、景気づけの花火だね! まあボクの時代にそんなのなかったけど」
「……この時代にもないと思いますが」
冷静なクロエも、フルルズンの素っ頓狂な発言には思わずツッコミを入れてしまった。
「チクショウ! コロせ! コロしちまえ!」
「おおっと」
怒り狂ったキュクロプスが、悪意あるいびつな武器を召喚し、弾幕めいて降らせた。剣呑な刃と矛の中を、クィトの乗るモナカはギュンギュンと蛇行しながらすっ飛ぶ。クィト自身もその上で立ち上がり、時折バランスを崩しかけながらも『黄金猫拳打棒』を振るって弾き飛ばすのだ。
「民を害し追い立てる者どもよ。汝らを見ていると、オアシスの時を思い出す」
緑色の瞳が、細められる。無表情に見えるが、彼女をよく知る者であれば、そこに嫌悪と怒りがまざまざと燃えていることに気付くだろう。
モナカは急カーブからのターンをすると、滑空に近い角度で空から敵を睨み据えた。クィトは大軍を指揮する王の笏のように、打棒を振り上げ……。
「――汝らの名は刻まれず、語られず」
勢いよく、下ろした。
「この荒野にて果てるべし」
それは抹消されしリターナーの、敵に送る最大の絶望であり侮蔑であり、揺るぎなき処刑宣言である。
「うおおおお!?」
モナカ突撃型着弾! 間欠泉めいて砂と土が舞い上がり、直撃を受けたキュクロプス2体は跡形もなく爆散した。
奴らの存在は何処にも、何にも遺されない。歴史を尊ぶクィトにとってその言葉は、もっとも許せない敵への決別の証なのだ。
舞い上げられた土がパラパラと落ちきる前に、決着は訪れようとしていた。
「あっちもやる気だねぇ。ま、ボクも乙女の味方をすると決めたからね。殲滅あるのみさ。
というわけでいざゆけ、フィリュギャコナ型霊体ゴーレム憑依式船葬墓ミサイルーッ!」
ひゅーん。宙に浮かぶコフィン・ゴーレムが真上から渦に飛び込む魚群めいて降り注ぎ、キュクロプスを爆炎で包む。
「んむ。それはよい。ところであれはどこらへんがゴーレムなのか」
「そのツッコミは受け付けないよ! いまさらだからね!」
「……まあ、私は奴らを倒せるならどうでもいいんですが」
クロエはツッコミを任せ、ハーピーたちをさらに生み出し、とどめの大攻勢をかけさせた。
緑色の怪物は、己が燃えるのもいとわずに爆炎に飛び込み、苦しみ悶えるキュクロプスどもを爪で裂いて肉を食む。
「あるべきものはあるべき場所に還るべきです。お前らのようなゴミは、こうやって処理するのが相応しい」
無残に食いちぎられた屍が、糸の切れた人形めいて踊り、そして爆発で跡も残さず焼き消えた。
青銅馬の残骸はもはやガラクタ以下の塵と化す。これで残すは、『リュカーオーン』のみだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
【フライトドローン】がLV2になった!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【グロリアス】がLV2になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
「あァ? 役立たずのクソどもが、死にやがって!」
殲滅されたトループス級に対して『リュカーオーン』が見せたのは、怒りは怒りでもただの苛立ちだった。
「褒美をちらつかせてやってもこのザマか、使えねぇ。結局オレが働かなきゃいけねぇのかよ」
醜悪な怒りに濁った双眸は、次いでディアボロスたちを睨む。顰め面はいびつな笑みに変わった。
「貴様ら全員、楯突いたのを泣いて叫んで後悔するまで苦しめてブチ殺してやるぜェ……!」
負ける可能性など微塵も考えていない、嗜虐に満ちた笑み。たしかに奴は君臨し支配してきたのだろう――今日までは。
それももう、ここで終わりだ。
