中野区ハロウィン事件

 アークデーモン『秘密を弄ぶ者プルソン』が支配する中野区では、ハロウィンを一大イベントとして、10月13日から10月31日まで連日盛大なパーティーが開かれています。
 勿論、アークデーモンが行うパーティーが、ただのパーティのはずがありません。
 トループス級アークデーモンの『パリピ団』が大音響を鳴らしてハロウィンを盛り上げ、パーティー会場に現れたアヴァタール級アークデーモン『チョコミントモドキ』が、自分の体を千切ったお菓子を食べさせ、一般人をトループス級へ覚醒させてしまうのです。
 これは、中野区に所属するジェネラル級アークデーモン『怠惰なるベリアル』による戦力増強計画の一環のようです。

 攻略旅団の提案により、この邪悪なハロウィンパーティーを阻止するチャンスを得られました。
 敵は『ハロウィンのイベント』が盛り上がっている場所に出現しますので、ディアボロス達が勝手にイベントを盛り上げ、自分達の元に誘導してしまってください。
 会場に到着した『チョコミントモドキ』は、会場の一般人をトループス級に覚醒させてしまうので、覚醒してしまった者達を元に戻しつつ、撃破できると良いでしょう。

 中野区のハロウィンは多くのトループス級を生み出し、アークデーモン大同盟による戦力増強の鍵を握っています。
 ベリアルの計画を食い止め、大同盟の戦力増強を阻止してください。

秘密を弄ぶ者プルソン

怠惰なるベリアル

No hype Halloween!?(作者 棟方ろか
12


#TOKYOエゼキエル戦争  #中野区ハロウィン事件  #中野区  #ハロウィン  #怠惰なるベリアル 


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 ぽに。ぽた。ぺと。ぺちょん。
 甘くてひんやりしたドレスの裾を揺らして、チョコミントモドキがオフィスビルのとあるフロアに集まっていた。
 チョコミントアイスを基調とした色とりどりのドレスを纏う姿は、まるでパーティの参加者だ。

 わたしのドレスは、初恋めいたストロベリー。苺の宝石をめいっぱい飾れたよ。
 わたしのドレスは、裾にラズベリーをあしらったの。
 ほおら、アラザンの髪飾りだってキレイでしょ?
 わたしだって、チョコスプレーの七色の輝きでどんな相手もメロメロだわ。

 そんな、誇らしげで嬉しそうな会話がこぼれる場所で。
 カツ、カツン。
 高らかに響き始めたヒールの音色が、無数のチョコミントモドキの視線を吸い寄せる。
 あらあらとドレスを称え合い、うふふとお互い微笑み合っていたチョコイントモドキらの元へ現れたのは、ルージュめいた艶やかさを纏う、黒髪の麗人。立派な悪魔の翼を広げ、鋭い眼差しでチョコミントモドキを捉えるその姿は、ジェネラル級アークデーモンに相応しきもので。
「はあ……もうやだ、今すぐお部屋に引き籠りたい……」
 その口から発せられた一言とため息は、おおよそ階級に似つかわしくないものだった。
 華やかな集いでも、まさかそんな言葉を聞かされようとはチョコミントモドキたちも思わなかったのだろう。
「ベ、ベリアル様もうちょっと。もうちょっとだけ頑張ってみましょ?」
「そうよベリアル様、お部屋から出てこれてすごいわ! ファイト!」
「わかってるわよう」
 姿勢正しく佇む、その艶麗な外見からは想像もつかないほど、ベリアルと呼ばれた悪魔のやる気に滲むのは、「仕方ない」という心持ち。
「ディアボロスを打ち負かすのに戦力が要るのよ、戦力が。ハロウィンで増やしてきなさい」
「! ディアボロスと戦う気持ちになったのねベリアル様!」
 俄かにざわめきだしたチョコミントモドキを前に、ベリアルは眉根を寄せた。
「しょうがないでしょ。じっとしてても滅ぼされるだけだわ」
 明らかに渋々といった様子だが、それでもチョコミントモドキたちはキャッキャと嬉々とした声をあげる。
「とにかく戦いは数よ。トループス級を集めてきて。私の安全のために」
 妖艶な笑みを口角へ宿すその姿こそ、ジェネラル級の恐ろしさを見る者すべてへ植え付ける笑顔だった。
 怠惰なるベリアル、働く……!

●発車前
「まあベリアルは働かないねー」
 木庭・国男(デーモンの魔創機士・g03330)は包み隠さず告げた。
「というワケで! ハロウィンを利用する計画を阻止しに中野区へ向かってもらうよ!」
 目指すは、TOKYOエゼキエル戦争ディヴィジョン、ハロウィンパーティが行われる中野区だ。
「攻略旅団の提案のおかげでわかったんだ。戦力を強化しようとしてるって」
 盛り上がっているハロウィン会場へ乱入し、一般人をトループス級にすることで戦力増強を狙っている。パーティの参加者たちを救い、クロノヴェーダを撃破するのが今回の目的だ。

「中野区のハロウィンパーティは、二週間以上も続くロングランだねぇ」
「二週間以上!?」
 話を聞いていたディアボロスから驚きがあがるのも、無理はない。
 ハロウィンの準備に時間をかけるのではなく、パーティそのものを長く開催しているのだから。
「なんでそんなことに?」
「いやあ、期間が長けりゃトループス級もそれだけ生み出せるって考えじゃないかな」
 ベリアル自身、パーティのイベント内容? 別に去年と一緒でいいんじゃない? 期間だけ長引かせれば、の精神らしいと国男は付け加えた。去年の成果(データ)を元に増産しようとするのは堅実だが、どうも見通しが甘いらしい。
 準備もまともにせず、ただただ期間が長いだけのパーティ。
 手際の悪さも重なり、パーティーはあまり盛り上がっていない。
「盛り上がらないハロウィンパーティとか、そんな悲しいことある?」
 ディアボロスのひとりが零した一言に、ホントにねえ、と国男も笑うしかなかった。
 おかげで、トループス級にされる一般人はかなり少なくなっている。
「でね、敵は『一番盛り上がってる会場』を目指してやってくるよ」
 ならディアボロスが行うべきは、もちろん。
「会場に潜り込んでパーティーを盛り上げて、敵を自分たちのトコに誘導しよう!」
 そして、トループス級を増やせる、とウッキウキでやってきた敵を倒す。
 これが今回の大まかな流れだ。
 現れる敵は、アヴァタール級『チョコミントモドキ』とトループス級『パリピ団』だ。
 パリピ団が率先して会場へ乱入、荒らして回り、群れを率いるチョコミントモドキが一般人をトループス級へと目覚めさせていく。アイスクリームのような体の一部を一般人へ投げつけて食べさせることで、トループス級クロノヴェーダ『悪魔の幼子』にしてしまうのだ。
 とはいえ覚醒したばかりの一般人は、説得しつつ撃破することで元に戻せる。
 悪魔の幼子に変えられた一般人を救出したら、あとはクロノヴェーダを倒すだけだ。

「なんだか、支配者以外にもジェネラル級が多く現れるようになってきたよねぇ」
 TOKYOエゼキエル戦争の戦いが激化しているのだろうと、国男はひとつ唸って。
「だからこそ区の奪還のために、着実に企てを阻止していこうじゃあないか!」
 中野区のハロウィンが、アークデーモン大同盟に大きく影響するイベントだとしたら。
 ここで戦力増強を阻んでいけば、未来はもっと明るくなるはず。
 いってらっしゃいと見送る国男を背に、ディアボロスはパラドクストレインへ乗車した。

●盛り上がらないハロウィンパーティー
「なんか……今年のパーティ、おかしくね?」
 パーティと聞いて街へ繰り出した若者たちは、互いの仮装姿を心ゆくまで楽しんだあと、ふと我に返る。賑わいが前年と比べて弱く感じるのは、そもそもイベント会場が「イベント会場らしさ」を保っていないからだろうとまで考えた。
 辺りを見渡せば、数人で固まって談笑している塊は確かに点在する。けれど去年と同じ装飾が施された公園内には、目新しい飾りもなければ、会場全体が一体化するほどのイベントも催されていない。
 まるで、ただ場所だけが提供されているかのようで。
「感じられないよな、やる気」
「ま、せっかくのハロウィンだし、俺らだけでも楽しんでこうぜ」
 そう話す若者たちの中でふと、そういやさ、と想い出の一端が紡がれる。
「加賀先輩ってもうパーティ来ねえのかな? 先輩なら盛り上げてくれたよなあ」
 集まりで常に盛り上げ役だった人物を思い浮かべるも。
「あのひと、去年のハロウィンでプルソン様に気に入られたって話じゃん」
「だな。出世したみたいだからパーティどころじゃないっしょ」
 話題としては持たなかった。
 こうして、それぞれのグループでそれぞれの「盛り上がり」が為されているだけの公園。
 その公園こそ、ディアボロスが華麗に参上して盛り上げるための舞台となる。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
1
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【現の夢】
2
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【照明】
2
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【浮遊】
2
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【おいしくなあれ】
2
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。
【クリーニング】
2
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV4 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

棟方ろか
 お世話になっております。棟方ろかです。
 パーティ会場を盛り上げて、やってくる敵をやっつけましょう!

●最終目標
 アヴァタール級『チョコミントモドキ』の撃破

●選択肢の補足
①レッツハロウィンパーリー(中野区)
 ピクニックやちょっとしたスポーツもできる芝生の広場、水遊びもできる大きな噴水、ワークショップやクラフト体験教室に使われそうな木造工房の他、こじんまりとした屋根付き休憩所が点在している公園です。
 現在の会場は、前年と同じハロウィン装飾(簡単な南瓜ランタン、フラッグオーナメント、のぼり)と、ごくごく定番の屋台(ハロウィンっぽいメニューは無し)がぽつぽつ並ぶだけで、イベントらしいイベントはひとつも行われない会場です。

②👾一般人を襲うトループス級『パリピ団』
 補足するまでもなく、イエーーイウェーーーイな陽キャ集団です。

③👾覚醒直後のトループス級『悪魔の幼子』
 可能なら説得して元に戻してあげてください。

④👿アヴァタール級との決戦『チョコミントモドキ』(攻略必須!)
 ボスとの戦闘。撃破すると、このシナリオは攻略完了となります。

それでは、いってらっしゃいませ!
110

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


奉利・聖
ふーむ…パーティーを盛り上げろと
でしたらやはり、楽しめる催しを行えばいいわけで……そうですね、ゲームなんかすればいいんじゃないでしょうか
ついでに屋台も寂しいので、メニューを追加して…よし、購入にはゲームに付き合わなきゃいけないようにしましょう

ジャックオーランタンやポップなスカルを描いたケーキを売りましょう
で、これを購入して食べるにはゲームをしなきゃいけない 勿論無料です
この公園内のあちこちに青いジャックオーランタンを配置しました
これを3つ見つけてきた人だけ食べられます 団体様なら有利になるでしょう
しかしお気を付けて、【トラップ生成】でビックリ系の罠も配置してあるので…どうぞ楽しんで


 柔いオレンジが瞬くそばで、ハロウィンパーティと書かれたのぼりが寂しそうに揺れている。
 それでもそこかしこで会話は弾んでいたが、とある男女の集まりでは萎みつつあった。
「なんか話すのも飽きてきたな」
「ウケる、私もなんだけど」
 退屈が滲み出た彼らへ歩み寄るのは、奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)だ。
「でしたら宝探しゲームをしませんか?」
「宝探しぃ?」
 話題に欠いた若者たちは、抵抗なく耳を傾ける。
「宝ねえ。見つけるのは金銀財宝じゃねーんだろ」
 お宝と言えば眼も眩むほどの黄金の山。
 そんな想いを抱いているらしい反応は、聖にとって説き甲斐のあるもの。
「確かに金銀財宝ではありません。……年に一度のハロウィンですよ?」
 聖の眦に笑みが灯ったのを見て、若者たちはドキドキを胸に次の言葉を待つ。
「探すのは、血が抜かれたかのように真っ青なジャックオーランタンです」
「すげえ! 南瓜のランタンとかめっちゃハロウィンじゃん」
 らしい言葉が飛び出したことで、若者たちの間にざわつきが生まれた。
「それを三つ見つけた人だけが食べる権利を得ます」
 差し出したトレーに鎮座するのは、今にもケタケタと笑いだしそうなジャックオーランタンやスカルが描かれた、ハロウィンっぽさ満点のケーキ。
 マジか、やべえ、と感嘆を口にしていた若者たちが漸く歩き始める。ケーキをゲットするため。青い南瓜ランタンを探すために。
「……しかしお気をつけて。皆さんを驚かそうと、ゴーストが待ち構えているかもしれませんから」
 聖の念押しに、そんなまさかと笑った彼らだが。
「うわあ何コレ!?」
「おおぅビビったぁ!」
 突如、四方八方で数々の驚きが湧いた。ここが罠地帯に変化したことで、来場者が各所でビックリしているらしい。届いた賑やかさに、聖と話していた若者らの眼も輝く。
 聖のパフォーマンスは間違いなく、彼らの意欲に火を点けたのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

エラ・パーカー
【姉妹分】
アドリブ歓迎


イベントを盛り上げるならやっぱりステージなの
瑞波ちゃんがんばろうね!

青いチャイナドレスに
魔力の翼に力を込めて大きくして見栄よく
中華版悪魔風な仮装で

1番目立つ場所で【orchestra『LILITH―夜の魔女―』】を歌えば楽団付きのステージが

【友達催眠】を付与して、ハロウィンの童謡をロックアレンジで歌い出すの
(イメージ「Knock Knock,Trick or Treat」)
わ、瑞波ちゃんカッコイイ!

