リプレイ
伊藤・真九郎
我等を探る為に民を苦しめるとは、何たる外道か
望み通り、我が力見せ付けてくれようぞ
愛刀を抜き、飛行する敵兵に対峙する
こちらも飛翔すれば互角。しかし、ここは逃げ惑う民の安全を優先すべし
【防衛ライン】展開で敵進行を阻止する
翼無くば天に手が届かぬとでも思うたか。刀で弓に斬り勝つが逆説連鎖戦。間合いなど無意味なり
建造物の壁面を駆け上がり、跳躍して敵の頭上を取る
【家臣団突撃】。いざ、出陣せよ!
自身の周囲に槍を構えた武者達を召喚。もろともに降り注ぐ雨の如く敵へ打ちかかる
跳躍と落下の勢いを乗せた斬撃と刺突にて敵軍を屠る
足を止めず縦横無尽に駆け回り反撃を回避
派手に飛び回れば監視役も何らかの動きを見せるやもしれぬ
大空に舞うは翼持つ乙女の如きクロノヴェーダ。
その羽撃く翼から放たれる魔力を込められた羽は、まるで弾丸のように伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)へと迫っていた。
吹き荒れる豪雨の如き攻撃。
それを真っ向から見据え、真九郎は刀を抜き放つ。
愛刀たる無銘の業物。
その銀閃が戦場となった高層ビル群のアスファルトに煌めくのをトループス級『フェザートルーパー』は見ただろう。
「アハハッ! やっと来たわねディアボロス! 返り討ちにしてあげる!」
「我等を探るために民を苦しめるとは、何たる外道か」
真九郎はこれより一歩も後ろには往かせぬと、兜と面頬に表情を覆われて居ながらも、その怒りによって疾駆する。
「刀一つで私達を捉えようなんておかしいわ! こっちは空を飛んで、飛び道具使っているのよ!」
「翼無くば天に手が届かぬと思うたか」
弓は刀よりも遠く飛び、一方的に攻撃を仕掛けることができるものである。
そして『フェザートルーパー』の放つパラドクスは、魔力を込めた羽を弾丸のように放ち続けている。その雨のような猛攻を彼はかいくぐり、ビルの壁面を蹴って飛ぶ。
そう、彼はディアボロスである。
空を舞う『フェザートルーパー』であろうとも、彼の斬撃の間合いは彼女たちに届くのだ。
「刀で弓に斬り勝つ。それがしにとって間合いなど無意味なり」
放つ斬撃が羽と激突し、火花を散らす。
だが、真九郎の狙いはそれだけではない。
「家臣団突撃、いざ出陣せよ!」
真九郎が掲げるは旗印。
その旗印の元に集うは戦国の鎧武者たちの幻影。彼等が一斉に戦場を駆け抜けていく。
どれだけ魔力込めた羽の弾丸が彼等に迫ろうとも、彼等は恐れることもなければ怯むこともない。
まるで擲つように刀を振り上げ、『フェザートルーパー』たちに迫るのだ。
「これより先には一歩もゆかせぬ。通りたければ、それがしを倒してからゆくのだな」
真九郎の刃が『フェザートルーパー』を切り裂き、さらに刺突の一撃が喉元を貫く。
血潮が吹きすさぶようにアスファルトを汚し、けれど、真九郎は首級に興味などないというように戦場を駆け抜ける。
足を止めない。
大立ち回りと言ってもいいだろう。
この戦いをどこかで見ているであろう鼠型トループス級。
「動き回れば監視役も何らかの動きを見せるやも知れぬ」
そうすれば、彼等を探し出そうと動くディアボロスを支援できる。
そのために真九郎は名乗りを上げ、煌めく業物の刀身を閃かせるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ラキア・ムーン
ふーむ、まずは尖兵の対処と周囲の安全確保といこう
それに敵の狙いが此方であるなら、逃げた一般人を執拗に追い掛ける事もあるまい
避難勧告を使用し、周囲の一般人には自主退避をお願いするとしようか
無論、最低限攻撃が届かないよう動くがな
《RE》Incarnationを構え戦闘態勢
術式展開、『全力魔法』
【Call:Flame_Gust】起動
炎の塊を精製…フェザートルーパーに投擲
対空戦闘を開始しよう
トルーパーにぶつけたら『爆破』し、羽諸共焼却してやろう
また、術式による攻撃だけでなく戦場を駆け届きそうな敵に対して槍での『突撃』を仕掛ける
別に仕留めようとは思いはしないさ
これで気勢がそがれらば炎を当てやすくなる
斬り込む鎧武者の集団がトループス級『フェザートルーパー』を惹き付ける。
クロノヴェーダであるアークデーモンたちは、あえて一般人を痛めつけることによってディアボロスを誘き出そうとしていた。
それには必ず理由がある。
確かに『畏怖』たる感情を集めることをアークデーモンたちは主だった目的としている。
その裏に自分たちを誘き出し情報を得ようとしている動きがあるのならば敵はこちらを各個撃破してこようとするかもしれない。
「落ち着いて。あなたたちはちゃんと守るから。だから落ち着いて逃げて。後は私たちに任せて」
ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は、赤い光が明滅し、サイレンが鳴り響く高層ビル群の街中を逃げ惑う人々にそう呼びかける。
だが、それをあざ笑うかのように彼女の降り注ぐのは『フェザートルーパー』たちの放った魔力込められし羽の弾丸だった。
「大変ね、ディアボロス。守るものが多くって!」
「複合術式展開」
それ以上に怒りが彼女の内側から溢れ出してくる。奪われたものがある。多く奪われた。
故に怒るのだ。
燃え上がる激情を炎に変え、彼女のパラドクスが炎の塊を生み出す。
それは風と炎の複合術式。
生み出された炎の塊が突風に押されて空を飛ぶ。それは放たれる羽を燃やし尽くしながら、突き進み『フェザートルーパー』にぶつかった瞬間弾けて炎を撒き散らす。
「ガハッ……! 炎の術式だけではなくて、風の術式も同時に扱うっていうの!?」
「それが、Call:Flame_Gust(コール・フレイムガスト)。別に仕留めようとは思いはしないさ。こうすれば足を止めるでしょう?」
ラキアは槍を構えてアスファルトを蹴って飛ぶように疾駆する。
『フェザートルーパー』は、ディアボロスを誘い出すためだけに人々を襲っていた。
ならば、わざわざ逃げた人々を追いかけはしないだろう。
だが、ここで討ち漏らす理由なんてない。
手にした槍は『再誕』を意味する。術式に酔って得た炎と風の魔力を宿し、彼女の槍の穂先が炎と風による加速を得て、迫る『フェザートルーパー』を貫く。
「此処には何も無い……」
ラキアは怒りをぶつけるようにして槍の柄を握りしめる。
喪われたものが再び生まれますようにと、その祈りを込めるように槍の穂先が空に向かって突き上げられる。
『フェザートルーパー』ごと突き上げられた穂先より炎が噴出し、その肉体を焼滅し火の粉を舞い散らせるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
真紅堂・乎乎那
アドリブ連携歓迎にて
紅のドレスを翻し堂々と地上を往くとするよ。
『集合嘸』メンゲね……
まずはデータ収集か。その点は共感できるが……まぁいい。
目の前の仕事に集中するとしようか。
・一般人の避難を重視。
身体を張ってでもディフェンスしよう。
早く逃げると良い……余裕があるなら負傷者も連れてね。
・魔力の羽だって?