言葉ではなく、痛みと絶望でもって思い知らせてやるとしよう。
クィト・メリトモナカアイス
そっかー。
んむ、わかってるわかってる。我は詳しい。
汝のような者はこういうとか。かませ犬。
短気な犬。やっぱり我は猫派。
「北より至れ月冠す火」で黄金猫拳打棒に点火。撹乱しようとする相手に対し、足を止めてじっと待つ。
牙や爪による攻撃のために飛び掛かってくるところを【反撃アップ】で狙い、牙や爪を避けつつ真っ赤に燃える肉球の一撃。一撃入れて相手が怯んだら更に連撃。燃える肉球で何度でも殴る。
汝もまた同じ。
汝の名は語られず、刻まれず。
人の記憶よりも外れ、ただこの荒野にて朽ちるべし。
荒田・誠司
アドリブや連携など歓迎
【心情】
たとえ負けたとしても楯突いたのを後悔しねぇよ、そんな事はあり得ないがな
驕れる者久しからずってな
【行動】
早業でパラドクスのトラップを製作し、罠使いの知識や戦闘知識を基にそれを地面に仕掛ける
俺の罠は味方には分かるようになっているけれど仕掛けた旨をパラドクス通信で伝えるなど連携しやすいように連絡は密に行う
敵からの攻撃を為すすべない演技をして忍耐力で耐えながら罠のある場所へ誘導するという計略
このトラップはしばらく抜け出せない上、無理に動こうとするとワイヤーにより切れてしまうから多少でも効果はあるはず
必要なら臨機応変に対処する
エイレーネ・エピケフィシア
リュカーオーン──悪行によってゼウス様に罰せられた、残忍な王の名です
しかしあなたを裁くために、神々の王がお手を煩わせる必要はありません
今までの行いへの報いは我々が下しましょう
傷を受けようと胸の内の勇気は萎れません
護るべき人々を背にしている限り、暴君の猛威と戦うのみです
≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫に力を籠め、敵に突撃を!
単に直線的にぶつかるだけでは、敵の脚力で致命傷を避けられるやも
ならば『悪鬼制する戒めの鎖』を発動し、脚に鎖を絡めて捕縛です
牙での反撃を盾で警戒しつつ……無数の眼ごと貌を突き潰す貫通撃を狙い、槍を突き出します
アテーナー様!どうかこの手に、人々を安寧の城市に導く力をお与えください!
凍雲・雪那
ん。昔の言葉に、こういうのがある。
曰く、弱い犬程、良く吠える。
……道理だね。
咆哮と、衝撃波。
つまり、相手の顔の向きで、ある程度射線は予測できる。
【フライトドローン】、出現。リュカーオーンを囲むよう、命令。
ドローンに飛び移って衝撃波を躱しながら、隙を探る。
ずっと吠えっぱなしなんて、不可能。
必ずある筈の息継ぎの瞬間。それを見逃さず、吶喊。
まさか、自分より小さい、しかも女が。
自分と同じか、それ以上の咆哮を出せるなんて、考えもしないよね?
その傲慢、鼓膜ごとブチ破る。
絶・叫――ッ!
泣くことも、叫ぶことも、後悔することも、全て許さない。
お前はただ、何もできず――そこで凍てつき、朽ちていけ。
……けほ。
ディアナ・レーヴェ
…私、犬派なんだけど。でも、これは――(僅かに頬を膨らませる。失礼な位、真正面から指差し)無い!!
(欲に濁った姿は、醜悪で嫌いだ)
攻撃は【Rat】
味方が捕縛や罠での行動阻害を目論むなら、便乗して隙を狙うわ!
味方に接近戦を仕掛けてくる時は敵の背に回り込み、砲の照準を合わせる素振りや粉塵の巻き上げで妨害
※粉塵、味方は【完全視界】で平気でしょう?
私に来るなら――あら、軍師は後衛職と思ったかしら?
逃げも隠れもしないわ!
(正直、接近戦は得意じゃないけど!)
ブン殴られた衝撃は何とか【戦闘知識】で逃がして、退かない。
爪が刺さっても前へ。砲口を強引に敵の足元に捻り入れ――私が、隙を作るっ!