みんな、お友達のステージって観に来るでしょう?
おいでおいで!楽しいっていう感動をあげるよう♪

パフォーマンスしたい人はステージの上にも来てほしいの!
みんなでハロウィンを楽しもう♪


神崎・瑞波
【姉妹分】
連携アドリブ歓迎

セクシーなチャイナキョンシーの青の服で姉貴分のエラ姉をサポート。
ステージ参加は初めてだが、やってみせよう、盛り上げるぞ!
少々ぎこちないがギターを鳴らし時々コーラスで歌を支援。
「私たちの歌を、きけー!!」
【戦覇横掃】の【士気高揚】で援護し盛り上げよう。
「どうした!こんなもんじゃないだろう!
おまえらの魂みせてみろ!」
どんどん煽っておこう。
エラ姉の歌声ならどんな相手でも一網打尽!
「あ、録画してないー!!」
ちょっとうっかりしつつ、まあこんなもんだろう。
「最高にロックだったぞ!」


 パーティ会場に、趣を異にする賑わいが射した。ひとつの輪を成していた若者たちが園内を歩き回って以降、随所から驚愕が湧く。それが各グループへ好奇心を植え付けていく。
「何だろ、イベント?」
「さあ。なんか急にザワザワしだしたよね」
「ハッピーハロウィーンなの!!」
「「うわあ!!?」」
 顔を寄せ合い話す若者たちの後ろから、ひとりのデーモンが顔を出した。
 完全に油断して飛び跳ねてしまった彼らが振り向けば。そこでは、かけてきた一言に違わぬ愛らしさを纏ったエラ・パーカー(adore song・g03253)が微笑んでいて。
「仮装してる~! 可愛い~っ」
「すげえ。クオリティ高くね?」
 艶麗なチャイナドレスと悪魔の翼という組み合わせが、ハロウィンらしさを醸し出しているのもあり、エラの仮装に若者たちは感心する。
 そこへ忍び寄る、もうひとつの影。
「仮装に感激している場合ではないぞ!」
「「ひゃああッ!?」」
 ぴょこんと会話へ飛び入ったのはキョンシー姿の神崎・瑞波(青の剣・g01089)だ。
 二度目のビックリで若者たちの飛距離が増したのを、新記録達成だ、と瑞波が垂らした袖を口許へ寄せてくつくつ笑う。
「びび、ビビった~」
「感激してる場合じゃないってどういう意味?」
「それは……」
 瑞波が笑みを刷く頃には、エラがステージへ上がっていた。
「オーケストラ、いよいよ開幕なの!」
 可憐な開幕戦言が響き、いくつかの若者グループの視線を吸い寄せる。「何が起こるの?」「オーケストラって言った?」と耳にしたての単語を繰り返し、仲間と共有していくそわそわした様相。
 それを受け止めてエラと瑞波は頷き合い、そして。
「私たちの歌を、きけー!!」
 マイクをも身震いさせたのは、瑞波の叫び。
 ピリピリと空気を伝った声と共に始まる音色。チャイナドレスとキョンシーの、青く煌めく華やかな共演と合わさって、若者たちの意識は釘付けだ。
「いくよ瑞波ちゃん!」
「やってみせようエラ姉!」
 二人の掛け声が繋がったら、ステージ開始だ。
 トップバッターを飾るのは、ハロウィンらしさで溢れた童謡のアレンジ曲。メロディに心打たれる人もあれば、鼻歌を交える人もいる。誰もが、甘い歌声が織りなすロックアレンジに夢中だ。
 コーラスを乗せていた瑞波も、観衆と演奏者との一体感を覚えて気持ちが疼く。
(「さすがエラ姉の歌声。一網打尽だ!」)
 誇らしく思えば思うほど、頬がふくふくともたげた。
 こうして築かれたのは、めくるめく音楽フェスの時間。
 もちろん、瑞波自身も聴衆を巻き込まずにいられない。瑞波が掻き鳴らすギターはぎこちなくも勢いある奏でとなって、多くの胸を高鳴らせる。そのためステージを囲う人たちが、徐々に身を揺らし始めた。
 瑞波はダンッと力強く片足を踏み出して、観客に呼びかける。
「どうした! ヘバったなんて言わせないぞ!」
「「おおぉっ!!」」
「こんなもんじゃないだろう! おまえらの魂みせてみろ!」
 煽りに煽りを重ねると、返る歓声も手拍子も増す。瑞波の振りまいた熱意が、園内を伝播して。
「わ、瑞波ちゃんカッコイイ! もっとやろ、もっと!」
 熱を広める瑞波の言動は、エラの瞳をも輝かせた。
「ひゅー! カッコイイぞ瑞波ちゃーん!」
「瑞波ちゃんサイコー!」
 エラの声援を聞きつけた若者たちまでもが、すかさずコールし始める。
 興に乗じてツーステップで空間を蹴り始めるこなれたグループ、波の始まりを作る一団も出てきた。
「なんかフェスやってる気分よ!」
「やっぱハロウィン最高ゥ!」
 歓喜の言葉も音の波に乗り、ステージの二人へ届く。
(「どんどんノッてきてるっ」)
 ウキウキが留まることを知らず、エラは観衆を手招いた。そう、誰もが友人であるかのように。
「一緒にステージに上がろ♪ みんなでハロウィンを楽しもう♪」
「えっ私たちも?」
「うん! だって楽しいは感動なの。楽しいをあげるから、ほら」
 時好に投じた音楽や仮装、口振りなどで場を整え、ここまで引き込んでいるのだ。拒む者は多くない。
「オレも歌っちゃおっかな」
「んじゃあアタシは踊る!」
 二人のパフォーマンスに区切りがつくか否かのタイミングで、輝かしいステージへ加わるオーディエンス。
 こうして二人のステージは喝采を博し、多くの若者を引き込んで賑わった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

播磨・仁絵
仮装:スフィンクスの弁柄とお揃いの悪魔の仮装

出世した先輩……なんだか嫌な事に、気づいてしまったのですが……これが現代で言う、正気度ちぇっく、という奴でしょうか?気づいたところで、今はどうしようもないのが事実ですが。

さてまずは宴の盛り上げ役ですね。弁柄、お前にも手伝って貰いますよ

弁柄をいっぱいもふもふしたり、猫じゃらしや手鞠の玩具で共に遊んだり出来るふれあいこーなー、の開設です。
現代では動物と触れ合ったりするのがとても人気だと聞きまして。何よりふてぶてしい顔つきが可愛らしい弁柄のあぴぃるをするまたとない機会。……ちょうど最近肥えて重くなってきた弁柄の良い運動にもなりますしね

アドリブ絡み歓迎


 遠くから響いてくる、耳に馴染まぬ音色と歓声。他のディアボロスが別の場所で務めを果たしているのだろう。悪魔の仮装をした播磨・仁絵(捧げられしもの・g08502)は二粒の金色を揺らした。興味を眼差しに乗せつつも、ぐっと小さな拳を握り締める。
 やる気のない顔の南瓜のランタンに見送られながら、スフィンクスの弁柄と共に仁絵が向かった先は、公園の一角だ。そして辿り着いた先で仁絵はふと思う。
(「出世した先輩、ですか。……これが現代で言う、正気度ちぇっく、という奴でしょうか?」)
 黙して思考を巡らせていた、そのとき。
「ねえカワイイアクマさん。猫ちゃん、触っていいの?」
 考えていた仁絵の前に、十代後半と思しき若者たちが現れた。
「どうぞ心ゆくまで遊んでらしてください。こちらはふれあいこーなーですから」
 穏やかな返答で、若者たちの顔にパッと笑みが咲く。
「ほ、ほんと? やった、もふもふしてみたかったのっ」
「俺もニャンコと遊ぶの夢だったんだよなあ。ほーらボールだぞおいでおいでー」
「あっオイ、まずは猫じゃらしからっしょ」
 途端に若者たちの感心が、弁柄へと注がれた。
 そう。彼女が開設したのは弁柄と戯れられる空間。談笑に暮れるばかりだった若者たちも、いつからか仁絵と弁柄のいるコーナーへ集っていく。おかげでふれあいコーナーは、人々の憩いの場となった。
 ふてぶてしい面差しで弁柄が出迎えれば、顔の筋肉が緩む男女も多く。動物とのふれあいへ焦点を当てた仁絵の企画は、功を奏していた。
「はあ幸せ! こんなカワイイ子をもふれるなんて」
「猫とお揃いで仮装かあ、やってみたいな。南瓜の帽子とかも絶対イイじゃん」
 見事に心を掴まれた若者らは、ちょこんと座る仁絵へひらひらと手を振り、名残惜しそうに去っていく。柔らかい毛並みの余韻に浸りながら移動する人も、珍しくなかった。
「宴を盛り上げるという大役、お見事ですね。それに……」
 たくさんのもふりを経た弁柄へ、仁絵が目線を流す。
「弁柄の可愛らしさをあぴぃるする、またとない機会となりました」
 眦を和らげた仁絵の様子を、一仕事を終えた弁柄はただただ静かに眺めるだけだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

マティアス・シュトローマー
紘希(g04512)と

せっかくのハロウィンなんだ。悪童として素敵な悪戯を仕掛けてあげよう
紘希も今日は悪い子になるんだよ。いいね?

お揃いのローブに三角帽子を被ったら、悪戯好きな魔法使いになりきろう

——Eins,zwei,drei.
爪先を三回鳴らしてパラドクスを発動。紘希と手を繋いで【浮遊】し、公園内を空中散歩する

それじゃ、紘希。とっておきのアレをお願い!
少し不気味だったり、すごく可愛らしかったり。動き出すハロウィンモチーフに紛れさせて、空からキャンディやチョコレートをプレゼント
Trick and Treat!……ってね

偶にはこんな欲張りなハロウィンがあってもいいんじゃないかな
素敵な一日を!


不知火・紘希
マティアスお兄さん(g00097)と!

僕、にぎやかで甘いお菓子がいっぱいなハロウィンって大好きなんだ!
(ぱちりと瞬きして笑い)うん、わかった!秘密のイタズラ大作戦だね。

お揃いのローブにわくわくしながら、三角帽子を被って準備万端。

お兄さんのカウントダウンでしっかり手を繋いで、公園内のお空を空中散歩しよう。

お兄さんに目くばせされたら作戦実行!
リアライズペイントを使って、ハロウィンモチーフを描き出してサプライズだよ。
怖がらせすぎないようにかわいさも入れて……。
トリートはこっそり紛れさせたタンジェリンオレンジのくまさんが降らせたみたいに演出してみよう。

Happy Halloween!
幸せな1日を!


 そろりそろりと、笑い声のする方角へ忍び寄るふたつの人影。
「紘希も今日はとびっきり悪い子になるんだよ。いいね?」
 確かめるように囁くのは、人影のひとつマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)だ。
 とびっきり悪い子に。
 普段はあまり言われないような響きに、不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は瞬ぐ。
「いいのかな? とびっきり悪い子になって」
 そうっと尋ねた紘希の声はしかし、すでにワクワクを多分に含んだもので。
「せっかくのハロウィンなんだ。『悪い子』を楽しまないと」
 にししと笑うマティアスの眼は細められ、悪戯っ子めいた光を淡いグレーに宿している。
 そんな顔を向けられては、紘希も口端を上げずにいられない。
「うん、わかった! 秘密のイタズラ大作戦、決行だね」
 同じローブに身を包み、大きな三角帽子を深くかぶったら。悪い魔法使いに変身だ。
 人里へ出た魔法使いが、うずうずしながら仕掛ける悪戯はなんだろう――二人は期待に胸を膨らませて、
 マティアスが思い浮かべたのは、魔法の靴だ。いつか見た物語でも、秘密の合図を唱えたらあっという間に魔法がかかる。だから今日も、マティアスは童心にかえって口遊む。
 Einsと数えたときにつま先で地を叩き、zweiのときには少しだけ強めに打ち鳴らす。
 そして締めくくりは天にも昇りそうな、dreiの軽やかさ。
 行こう、とマティアスが手を差し出したなら。
 いよいよだね、と紘希も誘いに乗ってその手を取り、二人一緒に浮かび上がるのだ。
 ふわりふわりと歩を運んでいくと、浮遊での散策を楽しむ二人に気付いて若者たちが「おおっ」や「わあ」と短い声を溢す。
「それじゃ、紘希。とっておきのアレをお願い!」
 マティアスからの目配せに首肯で応えた紘希は、聴衆へ軽く空いた手を振った後、すぐさまハロウィンらしさに溢れたモチーフを描いていく。ジャックオランタンに、シーツを被ったかのようなオバケ。魔法の箒と、たくさんのお菓子の集まり。
 突然の愛らしいアートを目撃し、驚いた若者たちの輪の近くへ寄って、二人が次に仕掛けるのは。
「Happy Halloween!」
「Trick and Treat!」
 冴えないパーティ会場で鮮やかに輝く、タンジェリンオレンジのくまさんからの贈り物と。
 慣れ親しんだ口上を高らかに歌い、マティアスの元を離れていくキャンディやチョコレートたち。
 どちらも素敵な悪戯心によるもので。
「すごーい! キャンディの雨じゃん! こっちはチョコだよチョコ」
「お化けの絵とかお菓子が降るとかマジかよ!」
「なんかハロウィンって感じでアガるぅ!」
 若者たちからも嬉しそうな歓声が沸いた。誰かがお菓子を拾い、掬い、受け取って。それを見た周りのグループでも、誰かがお菓子をキャッチしにやってくる。
 まるで幼子のようなはしゃぎっぷりで手のひらを広げていく彼らを、紘希もマティアスも頬を持ち上げて眺めた。
「……こういうイベントは、やっぱり盛り上がっている方がいいな」
 マティアスが静かに呟けば、きらきらと双眸を揺らす紘希も頬を上気させて。
「イタズラする側もされる側もワクワクできて、盛り上がれたね!」
 悪い子になりきた素振りで紘希が言うものだから、マティアスも違いないと笑いを溢す。そこへ。
「さっきまでがウソのようなイベントだな、サンキュー」
「お菓子まみれになれるなんて、贅沢なハロウィンだよねえ」
 両手のお菓子を見やり、若者たちからそんな声も上がる。
 だから魔法使いの二人は目線を重ねて頷き合い、こう紡ぐ。
「いいんじゃないかな、偶にはこんな欲張りなハロウィンも」
「うん、そうだよ、僕もにぎやかで甘いお菓子がいっぱいなハロウィンって大好きなんだ!」
 咲き誇らせた笑顔を挨拶にし、立ち去る間際ふたりはこう告げるのだ。
「素敵な一日を!」
「幸せな一日を!」
 ちょっと気まぐれでちょっぴり甘い、とびっきりのサプライズを贈った悪い魔法使いたちは、次なる悪戯のためその場を後にした。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