全て爆破してやるさ……!と、いいつつ派手にいこう。
ネズミを捜索する仲間の存在を悟らせないくらいに。
見てるかい?ネズミさん。
あちらが見ているという事は此方からも見る事が出来る筈……。
多分。
赤い明滅する光が高層ビル群の街中に広がり、サイレンの音が鳴り響く。
人々は、その音と光によって安全な場所へと避難していくことだろう。
「早く逃げると良い……キミ、彼女に肩を貸してやってくれないかな?」
真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)は逃げ惑う人々の中にトルーパー級『フェザートルーパー』によって負傷を負った女性を見つけ彼女を託す。
己はディアボロスである。
彼等を守るために身を盾にしなければならない。
その思いを突き動かすのは、怒りである。
奪われたもの。
失ったもの。
多くがあるからこそ、これ以上他の誰かにそれを味合わせぬためにこそ彼女は紅のドレスを翻し、堂々と『フェザートルーパー』の放つ魔力込められし羽の弾丸に身を晒すのだ。
「『集合嘸』メンゲね……まずはデータ収集か。その点は共感できるが……まぁいい」
乎乎那は迫りくる羽の弾丸の中を走る。
己の姿をこそクロノヴェーダたちは求めた。ならば、こうして彼女たちの目の前に己を晒していれば逃げ惑う人々に『フェザートルーパー』たちの追跡の手は及ばないだろう。
「何をボソボソと!」
「いや、単に独り言だ。存外耳がいいのだな」
乎乎那は小さく笑むように首を傾げながら放たれる羽の弾丸を真っ向から受け止める。
躱せば己の背後に逃げ惑う人々に累が及ぶ。
だからこそ、彼女は真っ向から受け止め紅のドレスを翻す。身を挺することを厭うことはない。
故に真っ向から彼女は問いかける。
「ガソリンはお好きかな?」
乎乎那は懐に隠し持った小型の魔法のガソリンタンクを取り出し、液体をぶちまける。
気化された可燃燃料が一瞬で広がり、『フェザートルーパー』たちの眼前に及ぶ。
投げ放たれるマッチの火。
煌々と弾けるように荒ぶはFUEL(フュエル)。
「全て爆破してやるさ……!」
膨れ上がる炎と爆風が敵を一気に吹き飛ばす。
「見てるかい? ネズミさん」
彼女は視線を巡らせる。
そう、己たちは誘き出された。ならば、この戦いを見ている者が必ずいる。あえて派手に戦ったのは、それらをあぶり出すためだ。
「あちらが見ているということは、此方からも見ることが出来る筈……多分」
乎乎那は荒ぶ爆発の閃光と共に空を見上げる。
此処は高層ビル群にて囲われた道路。
ならばこそ、ディアボロスを伺う存在は必ず上から見下ろしているのだ。
故に彼女は敵を引きつける戦いをしたディアボロスたちと共に視線を惹き付けるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】がLV2になった!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
ミシェル・ラークリーズ
アドリブ・連携は歓迎するよ。
アークデーモン大同盟か。どれぐらいの規模になるんだろ。成立したら碌な事にならないのは良く分かる。戦争起こるぐらい大事なんだ?これだけの大作戦をするには情報が必須なのはわかるんだけど、僕ら復讐者のデータが取られるのは厄介だなあ。
地上20階。物凄く高いね。【飛翔】で空飛んで地上20階の高さまで上昇して、屋上に降りる。屋上でもタンクとかフェンスの影、手すりの隅とか隠れる場所は沢山あるだろうから、【観察】【地形の利用】【看破】でしっかり見つけて光の輪で即退治。
たとえ小さい鼠といえども30cmなら目視で充分分かるよね。残しておくと厄介だから残らず排除するよ。
エレナ・バークリー
アークデーモン大同盟は、まだ計画が進んでいたんですか。
同盟が完全に成立したら、第二次TOKYO奪還戦の始まりですかね。
ともあれ、『媒介者』を見つけ出して、面倒の芽を摘みましょう。相手に余計な情報を流すこともない。
【使い魔使役】で、その辺のカラスを目にしましょう。カラスならビルの屋上をよぎっても怪しまれない。
見つけ次第、そのビルに入って最上階まで一気に移動し、『媒介者』に凍てつきの桜吹雪を放ちます。
以前に使った手ですけどね。それがどう対策されているか……。
使い魔には、『媒介者』に気付かれないような動きを徹底するしかないですね。
とにかく、『媒介者』とアヴァタール級の捕捉はやっておきましょう。
「『アークデーモン大同盟』は、まだ計画が進んでいたんですか。完全に成立したら……」
エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)はアークデーモンたちが結束することによて得られる戦力の規模を考え、これを疾く削らねばならないと理解する。
そして、今回の戦い。
アークデーモンたちは一般人を痛めつけることによって自分たちを誘い出そうとする動きを見せていた。
どこかにこの戦いを監視しているトループス級がいる。
戦場となったのは豊島区の高層ビル群。
どれもがそびえ立つ摩天楼のように思えたことだろう。
「安全に、かつ確実に情報を得るためにはあまり高いビルの上にはいないと思うんだ」
ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は、エレナと共にこの戦場で戦うディアボロスたちの情報を得ようとしているトループス級の姿を探していた。
この戦場をアークデーモンたちが自主的に選んだというのならば、敵はトループス級を確実に帰還させることを選ぶだろう。
ならば、あまりにも高い高層ビルの上は除外される。
「カラスならばビルの屋上をよぎっても怪しまれない……上昇気流に乗ることができれば……」
この高層ビルの屋上のどこかに存在して、こちらを見ている監視するトループス級の姿を捉えることができる。
彼女が使役するカラスが空へと飛び立つ。
一匹しか使役できないが、それでも一手増えるということは探索のエリアを広く取ることができる。
監視できる条件から逆説的に考えれば、鼠型トループス級がいる場所も自ずと絞られてくる。
それに今も尚、他のディアボロスたちが人々を襲うトループス級と一戦を構え、敵の目を惹きつけてくれているのだ。
「敵に余計な情報を流す必要もありません。すぐに見つけ出してみせます」
「うん、僕ら復讐者のデータが取られるのは厄介だよね」
ミシェルも同意見であった。
『媒介者』と呼ばれるトループス級が如何に小さかろうが、近づけば目視する事ができる。
残しておくと厄介なことになりかねないからこそ、ミシェルは高層ビル群の合間を縫うように飛ぶ。
「ものすごく高いね……でも、この上にいるってことは」
飛翔する彼はエレナと連携し、情報を集める。
戦場で戦うディアボロスたちの姿を収めようとするのならば、ビルひしめくこの戦場を見下ろすことのできる地上20階クラスのビルはそう多くはない。
ならばこそ、エレナはカラスを使って上空より見下ろすのだ。
「……いました! ここから12時の方角、2時の方角! やはり同じ高さの監視できるギリギリの高さの屋上にいます!」
エレナが指し示すビルの屋上にミシェルは飛ぶ。
屋上まで飛び上がるほどの高度は得られない。
けれど、ミシェルはビルに備わっていたエントランスに足場を見つけ、一旦降り立ち、さらに跳躍する。
取っ掛かりさえ見つければ屋上に座す鼠型のトループス級を見定めることは難しくなかった。
「僕は出来る限りの事をやりたいんだ!!」
そう、できうる限りのことを。
彼が守りたいという気持ちを強くすればするほどに彼は強い意志でもって前に進む。辛く厳しい鍛錬の日々も、何もかもが誰かを守るためにあるというのならば、彼は何も躊躇わないだろう。
ミシェルの輝く銀色の翼から放たれるのは、彩光の輪舞(サイコウノリンブ)。
光の輪は屋上からトループス級と戦うディアボロスに釘付けになっていたため、一瞬反応が遅れたのだ。その隙を逃さずミシェルは一体の鼠型トループスを即座に切り裂き、エレナが向かった方角をみやるのと、それ同時だった。
エレナが見つけた屋上の鼠型トループス級。
そこに凍てつきの桜吹雪(イテツキノサクラフブキ)が放たれる。
飛翔するミシェルが遠い場所を。エレナが近場のビルを。そうやって役割分担によって二体の鼠型トループス級を撃破しする。
「撃破できたよ。よかったね」
「ええ。以前使った手でしたが、使い魔使役は対策されていなかったようです」
「おかげで助かったよ」
迅速にミシェルが対応してくれたおかげでもあった。
「いえ、私一人でしたらもう一体は持て余して逃していたかもしれません」
互いの役割が噛み合ったことによる戦果。
未だ地上ではディアボロスたちの戦いが続いている。この戦いをもって自分たちを誘き出したアヴァタール級も、それを護衛するトループス級もまだ残っている。
「まだ戦いは続くね。行こう。『アークデーモン大同盟』が成立したら碌なことにならないのはよく分かる」
「完全に成立したら奪還戦の始まりとなるかもしれません」
二人は訪れるやもしれない大事の前に、一つの戦いを終わらせるために奔走するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
シャルロット・アミ
【使い魔使役】と【飛翔】をお借りするわ
私によく似たカラスさん
ちょっとあなたたちの目を貸して
カラスの目と【飛翔】で飛んだ私の目で鼠型クロノヴェーダを探すわ
あ、モラさんも一緒に探してね?