皆、やっちゃって!
フルルズン・イスルーン
態度だけは一人前だねぇ。
弱いものいじめし過ぎて、状況が読めなくなったみたいだけども。
ま、ここで返してあげる理由はどこにもないからね。
凍てついたる氷河よ、厳然たる断崖としての威を見せよ!
グレイシャー・ゴーレム!
古からの人の恐怖の象徴たる狼とて、硬く冷たい氷河の前には一律に試されるものであーる!
泣いても喚いてもすごんでも、自然は意に解しちゃくれないよ。
自慢の爪が、この氷にどこまで通じるか挑んでみるのだ。
知らず恐れを振うものよ。畏れこ前に身を正すが良い。
さて、あの街に残ってる乙女も気になるけど。
ひとまずは強さを信じようかね。
クロエ・アルニティコス
わざわざ宣言をせずとも、お前たちに敗北した者がそうなるなんてことは知っています。
だから私は、お前たちがそうして息をしていることすら我慢がならないんですよ。
【ヒュドラ・アマランサス】を使用し、ヒュドラを象った怪物を作り出します。
ヒュドラの首を伸ばした噛みつきにより攻撃、衝撃波によって吹き飛ばされようと再生し、何度でもリュカーオーンへと襲い掛からせます。
ヒュドラの毒で弱らせたなら首で絞めつけて捕縛、噛み付きでその肉を食いちぎり、解体します。
お前たちが人間を苦しめて殺すのに意味はありますか?
私はありますよ。これが趣味で、こうしていると私の気が晴れるんです。
だからもうしばらく泣き叫んでいて下さいね。
●土は土に、灰は灰に
「……私、犬派なんだけど」
ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は顔を顰めた。そしてわずかに頬を膨らませ、びしりとリュカーオーンを指差す。
「これは――ない!!」
「あァ?」
リュカーオーンは、不遜に過ぎる指差しと言葉に、ギロリと睨み返した。
「ん。でも、昔の言葉に、こういうのがある」
凍雲・雪那(報仇雪恨の■■姫・g07783)が口を挟む。す、っと青い瞳が細められ、侮蔑と嘲りの色を浮かべた。
「曰く……"弱い犬ほど、よく吠える"。道理、だね」
「んむ。わかる、わかる。我もそういうのは詳しい」
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が、同意の首肯を繰り返した。
そして、ディアナに倣うように、びしりとリュカーオーンを指差す。小さな体を、当然のように反らして。
「汝のような者はこう云う。かませ犬」
「…………」
リュカーオーンは無言だ。代わりに、奴の足元に転がっていた小石が、ばきんと触れずに砕けた。怒りのオーラに、石が耐えきれなかったのである。
「まあまあ、そう寄ってたかって事実を指摘するものじゃないよ。正論は何より人を怒らせるものなんだしさ」
フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)が間に割って入るが、まったく取りなすようには思えない態度だった。
「たしかに、態度だけは一人前だけどね。弱いものいじめしすぎて状況も読めなくなっちゃった愚かな亜人だとしても、言わぬが花って言葉もあるわけでね?」
なにせ、やることは変わらない。ディアボロスがリュカーオーンを見逃す理由はない。どちらにせよここで滅ぼすのだ。
であればせめて、余計なストレスは貯めさせないほうが人道的というもの。フルルズンはそう言いたいらしかった。
「そもそも、わざわざ宣言をせずとも、お前たちに敗北した者が"そうなる"ことなんてとっくに知っています」
クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)が、むしろ愚かなのはお前だと懇切丁寧に教えてやるように、普段より噛み砕いた言い方でゆっくりと語りかけた。