如月・莉緒
総二さん(g06384)と
赤ずきんの仮装で参加

屋台はあるけどハロウィンメニューないなら作ろうかな

総二さんにお願いして持ち込んだ材料を使って
ハロウィン仕様のクレープ作り

黒いココア生地に
紫芋のクリームとカスタードの二層仕立て
スナック風のカボチャランタン
チョコで出来たクモの巣やコウモリ
お化けのマシュマロで飾って
最後はミイラ風フォーチュンクッキーを

ハッピーハロウィン!の言葉と共に【おいしくなあれ】の魔法をかけてお客さんへ

こんな感じで一緒に作ろ!

と総二さんと作る途中

ん?クリーム?どこ?

頬を指先で拭われ
指先についたクリームを食べようとするのを止めるため思わず

あーん

と口を開け
クリームを舐めとるも顔は赤くて


神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴
狼の仮装で参加

ハロウィンっぽいメニューか、そういえばあまり見ないか

お願いされて持ち込んだ材料を【アイテムポケット】から取り出し
何を作るのかと莉緒に聞いて

ハロウィン仕様のクレープ?

莉緒が手際よく生地に色々盛り付けるのをみて
ああ、飾りつけがハロウィンの……生地もココアか

完成したクレープを見て感心しながら

俺は何をすればいい?

二人で一緒に作りながら
ふと莉緒の頬にクリームがついているのに気づいて

莉緒、ここ……クリームついてるぞ

と、頬についたクリームを指で拭って

そのまま食べようとしたら莉緒に止められ

あーんって……いいんだが
と顔を赤くしながら指を差し出し

舐めとられてさらに赤くなって


 空色の輝きが映し出した、パーティ会場の光景たち。
 ディアボロスの仲間たちが、園内各所でハロウィンを盛り上げてくれているのが、よくわかる。
 かるが故に赤ずきんに扮した如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)は、屋台に立つ。狼の装いをした神刀・総二(闘神・g06384)と一緒に、まだまだ盛り上がりに欠ける屋台へと。
「定番メニューも『お祭り!』って感じはするけど……」
「ハロウィンっぽさが足りないのは、かなり寂しいか」
「そ。だから総二さん、お客さんをいっぱい喜ばせてあげよ! ね?」
 浮き立つ気持ちを宿した莉緒の笑顔に、やってみるか、と優しい珈琲色の瞳が細まった。
 そうして総二が取り出した材料の数々も、莉緒の願いに沿ったもの。ココアやクリーム類、チョコレートなど、若者たちに胸も腹もいっぱいになってもらうべく用意した製菓材料だ。
「見本となるクレープから作ろう。……どうする?」
 調理器具を整えていた総二に問われ、くるくると莉緒の目線が彷徨った。
「ん-と、あっ、見本作りは私にお任せ! 図案は頭に入れたから!」
「なら、頼らせてもらおうか」
 やる気が満ち溢れている彼女の邪魔をしないよう、総二は手順と材料を記憶へ刻んでいく。そして途中で彼は気付いた。なるほど、これは間違いなく『ハロウィンっぽさ満点のクレープ』だと。
 何故ならふたりの眼前で出来上がったのは、夜を思わせる黒のココア生地がベースのクレープ。甘く薫るカスタードが、紫芋のクリームと共に美しい二層を築いて横たわり、そこに飾られるトッピングたちも、ハロウィンのモチーフを織りなしている。
 それにしても、と思いを巡らせる総二の目線が彼女の手を捉えて離れない。
「手際いいな」
「でしょ? もっともっとエールよろしくね」
「飾りつけまでセンスがよく表れている」
「やった、張り切っちゃお!」
 他愛無いやりとりを続けながらも、作業が停まることはなく。スナックの軽さを灯す南瓜ランタンに後れを取らぬよう、お化けのマシュマロがクレープにくるまれていった。チョコペンで描いて固めた蜘蛛の巣やコウモリたちを添え、仕上げにミイラ風フォーチュンクッキーを飾る。
 こうしてクレープの上は、短いハロウィンナイトを堪能しようとするゴーストたちの楽園と化した。
「ジャーン、完成! こんな感じで一緒に作ろ!」
「……確かにこれは、話も盛り上がりそうだ」
 感心して唸る総二の反応からも、莉緒は自信を得た。
「すいませーん! ハロウィンのクレープくださーい」
「あたしも同じのー!」
 間を置かずして、屋台を訪れた若者たちからの注文が飛び込む。
 屋台の目立つところへ見本を置いた瞬間から――いや、作っている最中から、生地が焼き上がるときの香りやハロウィンらしい見目に心奪われた若者たちが、仲間を連れて逸早く集合しつつあったのだ。
「ハッピーハロウィン! たっくさん食べてね」
 おいしくなあれ、と魔法を唱えて莉緒がクレープを渡す。
 次から次へと舞い込む注文に、総二と二人三脚で店を回していると、不意に。
「莉緒、ストップ。クリームついてるぞ」
「んん?? どこ?」
 言われるがまま動きをピタリと止めた莉緒は、すぐに指で探り当てられず、鏡を取り出そうとした。しかし総二の指が頬を撫でる方が早い。「ほら、ここ」と囁きながらそっと掬うようにクリームを拭い、流れるように口へ運ぼうとしていた。
 あまりにスムーズな指の運びは、莉緒へ考える余裕を与えない。狼にぱくりとされそうな空気を掻き消すように、彼女は咄嗟に「あーん」と口を開けた。
 すると今度は総二がピタッと停止する。
「あーんって……いや、まあ……いいんだが……」
 明らかな戸惑いを視線に宿し、彼は己の指を莉緒の唇へ捧げた。
 捧げられた側も頬をほんのり赤らめながら、クリームを舐め取る。
「……これでいいか?」
「う、うん。ありがと!」
 二人して顔が赤くなっていくのを、クレープ生地の上でカボチャランタンたちも楽しげに眺めるだけだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
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【反撃アップ】がLV2になった!

坂登・悠日理
惺音g03409と

何と言うか…杜撰な計画だな
二週間以上もハロウィンって言うならもっと考えればいいのに
とりあえず工房飾り付けしてワークショップでもしよっか
ほら何か作ったりしたら気分も盛り上がるじゃん
何となく

という事で
俺はフェルトで
南瓜とか蝙蝠とかハロウィンっぽい飾りを切った奴用意
簡単なガーラント作りを企画してみるぜ
これなら子供でも簡単に作れるし!
スパンコールとかビーズとか貼ってアレンジも出来るようにしとくな

惺音は?
おーいいじゃん!
お互い見本作っておかない?
ユキミやレオにも出来るぞーって所を見せるのもいいな

実際作った物とかそれ以外でもハロウィンっぽく工房を装飾してっと
これでどうだろ?

おっそれいい!


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と

イベントって短いから騒げるんであって
長いと息切れして惰性になるよ…
うん、自分オリジナルだと尚更だし
作ったら人に見せたいから、人々の交流も増えそう

私はストラップ作りにしてみようかな
イベント物ってその日限りだから、わざわざ買い難いしね
テグスに大きめのビーズを通してストラップ用の金具で留めるの
ハロウィンのパーツも用意して好きに選んで作って貰おう
最後に留めるのは教えても良いし私がやっても良いし

ゆぅ君のは?
あ、すごーい
一緒に見本として蝙蝠や南瓜の飾りが付いたストラップも飾り

ユキミとレオ達でガーランドの端を持って貰って
近くを歩いて宣伝するのも出来るね
こういうの作ってみませんかっていう


「何と言うか……杜撰な計画だな」
 苦笑いをする余力も割きたくないぐらい、坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)にとって此度のクロノヴェーダの計画は粗末なものに思えた。
 何事も計画性が大事だ。二週間以上という期間に見合うものを考えればいいのに、と難しげな顔をしている彼の隣で、森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)がこくりと顎を引く。
「長いと息切れして……せっかくのイベントも惰性になるよね」
「そうそう。こういうのも考えられないのに、ただ指示だけ飛ばすなんてな。ほい」
 言うや悠日理が木壁へ飾ったのは、フェルト製のハロウィンガーラント。鮮やかなオレンジの南瓜のランタンに、真っ黒な翼を広げて舞う蝙蝠と、コントラストが美しくも愛らしいかれらハロウィンモチーフたちが、壁で楽しそうに笑って踊っているかのようだ。
 そうして、話しながらも作り進めていた成果が質素な工房を彩っていく。 
「すごーい。ゆぅ君、こういうの向いてるよ」
「ん-……そうか?」
 小さく手を叩いた惺音と比べ、製作者自身はどうにもしっくり来ていないらしい。
 惺音が首を傾げると、彼はこれまで作った飾りと同じものを、ちょきちょきと模っていく。
 やがて、「よし」と納得いったらしい掛け声が聞こえてきたのを機に、そおっと惺音が彼の手元を覗き込む。すると、ジャックオランタンや魔女の箒といった飾りたちが、幾つもの箱の中で山盛りになっていて。
「これなら、子どもでも簡単にガーラント作りができるだろ」
 難しいと挫折するかもしれない、と悠日理は何気ない言葉を付け足しながら、デフォルメされたフェルト飾りへ視線を落としっぱなしだ。そんな彼の様相は、惺音の頬を自然と持ち上げさせる。
「いいお手本も壁にたくさんあるしね。作ったら人に見せたくもなるから、みんな楽しんでくれそう」
「それで気分が盛り上がってくれるなら、敵も誘き出せるしな。んで、惺音は?」
 躊躇する時間も置かずに惺音の手元を覗き込んだ悠日理は、おお、と思わず感嘆の零した。
「いいじゃん! ちょっとキラキラして見えるし」
「うん、小さい子も遊び盛りの学生さんも……こういう手作り、好きだろうなって思ったから」
 褒められた喜びを眦へ刷きつつ、惺音はビーズストラップを工房の灯りに翳す。テグスに通したオレンジビーズは大粒で、まるで南瓜のような丸みで灯りを受けてくれている。一緒に通したオバケパーツも表情豊かで、魔法使いの帽子やコルドロンといった怪しげなパーツたちも、ウキウキと揺れていた。
 惺音はできたばかりのストラップも幾つか見本として一緒に飾り、やっとひと息つく。
 そして呼吸を整え、集中していた気持ちに区切りが入るだけで、また新たな考えが浮かぶのだ。
「そうだ、ねえ。ユキミとレオでガーランドの端を持って貰って、歩いて宣伝するのはどうかな」
「宣伝?」
 まじろいだ悠日理へ、彼女の提案は続く。
「こういうの作ってみませんか、って。作れる物もわかりやすいし」
「それいい! やってみっか!」
 受け入れたのなら後は動くだけ。すっくと席を立った二人は、ユキミとレオにハロウィンガーラントを持たせて、自分たちも見本作品を身につける。
「この工房も盛り上がるといいな」
 出入口の戸を開けながら落とした悠日理の呟きに、惺音も静かに頷く。
「うんっ、パーティに来ている人にとって、いいハロウィンになると嬉しいね」
 こうして二人は、レオやユキミと一緒に公園内でプチハロウィンパレードを開催する。
 工房で作れる物の宣伝ではあるけれど。ユキミやレオの愛くるしさも重なって、子どもや多くの若者たちの意識を惹きつけるパレードになって。工房でのガーラントやストラップ作りに、たくさんの人が参加してくれるようになるのを――行進中の二人はまだ、知らない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
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フェリシティ・マーノット
盛り上げれば良えねんな
こちとら伊達にテンション低めの男と付き合うてへんで
へ?クレイ(g03894)以外に誰がおんねん

まずはやる気のない屋台を探して乗っ取…交代しよ
並べるのは濃厚南瓜クリームのプリンや
(魔女の格好をしてガスバーナーを持ってる)

次に噴水前にフライパンにプリンを乗せて持ってく
屋台ではちょっと危険やからな
クレイに踊ってもらって(無茶ぶり)お客さんを集めたら
クレイにフライパンを渡して派手にプリンをフランベする

ハロウィンの炎を込めたクリームブリュレや
口にすれば体の中から燃え上がること請け合いやで
ほらこいつも真っ赤やろ?ふふ

お買い求めはあっちの屋台な

※火事や安全に気をつける
※アドリブ歓迎


クレイ・ロックウェル
盛り上げて敵を誘き出す作戦だな
フェリシティ(g03901)
テンションが低い男というのは…そうか
(つき合ってるという言葉を噛みしめてる場合じゃない)

噴水前で踊って人を集めろ?
無茶苦茶な話だが止むを得ん
演武くらいしかできんがやれるだけはやる
ジャンプしたり噴水の水を跳ね上げたり
……ハロウィンらしさが必要だな
手頃な南瓜提灯でも被るか
ダンスというよりは大道芸だが衆目は集められるだろう

ん?フライパン?炎?
もっと無茶苦茶だな?
だがいざとなれば噴水の上を【水面歩行】できる!
延焼の恐れはない!派手に魅せるぞ!