3つの目があればある程度は見つけられるんじゃないかしら
【情報収集】や【風使い】の能力も使って探してみるわね
1匹でも、潰すことに意義はあると思うの
見つけたら飛びながらショルダーキーボードを鳴らすわ
さあ、白い鳥、出てきて
あの鼠をかき消して
わざとパラドクスの攻撃力は弱めに
こちらを侮らせるのも作戦のうちよ
アドリブ、連携歓迎です
豊島区の高層ビル群の屋上のいずれかに鼠型トループス級の監視があることをディアボロスたちは察知していた。
自分たちが一般人を痛めつけるクロノヴェーダたちを蹴散らす様をデータとして収集するためだった。
「私によく似たカラスさん」
シャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)は手を差し伸べるようにして街頭の上に止まっていたカラスに呼びかける。
使い魔として使役することを願い、その願いに応えるように黒いカラスは一つ鳴く。
「ちょっとあなたの目を貸して」
羽撃くと空へと舞い上がるカラス。
風に乗って更に上に上に。
シャルロットの願いのままに高く飛び上がる。その瞳が捉えようとしているのは高層ビル群の屋上のどこかに存在しているであろうトループス級の姿。
さらに彼女はサーヴァントであるモーラット『モラさん』と共にカラスと同じように飛翔する。
すでに戦場と成った高層ビル群の街中。
クロノヴェーダと戦うディアボロスたちの姿が見える。
ならば、この戦いを監視しディアボロスの情報を得ようとするのならば戦場を俯瞰することできる高い建物がうってつけだ。さらに言えば、あちらは隠密行動をしている。
こちらに気取られないようにと行動し、なおかつ監視出来るギリギリの高さにいるはずだった。
「見つけられるはず……ええ、きっと」
彼女の瞳は今や三対。
使い魔としたカラスの視界は共有され『モラさん』は自身と一心同体。
見回す。
カラスの視界と『モラさん』の視線が同時に同じ場所を見つめる。
屋上の一角、貯水タンクらしきものの上に眼下での戦いを見つめる鼠姿を捉えた。
戦いの音が響き渡る中、彼女は緑色のショルダーキーボードに合わせられたタブレットを叩く。
「……いた。さあ、白い鳥、でてきて」
白き羽根は羽ばたく(シロキハネハハバタク)ように、キーボードの音と共に放たれた白鳥が飛ぶ。
パラドクスとしては弱い攻撃。
だが、彼女はあえてトループス級最後の映像の最後は弱いパラドクスで締めくくられるようにした。
それはこちらを分析している敵に侮らせるためでもあったのだ。
「これで、きっと最後」
鼠型トループスが白鳥に弾き飛ばれ、息絶えた瞬間彼女は屋上に降り立つ。
ここからが本番だ。
アヴァタール級を倒し、『畏怖』を集めようとするクロノヴェーダの大同盟を挫く。そのために彼女は翡翠の瞳を向け、さらなる戦場を見据えるのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
エレナ・バークリー
外での私の仕事は終わりました。次はアヴァタール級が待つビルへ向かいましょう。
その前に護衛を突破しないといけませんよね。
「全力魔法」の「電撃使い」で雷光宿したる灼滅の宝珠。
球電を次々生み出しては、トループス級にぶつけていきます。手数が頼りですが、球電に触れると痺れますよ。
電撃で「捕縛」した相手に、雷光宿した精霊剣で「斬撃」し「強打」して、とどめに頭部を「貫通撃」で穿ちます。
敵が殺到してきたら、「薙ぎ払い」で牽制して、距離を取り囲まれないように。
敵の攻撃は、こちらも「連撃」を繰り出して力の向きをいなします。
こんなところで時間を食ってる場合じゃないんですよ。
この先へ、誰よりも早く!