「だから、私は、お前たちがそうして息をしていることすら、我慢がならないんですよ」
冷たく抑揚のない声。その奥には、押し殺された怒りがある。そして憎悪が。地の深く、見えもせず熱も届かないが、たしかにそこに煮え立つマグマのように、はっきりと。
「……リュカーオーン。悪行によってゼウス様に罰せられた、残忍な王の名を持つ者よ」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)の槍の鋒が、リュカーオーンに突きつけられた。
「あなたを裁くために、神々の王がお手を煩わせる必要はありません。今、ここで、これまでの行いの報いを我々が下しますから」
「……ヒヒッ、ハハハハハ!」
リュカーオーンは片手で顔を覆い、引きつけを起こしたような笑い声を上げた。
だが気配は、まるで逆だ。これから出来るだけ残酷に、苦痛と絶望を与えて殺すと、すさまじい殺気が示していた。
「笑えてくるぜ。貴様ら、もう勝ったつもりでいやがるのかよ。吠え面が楽しみで仕方ねェ!」
「驕れる者久しからず、ってか? あいにくだが、その台詞はこっちが言わせてもらいたいぐらいだ」
荒田・誠司(雑草・g00115)は、獰猛な殺気を柳に風と涼しい顔で受け流し、鋭く言い返した。
「戦う前から負ける可能性を考えてビクつくほど、俺らは生半可な覚悟で来ちゃいない。特に此処にはな。
そして……たとえ負けたとしても、楯突いたのを後悔なんざしねぇよ。お前が喜ぶってんなら、なおさらだ」
びきり、と近くの岩に亀裂が走った。リュカーオーンの全身の毛並みが、内側から迸る怒りと殺意に呼応しざわめく。
「……いいぜ。そこまでほざきやがるなら、全員ブチ殺してやるよ」
みしみしと地面が軋む。ディアボロスたちは肌を刺すような殺気を平然と浴びながら、各々身構えた。
5秒か10秒か……あるいは数分か。時間の長さもわからなくなる濃密な緊張の中……どちらともなく、動いた!
●
逆説連鎖戦は、尋常の感覚での表現が極めて難しい。
戦う両者の主観はけして変わらないが、当事者の感じる「1秒」が相手にとってそうであるとは限らないからだ。
本能と蛮性を獣の形に凝り固めたような亜人と戦うとなれば、その矛盾はさらに色濃くなる。つまり、リュカーオーンの暴威は時間感覚を破壊するほどに壮絶なものだった。
「オオオオオオッ!!」
大地を引き裂かんばかりの咆哮が轟く。音がディアボロスたちの肌を叩いた瞬間、本体もまた跳んでいた。音に追いつきかねないほどの踏み込みで、背後の地面が爆ぜる。舞い上がった粉塵は、まるでスパンコールのように月光を翳らせた。
「神々よ、わたしをお守りください!」
エイレーネが突撃に応じる。リュカーオーンの右前肢周辺の空気がうねり濁るのを感じ取ると、彼女は盾をかざして爪の刺突を防いだ。
――がきん!
「くっ……!」
すさまじい衝撃が、エイレーネの身体を揺さぶる。吹き飛ばされまいと踏みしめた両足が、それでも威力を殺しきれずにがりがりと地面を削った。線路のように足跡が刻み込まれ、遅れて吹き荒んだ咆哮の波で地面ごとめくれ上がる。
「たしかに、言うだけはある。あれ、直接食らうのは、よくないかも」
頭上。フライトドローンを足場にし、敵の動きを観察する雪那。冷たい眼差しを、リュカーオーンの多眼が睨めあげる。
雪那は反射的に跳んだ。コンマ1秒後、彼女が足場にしていたフライトドローンが紙屑のように引き裂かれ、残骸が粉塵に混じり、飛び散る。
「可能なら、そのまま東方向に惹きつけてくれ。そこにワイヤートラップを設置してある」
通信機に誠司から通信が入った。雪那は敵に気取られないよう、一瞬だけ視線を彼に送ることで応答する。敵の死角に回り込んだ――リュカーオーンからすれば攻撃を恐れて距離を取っているように見える――誠司が、こくりと小さく頷く。