(魔女の服も可愛いな)
いや、赤くなってなどは…炎のせいだろう

※アドリブ歓迎
※火の元注意


 盛り上げてくれと言われたら、フェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)も飛び出さずにはいられない。
 すでに各所でディアボロスたちが務めを果たしている。しかしまだ手付かずの舞台――噴水もあった。
「会話自体は盛り上がっているようだが……ハロウィンパーティか」
 噴水前で談笑する若者たちを目の当たりにして、クレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)は唸る。
「せっかくのハロウィン、盛り上がらな損や。盛り上げ役は任しときって感じやな」
 自信たっぷりな様子のフェリシティはそこで、クレイを一瞥する。
「こちとら伊達にテンション低めの男と付き合うてへんし」
「テンション低めの男……付き合って……」
 クレイは一回だけまじろいでから、何か言いたげに唇を引き結ぶ。彼の上に動揺が落ちかかった。一瞬の間にめまぐるしい思考が内側で繰り広げられ、そうか、そうだな、と頷きを繰り返す他なく。
 実感を噛み締めているらしい彼を見て、フェリシティは肩を竦めた。
「目の前にいる男の他に誰がおんねん。さ! 作戦開始や」
 パンッと手を叩く音が響けば、それが合図だ。
 本当に俺がやるのかとでも聞きたそうなクレイの眼差しを、フェリシティはひらひらと泳がせた手で流す。彼女が屋台で働く間、クレイには噴水の前で為さねばならぬことがあった。「やむを得ん」とクレイは眉根を寄せ、腹を括って南瓜提灯を被り、ステージへ上がる。
 噴水前で突然構えた人物を、若者たちも見逃さない。
 なんだなんだと窺う視線を浴びながら、クレイはぐっと踏み込む。彼の足へ熱が籠ると同時に、波打っていた水面が、ぴたりと凪ぐ。噴水という舞台で見せた水面の沈黙は、周囲の若者らの興味を引く。そして――演武が始まった。
「すっげえ、なんだあれ。ダンス、だよな!?」
「ジャンプ力ある~!」
 今まで会話に夢中だったかれらが、こぞって噴水前へと集まり始める。そこでクレイが披露するのは、水面を歩き回るパフォーマンス。足はもちろん沈まない。むしろつま先で雫を蹴って、散らして、演武として取り込んだ。
「カボチャのダンサーさーん! カッコイイぞー!」
「ひゅ~! いいぞもっと跳んで回ってくれー!」
 声援も煽りも、すべてが四方からクレイの耳朶へ届く中で。
「カボチャダンサーさん、ほい!」
 明確に耳に馴染んだ声を拾い上げて、クレイは差し出されたフライパンを掴む。何の変哲もないフライパンに乗っていたのは、ぷるんと楽しげに身を揺らす南瓜のプリン。
 渡してきた相手はもちろん、南瓜と常に共にある魔女フェリシティだ。
「今度は何だろ、飛び入り?」
「あれっ、さっき屋台でクリームプリン売ってた人だ!」
「ひゅー! よくわかんねーけどいいぞぉ!」
 演者が増えたところで、若者たちは気にしないどころか盛り上がっていく一方だ。
 クレイは、引き継がれたフライパンの中身が観衆の眼に触れるよう、まずは右方へ左方へ持っていく。若者らが南瓜クリームのプリンを認識した頃合いを見計らい――魔女が派手にフランベをした。
 ごうと昇り立つ赤は、歓声を沸かせる。香ばしさも聴衆のところまで届き、誰もが鼻を鳴らした。それだけではない。ジュワッと溶けるような音に、パチパチと焼け付く音色が合わさって、人々の胸を躍らせる。
 そしてクレイがフランベの成果を見せて回れば、甘い誘惑に皆が釘付けとなるだけ。
 彼の握るフライパンの上では、とある変化が起きていた。
 なめらかな輝きを湛えていたはずのクリームプリンが、ブリュレへと大変身を遂げていたのだ。
 その事実を人々が理解した直後、噴水一帯を喝采が包み込む。
「どうや? 口にすればたちまち体の中から燃え上がること請け合いやで!」
 炎を仕掛けた魔女が周りへ呼びかける。
「ほらこいつも真っ赤やろ?」
「ホントだー! カボチャまで真っ赤になったみたいっ」
「へえ、おもしろー!」
 演武を観賞していた数人が、フェリシティの一言を耳にし、クレイの変化に笑う。
 運び手である魔女に見入っていたクレイは、指摘されてハッとなった。
「……赤くなったのは、炎の所為だろう」
「ええ~? そうなの?」
「じゃあ私も食べたらもっと熱くなれるかな?」
「プリンのお買い求めはあっちな!」
 隙も暇も作らずフェリシティが客の誘導に移る。
 彼女たちの背を見送った頃にはもう、クレイを熱くさせていた情は静まりつつあった。
「充分に盛り上げたんだ。あとは……」

 あとは、このハロウィンパーティを目指してやってくるクロノヴェーダを倒すだけ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!

如月・莉緒
総二さん(g06384)と

せっかく楽しく盛り上げたって言うのに
パリピとか言いながら盛り下げに来たのかな

騒がしい敵を一瞥して

ちゃっちゃっと片付けないとね

総二さんと【臨機応変】の動きを念頭に
投げつけられるコンポを【高速詠唱】で発動させた【甘花】で迎撃する
【明石国行】を抜き、パラドクス化した【早業】と【両断】を使ってコンポを、続いてパリピ団へと斬り掛かる

【地形の利用】も使って被害は最小限に、効果は最大限に

せっかくの楽しいハロウィンを酷いものにしたくないしね
ついでに言うとうるさいのもいらなーい!


神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴

本当にせっかくここまで盛り上げてきたのにな
迷惑な客は申し訳ないがお断りだぞ

莉緒と並んで敵を一瞥しながら

そうだな、まだまだ皆と楽しみたいから
さっさと片付けてしまうか

莉緒と連携しつつ【臨機応変】に
耳に障る歌を聞き流しながら【天破雷神槍】で仕留めていく

一人倒せば【ダッシュ】で次へ次へと標的を移していき

折角、二人いい感じに過ごしていたのに
絶対に許さん……と心の中で叫びながら


「イエーーイ!! 盛り上がってんじゃーん!」
 活気で溢れる園内に、突如として響いた異質な声たち。単にハロウィンパーティを楽しみに来た若者だったのなら、如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)も口を尖らせる理由にならなかったのだが。
「来ちゃったね」
「来ちゃったな」
 神刀・総二(闘神・g06384)も眉尻を下げた。
 なぜなら二人や周りの若者たちへと降りかかった、パリピ団という名の災厄。
 その存在が、あまりにもうるさくて。
「バイブスアガっちゃう? ちゃう??」
「ひ、ひぃ、なんなんだ急に!」
「やっべーその青い顔もハロウィン仕様? ありよりのあり!」
 総二と莉緒が「うわ……」とやや引く中で、パリピ団の押せ押せムーブは留まることを知らない。楽しんでいた若者の顔を下からぐぐいと覗き込んだ次の瞬間には、腕をぬるりと若者の肩へ回し始めた。
(「あの距離感……っ! それに遠慮なしのお触りだなんてっっ」)
 自分がされたわけでなくても、莉緒は思わず拳を震わせて。
「パリピとか言いながら盛り下げに来たのかな」
「……本当に、せっかくここまで盛り上げてきたのにな」
 総二も肩をゆるく竦めたところで、二人の視線が重なる。
 そしてどちらからともなく頷き、ヒューだのウエーイだのと一般人へ絡んでいくパリピ団を一瞥。
「ちゃっちゃっと片付けないとね」
「そうだな、まだまだ皆と楽しみたい。片付けてしまうか」
 二人分のやる気が向かってきたからか、極彩色のパリピたちが俄かにざわつく。
「フゥ!! お二人さんもオレらの音楽ノッちゃう?」
「のらないよ! ちょっと静かにして」
「またまたぁ、そんなこと言っちゃってえ!」
 明石国行を振り抜きながら莉緒が返すも、パリピは驚きもせず、言葉をまともに受け取ることもしない。それどころか担いだコンポから爆音を轟かせたまま、歌えや踊れやの大騒ぎ。
 楽しんでいた人々を自らのペースへ無理やり引き入れるかれらの言動は、若者たちを困惑させた。困らせるだけならまだしも、それぞれの『楽しみ方』を荒らし、踏み躙っていく。
 そのことに総二は浅く息を吐き、莉緒と共にパリピ団を挟み込む。
「何なにぃ、俺の歌が聞きたいってぇ?」
「聞くつもりはないぞ」
 間髪入れず総二が答えるも、パリピは聞く耳を持たない。
 マイクを片手に外国語めいた聞き取り不可能な歌を叫びだした途端、莉緒たちも一般人も耳を塞ぐ。
「やめてー! 耳がこわれるよーっ」
 莉緒の訴えもまるっと大音量に掻き消された。これで歌が上手なら良かったのだが、残念なことに救いようのない音痴っぷり。周囲の若者たちもパリピの責め苦に耐え切れず、泣き叫ぶばかりだ。
 そうしてパリピ自ら周囲の意欲を奪っておきながら、かれらの言い分はこうだ。
「ちょっとちょっとお、みんなノリ悪いんですけどお!?」
「ほらほらもっとアゲてこーぜ☆」
 ノリの悪さを理由に、逃げ惑う一般人を追いかけ、あまりの歌のクオリティに眉間を抑えていた総二の肩にまで、手を伸ばしてきた。肩を組んで強引に巻き込みつつ、とんでもラップで体力も精神力も削るつもりなのだろう。
 そうはさせるかとばかりに総二は、けばけばしいかれらの色も、鳴り響く不快な歌声も――天破雷神槍で突く。いつもと違い、否いつも以上の速度でパリピの喉へ貫手突きを届けたのだ。うるさいから静かにしてくれよ、という言葉の代わりに。
「ンゴフゥ!? オエッ、カハっ!?」
 辛うじて歌という体裁を保っていたパリピの不快音も、喉を狙った総二の一撃によって止まる。苦しみ転がるパリピを眼前に、総二は言い切る。
「パーティは参加人数が多い方がいい。でも迷惑な客は申し訳ないがお断りだぞ」
 もはや喉をやられた本人に聞こえているかは分からない。倒れ相手がぴくりとも動かないからだ。
 下手なんてレベルではない魔のラップが途切れた。
 続けて勢いを逃すまいと莉緒が仕掛けるは、天花。鳴りやまぬコンポが宙を舞おうものなら、天を刈り花を刈る莉緒の一手が、爆音も爆発の猛威も、パリピのノリごと叩き斬る。
「せっかくの楽しいハロウィンなんだから! うるさいのはいらなーい!」
「マジでぇ!?」
「ヤバ~っ!?」
 斬り伏せられた仲間を目の当たりにしたパリピ団員たちが、これでもかと叫ぶ。
 その声色すらも楽しげに思えて、少々のイラっと感と抱いた悔しさから総二が、マジとヤバの使い手たちへ突撃していく。
(「折角、二人いい感じに過ごしていたのに……絶対に許さん……」)
 そんな心からの訴えを、指先に籠めて。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【神速反応】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!

マティアス・シュトローマー
紘希(g04512)と

パーティーに来たお客様?……では無さそうだね
でもこの会場に来たからには
Trick or Treat!
さ、紘希も悪戯の準備はできた?

気付いた時にはもう手遅れ……ってね
敵が紘希に気を取られている隙に【トラップ生成】で蜘蛛の巣状のトラップを張り巡らせ動きを封じる

続いてパラドクスを発動。狙うのはもちろん騒音を生み出しているコンポ
爆弾になっているのなら丁度良い、流星群の次はパーティーらしく派手な花火を上げてみようか

反撃は一般の人に被害が出ないよう注意を払いつつ【臨機応変】に銃で迎撃

賑やかなのは良い事だけど、マナーはしっかり守って貰わないと
もちろんハロウィンのお菓子も忘れずにね!


不知火・紘希
マティアスお兄さん(g00097)と!

ぱりぴ……?
よくわからないけど、すっごいお歌がへただねぇ。
みんなと楽しくできない人たちはめっ!だよ。

準備万端だよマティアスお兄さん!