「次はアヴァタール級の撃破ですね」
エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は高層ビル群の一つを見上げる。
この屋上に座すアヴァタール級。
かの存在を護衛しているであろうトループス級を蹴散らさなければならない。
敵の前衛を残していては、この後の戦いに差し支える。
故に彼女は高層ビルの一つを駆け上がっていく。
内部はすでにトループス級『アシュタロスの使徒』によって制圧されている。
奇妙な機会音を立てながら、その青い装甲を持つ機械仕掛けのようなクロノヴェーダがエレナに迫る。
腰部に連なる筒状のパーツが水平に持ち上がり、そこから魔力のこもった弾丸が撃ち込まれる。
雨のように降り注ぐ魔力の弾丸。
見上げれば見上げるほどに屋上への道は長い。しかし、エレナは理解していた。
「ここで敵を引き付ければ、アヴァタール級の護衛が減るはず。なら!」
放たれる砲撃をかいくぐるように駆け上がっていく。
雷光宿したる灼滅の宝珠(ライコウヤドシタルシャクメツノホウジュ)が煌めき、生み出された雷球が次々と生み出され、砲撃の雨と交錯するように放たれる。
互いのパラドクスが『アシュタロスの使徒』の体を打ち抜き、エレナの鎧に叩き込まれる。
揺れる体。
衝撃が遅れて痛みとなってエレナの体に走る。
だが彼女は止まらなかった。
敵が殺到してくる前に確実に数を減らす。雷の球は『アシュタロスの使徒』の体をきしませている。
動きが鈍っていると判断した瞬間、さらに生み出されたパラドクスの輝きを受けて精霊剣の刀身に彫り込まれた術式が光を発する。
「神鳴によりて灼き滅ぼせ」
振るう精霊剣の剣閃が雷鳴を思わせるような音を響かせる。
雷光の斬撃が『アシュタロスの使徒』の体を袈裟懸けに切り裂く。
崩れ落ちる体を蹴り倒し、エレナは駆け上がっていく。
「こんなところで時間を食ってる倍じゃないんですよ。この先へ」
見上げる。
未だ屋上は遠く。
けれど、彼女の眼差しが見据える先にある敵を穿つことだけが足を前に進ませる。
「誰よりも早く!」
彼女のパラドクスの放つ雷、その輝きと同じように彼女は紫電のように上へ上へと駆け上がっていくのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
十野・樞
アドリブ連携歓迎
ああくそ、相変わらずヤツらは卑劣なことばかり思い付きやがる
とっとと掃除を済ませて、ここら一帯早く取り戻してえもんだ
キュラキュラうるせえな
キュラと言うならキュラソーにでもなってくれれば良いものを
ともあれ、特攻を受けるのは御免こうむる
一気に距離を詰められねえよう【飛翔】にて対峙
【結界術】の結界で走路妨害
【高速詠唱】で叶う限り素早くパラドクス展開
禍津神達の影を式神として結界内に召喚、敵を幽世にご案内、だ
使徒と名乗るなら、彼方で荒御魂達にせいぜい練り直してもらうこった
敵攻撃は【看破】【観察】で見極め
【結界術】での結界と【空中戦】でいなし防御
真紅堂・乎乎那
アドリブ連携歓迎にて
階段を駆け上がりつつ。
皆早いね……。体力の無さを実感するよ。
・随分メカメカしい奴等だ。
その名……アークデーモン大同盟の参加者の中に
アシュタロスという名の支配者がいるという事かな?
……ってうるさくて聞こえないか。
先刻の鳥さんを見習って欲しいね!
・悪魔の特攻ねェ……私も出来るんだ。
胸元から飛び出したデモニックボムを掴んでぶん投げる。
行け……!
ディアボロスをおびき寄せるために人々を痛めつけていたアークデーモンが欲するのは『畏怖』という感情のエネルギーだった。
それを指揮するアヴァタール級は高層ビル群の屋上に座す。
そして、その屋上に至るために駆け上がっているのは真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)であった。
すでに先行したディアボロスがいることを道中に見かけた『アシュタロスの使徒』の残骸を見て息を吐き出す。
「皆早いね……」
体力の無さを実感するよと、呟きながら俯くことを彼女はしなかった。
「随分とメカメカしい奴らだ。その名……『アークデーモン大同盟』の参加者の中にアシュタロスという名の支配者が……」
だが、そこで彼女は言葉を遮られる。
キュラキュラと奇っ怪な機械音を響かせながらディアボロスの襲撃を察知して青い機械の如き『アシュタロスの使徒』が殺到してきているのだ。
「……ってうるさくて聞こえないか。まったく!」
「キュラキュラとうるせえな。とっと掃除を済ませてしまおう」
乎乎那に並び立つように高層ビルの内部を飛翔して駆け上ってきた十野・樞(division by zero・g03155)は、『アシュタロスの使徒』が奏でる音が耳障りであることに同意を示し、こちらに特攻を仕掛ける彼等の道を阻むように周囲を飛び、階段の鉄柵を上手く利用して突進の走路を限定させる。
「上手いこと立ち回ってくれる……」
「特攻を受けるのは御免こうむる」
樞は頭を振る。
敵の攻撃を受けている暇はない。
戦いの軌跡たる残留効果を辿るようにして彼女たちは戦う。ディアボロスだけが許された戦いの軌跡を手繰る戦い。彼等の戦いは確実に同じ戦場で戦う者たちの背中を押してくれている。
ならばこそ、それを追い風にして走る。一刻も早くと、いう思いがあったかもしれない。
今もこうしている間にもアークデーモンが支配する区は『畏怖』の感情を集めるために人々が理不尽に痛めつけられているかもしれない。殺されているかもしれない。
ただ確実に、それが彼の心の中に怒りを巻き起こす。
膨れ上がっていく怒り。
それは乎乎那にとっても同様であったことだろう。
怒りこそが復讐者たるディアボロスの戦う源。
己の怒りを、誰かの理不尽を、悲しみを。
苦しみを、背負って、託さたものを。
その瞳に輝くパラドクスがあった。
「Non obiit, abiit.(ノーン・オビイト・アビイト)」
刹那のうちに紡がれた呪言が解き放たれ、禍津神の如き影が式神となって樞の練り上げられた詠唱から放たれる。
特攻せんと迫る『アシュタロスの使徒』を檻の如き鉄柵に囲い、幽世の如き影に包み込み散々に打ちのめす。
「使徒と名乗るなら、彼方で荒御魂達にせいぜい練り直してもらうこった」
「悪魔の特攻ねェ……私にも出来るんだ」
乎乎那は紅のドレスを翻し、『アシュタロスの使徒』の特攻をいなす。
樞の飛翔による立ち回りのお陰で消耗は少ない。ならばこそ、彼女は胸元から取り出した悪魔爆弾、デモニックボムを掴み、『アシュタロスの使徒』へと投げつける。
炸裂する爆発が『アシュタロスの使徒』たちを吹き飛ばし、残骸へと変える。
「この程度では終わらないだろう。来るぞ」
その残骸を踏み抜いて、さらに樞と乎乎那は駆け上っていく。
迫りくる『アシュタロスの使徒』たち。奇怪な音はまだ響き続けている。
だが、駆け上がれば駆け上がるほどに『アシュタロスの使徒』の数が減っていくのを彼等は実感しただろう。
恐らく自分たちが内部から屋上を目指したように外から屋上を目指したディアボロスもいるのだろう。
その対応に『アシュタロスの使徒』たちは手こずっているのかも知れない。
どちらにせよ、敵の指揮官であるアヴァタール級を守る護衛が減っていることに違いはない。これは好機であると二人は瞬時に理解し、駆け上がる速度を上げる。
「なら、このまま駆け上ってみせよう……!」
「ああ、アークデーモンの奴らのやる卑劣な行い。さっさと済ませて喉を潤してえところだ」
「まったくだ」
怒りは炎そのものであったことだろう。
故に乾く。
奪われたものを取り返さなければ、癒えぬ乾きがある。
倒さねばならぬを見定め、二人は一気に高層ビルを駆け上っていくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!
ラキア・ムーン
む…上の鼠はもう良さそうか
ならばこのまま護衛を叩く
邪魔なのでね、このまま突撃して突破させて貰う!