「なァに企んでやがンだァ? オイッ!!」
その瞬間、リュカーオーンは180度反転し、飛び退った誠司の眼前に跳躍。まるで瞬間移動じみた速度だ。
「おっと、それは困るね。頼むよ、グレイシャー・ゴーレム!」
フルルズンが瞬時に精製・具現化した永久凍土のゴーレムが、自らの身を盾として間に割り込む。
エイレーネの時よりも、鈍い激突音が響いた。さしものリュカーオーンの爪とて、凍てつく氷河の化身はそう簡単に退かせることは出来ない。
「邪魔くせェ!!」
「そうですか。ではおかわりをあげます」
背後に巨大な何かがそびえ、リュカーオーンの巨体を影で覆った。
リュカーオーンは振り返りながら爪を振るい、降ってきた何か……つまり、クロエの召喚したヒュドラの首をぞぶりと切り落とす。
ぼとぼとと、毒液の血が滴る。リュカーオーンは毒液を浴びてじゅうじゅう毛並みを灼かれるが、奴の燃やす怒りに比べれば蚊ほどの痛みにもならない。
「どうした。こっちがお留守」
ちょいちょい、とクィトがリュカーオーンを挑発した。彼女は戦いが始まってから1歩たりともその場を動かず、仁王立ちして敵を睨んでいる。
普通ならば、真っ先に飛びかかるところ。リュカーオーンがそうしなかったのは、明らかにクィトはカウンターを狙っているためだ。ロジックではなく本能でそれを見抜いたのである。
だが、ここまでなめ腐った挑発をされたとなれば、さすがに野蛮な怒りのほうが警戒心を凌駕する。
「だったら殺してやらァ!!」
グレイシャー・ゴーレムを蹴り飛ばし、逆にその堅牢さを足場として利用。地面と平行に砲弾のような勢いで吹っ飛び、クィトに襲いかかる。横合いからそれを妨害しようとするディアボロスたちは、滴るような殺気を孕んだ咆哮で払い除けた。
「短気な犬。やっぱり我は猫派」
クィトは表情を変えずに呟き、黄金猫拳打棒を構えた。すると、パラドクスの力により、先端部の肉球がぼわっと燃え上がった。
「今日の黄金猫拳打棒は真っ赤に燃えている。汝も、あの配下どもと同じ」
喰らえば半身を削り取りかねない牙が襲いかかる! クィトは避けない。後の先を得て、真っ赤に燃える肉球の一撃を……まるで強打者のホームランスイングよろしく、横っ面に叩きつけた!
「ぐはァッ!?」
「まだまだ」
さらに逆側からの一撃! さしものリュカーオーンとて怯み蹈鞴を踏む! クィトは一歩踏み込んだ。一瞬にして趨勢が逆転する!
「汝の名は語られず」
SMASH!!
「刻まれず」
SMASH!!
「が……ッ!!」
「人の記憶よりも外れ、ただこの荒野にて朽ちるべし。躾のなってない犬には、キツいお仕置き」
SMAAASH!! リュカーオーンの身体は、先ほどの踏み込みを逆回し再生するかのようにふっとばされた!
「ここね。一気に押し込むわよ!」
やや遠巻きに状況を観察していたディアナの叫びが、鬨の声となった。
ごろごろと地面を転がるリュカーオーンは、両前肢の爪でがりがりと地面を削りながらブレーキを踏み、血走った目でディアナをにらみつける。
「ほざいてんじゃねえぞクソアマァ!!」
「あら、私に来る? いいわよ、逃げも隠れもしないわ!」
ディアナはこめかみから溢れる汗を隠すように不敵に微笑んだ。正直言って、あれほどの暴威を相手にした接近戦は、遠距離を得意とするディアナにとっては悪手だ。
だが、それ以上の悪手を奴は選んだ。この状況を合理的に打開するなら、多少逃げを打ってでも体勢を立て直し、自らの機動力を取り戻すのが先決である。
(「さっきの迂闊な攻撃を見て閃いたアイデアだけど、バッチリだったわね
……!」)
クィトに向かって襲いかかった短気を、ディアナはすぐさま刺激し、敵を冷静にする隙を奪ったのである。
布石は成った。あとは、自らが生き延びればいい……!