敵の様子やお兄さんの行動、周りをよく観察して靴のスイッチオン。
魔法のアートで風景に紛れるよ(光学迷彩)
そのまま戦場を駆けまわって、
消えたり現れたりして敵の集中を乱そう。

そうしたらお兄さんの花火がキレイにあがるように、
敵に流星群をぶつけて歌う暇もないくらいの足止め攻撃。
みんなを巻き込まないよう結界を展開しておくね。
お兄さんがいるから勇気百倍だよ。

お祭りは自分たちが楽しむだけじゃだめなんだからね?
いい子にしてハロウィンを楽しもう!


「ヒュー! とうとう来ちゃったぜハロウィンパーリー!」
「ほらほらアゲてこ☆」
 極彩色の軍団が、自分たちの空気と爆音を若者たちへ押し付け始める。
「う、うわあパリピだ! パリピがやってきたぁぁ!」
「いいねえ盛り上げてんじゃーん!」
 逃げ惑う一般人の悲鳴すらも『盛り上がっている』と称するかれらは、その名もパリピ団。担いだコンポの音量を最大に。自分たちの歌も喉が嗄れんばかりに叫び散らす騒音軍団だ。
「ぱりぴ……?」
 心底不思議そうな不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)の声。きょとんとする紘希をよそに、パリピな団員らは猛威を揮う。
「ぱりぴ団って何するんだろう。応援団かな? ね、マティアスお兄さん」
「たぶん、理解しようとしなくていいと思うよ」
 マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)がすかさず言を差し込む。
 何せ、パーティを満喫しに来たお客様と呼ぶには、少し――いやかなりタイプが違いすぎる。若者たちを追い回し、許可ひとつ無く肩を組んだりして、輪へ引き込もうとしている。
「でも、この会場に来たからには『ハロウィンの参加者』だよね」
 マティアスがそう言いながら眦を和らげると。紘希の瞳がキラキラ輝き出す。
「そっか、じゃあ……!」
「うん、お菓子をもらって、悪戯もできるね」
 紘希の眼差しに、マティアスもふふっと吐息で笑う。
「さ、悪戯の準備はできた?」
「もっちろん準備万端! いっぱい楽しもうねっ」
 こうして二人は、楽しもう、という響きに違わぬ行動へと移る。
 まずはマティアスが場に滲む力を使い、蜘蛛の巣でパリピたちを囲う。カラフルな総身もコンポも蜘蛛の巣をかぶり、見栄えが途端にハロウィンらしさを増した。
「センスイイじゃーん! 蜘蛛の巣柄コンポもカワイーネ!」
「そう来るんだ……」
 マティアスの片頬がひくつく。
 ポジティブな捉え方はある種パーリーピーポーの神髄だろう。罠では彼らの動きや気分が鈍らずとも、蜘蛛の巣の影響か、心なしコンポから響く音が掠れていて。
「ウチらの音楽、向かうところ敵なしっしょ!」
「フゥ! キミたちも一緒に歌おうぜ☆」
 それでも前向きなパリピ団は、相も変わらず一般人を仲間へ引き入れようとしていく。会場を包む曲と歌声も、止む気配はない。紘希が思わず両耳を塞いでしまいたくなるようなラップも。
「よくわからないけど、すっごいお歌がへただねぇ」
「下手でも楽しけりゃイイんよ、一緒にバイブスアゲよ」
 尚も誘うパリピに、紘希はしかしふるふるとかぶりを振った。
「あのね、みんなと楽しくできない人たちはめっ! だよ」
「ウッ、その真っ直ぐな目と言葉に俺たちゃ弱いんだ……」
 胸元を抑えながらパリピはそう返すも。
「だからこそ気分を盛り上げてくぜぇぇ!」
 やっぱりこちらの言葉は届かないらしい。しょうがないなあ、と紘希は地を蹴った。魔法のアートで会場を彩りながら走り、マティアスと二人、それぞれの場所で頷きあう。そして。
「「Trick or Treat!!」」
 ハロウィン限定の呪文を奏でると同時、紘希の靴が星の如く瞬き、流星群を呼ぶ。流れ星が見せる光景こそ、これから迎えるハロウィンナイトに相応しい。
 連ねてマティアスが、飛び交うコンポの爆音も、パリピの不躾なノリも見事に掻き消す鮮やかな花火で、舞台を飾った。
 パラドクスを受けて、ハロウィンを楽しむ機会を失ったパリピたちと、まだまだ騒ぎ続けるパリピが会場に同席する中。
「賑やかなのは良い事だけど、マナーはしっかり守って貰わないと」
 パリピ団へ釘を刺しながら、マティアスは周囲を見渡す。
「そうそう、周りのみんなもハロウィンのお菓子も忘れずにね!」
「うんっ、いい子にしてハロウィンを楽しもう!」
 パニックに陥りかけていた一般人へ、マティアスと紘希がそう呼びかければ。
 ディアボロスの活躍を目の当たりにした若者たちに、落ち着きを取り戻す人も増え始める。
 少しずつ、少しずつ本来のハロウィンムードが会場に戻りつつあった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

奉利・聖
………はぁ、盛り上げるには別に構わないんですが
方向性を間違い過ぎです ただ騒ぎたいだけでは全然だめだ
楽しみ方が美しくないんですよ ノーセンキュー よって排除します
ハロウィンの楽しみ方を学んでからどうぞ

───『鉄禍ノ乱』
威力はそれほどでもないとはいえ、爆弾は爆弾です
防御力を上げてゴリ押し特攻と参りましょう
存在がうるさいのでさっさと片付けちゃいましょう
その場の雰囲気すら察せずに騒ぐだけの、風情を理解しない間抜けには容赦も何もありませんので

というか、コンポ打ち返せばこれ…そのまま返せませんか?
試してみましょうか、地獄のコンポノックというやつを


 はあ、と深いため息が奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)の口から落ちる。
「盛り上げるには構わないんですよ。きちんと盛り上げるのなら」
 しかし視界にあるのは、ウエーーイとはしゃいで一般人の若者たちを追いかける、派手なパーリーピーポー。
 会場で溢れる若者たちの楽しげな声も、不穏な極彩色に浸食されて姿を眩ませつつある。
「仲良くハロウィンしちゃおーぜ!」
「うわあぁ、放せ! 放してくれよ何なんだよおッ」
「そんなツンツンしないで歌って踊ろっか!」
 嫌がる若者、怯える若者、片っ端から引き入れようとするパリピ団の凶行は、まだ続く。
 ディアボロスたちの活躍によって団の人員は減ってきたが、それでも――残存するパリピたちの辞書にも、嘆き悲しむ、諦めるという文字はないのだと聖は実感する。
「だからといって、ただ騒ぎたいだけでは全然だめだ」
 噛み殺さんばかりの苦さで呟いた聖は、暴れているに等しいパリピ団が振りかざす『爆弾』に目をつける。コンポという名の爆弾は、確かにその激しい振動と圧倒的音量を響かせることで、ハロウィンパーティの場を制している。
 ならば、かの爆弾と、それを担いでいるトループス級の両方を打ちのめすだけ。
 そう考えるや、ぐっと踏み込んだ聖の足から硬化の力が宿り始める。練り上げた気の力で守りを固めるも、聖自身の戦闘力は鈍らない。そして聖の様子を目撃したパリピからあがるのは、歓迎の声。
「ヒュ~! やる気ビンビンカッチョイイじゃあん?」
「チョーイイネ! 盛り上がるぅ!」
「……盛り上がりませんし、楽しみ方が美しくないんですよ。方向性を間違い過ぎです」
 鋭い聖の指摘が、パリピの胸へと突き刺さったのかどうかは、わからない。かれらの挙動は変わらず、歌ったり踊ったりと忙しかった。
 それでも「俺らと一緒に盛り上げてこうぜ」とコンポ爆弾に誘いを乗せてくるパリピには、「ノーセンキュー」の一言を鉄禍ノ乱と共に叩きつけるのみ。
「ハロウィンの楽しみ方を学んでからどうぞ」
 聖はこうして、残ったパリピの気勢をゴリゴリに削いでいった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

坂登・悠日理
惺音g03409と

うわぁ
すごいの来たなぁ
折角色々ハロウィンっぽく出来たのに
盛り上げるのはともかく荒らすのは許せないぜ
行こ惺音

レオ気合い入れてけよ
指示の前に後ろから攻撃して一撃離脱で戻って来たレオに
えっ…めっちゃクール
え?あっちに合わせる必要ない?
そりゃそうだ
うぇいうぇい騒いで場を荒らしてるだけじゃな
パリピって言うならもっと盛り上げないと?
挑発し惺音やレオが攻撃する隙を作りつつ
一撃離脱でレオと交互に攻撃

動き観察し光線は看破し避ける
当たったら惺音にこつんとして貰う
直線だから避けやす…ってやばっ
うぇーい
お前ら盛り上がり足りなくね?
痛っ
…危なかった
ユキミも本気だもんな…

もうとっとと撤収しろよ
纏めて水計


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と

パリピって…
羽根が天使っぽいけど付け羽だったり?
荒らしてるから盛り上がりとは違うよね
うん、ゆぅ君

私は落涙氷獄であちこち凍らせていくけど
ユキミが…電気混じりに冷気を振り撒いてる…
…うん、ああいう迷惑に騒いで軽いの嫌なんだね、分かる
範囲外だった相手は槍で捌いていくね

パリピになるのはノーサンキューという事で
槍の穂先や氷を生み出して反射させたりして躱していくよ

って、ゆぅ君、光線が…
あ、待ってユキミ
あのパリピは違うから、もといゆぅ君を凍らせちゃ駄目
ユキミのぷんすこに慌てて
先にゆぅ君をこつんと叩いておこう
…本当に危なかったよ…

氷のオブジェもそろそろ要らないよね
水計で後ろへ下がるよ


「ヤバ~! 盛り上げよーとしてる俺らの気持ち、伝わってないじゃーん」
「マ~ジシラケる~。そんなヤツはウチらの音楽の虜にしちゃお!」
 そんな会話ではしゃぐパリピ団を前にして、坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)はこれっぽっちも包み隠さず「うわぁ」とドン引きした。
「すごいの来たなあ」
「こんなハロウィンは……やだね」
 森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)も同様に、目がチカチカするカラフルなパリピを捉えて眉根を寄せる。
 ディアボロスの仲間たちのおかげで、パリピも殲滅に近い状態ではあるが、朽ちずに残っている者もいた。けれど、すっかり草臥れた様子のコンポから溢れる音色は、悠日理たちには若干弱って聞こえた。敵の数が減ったことで、けたたましかったサウンドは静まりつつある。
「盛り上げるならいいけど、荒らすのは許せないぜ。行こ惺音」
「うん、ゆぅ君。絶対に止めなくちゃ」
 頷き合った後、二人は相棒と共に極彩色なパーリーピーポーと対峙した。
 気合入れてけ、とレオをぽんと叩いた悠日理の前で、メーラーデーモンのレオが「ウエーイ」な一味へ突っ込んでいく。
「ヒュウ! なになに~子ヤギちゃんもパーリーしちゃう? しちゃう?」
「YO! YO! オレらワンもニャンもメエも同士にしちゃうYO!」
「ラップ下手すぎないか??」
 あんまりな歌の出来栄えに、悠日理が頭を抱えた。いや上手かったら上手かったで複雑か、と思い直して顔をあげると、仲間になろうぜムードとビームでレオを追い回すパリピという光景が、目の前で繰り広げられている。
 パーティ会場で暴れ回るパリピ団へ仕掛けてはビームを喰らい、反撃の痛みに悠日理が耐える中、パリピたちが「ひゃっふぅぅ!」と歓声をあげる。この繰り返しは悠日理に頭痛をも覚えさせた。
 一方では。
「せっかくのハロウィンが台無しだよ」
「もきゅきゅぴ」
 どうも腑に落ちない惺音と一緒に、モーラット・コミュのユキミがもきゅもきゅ揺れる。
 ただどちらの顔も、楽しげなハロウィンから縁遠く――どちらかといえば、むっとしていて。
「あんなの、盛り上げてるだなんて言えないよね」
「きゅぴっ」
 非難の意志をあらわにした惺音たちに、パリピの一人が「チッチッ」と人差し指を振ってみせる。煽っているとしか思えない仕草だったから、ますます惺音は唇を尖らせた。
「俺らのバイブスも理解できないなんてパリピ三流ってやつ!」
「三流とかあるんだ……?」
 思わぬ格付けに惺音が瞬ぐ。
 しかもユキミがぱちぱちと冷気を振り撒き、攻撃しているにも関わらず――当のパリピは話をやめようとしない。冷たさよりも、痛みよりも、かれらには大事なことがきっとあるのだ。
「安心しちゃいな! ウチらが一流のパリピが何か教えてやんよ」
「え、いらない」
「っつーわけで聞いてけ俺のラップ魂~!」
「いらないってば」
 惺音がひとつひとつきちんと拒否したというのに、有無を言わさずラップを浴びるはめになってしまった。
 ぐわんぐわんと全身を揺さぶるラップとBGMをよそに、悠日理も悠日理で仲間になれ光線の餌食と化していて。
「もっとちゃんと盛り上げないと。パリピなんだろ? いろいろ足りなくね?」
「なぁにぃ? 足りないだってえ!?」
 身を乗り出したパリピが怒るかと思いきや。
「ウエーーイ!」
「うぇーい」
 色とりどりなパリピと、パリピと化した悠日理とで挨拶が交わされてしまう。
「ゆ、ゆぅ君……なんてむごいことに」
 コツン。
 見かねた惺音の一撃が、悠日理を正気に戻す。
「危なかった……いろいろと」
「あ、うん。そう、だね」
 ウエーイな彼の姿が、惺音の頭から離れてくれない。
 だからだろうか。自身の思考を落ち着かせるのに必死な惺音の相槌は、どこかふわふわしていて。
「パリピになるのって、胃もたれしそうなレベルで疲れるんだな」
「そうだね」
 頭がくらくらするのを感じながら、惺音が相手を落涙氷獄へ落とした。コンポの爆音も、救いようのないラップも、ウエーイなノリも、すべてが凍てつく。そして。
「もういいだろ、さすがに味が濃すぎて飽きてきた」
 悠日理から、今度こそパリピへ別れの挨拶が贈られる。
 不快な騒がしさを押し流した水によって、この会場のパーリーピーポーなトループス級は撲滅できた。
 多くの傷を心身に刻み、ディアボロスたちはいよいよアヴァタール級との死闘を目前にする。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【水源】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