飛翔で飛び上がり一気に高層ビルへ
更に上昇し、上空より敵を見据える
敵配置を『情報収集』
槍を構え『全力魔法』…【Call:Breaker_Lance】起動
魔力の穂先を精製し飛翔による最大加速で『突撃』
アシュタロスの使徒への『貫通撃』で確実に1体撃破させて貰う
集中砲火には加速して回避運動を取りつつ、避けきれない弾幕は槍で薙ぎ『吹き飛ばし』て対処
飛翔しながら突撃と離脱を繰り返して敵を削っていこう
ビルから落とし、落ちる勢いを借りて地面に叩き付けたりして分断もしていこうか
さて、その先に行かせて貰おうか
伊藤・真九郎
監視役は仲間が片付けてくれたか。ならば後は一気呵成に攻め込むのみ。
これまでの敵の動きから【戦闘知識】にてトループ共を指揮していた将の位置を【看破】。地を駆け壁を走り突入する。
阻止する護衛達の突撃を蛇行しかわしつつ、【死と破滅の弾雨】発動。
「火蓋切れぃ!」の号令で、周囲に無数の浮遊する火縄銃を召喚。
「構えぃ!」の合図で広範囲に散開させる。自身を囮に敵を引き付け、銃群に包囲させ狙わせる。
「……放て!!」と一斉発射。逃げ場を塞ぐつるべ撃ちにて弾幕を張り殲滅する。
正面を塞ぐ敵は、銃群の掃射に加え自身の天魔短筒による多重射撃にて吹き飛ばす。
大将首を前に梃摺る暇は無し。押し通る!
「む……上の鼠は」
「うむ、あれらは仲間が片付けてくれた。ならば後は一気呵成に攻め込むのみ」
ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)が空に伸びるような摩天楼の如き高層ビル群を見上げつぶやく。それに応える伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)が見たのは白鳥の如きパラドクスが空を駆け抜ける様であった。
此度の戦いはアークデーモンが仕掛けたディアボロスを誘き出すためのものであった。
こちらの情報を敵は欲している。
確実にディアボロスを滅ぼすためであろうし、またその情報が多くあちらに渡ってしまえば、そこからディアボロスは窮地に立たされるかも知れない。
だからこそ、彼等は敵の目をひきつけ監視役のトループス級を見つけ出す時間を稼いだ。
仲間のディアボロスがそれを打倒したというのであれば、もう遠慮はいらない。
「このまま突撃して突破させて貰う!」
ラキアの体が飛翔する。
周囲の世界はディアボロスの重ねた戦い、その残留効果によって軌跡を刻む。その紡がれ、積み重ねられたエフェクトを踏むようにラキアは飛翔する。
凄まじい速度で一瞬に屋上にまで駆け上がれば、そこにあったのは青い装甲の奇怪な音をたてる『アシュタロスの使徒』の姿。
敵の数が少ない、と彼女は判断できただろう。
なぜなら、彼女たちディアボロスの戦いは高層ビルの内部から駆け上がる者と、ラキアと真九郎が外から屋上へと至る二面攻勢によって分断されていたからだ。
「敵の数を!」
真九郎の言葉にラキアが応える。
槍を構え、彼女のパラドクスが煌めく。
「外縁に複数!」
「任されよ! 火蓋を切れぃ!」
真九郎の号令と共にパラドクスによって呼び出されるのは浮遊する無数の火縄銃。その砲口が瞬時に壁を駆け上がるようにして屋上へと飛び立った真九郎を見上げる『アシュタロスの使徒』を捉える。
「構えぃ!」
ぐるりと『アシュタロスの使徒』たちを取り囲む死と破滅の弾雨。
それは壊滅的なまでの打撃を彼等に与える。
まさに蹂躙と呼ぶに相応しい銃撃の嵐。
真九郎の姿は『アシュタロスの使徒』の視線を釘付けにしていた。
だからこそ、ラキアは屋上よりも高く飛翔し、その瞳でもって『アシュタロスの使徒』を見据える。
確実に一体は撃破する。
彼女は己に向かうはずだった集中砲火をそらした真九郎の横をすまじ良い速度で駆け抜ける。
「廻り紡ぐは破壊者の槍……」
炎と風が二重螺旋を生み出していく。
宿る魔力の渦は膨れ上がり、彼女の構えた突撃槍の穂先を巨大な衝角そのものに変えていく。
「Call:Breaker_Lance(コール・ブレイカーランス)! その先に行かせてもらおうか」
放たれる一撃が『アシュタロスの使徒』の胴を穿ち、手足の破片を撒き散らす。
「大将首を前に梃子摺る暇は無し。押し通る!」
真九郎は短筒を構え、屋上を駆け抜ける。
すでに『アシュタロスの使徒』の数は内部から駆け上がるディアボロスたちへの対応で数を減らし、さらに彼の放った火縄銃の放つパラドクスの一撃によって散り散りにされている。
その散り散りに成った敵をラキアの突撃槍の一撃が確実に仕留めていくのだ。
青い破片が屋上に転がり、積み上がっていく。
敵の指揮官たるアヴァタール級を屠れば、人々を無為に傷つけるアークデーモンの脅威はひとまず取り除くことができる。
未だ奪還できぬ区。
豊島区もまたその一つだ。
ならばこそ、真九郎は戦場を駆け抜ける。僅かな時であっても急ぐのだ。苦しめられる者がいる。その理不尽に怒るからこそ、咆哮迸らせ屋上の奥に座すであろう敵の首魁を目指す。
ただそれだけのために。
生命が未だあるのならば、その限りにおいて敗北ではない。故に彼は何一つ諦めること無く短筒の引き金を引き、戦場と成った屋上を走る。
「これで最後!」
ラキアの膨れ上がった炎の衝角が最後の『アシュタロスの使徒』を貫き、残骸を高層ビルの崖下の如き地面へと放り捨てた。
『アシュタロスの使徒』は全て打倒した。
これでアヴァタール級を守る護衛はいない。ただ一体を打倒することに集中することができるはずだ。
彼女の構えた槍の炎が大気を揺らめかせる。
それはディアボロスの胸の内にある奪われたもの対する復讐の炎の熱そのものであったかもしれない。
だが、同時に見ただろう。
アヴァタール級の解き放つ炎の柱を。
ディアボロスの復讐の炎を一蹴するかの如き巨大な力の奔流。
迫る重圧。
それがこの惨劇を齎さんとしていたアークデーモン。
その鮮烈なる炎の色が高き摩天楼の中にあって一際高く燃え上がり、その驚異をディアボロスたちに伝えていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
エレナ・バークリー
辿り着きましたよ、アヴァタール級。これ以上の狼藉は不可能と知りなさい。
それでは、あなたがその名に違わぬ不死の生命を持っているか、試させてもらいましょう。
炎には水。「全力魔法」の「水使い」で深淵は深き闇の底に。高温高圧のウォータージェットカッターで、あなたを切り刻み「浄化」してあげましょう。
あなたの全身に癒えぬ傷を刻み込んであげます。