「さあ、私はここよ。殺してみなさい? あなたのその自慢の爪と牙でね!」
咆哮が大地を揺らした。舞い上がった粉塵はリュカーオーンの突撃の渦巻く勢いに呑まれ、まるで横向きのミキサーじみて迸る。相対距離が瞬く間に縮まる……!
「――さっきから、喧しい」
それを、雪那が頭上から見下ろしていた。月光を浴びた瞳は、まるで澄み渡る海のように蒼一色だ。
だが、曇り一つない色とは、逆に言えばそれ以外のすべてを許さない残酷な色とも考えられる。
雪那の瞳に、リュカーオーンは映っていなかった――彼女は、獣の存在を認めてはいなかったから。
多眼が再び睨めあげる。嘲りの色があった。何をほざく、どうせまた飛んで逃げるのだろう。獣はそう驕っていた。あとで殺してやるとでも言いたげに。
雪那は、すぅ、と深く息を吸った。そして吐き出した。
行った動作のみを表現するなら、それに尽きる。だが起きた結果はその程度には留まらなかった。
「うぐぅオオオオッ!?」
リュカーオーンは絶叫した――然り、絶叫である。苦悶の雄叫び。それさえも誰の耳にも届かぬほどの、天をも聾するほどの大絶叫が木霊していた。
音が凍りついた。幾種数多の音のすべてが消え、完全な静寂が訪れた。バンシーの叫びはあまりにも強烈だった。
ただし、そう感じたのはリュカーオーンだけである。なぜなら、雪那の凍告絶叫(スクリームバンシー)は指向性を以て放たれていたためだ。そして、先述の通り、逆説連鎖戦では互いの主観世界に食い違いが生じることもある――ただ一匹、奴だけが無音の宇宙に放り出されていた。聴覚だけではない、足掻くという行為そのものを剥奪されたような、無。
咆哮(Cry)も、悲嘆(Grief)もなく、ただ硬直(Stiffen)だけを強いられる。バンシーの叫びは無慈悲な宣誓だ。
"そこで凍てつき朽ちていけ"と、雪那の唇がはっきりと伝わるように動いた。
ディアボロスたちからすると、リュカーオーンは空中で突然麻痺を起こし、身体を強張らせて顔からつんのめったように見えた。
起きたことの是非はともかく、奴はディアナを襲うどころではなくなり、無防備にごろごろと地面を転がる。その先には、誠司が張り巡らせたワイヤートラップ。
「さすがね、みんな……!」
ディアナは一言感嘆し、顎を伝っていた汗を拭い駆け出した。何をすべきかはわかっている。エイレーネ、クロエ、フルルズンもだ。
「そのまま縛り上げる! 仕留めてくれ!」
誠司の声と、トラップの発動は同時だ。蜘蛛の巣型のワイヤートラップが、まるで虚空から姿を表したかのようにリュカーオーンの全身を絡め取った!
「うおおおおッ!?」
リュカーオーンはようやく平衡感覚を取り戻し、わけもわからず身悶えした。強靭な毛並みがワイヤーで引き裂かれ、鋼線が筋肉に食い込む。恐るべきは奴の膂力か、全身に血管が浮かび上がるほどの異常筋力で引きちぎり脱出しようとする!