フェリシティ・マーノット
(魔女の格好から着替える暇があらへんかった)
ちゃんと助けてやるからな。
逃げられたら助けられへんから
クレイ(g03894)と連携取って逃がさへんように気をつける。

話聞いてもらうまではこっちからは積極的に攻撃せえへん。
チョコミント、食べさせられてもうたんやな。
そのままではおうちに帰れへん。
この先もあいつらの兵隊としてずっと怖い目に遭うのは嫌やろ?
悪いとこだけやっつけるさかい
俺らを信じて気を強く持っといて。
おうちに帰るまでがハロウィンやからな。

説得できたら【サキュバスミスト】で
可能な限り痛くないように攻撃する。

助けられたら安全なとこまで避難誘導したる。

ディフェンス→クレイ
※アドリブ歓迎


クレイ・ロックウェル
(南瓜提灯の被り物は取っておく)
子供…ではなく覚醒直後のトループス級だな。
だが救助対象には変わりない。必ず助ける。
フェリシティ(g03901)と連携して動く。

まずは説得する。
説得中は攻撃を控える。
相手の様子を良く観察し変わった動きがあれば周知する。

「戦うのは怖いか?
そう思えるうちはまだ大丈夫だ。戻れる。
このままクロノヴェーダとして
このハロウィンの悪夢に永遠に囚われたくはないだろう。
戻りたいなら力を貸す。俺達を信じろ」

説得成功後は【オーバーハウ】で攻撃する。
目を瞑っていろ!すぐに終わらせる!

成功及びフェリシティを含む仲間の無事の為なら負傷は厭わない
フェリシティをディフェンスする
※アドリブ歓迎


 パリピな集団との戦いが決着へ向けて進んでいた頃、数名のディアボロスは覚醒まもないトループス級の救出に赴いていた。
 南瓜提灯をそっと脱いで、クレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)は息を吐く。羽を休める意味での一息ではない。彼が零したのは、目の前で途方に暮れている幼子の現状を考えてのこと。
「子ども……」
 声で模ってから気付く。悲し気な表情で立ち尽くす子の、あまりにも弱々しい空気を。
「随分と心許なく見えるが、覚醒したばかりだからか」
 彼は確かめるようにぽそりと、隣の魔女フェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)へ耳打ちする。魔女の恰好のままトループス級の姿を捉えたフェリシティは、静かに、ゆっくりと頷いた。
「せやな。……ちゃんと、助けてやらな」
「どうして……」
 言葉を交わす二人に気付いて、悪魔の幼子が声を震わす。
「どうして、みんなぴりぴりしてるの?」
 周囲に満ちる戦いの気配が、子を恐怖のどん底へ突き落としているかのようで。
 近づこうとすれば、きっと逃げられる。逃げられたら、助けることなどできない。そう思ったフェリシティは、しゃがみこんで目線の高さを幼子に合わせた。
「チョコミント、食べさせられてもうたんやな」
 連ねる言葉も、戦闘や敵意といった鈍い痛みとは違うものにして。
 チョコミントを食べた覚えはないのか、少女めいたトループス級はこてんと首を傾げるだけ。
 周囲を警戒しながら、クレイは二人の様子を見守った。パリピ団は、他のディアボロスが引き付けて倒している。邪魔される心配はないが、念には念を入れて。
 その間に、フェリシティから紡がれる声音がやさしく子の耳朶を打つ。
「あんな、このままだとおうちに帰れへん」
「そうなの?」
「そうなんや」
 少なくとも、フェリシティの手を振り払って逃げるような真似はしなさそうだ。きちんと目線を合わせ、耳を傾けてくれている。
「この先もあいつらの兵隊としてずっと怖い目に遭うのは、嫌やろ?」
「やだ」
 返答も、迷いがなかった。
 遭うかもしれない『怖い目』を想像できてしまったのか、幼子の双眸が零れんばかりに濡れて、揺れる。
「嫌だと思えるうちはまだ大丈夫だ。戻れる」
 置かれた状況を理解している悪魔の幼子へ、クレイがそう告げた。受け入れてしまう前のトループス級特有の不安定さは、彼もひしひしと感じている。だから言葉を選ぶというより、思い浮かんだままを、怖がらせぬよう伝えることにクレイも専念して。
「このままクロノヴェーダとして、このハロウィンの悪夢に永遠に囚われたくはないだろう」
「や、やだ。ハロウィンたのしみたい、楽しみたいよう」
 二度目の意志が、幼子から届く。
 アヴァタール級が残っているとはいえ、ハロウィンパーティはまだ続いている。その楽しさを幼子もよく知っているらしい。
 フェリシティとクレイは、顔を見合わせて首肯した。
 この調子なら大丈夫だという気持ちを、互いに持っていると気づく。
「おうちに帰るまでがハロウィンやからな。悪いとこだけやっつけるさかい」
「力を貸す。俺達を信じろ」
「そうそう、俺らを信じて気を強く持っといて」
 両名共、準備は疾うにできていた。
 パラドクスによって討たれるのを感じた幼子が、そろりと口を開く。
「……それ、いたい?」
 改めて聞かれると、クレイもぐっと言葉に詰まってしまう。
 けれど迷い悩む時間すら惜しいから、クレイは答えをしかと伝えた。
「すぐに終わらせる。目を瞑って、数を数えていろ」
 クレイもフェリシティも、幼子の大きな瞳が閉ざされるまで黙して待ち続けた。やっとのことで瞑目した幼子が、いーち、にーい、と知り得る限りの数字を口にし始める。
 そして最後に二人から贈るのは、痛くないようにと願った上でのパラドクス。
 幼子の見目を模っていたトループス級クロノヴェーダは、瞬く間に消えていく。
 そして一般人の若者を、無傷で取り戻すことが叶ったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【現の夢】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV2が発生!

如月・莉緒
総二さん(g06384)と

もー、パリピの相手してる間に一般人狙うとかやることが卑怯なんだけど!!

元凶を倒したいけど、まずは先にこっち!とトループス級クロノヴェーダに変えられた人たちを見やる

痛いの嫌だよね。大丈夫、すぐに終わるから
元の姿に戻って、ハロウィンをもっと楽しもう?

不意の心情の吐露に身動きが取れなくなっても声掛けは続けて
【浄化】の気持ちを込めて、【高速詠唱】で【幻想花】を放ち、元に戻そうと試みる

私がダメでも総二さんもいるしね

と総二さんと【臨機応変】に立ち回って

ここで敵の手先になんかさせないから安心して
ちょっとの間だけ、私たちに任せてね


神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴

言われた通り防ぐのは無理と分かっていても
元が一般人と戦うのは気が引けるな……

そうだな、まずは一般人の皆を先に助けようか
と、莉緒と二人で変えられた人たちを見て

大丈夫、俺達がすぐに元の姿に戻してやるから
早く元に戻ってハロウィンの続きを楽しまないとだろう?

莉緒の幻想花に耐えて攻撃を仕掛けてきた敵に対して
【雲遊萍寄】で反撃して無力化

一緒にハロウィンを楽しんでいた人を攻撃するのは気が引けるが
ここであいつらの手先になって、この先楽しめないのはもったいないだろう?

少し痛いだろうが、すまないが元に戻る為だと思って我慢してくれ


 いたいけな子どもの眼差しが、凝然として如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)を射抜いている。それがただの迷子であったなら、話を聞き、手を差し伸べることも難しくないのだが。
 その「いたいけな子どもの眼差し」と出くわした神刀・総二(闘神・g06384)も、莉緒と目線を重ねて唇を引き結ぶ。
(「元が一般人と知っていると、尚更気が引けるな」)
 クロノヴェーダに目覚めて間もない、悪魔の幼子。震える素振りも、今にも泣きだしそうな大きな瞳の潤いも、クロノヴェーダゆえのもの。そう、頭では分かっているのにと、総二は少しばかり長めの息を吐く。
 一方の莉緒も、「もー!」と頬を膨らませて、元凶たるクロノヴェーダが迫りくる中、トループス級へ意識を向けた。
「パリピの相手してる間に一般人狙うとか、やることが卑怯なんだけど!!」
「本当にな、さすがクロノヴェーダって感じか」
 言葉を交わし合っている間も、悪魔の幼子はじいと二人を見つめている。
「……まずは一般人の皆を先に助けようか」
「うん、絶対に助けてあげなきゃ」
 意を決し、怯えた様子の子どもたちとの距離を詰めていく。
 こんにちは、と挨拶を向けるだけでびくりと子の肩が揺れた。
 だから莉緒は屈んで、ほんのり柔らかな笑顔と、静かな声色で応じる。
「痛いの、嫌だよね」
「ん」
「やだ」
 小さく頷いた幼子たちの肌は、緊張をはらんだかのように青白い。
「大丈夫、すぐに終わるからね」
 莉緒の一言に、きょとんと瞬きする子もいて。
「おわる? おわるって、なに?」
「怖いのも、痛いのも、すぐに終わるさ。俺達が元の姿に戻してやるから」
 総二が付け足していくと、次第に幼子たちも理解へと導かれていく。
 それでも、きゅっと握り込む子どもたちの手は、震えたまま。
 莉緒の空色の瞳で、かれらの不安げな表情が揺らめく。ずっと映していては、呑まれてしまいそうだった。痛いのは嫌、こわい、くるしい――繰り返される悲しげな声が、莉緒の胸を締め付ける。なのに「やめて」とは言えない。言うわけにはいかなかった。
 たとえ足が竦んで、からだが強張り動けなくなっても。一般人であったかれらを救うのだと決めた莉緒は、もう下がれない。
「……総二さん」
 あえかな呼び声が落ちる。あまりにか細いそれは、幼子の言葉を聞いて生まれたもの。
 幼子だけでなく莉緒まで震えを覚えたものだから、総二は彼女が悲しみに引き込まれてしまわぬよう、言の葉を紡ぐ。
「苦しいなら、早く戻ってハロウィンを楽しまないと。だろ?」
 ゆっくりと、しかし丁寧に結ばれていく総二の音は、幼子の気を惹き、そして莉緒をハッとさせる。息を呑んだ莉緒も、同じ響きで子どもたちへ呼びかけた。
「そう、そうだよっ。元の姿に戻って、もっともっとハロウィンを楽しもう?」
「まだ……たのしめる?」
 すると子どもたちの意識が徐々に、負の情からハロウィンへと移っていく。
 それに気づいて総二が頷く。
「もちろんさ。まだまだハロウィンの時間はある」
「だからちょっとの間だけ、私たちに任せてもらえるかな? だめ?」
 目線の高さを幼子と合わせた莉緒が連ねると、ふるふると子どもたちがかぶりを振って。
「だめ、じゃない」
「ハロウィン、あそびたい」
 口々にハロウィンパーティへの希望を告げ始めた。
 もともと、ハロウィンパーティの会場へ足を運ぶほどの人々だったのだ。ハロウィンを楽しもうと言葉を差し伸べる二人の気持ちは、かれらをクロノヴェーダという暗闇から力強く引き上げる。
 そして引き上げたあとは、もちろん。
 幻想花なる夢の香が幼子たちを包み、雲遊萍寄が流れる雲の如くかれらへ向かって――クロノヴェーダは倒れ、覚醒させられていた一般人の若者たちが、まもなく無事な姿を見せてくれたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【現の夢】がLV2になった!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!

マティアス・シュトローマー
紘希(g04512)と!

へえ、手の込んだ仮装にお菓子の準備もバッチリ
これは悪戯のし甲斐がありそう

せっかくの映えスポットなんだ
良かったら記念写真でもどう?
【トラップ生成】を使い、蜘蛛の巣状のトラップを霞網の要領で空中に張り巡らせる
さっきは好評だったから、今度もきっと楽しんでくれるよね?——なんて紘希に目配せ

続いてパラドクスを発動。七発の弾丸が狙うのは翼とアイスを放つ腕。仲間の攻撃でダメージを受けている箇所も撃ち抜いておこうか
一発の銃声で君を貫いた弾丸は七発
どう、驚いてくれた?

飛んできたアイスは地形の利用で公園内の障害物を盾にして躱すか、臨機応変に銃で迎撃する

次は“美味しい”お菓子を持ってきてね


不知火・紘希
マティアスお兄さん(g00097)と!

わぁ、仮装もこだわってるね。ハロウィンのお祭りにはぴったりだ。
こっちもとっておきのイタズラだから、楽しんでくれたら嬉しいな

記念写真いいね!
お兄さん、僕お手伝いするよ!
取り出したのはZitronengelb。
ほんとはアイスにも使えるようなアートナイフだけど、お写真にはシャッターライトが必要だから溜めた力を光球に変換するために使うよ。
これで間違いないね!
(目配せを受けてウィンク)
お兄さんのサービスすごいでしょ?