生憎と、料理はされる側ではなく食べる側でしてね。そんなに料理がしたいなら、ミカエルの料理人にでもなったらいかがですか。
反撃は水の属性を付与した魔力障壁と「結界術」で抑え込みます。
どんな炎も、やがては消えるもの。水のパラドクスで、少しでも敵の火炎に対抗出来たら。
摩天楼焦がすは炎。
膨れ上がる炎と重圧を前にディアボロスたちは、アヴァタール級『フェニックス』の威容を見ただろう。
「ご苦労なこったな、ディアボロス。わざわざ此処まで駆け上ってくるとは」
嘲笑うように『フェニックス』は炎を手繰る。
相対するエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は、その炎を前にしても恐れることはなかった。
胸の内側にあるのは熱き正義。
「これ以上の狼藉は不可能と知りなさい」
「そうかよ。そういうのは!」
地獄の業火を解き放ち、大気を揺らがせながら『フェニックス』の拳がエレナに叩き込まれる。
肌が焼ける。
吸い込む空気すら熱をはらみ、肺が焼けるような痛みを感じながらエレナは炎によって焼かれることなく、その場に立ち続ける。
「炎には水」
彼女の瞳が炎の向こう側に輝くを『フェニックス』は見ただろう。
パラドクスの炎は確かに彼女の身を焦がした。だが、彼はエレナを蒸発させるつもりで炎の拳の連撃を叩き込んだのだ。
だが、今だ彼女は存在している。
蒸発すらしていない。
何故、と思うことはない。それがディアボロスという存在であるというのならば、何も不思議ではなかった。
「全ての水の生まれしところ。光届かぬ灼熱の深淵よ。原初の水を吐き散らし、嘘偽りを洗い流せ」
再現されるはパラドクスによって生み出された水の刃。
深淵は深き闇の底に(シンエンハフカキヤミノソコニ)宿る。ならばこそ、その水の重さを知るべきであった。
放たれたパラドクスの水の刃は『フェニックス』の炎を切り裂きながら、かのアークデーモンの炎の翼を切り裂き、頬に傷をつける。まだ、有効打ではない。
「生憎と、料理される側ではなく食べる側でしてね」
「ハッ、吼えるじゃあねぇか、ディアボロス!」
炎が吹き荒れるようにしてエレナを包み込んでいく。
「どんあ炎も、やがては消えるもの。あなたの炎に対抗するためには!」
激突する水と炎。
急激に熱せられた水が蒸発し、摩天楼よりさらに高きに上り詰めるように駆け上っていく。風が吹き荒れ、炎の連撃を耐えきったエレナの紫の瞳の残光が走る。
「あなたの全身に癒えぬ傷を刻み込んであげます」
放たれた水の刃が『フェニックス』の体を今度こそ切り裂いた。
成功🔵🔵🔴
効果1【水中適応】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
シャルロット・アミ
【飛翔】の残留効果で
フェニックスのもとまで一気に向かうわ
鼠型の駆除をしていた間に皆が戦っていたのはわかってる
私も、少しでも役に立てれば
取り出すのは慣れた愛器、バイオリン
柔らかな曲を選び演奏するわ
出てきて、花の精霊たち
ああ、焼かれないように気をつけて
【飛翔】しながらの演奏で連続攻撃をかわしつつ
こちらは精神攻撃を
動きが鈍くなれば、きっと皆が叩いてくれるはず
私は一人で戦っているわけじゃない
皆のための足止めに、少しでもなれれば
監視がいないなら、全力で奏でるわ
アドリブ、連携歓迎です
黒髪が風に、大地に引き寄せられるようになびく。
シャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)は、高層ビルの壁面をスレスレに飛翔し屋上に至る。
すでに戦いは始まっている。
凄まじい上昇気流が発生している。それは急激に熱せられた水が気化することによって引き起こされた現象。ディアボロスの放った水の刃がアヴァタール級『フェニックス』の胴を袈裟懸けに切り裂き、傷を与えている。
「私も」
「ちょろちょろと集まってきやがるなぁ!」
膨れ上がる炎の重圧。
地獄の業火の如き力の奔流はパラドクスとなって『フェニックス』から解き放たれる。
巻き起こる炎のままに空に舞うシャルロットへと拳が叩き込まれる。
痛みが体を走り抜ける。
だが、彼女は意識を喪わない。痛みを前にしても彼女は立つ。
彼女が監視役のトループス級を駆除する間にディアボロスたちが戦っていたのを知っている。
ならば、自分もまた前に立たなければならない。
「少しでも役に立てれば」
そう、そのために彼女は手にしたバイオリンの弦に弓を這わせる。
それは戦いの場に似つかわしい行為であったかもしれない。
だが、彼女はディアボロスである。
「出てきて、花の精霊たち」
気高き花は歌う(ケダカキハナハウタウ)。
彼女のパラドクスが膨れ上がった炎の一撃を躱しながら、召喚された花の精霊たちが一斉に『フェニックス』へと迫る。
「花……ッ!? 俺の炎を前にして燃えに来たかよ!」
「いいえ、そんなことはさせはしないわ。私が出来ることを。少しでも皆のために」
彼女の翡翠の瞳が輝く。
直接的な攻撃は得意ではない。弓が弦に触れれるたびに奏でられる旋律は、彼女の思いであった。
怒りは胸の中にある。
奪われたもの。奪い返したいもの。
そのために彼女は旋律を奏でる。
「けったいな音を!」
「少しでも力になれれば……! 私は一人で戦っているわけじゃない」
彼女には見えている。
ディアボロスたちには見えている。
クロノヴェーダでは決して紡げぬものを。
戦いの軌跡、残留効果の軌跡。それを彼女は繋ぐ。鎹のように広がる旋律は、この摩天楼に集ったディアボロスたちをつなぎ合わせる。
ただ一つのことを為すために。
「あなたを倒す。そのためにみんな!」
熱せられた空気に汗が珠のように飛ぶ。
だが、それでも構わない。己の力の限り奏でられる旋律は、儚げであったけれど。
しかして、彼女の気高さを示すように戦場に疾走る。
成功🔵🔵🔴
効果1【液体錬成】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
伊藤・真九郎
雑兵も斥候も護衛も、貴殿に与えられた兵は全て葬った
敗残の将よ、よもや一人逃げるとは言うてくれまいな
飛行する敵に対し、回り込む様に地を駆け攻め込む
神速且つ緩急自在の歩法にて高速移動
六体の【残像】分身により包囲。宙へと跳躍し、下方からの多重同時攻撃にて斬りかかる
分身により、敵の気を地に引き付ける。本命は死角を【看破】【飛翔】し頭上を取った七つ目の本体
今迄飛翔せなんだはこの瞬間の為よ
上空よりの唐竹割りにて【両断】せしめんとする
拝みて受けよ、【七影斬】!