「そこに誘い込まれた時点で、お前は終わりだ」
誠司は無感情に呟いた。挑発や絶望のための揶揄ではない――事実なのだから。
わずか数秒、それだけ稼げれば十分すぎる。この逆説連鎖戦はそのレベルの致命の戦いであり、事実、仲間たちは追いついた。
「いいですね。その悪足掻きは好ましく思います。苦しめる余裕があるということですから」
クロエが片手を突き出すと、ヒュドラが地を割って出現し、多頭でもってがぶりとリュカーオーンに噛みついた。
「ぎぃいい!?」
「お好みでない方もいるみたいですが、私は苦悶(それ)が聞きたいんですよ」
牙が傷口に食い込み、毒を流し込む。リュカーオーンは痙攣しながら苦しんだ。
「お前たちが人間を苦しめて殺すことに意味はありますか? 私にはありますよ」
リュカーオーンは叫ぶ。だがその叫びはクロエ以外にはまるで伝わらない。女霊の嘆きは今なおヤツを蝕む。
「これが趣味で、こうしていると私の気が晴れるんです。だからもうしばらく泣き叫んで、足掻いてくださいね」
つまり今奴が上げているのは、ただクロエを慰めるための奉仕のようなものであって、何の意味もなかった。
じたばたと、四肢が地面を削る。すると削り取られた地面から、じゃらじゃらと音を立てて光り輝く黄金の鎖が現れ、グレイプニルめいて狼を戒めた。
「……哀れには思いません。あなたはそれだけのことをしでかしたのです」
三重の拘束と呪詛に塗れた姿を、エイレーネはただ見下ろす。握りしめた槍を逆手に構えた。
「アテーナー様……どうかこの手に、人々を安寧の都市に導く力を!」
「ああ、が……がアァアアッ!!」
だが、まだ牙がある。リュカーオーンは裂けるほどに大きく口を開いた。エイレーネの刺突に死物狂いでカウンターを叩き込むつもりか!
「本・当・にっ! その醜さは、私的には「ない」わね!!」
だが牙が閉じることはない。間一髪割り込んだディアナの砲口が、大口の喉奥にまでぐりりと捻りこまれたからだ。
「言ったはずよ。"私は逃げも隠れもしない"ってね」
それ自体がパラドクスであり、己はあの時点で隙を晒させられていたのだと、リュカーオーンは今更に理解する。だがもうすべてが遅かった。
砲口を噛み砕こうと顎に力を込める。心臓に突き立てられた槍の激痛がそれを戒め、同時に叩き込まれた氷結巨人の拳が臓物を肋骨ごと粉砕し、なお罰した。
「残念だね。仮にキミが泣いて喚いても、自然は意に介しちゃくれないんだ」
ゴーレムの肩、見下ろすフルルズンが嘆かわしげに頭を振る。
「知らず恐れを振るう者よ。畏れ身を正すがいい。……終わりぐらいは潔く受け入れたらどうだい?」
空色の瞳には何の感情もない。憎悪さえ。その曇りなき瞳を、リュカーオーンは再び畏れ震えた。痛みではなく恐怖で。
砲声ひとつ。ディアナの引いたトリガーがすべてを終わらせる号砲となり、なおも生き足掻くリュカーオーンの後頭部を頭蓋も脳漿も巻き込んでぶちまけ破砕させ、吹き飛ばし、それでようやく獣は息絶えた。
あとには、風ひとつ。ディアボロスたちは女たちの姿を探した――もうどこにもいない。逃げおおせたのだろう。
「ここから先についてゆくことが出来ないのは、不安ですけれども……」
「いやぁ、ボクらでも見つけられないってことは、亜人も探せないわけだからさ。いいことだよ」
エイレーネを気遣い、フルルズンはへらりと笑った。
「んむ。我らの仕事はこれで終わり。さっさと帰る」
「……あれだけの相手と戦って、みんな元気だな。まあ、全員無事でなによりだ」
「無事、ね。まあ――そうね」
ディアナは誠司の言葉に曖昧に頷き、街のほうを見やった。悪徳はまだそこにある。
「今は、この一歩で十分」
雪那の静かな声が、ディアナの意識を引き戻す。
「十分ではないですが、十分とします。そう考えたほうが後の楽しみも増しますから」
クロエが付け足し、誰ともなく苦笑した。そうだ、苦み走ったまま帰るよりは、苦いながらも笑いながら凱旋するべきなのだろう。
今できることはこれですべて。だが、そのすべてを彼らは成し遂げた。
今はただ、待つ人のいる拠点(ホーム)へ。風に攫われる灰と塵とを振り返ることなく、胸を張ってパラドクストレインに乗り込んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV2になった!
【傀儡】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【完全視界】がLV2になった!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!