観察したタイミングで光球を放って足止めして援護するよ
かわす動きをかっこよく思いながら反撃はキレイに浄化しちゃうよ!

ハロウィンは甘く楽しくなくちゃね。


 パステルカラーで身を纏った、アヴァタール級クロノヴェーダ――チョコミントモドキ。
 この会場を襲撃した首魁を前に、わあ、と声を弾ませたのは、不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)だ。隣で「へえ」と感心するマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)の声色も温度は紘希に近しく、敵意や闘志からは縁遠い。
 何故なら、相手はチョコミントアイスを模した、仮装めいた姿。
 しかも、おすそ分けが叶うぐらいのお菓子の準備もしてあるという。
 なんてバッチリな状態なんだと、マティアスの口端は持ち上がるばかり。
「ここまで整っていると、悪戯のし甲斐がありそう」
「ほんと、ハロウィンのお祭りにぴったりだ!」
 そんな二人を前にしても、チョコミントモドキは「きれいなドレス、きれいな頭飾り」などと無邪気そうに繰り返すだけ。
 浮き立つクロノヴェーダの様相に、マティアスもポンと手を打たずにいられなかった。
「そうだ、せっかく良い格好をしているんだ。良かったら記念写真でもどう?」
「あらあら、お写真ですって?」
 頭部を揺らしながら尋ね返すチョコミントモドキへ、マティアスは迷いなく頷く。
「映えスポットで記念撮影しないなんて、もったいないよね?」
「記念写真!」
 胸躍る響きに同調するようにして、紘希がぴょんと跳ねた。
「いいね! お兄さん、僕お手伝いするよ!」
 早速二人が撮影の準備に取り掛かれば、チョコミントモドキが「まあ!」と感嘆の声を溢す。
「ステキ、記念写真だなんて考えたこともなかったわ」
 うっとりと目を細めた拍子に、とろんと滑り落ちるアイス。楽しみね、なんて呟くクロノヴェーダの手は、ずれたアラザンや色とりどりのチョコスプレーをせっせと整え始めた。
 かの者が身繕いに励む間、マティアスは蜘蛛の巣を模った罠で場を埋めていく。
「あらあら、何をしているの?」
「これも撮影に必要な演出だから」
 たとえ相手を傷つけられなくても。想い出に残る最高の瞬間には、欠かせない。
(「きっと楽しんでくれるよね?」)
 マティアスの目配せに、紘希もとびきりのウインクで応える。
 そして誇らしさを笑顔へ灯した紘希が掲げるZitronengelbに宿るのは、太陽のごとき輝きを連れた、とっておき。
「僕、こだわりがある仮装っていいと思うよ!」
 キラキラした瞳を向けてそう話す紘希に、チョコミントモドキの頬が、気恥ずかしそうにでろんと溶け落ちた。しかしそんなアイスの心など露ほども知らず、紘希が描くは幸福。奏でるは光。
 少年の灯す光球は穢れを清めるため、写真のシャッター代わりに揮われる。シャッターライトめいた一瞬を作ったその光によって、浮き立つチョコミントモドキがふらつく。
「まぶしいっ、なんて輝きなの溶けちゃいそう!」
 言いながらチョコミントモドキが返した二色の香は、紘希に眩暈を覚えさせた。
 思わず紘希が「うう」と唸ってしまうほどの、甘さと爽やかさのミックス。バランスが命のチョコとミントが喧嘩している感覚だ。
(「甘く楽しいのはいいけど、においがぐちゃぐちゃだよ!」)
 呑まれてしまいそうだったから、勢いよく頭を振って紘希は耐える。
 たかが香り、されど香り。アヴァタール級の名は伊達ではないらしい。
 そんな敵へ、マティアスもシュナイダー・シュトライヒで狙いを定めていた。彼は狙いを誤らない。紘希による光と、チョコミントの香が衝突し、咲き誇ると同時――敵のからだへ七発分の穴をあけるに至る。「きゃあ」と悲鳴を響かせて、すぐにチョコミントモドキがありとあらゆるアイスを投げつけるも、既に四肢を貫いた穴は、先刻までの形を保てていない。
「どう、驚いてくれた?」
 おいしくないアイスの断片を浴びつつも、マティアスが不敵に告げる。
「とっておきのイタズラ、楽しんでくれて嬉しいな」
 つい先ほどまで意識がぐらついていた紘希も、満足げに頬をふくりとさせて。
「い、イタズラ? イタズラですって?」
 二人揃って『大成功』の一言を打ち出し、ハイタッチをしたものだから。
 チョコミントモドキは無意識に身を震わす。
「ひどい、なんてひどい。記念写真も演出も嘘だったの?」
「そう、ぜんぶ俺たちの仕掛けたトリックってわけだ」
「だよね、お兄さんかっこよかった!」
 マティアスの告げた真相も、紘希が口遊む素直な感想も。
 すっかりウキウキと弾んだクロノヴェーダの気分を、見事に溶かしたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【ドレイン】がLV2になった!

神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴

莉緒が助けた人を安全な場所へ移す間
敵に立ち塞がりつつ

戻ってきた莉緒と二人敵と向かい合い

そうだな、まだまだハロウィンを楽しみたいからな
さっさと倒してしまわないと

チョコミント好きなのか……食べたことないが
今度食べてみるかな

莉緒の放った炎と共に【ダッシュ】で敵へ肉薄して

アイスを殴るという感覚も良く分からないが……!

【強打】【気絶攻撃】を乗せた【激震掌】を放ち

どうせなら、もう少し見た目可愛くして
美味しいアイスクリームを配ってくれたら嬉しいんだが

アイスを食べに?

じゃあこの後で、莉緒お薦めの店とか行ってみるか
チョコミントも挑戦してみたいしな……


如月・莉緒
総二さん(g06384)と

助けた人たちを安全な場所へ

すぐ終わらせちゃうから待っててね

そう告げて敵へ向かう

さっさとあなたを倒さなくっちゃ

ね?と総二さんにも同意を求めて魔杖を構える
ふわり香る匂いに

確かにチョコミントっぽいかもね

と言葉を漏らして

でも美味しいチョコミントの匂いには程遠いかな

チョコミント味は好きだからこそ、偽物の匂いに惑わされることもなく

どうせ食べるなら美味しいチョコミントが食べたいな

そんな軽口と共に【高速詠唱】で【極上饗膳】を唱えて
【火炎使い】も使って、美味しく調理

まぁこれで溶けちゃうならそれまでだよね

総二さんが言った美味しいアイスの言葉に

今度美味しいアイス食べに行こ

と戦いつつ約束して


 人々のざわめきが遠ざかっていくのを、神刀・総二(闘神・g06384)は背中でしかと感じ取っていた。アヴァタール級の敵を眼前にしながらも、後背が熱を帯びてならないのは、そこで如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)が救出した一般人を避難させているから。
「すぐ終わらせちゃうから、こっちで待っててね」
 莉緒の声が背に届く。助けた人たちの「頼んだぞ!」という声援が響く。
 だからクロノヴェーダ――チョコミントモドキをねめつけたまま、総二はその場を動かない。
 あらあら、と溶けかけの頭をゆらめかせて敵が笑む。
「守りたがりさんね、熱くてしょうがないわ。冷やしてあげないと」
「生憎、熱くなるのも冷静になるのも間に合っているんだ」
 総二が肩を竦めて応える頃には、お待たせ、と莉緒も合流を果たした。
 二人分の影が並ぶ。並べばその違いは明確に景色へ刻まれるも、同じぐらいの意志が燃えていて。
「さっさとあなたを倒さなくっちゃ。ね?」
「そうだな、まだまだハロウィンを楽しみたい」
 未来への期待が膨らむから、ふたり同時に頷くと。
 魔杖を構えた拍子に、ほのかな秋風に乗って莉緒の鼻腔を擽った、甘くも清涼感のある香り。
 くん、と鼻先を動かした莉緒は次の瞬間にはううんと唸って。
「確かにチョコミントっぽいかもね」
「そうか、やっぱりあのアイスはチョコミントの……」
 莉緒の一言を受けて、総二も納得したように顎を引いた。
 しかし莉緒はすぐさまかぶりを振る。
「でも、美味しいチョコミントのにおいには程遠いかな」
 言うや莉緒のまなこに、鋭利な光が宿る。
 だからあれは紛い物なのだと、記憶に残るチョコミントの風味が莉緒を滾らせていく。思い出せば思い出すだけ、目の前のチョコミントモドキの「モドキ」っぷりが許容できない。
「どうせ食べるなら、美味しいチョコミントがいいな」
「うふふ、何処をどう見てもわたしはキレイでおいしいチョコミントでしょ?」
 莉緒の所感を拾った敵から、笑い声が飛ぶ。着飾った己への自信を疑わぬ相手に、莉緒は再び首を横に振ってわかりやすく否定した。そんなことないのだと莉緒が返しても、しかしチョコミントモドキは信じない。
 仕方なしに莉緒が魔杖で宙を突き、極上の料理へと変えるため――持ちうる情熱と同じだけの炎で、アイスを溶かす。
「美味しくしてあげるから!」
「あらあら、より一層食べたくなるでしょう?」
 これまで微々たるものだった香気が、炎と引き換えに飛んできた。莉緒の精神を侵す甘ったるさと、心身の隅まで巡り、抜けていきそうな爽やかさ。どちらもチョコミントアイスに似ていて、やはり違う。
 どうにか踏ん張って立つ彼女の姿を知りつつ、総二は自身の務めを果たすべくクロノヴェーダの元へ飛び込む。ふ、と短く息を吐いて贈るのは力を込めた撃震掌。言葉通りの激しい衝撃と震動が、ひんやりしたアイスを弾き飛ばす。
 ぺちゃり、ぺちゃりと不快な音を立てて総身を構成しているアイスの一部が散る。
「ああ、ああ、なんてこと」
 嘆きと共に、仲間の一撃によって穴だらけになったクロノヴェーダの腕部が、仕返しとばかりに総二へ伸びた。けれど幾つもの穴によって動きは鈍り、彼を掴むも胴へ埋めきることは叶わずに。
 降りかかったアイスだけを払って、総二はチョコミントモドキを押し返す。
「どうせなら、美味しいアイスクリームを配ってくれたら嬉しいんだが」
 ついでに見た目ももう少し、可愛らしくして。
 そんな要望を口にした彼の後ろで、ぐるぐると回っていた意識を莉緒が取り戻す。
「じゃあ、今度美味しいアイス食べに行こ」
「……莉緒お薦めの店とか、行ってみるか」
「うん、そうしよっ。お店選びは任せて」
 何事もひとつの経験だろうと思い至った総二と、約束をひとつ結んで楽しそうに笑む莉緒。
 二人で織りなすハロウィンの楽しみ方を目にして、チョコミントモドキは溶けかけの身を抑え込む。からだだけではない。二人が纏う雰囲気も、些細な約束のためのやりとりも――すべてがかの者の感情にまで、どろりとしたものを生ませた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【おいしくなあれ】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【リザレクション】がLV2になった!

坂登・悠日理
惺音g03409と

俺はチョコは好きだけど
ミントは好きじゃない
チョコもアイスも好きだけど
チョコミントアイス…お前は許さん
例えモドキでもな
あっ惺音はミント大丈夫なの?
まぁ映えはするけど
チョコでも映える

という訳で
レオ遠慮するなよ
動き良く観察し隙を看破
でろってなってる箇所潜り抜けて一撃離脱でレオと交互に攻撃
無理に接敵せずハンマーや槍を投擲
落下物危ないもんな

翼や腕の動きには特に注意
絶対食べたくない…!
折角のハロウィンなんだしもっと美味しい物があるっていうか
チョコミントハロウィンに関係ないし
吹き飛ばし払い

落下物は危ないけど
法則分かれば何て事ないんだけどな
万有引力
体勢崩させ一気に飛翔
重力に乗り思いっ切り攻撃


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と

チョコミントかぁ…得意じゃないかも
って、ゆぅ君の戦闘意欲が凄い
ミントは嫌いじゃないけど
チョコと一緒にしなくてもっていう気持ちだね
…怠惰のベリアルの配下で苦労はしてそうだけど

結晶凍結で短剣を作り出しては投げつけていくよ
あまり近付きたくないのと
溶け気味の所なら凍らせておけば
取り込んだり放出し辛いかと思って
アラザンやベリーも素敵だけど、氷のドレスはいかが