高速移動のまま【一撃離脱】し残心
反撃を受け捌く
我等の力の秘密が知りたくば教えてやろう
貴様等の非道への怒りと、其が結び付けた団結。突き詰めればそれのみよ
気高き旋律が摩天楼の戦場に響き渡る。
その旋律にアヴァタール級『フェニックス』は不快そうに表情を歪める。
「胸糞悪いぜ。これがディアボロスのパラドクスだってんならよぉ!!」
斬り裂かれた胸元の傷跡から噴出する血潮が炎と変じて、翼へと加わり膨れ上がっていく。
それほどまでに『フェニックス』の炎は強烈であった。
空気が熱せられ、揺らめくようにしながら周囲の空気を巻き込み上昇していく。
それは凄まじい突風となって荒ぶだろう。
だが、その風を前にして立ち止まる者などディアボロスの中にはなかった。
「敗残の将よ、よもや一人逃げるとは言うてはくれまいな」
伊藤・真九郎(人間の戦国武将・g08505)のその言葉に『フェニックス』の表情がひきつる。
びきり、と音が立つほどの怒り。
それもそのはずである。彼にとってディアボロスとは打倒するものである。
「逃げる? お前、俺が逃げると思ってんのか!!」
怒気と共に放たれる炎の連撃。
その拳の速度は凄まじいものであった。だが、真九郎は面頬に隠された奥の瞳でもって怒りによって単調となった拳の連撃を見定める。
初撃。
力が入りすぎだと理解する。
敵はアークデーモン。飛行するのは当然である。対する自身は地を駆ける。
揮われる拳をかすめながら真九郎は緩急自在の歩法でもって残像を生み出し、連撃の炎を躱していく。
「我等の力の秘密が知りたくば教えてやろう。貴様等の非道への怒りと、其が結びつけた団結。突き詰めればそれのみよ」
「しゃらくせえなぁ!」
「なるほど。貴殿の拳は残像すら穿つか」
「駆け引きするしかねぇ、てめえを!!」
放たれる拳。
連撃の速度は圧倒的であった。
「速い。圧倒的である。だが、しかし死角はあるようだな」
「あぁッ!?」
真九郎が駆け抜ける。
裏拳の拳が炎をまとって背後を取って見せた真九郎の頭部を撃ち抜く。だが、それはゆらりと立ち消える残像。
否。
「今迄飛翔せなんだはこの瞬間の為よ」
真九郎の瞳が輝くように、その手にした業物の刀身を映し出す。
そこにあったのは『フェニックス』の頭上を取る真九郎の姿。今迄地に足をつけて戦っていたのは、このときのため。
ただ一瞬の刹那を生み出すために七つの残像が走り抜ける。
それこそが!
「拝みて受けよ、七影斬!」
パラドクスの剣閃が走り抜ける。斬撃が唐竹を割るように真っ直ぐに『フェニックス』の真芯を捉えた。
成功🔵🔵🔴
効果1【防衛ライン】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV3になった!
十野・樞
アドリブ連携歓迎
ネメシスモードにて
『飛翔』で対峙
万が一にも逃げられねえよう
【観察】【看破】にて逃走ルートを潰すように仲間と共に位置取る
さて、残りはてめえだけだ
好き放題暴れた代償、ここで払っていきな
地獄の炎で料理?
そんなに焼鳥が好きなら残念だが
俺は水炊きも好きなんでね
【結界術】【氷雪使い】での氷雪系結界と【空中戦】で敵攻撃いなしつつパラドクス展開
あらゆるものを【彼方】に押し流し浄める聖なる大河を顕現させる
水剋火
たとえ不滅の炎だろうが
すべてを幽世へ押し流す河の中では何時まで燃え続けられる?
……水炊きになって根の国に流れ着くのが先か
それとも河流れしている間に
仲間の攻撃に消滅しちまうのが先か、さて
唐竹割りの如き一閃がアヴァタール級『フェニックス』の真芯を捉える。
その傷跡は消えない。
いや、違う。その傷口から炎が吹き出し、その炎が不死鳥の如く羽撃き摩天楼に集ったディアボロスたちを撃つ。
凄まじいまでの攻勢。
未だ力衰えず、『フェニックス』は吹き荒れる炎と共に咆哮する。
「イキりちらしやがってよぉ!! 気に食わねぇぜ、ディアボロス!!」
己へと斬撃を与えたディアボロスたちへの怒りを表すように『フェニックス』のパラドクスは十野・樞(division by zero・g03155)に迫る。
だが、彼は飛ぶ。
己の身を復讐の神の名を表すかのように変えながら、冷たき流水を思わせる羽織を羽撃かせながら一気に飛ぶ。
「残りはてめえだけだ。好き放題暴れた代償、ここで払っていきな」
逃しはしないと他のディアボロスたちの攻勢の間隙を縫うようにして彼は迫る。
だが、『フェニックス』の拳が樞の胴を捉える。
飛翔しいなしたつもりだったが、その拳の一撃は炎を撒き散らしながら彼の体を吹き飛ばす。
「やかましいぜ、ディアボロス! 俺がてめえら如きに逃げるわけねぇだろうが!!」
迫る炎。
それは正しく樞を焼き殺さんばかりの炎であった。
「Mors certa, hora incerta(モルス・ケルタ・ホーラ・インケルタ)……水剋火。たとえ不滅の炎だろうが」
滔々たる水流が解き放たれる。
顕現されたパラドクスの水流が炎と交錯しながら『フェニックス』の体を穿つ。
「グ、オオオッ!?」
「全てを幽世へ押し流す河の中では何時まで燃え続けられる?」
炎と水が拮抗している。
押し返そうと放たれるパラドクス。かすめる炎が樞の頬を焼く。
だが、それでも戦うのはやめない。
「根の国に流れ着くのが先か。それとも川流れしている間に攻撃されて消滅しちまうのが先か、さて」
どちらだろうな、と樞は唐獅子の面で自身の顔を覆う。
手にした頭蓋は妖しく煌めく。
いつだってそうだ。
川の流れはあらゆる不浄を押し流す。目の前のアークデーモンは不浄であると樞は認識しているだろう。
ならばこそ、水で押し流す。
あらゆる不浄はそうして清められる。
ならば、彼は人々の痛みや苦しみ、そうしたものを生み出した元凶をこそ押し流す。
「もしもそこに、意味があるなら」
いや、と唐獅子の面が頭を振り、炎と水が織りなす力の激突の行く末を見守るのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
ラキア・ムーン
随分と高い所から見物してるじゃないか
のんびりしている間に、孤立してしまっているぞ?
悪いが叩ける敵は速やかに叩かせて貰う
卑怯と言ってくれるなよ?
引き続き飛翔し空でフェニックスに攻勢を掛ける
お前達と違い、積み重ねた物があるからこそ我等は強くなれる
最大高度まで上昇
速度を出して敵の炎は振り切る
『念動力』で風を纏い、大気の壁で避けきれない炎を少しでも減衰
どちらの炎が勝つか勝負といこうか
【Call:Blazeing_Impact】起動
飛翔による速度と術式による加速を《RE》Incarnationに乗せて『突撃』
一気にフェニックスに接近し『グラップル』
組み付き、勢いを乗せた槍を突き立て一撃食らわせてやろう
「高みの見物を決め込んでいるから、孤立してしまっているじゃないか」
ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は水流の圧倒的な圧力を前に高層ビルの屋上を転がるようにして吹き飛ばされたアヴァタール級『フェニックス』の姿を捉える。
敵は孤立している。
すでに護衛のトループス級は排除され、青い残骸ばかりになってしまった。
「悪いが戦える敵は速やかに叩かせて貰う。卑怯と言ってくれるなよ?」
「やってみせてから言えや!!」
『フェニックス』の全身から膨れ上がるようにして放出された炎がラキアへと迫る。
飛翔する彼女が炎を躱す。
その速度はアークデーモンの飛翔能力を上回っていた。
「何故だ! なんでてめえらの方が速い……ッ!!」
「お前たちと違い、積み重ねた物があるからこそ我等は強くなれる」
クロノヴェーダである『フェニックス』には理解できないだろう。
戦場に積み重ねられた戦いの軌跡。
即ち、残留効果。それをディアボロスたちは手繰る。辿るようにして、掴む。繋ぎ、紡ぎ、楔を打ち込んでいく。
それはきっとクロノヴェーダの支配に対して亀裂を走らせるものであったことだろう。
「追い、つけねぇ……!」
ラキアのデーモンの翼が広がる。
最高高度まで飛び上がったラキアは噴出する炎すら追いつけぬほどに圧倒的な速度で振り切った。
「Call:Blazeing_Impact(コール・ブレイジングインパクト)、起動」
複合術式が練り上げられていく。
風が念動力によって彼女の周囲に渦を巻く。そして、炎の術式が撃鉄でもって叩き、パラドクスの火花を散らす。
それは一瞬であった。
渦巻く風は炎を膨れ上がらせる。
その巨大な炎は、敵を穿つためにこそある。
「突撃術式展開、ブースト…オン」
構えた槍の穂先。
唸りを上げるは、刃が風を切り裂き空気の壁を貫くが故に。轟音。雷鳴にも似た音を響かせる。
『フェニックス』は見ただろう。
圧倒的な加速で持って、己にせまるラキアの姿を。その穂先の鋭さを。
「だがッ! 俺が炎で!」
突撃槍の一撃が『フェニックス』の体を貫く。同時に炎が噴出する。それがラキアの体を焼く。
痛みより先にラキアは不敵に笑む。
「どちらの炎が勝つか勝負といこうか」
未だ二人は空。
手にするは、再誕の槍。
ならば彼女は槍の穂先で『フェニックス』を貫いたまま風の炎の複合術式を展開し加速する。
勢いを乗せた一撃が叩き込まれ、『フェニックス』と共にラキアは屋上へと墜ちるように激突した。
成功🔵🔵🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
ミシェル・ラークリーズ
アドリブ・連携歓迎だよ。
さあ、もう1人だよ。後は不死鳥の名を冠する貴方を打ち倒すだけだ。確かに凄い炎の勢いだね。でもここの皆さんの力を合わせれば、きっと打ち勝てる!!