飛翔も使ってゆぅ君と対角線上になるようにしたり
死角を意識して攻撃
槍も手にはしてるから一撃離脱なら近接も

香りが強いと気持ち悪いし
風を操り臭いを散らそう

ゆぅ君がパラドクスを使う機会に合わせて
モドキの足元と地面を縫い付ける様に凍らせるよ


 煌めくドレスに色彩豊かなチョコスプレー。
 ドレスが揺れるたびふわりと薫る、チョコの甘さとミントの清涼感。
 坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)は思わず顎を撫でた。存在するだけで主張してくる姿とにおいを、じっと睨みつけて。
 直視したまま沈黙を保つ彼に、隣で森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)が首を傾ぐ。すると。
「……チョコは好きだ。チョコは好きなんだけど」
 念を押すような、味を噛み締めるような口振りは、惺音にも「あー……」と納得からの声を溢れさせる。
「そうだね……それぞれで楽しむなら、いいと思う」
「ああ、アイスだって好きだけどチョコミントアイス……お前は許さん」
 ――例えモドキでもな。
 呟きながら僅かに震える拳。それを目撃して戦慄く惺音は、ぽつりと言う。
「ゆぅ君の戦闘意欲が凄い……」
「あっ惺音はミント大丈夫なの?」
 悠日理から問われ、惺音はうーんと目線を彷徨わせた。
 ミントは嫌いではない。ないけれど。
「チョコと一緒にしなくてもいいよね」
「そんな! この華やかなハーモニーがわからないなんて!」
 理解を得られず嘆くチョコミントモドキだが、惺音も悠日理も顔を見合わせ、肩を少し竦めるだけ。融和するチョコとミントに良さについて、同意の兆しはない。
「という訳で……レオ、遠慮するなよ」
 メーラーデーモンのレオへそう告げた直後、悠日理の元からレオが駆けだす。
 チョコミントアイス許すまじという悠日理の志を受け取っているからか、迫るレオの迫力は凄まじく、クロノヴェーダも「あらあら?」と驚かずにいられなかった。驚きつつも、敵の芯は揺らがない。
 でろりと流れるアイスの身を顔で追うレオは、かの者が飛散させるアイスの欠片を見ていた。
 仕掛けなければチョコミントモドキも機を窺うだけ。そうしている間に悠日理が、『万有引力の法則』への理解を示していく。
 その一方。
 氷雪と光の使い手として技を研ぎ澄ませてきた惺音にとって、氷の結晶を操ることは造作もない。先端を尖らせた刃は、短剣めいた形を保ったまま、アヴァタール級の穴があいた箇所を広げるべく、飛んでいった。
 穴を埋めようと溶けたアイスが流れるなら、そこを――切り裂く。
「キラキラした氷のドレスはいかが?」
 そう囁く惺音からの、ひんやりしたプレゼント。
 どろりと崩れるアイスを裂いたら、そこからじわりと氷が滲み、クロノヴェーダを鈍らせる。
(「あまり近づきたくないかな……べたべたしそう」)
 惺音は弾けたアイスをかぶらないよう、間合いを取る。
(「……怠惰のベリアルの配下で苦労はしてそうだけど」)
 案外楽しく生きていそうに思えるのは、何故だろう。
 そんなことを惺音が考えていると、凍てつく刃への返礼がチョコミントモドキから届いた。惺音が拒否感を示したアイスそのものではないが、濃厚なチョコとミントの香りだ。
 風に乗ったそれは、鼻をくすぐるどころか喉を通って胃の中まで浸食してきそうなにおいで。
 眩暈を覚え、気持ちが悪くなる。それは惺音の精神を痛めつける、形なき攻撃で。
 そのとき、注視しながら飛翔する悠日理が敵へと飛び込んでいった。痩せた翼と腕が悠日理を包もうとするも、拒む。
(「絶対食べたくない……!」)
 だが幸運も重力も味方につけて悠日理が一撃与えるや、冷え切った腕は過たず彼を引き寄せて。
「っ、お呼びじゃないんだけどな!」
 折角のハロウィンで食べるなら、もっと美味しいものがたくさんある。
 彼の鋭利な一言は、チョコミントモドキをショックで震わせた。
「こんなにきれいに着飾ったのにっ、なんて分からず屋なの」
「分からず屋はどっちなんだ……俺は食べたくないって」
 溜息交じりな悠日理の眼前で、クロノヴェーダは険しい顔をするばかりだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV2が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【グロリアス】LV1が発生!

エラ・パーカー
連携アドリブ歓迎

…あれ?ステージのお片付けしてたら出遅れちゃったの…
お手伝いできなかったのにしょんぼり

でも気を取り直して、アイスのオバケみたいなの倒すの頑張るよう!

香ってくる甘ったるくて爽やかな匂いに意識が混濁しかけて、最愛以外に意識が割かれるのに苛立っちゃうの

匂いを絶つように【アイノウタ】をお歌で結界を紡いで、歌声が含む【ドレイン】で生命力も奪っていくよう

そしたらにっこりと微笑みながら、スタンドマイクから仕込刀『LadyGLUTTONY』を引き抜くの

さてと…おっきなアイスは食べやすいように分けなきゃね?
【解体】は得意なの
みんなに行き渡るように、お前をちゃんと均等にするから安心してくださいな


クレイ・ロックウェル
一般人救出は……あらかた終わったようだな。
また敵を増やされる前にアヴァタール級を討つぞ。

敵を発見次第【オーバハウ】で速攻を仕掛ける。
「悪戯もお菓子も間に合っている!消えろ!」
さすがに一撃とはいかんか。見た目ほど甘くはないようだ。
気をつけろ、フェリシティ(g03901)。

そんな話をしている場合か!
食べてない!
全く…オマエのアイスの方が美味いに決まってるだろう。
しっかり敵の動きを【観察】して、油断せずに戦うぞ。

アイスより温かい方が良い。後で頼む。
なっ(少々アイスを喰らっても冷える気がしないな)

フェリシティをディフェンスする
フェリシティ含む仲間の無事及び勝利の為なら負傷は厭わん。
※連携・アドリブ歓迎


フェリシティ・マーノット
手下は片付いたみたいやし救助もばっちりや。
後はあのチョコミントだけやな。
クレイ(g03894)や他の仲間と囲んでケリをつけたる。

クレイ……チョコミント食べてもうた?
俺のアイスとどっちが美味かった?
わりと良い食いっぷりやったから気になるやろ!(そう見えた)
そかそか俺の方が美味いか。なら良えんや。

【罪問糸】でぐるぐる巻きにしたるわ。
人の彼氏に無理矢理アイス食わせた罪は重いで?覚悟しや!

精神攻撃喰らうたら他のことを考えて耐えるのを頑張る。
クレイには後でアイス作ったるからな。何味が良え?
すっかり冷えてもうたもんな。ハグとか?
何にしても温めたるよ。

ディフェンス→クレイ
※アドリブ・連携歓迎


 一息ついてクレイ・ロックウェル(アーベントロート・g03894)は敵を見据える。
 既にチョコミントモドキの敵意は、ディアボロスだけを捉えていた。
 それもそのはずだ。皆で重ねた攻撃は、着飾って会場へ訪れたクロノヴェーダの意気を、見事に打ち砕いたのだから。しかし敵に消沈する気配はなく、「ひどい、ひどいわ!」と繰り返しながら地団駄を踏んでいる。
「同意を得られない虚しさがあるんやろなあ」
 フェリシティ・マーノット(ラココット・g03901)が特に深刻でもない声音で呟き、クレイへサムズアップを突きつけた。
「手下は片付いたみたいやし、救助もばっちりや。あとは……」
「ああ、また敵を増やされる前に、討つぞ」
 まもなく二人分の視線が、チョコミントモドキを射抜く。
 そこへ現れたのは。
「出遅れちゃったの。ここから全力でお手伝いするよう!」
 ステージでハロウィンを盛り上げていたエラ・パーカー(adore song・g03253)だ。
 片付けを終えて合流を果たした彼女は、襲撃を率いていたチョコミントモドキの姿形を、まじまじと見る。
「アイスのオバケみたいなの。でも、すごく……溶けてる……?」
 ディアボロスの仲間たちによって空いた穴の数々。切り裂かれたドレスからは、カラフルなチョコもアラザンも落ちてしまっていて。しかも氷雪の名残めいた痕まで刻まれている。凄まじい姿だ。
「皆で溶かしてきた成果やな」
 満身創痍なクロノヴェーダの現状を、フェリシティがエラへ伝える。
「そうなの??」
「ああ、もうひと踏ん張りといったところか」
 クレイも言葉を連ねれば、ふうん、とエラが唸った。それならと気合を入れてエラが踏み出すや否や、アイスだったものがでろんと崩落し、二種類の香りが解き放たれる。前例に違わず、広がるにおいは胃の辺りをムカムカさせて。
(「……やだ」)
 エラの内側で、心地悪さから来る苛立ちと、意識を持っていかれる感覚への苛立ちが鬩ぎあう。
 だから振り払うようにして叫んだ。
「エラの気持ちを持っていっていいのは、お前じゃないの!」
「大丈夫よ。チョコとミント、ダブルな魅力で包んであげるわっ」
 エラの訴えをものともせず、まだまだにおいで満たすつもりのクロノヴェーダが、動く。
 だからクレイは、かの者が暴れるより先に突撃した。
 頭に血がのぼったかのようなチョコミントモドキは、接近するクレイをキッと睨む。
「あなたも、向こうのあなたも! たーんと食べてチョコミントアイスの虜になっちゃうといいわ!」
「悪戯もお菓子も間に合っている! 消えろ!」
 埋もれるつもりなど微塵もないクレイが、オーバーハウを朽ちかけの頭部めがけて叩きつければ。めしょり、と音を立てて柔らかなアイスが抉れた。
 ヒャ~ッ、と悲鳴をあげるチョコミントモドキの眼前、クレイは纏わりつく冷菓の腕や、それにより散る飛沫を振り払っていく。しかし全部から逃れることは叶わず、望まぬ糖分へと頭を押し付けられた。
「くっ……見た目ほど甘くはないようだ。気をつけろ、フェリシティ」
 すでに半分ほど無くなりつつあったボディだが、それでも食感と温度がクレイを冷やし、浸食していく。お世辞にも「美味しい」とは言えないアイスだ。極端な寒さも相俟って、クレイの動きはややぎこちなくなった。
「あ、クレイ……食べてもうた? アレ」
 フェリシティが目線で示したのは言うまでもなく、チョコミントモドキ。
「食べさせられた、と言うのが……正しい……いや、少量ではあるが……うぐっ」
「なあなあ、俺のアイスとどっちが美味かった?」
「そんな話をしている場合か!」
 フェリシティから向けられた、混じり気のない質問。
 だが受け入れがたい味を何処かへ逃そうと、クレイはかぶりを振るばかり。四肢を動かそうと、口を開こうと、あの味は忘れられなかった。だからこそ、フェリシティは気にする。
「わりと良い食いっぷりやったから気になるやろ!」
 引く素振りを見せないフェリシティに、観念したらしいクレイは細長い息を吐くことで、不味いチョコミントアイスを記憶から飛ばそうとした。
「全く……オマエのアイスの方が美味いに決まってるだろう」
 ほほ~ん、と一度は窺うようにクレイの顔を覗いたフェリシティも、次の瞬間には。
「そかそか俺の方が美味いか。なら良えんや」
 満足そうに口角を上げて。
「よっしゃ、ケリをつけたる!」
 光の鞭でチョコミントモドキを囲い、打ち据える。
 もちろんそれだけでは済まさない。フェリシティの放つ光は、ボロボロになっていた敵の装いをぎゅうっと鞭で縛り付け、輪をかけて惨めな姿にさせた。
「ひいっ、なんてことするの! わたしのドレスが、ドレスがっっ」
「人の彼氏に無理矢理アイス食わせた罪は重いで? 覚悟しや!」 
 フェリシティの怒りを浴びるばかりのクロノヴェーダだがしかし、チョコとミントの濃厚な香をまき散らすことも忘れない。うわっ、と飛びのくフェリシティと入れ替わるようにして、エラが踏み込む。
「さってと!」
 開始の合図は、エラのウキウキした声色から。
「こんなにおっきなアイスだもん。みんなに行き渡るように分けなきゃ、ね?」
「「え!?」」
 チョコミントモドキだけでなく、フェリシティも驚きの声をあげた。
「だって味わわないと損なの」
「さっきまで結構な勢いで味わってたんとちゃうの? ……においやけど」
 まじろぐフェリシティに、エラはどこか甘い吐息で「ふふ」と微笑む。
「だからエラが香りのお礼に、アイスを均等に切り分けてあげるの♪」
 意識を二色の香で苛まれていたエラは、もうそこにいない。
 仕込み刀の『LadyGLUTTONY』を引き抜いた彼女の面差しは、ニッコリとした表情で満ちている。
「安心してくださいな、分けるのは得意なの。さあ、エラのアイノウタを聞いていってね!」
 エラの結界が潰れかけの冷菓を閉じ込めた。そこへ流し込むのも、アイスではなく愛を込めた歌。
 甘い愛よりもずっしりと胃に圧し掛かり、爽やかな愛よりも鋭く命を浄化していく。
「い、いやあぁ~~~!! 溶けきっちゃう~~!」
 こうして、最期まで「おいしい」という感想をもらう機会にも恵まれないまま、エラのとびっきりの愛で溶かされ、チョコミントモドキはその生を終えた。
 後には何も残らない。
 チョコミントモドキが教えようとした味わいも、多くのディアボロスを飲み込んだにおいも、何ひとつ。
 けれどアイスなボディを食べて間もないクレイは、少しの余韻を引きずっているのか、蒼褪めた顔で項垂れていた。
「お口直しのアイス作ったるよ。何味がええ?」
 見かねたフェリシティが耳打ちする。
「……アイスより温かい方が良い。後で頼む」
「あー、すっかり冷えてもうたもんな。何にしても後で温めたるよ」
 何の気なしに提案したフェリシティとは対照的に、おいしくないアイスで息を詰まらせていたクレイが、今度は喉で熱を詰まらせてしまう。

 ――肌寒さが増した秋の暮れ。
 このハロウィン会場での襲撃事件は、南瓜のランタンが灯す淡いアンバーの輝きに見守られ、幕を閉じた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【クリーニング】がLV2になった!
【完全視界】がLV2になった!
【照明】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2022年11月01日