【飛翔】で空へ。【観察】【看破】で敵の動きを観察して、隙を見て【ダッシュ】で近づき、【残像】【ダンス】で敵の炎の拳を回避して、白銀の刃で斬り裂くよ。
フェニックス。強き炎の力を、僕達復讐者の情熱の炎で上回ってみせるよ!!ここで屈する訳にはいかないんだ。
真紅堂・乎乎那
アドリブ連携歓迎にて
ネメシス形態で往く。
自慢の髪が真っ白な灰の様になるのは好きじゃあないが
……ぶちのめす!
・フェニックスブローか……
装備1、魔術長剣ハートブレイカーで受け止めてやる!
・個人的な都合上、地に足を付けたまま戦いたいところだが
敵が飛翔したら黒炎の翼で飛翔して対応する。
怒りで高所恐怖症を凌駕する……
TOKYOの空に炎の三日月を浮かべてやるよ!
吹き荒れる炎は、アヴァタール級『フェニックス』の放つものではなかった。
それはディアボロスの炎。
摩天楼の如き高層ビルの屋上に叩きつけられた『フェニックス』の羽はひしゃげていた。貫かれた胴。胸元に刻まれや傷跡。勢いを失いつつある炎。
どれもがディアボロスたちの戦いの軌跡を思わせるものであった。
「クソどもがよ……! これで俺を追い詰めたつもりかよ!!」
咆哮は怒りをにじませていた。
烈火の如き感情の激流を迸らせ、パラドクスの炎がディアボロスたちを襲う。
はるか上空より叩きつけられた屋上の地面は砕け、えぐられている。だが、それでも尚『フェニックス』は逃げない。
いや、違う。
逃げないのではない。逃げられないと言った方が正しいだろう。
「確かに凄い炎の勢いだね。でも……」
ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は立ち向かう。
「きっと打ち勝てる!」
「どいつもこいつも俺に勝つつもりでいやがる! 鬱陶しいんだよ、ディアボロス!!」
炎の奔流が飛翔するミシェルへと迫る。
ミシェルは気がついただろう。敵の動きが精彩を欠くものになってきているのを。確かにアヴァタール級『フェニックス』の強大そのものだ。
けれど、ディアボロスたちの戦いの描いた軌跡は、消耗を強いた。
そして、自分たちの瞳にはしっかりと戦いの軌跡たる残留効果が捉えられている。
ミシェルは信じている。
自分たちが戦うことの意味を。
ずっと思っていたのだ。自分は強くならねばならないと。何故ならば、そうしなければ大切な人と世界を守れないから。
鍛錬の日々は、いつだって自分の強さを保証してはくれない。
だが、自分の思いだけは消えない。
「そのために僕は戦うんだ!」
「何が!」
「僕は人々の幸せのために、この刃を振るう!」
炎を纏う拳をかすめながらミシェルは飛び込む。
覚悟があった。戦うと決めたときから、ずっと心に抱いている思い。それが結実したかのように白銀の刃(ハクギンノヤイバ)が『フェニックス』の胴を切り裂く。
「……個人的な都合ではあるが……そうは言ってられんか……!」
怒りが身を焦がす。
怒りが己の中で叫ぶ。
復讐の神の名を冠する力が真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)の中で膨れ上がっていく。
それは、目の前の『フェニックス』が迸らせる炎よりも強く彼女の中で燃え盛る。
紅の髪が真っ白な灰色へと変わっていく。
この色は燃え尽きた灰を連想させる。だから、あまり彼女は好きではなかった。
そして、高所を恐れる心さえも彼女の足を竦めさせるものであった。
けれど、それらを凌駕する怒りがある。
燃え尽きぬものが彼女の胸の中にある。それはうちに秘めておかなければならない。
「怖いとか、不安だとか、そんなことを言っている暇なんてないんだよ」
漲る力。
一歩を踏み出した瞬間、『フェニックス』が踏み込んでくる。
ミシェルの刃を受けて尚、ディアボロスを殲滅せんと炎吹き荒れる拳でもって乎乎那に迫るのだ。
「……ぶちのめす!」
「やってみろやぁ!!」
やはり、と彼女は思っただろう。
『フェニックス』の拳は炎の勢いはあれど、振るう拳の動きが遅い。
やはりディアボロスたちの戦いで消耗しているのだ。だが、受ければそれは彼女を殺す一撃であることに変わりはない。故に、彼女は手にした長剣を翻し、その刀身で拳を受け止める。
炎の熱気が彼女の灰色の髪をなびかせる。
背に負う黒炎の翼が羽撃き、一気に飛翔する。
「逃げるかよ!」
追う『フェニックス』。けれど、彼は見ただろう。
自身が誘いこまれた事実を。
「『フェニックス』。強き炎の力を、僕達復讐者の情熱の炎で上回ってみせるよ!!」
ミシェルの刃が『フェニックス』の飛翔する体を切り裂く。
炎が血潮の代わりに噴出する。
屈するわけにはいかないという思いが繋ぐ。ディアボロスたちは軌跡を辿る。
輝く残留効果。
積み重ねられた戦い。
それによってディアボロスはクロノヴェーダを打倒するのだ。
「……灰になっておこうか『フェニックス』」
乎乎那の手にした魔術長剣に彼女の魂の炎が込められていく。
それは必殺剣。
名を。
三日月波色灰弩螺(ミカヅキパイロハイドラ)。
放つ斬撃は炎の三日月。
青空に刻まれたそれを、そして降り落ちる灰を人々は見上げただろう。
復讐の炎は奪われたものを奪還する。
そのために揮われた一撃は、確かに地獄の業火を体現するかのような『フェニックス』を灰燼に帰すのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】がLV2になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!